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特開2022-127040半導体記憶装置及び半導体記憶装置の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022127040
(43)【公開日】2022-08-31
(54)【発明の名称】半導体記憶装置及び半導体記憶装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   G11C 16/10 20060101AFI20220824BHJP
   G11C 16/04 20060101ALI20220824BHJP
   G11C 16/34 20060101ALI20220824BHJP
【FI】
G11C16/10 140
G11C16/04 170
G11C16/34 140
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021024957
(22)【出願日】2021-02-19
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】片岡 秀之
【テーマコード(参考)】
5B225
【Fターム(参考)】
5B225DB02
5B225DB08
5B225DB22
5B225DB30
5B225EA05
5B225EB10
5B225ED09
5B225FA01
5B225FA02
(57)【要約】
【課題】動作を高速化する。
【解決手段】一実施形態の半導体記憶装置は、第1及び第2選択トランジスタと、第1及び第2選択ゲート線と、第1ビット線と、ソース線と、第1及び第2メモリセルトランジスタと、第1及び第2ワード線とを備える。データの書き込み動作は、プログラム動作とベリファイ動作とを含むループの繰り返しによって行われる。第1メモリセルトランジスタへの書き込み動作において、ベリファイ動作が実行された後、第2選択トランジスタがオン状態の期間に、第1ワード線の電圧は第1電圧VREADから第2電圧VSSに変化し、第2ワード線の電圧はベリファイ動作において印加された第3電圧VREADから第4電圧VSSに変化し、第1ワード線の電圧が第2電圧に変化し且つ第2ワード線の電圧が第4電圧に変化した後、第2選択ゲート線の電圧は第5電圧VSGS1から第6電圧VSSに変化する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1選択トランジスタと、
前記第1選択トランジスタのゲートに接続された第1選択ゲート線と、
前記第1選択トランジスタに接続された第1ビット線と、
第2選択トランジスタと、
前記第2選択トランジスタのゲートに接続された第2選択ゲート線と、
前記第2選択トランジスタに接続されたソース線と、
前記第1選択トランジスタと、前記第2選択トランジスタとの間に接続された第1及び第2メモリセルトランジスタと、
前記第1メモリセルトランジスタに接続された第1ワード線と、
前記第2メモリセルトランジスタに接続された第2ワード線と
を備え、
データの書き込み動作は、プログラム動作とベリファイ動作とを含むループの繰り返しによって行われ、
前記第1メモリセルトランジスタへの書き込み動作において、ベリファイ動作が実行された後、前記第2選択トランジスタがオン状態の期間に、前記第1ワード線の電圧は第1電圧から第2電圧に変化し、前記第2ワード線の電圧は前記ベリファイ動作において印加された第3電圧から第4電圧に変化し、前記第1ワード線の電圧が前記第2電圧に変化し且つ前記第2ワード線の電圧が前記第4電圧に変化した後、前記第2選択ゲート線の電圧は第5電圧から第6電圧に変化する、半導体記憶装置。
【請求項2】
前記第2選択トランジスタが前記オン状態の前記期間、前記第2選択ゲート線の電圧は、前記第5電圧に維持される、請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記第2選択トランジスタが前記オン状態の前記期間に、前記第2選択ゲート線の電圧は前記ベリファイ動作において印加された第7電圧から前記第5電圧に変化し、前記第2選択ゲート線の電圧が前記第5電圧に変化した後、前記第2選択ゲート線の電圧は前記第5電圧から前記第6電圧に変化する、請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記第2電圧及び前記第4電圧は、接地電圧よりも高い、請求項1乃至3のいずれか一項記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記第1ワード線に前記第2電圧が印加され且つ前記第2ワード線に前記第4電圧が印加されるとともに、前記ソース線の電圧が第8電圧まで昇圧される、請求項1乃至4のいずれか一項記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
前記第2選択トランジスタは、前記第1メモリセルトランジスタの一端に接続され、
前記第1メモリセルトランジスタの他端は、前記第2メモリセルトランジスタの一端に接続され、
前記第2メモリセルトランジスタの他端は、前記第1選択トランジスタに接続され、
前記書き込み動作は、前記第2メモリセルトランジスタ、前記第1メモリセルトランジスタの順で行われる、請求項1乃至5のいずれか一項記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
第1選択トランジスタと、
前記第1選択トランジスタのゲートに接続された第1選択ゲート線と、
前記第1選択トランジスタに接続された第1ビット線と、
第2選択トランジスタと、
前記第2選択トランジスタのゲートに接続された第2選択ゲート線と、
前記第2選択トランジスタに接続されたソース線と、
前記第1選択トランジスタと、前記第2選択トランジスタとの間に接続された第1及び第2メモリセルトランジスタと、
前記第1メモリセルトランジスタに接続された第1ワード線と、
前記第2メモリセルトランジスタに接続された第2ワード線と
を備え、
データの書き込み動作は、プログラム動作とベリファイ動作とを含むループの繰り返しによって行われ、
前記第1メモリセルトランジスタへの書き込み動作において、ベリファイ動作が実行された後、前記第1選択トランジスタがオン状態の期間に、前記第1ワード線の電圧は第1電圧から第2電圧に変化し、前記第2ワード線の電圧は前記ベリファイ動作において印加された第3電圧から第4電圧に変化し、前記第1ワード線の電圧が前記第2電圧に変化し且つ前記第2ワード線の電圧が前記第4電圧に変化した後、前記第1選択ゲート線の電圧は第5電圧から第6電圧に変化する、半導体記憶装置。
【請求項8】
前記第1選択トランジスタが前記オン状態の前記期間、前記第1選択ゲート線の電圧は、前記第5電圧に維持される、請求項7記載の半導体記憶装置。
【請求項9】
前記第1選択トランジスタが前記オン状態の前記期間に、前記第1選択ゲート線の電圧は前記ベリファイ動作において印加された第7電圧から前記第5電圧に変化し、前記第1選択ゲート線の電圧が前記第5電圧に変化した後、前記第1選択ゲート線の電圧は前記第5電圧から前記第6電圧に変化する、請求項7記載の半導体記憶装置。
【請求項10】
前記第2電圧及び前記第4電圧は、接地電圧よりも高い、請求項7乃至9のいずれか一項記載の半導体記憶装置。
【請求項11】
前記第1ワード線に前記第2電圧が印加され且つ前記第2ワード線に前記第4電圧が印加されるとともに、前記第1ビット線の電圧が第8電圧まで昇圧される、請求項7乃至10のいずれか一項記載の半導体記憶装置。
【請求項12】
前記第2選択トランジスタは、前記第1メモリセルトランジスタの一端に接続され、
前記第1メモリセルトランジスタの他端は、前記第2メモリセルトランジスタの一端に接続され、
前記第2メモリセルトランジスタの他端は、前記第1選択トランジスタに接続され、
前記書き込み動作は、前記第1メモリセルトランジスタ、前記第2メモリセルトランジスタの順で行われる、請求項7乃至11のいずれか一項記載の半導体記憶装置。
【請求項13】
第1選択トランジスタと、
前記第1選択トランジスタのゲートに接続された第1選択ゲート線と、
前記第1選択トランジスタに接続された第1ビット線と、
第2選択トランジスタと、
前記第2選択トランジスタのゲートに接続された第2選択ゲート線と、
前記第2選択トランジスタに接続されたソース線と、
前記第1選択トランジスタと、前記第2選択トランジスタとの間に接続された第1及び第2メモリセルトランジスタと、
前記第1メモリセルトランジスタに接続された第1ワード線と、
前記第2メモリセルトランジスタに接続された第2ワード線と
を備える、半導体記憶装置の制御方法であって、
データの書き込み動作は、プログラム動作とベリファイ動作とを含むループの繰り返しによって行われ、
前記第1メモリセルトランジスタへの書き込み動作において、
ベリファイ動作が実行された後、前記第2選択トランジスタがオン状態の期間に、前記第1ワード線の電圧を第1電圧から第2電圧に変化させ、前記第2ワード線の電圧を前記ベリファイ動作において印加された第3電圧から第4電圧に変化させることと、
前記第1ワード線の電圧を前記第2電圧に変化させ且つ前記第2ワード線の電圧を前記第4電圧に変化させた後、前記第2選択ゲート線の電圧を第5電圧から第6電圧に変化させることと
を備える、半導体記憶装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体記憶装置及び半導体記憶装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体記憶装置として、NAND型フラッシュメモリが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-109804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
動作を高速化できる半導体記憶装置及び半導体記憶装置の制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る半導体記憶装置は、第1選択トランジスタと、第1選択トランジスタのゲートに接続された第1選択ゲート線と、第1選択トランジスタに接続された第1ビット線と、第2選択トランジスタと、第2選択トランジスタのゲートに接続された第2選択ゲート線と、第2選択トランジスタに接続されたソース線と、第1選択トランジスタと、第2選択トランジスタとの間に接続された第1及び第2メモリセルトランジスタと、第1メモリセルトランジスタに接続された第1ワード線と、第2メモリセルトランジスタに接続された第2ワード線とを備える。データの書き込み動作は、プログラム動作とベリファイ動作とを含むループの繰り返しによって行われる。第1メモリセルトランジスタへの書き込み動作において、ベリファイ動作が実行された後、第2選択トランジスタがオン状態の期間に、第1ワード線の電圧は第1電圧から第2電圧に変化し、第2ワード線の電圧はベリファイ動作において印加された第3電圧から第4電圧に変化し、第1ワード線の電圧が第2電圧に変化し且つ第2ワード線の電圧が第4電圧に変化した後、第2選択ゲート線の電圧は第5電圧から第6電圧に変化する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、第1実施形態に係る半導体記憶装置のブロック図である。
図2図2は、第1実施形態に係る半導体記憶装置に含まれるメモリセルアレイの回路図である。
図3図3は、第1実施形態に係る半導体記憶装置に含まれるメモリセルアレイの断面図である。
図4図4は、第1実施形態に係る半導体記憶装置の書き込み動作を示すフローチャートである。
図5図5は、第1実施形態に係る半導体記憶装置の書き込み動作時の各種配線等の電圧を示すタイミングチャートである。
図6図6は、第1実施形態に係る半導体記憶装置に含まれるメモリセルアレイ内の2つのNANDストリングの回路図である。
図7図7は、第2実施形態に係る半導体記憶装置の書き込み動作時の各種配線等の電圧を示すタイミングチャートである。
図8図8は、第3実施形態に係る半導体記憶装置の書き込み動作時の各種配線等の電圧を示すタイミングチャートである。
図9図9は、第4実施形態に係る半導体記憶装置の書き込み動作時の各種配線等の電圧を示すタイミングチャートである。
