(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022126975
(43)【公開日】2022-08-31
(54)【発明の名称】送電板部材、および通信板部材
(51)【国際特許分類】
G09F 13/18 20060101AFI20220824BHJP
A47B 13/08 20060101ALI20220824BHJP
A47B 96/18 20060101ALI20220824BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20220824BHJP
H02J 50/60 20160101ALI20220824BHJP
【FI】
G09F13/18 Z
A47B13/08 A
A47B96/18 E
H02J50/10
H02J50/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021024863
(22)【出願日】2021-02-19
(71)【出願人】
【識別番号】592193683
【氏名又は名称】株式会社ダイカン
(74)【代理人】
【識別番号】100135781
【弁理士】
【氏名又は名称】西原 広徳
(74)【代理人】
【識別番号】100217227
【弁理士】
【氏名又は名称】野呂 亮仁
(72)【発明者】
【氏名】仁義 健
【テーマコード(参考)】
3B053
5C096
【Fターム(参考)】
3B053PA03
3B053PB01
3B053PB03
3B053PB05
3B053PB07
3B053PC02
3B053PC07
5C096AA24
5C096AA27
5C096BA02
5C096BB25
5C096BC16
5C096CA04
5C096CA13
5C096CA22
5C096CB01
5C096CC06
5C096CD02
5C096CD23
5C096FA01
5C096FA12
5C096FA17
(57)【要約】
【課題】簡単な構成とするとともに、携帯端末の置き場所を容易に認識可能とし、利用者の利便性を向上させることができる、送電機能付き板部材を提供する。
【解決手段】テーブル1は天板2を有する。天板2は、天板表面の一部を構成する送電通過部40と、送電通過部40の裏面に取り付けられ、送電通過部40を通過して天板2の表面側へ非接触で送電する送電ユニット5と、送電通過部40と送電ユニット5との間に設けられ、光源11aからの光を受けて発光する導光板10を備え、送電通過部40は、導光板10の光を天板2の表面側に透過させて発光する光表示部6と、導光板10の光を天板2の表面側に透過させない遮蔽部41とを有し、光表示部6の少なくとも一部は、送電ユニット5からの送電が通過する送電可能範囲に配置されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
家具用または什器用の板部材と、
前記板部材の少なくとも一部の裏面に取り付けられ、前記板部材を通過して前記板部材の表面側へ非接触で電力または電気信号を送信する送信ユニットと、
前記板部材の前記一部と前記送信ユニットとの間に設けられる発光部を備え、
前記板部材の前記一部は、前記発光部の光を当該板部材の表面側に透過させて発光する光表示部と、前記発光部の光を当該板部材の表面側に透過させない遮蔽部とを有し、
前記光表示部の少なくとも一部は、前記送信ユニットからの電力または電気信号が通過する送信可能範囲に配置されている
送電板部材。
【請求項2】
前記光表示部は、電力または電気信号の送信が可能であることを示す文字または図形を表す1以上の送信可能意匠を有し、前記送信可能範囲に配置される送信位置表示部を有する
請求項1記載の送電板部材。
【請求項3】
前記光表示部は、前記板部材の前記一部に形成される貫通孔と、前記貫通孔に嵌め込まれる透明または半透明の光透過部材を有する
請求項1または2記載の送電板部材。
【請求項4】
前記貫通孔は、前記板部材の表面側より裏面側の方が幅広となるように貫通孔側面が斜面に形成され、
前記光透過部材は、前記板部材の表面側より裏面側の方が幅広となるように側面が前記貫通孔と同じ斜面に形成されている
請求項3記載の送電板部材。
【請求項5】
