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▶ バーディー バイオファーマシューティカルズ インコーポレイテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022126880
(43)【公開日】2022-08-30
(54)【発明の名称】免疫療法のための化合物及び組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/68 20170101AFI20220823BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20220823BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20220823BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220823BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220823BHJP
   A61K 31/4738 20060101ALI20220823BHJP
【FI】
A61K47/68
A61K39/395 E
A61K39/395 T
A61K45/00
A61P43/00 121
A61P35/00
A61K31/4738
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022107558
(22)【出願日】2022-07-04
(62)【分割の表示】P 2020048941の分割
【原出願日】2015-01-08
(31)【優先権主張番号】201410011324.5
(32)【優先日】2014-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201410011262.8
(32)【優先日】2014-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201410011362.0
(32)【優先日】2014-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】517071025
【氏名又は名称】バーディー バイオファーマシューティカルズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】リ、リシン
(57)【要約】
【課題】癌などの疾患の処置において有用な標的免疫療法のための化合物の提供。
【解決手段】式(Ib):TM-L-AM(Ib)の構造を有する化合物であって、式中、TMは標的部分であり、Lはリンカーであり、AMは2-プロピルチアゾロ[4,5-c]キノリン-4-アミン等である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的部分と、活性化部分と、前記標的部分及び前記活性化部分を接続するリンカーとを含む化合物であって、
前記標的部分は、PD-1またはPD-L1に特異的に結合する免疫グロブリンを含み、
前記活性化部分は、レシキモドである、
化合物、またはその薬学的に許容され得る塩もしくは溶媒和物。
【請求項2】
前記免疫グロブリンが、抗体またはその機能性断片を含む、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくは溶媒和物。
【請求項3】
前記標的部分は、治療モノクローナル抗体を含む、請求項1または2に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくは溶媒和物。
【請求項4】
前記免疫グロブリンが、ニボルマブ、MPDL3280A、ランブロリズマブ、これらの機能的断片、またはそれらの混合物を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくは溶媒和物。
【請求項5】
前記免疫グロブリンが、PD-1に特異的に結合する、請求項1から4のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくは溶媒和物。
【請求項6】
前記免疫グロブリンが、PD-L1に特異的に結合する、請求項1から4のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくは溶媒和物。
【請求項7】
前記免疫グロブリンが、細胞成長または増殖を阻害し得る、請求項1から3のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくは溶媒和物。
【請求項8】
前記免疫グロブリンが、直接または間接的にアポトーシスを誘発し得る、請求項1から3のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくは溶媒和物。
【請求項9】
有効量の請求項1から8のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくは溶媒和物と、1つまたは複数の薬学的に許容され得る担体とを含む、医薬組成物。
【請求項10】
有効量の追加の治療剤をさらに含む、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記追加の治療剤が、代謝拮抗薬、トポイソメラーゼI及びIIの阻害剤、アルキル化剤、微小管阻害剤、抗アンドロゲン剤、GNRhモジュレータ、及びそれらの混合物からなる群より選択される抗癌剤である、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
有効量の請求項5に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくは溶媒和物を含む、乳癌または胃癌の治療で用いるための、医薬組成物。
【請求項13】
有効量の請求項6に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくは溶媒和物を含む、結腸直腸癌または頭頸部癌の治療で用いるための、医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2014年1月10日に全て出願された中国特許出願第201410011324.5号、同201410011262.8号、及び同201410011362.0号の利益、及び同出願に対する優先権を主張し、これらの出願の全開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本発明は、標的免疫療法のための化合物、ならびにそれらを含む組成物に関する。さらに、本発明は、癌などの疾患の処置における当該化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
治療抗体は、20年以上にわたり臨床用途において使用されている。現在、15種の抗腫瘍抗体薬が臨床において存在し、それには、Rituxan(1997)、Herceptin(1998)、Mylotarg(2000)、Campath(2001)、Zevalin(2002)、Bexxer(2003)、Avastin(2004)、Erbitux(2004)、Vectibix(2006);Arzerra(2009);Benlysta(2011);Yervoy(2011);Adcetris(2011);Perjeta(2012);及びKadcyla(2013)が含まれる。これらの抗体は、主に4つの分子:EGFR、Her2、CD20及びVEGFを標的する。
【0004】
一般に、治療抗体は、3つの機構を介して腫瘍細胞を死滅させる(非特許文献1):(1)直接的な抗体作用、すなわち、リガンド/受容体シグナル伝達の遮断または作動薬活性、アポトーシスの誘発、及び薬物または細胞障害性薬物の送達。抗体受容体活性化の活性は、直接的な腫瘍細胞死滅効果を生成することができる。例えば、いくつかの抗体は、腫瘍細胞の表面上の受容体に結合し、受容体を活性化させ、(例えば、ミトコンドリアにおいて)アポトーシスをもたらすことができる。抗体は、受容体拮抗活性により腫瘍細胞死滅を仲介することもできる。例えば、ある特定の抗体は、細胞表面受容体に結合し、二量体化、キナーゼ活性化、及び下流シグナル伝達を遮断し、それにより増殖を阻害し、アポトーシスを促進することができる。酵素への抗体の結合は、中和、シグナル抑止、及び細胞死をもたらすことができる。(2)補体依存性細胞障害(CDC)、抗体依存性細胞介在性細胞障害(ADCC)、T細胞機能調節等を含む免疫介在性細胞死滅機構による。腫瘍細胞の免疫介在性死滅は、以下の方法により達成することができる:貪食作用の誘発、補体活性化、抗体依存性細胞介在性細胞障害、一本鎖可変断片(scFv)により腫瘍に対して標的化された遺伝子改変T細胞、樹状細胞への抗体介在性抗原交差提示によるT細胞の活性化、細胞障害性Tリンパ球関連抗原4(CTLA4)などのT細胞阻害性受容体の阻害。これらのうち、抗体特徴のFc部分が、CDC及びADCCが仲介する腫瘍細胞死滅効果のために特に重要である。(3)血管受容体拮抗剤またはリガンドの捕捉を通して、間質細胞阻害、間質細胞への毒素の送達、及び血管系への毒素の送達を含む、血管及び間質細胞の除去(ablation)を誘発することを介する、腫瘍血管系及びマトリックスに対する抗体の特異的な効果(非特許文献2)。
【0005】
治療モノクローナル抗体薬は、抗癌薬の研究及び開発を前進させている。しかしながら、抗体免疫原性、腫瘍標的の長期使用の耐容性、及びシグナル伝達経路の単純な単一遮断の長期効果などの、いくつかの問題を解決するために依然としてさらなる研究が必要である。要約すると、過半数の抗体は、腫瘍細胞の長期の有効な阻害及び死滅を達成することが困難である。
【0006】
1964年に、雑誌「Nature」は、新しい着想の抗体すなわち薬物複合体(ADC)技術を公表し、これは、近年大きな進歩が見られている。ADCは、化学リンカー(リンカー)を通して、抗体を高い毒性の薬物(毒素)と共有結合させる。抗体は癌細胞表面抗原分子を認識し、エンドサイトーシスADCがそれを細胞質の中に運び込み、特定の細胞内環境において、リンカーの加水分解後に放出される毒素が細胞を死滅させる。
【0007】
Seattle Geneticsは、そのような薬物であるブレンツキシマブベドチン(商標名Adcetris)を開発し、これはFDAにより販売が承認されている。これは、腫瘍細胞を死滅させる有効性が改善された、リンパ腫細胞特異的CD30分子を標的する抗体と結合した合成毒性抗癌薬である、モノメチルオーリスタチンE(MMAE)である。
【0008】
現在、数十を超えるそのようなADC薬が臨床試験の最中である。中でも、Genentech及びImmunogenは、乳癌を治療するために、マイタンシンと結合したトラスツズマブを薬物名称アド-トラスツズマブエムタンシン(Kadcyla)として共同で開発し、これはT-DM1としても知られている。2013年2月には、FDAはヒト上皮増殖因子受容体2(Her2)陽性転移性乳癌に対してT-DM1を承認した。マイタンシンは、チューブリンに結合し、非還元性二重マレイミド-プロパンジオール錯体を形成することにより微小管の形成を防止することができる、小分子毒素である。トラスツズマブは、ヒトHer2を標的することによって、乳癌及び胃癌に対して作用する。これは、Her2陽性癌に対して承認された。しかしながら、トラスツズマブは、全てのHer2陽性細胞のアポトーシスを促進することはできない。T-DM1は、Her2受容体を選択的に標的するトラスツズマブを、強力な細胞障害性薬物のマイタンシンと組み合わせて、腫瘍細胞を死滅させる。T-DM1抗体は、Her2受容体に結合して、複合体から放出されるマイタンシンの細胞内部移行を引き起こし、それによって腫瘍細胞を死滅させる。T-DM1は、より良好な全体的な有効性及び薬物動態特性、及び低い毒性を有する。
【0009】
旧来の小分子化学療法薬は、強い毒性及び薬物動態学的利点を有するが、腫瘍の治療プロセスにおいて、重篤な副作用を伴って他の生理学的標的に影響を与え得る。抗体-薬物複合体は、標的化機能を、特定の薬物動態を有する小分子薬と組み合わせる。抗体-薬物複合体の構造は、標的化機能を有するモノクローナル抗体の、特定の薬理学的特性を有する化合物への付着である。この技術は、標的に結合特異性を有する治療抗体が、治療効果または細胞毒素などの他の機能を有する分子と結合されることを必要とする。結合抗体のエンドサイトーシス、結合の安定性、及び毒素の放出及び死滅活性などの多くの要因が、この種類の抗体の効果に影響を与える。
【0010】
現在使用されている毒素分子には、チューブリン阻害剤である、オーリスタチン類似体モノメチルオーリスタチンE、モノメチルオーリスタチンF、及びマイタンシンが含まれる。モノメチルオーリスタチンEは、微小管凝集を阻害し、腫瘍細胞の有糸分裂に干渉し、アポトーシスを誘発することができる合成微小管ポリマー阻害剤である(非特許文献3、非特許文献4)。モノメチルオーリスタチンFは、C末端に荷電フェニルアラニン残基を有する抗有糸分裂オーリスタチン誘導体である。非荷電MMAEと比較して、これは、細胞シグナル伝達経路への障害を最小限にし、細胞障害性を最小限にする。CD30細胞を用いた多数の試験は、mAb-マレイミドカプロイル-バリン-シトルリン-p-アミノベンジルオキシカルボニル-MMAF(mAb-L1-MMAF)が、MMAF単独よりも2,200倍強力な毒性を有することを見出した(非特許文献5)。マイタンシンは、チューブリン重合の阻害剤として作用する抗有糸分裂剤であり、したがって細胞核における微小管の形成に干渉する。マイタンシンは、DNA、RNA、及びタンパク質の合成も阻害し、最大の効果はDNA合成において見られる。
【0011】
抗体-薬物複合体は、直接的及び間接的な抗癌効果を有する。抗体は、リガンド/受容体シグナル伝達を遮断または活性化し、アポトーシスを誘発し、同時にペイロード薬物(payload drug)(例えば、薬物、毒素、小型干渉RNAまたは放射性同位体)を腫瘍細胞へと直接的または間接的に提示または送達することができる。治療抗体薬物複合体は、抗体と結合薬物の二重特性を利用し、第1は、標的分子に特異的に結合する結合機能であり、第2は、抗体自体の腫瘍細胞死滅機能であり、第3は、複合薬の特定の効果である。現行の抗体-薬物複合体薬は、どのように腫瘍細胞を直接的に死滅させるかに限定されている。しかしながら、抗体、リンカー分子、毒素分子、及び複合体化における技術の厳しい要件、ならびに腫瘍微小環境分子内に毒素を運び込むことに対する制限のため、実際の臨床研究において依然としていくつかの困難が存在する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Scott AM,Wolchok JD,Old LJ.Antibody therapy of cancer.Nat Rev Cancer.(2012),12:278-87
【非特許文献2】Scott AM,Wolchok JD,Old LJ.Antibody therapy of cancer.Nat Rev Cancer.2012,12(4):278-87
【非特許文献3】Naumovski L and Junutula JR.Glembatumumab vedotin,a conjugate of an anti-glycoprotein non-metastatic melanoma protein B mAb and monomethyl auristatin E for treatment of melanoma and breast cancer.Curr Opin Mol Ther 2003;12(2):248-57
【非特許文献4】Francisco JA,Cerveny CGら、cACl0-vcMMAE,an anti-CD30-monomethyl auristatin E conjugate with potent and selective antitumor activity.Blood 102(4):1458-65
【非特許文献5】Doronina SOら、Enhanced activity of monomethylauristatin F through monoclonal antibody delivery:effects of linker technology on efficacy and toxicity.Bioconjug Chem,2006;17(1):p114-24
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
一態様では、本発明は式(Ia):
TM-Ln-AM(Ia)の構造を有する化合物を提供し、
式中、TMは、標的部分であり、AMは、樹状細胞、マクロファージ、単核球、骨髄由来抑制細胞、NK細胞、B細胞、T細胞または腫瘍細胞、またはそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されないヒト免疫細胞を活性化させることができる活性化部分であり、Lnはリンカーであり、nは0及び1から選択される整数である。
【0014】
いくつかの実施形態では、ヒト樹状細胞は形質細胞様樹状細胞である。いくつかの実施形態では、ヒト樹状細胞は骨髄系樹状細胞である。
【0015】
いくつかの実施形態では、AMは、ヒトトール様受容体7(TLR7)及び/またはTLR8に特異的に結合することができる;またはTLR7及び/またはTLR8を介してヒト免疫細胞を活性化させることができる。
【0016】
別の態様では、本発明は、式(Ib):
TM-L-AM(Ib)
の構造を有する化合物、またはその薬学的に許容され得る塩または溶媒和物を提供し、
式中、TMは標的部分であり、Lはリンカーであり、AMは式(I):
【化1】
の構造により表される活性化部分であり、
式中、破線は結合または結合の不在を表し、
【化2】
はリンカーへの結合点であり;
Xは、Sまたは-NRであり、Rは-W―W―W―W―Wであり、
は、結合、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、または-アルキル-S-アルキル--であり、
は、結合、--O--、または--NR--であり、ここでRは、水素、アルキルまたはアルケニルであり、
は、結合、--O--、--C(O)--、--C(S)--、または-S(O)―であり、
は、結合、--NR--であり、ここでRは、水素、アルキルまたはアルケニルであり、
は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、またはヘテロシクリルであり、そのそれぞれは、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、--NH、ニトロ、--アルキル-ヒドロキシル、--アルキル-アリール、--アルキル-ヘテロアリール、--アルキル-ヘテロシクリル、--O-R、--O-アルキル-R、--アルキル-O-R、--C(O)-R、--アルキル-C(O)-R、--アルキル-C(O)-O-R、--C(O)-O-R、--S-R、--S(O)-R、--NH-S(O)-R、--アルキル-S-R4、--アルキル-S(O)-R、--NHR、--NR、--NH-アルキル-R、ハロゲン、--CN、--NO、及び-SHからなる群より選択される1つまたは複数の置換基により任意選択的に置換され、ここでRは独立して、水素、アルキル、アルケニル、--アルキル-ヒドロキシル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、またはハロアルキルであり;
Zは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリール、ハロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリルであり、そのそれぞれは、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、--N(R、--アルコキシ-アルキル、--アルコキシ-アルケニル、--C(O)-アルキル、--C(O)-O-アルキル、--O-C(O)-アルキル、--C(O)-N(R、アリール、ヘテロアリール、--CO-アリール、及び-CO-ヘテロアリールからなる群より選択される1つまたは複数の置換基により任意選択的に置換されることができ、ここで各Rは独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、--アルキル-アリール、または-アルキル-ヘテロアリールであり;
Rは、水素、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロゲン、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリルであり、そのそれぞれは、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、--NH、ニトロ、--アルキル-ヒドロキシル、--アルキル-アリール、--アルキル-ヘテロアリール、--アルキル-ヘテロシクリル、--O-R、--O-アルキル-R、--アルキル-O-R、--C(O)-R、--C(O)-NH-R、--C(O)-NR、--アルキル-C(O)-R、--アルキル-C(O)-O-R、--C(O)-O-R、--O-C(O)-R、--S-R、--C(O)-S-R、--S-C(O)-R、--S(O)-R、--NH-S(O)-R、--アルキル-S-R、--アルキル-S(O)-R、--NHR、--NR、--NH-アルキル-R、ハロゲン、--CN、及び-SHからなる群より選択される1つまたは複数の置換基により任意選択的に置換され、ここでRは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルコキシ、--アルキル-ヒドロキシル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、またはハロアルキルであり;
nは、0、1、2、3、または4であり;
Yは、-NR、-CR、または-アルキル-NHであり、そのそれぞれは、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、--NH、ハロゲン、--N(R、--アルコキシ-アルキル、--アルコキシ-アルケニル、--C(O)-アルキル、--C(O)-O-アルキル、--C(O)-N(R、アリール、ヘテロアリール、--CO-アリール、及び-CO-ヘテロアリールからなる群より選択される1つまたは複数の置換基により任意選択的に置換されることができ、
ここでR、R及びRは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルチオ、アリールチオ、--アルキル-ヒドロキシル、--アルキル-C(O)-O-R、--アルキル-C(O)-R、または-アルキル-O-C(O)-Rであり、ここで各Rは独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、--アルキル-アリール、または-アルキル-ヘテロアリールであり、ここでRは、水素、アルキル、アルケニル、ハロゲン、またはハロアルキルであり;
X及びZは一緒になって、任意選択的に(5~9)員環を形成し得る。
【0017】
いくつかの実施形態では、AMは、2-プロピルチアゾロ[4,5-c]キノリン-4-アミン、1-(2-メチルプロピル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-4-アミン、4-アミノ-2-(エトキシメチル)-a,a-ジ-メチル-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-エタノール、1-(4-アミノ-2-エチルアミノメチルイミダゾ-[4,5-c]キノリン-1-イル)-2-メチルプロパン-2-オール、N-[4-(4-アミノ-2-エチル-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)ブチル-]メタンスルホンアミド、4-アミノ-2-エトキシメチル-aa-ジメチル-6,7,8,9-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-エタノール、4-アミノ-aa-ジメチル-2-メトキシエチル-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-エタノール、1-{2-[3-(ベンジルオキシ)プロポキシ]エチル}-2-(エトキシメチル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-4-アミン、N-[4-(4-アミノ-2-ブチル-1H-イミダゾ[4,5-c][1,5]ナフチリジン-1-イル)ブチル]-n’-ブチル尿素、N1-[2-(4-アミノ-2-ブチル-1H-イミダゾ[4,5-c][1,5]ナフチリジン-1-イル)エチル]-2-アミノ-4-メチルペンタンアミド、N-(2-{2-[4-アミノ-2-(2-メトキシエチル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル]エトキシ}エチル)-n’-フェニル尿素、1-(2-アミノ-2-メチルプロピル)-2-(エトキシメチル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-4-アミン、1-{4-[(3,5-ジクロロフェニル)スルホニル]ブチル}-2-エチル-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-4-アミン、N-(2-{2-[4-アミノ-2-(エトキシメチル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル]エトキシ}エチル)-n’-シクロヘキシル尿素、N-{3-[4-アミノ-2-(エトキシメチル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル]プロピル}-n’-(3-シアノフェニル)チオ尿素、N-[3-(4-アミノ-2-ブチル-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)-2,2-ジメチルプロピル]ベンズアミド、2-ブチル-1-[3-(メチルスルホニル)プロピル]-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-4-アミン、N-{2-[4-アミノ-2-(エトキシメチル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル]-1,1-ジメチルエチル}-2-エトキシアセトアミド、1-[4-アミノ-2-エトキシメチル-7-(ピリジン-4-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル]-2-メチルプロパン-2-オール、1-[4-アミノ-2-(エトキシメチル)-7-(ピリジン-3-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル]-2-メチルプロパン-2-オール、N-{3-[4-アミノ-1-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-2-(メトキシエチル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-7-イル]フェニル}メタンスルホンアミド、1-[4-アミノ-7-(5-ヒドロキシメチルピリジン-3-イル)-2-(2-メトキシエチル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル]-2-メチルプロパン-2-オール、3-[4-アミノ-2-(エトキシメチル)-7-(ピリジン-3-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル]プロパン-1,2-ジオール、1-[2-(4-アミノ-2-エトキシメチル-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)-1,1-ジメチルエチル]-3-プロピル尿素、1-[2-(4-アミノ-2-エトキシメチル-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)-1,1-ジメチルエチル]-3-シクロペンチル尿素、1-[(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル]-2-(エトキシメチル)-7-(4-ヒドロキシメチルフェニル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-4-アミン、4-[4-アミノ-2-エトキシメチル-1-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-7-イル]-N-メトキシ-N-メチルベンズアミド、2-エトキシメチル-N1-イソプロピル-6,7,8,9-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1,4-ジアミン、1-[4-アミノ-2-エチル-7-(ピリジン-4-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル]-2-メチルプロパン-2-オール、N-[4-(4-アミノ-2-エチル-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)ブチル]メタンスルホンアミド、またはN-[4-(4-アミノ-2-ブチル-1H-イミダゾ[4,5-c][1,5]ナフチリジン-1-イル)ブチル]-n’-シクロヘキシル尿素から選択される式(I)の化合物である。
【0018】
いくつかの実施形態では、Lは、以下の、式(II):
【化3】
(II)の構造により表されるリンカーであり、
mは1、2、3、4、5、または6であり、各bは独立して、0または1であり、Dは独立して、式(III):
【化4】
(III)
の構造により表され、
式中、各iは独立して、0または1であり;
各jは独立して、0、1、2、3、4、5、または6であり;
各Aは独立して、S、O、またはN-Raであり、ここでRaは、水素、アルキル、アルケニル、またはアルコキシであり;
各Bは独立して、アルキル、アルケニル、--O-アルキル-、--アルキル-O--、--S-アルキル--、--アルキル-S--、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、またはペプチドであり、そのそれぞれは、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、--アルキル-アリール、--アルキル-ヘテロアリール、--アルキル-ヘテロシクリル、--O-R、--O-アルキル-R、--C(O)-R、--C(O)-O-R、--S-R、--S(O)-R、--NHR、--NH-アルキル-R、ハロゲン、--CN、--NO、及び-SHからなる群より選択される1つまたは複数の置換基により任意選択的に置換され、ここでRは、アルキル、アルケニル、--アルキル-ヒドロキシル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、またはハロアルキルである。
【0019】
別の態様では、本発明は、式(Ib):
TM-L-AM(Ib)
の構造を有する化合物、またはその薬学的に許容され得る塩または溶媒和物を提供し、
式中、TMは標的部分であり、Lはリンカーであり、AMは式(IV):
【化5-1】
の構造により表される活性化部分であり、
式中、
【化5-2】
はリンカーへの結合点であり;
Vは、-NRであり、R及びRのそれぞれは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルチオ、アリールチオ、--アルキル-ヒドロキシル、--アルキル-C(O)-O-R、--アルキル-C(O)-R、または-アルキル-O-C(O)-Rであり、ここでRは、水素、アルキル、アルケニル、ハロゲン、またはハロアルキルであり;
10及びR11は独立して、水素、アルキル、アルケニル、アリール、ハロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、またはシクロアルキルであり、そのそれぞれは、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、--N(R、--アルコキシ-アルキル、--アルコキシ-アルケニル、--C(O)-アルキル、--C(O)-O-アルキル、--C(O)-N(R、アリール、ヘテロアリール、--CO-アリール、及び-CO-ヘテロアリールからなる群より選択される1つまたは複数の置換基により任意選択的に置換され、ここで各Rは独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、--アルキル-アリール、または-アルキル-ヘテロアリールであり;TM及びLは、上記及び下記に定義される。
【0020】
いくつかの実施形態では、TMは、非腫瘍細胞と比較して特異的または優先的に腫瘍細胞に結合する。いくつかの実施形態では、腫瘍細胞は、癌腫、肉腫、リンパ腫、骨髄腫、または中枢神経系癌のものである。
【0021】
いくつかの実施形態では、TMは、非腫瘍抗原と比較して特異的または優先的に腫瘍細胞上の腫瘍抗原に結合する。いくつかの実施形態では、腫瘍抗原は、CD2、CD19、CD20、CD22、CD27、CD33、CD37、CD38、CD40、CD44、CD47、CD52、CD56、CD70、CD79、及びCD137からなる群より選択される。
【0022】
いくつかの実施形態では、腫瘍抗原は、4-1BB、5T4、AGS-5、AGS-16、アンジオポエチン2、B7.1、B7.2、B7DC、B7H1、B7H2、B7H3、BT-062、BTLA、CAIX、癌胎児性抗原、CTLA4、クリプト、ED-B、ErbB1、ErbB2、ErbB3、ErbB4、EGFL7、EpCAM、EphA2、EphA3、EphB2、FAP、フィブロネクチン、葉酸受容体、ガングリオシドGM3、GD2、グルココルチコイド誘発性腫瘍壊死因子受容体(GITR)、gp100、gpA33、GPNMB、ICOS、IGF1R、インテグリンαν、インテグリンανβ、KIR、LAG-3、ルイスY、メソテリン、c-MET、MN炭酸脱水酵素IX、MUC1、MUC16、ネクチン-4、NKG2D、NOTCH、OX40、OX40L、PD-1、PDL1、PSCA、PSMA、RANKL、ROR1、ROR2、SLC44A4、シンデカン-1、TACI、TAG-72、テネイシン、TIM3、TRAILR1、TRAILR2、VEGFR-1、VEGFR-2、VEGFR-3、及びそれらの変異体からなる群より選択される。
【0023】
いくつかの実施形態では、TMは、免疫グロブリン、タンパク質、ペプチド、小分子、ナノ粒子、または核酸を含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、TMは、抗体、またはその機能性断片を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、Rituxan(リツキシマブ)、Herceptin(トラスツズマブ)、Erbitux(セツキシマブ)、Vectibix(パニツムマブ)、Arzerra(オファツムマブ)、Benlysta(ベリムマブ)、Yervoy(イピリムマブ)、Perjeta(ペルツズマブ)、トレメリムマブ、ニボルマブ、ダセツズマブ、ウレルマブ(Urelumab)、MPDL3280A、ランブロリズマブ、及びブリナツモマブからなる群より選択される。
