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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022126940
(43)【公開日】2022-08-31
(54)【発明の名称】車室仕切装置
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/90 20180101AFI20220824BHJP
   B60N 2/06 20060101ALI20220824BHJP
   B60N 2/20 20060101ALI20220824BHJP
   B60N 3/00 20060101ALI20220824BHJP
【FI】
B60N2/90
B60N2/06
B60N2/20
B60N3/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021024805
(22)【出願日】2021-02-19
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】特許業務法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】丸山 勇哉
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 宗明
【テーマコード(参考)】
3B087
3B088
【Fターム(参考)】
3B087BA02
3B087BD01
3B087DE10
3B088CA12
3B088CA15
(57)【要約】
【課題】高い利便性を発揮するとともに、車室を前後方向に好適に仕切ることが可能な車室仕切装置を提供する。
【解決手段】本発明の車室仕切装置1は、仕切板15を備えている。仕切板15は、剛性を有する板材によって形成されている。仕切板15は、第1、2滑車部材17、19によって、第1、2ガイドレール11、13に連結されており、車室CRを前後方向に移動可能である。また、仕切板15は、右側第2連結機構21及び左側第2連結機構23によって運転席7に連結されている。右側第2連結機構21は、第3ガイドレール40及び第3滑車部材43を有しており、左側第2連結機構23は、第4ガイドレール45及び第4滑車部材48を有している。第3、4滑車部材43、48は、仕切板15に接続されているとともに、第3、4ガイドレール40、45に対して上下方向に移動可能に設けられている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1座席と天井とを有する車室に設けられて前記車室を前後方向に仕切る車室仕切装置であって、
前記第1座席は、前記前後方向に移動可能に前記車室に設けられた座部と、前記座部に対して前記前後方向に揺動可能に前記座部に接続された背もたれ部とを有し、
前記車室仕切装置は、前記天井に設けられて前記前後方向に延びる第1案内部材と、
板材によって形成され、前記第1座席の後方に配置されて前記第1座席の上端よりも前記天井に向かって延びる仕切板と、
前記第1案内部材によって前記仕切板を前記前後方向に案内可能に前記第1案内部材と前記仕切板とを連結する第1連結機構と、
前記仕切板に対する前記背もたれ部の位置を前記車室の上下方向に移動可能に前記第1座席と前記仕切板とを連結する第2連結機構とを備え、
前記第2連結機構は、前記第1座席に設けられて前記上下方向に延びる第2案内部材と、
前記仕切板に接続されるとともに、前記第2案内部材に対して前記上下方向に移動可能に設けられる連結部材とを有していることを特徴とする車室仕切装置。
【請求項2】
前記車室には、前記仕切板を挟んで前記第1座席の後方に配置される第2座席が設けられ、
前記仕切板には、板材によって形成され、前記仕切板の下端よりも下方に向かって延びる補助仕切板が接続され、
前記補助仕切板は、前記第1座席と前記第2座席との間で前記仕切板に対して前記前後方向に揺動可能である請求項1記載の車室仕切装置。
【請求項3】
前記補助仕切板は、前記第1座席に向かって付勢されて前記背もたれ部に当接している請求項2記載の車室仕切装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車室仕切装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の図1図13に従来の車室仕切装置が開示されている。この車室仕切装置は、車室に設けられている。車室には、第1座席と、天井とが存在している。第1座席は、座部と背もたれ部とを有している。座部は、前後方向に移動可能に車室に設けられている。背もたれ部は、座部と接続されており、座部から上方に向かって延びている。なお、同文献において、第1座席は、具体的には運転席である。天井は、第1座席の上部に位置しており、車室の前後方向に延びている。
【0003】
車室仕切装置は、仕切カーテンと、収容ボックスとを備えている。仕切カーテンは、幕状をなしており、可撓性を有している。これにより、仕切カーテンは屈曲自在となっている。仕切カーテンは、第1座席の後方に配置されており、車室の前後方向及び左右方向に延びている。また、仕切カーテンの上端は、車室の天井に固定されている。収容ボックスは、背もたれ部に固定されており、背もたれ部の上部後方であって、仕切カーテンの下方に位置している。収容ボックスは、内部に仕切カーテンの下端を固定している。これにより、収容ボックスは、仕切カーテンの下端を含め、仕切カーテンの一部を内部に巻き取りつつ収容可能となっている。
【0004】
この車室仕切装置では、車室内に仕切カーテンが展開されることにより、車室を仕切カーテンを挟んで前方側と後方側とに仕切ることが可能となっている。これにより、車室内において仕切カーテンの前方側と後方側とで空調をそれぞれ調整することが可能となっている。
【0005】
ここで、座部が前後方向に移動であるため、座部を前後方向に移動させれば、背もたれ部を含め、第1座席が全体として前後方向に移動する。そして、第1座席が前後方向に移動することにより、背もたれ部に固定された収納ボックスも前後方向に移動することになる。この点、この車室仕切装置では、収納ボックスが前方に移動し、仕切カーテンと天井との固定位置に対して、収納ボックスが前方に接近すれば、仕切カーテンの一部が収納ボックス内に巻き取られる。一方、収納ボックスが後方に移動し、仕切カーテンと天井との固定位置に対して、収納ボックスが後方に離隔すれば、収納ボックス内に収容された仕切カーテンが車室内に引き出される。