前記発光部は、発光素子と、前記発光素子の光を受けて発光する導光板とを有し、
前記導光板は、前記光表示部の裏面側を覆うように設けられ、
前記発光素子は、前記導光板の側辺に対向して設けられている
請求項1から4までのいずれか1つに記載の送電板部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、家具または什器に使用される板部材であって、携帯端末に非接触で送電する機能または無線通信する機能を有する、送電板部材、および通信板部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯端末等の電子機器を非接触で充電する機能を有する非接触型の充電器がある。また、非接触で充電する技術を応用して、天板のほぼ全面に非接触型充電用の充電パッドが埋め込まれていることによって、天板のどこに携帯情報端末器を置いても充電することができる折り畳み式テーブルが提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、特許文献1の折り畳み式テーブルでは、天板のほぼ全面に充電パッドを設けるため、冗長な構成となってしまい、テーブルの構造の複雑化およびテーブルの大型化等を招くという問題がある。一方、簡単な構成とするために充電パッドを設ける場所を限定して簡単な構成とすることも考えられるが、特許文献1のテーブルにおいて単に充電パッドを設ける場所を限定すると、携帯端末をどこに置いてよいかわからず、不便であるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、上述の問題に鑑みて、簡単な構成とするとともに、携帯端末の置き場所を容易に認識可能とし、利用者の利便性を向上させることができる、送電板部材、および通信板部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、家具用または什器用の板部材と、前記板部材の少なくとも一部の裏面に取り付けられ、前記板部材を通過して前記板部材の表面側へ非接触で電力または電気信号を送信する送信ユニットと、前記板部材の前記一部と前記送信ユニットとの間に設けられる発光部を備え、前記板部材の前記一部は、前記発光部の光を当該板部材の表面側に透過させて発光する光表示部と、前記発光部の光を当該筐体の表面側に透過させない遮蔽部とを有し、前記光表示部の少なくとも一部は、前記送信ユニットからの送電が通過する送電可能範囲に配置されている送電板部材、および通信板部材であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明により、簡単な構成とするとともに、携帯端末の置き場所を容易に認識可能とし、利用者の利便性を向上させることができる、送電板部材、および通信板部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】この発明のテーブルの構成の一例を示す説明図。
【
図5】発光ユニットの構成の一例を示す部分拡大図。
【
図7】変形例における送電部の右側面から見た場合の断面図。
【
図8】変形例における送電部の後面から見た場合の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明の一実施形態を図面と共に説明する。
【0010】
本発明は、家具または什器に用いられる板部材に関するものである。たとえば、家具は、テーブル、椅子(ソファ、チェア、ベンチ等を含む)、および収納家具(テレビ台、キャビネット、本棚、チェスト、シェルフ、リビングボード、ドレッサー、食器棚等を含む)等である。什器は、陳列棚、靴箱およびロッカー等である。板部材は、上記のような家具または什器のうち、物品を載置することができる一部分、たとえば天板(最上部の板)、棚板(中間の板)または地板(最下部の板)として用いられる。以下、本発明の板部材の一例として、テーブル用の天板を例に挙げて実施形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態であるテーブル1の正面図である。
