(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022126853
(43)【公開日】2022-08-30
(54)【発明の名称】被加工物位置決め装置及び溶接シーケンサー
(51)【国際特許分類】
B23K 37/04 20060101AFI20220823BHJP
B23K 9/10 20060101ALI20220823BHJP
B23K 9/12 20060101ALI20220823BHJP
G05B 19/418 20060101ALI20220823BHJP
【FI】
B23K37/04 H
B23K9/10 A
B23K9/12 331R
B23K9/12 B
G05B19/418 Z
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022104964
(22)【出願日】2022-06-29
(62)【分割の表示】P 2018064529の分割
【原出願日】2018-03-29
(31)【優先権主張番号】62/478,704
(32)【優先日】2017-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/535,272
(32)【優先日】2017-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/904,570
(32)【優先日】2018-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.WINDOWS
(71)【出願人】
【識別番号】510202156
【氏名又は名称】リンカーン グローバル,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ブラッド ジェイ.ゴッダード
(72)【発明者】
【氏名】トーマス シー.バンクス
(72)【発明者】
【氏名】マーク エー.ハン
(72)【発明者】
【氏名】ショーン エー.ザフラドカ
(72)【発明者】
【氏名】ライアン ジェイ.レザベック
(72)【発明者】
【氏名】ブラッドリー アール.ピーターセン
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ アール.シュルー
(72)【発明者】
【氏名】ブルース ジェイ.チャントリー
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ エー.ダニエル
(57)【要約】
【課題】 被加工物位置決め装置及び溶接シーケンサーを提供する。
【解決手段】 溶接作業セルの実施形態が開示される。一実施形態は、被加工物位置決めシステム、溶接電源、及び溶接作業シーケンサーを含む。被加工物位置決めシステムは、主軸台と心押台との間に取り付けられた被加工物の昇降動作及び回転動作に動力を供給して、行われる次の溶接のために被加工物を再位置決めする。溶接電源は、電源の溶接パラメータの組に基づいて溶接出力電力を生成する。溶接作業シーケンサーは、溶接スケジュールの溶接シーケンスの次の工程に従って、被加工物を現在の位置から次の位置に再位置決めするように被加工物位置決めシステムに命令する。また、溶接作業シーケンサーは、溶接スケジュールの溶接シーケンスの次の工程に従って、溶接パラメータの現在の組を溶接パラメータの次の組に調節するように溶接電源に命令する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶接作業セルであって、
被加工物位置決めシステムであって、人間の作業者によって行われる次の溶接のために被加工物を再位置決めするために、前記被加工物の高さ位置を調節するための昇降動作及び前記被加工物の回転位置を調節するための回転動作に動力を供給するように構成されている、被加工物位置決めシステムと、
溶接電源であって、該溶接電源の溶接パラメータの現在の組に基づいて溶接出力電力を生成するように構成され、該溶接電源は、前記被加工物を溶接するために前記人間の作業者によって使用される溶接システムの一部である、溶接電源と、
前記被加工物位置決めシステム及び前記溶接電源と通信する溶接作業シーケンサーであって、
溶接スケジュールの溶接シーケンスの次の工程に従って、前記被加工物を現在の溶接位置から次の溶接位置に再位置決めするように前記被加工物位置決めシステムに命令することと、
前記溶接スケジュールの前記溶接シーケンスの前記次の工程に従って、前記溶接パラメータの現在の組を溶接パラメータの次の組に調節するように前記溶接電源に命令することと
を行うように構成されている、溶接作業シーケンサーと
を含む、溶接作業セル。
【請求項2】
前記溶接作業シーケンサーによって命令される前記溶接パラメータの次の組は、前記人間の作業者が前記溶接作業シーケンサー、前記溶接電源、又は前記被加工物位置決めシステムの少なくとも1つにログインすると、前記人間の作業者に対応するユーザプロファイルに基づいて調節される、請求項1に記載の溶接作業セル。
【請求項3】
前記被加工物位置決めシステムは、インターフェース制御装置を含み、前記インターフェース制御装置は、
少なくとも前記溶接作業シーケンサーと通信するように構成された通信インターフェースと、
ユーザプロファイル、又はヒューマン/マシンインターフェースアプリケーションのために使用される実行可能フォーマットでコンパイル及び保存されるプログラムデータを含むランタイムファイルの少なくとも1つを記憶するメモリと、
プロセッサ又はプログラマブル論理制御装置の少なくとも1つと、
グラフィカルタッチパネルインターフェース又は押しボタンの少なくとも1つを含むヒューマン/マシンインターフェースと
を含む、請求項1に記載の溶接作業セル。
【請求項4】
前記被加工物位置決めシステムは、
主軸台構造と、
心押台構造と、
前記主軸台構造内に収容される第1の液圧シリンダー、ベアリングを有するリニアレールの第1の対、第1の液圧パワーユニット、及び第1のリニアエンコーダーと、
前記心押台構造内に収容される第2の液圧シリンダー、ベアリングを有するリニアレールの第2の対、第2の液圧パワーユニット、及び第2のリニアエンコーダーと
を含み、
前記第1の液圧シリンダー、前記第1の液圧パワーユニット、前記第2の液圧シリンダー、及び前記第2の液圧パワーユニットは、前記リニアレールの第1の対及び前記リニアレールの第2の対に沿って同期して前記被加工物の前記昇降動作に動力を供給するように構成され、前記同期は、前記第1のリニアエンコーダー及び前記第2のリニアエンコーダーによってもたらされる、請求項1に記載の溶接作業セル。
【請求項5】
前記溶接作業シーケンサーは、
少なくとも前記被加工物位置決めシステム及び前記溶接電源と通信するように構成された通信インターフェースと、
プロセッサと、
前記人間の作業者によって実施される前記次の溶接に対応する命令及び指示を前記人間の作業者に提供するように構成されたヒューマン/マシンインターフェースと、
前記溶接スケジュール、ユーザプロファイル、又はヒューマン/マシンインターフェースアプリケーションのために使用される実行可能フォーマットでコンパイル及び保存されるプログラムデータを含むランタイムファイルの少なくとも1つを記憶するメモリと、
を含む、請求項1に記載の溶接作業セル。
【請求項6】
前記溶接電源は、
少なくとも前記溶接作業シーケンサーと通信するように構成された通信インターフェースと、
ユーザプロファイルの組及び溶接パラメータの組を記憶するメモリと、
発電電子機器と、
波形発生器と、
プロセッサ/制御装置と、
ヒューマン/マシンインターフェースと
を含む、請求項1に記載の溶接作業セル。
【請求項7】
溶接作業セルを操作する方法であって、
前記溶接作業セルの溶接作業シーケンサーが、現在の溶接位置に被加工物を保持している前記溶接作業セルの被加工物位置決めシステムに第1の命令データを送信するステップであって、前記第1の命令データは、溶接スケジュールの溶接シーケンスの次の工程に従った次の溶接位置に対応する、ステップと、
前記被加工物の高さ位置を調節するための昇降動作及び前記被加工物の回転位置を調節するための回転動作に動力を供給するように構成された前記被加工物位置決めシステムが、前記第1の命令データに応答して、人間の作業者によって行われる次の溶接のために前記被加工物を前記現在の溶接位置から前記次の溶接位置へ再位置決めするステップと、