【0025】
いくつかの実施形態では、TMは、Fab、Fab’、F(ab’)2、単一ドメイン抗体、T及びAb二量体、Fv、scFv、dsFv、ds-scFv、Fd、線状抗体、ミニボディ、ダイアボディ、二重特異的抗体断片、バイボディ、トリボディ、sc-ダイアボディ、カッパ(ラムダ)体、BiTE、DVD-Ig、SIP、SMIP、DART、または1つまたは複数のCDRを含む抗体類似体を含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、TMは、VEGFRのATWLPPRポリペプチド、トロンボスポンジン-1模倣体、CDCRGDCFCG(環状)ポリペプチド、SCH221153断片、NCNGRC(環状)ポリペプチド、CTTHWGFTLCポリペプチド、CGNKRTRGCポリペプチド(LyP-1)、オクトレオチド、バプレオチド、ランレオチド、C-3940ポリペプチド、デカペプチル、ルプロン、ゾラデックス、またはセトロレリクスを含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、TMは、葉酸またはその誘導体を含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、TMは、PD-1、CTLA4、BTLA、KIR、TIM3、4-1BB、LAG3、表面リガンドアンフィレギュリンの一部の完全長、ベータセルリン、EGF、エフリン、エピジェン(epigen)、エピレギュリン、IGF、ニューレグリン、TGF、TRAIL、またはVEGFの細胞外ドメイン(ECD)または可溶形態を含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、TMは、ナノ粒子を含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、TMは、アプタマーを含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、TMは、Rituxan(リツキシマブ)、Herceptin(トラスツズマブ)、Erbitux(セツキシマブ)、Vectibix(パニツムマブ)、Arzerra(オファツムマブ)、Benlysta(ベリムマブ)、Yervoy(イピリムマブ)、Perjeta(ペルツズマブ)、トレメリムマブ、ニボルマブ、ダセツズマブ、ウレルマブ(Urelumab)、MPDL3280A、ランブロリズマブ、ブリナツモマブ、アルデスロイキン;アレムツズマブ(aemtuzumab);アリトレチノイン;アロプリノール;アルトレタミン;アミフォスチン;アナストロゾール;三酸化ヒ素;アスパラギナーゼ;BCG生菌;ベキサロテンカプセル;ベキサロテンゲル;ブレオマイシン;静注用ブスルファン;経口用ブスルファン;カルステロン;カペシタビン;カルボプラチン;カルムスチン;ポリフェプロサン20インプラントを用いたカルムスチン;セレコキシブ;クロラムブシル;シスプラチン;クラドリビン;シクロホスファミド;シタラビン;シタラビンリポソーム;ダカルバジン;ダクチノマイシン;アクチノマイシンD;ダルベポエチンα(dabepoetin alfa);ダウノルビシンリポソーム;ダウノルビシン、ダウノマイシン;デニロイキンジフチトックス、デクスラゾキサン;ドセタキセル;ドキソルビシン;ドキソルビシンリポソーム;プロピオン酸ドロモスタノロン;エリオットB液;エピルビシン;エポエチン(eoetin)αエストラムスチン;リン酸エトポシド;エトポシド(VP-16);エキセメスタン;フィルグラスチム;フロクスウリジン(動注用);フルダラビン;フルオロウラシル(5-FU);フルベストラント;ゲムツズマブオゾガマイシン;ゴセレリン酢酸塩;ヒドロキシ尿素;イブリツモマブチウキセタン;イダルビシン;イホスファミド;イマチニブメシル酸塩;インターフェロンα-2a;インターフェロンα-2b;イリノテカン;レトロゾール;ロイコボリン;レバミゾール;ロムスチン(CCNU);メクロレタミン(ナイトロジェンマスタード);酢酸メゲストロール;メルファラン(L-PAM);メルカプトプリン(6-MP);メスナ;メトトレキセート;メトキサレン;マイトマイシンC;ミトタン;ミトキサントロン;ナンドロロンフェンプロピオナート;ノフェツモマブ(nfetumomab);LOddC;オプレルベキン(orelvekin);オキサリプラチン;パクリタキセル;パミドロネート;ペガデマーゼ;ペガスパルガーゼ;ペグフィルグラスチム;ペントスタチン;ピポブロマン;プリカマイシン;ミトラマイシン;ポルフィマーナトリウム;プロカルバジン;キナクリン;ラスブリカーゼ;サルグラモスチム;ストレプトゾシン;テルビブジン(talbuvidine)(LDT);タルク;タモキシフェン;テモゾロミド;テニポシド(VM-26);テストラクトン;チオグアニン(6-TG);チオテパ;トポテカン;トレミフェン;トシツモマブ;トレチノイン(ATRA);ウラシルマスタード;バルルビシン;バルトルシタビン(モノバルLDC);ビンブラスチン;ビノレルビン;ゾレドロネート;及びそれらの混合物を含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、リンカー部分(「L」)内のDは式(V)~(VII):
【化6】
の構造から選択され、A、B、i及びjは上記に定義される。
【0033】
いくつかの実施形態では、リンカー部分は、S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、-Gly-Phe-Leu-Gly-、-Ala-Leu-Ala-Leu-、-Phe-Arg-、-Phe-Lys-、-Val-Lys-、-Val-Ala-、またはVal-Cit-から選択され、S1~S7は以下:
【化7-1】
【化7-2】
の構造により表され、式中、各mは独立して、1から20である。
【0034】
いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書に提供する化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、及び/または1つまたは複数の薬学的に許容され得る担体を含む医薬組成物を提供する。
【0035】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、追加の治療剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、追加の治療剤は抗癌剤である。いくつかの実施形態では、追加の治療剤は、代謝拮抗薬、トポイソメラーゼI及びIIの阻害剤、アルキル化剤、微小管阻害剤、抗アンドロゲン剤、GNRhモジュレータまたはそれらの混合物である。いくつかの実施形態では、追加の治療剤は、タモキシフェン、ラロキシフェン、アナストロゾール、エキセメスタン、レトロゾール、イマタニブ(imatanib)、パクリタキセル、シクロホスファミド、ロバスタチン、ミノシン(minosine)、ゲムシタビン、シタラビン、5-フルオロウラシル、メトトレキサート、ドセタキセル、ゴセレリン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ノコダゾール、テニポシド、エトポシド、ゲムシタビン、エポチロン、ビノレルビン、カンプトテシン、ダウノルビシン、アクチノマイシンD、ミトキサントロン、アクリジン、ドキソルビシン、エピルビシン、またはイダルビシンからなる群より選択される。
【0036】
さらに別の態様では、本発明は、腫瘍細胞の増殖を阻害する方法を提供し、それは前記腫瘍細胞に本発明の化合物を投与することを含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、本発明は、対象に本発明の化合物を投与することを含む、対象内の疾患を処置する方法を提供する。いくつかの実施形態では、疾患は、癌/腫瘍である。いくつかの実施形態では、疾患は、胃、結腸、直腸、肝臓、膵臓、肺、乳房、子宮頚部、子宮体部、卵巣、精巣、膀胱、腎臓部、脳/CNS、頭頸部、喉、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、白血病、黒色腫、非黒色腫皮膚癌、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、ユーイング肉腫、小細胞肺癌、絨毛癌、横紋筋肉腫、ウィルムス腫瘍、神経芽腫、有毛細胞白血病、口腔/咽頭、食道、喉頭、腎臓癌またはリンパ腫から選択された癌である。
【0038】
いくつかの実施形態では、疾患状態は腫瘍である。いくつかの実施形態では、疾患状態は、異常細胞増殖を含む。いくつかの実施形態では、異常細胞増殖は前癌性病変を含む。いくつかの実施形態では、異常増殖は癌細胞のものである。
【0039】
参照による組み込み
本明細書で言及する全ての刊行物、特許、及び特許出願は、各個別の刊行物、特許、または特許出願は、ここで具体的及び個別に参照により組み込まれるように示されるのと同程度に、参照により組み込まれる。
【0040】
本発明の新規特徴は、添付の特許請求の範囲で具体的に記載される。本発明の特長い及び利点のより良好な理解は、本発明の原理を活用する例示的な実施形態を記載する以下の発明を実施するための形態、及び添付図面を参照することによって得られるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】コンジュゲート化合物の特徴を示す。Her2発現L細胞への、トラツズマブMC-vc-レシキモド及びトラツズマブ-レシキモドコンジュゲートの結合を、非コンジュゲートトラツズマブ(基準として)、対照ヒトIgG、及び無関係のヒトIgG1抗体と比較し、これはFACS分析により決定する。
図2】トラスツズマブ、トラスツズマブMC-vc-トール様受容体リガンド(TLRL)、及びトラスツズマブMC-トール様受容体リガンド(TLRL)コンジュゲートのインビトロ抗体依存性細胞障害(ADCC)分析を示す。PBMC(エフェクター細胞)をSKBR3細胞(標的細胞)と共に、対照ヒトIgG1、トラスツズマブ、またはトラスツズマブMC-vc-TLRL及びトラスツズマブMC-TLRLコンジュゲートを異なる濃度で含有する96ウエルプレート(標的/エフェクター比率1/60)に17時間加えた。全ての実験を二重に実施した。分析は、陰性SKBR3集団決定に基づいた。死滅細胞はLDHにより染色した。
図3A図3Aは、濃縮前後のDCの割合(%)を示す。上側の2つのプロットにおける数字は、系統の枯渇前後の総細胞のDC(HLA-DR+Lin-)の割合(%)を表す。下側のプロットにおける数字は、系統の枯渇前後の総DCのmDC(CD11C+CD123-)及びpDC(CD123+CD11C-)の割合(%)を表す。
図3B図3Bは、精製されたヒトDCによるサイトカイン産生の分析を示す。精製されたヒトDCを96ウエルプレートに播種し、同種未処理(培地)または処理済みの異なる濃度のTLRL、またはトラスツズマブMC-vc-TLRL及びトラスツズマブMC-TLRLと、37℃のインキュベーターにおいて直接20~22時間培養した。別の実験では、漸増濃度のセツキシマブMC-vc-TLRL及びセツキシマブMC-TLRLを与えて、ヒトDCと処理した。上清を採取し、ヒトIFN-α、IL-6、IL-12(p70)、及びTNF-αをELISAにより分析した。データを三重培養物の平均±標準偏差として得、これらは3人の健常な提供者の2人からの独立した実験の代表値である。
図3C図3Cは、精製されたヒトDCによるサイトカイン産生の分析を示す。精製されたヒトDCを96ウエルプレートに播種し、同種未処理(培地)または処理済みの異なる濃度のTLRL、またはトラスツズマブMC-vc-TLRL及びトラスツズマブMC-TLRLと、37℃のインキュベーターにおいて直接20~22時間培養した。別の実験では、漸増濃度のセツキシマブMC-vc-TLRL及びセツキシマブMC-TLRLを与えて、ヒトDCと処理した。上清を採取し、ヒトIFN-α、IL-6、IL-12(p70)、及びTNF-αをELISAにより分析した。データを三重培養物の平均±標準偏差として得、これらは3人の健常な提供者の2人からの独立した実験の代表値である。
図3D図3Dは、精製されたヒトDCによるサイトカイン産生の分析を示す。精製されたヒトDCを96ウエルプレートに播種し、同種未処理(培地)または処理済みの異なる濃度のTLRL、またはトラスツズマブMC-vc-TLRL及びトラスツズマブMC-TLRLと、37℃のインキュベーターにおいて直接20~22時間培養した。別の実験では、漸増濃度のセツキシマブMC-vc-TLRL及びセツキシマブMC-TLRLを与えて、ヒトDCと処理した。上清を採取し、ヒトIFN-α、IL-6、IL-12(p70)、及びTNF-αをELISAにより分析した。データを三重培養物の平均±標準偏差として得、これらは3人の健常な提供者の2人からの独立した実験の代表値である。
図4A図4Aは、PDX胃腫瘍モデルにおけるトラスツズマブMC-vc-TLRL及びトラスツズマブMC-TLRLの治療有効性を示す。皮下に患者由来胃腫瘍を有する、6~8週齢の雌BALB/c nu/nuヌードマウスに、10mg/kgのトラスツズマブMC-vc-TLRL、トラスツズマブMC-TLRL、または非コンジュゲートトラスツズマブ、または生理食塩水を静脈内投与して処置した(1群あたり12匹のマウス)。処置は、45日の期間にわたって週1回実施した。治療は、腫瘍のサイズが平均して170mmに達したときに開始した。図4A:データは、平均腫瘍体積(平均±標準偏差)を表す。腫瘍増殖曲線は、腫瘍が2000mmのサイズに達したときに停止した。
図4B図4Bは、PDX胃腫瘍モデルにおけるトラスツズマブMC-vc-TLRL及びトラスツズマブMC-TLRLの治療有効性を示す。皮下に患者由来胃腫瘍を有する、6~8週齢の雌BALB/c nu/nuヌードマウスに、10mg/kgのトラスツズマブMC-vc-TLRL、トラスツズマブMC-TLRL、または非コンジュゲートトラスツズマブ、または生理食塩水を静脈内投与して処置した(1群あたり12匹のマウス)。処置は、45日の期間にわたって週1回実施した。治療は、腫瘍のサイズが平均して170mmに達したときに開始した。図4B:治療中及び治療後のマウスの体重変動。検出可能な体重減少は観察されなかった。
図4C図4Cは、PDX胃腫瘍モデルにおけるトラスツズマブMC-vc-TLRL及びトラスツズマブMC-TLRLの治療有効性を示す。皮下に患者由来胃腫瘍を有する、6~8週齢の雌BALB/c nu/nuヌードマウスに、10mg/kgのトラスツズマブMC-vc-TLRL、トラスツズマブMC-TLRL、または非コンジュゲートトラスツズマブ、または生理食塩水を静脈内投与して処置した(1群あたり12匹のマウス)。処置は、45日の期間にわたって週1回実施した。治療は、腫瘍のサイズが平均して170mmに達したときに開始した。図4C:処置群及び対照群の生存率曲線;トラツズマブMC-vc-TLRL、または非コンジュゲートトラスツズマブを受けたマウスでの実質的な延長。
図5A図5Aは、ヌード/H1650ヒト肺癌細胞モデルにおけるセツキシマブMC-vc-TLRLの治療有効性を示す。皮下にH1650肺癌細胞を有する6~8週齢の雌BALB/c nu/nuヌードマウスに、10mg/kgのセツキシマブMC-vc-TLRL、または非コンジュゲートセツキシマブ、または生理食塩水を静脈内投与して処置した(1群あたり12匹のマウス)。処置は、45日の期間にわたって週1回実施した。治療は、腫瘍のサイズが平均して170mmに達したときに開始した。データは、平均腫瘍体積(平均±標準偏差)を表す。腫瘍増殖曲線は、腫瘍が2000mmのサイズに達したときに停止した。図5A:ヒト肺癌細胞モデルにおけるセツキシマブMC-vc-TLRLの治療有効性。
図5B図5Bは、ヌード/H1650ヒト肺癌細胞モデルにおけるセツキシマブMC-vc-TLRLの治療有効性を示す。皮下にH1650肺癌細胞を有する6~8週齢の雌BALB/c nu/nuヌードマウスに、10mg/kgのセツキシマブMC-vc-TLRL、または非コンジュゲートセツキシマブ、または生理食塩水を静脈内投与して処置した(1群あたり12匹のマウス)。処置は、45日の期間にわたって週1回実施した。治療は、腫瘍のサイズが平均して170mmに達したときに開始した。データは、平均腫瘍体積(平均±標準偏差)を表す。腫瘍増殖曲線は、腫瘍が2000mmのサイズに達したときに停止した。図5B:治療中及び治療後のマウスの体重変動。検出可能な体重減少は観察されなかった。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明のいくつかの態様を、例示のために適用例を参照しながら以下に記載する。多くの特定の詳細、関係性、及び方法が、本発明の完全な理解を提供するために記載されることを理解されたい。しかしながら、当業者は、本発明が1つまたは複数の特定の詳細を用いることなく、または他の方法を用いて実施され得ることを、容易に認識するだろう。本発明は、作用または事象の例示された順番に限定されず、いくつかの作用は、他の作用または事象と異なる順番で、及び/または同時に生じ得る。
【0043】
さらに、全ての例示された作用または事象が、本発明に係る手法を実施するために必要とされるわけではない。
【0044】
本明細書において使用される用語は、特定の実施形態を記載することのみを目的とし、本発明を限定することを意図しない。本明細書で用いるとき、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈による明白な別段の指示がない限り、複数形を含むことも意図される。さらに、「含む(including)」、「含む(includes)」、「有する(having)」、「有する(has)」、「伴う(with)」という用語、またはこれらの変形が、発明を実施するための形態及び/または特許請求の範囲のいずれかに使用される限り、そのような用語は、「含む(comprising)」という用語と類似の様式で包括的であることが意図される。
【0045】
「約」または「おおよそ」という用語は、当業者により決定される特定の値の許容可能な誤差範囲内を意味し、これは、部分的には、値がどのように測定または決定されたか、すなわち測定系の制限に依存するだろう。例えば「約」は、当該分野の実践にしたがって、1以内または1を越える標準偏差を意味することができる。あるいは、「約」は、所定の値の20%まで、好ましくは10%まで、より好ましくは5%まで、及びより好ましくはさらに1%までの範囲を意味することができる。あるいは、特に生物系または過程に関して、該用語は、値の桁数の範囲内、好ましくは5倍以内、より好ましくは2倍以内を意味することができる。特定の値が出願及び特許請求の範囲に記載される場合、別段の記述のない限り、特定の値の許容可能な誤差範囲内を意味する「約」が、想定されるべきである。
【0046】
定義及び略語
別段の定義のない限り、本明細書において使用される全ての技術用語及び科学用語は、一般に、本発明が属する当業者により一般的に理解されるものと同じ意味を有する。一般に、本明細書、及び細胞培養、分子遺伝学、有機化学、及び核酸化学及びハイブリダイゼーションにおける実験室手順に使用される命名法は、当該分野において周知であり、一般的に用いられているものである。標準的な技術が、核酸及びペプチド合成に使用される。技術及び手順は、当該分野における従来の方法、及びこの文書の全体を通して提供される種々の一般的な参照に従って一般に実施される。本明細書、及び分析化学における実験室手順、及び下記に記載されている有機合成に使用される命名法は、当該分野において周知のものであり、一般的に用いられるものである。標準的な技術またはそれらの修正が、化学合成及び化学分析に使用される。
【0047】
「アルキル」という用語は、それ自体または別の置換基の一部として、別段の記述のない限り、直鎖または分岐鎖または環状の炭化水素ラジカル、またはそれらの組み合わせを意味し、これらは、完全飽和、単または多不飽和であり得、指定された数の炭素原子を有する(すなわち、C~C10は1~10個の炭素を意味する)二価及び多価ラジカルを含むことができる。飽和炭化水素ラジカルの例には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、シクロヘキシル、(シクロヘキシル)メチル、シクロプロピルメチルなどの基、例えばn-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチルの相同体及び異性体などが挙げられるが、これらに限定されない。不飽和アルキル基は1つまたは複数の二重結合または三重結合を有する基である。不飽和アルキル基の例には、ビニル、2-プロペニル、クロチル、2-イソペンテニル、2-(ブタジエニル)、2,4-ペンタジエニル、3-(1,4-ペンタジエニル)、エチニル、1-及び3-プロピニル、3-ブチニル、及びより高次の相同体及び異性体が挙げられるが、これらに限定されない。「アルキル」という用語は、別段に示されない限り、「ヘテロアルキル」のように、下記により詳細に定義されるアルキルの誘導体を含むことも意図される。炭化水素基に限定されるアルキル基は、「ホモアルキル」と称する。
【0048】
「アルキレン」という用語は、それ自体または別の置換基の一部として、-CHCHCHCH-により例示されるが、これに限定されないアルカンから誘導される二価ラジカルを意味し、下記に「ヘテロアルキレン」と記載される基をさらに含む。典型的には、アルキル(またはアルキレン)基は、1~24個の炭素原子を有し、10個以下の炭素原子を有するこれらの基が本発明に好ましい。「低級アルキル」または「低級アルキレン」は、一般に8個以下の炭素原子を有する短鎖アルキルまたはアルキレン基である。
【0049】
「アルコキシ」、「アルキルアミノ」、及び「アルキルチオ」(またはチオアルコキシ)という用語は、その従来の意味で使用され、それぞれ、酸素原子、アミノ基、または硫黄原子を介して分子の残りの部分に付着しているアルキル基を意味する。
【0050】
「ヘテロアルキル」は、それ自体または別の用語と組み合わされて、別段の記述のない限り、記述された数の炭素原子、及びO、N、Si、及びSからなる群より選択される少なくとも1個のヘテロ原子から構成され、窒素及び硫黄原子は任意選択的に酸化されてもよく、窒素ヘテロ原子が、任意選択的に四級化されていてもよい、安定した直鎖または分岐鎖または環状炭化水素ラジカル、またはそれらの組み合わせを意味する。ヘテロ原子(複数可)のO、N、及びS、及びSiは、ヘテロアルキル基の任意の内部位置、またはアルキル基が分子の残りの部分に付着する位置に配置され得る。例には、-CH-CH-O-CH、-CH-CH-NH-CH、-CH-CH-N(CH)-CH、-CH-S-CH-CH、-CH-CH、-S(O)-CH、-CH-CH-S(O)-CH、-CH=CH-O-CH、-Si(CH、-CH-CH=N-OCH、及び-CH=CH-N(CH)-CHが挙げられるが、これらに限定されない。2個までのヘテロ原子は、例えば-CH-NH-OCH及び-CH-O-Si(CHのように連続的であり得る。同様に、「ヘテロアルキレン」という用語は、それ自体または別の置換基の一部として、-CH-CH-S-CH-CH-及び-CH-S-CH-CH-NH-CH-により例示されるが、これらに限定されないヘテロアルキルから誘導される二価ラジカルを意味する。ヘテロアルキレン基について、ヘテロ原子は、鎖末端のいずれか、または両方を占有することもできる(例えば、アルキレンオキシ、アルキレンジオキシ、アルキレンアミノ、アルキレンジアミノなど)。またさらに、アルキレン及びヘテロアルキレン連結基について、連結基の向きは、連結基の式が記載される方向により示されない。例えば、式:-C(O)R’-は、-C(O)R’-及び-R’C(O)-の両方を表す。
【0051】
一般に、「アシル置換基」も、上に記載した基から選択される。本明細書で用いるとき、「アシル置換基」は、付着して、本発明の化合物の多環式核に直接的または間接的に付着したカルボニル炭素の原子価を満たす基を意味する。
【0052】
「シクロアルキル」及び「ヘテロシクロアルキル」という用語は、それら自体または他の用語と組み合わされて、別段の記述のない限り、それぞれ「アルキル」及び「ヘテロアルキル」の環状型を表す。加えて、ヘテロシクロアルキルについて、ヘテロ原子は、そのヘテロ環が分子の残りの部分に付加される位置を占有することができる。シクロアルキルの例には、シクロペンチル、シクロヘキシル、1-シクロへキセニル、3-シクロヘキセニル、シクロヘプチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。ヘテロシクロアルキルの例には、1-(1,2,5,6-テトラヒドロピリジル)、1-ピペリジニル、2-ピペリジニル、3-ピペリジニル、4-モルホリニル、3-モルホリニル、テトラヒドロフラン-2-イル、テトラヒドロフラン-3-イル、テトラヒドロチエン-2-イル、テトラヒドロチエン-3-イル、1-ピペラジニル、2-ピペラジニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0053】
「ハロ」または「ハロゲン」という用語は、それら自体または別の置換基の一部として、別段の記述のない限り、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素原子を意味する。加えて、「ハロアルキル」などの用語は、モノハロアルキル及びポリハロアルキルを含むことが意図される。例えば、「ハロ(C~C)アルキル」という用語は、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、4-クロロブチル、3-ブロモプロピルなどを含むが、これらに限定されないことが意図される。
【0054】
本明細書で用いるとき、「ハロアルキル」という用語は、1つまたは複数の本明細書に記載のハロ基により置換される、本明細書に定義するアルキルを指す。好ましくは、ハロアルキルは、モノハロアルキル、ジハロアルキル、またはペルハロアルキル(perハロアルキル)を含むポリハロアルキルであることができる。モノハロアルキルは、アルキル基内に1つのヨード、ブロモ、クロロまたはフルオロを有することができる。ジハロアルキル及びポリハロアルキル基は、アルキル基内に2個またはそれより多い同じハロ原子または異なるハロ基の組み合わせを有することができる。好ましくは、ポリハロアルキルは、12まで、10、または8、または6、または4、または3、または2個のハロ基を含有する。ハロアルキルの非限定的な例には、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル(dichioromethyl)、トリクロロメチル(trichioromethyl)、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ジフルオロクロロメチル(difluorochioromethyl)、ジクロロフルオロメチル(dichiorofluoromethyl)、ジフルオロエチル、ジフルオロプロピル、ジクロロエチル及びジクロロプロピルが含まれる。ペルハロアルキルは、全ての水素原子がハロ原子に置き換えられたアルキルを指す。
【0055】
本明細書で用いるとき、「ヘテロアリール」という用語は、N、O、SまたはSeから選択された1から8個のヘテロ原子を有する、5~14員単環または二環または融合多環系を指す。好ましくは、ヘテロアリールは5~10員環系である。典型的なヘテロアリール基には、2-または3-チエニル、2-または3-フリル、2-または3-ピロリル、2-、4-、または5-イミダゾリル、3-、4-、または5-ピラゾリル、2-、4-、または5-チアゾリル、3-、4-、または5-イソチアゾリル、2-、4-、または5-オキサゾリル、3-、4-、または5-イソオキサゾリル、3-または5-1,2,4-トリアゾリル、4-または5-1,2,3-トリアゾリル、テトラゾリル、2-、3-、または4-ピリジル、3-または4-ピリダジニル、3-、4-、または5-ピラジニル、2-ピラジニル、2-、4-、または5-ピリミジニルが含まれる。
【0056】
「ヘテロアリール」という用語は、ヘテロ芳香族環が1つまたは複数のアリール、環状脂肪族、またはヘテロシクロアルキル環に融合された基も指し、ここでラジカルまたは付着点はヘテロ芳香族環上である。非限定的な例には、1-、2-、3-、5-、6-、7-、または8-インドリジニル、1-、3-、4-、5-、6-、または7-イソインドリル、2-、3-、4-、5-、6-、または7-インドリル、2-、3-、4-、5-、6-、または7-インダゾリル、2-、4-、5-、6-、7-、または8-プリニル、1-、2-、3-、4-、6-、7-、8-、または9-キノリジニル、2-、3-、4-、5-、6-、7-、または8-キノリル(quinoliyl)、1-、3-、4-、5-、6-、7-、または8-イソキノリル(isoquinoliyl)、1-、4-、5-、6-、7-、または8-フタラジニル、2-、3-、4-、5-、または6-ナフチリジニル、2-、3-、5-、6-、7-、または8-キナゾリニル、3-、4-、5-、6-、7-、または8-シンノリニル、2-、4-、6-、または7-プテリジニル、1-、2-、3-、4-、5-、6-、7-、または8-4aHカルバゾリル、1-、2-、3-、4-、5-、6-、7-、または8-カルバゾリル、1-、3-、4-、5-、6-、7-、8-、または9-カルボリニル、1-、2-、3-、4-、6-、7-、8-、9-、または10-フェナントリジニル、1-、2-、3-、4-、5-、6-、7-、8-、または9-アクリジニル、1-、2-、4-、5-、6-、7-、8-、または9-ペリミジニル、2-、3-、4-、5-、6-、8-、9-、または10-フェナントロリニル、1-、2-、3-、4-、6-、7-、8-、または9-フェナジニル、1-、2-、3-、4-、6-、7-、8-、9-、または10-フェノチアジニル、1-、2-、3-、4-、6-、7-、8-、9-、または10-フェノキサジニル、または1-、3-、4-、5-、6-、7-、8-、9-、または10-ベンゾイソキノリニル、2-、3-、4-、または5-チエノ[2,3-b]フラニル、2-、3-、5-、6-、7-、8-、9-、10-、または11-7H-ピラジノ[2,3-c]カルバゾリル、2-、3-、5-、6-、または7-2H-フロ[3,2-b]-ピラニル、2-、3-、4-、5-、7-、または8-5H-ピリド[2,3-d]-o-オキサジニル、1-、3-、または5-1H-ピラゾロ[4,3-d]-オキサゾリル、2-、4-、または54H-イミダゾ[4,5-d]チアゾリル、3-、5-、または8-ピラジノ[2,3-d]ピリダジニル、2-、3-、5-、または6-イミダゾ[2,1-b]チアゾリル、1-、3-、6-、7-、8-、または9-フロ[3,4-c]シンノリニル、1-、2-、3-、4-、5-、6-、8-、9-、10、または11-4H-ピリド[2,3-c]カルバゾリル、2-、3-、6-、または7-イミダゾ[1,2-b][1,2,4]トリアジニル、7-ベンゾ[b]チエニル、2-、4-、5-、6-、または7-ベンゾオキサゾリル、2-、4-、5-、6-、または7-ベンゾイミダゾリル、2-、4-、4-、5-、6-、または7-ベンゾチアゾリル、1-、2-、4-、5-、6-、7-、8-、または9-ベンゾオキサピニル、2-、4-、5-、6-、7-、または8-ベンゾオキサジニル、1-、2-、3-、5-、6-、7-、8-、9-、10-、または11-1H-ピロロ[1,2-b][2]ベンゾアザピニル(benzazapinyl)が含まれるが、これらに限定されない。典型的な融合ヘテロアリール基には、2-、3-、4-、5-、6-、7-、または8-キノリニル、1-、3-、4-、5-、6-、7-、または8-イソキノリニル、2-、3-、4-、5-、6-、または7-インドリル、2-、3-、4-、5-、6-、または7-ベンゾ[b]チエニル、2-、4-、5-、6-、または7-ベンゾオキサゾリル、2-、4-、5-、6-、または7-ベンゾイミダゾリル、2-、4-、5-、6-、または7-ベンゾチアゾリルが含まれるが、これらに限定されない。
【0057】
本明細書で用いるとき、「ヘテロシクリル」または「ヘテロシクロ」という用語は、任意に置換された、完全飽和または不飽和、芳香族または非芳香族環基を指し、例えば、それは4から7員単環、7から12員二環または10から15員三環式の環系であり、それは少なくとも1つのヘテロ原子を少なくとも1つの炭素原子含有環内に有する。ヘテロ原子を含有する複素環基の各環は、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選択された1、2または3個のヘテロ原子を有し得、ここで窒素及び硫黄ヘテロ原子は任意選択的に酸化もされ得る。複素環基はヘテロ原子または炭素原子において付着され得る。
【0058】
例示的な単環式複素環基には、ピロリジニル、ピロリル、ピラゾリル、オキセタニル、ピラゾリニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、トリアゾリル、オキサゾリル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリニル、イソオキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリジニル、イソチアゾリル、イソチアゾリジニル、フリル、テトラヒドロフリル、チエニル、オキサジアゾリル、ピペリジニル、ピペラジニル、2-オキソピペラジニル、2-オキソピペリジニル、2-オキソピロロジニル、2-オキソアゼピニル、アゼピニル、4-ピペリドニル(piperidonyl)、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、チアモルホリニル、チアモルホリニルスルホキシド、チアモルホリニルスルホン、1,3-ジオキソラン及びテトラヒドロ-1,1-ジオキソチエニル、1,1,4-トリオキソ-1,2,5-チアジアゾリジン-2-イルなどが含まれる。
【0059】
例示的な二環式複素環基には、インドリル、ジヒドロインドリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサジニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾチアジニル、キヌクリジニル、キノリニル、テトラヒドロキノリニル、デカヒドロキノリル、イソキノリニル、テトラヒドロイソキノリル、デカヒドロイソキノリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾピラニル、インドリジニル、ベンゾフリル、クロモニル、クマリニル、ベンゾピラニル、シンノリニル、キノキサリニル、インダゾリル、ピロロピリジル、フロピリジニル(例えば、フロ[2,3-c]ピリジニル、フロ[3,2-b]-ピリジニル]またはフロ[2,3-b]ピリジニル)、ジヒドロイソインドリル、1,3-ジオキソ-1,3-ジヒドロイソインドール-2-イル、ジヒドロキナゾリニル(例えば、3,4-ジヒドロ-4-オキソ-キナゾリニル)、フタラジニルなどが含まれる。
【0060】