図10図10は、第5実施形態に係る半導体記憶装置の書き込み動作時の各種配線等の電圧を示すタイミングチャートである。
図11図11は、第5実施形態に係る半導体記憶装置に含まれるメモリセルアレイ内の2つのNANDストリングの回路図である。
図12図12は、第6実施形態に係る半導体記憶装置の書き込み動作時の各種配線等の電圧を示すタイミングチャートである。
図13図13は、第7実施形態に係る半導体記憶装置の書き込み動作時の各種配線等の電圧を示すタイミングチャートである。
図14図14は、第8実施形態に係る半導体記憶装置の書き込み動作時の各種配線等の電圧を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。この説明に際し、全図にわたり、共通する部分には共通する参照符号を付す。
【0008】
[1]第1実施形態
第1実施形態に係る半導体記憶装置について説明する。
【0009】
[1-1]構成
[1-1-1]半導体記憶装置の全体構成
本実施形態に係る半導体記憶装置の全体構成について、図1を用いて説明する。図1は、本実施形態に係る半導体記憶装置のブロック図である。
【0010】
半導体記憶装置1は、データを不揮発に記憶することが可能なNAND型フラッシュメモリであり、外部のメモリコントローラ2によって制御可能である。半導体記憶装置1は、メモリセルアレイ10、コマンドレジスタ11、アドレスレジスタ12、シーケンサ13、ドライバモジュール14、ロウデコーダモジュール15、センスアンプモジュール16、及びソース線ドライバ17を含む。
【0011】
メモリセルアレイ10は、複数のブロックBLK0~BLKn(nは1以上の自然数)を含む。ブロックBLKは、データを不揮発に記憶することが可能な複数のメモリセルの集合を含み、例えばデータの消去単位として使用される。また、メモリセルアレイ10には、複数のビット線及び複数のワード線が設けられる。各メモリセルは、例えば1本のビット線と1本のワード線とに関連付けられている。メモリセルアレイ10の詳細については後述する。
【0012】
コマンドレジスタ11は、半導体記憶装置1がメモリコントローラ2から受信したコマンドCMDを記憶する。コマンドCMDは、例えばシーケンサ13に読み出し動作、書き込み動作、及び消去動作等を実行させる命令を含む。
【0013】
アドレスレジスタ12は、半導体記憶装置1がメモリコントローラ2から受信したアドレス情報ADDを記憶する。アドレス情報ADDは、例えばブロックアドレスBAd、ページアドレスPAd、及びカラムアドレスCAdを含む。ブロックアドレスBAd、ページアドレスPAd、及びカラムアドレスCAdは、例えばそれぞれブロックBLK、ワード線、及びビット線の選択に使用される。
【0014】
シーケンサ13は、半導体記憶装置1全体の動作を制御する。例えば、シーケンサ13は、コマンドレジスタ11に記憶されたコマンドCMDに基づいてドライバモジュール14、ロウデコーダモジュール15、及びセンスアンプモジュール16等を制御して、読み出し動作、書き込み動作、及び消去動作等を実行する。
【0015】
ドライバモジュール14は、読み出し動作、書き込み動作、及び消去動作等で使用される電圧を生成する。ドライバモジュール14は、アドレスレジスタ12に記憶されたページアドレスPAdに基づいて、選択されたワード線に対応する信号線に、生成した電圧を印加する。
【0016】
ロウデコーダモジュール15は、アドレスレジスタ12に記憶されたブロックアドレスBAdに基づいて、メモリセルアレイ10内の1つのブロックBLKを選択する。ロウデコーダモジュール15は、選択されたワード線に対応する信号線に印加された電圧を、選択されたブロックBLK内の選択されたワード線に転送する。
【0017】
センスアンプモジュール16は、書き込み動作において、メモリコントローラ2から受信した書き込みデータDATに応じた電圧を、ビット線に印加する。また、センスアンプモジュール16は、読み出し動作において、ビット線の電圧に基づいてメモリセルに記憶されたデータを判定し、判定結果を読み出しデータDATとしてメモリコントローラ2に転送する。
【0018】
センスアンプモジュール16は、図示せぬ複数のセンスアンプユニットSAUを含む。各センスアンプユニットSAUは、複数のラッチ回路を含む。複数のセンスアンプユニットSAUのそれぞれは、各ビット線に接続される。また、各センスアンプユニットSAUは、半導体記憶装置1内の図示せぬ入出力回路との間でデータDATを送受信する。
【0019】
ソース線ドライバ17は、読み出し動作、書き込み動作、及び消去動作等で使用される電圧を生成し、生成された電圧をソース線に印加する。
【0020】
上記構成の半導体記憶装置1は、図示せぬNANDインターフェースを介してメモリコントローラ2と接続される。半導体記憶装置1とメモリコントローラ2との間で送受信される信号の具体例は、コマンドラッチイネーブル信号CLE、アドレスラッチイネーブル信号ALE、ライトイネーブル信号WEn、リードイネーブル信号REn、レディビジー信号RBn、及び入出力信号I/O等である。メモリコントローラ2は、これらの信号を用いて半導体記憶装置1を制御する。
【0021】
信号CLEは、半導体記憶装置1が受信した信号I/OがコマンドCMDであることを示す信号である。信号ALEは、半導体記憶装置1が受信した信号I/Oがアドレス情報ADDであることを示す信号である。信号WEnは、信号I/Oの入力を半導体記憶装置1に命令する信号である。信号REnは、信号I/Oの出力を半導体記憶装置1に命令する信号である。信号CLE、ALE、WEn、及びREnは、メモリコントローラ2から半導体記憶装置1に送信される。
【0022】
信号RBnは、半導体記憶装置1がレディ状態及びビジー状態のいずれであるかを示す信号であり、例えば半導体記憶装置1がビジー状態のときに“L”レベルとされる。レディ状態は、半導体記憶装置1がメモリコントローラ2からコマンドを受け付け可能な状態である。ビジー状態は、半導体記憶装置1がメモリコントローラ2からコマンドを受け付け不可能な状態である。信号RBnは、半導体記憶装置1からメモリコントローラ2に送信される。
【0023】
信号I/Oは、例えば8ビットの信号である。信号I/Oは、半導体記憶装置1とメモリコントローラ2との間で送受信されるデータの実体であり、例えばコマンドCMD、アドレス情報ADD、及びデータDATである。
【0024】
以上で説明した半導体記憶装置1及びメモリコントローラ2は、それらの組み合わせにより1つの半導体装置を構成してもよい。このような半導体装置としては、例えばSDTMカードのようなメモリカードや、SSD(solid state drive)等が挙げられる。
【0025】
[1-1-2]メモリセルアレイ10の回路構成
メモリセルアレイ10の回路構成について、図2を用いて説明する。図2は、本実施形態に係る半導体記憶装置1に含まれるメモリセルアレイ10の回路図である。図2は、メモリセルアレイ10の回路構成の一例を、メモリセルアレイ10に含まれる複数のブロックBLKのうち1つのブロックBLKを抽出して示している。他のブロックBLKも、全て図2に示される構成を有する。
【0026】
ブロックBLKは、例えば4つのストリングユニットSU0~SU3を含む。各ストリングユニットSUは、ビット線BL0~BLm(mは1以上の自然数)にそれぞれ関連付けられた複数のNANDストリングNSを含む。各NANDストリングNSは、例えばメモリセルトランジスタMC0~MC7、並びに選択トランジスタST1及びST2を含む。メモリセルトランジスタMCは、制御ゲート及び電荷蓄積層を含み、データを不揮発に記憶する。選択トランジスタST1及びST2のそれぞれは、各種動作時においてストリングユニットSUの選択に使用される。
【0027】
各NANDストリングNSにおいて、メモリセルトランジスタMC0~MC7は、直列接続される。選択トランジスタST1のドレインは、関連付けられたビット線BLに接続される。選択トランジスタST1のソースは、直列接続されたメモリセルトランジスタMC0~MC7の一端に接続される。選択トランジスタST2のドレインは、直列接続されたメモリセルトランジスタMC0~MC7の他端に接続される。選択トランジスタST2のソースは、ソース線SLに接続される。
【0028】
同一のブロックBLKにおいて、メモリセルトランジスタMC0~MC7の制御ゲートは、それぞれワード線WL0~WL7に共通に接続される。ストリングユニットSU0~SU3内のそれぞれの選択トランジスタST1のゲートは、それぞれ選択ゲート線SGD0~SGD3に共通に接続される。同一のブロックBLKに含まれる選択トランジスタST2のゲートは、選択ゲート線SGSに共通に接続される。
【0029】
以上で説明したメモリセルアレイ10の回路構成において、ビット線BLは、例えば各ストリングユニットSUで同一のカラムアドレスCAdが割り当てられたNANDストリングNSによって共有される。ソース線SLは、例えば複数のブロックBLK間で共有される。
【0030】
1つのストリングユニットSU内で共通のワード線WLに接続された複数のメモリセルトランジスタMCの集合は、例えばセルユニットCUと称される。それぞれが1ビットデータを記憶するメモリセルトランジスタMCを含むセルユニットCUの記憶容量が、例えば「1ページデータ」として定義される。セルユニットCUは、メモリセルトランジスタMCが記憶するデータのビット数に応じて、2ページデータ以上の記憶容量を有し得る。
【0031】
なお、メモリセルアレイ10の回路構成は、以上で説明した構成に限定されない。例えば、各ブロックBLKに含まれるストリングユニットSUの個数や、各NANDストリングNSに含まれるメモリセルトランジスタMC並びに選択トランジスタST1及びST2の個数は、それぞれ任意の個数でもよい。
【0032】
[1-1-3]メモリセルアレイ10の構造
メモリセルアレイ10の構造について、図3を用いて説明する。図3は、本実施形態に係る半導体記憶装置1に含まれるメモリセルアレイ10の断面図である。図3は、メモリセルアレイ10の断面構造の一例を、ブロックBLKの一部領域を抽出して示している。なお、以下で参照される断面図では、図を見やすくするために、絶縁体層(層間絶縁膜)、配線、コンタクト等の構成要素が適宜省略されている。
【0033】
メモリセルアレイ10が形成される領域には、半導体基板20、導電体層21~25、メモリピラーMP、及びコンタクトCPが含まれる。
【0034】
半導体基板20の表面は、XY平面に平行に設けられる。半導体基板20の上方には、絶縁体層を介して導電体層21が設けられる。導電体層21は、例えばXY平面に沿って広がった板状に形成され、ソース線SLとして使用される。図示が省略されているが、半導体基板20と導電体層21との間の領域には、例えばセンスアンプモジュール16等の回路が設けられる。導電体層21は、例えばリンがドープされたシリコンを含んでいる。
【0035】
導電体層21の上方には、絶縁体層を介して導電体層22が設けられる。導電体層22は、例えばXY平面に沿って広がった板状に形成され、選択ゲート線SGSとして使用される。導電体層22は、例えばリンがドープされたシリコンを含んでいる。
【0036】
導電体層22の上方には、絶縁体層と導電体層23とが交互に積層される。複数の導電体層23のそれぞれは、例えばXY平面に沿って広がった板状に形成される。積層された複数の導電体層23は、半導体基板20側から順に、それぞれワード線WL0~WL7として使用される。導電体層23は、例えばタングステンを含んでいる。
【0037】
最上層の導電体層23の上方には、絶縁体層を介して導電体層24が設けられる。導電体層24は、例えばXY平面に沿って広がった板状に形成され、選択ゲート線SGDとして使用される。導電体層24は、例えばタングステンを含んでいる。
【0038】
導電体層24の上方には、絶縁体層を介して導電体層25が設けられる。導電体層25は、例えばX方向に沿って延伸したライン状に形成され、ビット線BLとして使用される。つまり、図示せぬ領域において複数の導電体層25は、Y方向に沿って並んでいる。導電体層25は、例えば銅を含んでいる。
【0039】
メモリピラーMPは、NANDストリングNSに対応する。メモリピラーMPは、例えばZ方向に沿って延伸した柱状に形成され、導電体層22~24を貫通している。メモリピラーMPの上端は、例えば導電体層24が設けられた層と導電体層25が設けられた層との間の層に含まれている。メモリピラーMPの下端は、例えば導電体層21に接触している。