前記溶接作業シーケンサーが、溶接パラメータの現在の組に基づいて溶接出力電力を生成するように構成された前記溶接作業セルの溶接電源に第2の命令データを送信するステップであって、前記第2の命令データは、前記溶接スケジュールの前記溶接シーケンスの前記次の工程に従った溶接パラメータの次の組に対応する、ステップと、
前記溶接電源が、前記第2の命令データに応答して前記溶接パラメータの現在の組を前記溶接パラメータの次の組に調節するステップと
を含む、方法。
【請求項8】
前記第2の命令データを前記溶接電源に送信する前に、前記被加工物位置決めシステムが、前記第1の命令データに従って前記被加工物が適切に再位置決めされたことを確認するために前記溶接作業シーケンサーに確認データを送信するステップを更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記溶接電源が、前記第2の命令データに従って前記溶接パラメータの現在の組が前記溶接パラメータの次の組に適切に調節されたことを確認するために前記溶接作業シーケンサーに確認データを送信するステップを更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記溶接シーケンスの前記次の工程に対応する指示を前記溶接作業シーケンサーのヒューマン/マシンインターフェース上に表示して、前記被加工物上での次の溶接作業を実施するように人間の作業者に指示するステップを更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の命令データは、前記溶接作業シーケンサーから前記被加工物位置決めシステムに無線で送信される、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記第2の命令データは、前記溶接作業シーケンサーから前記溶接電源に無線で送信される、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
前記溶接作業シーケンサー、前記被加工物位置決めシステム、又は前記溶接電源の少なくとも1つにログインした人間の作業者のユーザプロファイルに基づいて、前記第1の命令データ及び前記第2の命令データの少なくとも1つを修正するステップを更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項14】
ネットワーク化された溶接作業セルであって、
被加工物位置決めシステムであって、人間の作業者によって行われる次の溶接のために被加工物を再位置決めするために、前記被加工物の高さ位置を調節するための昇降動作及び前記被加工物の回転位置を調節するための回転動作に動力を供給するように構成されている、被加工物位置決めシステムと、
溶接電源であって、該溶接電源の溶接パラメータの現在の組に基づいて溶接出力電力を生成するように構成され、該溶接電源は、前記被加工物を溶接するために前記人間の作業者によって使用される溶接システムの一部である、溶接電源と、
コンピュータ化されたネットワークと、
前記コンピュータ化されたネットワークを介して前記被加工物位置決めシステム及び前記溶接電源と通信する溶接作業シーケンサーであって、該溶接作業シーケンサーは、
溶接スケジュールの溶接シーケンスの次の工程に従って、前記被加工物を現在の溶接位置から次の溶接位置に再位置決めするように前記被加工物位置決めシステムに命令することと、
前記溶接スケジュールの前記溶接シーケンスの前記次の工程に従って、前記溶接パラメータの現在の組を溶接パラメータの次の組に調節するように前記溶接電源に命令することと
を行うように構成されている、溶接作業シーケンサーと
を含む、ネットワーク化された溶接作業セル。
【請求項15】
前記人間の作業者が安全な位置にいないときを感知し、且つ前記人間の作業者が安全な位置にいないときを感知することに応答して前記被加工物位置決めシステムの動作を停止させるように構成された人体近接センサを更に含む、請求項14に記載のネットワーク化された溶接作業セル。
【請求項16】
前記被加工物上に符号化された被加工物情報を読み取り、且つ前記被加工物情報を前記溶接作業シーケンサーに送信するように構成されたスキャナを更に含み、前記溶接作業シーケンサーは、前記被加工物情報に基づいて複数の溶接スケジュールから前記溶接スケジュールを選択するように構成される、請求項14に記載のネットワーク化された溶接作業セル。
【請求項17】
前記コンピュータ化されたネットワークは、サーバコンピュータ、及びユーザプロファイルを記憶するネットワーク記憶装置の少なくとも1つを含む、請求項14に記載のネットワーク化された溶接作業セル。
【請求項18】
前記ネットワーク化された溶接作業セルはローカルエリアネットワーク又はワイドエリアネットワークの少なくとも1つとして構成される、請求項14に記載のネットワーク化された溶接作業セル。
【請求項19】
前記ネットワーク化された溶接作業セルは無線ネットワークとして構成される、請求項14に記載のネットワーク化された溶接作業セル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照/参照による組み込み
本米国特許出願は、2017年3月30日に出願された米国仮特許出願第62/478,704号明細書に対する優先権及びその利益を主張し、この米国仮特許出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。本米国特許出願は、2017年7月21日に出願された米国仮特許出願第62/535,272号明細書に対する優先権及びその利益も主張し、この米国仮特許出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。2015年8月11日に公布された米国特許第9,104,195号明細書は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明の実施形態は、溶接又は切断される被加工物を保持するための溶接又は切断位置決め装置、及び溶接シーケンスから選択可能且つ制御可能な動作プロファイルを提供する溶接シーケンシングに関連するシステム、装置、及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
大きい被加工物は、人間の作業者が人間工学的且つ安全な態様で被加工物に関わることができるように、溶接又は切断される位置に置くのが困難である。人間の作業者は、通常、はしごを昇降しながら作業する必要があり、且つ/又は人間工学的に好ましくない位置で作業を完了する必要がある。大型の被加工物の位置を操作するために、多くの場合に被加工物位置決め装置が用いられる。被加工物位置決め装置は、顧客によって特定の被加工物に対する新しい位置又は位置の変更が望まれるときには常に再プログラムされる必要がある。大型の被加工物は、多くの場合、溶接される箇所が多く、人間の作業者が溶接部の1つ又は複数を溶接するのを見落としたり忘れたりする可能性がある。溶接部追跡しながら、溶接処理中に被加工物の所望の位置決めを可能にする、より効果的な解決策が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第9,104,195号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態は、溶接作業シーケンサーによって指示される被加工物位置決めシステムを提供する。一実施形態では、溶接作業シーケンサーは、大型の被加工物を保持する被加工物位置決めシステムに溶接シーケンスの位置コマンドを提供する。溶接作業シーケンサーが溶接スケジュールの工程を進むにつれて、溶接作業シーケンサーによって命令されるように大型の被加工物が被加工物位置決めシステムによって再位置決めされて、この大型の被加工物は、人間の作業者が溶接するのに最適な位置に置かれる。本発明の一般的な概念の多数の態様が以降の例示的な実施形態の詳細な説明、特許請求の範囲、及び添付の図面から容易に明らかになるであろう。
【0006】