【0006】
こうして、この車室仕切装置では、座部及び背もたれ部の前後方向の移動に伴い収納ボックスが前後方向に移動しても、車室内で仕切カーテンが突っ張ったり、大きく撓んだりし難くなっている。また、この車室仕切装置では、背もたれ部とともに収納ボックスが前後方向に移動するため、座部及び背もたれ部が前後方向に移動した際に、背もたれ部に仕切カーテンが干渉することが防止されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2014-125142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記従来の車室仕切装置では、仕切カーテンが幕状で可撓性を有しているため、たとえ仕切カーテンの一部を収納ボックス内に収容可能としていても、車室内において、仕切カーテンには不可避的に撓みが生じてしまう。このため、この車室仕切装置では、第1座席と天井との間を前後方向に十分に仕切ることが難しい。
【0009】
そこで、この車室仕切装置において、仕切カーテンのような可撓性を有する幕状物ではなく、剛性を有する板材によって形成された仕切板を用いて車室内を仕切ることが考えられる。
【0010】
ところで、背もたれ部は、座部の前後方向の移動に伴って前後方向に移動するだけでなく、座部に対して前後方向に揺動することが一般的である。しかしながら、仕切カーテンを仕切板に置き換えた場合に、このような車室仕切装置では、仕切板の上端が車室の天井に固定されるため、仕切板は車室内を前後に移動できなくなる。これにより、背もたれ部を後方に揺動させた際、仕切板が背もたれ部に干渉してしまう。この結果、このような車室仕切装置では、背もたれ部の揺動機能が制限されてしまい、利便性が低下する。
【0011】
一方、仕切板を車室の天井に固定せず、背もたれ部にのみ仕切板を固定する構成とすれば、背もたれ部を揺動させた際に、仕切板が背もたれ部とともに移動可能となるため、仕切板と背もたれ部との干渉は生じない。しかし、この場合には、背もたれ部を揺動させた際に仕切板と天井との隙間が大きくなるため、車室内の仕切が不十分となってしまう。
【0012】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、高い利便性を発揮するとともに、車室を前後方向に好適に仕切ることが可能な車室仕切装置を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の車室仕切装置は、第1座席と天井とを有する車室に設けられて前記車室を前後方向に仕切る車室仕切装置であって、
前記第1座席は、前記前後方向に移動可能に前記車室に設けられた座部と、前記座部に対して前記前後方向に揺動可能に前記座部に接続された背もたれ部とを有し、
前記車室仕切装置は、前記天井に設けられて前記前後方向に延びる第1案内部材と、
板材によって形成され、前記第1座席の後方に配置されて前記第1座席の上端よりも前記天井に向かって延びる仕切板と、
前記第1案内部材によって前記仕切板を前記前後方向に案内可能に前記第1案内部材と前記仕切板とを連結する第1連結機構と、
前記仕切板に対する前記背もたれ部の位置を前記車室の上下方向に移動可能に前記第1座席と前記仕切板とを連結する第2連結機構とを備え、
前記第2連結機構は、前記第1座席に設けられて前記上下方向に延びる第2案内部材と、
前記仕切板に接続されるとともに、前記第2案内部材に対して前記上下方向に移動可能に設けられる連結部材とを有していることを特徴とする。
【0014】
本発明の車室仕切装置は仕切板を備えており、この仕切板によって、車室を前後方向、すなわち、車室を仕切板を挟んで前方部分と後方部分とに仕切ることが可能である。ここで、仕切板は板材によって形成されている。このため、仕切板は、仕切カーテンのような幕状物に比べて剛性が高く、撓みが生じ難い。この結果、車室仕切装置では、仕切板によって、車室を前後方向に好適に仕切ることができる。そして、この車室仕切装置では、仕切板と第1案内部材とが第1連結機構によって連結されているため、仕切板は、第1案内部材によって案内されつつ車室内を前後方向に移動可能である。
【0015】
また、この車室仕切装置では、第1座席と仕切板とが第2連結機構によって連結される。ここで、第2連結機構は、第2案内部材と連結部材とを有している。第2案内部材は、第1座席に設けられており、上下方向に延びている。連結部材は、仕切板に接続されるとともに、第2案内部材に対して上下方向に移動可能に設けられる。これにより、この車室仕切装置では、連結部材が第2案内部材に対して上下方向に移動することで、仕切板に対する背もたれ部の位置を上下方向に移動させることができる。
【0016】
こうして、この車室仕切装置では、第1座席において背もたれ部が座部に対して前後方向に揺動すれば、仕切板が車室内を前後方向に移動するとともに、仕切板に対する背もたれ部の位置が上下方向に移動する。具体的には、背もたれ部が座部に対して後方に揺動すれば、第2連結機構を通じて背もたれ部が仕切板を後方に押圧する状態となる。このため、仕切板は、第1案内部材によって案内されつつ後方に移動する。また、同時に、後方に揺動した背もたれ部は、仕切板に対して下方に移動しようとする。この際、第2連結機構では、連結部材が第2案内部材を上方に移動する。
【0017】
これにより、第2連結機構は、仕切板に対する背もたれ部の位置を下方に移動させる。この結果、この車室仕切装置では、仕切板が板材で形成されていても、背もたれ部を前後方向に揺動させた際に、背もたれ部と仕切板との干渉を防止できる。このため、この車室仕切装置では、背もたれ部と仕切板との干渉を防止するに当たって、背もたれ部の揺動機能を制限する必要がない。
【0018】
そして、この車室仕切装置では、背もたれ部と仕切板との干渉を防止しつつも、第1案内部材を介して仕切板が車室の天井に接続される。これにより、この車室仕切装置では、背もたれ部の揺動に関わらず、天井と仕切板との隙間をほぼ一定に維持することができる。
【0019】