【0040】
また、メモリピラーMPは、半導体部材26及び絶縁体層27~29を含む。
【0041】
半導体部材26は、メモリピラーMPの中央部に、Z方向に沿って延伸した柱状に形成される。半導体部材26は、メモリセルトランジスタMC並びに選択トランジスタST1及びST2のそれぞれのチャネルとして機能する。
【0042】
半導体部材26の側面は、絶縁体層27~29の積層膜によって覆われている。絶縁体層27は、半導体部材26に接触し且つ半導体部材26の側面を囲っている。絶縁体層27は、メモリセルトランジスタMCのトンネル絶縁膜として機能する。
【0043】
絶縁体層28は、絶縁体層27に接触し且つ絶縁体層27の側面を囲っている。絶縁体層28は、メモリセルトランジスタMCの電荷蓄積層として機能する。
【0044】
絶縁体層29は、絶縁体層28に接触し且つ絶縁体層28の側面を囲っている。絶縁体層29は、メモリセルトランジスタMCのブロック絶縁膜として機能する。
【0045】
半導体部材26上には、柱状のコンタクトCPが設けられる。コンタクトCPの上面には、1個の導電体層25、すなわち1本のビット線BLが接触している。なお、メモリピラーMPと導電体層25との間は、2つ以上のコンタクトを介して電気的に接続されてもよいし、その他の配線を介して電気的に接続されてもよい。
【0046】
以上で説明したメモリピラーMPの構成では、例えばメモリピラーMPと導電体層22とが交差する部分が、選択トランジスタST2として機能する。メモリピラーMPと8層の導電体層23のそれぞれとが交差する部分が、それぞれメモリセルトランジスタMC0~MC7として機能する。メモリピラーMPと導電体層24とが交差する部分が、選択トランジスタST1として機能する。
【0047】
[1-2]書き込み動作
本実施形態に係る半導体記憶装置1の書き込み動作について説明する。本実施形態に係る半導体記憶装置1は、NANDストリングNS内で、選択トランジスタST1側に設けられたメモリセルトランジスタMCから選択トランジスタST2側に設けられたメモリセルトランジスタMCに向かって順に書き込み動作を実行する。言い換えると、本実施形態に係る半導体記憶装置1は、各ストリングユニットSUにおいて、ビット線BL側のセルユニットCUから順番に書き込み動作を実行する。以下では、選択されたセルユニットCUに関連付けられたワード線のことをWLselと呼び、非選択のセルユニットCUに関連付けられたワード線のことをWLuselと呼ぶ。選択されたストリングユニットSUに関連付けられた選択ゲート線のことをSGDselと呼び、非選択のストリングユニットSUに関連付けられた選択ゲート線のことをSGDuselと呼ぶ。
【0048】
[1-2-1]書き込み動作の概要
書き込み動作の概要について説明する。書き込み動作は、大まかにはプログラム動作とベリファイ動作とを含む。
【0049】
プログラム動作は、電子を電荷蓄積層に注入することにより閾値電圧を上昇させる(または注入を禁止することで閾値電圧を維持させる)動作のことである。ワード線WLselには、プログラム電圧VPGMが印加される。電圧VPGMは、対応するメモリセルトランジスタMCの閾値電圧を上昇させることが可能な高電圧である。以下では、閾値電圧を上昇させる動作を「“0”プログラム」と呼び、“0”プログラム対象とされたビット線BLには、センスアンプモジュール16から“0”プログラムに対応する電圧(例えば、接地電圧VSS)が与えられる。他方で、閾値電圧を維持させる動作を「“1”プログラム」または「書き込み禁止」と呼び、“1”プログラム対象とされたビット線BLには、センスアンプモジュール16から“1”プログラムに対応する電圧(以下、「電圧VBL」と表記する)が与えられる。以下、“0”プログラムに対応するビット線のことをBLprogと呼び、“1”プログラムに対応するビット線をBLinhと呼ぶ。また、選択されたストリングユニットSU内のビット線BLprogに接続されたNANDストリングNSのことを「NANDストリングNSprog」と呼び、選択されたストリングユニットSU内のビット線BLinhに接続されたNANDストリングNSのことを「NANDストリングNSinh」と呼ぶ。
【0050】
ベリファイ動作は、プログラム動作の後、データを読み出し、メモリセルトランジスタMCの閾値電圧が目標とするターゲットレベルに達したか否かを判定する動作である。以下では、メモリセルトランジスタMCの閾値電圧がターゲットレベルに達している場合を、「ベリファイをパスした」と呼び、ターゲットレベルまで達していない場合を、「ベリファイをフェイルした」と呼ぶ。
【0051】
メモリセルトランジスタMCの閾値電圧がターゲットレベルに達するまで、プログラム動作とベリファイ動作との組み合わせ(以下、「プログラムループ」と呼ぶ)が繰り返し実行される。プログラムループを繰り返す毎に、電圧VPGMの設定値はステップアップされる。なお、本実施形態に係る半導体記憶装置1では、プログラムループ中にチャネルプリチャージ動作の実行を可能とする。
【0052】
チャネルプリチャージ動作は、プログラム動作を実行する前にチャネル電圧を上昇させる動作である。例えば、チャネルプリチャージ動作は、ステップアップした電圧VPGMの設定値が予め設定された基準値を超えている場合に実行される。本実施形態に係る半導体記憶装置1は、各NANDストリングNSにおいて、チャネルにソース線SLから電圧をプリチャージする。
【0053】
[1-2-2]書き込み動作時のフローチャート
書き込み動作時のフローチャートについて、図4を用いて説明する。図4は、本実施形態に係る半導体記憶装置1の書き込み動作を示すフローチャートである。図4では、プログラムループの回数をi(iは1以上の自然数)と表記している。
【0054】
半導体記憶装置1は、メモリコントローラ2から書き込み動作を命令するコマンドCMD、アドレス情報ADD、及び書き込みデータを受信する。コマンドCMDは、コマンドレジスタ11に転送される。アドレス情報ADDは、アドレスレジスタ12に転送される。書き込みデータは、センスアンプユニットSAU内のいずれかのラッチ回路に転送される。
【0055】
コマンドCMDがコマンドレジスタ11に格納され、アドレス情報ADDがアドレスレジスタ12に格納され、書き込みデータがセンスアンプユニットSAU内のいずれかのラッチ回路に格納されると、半導体記憶装置1は書き込み動作を開始する。
【0056】
シーケンサ13は、i=1を設定する(S10)。
【0057】
次に、シーケンサ13は、プログラム動作を実行する(S11)。
【0058】
プログラム動作が終了すると、ベリファイ動作を実行する(S12)。
【0059】
S12でベリファイをパスしたと判定した場合(S13_Yes)、シーケンサ13は、書き込み動作を終了する。他方で、S12でベリファイをフェイルしたと判定した場合(S13_No)、シーケンサ13は、iがプログラムループの規定回数に達したか否かを判定する(S14)。
【0060】
iがプログラムループの規定回数に達したと判定した場合(S14_Yes)、シーケンサ13は、書き込み動作を終了する。他方で、iがプログラムループの規定回数に達していないと判定した場合(S14_No)、シーケンサ13は、電圧VPGMの設定値が基準値を超えているか否かを判定する(S15)。基準値は、チャネルプリチャージ動作の実施有無を決定するための値である。
【0061】
電圧VPGMの設定値が基準値を超えていると判定した場合(S15_Yes)、シーケンサ13は、チャネルプリチャージ動作を実行する(S16)。
【0062】
チャネルプリチャージ動作が終了すると、シーケンサ13は、電圧VPGMの設定値をステップアップする(S17)。つまり、ワード線WLselに印加される電圧VPGMは、実行されたプログラムループの回数に応じて高くなる。電圧VPGMの設定値のステップアップ量は、任意の値に設定され得る。
【0063】
電圧VPGMの設定値のステップアップが終了すると、シーケンサ13は、iをインクリメントしてi=i+1とし(S18)、前述のS11に進む。
【0064】
他方で、電圧VPGMの設定値が基準値を超えていないと判定した場合(S15_No)、シーケンサ13は、チャネルプリチャージ動作を実行せずに、前述のS17に進む。
【0065】
[1-2-3]書き込み動作時の各種配線等の電圧
書き込み動作時の各種配線等の電圧について、図5を用いて説明する。図5は、本実施形態に係る半導体記憶装置1の書き込み動作時の各種配線等の電圧を示すタイミングチャートである。
【0066】
以下では、シーケンサ13がi回目(iは1以上の自然数)のプログラムループにおいて、ベリファイ動作の後にベリファイ動作と連続してチャネルプリチャージ動作を実行する場合について説明する。なお、チャネルプリチャージ動作では、メモリセルトランジスタMC6及びMC7に対して書き込みが行われ、メモリセルトランジスタMC0~MC5に対して書き込みが行われていない状態で、チャネルにソース線SLから電圧をプリチャージする場合を例に挙げて説明する。“0”プログラムが行われたメモリセルトランジスタMCの閾値電圧は、正の電圧であり、“1”プログラムが行われたメモリセルトランジスタMCの閾値電圧は、負の電圧である。以下では、説明を簡略化するため、メモリセルトランジスタMC6及びMC7の閾値電圧が正の電圧である場合について説明する。書き込みが行われていないメモリセルトランジスタMC0~MC5の閾値電圧は、負の電圧である。また、i回目のプログラムループにおいて、ベリファイ動作実行前の選択ゲート線SGDsel及びSGDusel、ワード線WLsel及びWLusel、選択ゲート線SGS、ビット線BLprog及びBLinh、並びにソース線SLのそれぞれの電圧、並びにNANDストリングNSprogのチャネル電圧(以下、「Vch(prog)」と呼ぶ)及びNANDストリングNSinhのチャネル電圧(以下、「Vch(inh)」と呼ぶ)のそれぞれは、VSS(例えば0V)であると仮定する。
【0067】
シーケンサ13は、時刻t1から時刻t9の動作を順に実行する。例えば、時刻t1から時刻t3までの期間がi回目のベリファイ動作に対応する。時刻t3から時刻t5までの期間がチャネルプリチャージ動作に対応する。時刻t5から時刻t6までの期間は、プリチャージリカバリ動作である。プリチャージリカバリ動作は、プリチャージ動作の終了動作と、プログラム動作の準備動作とを併せた動作である。時刻t6から時刻t8までの期間がi+1回目のプログラム動作に対応する。時刻t8から時刻t9までの期間は、プログラムリカバリ動作である。以下に、図5を参照して、ベリファイ動作、チャネルプリチャージ動作、及びプログラム動作のそれぞれについて順に説明する。
【0068】
(ベリファイ動作)
時刻t1において、ロウデコーダモジュール15は、選択ゲート線SGDsel及びSGDuselのそれぞれに電圧VSGD1を印加する。電圧VSGD1は、選択トランジスタST1をオン状態にする電圧である。電圧VSGD1は、電圧VSSよりも高い電圧である。ロウデコーダモジュール15は、ワード線WLsel及びWLuselのそれぞれに電圧VREADを印加する。電圧VREADは、メモリセルトランジスタMCに記憶されているデータに関わらず、対応するメモリセルトランジスタMCをオン状態にする電圧である。ロウデコーダモジュール15は、選択ゲート線SGSに電圧VSGS1を印加する。電圧VSGS1は、選択トランジスタST2をオン状態にする電圧である。電圧VSGS1は、電圧VSSよりも高い電圧である。センスアンプモジュール16は、ビット線BLprog及びBLinhのそれぞれに電圧VBL1を印加する。電圧VBL1は、電圧VSSよりも高い電圧である。ソース線ドライバ17は、ソース線SLに電圧VCS1を印加する。電圧VCS1は、電圧VSSよりも高く且つ電圧VBL1よりも低い電圧である。
【0069】
時刻t1から時刻t2までの期間に、ブロックBLK内の選択トランジスタST1及びST2、並びにメモリセルトランジスタMCがオン状態とされることにより、NANDストリングNSprog、NANDストリングNSinh、及び非選択ストリングユニットSU内のNANDストリングNSのチャネル電圧は、電圧VCS1となる。
【0070】
