(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022126945
(43)【公開日】2022-08-31
(54)【発明の名称】非水電解液二次電池及び非水電解液二次電池の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 10/058 20100101AFI20220824BHJP
H01M 10/0566 20100101ALI20220824BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20220824BHJP
H01M 4/13 20100101ALI20220824BHJP
H01M 4/139 20100101ALI20220824BHJP
H01M 50/463 20210101ALI20220824BHJP
【FI】
H01M10/058
H01M10/0566
H01M10/052
H01M4/13
H01M4/139
H01M2/18 Z
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021024810
(22)【出願日】2021-02-19
(71)【出願人】
【識別番号】399107063
【氏名又は名称】プライムアースEVエナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】茅原 静佳
【テーマコード(参考)】
5H021
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5H021BB12
5H021EE31
5H029AJ06
5H029AJ14
5H029AK03
5H029AL07
5H029AM01
5H029BJ12
5H029CJ22
5H029CJ25
5H029DJ07
5H029DJ14
5H029EJ01
5H029HJ12
5H050AA12
5H050AA19
5H050BA17
5H050CA08
5H050CB08
5H050DA02
5H050DA03
5H050FA10
5H050FA15
5H050GA22
5H050GA25
5H050HA12
(57)【要約】
【課題】化学微短を防止すると共に、電気抵抗の増加を抑制することが可能な非水電解液二次電池及び非水電解液二次電池の製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明の一実施形態に係る非水電解液二次電池は、正極シート400、負極シート100及びセパレータ200が積層される。負極シート100は、金属箔112と、金属箔112に塗布された合材111とを含む。合材111には、金属箔112の一部を露出させる1以上の凹部110が形成される。1以上の凹部110の側面には、非水電解液中の金属異物を捕捉する捕捉部113が形成される。1以上の凹部110によって露出した金属箔112の露出面114には、粗化加工が施される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極シート、負極シート及びセパレータが積層された非水電解液二次電池であって、
前記負極シートは、金属箔と、前記金属箔に塗布された合材とを含み、
前記合材には、前記金属箔の一部を露出させる1以上の凹部が形成されており、
前記1以上の凹部の側面には、非水電解液中の金属異物を捕捉する捕捉部が形成されており、
前記1以上の凹部によって露出した前記金属箔の露出面に粗化加工が施された、
非水電解液二次電池。
【請求項2】
前記セパレータは、前記金属箔の前記露出面から析出した金属異物の伸張を阻害する阻害部を備えており、
前記阻害部が、前記露出面に対向する前記セパレータの一部、及び、前記露出面に対向する前記セパレータの面の反対側の面において前記露出面に対応する部分の少なくとも一方に形成された、請求項1に記載の非水電解液二次電池。
【請求項3】
前記正極シートは、前記金属箔の前記露出面から析出した金属異物の伸張を阻害する阻害部を備えており、
前記阻害部が、前記露出面に対向する前記正極シートの一部に形成された、請求項1又は2に記載の非水電解液二次電池。
【請求項4】
正極シート、負極シート及びセパレータが積層される非水電解液二次電池の製造方法であって、
前記負極シートは、金属箔と前記金属箔に塗布された合材とを含み、
前記金属箔の一部が露出するように、前記合材に1以上の凹部を形成すると共に、前記1以上の凹部の側面に、非水電解液中の金属異物を捕捉する捕捉部を形成する工程と、
前記1以上の凹部の底部に粗化加工を施す工程と
を含む、非水電解液二次電池の製造方法。
【請求項5】
正極シート、負極シート及びセパレータが積層される非水電解液二次電池の製造方法であって、