例示的な三環式複素環基には、カルバゾリル、ジベンゾアゼピニル、ジチエノアゼピニル、ベンズインドリル、フェナントロリニル、アクリジニル、フェナントリジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、キサンテニル、カルボリニルなどが含まれる。
【0061】
「ヘテロシクリル」は、以下からなる群より選択された1、2または3つの置換基で置換された本明細書に定義する複素環基をさらに指す:
(a)アルキル;
(b)ヒドロキシ(または保護されたヒドロキシ);
(c)ハロ;
(d)オキソ、すなわち、=O;
(e)アミノ、アルキルアミノまたはジアルキルアミノ;
(f)アルコキシ;
(g)シクロアルキル;
(h)カルボキシ;
(i)ヘテロシクロオキシ、ここでヘテロシクロオキシは酸素架橋を通して結合された複素環基を示す;
(j)アルキル-O-C(O)--;
(k)メルカプト;
(l)ニトロ;
(m)シアノ;
(n)スルファモイルまたはスルホンアミド;
(o)アリール;
(p)アルキル-C(O)-O--;
(q)アリール-C(O)-O--;
(r)アリール-S--;
(s)アリールオキシ;
(t)アルキル-S--;
(u)ホルミル、すなわち、HC(O)--;
(v)カルバモイル;
(w)アリール-アルキル--;及び
(x)アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、アルキル-C(O)-NH--、アルキルアミノ、ジアルキルアミノまたはハロゲンで置換されたアリール。
【0062】
本明細書で用いるとき、「アルケニル」という用語は、2から20個の炭素原子を有し、少なくとも1つの2重結合を含有する直鎖または分岐鎖状の炭化水素基を指す。アルケニル基は好ましくは約2から8個の炭素原子を有する。
【0063】
「アリール」という用語は、別段の記述のない限り、多不飽和、芳香族、炭化水素置換基を意味し、これは単環または多環式(好ましくは、1~3環)であり得、これらは共に融合している、または共有結合している。「ヘテロアリール」という用語は、N、O、及びSから選択される1~4個のヘテロ原子を含有するアリール基(または環)を意味し、ここで窒素及び硫黄原子は、任意選択的に酸化され、窒素原子(複数可)は、任意選択的に四級化される。ヘテロアリール基は、ヘテロ原子を介して、分子の残りの部分に付着することができる。アリール及びヘテロアリール基の非限定的な例には、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、4-ビフェニル、1-ピロリル、2-ピロリル、3-ピロリル、3-ピラゾリル、2-イミダゾリル、4-イミダゾリル、ピラジニル、2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、2-フェニル-4-オキサゾリル、5-オキサゾリル、3-イソキサゾリル、4-イソキサゾリル、5-イソキサゾリル、2-チアゾリル、4-チアゾリル、5-チアゾリル、2-フリル、3-フリル、2-チエニル、3-チエニル、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、2-ピリミジル、4-ピリミジル、5-ベンゾチアゾリル、プリニル、2-ベンズイミダゾリル、5-インドリル、1-イソキノリル、5-イソキノリル、2-キノキサリニル、5-キノキサリニル、3-キノリル、及び6-キノリルが含まれる。上記に示したアリール及びヘテロアリール環系のそれぞれについての置換基は、下に記載する許容可能な置換基の群から選択される。
【0064】
簡潔さのため、「アリール」という用語は、他の用語(例えば、アリールオキシ、アリールチオキシ、アリールアルキル)と組み合わせて使用されたとき、上で定義したアリール及びヘテロアリール環の両方を含む。ゆえに、「アリールアルキル」という用語は、炭素原子(例えば、メチレン基)が例えば酸素原子に置き換えられたアルキル基(例えば、フェノキシメチル、2-ピリジルオキシメチル、3-(1-ナフチルオキシ)プロピルなど)を含むアルキル基にアリール基が付着したラジカル(例えば、ベンジル、フェネチル、ピリジルメチルなど)を含むことが意図される。
【0065】
上記の用語(例えば、「アルキル」、「ヘテロアルキル」、「アリール」、及び「ヘテロアリール」)のそれぞれは、示されたラジカルの置換及び非置換形態の両方を含む。それぞれの種類のラジカルの好ましい置換基を、下記に提供する。
【0066】
アルキル及びヘテロアルキルラジカル(アルキレン、アルケニル、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル、及びヘテロシクロアルケニルと、多くの場合に呼ばれる基を含む)の置換基は、一般に、それぞれ「アルキル置換基」及び「ヘテロアルキル置換基」と呼ばれ、これらは、-OR’、=O、=NR’、=N-OR’、-NR’R’’、-SR’、-ハロゲン、-SiR’R’’R’’’、-OC(O)R’、-C(O)R’、-COR’、-CONR’R’’、-OC(O)NR’R’’、-NR’’C(O)R’、-NR’-C(O)NR’’R’’’、-NR’’C(O)R’、-NR-C(NR’R’’R’’’)=NR’’’’、-NR-C(NR’R’’)=NR’’’、-S(O)R’、-S(O)R’、-S(O)NR’R’’、-NRSOR’、-CN、及び-NOから選択されるが、これらに限定されない1つまたは複数の様々な基であることができ、ここで数はゼロから(2m’+1)の範囲であり、m’は、そのようなラジカルの炭素原子の総数である。R’、R’’、R’’’、及びR’’’’は、それぞれ好ましくは独立して、水素、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換アリール、例えば1~3つのハロゲンで置換されるアリール、置換または非置換アルキル、アルコキシ、またはチオアルコキシ基、またはアリールアルキル基を指す。本発明の化合物が1つを越えるR基を含む場合、例えば、それぞれのR基は独立して選択され、各R’、R’’、R’’’、及びR’’’’も、1つを越えるこれらの基が存在する場合、同様である。R’及びR’’が同じ窒素原子に付着している場合、これらは窒素原子と組み合わされて、5員、6員、または7員環を形成することができる。例えば、これらに限定されないが-NR’R’’は1-ピロリジニル及び4-モルホリニルを含むことが意図される。置換基の上記考察から、当業者は、「アルキル」という用語が、ハロアルキル(例えば、-CF及び-CHCF)、及びアシル(例えば、-C(O)CH、-C(O)CF、-C(O)CHOCHなど)などの、水素基以外の基に結合する炭素原子を含む基を含むことが意図されることを理解するだろう。
【0067】
アルキルラジカルについて記載した置換基と同様に、アリール置換基及びヘテロアリール置換基は、一般に、それぞれ「アリール置換基」及び「ヘテロアリール置換基」と呼ばれ、様々であり、例えば:ハロゲン、-OR’、=O、=NR’、=N-OR’、-NR’R’’、-SR’、-ハロゲン、-SiR’R’’R’’’、-OC(O)R’、-C(O)R’、-COR’、-CONR’R’’、-OC(O)NR’R’’、-NR’’C(O)R’、-NR’-C(O)NR’’R’’’、-NR’’C(O)R’、-NR-C(NR’R’’)=NR’’’、-S(O)R’、-S(O)R’、-S(O)NR’R’’、-NRSOR’、-CN及び-NO、-R’、-N、-CH(Ph)、フルオロ(C~C)アルコキシ及びフルオロ(C~C)アルキルから選択され、ここで数はゼロから芳香族環系の空原子価(open valence)の総数の範囲であり、R’、R’’、R’’’、及びR’’’’は、好ましくは、水素、(C~C)アルキル及びヘテロアルキル、非置換アリール及びヘテロアリール、(非置換アリール)-(C~C)アルキル、及び(非置換アリール)オキシ-(C~C)アルキルから独立して選択される。本発明の化合物が1つを越えるR基を含む場合、例えば、それぞれのR基は独立して選択され、各R’、R’’、R’’’、及びR’’’’基も、1つを越えるこれらの基が存在する場合、同様である。
【0068】
アリールまたはヘテロアリール環の隣接原子上のアリール置換基のうちの2つは、任意選択的に、式-T-C(O)-(CRR’)-U-の置換基に置き換えられてよく、式中、T及びUは独立して、-NR-、-O-、-CRR’-、または単結合であり、qは、0から3の整数である。あるいは、アリールまたはヘテロアリール環の隣接原子上の置換基のうちの2つは、任意選択的に、式-A-(CH-B-の置換基に置き換えられてよく、式中、A及びBは独立して、-CRR’-、-O-、-NR-、-S-、-S(O)-、-S(O)-、-S(O)NR’-、または単結合であり、rは、1から4の整数である。そのように形成された新規環の単結合のうちの1つは、任意選択的に二重結合と置き換えられてよい。あるいは、アリールまたはヘテロアリール環の隣接原子上の置換基のうちの2つは、任意選択的に、式-(CRR’)-X-(CR’’R’’’)-の置換基に置き換えられてよく、式中、s及びdは、独立して0~3の整数であり、Xは、-O-、-NR’-、-S-、-S(O)-、-S(O)-、または-S(O)NR’-である。置換基R、R’、R’’、及びR’’’は、好ましくは独立して、水素または置換または非置換(C~C)アルキルから選択される。
【0069】
本明細書で用いるとき、「ヘテロ原子」という用語は、酸素(O)、窒素(N)、硫黄(S)、リン(P)、及びケイ素(Si)を含む。
【0070】
本明細書で用いるとき、「アリールオキシ」という用語は、-O-アリール及び-O-ヘテロアリール基の両方を指し、ここでアリール及びヘテロアリールは本明細書に定義される。
【0071】
本明細書で用いるとき、「薬学的に許容され得る塩」という用語は、本発明の化合物の生物学的有効性及び特性を保持する塩を指し、これは生物学的またはその他において望ましくないものではない。多くの場合、本発明の化合物は、アミノ及び/またはカルボキシル基またはそれらに類似の基(例えば、フェノールまたはヒドロキサム酸)の存在によって、酸及び/または塩基塩を形成することができる。薬学的に許容され得る酸付加塩は、無機酸及び有機酸を用いて形成することができる。塩を誘導することができる無機酸としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、などが挙げられる。塩を誘導することができる有機酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸などが挙げられる。薬学的に許容され得る塩基付加塩は、無機及び有機塩基を用いて形成することができる。塩を誘導することができる無機塩基としては、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウムなどが挙げられ;特に好ましいのは、アンモニウム、カリウム、ナトリウム、カルシウム及びマグネシウム塩である。塩を誘導することができる有機塩基としては、例えば、第一、第二、及び第三級アミン、天然に生じる置換アミンを含む置換アミン、環状アミン、塩基性イオン交換樹脂など、具体的には例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、及びエタノールアミンが挙げられる。本発明の薬学的に許容され得る塩は、従来の化学的方法により、親化合物、塩基性または酸性部分から合成されることができる。一般に、そのような塩は、これらの化合物の遊離酸形態を化学量論量の適切な塩基(例えば、Na、Ca、Mg、またはK水酸化物、カーボネート、バイカーボネート、など)と反応させることにより、またはこれらの化合物の遊離塩基形態を化学量論量の適切な酸と反応させることにより調製することができる。そのような反応は、典型的には、水中または有機溶媒中、またはこの2つの混合物中で実行される。一般に、実行可能な場合、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、またはアセトニトリルのような非水性媒体が好ましい。追加の好適な塩のリストは、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,第20版,Mack Publishing Company,ペンシルベニア州イーストン(1985)に見出すことができ、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0072】
本明細書で用いるとき、「薬学的に許容され得る担体/賦形剤」という用語は、任意及び全ての溶媒、分散媒、被覆剤、界面活性剤、抗酸化剤、保存剤(例えば、抗菌剤、抗真菌剤)、等張剤、吸収遅延剤、塩、薬物、薬物安定化剤、結合剤、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、甘味剤、香味剤、色素、そのような素材及びそれらの組み合わせを含み、これらは当業者に周知であるだろう(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Remington’s Pharmaceutical Sciences,第18版.Mack Printing Company,1990,pp.1289-1329を参照されたい)。任意の従来の担体が活性成分と不適合でない場合を除き、治療または医薬組成物におけるその使用が企図される。
【0073】
本明細書で用いるとき、「対象」という用語は動物を指す。好ましくは、動物は哺乳類である。対象は、例えば、霊長類(例えば、ヒト)、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウス、魚類、鳥類なども指す。好ましい実施形態では、対象はヒトである。
【0074】
化合物及び組成物
一態様では、本発明は式(Ia):
TM-Ln-AM(Ia)の構造を有する化合物を提供し、
式中、TMは標的部分であり、AMは、樹状細胞、ナチュラルキラー細胞、または腫瘍細胞、またはそれらの組み合わせを活性化させる活性化部分であり、Lnはリンカーであり、nは0及び1から選択される整数である。
【0075】
本明細書において「活性化部分」とは、身体の免疫系または腫瘍細胞を刺激または増強することができる分子または薬剤を意味する。一般に、活性化部分は、トール様受容体、ヌクレオチド-オリゴマー化ドメイン様受容体、RIG-I様受容体、c型レクチン受容体、または細胞質DNAセンサー、またはそれらの組み合わせに対して直接的または間接的に作用する。
【0076】
いくつかの実施形態では、活性化部分は、樹状細胞、マクロファージ、単球、骨髄由来抑制細胞、NK細胞、B細胞、T細胞、または腫瘍細胞、またはそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されないヒト免疫細胞を活性化する。
【0077】
樹状細胞は、最も強力な抗原提示細胞である。樹状細胞は、先天及び適応免疫応答の両方の開始に重要な役割を果たす。樹状細胞は、免疫寛容の誘発及び維持において主要な役割も果たす。
【0078】
本明細書において「樹状細胞」(DC)とは、2つの主なサブタイプ、すなわち骨髄DC(mDC)及び形質細胞様DC(pDC)を含む異種細胞集団を意味する(Steinmanら、1979,J.Exp.Med.,149,1-16)。これらの2つの血液DCサブセットは、それらのCD11c(インテグン相補体受容体)及びCD123(IL-3Rα)の発現により元々区別されていた。pDC及びmDC集団のそれぞれは、ヒトにおけるPBMC集団の約0.2~約0.6%間を成す。
【0079】
本明細書において「pDC」とは、形質細胞様樹状細胞を意味し、血液及び末梢リンパ器官において見出される樹状細胞のサブタイプを表す。これらの細胞は、表面マーカーCD123、BDCA-2(CD303)、及びBDCA-4(CD304)、及びHLA-DRを発現するが、CD11c、CD14、CD3、CD20、またはCD56を発現せず、このことにより従来の樹状細胞、単球、T細胞、B細胞、及びNK細胞から区別される。先天免疫系の構成要素として、これらの細胞は、細胞内トール様受容体7及び9を発現し、これらはssRNAまたはCpG DNAモチーフなどの、ウイルス及び細菌の核酸の検出を可能にする。刺激及びそれに続く活性化の際に、これらの細胞は大量のI型インターフェロン(主に、IFN-α及びIFN-β)及びIII型インターフェロン(例えば、IFN-λ)を産生し、これらは、広範囲の効果を仲介する重要な多面的抗ウイルス化合物である。多数のI型インターフェロン、サイトカイン及びケモカインを生成することによって、形質細胞様樹状細胞は、身体の先天及び適応免疫応答に広範囲に関与する。これらは、免疫応答強度、持続期間、及び応答様式に関与するNK細胞、T細胞、B細胞、及び他の細胞を調節することができ、したがって、腫瘍、感染、及び自己免疫性疾患において非常に重要な機能を担う(Liu YJ.IPC:professional type 1 interferon-producing cells and plasmacytoid dendritic cell precursors.Annu Rev Immunol.2005;23:275-306.Gilliet M,Cao W,Liu YJ.Plasmacytoid dendritic cells:sensing nucleic acids in viral infection and autoimmune diseases.Nat Rev Immunol.2008 Aug;8(8):594-606)。
【0080】
本明細書において「mDC」とは、骨髄樹状細胞を意味し、血液及び末梢リンパ器官において見出される循環樹状細胞のサブタイプを表す。これらの細胞は、表面マーカーCD11c、CD1a、HLA-DR、及びBDCA-1(CD1c)またはBDCA-3(CD141)のいずれかを発現する。これらはBDCA-2またはCD123を発現せず、このことによりpDCから区別される。またmDCも、CD3、CD20、またはCD56を発現しない。先天免疫系の構成要素として、mDCは、TLR2、3、4、5、6、及び8を含むトール様受容体(TLR)を発現し、これらは細菌及びウイルス成分の検出を可能にする。刺激及びそれに続く活性化により、これらの細胞は、抗原特異的CD4ならびにCD8T細胞を活性化する、最も強力な抗原提示細胞である。加えて、mDCは、大量のIL-12及びIL23を産生する能力を有し、このことは、Th1仲介またはTh17細胞仲介免疫の誘発にとって重要である。
【0081】
研究は、乳癌、頭頸部癌、卵巣癌などの多くの固形腫瘍がpDC浸潤を有すること(Treilleux I,Blay JY,Bendriss-Vermare Nら、Dendritic cell infiltration and prognosis of early stage breast cancer.Clin Cancer Res 2004;10:7466-7474.Hartmann E,Wollenberg B,Rothenfusser Sら、Identification and functional analysis of tumor-infiltrating plasmacytoid dendritic cells in head and neck cancer.Cancer Res 2003;63:6478-6487.Zou WP,Machelon V,Coulomb-L’Hermin Aら、Stromal-derived factor-1 in human tumors recruits and alters the function of plasmacytoid precursor dendritic cells.Nat Med2001;7:1339-1346)及び腫瘍細胞により分泌された因子がDC成熟を阻害する(Gabrilovich DI,Corak J,Ciernik IFら、Decreased antigen presentation by dendritic cells in patients with breast cancer.Clin Cancer Res 1997;3:483-490.Bell D,Chomarat P,Broyles Dら、In breast carcinoma tissue,immature dendritic cells reside within the tumor,whereas mature dendritic cells are located in peritumoral areas.J Exp Med 1999;190:1417-1425.Menetrier-Caux C,Montmain G,Dieu MCら、Inhibition of the differentiation of dendritic cells from CD34(+)progenitors by tumor cells:role of interleukin-6 and macrophage colony-stimulating factor.Blood 1998;92:4778-4791)ことを見出した。これらの未成熟DC細胞は、抗腫瘍免疫の促進において役割を果たさなかった。対照的に、腫瘍微小環境内のDCは、抗腫瘍免疫を阻害し、血管新生を促進することによって、腫瘍増殖を促進する。トール様受容体7作動薬イミキモド及びトール様受容体9作動薬CpG薬は、腫瘍微小環境内のpDCを刺激して、腫瘍発達を阻害することができる証拠がある(Dummer R,Urosevic M,Kempf Wら、Imiquimod in basal cell carcinoma:how does it work? Br J Dermatol 2003;149:57-58.Miller RL,Gerster JF,Owens MLら、Imiquimod applied topically:a novel immune response modifier and new class of drug.Int J Immunopharmacol 1999;21:1-14.Hofmann MA,Kors C, Audring Hら、Phase 1 evaluation of intralesionally injected TLR9-agonist PF-3512676 in patients with basal cell carcinoma or metastatic melanoma.J Immunother 2008;31:520-527)。
【0082】
ナチュラルキラー(NK)細胞は、免疫系の主な構成要素を成す1種の細胞障害性リンパ球である。NK細胞は、CD56またはCD16の発現、及びT細胞受容体(CD3)の不在により定義される末梢血リンパ球のサブセットである。これらは、MHC非制限様式で初回刺激することなく、形質転換細胞系を認識し、死滅させる。NK細胞は、腫瘍及びウイルスに感染した細胞の拒絶に主要な役割を果たす。NK細胞が標的細胞を認識し、十分なシグナルを送達して、標的溶解を引き起こすプロセスは、細胞表面上の一連の阻害性及び活性化受容体によって決定される。変更された自己からの自己のNK識別は、MHC-I分子及び非MHCリガンド様CD48及びClr-1bの阻害性受容体認識が関与する。感染または損傷細胞(変更された自己)のNK認識は、NKG2D、Ly49H、及びNKp46/Ncr1を含む様々な活性化受容体により認識されるストレス誘発性リガンド(例えば、MICA、MICB、Rae1、H60、Mult1)、またはウイルスコードリガンド(例えば、m157、ヘマグルチニン)によって調整される。
【0083】
NK細胞は、同種または自家幹細胞移植後に、数か月にわたって末梢血において優性なリンパ球細胞を提示し、この期間における病原体に対する免疫において主な役割を有する(Reittieら、(1989)Blood 73:1351-1358;Lowdellら、(1998)Bone Marrow Transplant 21:679-686)。生着、移植片対宿主疾患、抗白血病活性、及び移植後感染におけるNK細胞の役割は、Lowdell(2003)Transfusion Medicine 13:399-404において概説されている。
【0084】
ヒトNK細胞は、天然の細胞障害及び抗体依存性細胞障害(ADCC)を介して腫瘍細胞及びウイルス感染細胞の溶解を仲介する。
【0085】
ヒトNK細胞は、正及び負の細胞溶解シグナルにより制御される。負(阻害性)のシグナルは、受容体CD94/NKG2Aを含有するC-レクチンドメインにより、及びいくつかのキラー免疫グロブリン様受容体(KIR)により伝達される。阻害シグナルによるNK溶解の調節は、標的細胞表面上に発現した特定のHLAクラスI対立遺伝子がNK細胞の阻害性受容体をライゲートする、「自己性の喪失」仮説として知られている。腫瘍細胞及びいくつかのウイルス感染細胞(例えば、CMV)上のHLA分子のダウンレギュレーションは、この阻害を標的閾値未満に下げ、標的細胞がNK初回刺激及び活性化分子も有する場合、標的細胞は、NK細胞仲介溶解に敏感になり得る。TLR7、TLR8、またはTLR9作動薬は、mDC及びpDCの両方を活性化して、I型IFNを産生し、GITR-リガンドなどの同時刺激分子を発現し、これは続いてNK細胞を活性化して、IFN-gを産生し、強力にNK細胞の死滅機能を促進することができる。
【0086】
阻害性受容体は2つの群、すなわちキラー免疫グロブリン様受容体(KIR)と呼ばれるIgスーパーファミリーの群、及び細胞表面でCD94と二量体を形成する、レクチンファミリーのNKG2の群に分けられる。KIRは、2または3ドメイン細胞外構造を有し、HLA-A、-B、または-Cに結合する。NKG2/CD94複合体は、HLA-Eをライゲートする。
【0087】
阻害性KIRは、ITIMを含有する細胞内ドメインを4つまで有し、最も特徴づけられるものは、KIR2DL1、KIR2DL2、及びKIR2DL3であり、これらはHLA-C分子を結合することが知られている。KIR2DL2及びKIR2DL3は、群1のHLA-C対立遺伝子を結合し、一方、KIR2DL1は、群2の対立遺伝子に結合する。ある特定の白血病/リンパ腫細胞は、群1及び2の両方のHLA-C対立遺伝子を発現し、NK仲介細胞溶解に抵抗性であることが知られている。
【0088】
正の活性化シグナルに関して、ADCCは、CD16を介して仲介されると考えられ、CD2、CD38、CD69、NKRP-I、CD40、B7-2、NK-TR、NKp46、NKp30、及びNKp44を含む、天然の細胞障害性の原因となる多数の引き金受容体が同定されている。加えて、短い細胞質内尾部を有するいくつかのKIR分子も、刺激性である。これらのKIR(KIR2DS1、KIR2DS2、及びKIR2DS4)は、HLA-Cに結合することが知られており;これらの細胞外ドメインはその関連する阻害性KIRと同一である。活性化KIRは、ITIMを欠いており、代わりに、DAP12と会合し、NK細胞活性化をもたらす。阻害性KIR対活性化KIRの発現制御の機構は、依然として不明である。
【0089】
いくつかの報告が、マウスまたはヒト癌または癌細胞系におけるTLRの発現を記載している。例えば、TLR1~TLR6は、結腸、肺、前立腺、及び黒色腫マウス腫瘍細胞系により発現され(Huang B,ら、Toll-like receptors on tumor cells facilitate evasion of immune surveillance.Cancer Res.2005;65(12):5009-5014)、TLR3は、ヒト乳癌細胞において発現され(Salaun B,Coste I,Rissoan MC,Lebecque SJ,Renno T.TLR3 can directly trigger apoptosis in human cancer cells.J Immunol.2006;176(8):4894-4901)、肝細胞癌及び胃癌腫細胞は、TLR2及びTLR4を発現し(Huang B,ら、Listeria monocytogenes promotes tumor growth via tumor cell toll-like receptor 2 signaling.Cancer Res.2007;67(9):4346-4352)、TLR9(Droemann Dら、Human lung cancer cells express functionally active Toll-like receptor 9.Respir Res.2005;6:1)及びTLR4(He W,Liu Q,Wang L,Chen W,Li N,Cao X.TLR4 signaling promotes immune escape of human lung cancer cells by inducing immunosuppressive cytokines and apoptosis resistance.Mol Immunol.2007;44(11):2850-2859)は、ヒト肺癌細胞により発現される。TLR7及びTLR8は、ヒト肺癌の腫瘍細胞において見出される(Cherfils-Vicini J,Platonova S,Gillard M,Laurans L,Validire P, Caliandro R,Magdeleinat P,Mami-Chouaib F,Dieu-Nosjean MC,Fridman WH,Damotte D,Sautes-Fridman C,Cremer I.J.Clin Invest.2010;120(4):1285-1297)。
【0090】
TLRは、微生物産物を感知する、及び/または適応免疫応答を開始する、タンパク質のファミリーである。TLRは樹状細胞(DC)を活性化する。TLRは、ロイシン豊富反復の外部ドメイン、膜貫通ドメイン、及び細胞内TIR(トール/インターロイキン受容体)ドメインを含有する、保存膜貫通分子(conserved membrane spanning molecule)である。TLRは、多くの場合に「PAMP」(病原体関連分子パターン)と呼ばれる、微生物内の特有の構造を認識する。TLRに結合するリガンドは、炎症及び免疫に関与する因子の産生を誘発する細胞内シグナル伝達経路のカスケードを引き起こす。
【0091】
いくつかの実施形態では、活性化部分は、TLR7及び/またはTLR8作動薬である。TLR7及びTLR8は、系統的及び構造的に関連する。TLR7は、ヒトpDC及びB細胞により選択的に発現される。TLR8は、mDC、単球、マクロファージ、及び骨髄抑制細胞において優位に発現される。TLR7特異的作動薬は、形質細胞様DC(pDC)を活性化して、大量の1型IFNを産生し、T細胞、NK細胞、B細胞、及びmDCの活性化を促進する同時刺激分子を高いレベルで発現する。TLR8特異的作動薬は、骨髄DC、単球、マクロファージ、または骨髄由来抑制細胞を活性化して、大量の1型IFN、IL-12、及びIL-23を産生し、抗原特異的CD4及びCD8+T細胞の活性化を促進するMHCクラスI、MHCクラスII、及び同時刺激分子を高いレベルで発現する。
【0092】
別の態様では、本発明は、式(Ib):
TM-L-AM(Ib)
の構造を有する化合物、またはその薬学的に許容され得る塩または溶媒和物を提供し、
式中、TMは標的部分であり、Lはリンカーであり、AMは式(I):
【化8】
の構造により表される活性化部分であり、
式中、破線は結合または結合の不在を表し、
【化9】
はリンカーに結合される点であり;
Xは、Sまたは-NRであり、Rは-W―W―W―W―Wであり、
は、結合、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、または-アルキル-S-アルキル--であり、
は、結合、--O--、または--NR--であり、ここでRは、水素、アルキルまたはアルケニルであり、
は、結合、--O--、--C(O)--、--C(S)--、または-S(O)―であり、
は、結合、--NR--であり、ここでRは、水素、アルキルまたはアルケニルであり、
は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、またはヘテロシクリルであり、そのそれぞれは、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、--NH、ニトロ、--アルキル-ヒドロキシル、--アルキル-アリール、--アルキル-ヘテロアリール、--アルキル-ヘテロシクリル、--O-R、--O-アルキル-R、--アルキル-O-R、--C(O)-R、--アルキル-C(O)-R、--アルキル-C(O)-O-R、--C(O)-O-R、--S-R、--S(O)-R、--NH-S(O)-R、--アルキル-S-R4、--アルキル-S(O)-R、--NHR、--NR、--NH-アルキル-R、ハロゲン、--CN、--NO、及び-SHからなる群より選択される1つまたは複数の置換基により任意選択的に置換され、ここでRは独立して、水素、アルキル、アルケニル、--アルキル-ヒドロキシル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、またはハロアルキルであり;
Zは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリール、ハロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリルであり、そのそれぞれは、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、--N(R、--アルコキシ-アルキル、--アルコキシ-アルケニル、--C(O)-アルキル、--C(O)-O-アルキル、--O-C(O)-アルキル、--C(O)-N(R、アリール、ヘテロアリール、--CO-アリール、及び-CO-ヘテロアリールからなる群より選択される1つまたは複数の置換基により任意選択的に置換されることができ、ここで各Rは独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、--アルキル-アリール、または-アルキル-ヘテロアリールであり;
Rは、水素、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロゲン、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリルであり、そのそれぞれは、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、--NH、ニトロ、--アルキル-ヒドロキシル、--アルキル-アリール、--アルキル-ヘテロアリール、--アルキル-ヘテロシクリル、--O-R、--O-アルキル-R、--アルキル-O-R、--C(O)-R、--C(O)-NH-R、--C(O)-NR、--アルキル-C(O)-R、--アルキル-C(O)-O-R、--C(O)-O-R、--O-C(O)-R、--S-R、--C(O)-S-R、--S-C(O)-R、--S(O)-R、--NH-S(O)-R、--アルキル-S-R、--アルキル-S(O)-R、--NHR、--NR、--NH-アルキル-R、ハロゲン、--CN、及び-SHからなる群より選択される1つまたは複数の置換基により任意選択的に置換され、ここでRは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルコキシ、--アルキル-ヒドロキシル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、またはハロアルキルであり;
nは、0、1、2、3、または4であり;
