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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022126974
(43)【公開日】2022-08-31
(54)【発明の名称】蓄電パック
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6563 20140101AFI20220824BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20220824BHJP
   H01M 10/651 20140101ALI20220824BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20220824BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20220824BHJP
   H01M 10/6557 20140101ALI20220824BHJP
   H01M 50/20 20210101ALI20220824BHJP
   H01M 10/6566 20140101ALI20220824BHJP
   B60K 11/06 20060101ALI20220824BHJP
   B60K 1/04 20190101ALI20220824BHJP
【FI】
H01M10/6563
H01M10/613
H01M10/651
H01M10/625
H01M10/647
H01M10/6557
H01M2/10 S
H01M10/6566
B60K11/06
B60K1/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021024861
(22)【出願日】2021-02-19
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(72)【発明者】
【氏名】松久 朋弘
【テーマコード(参考)】
3D038
3D235
5H031
5H040
【Fターム(参考)】
3D038AA09
3D038AB10
3D038AC11
3D038AC12
3D038AC22
3D235AA18
3D235BB18
3D235BB36
3D235CC15
3D235DD16
3D235DD21
3D235EE63
5H031AA09
5H031HH08
5H031KK08
5H040AA28
5H040AS07
5H040AT06
5H040CC05
5H040CC34
(57)【要約】
【課題】蓄電モジュールその他の冷却対象物に対する冷却効率を十分に確保できると共に、装置全体をコンパクトに構成できる蓄電パックを提供する。
【解決手段】蓄電パック1は、蓄電セル3,3間において第1の方向に設けられた第1の流路K1と、第1の流路K1の下流側に接続された第2の流路K2とを備えている。第2の流路K2は、第1の流路K1に連続して冷却用気体Gを第1の方向に進行させる第1の部分31と、冷却用気体Gの進行方向を90°以上屈折させて第2の方向とする屈折部32とを有している。屈折部32において、第1の部分31を進行する冷却用気体Gが衝突する壁部35の外面35a側に、蓄電セル3とは別の冷却対象物Pが固定されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の蓄電セルの配列体を含んで構成された蓄電モジュールをケース内に収容してなる蓄電パックであって、
前記ケース内には、冷却用気体を流通させる流路が設けられており、
前記流路は、前記蓄電セル間において第1の方向に設けられた第1の流路と、前記第1の流路の下流側に接続された第2の流路と、を備え、
前記第2の流路は、前記第1の流路に連続して前記冷却用気体を前記第1の方向に進行させる第1の部分と、前記冷却用気体の進行方向を屈折させて第2の方向とする屈折部と、前記屈折部を経た前記冷却用気体を前記第2の方向に進行させる第2の部分と、を有し、
前記屈折部において、前記第1の部分を進行する前記冷却用気体が衝突する壁部の外面側に、前記蓄電セルとは別の冷却対象物が固定されている蓄電パック。
【請求項2】
前記屈折部は、前記冷却用気体の進行方向を90°以上屈折させる請求項1記載の蓄電パック。
【請求項3】
前記冷却用気体を前記流路に流通させるファンを備え、
前記ファンは、前記第2の流路における前記第1の部分に配置されている請求項1又は2記載の蓄電パック。
【請求項4】