前記負極シートが備える金属箔に粗化加工を施す工程と、
粗化加工が施された前記金属箔に合材を塗布する工程と、
前記金属箔の一部が露出するように、前記合材に1以上の凹部を形成すると共に、前記1以上の凹部の側面に、非水電解液中の金属異物を捕捉する捕捉部を形成する工程と
を含む、非水電解液二次電池の製造方法。
【請求項6】
前記金属箔の露出面に対向する前記セパレータの一部、及び、前記露出面に対向する前記セパレータの面の反対側の面において前記露出面に対応する部分の少なくとも一方に、前記露出面から析出する金属異物の伸張を阻害する阻害部を形成する工程をさらに含む、請求項4又は5に記載の非水電解液二次電池の製造方法。
【請求項7】
前記金属箔の露出面に対向する前記正極シートの一部に、前記露出面から析出する金属異物の伸張を阻害する阻害部を形成する工程をさらに含む、請求項4~6のいずれか1項に記載の非水電解液二次電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非水溶系有機電解液を含む非水電解液二次電池及び当該非水電解液二次電池の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、電気自動車やハイブリッド車、プラグインハイブリッド車等では、リチウムイオン電池等の非水電解液二次電池が採用されている。このような非水電解液二次電池は、その内部に金属異物が混入した場合、当該金属異物が析出して微小な短絡(以下、「化学微短」とする。)が発生することがある。
【0003】
非水電解液二次電池の化学微短を防止する技術の一例として、例えば、特許文献1が開示するリチウムイオン電池は、正極又は負極の少なくとも一方の合材の内部に短絡防止剤を混入することにより、化学微短の発生を防止することを意図している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、短絡防止剤は電気抵抗成分であるため、特許文献1が開示するリチウムイオン電池のように、電極の合材の内部全体に短絡防止剤を混入すると、電気抵抗が増加するという問題があった。
【0006】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、化学微短を防止すると共に、電気抵抗の増加を抑制することが可能な非水電解液二次電池及び非水電解液二次電池の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る非水電解液二次電池は、正極シート、負極シート及びセパレータが積層されており、
負極シートは、金属箔と、金属箔に塗布された合材とを含み、
合材には、金属箔の一部を露出させる1以上の凹部が形成されており、
1以上の凹部の側面には、非水電解液中の金属異物を捕捉する捕捉部が形成されており、
1以上の凹部によって露出した金属箔の露出面に粗化加工が施される。
【0008】
セパレータは、金属箔の露出面から析出した金属異物の伸張を阻害する阻害部を備えることができ、
阻害部は、露出面に対向するセパレータの一部、及び、露出面に対向するセパレータの面の反対側の面において露出面に対応する部分の少なくとも一方に形成することができる。
【0009】
正極シートは、金属箔の露出面から析出した金属異物の伸張を阻害する阻害部を備えることができ、
阻害部は、露出面に対応する正極シートの一部に形成することができる。
【0010】
本発明の他の態様に係る正極シート、負極シート及びセパレータが積層される非水電解液二次電池の製造方法は、
負極シートは、金属箔と金属箔に塗布された合材とを含み、
金属箔の一部が露出するように、負極シートの合材に1以上の凹部を形成すると共に、1以上の凹部の側面に、非水電解液中の金属異物を捕捉する捕捉部を形成する工程と、
1以上の凹部の底部に粗化加工を施す工程とを含む。
【0011】
本発明の他の態様に係る正極シート、負極シート及びセパレータが積層される非水電解液二次電池の製造方法は、
負極シートが備える金属箔に粗化加工を施す工程と、
粗化加工が施された金属箔に合材を塗布する工程と、
金属箔の一部が露出するように、合材に1以上の凹部を形成すると共に、1以上の凹部の側面に、非水電解液中の金属異物を捕捉する捕捉部を形成する工程とを含む。
【0012】
また、本発明の他の態様に係る非水電解液二次電池の製造方法は、金属箔の露出面に対向するセパレータの一部、及び、露出面に対向するセパレータの面の反対側の面において露出面に対応する部分の少なくとも一方に、露出面から析出する金属異物の伸張を阻害する阻害部を形成する工程をさらに含むことができる。
【0013】