Yは、-NR、-CR、または-アルキル-NHであり、そのそれぞれは、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、--NH、ハロゲン、--N(R、--アルコキシ-アルキル、--アルコキシ-アルケニル、--C(O)-アルキル、--C(O)-O-アルキル、--C(O)-N(R、アリール、ヘテロアリール、--CO-アリール、及び-CO-ヘテロアリールからなる群より選択される1つまたは複数の置換基により任意選択的に置換されることができ、
ここでR、R及びRは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルチオ、アリールチオ、--アルキル-ヒドロキシル、--アルキル-C(O)-O-R、--アルキル-C(O)-R、または-アルキル-O-C(O)-Rであり、ここで各Rは独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、--アルキル-アリール、または-アルキル-ヘテロアリールであり、ここでRは、水素、アルキル、アルケニル、ハロゲン、またはハロアルキルであり;
X及びZは一緒になって、任意選択的に(5~9)員環を形成し得る。
【0093】
いくつかの実施形態では、式(I)のXはSである。
【0094】
いくつかの実施形態では、式(I)のXは、-NRであり、Rはアルキル、--アルキル-W、-アルキル-O-W、--アルキル-NH-C(O)-W、--アルコキシ-NH-C(O)-W、--アルキル-NH-C(O)-NH-W、--アルコキシ-NH-C(O)-NH-W、--アルキル-S(O)-W、または--アルキル-NH-C(S)-Wであり、ここでWは上で定義される。
【0095】
いくつかの実施形態では、式(I)のZは、水素、アルキル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、ハロアルキルであり、そのそれぞれは、ヒドロキシル、アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シアノ、--アルコキシ-アルキル、ニトロ、及び-N(Rからなる群より選択される1から3つの置換基により任意選択的に置換され、ここで各Rは独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、--アルキル-アリール、または-アルキル-ヘテロアリールである。
【0096】
いくつかの実施形態では、式(I)のYは、-NH、--アルキル-NHであり、そのそれぞれはアルキル、アルコキシ、アルケニル、及びアルキニルからなる群より選択される1から3つの置換基により任意選択的に置換される。
【0097】
いくつかの実施形態では、式(I)のnは、1または2である。
【0098】
いくつかの実施形態では、式(I)のRは、アリールまたはヘテロアリールであり、そのそれぞれは、ヒドロキシル、アルコキシ、--アルキル-ヒドロキシル、--O-R、--O-アルキル-R、--アルキル-O-R、--C(O)-R、--C(O)-NH-R、--C(O)-NR、--アルキル-C(O)-R、--アルキル-C(O)-O-R、--C(O)-O-R、--O-C(O)-R、--S-R、--C(O)-S-R、-S-C(O)-R、--S(O)-R、--NH-S(O)-R、--アルキル-S-R、--アルキル-S(O)-R、--NHR、--NR、-NH-アルキル-R、ハロゲン、--CN、及び-SHからなる群より選択される1から3つの置換基により任意選択的に置換され、ここでRは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルコキシ、--アルキル-ヒドロキシル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、またはハロアルキルである。
【0099】
別の態様では、本発明は、式(Ib):
TM-L-AM(Ib)、
の構造を有する化合物、またはそれらの薬学的に許容され得る塩または溶媒和物を提供し、
式中、TMは標的部分であり、Lはリンカーであり、AMは式(Ic):
【化10】
の構造により表される活性化部分であって、
式中、破線は結合または結合の不在を表し、
【化11】
はリンカーに結合される点であり;
は、-W―W―W―W―Wであり、
は、結合、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、または-アルキル-S-アルキル--であり、
は、結合、--O--、または--NR--であり、ここでRは、水素、アルキルまたはアルケニルであり、
は、結合、--O--、--C(O)--、--C(S)--、または-S(O)―であり、
は、結合、--NR--であり、ここでRは、水素、アルキルまたはアルケニルであり、
は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、またはヘテロシクリルであり、そのそれぞれは、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、--NH、ニトロ、--アルキル-ヒドロキシル、--アルキル-アリール、--アルキル-ヘテロアリール、--アルキル-ヘテロシクリル、--O-R、--O-アルキル-R、--アルキル-O-R、--C(O)-R、--アルキル-C(O)-R、--アルキル-C(O)-O-R、--C(O)-O-R、--S-R、--S(O)-R、--NH-S(O)-R、--アルキル-S-R4、--アルキル-S(O)-R、--NHR、--NR、--NH-アルキル-R、ハロゲン、--CN、--NO、及び-SHからなる群より選択される1つまたは複数の置換基により任意選択的に置換され、ここでRは独立して、水素、アルキル、アルケニル、--アルキル-ヒドロキシル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、またはハロアルキルであり;
Zは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリール、ハロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリルであり、そのそれぞれは、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、--N(R、--アルコキシ-アルキル、--アルコキシ-アルケニル、--C(O)-アルキル、--C(O)-O-アルキル、--O-C(O)-アルキル、--C(O)-N(R、アリール、ヘテロアリール、--CO-アリール、及び-CO-ヘテロアリールからなる群より選択される1つまたは複数の置換基により任意選択的に置換されることができ、ここで各Rは独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、--アルキル-アリール、または-アルキル-ヘテロアリールであり;
Rは、水素、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロゲン、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリルであり、そのそれぞれは、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、--NH、ニトロ、--アルキル-ヒドロキシル、--アルキル-アリール、--アルキル-ヘテロアリール、--アルキル-ヘテロシクリル、--O-R、--O-アルキル-R、--アルキル-O-R、--C(O)-R、--C(O)-NH-R、--C(O)-NR、--アルキル-C(O)-R、--アルキル-C(O)-O-R、--C(O)-O-R、--O-C(O)-R、--S-R、--C(O)-S-R、--S-C(O)-R、--S(O)-R、--NH-S(O)-R、--アルキル-S-R、--アルキル-S(O)-R、--NHR、--NR、--NH-アルキル-R、ハロゲン、--CN、及び-SHからなる群より選択される1つまたは複数の置換基により任意選択的に置換され、ここでRは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルコキシ、--アルキル-ヒドロキシル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、またはハロアルキルであり;
nは、0、1、2、3、または4であり;
Yは、-NR、-CR、または-アルキル-NHであり、そのそれぞれは、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、--NH、ハロゲン、--N(R、--アルコキシ-アルキル、--アルコキシ-アルケニル、--C(O)-アルキル、--C(O)-O-アルキル、--C(O)-N(R、アリール、ヘテロアリール、--CO-アリール、及び-CO-ヘテロアリールからなる群より選択される1つまたは複数の置換基により任意選択的に置換されることができ、
ここでR、R及びRは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルチオ、アリールチオ、--アルキル-ヒドロキシル、--アルキル-C(O)-O-R、--アルキル-C(O)-R、または-アルキル-O-C(O)-Rであり、ここで各Rは独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、--アルキル-アリール、または-アルキル-ヘテロアリールであり、ここでRは、水素、アルキル、アルケニル、ハロゲン、またはハロアルキルであり;
X及びZは一緒になって、任意選択的に(5~9)員環を形成し得る。
【0100】
別の態様では、本発明は、式(Ib):
TM-L-AM(Ib)
の構造を有する化合物、またはその薬学的に許容され得る塩または溶媒和物を提供し、
式中、TMは標的部分であり、Lはリンカーであり、AMは式(IV):
【化12】
の構造により表される活性化部分であり、
式中、
【化13】
はリンカーへの結合点であり;
Vは、-NRであり、R及びRのそれぞれは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルチオ、アリールチオ、--アルキル-ヒドロキシル、--アルキル-C(O)-O-R、--アルキル-C(O)-R、または-アルキル-O-C(O)-Rであり、ここでRは、水素、アルキル、アルケニル、ハロゲン、またはハロアルキルであり;
10及びR11は独立して、水素、アルキル、アルケニル、アリール、ハロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、またはシクロアルキルであり、そのそれぞれは、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、--N(R、--アルコキシ-アルキル、--アルコキシ-アルケニル、--C(O)-アルキル、--C(O)-O-アルキル、--C(O)-N(R、アリール、ヘテロアリール、--CO-アリール、及び-CO-ヘテロアリールからなる群より選択される1つまたは複数の置換基により任意選択的に置換され、ここで各Rは独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、--アルキル-アリール、または-アルキル-ヘテロアリールであり;
TM及びLは、上記及び下記に定義される。
【0101】
いくつかの実施形態では、活性化部分は、表1から選択されるTLR7及び/またはTLR8作動薬である。表1の化合物は、US4,689,338、US5,389,640、US5,226,575、US6,110,929、US6,194,425、US5,352,784、US6,331,539、US5,482,936、US6,451810、WO2002/46192、WO2002/46193、WO2002/46194、US2004/0014779及びUS2004/0162309においてより詳細に記載され特徴付けられている。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【表1-7】
【0102】
好ましくは、AMはレシキモドまたはイミキモドである。
【0103】
いくつかの実施形態では、AMは、式(Id):
【化14】
の構造を有するイミダゾキノリン誘導体を含み、
式中、Rは、―NH(R)及びイソチオシアネート(―NCS)からなる群より選択され;
は、水素(―H)、アセチル、―CO-tert-Bu(-Boc)、―CO―(CH―R、C~C16アルキル、―CO-4-(フェニルボロン酸)、―C(S)―NH―(CH―NH―(CH―NH―(CH―NH
【化15】
からなる群より選択され、
は、水素、アルキン、アジド、カルボン酸、及び―CONH―(CH―O―(CH―O―(CH―O―(CH―Rからなる群より選択され;
は、アミノ、イソチオシアネート、及び―NH―CO―(CH―COHからなる群より選択され;
は、ペプチド抗原部分またはタンパク質抗原部分から選択され;
xは、1から10の任意の整数である。
【0104】
いくつかの実施形態では、AMは、式(Ie):
【化16】
の構造を有するイミダゾキノリン誘導体を含み、
式中、R及びRはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、ニトロ、―NH、アジド、ヒドロキシル、―CF、カルボン酸(carboylic acid)、及び―COからなる群より選択され;
は、C~Cアルキルであり、
は、―NH(R)及びイソチオシアネートからなる群より選択され;
は、水素、アセチル、―CO-tert-Bu(-Boc)、―CO―(CH―R、C~C16アルキル、―CO-4-(フェニルボロン酸)、―C(S)―NH―(CH―NH―(CH―NH―(CH―NH
【化17】
からなる群より選択され、
は、水素、アルキン、アジド、カルボン酸、及び―CONH―(CH―O―(CH―O―(CH―O―(CH―Rからなる群より選択され;
は、アミノ、イソチオシアネート、及び―NH―CO―(CH―COHからなる群より選択され;
は、ペプチド抗原部分またはタンパク質抗原部分から選択され;
Xは、1から10の任意の整数である。その開示がその全体において参照により組み込まれる、米国特許出願公開第20140256922A1。
【0105】
一般に、AMが式(Id)または式(Ie)の構造を有するイミダゾキノリン誘導体を含むとき、AMは、式(Id)のNHまたはR、または式(Ie)のNHまたはR4などの位置でリンカーに付着する。
【0106】
標的部分
一般に、本発明の化合物は、標的部分を含む。
【0107】
本明細書において「標的部分(TM)」または「標的剤」とは、一般的に「標的」または「マーカー」と呼ばれる、標的分子、細胞、粒子、組織、または凝集体に特異的または選択的に結合する分子、複合体、または凝集体を意味し、これらは本明細書においてさらに詳細に考察される。
【0108】
いくつかの実施形態では、標的部分は、免疫グロブリン、タンパク質、ペプチド、小分子、ナノ粒子、または核酸を含む。
【0109】
抗体(例えば、キメラ、ヒト化、及びヒト)、受容体のリガンド、レクチン、及び多糖類、及びある特定の酵素の基質などの例示的な標的剤が、当該分野において認識されており、本発明の実施において制限されることなく有用である。他の標的剤は、特定の分子認識モチーフを含まず、活性化部分に分子量を付加するナノ粒子、ポリ(エチレングリコール)のような巨大分子、多糖、及びポリアミノ酸を含む部類の化合物を含む。付加分子量は、活性化部分の薬物動態、例えば血清半減期に影響する。
【0110】
いくつかの実施形態では、標的部分は、抗体、抗体断片、二重特異的抗体、または他の抗体に基づいた分子または化合物である。しかしながら、標的部分の他の例が当該分野において知られており、例えば、アプタマー、アビマー(avimer)、受容体結合リガンド、核酸、ビオチン-アビジン結合対、結合ペプチド、またはタンパク質などを使用し得る。「標的部分」及び「結合部分」という用語は、本明細書において同義的に使用される。
【0111】
本明細書において「標的」または「マーカー」とは、特定の標的部分に特異的に結合することができる任意の実体を意味する。いくつかの実施形態では、標的は、1つまたは複数の特定の細胞または組織型と特異的に会合する。いくつかの実施形態では、標的は、1つまたは複数の特定の疾患状態と特異的に会合する。いくつかの実施形態では、標的は、1つまたは複数の特定の発生段階と特異的に会合する。例えば、細胞型特異的マーカーは、典型的には、細胞の基準集団よりもその細胞型において少なくとも2倍大きいレベルで発現する。いくつかの実施形態では、細胞型特異的マーカーは、基準集団におけるその平均発現よりも、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、または少なくとも1,000倍大きいレベルで存在する。細胞型特異的マーカーの検出または測定は、対象となる細胞型(複数可)を多くの、大半の、または全ての他の型の細胞から区別することを可能にし得る。いくつかの実施形態では、標的は、本明細書に記載のように、タンパク質、炭水化物、脂質、及び/または核酸を含むことができる。
【0112】
物質は、それが核酸標的部分に特異的に結合する場合に、本明細書に記載の目的のために「標的」されると考えられる。いくつかの実施形態では、核酸標的部分は、ストリンジェントな条件下で標的に特異的に結合する。標的部分を含む本発明の複合体または化合物は、標的部分が標的に特異的に結合して、それにより複合体または化合物組成物全体を特定の臓器、組織、細胞、細胞外マトリックス成分、及び/または細胞内区画に送達する場合に、「標的」されると考えれらる。
【0113】
ある特定の実施形態では、本発明に係る化合物は、臓器、組織、細胞、細胞外マトリックス成分、及び/または細胞内区画と会合する1つまたは複数の標的(例えば、抗原)に特異的に結合する標的部分を含む。いくつかの実施形態では、化合物は、特定の臓器または臓器系と会合する標的に特異的に結合する標的部分を含む。いくつかの実施形態では、本発明に係る化合物は、1つまたは複数の細胞内標的(例えば、細胞小器官、細胞内タンパク質)に特異的に結合する核標的部分を含む。いくつかの実施形態では、化合物は、罹患した臓器、組織、細胞、細胞外マトリックス成分、及び/または細胞内区画と会合する標的に特異的に結合する標的部分を含む。いくつかの実施形態では、化合物は、特定の細胞型(例えば、内皮細胞、癌細胞、悪性細胞、前立腺癌細胞、等)と会合する標的に特異的に結合する標的部分を含む。
【0114】
いくつかの実施形態では、本発明に係る化合物は、1つまたは複数の特定の組織型(例えば、肝臓組織対前立腺組織)に特異的である標的に結合する標的部分を含む。いくつかの実施形態では、本発明に係る化合物は、1つまたは複数の特定の細胞型(例えば、T細胞対B細胞)に特異的である標的に結合する標的部分を含む。いくつかの実施形態では、本発明に係る化合物は、1つまたは複数の特定の疾患状態(例えば、腫瘍細胞対健常細胞)に特異的である標的に結合する標的部分を含む。いくつかの実施形態では、本発明に係る化合物は、1つまたは複数の特定の発生段階(例えば、肝細胞対分化細胞)に特異的である標的に結合する標的部分を含む。
【0115】
いくつかの実施形態では、標的は、1つまたはいくつかの細胞型と、1つまたはいくつかの疾患と、及び/または1つまたはいくつかの発生段階と排他的または一次的に会合するマーカーであり得る。細胞型特異的マーカーは、典型的には、例えば、ほぼ等しい量の複数(例えば、5~10またはそれ以上)の異なる組織または臓器由来の細胞を含有する混合物からなり得る細胞の基準集団よりも、その細胞型において少なくとも2倍大きなレベルで発現する。いくつかの実施形態では、細胞型特異的マーカーは、基準集団における平均発現より、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、または少なくとも1000倍大きなレベルで存在する。細胞型特異的マーカーの検出または測定は、多くの、大半の、または全ての他の細胞型から、対象となる細胞型(複数可)を区別することを可能にし得る。
【0116】
いくつかの実施形態では、標的は、タンパク質、炭水化物、脂質、及び/または核酸を含む。いくつかの実施形態では、標的は、腫瘍マーカー、インテグリン、細胞表面受容体、膜貫通タンパク質、細胞間タンパク質、イオンチャンネル、膜輸送体タンパク質、酵素、抗体、キメラタンパク質、糖タンパク質などのようなタンパク質及び/またはその特徴的な部分を含む。いくつかの実施形態では、標的は、糖タンパク質、糖(例えば、単糖、二糖、多糖)、糖衣(すなわち、大部分の真核細胞の外側表面の炭水化物豊富辺縁帯)などのような、炭水化物及び/またはその特徴的な部分を含む。いくつかの実施形態では、標的は、油、脂肪酸、グリセリド、ホルモン、ステロイド(例えば、コレステロール、胆汁酸)、ビタミン(例えば、ビタミンE)、リン脂質、スフィンゴ脂質、リポタンパク質などのような脂質及び/またはその特徴的な部分を含む。いくつかの実施形態では、標的は、DNA核酸;RNA核酸;修飾DNA核酸;修飾RNA核酸;DNA、RNA、修飾DNA、及び修飾RNAの任意の組み合わせを含む核酸のような、核酸及び/またはその特徴的な部分を含む。
【0117】
多くのマーカーが当該分野で知られている。典型的なマーカーには、細胞表面タンパク質、例えば、受容体が含まれる。例示的な受容体には、トランスフェリン受容体;LDL受容体;成長因子受容体、例えば上皮成長因子受容体ファミリーメンバー(例えば、EGFR、Her2、Her3、Her4)または血管内皮増殖因子受容体、サイトカイン受容体、細胞接着分子、インテグリン、セレクチン、及びCD分子が含まれるが、これらに限定されない。マーカーは、悪性細胞上に排他的にまたはより高い量で存在する分子、例えば腫瘍抗原であることができる。
【0118】
いくつかの実施形態では、標的部分は、非腫瘍細胞と比較して特異的または優先的に腫瘍細胞に結合する。
【0119】
腫瘍細胞への標的部分の結合は、当該分野において既知のアッセイを使用して測定することができる。
【0120】
いくつかの実施形態では、腫瘍細胞は、癌腫、肉腫、リンパ腫、骨髄腫、または中枢神経系癌のものである。
【0121】
いくつかの実施形態では、標的部分は、非腫瘍抗原と比較して特異的にまたは優先的腫瘍抗原に結合することができる。
【0122】
本明細書において「特異的に結合する」または「優先的に結合する」とは、2つの結合パートナー間(例えば、標的部分とその結合パートナー間)の結合が、2つの結合パートナーに対して選択的であり、望ましくないまたは非特異的な相互作用と区別され得ることを意味する。例えば、特定の抗原決定基に結合するための抗原結合部分の能力は、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)または、当業者に周知の他の技術、例えば、表面プラズモン共鳴技術(BIAcore機器により分析)(Liljebladら、Glyco J 17,323-329(2000))、及び伝統的な結合アッセイ(Heeley,Endocr Res 28,217-229(2002))のいずれかを通して測定することができる。「抗-[抗原]抗体」及び「[抗原]に結合する抗体」という用語は、抗体が抗原を標的する診断剤及び/または治療剤として有用であるように、十分な親和性を伴ってそれぞれの抗原に結合することができる抗体を意味する。いくつかの実施形態では、無関係のタンパク質への抗-[抗原]抗体の結合の程度が、例えばラジオイムノアッセイ(RIA)により測定して、抗原への抗体の結合の約10%未満である。いくつかの実施形態では、[抗原]に結合する抗体は、IμΜ未満、100nΜ未満、10nΜ未満、1nΜ未満、0.1nΜ未満、0.01nΜ未満、または0.001nΜ未満(例えば、10-8M以下、例えば10-8M~10-13M、例えば10-9M~10-13M)の解離定数(KD)を有する。上記の定義は、抗原に結合する抗原結合部分にも適用可能であることが理解されたい。
【0123】
ある特定の実施形態では、標的は腫瘍マーカーである。いくつかの実施形態では、腫瘍マーカーは、正常な臓器、組織、及び/または細胞に存在しない、腫瘍に存在する抗原である。いくつかの実施形態では、腫瘍マーカーは、正常な臓器、組織、及び/または細胞よりも腫瘍において多く見られる抗原である。いくつかの実施形態では、腫瘍マーカーは、正常な細胞よりも悪性癌細胞において多く見られる抗原である。
【0124】
本明細書において「腫瘍抗原」とは、腫瘍細胞において産生される抗原性物質を意味し、すなわち、宿主において免疫応答を引き起こす。体内の正常なタンパク質は、自己反応性細胞障害性Tリンパ球(CTL)及び自己抗体産生Bリンパ球が、一次リンパ組織(BM)において「中枢的に」、二次リンパ組織(主にT細胞では胸腺であり、B細胞では脾臓/リンパ節である)において「末梢的に」選別されるプロセスである自己寛容のために、抗原性ではない。このように、免疫系に曝露されない任意のタンパク質が、免疫応答を引き起こす。これには、免疫系から十分に隔絶されている正常なタンパク質、通常は極めて少量で産生されるタンパク質、通常はある特定の発生段階においてのみ産生されるタンパク質、または構造が突然変異に起因して修飾されるタンパク質が含まれ得る。
【0125】
いくつかの実施形態では、標的は、正常な組織及び/または細胞に対して腫瘍組織及び/または細胞において優先的に発現する。
【0126】
本発明のいくつかの実施形態では、マーカーは腫瘍マーカーである。マーカーは、非分裂細胞よりも分裂細胞において高いレベルで発現するポリペプチドであり得る。例えば、Her2/neu(ErbB-2としても知られる)は、EGF受容体ファミリーのメンバーであり、乳癌に関連する腫瘍の細胞表面に発現する。別の例は、ナノ粒子をヌクレオリンに向かわせるのに適した標的剤であるF3として知られているペプチドである(Porkkaら、2002,Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,99:7444;及びChristianら、2003,J.Cell Biol.,163:871)。ナノ粒子及びA10アプタマー(PSMAに特異的に結合する)を含む標的化粒子は、ドセタキセルを前立腺癌腫瘍に特異的及び効果的に送達できたことを示している。
【0127】
腫瘍細胞の生物学的挙動のシグナル伝達経路を特異的に干渉及び調節する、これらの腫瘍標的を特異的に標的にする抗体または他の薬物は、直接的に調節して、またはシグナル伝達経路を遮断して、腫瘍細胞の増殖を阻害するかまたはアポトーシスを誘発する。現在まで、数十の標的薬物が、固形腫瘍または血液学的悪性腫瘍の臨床研究及び処置に対して承認されており、血液学的悪性腫瘍のための多数の標的化薬剤が存在する。
【0128】
いくつかの実施形態では、腫瘍抗原(または腫瘍標的)は、CD2、CD19、CD20、CD22、CD27、CD33、CD37、CD38、CD40、CD44、CD47、CD52、CD56、CD70、CD79、及びCD137からなる群より選択される。
【0129】
いくつかの実施形態では、腫瘍抗原(または腫瘍標的)は、4-1BB、5T4、AGS-5、AGS-16、アンジオポエチン2、B7.1、B7.2、B7DC、B7H1、B7H2、B7H3、BT-062、BTLA、CAIX、癌胎児性抗原、CTLA4、クリプト、ED-B、ErbB1、ErbB2、ErbB3、ErbB4、EGFL7、EpCAM、EphA2、EphA3、EphB2、FAP、フィブロネクチン、葉酸受容体、ガングリオシドGM3、GD2、グルココルチコイド誘発性腫瘍壊死因子受容体(GITR)、gp100、gpA33、GPNMB、ICOS、IGF1R、インテグリンαν、インテグリンανβ、KIR、LAG-3、ルイスY抗原、メソテリン、c-MET、MN炭酸脱水酵素IX、MUC1、MUC16、ネクチン-4、NKG2D、NOTCH、OX40、OX40L、PD-1、PDL1、PSCA、PSMA、RANKL、ROR1、ROR2、SLC44A4、シンデカン-1、TACI、TAG-72、テネイシン、TIM3、TRAILR1、TRAILR2、VEGFR-1、VEGFR-2、VEGFR-3、及びそれらの変異体からなる群より選択される。腫瘍抗原の変異体は、当該分野に既知の、及び/または天然に生じる様々な変異体または多型(polympormism)を包含する。
【0130】
いくつかの実施形態では、標的部分は、抗体、またはその機能性断片を含む。
【0131】
本明細書において「免疫グロブリン」または「抗体」とは、完全長(すなわち、天然に生じる、または正常な免疫グロブリン遺伝子断片組み換えプロセスにより形成される)免疫グロブリン分子(例えば、IgG抗体)、または抗体断片のような免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な(すなわち、特異的に結合する)部分を意味する。抗体または抗体断片は、特許請求する主題の範囲内でコンジュゲートされ得るか、別様に誘導体化され得る。そのような抗体には、IgG1、lgG2a、IgG3、IgG4(及びIgG4サブフォーム)、ならびにIgAアイソタイプが含まれる。
【0132】
本明細書における「抗体」いう用語は、最も広い意味で使用され、それらが所望の抗原結合活性を呈し、Fc領域または免疫グロブリンのFc領域に等しい領域を含む限り、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多特異的抗体(例えば、二重特異的抗体)、及び抗体断片を含むが、これらに限定されない様々な抗体構造を包含する。「完全長抗体」、「インタクト抗体」、及び「全抗体」という用語は、本明細書において互換可能に使用され、未変性抗体構造と実質的に類似した構造を有する、または本明細書に定義するFc領域を含有する重鎖を有する抗体を指す。
【0133】
本明細書において「未変性抗体」とは、様々な構造を有する天然に生じる免疫グロブリン分子を意味する。例えば、未変性IgG抗体は、ジスルフィド結合している2つの同一の軽鎖及び2つの同一の重鎖から構成される、約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質である。NからC末端まで、各重鎖は、可変重鎖ドメインまたは重鎖可変ドメインとも呼ばれる可変領域(VH)を有し、重鎖定常領域とも呼ばれる3つの定常ドメイン(CHI、CH2、及びCH3)がその後に続く。同様に、NからC末端まで、各軽鎖は、可変軽鎖ドメインまたは軽鎖可変ドメインとも呼ばれる可変領域(VL)を有し、軽鎖定常領域とも呼ばれる定常軽鎖(CL)ドメインがその後に続く。抗体の軽鎖を、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)及びラムダ(λ)と呼ばれる2つの型のうちの1つに割り当ててよい。
【0134】
本明細書において「抗体断片」とは、インタクト抗体が結合する抗原を結合するインタクト抗体の一部を含むインタクト抗体以外の分子を意味する。抗体断片の例には、Fv、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2、ダイアボディ、線状抗体、一本鎖抗体分子(例えば、scFv)、単一ドメイン抗体、及び抗体断片から形成される多特異的抗体が含まれるが、これらに限定されない。ある特定の抗体断片の概説には、例えば、Hudsonら、Nat Med 9,129-134(2003)を参照されたい。scFv断片の概説には、例えば、Pliickthun,in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,第113版,Rosenburg and Moore編,Springer-Verlag,NewYork,pp.269-315(1994)を参照されたく;またWO93/16185;及び米国特許第5,571,894号及び同第5,587,458号も参照されたい。再利用受容体結合エピトープ残基を含み、増加したインビボ半減期を有するFab及びF(ab’)2断片の考察には、米国特許第5,869,046号を参照されたい。ダイアボディは、二価または二重特異的であり得る2つの抗原結合部位を伴う抗体断片である。例えば、EP404,097;WO1993/01161;Hudsonら、Nat Med 9,129-134(2003);及びHollingerら、Proc Natl Acad Sci USA 90,6444-6448(1993)を参照されたい。トリアボディ及びテトラボディも、Hudsonら、Nat Med 9,129-134(2003)に記載されている。単一ドメイン抗体は、抗体の重鎖可変ドメインの全てまたは一部、または軽鎖可変ドメインの全てまたは一部を含む抗体断片である。ある特定の実施形態では、単一ドメイン抗体は、ヒト単一ドメイン抗体である(Domantis,Inc.,マサチューセッツ州ウォルサム;例えば米国特許第6,248,516B1号を参照されたい)。抗体断片は、本明細書に記載されているように、インタクト抗体のタンパク質分解性消化、ならびに組み換え宿主細胞(例えば、大腸菌またはファージ)による産生を含むが、これらに限定されない様々な技術により作製することができる。
【0135】
本明細書において「抗原結合ドメイン」とは、抗原の一部または全てに特異的に結合し、相補的である領域を含む抗体の部分を意味する。抗原結合ドメインは、例えば、1つまたは複数の抗体可変ドメイン(抗体可変領域とも呼ばれる)により提供され得る。具体的には、抗原結合ドメインは、抗体軽鎖可変領域(VL)及び抗体重鎖可変領域(VH)を含む。
【0136】
本明細書において「可変領域」または「可変ドメイン」とは、抗体の抗原への結合に関与する抗体重鎖または軽鎖のドメインを意味する。未変性抗体の重鎖及び軽鎖の可変ドメイン(それぞれ、VH及びVL)は、一般に同様の構造を有し、各ドメインは、4つの保存フレームワーク領域(FR)及び3つの超可変領域(HVR)を含む。例えば、Kindtら、Kuby Immunology,第6版,W.H.Freeman and Co.,page 91(2007)を参照されたい。単一のVHまたはVLドメインは、抗原結合特異性を付与するのに十分であり得る。
【0137】
本明細書において「超可変領域」または「HVR」とは、配列において超可変である及び/または構造的に規定されたループ(「超可変ループ」)を形成する、抗体可変ドメインのそれぞれの領域を意味する。一般に、未変性4鎖抗体は、6つのHVR、すなわちVHにおいて3つ(HI、H2、H3)、及びVLにおいて3つ(LI、L2、L3)を含む。HVRは、一般に、超可変ループ由来及び/または相補性決定領域(CDR)由来のアミノ酸残基を含み、後者は、配列可変性が一番高いものである及び/または抗原認識に関与する。VHにおけるCDR1を除いて、CDRは、一般に、超可変ループを形成するアミノ酸残基を含む。超可変領域(HVR)は、「相補性決定領域」(CDR)とも呼ばれ、これらの用語は、抗原結合領域を形成する可変領域の部分の参照に際し、本明細書において互換可能に使用される。この特定の領域は、Kabatら、U.S.Dept.of Health and Human Services,Sequences of Proteins of Immunological Interest(1983)及びChothiaら、J Mol Biol 196:901-917(1987)により記載されており、定義には、互いに比較したときの、アミノ酸残基の重複またはサブセットが含まれる。いずれにしても、抗体またはその変異体のCDRを参照するいずれかの定義の適用は、本明細書において定義及び使用される用語の範囲内であることが意図される。特定のCDRを包含する正確な残基数は、CDRの配列及びサイズに応じて変わるだろう。当業者は、抗体の可変領域アミノ酸配列を考慮して、どの残基が特定のCDRを含むかについて日常的に決定することができる。