前記冷却対象物は、前記ファンの軸線上に配置されている請求項3記載の蓄電パック。
【請求項5】
前記ケースには、開閉自在のカバーが設けられており、
前記冷却対象物は、前記カバーを開けたときに露出する位置に配置されている請求項1~4のいずれか一項記載の蓄電パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蓄電パックに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境対応の促進といった観点から、リチウムイオン二次電池等の蓄電パックを搭載した自動車や産業車両の開発が進められている。例えばリチウムイオン二次電池では、従来の鉛蓄電池と比べて急速充電が可能である点が大きな利点となっている。一方、電池の充電には、発熱を伴うことが一般的であり、充電時の発熱量は、充電電流の二乗で増加する。電池の温度上昇は、電池の寿命を低下させる要因となり得るため、蓄電パックにおける冷却構造の検討が重要となっている。
【0003】
蓄電パックの冷却構造に関する技術としては、例えば特許文献1に記載の電池パックが挙げられる。この従来の電池パックでは、吸気口及び排気口を有するケース内に電池セルを集合した複数の電池モジュールが収容されている。ケース内には、電池モジュールに供給される電流を制御する制御機器が電池モジュールと共に収容されている。これらの制御機器は、電池モジュールに対して冷却風の流れの下流側に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-151722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したような蓄電パックでは、蓄電モジュールの冷却効率を十分に確保することが重要であると共に、蓄電モジュールに関連する制御機器といった他の冷却対象物に対する冷却効率の十分な確保が必要となっている。また、蓄電パックに冷却構造を適用するに際しては、自動車や産業車両への搭載時のレイアウトの制限を回避する観点から、蓄電パックのコンパクト化も要求されている。
【0006】
本開示は、上記課題の解決のためになされたものであり、蓄電モジュールその他の冷却対象物に対する冷却効率を十分に確保できると共に、装置全体をコンパクトに構成できる蓄電パックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一側面に係る蓄電パックは、複数の蓄電セルの配列体を含んで構成された蓄電モジュールをケース内に収容してなる蓄電パックであって、ケース内には、冷却用気体を流通させる流路が設けられており、流路は、蓄電セル間において第1の方向に設けられた第1の流路と、第1の流路の下流側に接続された第2の流路と、を備え、第2の流路は、第1の流路に連続して冷却用気体を第1の方向に進行させる第1の部分と、冷却用気体の進行方向を屈折させて第2の方向とする屈折部と、屈折部を経た冷却用気体を第2の方向に進行させる第2の部分と、を有し、屈折部において、第1の部分を進行する冷却用気体が衝突する壁部の外面側に、蓄電セルとは別の冷却対象物が固定されている。
【0008】
この蓄電パックでは、蓄電セル間に設けられた第1の流路に冷却用気体を流通させることで蓄電セルを優先して冷却でき、第1の流路の下流側に接続された第2の流路に対して冷却対象物が固定されることで、当該冷却対象物の冷却を同時に実現できる。冷却対象物は、冷却用気体の進行方向が屈折する屈折部において、第1の部分を進行する冷却用気体が衝突する壁部の外面側に固定されている。当該壁部は、冷却用気体の衝突により、他の部分に比べて効率的に冷却される。このため、当該壁部を介して冷却対象物に対する冷却効率を十分に確保できる。また、第2の流路において冷却用気体を方向転換させることで、流路が一つの方向に長く延びることを抑制でき、装置全体をコンパクトに構成できる。
【0009】
屈折部は、冷却用気体の進行方向を90°以上屈折させてもよい。この場合、冷却対象物が固定された壁部に冷却用気体を強く衝突させることが可能となり、冷却対象物の冷却効率を一層十分に確保できる。
【0010】
蓄電パックは、冷却用気体を流路に流通させるファンを備え、ファンは、第2の流路における第1の部分に配置されていてもよい。この場合、冷却対象物が固定された壁部をファンに近接して配置することが可能となる。また、ファンから壁部までの第2の流路が正圧となる。これにより、冷却対象物が固定された壁部に冷却用気体をより強く衝突させることができ、冷却対象物に対する冷却効率を一層十分に確保できる。