したがって、本発明の車室仕切装置は、高い利便性を発揮するとともに、車室を前後方向に好適に仕切ることが可能である。
【0020】
車室には、仕切板を挟んで第1座席の後方に配置される第2座席が設けられ得る。また、仕切板には、板材によって形成され、仕切板の下端よりも下方に向かって延びる補助仕切板が接続され得る。そして、補助仕切板は、第1座席と第2座席との間で仕切板に対して前後方向に揺動可能であることが好ましい。
【0021】
この場合には、第1座席と第2座席との間に仕切板と補助仕切板とが設けられるため、仕切板及び補助仕切板によって、第1座席と第2座席との間を前後方向により好適に仕切ることが可能となる。そして、仕切板に対して補助仕切板を前方向に揺動させれば、第2座席における乗員の足元空間を広く確保することができる。このため、補助仕切板が第2に乗員が乗り降りする際の妨げとなり難くなるとともに、補助仕切板が第2座席に着座した乗員の膝に接触することを好適に防止できる。これらのため、この車室仕切装置は、より高い利便性を発揮する。
【0022】
また、補助仕切板は、第1座席に向かって付勢されて背もたれ部に当接していることが好ましい。この場合には、背もたれ部に補助仕切板を当接させることにより、仕切板に対して補助仕切板が前方に揺動した状態で補助仕切板を保持することが可能となる。これにより、前方に揺動した状態で補助仕切板を保持するに当たり、補助仕切板に対して特別な操作を行う必要がない。こうして、この車室仕切装置は、第2座席における乗員の足元空間を容易に広く確保することができるため、より一層高い利便性を発揮する。
【発明の効果】
【0023】
本発明の車室仕切装置は、高い利便性を発揮するとともに、車室を前後方向に好適に仕切ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、実施例の車室仕切装置を示す模式図である。
図2図2は、実施例の車室仕切装置を示す模式図である。
図3図3は、実施例の車室仕切装置を示す模式図である。
図4図4は、実施例の車室仕切装置を示す図1のA-A断面を示す断面図である。
図5図5は、実施例の車室仕切装置を示す分解斜視図である。
図6図6は、実施例の車室仕切装置に係り、仕切板及び第2連結機構を示す要部拡大断面図である。
図7図7は、実施例の車室仕切装置に係り、背もたれ部が車室の後方に揺動した際における仕切板及び第2連結機構を示す要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を具体化した実施例を図面を参照しつつ説明する。
【0026】
図1図3に示すように、実施例の車室仕切装置1は、車両100に採用されている。車両100は、具体的には乗用自動車である。車両100は、車室CRを有している。なお、詳細な図示を省略するものの、車両100は、車室CRの他に、走行に必要な動力装置等を有している。また、図1図3では、説明を容易にするため、車室仕切装置1等を簡略化して図示している。
【0027】
本実施例では、図1図3に示す実線矢印によって、車室CR及び車室仕切装置1の前後方向及び上下方向を規定している。また、図4では、図1図3に対応して車室CR及び車室仕切装置1の上下方向を規定している他、車室CR及び車室仕切装置1の幅方向である左右方向を規定している。そして、図5以降では、図1図4に対応して車室CR及び車室仕切装置1の前後方向、上下方向及び左右方向を規定している。これらの前後方向、上下方向及び左右方向は互いに直交している。
【0028】
図1図3に示すように、車室CRは、天井3及び床面5を有している。天井3は、車室CRの上端に位置しており、前後方向及び左右方向に延びている。床面5は、車室CRの下端に位置している。床面5は、天井3と上下方向で対向しており、前後方向及び左右方向に延びている。また、車室CRは、運転席7と後席9とを有している。運転席7は、本発明における「第1座席」の一例である。また、後席9は、本発明における「第2座席」の一例である。なお、図示を省略するものの、車室CRにおいて、運転席7の左方には、助手席が設けられている。
【0029】
運転席7は、車室CRの前方右側に配置されており、車両100の運転者(図示略)が着座可能となっている。運転席7は、第1座部7aと、第1背もたれ部7bと、第1ヘッドレスト7cとを有している。第1座部7aは、本発明における「座部」の一例である。また、第1背もたれ部7bは、本発明における「背もたれ部」の一例である。
【0030】
第1座部7aは、第1ベースフレーム70を介して車室CRの床面5に取り付けられており、車室CRの前後方向に移動可能である。第1座部7aは、運転者の臀部と当接しつつ、臀部を支持可能となっている。第1背もたれ部7bは、第1座部7aから上方に向かって延びている。第1座部7aは、運転者の背中と当接しつつ、背中を支持可能となっている。第1背もたれ部7bは、第1座部7aの後部に接続されており、第1座部7aに対して前後方向に揺動可能となっている。図5に示すように、第1背もたれ部7bの上端には、第1取付孔71及び第2取付孔72が設けられている。
【0031】
第1ヘッドレスト7cは、ヘッドレスト本体73と、第1接続ロッド74と、第2接続ロッド75とを有している。ヘッドレスト本体73は、運転者の頭部と当接しつつ、頭部を支持可能となっている。第1接続ロッド74及び第2接続ロッド75は、ヘッドレスト本体73に固定されており、ヘッドレスト本体73から下方に向かって延びている。第1ヘッドレスト7cは、第1背もたれ部7bの上端に取り付けられている。なお、第1背もたれ部7bに対する第1ヘッドレスト7cの取り付けについては後述する。
【0032】
図1図3に示すように、後席9は、運転席7の後方に配置されており、運転者以外の車両100の乗員(図示略)が着座可能となっている。後席9は、第2座部9aと、第2背もたれ部9bと、第2ヘッドレスト9cとを有している。第2座部9aは、第2ベースフレーム90を介して車室CRの床面5に取り付けられており、車室CRの前後方向に移動可能である。第2座部9aにおける他の構成の他、第2背もたれ部9b及び第2ヘッドレスト9cの構成は、それぞれ第1座部7a、第1背もたれ部7b及び第1ヘッドレスト7cと同様である。
【0033】