時刻t2において、ロウデコーダモジュール15は、選択ゲート線SGDuselに電圧VSSを印加する。これにより、非選択ストリングユニットSUに含まれる選択トランジスタST1はオフ状態とされる。ロウデコーダモジュール15は、ワード線WLselにベリファイ電圧VFY1を印加する。電圧VFY1は、メモリセルトランジスタMCの閾値電圧がターゲットレベルに達したか否かを判定する電圧である。電圧VFY1は、電圧VSSよりも高く且つ電圧VREADよりも低い電圧である。
【0071】
NANDストリングNSprogでは、ワード線WLselに電圧VFY1が印加されることにより、ワード線WLselに接続されたメモリセルトランジスタMCは、記憶されているデータ(閾値電圧)に基づいてオン状態またはオフ状態とされる。ワード線WLselに接続されたメモリセルトランジスタMCがオン状態とされた場合、すなわち、書き込み対象のメモリセルトランジスタMCの閾値電圧が、ターゲットレベルよりも低い場合、ビット線BLprogからソース線SLに電流が流れる。この場合、シーケンサ13は、ベリファイをフェイルしたと判定する。他方で、ワード線WLselに接続されたメモリセルトランジスタMCがオフ状態とされた場合、すなわち、書き込み対象のメモリセルトランジスタMCの閾値電圧が、ターゲットレベル以上の場合、ビット線BLprogからソース線SLに電流がほとんど流れない。この場合、シーケンサ13は、ベリファイをパスしたと判定する。
【0072】
NANDストリングNSinhでは、プログラム動作によりメモリセルトランジスタMCの閾値電圧が上昇していないため、ワード線WLselに接続されたメモリセルトランジスタMCは、オン状態とされる。
【0073】
(チャネルプリチャージ動作)
時刻t3において、ロウデコーダモジュール15は、選択ゲート線SGDuselに電圧VSGD1を印加する。ロウデコーダモジュール15は、ワード線WLselに電圧VREADを印加する。これにより、NANDストリングNSprog、NANDストリングNSinh、及び非選択ストリングユニットSU内のNANDストリングNSのチャネル電圧は、電圧VCS1となり、ベリファイ動作は終了し、チャネルプリチャージ動作が開始される。
【0074】
時刻t4において、ロウデコーダモジュール15は、選択ゲート線SGDusel及びSGDusel、並びにワード線WLsel及びWLuselのそれぞれに電圧VSSを印加する。センスアンプモジュール16は、ビット線BLprogに電圧VSSを印加する。選択ゲート線SGDsel及びSGDuselのそれぞれの電圧が電圧VSGD1から電圧VSSに変化し(選択ゲート線SGDsel及びSGDuselのそれぞれの電圧が放電され)、ワード線WLsel及びWLuselのそれぞれの電圧が電圧VREADから電圧VSSに変化する(ワード線WLsel及びWLuselのそれぞれの電圧が放電される)間は、チャネルプリチャージ動作が継続される。なお、チャネルプリチャージ動作を実行しない場合、すなわちシーケンサ13が電圧VPGMの設定値が基準値を超えていないと判定した場合(図4のS15_No)、ロウデコーダモジュール15は、更に選択ゲート線SGSに電圧VSSを印加する。センスアンプモジュール16は、更にビット線BLprog及びBLinhのそれぞれをフローティング状態にする。NANDストリングNSprog、NANDストリングNSinh、及び非選択ストリングユニットSU内のNANDストリングNSのチャネル電圧は、チャネル及びワード線WLsel間のカップリング、並びにチャネル及びワード線WLusel間のカップリングにより、不定の電圧に低下する。これにより、ビット線BLprog及びBLinh、並びにソース線SLの電圧は、不定の電圧となる。
【0075】
時刻t4から時刻t5までの期間において、ロウデコーダモジュール15は、更に選択ゲート線SGSに電圧VSGS1を印加する。センスアンプモジュール16は、更にビット線BLinhに電圧VBL2を印加する。電圧VBL2は、電圧VBL1と同じ電圧でもよく、電圧VBL1よりも高い電圧でもよい。また、ソース線ドライバ17は、ソース線SLに電圧VCS2を印加する。電圧VCS2は、電圧VCS1と同じ電圧でもよく、電圧VCS1よりも高い電圧でもよい。
【0076】
時刻t4から時刻t5までの期間に、選択ゲート線SGDsel及びSGDusel、ワード線WLsel及びWLusel、並びにビット線BLprogのそれぞれの電圧は、電圧VSSに変化する。
【0077】
ここで、チャネルプリチャージ動作時のNANDストリングNSの様子について、図6を用いて説明する。図6は、本実施形態に係る半導体記憶装置1に含まれるメモリセルアレイ10内の2つのNANDストリングNSの回路図である。図6は、一例として、NANDストリングNSprogと、NANDストリングNSinhとを示している。
【0078】
図6に示すように、NANDストリングNSprogでは、選択ゲート線SGDselに電圧VSSが印加されることにより、選択トランジスタST1はオフ状態とされる。選択ゲート線SGSに電圧VSGS1が印加されることにより、選択トランジスタST2はオン状態とされる。ワード線WLsel及びWLuselのそれぞれに電圧VSSが印加されることにより、書き込みが行われていないメモリセルトランジスタMC0~MC5のそれぞれはオン状態とされ、書き込みが行われたメモリセルトランジスタMC6及びMC7のそれぞれはオフ状態とされる。この結果、NANDストリングNSprogでは、電圧VCS2がソース線SLから選択トランジスタST2及びメモリセルトランジスタMC0~MC5のそれぞれのチャネルに印加される。これにより、チャネル電圧Vch(prog)は、電圧VCS2にプリチャージされる。
【0079】
NANDストリングNSinhでは、NANDストリングNSprogと同様に、選択トランジスタST1及び書き込みが行われたメモリセルトランジスタMC6及びMC7のそれぞれがオフ状態とされ、選択トランジスタST2及び書き込みが行われていないメモリセルトランジスタMC0~MC5のそれぞれがオン状態とされる。このため、NANDストリングNSinhでは、電圧VCS2がソース線SLから選択トランジスタST2及びメモリセルトランジスタMC0~MC5のそれぞれのチャネルに印加される。これにより、チャネル電圧Vch(inh)は、電圧VCS2にプリチャージされる。
【0080】
非選択ストリングユニットSU内のNANDストリングNSでは、選択ゲート線SGDuselに電圧VSSが印加されることにより、選択トランジスタST1はオフ状態とされる。また、選択トランジスタST2はオン状態とされる。このため、非選択ストリングユニットSU内のNANDストリングNSのチャネル電圧も電圧VCS2にプリチャージされる。
【0081】
なお、チャネルプリチャージ動作は、ソース線SLから、書き込みが行われていないメモリセルトランジスタMCのチャネルまでプリチャージする場合に限定されない。例えば、ワード線WLsel及びWLuselのそれぞれの電圧を制御することによって、ソース線SLから、書き込み(“0”プログラムまたは“1”プログラム)が行われたメモリセルトランジスタMCのチャネルまでプリチャージしてもよい。また、選択ゲート線SGDsel及びSGDusel、並びにワード線WLsel及びWLuselのそれぞれの電圧を制御することによって、ソース線SLから選択トランジスタST1のチャネルまでプリチャージしてもよい。
【0082】
図5の時刻t5において、ロウデコーダモジュール15は、選択ゲート線SGSに電圧VSSを印加する。選択トランジスタST2がオフ状態とされることにより、NANDストリングNSprog、NANDストリングNSinh、及び非選択ストリングユニットSU内のNANDストリングNSのチャネルは、フローティング状態になり、チャネルプリチャージ動作は終了する。なお、NANDストリングNSprog、NANDストリングNSinh、及び非選択ストリングユニットSU内のNANDストリングNSのチャネル電圧は、電圧VCS2に維持される。
【0083】
時刻t5から時刻t6までの期間は、プリチャージリカバリ動作である。選択トランジスタST1及びST2のそれぞれがオフ状態とされることにより、NANDストリングNSprog、NANDストリングNSinh、及び非選択ストリングユニットSU内のNANDストリングNSのチャネルは、フローティング状態に維持される。これにより、NANDストリングNSprog、NANDストリングNSinh、及び非選択ストリングユニットSU内のNANDストリングNSのチャネル電圧は、電圧VCS2に維持される。
【0084】
(プログラム動作)
時刻t6において、ロウデコーダモジュール15は、選択ゲート線SGDselに電圧VSGD2を印加する。電圧VSGD2は、NANDストリングNSprogに含まれる選択トランジスタST1をオン状態にし、NANDストリングNSinhに含まれる選択トランジスタST1をオフ状態にする電圧である。ロウデコーダモジュール15は、選択ゲート線SGDuselに電圧VSS(例えば0V)を印加する。これらの制御により、NANDストリングNSprogに含まれる選択トランジスタST1はオン状態とされる。また、NANDストリングNSinhに含まれる選択トランジスタST1、及び非選択ストリングユニットSUに含まれる選択トランジスタST1はオフ状態とされる。ロウデコーダモジュール15は、ワード線WLselにプログラム電圧VPGMを印加する。ロウデコーダモジュール15は、ワード線WLuselに電圧VPASSを印加する。電圧VPASSは、メモリセルトランジスタMCに記憶されているデータ(閾値電圧)に関わらず、対応するメモリセルトランジスタMCをオン状態にする電圧である。電圧VPASSは、電圧VSGD2よりも高く且つ電圧VPGMよりも低い電圧である。ロウデコーダモジュール15は、選択ゲート線SGSに電圧VSSを印加する。これにより、選択トランジスタST2はオフ状態とされる。センスアンプモジュール16は、ビット線BLprogに電圧VSSを印加する。センスアンプモジュール16は、ビット線BLinhに電圧VBL2を印加する。電圧VBL2は、電圧VSSよりも高い電圧である。ソース線ドライバ17は、ソース線SLに電圧VCS2を印加する。電圧VCS2は、電圧VSSよりも高く且つ選択トランジスタST2を強いオフ状態とする電圧である。
【0085】
NANDストリングNSprogでは、選択ゲート線SGDselに電圧VSGD2が印加され、ビット線BLprogに電圧VSSが印加されることにより、選択トランジスタST1はオン状態とされる。選択トランジスタST2はオフ状態とされる。この状態において、ワード線WLselに電圧VPGMが印加されることにより、ワード線WLselに接続されたメモリセルトランジスタMCはオン状態とされる。ワード線WLuselに電圧VPASSが印加されることにより、ワード線WLuselに接続されたメモリセルトランジスタMCはオン状態とされる。この結果、NANDストリングNSprogのチャネルは、ビット線BLprogと電気的に接続される。従って、チャネル電圧Vch(prog)は、電圧VSSとなる。NANDストリングNSprogでは、ワード線Wselに接続されたメモリセルトランジスタMCの電荷蓄積層に、チャネル及びワード線WLsel間の電圧差に基づいてチャネルから電子が注入される。これにより、ワード線Wselに接続されたメモリセルトランジスタMCの閾値電圧は上昇する。
【0086】
NANDストリングNSinhでは、選択ゲート線SGDselに電圧VSGD2が印加され、ビット線BLinhに電圧VBL2が印加されることにより、選択トランジスタST1はオフ状態とされる。選択トランジスタST1及びST2がオフ状態とされることにより、NANDストリングNSinhのチャネルは、フローティング状態になる。この結果、チャネル電圧Vch(inh)は、チャネル及びワード線WLusel間のカップリングによって電圧VBTに上昇する(以下、「セルフブースト」と呼ぶ)。NANDストリングNSinhでは、セルフブーストによってチャネル及びワード線WLsel間の電圧差がNANDストリングNSprogよりも小さいため、ワード線WLselに接続されたメモリセルトランジスタMCの閾値電圧の上昇は抑制される。
【0087】
非選択のストリングユニットSUにおいても選択トランジスタST1及びST2がオフ状態とされる。このため、NANDストリングNSinhと同様に、セルフブーストによってワード線WLselに接続されたメモリセルトランジスタMCの閾値電圧の上昇は抑制される。