一実施形態では、溶接作業セルが提供される。溶接作業セルは、主軸台構造及び心押台構造を含む被加工物位置決めシステムを含む。被加工物位置決めシステムは、主軸台構造と心押台構造との間に取り付けられた被加工物の昇降動作及び回転動作に動力を供給して、人間の作業者によって行われる次の溶接のために被加工物を再位置決めするように構成される。溶接作業セルはまた、電源の溶接パラメータの現在の組に基づいて溶接出力電力を生成するように構成された溶接電源も含む。溶接電源は、被加工物を溶接するために人間の作業者によって使用される溶接システムの一部である。溶接作業セルは、被加工物位置決めシステム及び溶接電源と通信する溶接作業シーケンサーを更に含む。溶接作業シーケンサーは、溶接スケジュールの溶接シーケンスの次の工程に従って、被加工物を現在の位置から次の位置に再位置決めするように被加工物位置決めシステムに命令するように構成される。また、溶接作業シーケンサーは、溶接スケジュールの溶接シーケンスの次の工程に従って、溶接パラメータの現在の組を溶接パラメータの次の組に調節するように溶接電源に命令するようにも構成される。一実施形態では、溶接作業シーケンサーは、ユーザプロファイルの組を記憶するメモリを含む。溶接作業シーケンサーによって命令される次の位置は、人間の作業者が溶接作業シーケンサー、溶接電源、又は被加工物位置決めシステムの少なくとも1つにログインすると、その人間の作業者に対応するユーザプロファイルの組のユーザプロファイルに基づいて調節される。また、溶接作業シーケンサーによって命令される溶接パラメータの次の組は、人間の作業者が溶接作業シーケンサー、溶接電源、又は被加工物位置決めシステムの少なくとも1つにログインすると、その人間の作業者に対応するユーザプロファイルの組のユーザプロファイルに基づいて調節される。一実施形態では、被加工物位置決めシステムはインターフェース制御装置を含む。インターフェース制御装置は、少なくとも溶接作業シーケンサーと通信するように構成された通信インターフェースと、ユーザプロファイル、又はヒューマン/マシンインターフェース(HMI)アプリケーションのために使用される実行可能フォーマットでコンパイル及び保存されるプログラムデータを含むランタイムファイルの少なくとも1つを記憶するメモリと、プロセッサ又はプログラマブル論理制御装置の少なくとも1つと、グラフィカルタッチパネルインターフェース又は押しボタンの少なくとも1つを含むヒューマン/マシンインターフェース(HMI)とを含む。一実施形態では、被加工物位置決めシステムは、主軸台構造に収容される第1の液圧シリンダー、ベアリングを有するリニアレールの第1の対、第1の液圧パワーユニット、及び第1のリニアエンコーダーを含む。また、被加工物位置決めシステムは、心押台構造に収容される第2の液圧シリンダー、ベアリングを有するリニアレールの第2の対、第2の液圧パワーユニット、及び第2のリニアエンコーダーも含む。第1の液圧シリンダー、第1の液圧パワーユニット、第2の液圧シリンダー、及び第2の液圧パワーユニットは、リニアレールの第1の対及びリニアレールの第2の対に沿って同期して被加工物の昇降動作に動力を供給するように構成される。この同期は、第1のリニアエンコーダー及び第2のリニアエンコーダーによってもたらされる。一実施形態では、溶接作業シーケンサーは、少なくとも被加工物位置決めシステム及び溶接電源と通信するように構成された通信インターフェースを含む。また、溶接作業シーケンサーは、溶接スケジュール、ユーザプロファイル、又はヒューマン/マシンインターフェースアプリケーションのために使用される実行可能フォーマットでコンパイル及び保存されるプログラムデータを含むランタイムファイルの少なくとも1つを記憶するメモリも含む。溶接作業シーケンサーは、人間の作業者によって実施される次の溶接に対応する命令及び指示を人間の作業者に提供するように構成されたヒューマン/マシンインターフェース(HMI)と、プロセッサとを更に含む。一実施形態では、溶接電源は、少なくとも溶接作業シーケンサーと通信するように構成された通信インターフェースと、ユーザプロファイルの組及び溶接パラメータの組を記憶するメモリと、発電電子機器と、波形発生器と、プロセッサ/制御装置と、ヒューマン/マシンインターフェース(HMI)とを含む。
【0007】
一実施形態では、溶接作業セルを操作する方法が提供される。この方法は、溶接作業セルの溶接作業シーケンサーが、主軸台構造と心押台構造との間で現在の位置に被加工物を保持している溶接作業セルの被加工物位置決めシステムに第1の命令データを送信するステップを含む。第1の命令データは、溶接スケジュールの溶接シーケンスの次の工程に従った次の位置に対応する。この方法は、被加工物位置決めシステムが、第1の命令データに応答して被加工物を現在の位置から次の位置へ再位置決めするステップも含む。この方法は、溶接作業シーケンサーが、溶接パラメータの現在の組に基づいて溶接出力電力を生成するように構成された溶接作業セルの溶接電源に第2の命令データを送信するステップを更に含む。第2の命令データは、溶接スケジュールの溶接シーケンスの次の工程に従った溶接パラメータの次の組に対応する。この方法は、溶接電源が、第2の命令データに応答して溶接パラメータの現在の組を溶接パラメータの次の組に調節するステップも含む。一実施形態では、この方法は、被加工物位置決めシステムが、第1の命令データに従って被加工物が適切に再位置決めされたことを確認するために溶接作業シーケンサーに確認データを送信するステップを含む。一実施形態では、この方法は、溶接電源が、第2の命令データに従って溶接パラメータの現在の組が溶接パラメータの次の組に適切に調節されたことを確認するために溶接作業シーケンサーに確認データを送信するステップを含む。一実施形態では、この方法は、溶接シーケンスの次の工程に対応する指示を溶接作業シーケンサーのヒューマン/マシンインターフェース(HMI)上に表示して、被加工物上での次の溶接作業を実施するように人間の作業者に指示するステップを含む。一実施形態では、第1の命令データは、溶接作業シーケンサーから被加工物位置決めシステムに無線で送信される。一実施形態では、第2の命令データは、溶接作業シーケンサーから溶接電源に無線で送信される。一実施形態では、この方法は、溶接作業シーケンサー、被加工物位置決めシステム、又は溶接電源の少なくとも1つにログインした人間の作業者のユーザプロファイルに基づいて、第1の命令データ及び第2の命令データの少なくとも1つを修正するステップを含む。
【0008】
一実施形態では、ネットワーク化された溶接作業セルが提供される。ネットワーク化された溶接作業セルは、主軸台構造及び心押台構造を含む被加工物位置決めシステムを含む。被加工物位置決めシステムは、主軸台構造と心押台構造との間に取り付けられた被加工物の昇降動作及び回転動作に動力を供給して、人間の作業者によって行われる次の溶接のために被加工物を再位置決めするように構成される。ネットワーク化された溶接作業セルはまた、電源の溶接パラメータの現在の組に基づいて溶接出力電力を生成するように構成された溶接電源も含む。溶接電源は、被加工物を溶接するために人間の作業者によって使用される溶接システムの一部である。ネットワーク化された溶接作業セルは、コンピュータ化されたネットワークと、このコンピュータ化されたネットワークを介して被加工物位置決めシステム及び溶接電源と通信する溶接作業シーケンサーとを更に含む。溶接作業シーケンサーは、溶接スケジュールの溶接シーケンスの次の工程に従って、被加工物を現在の位置から次の位置に再位置決めするように被加工物位置決めシステムに命令するように構成される。また、溶接作業シーケンサーは、溶接スケジュールの溶接シーケンスの次の工程に従って、溶接パラメータの現在の組を溶接パラメータの次の組に調節するように溶接電源に命令するようにも構成される。一実施形態では、ネットワーク化された溶接作業セルは、人間の作業者が安全な位置にいないときを感知し、且つ人間の作業者が安全な位置にいないときを感知することに応答して被加工物位置決めシステムの動作を停止させるように構成された人体近接センサを含む。一実施形態では、ネットワーク化された溶接作業セルは、被加工物上に符号化された被加工物情報を読み取り、且つこの被加工物情報を溶接作業シーケンサーに送信するように構成されたスキャナを含む。溶接作業シーケンサーは、被加工物情報に基づいて複数の溶接スケジュールから溶接スケジュールを選択するように構成される。一実施形態では、コンピュータ化されたネットワークは、サーバコンピュータ、及びユーザプロファイルを記憶するネットワーク記憶装置の少なくとも1つを含む。一実施形態では、ネットワーク化された溶接作業セルは、ローカルエリアネットワーク又はワイドエリアネットワークの少なくとも1つとして構成される。一実施形態では、ネットワーク化された溶接作業セルは、無線ネットワークとして構成される。
【0009】
