IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本電産サンキョー株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-直線駆動装置 図1
  • 特開-直線駆動装置 図2
  • 特開-直線駆動装置 図3
  • 特開-直線駆動装置 図4
  • 特開-直線駆動装置 図5
  • 特開-直線駆動装置 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022126951
(43)【公開日】2022-08-31
(54)【発明の名称】直線駆動装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 37/24 20060101AFI20220824BHJP
   H02K 7/06 20060101ALI20220824BHJP
【FI】
H02K37/24 Q
H02K7/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021024819
(22)【出願日】2021-02-19
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】春日 孝文
【テーマコード(参考)】
5H607
【Fターム(参考)】
5H607BB01
5H607BB10
5H607BB14
5H607BB26
5H607CC03
5H607CC07
5H607DD03
5H607EE52
5H607HH01
5H607HH06
5H607HH07
(57)【要約】
【課題】送りねじ軸の軸方向における可動体の位置を検知するための位置検知機構を備える直線駆動装置において、直線駆動装置が搭載される上位装置に固定されるモータのフレームに対する位置検知機構の検知器本体の取付位置のばらつきを抑制することが可能な直線駆動装置を提供する。
【解決手段】この直線駆動装置は、送りねじ軸を有するモータと、送りねじ軸の軸方向における可動体3の位置を検知するための位置検知機構とを備えており、モータは、直線駆動装置が搭載される上位装置に固定されるフレーム14を備えている。位置検知機構の検知器本体には、フレーム14に対して検知器本体を位置決めするための位置決め用突起32a、32bが形成され、フレーム14には、位置決め用突起32a、32bが挿入される位置決め用穴14g、14hが形成されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送りねじ軸を回転させて可動体を直線的に移動させる直線駆動装置において、
前記送りねじ軸を有するモータと、前記送りねじ軸に係合するとともに前記送りねじ軸が回転すると前記送りねじ軸の軸方向に直線的に移動する前記可動体と、前記送りねじ軸の軸方向における前記可動体の位置を検知するための位置検知機構とを備え、
前記モータは、ロータおよびステータと、前記直線駆動装置が搭載される上位装置に固定されるとともに前記ステータが固定されるフレームとを備え、
前記位置検知機構は、検知器本体と、前記検知器本体が電気的に接続される基板とを備え、
前記検知器本体には、前記フレームに対して前記検知器本体を位置決めするための位置決め用突起が形成され、
前記フレームには、前記位置決め用突起が挿入される位置決め用穴が形成されていることを特徴とする直線駆動装置。
【請求項2】
前記検知器本体には、前記位置決め用突起として、第1位置決め用突起と第2位置決め用突起とが形成され、
前記フレームには、前記位置決め用穴として、前記第1位置決め用突起が挿入される第1位置決め用穴と、前記第2位置決め用突起が挿入される第2位置決め用穴とが形成され、
前記第1位置決め用突起は、円柱状に形成され、
前記第1位置決め用穴は、前記第1位置決め用突起が圧入される丸穴であり、
前記検知器本体は、前記第2位置決め用突起と前記第2位置決め用穴とによって、前記第1位置決め用突起を回転の中心とする前記検知器本体の回転方向において位置決めされていることを特徴とする請求項1記載の直線駆動装置。
【請求項3】
前記基板には、前記基板を貫通するとともに前記位置決め用突起が圧入される圧入穴が形成され、
前記位置決め用突起の先端部は、前記基板から突出し、
前記位置決め用穴には、前記基板から突出する前記位置決め用突起の先端部が挿入されていることを特徴とする請求項1または2記載の直線駆動装置。
【請求項4】
前記基板を前記フレームに固定するための固定ねじを備え、
前記基板には、前記固定ねじの軸部が挿通されるねじ用貫通穴が形成され、
前記フレームには、前記固定ねじの軸部が係合するねじ穴が形成されていることを特徴とする請求項3記載の直線駆動装置。
【請求項5】
前記送りねじ軸の軸方向に直交する所定の方向を第1方向とし、前記送りねじ軸の軸方向の一方側を出力側とし、前記送りねじ軸の軸方向の他方側を反出力側とし、第1方向の一方側を第2方向側とし、第1方向の他方側を第3方向側とすると、
前記モータは、前記送りねじ軸の出力側部分を支持する出力側軸受を備え、
前記フレームは、前記フレームの第3方向側部分を構成する平板状の底面部と、前記底面部の出力側部分から第2方向側に向かって立ち上がるとともに前記出力側軸受を保持する軸受保持部と、前記底面部の反出力側部分から第2方向側に向かって立ち上がるとともに前記ステータが固定される固定部とを備え、
前記底面部の厚さ方向は、第1方向と一致しており、
前記可動体は、前記送りねじ軸の軸方向において前記軸受保持部と前記固定部との間に配置され、
前記位置検知機構は、前記底面部の第3方向側の面である底面の出力側部分に取り付けられ、出力側において前記可動体の位置を検知することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の直線駆動装置。
【請求項6】
前記基板は、前記基板の厚さ方向と第1方向とが一致するように配置されるとともに、前記底面部の第3方向側に固定され、
前記基板には、前記検知器本体の端子ピンが挿通される端子用貫通穴と、前記端子ピンの先端部が半田付けされる半田ランドとが形成され、
前記端子ピンは、第3方向側から前記端子用貫通穴に挿通され、
前記半田ランドは、前記端子用貫通穴の縁に形成されるとともに、前記基板の第2方向側の面に形成され、
前記底面部の、前記半田ランドの第2方向側の部分には、第1方向で前記底面部を貫通する底面部貫通穴が形成されていることを特徴とする請求項5記載の直線駆動装置。