【0088】
時刻t8において、ロウデコーダモジュール15は、選択ゲート線SGDsel、並びにワード線WLsel及びWLuselのそれぞれに電圧VSSを印加する。センスアンプモジュール16は、ビット線BLinhに電圧VSSを印加する。ソース線ドライバ17は、ソース線SLに電圧VSSを印加する。これにより、プログラム動作は終了する。
【0089】
時刻t8から時刻t9までの期間は、プログラムリカバリ動作である。選択トランジスタST1及びST2、並びにメモリセルトランジスタMC0~MC7のそれぞれがオフ状態とされることにより、NANDストリングNSprog、NANDストリングNSinh、及び非選択ストリングユニットSU内のNANDストリングNSのチャネル電圧は、電圧VSSとなる。
【0090】
[1-3]効果
本実施形態に係る構成では、i回目のプログラムループにおいて、ベリファイ動作の後にベリファイ動作と連続してチャネルプリチャージ動作を実行する。チャネルプリチャージ動作では、選択トランジスタST2をオンさせた状態で、選択ゲート線SGDselの電圧を、ベリファイ動作で印加された電圧VSGD1から電圧VSSに変化させる。選択ゲート線SGDuselの電圧を、ベリファイ動作で印加された電圧VSSから電圧VSGD1に変化させた後、電圧VSGD1から電圧VSSに変化させる。更に、ワード線WLselの電圧を、ベリファイ動作で印加された電圧VFY1から電圧VREADに変化させた後、電圧VREADから電圧VSSに変化させる。ワード線WLuselの電圧を、ベリファイ動作で印加された電圧VREADから電圧VSSに変化させる。選択ゲート線SGDsel及びSGDusel、並びにワード線WLsel及びWLuselのそれぞれの電圧を電圧VSSに変化させた後、選択ゲート線SGSの電圧を、ベリファイ動作で印加された電圧VSGS1から電圧VSSに変化させる。これらの制御により、チャネル電圧Vch(inh)がソース線SLの電圧にプリチャージされる。すなわち、選択ゲート線SGDsel及びSGDusel、並びにワード線WLsel及びWLuselのそれぞれの電圧を、ベリファイ動作で印加された電圧から電圧VSSに変化させている間に、チャネル電圧Vch(inh)をプリチャージすることができる。よって、書き込み動作が実行される時間を削減することができ、半導体記憶装置1の動作を高速化できる。
【0091】
チャネル電圧Vch(inh)をプリチャージした後にワード線WLsel及びWLuselのそれぞれの電圧を電圧VSSに変化させると、電圧VSSに変化させた影響によりプリチャージされたチャネル電圧Vch(inh)が低下する場合がある。しかし、本実施形態に係る構成では、ワード線WLsel及びWLuselのそれぞれの電圧が電圧VSSに変化した後に、チャネル電圧Vch(inh)のプリチャージが終了する。このため、チャネル電圧Vch(inh)をプリチャージした後にワード線WLsel及びWLuselのそれぞれの電圧を電圧VSSに変化させなくてもよい。よって、プリチャージされたチャネル電圧Vch(inh)の低下を抑制することができ、ブースト効率(プリチャージ後のチャネル電圧Vch(inh)/ワード線WLuselの電圧VPASS)を向上できる。
【0092】
[2]第2実施形態
第2実施形態について説明する。本実施形態に係る半導体記憶装置1は、第1実施形態と同じ構成を有する。書き込み動作を示すフローチャートは、第1実施形態で示した図4と同じである。本実施形態に係る半導体記憶装置1は、チャネルプリチャージ動作時に、選択ゲート線SGSの電圧を、ベリファイ動作で印加された電圧VSGS1から2段階で電圧VSSに変化させる点において、第1実施形態と異なる。以下では、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0093】
[2-1]書き込み動作時の各種配線等の電圧
書き込み動作時の各種配線等の電圧について、図7を用いて説明する。図7は、本実施形態に係る半導体記憶装置1の書き込み動作時の各種配線等の電圧を示すタイミングチャートである。
【0094】
以下では、シーケンサ13がi回目(iは1以上の自然数)のプログラムループにおいて、ベリファイ動作の後にベリファイ動作と連続してチャネルプリチャージ動作を実行する場合について説明する。なお、チャネルプリチャージ動作では、メモリセルトランジスタMC6及びMC7に対して書き込みが行われ、メモリセルトランジスタMC0~MC5に対して書き込みが行われていない状態で、チャネルにソース線SLから電圧をプリチャージする場合を例に挙げて説明する。以下では、説明を簡略化するため、メモリセルトランジスタMC6及びMC7の閾値電圧が正の電圧である場合について説明する。
【0095】
i回目のプログラムループにおいて、プログラム動作が実行された後、第1実施形態において図5で示した時刻t1から時刻t3までの期間と同様に、各種配線等の電圧が制御され、ベリファイ動作が実行される。ベリファイ動作が実行された後、チャネルプリチャージ動作が実行される。チャネルプリチャージ動作時の各種配線等の電圧の制御は、以下の通りである。
【0096】
(チャネルプリチャージ動作)
時刻t3から時刻t4までの期間において、各種配線の電圧は、第1実施形態と同様である。時刻t4から時刻t5までの期間において、ロウデコーダモジュール15は、選択ゲート線SGSに電圧VSGS2を印加する。電圧VSGS2は、選択トランジスタST2をオン状態にする電圧である。電圧VSGS2は、電圧VSSよりも高く且つ電圧VSGS1よりも低い電圧である。なお、電圧VSGS2は、電圧VSGS1と同じ電圧でもよく、電圧VSGS1よりも高い電圧でもよい。その他の配線の電圧は、第1実施形態と同様である。
【0097】
時刻t4から時刻t5までの期間に、選択ゲート線SGDsel及びSGDusel、ワード線WLsel及びWLusel、並びにビット線BLprogのそれぞれの電圧は、電圧VSSに変化する。選択ゲート線SGSの電圧は、電圧VSGS2に変化する。
【0098】
NANDストリングNSprogでは、選択ゲート線SGDselに電圧VSSが印加されることにより、選択トランジスタST1はオフ状態とされる。選択ゲート線SGSに電圧VSGS2が印加されることにより、選択トランジスタST2はオン状態とされる。ワード線WLsel及びWLuselのそれぞれに電圧VSSが印加されることにより、書き込みが行われていないメモリセルトランジスタMC0~MC5のそれぞれはオン状態とされ、書き込みが行われたメモリセルトランジスタMC6及びMC7のそれぞれはオフ状態とされる。この結果、NANDストリングNSprogでは、電圧VCS2がソース線SLから選択トランジスタST2及びメモリセルトランジスタMC0~MC5のそれぞれのチャネルに印加される。これにより、チャネル電圧Vch(prog)は、電圧VCS2にプリチャージされる。
【0099】
NANDストリングNSinhでは、NANDストリングNSprogと同様に、選択トランジスタST1及び書き込みが行われたメモリセルトランジスタMC6及びMC7のそれぞれがオフ状態とされ、選択トランジスタST2及び書き込みが行われていないメモリセルトランジスタMC0~MC5のそれぞれがオン状態とされる。このため、NANDストリングNSinhでは、電圧VCS2がソース線SLから選択トランジスタST2及びメモリセルトランジスタMC0~MC5のそれぞれのチャネルに印加される。これにより、チャネル電圧Vch(inh)は、電圧VCS2にプリチャージされる。
【0100】
非選択ストリングユニットSU内のNANDストリングNSでは、選択ゲート線SGDuselに電圧VSSが印加されることにより、選択トランジスタST1はオフ状態とされる。また、選択トランジスタST2はオン状態とされる。このため、非選択ストリングユニットSU内のNANDストリングNSのチャネル電圧も電圧VCS2にプリチャージされる。
【0101】
チャネルプリチャージ動作が実行された後、時刻t5から時刻t9までの期間に、第1実施形態において図5で示した時刻t5から時刻t9までの期間と同様に、各種配線等の電圧が制御され、チャネルプリチャージリカバリ動作、プログラム動作、及びプログラムリカバリ動作が実行される。
【0102】
[2-2]効果
本実施形態に係る構成によれば、第1実施形態と同様の効果を奏する。また、本実施形態に係る構成では、チャネルプリチャージ動作において、選択ゲート線SGDsel及びSGDusel、並びにワード線WLsel及びWLuselのそれぞれに電圧VSSを印加するとともに、選択ゲート線SGSの電圧の、ベリファイ動作で印加された電圧VSGS1から電圧VSGS2への電圧の変化を開始する。このため、電圧VSGS2が電圧VSGS1よりも低い場合、選択ゲート線SGSは放電される。この場合、選択ゲート線SGSが電圧VSGS2から電圧VSSに変化するスピードを速くすることができる。他方で、電圧VSGS2が電圧VSGS1よりも高い場合、選択ゲート線SGSは充電される。この場合、チャネルの充電を強化することができる。
【0103】
[3]第3実施形態
第3実施形態について説明する。本実施形態に係る半導体記憶装置1は、第1実施形態と同じ構成を有する。書き込み動作を示すフローチャートは、第1実施形態で示した図4と同じである。本実施形態に係る半導体記憶装置1は、チャネルプリチャージ動作時に、ワード線WLsel及びWLuselのそれぞれの電圧を、電圧VSSよりも高い電圧に変化させる点において、第1実施形態と異なる。以下では、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0104】
[3-1]書き込み動作時の各種配線等の電圧
書き込み動作時の各種配線等の電圧について、図8を用いて説明する。図8は、本実施形態に係る半導体記憶装置1の書き込み動作時の各種配線等の電圧を示すタイミングチャートである。
【0105】
以下では、シーケンサ13がi回目(iは1以上の自然数)のプログラムループにおいて、ベリファイ動作の後にベリファイ動作と連続してチャネルプリチャージ動作を実行する場合について説明する。なお、チャネルプリチャージ動作では、メモリセルトランジスタMC6及びMC7に対して書き込みが行われ、メモリセルトランジスタMC0~MC5に対して書き込みが行われていない状態で、チャネルにソース線SLから電圧をプリチャージする場合を例に挙げて説明する。以下では、説明を簡略化するため、メモリセルトランジスタMC6及びMC7の閾値電圧が正の電圧である場合について説明する。
【0106】
i回目のプログラムループにおいて、プログラム動作が実行された後、第1実施形態において図5で示した時刻t1から時刻t3までの期間と同様に、各種配線等の電圧が制御され、ベリファイ動作が実行される。ベリファイ動作が実行された後、チャネルプリチャージ動作が実行される。チャネルプリチャージ動作時の各種配線等の電圧の制御は、以下の通りである。
【0107】
(チャネルプリチャージ動作)
時刻t3から時刻t4までの期間において、各種配線の電圧は、第1実施形態と同様である。時刻t4から時刻t5までの期間において、ロウデコーダモジュール15は、ワード線WLselに電圧VWLsを印加する。ロウデコーダモジュール15は、ワード線WLuselに電圧VWLuを印加する。電圧VWLs及びVWLuのそれぞれは、書き込みが行われたメモリセルトランジスタMCをオン状態にし、且つ書き込みが行われていないメモリセルトランジスタMCをオフ状態にする電圧である。電圧VWLs及びVWLuのそれぞれは、電圧VSSよりも高い電圧である。電圧VWLuは、電圧VWLsと同じ電圧でもよいし、電圧VWLsと異なる電圧でもよい。その他の配線の電圧は、第1実施形態と同様である。
【0108】
時刻t4から時刻t5までの期間に、選択ゲート線SGDsel及びSGDusel、並びにビット線BLprogのそれぞれの電圧は、電圧VSSに変化する。ワード線WLselの電圧は、電圧VWLsに変化する。ワード線WLuselの電圧は、電圧VWLuに変化する。
【0109】