図1に示すように、テーブル1は、板状の天板2と天板2を支える脚部3を有する。テーブル1は、事務用、勉強用の机(テーブル)、飲食店における飲食用のテーブル、ソファや椅子の横に置くサイドテーブル、またはスツールとして用いることができる。また、テーブル1は、公共空間に設置され、不特定多数の者が利用することができ、さらに、複数の利用者が同時に使用することもできる。
【0011】
天板2および脚部3のそれぞれの素材は、木材、石材、ガラス、樹脂、金属(または中空金属)等から自由に選択することができる。また、天板2の表面には、木目調塗装または大理石調塗装が施されていてもよい。なお、本実施形態のテーブル1には、小物等を収納するための引き出しが設けられていないが、引き出しが設けられていてもよい。
【0012】
天板2の厚みは、天板2の素材の強度(剛性)に応じて適宜設定される。たとえば、天板2の厚みは、2mm以上とすることもでき、3mm以上とすることもでき、5mm以上とすることもできる。また、天板2の厚みは、50mm以下とすることもでき、30mm以下とすることもでき、20mm以下とすることもできる。ただし、天板2の厚みは、送信ユニットの一形態である送電ユニット5の送電可能距離(送信可能距離)よりも薄くなるように設定される。
【0013】
天板2の表面の一部には、携帯端末に非接触(無線)で送電(給電)する機能を有する送電部4が設けられる。なお、送電部4は、複数設けられていてもよい。たとえば、テーブル1に対して複数の座席が設定されている場合には、送電部4は、座席毎に設けられる。送電部4は、送電側と受電側との間で発生する誘導磁束を利用して電力を送電する電磁誘導方式、送電側と受電側の共振器を磁界共鳴させて、電力を伝送する磁界共鳴方式、送電側と受電側にそれぞれ電極を対面させてキャパシタを形成し高い周波数で電気を流すことで相手側電極に電気が流れる現象(高調波電流)で伝送する電界結合方式、あるいは送電側で電流を電磁波に変換し受電側でアンテナから電磁波を受信して整流回路で直流電流に変換することによって電磁界を利用して電力を送電する電波受信方式等、適宜の方式で送電する構成とすることができる。この送電部4は、天板2の厚みを超えて送電できるものであることが好ましい。
【0014】
携帯端末は、たとえば、タブレットPC、スマートフォン、フィーチャーフォン、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラおよび携帯型ゲーム機等の可搬型のコンピュータであり、電池または送電部4から送電される電力を受電することができる電子機器であれば、その種類は問わない。携帯端末は、送電部4から送電される電力を蓄電した電池から送電される電力によって動作したり、送電部4から送電される電力によって動作したりする。
【0015】
携帯端末は、送電部4から送電される電力を受電するための受電アンテナ、受電アンテナで受電した電力を整合・整流平滑等する各種回路、各種回路から供給された電力を電池に供給し充電したり、携帯端末全体に供給したりする電源制御部(充電制御部)等を有する。すなわち、携帯端末は、送電部4から供給される電力を受けて非接触充電をすることができる。
【0016】
図2は送電部4の構成の一例を示す下面図である。
図3は、送電部4の右側面から見た場合の断面図である。
図4は、送電部4の後面から見た場合の断面図である。
図5は、発光ユニット7の構成の一例を示す部分拡大図である。
図6は、送電部4の外観構成の一例を示す説明図である。
【0017】
図2~
図4に示すように、送電部4は、天板2の一部を構成する送電通過部40、送電ユニット5、光表示部6、発光ユニット7、送電ユニット固定部材8、発光ユニット固定部材9および光透過部材12を有する。
【0018】
送電通過部40は、天板表面(天板上面)の一部を構成し、木材、石材、ガラスおよび樹脂等の非金属材料で構成されている。たとえば、送電通過部40は、天板2の一部により構成されており、天板2の裏面側が削られて一定の厚さで周囲の天板2よりも薄く形成されている。すなわち、送電通過部40の厚みは、送電通過部40以外の部分の天板2の厚みよりも薄くなっている。送電通過部40の厚みは、2mm以上とすることもでき、3mm以上とすることもでき、5mm以上とすることもできる。また、送電通過部40の厚みは、20mm以下とすることもでき、15mm以下とすることもでき、10mm以下とすることもできる。これにより、送電した電力が、天板2の表面に載置された携帯端末に届きやすくなり、送電および給電の精度および充電効率が上昇する。