さらに、本発明の他の態様に係る非水電解液二次電池の製造方法は、金属箔の露出面に対応する正極シートの一部に、露出面から析出する金属異物の伸張を阻害する阻害部を形成する工程をさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、化学微短を防止すると共に、電気抵抗の増加を抑制することが可能な非水電解液二次電池及び非水電解液二次電池の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る二次電池が備える負極シートを示す平面図である。
【
図2】
図1に示すI-I断面線に沿った垂直断面図である。
【
図3】負極シートに凹部及び捕捉部を形成する工程を示す図である。
【
図4】第1の実施形態に係る二次電池及び他の二次電池に対する化学微短評価の良品率及び電気抵抗の増加率の試験結果を示す図である。
【
図5】第2の実施形態に係る二次電池の垂直断面図である。
【
図6】他の実施形態に係る二次電池の垂直断面図である。
【
図7】第3の実施形態に係る二次電池の垂直断面図である。
【
図8】第1の比較例及び第2の比較例の負極シートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る非水電解液二次電池(以下、単に「二次電池」と称する。)は、正極シートと、負極シートと、正極シート及び負極シートを絶縁するセパレータとを備える。正極シート、負極シート及びセパレータは、二次電池内で積層されて配置される。正極シートは、正極集電体として機能する金属箔(アルミニウム等)と、金属箔に塗布される合材とを含む。正極の合材は、活物質(コバルト酸リチウム等)や導電剤、バインダを含むスラリーで構成される。負極シートは、集電体として機能する金属箔(銅等)と、金属箔に塗布される合材とを含む。負極の合材は、活物質(グラファイト等)や導電剤、バインダを含むスラリーで構成される。
【0017】
<第1の実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、第1の実施形態に係る二次電池が備える負極シート100を示す平面図である。
図1に示すように、負極シート100には、1以上の凹部110が形成される。凹部110を形成するピッチは、100~280μmであることが好ましく、例えば、
図1に示すように、200μmとすることができる。
【0018】
図2は、
図1に示すI-I断面線に沿った垂直断面図である。負極シート100は、合材111と、金属箔112とを有する。合材111は、金属箔112の両面に塗布される。合材111には、金属箔112の一部が露出するように凹部110が形成される。なお、
図2に示す例では、凹部110の断面形状は台形であるが、凹部110の断面形状を長方形又は正方形としてもよい。また、
図2に示す例では、凹部110の位置は、負極シート100の両面で同一であるが、負極シート100の両面で異なる位置としてもよい。
【0019】
凹部110の上部の幅は、30~70μmであることが好ましく、例えば、
図2に示すように、46μm(=50μm-2×2μm)とすることができる。凹部110の底部の幅は、10~25μmであることが好ましく、例えば、
図2に示すように、15μmとすることができる。凹部110の深さは、合材111の厚みと同じである。なお、凹部110の幅は、これらの値に限定されず、任意の幅とすることができる。
【0020】
凹部110の側面には、非水電解液中の金属異物を捕捉する捕捉部113が形成される。捕捉部113は、金属異物を捕捉可能な材料、例えば、亜硝酸塩、硝酸塩、クロム酸塩、強酸性陽イオン交換樹脂、及び/又はアパタイト系セラミックス等で構成することができる。捕捉部113の厚みは、例えば、2μmとすることができる。凹部110の側面に形成される捕捉部113の量は、凹部110の容積の5~30%であることが好ましく、例えば、凹部110の容積の約20%とすることができる。なお、捕捉部113の厚みや量は、これらの値に限定されず、金属箔112が露出する限り、任意の厚みや量とすることができる。
【0021】
凹部110によって露出した金属箔112の露出面114には、粗化加工が施される。例えば、レーザ照射や金型を用いて、露出面114に粗化加工を施すことができる。この粗化加工により、露出面114には凹凸が形成される。露出面114には、2~5μmの幅の溝が3~5本、形成されるのが好ましい。例えば、
図2に示す例では、5μmの幅の溝が2本、露出面114に形成される。なお、露出面114に形成される凹凸の数やサイズは、これらに限定されず、任意の数及びサイズの凹凸を形成することができる。
【0022】
次に、二次電池の製造方法について説明する。二次電池の製造方法は、負極シート100が備える合材111に1以上の凹部110を形成すると共に、1以上の凹部110の側面に捕捉部113を形成する工程と、1以上の凹部110の底部に粗化加工を施す工程とを含む。
【0023】