本明細書に組み込まれ本明細書の一部を構成する添付の図面は、本開示の様々な実施形態を図示する。図面中の例示された要素境界(例えば、ボックス、ボックスのグループ、又は他の形状)は、境界の一実施形態を表すことを理解されたい。実施形態によっては、1つの要素が複数の要素として設計されてもよく、又は複数の要素が1つの要素として設計されてもよい。実施形態によっては、別の要素の内部構成要素として示される要素は、外部構成要素として実現されてもよく、逆も同様である。更に、要素は正確な縮尺で描かれていないことがある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】大型の被加工物の一方の端部を1つのセクション(例えば、主軸台)に取り付けることができ、その大型の被加工物の他方の端部を他方のセクション(例えば、心押台)に取り付けることができるように、互いから離れている2つのセクションを有する被加工物位置決めシステムの一実施形態を示す。
【
図2】溶接電源、被加工物位置決めシステム、及び溶接作業シーケンサーを有するシステム(例えば、溶接作業セル)の一実施形態を示すシステムブロック図である。
【
図3】
図1及び
図2の被加工物位置決めシステムのインターフェース制御装置(作業者制御部)の一実施形態を示す装置ブロック図である。
【
図4】
図2の溶接作業シーケンサーの一実施形態を示す装置ブロック図である。
【
図5】
図2の溶接電源の一実施形態を示す装置ブロック図である。
【
図6】システム(例えば、ネットワーク化された溶接作業セル)の一実施形態を示すシステムブロック図である。
【
図7】溶接作業セルを操作する方法の一実施形態のフローチャートである。
【
図8】溶接作業シーケンサーの一実施形態を示す装置ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
産業用位置決めシステムを使用して、溶接又は切断される大型の又は嵩高い被加工物を保持し位置決めすることができる。本発明の実施形態によれば、そのような被加工物を溶接又は切断される位置に置くことがもはや困難でなくなり、人間の作業者が人間工学的且つ安全な態様で被加工物と関わることができる。本明細書に開示する実施形態を用いると、人間の作業者は、はしごを昇降し、且つ/又は人間工学的に適切でない位置で作業を行わなければならない可能性が低くなる。更に、本明細書に開示する実施形態は、そのような被加工物の所望の位置決めを可能にする、より費用対効果の高い解決策を提供する。本明細書の詳細な説明は、溶接(例えば、アーク溶接)に焦点を当てているが、本明細書の概念及び機能は、切断(例えば、プラズマ切断)にも同じように適用可能である。
【0012】
被加工物位置決めシステムの実施形態が、溶接又は切断される大型の被加工物を保持し配向するために開示される。一実施形態では、被加工物位置決めシステムは、調節可能な高さで溶接又は切断される大型の被加工物を保持するように構成され、1つ又は複数の軸に沿って、その高さで被加工物を回転させることを可能にする。一実施形態では、溶接作業シーケンサーは被加工物位置決めシステムとインターフェースして、溶接スケジュールの溶接シーケンスを進みながら、被加工物位置決めシステムによる大型の被加工物の移動又は再位置決めを命令する。溶接位置決めシステムは2つの動作軸を有しており、一方の回転軸は水平方向に向けられ被加工物に接続される。他方の軸は、回転軸が接続される直線的な垂直の移動軸であり、必要に応じて高さを設定することを可能にする。一実施形態によれば、溶接位置決めシステムは、液圧シリンダーを使用して被加工物の位置を調節する。
【0013】
ここで、図面が参照される。図面は、本発明の例示的な実施形態を図示する目的のみのものであり、実施形態を限定する目的のものではない。
図1は、2つのセクションを有する被加工物位置決めシステム100(例えば、液圧昇降z軸溶接位置決めシステム)の一実施形態を示す。2つのセクションは、大型の被加工物の一方の端部を1つのセクション(例えば、主軸台110)に取り付けることができ、その大型の被加工物の他方の端部を他方のセクション(例えば、心押台120)に取り付けることができるように互いから離れている。一実施形態によれば、各セクションのz軸の高さは、個別に(又は協調した態様で)調節され、液圧制御を介して設定されることができる。更に、人間の作業者が被加工物に対して次の溶接を行うことができるように、液圧制御を介して被加工物を所望の向きに回転させることができる。
【0014】
一実施形態によれば、位置決めシステムの2つの製作されたセクションは、それぞれ主軸台110及び心押台120を構成する。各セクションは、液圧シリンダー130、ベアリングを有するリニアレール140の対、液圧パワーユニット150、リニアエンコーダー160、及び動力付き回転ドライブ又はアイドラベアリング170を収容する。各セクション110、120の昇降動作は、液圧パワーユニット150と、リニアレール及びベアリング140によって導かれるシリンダー130とによって動力供給される。リニアエンコーダー160は、ベアリングを有するリニアレール140の対に沿った昇降動作が同期したままであることを確実にする。回転(例えば、水平回転軸175を中心とした回転について)は、液圧パワーユニット150の1つによっても動力供給される。回転に関連したエンコーダーは、回転軸175を中心とした回転動作が同期したままであること確実にするためにも設けられる。これらのエンコーダーは、インターフェース制御装置180に位置についてのフィードバックを提供する(以下で考察する)。一般的に、位置決めシステム100の液圧構成は、例えば、昇降のためにサーボモーター及びボールねじを使用し、回転のためにサーボモーター及び精密ギヤボックスを使用する位置決めシステムよりも大幅に低コストで提供され得る。
【0015】
一実施形態では、位置決めシステム100は、主軸台110に取り付けられたインターフェース制御装置180(
図1の作業者制御部)を介して制御される。インターフェース制御装置180は、例えば、プロセッサ及び/又はプログラマブル論理制御装置(PLC)並びに物理的な押しボタンと連携したグラフィカルタッチパネルインターフェースを含んで(例えば、
図3を参照されたい)、位置決めシステム100の人間の作業者による制御のために人間の作業者との直感的な対話を提供することができる。インターフェース制御装置180は、例えば、溶接作業シーケンサーなどの他の外部システムとインターフェースすることも可能にする。一実施形態では、溶接作業シーケンサーは位置決めシステム100とインターフェース及び通信して、本明細書でより詳細に後述するように、大型の被加工物に対する溶接シーケンスを通じて位置決めシステム100及び人間の作業者を案内する(例えば、
図2を参照されたい)。
【0016】
一実施形態では、制御ケーブル及び液圧管路は、それらを損傷から保護する主構造物の鉄骨フレームの内部に閉じ込められ、配線される。一般的に、位置決めシステム100の実施形態は、産業用工場の環境で動作するように製造される。実施形態によっては、位置決めシステム100は、単独型の製品である。他の実施形態では、位置決めシステム100は、他の製品(例えば、溶接又は切断システム)と一体化され得る。様々な実施形態によれば、位置決めシステムは異なるタイプのものであってもよい。例えば、位置決めシステムは、上述したような液圧制御タイプであってもよく、又は例えばサーボ制御タイプ若しくはスカイフックタイプの位置決め装置であってもよい。様々な実施形態によれば、任意のタイプの位置決め装置が溶接作業シーケンサーと組み合わせて動作するように構成され得る。
【0017】
例示的な実施形態では、溶接作業シーケンサーが設けられる。溶接作業シーケンサーは、使用可能な溶接スケジュールの数を減らすことなく半自動作業セルの生産性を高めることにより、関連技術による半自動作業セルを改善する。溶接作業シーケンサーは、半自動作業セル(例えば、位置決めシステム100)において自動変更を行うことにより、また人間の作業者に一連の命令及び指示を提供することにより、この改善を達成する。
【0018】
より具体的には、例示的な実施形態では、溶接作業シーケンサーは、溶接作業セルの機能を自動的に選択して実施する。そのような機能の例としては、半自動作業セルで使用される特定の溶接スケジュールが挙げられる。換言すると、溶接作業シーケンサーは、人間の作業者に対して自動的に(即ち、人間の作業者の特定の介入なしに)、特定の溶接作業に対して使用される溶接スケジュールを選択し、選択された溶接スケジュールに従って半自動作業セル(例えば、位置決めシステム100)の設定を修正することができる。
【0019】