【0019】
送電通過部40の裏面には、送電通過部40の周縁から下方に延びる壁部42が設けられており、この壁部42に囲まれる領域に送電部4の各要素が配置されている。なお、壁部42は、送電通過部40とは別の部材で構成されてもよいし、送電通過部40の一部として構成されてもよい。
【0020】
なお、送電通過部40は、天板2に嵌め込まれる構成であってもよい。この場合、送電通過部40以外の部分の天板2の表面(上面)と、送電通過部40の表面(上面)とが同一平面(面一)になるように配置されている。また、送電通過部40の表面には、天板2の表面と同様に、木目調塗装または大理石調塗装が施されていてもよい。
【0021】
送電ユニット5は、矩形箱型のユニットであって、上述したような方式で携帯端末に非接触で電力を送電(送信)する(供給する)。すなわち、送電ユニット5は、天板2または送電通過部40の表面側へ非接触で送電する。ただし、送電ユニット5は、送電通過部40の裏面に設けられており、外側(天板2または送電通過部40の表面側)からは見えないようになっている。
【0022】
たとえば、送電ユニット5は、Qi規格またはPMA規格に基づき無線電力伝送を行うものであって、携帯端末に電力を供給するための送電アンテナ、物体検出センサ、異物検出センサおよび送電ユニット5の動作を制御する制御部等を有する。
【0023】
送電アンテナは、天板2の表面側または送電通過部40の表面側に非接触で電力を送電するためのアンテナである。送電アンテナ(送電アンテナが設けられている部分の送電ユニット5の表面)からまたは送電アンテナの中心から送電可能な距離(送電可能距離)は、送電ユニット5の仕様に応じて適宜設定される。送電可能距離は、12mm以上とすることもできるし、15mm以上とすることもできるし、20以上とすることもできる。また、送電可能距離は、100mm以下とすることもできるし、60mm以下とすることもできるし、50mm以下とすることもできるし、32mm以下とすることもできる。そして、送電通過部40の表面における送電ユニット5(送電アンテナ)からの送電が通過する範囲、つまり、天板2の厚み方向から見て、送電通過部40の表面のうち、送電アンテナの送電可能距離で規定される空間領域に含まれる範囲が、送電可能範囲52となる。
【0024】
物体検出センサは、送電可能範囲52に物体が存在するかどうかを検出するためのセンサである。異物検出センサは、金属等の、送電の妨げになるもの(異物)が送電可能範囲52に存在するかどうかを検出するためのセンサである。
【0025】
送電ユニット5は、送電可能範囲52に物体が存在し、かつ、送電可能範囲52に異物が存在しない場合、送電アンテナを介して送電を行う。このとき、携帯端末の受電アンテナが送電可能範囲52に位置する場合には、携帯端末は送電ユニット5からの送電を受けて電池に充電(非接触充電)したり、各部を動作したりすることができる。なお、送電ユニット5は、送電可能範囲52に物体が存在しないか、送電可能範囲52に物体が存在したとしても送電可能範囲52に異物が存在する場合には、送電を行わない。
【0026】
なお、送電ユニット5には、動作確認用のランプまたは表示部(ディスプレイ)が設けられていてもよい。動作確認用のランプまたは表示部は、送電ユニット5の側面または下面(上面以外の面)に設けられる。
【0027】
送電ユニット5は、送電ユニット固定部材8に取り付けられており、送電ユニット固定部材8は、送電通過部40の裏面に取り付けられる。すなわち、発光ユニット7は、送電ユニット固定部材8を介して送電通過部40に取り付けられる。
【0028】
ただし、送電ユニット固定部材8は、発光ユニット固定部材9よりも裏面側に設けられており、送電ユニット5の下面を支持する。したがって、送電ユニット5は、送電ユニット固定部材8と送電ユニット固定部材8の間に配置される。
【0029】
また、送電ユニット固定部材8の中央部には、開口端81が形成されており、この開口端によって、貫通孔80が形成される。この貫通孔80によって、送電ユニット5の稼働時の熱が放熱される。また、送電ユニット5に動作確認または状態確認用のランプ等が設けられている場合には、ランプ等に対応する位置に(ランプ等が視認できるように)、確認用の貫通孔が送電ユニット固定部材8に設けられていてもよい。