NANDストリングNSprogでは、選択ゲート線SGDselに電圧VSSが印加されることにより、選択トランジスタST1はオフ状態とされる。選択ゲート線SGSに電圧VSGS1が印加されることにより、選択トランジスタST2はオン状態とされる。ワード線WLselに電圧VWLsが印加され、ワード線WLuselに電圧VWLuが印加されることにより、書き込みが行われていないメモリセルトランジスタMC0~MC5のそれぞれはオン状態とされ、書き込みが行われたメモリセルトランジスタMC6及びMC7のそれぞれはオフ状態とされる。この結果、NANDストリングNSprogでは、電圧VCS2がソース線SLから選択トランジスタST2及びメモリセルトランジスタMC0~MC5のそれぞれのチャネルに印加される。これにより、チャネル電圧Vch(prog)は、電圧VCS2にプリチャージされる。
【0110】
NANDストリングNSinhでは、NANDストリングNSprogと同様に、選択トランジスタST1及び書き込みが行われたメモリセルトランジスタMC6及びMC7のそれぞれがオフ状態とされ、選択トランジスタST2及び書き込みが行われていないメモリセルトランジスタMC0~MC5のそれぞれがオン状態とされる。このため、NANDストリングNSinhでは、電圧VCS2がソース線SLから選択トランジスタST2及びメモリセルトランジスタMC0~MC5のそれぞれのチャネルに印加される。これにより、チャネル電圧Vch(inh)は、電圧VCS2にプリチャージされる。
【0111】
非選択ストリングユニットSU内のNANDストリングNSでは、選択ゲート線SGDuselに電圧VSSが印加されることにより、選択トランジスタST1はオフ状態とされる。また、選択トランジスタST2はオン状態とされる。このため、非選択ストリングユニットSU内のNANDストリングNSのチャネル電圧も電圧VCS2にプリチャージされる。
【0112】
チャネルプリチャージ動作が実行された後、時刻t5から時刻t9までの期間に、第1実施形態において図5で示した時刻t5から時刻t9までの期間と同様に、各種配線等の電圧が制御され、チャネルプリチャージリカバリ動作、プログラム動作、及びプログラムリカバリ動作が実行される。
【0113】
[3-2]効果
本実施形態に係る構成によれば、第1実施形態と同様の効果を奏する。また、本実施形態に係る構成では、チャネルプリチャージ動作において、選択トランジスタST2をオンさせた状態で、選択ゲート線SGDselの電圧を、ベリファイ動作で印加された電圧VSGD1から電圧VSSに変化させる。選択ゲート線SGDuselの電圧を、ベリファイ動作で印加された電圧VSSから電圧VSGD1に変化させた後、電圧VSGD1から電圧VSSに変化させる。更に、ワード線WLselの電圧を、ベリファイ動作で印加された電圧VFY1から電圧VREADに変化させた後、電圧VREADから電圧VWLs(>電圧VSS)に変化させる。ワード線WLuselの電圧を、ベリファイ動作で印加された電圧VREADから電圧VWLu(>電圧VSS)に変化させる。この電圧変化後のワード線WLsel及びWLuselの電圧は、電圧VSSよりも高い電圧になる。このため、NANDストリングNSのチャネルの充電のスピードを速くすることができる。また、ワード線WLsel及びWLuselの電圧を電圧VSSに変化させなくてもよい。このため、ワード線WLselの電圧が電圧VREADから電圧VWLsに変化するまでの時間、及びWLuselの電圧が電圧VREADから電圧VWLuに変化するまでの時間を削減することができる。更に、次のプログラム動作における電圧VPASS及び電圧VPGMの昇圧時間を短縮できる。
【0114】
もちろん、本実施形態に係る半導体記憶装置1は、第2実施形態に適用することもできる。
【0115】
[4]第4実施形態
第4実施形態について説明する。本実施形態に係る半導体記憶装置1は、第1実施形態と同じ構成を有する。書き込み動作を示すフローチャートは、第1実施形態で示した図4と同じである。本実施形態に係る半導体記憶装置1は、チャネルプリチャージ動作時に、ソース線SLの電圧を電圧VCS1から電圧VCS2まで昇圧する点において、第1実施形態と異なる。以下では、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0116】
[4-1]書き込み動作時の各種配線等の電圧
書き込み動作時の各種配線等の電圧について、図9を用いて説明する。図9は、本実施形態に係る半導体記憶装置1の書き込み動作時の各種配線等の電圧を示すタイミングチャートである。
【0117】
以下では、シーケンサ13がi回目(iは1以上の自然数)のプログラムループにおいて、ベリファイ動作の後にベリファイ動作と連続してチャネルプリチャージ動作を実行する場合について説明する。なお、チャネルプリチャージ動作では、メモリセルトランジスタMC6及びMC7に対して書き込みが行われ、メモリセルトランジスタMC0~MC5に対して書き込みが行われていない状態で、チャネルにソース線SLから電圧をプリチャージする場合を例に挙げて説明する。以下では、説明を簡略化するため、メモリセルトランジスタMC6及びMC7の閾値電圧が正の電圧である場合について説明する。
【0118】
i回目のプログラムループにおいて、プログラム動作が実行された後、第1実施形態において図5で示した時刻t1から時刻t3までの期間と同様に、各種配線等の電圧が制御され、ベリファイ動作が実行される。ベリファイ動作が実行された後、チャネルプリチャージ動作が実行される。チャネルプリチャージ動作時の各種配線等の電圧の制御は、以下の通りである。
【0119】
(チャネルプリチャージ動作)
時刻t3から時刻t4までの期間において、各種配線の電圧は、第1実施形態と同様である。時刻t4から時刻t5までの期間において、ソース線ドライバ17は、ソース線SLに電圧VCS2を印加する。本実施形態では、電圧VCS2は、電圧VCS1よりも高い電圧である。その他の配線の電圧は、第1実施形態と同様である。
【0120】
時刻t4から時刻t5までの期間に、選択ゲート線SGDsel及びSGDusel、ワード線WLsel及びWLusel、並びにビット線BLprogのそれぞれの電圧は、電圧VSSに変化する。
【0121】
NANDストリングNSprogでは、選択ゲート線SGDselに電圧VSSが印加されることにより、選択トランジスタST1はオフ状態とされる。選択ゲート線SGSに電圧VSGS1が印加されることにより、選択トランジスタST2はオン状態とされる。ワード線WLsel及びWLuselのそれぞれに電圧VSSが印加されることにより、書き込みが行われていないメモリセルトランジスタMC0~MC5のそれぞれはオン状態とされ、書き込みが行われたメモリセルトランジスタMC6及びMC7のそれぞれはオフ状態とされる。この結果、NANDストリングNSprogでは、電圧VCS2がソース線SLから選択トランジスタST2及びメモリセルトランジスタMC0~MC5のそれぞれのチャネルに印加される。これにより、チャネル電圧Vch(prog)は、電圧VCS2にプリチャージされる。
【0122】
NANDストリングNSinhでは、NANDストリングNSprogと同様に、選択トランジスタST1及び書き込みが行われたメモリセルトランジスタMC6及びMC7のそれぞれがオフ状態とされ、選択トランジスタST2及び書き込みが行われていないメモリセルトランジスタMC0~MC5のそれぞれがオン状態とされる。このため、NANDストリングNSinhでは、電圧VCS2がソース線SLから選択トランジスタST2及びメモリセルトランジスタMC0~MC5のそれぞれのチャネルに印加される。これにより、チャネル電圧Vch(inh)は、電圧VCS2にプリチャージされる。
【0123】
非選択ストリングユニットSU内のNANDストリングNSでは、選択ゲート線SGDuselに電圧VSSが印加されることにより、選択トランジスタST1はオフ状態とされる。また、選択トランジスタST2はオン状態とされる。このため、非選択ストリングユニットSU内のNANDストリングNSのチャネル電圧も電圧VCS2にプリチャージされる。
【0124】
時刻t5において、ロウデコーダモジュール15は、選択ゲート線SGSに電圧VSSを印加する。選択トランジスタST2がオフ状態とされることにより、NANDストリングNSprog、NANDストリングNSinh、及び非選択ストリングユニットSU内のNANDストリングNSのチャネルは、フローティング状態になり、チャネルプリチャージ動作は終了する。なお、NANDストリングNSprog、NANDストリングNSinh、及び非選択ストリングユニットSU内のNANDストリングNSのチャネル電圧は、電圧VCS2に維持される。
【0125】
時刻t5から時刻t7までの期間は、プリチャージリカバリ動作である。時刻t6において、ソース線ドライバ17は、ソース線SLに電圧VCS3を印加する。電圧VCS3は、電圧VSSよりも高く且つ電圧VCS2よりも低い電圧である。選択トランジスタST2がオフ状態とされることにより、NANDストリングNSprog、NANDストリングNSinh、及び非選択ストリングユニットSU内のNANDストリングNSのチャネルは、フローティング状態に維持される。これにより、NANDストリングNSprog、NANDストリングNSinh、及び非選択ストリングユニットSU内のNANDストリングNSのチャネル電圧は、電圧VCS2に維持される。
【0126】
プリチャージリカバリ動作が実行された後、i+1回目のプログラムループにおいて、時刻t7から時刻t10までの期間に、第1実施形態において図5で示した時刻t6から時刻t9までの期間と同様に、各種配線等の電圧が制御され、プログラム動作及びプログラムリカバリ動作が実行される。
【0127】
[4-2]効果
本実施形態に係る構成によれば、第1実施形態と同様の効果を奏する。また、本実施形態に係る構成では、チャネルプリチャージ動作において、選択トランジスタST2をオンさせた状態で、選択ゲート線SGDsel及びSGDusel、並びにワード線WLsel及びWLuselのそれぞれに電圧VSSを印加するとともに、ソース線SLの電圧を電圧VCS1から電圧VCS2まで昇圧する。このため、各NANDストリングNSのチャネルにプリチャージされる電圧を調整することができる。
【0128】
もちろん、本実施形態に係る半導体記憶装置1は、第2実施形態及び第3実施形態に適用することもできる。
【0129】
[5]第5実施形態
第5実施形態について説明する。本実施形態に係る半導体記憶装置1は、第1実施形態と同じ構成を有する。本実施形態に係る半導体記憶装置1は、NANDストリングNS内で、選択トランジスタST2側に設けられたメモリセルトランジスタMCから選択トランジスタST1側に設けられたメモリセルトランジスタMCに向かって順に書き込み動作を実行する。言い換えると、本実施形態に係る半導体記憶装置1は、各ストリングユニットSUにおいて、ソース線SL側のセルユニットCUから順番に書き込み動作を実行する。また、本実施形態に係る半導体記憶装置1は、各NANDストリングNSにおいて、チャネルにビット線BLから電圧をプリチャージする。以下では、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0130】
[5-1]書き込み動作の概要
書き込み動作の概要について説明する。書き込み動作を示すフローチャートは、第1実施形態で示した図4と同じである。
【0131】
[5-2]書き込み動作時の各種配線等の電圧
書き込み動作時の各種配線等の電圧について、図10を用いて説明する。図10は、本実施形態に係る半導体記憶装置1の書き込み動作時の各種配線等の電圧を示すタイミングチャートである。
【0132】
以下では、シーケンサ13がi回目(iは1以上の自然数)のプログラムループにおいて、ベリファイ動作の後にベリファイ動作と連続してチャネルプリチャージ動作を実行する場合について説明する。なお、チャネルプリチャージ動作では、メモリセルトランジスタMC0及びMC1に対して書き込みが行われ、メモリセルトランジスタMC2~MC7に対して書き込みが行われていない状態で、チャネルにビット線BLから電圧をプリチャージする場合を例に挙げて説明する。以下では、説明を簡略化するため、メモリセルトランジスタMC0及びMC1の閾値電圧が正の電圧である場合について説明する。
【0133】
i回目のプログラムループにおいて、プログラム動作が実行された後、第1実施形態において図5で示した時刻t1から時刻t3までの期間と同様に、各種配線等の電圧が制御され、ベリファイ動作が実行される。ベリファイ動作が実行された後、チャネルプリチャージ動作が実行される。チャネルプリチャージ動作時の各種配線等の電圧の制御は、以下の通りである。