【0011】
冷却対象物は、ファンの軸線上に配置されていてもよい。これにより、冷却対象物が固定された壁部に冷却用気体をより強く衝突させることができ、冷却対象物に対する冷却効率を一層十分に確保できる。
【0012】
ケースには、開閉自在のカバーが設けられており、冷却対象物は、カバーを開けたときに露出する位置に配置されていてもよい。この場合、蓄電パックをコンパクトに構成した状態で、更に、ケース外からの冷却対象物へのアクセスを容易とすることができる。このことは、蓄電パックのメンテナンス性の向上に資する。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、蓄電モジュールその他の冷却対象物に対する冷却効率を十分に確保できると共に、装置全体をコンパクトに構成できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本開示の一実施形態に係る蓄電パックを適用した車両の一例を示す斜視図である。
図2図1に示した蓄電パックを構成する蓄電モジュールの全体構成を示す分解斜視図である。
図3図1に示した蓄電パックにおけるケース内の冷却用気体の流路を模式的に示す図であり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
図4図3の要部を模式的に示す図である。
図5】変形例に係る蓄電パックにおけるケース内の冷却用気体の流路を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本開示の一側面に係る蓄電パックの好適な実施形態について詳細に説明する。
【0016】
図1は、本開示の一実施形態に係る蓄電パックを適用した車両の一例を示す斜視図である。蓄電パック1は、例えば電気自動車やハイブリッド車などの車両や電動式の産業車両に電力源として搭載される装置である。図1では、蓄電パック1を適用した車両として、作業者が立った状態で操縦することが可能なリーチフォークリフト101を例示している。
【0017】
蓄電パック1は、リーチフォークリフト101における機台102の下部に設けられた略直方体形状の収容空間内に配置されている。収容空間は、機台102のカバーパネル103によって画成されている。カバーパネル103の一方の側面103aには、蓄電パック1の充電口を露出させる開口部104が設けられている。カバーパネル103の正面103bの上部には、蓄電パック1におけるケースHのカバー36(後述する)を露出させる開口部105が設けられている。カバーパネル103の正面103bの下部には、蓄電パック1を冷却するための冷却用気体Gを排気する排気口106が設けられている。ここでは、冷却用気体Gは、空気(外気)である。
【0018】
蓄電パック1は、図2に示す蓄電モジュールMをケースH内に収容することによって構成されている。本実施形態では、ケースH内に上下2段に蓄電モジュールMが配置されている。ケースHは、例えば金属によって形成され、リーチフォークリフト101の収容空間の大きさに応じた直方体形状をなしている。ケースHは、冷却用気体Gを外部から取り込む吸気口21と、冷却用気体Gを外部に排出する排気口22とを有している(図3参照)。吸気口21は、例えばカバーパネル103の一方の側面103a側を向くように配置され、排気口22は、カバーパネル103の排気口106と対面するように配置されている。
【0019】
図2は、図1に示した蓄電パックを構成する蓄電モジュールの全体構成を示す分解斜視図である。蓄電モジュールMは、図2に示すように、複数の蓄電セルを含んで構成された配列体2と、配列体2を蓄電セル3の配列方向に挟む一対のエンドプレート4,4と、配列体2を配列方向に拘束する第1のバンド5A及び第2のバンド5Bと、配列体2における蓄電セル3,5間等に配置された複数のセパレータ6とを含んで構成されている。図1では、説明の便宜上、配列体2における蓄電セル3の配列方向をx方向、蓄電セル3の幅方向をy方向、蓄電セル3の高さ方向をz方向として示している。
【0020】
蓄電セル3は、例えばリチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池である。蓄電セル3は、非水系の電解液が注入されたケース11内に電極組立体を収容して構成されている。ここでは、ケース11は、配列方向について扁平な直方体形状をなしている。電極組立体は、正極、負極、及びセパレータを所定の順序で積層したものである。本実施形態では、例えば袋状のセパレータ内にシート状の正極が収容されており、この正極が収容された状態の袋状のセパレータとシート状の負極とが交互に積層されることで、電極組立体が構成されている。