【0030】
さらに、送電部4には、送電ユニット5および光源ユニット11(光源11a)に商用電源または電池等の電源からの電力を供給するための導線13が設けられている。導線13は、少なくとも送電可能範囲52の外側に配される。本実施形態では、導線13は、光表示部6(送電位置表示部6aおよび載置位置表示部6b)が設けられる範囲の外側、および送電ユニット固定部材8の貫通孔90の外側に配される。
【0031】
発光ユニット7は、天板2(送電通過部40)と送電ユニット5との間に設けられ、発光する発光部として機能する。本実施例では、発光ユニット7は、樹脂等の非金属材料で構成される透明または半透明の板状(シート状)の導光板(導光パネル)10と、導光板10の側辺(側縁)に設置される線状の光源ユニット11を有する。なお、導光板に代えて、発光ユニット7が、有機ELシートで構成されてもよいし、天板2(送電通過部40)の裏面に向かって光を直接的または間接的に照射する光源を配置した構成でもよい。
【0032】
図3および
図5に示すように、光源ユニット11は、光源(発光素子)11aを含んでいる。光源11aはたとえばLEDであり、導光板10の幅(側辺)全体にわたって複数が一直線に並んで設けられている。光源11aは、線光源であってもよいし、複数の点光源であってもよい。また、本実施形態の光源11aは、自動または手動で、色温度を複数段階に変化(調整)させたり、色相(色合)を変化させたりすることができる。光源11aは、天板2と平行に配置された導光板10の一端辺から導光板10内へ向かって天板2の平面方向と平行な方向へ光を照射する。この光源ユニット11は、天板2の厚み方向に見て送電可能範囲52の外側で、かつ、導光板10の一側辺に光の照射面を対向させて配置されている。
【0033】
図2~
図4に戻って、導光板10は、少なくとも光表示部6(送電位置表示部6aおよび載置位置表示部6b)の下側を覆う大きさおよび位置に設けられ、上下方向において送電通過部40と送電ユニット5の間に配置される。すなわち、導光板10は、天板2の表面側から見た場合に(平面視において)、送電位置表示部6aおよび載置位置表示部6bに重なるように設けられる。
【0034】
また、導光板10は、光源11aからの光を受けて発光する。具体的には、導光板10は、複数の光源11aが出射した光線を平面光に変換し、全体が均一に発光する。すなわち、発光ユニット7では、平面視において、送電位置表示部6aおよび載置位置表示部6bに重なる範囲が発光する。
【0035】
発光ユニット7は、発光ユニット固定部材9に取り付けられており、発光ユニット固定部材9は、送電通過部40の裏面に取り付けられる。すなわち、発光ユニット7は、発光ユニット固定部材9を介して送電通過部40に取り付けられる。発光ユニット固定部材9は、平坦板状の部材であり、発光ユニット7の下面を支持する。
【0036】
また、送電通過部40の裏面には、発光ユニット7の輪郭(外形形状)よりも大きく、発光ユニット7の厚みと同じかそれ以上の深さを有する窪み(凹部)が形成されており、発光ユニット7は、送電通過部40の裏面の凹部に入り込むように設置される。
【0037】
さらに、送電通過部40の凹部と、発光ユニット7との間に弾性部材14が設けられており、発光ユニット7は、弾性部材14に押し当てられるように取り付けられる。ただし、弾性部材14は、少なくとも送電位置表示部6aおよび載置位置表示部6bが設けられる範囲の外側、または天板2の厚み方向に見て送電可能範囲52の外側に配置される。
【0038】
また、発光ユニット固定部材9の中央部には、開口端91が形成されており、この開口端によって、貫通孔90が形成される。貫通孔90は、少なくとも天板2の厚み方向に見て送電可能範囲52の一部を含む大きさおよび位置に設けられる。また、貫通孔90は、天板2の厚み方向に見て送電可能範囲52の全部を含む大きさおよび位置に設けられることが好ましい。
【0039】