更に、例示的な実施形態では、溶接作業シーケンサーは、人間の作業者が最終的な溶接アセンブリを生成するために従う作業のシーケンスを自動的に示す。溶接スケジュールの自動選択と共に、この示されたシーケンスにより、人間の作業者が、個々の溶接スケジュール及び/又はシーケンスのそれぞれを調節、選択、又は見直すのに時間を費やす必要なしに、シーケンスに従って最終的な溶接部を生成することが可能になる。
【0020】
従って、溶接作業シーケンサーが溶接装置及び位置決めシステムを設定しワークフローをまとめるため、また人間の作業者が自ら溶接作業を行うのみであるため、溶接作業において誤りが発生する可能性が大幅に低減され、生産性及び品質が改善される。誤り、溶接の見落とし、及び誤った手順が起きる機会が排除される。
【0021】
一実施形態によれば、溶接作業シーケンサーは、ユーザインターフェース(例えば、ヒューマンマシンインターフェース又はHMI)を有するコンピュータである。様々な実施形態によれば、溶接作業シーケンサーは、有線手段(例えば、ケーブルを介して)又は無線手段を介して位置決めシステムと通信することができる。別の実施形態では、溶接作業シーケンサーは、コンピュータ化されたネットワーク(例えば、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、又はインターネットの一部として。
図6を参照されたい)を介して位置決めシステムと通信する。コンピュータ化されたネットワークには、例えば、サーバコンピュータが含まれる。同様の態様で、溶接作業シーケンサーは、溶接システムの溶接電源と通信することができる。
図2は、溶接作業セル10の一部として溶接電源300及び位置決めシステム100に動作可能に接続される溶接作業シーケンサー200を示す。溶接電源300は、被加工物を溶接するために人間の作業者によって使用される溶接システムの一部である。溶接システムは、溶接電源だけでなく、例えば、ワイヤ送給装置、溶接ガン、溶接で使用されるガスのタンクも含み得る。他の実施形態によれば、溶接システムの他の要素もあり得る。
【0022】
一実施形態では、溶接作業シーケンサー200が被加工物に対して行われる溶接のシーケンスを進むにつれて、溶接作業シーケンサー200は位置決めシステム100に命令して、人間の作業者によって行われる溶接(又は溶接のシーケンス)のための最適な位置(例えば、z軸の高さ及び回転)に大型の被加工物を動かす。例えば、1つの溶接(又は溶接のシーケンス)が完了し、次の溶接(又は溶接のシーケンス)が行われようとしているとき、溶接作業シーケンサー200は位置決めシステム100のインターフェース制御装置180と通信して、次の溶接(又は溶接シーケンス)のための予めプログラムされた最適な位置へ動くように位置決めシステム100に命令する。位置決めシステム100のインターフェース制御装置180は、被加工物が命令された位置にあることを立証する(確認する)ために溶接作業シーケンサー200に返答し得る。次いで、溶接作業シーケンサー200は、行われる次の溶接(又は溶接シーケンス)に関連した指示を人間の作業者に対して表示することができる。次いで、人間の作業者は、表示された指示に従って、溶接システムを用いて次の溶接を行うことができる。一実施形態では、溶接作業シーケンサー200は溶接システムの電源300と通信して、例えば、次の溶接のための電源300のパラメータ(例えば、溶接パラメータ)を調節する。電源300は、調節が行われたことを確認するために溶接作業シーケンサー200に返答し得る。
【0023】
一例として、一実施形態では、溶接作業シーケンサー200が溶接シーケンスの工程を進むとき、溶接作業シーケンサー200は、被加工物を動かす先の位置に対応する整数値を位置決めシステム100のPLC(例えば、
図3を参照されたい)に書き込む。PLCは溶接作業シーケンサー200にフィードバックを提供して、PLCが正しい整数値を受け取ったことを立証する。立証されると、PLCは被加工物の対応する位置への移動をトリガする。PLCは、移動が適切に完了したことを示すために溶接作業シーケンサー200に報告を行う。
【0024】
別の実施形態によれば、人間の作業者は、位置決めシステム100のインターフェース制御装置180を使用して大型の被加工物の位置(例えば、高さ及び回転)を変更する。次いで、位置決めシステム100のインターフェース制御装置180は、被加工物が次の溶接のための適切な位置にあることを溶接作業シーケンサー200に伝える。様々な実施形態によれば、溶接作業シーケンサー200は、溶接環境及び安全性に対する懸念に関して検査及びバランスを提供するために様々な工作機械一式又は他のシステムと統合され得る。例えば、溶接を進める前に様々な部品が適切な位置にあることを検証するために、溶接作業シーケンサー200によって所定位置部品検査が行われ得る。部品を移動するための承認が得られるまでその部品を所定の位置に保持するために、自動締付が採用され得る。溶接作業シーケンサー200は、人間の作業者が被加工物を正しい位置に置くまで人間の作業者が溶接を進めることを許可しないことがある。
【0025】
更に、溶接作業シーケンサー200は、人間の作業者が被加工物から十分に離れていない限り、人間の作業者が被加工物を動かすことを許可しないことがある。人体近接センサ(例えば、ライトカーテン又は感圧安全パッド)(例えば、
図6を参照されたい)を溶接作業シーケンサー200と共に用いて、人間の作業者が安全な位置にいない場合に位置決めシステム100及び/又は溶接システムを停止させることができる。例えば、位置決めシステム100が被加工物を動かしている最中に作業者が安全カーテンを遮ることができ、これは溶接の停止を引き起こす。人間の作業者が溶接作業を進めることができる前に、安全検査官が来て状況を確認しなければならないことがあり得る。これは、即座のフィードバックを提供して問題を特定し取り除くことにより、継続的な改善を容易にする。一般的に、様々な実施形態は、溶接されており且つ/又は位置決めシステム100によって動かされている被加工物に対する人間の作業者の位置を特定し、人間の作業者が境界線を越えている場合に位置決めシステム100を自動的に停止させる能力を提供する。
【0026】
一実施形態では、溶接作業シーケンサー200は、長い溶接の期間中に被加工物が動かされなくてはならないような、被加工物に対する長い溶接(例えば、100秒間)に適応する。時間間隔は、溶接作業シーケンサー200内部で被加工物の位置と関連付けられる。長い溶接を行う間、溶接作業シーケンサー200は、人間の作業者が様々な箇所で長い溶接を完了するのにどの程度の時間がかかるかに基づいて(例えば、人間の作業者に係る典型的な既知の移動速度に基づいて)、一定の時間間隔後に被加工物を再位置決めするように位置決めシステム100に命令する。例えば、被加工物は、被加工物の位置を人間の作業者に対して「頭を下げた」溶接位置に保つために、特定の時点で上下に動かされたり、又は回転されたりすることができる。一実施形態によれば、人間の作業者が溶接を行っている最中に被加工物が動かされるという事実を考慮に入れるために、安全対策が講じられる。一実施形態によれば、溶接があまりに長い時間がかかっている(例えば、105秒間)か、又はあまりに早く終了した(例えば、95秒間)ことを溶接作業シーケンサー200が(例えば、溶接電源300から)感知した場合、フラグ又は警告が生成される。フラグ又は警告は、インターフェース制御装置180を介して人間の作業者に対して表示されて、溶接が不十分な溶接又は過度の溶接であることを人間の作業者に示すことができる。
【0027】
一実施形態では、ユーザプロファイルに基づいてユーザ固有の設定が提供される。人間の作業者が識別され、溶接作業シーケンサー200はその人間の作業者のための溶接設定をカスタマイズする。ユーザ(人間の作業者)は、例えば、位置決めシステム100上のインターフェース制御装置180を介して、又は溶接作業シーケンサー200に関連したユーザインターフェースを介して、又は溶接電源300に関連したユーザインターフェースを介して溶接セルにログインすることができる。ログインすると、その人間の作業者に関連したユーザプロファイルが選択されて、これを使用して、その人間の作業者のために溶接設定を修正するように溶接作業シーケンサー200に知らせる。様々な実施形態によれば、ユーザプロファイルは、溶接作業シーケンサー200、位置決めシステム100、溶接電源300、又はネットワークの記憶装置(例えば、