図1図4に示すように、車室仕切装置1は、車室CRに設けられている。車室仕切装置1は、第1ガイドレール11と、第2ガイドレール13と、仕切板15と、第1滑車部材17と、第2滑車部材19と、右側第2連結機構21と、左側第2連結機構23と、補助仕切板25と、第1接続部材27と、第2接続部材29とを備えている。第1ガイドレール11及び第2ガイドレール13は、本発明における「第1案内部材」の一例である。また、第1滑車部材17及び第2滑車部材19は、本発明における「第1連結機構」の一例である。そして、右側第2連結機構21及び左側第2連結機構23は、本発明における「第2連結機構」の一例である。なお、図4では、説明を容易にするため、第1、2ガイドレール11、13や仕切板15等、車室仕切装置1における各構成を誇張して図示している。図5についても同様である。
【0034】
図4及び図5に示すように、第1ガイドレール11及び第2ガイドレール13は、アルミニウム合金製の押出成形品であり、長手方向、すなわち、前後方向に所定の長さで延びている。第1ガイドレール11には、第1進入口11a及び第1案内路11bが形成されている。第1進入口11a及び第1案内路11bは、第1ガイドレール11の前端から後端まで延びている。第2ガイドレール13は、第1ガイドレール11と同形状であり、第2進入口13a及び第2案内路13bが形成されている。第2進入口13a及び第2案内路13bについても、第2ガイドレール13の前端から後端まで延びている。なお、第1ガイドレール11及び第2ガイドレール13を樹脂製としても良い。
【0035】
図4に示すように、第1ガイドレール11と第2ガイドレール13とは、左右方向に所定の間隔を設けつつ、車室CRの天井3に固定されている。これにより、第1ガイドレール11及び第2ガイドレール13は、車室CRにおいて、運転席7及び後席9の上方に位置しており、前後方向に延びている。なお、第1、2ガイドレール11、13の前後方向の長さは適宜設計可能であり、第1、2ガイドレール11、13は、後席9を越えて車室CRの後方まで延びていても良い。また、第1、2ガイドレール11、13は、天井3の形状に応じて、上方に向かって凸形状にしつつ前後方向に延びる形状等をなしていても良い。
【0036】
また、第1、2ガイドレール11、13は、第1進入口11a及び第2進入口13aをそれぞれ車室CRの下方に向けた状態で、天井3に固定されている。第1進入口11aには、第1滑車部材17の本体部30が進入可能となっており、第2進入口13aには、第2滑車部材19の本体部30が進入可能となっている。また、第1案内路11bには、第1滑車部材17の第1、2ローラ31、32が進入可能となっており、第2案内路13bには、第2滑車部材19の第1、2ローラ31、32が進入可能となっている。なお、第1滑車部材17及び第2滑車部材19の構成については後述する。
【0037】
仕切板15は、上下方向及び左右方向に延びる略矩形の板状をなしている。仕切板15は、無色透明のポリカーボネート製である。なお、仕切板15は、有色の透明に形成されても良い。また、仕切板15は、車両100の運転に支障が生じなければ、一部又は全部が不透明色に形成されても良い。さらに、仕切板15は、ポリカーボネート以外のアクリル系、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂や無機ガラスによって形成されても良い。
【0038】
仕切板15の上下方向及び左右方向の長さは、車室CRの大きさ及び運転席7の形状に応じて設計されている。本実施例では、仕切板15の上下方向の長さは、第1ガイドレール11及び第2ガイドレール13から、第1ヘッドレスト7cを越えて第1背もたれ部7bまで達する長さとされている。換言すれば、仕切板15は、第1ヘッドレスト7cの上端、すなわち、運転席7の上端よりも天井3に向かって上方に延びている。また、仕切板15の左右方向の長さは、第1背もたれ部7b、ひいては運転席7の幅よりも長い長さとされている。
【0039】
また、図5に示すように、仕切板15は、板厚が第1厚さT1で設計されている。ここで、第1厚さT1は、常態において仕切板15に撓みが生じない厚さであり、第1厚さT1の具体的な値は、仕切板15の上下方向及び左右方向の長さの他、仕切板15の材質に基づいて設計される。このように板厚が第1厚さT1となることにより、仕切板15は、常態において撓みが生じない程度の剛性を有している。なお、常態とは、車室仕切装置1の使用時に仕切板15が車両100の運転者や乗員から過度に押圧されていない状態をいう。
【0040】
また、仕切板15には、第1貫通孔15a及び第2貫通孔15bが形成されている。第1貫通孔15a及び第2貫通孔15bは、仕切板15の上下方向の略中央に位置しており、仕切板15を前後方向に貫通している。第1貫通孔15aと第2貫通孔15bとは、左右方向に離隔した状態で仕切板15に配置されている。ここで、第1貫通孔15aと第2貫通孔15bとの左右方向の間隔は、後述する第3ガイドレール40と第4ガイドレール45とにおける左右方向の間隔に対応して設定されている。
【0041】
図4及び図5に示すように、第1滑車部材17と第2滑車部材19とは同一の構成であり、それぞれ本体部30と、第1ローラ31と、第2ローラ32と、第1連結軸33とを有している。本体部30は略矩形の箱状をなしている。ここで、本体部30の左右方向の長さは、第1、2進入口11a、13aの左右方向の長さよりも短く設定されている。
【0042】
第1ローラ31は、本体部30の右方に位置している。一方、第2ローラ32は、本体部30の左方に位置している。第1ローラ31と第2ローラ32とは同径をなす円板状に形成されている。第1連結軸33は、左右方向に延びており、本体部30に対して回転可能に挿通されている。第1連結軸33は、右端及び左端に第1、2ローラ31、32をそれぞれ連結している。これにより、第1、2ローラ31、32は、本体部30に対し、第1連結軸33の軸心周りで回転可能となっている。
【0043】
第1滑車部材17は、仕切板15の上端右方に本体部30を載置しつつ、2つの固定ねじ35によって本体部30を仕切板15に固定している。一方、第2滑車部材19は、仕切板15の上端左方に本体部30を載置しつつ、2つの固定ねじ35によって本体部30を仕切板15に固定している。こうして、第1滑車部材17及び第2滑車部材19は、左右方向に離隔した状態で仕切板15の上部に固定されている。ここで、第1滑車部材17と第2滑車部材19との左右方向の間隔は、第1ガイドレール11と第2ガイドレール13とにおける左右方向の間隔に対応して設定されている。なお、固定ねじ35の個数は適宜設計可能である他、本体部30を仕切板15に接着することで、第1、2滑車部材17、19を仕切板15に固定しても良い。