【0021】
蓄電セル3の高さ方向の一面側には、一対の電極端子12,12が設けられている。一方の電極端子12は、正極端子であり、他方の電極端子12は、負極端子である。配列体2においては、各蓄電セル3は、一対の電極端子12,12の向きを揃えた状態で配列されている。また、配列方向に隣り合う蓄電セル3,3では、電極端子12,12の正負が反転した状態となっている。配列体2では、一の蓄電セル3の正極端子をバスバー13によって隣り合う一方の蓄電セル3の負極端子に接続すると共に、一の蓄電セル3の負極端子をバスバー13によって隣り合う他方の蓄電セル3の正極端子に接続することにより、各蓄電セル3が電気的に直列に接続されている。
【0022】
一対のエンドプレート4,4は、配列体2における配列方向の両端部に配置されている。エンドプレート4は、例えば金属によって形成されている。エンドプレート4は、例えば蓄電セル3のケース11と比べて配列方向についてやや扁平な直方体形状をなしている。また、第1のバンド5A及び第2のバンド5Bは、いずれも金属によって板状に形成されている。本実施形態では、第1のバンド5Aは、蓄電セル3の高さ方向の他面側において配列方向に延在しており、第2のバンド5Bは、蓄電セル3の高さ方向の一面側において配列方向に延在している。
【0023】
第1のバンド5Aは、蓄電セル3のケース11の幅と同程度の幅で蓄電セル3の高さ方向の他面側に配置されている。第2のバンド5Bは、蓄電セル3の電極端子12,12間の間隔よりも小さい幅で蓄電セル3の高さ方向の他面側に配置されている。第1のバンド5A及び第2のバンド5Bの配列方向の両端部は、ボルト(不図示)などを用いて一対のエンドプレート4,4にそれぞれ固定されている。第1のバンド5A及び第2のバンド5Bが一対のエンドプレート4,4同士を締結することにより、配列体2には、配列方向に拘束荷重が付加されている。
【0024】
セパレータ6は、配列体2において、蓄電セル3,3間及び蓄電セル3とエンドプレート4との間に配置されている。セパレータ6は、例えば絶縁性を有する樹脂によって板状に形成されている。セパレータ6の主面6aを配列方向から見た場合の形状は、蓄電セル3のケース11を配列方向から見た場合の形状と対応している。これにより、蓄電セル3,3同士、及び蓄電セル3とエンドプレート4との間が電気的に絶縁されている。
【0025】
セパレータ6は、配列方向に張り出す脚部6bを有している。蓄電セル3,3間に配置されたセパレータ6では、セパレータ6の主面6aにおける第1のバンド5A側の縁部から配列体2における配列方向の両側に脚部6bがそれぞれ張り出している。蓄電セル3とエンドプレート4との間に配置されたセパレータ6では、セパレータ6の主面6aにおける第1のバンド5A側の縁部から配列体2における配列方向の内側に脚部6bが張り出している。脚部6bが蓄電セル3と第1のバンド5Aとの間に位置することにより、蓄電セル3と第1のバンド5Aとの間が電気的に絶縁されている。
【0026】
セパレータ6は、冷却用気体の第1の流路K1を形成するためのリブ6cを有している。本実施形態では、リブ6cは、主面6aの両面においてセパレータ6の高さ方向に配列されている。各リブ6cは、例えば断面矩形状をなし、セパレータ6の幅方向に延在している。蓄電セル3,3間に配置されたセパレータ6では、リブ6cの先端がセパレータ6と隣り合う蓄電セル3,3に当接することにより、蓄電セル3,3間に冷却用気体の第1の流路K1が形成されている。蓄電セル3とエンドプレート4との間に配置されたセパレータ6においても主面6aにリブ6cを設け、蓄電セル3とエンドプレート4との間に冷却用気体の第1の流路K1を形成してもよい。
【0027】
図3は、図1に示した蓄電パックにおけるケース内の冷却用気体の流路を模式的に示す図である。図3(a)は、平面図(xy面図)であり、図3(b)は、正面図(xz面図)である。図3(c)は、側面図(yz面図)である。これらの図に示すように、蓄電パック1のケースHは、x方向の一対の側面Ha,Hbと、y方向の一対の側面Hc,Hdと、z方向の一対の側面He,Hfとを有している。ケースH内には、上述したように、上下2段に蓄電モジュールMが配列されている。
【0028】
側面Haは、リーチフォークリフト101におけるカバーパネル103の一方の側面103a側を向く面である。側面Haにおける側面Hd側の縁部には、上述した吸気口21が設けられている。側面Hcは、リーチフォークリフト101におけるカバーパネル103の正面103b側を向く面であり、側面Hdは、リーチフォークリフト101の背面側を向く面である。側面Hcの下部には、上述した排気口22が設けられている。