さらに、送電通過部40には、光表示部6に対応する貫通孔が形成されている。具体的には、送電通過部40には、送電位置表示部6aに対応する(送電位置表示部6aを形成するための)貫通孔40aと、載置位置表示部6bに対応する(載置位置表示部6bを形成するための)貫通孔40bとが形成されている。
【0040】
貫通孔40aおよび貫通孔40bのそれぞれには、樹脂等の非金属材料で構成される透明または半透明の光透過部材12が嵌め込まれている(嵌合されている)。なお、本実施形態では、1つの光透過部材12に貫通孔40aおよび貫通孔40bのそれぞれに嵌合する嵌合凸部が形成された1つの光透過部材12が設けられているが、光透過部材12は、貫通孔40aおよび貫通孔40bのそれぞれに個別に設けられていてもよい。
【0041】
貫通孔40aおよび貫通孔40bのそれぞれの内周面と、光透過部材12の嵌合凸部の側周面(軸方向の側面)とは、同じ傾斜角度であり、貫通孔40aおよび貫通孔40bのそれぞれと嵌合凸部とが嵌合したときに一致するように形成される。すなわち、貫通孔40aおよび貫通孔40bのそれぞれと嵌合凸部とが隙間なく嵌合するように形成されている。詳述すると、貫通孔40aおよび貫通孔40bのそれぞれの内周面は、天板2の表面側より裏面側の方が幅広となるように貫通孔側面が斜面に形成され、前記光透過部材は、前記天板の表面側より裏面側の方が幅広となるように側面が前記貫通孔と同じ斜面に形成されている。この構成により、貫通孔40aおよび貫通孔40bのそれぞれと嵌合凸部とが隙間なく嵌合し、かつ、天板2の表面で液体をこぼしても貫通孔40aおよび貫通孔40bの裏側へしみ出すことを防止できる。
【0042】
なお、製造時においては、光透過部材12の送電位置表示部6aおよび載置位置表示部6bの突出長さを貫通孔40aおよび貫通孔40bの深さよりも長く形成し、かつ、最も突出した送電位置表示部6aおよび載置位置表示部6bの天板表面側の面積を貫通孔40aおよび貫通孔40bの天板表面側の面積より小さくする。そして、天板2の表面から突出している送電位置表示部6aおよび載置位置表示部6bの突出部分をサンドペーパー等の適宜の道具で削り落とし、送電位置表示部6aおよび載置位置表示部6bの表面が天板2の表面と面一に形成して境目に凹凸のない形状に仕上げることができる。
【0043】
また、本実施形態では、貫通孔40aおよび貫通孔40bのそれぞれの内周面と、光透過部材12の嵌合凸部の側周面とは、送電通過部40の裏面から表面に向かうにつれて径が小さくなるテーパ面となっている。このような構成であれば、嵌合凸部を少し長く形成しておき、貫通孔40aおよび貫通孔40bに光透過部材12を嵌合させた後に、送電通過部40の表面から突出する嵌合凸部の先端を削って仕上げ、光透過部材12(嵌合凸部)の先端と、送電通過部40の表面とを同一平面(面一)にすることができる。このようにすれば、天板2の表面、特に送電通過部40の表面とそれ以外の部分の表面との繋ぎ目に段差が生じないので、天板2の表面において物が引っ掛かることを防止できる。
【0044】
さらに、本実施形態では、光透過部材12を送電通過部40の表面側に押し付けて固定することによって、貫通孔40aおよび貫通孔40bの内周面と、光透過部材12の嵌合凸部の側周面との間に隙間が生じることを防止し、高い防水・防塵効果を得ることができる。このため、送電通過部40の表面において液体や食べ物がこぼされたとしても、光表示部6から送電通過部40の裏面に液体等が侵入することを防止することができる。また、防水・防塵効果を有していることから、テーブル1を屋外で使用することもできる。
【0045】
さらに、上述したように、導光板10が光表示部6の下側を覆う大きさおよび位置に設けられるので、導光板10が発光すると、導光板10の光が光透過部材12と、貫通孔40aおよび貫通孔40bとを介して送電通過部40の表面側に透過する。すなわち、光透過部材12、貫通孔40aおよび貫通孔40bは、導光板10の光を送電通過部40の表面側に透過させる光透過部としての機能を有している。この光透過部の存在によって、光表示部6は、送電通過部40の表面側から見た場合に発光しているように見える。
【0046】
ただし、送電通過部40の光表示部6以外の部分(貫通孔40aおよび貫通孔40b以外の部分)は、光を透過させない遮蔽部として機能する。本実施形態では、送電通過部40は、木材、石材および不透明の樹脂等、光を透過させない素材で構成されており、貫通孔40aおよび貫通孔40bが形成される部分以外の部分は、遮蔽部41として機能する。