【0138】
本発明の抗体は、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、または抗体融合タンパク質であることができる。
【0139】
本明細書において「キメラ抗体」とは、1つの種から誘導された抗体、好ましくは齧歯類抗体、より好ましくはネズミ抗体の相補性決定領域(CDR)を含み、一方で、抗体分子の定常ドメインは、ヒト抗体のものから誘導される、重及び軽抗体鎖の両方の可変ドメインを含有する組み換えタンパク質を意味する。獣医用途では、キメラ抗体の定常ドメインは、類人霊長類、ネコ、またはイヌなどの他の種のものから誘導され得る。
【0140】
本明細書において「ヒト化抗体」とは、1つの種からの抗体;例えば齧歯類抗体由来のCDRが、齧歯類抗体の重及び軽可変鎖からヒト重及び軽可変ドメインに移される、組み換えタンパク質を意味する。抗体分子の定常ドメインは、ヒト抗体のものから誘導される。いくつかの実施形態では、ヒト化抗体のフレームワーク領域の特定の残基、特に、CDR配列に接触するまたは近いものは、改変され得、例えば元の齧歯類、類人霊長類、または他の抗体由来の対応する残基に置き換えられ得る。
【0141】
本明細書において「ヒト抗体」とは、例えば、抗原攻撃に応答して特定のヒト抗体を産生するように「操作」されているトランスジェニックマウスから得た抗体を意味する。この技術では、ヒト重鎖及び軽鎖座の要素を、内在性重鎖及び軽鎖座の標的破壊を含有する胚性幹細胞株に由来するマウスの系統に導入する。トランスジェニックマウスは、ヒト抗原に特異的なヒト抗体を合成することができ、該マウスを使用して、ヒト抗体分泌ハイブリドーマを産生することができる。トランスジェニックマウスからヒト抗体を取得する方法は、Greenら、Nature Genet.7:13(1994),Lonbergら、Nature 368:856(1994)、及びTaylorら、Int.Immun.6:579(1994)に記載されている。完全なヒト抗体も、遺伝子または染色体形質移入法、ならびにファージディスプレー技術により構築することができ、これらは全て当該分野で既知である。免疫化されていないドナー由来の免疫グロブリン可変ドメイン遺伝子レパートリーからの、インビトロでのヒト抗体及びその断片の産生について、例えば、McCaffertyら、Nature 348:552-553(1990)を参照されたい。この技術において、抗体可変ドメイン遺伝子は、繊維状バクテリオファージの主要外殻タンパク質遺伝子または非主要外殻タンパク質遺伝子のいずれかにインフレームでクローニングされ、機能的抗体断片としてファージ粒子の表面に提示される。繊維状粒子はファージゲノムの一本鎖DNAコピーを含有するので、抗体の機能特性に基づく選択はまた、それらの特性を呈する抗体をコードする遺伝子を選択する結果となる。このように、ファージは、B細胞の特性のいくつかを模倣する。ファージディスプレーは、様々な形式で行なうことができ、これらの概説には、例えばJohnson and Chiswell,Current Opinion in Structural Biology 3:5564-571(1993)を参照されたい。ヒト抗体は、インビトロ活性化B細胞によっても生成され得る。その全体において参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,567,610号及び同第5,229,275号を参照されたい。
【0142】
本明細書において「抗体融合タンパク質」とは、2つ以上の同じまたは異なる自然抗体、一本鎖抗体、または同じまたは異なる特異性を有する抗体断片セグメントが結合している、組み換え的に産生された抗原結合分子を意味する。融合タンパク質は、少なくとも1つの特異的結合部位を含む。融合タンパク質の原子価は、抗原(複数可)またはエピトープ(複数可)に対して、融合タンパク質が有する結合アームまたは部位の総数を示し、すなわち、一価、二価、三価、または多価である。抗体融合タンパク質の多価性は、抗原への結合において複数の相互作用を利用することができ、したがって抗原または異なる抗原への結合の結合活性を増加させることを意味する。特異性は、抗体融合タンパク質がいくつの異なる種類の抗原またはエピトープに結合できるか;すなわち、単一特異性、二重特異性、三重特異性、多重特異性を示す。これらの定義を使用すると、自然抗体、例えばIgGは、2つの結合アームを有するので二価であるが、1種類の抗原またはエピトープに結合するので単一特異性である。単一特異性の多価融合タンパク質は、同じ抗原またはエピトープに対して1つを越える結合部位を有する。例えば、単一特異性ダイアボディは、同じ抗原に反応する2つの結合部位を有する融合タンパク質である。融合タンパク質は、異なる抗体成分または同じ抗体成分の複数コピーの多価または多重特異性の組み合わせを含み得る。融合タンパク質は、追加的に治療剤を含み得る。
【0143】
いくつかの実施形態では、標的部分は、それらの全体において参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第8,518,404号;同8,513,390号;及び米国特許出願第;20120237977A1号、同20120149061A1号、同20130150558A1号に記載のものなどのプロ抗体(probody)を含む。
【0144】
プロ抗体は、癌微小環境内で選択的に活性化されるモノクローナル抗体であり、治療抗体の活性を腫瘍に集中させ、健常組織を温存する。
【0145】
一般に、プロ抗体(porbody)は、標的と特異的に結合することができる、少なくとも抗体またはその抗体断片(まとめて「AB」と呼ばれる)を含み、ここでABはマスキング部分(MM)により改変される。ABがMMで改変され、標的の存在下にあるとき、その標的へのABの特異的結合は、該標的へのMMで改変されていないABの特異的結合または親ABの特異的結合と比べて、低減されるかまたは阻害される。ABに対するMMの解離定数(Kd)は、概して標的に対するABのKdより大きい。ABがMMで改変されており標的の存在下にあるとき、その標的へのABの特異的結合は、該標的へのMMで改変されていないABの特異的結合または親ABの特異的結合と比べて低減されるまたは阻害され得る。ABがMMに結合またはMMにより改変されているとき、MMは、その標的へのABの特異的結合を「マスクする」または低減する、または阻害することができる。ABがMMに結合またはMMにより改変されているとき、そのような結合または改変は、その標的に特異的に結合するABの能力を低減するまたは阻害する構造変化に影響することができる。
【0146】
いくつかの実施形態では、プロ抗体は、MMにより改変されたABが1つまたは複数の切断可能部分(CM)をさらに含むことができる、活性化可能抗体(AA)である。そのようなAAは、ABの標的に活性化可能/切り替え可能な結合を呈する。AAは、マスキング部分(MM)により改変されたまたはMMに結合している抗体または抗体断片(AB)及び改変可能または切断可能部分(CM)を一般に含む。いくつかの実施形態では、CMは対象となるプロテアーゼの基質として役割を果たすアミノ酸配列を含有する。他の実施形態では、CMは、還元により切断可能なシステイン-システインジスルフィド結合を提供する。さらに他の実施形態では、CMは、光分解によって活性化可能な光分解基質を提供する。
【0147】
AAのCM及びABは、ABが、対象となる標的の結合部分を表し、CMが対象内の処置部位で標的と共局在化するプロテアーゼの基質を表すように選択され得る。あるいはまたは加えて、CMは、このジスルフィド結合の還元の結果として切断可能なシステイン-システインジスルフィド結合である。AAは、プロテアーゼ-切断可能CMまたはシステイン-システインジスルフィド結合の少なくとも1つを含有し、いくつかの実施形態では両種類のCMを含む。AAは、あるいはまたはさらに、光源により活性化可能な感光性基質を含むことができる。本明細書に開示のAAは、例えば、CM内の部位を切断することができるプロテアーゼが、非処置部位内(例えば健常組織内)の組織よりも、比較的高レベルで、処置部位の標的含有組織内(例えば患部組織;例えば、治療的処置または診断的処置用)に存在する場合に、特定の用途を見出す。本明細書に開示のAAは、例えば、CM内の部位を還元することができる還元剤が、非処置非診断部位の組織内よりも、比較的高レベルで、処置または診断部位の標的含有組織内に存在する場合にも、特定の用途を見出す。本明細書に開示のAAは、CM内の部位を光分解することができる、例えば、レーザーによる、例えば、光源が、処置または診断部位の標的含有組織へと導入される場合にも、特定の用途を見出す。
【0148】
いくつかの実施形態では、AAは、ABがマスクされなかったら、あるいはその標的を結合することから阻害されなかったら、非処置部位でのABの結合から生じ得る毒性及び/または有害副作用の低減を提供することができる。AAが、ジスルフィド結合の還元を促進する還元剤により切断可能なCMを含有する場合、そのようなAAのABは、環境が例えば非処置部位の環境よりも高い還元電位であるように、上昇した還元剤のレベルを特徴とする所望の処置部位に対象となる標的が存在し得る場合に、ABの活性化を活用するように選択され得る。
【0149】
一般に、AAは、構造的に拘束されたときに、MMがABのマスキングまたはその標的へのABの結合の還元を提供するように、対象となるABを選択すること及びAAの残りを構築することにより設計されることができる。この機能的特性を提供するために考慮すべき構造的設計要件。
【0150】
いくつかの実施形態では、標的部分は、対象となる標的細胞または標的部位上で発現された抗原に対するその特異性に基づいて選択される、抗体、または抗体断片である。多種多様な腫瘍特異的または他の疾患特異的抗原が同定されており、これらの抗原に対する抗体は、そのような腫瘍または他の疾患の処置に使用されてきた、または使用することが提案されてきた。当該分野に既知の抗体を、本発明の化合物に、特に、標的抗原が関連する疾患の処置に使用することができる。本発明の抗体リンカー薬物コンジュゲートが標的することができる標的抗原(及びそれらの関連疾患)の例には、CD2、CD19、CD20、CD22、CD27、CD33、CD37、CD38、CD40、CD44、CD47、CD52、CD56、CD70、CD79、CD137、4-1BB、5T4、AGS-5、AGS-16、アンジオポエチン2、B7.1、B7.2、B7DC、B7H1、B7H2、B7H3、BT-062、BTLA、CAIX、癌胎児性抗原、CTLA4、クリプト、ED-B、ErbB1、ErbB2、ErbB3、ErbB4、EGFL7、EpCAM、EphA2、EphA3、EphB2、FAP、フィブロネクチン、葉酸受容体、ガングリオシドGM3、GD2、グルココルチコイド誘発性腫瘍壊死因子受容体(GITR)、gp100、gpA33、GPNMB、ICOS、IGF1R、インテグリンαν、インテグリンανβ、KIR、LAG-3、ルイスY、メソテリン、c-MET、MN炭酸脱水酵素IX、MUC1、MUC16、ネクチン-4、NKG2D、NOTCH、OX40、OX40L、PD-1、PDL1、PSCA、PSMA、RANKL、ROR1、ROR2、SLC44A4、シンデカン-1、TACI、TAG-72、テネイシン、TIM3、TRAILR1、TRAILR2、VEGFR-1、VEGFR-2、VEGFR-3を挙げることができる。
【0151】
いくつかの実施形態では、抗体は、Rituxan(リツキシマブ)、Herceptin(トラスツズマブ)、Erbitux(セツキシマブ)、Vectibix(パニツムマブ)、Arzerra(オファツムマブ)、Benlysta(ベリムマブ)、Yervoy(イピリムマブ)、Perjeta(ペルツズマブ)、トレメリムマブ、ニボルマブ、ダセツズマブ、ウレルマブ(Urelumab)、MPDL3280A、ランブロリズマブ、及びブリナツモマブからなる群より選択される。
【0152】
Rituxan(リツキシマブ)は、B細胞非ホジキンリンパ腫の処置に使用されるキメラ抗体である。これは、B細胞非ホジキンリンパ腫の90%において発現されるCD20抗原を発現するB細胞の表面に作用する。RituxanはCD20と結合して、CDC及びADCCを通したB細胞溶解を誘発する、ならびにいくつかの細胞障害性化学療法薬に対して薬物耐性があるヒトリンパ球を感作する。
【0153】
Herceptin(トラスツズマブ)は、乳癌の25%から30%において発現するHer2のヒト上皮成長因子受容体細胞外ドメインに作用する、ヒト化モノクローナル抗体である。トラスツズマブは、(1)Her2受容体のダウンレギュレーション、Her2細胞内シグナル伝達経路の阻害、及びアポトーシスの誘発;(2)腫瘍細胞を死滅させる免疫機構関連抗体依存性ADCC及びCDC;(3)化学療法の効果の増強を通して抗腫瘍効果を有すると考えられる。
【0154】
Erbitux(セツキシマブ)は、上皮増殖因子受容体(EGFR)に作用するキメラ抗体である。Erbituxは、EGFRと結合して、そのシグナル伝達経路を阻害し、細胞増殖、浸潤及び転移、及び血管新生に影響を与える。EGFRシグナル伝達経路の阻害は、化学療法薬及び放射線療法の有効性を増強することができる。
【0155】
Avastin(ベバシズマブ)は、血管内皮増殖因子(VEGF)を標的するヒト化モノクローナル抗体である。そのVEGFRへの結合は、VEGF及びシグナル伝達経路を阻害し、腫瘍血管新生の阻害をもたらす。
【0156】
現在開発中の他の抗体も、標的部分として使用することができる。例えば、以下の標的に対する治療モノクローナル抗体が、腫瘍の処置のために開発中である:CD2、CD19、CD20、CD22、CD27、CD33、CD37、CD38、CD40、CD44、CD47、CD52、CD56、CD70、CD79、及びCD137、及び腫瘍を処置するための以下の標的:4-1BB、5T4、AGS-5、AGS-16、アンジオポエチン2、B7.1、B7.2、B7DC、B7H1、B7H2、B7H3、BT-062、BTLA、CAIX、癌胎児性抗原、CTLA4、クリプト、ED-B、ErbB1、ErbB2、ErbB3、ErbB4、EGFL7、EpCAM、EphA2、EphA3、EphB2、FAP、フィブロネクチン、葉酸受容体、ガングリオシドGM3、GD2、グルココルチコイド誘発性腫瘍壊死因子受容体(GITR)、gp100、gpA33、GPNMB、ICOS、IGF1R、インテグリンαν、インテグリンανβ、KIR、LAG-3、ルイス、メソテリン、c-MET、MN炭酸脱水酵素IX、MUC1、MUC16、ネクチン-4、NKG2D、NOTCH、OX40、OX40L、PD-1、PDL1、PSCA、PSMA、RANKL、ROR1、ROR2、SLC44A4、シンデカン-1、TACI、TAG-72、テネイシン、TIM3、TRAILR1、TRAILR2、VEGFR-1、VEGFR-2、及びVEGFR-3及びそれらの変異体(Scott AM,Wolchok JD,OldLJ.Antibody Therapy of Cancer.Nat Rev Cancer.2012 Mar 22;12(4):278-87)。
【0157】
いくつかの実施形態では、標的部分は、Fab、Fab’、F(ab’)2、単一ドメイン抗体、T及びAb二量体、Fv、scFv、dsFv、ds-scFv、Fd、線状抗体、ミニボディ、ダイアボディ、二重特異的抗体断片、バイボディ、トリボディ、sc-ダイアボディ、カッパ(ラムダ)体、BiTE、DVD-Ig、SIP、SMIP、DART、または1つまたは複数のCDRを含む抗体類似体を含む。
【0158】
以下の表は、様々な抗体構造及び被験標的を示す。
【表2】
【0159】
いくつかの実施形態では、標的部分は、VEGFRのATWLPPRポリペプチド、トロンボスポンジン-1模倣体、CDCRGDCFCG(環状)ポリペプチド、SCH221153断片、NCNGRC(環状)ポリペプチド、CTTHWGFTLCポリペプチド、CGNKRTRGCポリペプチド(LyP-1)、オクトレオチド、バプレオチド、ランレオチド、C-3940ポリペプチド、デカペプチル、ルプロン、ゾラデックス、またはセトロレリクスを含む。
【0160】
いくつかの実施形態では、標的部分は、葉酸またはその誘導体を含む。
【0161】
近年では、葉酸の研究は大きく前進している。葉酸は、細胞分裂に必要な小分子ビタミンである。腫瘍細胞は異常に分裂し、細胞分裂を支持するのに十分な葉酸を捕捉するために、腫瘍細胞表面に葉酸受容体(FR)を多く発現する。
【0162】
データは、腫瘍細胞におけるFR発現が正常細胞より20~200倍多いことを示す。様々な悪性腫瘍におけるFRの発現率は、卵巣癌では82%、非小細胞肺癌では66%、腎臓癌では64%、結腸癌では34%、乳癌では29%である(Xia W,Low PS.Late-targeted therapies for cancer.J Med Chem.2010;14;53(19):6811-24)。FAの発現率、及び上皮腫瘍浸潤及び転移の悪性度は、正相関する。FAは、FR仲介エンドサイトーシスを通して細胞に侵入し、FAは、そのカルボキシル基を通して、細胞に侵入する薬物とFA複合体を形成する。酸性条件下(pH値5)では、FRはFAから分離し、FAは薬物を細胞質内に放出する。
【0163】
臨床的には、この系を使用して、腫瘍細胞を選択的に攻撃する薬物を送達することができる。葉酸は、小分子量を有し、非免疫原性及び高い安定性を有し、合成するのに安価である。さらに重要なことは、薬物と担体と間の化学結合は単純であり、そのように、薬物送達系を構築するために、FAを標的部分として使用することは、癌処置研究の活発な分野となっている。現在、臨床試験中のEC145(FA化学療法薬物コンジュゲート化合物)は、癌細胞を有効に攻撃することができる(Pribble P and Edelman MJ.EC145:a novel targeted agent for adenocarcinoma of the lung.Expert Opin.Investig.Drugs(2012)21:755-761)。
【0164】
いくつかの実施形態では、標的部分は、PD-1、CTLA4、CD47、BTLA、KIR、TIM3、4-1BB、及びLAG3、表面リガンドアンフィレギュリンの一部の完全長、ベータセルリン、EGF、エフリン、エピジェン(epigen)、エピレギュリン、IGF、ニューレグリン、TGF、TRAIL、またはVEGFの細胞外ドメイン(ECD)または可溶形態を含む。
【0165】
いくつかの実施形態では、標的部分は、粒子(標的粒子)、好ましくはナノ粒子、任意選択的に、標的に特異的または優先的に結合することができる標的分子に付着する標的化ナノ粒子を含む。いくつかの実施形態では、標的粒子はそれ自体、本発明の化合物を(例えば、腫瘍細胞または組織における濃縮によって)導き、そこにおいて付着している追加の標的分子はない。
【0166】
本明細書において「ナノ粒子」とは、1000nm未満の直径を有する任意の粒子を意味する。いくつかの実施形態では、治療剤及び/または標的分子は、ポリマーマトリックスと会合することができる。いくつかの実施形態では、標的分子は、ポリマーマトリックスの表面と共有結合的に会合することができる。いくつかの実施形態では、共有結合的会合はリンカーにより仲介される。いくつかの実施形態では、治療剤は、ポリマーマトリックスの表面と会合することができる、ポリマーマトリックス内に封入されることができる、ポリマーマトリックスに囲まれることができる、及び/またはポリマーマトリックスの全体にわたって分散されることができる。その全体において組み込まれる、米国特許第8,246,968号。
【0167】
一般に、本発明のナノ粒子は、任意の種類の粒子を含む。任意の粒子を本発明に従って使用することができる。いくつかの実施形態では、粒子は生分解性及び生体適合性である。一般に、生体適合性物質は、細胞に対して毒性ではない。いくつかの実施形態では、物質は、細胞へのその付加が、ある特定の閾値未満の細胞死を結果生じる場合に生体適合性であるとみなされる。いくつかの実施形態では、物質は、細胞へのその付加が、有害な作用を誘発しない場合に生体適合性であるとみなされる。一般に、生分解性物質は、生理学的条件下で治療的に関連する期間(例えば、数週間、数か月間、または数年間)にわたって分解を受けるものである。いくつかの実施形態では、生分解性物質は、細胞機構により分解されることができる物質である。いくつかの実施形態では、生分解性物質は、化学的プロセスにより分解されることができる物質である。いくつかの実施形態では、粒子は、生体適合性及び生分解性の両方である物質である。いくつかの実施形態では、粒子は、生体適合性であるが、生分解性ではない物質である。いくつかの実施形態では、粒子は、生分解性であるが、生体適合性ではない物質である。
【0168】
いくつかの実施形態では、粒子は、腎排泄限界より大きなサイズである(例えば、6nmを越える直径を有する粒子)。いくつかの実施形態では、粒子は、肝臓による血流からの粒子のクリアランスを避けるのに十分に小さい(例えば、1000nm未満の直径を有する粒子)。一般に、粒子の生理化学的特徴は、腎排泄及び肝臓クリアランスを減少させることにより、標的化粒子を血漿中でより長く循環させることができるべきである。
【0169】
各粒子が同様の特性を有するように、サイズ、形状、及び/または組成が比較的均一である粒子の集団を使用することが、しばしば望ましい。例えば、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%の粒子が、平均直径または最大寸法の5%、10%、または20%の範囲内にある直径または最大寸法を有し得る。いくつかの実施形態では、粒子の集団は、サイズ、形状、及び/または組成に関して不均一であり得る。
【0170】
様々な異なる粒子を本発明に従って使用することができる。いくつかの実施形態では、粒子は球形または球状である。いくつかの実施形態では、粒子は球形または球状である。いくつかの実施形態では、粒子は平坦または平板形状である。いくつかの実施形態では、粒子は立方体または立方形である。いくつかの実施形態では、粒子は長円形または楕円形である。いくつかの実施形態では、粒子は円柱形、円錐形、または角錐形である。
【0171】
いくつかの実施形態では、粒子は微粒子(例えば、ミクロスフェア)である。一般に、「微粒子」は、1000μm未満の直径を有する任意の粒子を指す。いくつかの実施形態では、粒子はピコ粒子(例えば、ピコスフェア(picospheres))である。一般に、「ピコ粒子」は、1nm未満の直径を有する任意の粒子を意味する。いくつかの実施形態では、粒子はリポソームである。いくつかの実施形態では、粒子はミセルである。
【0172】
粒子は、中実または中空であり得、1つまたは複数の層を含むことができる(例えば、ナノシェル、ナノリング)。いくつかの実施形態では、各層は、他の層(複数可)と比べて独自の組成及び独自の特性を有する。例えば、粒子は、コア/シェル構造を有し得、ここでコアは第1の層であり、シェルは第2の層である。粒子は、複数の異なる層を含み得る。いくつかの実施形態では、第1の層は実質的に架橋され得、第2の層は実質的に架橋されていない、などである。いくつかの実施形態では、1つ、いくつか、または全ての異なる層が、送達される1つまたは複数の治療または診断剤を含み得る。いくつかの実施形態では、第1の層は送達される薬剤を含み、第2の層は送達される薬剤を含まない、などである。いくつかの実施形態では、各個別の層は、送達される異なる薬剤または薬剤のセットを含む。
【0173】
いくつかの実施形態では、粒子は多孔質であり、これは粒子が、典型的には粒子のサイズと比較して小さい穴またはチャンネルを含有することを意味する。例えば、粒子は多孔質シリカ粒子、例えばメソ多孔質シリカナノ粒子であり得るか、またはメソ多孔質シリカの被覆を有し得る(Linら、2005,J.Am.Chem.Soc.,17:4570)。粒子は、約1nmから約50nmの直径、例えば約1から20nmの直径の範囲の孔を有し得る。粒子の体積の約10%から95%が孔またはチャンネル内で空洞を構成し得る。
【0174】
粒子は、被覆層を有し得る。生体適合被覆層の使用は、例えば粒子が細胞に毒性を有する材料を含有する場合に有益であることができる。好適な被覆材料には、ウシ血清アルブミン(BSA)などの自然タンパク質、生体適合親水性ポリマー、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)またはPEG誘導体、リン脂質-(PEG)、シリカ、脂質、ポリマー、デキストランなどの炭水化物、本発明のナノ粒子と会合することができる他のナノ粒子などが含まれるが、これらに限定されない。被覆は、浸漬、交互吸着技術の使用、自己組織化、コンジュゲーションなどの様々な方法により適用または組織化され得る。自己組織化は、高次構造(例えば、分子)への成分の互いの自然誘引に依存する高次構造への自発的組織化のプロセスを指す。典型的には、分子の無作為な移動、及びサイズ、形状、組成、または化学的特性に基づいた結合の形成を通して生じる。
【0175】
ポリマーの例には、ポリアルキレン(例えば、ポリエチレン)、ポリカーボネート(例えば、ポリ(1,3-ジオキサン-2オン))、ポリ無水物(例えば、ポリ(セバシン酸無水物))、ポリヒドロキシ酸(例えば、ポリ(β-ヒドロキシアルカノエート))、ポリフマレート、ポリカプロラクトン、ポリアミド(例えば、ポリカプロラクタム)、ポリアセタール、ポリエーテル、ポリエステル(例えば、ポリラクチド、ポリグリコリド)、ポリ(オルトエステル)、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリホスファゼン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリシアノアクリレート、ポリ尿素、ポリスチレン、及びポリアミンが挙げられる。いくつかの実施形態では、本発明に係るポリマーには、米国食品医薬品局(FDA)の21C.F.R.§177.2600によってヒトにおける使用が承認されているポリマーが含まれ、それには、ポリエステル(例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)、ポリカプロラクトン、ポリバレロラクトン、ポリ(1,3-ジオキサン-2オン));ポリ無水物(例えば、ポリ(セバシン酸無水物));ポリエーテル(例えば、ポリエチレングリコール);ポリウレタン;ポリメタクリレート;ポリアクリレート;及びポリシアノアクリレートが含まれるが、これらに限定されない。
【0176】
いくつかの実施形態では、粒子は、非ポリマー粒子(例えば、金属粒子、量子ドット、セラミック粒子、無機材料を含むポリマー、骨由来材料、骨代用物、ウイルス粒子など)であることができる。いくつかの実施形態では、送達される治療または診断剤は、そのような非ポリマー粒子の表面と会合することができる。いくつかの実施形態では、非ポリマー粒子は、金属原子(例えば、金原子)の凝集体などの非ポリマー成分の凝集体である。いくつかの実施形態では、送達される治療または診断剤は、非ポリマー成分の凝集体の表面と会合することができる、及び/または非ポリマー成分の凝集体内に封入されることができる、非ポリマー成分の凝集体に囲まれることができる、及び/または非ポリマー成分の凝集体の全体にわたって分散されることができる。
【0177】
粒子(例えば、ナノ粒子、微粒子)は、当該分野に既知の任意の方法を使用して調製され得る。例えば、粒子状製剤は、ナノ沈殿、流動集束流体チャンネル(flow focusing fluidic channel)、噴霧乾燥、単一及び二重乳剤溶媒蒸発(single and double emulsion solvent evaporation)、溶媒抽出、相分離、微粉砕、マイクロエマルション処理、微細加工、ナノ加工、犠牲層、単純及び複合コアセルベーションなどの方法、及び当業者に周知の他の方法により形成されることができる。あるいはまたはさらに、単分散半導体、導電性、磁性、有機及び他のナノ粒子の水性及び有機溶媒合成が記載されている(Pellegrinoら、2005,Small,1:48;Murrayら、2000,Ann.Rev.Mat.Sci.,30:545;及びTrindadeら、2001,Chem.Mat.,13:3843)。
【0178】
封入された薬剤を送達するための微粒子を作製する方法は、文献に記載されている(例えば、Doubrow編,“Microcapsules and Nanoparticles in Medicine and Pharmacy,”CRC Press,Boca Raton,1992;Mathiowitzら、1987,J.Control.Release,5:13;Mathiowitzら、1987,Reactive Polymers,δ:275,及びMathiowitzら、1988,J.Appl.Polymer Sci.,35:755を参照されたい)。
【0179】
いくつかの実施形態では、標的部分は核酸標的部分を含む。
【0180】
一般に、核酸標的部分は、臓器、組織、細胞、細胞外マトリックス成分、及び/または細胞内区画(標的)と関連する成分に結合する任意のポリヌクレオチドである。
【0181】
いくつかの実施形態では、核酸標的部分はアプタマーである。
【0182】
アプタマーは、典型的には、特定の臓器、組織、細胞、細胞外マトリックス成分、及び/または細胞内区画と関連する特定の標的構造に結合するポリヌクレオチドである。一般に、アプタマーの標的機能は、アプタマーの三次元構造に基づく。いくつかの実施形態では、アプタマーの標的への結合は、典型的には、アプタマー及び標的の両方の二次元及び/または三次元構造間の相互作用により仲介される。いくつかの実施形態では、アプタマーの標的への結合は、アプタマーの一次配列のみに基づくものではなく、アプタマー及び/または標的の三次元構造(複数可)に依存する。いくつかの実施形態では、アプタマーは、塩基対形成を破損する構造(例えば、ヘアピンループ)により干渉される、相補的なワトソン-クリック塩基対形成を介してそれらの標的に結合する。
【0183】
いくつかの実施形態では、核酸標的部分は、スピーゲルマー(spiegelmer)である(PCT公報WO98/08856、WO02/100442号、及びWO06/117217)。一般に、スピーゲルマーは、標的に特異的に結合することができる合成鏡像核酸(すなわち、鏡像アプタマー)である。スピーゲルマーは、エキソ及びエンドヌクレアーゼに対して感受性でなくする構造的特徴により特徴付けられる。
【0184】
当業者は、標的に特異的に結合することができる任意の核酸標的部分(例えば、アプタマーまたはスピーゲルマー)を、本発明に従って使用できることを認識するだろう。いくつかの実施形態では、本発明に従って使用される核酸標的部分は、疾患、障害、及び/または状態と関連するマーカーを標的し得る。いくつかの実施形態では、本発明に従って使用される核酸標的部分は、癌関連標的を標的し得る。いくつかの実施形態では、本発明に従って使用される核酸標的部分は、腫瘍マーカーを標的し得る。任意の種類の癌及び/または任意の腫瘍マーカーを、本発明に従って核酸標的部分を使用して標的し得る。いくつかの例を挙げると、核酸標的部分は、前立腺癌、肺癌、乳癌、結腸直腸癌、膀胱癌、膵癌、子宮内膜癌、卵巣癌、骨癌、食道癌、肝癌、胃癌、脳腫瘍、皮膚黒色腫、及び/または白血病と関連するマーカーを標的し得る。
【0185】
本発明の核酸(下記にさらに詳細に記載される、核酸核酸標的部分及び/または送達される機能性RNA、例えば、RNAi誘発性実体、リボザイム、tRNAなどを含む)は、化学合成、酵素合成、より長い前駆体の酵素または化学切断などを含むが、これらに限定されない任意の利用可能な技術に従って調製され得る。RNAを合成する方法は、当該分野において知られている(例えば、Gait、M.J.(編)Oligonucleotide synthesis:a practical approach,Oxford[Oxfordshire],Washington,D.C.:IRL Press,1984,及びHerdewijn,P.(編)Oligonucleotide synthesis:methods and applications,Methods in molecular biology,v.288(ニュージャージー州クリフトン)Totowa,N.J.:Humana Press,2005を参照されたい)。
【0186】
核酸核酸標的部分を形成する核酸は、天然に生じるヌクレオシド、修飾ヌクレオシド、1つまたは複数のヌクレオシドの間に挿入された炭化水素リンカー(例えば、アルキレン)またはポリエーテルリンカー(例えば、PEGリンカー)を有する天然に生じるヌクレオシド、1つまたは複数のヌクレオシドの間に挿入された炭化水素またはPEGリンカーを有する修飾ヌクレオシド、またはそれらの組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、核酸核酸標的部分のヌクチオシドまたは修飾ヌクレオチドは、炭化水素リンカーまたはポリエーテルリンカーで置き換えられ得るが、それは核酸核酸標的部分の結合親和性及び選択性が、置換により実質的に低減されないことが条件である(例えば、標的に対する核酸核酸標的部分の解離定数は、約1×10-3Mを越えるべきではない)。
【0187】
本発明に係る核酸は、天然に生じる核酸において見出される種類のみのヌクレオチドを含み得る、または代わりに、1つまたは複数のヌクレオチド類似体を含み得る、または天然に生じる核酸の構造と他の点で異なる構造を有し得ることが当業者により理解されるだろう。米国特許第6,403,779号、同第6,399,754号、同第6,225,460号、同第6,127,533号、同第6,031,086号、同第6,005,087号、同第5,977,089号、及びこれらにおける参考文献は、使用され得る多種多様な特定のヌクレオチド類似体及び修飾形態を開示する。Crooke,S.(編)Antisense Drug Technology:Principles,Strategies,and Applications(第1編)Marcel Dekker;ISBN:0824705661;第1編(2001)及びこれにおける参考文献を参照されたい。例えば、2’修飾には、ハロ、アルコキシ、及びアリルオキシ基が含まれる。いくつかの実施形態では、2’-OH基は、H、OR、R、ハロ、SH、SR、NH2、NHR、NR2、またはCNから選択される基により置き換えられ、ここでRは、C1~C6アルキル、アルケニル、またはアルキニルであり、ハロは、F、Cl、Br、またはIである。修飾結合の例には、ホスホロチオエート及び5’-N-ホスホラミダイト結合が挙げられる。
【0188】