図6を参照されたい)に保存され得る。溶接作業シーケンサー200は、溶接される被加工物に関連した標準的なプログラムされたシーケンスにそのユーザプロファイルを当てはめ、その結果、その特定の人間の作業者にとって最適な人間工学的位置に被加工物が位置決めされる。
【0028】
一実施形態では、溶接作業シーケンサー200は、ユーザプロファイルに基づいて、標準的なプログラムされたシーケンスにオフセットを適用する。例えば、人間の作業者の身長を考慮に入れるために、被加工物に対して高さオフセットが適用され得る。背の高い人間の作業者の場合、標準的なプログラムされたシーケンスにおける高さは、ユーザプロファイルから得られるその人間の作業者の身長に基づいて増やされ得る。同様に、背の低い人間の作業者の場合、標準的なプログラムされたシーケンスにおける高さは減らされ得る。他のユーザプロファイルの基本設定を使用して、標準的なプログラムされたシーケンスにオフセットを適用することもできる。例えば、人間の作業者の好ましい移動速度は、(例えば、長い溶接中に)被加工物の位置が変更されることになる時間にオフセットをもたらすことがある。
【0029】
一実施形態によれば、被加工物が識別され、被加工物のこの識別に基づいて、溶接作業シーケンサー200は、対応するプログラムされた溶接シーケンスを選択する。一実施形態では、人間の作業者が、(例えば、インターフェース制御装置180を介して)溶接作業シーケンサー200又は位置決めシステム100に被加工物の識別情報を入力する。別の実施形態では、識別コード又は信号がスキャナによって(例えば、被加工物上のRFIDタグを読み取るRFIDスキャナを介して)(例えば、
図6を参照されたい)被加工物から読み取られ、位置決めシステム100又は溶接作業シーケンサー200に送信される。別の実施形態では、システムは、特定の被加工物のために所定位置に置かれた工作機械一式を識別し、この工作機械一式の識別情報に基づいて、その被加工物に対応する溶接シーケンスを自動的に選択する。
【0030】
一実施形態では、溶接作業シーケンサー200及び位置決めシステム100のインターフェース制御装置180は、HMIを介してMER表示を提供する。MERファイルは、HMIアプリケーションのために使用される実行可能フォーマットでコンパイル及び保存されるプログラムデータを含むランタイムファイルである。これにより、人間の作業者が、溶接環境内で異なる位置にあり得る溶接作業シーケンサー200又は位置決めシステム100のいずれかから溶接環境を制御することが可能になる(複数位置からの入力及び制御を提供する)。HMIは、(例えば、複数位置のブラウザタイプのインターフェースを提供するアクティブなWindows表示ではなく、)ステートレスタイプのユーザインターフェースとしてブラウザタイプのインターフェースを提供することができる。
【0031】
一実施形態では、溶接作業シーケンサー200は、位置決めシステム100から位置上のフィードバックを受信し、被加工物が人間の作業者によって実際に溶接された被加工物の位置(例えば、平面、水平、垂直の)を記録する。溶接作業シーケンサー200は、そのような位置がその被加工物に対する適格な手順に合致するか否かを判断することができる。
【0032】
一実施形態では、溶接作業シーケンサー200と共に位置決めシステム100は、位置決めシステム100によって保持され位置決めされる単一の被加工物に対するシーケンスに基づいて、複数の人間の作業者による溶接を可能にする。例えば、二人の人間の作業者がいるシナリオでは、第1の人間の作業者はシーケンスの始めから順方向に作業し、第2の人間の作業者はシーケンスの最後から逆方向に作業を行う。このようにして、2人以上の人間の作業者間で作業が分割される。例えば、ウェブベースのHMIで複数のセッションを開いて、複数の人間の作業者を案内し、各溶接の現状を追跡し、被加工物に対する全ての溶接が完了したことを示すことができる。
【0033】
図3は、
図1及び
図2の被加工物位置決めシステム100のインターフェース制御装置180(作業者制御部)の一実施形態を示す装置ブロック図である。インターフェース制御装置180は、プロセッサ181、プログラマブル論理制御装置(PLC)182、及びメモリ183を含む。メモリ183は、ユーザプロファイル184(例えば、ファイルとして)及びMERファイル185を保存する。ユーザプロファイル184は、例えば、各ユーザの身長、各ユーザの手の届く範囲、各ユーザの身体的制約、及び特定のタイプの溶接に対する各ユーザの好ましい溶接移動速度を含むユーザ特性のファイルを含み得る。他の実施形態によれば、他のタイプのユーザ特性も可能である。一実施形態によれば、位置情報、溶接パラメータ情報、及び溶接スケジュールのユーザ指示は、ユーザプロファイルに基づいて修正され得る。
【0034】
MERファイルは、ヒューマン/マシンインターフェース(HMI)アプリケーションのために使用される実行可能フォーマットでコンパイル及び保存されるプログラムデータを含むランタイムファイルである。インターフェース制御装置180は、HMIとして機能するグラフィカルタッチパネルディスプレイ186及び押しボタン187も含む。インターフェース制御装置180は、通信インターフェース188も含む。様々な実施形態によれば、通信インターフェース188は、無線通信インターフェース(例えば、WiFi又はBluetooth(登録商標))及び/又は有線通信インターフェース(例えば、銅ケーブル又は光ファイバーケーブル)であってもよく、少なくとも溶接作業シーケンサー200と通信するように構成される。一実施形態では、被加工物位置決めシステム100の通信インターフェース188は、コンピュータ化されたネットワークと通信するように構成される(例えば、
図6を参照されたい)。
【0035】
図4は、
図2の溶接作業シーケンサー200の一実施形態を示す装置ブロック図である。溶接作業シーケンサー200は、プロセッサ210、及びプロセッサによってアクセス可能なメモリ220を含む。メモリ220は、少なくとも溶接スケジュール222、ユーザプロファイル224、及びMERファイル226を保存する。溶接スケジュール222は、(特許文献1)に記載されるタイプのものであり得、この特許文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。一実施形態では、溶接スケジュールは、その溶接スケジュールに従って行われる溶接のシーケンスに対応する工程のシーケンスを含む。溶接スケジュール内の各溶接工程は、例えば、その溶接のための被加工物の所望の位置に対応する位置情報と、溶接電源300がそのタイプの溶接に対してどのように設定されるべきかに対応する溶接パラメータ情報(例えば、溶接電流、溶接電圧、ワイヤ送給速度等)と、ユーザに対する指示とを提供し得る。溶接スケジュール222は、例えば、コンピュータ可読ファイル及び/又はコンピュータ実行可能ファイルの形式でメモリ220に保存され得る。ユーザプロファイル224は、例えば、各ユーザの身長、各ユーザの手の届く範囲、各ユーザの身体的制約、及び特定のタイプの溶接に対する各ユーザの好ましい溶接移動速度を含むユーザ特性のファイルを含み得る。他の実施形態によれば、他のタイプのユーザ特性も可能である。一実施形態によれば、位置情報、溶接パラメータ情報、及び溶接スケジュールのユーザ指示は、ユーザプロファイルに基づいて調節又は修正され得る。
【0036】
溶接作業シーケンサー200は、ユーザインターフェース230及び通信インターフェース240も含む。ユーザインターフェース230はHMIとして機能し、例えば選択された溶接シーケンスに基づいてユーザに指示を(例えば、表示して且つ/又は聞こえるように)提供する。ユーザインターフェース230は、例えば、ユーザが溶接作業シーケンサー200にログインできるように、ユーザが溶接作業シーケンサー200に入力を提供することを可能にする。通信インターフェース240は、様々な実施形態による無線及び/又は有線の通信インターフェースであってもよく、少なくとも被加工物位置決めシステム100のインターフェース制御装置180及び溶接電源300と通信するように構成される。一実施形態では、通信インターフェース240は、コンピュータ化されたネットワークと通信するように構成される(例えば、
図6を参照されたい)。
【0037】
図5は、