【0044】
図4に示すように、第1滑車部材17は、第1ガイドレール11の前端から、第1進入口11aに本体部30を進入させるとともに、第1案内路11bに第1、2ローラ31、32を進入させている。同様に、第2滑車部材19は、第2ガイドレール13の前端から、第2進入口13aに本体部30を進入させるとともに、第2案内路13bに第1、2ローラ31、32を進入させている。こうして、第1滑車部材17及び第2滑車部材19は、第1ガイドレール11及び第2ガイドレール13と仕切板15とを連結している。これにより、車室CR内において、仕切板15は、第1、2ガイドレール11、13、ひいては車室CRの天井3から下方に向かって延びる状態となっている。
【0045】
そして、第1、2滑車部材17、19では、各第1、2ローラ31、32が第1案内路11b及び第2案内路13bをそれぞれ前後方向に移動することにより、各本体部30が第1進入口11a及び第2進入口13a内をそれぞれ前後方向に移動する。これにより、仕切板15は、第1、2ガイドレール11、13に案内されつつ、車室CR内を前後方向に移動可能となっている(図1図3参照)。
【0046】
図5に示すように、右側第2連結機構21は、第3ガイドレール40と、第1接続バー41と、第1接続ピン42と、第3滑車部材43と、第1ナット44とを有している。左側第2連結機構23は、第4ガイドレール45と、第2接続バー46と、第2接続ピン47と、第4滑車部材48と、第2ナット49とを有している。第3ガイドレール40及び第4ガイドレール45は、本発明における「第2案内部材」の一例である。また、第3滑車部材43及び第4滑車部材48は、本発明における「連結部材」の一例である。
【0047】
図5に示すように、第3ガイドレール40及び第4ガイドレール45は、アルミニウム合金製の押出成形品であり、長手方向、すなわち、上下方向に所定の長さで延びている。第3ガイドレール40と第4ガイドレール45とは等しい長さで形成されている。ここで、第3、4ガイドレール40、45の長さは、第1、2ガイドレール11、13の長さに比べて短く形成されている。なお、第3、4ガイドレール40、45を樹脂製としても良い。
【0048】
第3ガイドレール40には、第3進入口40a及び第3案内路40bが形成されている。第3進入口40a及び第3案内路40bは、第3ガイドレール40の上端から下端まで延びている。第4ガイドレール45には、第4進入口45a及び第4案内路45bが形成されている。第3進入口40a及び第3案内路40bと同様、第4進入口45a及び第4案内路45bは、第4ガイドレール45の上端から下端まで延びている。また、第3ガイドレール40の下部には第1固定孔40cが形成されており、第4ガイドレール45の下部には第2固定孔45cが形成されている。
【0049】
第1接続バー41及び第2接続バー46は樹脂製であり、前後方向に延びている。第1接続バー41の前端には、第1挿通孔41aが形成されており、第2接続バー46の前端には、第2挿通孔46aが形成されている。第1挿通孔41a及び第2挿通孔46aは、それぞれ第1接続バー41及び第2接続バー46を上下方向に貫通している。また、第1接続バー41の後端には、第1ピン孔41bが形成されており、第2接続バー46の後端には、第2ピン孔46bが形成されている。第1ピン孔41b及び第2ピン孔46bは、それぞれ第1接続バー41及び第2接続バー46の内部を前後方向に延びており、第1、2接続バー41、46の各後端に開口している(図6及び図7参照。)。
【0050】
図5に示すように、第1接続バー41は、第1ピン孔41bを第3ガイドレール40の第1固定孔40cに整合させている。そして、この状態で、第3ガイドレール40側から第1固定孔40c内及び第1ピン孔41b内に第1接続ピン42が挿通されている。これにより、第1接続バー41は、第3ガイドレール40の下部に固定されて、第3ガイドレール40から前方に向かって延びている。同様に、第2接続バー46は、第2接続ピン47によって第4ガイドレール45の下部に固定されており、第4ガイドレール45から前方に向かって延びている。なお、第1、2接続ピン42、47に換えて、ねじやボルト等によって、第1、2接続バー41、46を第3、4ガイドレール40、45にそれぞれ固定しても良い。
【0051】
この車室仕切装置1では、第1挿通孔41aに第1ヘッドレスト7cの第1接続ロッド74を挿通させているとともに、第2挿通孔46aに第1ヘッドレスト7cの第2接続ロッド75を挿通させている。そして、この状態で、第1、2接続ロッド74、75をそれぞれ第1背もたれ部7bの第1、2取付孔71、72に挿通させつつ、第1、2取付孔71、72に保持させている。こうして、第1ヘッドレスト7cが第1背もたれ部7bの上端に取り付けられている。
【0052】
そして、第1ヘッドレスト7cと第1背もたれ部7bとの間に第1、2接続バー41、46が位置することにより、第3、4ガイドレール40、45が第1、2接続バー41、46を介して第1ヘッドレスト7cに取り付けられている。こうして、第3ガイドレール40と第4ガイドレール45とは、左右方向に間隔を設けつつ、第1ヘッドレスト7cの後方に配置されており、上下方向に垂直に延びている。
【0053】
第3滑車部材43と第4滑車部材48とは同一の構成であり、それぞれ基部51と、軸部52と、第3ローラ53と第4ローラ54と第2連結軸55とを有している。図6及び図7に示すように、基部51は、左右方向に延びる円柱状に形成されている。軸部52は、基部51に一体に形成されており、基部51から後方に向かって延びている。軸部52は、仕切板15の第1、2貫通孔15a、15bよりも小径に形成されている。また、軸部52には、ねじ溝が形成されている。
【0054】