【0047】
以上のように、光表示部6は、発光ユニット7からの光を受けて発光し、送電通過部40の表面に露出するように設けられている。また、光表示部6は、送電ユニット5に対応する位置に配置される。
【0048】
図6に示すように、光表示部6は、送電が可能であることを示す文字または図形(電池を模した図形等)を表す1以上の送電可能意匠(送信可能意匠)と、送電可能範囲52に配置される送電位置意匠(送信位置意匠)とを有している。光表示部6は、送電位置意匠を有し、送電通過部40の表面における送電可能範囲52に配置される送電位置表示部(送信位置表示部)6aと、送電可能範囲52を中心に携帯端末を載置した場合の携帯端末の輪郭を模した意匠を有し、携帯端末の載置場所の指標となる載置位置表示部6bとを有する。本実施形態では、送電位置表示部6aおよび載置位置表示部6bのそれぞれは、貫通孔40aおよび貫通孔40bから露出する光透過部材12の上面によって構成される。
【0049】
すなわち、光表示部6の少なくとも一部(本実施形態では送電位置表示部6a)は、送電可能範囲52に配置される。このため、携帯端末の置き場所を視覚的に認識することができる。
【0050】
また、送電が可能であることを示す意匠を有する送電位置表示部6aが送電可能範囲52に配置されるので、使用言語や年齢等にかかわらず、携帯端末の置き場所を直感的に認識することができる。
【0051】
なお、送電位置表示部6aは、その全体が送電可能範囲52に含まれていることが好ましい。さらに、送電可能範囲52の中心位置に配置されることが好ましい。このようにすれば、より正確に携帯端末の置き場所を示すことができる。
【0052】
ただし、載置位置表示部6bは、通常の大きさのスマートフォン(ディスプレイの大きさが4インチ以上)を、端末の中央位置を送電位置表示部6aに合わせて載置した際に、スマートフォンの筐体に覆われる位置に配置される。したがって、スマートフォン等の携帯端末が、端末の中央位置を送電位置表示部6aに合わせて載置されると、光表示部6(送電位置表示部6aおよび載置位置表示部6bの両方)の光が外側(表面側)からは見えなくなる。このため、光表示部6の光が見えるかどうかによって、送電部4が使用中かどうか(空いているかどうか)が判断できるようになり、便利である。
【0053】
このように、光表示部6の少なくとも一部(送電位置表示部6a)が、送電可能範囲52に配置されるので、利用者は、携帯端末をどこに置けば充電されるのか、すなわち送電可能範囲52を容易に認識することができる。このため、テーブル1および天板2を簡単な構成とするとともに、携帯端末の置き場所を容易に認識可能とし、利用者の利便性を向上させることができる。
【0054】
なお、送電可能範囲52を認識させる別の方法として、送電可能範囲52に送電可能範囲52を示すシールを貼り付けたり、送電可能範囲52を示すマーク等を印刷(たとえばシルク印刷)したりすることも考えられるが、シールを張り付けた場合にはシールが剥がれることがあるし、印刷した場合も、擦れて消えてしまうことがある等、耐久性に問題がある。これに対し、本発明では、光透過部材12は多少摩耗しても光を透過することができれば、光表示部6の機能を果たすことができ、シールの貼り付けやマークの印刷をした場合に比べて、耐久性の観点でも優れている。また、シールの貼り付けやマークの印刷をした場合には、近づかなければ送電可能範囲52を認識することができないが、本発明では、多少離れた場所からでも送電可能範囲52を認識することができる。
【0055】
さらに、送電可能範囲52における送電通過部40の表面と送電ユニット5の間には、発光ユニット固定部材9、導光板10および光透過部材12が設けられているが、発光ユニット固定部材9には少なくとも送電可能範囲52の一部を含む大きさおよび位置に設けられており、導光板10および光透過部材12は非金属材料で構成されている。すなわち、送電可能範囲52における送電通過部40の表面と送電ユニット5の間は非金属材料で構成されている。このため、送電可能範囲52には送電の妨げになる金属材料が存在しないので、安定して送電を行うことができる。