【0029】
側面Haの吸気口21からケースHの内部に取り込まれた冷却用気体Gは、ケースH内をx方向に進行し、蓄電セル3,3間の第1の流路K1のそれぞれをy方向(第1の方向)に進行する。第1の流路Kを通った冷却用気体Gは、側面Hc側において排気口22に向かって-z方向に進行し、側面Hcの下部の排気口22からケースHの外部に排出される。
【0030】
ケースH内には、図4に示すように、第1の流路K1の下流側に接続された第2の流路K2が設けられている。図4では、ケースHの上段側に配置された蓄電モジュールMの第1の流路K1のそれぞれに接続された第2の流路K2を図示している。ケースHの下段側に配置された蓄電モジュールMについては、例えば第2の流路K2と同様の構成の流路が形成されていてもよく、当該蓄電モジュールMとケースHの排気口22とを直線的に接続する流路が形成されていてもよい。
【0031】
図4に示すように、第2の流路K2は、例えば断面矩形のダクトDによって形成されている。第2の流路K2は、第1の部分31と、屈折部32と、第2の部分33とを有している。第1の部分31は、第1の流路K1に連続して冷却用気体Gをy方向(第1の方向)に進行させる部分である。第1の部分31は、y方向に延在している。第1の部分31には、冷却用気体Gを吸気口21から排気口22までの流路に流通させるファン34が配置されている。
【0032】
屈折部32は、第1の部分31の下流側に位置している。図4の例では、屈折部32は、冷却用気体Gの進行方向をy方向から-z方向に90°屈折させる。第2の部分33は、屈折部32を経た冷却用気体Gを-z方向(第2の方向)に進行させる部分である。第2の部分33は、屈折部32の下流側に位置し、排気口22の高さまで-z方向に延在した後、y方向に屈折して排気口22に接続されている。
【0033】
上述した屈折部32においては、y方向に進行する冷却用気体Gが衝突する壁部35の外面35a側に、蓄電セル3とは別の冷却対象物Pが固定されている。冷却対象物Pとしては、例えば蓄電セル3への電流供給を制御する制御装置、或いは蓄電セル3の状態監視を行う監視装置などが挙げられる。冷却対象物Pは、スイッチ系統の基板などであってもよい。
【0034】
図4の例では、冷却対象物Pは、ファン34の軸線L上に配置されている。ここでは、y方向に進行する冷却用気体Gが衝突する壁部35は、ダクトDを構成する壁部のうち、ケースHの側面Hc側で当該側面Hcと平行する壁部である。冷却対象物Pは、壁部35においてファン34と正対する部分に位置することで、ファン34の軸線L上に配置されている。冷却対象物Pと壁部35の外面35aとの間には、熱伝導性の良好なグリスなどが介在していてもよい。
【0035】
また、壁部35への冷却対象物Pの固定にあたって、ケースHの側面Hcの上部には、リーチフォークリフト101におけるカバーパネル103の開口部105の位置に対応して、開閉自在のカバー36が設けられている。冷却対象物Pは、カバー36を開けたときに露出する位置に配置されており、カバー36を開けることでカバーパネル103の開口部105を通して外部からアクセス可能となっている。カバー36を開けた際、冷却対象物Pの全体が露出してもよく、開口部105を通して外部からアクセス可能な範囲で冷却対象物Pの一部が露出してもよい。
【0036】
以上説明したように、蓄電パック1では、蓄電セル3,3間に設けられた第1の流路K1に冷却用気体Gを流通させることで蓄電セル3を優先して冷却でき、第1の流路K1の下流側に接続された第2の流路K2に対して冷却対象物Pが固定されることで、当該冷却対象物Pの冷却を同時に実現できる。冷却対象物Pは、冷却用気体Gの進行方向が屈折する屈折部32において、第1の部分31を進行する冷却用気体Gが衝突する壁部35の外面35a側に固定されている。当該壁部35は、冷却用気体Gの衝突により、他の部分に比べて効率的に冷却される。このため、当該壁部35を介して冷却対象物Pに対する冷却効率を十分に確保できる。また、第2の流路K2において冷却用気体Gを方向転換させることで、流路が一つの方向に長く延びることを抑制でき、装置全体をコンパクトに構成できる。
【0037】
蓄電パック1では、屈折部32によって冷却用気体Gの進行方向が90°屈折している。これにより、冷却対象物Pが固定された壁部35に冷却用気体Gを強く衝突させることが可能となり、冷却対象物Pの冷却効率を一層十分に確保できる。
【0038】