図5に示すように、第3ローラ53は、基部51の右方に位置しており、基部51よりも大径の円板状に形成されている。第4ローラ54は、基部51の左方に位置している。第4ローラ54は、第3ローラ53と同径をなす円板状に形成されている。第2連結軸55は、左右方向に延びており、基部51に対して回転可能に挿通されている。第2連結軸55は、右端及び左端に第3、4ローラ53、54をそれぞれ連結している。これにより、第3、4ローラ53、54は、基部51に対し、第2連結軸55の軸心周りで回転可能となっている。
【0055】
第3滑車部材43及び第4滑車部材48は、それぞれ仕切板15の前方に配置されている。そして、第3滑車部材43では、軸部52を仕切板15の前方から第1貫通孔15aに挿通させている。そして、第3滑車部材43は、仕切板15の後方から軸部52に第1ナット44が螺合されることにより、第1ナット44に締結されている。第4滑車部材48についても同様に、軸部52が仕切板15の前方から第2貫通孔15bに挿通されつつ、仕切板15の後方から第2ナット49に締結されている。こうして、仕切板15に対して第3、4滑車部材43、48が取り付けられている。
【0056】
第3滑車部材43は、第3ガイドレール40の上端から、第3進入口40aに基部51を進入させるとともに、第3案内路40bに第3、4ローラ53、54を進入させている。同様に、第4滑車部材48は、第4ガイドレール45の上端から、第4進入口45aに基部51を進入させるとともに、第4案内路45bに第3、4ローラ53、54を進入させている。
【0057】
こうして、右側第2連結機構21及び左側第2連結機構23は、運転席7と仕切板15とを連結している。これにより、車室CR内において、仕切板15は、第1背もたれ部7b及び第1ヘッドレスト7c、ひいては、運転席7の後方に配置されている。また、仕切板15は、車室CR内において、後席9の前方に配置されている。換言すれば、後席9は、仕切板15を挟んで運転席7の後方に配置されている。つまり、この車室仕切装置1では、仕切板15が運転席7と後席9との間において天井3から下方に向かって延びている。
【0058】
そして、第3滑車部材43及び第4滑車部材48では、各第3、4ローラ53、54が第3案内路40b及び第4案内路45bをそれぞれ上下方向に移動することにより、各基部51が第3進入口40a及び第4進入口45a内をそれぞれ上下方向に移動する。これにより、第3滑車部材43及び第4滑車部材48は、第3、4ガイドレール40、45を上下方向に移動可能となっている。この結果、第1背もたれ部7b及び第1ヘッドレスト7cは、仕切板15に対して上下方向に移動可能となっている。
【0059】
ここで、第3滑車部材43及び第4滑車部材48において、各軸部52は、第1、2貫通孔15a、15bよりも小径である。このため、図6及び図7に示すように、第3滑車部材43及び第4滑車部材48は、第3、4ガイドレール40、45を上下方向に移動可能する際、仕切板15に対して前後方向に移動することが許容されている。
【0060】
図4及び図5に示すように、補助仕切板25は、仕切板15の下方に配置されている。補助仕切板25は、上下方向及び左右方向に延びる略矩形の板状をなしている。ここで、補助仕切板25の上下方向の長さは、仕切板15の上下方向の長さよりも短く設定されている。また、補助仕切板25の左右方向の長さは、仕切板15の左右方向の長さと等しくされている。なお、補助仕切板25の形状は適宜設計可能である。
【0061】
補助仕切板25は、仕切板15と同様、無色透明のポリカーボネート製である。また、補助仕切板25についても、板厚が第1厚さT1で設計されている。これにより、補助仕切板25についても、常態において撓みが生じない程度の剛性を有している。ここで、補助仕切板25における常態は、車室仕切装置1の使用時に補助仕切板25が車両100の運転者や乗員から過度に押圧されていない状態をいう。なお、補助仕切板25は、有色の透明であっても良く、不透明色であっても良い。また、補助仕切板25の板厚は、仕切板15の板厚とは異なっていても良い。さらに、補助仕切板25は、ポリカーボネート以外の樹脂や無機ガラスによって形成されても良く、仕切板15と補助仕切板25とを異なる材料で形成しても良い。
【0062】
第1接続部材27及び第2接続部材29は同一の構成であり、それぞれ第1プレート61、第2プレート62及び付勢リンク63を有している。第1プレート61と第2プレート62とは同一の形状であり、略矩形の板状をなしている。付勢リンク63は、第1プレート61と第2プレート62との間に配置されており、第1プレート61と第2プレート62とを前後方向に揺動可能に接続している。この際、付勢リンク63は、第1プレート61と第2プレート62とが互いに接近するように、すなわち、第1接続部材27及び第2接続部材29が閉じるように、第1プレート61と第2プレート62とを付勢しつつ接続している。
【0063】
第1接続部材27及び第2接続部材29は、左右方向に所定の間隔を設けつつ、仕切板15と補助仕切板25との間に配置されている。そして、第1接続部材27及び第2接続部材29は、それぞれ第1プレート61を仕切板15の下端に固定しているとともに、第2プレート62を補助仕切板25の上端に固定している。こうして、第1接続部材27及び第2接続部材29は、仕切板15の下方に補助仕切板25を接続している。これにより、補助仕切板25は、仕切板15の下方に接続されており、運転席7と後席9との間において、仕切板15の下端よりも下方に向かって延びている。
【0064】
ここで、第1接続部材27及び第2接続部材29では、第1プレート61と第2プレート62とが互いに接近するように付勢リンク63によって付勢されている。このため、第1、2接続部材27、29によって、仕切板15と補助仕切板25とが接続されることにより、補助仕切板25は、仕切板15に対して前後方向に揺動可能となっているとともに、仕切板15に対して常に前方に揺動した状態となっている。このため、図1図3に示すように、この車室仕切装置1では、第1背もたれ部7bに補助仕切板25の下端が常に当接するようになっている。
【0065】