【0056】
さらにまた、送電ユニット5および光源ユニット11に電源からの電力を供給するための導線13が送電可能範囲52の外側に配されるので、送電可能範囲52には送電の妨げになる導線13が存在しないので、安定して送電を行うことができる。
【0057】
この発明は本実施形態に限られず他の様々な実施形態とすることができる。また、上述の実施形態で挙げた具体的な構成等は一例であり、実際の製品に応じて適宜変更することが可能である。
【0058】
たとえば、天板2は、送電ユニット5に加えて、またはこれに代えて、近距離無線通信をする(電気信号を送受信する)ための(近距離無線通信機能を有する)無線通信ユニットを有していてもよい。無線通信ユニットは、送信ユニットの一形態であって、たとえば、ISO/IEC18092等の通信規格(いわゆるNFC(Near Field Communication))に従って、通信対象との間で電波による非接触のデータ通信を行うものである。たとえば、無線通信ユニットは、Felica(登録商標)等の通信規格に従って、ICカードや携帯端末等の通信対象物との間で無線による非接触のデータ通信を行う。この場合、送電通過部40と同様に、厚みが天板2の他の部分よりも薄い電波通過部が天板2の一部を構成し、無線通信ユニットは、電波通過部の裏面に設けられる。無線通信ユニットは、天板2(電波通過部)を通過して天板2の表面側へ電波を送信する。また、光表示部6の少なくとも一部は、通信可能範囲(送信可能範囲)に配置される。このようにすれば、テーブル1が店舗等に設置される場合には、無線通信ユニットを利用して座席で電子決済を行うこともできる。
【0059】
また、天板2が、ガラス、半透明または透明の樹脂等、非金属材料であって、かつ、光を透過させる素材で構成されている場合には、天板2の表面または裏面の少なくとも一方であって、光表示部6を除いた範囲に、透過させない遮蔽印刷を施したり、光を透過させないシートが貼りつけられたりすることによって、遮蔽部41が形成されてもよい。なお、天板2の表面または裏面の少なくとも一方において、光表示部6を除いた範囲に限定して遮蔽印刷を施すようにしてもよいし、一旦全面に遮蔽印刷した後、光表示部6に相当する部分に彫刻する(遮蔽印刷を削る)ようにしてもよい。この場合、天板2のうち遮蔽印刷が施されていない範囲(光表示部6に相当する範囲)は、光を透過する光透過部として機能する。すなわち、天板2の一部が送電通過部40および光透過部材12として機能し、する。このようにすれば、部品点数を削減できることに加え、天板2の表面に繋ぎ目が無く、完全な面一とすることができ、意匠性の向上および防水・防塵機能の向上を図り、天板2の表面において物が引っ掛かることを防止することができる。
【0060】
さらに、
図7および
図8に示すように、天板2を小型化し、天板2の厚み方向から見た場合の周縁以外の部分が送電部4(送電通過部40)となる。このような構成であれば、天板2の周縁部分の厚みが送電通過部40の厚みよりも厚いため、天板2の周縁部分が下方に突出する壁部として機能し、天板2の強度(剛性)を確保することができるとともに、天板2をコンパクトにすることができる。
【0061】
さらにまた、導光板10および光透過部材12の少なくとも一方を、任意の色に着色された半透明の素材で構成したり、天板2(送電通過部40)と発光ユニット7との間に、着色された半透明のフィルムを設けるようにしてもよい。このようにすれば、光源11aの発光色にかかわらず、テーブル1の用途や設置場所の雰囲気等に応じて、光表示部6の発光色を適宜設定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
この発明は、家具または什器に等において携帯端末に非接触で送電または通信するような産業に利用することができる。
【符号の説明】
【0063】
1…テーブル
2…天板部
3…脚部
4…送電部
40…筐体
41…遮蔽部
5…送電ユニット
6…光表示部
6a…送電位置表示部
6b…載置位置表示部
7…発光ユニット
8…送電ユニット固定部材
9…発光ユニット固定部材
10…導光板
11…光源ユニット
11a…光源
12…光透過部材
13…導線
14…弾性部材