【0134】
(チャネルプリチャージ動作)
時刻t3から時刻t4までの期間において、各種配線の電圧は、第1実施形態と同様である。時刻t4から時刻t5までの期間において、ロウデコーダモジュール15は、選択ゲート線SGDsel及び選択ゲート線SGDuselのそれぞれに電圧VSGD1を印加する。また、ロウデコーダモジュール15は、選択ゲート線SGSに電圧VSSを印加する。その他の配線の電圧は、第1実施形態と同様である。
【0135】
時刻t4から時刻t5までの期間に、ワード線WLsel及びWLusel、選択ゲート線SGS、並びにビット線BLprogのそれぞれの電圧は、電圧VSSに変化する。
【0136】
ここで、チャネルプリチャージ動作時のNANDストリングNSの様子について、図11を用いて説明する。図11は、本実施形態に係る半導体記憶装置1に含まれるメモリセルアレイ10内の2つのNANDストリングNSの回路図である。図11は、一例として、NANDストリングNSprogと、NANDストリングNSinhとを示している。
【0137】
図11に示すように、NANDストリングNSprogでは、選択ゲート線SGDselに電圧VSGD1が印加されることにより、選択トランジスタST1はオン状態とされる。選択ゲート線SGSに電圧VSSが印加されることにより、選択トランジスタST2はオフ状態とされる。ワード線WLsel及びWLuselのそれぞれに電圧VSSが印加されることにより、書き込みが行われていないメモリセルトランジスタMC2~MC7のそれぞれはオン状態とされ、書き込みが行われたメモリセルトランジスタMC0及びMC1のそれぞれはオフ状態とされる。この結果、NANDストリングNSprogでは、電圧VSSがビット線BLprogから選択トランジスタST1及びメモリセルトランジスタMC2~MC7のそれぞれのチャネルに印加される。これにより、チャネル電圧Vch(prog)は、電圧VSSにプリチャージされる。
【0138】
NANDストリングNSinhでは、NANDストリングNSprogと同様に、選択トランジスタST2及び書き込みが行われたメモリセルトランジスタMC0及びMC1のそれぞれがオフ状態とされ、選択トランジスタST1及び書き込みが行われていないメモリセルトランジスタMC2~MC7のそれぞれがオン状態とされる。このため、NANDストリングNSinhでは、電圧VBL2がビット線BLinhから選択トランジスタST1及びメモリセルトランジスタMC2~MC7のそれぞれのチャネルに印加される。これにより、チャネル電圧Vch(inh)は、電圧VBL2にプリチャージされる。
【0139】
非選択ストリングユニットSU内のNANDストリングNSでは、選択ゲート線SGSに電圧VSSが印加されることにより、選択トランジスタST2はオフ状態とされる。また、選択トランジスタST1はオン状態とされる。このため、非選択ストリングユニットSU内のビット線BLprogに接続されたNANDストリングNSのチャネル電圧も電圧VSSにプリチャージされる。非選択ストリングユニットSU内のビット線BLinhに接続されたNANDストリングNSのチャネル電圧も電圧VBL2にプリチャージされる。
【0140】
なお、チャネルプリチャージ動作は、ビット線BLprog及びBLinhのそれぞれから、書き込みが行われていないメモリセルトランジスタMCのチャネルまでプリチャージする場合に限定されない。例えば、ワード線WLsel及びWLuselのそれぞれの電圧を制御することによって、ビット線BLprog及びBLinhのそれぞれから、書き込み(“0”プログラムまたは“1”プログラム)が行われたメモリセルトランジスタMCのチャネルまでプリチャージしてもよい。また、選択ゲート線SGS、並びにワード線WLsel及びWLuselのそれぞれの電圧を制御することによって、ビット線BLprog及びBLinhのそれぞれから選択トランジスタST2のチャネルまでプリチャージしてもよい。
【0141】
図10の時刻t5において、ロウデコーダモジュール15は、選択ゲート線SGDselに電圧VSGD2を印加する。ロウデコーダモジュール15は、選択ゲート線SGDuselに電圧VSSを印加する。NANDストリングNSinhに含まれる選択トランジスタST1、非選択ストリングユニットSUに含まれる選択トランジスタST1、及び選択トランジスタST2がオフ状態とされることにより、NANDストリングNSinh、及び非選択ストリングユニットSU内のNANDストリングNSのチャネルは、フローティング状態になり、チャネルプリチャージ動作は終了する。なお、NANDストリングNSprog、及び非選択ストリングユニットSU内のビット線BLprogに接続されたNANDストリングNSのチャネル電圧は、電圧VSSに維持される。NANDストリングNSinh、及び非選択ストリングユニットSU内のビット線BLinhに接続されたNANDストリングNSのチャネル電圧は、電圧VBL2に維持される。
【0142】
時刻t5から時刻t6までの期間は、プリチャージリカバリ動作である。NANDストリングNSinhに含まれる選択トランジスタST1、非選択ストリングユニットSUに含まれる選択トランジスタST1、及び選択トランジスタST2がオフ状態とされることにより、NANDストリングNSinh、及び非選択ストリングユニットSU内のNANDストリングNSのチャネルは、フローティング状態に維持される。これにより、NANDストリングNSprog、及び非選択ストリングユニットSU内のビット線BLprogに接続されたNANDストリングNSのチャネル電圧は、電圧VSSに維持される。NANDストリングNSinh、及び非選択ストリングユニットSU内のビット線BLinhに接続されたNANDストリングNSのチャネル電圧は、電圧VBL2に維持される。
【0143】
プリチャージリカバリ動作が実行された後、i+1回目のプログラムループにおいて、時刻t6から時刻t9までの期間に、第1実施形態において図5で示した時刻t6から時刻t9までの期間と同様に、各種配線等の電圧が制御され、プログラム動作及びプログラムリカバリ動作が実行される。
【0144】
[5-3]効果
本実施形態に係る構成では、i回目のプログラムループにおいて、ベリファイ動作の後にベリファイ動作と連続してチャネルプリチャージ動作を実行する。チャネルプリチャージ動作では、選択トランジスタST1をオンさせた状態で、ワード線WLselの電圧を、ベリファイ動作で印加された電圧VFY1から電圧VREADに変化させた後、電圧VREADから電圧VSSに変化させる。ワード線WLuselの電圧を、ベリファイ動作で印加された電圧VREADから電圧VSSに変化させる。更に、選択ゲート線SGSの電圧を、ベリファイ動作で印加された電圧VSGS1から電圧VSSに変化させる。ワード線WLsel及びWLusel、並びに選択ゲート線SGSのそれぞれの電圧を電圧VSSに変化させた後、選択ゲート線SGDselの電圧を、ベリファイ動作で印加された電圧VSGD1から電圧VSGD2に変化させ、選択ゲート線SGDuselの電圧を、電圧VSGD1から電圧VSSに変化させる。これらの制御により、チャネル電圧Vch(inh)がビット線BLinhの電圧にプリチャージされる。すなわち、ワード線WLsel及びWLusel、並びに選択ゲート線SGSのそれぞれの電圧を、ベリファイ動作で印加された電圧から電圧VSSに変化させている間に、チャネル電圧Vch(inh)をプリチャージすることができる。また、本実施形態に係る構成では、ワード線WLsel及びWLuselのそれぞれの電圧が電圧VSSに変化した後に、チャネル電圧Vch(inh)のプリチャージが終了する。よって、本実施形態に係る構成によれば、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0145】
[6]第6実施形態
第6実施形態について説明する。本実施形態に係る半導体記憶装置1は、第5実施形態と同じ構成を有する。書き込み動作を示すフローチャートは、第1実施形態で示した図4と同じである。本実施形態に係る半導体記憶装置1は、チャネルプリチャージ動作時に、選択ゲート線SGDselの電圧を、ベリファイ動作で印加された電圧VSGD1から2段階で電圧VSGD2に変化させる点において、第5実施形態と異なる。以下では、第5実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0146】
[6-1]書き込み動作時の各種配線等の電圧
書き込み動作時の各種配線等の電圧について、図12を用いて説明する。図12は、本実施形態に係る半導体記憶装置1の書き込み動作時の各種配線等の電圧を示すタイミングチャートである。
【0147】
以下では、シーケンサ13がi回目(iは1以上の自然数)のプログラムループにおいて、ベリファイ動作の後にベリファイ動作と連続してチャネルプリチャージ動作を実行する場合について説明する。なお、チャネルプリチャージ動作では、メモリセルトランジスタMC0及びMC1に対して書き込みが行われ、メモリセルトランジスタMC2~MC7に対して書き込みが行われていない状態で、チャネルにビット線BLから電圧をプリチャージする場合を例に挙げて説明する。以下では、説明を簡略化するため、メモリセルトランジスタMC0及びMC1の閾値電圧が正の電圧である場合について説明する。
【0148】
i回目のプログラムループにおいて、プログラム動作が実行された後、第5実施形態において図10で示した時刻t1から時刻t3までの期間と同様に、各種配線等の電圧が制御され、ベリファイ動作が実行される。ベリファイ動作が実行された後、チャネルプリチャージ動作が実行される。チャネルプリチャージ動作時の各種配線等の電圧の制御は、以下の通りである。
【0149】
(チャネルプリチャージ動作)
時刻t3から時刻t4までの期間において、各種配線の電圧は、第5実施形態と同様である。時刻t4から時刻t5までの期間において、ロウデコーダモジュール15は、選択ゲート線SGDselに電圧VSGD3を印加する。電圧VSGD3は、選択トランジスタST1をオン状態にする電圧である。電圧VSGD3は、電圧VSGD2よりも高く且つ電圧VSGD1よりも低い電圧である。なお、電圧VSGD3は、電圧VSGD1と同じ電圧でもよく、電圧VSGD1よりも高い電圧でもよい。その他の配線の電圧は、第5実施形態と同様である。
【0150】
時刻t4から時刻t5までの期間に、選択ゲート線SGDselの電圧は、電圧VSGD3に変化する。ワード線WLsel及びWLusel、選択ゲート線SGS、並びにビット線BLprogのそれぞれの電圧は、電圧VSSに変化する。
【0151】
NANDストリングNSprogでは、選択ゲート線SGDselに電圧VSGD3が印加されることにより、選択トランジスタST1はオン状態とされる。選択ゲート線SGSに電圧VSSが印加されることにより、選択トランジスタST2はオフ状態とされる。ワード線WLsel及びWLuselのそれぞれに電圧VSSが印加されることにより、書き込みが行われていないメモリセルトランジスタMC2~MC7のそれぞれはオン状態とされ、書き込みが行われたメモリセルトランジスタMC0及びMC1のそれぞれはオフ状態とされる。この結果、NANDストリングNSprogでは、電圧VSSがビット線BLprogから選択トランジスタST1及びメモリセルトランジスタMC2~MC7のそれぞれのチャネルに印加される。これにより、チャネル電圧Vch(prog)は、電圧VSSにプリチャージされる。
【0152】
NANDストリングNSinhでは、NANDストリングNSprogと同様に、選択トランジスタST2及び書き込みが行われたメモリセルトランジスタMC0及びMC1のそれぞれがオフ状態とされ、選択トランジスタST1及び書き込みが行われていないメモリセルトランジスタMC2~MC7のそれぞれがオン状態とされる。このため、NANDストリングNSinhでは、電圧VBL2がビット線BLinhから選択トランジスタST1及びメモリセルトランジスタMC2~MC7のそれぞれのチャネルに印加される。これにより、チャネル電圧Vch(inh)は、電圧VBL2にプリチャージされる。
【0153】
非選択ストリングユニットSU内のNANDストリングNSでは、選択ゲート線SGSに電圧VSSが印加されることにより、選択トランジスタST2はオフ状態とされる。また、選択トランジスタST1はオン状態とされる。このため、非選択ストリングユニットSU内のビット線BLprogに接続されたNANDストリングNSのチャネル電圧も電圧VSSにプリチャージされる。非選択ストリングユニットSU内のビット線BLinhに接続されたNANDストリングNSのチャネル電圧も電圧VBL2にプリチャージされる。