以上のように構成された車室仕切装置1では、仕切板15及び補助仕切板25によって、車室CRを運転席7と後席9との間を前後方向に仕切ることができる。ここで、仕切板15及び補助仕切板25は、ポリカーボネート製であり、板厚が第1厚さT1で設計されていることから、剛性が確保されている。このため、仕切板15及び補助仕切板25は、仕切カーテンのような幕状物に比べて剛性が高く、使用時に撓みが生じ難い。この結果、車室仕切装置1では、仕切板15及び補助仕切板25によって、運転席7と後席9との間を前後方向に好適に仕切ることができる。これにより、この車室仕切装置1を採用した車両100では、車室CRにおいて、運転席7を含んだ仕切板15及び補助仕切板25の前方部分と、後席9を含んだ仕切板15及び補助仕切板25の後方部分とで、空調を好適に調整することが可能となっている。
【0066】
また、仕切板15及び補助仕切板25が剛性を有していることから、この車室仕切装置1をタクシー等の運送車両に採用した場合に、運転席7に着座する運転者に対する防犯効果も高くすることができる。
【0067】
そして、この車室仕切装置1では、仕切板15と第1、2ガイドレール11、13とが第1、2滑車部材17、19によって連結されている。このため、この車室仕切装置1では、第1座部7a、ひいては運転席7が車室CR内を前後方向に移動すれば、仕切板15及び補助仕切板25が第1、2ガイドレール11、13によって案内されつつ車室CR内を前後方向に移動可能となっている。
【0068】
具体的には、車室CR内において、運転席7が図1に示す位置から図2に示す位置まで後方に移動すれば、それに応じて、仕切板15及び補助仕切板25は、第1、2ガイドレール11、13によって案内されつつ車室CR内を後方に移動する。また、運転席7が図2に示す位置から図1に示す位置まで前方に移動すれば、それに応じて、仕切板15及び補助仕切板25は、第1、2ガイドレール11、13によって案内されつつ車室CR内を前方に移動する。これにより、この車室仕切装置1では、運転席7が車室CR内を後方に移動しても、仕切板15及び補助仕切板25が運転席7の第1背もたれ部7bと干渉することがなく、仕切板15及び補助仕切板25は、運転席7の後方の移動を制限することがない。また、仕切板15及び補助仕切板25は、運転席7の前方の移動を制限することもない。
【0069】
また、この車室仕切装置1では、運転席7と仕切板15とが右側第2連結機構21及び左側第2連結機構23によって連結されている。ここで、右側第2連結機構21及び左側第2連結機構23は、第3、4ガイドレール40、45と、第3、4滑車部材43、48とを有している。第3、4ガイドレール40、45は、第1ヘッドレスト7cに取り付けられて、第1ヘッドレスト7cの後方で上下方向に延びている。第3、4滑車部材43、48は、仕切板15に接続されているとともに、第3、4ガイドレール40、45に対して上下方向に移動可能となっている。これにより、この車室仕切装置1では、第3、4滑車部材43、48が第3、4ガイドレール40、45に対して上下方向に移動することで、仕切板15に対する第1背もたれ部7b及び第1ヘッドレスト7cの位置を上下方向に移動させることが可能となっている。
【0070】
こうして、この車室仕切装置1では、運転席7において第1背もたれ部7bが第1座部7aに対して前後方向に揺動すれば、仕切板15及び補助仕切板25が運転席7と後席9との間で前後方向に移動するとともに、仕切板15に対する第1背もたれ部7b及び第1ヘッドレスト7cの位置が上下方向に移動する。
【0071】
具体的には、運転席7において、第1背もたれ部7bが第1座部7aに対して図1に示す位置から図3に示す位置まで後方に揺動すれば、第1背もたれ部7b及び第1ヘッドレスト7cは、後席9に近づくように傾斜する。これにより、右側第2連結機構21及び左側第2連結機構23を通じて、第1背もたれ部7b及び第1ヘッドレスト7cは仕切板15を後方に押圧する状態となる。このため、仕切板15及び補助仕切板25は、第1、2ガイドレール11、13によって案内されつつ後方に移動する。
【0072】
また同時に、傾斜する第1背もたれ部7b及び第1ヘッドレスト7cは、仕切板15に対して下方に移動しようとする。この際、右側第2連結機構21及び左側第2連結機構23では、第3、4滑車部材43、48が第3、4ガイドレール40、45に対して上方に移動する。
【0073】
すなわち、第1背もたれ部7b及び第1ヘッドレスト7cが傾斜することにより、右側第2連結機構21では、第3ガイドレール40が図6に示す位置から図7に示す位置まで傾斜する。図示を省略するものの、左側第2連結機構23においても、第4ガイドレール45が同様に傾斜する。そして、このように第3、4ガイドレール40、45が傾斜する過程において、第3滑車部材43では、各第3、4ローラ53、54が図6に示す位置から図7に示すまで第3案内路40b内を上方に向かって移動し、基部51が第3進入口40a内を図6に示す位置から図7に示す位置まで上方に向かって移動する。これらにより、図7の白色矢印で示すように、第3滑車部材43は、傾斜する第3ガイドレール40を上方向に移動する。同様に、第4滑車部材48でも、各第3、4ローラ53、54が第4案内路45b内を上方に向かって移動し、基部51が第4進入口45a内を上方に向かって移動する。こうして、第4滑車部材48についても、傾斜する第4ガイドレール45を上方向に移動する。
【0074】
これにより、右側第2連結機構21及び左側第2連結機構23は、第3、4ガイドレール40、45を含め、仕切板15に対する第1背もたれ部7b及び第1ヘッドレスト7cの位置を下方に移動させる。この結果、この車室仕切装置1では、仕切板15が板材で形成されて剛性を有していても、第1背もたれ部7b及び第1ヘッドレスト7cを後方に揺動させた際に、第1背もたれ部7b及び第1ヘッドレスト7cと、仕切板15との干渉を防止することが可能となっている。なお、この車室仕切装置1では、第1背もたれ部7b及び第1ヘッドレスト7cについて、図3に示す位置から図1に示す位置まで前方に揺動すれば、右側第2連結機構21及び左側第2連結機構23において、第3、4滑車部材43、48が第3、4ガイドレール40、45をそれぞれ図7に示す位置から図6に示す位置まで下方に移動する。
【0075】
こうして、この車室仕切装置1を採用した車両100では、運転席7は、仕切板15と連結された状態において、第1背もたれ部7b及び第1ヘッドレスト7cを図1に示す位置と図3に示す位置との間で前後方向に揺動させることが可能となっている。このように、この車室仕切装置1では、第1背もたれ部7b及び第1ヘッドレスト7cと、仕切板15との干渉を防止するに当たって、第1背もたれ部7bの揺動機能を制限する必要がない。