【請求項7】
前記可動体は、前記位置検知機構に検知される被検知部を備え、
前記被検知部は、第3方向側に向かって突出し、
前記被検知部の第3方向端は、前記底面部の前記底面よりも第3方向側に配置され、
前記送りねじ軸の軸方向と第1方向とに直交する方向を第4方向とすると、
前記底面部には、前記送りねじ軸の軸方向に前記可動体が移動するときに前記被検知部の一部が通過する通過溝と、前記通過溝から第4方向の一方側に伸びる直線溝とが形成されていることを特徴とする請求項5または6記載の直線駆動装置。
【請求項8】
前記可動体は、前記送りねじ軸を回動の中心とする前記可動体の回動を防止するための回動防止突起を備え、
前記回動防止突起は、前記底面部の第2方向側に配置されるとともに、第4方向において前記通過溝の両側のそれぞれに配置され、
第4方向の一方側に配置される前記回動防止突起は、前記可動体の可動範囲の全域において、前記直線溝に嵌らずに前記底面部の第2方向側の面に接触可能となっていることを特徴とする請求項7記載の直線駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送りねじ軸を回転させて可動体を直線的に移動させる直線駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外周面に螺旋溝が形成された送りねじ軸(リードスクリュー)を有するモータと、送りねじ軸に沿って直線的に移動する可動体と、可動体の移動方向の原点位置を検知するための位置検知器とを備える直線駆動装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の直線駆動装置では、モータは、送りねじ軸が形成される回転軸および駆動用磁石を有するロータと、駆動用コイルを有するとともに駆動用磁石の外周側に配置されるステータと、ステータの出力側端が固定されるフレームとを備えている。
【0003】
特許文献1に記載の直線駆動装置では、フレームは、平板状のフレーム本体と、フレーム本体の出力側端から直角に立ち上がる第1支持部と、フレーム本体の反出力側端から直角に立ち上がる第2支持部とから構成されている。フレーム本体には、直線駆動装置が搭載される上位装置(相手側機器)に直線駆動装置を固定するための穴が形成されており、上位装置には、フレームが固定される。第1支持部には、送りねじ軸の出力側の端部を支持する軸受が取り付けられている。第2支持部には、ステータの出力側の端面が固定されている。可動体は、送りねじ軸の軸方向において、第1支持部と第2支持部との間に配置されている。
【0004】
また、特許文献1に記載の直線駆動装置では、モータは、駆動用コイルが電気的に接続される端子ピンを備えている。端子ピンの一端部は、給電基板に半田付けされて固定されている。給電基板は、基板保持部材に取り付けられている。基板保持部材は、フレームの第2支持部に取り付けられている。位置検知器は、給電基板に取り付けられている。すなわち、位置検知器は、給電基板および基板保持部材を介してフレームに取り付けられている。位置検知器は、可動体の原点位置を反出力側で検知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-54648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の直線駆動装置では、位置検知器が、給電基板および基板保持部材を介してフレームに取り付けられている。そのため、この直線駆動装置では、給電基板および基板保持部材の部品単体のばらつき、フレームへの基板保持部材の取付位置のばらつき、基板保持部材への給電基板の取付位置のばらつき、および、給電基板への位置検知器のばらつき等の影響で、フレームに対する位置検知器の取付位置のばらつきが大きくなるおそれがある。また、上位装置に固定されるフレームに対する位置検知器の取付位置のばらつきが大きくなると、直線駆動装置が上位装置に搭載されたときの可動体の原点位置のばらつきが大きくなるおそれがある。
【0007】
そこで、本発明の課題は、送りねじ軸の軸方向における可動体の位置を検知するための位置検知機構を備える直線駆動装置において、直線駆動装置が搭載される上位装置に固定されるモータのフレームに対する位置検知機構の検知器本体の取付位置のばらつきを抑制することが可能な直線駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明の直線駆動装置は、送りねじ軸を回転させて可動体を直線的に移動させる直線駆動装置において、送りねじ軸を有するモータと、送りねじ軸に係合するとともに送りねじ軸が回転すると送りねじ軸の軸方向に直線的に移動する可動体と、送りねじ軸の軸方向における可動体の位置を検知するための位置検知機構とを備え、モータは、ロータおよびステータと、直線駆動装置が搭載される上位装置に固定されるとともにステータが固定されるフレームとを備え、位置検知機構は、検知器本体と、検知器本体が電気的に接続される基板とを備え、検知器本体には、フレームに対して検知器本体を位置決めするための位置決め用突起が形成され、フレームには、位置決め用突起が挿入される位置決め用穴が形成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明の直線駆動装置では、送りねじ軸の軸方向における可動体の位置を検知するための位置検知機構は、検知器本体を備え、モータは、直線駆動装置が搭載される上位装置に固定されるフレームを備えている。また、本形態では、検知器本体に、フレームに対して検知器本体を位置決めするための位置決め用突起が形成され、フレームに、位置決め用突起が挿入される位置決め用穴が形成されている。そのため、本発明では、フレームに対して直接、検知器本体を位置決めすることが可能になる。したがって、本発明では、上位装置に固定されるフレームに対する検知器本体の取付位置のばらつきを抑制することが可能になる。
【0010】
本発明において、たとえば、検知器本体には、位置決め用突起として、第1位置決め用突起と第2位置決め用突起とが形成され、フレームには、位置決め用穴として、第1位置決め用突起が挿入される第1位置決め用穴と、第2位置決め用突起が挿入される第2位置決め用穴とが形成され、第1位置決め用突起は、円柱状に形成され、第1位置決め用穴は、第1位置決め用突起が圧入される丸穴であり、検知器本体は、第2位置決め用突起と第2位置決め用穴とによって、第1位置決め用突起を回転の中心とする検知器本体の回転方向において位置決めされている。