様々な異なるヌクレオチド類似体、修飾骨格、または非天然型ヌクレオシド間結合を含む核酸を、本発明に従って活用することができる。本発明の核酸は、天然ヌクレオシド(すなわち、アデノシン、チミジン、グアノシン、シチジン、ウリジン、デオキシアデノシン、デオキシチミジン、デオキシグアノシン、及びデオキシシチジン)、または修飾ヌクレオシドを含み得る。修飾ヌクレオチドの例には、塩基修飾ヌクレオシド(例えば、アラシチジン、イノシン、イソグアノシン、ネブラリン、プソイドウリジン、2,6-ジアミノプリン、2-アミノプリン、2-チオチミジン、3-デアザ-5-アザシチジン、2’-デオキシウリジン、3-ニトルピロール、4-メチルインドール、4-チオウリジン、4-チオチミジン、2-アミノアデノシン、2-チオチミジン、2-チオウリジン、5-ブロモシチジン、5-ヨードウリジン、イノシン、6-アザウリジン、6-クロロプリン、7-デアザアデノシン、7-デアザグアノシン、8-アザアデノシン、8-アジドアデノシン、ベンゾイミダゾール、M1-メチルアデノシン、ピロロ-ピリミジン、2-アミノ-6-クロロプリン、3-メチルアデノシン、5-プロピニルシチジン、5-プロピニルウリジン、5-ブロモウリジン、5-フルオロウリジン、5-メチルシチジン、7-デアザアデノシン、7-デアザグアノシン、8-オキソアデノシン、8-オキソグアノシン、O(6)-メチルグアニン、及び2-チオシチジン)、化学的または生物学的に修飾された塩基(例えば、メチル化塩基)、修飾糖(例えば、2’-フルオロリボース、2’-アミノリボース、2’-アジドリボース、2’-O-メチルリボース、L-エナンチオメル酸ヌクレオシドアラビノース、及びヘキソース)、修飾ホスフェート基(例えば、ホスホロチオエート及び5’-N-ホスホラミダイト結合)、及びそれらの組み合わせが挙げられる。核酸の化学合成のための天然及び修飾ヌクレオチドモノマーは、容易に入手可能である。いくつかの場合では、そのような修飾形態を含む核酸は、天然に生じるヌクレオチドのみからなる核酸と比べて改善された特性を示す。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の核酸修飾形態を活用して、ヌクレアーゼ(例えば、エキソヌクレアーゼ、エンドヌクレアーゼなど)による消化を低減及び/または防止する。例えば、核酸の構造は、消化を低減するため、一方または両方の鎖の3’末端にヌクレオチド類似体を含めることにより安定化され得る。
【0189】
修飾核酸は、分子の長さ全体に沿って均一に修飾されている必要はない。異なるヌクレオチド修飾形態及び/または骨格構造が、核酸の様々な位置に存在し得る。当業者は、ヌクレオチド類似体または他の修飾形態(複数可)が、核酸の機能が実質的に影響を受けないように、核酸の任意の位置(複数可)に配置され得ることを理解するだろう。一例のみを挙げると、修飾形態は、標的に特異的に結合する核酸標的部分の能力が実質的に影響を受けないように、核酸標的部分の任意の位置に配置され得る。修飾領域は、一方または両方の鎖の5’末端及び/または3’末端であり得る。例えば、両方の鎖のいずれかの5’末端及び/または3’末端でのおおよそ1~5つの残基がヌクレオチド類似体である、及び/または骨格修飾を有する修飾核酸標的部分が、用いられている。修飾は、5’または3’末端修飾であり得る。一方または両方の核酸鎖は、少なくとも50%の非修飾ヌクレオチド、少なくとも80%の非修飾ヌクレオチド、少なくとも90%の非修飾ヌクレオチド、または100%の非修飾ヌクレオチドを含み得る。
【0190】
本発明に係る核酸は、例えば、米国特許出願公開第2003/0175950号、同第2004/0192626号、同第2004/0092470号、同第2005/0020525号、及び同第2005/0032733号に記載されているものなどの、糖、ヌクレオシド、またはヌクレオシド間結合への修飾を含み得る。本発明は、それらに記載の任意の1つまたは複数の修飾を有する任意の核酸の使用を包含する。例えば、多くの末端コンジュゲート、例えば、コレステロール、リトコール酸、アルル酸(aluric acid)、または長鎖アルキル分岐鎖などの脂質が、細胞取り込みを改善すると報告されている。類似体及び修飾形態は、例えば、当該分野に既知の任意の適切なアッセイを使用して、例えば、治療または診断剤の送達の改善、標的への核酸標的部分の特異的結合の改善などをもたらすものを選択するために試験され得る。いくつかの実施形態では、本発明に係る核酸は、1つまたは複数の非天然ヌクレオシド結合を含み得る。いくつかの実施形態では、核酸標的部分の3’末端、5’末端、または3’末端と5’末端の両方での1つまたは複数の内部ヌクレオチドを反転させて、3’-3’結合または5’-5’結合などの結合を得る。
【0191】
いくつかの実施形態では、本発明に係る核酸は、合成ではなく、その天然環境から単離されている天然に生じる実体である。
【0192】
任意の方法を使用して、新規核酸標的部分を設計することができる(例えば、米国特許第6,716,583号、同第6,465,189号、同第6,482,594号、同第6,458,543号、同第6,458,539号、同第6,376,190号、同第6,344,318号、同第6,242,246号、同第6,184,364号、同第6,001,577号、同第5,958,691号、同第5,874,218号、同第5,853,984号、同第5,843,732号、同第5,843,653号、同第5,817,785号、同第5,789,163号、同第5,763,177号、同第5,696,249号、同第5,660,985号、同第5,595,877号、同第5,567,588号、及び同第5,270,163号、及び米国特許出願公開第2005/0069910号、同第2004/0072234号、同第2004/0043923号、同第2003/0087301号、同第2003/0054360号、及び同第2002/0064780号を参照されたい)。本発明は、新規核酸標的部分を設計するための方法を提供する。本発明は、候補核酸標的部分の混合物から新規核酸標的部分を単離または同定するための方法をさらに提供する。
【0193】
タンパク質、炭水化物、脂質、及び/または核酸に結合する核酸標的部分を、設計及び/または同定することができる。いくつかの実施形態では、核酸標的部分は、腫瘍マーカー、インテグリン、細胞表面受容体、膜貫通タンパク質、細胞間タンパク質、イオンチャンネル、膜輸送タンパク質、酵素、抗体、キメラタンパク質などの、タンパク質及び/またはその特徴的な部分に結合する本発明の複合体に使用されるように設計及び/または同定されることができる。いくつかの実施形態では、核酸標的部分は、糖タンパク質、糖(例えば、単糖、二糖、及び多糖)、糖衣(すなわち、大部分の真核細胞の外側表面上の炭水化物豊富辺縁帯)などの、炭水化物及び/またはその特徴的な部分に結合する本発明の複合体に使用されるように設計及び/または同定されることができる。いくつかの実施形態では、核酸標的部分は、油、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、グリセリド、ホルモン、ステロイド(例えば、コレステロール、胆汁酸)、ビタミン(例えば、ビタミンE)、リン脂質、スフィンゴ脂質、リポタンパク質などの、脂質及び/またはその特徴的な部分に結合する本発明の複合体に使用されるように設計及び/または同定されることができる。いくつかの実施形態では、核酸標的部分は、DNA核酸;RNA核酸;修飾DNA核酸;修飾RNA核酸;DNA、RNA、修飾DNA、及び修飾RNAの任意の組み合わせを含む核酸などの、核酸及び/またはその特徴的な部分に結合する本発明の複合体に使用されるように設計及び/または同定されることができる。
【0194】
核酸標的部分(例えば、アプタマーまたはスピーゲルマー)は、任意の利用可能な方法を使用して設計及び/または同定され得る。いくつかの実施形態では、核酸標的部分は、核酸の候補混合物から核酸標的部分を同定することにより設計及び/または同定される。試験管内進化法(SELEX)またはその変形は、核酸の候補混合物から、標的に結合する核酸標的部分を同定する一般に使用される方法である。
【0195】
任意の標的に選択的に結合する核酸標的部分は、SELEXプロセスまたはその変形により単離されることができるが、それには、標的をSELEXプロセスにおいて標的として使用できることが条件である。
【0196】
リンカー
一般に、本発明の化合物は、標的部分と活性化部分を結合するリンカーを含む。しかし、いくつかの化合物において、リンカーが存在せず、活性化部分と標的部分は直接結合する。
【0197】
本明細書において「リンカー」とは、第1の分子を第2の分子に化学結合を介して接続する部分を意味する。本発明のリンカーでは、接続は、生物学的に活性な形態の第1及び/または第2の分子を放出するように切断され得る。リンカーの好ましい例は、中性pHで安定しているが、低pHの条件下で容易に切断される結合を含む部分である。リンカーの特に好ましい例は、7から8間のpH値で安定しているが、4から6間のpH値で容易に切断される結合を含む部分である。リンカーの別の例は、酵素の存在下で容易に切断される結合を含む部分である。そのような酵素感受性リンカーの好ましい例は、エンドソームペプチドの認識配列を含むペプチドである。リンカーの別の例は、低還元電位(例えば、低チオールまたはグルタチオン濃度)の条件下で安定しているが、高還元電位(例えば、高チオールまたはグルタチオン濃度)の条件下で切断される、酸化還元電位感受性リンカーである。そのような酸化還元電位感受性リンカーの好ましい例には、ジスルフィド及びスルフェンアミドが挙げられる。特に好ましい例には、チオールとの反応に対してジスルフィド結合の感受性を制御するように、アリール基が、立体的に嵩高い電子吸引性または電子供与性置換基(substitutent)で置換されている、置換アリールアルキルジスルフィドが挙げられる。リンカーの別の例は、放射線への曝露の際に容易に切断される結合を含む部分である。そのような放射線感受性リンカーの好ましい例は、光への曝露の際に切断される2-ニトロベンジルエーテルである。リンカーの特に好ましい例は、結合が切断されるまで、2つの結合分子のうちの一方の生物学的活性をマスクする部分である。
【0198】
いくつかの実施形態では、本発明の化合物は、ヒドラジン基、ポリペプチド、ジスルフィド基、及びチオエーテル基からなる群より選択されるリンカーを含む。
【0199】
本明細書において「ヒドラジン基」または「ヒドラジンリンカー」または「自己環化ヒドラジンリンカー」は、pHの変化などの条件の変化の際に、環化反応を受けて、1つまたは複数の環を形成し得るリンカー部分を意味する。ヒドラジン部分は、付着すると、ヒドラゾンに変換される。この付着は、例えば、L4部分のケトン基との反応を通して生じることができる。それゆえ、ヒドラジンリンカーという用語を使用して本発明のリンカーを示すこともでき、それは付着の際のヒドラゾンへのこの変換が理由である。
【0200】
本明細書において「五員ヒドラジンリンカー」または「5員ヒドラジンリンカー」は、pHの変化などの条件の変化の際に、環化反応を受けて、1つまたは複数の5員環を形成し得るヒドラジン含有分子部分を意味する。あるいは、この五員リンカーは、五員ヒドラジンリンカーまたは5員ヒドラジンリンカーとして同様に記載され得る。
【0201】
本明細書において「六員ヒドラジンリンカー」または「6員ヒドラジンリンカー」は、pHの変化などの条件の変化の際に、環化反応を受けて、1つまたは複数の6員環を形成し得るヒドラジン含有分子部分を意味する。この六員リンカーは、六員ヒドラジンリンカーまたは6員ヒドラジンリンカーとして同様に記載され得る。
【0202】
本明細書において「環化反応」とは、ペプチド、ヒドラジン、またはジスルフィドリンカーの環化を意味し、そのリンカーの環への環化を示し、薬物-リガンド複合体の分離を開始する。この割合は、生体外で測定することができ、生成物の少なくとも90%、95%、または100%が形成されたときに完了する。
【0203】
いくつかの実施形態では、本発明の化合物は、標的部分と活性化部分の間にリンカー領域を含み、リンカーは、細胞内環境(例えば、リソソームまたはエンドソームまたはカベオラ内)に存在する切断剤により切断可能である。リンカーは、例えば、リソソームまたはエンドソームプロテアーゼを含むが、これらに限定されない、細胞内ペプチダーゼまたはプロテアーゼ酵素により切断される、ペプチジルリンカーであることができる。典型的には、ペプチジルリンカーは、少なくとも2個のアミノ酸長さ、または少なくとも3個のアミノ酸長さである。切断剤には、カテプシンB及びD及びプラスミンが含まれ得、これらは全てジペプチド薬誘導体を加水分解して、標的細胞内に活性薬の放出をもたらすことが知られている(例えば、Dubowchik and Walker,1999,Pharm.Therapeutics 83:67-123を参照されたい)。最も典型的なものは、標的細胞または組織内に存在する酵素により切断可能であるペプチジルリンカーである。例えば、癌性組織において高度に発現する、チオール依存性プロテアーゼカテプシンBにより切断可能であるペプチジルリンカーを、使用することができる(例えば、Phe-LeuまたはGly-Phe-Leu-Gly)リンカー)。他のそのようなリンカーは、例えば、米国特許第6,214,345号に記載されている。いくつかの実施形態では、細胞内プロテアーゼにより切断可能なペプチジルリンカーは、Val-CitリンカーまたはPhe-Lysリンカーである(例えば、val-citリンカーを用いたドキソルビシンの合成を記載する米国特許第6,214,345号を参照されたい)。治療剤の細胞内タンパク質溶解性放出を使用する1つの利点は、薬剤が、コンジュゲートされたときに典型的には弱毒化されること、及びコンジュゲートの血清安定性が典型的に高いことである。
【0204】
いくつかの実施形態では、切断可能なリンカーは、pH感受性であり、すなわち、ある特定のpH値での加水分解に感受性である。典型的には、pH感受性リンカーは酸性条件下で加水分解可能である。例えば、リソソーム内で加水分解可能な酸不安定リンカー(例えば、ヒドラゾン、セミカルバゾン、チオセミカルバゾン、シス-アコニット酸アミド、オルトエステル、アセタール、ケタールなど)を使用することできる。(例えば、米国特許第5,122,368号、同第5,824,805号、同第5,622,929号;Dubowchik and Walker,1999,Pharm.Therapeutics 83:67-123;Nevilleら、1989,Biol.Chem.264:14653-14661を参照されたい)。そのようなリンカーは、血液中のものなど中性pH条件下で比較的安定しているが、ほぼリソソームのpHであるpH5.5または5.0未満では不安定である。ある特定の実施形態では、加水分解性リンカーは、チオエーテルリンカーである(例えば、アクリルヒドラゾン結合を介して治療剤に付着したチオエーテル(例えば、米国特許第5,622,929号を参照されたい))。
【0205】
なおも他の実施形態では、リンカーは、還元条件下で切断可能である(例えば、ジスルフィドリンカー)。様々なジスルフィドリンカーが当該分野において知られており、例えば、SATA(N-スクシンイミジル-5-アセチルチオアセテート)、SPDP(N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート)、SPDB(N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)ブチレート)及びSMPT(N-スクシンイミジル-オキシカルボニル-アルファ-メチル-アルファ-(2-ピリジル-ジチオ)トルエン)、SPDB及びSMPTを使用して形成することができるものが含まれる(例えば、Thorpeら、1987,Cancer Res.47:5924-5931;Wawrzynczakら,In Immunoconjugates:Antibody Conjugates in Radioimagery and Therapy of Cancer(C.W.Vogel 編.,Oxford U.Press,1987を参照されたい。また、米国特許第4,880,935号も参照されたい)。
【0206】
なおも他の特定の実施形態では、リンカーは、マロン酸塩リンカー(Johnsonら、1995,Anticancer Res.15:1387-93)、マレイミドベンゾイルリンカー(Lauら、1995,Bioorg-Med-Chem.3(10):1299-1304)、または3’-Nアミド類似体(Lauら、1995,Bioorg-Med-Chem.3(10):1305-12)である。
【0207】
典型的には、リンカーは、細胞外環境に対して実質的に感受性でない。本明細書で用いるとき、「細胞外環境に対して実質的に感受性でない」とは、リンカーの文脈において、本発明の化合物の試料中の、リンカーの約20%以下、典型的には約15%以下、より典型的には約10%以下、さらにより典型的には約5%以下、約3%以下、または約1%以下が、本発明の化合物が細胞外環境(例えば、血漿中)に存在する場合に切断されることを意味する。リンカーが細胞外環境に対して実質的に感受性でないかどうかは、例えば、血漿と共に、(a)本発明の化合物(「化合物試料」)及び(b)等モル量の非コンジュゲート抗体または治療剤(「対照試料」)の両方を所定の時間(例えば、2、4、8、16、または24時間)にわたって独立してインキュベートし、次いで、例えば高速液体クロマトグラフィーにより測定して、化合物試料中に存在する非コンジュゲート抗体または治療剤の量を、対照試料に存在するものと比較することによって、決定することができる。
【0208】
他の非相互排他的実施形態では、リンカーは細胞内部移行を促進する。ある特定の実施形態では、リンカーは、活性化部分にコンジュゲートしたときに細胞内部移行を促進する。なおも他の実施形態では、リンカーは、標的部分及び活性化部分の両方にコンジュゲートしたときに細胞内部移行を促進する。
【0209】
本発明の組成物及び方法で使用することができる様々なリンカーは、WO2004010957号、表題「Drug Conjugates and Their Use for Treating Cancer,An Autoimmune Disease or an Infectious Disease」、US20120141509A1、及びUS20120288512A1に記載されている(これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる)。
【0210】
ある特定の実施形態では、リンカー単位は、以下の一般式:
-Ta-Ww-Yy-
を有し、
式中、-T-は、ストレッチャー単位であり;aは、0または1であり;各-W-は独立して、アミノ酸単位であり;wは、独立して2~12の範囲の整数であり;-Y-は、スペーサー単位であり;yは、0、1、または2である。
【0211】
ストレッチャー単位
ストレッチャー単位(-T-)は、存在する場合、標的部分をアミノ酸単位(-W-)に結合させる。天然型または化学操作を介したいずれかの抗体などの標的部分に存在し得る有用な官能基には、スルフヒドリル、アミノ、ヒドロキシル、炭水化物のアノマーヒドロキシル基、及びカルボキシルが含まれるが、これらに限定されない。好適な官能基は、スルフヒドリル及びアミノである。スルフヒドリル基は、抗体の分子内ジスルフィド結合の還元により生成することができる。あるいは、スルフヒドリル基は、抗体のリシン部分のアミノ基と、2-イミノチオラン(トラウト試薬)または他のスルフヒドリル生成試薬との反応により、生成することができる。いくつかの実施形態では、抗体は、組み換え抗体であり、1つまたは複数のリシンを有するように操作される。他の実施形態では、組み換え抗体は、追加のスルフヒドリル基、例えば追加のシステインを有するように操作される。
【0212】
いくつかの実施形態では、ストレッチャー単位は、抗体の硫黄原子との結合を形成する。硫黄原子は、還元された抗体(A)のスルフヒドリル(-SH)基から誘導され得る。これらの実施形態の代表的なストレッチャー単位は、式(IIa)及び(IIb)の角括弧内に表されており、式中、-A-、-W-、-Y-、-D、w、及びyは、上に定義されたとおりであり、Rは、―C~C10アルキレン、―C~Cカルボシクロ-、―O―(C~Cアルキル)-、-アリーレン-、―C~C10アルキレン-アリーレン-、-アリーレン-C~C10アルキレン-、―C-C10アルキレン-(C~Cカルボシクロ)-、―(C~Cカルボシクロ)-C~C10アルキレン-、―C~Cヘテロシクロ-、―C~C10アルキレン-(C~Cヘテロシクロ)-、―(C~Cヘテロシクロ)-C~C10アルキレン-、―(CHCHO)r―、及び―(CHCHO)r―CH―であり;rは、1~10の範囲の整数である。
【化18】
【0213】
例示的なストレッチャー単位は、式(IIa)のものであり、式中、Rは、―(CH―である。
【化19】
【0214】
別の例示的なストレッチャー単位は、式(IIa)のものであり、式中、Rは―(CHCHO)r―CH―であり、rは、2である。
【化20】
【0215】
さらに別の例示的なストレッチャー単位は、式(IIb)のものであり、式中、Rは―(CH―である。
【化21】
【0216】
ある特定の他の特定の実施形態では、ストレッチャー単位は、抗体単位の硫黄原子とストレッチャー単位の硫黄原子の間のジスルフィド結合を介して、抗体単位(A)に結合する。この実施形態の代表的なストレッチャー単位は、式(III)の角括弧内に表されており、式中、R、A-、-W-、-Y-、-D、w、及びyは、上に定義されたとおりである。
【化22】
【0217】
他の特定の実施形態では、ストレッチャーの反応性基は、抗体のアミノ基に反応性であり得る反応部位を含有する。アミノ基は、アルギニンまたはリシンのものであり得る。好適なアミン反応部位には、スクシンイミドエステル、4-ニトロフェニルエステル、ペンタフルオロフェニルエステル、無水物、酸塩化物、塩化スルホニル、イソシアネート、及びイソチオシアネートなどの活性化エステルが含まれるが、これらに限定されない。これらの実施形態の代表的なストレッチャー単位は、式(IVa)及び(IVb)の角括弧内に示されており、式中、R、A-、-W-、-Y-、-D、w、及びyは、上に定義されたとおりである。
【化23】
【0218】
なおも別の態様では、ストレッチャーの反応機能は、抗体上に存在することができる修飾炭水化物基に反応性である反応部位を含有する。いくつかの実施形態では、抗体は、酵素的にグリコシル化されて、炭水化物部分を提供する。炭水化物は、過ヨウ素酸ナトリウムなどの試薬により中程度に酸化され、その結果得られる酸化された炭化水素のカルボニル単位は、Kanekoら、1991,Bioconjugate Chem2:133-41に記載されているものなどの、ヒドラジド、オキシム、反応性アミン、ヒドラジン、チオセミカルバジド、ヒドラジンカルボキシレート、及びアリールヒドラジドなどの官能性を含有するストレッチャーと縮合されることができる。この実施形態の代表的なストレッチャー単位は、式(Va)~(Vc)の角括弧内に示されており、式中、R、A-、-W-、-Y-、-D、w、及びyは、上に定義されたとおりである。
【化24】
【0219】
アミノ酸単位
アミノ酸単位(-W-)は、スペーサー単位が存在する場合には、ストレッチャー単位(-T-)をスペーサー単位(-Y-)に結合させ、スペーサー単位が不在の場合には、ストレッチャー単位を細胞障害剤または細胞増殖抑制剤(活性化部分;D)に結合させる。-Ww-は、ジペプチド、トリペプチド、テトラペプチド、ペンタペプチド、ヘキサペプチド、ヘプタペプチド、オクタペプチド、ノナペプチド、デカペプチド、ウンデカペプチド、またはドデカペプチド単位である。各-W-単位は、独立して、角括弧内に下記に示す式:
【化25】
を有し、wは、2~12の範囲の整数であり、
式中、Rは、水素、メチル、イソプロピル、イソブチル、sec-ブチル、ベンジル、p-ヒドロキシベンジル、―CHOH、―CH(OH)CH、―CHCHSCH、―CHCONH、―CHCOOH、―CHCHCONH、―CHCHCOOH、―(CHNHC(=NH)NH、―(CHNH、―(CHNHCOCH、―(CHNHCHO、―(CHNHC(=NH)NH、―(CHNH、―(CHNHCOCH、―(CHNHCHO、―(CHNHCONH、―(CHNHCONH、―CHCHCH(OH)CHNH、2-ピリジルメチル-、3-ピリジルメチル-、4-ピリジルメチル-、フェニル、シクロヘキシル、
【化26】
である)。
【0220】
リンカー単位のアミノ酸単位は、腫瘍関連プロテアーゼを含むがこれに限定されない酵素により酵素的に切断されて、活性化部分(-D)を遊離することができ、これは、放出の際にインビボでプロトン化されて、活性化分子(D)を提供する。
【0221】
例示的なW単位は、式(VI)~(VIII)によって表される:
【化27】
式中、R及びRは、以下のとおりである:
【表3】
【化28】
式中、R、R及びRは、以下のとおりである:
【表4】
【化29】
式中、R、R、R、及びRは、以下のとおりである。
【表5】
【0222】
好適なアミノ酸単位には、式(VI)(式中、Rはベンジルであり、Rは―(CHNHであり;Rはイソプロピルであり、Rは―(CHNHであるか;またはRはイソプロピルであり、Rは―(CHNHCONHである)の単位が含まれるが、これらに限定されない。別の好適なアミノ酸単位は、式(VII)(式中、Rはベンジルであり、Rはベンジルであり、Rは―(CHNHである)の単位である。-Ww-単位は、特定の腫瘍関連プロテアーゼによる酵素切断のためのその選択性において設計及び最適化され得る。好適な-Ww-単位は、その切断がプロテアーゼ、カテプシンB、C、及びD、及びプラスミンにより触媒されるものである。
【0223】
いくつかの実施形態では、-Ww-は、ジペプチド、トリペプチド、またはテトラペプチド単位である。
【0224】
、R、R、R、またはRが水素以外である場合、R、R、R、R、またはRが付着する炭素原子はキラルである。R、R、R、R、またはRが付着する各炭素原子は、独立して(S)または(R)配置である。
【0225】
いくつかの実施形態では、アミノ酸単位は、フェニルアラニン-リシンジペプチド(Phe-LysまたはFKリンカー)である。いくつかの実施形態では、アミノ酸単位は、バリン-シトルリンジペプチド(Val-CitまたはVCリンカー)である。いくつかの実施形態では、アミノ酸単位は、5-アミノ吉草酸、ホモフェニルアラニンリシン、テトライソキノリンカルボキシレートリシン、シクロヘキシルアラニンリシン、イソネペコチン酸リシン、ベータ-アラニンリシン、グリシンセリンバリングルタミン、またはイソネペコチン酸である。
【0226】
アミノ酸単位は、天然のアミノ酸を含むことができる。他の実施形態では、アミノ酸単位は、非天然のアミノ酸を含むことができる。
【0227】
スペーサー単位
スペーサー単位(-Y-)は、存在する場合、アミノ酸単位を薬物単位に結合させる。スペーサー単位には、自己犠牲型及び非自己犠牲型の2つの一般的な種類がある。非自己犠牲型スペーサー単位は、スペーサー単位の一部または全てが、TM-リンカー-AMコンジュゲートまたは薬物-リンカー化合物からのアミノ酸単位の酵素切断の後、活性化部分単位に結合したままであるものである。非自己犠牲型スペーサー単位の例には、(グリシン-グリシン)スペーサー単位及びグリシンスペーサー単位が挙げられるが、これらに限定されない。グリシン-グリシンスペーサー単位またはグリシンスペーサー単位を含有するTM-リンカー-AMコンジュゲートが、腫瘍細胞関連プロテアーゼ、癌細胞関連プロテアーゼ、またはリンパ球関連プロテアーゼを介して酵素切断を受ける場合、グリシン-グリシン-薬物部分またはグリシン-薬物部分は、A-T-Ww-から切断される。AMを遊離するため、独立した加水分解反応が、グリシン-薬物単位結合を切断するために標的細胞内で生じるべきである。
【0228】
典型的な実施形態では、-Yy-は、p-アミノベンジルエーテルであり、これはQmにより置換され得、ここでQは、―C~Cアルキル、―C~Cアルコキシ、-ハロゲン、-ニトロ、または-シアノであり;mは、0~4の範囲の整数である。
【0229】
いくつかの実施形態では、非自己犠牲型スペーサー単位(-Y-)は、-Gly-Gly-である。
【0230】
いくつかの実施形態では、非自己犠牲型スペーサー単位(-Y-)は、-Gly-である。
【0231】
一実施形態では、AM-リンカー化合物またはTM-リンカー-AMコンジュゲートは、スペーサー単位を欠く(y=0)。
【0232】
あるいは、自己犠牲型スペーサー単位を含有するTM-リンカー-AMコンジュゲートは、別の加水分解ステップの必要なしに、AM(D)を放出することができる。これらの実施形態では、-Y-は、p-アミノベンジルアルコール(PAB)単位であり、それは、PAB基の窒素原子を介して-Ww-に結合し、カーボネート、カルバメート、またはエーテル基を介して-Dに直接接続する。
【0233】
自己犠牲型スペーサー単位の他の例には、2-アミノイミダゾール-5-メタノール誘導体(例えば、Hayら、1999,Bioorg.Med.Chem.Lett.9:2237を参照されたい)及びオルトまたはパラ-アミノベンジルアセタールなどの、PAB基と電子的に等価の芳香族化合物が挙げられるが、これらに限定されない。置換及び非置換4-アミノ酪酸アミド(Rodriguesら、1995,Chemistry Biology2:223)、適切に置換されたビシクロ[2.2.1]及びビシクロ[2.2.2]環系(Stormら、1972,J.Amer.Chem.Soc.94:5815)、及び2-アミノフェニルプロピオン酸アミド(Amsberryら、1990,J.Org.Chem.55:5867)などのアミド結合加水分解の際に簡易環化を受けるスペーサーを使用することができる。グリシンのα位置で置換されるアミン含有薬物の排除(Kingsburyら、1984,J.Med.Chem.27:1447)も、TM-リンカー-AMコンジュゲートに適用することができる自己犠牲型スペーサー戦略の例である。
【0234】
代替の実施形態では、スペーサー単位は、分岐ビス(ヒドロキシメチル)スチレン(BHMS)単位であり、これは部分の組み込みに使用することができる。
【0235】
典型的なスペーサー単位(-Yy-)は式(IX)~(XI):
【化30】
により表され、
式中、Qは、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、ハロゲン、ニトロ、またはシアノであり;mは、0~4の範囲の整数である。
【化31】
【0236】
いくつかの実施形態では、リンカーは酵素切断性である。いくつかの実施形態では、リンカーは酵素切断性でない。
【0237】
いくつかの実施形態では、リンカーは、以下の式(II):
【化32】

の構造により表され、mは、1、2、3、4、5、または6であり、各bは独立して、0または1であり、Dは独立して、式(III):
【化33】
の構造により表され、
式中、各iは独立して、0または1であり;
各jは独立して、0、1、2、3、4、5、または6であり;
各Aは独立して、S、O、またはN-Raであり、ここでRaは、水素、アルキル、アルケニル、またはアルコキシであり;
各Bは独立して、アルキル、アルケニル、--O-アルキル-、--アルキル-O--、--S-アルキル--、--アルキル-S--、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、またはペプチドであり、そのそれぞれは、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、--アルキル-アリール、--アルキル-ヘテロアリール、--アルキル-ヘテロシクリル、--O-R、--O-アルキル-R、--C(O)-R、--C(O)-O-R、--S-R、--S(O)-R、--NHR、--NH-アルキル-R、ハロゲン、--CN、--NO、及び-SHからなる群より選択される1つまたは複数の置換基により任意選択的に置換され、ここでRは、アルキル、アルケニル、--アルキル-ヒドロキシル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、またはハロアルキルである。
【0238】
いくつかの実施形態では、リンカーは、以下の式(V)~(VII):
【化34】
の構造により表され、A、B、i及びjは上に定義される。
【0239】
いくつかの実施形態では、リンカーは、S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、-Gly-Phe-Leu-Gly-、-Ala-Leu-Ala-Leu-、-Phe-Arg-、-Phe-Lys-、-Val-Lys-、-Val-Ala-、またはVal-Cit-から選択され、ここでS1~S7は以下の構造:
【化35-1】
【化35-2】
により表され、式中、各mは独立して、1から20である。好ましくは、mは、1から3、1から5、1から10、または2から5である。
【0240】
化合物の調製
一般に、式(I)の構造により表される活性化部分は、以下に概略する、合成手法を用いて作製することができる。ステップ(1)では、式Aの4-クロロ-3-ニトロキノリンを式RNHのアミンと反応させて式Bの3-ニトロキノリン-4-アミンを提供する。ステップ2では、式Bの3-ニトロキノリン-4-アミンを還元させて式Cのキノリン(quinoine)-3-4-ジアミンを提供する。ステップ3では、式Cのキノリン(quinoine)-3-4-ジアミンをカルボン酸またはその等価物と反応させて式Dの1H-イミダゾ[4,5c]キノリンを提供する。
【化36】
【0241】
あるいは、式(I)の化合物は、US6,331,539B1、US6,451,810B1、US7,157,452及びUS7,301027B2に記載の合成方法に従って調製されることができる。
【0242】
別の態様では、式(Ia)及び(Ib)の化合物は、リンカーを使用して標的部分及び活性化部分の両方と接続することにより調製することができる。リンカーは、その反応性部位を使用して標的及び活性化部分に結合する。いくつかの実施形態では、結合は、リンカーと標的及び活性化部分の間の共有結合を形成することによる。いくつかの実施形態では、反応性部位は、求核基である。いくつかの実施形態では、反応性部位は、求電子性基である。リンカーにおける有用な求核基には、ヒドラジド、オキシム、アミノヒドラジン、チオセミカルバゾン、ヒドラジンカルボキシレート、及びアリールヒドラジド基が含まれる、これらに限定されない。有用な求電子性基には、マレイミド、カーボネート及びハロアセトアミド基が含まれるが、これらに限定されない。
【0243】
医薬製剤及び投与
本発明は、本明細書の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、及び1つまたは複数の薬学的に許容され得る担体を含む、医薬製剤にさらに関する。
【0244】
付加塩またはその水和物などの薬学的に許容され得る担体を含む本明細書に記載の化合物は、多種多様な投与経路または投与様式を使用して患者に送達することができる。好適な投与経路には、吸入、経皮、経口、直腸内、経粘膜、腸内、ならびに筋肉内、皮下、及び静脈内注射を含む非経口投与が含まれる。好ましくは、標的部分として抗体または抗体断片を含む本発明の化合物は、非経口、より好ましくは静脈内投与される。
【0245】
本明細書で用いるとき、「投与する」または「投与」という用語は、化合物をその意図される作用部位へ直接的及び間接的に送達する全ての方法を包含することが意図される。
【0246】
本明細書に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩及び/または水和物は、単独で、本発明の他の化合物と組み合わされて、及び/または他の治療剤と組み合わされたカクテルにて投与され得る。当然のことながら、本発明の化合物と同時投与することができる治療剤の選択は、部分的には、処置される状態に依存するだろう。
【0247】
例えば、自己誘発剤に依存する生物により引き起こされる疾患状態に罹患している患者に投与する場合、本発明の化合物は、疼痛、感染、及び疾患に一般的に関連する他の症状及び副作用を処置するために使用する薬剤を含有するカクテルにて投与することができる。そのような薬剤には、例えば、鎮痛薬、抗生物質などが含まれる。
【0248】