図3は、負極シート100に凹部110及び捕捉部113を形成する工程を示す図である。
図3には、負極シート100と、負極シート100を押圧する2つのローラ500が示されている。各ローラ500の表面には、複数の凸部510が形成されている。これらの凸部510には、それぞれ捕捉部113を構成する材料が塗布される。この2つのローラ500が負極シート100の両面を押圧して回転することにより、負極シート100の両面には、
図2に示す凹部110及び捕捉部113が、実質的に同時に形成される。次いで、このようにして形成された凹部110の底部に粗化加工を施す。
【0024】
上述した実施形態では、負極シート100の合材111には、金属箔112の一部を露出させる1以上の凹部110が形成される。1以上の凹部110の側面には、非水電解液中の金属異物を捕捉する捕捉部113が形成される。1以上の凹部110によって露出した金属箔112の露出面114には、粗化加工が施される。
【0025】
金属箔112の露出面114に粗化加工を施すことにより、露出面114には凹凸が形成される。そのため、露出面114の凸部から異物金属が析出し易くなる。換言すると、露出面114の凸部は、異物金属が析出する際の核として機能する。そして、析出によって伸張した異物金属は、凹部110の側面に形成された捕捉部113によって捕捉される。これにより、負極シート100の露出面114から析出した異物金属が伸張して正極シート400に到達するのを防止できるため、二次電池の化学微短を防ぐことができる。
【0026】
図4は、第1の実施形態に係る二次電池及び他の二次電池に対する化学微短評価の良品率及び電気抵抗の増加率の試験結果を示す。この試験では、第1の実施形態に係る二次電池、第2の実施形態に係る二次電池、第1の比較例の二次電池、及び第2の比較例の二次電池の4種類の二次電池について評価を行った。これらの二次電池は、いずれも正極の合材の片側厚みが70μmであり、負極の合材の片側厚みは50μmであった。また、正極の合材の目付は、15mg/cm
2であり、負極の合材の目付は、6.2mg/cm
2であった。
【0027】
評価試験で使用した第1の実施形態に係る二次電池は、負極シート100の凹部110の上部の幅が50μm、深さが50μm、底部の幅が15μmであり、凹部110のピッチは200μmであった。また、金属箔112の露出面114には、5μmの溝が2本、形成された。さらに、捕捉部113が、凹部110の側面に形成され、捕捉部113の量は、凹部110の容積の約20%であった。これは、後述する比較例2の捕捉部113の量の約50%である。
【0028】
図8は、評価試験で使用した第1の比較例及び第2の比較例の負極シート100を示す。第1の比較例に係る負極シート100は、捕捉部が設けられていない負極シート100である。一方、第2の比較例に係る負極シート100は、合材111の表面一体に捕捉部が設けられた負極シート100である。第2の比較例の捕捉部は、厚みが2μmであった。なお、第2の実施形態に係る二次電池については後述する。
【0029】
この評価試験では、それぞれの二次電池の正極に微細なステンレス箔を異物として埋め込み、4.0VのCCCV(定電流定電圧)充電を行い、60℃で20時間エージングを行った。エージング中の降下電圧が0.1V以上となったものを不良品として検出して良品率を算出した。電気抵抗の増加率は、初期状態の二次電池の電気抵抗を基準として算出した。
【0030】
図4の試験結果に示すように、第1の実施形態に係る二次電池は、第1の比較例と比べて、良品率が有意に高い、すなわち、化学微短を防止する効果が高いことが判明した。これは、第1の実施形態に係る二次電池では、捕捉部113が非水電解液中の金属異物を捕捉したためであると考えられる。
【0031】
また、第1の実施形態に係る二次電池は、第2の比較例と比べて、電気抵抗の増加率が低いことが判明した。これは、第1の実施形態に係る二次電池では、電気抵抗を生じさせる捕捉部の量が、第2の比較例の二次電池よりも少ないことに起因すると考えられる。従って、第1の実施形態に係る二次電池は、化学微短を防止すると共に、捕捉部113に起因する電気抵抗の増加を抑制できることが判明した。
【0032】
<第2の実施形態>
図5は、第2の実施形態に係る二次電池の垂直断面図である。第2の実施形態では、金属箔112の露出面114から析出した金属異物の伸張を阻害する阻害部300が、露出面114に対向するセパレータ200の一部に形成される。阻害部300の幅は、少なくとも露出面114の幅以上であることが好ましい。
【0033】
阻害部300は、電極の合材の生成に使用されるバインダ等を、セパレータ200に塗布することによって形成することができる。阻害部300の材料は、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリアクリレート、ポリテトラフルオロエチレン等を採用することができる。