【0011】
本発明において、基板には、基板を貫通するとともに位置決め用突起が圧入される圧入穴が形成され、位置決め用突起の先端部は、基板から突出し、位置決め用穴には、基板から突出する位置決め用突起の先端部が挿入されていることが好ましい。このように構成すると、フレームに対して検知器本体を位置決めするための位置決め用突起を用いて、検知器本体を基板に固定することが可能になる。したがって、検知器本体を基板に固定するための構成が別途設けられている場合と比較して、位置検知機構の構成を簡素化することが可能になる。
【0012】
本発明において、直線駆動装置は、基板をフレームに固定するための固定ねじを備え、基板には、固定ねじの軸部が挿通されるねじ用貫通穴が形成され、フレームには、固定ねじの軸部が係合するねじ穴が形成されていることが好ましい。このように構成すると、基板に圧入固定されている検知器本体を基板と一緒に固定ねじによってフレームに固定することができるため、比較的簡易な構成で、位置検知機構をフレームに取り付けることが可能になる。
【0013】
本発明において、たとえば、送りねじ軸の軸方向に直交する所定の方向を第1方向とし、送りねじ軸の軸方向の一方側を出力側とし、送りねじ軸の軸方向の他方側を反出力側とし、第1方向の一方側を第2方向側とし、第1方向の他方側を第3方向側とすると、モータは、送りねじ軸の出力側部分を支持する出力側軸受を備え、フレームは、フレームの第3方向側部分を構成する平板状の底面部と、底面部の出力側部分から第2方向側に向かって立ち上がるとともに出力側軸受を保持する軸受保持部と、底面部の反出力側部分から第2方向側に向かって立ち上がるとともにステータが固定される固定部とを備え、底面部の厚さ方向は、第1方向と一致しており、可動体は、送りねじ軸の軸方向において軸受保持部と固定部との間に配置され、位置検知機構は、底面部の第3方向側の面である底面の出力側部分に取り付けられ、出力側において可動体の位置を検知する。
【0014】
本発明において、たとえば、基板は、基板の厚さ方向と第1方向とが一致するように配置されるとともに、底面部の第3方向側に固定され、基板には、検知器本体の端子ピンが挿通される端子用貫通穴と、端子ピンの先端部が半田付けされる半田ランドとが形成され、端子ピンは、第3方向側から端子用貫通穴に挿通され、半田ランドは、端子用貫通穴の縁に形成されるとともに、基板の第2方向側の面に形成され、底面部の、半田ランドの第2方向側の部分には、第1方向で底面部を貫通する底面部貫通穴が形成されている。
【0015】
この場合には、底面部に基板が固定された状態でも、底面部貫通穴を利用して、底面部の第2方向側から、検知器本体の端子ピンと基板の半田ランドとの半田付け作業を行うことが可能になる。また、この場合には、基板の第2方向側の面が底面部の底面に接触していても、検知器本体の端子ピンと基板の半田ランドとの半田付け部と底面部との干渉を防止することが可能になる。
【0016】
本発明において、たとえば、可動体は、位置検知機構に検知される被検知部を備え、被検知部は、第3方向側に向かって突出し、被検知部の第3方向端は、底面部の底面よりも第3方向側に配置され、送りねじ軸の軸方向と第1方向とに直交する方向を第4方向とすると、底面部には、送りねじ軸の軸方向に可動体が移動するときに被検知部の一部が通過する通過溝と、通過溝から第4方向の一方側に伸びる直線溝とが形成されている。
【0017】
この場合には、直線駆動装置の組立時に、第3方向端が底面部の底面よりも第3方向側に配置される被検知部の一部を、直線溝を利用して通過溝に配置することが可能になる。したがって、直線駆動装置の組立時に、被検知部を通過溝に向かって第3方向側に移動させることで被検知部の一部を通過溝に配置することができなくても、被検知部の一部を通過溝に配置することが可能になる。
【0018】
本発明において、たとえば、可動体は、送りねじ軸を回動の中心とする可動体の回動を防止するための回動防止突起を備え、回動防止突起は、底面部の第2方向側に配置されるとともに、第4方向において通過溝の両側のそれぞれに配置され、第4方向の一方側に配置される回動防止突起は、可動体の可動範囲の全域において、直線溝に嵌らずに底面部の第2方向側の面に接触可能となっている。この場合には、可動体が回動防止突起を備え、かつ、底面部に直線溝が形成されていても、回動防止突起が直線溝に嵌ることはないため、回動防止突起および直線溝が可動体の動作の支障になることはない。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明では、送りねじ軸の軸方向における可動体の位置を検知するための位置検知機構を備える直線駆動装置において、直線駆動装置が搭載される上位装置に固定されるモータのフレームに対する位置検知機構の検知器本体の取付位置のばらつきを抑制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施の形態にかかる直線駆動装置の側面図である。
図2図1のE-E断面の構成を説明するための断面図である。
図3図1に示す直線駆動装置の底面図である。
図4図1に示す直線駆動装置の一部の平面図である。
図5図1に示す位置検知機構の平面図である。
図6】本発明の他の実施の形態にかかるフレームの構成を説明するための平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0022】
(直線駆動装置の全体構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる直線駆動装置1の側面図である。図2は、図1のE-E断面の構成を説明するための断面図である。図3は、図1に示す直線駆動装置1の底面図である。図4は、図1に示す直線駆動装置1の一部の平面図である。
【0023】
本形態の直線駆動装置1は、モータ2と、モータ2の動力で直線的に移動する可動体3とを備えている。直線駆動装置1は、所定の上位装置(図示省略)に搭載されて使用される。可動体3が移動すると、上位装置は所定の動作を行う。モータ2は、ステッピングモータである。モータ2は、回転軸4および駆動用磁石5を有するロータ6と、駆動用コイル7を有するとともに駆動用磁石5の外周側に配置されるステータ8とを備えている。回転軸4の出力側部分は、ステータ8よりも出力側へ突出している。回転軸4の、ステータ8よりも突出している部分は、外周面に送りねじが形成された送りねじ軸(リードスクリュー)4aとなっている。