癌処置を受けている患者に投与されるとき、化合物は、抗癌剤及び/または補助増強剤を含有するカクテルにて投与され得る。化合物は、また、制吐薬、放射線保護剤などの、放射線療法の副作用を処置する薬剤を含有するカクテルにて投与され得る。
【0249】
本発明の化合物と同時投与することができる補助増強剤には、例えば、三環系抗うつ剤(例えば、イミプラミン、デシプラミン、アミトリプチリン、クロミプラミン、トリミプラミン、ドキセピン、ノルトリプチリン、プロトリプチリン、アモキサピン、及びマプロチリン);非三環系抗うつ剤(例えば、セルトラリン、トラゾドン、及びシタロプラム);Ca+2拮抗薬(例えば、ベラパミル、ニフェジピン、ニトレンジピン、及びカロベリン)、;アンホテリシン;トリパラノール類似体(例えば、タモキシフェン);抗不整脈薬(例えば、キニジン);降圧薬(例えば、レセルピン);チオール枯渇薬(例えば、ブチオニン、及びスルホキシイミン);及びカルシウムロイコポリンが含まれる。
【0250】
本発明の活性化合物(複数可)は、それ自体、または活性化合物(複数可)が1つまたは複数の薬学的に許容され得る担体、賦形剤、または希釈剤と混合される医薬組成物の形態で投与される。本発明に従って使用するための医薬組成物は、活性化合物を薬学的に使用できる調製物に加工することを促進する賦形剤及び佐剤を含む1つまたは複数の生理学的に許容され得る担体を使用する、従来の方法で典型的に製剤化される。適切な製剤化は、選択される投与経路に依存する。
【0251】
経粘膜投与については、透過される関門に適する浸透剤が製剤内に使用される。そのような浸透剤は、当該分野において一般に知られている。
【0252】
経口投与については、化合物は、活性化合物(複数可)を当該分野で周知の薬学的に許容され得る担体と組み合わせることによって、容易に製剤化され得る。そのような担体は、本発明の化合物が、錠剤、丸剤、糖衣錠、カプセル剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー剤、懸濁剤として、処置される患者による経口摂取用に製剤化されることを可能にする。経口使用のための医薬調製物は、固体の賦形剤を、結果得られた混合物を任意選択的に粉砕し、錠剤または糖衣剤コアを得るために望ましい場合、好適な佐剤を加えた後、顆粒の混合物を加工して得ることができる。好適な賦形剤は、特に、ラクトース、スクロース、マンニトール、またはソルビトールを含む糖類などの充填剤;例えばトウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、及び/またはポリビニルピロリドン(PVP)などのセルロース調製物である。望ましい場合、崩壊剤、例えば、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸、またはアルギン酸ナトリウムなどのその塩などを添加することができる。
【0253】
糖衣錠コアは好適な被覆と共に提供される。この目的のために、糖濃縮液が使用され得、これは任意選択的にアラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カーボポールゲル、ポリエチレングリコール、及び/または二酸化チタン、ラッカー溶液、及び好適な有機溶媒または溶媒混合物を含有し得る。染料または顔料を、同定のため、または活性化合物用量の異なる組み合わせを特徴付けるために、錠剤または糖衣剤被覆に添加してもよい。
【0254】
経口的に使用できる医薬調製物には、ゼラチンから作られる押し込み式カプセル剤、ならびに、ゼラチン及びグリセロールまたはソルビトールなどの可塑剤から作られる軟質密閉カプセル剤が含まれる。押し込み式カプセルは、ラクトース等の充填剤、デンプン等の結合剤、及び/またはタルクまたはステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤、及び任意選択的に安定化剤との混合物内に活性成分を含有することができる。軟質カプセル剤では、活性化合物は、脂肪油、流動パラフィン、または液体ポリエチレングリコールなどの好適な液体中に溶解または懸濁され得る。加えて、安定化剤を添加してもよい。経口投与用のすべての製剤は、そのような投与に好適な投与量であるべきである。
【0255】
口腔内投与については、組成物は従来の方法により製剤化された錠剤またはロゼンジ剤の形態をとり得る。
【0256】
吸入による投与については、本発明に従って使用するための化合物は、好適な噴射剤、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロメタン、二酸化炭素、または他の好適なガスの使用を伴い、加圧パックまたは噴霧器からのエアロゾルスプレー状の形態で好都合に送達される。加圧エアロゾルの場合、用量単位は、計量を送出するための弁を提供することにより決定され得る。例えば吸入器または注入器で使用するためのゼラチンのカプセル剤及びカートリッジ剤は、化合物と、ラクトースまたはデンプンなどの好適な粉末基剤との粉末混合物を含有して、製剤化され得る。
【0257】
化合物は、注射による、例えばボーラス注射または持続注入による非経口投与用に製剤化され得る。注射は、本発明の組成物の好ましい投与方法である。注射用製剤は、単位剤形、例えば、アンプルまたは多用量容器で存在し得、防腐剤の添加を伴う。組成物は、懸濁剤、液剤、または油性または水性ビヒクル中の乳剤などの形態をとってよく、懸濁剤、安定化剤、及び/または分散剤などの製剤化剤を含有してもよく、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸、またはアルギン酸ナトリウムなどのその塩などを添加してもよい。
【0258】
非経口投与用の医薬製剤には、水溶性形態の活性化合物の水溶液が含まれる。加えて、活性化合物の懸濁剤は、適切な油性注射用懸濁剤として調製され得る。好適な親油性溶媒またはビヒクルには、ゴマ油などの脂肪油、またはオレイン酸エチルまたはトリグリセリドなどの合成脂肪酸エステル、またはリポソームが含まれる。水性注射用懸濁剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストランなどの懸濁剤の粘度を増加させる物質を含有し得る。任意選択的に、懸濁剤は、好適な安定化剤、または高濃度の溶液の調製を可能にするための化合物の可溶性を増加させる薬剤を含有し得る。注射については、本発明の薬剤は、水溶液に、好ましくはハンクス溶液、リンゲル溶液または生理食塩水緩衝液などの生理学的に適合可能な緩衝液に製剤化され得る。
【0259】
あるいは、活性成分は、使用前に、好適なビヒクル、例えば無パイロジェン滅菌水との構成のための粉末形態であり得る。
【0260】
化合物は、また、例えばカカオバターまたは他のグリセリドなどの従来の坐剤基剤を含有する、坐剤または停留浣腸などの直腸用組成物にも製剤化され得る。
【0261】
前述の製剤に加えて、化合物は、デポー調製物としても製剤化され得る。そのような長期作用製剤は、埋め込みまたは経皮送達(例えば、皮下または筋肉内)、筋肉内注射、または経皮パッチにより投与され得る。したがって、例えば化合物は、好適なポリマーまたは疎水性材料(例えば、許容され得る油中の乳剤として)、またはイオン交換樹脂を伴って、またはやや難溶性の誘導体として、例えばやや難溶性の塩として製剤化され得る。
【0262】
医薬組成物は、好適な固体またはゲル相の担体または賦形剤も含み得る。そのような担体または賦形剤の例には、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、及びポリエチレングリコールなどのポリマーが含まれるが、これらに限定されない。
【0263】
好ましい医薬組成物は、静脈内注射などの注射用に製剤化された組成物であり、総医薬組成物の100重量%に基づいて、約0.01重量%~約100重量%の本発明の化合物を含む。薬物-リガンドコンジュゲートは、抗体が特定の癌を標的するように選択されている抗体-細胞毒素コンジュゲートであり得る。
【0264】
いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物は追加の治療剤をさらに含む。
【0265】
いくつかの実施形態では、追加の治療剤は抗癌剤である。
【0266】
いくつかの実施形態では、追加の抗癌剤は、代謝拮抗薬、トポイソメラーゼI及びIIの阻害剤、アルキル化剤、微小管阻害剤、抗アンドロゲン剤、GNRhモジュレータまたはそれらの混合物から選択される。
【0267】
いくつかの実施形態では、追加の治療剤は化学療法剤である。
【0268】
本明細書において「化学療法剤」は、癌の処置に有用な化学化合物を意味する。例には、ゲムシタビン、イリノテカン、ドキソルビシン、5-フルオロウラシル、シトシンアラビノシド(「Ara-C」)、シクロホスファミド、チオテパ、ブスルファン、サイトキシン、TAXOL、メトトレキセート、シスプラチン、メルファラン、ビンブラスチン、及びカルボプラチンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0269】
いくつかの実施形態では、第二の化学療法剤は、タモキシフェン、ラロキシフェン、アナストロゾール、エキセメスタン、レトロゾール、イマタニブ、パクリタキセル、シクロホスファミド、ロバスタチン、ミノシン、ゲムシタビン、シタラビン、5-フルオロウラシル、メトトレキサート、ドセタキセル、ゴセレリン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ノコダゾール、テニポシドエトポシド、ゲムシタビン、エポチロン、ビノレルビン、カンプトテシン、ダウノルビシン、アクチノマイシンD、ミトキサントロン、アクリジン、ドキソルビシン、エピルビシン、またはイダルビシンからなる群より選択される。
【0270】
キット
別の態様では、本発明は、1つまたは複数の本発明の化合物または組成物と、当該化合物または組成物の使用指示書とを含有するキットを提供する。例示的な実施形態では、本発明は、本発明のリンカーアームを別の分子とコンジュゲートするためのキットを提供する。キットは、リンカーと、リンカーを特定の官能基に付着させるための指示書とを含む。キットは、1つまたは複数の細胞障害薬、標的剤、検出可能標識、薬学的塩または緩衝液も含み得る。キットは、容器、及び任意選択的に1つまたは複数のバイアル、試験管、フラスコ、ボトル、またはシリンジも含み得る。キットの他の形式は、当業者に明白であり得、本発明の範囲内である。
【0271】
医療用途
別の態様では、本発明は、疾患状態の処置を必要とする対象内の疾患状態を処置するための方法であって、治療有効量の本発明の化合物、その薬学的に許容され得る塩、及び薬学的に許容され得る担体を含む医薬組成物を対象に投与することを含む、前記方法を提供する。
【0272】
上記の組成物及び構築物に加えて、本発明は、本発明の化合物の多数の用途も提供する。本発明の化合物の用途には、腫瘍細胞または癌細胞の死滅または成長、増殖または複製の阻害、癌の処置、前癌性状態の処置、腫瘍細胞または癌細胞の分裂による増殖の防止、癌の予防、自己免疫性抗体を発現する細胞の分裂による増殖の防止が含まれる。これらの用途は、有効量の本発明の化合物を、それを必要とする哺乳動物またはヒトなどの動物に投与することを含む。
【0273】
本発明の化合物は、ヒトなどの対象において癌などの疾患を処置するのに有用である。組成物を薬学的に許容され得る様式で、本発明の薬学的に有効な量の組成物を対象に提供することにより腫瘍を処置するための組成物及び用途を提供する。いくつかの実施形態では、腫瘍は転移性または非転移性であることができる。
【0274】
本明細書において「癌」または「腫瘍」とは、無秩序な細胞増殖により特徴付けられる、ヒトにおける病理状態を意味する。例には、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、及び白血病が挙げられるが、これらに限定されない。癌のより具体的な例には、肺(小細胞及び非小細胞)、乳房、前立腺、カルチノイド、膀胱、胃、膵臓、肝臓(肝細胞)、肝芽腫、直腸結腸、頭頸部扁平上皮癌、食道、卵巣、子宮頸部、子宮内膜、中皮腫、黒色腫、肉腫、骨肉腫、脂肪肉腫、甲状腺、デスモイド、慢性骨髄性白血病(AML)、及び慢性骨髄性白血病(CML)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0275】
本明細書において「阻害する」または「処置する」または「処置」は、低減、治療処置、及び予防また防止処置を意味し、ここでの目的は狙った病理障害または状態を低減または防止することである。一例では、本発明の化合物を投与した後、癌患者は、腫瘍サイズの低減を経験し得る。「処置」または「処置する」には、(1)疾患の病理または症状を経験または示している対象において該疾患を阻害すること、(2)疾患の病理または症状を経験または示している対象において該疾患を改善すること、及び/または(3)疾患の病理または症状を経験または示している対象において該疾患の任意の測定可能な減少をもたらすこと、が含まれる。本発明の化合物が癌細胞の増殖を防止する及び/または死滅させ得る限り、それは細胞増殖抑制的及び/または細胞障害的であり得る。
【0276】
本明細書において「治療有効量」とは、対象または哺乳動物において障害を「処置する」のに有効な、本明細書に提供される化合物の量を意味する。癌の場合では、治療有効量の薬物は、癌細胞の数を低減する、腫瘍サイズを低減する、末梢臓器への癌細胞の浸潤を阻害する、腫瘍転移を阻害する、腫瘍増殖をある程度まで阻害する、及び/または癌に関連する1つまたは複数の症状をある程度まで軽減する、のいずれかをなし得る。
【0277】
別の態様では、本発明は、対象に治療有効量の本発明の化合物を投与することを含む、対象内の腫瘍/癌を処置する方法を提供する。いくつかの実施形態では、腫瘍または癌は任意のステージ、例えば、ステージI、II、III、IVまたはV腫瘍または癌などの、初期または進行したステージであることができる。いくつかの実施形態では、腫瘍または癌は、転移性または非転移性であることができる。転移の文脈において、本発明の方法は、原発腫瘍または癌の他の部位への転移、または原発腫瘍または癌療法から遠位の他の部位での転移性腫瘍または癌の形成または確立を低減するまたは阻害することができる。ゆえに、本発明の方法は、中でも、1)腫瘍転移する可能性があるまたは実際に腫瘍転移する腫瘍または癌細胞(例えば、播種性腫瘍細胞、DTC)の成長、増殖、移動性または侵襲性を低減するまたは阻害する;2)原発腫瘍または癌から生じる、原発腫瘍または癌と異なる1つまたは複数の他の部位、箇所または領域への腫瘍転移の形成または確立を低減するまたは阻害する;3)転移が形成されたまたは確立した後に、原発腫瘍または癌と異なる1つまたは複数の他の部位、箇所または領域での転移の成長または増殖を低減するまたは阻害する;4)転移が形成または確立された後にさらなる転移の形成または確立を低減するまたは阻害することを含む。
【0278】
いくつかの実施形態では、腫瘍または癌は固形または液状の細胞塊である。「固形」腫瘍は、典型的に一つに凝集して塊を形成する癌、新生物または転移を指す。特定の非限定的な例には、乳房、卵巣、子宮、子宮頚部、胃、肺、胃、結腸、膀胱、グリア系、及び子宮内膜腫瘍/癌などが含まれる。「液状の腫瘍」は、典型的には固形塊を形成しないために、本質的に分散するまたはびまん性である新生物を指す。具体的な例には、リンパ腫、骨髄腫及び白血病などの細網内皮系または造血系の新生物を含む。白血病の非限定的な例には、急性及び慢性リンパ芽球性、骨髄芽球性(myeolblastic)及び多発性骨髄腫が含まれる。典型的には、そのような疾患は、低分化の急性白血病、例えば、赤芽球白血病及び急性巨核芽球性白血病から生じる。具体的な骨髄性障害には、急性前骨髄球性白血病(APML)、急性骨髄性白血病(AML)及び慢性骨髄性白血病(CML)が含まれるが、これに限定されない。リンパ系悪性腫瘍には、B細胞系ALL(B-ALL)及びT細胞系ALL(T-ALL)を含む急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、前リンパ球性白血病(PLL)、毛髪様細胞白血病(HLL)及びワルデンストレームマクログロブリン血症(WM)が含まれるが、これらに限定されない。具体的な悪性リンパ腫には、非ホジキンリンパ腫及びその変異体、末梢T細胞リンパ腫、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)、大顆粒リンパ球白血病(LGF)、ホジキン病及びリード・シュテンベルグ病が含まれる。
【0279】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、他の処置または療法(例えば、外科的切除、放射線療法、電離または化学放射線療法、化学療法、免疫療法、局所または局部(温熱)療法、またはワクチン接種)を用いて実施することができる。そのような他の処置または療法は、本発明の化合物の投与の前、実質的に同時に(別々にまたは混合して)、または後に投与することができる。
【0280】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、治療有効量の本発明の化合物を追加の治療剤と組み合わせて投与することを含む。いくつかの実施形態では、追加の治療剤は、抗癌/抗腫瘍剤である。いくつかの実施形態では、追加の治療剤は、代謝拮抗薬、トポイソメラーゼI及びIIの阻害剤、アルキル化剤、微小管阻害剤、抗アンドロゲン剤、GNRhモジュレータまたはそれらの混合物である。いくつかの実施形態(embodiemnt)では、追加の治療剤は、タモキシフェン、ラロキシフェン、アナストロゾール、エキセメスタン、レトロゾール、イマタニブ、パクリタキセル、シクロホスファミド、ロバスタチン、ミノシン、ゲムシタビン、シタラビン、5-フルオロウラシル、メトトレキサート、ドセタキセル、ゴセレリン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ノコダゾール、テニポシドエトポシド、ゲムシタビン、エポチロン、ビノレルビン、カンプトテシン、ダウノルビシン、アクチノマイシンD、ミトキサントロン、アクリジン、ドキソルビシン、エピルビシン、またはイダルビシンからなる群より選択される。
【0281】
1つまたは複数の追加の治療剤と「組み合わせて」投与することは、同時(同時発生的)及び任意の順番での逐次投与を含む。本明細書で用いるとき、「薬学的な組み合わせ」という用語は、活性成分を混合または組み合わせることにより得られる生成物を指し、活性成分の固定された及び固定されない組み合わせの両方を含む。「固定された組み合わせ」という用語は、活性成分、例えば式(1)の化合物及び共薬剤が、両方とも、単一実体または投与量の形態において同時に患者に投与されることを意味する。「固定されない組み合わせ」という用語は、活性成分、例えば式(1)の化合物及び共薬剤が、両方とも、別々の実体として、同時に、同時発生的に、または連続的に特定の時間制限なしで患者に投与されることを意味し、そのような投与は、患者の身体内に治療有効レベルの活性成分を提供する。後者は、カクテル療法、例えば3つ以上の活性成分の投与にも適用される。
【0282】
いくつかの実施形態では、疾患状態は腫瘍または癌である。いくつかの実施形態では、癌または腫瘍は、胃、結腸、直腸、肝臓、膵臓、肺、乳房、子宮頸部、子宮体部、卵巣、精巣、膀胱、腎、脳/CNS、頭頸部、喉、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、白血病、黒色腫、非黒色腫皮膚癌、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、ユーイング肉腫、小細胞肺癌、絨毛がん、横紋筋肉腫、ウィルムス腫瘍、神経芽細胞腫、毛髪様細胞白血病、口腔/咽頭、食道、喉頭、腎臓癌またはリンパ腫から選択される。
【0283】
いくつかの実施形態では、疾患状態は、前癌性病変などの異常細胞増殖を含む。
【0284】
本発明は、動物における、癌の処置に対して及び腫瘍細胞または癌細胞の分裂増殖の阻害に対して特に有用である。癌または前癌性状態は、腫瘍、転移、または無秩序な細胞増殖により特徴付けられる任意の疾患または障害を含み、本発明の薬物-リガンド複合体の投与により処置または予防することができる。化合物は、活性化部分を腫瘍細胞または癌細胞に送達する。いくつかの実施形態では、標的部分は、癌細胞または腫瘍細胞関連抗原に特異的に結合または会合する。リガンドに対するその近接性のため、内部移行した後、活性化部分は、例えば受容体媒介エンドサイトーシスを通して腫瘍細胞または癌細胞内に取り込まれることができる。抗原は、腫瘍細胞または癌細胞に付着することができる、または腫瘍細胞または癌細胞と会合する細胞外マトリックスタンパク質であり得る。いったん細胞内に入ると、リンカーは、腫瘍細胞または癌細胞関連プロテアーゼにより加水分解的または酵素的に切断され、それによって活性化部分を放出する。次いで、放出された活性化部分は、自由に拡散し、免疫細胞または腫瘍細胞の免疫活性を誘発または増強する。代替的な実施形態では、活性化部分は、化合物の腫瘍微小環境から切断され、続いて薬物が細胞に浸透する。
【0285】
本発明の化合物により標的され得る前癌性状態の代表例には、化生、過形成、異形成、結腸直腸ポリープ、光線性角化症、光線性口唇炎、ヒトパピローマウイルス、白斑症、扁平苔癬、及びボーエン病が含まれる。
【0286】
本発明の化合物により標的され得る癌または腫瘍の代表例には、肺癌、大腸癌、前立腺癌、リンパ腫、黒色腫、乳癌、卵巣癌、精巣癌、CNS癌、腎癌、腎臓癌、膵癌、胃癌、口腔癌、鼻腔癌、子宮頸部癌、及び白血病が挙げられる。化合物内で使用される特定の標的部分は、薬物を用いて処置される腫瘍組織に対する活性化部分を標的するように選択されることができる(すなわち、腫瘍特異的抗原に特異的な標的剤が選択される)ことが、当業者には容易に理解されるだろう。そのような標的部分の例は、当該分野において周知であり、その例には、乳癌の処置のための抗Her2、リンパ腫の処置のための抗CD20、前立腺癌の処置のための抗PSMA、及び非ホジキンリンパ腫を含むリンパ腫の処置のための抗CD30が挙げられる。
【0287】
いくつかの実施形態では、異常増殖は癌細胞のものである。
【0288】
いくつかの実施形態では、癌は、乳癌、結腸直腸癌、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、子宮内膜癌、濾胞性リンパ腫、胃癌、神経膠芽腫、頭頸部癌、肝細胞癌、肺癌、黒色腫、多発性骨髄腫、卵巣癌、膵癌、前立腺癌、及び腎細胞癌からなる群より選択される。
【0289】
いくつかの実施形態では、本発明は、細胞の死滅に使用するための化合物を提供する。化合物は、細胞に、前記細胞を死滅させるのに十分な量で投与される。例示的な実施形態では、化合物は、細胞を有する対象に投与される。さらなる例示的な実施形態では、投与は、細胞(例えば、細胞は腫瘍細胞であり得る)を含む腫瘍の増殖を遅延または停止させる役割を果たす。増殖を遅延させるための投与について、細胞の増殖の速度は、投与前の増殖の速度より少なくとも10%下回るべきである。好ましくは、増殖の速度は、少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%遅延される、または完全に停止される。
【0290】
加えて、本発明は、医薬品として使用するための本発明の化合物または医薬組成物を提供する。本発明は、腫瘍または癌細胞を死滅させる、腫瘍または癌細胞の増殖を阻害するまたは遅らせるため、またはTLR7及び/またはTLR8が関係する疾患を処置するための化合物または医薬組成物も提供する。
【0291】
有効投与量
本発明での使用に好適な医薬組成物には、活性成分が治療有効量、すなわち、その意図される目的を達成するのに有効な量で含有される組成物が含まれる。特定の用途のための実際の有効量は、とりわけ、処置される状態に依存するだろう。有効量の決定は、特に本明細書の詳細な開示を考慮すると、十分に当業者の能力の範囲内である。
【0292】
本明細書に記載の任意の化合物について、治療有効量は、細胞培養アッセイから最初に決定することができる。目標血漿濃度は、細胞増殖または分裂を阻害することができる活性化合物(複数可)の濃度であるだろう。好ましい実施形態では、細胞活性は、少なくとも25%阻害される。少なくとも約30%、50%、75%、またはさらに90%、またはそれより高い細胞活性の阻害を誘発することができる活性化合物(複数可)の目標血漿濃度が、本発明において好ましい。患者における細胞活性の阻害率(%)をモニターして、達成される血漿薬物濃度の適切さを評価することができ、投与量を上方または下方調整して、所望の阻害率(%)を達成することができる。
【0293】
当該分野で周知であるように、ヒトにおいて使用するための治療有効量は、動物モデルからも決定することができる。例えば、ヒトに対する用量は、動物において有効であると見出されている循環濃度を達成するように製剤化することができる。ヒトにおける投与量は、上記のように、細胞阻害をモニターすること及び投与量を上方または下方調整することによって調整することができる。
【0294】
治療有効用量は、同様の薬理学的活性を呈することが知られている化合物についてのヒトデータからも決定することができる。適用される用量は、既知の化合物と比較した、投与化合物の相対的バイオアベイラビリティ及び効力に基づいて調整することができる。
【0295】
上記の方法及び当該分野に周知の他の方法に基づいて、ヒトにおいて最大有効性を達成するように用量を調整することは、十分に当業者の能力の範囲内である。
【0296】
局所投与の場合では、投与化合物の全身循環濃度は、特に重要ではないだろう。そのような場合には、化合物は、意図される結果を達成するのに有効な局所領域である濃度を達成するように投与される。
【0297】
異常細胞増殖に関連する疾患の予防及び/または処置における使用について、投与化合物の循環濃度は約0.001μMから20μMが好ましく、約0.01μMから5μMが好ましい。
【0298】
本明細書に記載の化合物の経口投与用の患者用量範囲は、典型的には約1mg/日から約10,000mg/日、より典型的には約10mg/日から約1,000mg/日、最も典型的には約50mg/日から約500mg/日である。患者の体重の観点から記述すると、典型的な投与量範囲は、約0.01から約150mg/kg/日、より典型的には約0.1から約15mg/kg/日、最も典型的には約1から約10mg/kg/日、例えば5mg/kg/日または3mg/kg/日である。
【0299】
少なくともいくつかの実施形態では、腫瘍増殖を遅延または阻害する患者用量は、1μmol/kg/日以下であることができる。例えば、患者用量は、0.9、0.6、0.5、0.45、0.3、0.2、0.15、または0.1μmol/kg/日以下(薬物のモル基準)であることができる。好ましくは、薬物コンジュゲートを伴う抗体は、少なくとも5日間にわたって1日投与量を投与したとき、腫瘍の増殖を遅延させる。
【0300】
投与の他の様式については、投与量及び間隔を個別に調整して、処置される特定の臨床適応症に有効な投与化合物の血漿レベルを提供することができる。例えば、一実施形態では、本発明に係る化合物を比較的高濃度で1日あたり複数回投与することができる。あるいは、本発明の化合物を最小有効濃度で投与すること、及び少ない頻度の投与レジメンを使用することが、より望ましくあり得る。このことは、個体の疾患の重篤度に応じた治療レジメンを提供するだろう。
【0301】
本明細書に提供する教示を活用して、実質的な毒性を引き起こさないが、特定の患者が示す臨床症状を処置するのに完全に有効である、有効治療処置レジメンを計画することができる。この計画は、化合物の効力、相対的バイオアベイラビリティ、患者の体重、有害副作用の有無及び重篤度、投与の好ましい様式、及び選択された薬剤の毒性プロファイルなどの要因を考慮することによって、活性化合物を注意深く選択することを必然的に含むべきである。
【0302】
本発明の好ましい実施形態を本明細書において示し記載したが、かかる実施形態は例としてのみ提供されることが、当業者には明白であるだろう。多くの変形、変更、及び置換が本発明から逸脱することなく当業者に想定されるであろう。本明細書に記載の本発明の実施形態に対する種々の代替が、本発明の実施において採用され得ることを理解されたい。以下の特許請求の範囲が本発明の範囲を定義し、これらの特許請求の範囲に含まれる方法及び構造、及びそれらの等価物がそれにより包含されると意図される。
【実施例0303】
本発明を、本発明の化合物の調製を例示する以下及び実施例により、さらに例示するがこれらに制限されない。
【0304】
実施例1
her2またはegfrトランスフェクトL細胞系の生成
試薬:L細胞は、ATCC(バージニア州マナサス;カタログ番号CRL2648)からのものであり、Her2/pEZ-Lv105またはegfr/pCMV cDNAは、Sino Biological Inc.,(カタログ番号H10004)またはGeneCopoeia(カタログ番号Z2866)から購入した、グルコースDMEM、L-グルタミン、リポフェクタミン2000(Invitrogen;カリフォルニア州カールスバッド)。
【0305】
コンジュゲートトラスツズマブをスクリーニングするための細胞系を作製するため、タグ標識Her2またはEGFRを発現するL細胞を生成した。Her2/pEZ-Lv105またはegfr/pCMV cDNA構築物を、標準的なリポフェクタミン2000プロトコールにより、L細胞(高グルコースDMEM+10%FBS+2mMのL-グルタミン細胞内で増殖した)にトランスフェクトした。
【0306】
結合分析(FACS分析)
コンジュゲートトラスツズマブの結合能を決定するため、ヒトHer2を発現するL細胞のFACS分析を実施した。簡潔には、her2を一過的にトランスフェクトした100μl中おおよそ10個のL細胞を、様々な量のトラスツズマブコンジュゲート抗体と共にインキュベートし、PBSまたは二次抗体単独または無関係のhuIgGを陰性対照として使用した。洗浄後、細胞をFACS緩衝液に再懸濁し、100μLの反応容量中のフィコエリトリン(μ抗ヒトPE)二次抗体にコンジュゲートした20μLのマウス抗ヒトIgGと共に室温で30分間インキュベートした。洗浄後、細胞を200μLの2%パラホルムアルデヒド/PBSにて固定し、フローサイトメトリーを実施した。同じ手順をアイソタイプ対照として無関係のヒトIgG抗体に対して使用して、細胞系毎にベースラインPMTを設定した。フローサイトメトリーを、BD FACSCalibur(登録商標)により実施し、幾何平均蛍光強度をそれぞれの試料に対して記録した。記録したデータを、FlowJoソフトウエアを使用して分析した。結果を図1に示す。
【0307】
トール様受容体リガンドコンジュゲートを伴う抗体の生成
試薬:トラスツズマブ(Roche/Genentech Corporation、カリフォルニア州サウスサンフランシスコ)、セツキシマブ(Merck)、レシキモドと結合したMC-val-cit-PAB(MC-vc-PAB-TLRL)またはレシキモドと結合したMC(MC-TLRL)(Contract Research Organization、中国において合成)、ホウ酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ジチオスレイトール(DTT)、Sephadex G25、DTPA、DTNB、及びマレイミドカプロイル-モノメチル(Sigma-Aldrich、ウィスコンシン州ミルウォーキー)。
【0308】
抗体TLRリガンドコンジュゲートの生成に使用した薬物には、トラスツズマブ及びレシキモド(TLRL)が含まれ、いくつかの場合にはセツキシマブがコンジュゲートに使用された。TLACの生成に使用したリンカーは、切断可能リンカーMC-vc-PABまたは切断不能リンカーMCであった。
【0309】
トラスツズマブMC-TLRLまたはセツキシマブMC-TLRLの調製
トラスツズマブを、20mg/mLでの緩衝液交換によりHERCEPTIN(登録商標)から精製し、pH8.0の500mMのホウ酸ナトリウム及び500mMの塩化ナトリウム中に溶解した抗体を、過剰量の100mMジチオスレイトール(DTT)で処理する。37℃で約30分間インキュベートした後、緩衝液をSephadex G25樹脂での溶出により交換し、1mMのDTPAを有するPBSで溶出する。チオール/Ab値は、溶液の280nmでの吸光度からの還元された抗体の濃度、及びDTNB(Sigma-Aldrich、ウィスコンシン州ミルウォーキー)との反応によるチオール濃度を決定すること、及び412nmにおける吸光度の決定によって、調べる。PBS中に溶解した還元抗体を氷上で冷却する。DMSO中に溶解した、レシキモドとMc結合した薬物リンカー試薬を、既知の濃度でアセトニトリル及び水中に希釈し、PBS中の冷却還元抗体に添加する。約1時間後、過剰量のマレイミドを添加して、反応をクエンチし、あらゆる未反応抗体チオール基をキャップする。いくつかの場合では、標準的な手順を用いた免疫グロブリンのリシンへの結合を実施した。反応混合物を遠心分離限外濾過により濃縮し、コンジュゲート抗体を精製し、PBS中でG25樹脂を通す溶出により脱塩し、0.2μmフィルターを通して滅菌条件下で濾過し、凍結保存する。セツキシマブMC-TLRLの調製は同じ手法を使用した。
【0310】
トラスツブマブMC-vc-TLRLまたはセツキシマブMC-vc-TLRLの調製
抗体を、マレイミドカプロイル-バリン-シトルリン(vc)-p-アミノベンジルオキシカルボニル(MC-vc-PAB)によりシステインを通してTLRLに結合した。MC-vc-PABリンカーは、カテプシンBなどの細胞間プロテアーゼにより切断可能であり、切断されると、遊離薬物を放出し(Doroninaら、Nat.Biotechnol.,21:778-784(2003))、一方でMCリンカーは、細胞内プロテアーゼによる切断に対して抵抗性である。精製したトラスツブマブを、pH8.0の500mMのホウ酸ナトリウム及び500mMの塩化ナトリウム中に溶解し、過剰量の100MMジチオスレイトール(DTT)でさらに処理した。37℃で約30分間インキュベートした後、緩衝液をSephadex G25樹脂での溶出により交換し、1mMのDTPAを有するPBSで溶出する。チオール/Ab値を、溶液の280nmでの吸光度からの還元された抗体の濃度、及びDTNB(Sigma-Aldrich、ウィスコンシン州ミルウォーキー)との反応によるチオール濃度を決定すること、及び412nm(吸光係数=13600cm-1-1)における吸光度の決定によって、調べた。PBS中に溶解した還元抗体を氷上で冷却した。DMSO中でレシキモドと結合したMC-val-cit-PAB-PNPを、アセトニトリル及び水中に溶解し、PBS中の冷却還元抗体に添加した。1時間のインキュベーションの後、過剰量のマレイミドを添加して、反応をクエンチし、あらゆる未反応抗体チオール基をキャップした。いくつかの場合では、標準的な手順を用いた免疫グロブリンのリシンへの結合を実施した。反応混合物を遠心分離限外濾過により濃縮し、抗体薬物複合体を精製し、PBS中でG25樹脂を通す溶出により脱塩し、0.2μmフィルターを通して滅菌条件下で濾過し、凍結保存した。セツキシマブMC-vc-TLRLの調製は同じ手法を使用した。
【0311】