図2の溶接電源300の一実施形態を示す装置ブロック図である。溶接電源は、被加工物を溶接するために人間の作業者によって使用される溶接システムの一部である。溶接電源300は、溶接パラメータの現在の組に基づいて、アーク溶接のための出力電力を生成する。溶接電源300は、プロセッサ/制御装置310と、プロセッサ/制御装置310によってアクセス可能なメモリ320とを含む。メモリ320は、少なくともユーザプロファイル322を保存する。ユーザプロファイル322は、例えば、各ユーザの身長、各ユーザの手の届く範囲、各ユーザの身体的制約、及び特定のタイプの溶接に対する各ユーザの好ましい溶接移動速度を含むユーザ特性のファイルを含み得る。他の実施形態によれば、他のタイプのユーザ特性も可能である。一実施形態によれば、位置情報、溶接パラメータ情報、及び溶接スケジュールのユーザ指示は、ユーザプロファイルに基づいて修正され得る。
【0038】
溶接電源300は、発電電子機器330、波形発生器340、ユーザインターフェース350、及び通信インターフェース360も含む。ユーザインターフェース350は、例えばユーザが溶接パラメータ設定を選択するために溶接電源300とやり取りすることを可能にする。通信インターフェース360は、様々な実施形態による無線及び/又は有線の通信インターフェースであってもよく、少なくとも溶接作業シーケンサー200と通信するように構成される。一実施形態では、通信インターフェース360は、コンピュータ化されたネットワークと通信するように構成される(例えば、
図6を参照されたい)。
【0039】
図6は、システム600(例えば、ネットワーク化された溶接作業セル)の一実施形態を示すシステムブロック図である。システム600は、様々な実施形態によれば、例えばローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワークとして構成されてもよく、又はインターネット上に分散していてもよい。様々な実施形態によれば、システム600は、有線又は無線のネットワークとして構成されてもよい。システム600は、
図1の被加工物位置決めシステム100、
図4の溶接作業シーケンサー200、及び
図5の溶接電源300を含む。システム600は、被加工物位置決めシステム100、溶接作業シーケンサー200、及び溶接電源300とインターフェースするコンピュータ化されたネットワーク610も含む。溶接作業シーケンサー200は、コンピュータ化されたネットワーク610を介して被加工物位置決めシステム100及び溶接電源300と通信する。
【0040】
図6の実施形態では、コンピュータ化されたネットワーク610は、サーバコンピュータ615及びネットワーク記憶装置620を含む。ネットワーク記憶装置620は、少なくともユーザプロファイル622の組を保存する。ユーザプロファイル622は、例えば、各ユーザの身長、各ユーザの手の届く範囲、各ユーザの身体的制約、及び特定のタイプの溶接に対する各ユーザの好ましい溶接移動速度を含むユーザ特性のファイルを含み得る。他の実施形態によれば、他のタイプのユーザ特性も可能である。一実施形態によれば、位置情報、溶接パラメータ情報、及び溶接スケジュールのユーザ指示は、ユーザプロファイルに基づいて修正され得る。
【0041】
ネットワーク化された溶接作業セル600は、被加工物位置決めシステム100の近傍(例えば、周囲)に配置された人体近接センサ630も含む。人体近接センサ630は、人間の作業者が安全な位置にいないときを感知し、人間の作業者が安全な位置にいないときを感知することに応答して被加工物位置決めシステム100の動作を停止させる。人体近接センサ630は、様々な実施形態によれば、例えばライトカーテン又は感圧安全パッドの形態を取り得る。一実施形態では、人体近接センサ630は、被加工物位置決めシステム100のインターフェース制御装置180に動作可能に接続される。
【0042】
多くの場合、溶接される被加工物は、例えば、溶接作業シーケンサー内に保存された溶接スケジュールに対応する。ネットワーク化された溶接作業セル600は、スキャナ640(例えば、RFIDスキャナ又はバーコードスキャナ)を更に含む。スキャナ640は、被加工物を識別する、被加工物上に符号化された(例えば、被加工物に取り付けられたRFIDタグ又はバーコードに符号化された)被加工物情報を読み取る。スキャナ640は、コンピュータ化されたネットワーク610を介して被加工物情報を溶接作業シーケンサー200に送信する。被加工物情報を受信すると、溶接作業シーケンサー200は、この被加工物情報の少なくとも一部に基づいて複数の溶接スケジュールから溶接スケジュールを選択する。このように、被加工物情報を手動で入力する必要はなく、溶接スケジュールを人間の作業者が手動で選択する必要はない。
【0043】
図7は、溶接作業セル(例えば、
図2の溶接作業セル10又は
図6の溶接作業セル600)を操作する方法700の一実施形態のフローチャートである。方法700のブロック710では、溶接作業セルの溶接作業シーケンサーは、溶接作業セルの被加工物位置決めシステムに第1の命令データを送信する。被加工物位置決めシステムは、被加工物位置決めシステムの主軸台構造と心押台構造との間で現在の位置に被加工物を保持している。例えば、被加工物が現在位置にある間、人間の作業者が被加工物に対して現在の溶接部の溶接をちょうど完了していることがあり得る。第1の命令データは、溶接スケジュールの溶接シーケンスの次の工程(例えば、実施される次の溶接)に従った次の位置に対応する。方法700のブロック720では、被加工物位置決めシステムが、第1の命令データに応答して被加工物を現在の位置から次の位置へ再位置決めする。このようにして、被加工物は、人間の作業者によって行われる次の溶接のための所定の位置に置かれる。
【0044】
方法700のブロック730では、溶接作業シーケンサーは、溶接作業セルの溶接電源に第2の命令データを送信する。溶接電源は、溶接パラメータの現在の組に基づいて溶接出力電力を生成するように構成されている。例えば、人間の作業者が、溶接パラメータの現在の組に設定された溶接電源を使用して、被加工物に対して現在の溶接部の溶接をちょうど完了していることがあり得る。第2の命令データは、溶接スケジュールの溶接シーケンスの次の工程(例えば、実施される次の溶接)に従った溶接パラメータの次の組に対応する。方法700のブロック740では、溶接電源が、第2の命令データに応答して溶接パラメータの現在の組を溶接パラメータの次の組に調節する。このようにして、溶接電源は、人間の作業者によって行われる次の溶接のための状態に置かれる。
【0045】
方法700のブロック750では、行われる溶接スケジュールの溶接シーケンスにそれ以上の工程が存在する場合、この方法は、ブロック710に戻り、シーケンスが完了するまで処理がシーケンスの各連続工程(溶接)に対して繰り返される。このようにして、溶接スケジュールの溶接シーケンスが人間の作業者によって実施されることができ、その際、被加工物の再位置決め及び溶接パラメータの調節は、人間の作業者が介入する必要なく自動的に実施される。
【0046】
一実施形態では、被加工物位置決めシステムが、第1の命令データに従って被加工物が適切に再位置決めされたことを確認するために溶接作業シーケンサーに確認データを送信する。一実施形態では、溶接電源が、第2の命令データに従って溶接パラメータの現在の組が溶接パラメータの次の組に適切に調節されたことを確認するために溶接作業シーケンサーに確認データを送信する。一実施形態では、命令データ及び確認データは、(例えば、WiFi又はBluetooth(登録商標)を介して)無線で通信される。別の実施形態では、命令データ及び確認データは、有線の手段を介して(例えば、銅ケーブル又は光ファイバーケーブルを介して)通信される。別の実施形態では、命令データ及び確認データは、(例えば、
図6のように)コンピュータ化されたネットワークを介して通信される。
【0047】
一実施形態によれば、第1の命令データ及び/又は第2の命令データは、溶接作業シーケンサー、被加工物位置決めシステム、又は溶接電源の少なくとも1つにログインした人間の作業者のユーザプロファイルに基づいて溶接作業シーケンサーによって変更され得る。一実施形態によれば、溶接作業シーケンサーのヒューマン/マシンインターフェース(例えば、
図4のユーザインターフェース230)上に指示が表示されて、被加工物に対して次の溶接作業をどのように行うべきかを人間の作業者に指示する(即ち、この指示は、溶接シーケンスの次の工程に対応する)。
【0048】
このようにして、溶接工程中に効率的な被加工物の位置決め及び溶接パラメータの調節を可能にする、より効果的な解決策が提供される。
【0049】
図8は、
図2、