【0024】
可動体3は、送りねじ軸4aに係合するとともに送りねじ軸4aが回転すると送りねじ軸4aの軸方向に直線的に移動する。すなわち、直線駆動装置1は、送りねじ軸4aを回転させて可動体3を直線的に移動させる。直線駆動装置1は、送りねじ軸4aの軸方向における可動体3の位置を検知するための位置検知機構9と、位置検知機構9から引き出される2本のリード線10と、2本のリード線10の引き回し位置を規定するためのホルダ11とを備えている。なお、図1では、リード線10の図示を省略している。
【0025】
以下の説明では、回転軸4の軸方向(すなわち、送りねじ軸4aの軸方向)である図1等のX方向を前後方向とし、前後方向の一方側である図1等のX1方向側を「前」側とし、前後方向の他方側である図1等のX2方向側を「後ろ」側とする。また、以下では、説明の便宜上、前後方向に直交する図1等のY方向を左右方向とし、前後方向と左右方向とに直交する図1等のZ方向を上下方向とする。また、左右方向の一方側である図2等のY1方向側を「右」側とし、左右方向の他方側である図2等のY2方向側を「左」側とし、上下方向の一方側である図1等のZ1方向側を「上」側とし、上下方向の他方側である図1等のZ2方向側を「下」側とする。
【0026】
本形態の前側(X1方向側)は、送りねじ軸4aの軸方向の一方側である出力側となっており、後ろ側(X2方向側)は、送りねじ軸4aの軸方向の他方側である反出力側となっている。また、本形態の上下方向(Z方向)は、送りねじ軸4aの軸方向に直交する所定の方向である第1方向となっており、左右方向(Y方向)は、送りねじ軸4aの軸方向と第1方向とに直交する方向である第4方向となっている。また、上側(Z1方向側)は、第1方向の一方側である第2方向側となっており、下側(Z2方向側)は、第1方向の他方側である第3方向側となっている。
【0027】
モータ2は、ロータ6およびステータ8に加えて、ステータ8が固定されるフレーム14と、回転軸4の前側部分(すなわち、送りねじ軸4aの出力側部分)を支持する出力側軸受16と、回転軸4の後ろ側部分を支持する反出力側軸受17と、回転軸4の後端に接触して回転軸4を前側に付勢する板バネ18とを備えている。また、モータ2は、図3に示すように、駆動用コイル7の端部が電気的に接続される端子ピン19と、端子ピン19が固定される基板20と、基板20を保持する基板ホルダ21と、基板20から引き出されるリード線22とを備えている。なお、図2では、板バネ18、基板20、基板ホルダ21およびリード線22の図示を省略している。
【0028】
図2に示すように、ロータ6は、回転軸4の後端側部分に固定されるボス24を備えている。ボス24は、たとえば、肉厚の円筒状に形成されており、回転軸4の外周面に固定されている。駆動用磁石5は、円筒状に形成されている。駆動用磁石5は、ボス24の外周面に固定されている。駆動用磁石5は、送りねじ軸4aよりも後ろ側に配置されている。駆動用磁石5は、送りねじ軸4aと一緒に回転する。
【0029】
ステータ8は、全体として略円筒状に形成されている。ステータ8の前端面および後端面は、前後方向に直交する環状の平面となっている。ステータ8は、駆動用コイル7に加えて、駆動用磁石5の外周面に対向配置される複数の極歯が形成されるステータコア25と、ステータコア25と駆動用コイル7との間に配置されるボビン26とを備えている。駆動用コイル7は、ボビン26に巻回されている。駆動用コイル7は、ボビン26を介して、複数の極歯の外周側に配置されている。また、ステータ8は、ステータコア25の前面に固定される平板状の端板29と、ステータコア25の後面に固定される平板状の端板30とを備えている。
【0030】
端子ピン19の一端部は、ボビン26に形成される端子保持部に固定されている。端子ピン19は、左側に突出している。基板ホルダ21は、ステータコア25の左端部に固定されている。基板20は、ガラスエポキシ基板等の平板状のリジッド基板である。基板ホルダ21に保持される基板20は、基板20の厚さ方向と左右方向とが一致するように配置されている。基板20には、端子ピン19の他端部が半田付けされて固定されている。リード線22の一端部は、基板20に半田付けされて固定されている。リード線22は、基板20から後ろ側に向かって引き回されている。
【0031】
フレーム14は、直線駆動装置1が搭載される上位装置に固定される。フレーム14は、フレーム14の下側部分を構成する平板状の底面部14aを備えている。底面部14aは、底面部14aの厚さ方向と上下方向とが一致するように配置されている。すなわち、底面部14aの厚さ方向は、上下方向と一致している。また、フレーム14は、底面部14aの前側部分から上側に向かって立ち上がる平板状の側面部14bと、底面部14aの後ろ側部分から上側に向かって立ち上がる平板状の側面部14cとを備えている。側面部14bは、底面部14aの前端から直角に立ち上がり、側面部14cは、底面部14aの後端から直角に立ち上がっている。
【0032】
フレーム14は、底面部14aと2個の側面部14b、14cとから構成されており、角溝状に形成されている。側面部14bは、出力側軸受16を保持している。ステータ8は、側面部14cに固定されている。側面部14cには、ステータ8の前端面(具体的には、端板29の前面)が固定されている。側面部14cには、回転軸4が挿通される貫通穴が形成されている。本形態の側面部14bは、出力側軸受16を保持する軸受保持部となっている。また、側面部14cは、ステータ8が固定される固定部となっている。
【0033】
フレーム14には、可動体3を前後方向に案内するガイド軸27が固定されている。ガイド軸27の前端部は、側面部14bに固定され、ガイド軸27の後端部は、側面部14cに固定されている。上述のように、フレーム14は、直線駆動装置1が搭載される上位装置に固定される。具体的には、底面部14aが上位装置に固定される。底面部14aには、フレーム14を上位装置に固定するための固定穴(図示省略)が形成されている。この固定穴は、上下方向で底面部14aを貫通している。フレーム14は、たとえば、この固定穴に挿通されるねじによって上位装置に固定される。
【0034】