【0076】
そして、この車室仕切装置1では、上記のように第1背もたれ部7b及び第1ヘッドレスト7cと、仕切板15との干渉を防止しつつも、第1、2ガイドレール11、13を介して仕切板15を車室CRの天井3に接続することができる。このため、この車室仕切装置1では、第1背もたれ部7bの揺動に関わらず、天井3と仕切板15との隙間をほぼ一定に維持することが可能となっている。この点においても、この車室仕切装置1では、仕切板15及び補助仕切板25の前方部分と後方部分とで、車室CR内の空調を好適に調整することが可能となる。
【0077】
したがって、実施例の車室仕切装置1は、高い利便性を発揮するとともに、車室CRを前後方向に好適に仕切ることが可能である。
【0078】
特に、この車室仕切装置1では、仕切板15の下方に補助仕切板25が接続されているため、仕切板15のみで車室CRを運転席7と後席9との間を前後方向に仕切る場合に比べて、運転席7と後席9との間をより好適に仕切ることが可能となっている。そして、補助仕切板25についても、仕切板15と同様にポリカーボネート製であり、剛性が確保されている。このため、この車室仕切装置1では、車室CRの空調効果や運転者に対する防犯効果についても、十分に高くすることが可能となっている。
【0079】
また、補助仕切板25は、第1接続部材27及び第2接続部材29によって仕切板15に接続されることにより、仕切板15に対して前方に付勢されて、第1背もたれ部7bに常に当接する状態となっている。これにより、この車室仕切装置1では、補助仕切板25を設けつつも、後席9における乗員の足元空間を広く確保することが可能となっている。このため、この車室仕切装置1では、補助仕切板25が後席9に乗員が乗り降りする際の妨げとなり難くなっているとともに、補助仕切板25が後席9に着座した乗員の膝に接触することを好適に防止している。さらに、この車室仕切装置1では、後席9における乗員の足元空間を広く確保するに当たって、運転者や後席9の乗員が補助仕切板25を前方に揺動させる必要がない。この点においても、この車室仕切装置1は、利便性が高くなっている。
【0080】
以上において、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0081】
例えば、実施例の車室仕切装置1では、本発明における「第1案内部材」として第1、2ガイドレール11、13を車室CRの天井3に設けているが、これに限らず、第1ガイドレール11のみを天井3に設ける構成としても良い。また、第1、2ガイドレール11、13に加えて他のガイドレールを天井3に設ける構成としても良い。
【0082】
また、実施例の車室仕切装置1では、本発明における「第1連結機構」として第1、2滑車部材17、19を採用しているが、これに限らず、第1連結機構として他の構成を採用しても良い。
【0083】
さらに、実施例の車室仕切装置1では、本発明における「第2連結機構」として、右側第2連結機構21及び左側第2連結機構23を採用しているが、これに限らず、第2連結機構として、右側第2連結機構21のみを採用したり、右側第2連結機構21及び左側第2連結機構23に加えて他の第2連結機構を設けたりしても良い。
【0084】
また、実施例の車室仕切装置1では、第3、4ガイドレール40、45を第1ヘッドレスト7cに取り付けているが、これに限らず、第3、4ガイドレール40、45を第1背もたれ部7bに取り付ける構成としても良い。
【0085】
さらに、実施例の車室仕切装置1において、第3、4ガイドレール40、45をそれぞれ下方により延長させるとともに、第3、4滑車部材43、48において、各軸部52を前後方向に延長することにより、運転席7の第1背もたれ部7bが図1に示す位置よりも前方に揺動することを許容する構成としても良い。
【0086】
また、実施例の車室仕切装置1では、右側第2連結機構21及び左側第2連結機構23がそれぞれ、第3、4ガイドレール40、45と、第1、2接続バー41、46と、第1、2接続ピン42、47と、第3、4滑車部材43、48と、第1、2ナット44、49とを有している。しかしこれに限らず、右側第2連結機構21及び左側第2連結機構23を他の構成としても良い。
【0087】
さらに、実施例の車室仕切装置1において、運転者や後席9の乗員の操作によって、補助仕切板25が仕切板15に対して前後に揺動する構成としても良い。この場合、仕切板15に対して補助仕切板25を任意の揺動角度で保持可能な保持機構を設けても良い。
【0088】
また、実施例の車室仕切装置1において、補助仕切板25及び第1、2接続部材27、29を省略しても良い。
【0089】
さらに、実施例の車室仕切装置1において、補助仕切板25を仕切板15よりも剛性を低く設計しても良く、仕切板15よりも剛性を高く設計しても良い。また、補助仕切板25に換えて、仕切板15の下方に可撓性を有する幕状物を設けても良い。
【0090】
また、実施例の車室仕切装置1では、仕切板15を運転席7の後方に配置しつつ、運転席7と仕切板15とを連結している。しかし、これに限らず、仕切板15を後席9の後方に配置しつつ、後席9と仕切板15連結することにより、後席9の後方において、車室CRを仕切板15によって前後方向に仕切る構成としても良い。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、乗用自動車の他、運送車両や産業車両等の車両に利用可能である。
【符号の説明】
【0092】
1…車室仕切装置
3…天井
7…運転席(第1座席)
7a…第1座部(座部)
7b…第1背もたれ部(背もたれ部)
9…後席(第2座席)
11…第1ガイドレール(第1案内部材)
13…第2ガイドレール(第1案内部材)
15…仕切板
17…第1滑車部材(第1連結機構)
19…第2滑車部材(第1連結機構)
21…右側第2連結機構(第2連結機構)
23…左側第2連結機構(第2連結機構)
25…補助仕切板
40…第3ガイドレール(第2案内部材)
43…第3滑車部材(連結部材)
45…第4ガイドレール(第2案内部材)
48…第4滑車部材(連結部材)
CR…車室
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7