図4、及び
図6の溶接作業シーケンサー200として使用することができる例示的な溶接作業シーケンサー800の一実施形態を示す。溶接作業シーケンサー800は、バスサブシステム812を介して複数の周辺装置と通信する少なくとも1つのプロセッサ814を含む。これらの周辺装置は、例えばメモリサブシステム828及びファイルストレージサブシステム826を含むストレージサブシステム824、ユーザインターフェース入力装置822、ユーザインターフェース出力装置820、並びにネットワークインターフェースサブシステム816を含み得る。入力装置及び出力装置は、溶接作業シーケンサー800とのユーザのやり取りを可能にする。ネットワークインターフェースサブシステム816は、外部のネットワークとのインターフェースを提供し、他のコンピュータシステムの対応するインターフェース装置と結合されている。例えば、被加工物位置決めシステム100(例えば、作業者制御部180)又は溶接電源300は、1つ又は複数の特性を溶接作業シーケンサー800と共有することができ、例えば、従来のコンピュータの要素、デジタル信号プロセッサ、及び/又は他のコンピューティング装置を含み得る。
【0050】
ユーザインターフェース入力装置822は、キーボード、マウス、トラックボール、タッチパッド、又はグラフィックスタブレットなどのポインティングデバイス、スキャナ、ディスプレイに組み込まれたタッチスクリーン、音声認識システム、マイクロホンなどのオーディオ入力装置、及び/又は他のタイプの入力装置を含み得る。一般的に、「入力装置」という用語の使用は、溶接作業シーケンサー800又は通信ネットワークに情報を入力するための全ての可能なタイプの装置及び方法を含むことが意図されている。
【0051】
ユーザインターフェース出力装置820は、ディスプレイサブシステム、プリンタ、ファックス機、又はオーディオ出力装置などの非視覚的表示を含み得る。ディスプレイサブシステムは、ブラウン管(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)などの平面パネル装置、投影装置、又は可視画像を生成するための何らかの他の機構を含み得る。ディスプレイサブシステムは、オーディオ出力装置を介してなど、非視覚的表示も提供し得る。一般的に、「出力装置」という用語の使用は、溶接作業シーケンサー800からユーザに又は別の機械若しくはコンピュータシステムに情報を出力するための全ての可能なタイプの装置及び方法を含むことが意図されている。
【0052】
ストレージサブシステム824は、本明細書に記載する溶接作業シーケンサーの機能の一部又は全部を提供するプログラミング及びデータ構造を保存する。例えば、ストレージサブシステム824は、ストレージサブシステム824に保存された人間の作業者のユーザプロファイルに基づいて、溶接シーケンスの次の位置及び/又は溶接シーケンスの溶接パラメータの次の組を調節するためのコンピュータ実行可能命令を含む1つ又は複数のソフトウェアモジュールを含み得る。
【0053】
これらのソフトウェアモジュールは、一般的に、プロセッサ814単独で又は他のプロセッサと組み合わせて実行される。ストレージサブシステム内で使用されるメモリサブシステム828は、プログラムの実行中に命令及びデータを記憶するための主ランダムアクセスメモリ(RAM)830及び固定の命令を保存する読み出し専用メモリ(ROM)832を含む、幾つかのメモリを含むことができる。ファイルストレージサブシステム826は、プログラム及びデータファイルのための永続的なストレージを提供することができ、ハードディスクドライブ、フロッピーディスクドライブに加えて関連する取り外し可能な媒体、CD-ROMドライブ、光学式ドライブ、又は取り外し可能な媒体のカートリッジを含み得る。特定の実施形態の機能を実装するモジュールは、ストレージサブシステム824内のファイルストレージサブシステム826により、又はプロセッサ814によりアクセス可能な他のマシンに保存され得る。
【0054】
バスサブシステム812は、溶接作業シーケンサー800の様々な構成要素及びサブシステムを意図したように互いに通信させるための機構を提供する。バスサブシステム812は単一のバスとして概略的に示されているが、バスサブシステムの代替的な実施形態では複数のバスが用いられ得る。
【0055】
溶接作業シーケンサー800は、単一のコンピュータ、単一のワークステーション、コンピューティングクラスター、サーバコンピュータ、又は本明細書に記載する溶接作業シーケンサー機能を実行するように構成される任意の他のデータ処理システム若しくはコンピューティング装置を含む、様々な実装形態のものとすることができる。コンピューティング装置及びネットワークの常に変化し続ける性質のため、
図8で示した溶接作業シーケンサー800の説明は、幾つかの実施形態を示す目的のための特定の例に過ぎないことが意図されている。
図8に示した溶接作業シーケンサーよりも多い又は少ない構成要素を有する溶接作業シーケンサー800の他の多数の構成が可能である。
【0056】
幾つかの実施形態によれば、
図3のインターフェース制御装置180、
図5の溶接電源300、及び
図6のサーバコンピュータ615のいずれも、
図8の溶接作業シーケンサー800と同様の要素及び構成を共有することができる。更に、一実施形態によれば、
図6のネットワーク記憶装置620は、
図8のストレージサブシステム824と同様の態様で構成することができる。
【0057】
開示される実施形態を相当に詳細に図示し説明したが、特許請求の範囲をそのような詳細に制限するか又はいかなる方法でも限定することは意図していない。当然のことながら、主題の様々な態様を説明する目的のために、構成要素又は方法の全ての考えられる組み合わせを記載することは不可能である。従って、本開示は、図示し説明した特定の詳細又は例示的な例に限定されない。従って、本開示は、米国特許法第101条の法定の主題要件を満足する特許請求の範囲内に該当する変更形態、修正形態、及び変形形態を包含することが意図されている。特定の実施形態についての上記の説明は例として与えられた。与えられた本開示から、当業者であれば、一般的な本発明の概念及び付随する利点を理解するだけでなく、開示された構造及び方法に対する様々な明らかな変更形態及び修正形態を見出すであろう。例えば、追加の又は代替的な構成要素を有する代替的な方法及び/又はシステムを利用して、被加工物位置決めシステムを、溶接又は切断のために位置決めするのが別の方法では困難な被加工物をより容易に位置決め可能にするように構成することができる。従って、特許請求の範囲及びその均等物によって規定される、一般的な本発明の概念の趣旨及び範囲内に該当するそのような変形形態及び修正形態の全てを包含することが求められる。
【符号の説明】
【0058】
10 溶接作業セル
100 被加工物位置決めシステム
110 主軸台
120 心押台
130 液圧シリンダー
140 ベアリングを有するリニアレールの対
150 液圧パワーユニット
160 リニアエンコーダー
170 アイドラベアリング
175 水平回転軸
180 インターフェース制御装置
181 プロセッサ
182 プログラマブル論理制御装置(PLC)
183 メモリ
184 ユーザプロファイル
185 MERファイル
186 グラフィカルタッチパネルディスプレイ
187 押しボタン
188 通信インターフェース
200 溶接作業シーケンサー
210 プロセッサ
220 メモリ
222 溶接スケジュール
224 ユーザプロファイル
226 MERファイル
230 ユーザインターフェース
240 通信インターフェース
300 溶接電源
310 プロセッサ/制御装置
320 メモリ
322 ユーザプロファイル
330 発電電子機器
340 波形発生器
350 ユーザインターフェース
360 通信インターフェース
600 システム
610 コンピュータ化されたネットワーク
615 サーバコンピュータ
620 ネットワーク記憶装置
622 ユーザプロファイル
630 人体近接センサ
640 スキャナ
800 溶接作業シーケンサー
812 バスサブシステム
814 プロセッサ
816 ネットワークインターフェースサブシステム
820 ユーザインターフェース出力装置
822 ユーザインターフェース入力装置
824 ストレージサブシステム
826 ファイルストレージサブシステム
828 メモリサブシステム
830 主ランダムアクセスメモリ(RAM)
832 読み出し専用メモリ(ROM)
【外国語明細書】