底面部14aには、可動体3が前後方向に移動するときに可動体3の一部を構成する後述の被検知部28bの一部が通過する通過溝14dと、直線駆動装置1の組立時に使用される直線溝14eとが形成されている。通過溝14dおよび直線溝14eは、上下方向で底面部14aを貫通している。通過溝14dは、前後方向に細長い長方形状に形成されている。通過溝14dは、左右方向における底面部14aの中心位置に形成されている。直線溝14eは、左右方向に細長い長方形状に形成されている。直線溝14eの一端は、通過溝14dに繋がっており、直線溝14eは、通過溝14dから左右方向の一方側に伸びている。具体的には、直線溝14eは、通過溝14dから右側に伸びている。直線溝14eは、前後方向における底面部14aの中心位置よりも後ろ側に形成されている。
【0035】
なお、本形態では、後述の被検知部28bが通過溝14dの後端面に接触すると、可動体3の後ろ方向への移動が規制される。すなわち、本形態では、被検知部28bが通過溝14dの後端面に接触している状態が、可動体3の可動範囲(前後方向の可動範囲)における後端まで可動体3が移動した状態となっている。
【0036】
図4に示すように、底面部14aの前側部分には、位置検知機構9を構成する後述の基板34にリード線10を半田付けして固定する際等に使用される作業用の貫通穴14fと、位置検知機構9を位置決めするための貫通穴14g、14hとが形成されている。また、底面部14aの前側部分には、後述の基板34を底面部14aに固定するための2個のねじ穴14pが形成されている。底面部14aの後ろ側部分には、ホルダ11を固定するための貫通穴14iと、ホルダ11を位置決めするための貫通穴14j、14kが形成されている。貫通穴14f~14kおよびねじ穴14pは、上下方向で底面部14aを貫通している。
【0037】
貫通穴14fは、底面部14aの前端部に形成されている。貫通穴14fは、左右方向に細長い長方形状に形成されている。貫通穴14g、14hは、貫通穴14fの後ろ側に形成されている。貫通穴14gは、丸穴である。貫通穴14hは、左右方向を長手方向とする長穴である。貫通穴14gと貫通穴14hとは、前後方向において同じ位置に形成されている。また、貫通穴14gと貫通穴14hとは、左右方向で隣り合うように配置されている。2個のねじ穴14pは、貫通穴14g、14hよりも後ろ側に形成されている。2個のねじ穴14pは、前後方向において同じ位置に形成されている。また、2個のねじ穴14pは、貫通穴14g、14hよりも左右方向の外側に配置されている。また、2個のねじ穴14pは、通過溝14dよりも前側に配置されている。
【0038】
貫通穴14i~14kは、底面部14aの後端部に形成されている。貫通穴14iは、前後方向を長辺方向とする長方形状に形成されている。貫通穴14iは、底面部14aの左右方向の両端部の2箇所に形成されている。貫通穴14jは、丸穴である。貫通穴14kは、左右方向を長手方向とする長穴である。貫通穴14gと貫通穴14hとは、前後方向において同じ位置に形成されている。また、貫通穴14gと貫通穴14hとは、左右方向に間隔をあけた状態で配置されている。貫通穴14g、14hは、左右方向において2個の貫通穴14iの間に配置されている。貫通穴14i~14kは、通過溝14dよりも後ろ側に配置されている。
【0039】
上述のように、出力側軸受16は、側面部14bに保持されている。出力側軸受16は、回転軸4の前端部(すなわち、送りねじ軸4aの前端部)を支持している。また、出力側軸受16は、回転軸4の軸方向(前後方向)および回転軸4の径方向で回転軸4を支持している。反出力側軸受17は、端板30に保持されている。反出力側軸受17は、回転軸4の後端部を支持している。また、反出力側軸受17は、回転軸4の径方向で回転軸4を支持している。板バネ18は、端板30の後面に固定されている。
【0040】
可動体3は、前後方向において側面部14bと側面部14cとの間に配置されている。可動体3は、送りねじ軸4aに係合するねじ穴が形成されるナット部材(図示省略)と、ナット部材と一緒に前後方向に直線的に移動するスライダ28とを備えている。スライダ28には、ガイド軸27が挿通されるガイド穴(図示省略)と、ナット部材が配置されるナット配置凹部(図示省略)とが形成されている。スライダ28は、送りねじ軸4aを回動の中心とするスライダ28の回動を防止するための回動防止突起28aを備えている(図1図4参照)。すなわち、可動体3は、送りねじ軸4aを回動の中心とする可動体3の回動を防止するための回動防止突起28aを備えている。
【0041】
回動防止突起28aは、スライダ28の前端部において下側に向かって突出している。回動防止突起28aは、底面部14aの上側に配置されている。また、回動防止突起28aは、左右方向におけるスライダ28の両端部に形成されており、左右方向において通過溝14dの両側のそれぞれに配置されている(図4参照)。2個の回動防止突起28aのうちの、右側に配置される回動防止突起28a(すなわち、2個の回動防止突起28aのうちの、直線溝14eが形成されている側に配置される回動防止突起28a(左右方向の一方側に配置される回動防止突起28a))は、直線溝14eの右端よりも左側に配置されている。
【0042】
この回動防止突起28aは、可動体3の可動範囲の全域において、直線溝14eに嵌らずに底面部14aの上面に接触可能となっている。すなわち、直線溝14eは、可動体3の可動範囲の全域において、この回動防止突起28aが直線溝14eに嵌らない位置に形成されている。本形態では、可動体3の可動範囲(前後方向の可動範囲)における後端まで可動体3が移動したときに、この回動防止突起28aの後端部は直線溝14eの上側に到達するが(図4の二点鎖線参照)、可動体3の可動範囲における後端まで可動体3が移動しても、この回動防止突起28aは、直線溝14eに嵌らない。また、2個の回動防止突起28aのうちの、左側に配置される回動防止突起28は、可動体3の可動範囲の全域において、底面部14aの上面に接触可能となっている。
【0043】
また、スライダ28は、位置検知機構9に検知される被検知部28bを備えている。すなわち、可動体3は、位置検知機構9に検知される被検知部28bを備えている。被検知部28bは、スライダ28の後端部において下側に向かって突出している。被検知部28bの下端は、底面部14aの下側の面である底面14rよりも下側に配置されている。被検知部28bの一部は、通過溝14dの中に配置されている。被検知部28bは、上下方向に細長い略長方形の平板状に形成されている。被検知部28bは、被検知部28bの厚さ方向と前後方向とが一致するように配置されている。