蓄電パック1では、冷却用気体Gを流路に流通させるファン34が第2の流路K2における第1の部分31に配置されている。この場合、冷却対象物Pが固定される壁部35をファン34に近接して配置することが可能となる。また、ファン34から壁部35までの第2の流路K2が正圧となる。したがって、冷却用気体Gを壁部35により強く衝突させることができ、冷却対象物Pに対する冷却効率を一層十分に確保できる。また、蓄電パック1では、冷却対象物Pがファン34の軸線L上に配置されている。これにより、冷却対象物Pが固定された壁部35に冷却用気体Gをより強く衝突させることができ、冷却対象物Pに対する冷却効率を一層十分に確保できる。
【0039】
蓄電パック1では、開閉自在のカバー36がケースHに設けられており、冷却対象物Pは、カバー36を開けたときに露出する位置に配置されている。これにより、蓄電パック1をコンパクトに構成した状態で、更に、ケースH外からの冷却対象物Pへのアクセスを容易とすることができる。このことは、蓄電パック1のメンテナンス性の向上に資する。
【0040】
本開示は、上記実施形態に限られるものではない。例えば上記実施形態では、ケースH内に上下二段に蓄電モジュールMが配列された構成を図示したが、蓄電モジュールMの配列構成はこれに限られるものではない。第2の流路K2は、複数の蓄電モジュールMに対してそれぞれ形成されていてもよい。複数の第2の流路K2を設ける場合、一部の第2の流路K2に対して冷却対象物Pが固定されていてもよく、全ての第2の流路K2に対して冷却対象物Pが固定されていてもよい。
【0041】
上記実施形態では、第2の流路K2の第1の部分31にファン34が配置されているが、ファン34の位置はこれに限られない。例えば第2の流路K2の第2の部分33にファン34が配置されていてもよく、第1の流路K1の上流側にファン34が配置されていてもよい。上記実施形態では、屈折部32による冷却用気体Gの屈曲角度が90°となっているが、屈曲角度は90°以上であってもよい。
【0042】
また、上記実施形態では、外気吸入型の冷却方式の蓄電パック1を例示したが、例えば図5に示すような循環型の冷却方式の蓄電パック41を採用することもできる。図5では、蓄電パック41の内部をxy断面図で模式的に示している。図5の例では、ケースHの内部をx方向に仕切る仕切壁42A,42Bが設けられており、仕切壁42A,42B間に冷却用気体Gの全体の流路が形成されている。蓄電モジュールMは、仕切壁42A,42B間に配置されている。一方の仕切壁42AとケースHの側面Haとの間には、熱交換器43が配置されている。
【0043】
熱交換器43の位置を冷却用気体Gの循環の起点とすると、冷却用気体Gは、熱交換器43からx方向に進行し、蓄電セル3,3間の第1の流路K1(図2参照)のそれぞれをy方向(第1の方向)に進行する。第2の流路K2は、ケースHの側面Hc及び仕切壁42A,42Bによって第1の流路K1の下流側に設けられている。第2の流路K2のうち、側面Hcで画成される部分が第1の部分31であり、側面Hcと仕切壁42Aとが交わる角部で画成される部分が屈折部32であり、仕切壁42Aで画成される部分が第2の部分33である。
【0044】
第1の流路K1を通った冷却用気体Gは、第1の部分31を-x方向に進行し、屈折部32によって-y方向に屈曲する。屈折部32を経た冷却用気体Gは、第2の部分33を-y方向に進行し、熱交換器43の位置で仕切壁42Aを介して熱交換器43と熱交換する。ファン34は、第1の部分31に配置されている。冷却対象物Pは、屈折部32において、第1の部分31に進行する冷却用気体Gが衝突する壁部(ここでは、仕切壁42A)の外面42a側に、熱交換器43と離間した状態で固定されている。
【0045】
このような態様においても、上記実施形態と同様、蓄電モジュールMその他の冷却対象物Pに対する冷却効率を十分に確保できると共に、装置全体をコンパクトに構成できる。また、この態様では、ケースHの側面Haに開閉自在のカバー36を設け、当該カバー36を開けたときに露出する位置に冷却対象物Pが配置されている。これにより、ケースH外からの冷却対象物Pへのアクセスを容易とすることができる。
【符号の説明】
【0046】
1,41…蓄電パック、2…配列体、3…蓄電セル、31…第1の部分、32…屈折部、33…第2の部分、34…ファン、35…壁部、35a…外面、36…カバー、42A…仕切壁(壁部)、42a…外面、H…ケース、M…蓄電モジュール、G…冷却用気体、K1…第1の流路、K2…第2の流路、L…軸線、P…冷却対象物。
図1
図2
図3
図4
図5