典型的には、抗体とMC-TLRLまたはMC-vc-TLRLとのコンジュゲート反応は、異なる数の付着コンジュゲートTLRL薬、すなわち薬物が1から約8の分布である薬物負荷を有する抗体を含む不均一な混合物をもたらす。したがって、抗体MC-TLRLまたは抗体MC-vc-TLRLは、単離、精製された種分子ならびに平均薬物負荷1~8の混合物を含む。制御プロセスにより、薬物負荷は3~5の範囲であった。コンジュゲート反応からの化合物調製物における抗体あたりのTLRL薬部分の平均数は、質量分析、ELISAアッセイ、電気泳動、及びHPLCなどの従来の方法により特徴付けされ得る。薬物に関する抗体MC-TLRLまたは抗体MC-vc-TLRLの定量分布も決定し得る。ELISAにより、抗体とTLRLのコンジュゲーションの特定の調製物における薬物ペイロード数の平均化値を決定し得る(Hamblettら、(2004)Clinical Cancer Res.10:7063-7070;Sandersonら、(2005)Clinical Cancer Res.11:843-852)。しかしながら、薬物値の分布は、抗体-抗原結合及びELISAの検出限界により、識別不能である。また、抗体-薬物複合体を検出するためのELISAアッセイは、薬物部分がどこで抗体に、例えば重鎖または軽鎖断片、または特定のアミノ酸残基に付着しているかを決定しない。いくつかの場合では、薬物が、他の薬物負荷を有するトラスツブマブMC-TLRLまたはトラスツブマブMC-vc-TLRLからのある特定の値である、均質トラスツブマブMC-TLRLまたはトラスツブマブMC-vc-TLRLの分離、精製、及び特徴付けは、逆相HPLCまたは電気泳動などの方法により達成され得る。
【0312】
抗体依存性細胞介在性細胞障害アッセイ(ADCC)
試薬:SKBR3細胞(ATCC、カタログ番号HTB-30)、マッコイ5A(Invitrogen、カタログ番号22400、ロット番号747809);RPMI-1640(Invitrogen、カタログ番号11835、ロット番号764956);FCS(Hyclone、カタログ番号SH30084.03、ロット番号GRH0054);フィコール・ハイパック(Amersham Biosciences、ニュージャージー州ピスカタウェイ;カタログ番号17-1440-02)、96ウエルプレート(Costar、カタログ番号3599、カタログ番号3916);トリパンブルー(Invitrogen カタログ番号15250-061);LDHキット(Promega、カタログ番号G7891)、ELISAリーダーMD5(Molecule device)、ヒト化抗体Herceptin(登録商標)(Genentech Corporation、カリフォルニア州サウスサンフランシスコ;トラスツズマブの商標名)は水で再構成して、使用前に10mg/mlの貯蔵液を作製した。
【0313】
高ペイロードのTLRLとコンジュゲートしたトラスツズマブが依然としてエフェクター機能を有し得るかどうか決定するために、いくつかの異なる形態のコンジュゲーションの抗体依存性細胞介在性細胞障害(ADCC)活性を試験し、有意に増強されたADCC活性を有すると示されているトラスツズマブ基準試料のADCC活性と比較した。ADCCアッセイは、健常ドナー由来の末梢血単核細胞(PBMC)をエフェクター細胞として、及びヒトSKBR3細胞系を標的細胞として使用して実行した。1日目に、1×10/100uLのSKBR3細胞を96ウエルプレート内に播種し、その後37℃、5%CO2で48時間インキュベートした。
【0314】
3日目に、健常ボランティアドナーから得たヒト血液からヒトPBMCを新鮮に調製した。ヒト静脈血試料を、クエン酸アンモニウム(ACD-A)管に採取した。該管を、数回逆位にし、全血を1本の50ml円錐管へと移した。血液を、2%FBS中のPBSで1:3に希釈した。フィコール・ハイパックを、血液/PBS混合物の下側にゆっくりと分配した。試料を、上層(血漿/PBS)を吸引により除去する前に、2400rpmで室温で30分間遠心分離した。バフィーコートを、滅菌ピペットで採取し、50mL円錐管に貯蔵した。WBCの可視塊がバフィーコートの下に残存する場合、過剰量のフィコール・ハイパックを除去しないように注意しながら、全てのWBC材料を採取した。滅菌PBS-2%FBSを加え、逆位にすることにより混合した。希釈PBMC懸濁液を250×gで室温で20分間遠心分離し、細胞ペレットを採取した。PBMCペレットを、2%の熱不活性化FBSを伴うRPMI-1640培地に懸濁し、洗浄し、生存細胞の数をトリパンブルー排除により調べた。1.2×10細胞/mLの密度で調製し、使用の準備を整えた。一方、12、4、1.2、0.4、0.12、0.04、0.012、0.004~0μg/mLの範囲の抗体最終濃度が、RPMI-1640において良好に調製された。
【0315】
次いで、被検及び対照抗体の一連の希釈物を、標的細胞を含有するウエルに加え、50μLのRPMI-1640培地中のPBMCエフェクター細胞を、60:1のエフェクター:標的細胞比で各ウエルに加え、さらに17時間インキュベートした。プレートをインキュベーションの終了時に遠心分離し、上清を、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)活性について、LDH測定キットを使用してアッセイした。細胞溶解は、マイクロプレートリーダーを使用して490nmでの吸光度を通して定量化した。標的細胞のみを含有するウエルの吸光度をバックグラウンドの対照とし、一方で、Triton-X100で溶解した標的細胞を含有するウエルは、利用可能な最大シグナルを提供した。抗体依存性細胞障害は、抗体の添加を伴わない標的及びエフェクター細胞を含有するウエルで測定した。細胞障害は、以下の方程式:細胞障害率(%)=100%×[A490nm(試料)-A490(標的細胞)-A490(効果細胞)]/[A490nm(溶解された標的細胞)-A490nm(標的細胞)]に従って算出した。
【0316】
試料希釈物の複製物からの平均ADCC値を、抗体濃度に対してプロットし、EC50値及びADCCの最大程度(%)をPrism5(GraphPad)に当てはめることによって生成した。
【0317】
PBMCからのヒト樹状細胞(DC)の濃縮
ヒトPBMCを、Ficoll遠心分離により、健常な志願提供者から得たバフィーコートから調製した。樹状細胞を、ヒトPBMCからの抗CD3、CD19、CD20、CD14、及びCD16抗体の混合物を伴う磁気ビーズ(Miltenyi Biotec)を用いる陰性枯渇を使用することにより濃縮した。DCの濃縮を、ヤギ抗マウスFITC(系列)、HLA-DR-APCCy7、CD123-BV421及びCD11C-APCで染色した。染色された細胞をBDLSR Fortessaにより分析した。抗CD3、CD4、CD11C、CD19、CD14、CD16、CD123モノクローナル抗体は、BD BiosciencesまたはBiolgendから購入した。
【0318】
図3(a)は、濃縮前後のDCの割合(%)を示す。上側の2つのプロットにおける数字は、系統の枯渇前後の総細胞のDC(HLA-DR+Lin-)の割合(%)を表す。下側のプロットにおける数字は、系統の枯渇前後の総DCのmDC(CD11C+CD123-)及びpDC(CD123+CD11C-)の割合(%)を表す。
【0319】
濃縮したヒトDC及びサイトカイン発現の刺激
1~2×10濃縮DCを、96ウエルプレート、100μLの培地に播種し、100μLの希釈刺激薬をプレートに加え、37℃のインキュベーター中で20~22時間培養した。上清を採取し、ヒトIFN-α、IL-6、IL-12(p70)、及びTNF-αをELISA(Mabtech AB)により分析した。
【0320】
統計分析
全ての比較の有意性は、モックと試料群との間の不等分散を推定し、スチューデント両側t検定を使用して算出され、結果は、p<0.05の場合に有意であるとした。パラメーター間の相関関係は、スピアマンの順位相関検定を使用して評価し、P値<0.05を統計学的に有意であるとした。
【0321】
トラスツブマブTLRLコンジュゲートまたはセツキシマブTLRLコンジュゲートを使用するインビボ腫瘍細胞死滅アッセイ
患者由来胃癌腫異種移植片(PDX)マウスモデルの作製のため、6~8週齢の雌Balb/cヌードマウス(SLAC,中国上海から入手)を、腫瘍断片埋め込みに使用した。動物に、通常のヌードマウス食餌を与え、実験動物の管理と使用に関する指針(Guide for Care and Use of Laboratory Animals)、及び動物実験委員会(Institutional Animal Care and Use Committee)の規制に従って、SPF動物施設に収容した。大きさが約15~30mmの特許STO番号69胃腫瘍断片をBalb/cヌードマウスの腹部右側(皮下)に埋め込んだ。
【0322】
肺癌異種移植モデルの作製のために、6~8週齢の雌Balb/cヌードマウスを腫瘍断片の移植のために使用した。ヒト肺癌細胞系H1650(ATCC,カタログ番号CRL5883)を10%血清を含有するRPMI-1640培地で培養し、Balb/cヌードマウスの腹部右側(皮下)に埋め込んだ。各マウスは、100uLのマトリゲルにおける接種ごとに2×10個の細胞を接種された。
【0323】
薬物を、5~20mg/kgの抗体または20mg/kgのタルセバまたは基準薬物を毎週投与×3回、静脈内経路により投与した。腫瘍を、1週間に1回、カリパスにより測定し、その皮下増殖を決定した。腫瘍を、1週間に2回、カリパスを用いて二次元で測定した。腫瘍体積は、以下の式:腫瘍の体積=(長さ×幅2)×0.5を使用して算出した。平均腫瘍体積または体重を、グラフプログラムPrism5(GraphPad)を使用してプロットした。有効性試験のエンドポイントを、最初の処置の30~45日後、または腫瘍サイズが約2000mm3超に達したとき、のいずれか早いほうに設定した。マウスが体重の20%超を失う場合、または非常に重症であり十分に食餌または水を摂取できなくなった場合には、そのマウスを試験から除外し、安楽死させた。腫瘍をエンドポイントでマウスから採取し、LNにて半分凍結し、FFPE組織を調製するためホルマリンにて半分固定した。
【0324】
(付記)
(付記1)
式(Ib):
TM-L-AM(Ib)
の構造を有する化合物であって、
式中、TMは標的部分であり、Lはリンカーであり、AMは式(I):
【化37】
の構造により表される活性化部分であり、
式中、破線は結合または結合の不在を表し、
【化38】
は前記リンカーに結合される点であり;
Xは、Sまたは-NRであり、Rは-W―W―W―W―Wであり、
は、結合、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、または-アルキル-S-アルキル--であり、
は、結合、--O--、または-NR--であり、ここでRは、水素、アルキルまたはアルケニルであり、
は、結合、--O--、--C(O)--、--C(S)--、または-S(O)―であり、
は、結合、--NR--であり、ここでRは、水素、アルキルまたはアルケニルであり、
は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、またはヘテロシクリルであり、そのそれぞれは、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、--NH、ニトロ、--アルキル-ヒドロキシル、--アルキル-アリール、--アルキル-ヘテロアリール、--アルキル-ヘテロシクリル、--O-R、--O-アルキル-R、--アルキル-O-R、--C(O)-R、--アルキル-C(O)-R、--アルキル-C(O)-O-R、--C(O)-O-R、--S-R、--S(O)-R、--NH-S(O)-R、--アルキル-S-R4、--アルキル-S(O)-R、--NHR、--NR、--NH-アルキル-R、ハロゲン、--CN、--NO、及び-SHからなる群より選択される1つまたは複数の置換基により任意選択的に置換され、ここでRは独立して、水素、アルキル、アルケニル、--アルキル-ヒドロキシル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、またはハロアルキルであり;
Zは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリール、ハロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリルであり、そのそれぞれは、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、--N(R、--アルコキシ-アルキル、--アルコキシ-アルケニル、--C(O)-アルキル、--C(O)-O-アルキル、--O-C(O)-アルキル、--C(O)-N(R、アリール、ヘテロアリール、--CO-アリール、及び-CO-ヘテロアリールからなる群より選択される1つまたは複数の置換基により任意選択的に置換されることができ、ここで各Rは独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、--アルキル-アリール、または-アルキル-ヘテロアリールであり;
Rは、水素、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロゲン、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリルであり、そのそれぞれは、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、--NH、ニトロ、--アルキル-ヒドロキシル、--アルキル-アリール、--アルキル-ヘテロアリール、--アルキル-ヘテロシクリル、--O-R、--O-アルキル-R、--アルキル-O-R、--C(O)-R、--C(O)-NH-R、--C(O)-NR、--アルキル-C(O)-R、--アルキル-C(O)-O-R、--C(O)-O-R、--O-C(O)-R、--S-R、--C(O)-S-R、--S-C(O)-R、--S(O)-R、--NH-S(O)-R、--アルキル-S-R、--アルキル-S(O)-R、--NHR、--NR、--NH-アルキル-R、ハロゲン、--CN、及び-SHからなる群より選択される1つまたは複数の置換基により任意選択的に置換され、ここでRは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルコキシ、--アルキル-ヒドロキシル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、またはハロアルキルであり;
nは、0、1、2、3、または4であり;
Yは、-NR、-CR、または-アルキル-NHであり、そのそれぞれは、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、--NH、ハロゲン、--N(R、--アルコキシ-アルキル、--アルコキシ-アルケニル、--C(O)-アルキル、--C(O)-O-アルキル、--C(O)-N(R、アリール、ヘテロアリール、--CO-アリール、及び-CO-ヘテロアリールからなる群より選択される1つまたは複数の置換基により任意選択的に置換されることができ、
ここでR、R及びRは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルチオ、アリールチオ、--アルキル-ヒドロキシル、--アルキル-C(O)-O-R、--アルキル-C(O)-R、または-アルキル-O-C(O)-Rであり、ここで各Rは独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、--アルキル-アリール、または-アルキル-ヘテロアリールであり、ここでRは、水素、アルキル、アルケニル、ハロゲン、またはハロアルキルであり;
X及びZは一緒になって、任意選択的に(5~9)員環を形成し得る、
化合物、またはその薬学的に許容され得る塩もしくは溶媒和物。
【0325】
(付記2)
Lが式(II):
【化39】
の構造により表され、
mは、1、2、3、4、5、または6であり、各bは独立して、0または1であり、Dは独立して、式(III):
【化40】
の構造により表され、
式中、各iは独立して、0または1であり;
各jは独立して、0、1、2、3、4、5、または6であり;
各Aは独立して、S、O、またはN-Raであり、ここでRaは、水素、アルキル、アルケニル、またはアルコキシであり;
各Bは独立して、アルキル、アルケニル、--O-アルキル-、--アルキル-O--、--S-アルキル--、--アルキル-S--、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、またはペプチドであり、そのそれぞれは、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、--アルキル-アリール、--アルキル-ヘテロアリール、--アルキル-ヘテロシクリル、--O-R、--O-アルキル-R、--C(O)-R、--C(O)-O-R、--S-R、--S(O)-R、--NHR、--NH-アルキル-R、ハロゲン、--CN、--NO、及び-SHからなる群より選択される1つまたは複数の置換基により任意選択的に置換され、ここでRは、アルキル、アルケニル、--アルキル-ヒドロキシル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、またはハロアルキルである、
付記1に記載の化合物。
【0326】
(付記3)
Xが-NRであり、Rがアルキル、--アルキル-W、--アルキル-O-W、--アルキル-NH-C(O)-W、--アルコキシ-NH-C(O)-W、--アルキル-NH-C(O)-NH-W、--アルコキシ-NH-C(O)-NH-W、--アルキル-S(O)-W、または--アルキル-NH-C(S)-Wである、付記1に記載の化合物。
【0327】
(付記4)
XがSである、付記1に記載の化合物。
【0328】
(付記5)
Zが、水素、アルキル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、ハロアルキルであり、そのそれぞれがヒドロキシル、アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シアノ、--アルコキシ-アルキル、ニトロ、及び-N(Rからなる群より選択される1~3個の置換基により任意選択的に置換され、ここで各Rが独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、--アルキル-アリール、または-アルキル-ヘテロアリールである、付記1~4のいずれか1つに記載の化合物。
【0329】
(付記6)
nが1または2であり、Rがアリールまたはヘテロアリールであり、そのそれぞれが、ヒドロキシル、アルコキシ、--アルキル-ヒドロキシル、--O-R、--O-アルキル-R、--アルキル-O-R、--C(O)-R、--C(O)-NH-R、--C(O)-NR、--アルキル-C(O)-R、--アルキル-C(O)-O-R、--C(O)-O-R、--O-C(O)-R、--S-R、--C(O)-S-R、--S-C(O)-R、--S(O)-R、--NH-S(O)-R、--アルキル-S-R、--アルキル-S(O)-R、--NHR、--NR、--NH-アルキル-R、ハロゲン、--CN、及び-SHからなる群より選択される1~3個の置換基により任意選択的に置換され、ここでRが独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルコキシ、--アルキル-ヒドロキシル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、またはハロアルキルである、付記1~5のいずれか1つに記載の化合物。
【0330】
(付記7)
Yが-NH、--アルキル-NHであり、そのそれぞれが、アルキル、アルコキシ、アルケニル、及びアルキニルからなる群より選択される1~3個の置換基により任意選択的に置換される、付記1~6のいずれか1つに記載の化合物。
【0331】
(付記8)
AMが、2-プロピルチアゾロ[4,5-c]キノリン-4-アミン、1-(2-メチルプロピル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-4-アミン、4-アミノ-2-(エトキシメチル)-a,a-ジ-メチル-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-エタノール、1-(4-アミノ-2-エチルアミノメチルイミダゾ-[4,5-c]キノリン-1-イル)-2-メチルプロパン-2-オール、N-[4-(4-アミノ-2-エチル-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)ブチル-]メタンスルホンアミド、4-アミノ-2-エトキシメチル-aa-ジメチル-6,7,8,9-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-エタノール、4-アミノ-aa-ジメチル-2-メトキシエチル-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-エタノール、1-{2-[3-(ベンジルオキシ)プロポキシ]エチル}-2-(エトキシメチル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-4-アミン、N-[4-(4-アミノ-2-ブチル-1H-イミダゾ[4,5-c][1,5]ナフチリジン-1-イル)ブチル]-n’-ブチル尿素、N1-[2-(4-アミノ-2-ブチル-1H-イミダゾ[4,5-c][1,5]ナフチリジン-1-イル)エチル]-2-アミノ-4-メチルペンタンアミド、N-(2-{2-[4-アミノ-2-(2-メトキシエチル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル]エトキシ}エチル)-n’-フェニル尿素、1-(2-アミノ-2-メチルプロピル)-2-(エトキシメチル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-4-アミン、1-{4-[(3,5-ジクロロフェニル)スルホニル]ブチル}-2-エチル-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-4-アミン、N-(2-{2-[4-アミノ-2-(エトキシメチル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル]エトキシ}エチル)-n’-シクロヘキシル尿素、N-{3-[4-アミノ-2-(エトキシメチル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル]プロピル}-n’-(3-シアノフェニル)チオ尿素、N-[3-(4-アミノ-2-ブチル-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)-2,2-ジメチルプロピル]ベンズアミド、2-ブチル-1-[3-(メチルスルホニル)プロピル]-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-4-アミン、N-{2-[4-アミノ-2-(エトキシメチル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル]-1,1-ジメチルエチル}-2-エトキシアセトアミド、1-[4-アミノ-2-エトキシメチル-7-(ピリジン-4-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル]-2-メチルプロパン-2-オール、1-[4-アミノ-2-(エトキシメチル)-7-(ピリジン-3-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル]-2-メチルプロパン-2-オール、N-{3-[4-アミノ-1-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-2-(メトキシエチル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-7-イル]フェニル}メタンスルホンアミド、1-[4-アミノ-7-(5-ヒドロキシメチルピリジン-3-イル)-2-(2-メトキシエチル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル]-2-メチルプロパン-2-オール、3-[4-アミノ-2-(エトキシメチル)-7-(ピリジン-3-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル]プロパン-1,2-ジオール、1-[2-(4-アミノ-2-エトキシメチル-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)-1,1-ジメチルエチル]-3-プロピル尿素、1-[2-(4-アミノ-2-エトキシメチル-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)-1,1-ジメチルエチル]-3-シクロペンチル尿素、1-[(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル]-2-(エトキシメチル)-7-(4-ヒドロキシメチルフェニル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-4-アミン、4-[4-アミノ-2-エトキシメチル-1-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-7-イル]-N-メトキシ-N-メチルベンズアミド、2-エトキシメチル-N1-イソプロピル-6,7,8,9-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1,4-ジアミン、1-[4-アミノ-2-エチル-7-(ピリジン-4-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル]-2-メチルプロパン-2-オール、N-[4-(4-アミノ-2-エチル-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)ブチル]メタンスルホンアミド、及びN-[4-(4-アミノ-2-ブチル-1H-イミダゾ[4,5-c][1,5]ナフチリジン-1-イル)ブチル]-n’-シクロヘキシル尿素からなる群より選択される化合物である、付記1に記載の化合物。
【0332】
(付記9)
前記リンカー部分内のDが式(V)~(VII):
【化41】
の構造から選択され、A、B、i及びjは上に定義される、付記2~8のいずれか1つに記載の化合物。
【0333】
(付記10)
TMが、免疫グロブリン、タンパク質、小分子、ナノ粒子、または核酸を含む、付記1~9のいずれか1つに記載の化合物。
【0334】
(付記11)
TMが、非腫瘍細胞と比較して特異的または優先的に腫瘍細胞に結合する、付記10に記載の化合物。
【0335】
(付記12)
TMが、前記腫瘍細胞上の腫瘍抗原に特異的に結合する、付記11に記載の化合物。
【0336】
(付記13)
前記腫瘍抗原が、CD2、CD19、CD20、CD22、CD27、CD33、CD37、CD38、CD40、CD44、CD47、CD52、CD56、CD70、CD79、CD137、4-1BB、5T4、AGS-5、AGS-16、アンジオポエチン2、B7.1、B7.2、B7DC、B7H1、B7H2、B7H3、BT-062、BTLA、CAIX、癌胎児性抗原、CTLA4、クリプト、ED-B、ErbB1、ErbB2、ErbB3、ErbB4、EGFL7、EpCAM、EphA2、EphA3、EphB2、FAP、フィブロネクチン、葉酸受容体、ガングリオシドGM3、GD2、グルココルチコイド誘発性腫瘍壊死因子受容体(GITR)、gp100、gpA33、GPNMB、ICOS、IGF1R、インテグリン(Integrin)、KIR、LAG-3、ルイスY、メソテリン、c-MET、MN炭酸脱水酵素IX、MUC1、MUC16、ネクチン-4、NKG2D、NOTCH、OX40、OX40L、PD-1、PDL1、PSCA、PSMA、RANKL、ROR1、ROR2、SLC44A4、シンデカン-1、TACI、TAG-72、テネイシン、TIM3、TRAILR1、TRAILR2、VEGFR-1、VEGFR-2、VEGFR-3、及びそれらの変異体からなる群より選択される、付記12に記載の化合物。
【0337】
(付記14)
TMが、抗体またはその機能性断片を含む、付記10に記載の化合物。
【0338】
(付記15)
TMが、Rituxan(リツキシマブ)、Herceptin(トラスツズマブ)、Erbitux(セツキシマブ)、Vectibix(パニツムマブ)、Arzerra(オファツムマブ)、Benlysta(ベリムマブ)、Yervoy(イピリムマブ)、Perjeta(ペルツズマブ)、トレメリムマブ、ニボルマブ、ダセツズマブ、ウレルマブ、MPDL3280A、ランブロリズマブ、ブリナツモマブ、アルデスロイキン;アレムツズマブ(aemtuzumab);アリトレチノイン;アロプリノール;アルトレタミン;アミフォスチン;アナストロゾール;三酸化ヒ素;アスパラギナーゼ;BCG生菌;ベキサロテンカプセル;ベキサロテンゲル;ブレオマイシン;静注用ブスルファン;経口用ブスルファン;カルステロン;カペシタビン;カルボプラチン;カルムスチン;ポリフェプロサン20インプラントを伴うカルムスチン;セレコキシブ;クロラムブシル;シスプラチン;クラドリビン;シクロホスファミド;シタラビン;シタラビンリポソーム;ダカルバジン;ダクチノマイシン;アクチノマイシンD;ダルベポエチンα(dabepoetin alfa);ダウノルビシンリポソーム;ダウノルビシン、ダウノマイシン;デニロイキンジフチトックス、デクスラゾキサン;ドセタキセル;ドキソルビシン;ドキソルビシンリポソーム;プロピオン酸ドロモスタノロン;エリオットB液;エピルビシン;エポエチン(eoetin)αエストラムスチン;リン酸エトポシド;エトポシド(VP-16);エキセメスタン;フィルグラスチム;フロクスウリジン(動注用);フルダラビン;フルオロウラシル(5-FU);フルベストラント;ゲムツズマブオゾガマイシン;ゴセレリン酢酸塩;ヒドロキシ尿素;イブリツモマブチウキセタン;イダルビシン;イホスファミド;イマチニブメシル酸塩;インターフェロンα-2a;インターフェロンα-2b;イリノテカン;レトロゾール;ロイコボリン;レバミゾール;ロムスチン(CCNU);メクロレタミン(ナイトロジェンマスタード);酢酸メゲストロール;メルファラン(L-PAM);メルカプトプリン(6-MP);メスナ;メトトレキセート;メトキサレン;マイトマイシンC;ミトタン;ミトキサントロン;ナンドロロンフェンプロピオナート;ノフェツモマブ(nfetumomab);LOddC;オプレルベキン(orelvekin);オキサリプラチン;パクリタキセル;パミドロネート;ペガデマーゼ;ペガスパルガーゼ;ペグフィルグラスチム;ペントスタチン;ピポブロマン;プリカマイシン;ミトラマイシン;ポルフィマーナトリウム;プロカルバジン;キナクリン;ラスブリカーゼ;サルグラモスチム;ストレプトゾシン;テルビブジン(talbuvidine)(LDT);タルク;タモキシフェン;テモゾロミド;テニポシド(VM-26);テストラクトン;チオグアニン(6-TG);チオテパ;トポテカン;トレミフェン;トシツモマブ;トレチノイン(ATRA);ウラシルマスタード;バルルビシン;バルトルシタビン(モノバルLDC);ビンブラスチン;ビノレルビン;ゾレドロネート;及びそれらの混合物を含む、付記10に記載の化合物。
【0339】
(付記16)
有効量の付記1~15のいずれか1つに記載の化合物及び1つまたは複数の薬学的に許容され得る担体を含む、医薬組成物。
【0340】
(付記17)
有効量の追加の治療剤をさらに含む、付記16に記載の医薬組成物。
【0341】
(付記18)
前記追加の治療剤が抗癌剤である、付記17に記載の医薬組成物。
【0342】
(付記19)
前記抗癌剤が、代謝拮抗薬、トポイソメラーゼI及びIIの阻害剤、アルキル化剤、微小管阻害剤、抗アンドロゲン剤、GNRhモジュレータまたはそれらの混合物である、付記17に記載の医薬組成物。
【0343】
(付記20)
腫瘍細胞の増殖を阻害する方法であって、前記腫瘍細胞に付記1~15のいずれか1つに記載の化合物を投与することを含む、方法。
【0344】
(付記21)
対象における疾患を処置する方法であって、前記対象に付記1~15のいずれか1つに記載の化合物を投与することを含む、方法。
【0345】
(付記22)
前記疾患が、胃、結腸、直腸、肝臓、膵臓、肺、乳房、子宮頚部、子宮体部、卵巣、精巣、膀胱、腎臓部、脳/CNS、頭頸部、喉、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、白血病、黒色腫、非黒色腫皮膚癌、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、ユーイング肉腫、小細胞肺癌、絨毛癌、横紋筋肉腫、ウィルムス腫瘍、神経芽腫、有毛細胞白血病、口腔/咽頭、食道、喉頭またはリンパ腫から選択された癌である、付記21に記載の方法。
【0346】
(付記23)
対象内の疾患を処置するための医薬品の製造における付記1~15のいずれか1つに記載の化合物の使用。
【0347】
(付記24)
対象内の疾患を処置するための医薬品の製造における付記16~19のいずれか1つに記載の医薬組成物の使用。
【0348】
(付記25)
式(Ib):
TM-L-AM(Ib)
の構造を有する化合物であって、
式中、TMは標的部分であり、Lはリンカーであり、AMは式(IV):
【化42】
の構造により表される活性化部分であり、
式中、
【化43】
は前記リンカーへの結合点であり;
Vは、-NRであり、R及びRのそれぞれは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルチオ、アリールチオ、--アルキル-ヒドロキシル、--アルキル-C(O)-O-R、--アルキル-C(O)-R、または-アルキル-O-C(O)-Rであり、ここでRは、水素、アルキル、アルケニル、ハロゲン、またはハロアルキルであり;
10及びR11は独立して、水素、アルキル、アルケニル、アリール、ハロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、またはシクロアルキルであり、そのそれぞれは、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、--N(R、--アルコキシ-アルキル、--アルコキシ-アルケニル、--C(O)-アルキル、--C(O)-O-アルキル、--C(O)-N(R、アリール、ヘテロアリール、--CO-アリール、及び-CO-ヘテロアリールからなる群より選択される1つまたは複数の置換基により任意選択的に置換され、ここで各Rは独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、--アルキル-アリール、または-アルキル-ヘテロアリールである、化合物、またはその薬学的に許容され得る塩もしくは溶媒和物。
【0349】
(付記26)
有効量の付記25に記載の化合物及び1つまたは複数の薬学的に許容され得る担体を含む医薬組成物。
【0350】
(付記27)
有効量の追加の治療剤をさらに含む、付記26に記載の医薬組成物。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B