【0044】
直線駆動装置1を組み立てる際には、ロータ6およびステータ8を組み立てて、ステータ8の内周側に駆動用磁石5を配置するとともに、可動体3のナット部材を送りねじ軸4aに取り付けた状態で、ステータ8をフレーム14に固定して、回転軸4の両端を出力側軸受16および反出力側軸受17で支持させる。その後、フレーム14の右側からスライダ28を左側に移動させて、スライダ28のナット配置凹部にナット部材を配置することで、ナット部材にスライダ28を組み込む。
【0045】
フレーム14の右側からスライダ28を左側に移動させるときには、被検知部28bの一部は、直線溝14eの中に配置される。すなわち、フレーム14の右側からスライダ28を左側に移動させるときには、直線溝14eを利用して、被検知部28bを左側に移動させて、被検知部28bの一部を通過溝14dに配置する。その後、スライダ28のガイド穴にガイド軸27を挿通して、ガイド軸27をフレーム14に固定する。
【0046】
(位置検知機構の構成およびリード線の引き回し)
図5は、図1に示す位置検知機構9の平面図である。
【0047】
位置検知機構9は、底面部14aの底面14rの前側部分に取り付けられている。位置検知機構9は、被検知部28bよりも前側に配置されており、前側において可動体3の位置を検知する。具体的には、位置検知機構9は、前側において可動体3の前後方向の原点位置を検知する。位置検知機構9は、接触式スイッチである。位置検知機構9は、検知器本体32と、検知器本体32が電気的に接続される基板34とを備えている。基板34には、検知器本体32の端子ピン33が接続されている。検知器本体32は、2本の端子ピン33を備えている。検知器本体32および基板34は、底面部14aの底面14rよりも下側に配置されている。
【0048】
検知器本体32は、前後方向に移動可能な接点部35を備えている。接点部35は、後ろ側に向かって突出しており、後ろ側に向かって付勢されている。可動体3の被検知部28bが接点部35に接触して接点部35が所定の位置まで前側に移動すると、可動体3が原点位置にあることが検知される。端子ピン33は、検知器本体32の前側に配置されている。端子ピン33は、検知器本体32から前側に向かって伸びた後、上側に向かって伸びるL形状に形成されている。2本の端子ピン33は、左右方向で隣り合うように配置されている。
【0049】
検知器本体32には、フレーム14に対して検知器本体32を位置決めするための位置決め用突起32a、32bが形成されている。具体的には、検知器本体32には、上下方向に直交する方向においてフレーム14に対して検知器本体32を位置決めするための位置決め用突起32a、32bが形成されている。位置決め用突起32a、32bは、上側に向かって突出している。位置決め用突起32aと位置決め用突起32bとは、左右方向で隣り合うように配置されている。位置決め用突起32aは、断面形状が円形状となる円柱状に形成されている。位置決め用突起32bは、断面形状が長円形状となる長円柱状に形成されている。
【0050】
基板34は、ガラスエポキシ基板等の平板状のリジッド基板である。基板34は、基板34の厚さ方向と上下方向とが一致するように配置されている。基板34は、底面部14aの下側に固定されている。基板34の上面は、底面部14aの底面14rに接触している。基板34は、2本の固定ねじ36によって底面部14aの前側部分に固定されている。検知器本体32は、基板34に固定されている。検知器本体32の上面は、基板34の下面に接触している。
【0051】
図5に示すように、基板34には、上下方向で基板34を貫通する貫通穴34e、34fが形成されている。また、基板34には、上下方向で基板34を貫通する2個の貫通穴34gが形成されている。貫通穴34eは、丸穴である。貫通穴34fは、左右方向を長手方向とする長穴である。貫通穴34e、34fは、前後方向における基板34の中心部に形成されている。貫通穴34eと貫通穴34fとは、前後方向において同じ位置に形成されている。また、貫通穴34eと貫通穴34fとは、左右方向に間隔をあけた状態で配置されている。貫通穴34gは、丸穴である。2個の貫通穴34gは、前後方向において同じ位置に形成されている。また、2個の貫通穴34gは、貫通穴34e、34fより後ろ側に配置されるとともに、貫通穴34e、34fよりも左右方向の外側に配置されている。
【0052】
貫通穴34eには、位置決め用突起32aが圧入されている。貫通穴34fには、位置決め用突起32bが圧入されている。検知器本体32は、貫通穴34e、34fに位置決め用突起32a、32bが圧入されることで基板34に固定されている。すなわち、検知器本体32は、基板34に圧入固定されている。位置決め用突起32a、32bの先端部は、基板34から突出している。具体的には、位置決め用突起32a、32bの先端部は、基板34の上面から上側に突出している。本形態の貫通穴34e、34fは、位置決め用突起32a、32bが圧入される圧入穴となっている。
【0053】
基板34の上面から突出する位置決め用突起32aの先端部は、貫通穴14gに挿入され、基板34の上面から突出する位置決め用突起32bの先端部は、貫通穴14hに挿入されている。すなわち、位置決め用突起32aは、貫通穴14gに挿入され、位置決め用突起32bは、貫通穴14hに挿入されている。具体的には、基板34の上面から突出する位置決め用突起32aの先端部は、貫通穴14gに圧入され、基板34の上面から突出する位置決め用突起32bの先端部は、貫通穴14hに圧入されている。
【0054】
本形態では、位置決め用突起32a、32bと、位置決め用突起32a、32bが圧入される貫通穴14g、14hとによって、検知器本体32がフレーム14に対して位置決めされている。また、本形態では、位置決め用突起32bと貫通穴14hとによって、位置決め用突起32aを回転の中心とする検知器本体32の回転方向において検知器本体32が位置決めされている。本形態の位置決め用突起32aは、第1位置決め用突起となっており、位置決め用突起32bは、第2位置決め用突起となっている。また、本形態の貫通穴14g、14hは、位置決め用突起32a、32bが挿入される位置決め用穴となっている。また、貫通穴14gは、第1位置決め用穴となっており、貫通穴14hは、第2位置決め用穴となっている。
【0055】