【0034】
第2の実施形態では、阻害部300が、負極シート100の露出面114に対向するセパレータ200の一部に形成される。このため、負極シート100の露出面114から析出した異物金属が伸張して正極シート400に到達するのを阻害でき、二次電池の化学微短を防ぐことができる。
【0035】
図4は、第2の実施形態に係る二次電池の良品率及び電気抵抗の増加率の試験結果についても示している。評価試験で使用した第2の実施形態に係る二次電池の負極シート100は、第1の実施形態と同じである。セパレータ200には、負極シート100の凹部110に対向する面に阻害部300が形成された。阻害部300は、凹部110のピッチと同じピッチ(200μm)で形成された。セパレータ200の表面における阻害部300の直径は、50μmであった。
【0036】
図4の試験結果に示すように、第2の実施形態に係る二次電池は、第1の比較例及び第2の比較例と比べて、良品率が有意に高い、すなわち、化学微短を防止する効果が高いことが判明した。また、第2の実施形態に係る二次電池は、第2の比較例と比べて、電気抵抗の増加率が低いことが判明した。従って、第2の実施形態に係る二次電池は、化学微短をより一層防止できると共に、捕捉部113に起因する電気抵抗の増加を抑制できることが判明した。
【0037】
<第3の実施形態>
図7は、第3の実施形態に係る二次電池の垂直断面図である。第3の実施形態では、阻害部300が、負極シート100の露出面114に対向する正極シート400の一部に形成される。以下、上述した実施形態との相違点を中心に説明する。
【0038】
図7は、負極シート100、セパレータ200及び正極シート400が積層された状態を示している。なお、説明を簡略化するため、負極シート100の一方側にのみ、セパレータ200及び正極シート400が示されているが、負極シート100の他方側にも、セパレータ200及び正極シート400が積層される。
【0039】
負極シート100は、上述した実施形態と同様に、凹部110と、捕捉部113とを備える。凹部110の底部には、負極シート100の金属箔の露出面114が存在する。正極シート400は、金属箔410と、合材411,412とを有する。合材411,412は、金属箔410の両面に塗布される。
【0040】
阻害部300は、負極シート100の露出面114に対向する正極シート400の合材411に形成される。具体的には、負極シート100の露出面114の中心位置を通る、露出面114と実質的に垂直な直線VL上と、負極シート100に対向する正極シート400の合材411の表面とが交差する位置を含むように、阻害部300が形成される。阻害部300の幅は、少なくとも露出面114の幅以上であることが好ましい。
【0041】
第3の実施形態では、阻害部300が、負極シート100の露出面114に対向する正極シート400の一部に形成される。このため、負極シート100の露出面114から析出した異物金属が伸張して正極シート400に到達するのを阻害でき、二次電池の化学微短を防ぐことができる。
【0042】
<他の実施形態>
他の実施形態では、
図6に示すように、セパレータ200の反対側に阻害部300を形成してもよい。具体的には、金属箔112の露出面114に対向するセパレータ200の面210の反対側の面220において、露出面114に対応する部分に阻害部300を形成することができる。
【0043】
また、他の実施形態では、セパレータ200の両側に阻害部300を形成してもよい。具体的には、
図5に示す阻害部300及び
図6に示す阻害部300の双方をセパレータ200に形成することができる。
【0044】
さらに、上述した実施形態では、負極シート100の合材111には、
図1に示すように縦長の凹部110が形成されるが、他の実施形態では、合材111に複数の孔を空けて凹部110を形成してもよい。
【0045】
さらに、他の実施形態では、負極シート100の金属箔112に粗化加工を施した後、当該金属箔112に合材111を塗布することができる。そして、当該合材111に1以上の凹部110を形成すると共に、1以上の凹部110の側面に捕捉部113を形成してもよい。ここで、凹部110の底部に捕捉部の材料が付着した場合には、1以上の凹部110の底部にレーザを照射して、凹部110の底部の捕捉部の材料を昇華させてもよい。
【0046】
本発明は、上述した実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0047】
100 負極シート
110 凹部
111 合材
112 金属箔
113 捕捉部
114 露出面
200 セパレータ
300 阻害部
400 正極シート
410 金属箔
411 合材
412 合材
500 ローラ
510 凸部
VL 直線