固定ねじ36の軸部は、下側から貫通穴34gに挿通されるとともに、ねじ穴14pに係合している。固定ねじ36の頭部は、基板34の下側に配置されている。2本の固定ねじ36は、検知器本体32を左右方向で挟むように配置されており、1本の固定ねじ36は、検知器本体32の右側に配置され、もう1本の固定ねじ36は、検知器本体32の左側に配置されている。本形態の貫通穴34gは、ねじ用貫通穴となっている。
【0056】
また、基板34には、端子ピン33が挿通される2個の貫通穴34aと、リード線10の一端部の芯線が挿通される2個の貫通穴34bと、端子ピン33の先端部が半田付けされる2個の半田ランド34cと、リード線10の芯線が半田付けされる2個の半田ランド34dとが形成されている。本形態の貫通穴34aは、端子用貫通穴である。なお、図4では、端子ピン33およびリード線10の芯線の図示を省略している。また、図5では、端子ピン33の図示を省略している。
【0057】
貫通穴34a、34bおよび半田ランド34c、34dは、基板34の前端部に形成されている。貫通穴34a、34bおよび半田ランド34c、34dは、検知器本体32よりも前側に配置されている。貫通穴34a、34bは、上下方向で基板34を貫通する丸穴である。貫通穴34aには、下側から端子ピン33が挿通され、貫通穴34bには、下側からリード線10の芯線が挿通されている。
【0058】
貫通穴34a、34bは、前後方向において同じ位置に形成されている。2個の貫通穴34aは、左右方向において間隔をあけた状態で配置され、2個の貫通穴34bは、左右方向において間隔をあけた状態で配置されている。また、2個の貫通穴34aは、2個の貫通穴34bの左右方向の内側に配置されている。半田ランド34c、34dは、基板34の上面に形成されている。半田ランド34cは、貫通穴34aの縁に形成され、半田ランド34dは、貫通穴34bの縁に形成されている。
【0059】
底面部14aの上側から見たときに、基板34の前端部は、底面部14aの貫通穴14fの中に配置されており、貫通穴34a、34bおよび半田ランド34c、34dは、貫通穴14fの中に配置されている。すなわち、底面部14aの、貫通穴34a、34bおよび半田ランド34c、34dの上側の部分に貫通穴14fが形成されている。本形態では、貫通穴14fを利用して、底面部14aの上側から端子ピン33を半田ランド34cに半田付けする。また、貫通穴14fを利用して、底面部14aの上側からリード線10の芯線を半田ランド34dに半田付けする。本形態の貫通穴14fは、底面部貫通穴となっている。
【0060】
基板34から引き出されるリード線10は、底面部14aの底面14rに沿って後ろ側に引き回されている(図3参照)。2本のリード線10のうちの一方のリード線10は、通過溝14dの右側で引き回され、他方のリード線10は、通過溝14dの左側で引き回されている。リード線10は、基板20から引き出されるリード線22と一緒にステータ8の後ろ側でコネクタ37に接続されている。
【0061】
(ホルダの構成)
ホルダ11は、底面部14aの底面14rに沿って後ろ側に引き回される2本のリード線10の引き回し位置を規定するために設けられている。ホルダ11は、樹脂で形成されている。ホルダ11は、底面部14aの後端部に固定されている。ホルダ11は、可動体3の可動範囲(前後方向の可動範囲)における後端まで可動体3が移動したときの可動体3よりも後ろ側に配置されている。ホルダ11は、左右方向に細長い直方体状に形成される本体部11aと、上下方向に直交する方向おいて底面部14aに対してホルダ11を位置決めするための2本の位置決め用突起11b(図4参照)と、底面部14aに係合する2本の係合突起11cとから構成されている。
【0062】
本体部11aは、底面部14aの下側に配置されている。本体部11aの左右方向の両端部には、リード線規制部11dが形成されており(図3参照)、リード線10の一部は、上下方向において底面部14aとリード線規制部11dとの間に配置されている。リード線規制部11dには、リード線10の一部が配置される凹部が形成されている。位置決め用突起11bは、本体部11aから上側に向かって立ち上がる円柱状に形成されている。2本の位置決め用突起11bは、前後方向において同じ位置に配置されるとともに左右方向において間隔をあけた状態で配置されている。位置決め用突起11bは、貫通穴14j、14kに下側から挿入されている。
【0063】
係合突起11cは、本体部11aの左右方向の両端のそれぞれから上側に向かって立ち上がっている。係合突起11cは、全体として左右方向を厚さ方向とする平板状に形成されており、左右方向に弾性変形可能となっている。係合突起11cは、貫通穴14iの中に配置されている。係合突起11cの上端部は、貫通穴14iの左右方向の内側において底面部14aの上面に接触する接触面が形成される爪部となっている。本形態では、係合突起11cの弾性を利用したスナップフィットによってホルダ11が底面部14aに固定されている。ホルダ11を底面部14aに固定するときには、係合突起11cの爪部が貫通穴14iを下側から上側に向かって通過する。
【0064】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の直線駆動装置1では、直線駆動装置1が搭載される上位装置に固定されるフレーム14に対して検知器本体32を位置決めするための位置決め用突起32a、32bが検知器本体32に形成され、位置決め用突起32a、32bが挿入される貫通穴14g、14hがフレーム14に形成されている。すなわち、本形態では、フレーム14に対して直接、検知器本体32が位置決めされている。そのため、本形態では、上位装置に固定されるフレーム14に対する検知器本体32の取付位置のばらつきを抑制することが可能になる。また、本形態では、フレーム14を上位装置に固定するための固定穴が形成される底面部14aに貫通穴14g、14hが形成されているため、上位装置に対する検知器本体32の取付位置のばらつきを効果的に抑制することが可能になる。
【0065】
本形態では、検知器本体32は、基板34の貫通穴34e、34fに位置決め用突起32a、32bが圧入されることで基板34に固定されている。すなわち、本形態では、フレーム14に対して検知器本体32を位置決めするための位置決め用突起32a、32bを用いて、検知器本体32が基板34に固定されている。そのため、本形態では、検知器本体32を基板34に固定するための構成が別途設けられている場合と比較して、位置検知機構9の構成を簡素化することが可能になる。また、本形態では、基板34に圧入固定されている検知器本体32が基板34と一緒に固定ねじ36によってフレーム14に固定されているため、比較的簡易な構成で、位置検知機構9をフレーム14に取り付けることが可能になる。
【0066】
本形態では、底面部14aの上側から見たときに、半田ランド34c、34dは、貫通穴14fの中に配置されている。また、本形態では、貫通穴14fを利用して、底面部14aの上側から端子ピン33が半田ランド34cに半田付けされるとともに、底面部14aの上側からリード線10の芯線が半田ランド34dに半田付けされている。そのため、本形態では、底面部14aに基板34が固定された状態でも、貫通穴14fを利用して、底面部14aの上側から端子ピン33およびリード線10の芯線の半田付け作業を容易に行うことが可能になる。
【0067】
また、本形態では、底面部14aの上側から見たときに、半田ランド34c、34dが貫通穴14fの中に配置されているため、基板34の上面が底面部14aの底面14rに接触していても、端子ピン33と半田ランド34cとの半田付け部と底面部14aとの干渉を防止することが可能になるとともに、リード線10の芯線と半田ランド34dとの半田付け部と底面部14aとの干渉を防止することが可能になる。
【0068】
本形態では、底面部14aに、通過溝14dから右側に伸びる直線溝14eが形成されており、直線駆動装置1の組立時には、直線溝14eを利用して、被検知部28bを左側に移動させて被検知部28bの一部を通過溝14dに配置している。そのため、本形態では、直線駆動装置1の組立時に、下端が底面部14aの底面14rよりも下側に配置される被検知部28bを通過溝14dに向かって下側に移動させることで被検知部28bの一部を通過溝14dに配置することができなくても、被検知部28bの一部を通過溝14dに配置することが可能になる。
【0069】
本形態では、スライダ28の回動防止突起28aは、可動体3の可動範囲の全域において、直線溝14eに嵌らずに底面部14aの上面に接触可能となっている。すなわち、本形態では、スライダ28が回動防止突起28aを備えるとともに、底面部14aに直線溝14eが形成されていても、回動防止突起28aが直線溝14eに嵌ることはない。そのため、本形態では、回動防止突起28aおよび直線溝14eが可動体3の動作の支障になることはない。
【0070】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0071】
上述した形態において、図6に示すように、前後方向で同じ位置に配置される一対の貫通穴14g、14hが前後方向において間隔をあけた状態で2箇所に形成されるとともに、前後方向で同じ位置に配置される一対のねじ穴14pが前後方向において間隔をあけた状態で2箇所に形成されていても良い。また、前後方向で同じ位置に配置される一対の貫通穴14g、14hが前後方向において間隔をあけた状態で3箇所以上に形成されるとともに、前後方向で同じ位置に配置される一対のねじ穴14pが前後方向において間隔をあけた状態で3箇所以上に形成されていても良い。
【0072】
この場合の貫通穴14fの前後方向の幅は、上述した形態における貫通穴14fの前後方向の幅よりも広くなっている。この場合には、フレーム14に対する位置検知機構9の前後方向の取付位置を容易に変更することが可能になる。すなわち、この場合には、可動体3の原点位置を容易に変更することが可能になる。
【0073】
上述した形態において、位置検知機構9が可動体3よりも後ろ側に配置されていて、後ろ側において可動体3の前後方向の原点位置を検知しても良い。この場合には、たとえば、位置検知機構9は、底面部14aの底面14rの後ろ側部分に取り付けられている。また、この場合には、位置検知機構9は、たとえば、上述の特許文献1に記載された直線駆動装置のように、側面部14cの上端側に配置されていても良い。位置検知機構9が側面部14cの上端側に配置されている場合には、たとえば、位置検知機構9が取り付けられる取付部が側面部14cの上端部に繋がるように形成されており、この取付部には、位置決め用突起32a、32bが挿入される位置決め用穴が形成されている。
【0074】
上述した形態において、位置決め用突起32a、32bが挿入される位置決め用穴は、底面部14aを貫通していなくても良い。また、上述した形態において、検知器本体32は、ねじ等の固定手段によって基板34に固定されていても良い。この場合には、貫通穴34e、34fに挿通される位置決め用突起32a、32bと貫通穴34e、34fとの間に隙間が形成されている。さらに、上述した形態において、直線駆動装置1の組立時に、被検知部28bを通過溝14dに向かって下側に移動させることで被検知部28bの一部を通過溝14dに配置することができるのであれば、底面部14aに直線溝14eが形成されていなくても良い。
【0075】
上述した形態において、位置決め用突起32bは、円柱状に形成されていても良いし、楕円柱状に形成されていても良いし、三角柱状または四角柱状等の多角柱状に形成されていても良い。また、上述した形態では、回転軸4の一部が送りねじ軸4aとなっているが、回転軸4と別体で形成された送りねじ軸4aが回転軸4に固定されていても良い。さらに、上述した形態において、モータ2は、ステッピングモータ以外のモータであっても良い。
【符号の説明】
【0076】
1 直線駆動装置
2 モータ
3 可動体
4a 送りねじ軸
6 ロータ
8 ステータ
9 位置検知機構
14 フレーム
14a 底面部
14b 側面部(軸受保持部)
14c 側面部(固定部)
14d 通過溝
14e 直線溝
14f 貫通穴(底面部貫通穴)
14g 貫通穴(位置決め用穴、第1位置決め用穴)
14h 貫通穴(位置決め用穴、第2位置決め用穴)
14p ねじ穴
14r 底面
16 出力側軸受
28a 回動防止突起
28b 被検知部
32 検知器本体
32a 位置決め用突起(第1位置決め用突起)
32b 位置決め用突起(第2位置決め用突起)
33 端子ピン
34 基板
34a 貫通穴(端子用貫通穴)
34c 半田ランド
34e、34f 貫通穴(圧入穴)
34g 貫通穴(ねじ用貫通穴)
36 固定ねじ
X 送りねじ軸の軸方向
X1 出力側
X2 反出力側
Y 第4方向
Z 第1方向
Z1 第2方向側
Z2 第3方向側
図1
図2
図3
図4
図5
図6