【0154】
チャネルプリチャージ動作が実行された後、時刻t5から時刻t9までの期間に、第5実施形態において図10で示した時刻t5から時刻t9までの期間と同様に、各種配線等の電圧が制御され、チャネルプリチャージリカバリ動作、プログラム動作、及びプログラムリカバリ動作が実行される。
【0155】
[6-2]効果
本実施形態に係る構成によれば、第5実施形態と同様の効果を奏する。また、本実施形態に係る構成では、チャネルプリチャージ動作において、ワード線WLsel及びWLusel、並びに選択ゲート線SGSのそれぞれに電圧VSSを印加するとともに、選択ゲート線SGDselの電圧の、ベリファイ動作で印加された電圧VSGD1から電圧VSGD3への電圧の変化を開始する。このため、電圧VSGD3が電圧VSGD1よりも低い場合、選択ゲート線SGDselは放電される。この場合、選択ゲート線SGDselの電圧が電圧VSGD2に変化するスピードを速くすることができる。他方で、電圧VSGD3が電圧VSGD1よりも高い場合、選択ゲート線SGDselは充電される。この場合、チャネルの充電を強化することができる。
【0156】
[7]第7実施形態
第7実施形態について説明する。本実施形態に係る半導体記憶装置1は、第5実施形態と同じ構成を有する。書き込み動作を示すフローチャートは、第1実施形態で示した図4と同じである。本実施形態に係る半導体記憶装置1は、チャネルプリチャージ動作時に、ワード線WLsel及びWLuselのそれぞれの電圧を、電圧VSSよりも高い電圧に変化させる点において、第5実施形態と異なる。以下では、第5実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0157】
[7-1]書き込み動作時の各種配線等の電圧
書き込み動作時の各種配線等の電圧について、図13を用いて説明する。図13は、本実施形態に係る半導体記憶装置1の書き込み動作時の各種配線等の電圧を示すタイミングチャートである。
【0158】
以下では、シーケンサ13がi回目(iは1以上の自然数)のプログラムループにおいて、ベリファイ動作の後にベリファイ動作と連続してチャネルプリチャージ動作を実行する場合について説明する。なお、チャネルプリチャージ動作では、メモリセルトランジスタMC0及びMC1に対して書き込みが行われ、メモリセルトランジスタMC2~MC7に対して書き込みが行われていない状態で、チャネルにビット線BLから電圧をプリチャージする場合を例に挙げて説明する。以下では、説明を簡略化するため、メモリセルトランジスタMC0及びMC1の閾値電圧が正の電圧である場合について説明する。
【0159】
i回目のプログラムループにおいて、プログラム動作が実行された後、第5実施形態において図10で示した時刻t1から時刻t3までの期間と同様に、各種配線等の電圧が制御され、ベリファイ動作が実行される。ベリファイ動作が実行された後、チャネルプリチャージ動作が実行される。チャネルプリチャージ動作時の各種配線等の電圧の制御は、以下の通りである。
【0160】
(チャネルプリチャージ動作)
時刻t3から時刻t4までの期間において、各種配線の電圧は、第5実施形態と同様である。時刻t4から時刻t5までの期間において、ロウデコーダモジュール15は、ワード線WLselに電圧VWLsを印加する。ロウデコーダモジュール15は、ワード線WLuselに電圧VWLuを印加する。その他の配線の電圧は、第5実施形態と同様である。
【0161】
時刻t4から時刻t5までの期間に、ワード線WLselは、電圧VWLsに変化する。ワード線WLuselは、電圧VWLuに変化する。選択ゲート線SGS及びビット線BLprogのそれぞれの電圧は、電圧VSSに変化する。
【0162】
NANDストリングNSprogでは、選択ゲート線SGDselに電圧VSGD1が印加されることにより、選択トランジスタST1はオン状態とされる。選択ゲート線SGSに電圧VSSが印加されることにより、選択トランジスタST2はオフ状態とされる。ワード線WLselに電圧VWLsが印加され、ワード線WLuselに電圧VWLuが印加されることにより、書き込みが行われていないメモリセルトランジスタMC2~MC7のそれぞれはオン状態とされ、書き込みが行われたメモリセルトランジスタMC0及びMC1のそれぞれはオフ状態とされる。この結果、NANDストリングNSprogでは、電圧VSSがビット線BLprogから選択トランジスタST1及びメモリセルトランジスタMC2~MC7のそれぞれのチャネルに印加される。これにより、チャネル電圧Vch(prog)は、電圧VSSにプリチャージされる。
【0163】
NANDストリングNSinhでは、NANDストリングNSprogと同様に、選択トランジスタST2及び書き込みが行われたメモリセルトランジスタMC0及びMC1のそれぞれがオフ状態とされ、選択トランジスタST1及び書き込みが行われていないメモリセルトランジスタMC2~MC7のそれぞれがオン状態とされる。このため、NANDストリングNSinhでは、電圧VBL2がビット線BLinhから選択トランジスタST1及びメモリセルトランジスタMC2~MC7のそれぞれのチャネルに印加される。これにより、チャネル電圧Vch(inh)は、電圧VBL2にプリチャージされる。
【0164】
非選択ストリングユニットSU内のNANDストリングNSでは、選択ゲート線SGSに電圧VSSが印加されることにより、選択トランジスタST2はオフ状態とされる。また、選択トランジスタST1はオン状態とされる。このため、非選択ストリングユニットSU内のビット線BLprogに接続されたNANDストリングNSのチャネル電圧も電圧VSSにプリチャージされる。非選択ストリングユニットSU内のビット線BLinhに接続されたNANDストリングNSのチャネル電圧も電圧VBL2にプリチャージされる。
【0165】
チャネルプリチャージ動作が実行された後、時刻t5から時刻t9までの期間に、第5実施形態において図10で示した時刻t5から時刻t9までの期間と同様に、各種配線等の電圧が制御され、チャネルプリチャージリカバリ動作、プログラム動作、及びプログラムリカバリ動作が実行される。
【0166】
[7-2]効果
本実施形態に係る構成によれば、第5実施形態と同様の効果を奏する。また、本実施形態に係る構成では、チャネルプリチャージ動作において、選択トランジスタST1をオンさせた状態で、ワード線WLselの電圧を、ベリファイ動作で印加された電圧VFY1から電圧VREADに変化させた後、電圧VREADから電圧VWLs(>VSS)に変化させる。ワード線WLuselの電圧を、ベリファイ動作で印加された電圧VREADから電圧VWLu(>VSS)に変化させる。更に、選択ゲート線SGSの電圧を、ベリファイ動作で印加された電圧VSGS1から電圧VSSに変化させる。この電圧変化後のワード線WLsel及びWLuselの電圧は、電圧VSSよりも高い電圧になる。また、ワード線WLsel及びWLuselの電圧を電圧VSSに変化させなくてもよい。よって、本実施形態に係る構成によれば、第3実施形態と同様の効果を奏する。
【0167】
もちろん、本実施形態に係る半導体記憶装置1は、第6実施形態に適用することもできる。
【0168】
[8]第8実施形態
第8実施形態について説明する。本実施形態に係る半導体記憶装置1は、第5実施形態と同じ構成を有する。書き込み動作を示すフローチャートは、第1実施形態で示した図4と同じである。本実施形態に係る半導体記憶装置1は、チャネルプリチャージ動作時に、ビット線BLinhの電圧を電圧VBL1から電圧VBL2まで昇圧する点において、第5実施形態と異なる。以下では、第5実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0169】
[8-1]書き込み動作時の各種配線等の電圧
書き込み動作時の各種配線等の電圧について、図14を用いて説明する。図14は、本実施形態に係る半導体記憶装置1の書き込み動作時の各種配線等の電圧を示すタイミングチャートである。
【0170】
以下では、シーケンサ13がi回目(iは1以上の自然数)のプログラムループにおいて、ベリファイ動作の後にベリファイ動作と連続してチャネルプリチャージ動作を実行する場合について説明する。なお、チャネルプリチャージ動作では、メモリセルトランジスタMC0及びMC1に対して書き込みが行われ、メモリセルトランジスタMC2~MC7に対して書き込みが行われていない状態で、チャネルにビット線BLから電圧をプリチャージする場合を例に挙げて説明する。以下では、説明を簡略化するため、メモリセルトランジスタMC0及びMC1の閾値電圧が正の電圧である場合について説明する。
【0171】
i回目のプログラムループにおいて、プログラム動作が実行された後、第5実施形態において図10で示した時刻t1から時刻t3までの期間と同様に、各種配線等の電圧が制御され、ベリファイ動作が実行される。ベリファイ動作が実行された後、チャネルプリチャージ動作が実行される。チャネルプリチャージ動作時の各種配線等の電圧の制御は、以下の通りである。
【0172】
(チャネルプリチャージ動作)
時刻t3から時刻t4までの期間において、各種配線の電圧は、第5実施形態と同様である。時刻t4から時刻t5までの期間において、センスアンプモジュール16は、ビット線BLinhに電圧VBL2を印加する。本実施形態では、電圧VBL2は、電圧VBL1よりも高い電圧である。その他の配線の電圧は、第5実施形態と同様である。
【0173】
時刻t4から時刻t5までの期間に、ワード線WLsel及びWLusel、選択ゲート線SGS、並びにビット線BLprogのそれぞれの電圧は、電圧VSSに変化する。
【0174】
NANDストリングNSprogでは、選択ゲート線SGDselに電圧VSGD1が印加されることにより、選択トランジスタST1はオン状態とされる。選択ゲート線SGSに電圧VSSが印加されることにより、選択トランジスタST2はオフ状態とされる。ワード線WLsel及びWLuselのそれぞれに電圧VSSが印加されることにより、書き込みが行われていないメモリセルトランジスタMC2~MC7のそれぞれはオン状態とされ、書き込みが行われたメモリセルトランジスタMC0及びMC1のそれぞれはオフ状態とされる。この結果、NANDストリングNSprogでは、電圧VSSがビット線BLprogから選択トランジスタST1及びメモリセルトランジスタMC2~MC7のそれぞれのチャネルに印加される。これにより、チャネル電圧Vch(prog)は、電圧VSSにプリチャージされる。
【0175】
NANDストリングNSinhでは、NANDストリングNSprogと同様に、選択トランジスタST2及び書き込みが行われたメモリセルトランジスタMC0及びMC1のそれぞれがオフ状態とされ、選択トランジスタST1及び書き込みが行われていないメモリセルトランジスタMC2~MC7のそれぞれがオン状態とされる。このため、NANDストリングNSinhでは、電圧VBL2がビット線BLinhから選択トランジスタST1及びメモリセルトランジスタMC2~MC7のそれぞれのチャネルに印加される。これにより、チャネル電圧Vch(inh)は、電圧VBL2にプリチャージされる。
【0176】
非選択ストリングユニットSU内のNANDストリングNSでは、選択ゲート線SGSに電圧VSSが印加されることにより、選択トランジスタST2はオフ状態とされる。また、選択トランジスタST1はオン状態とされる。このため、非選択ストリングユニットSU内のビット線BLprogに接続されたNANDストリングNSのチャネル電圧も電圧VSSにプリチャージされる。非選択ストリングユニットSU内のビット線BLinhに接続されたNANDストリングNSのチャネル電圧も電圧VBL2にプリチャージされる。
【0177】
時刻t5において、ロウデコーダモジュール15は、選択ゲート線SGDselに電圧VSGD2を印加する。ロウデコーダモジュール15は、選択ゲート線SGDuselに電圧VSSを印加する。NANDストリングNSinhに含まれる選択トランジスタST1、非選択ストリングユニットSUに含まれる選択トランジスタST1、及び選択トランジスタST2がオフ状態とされることにより、NANDストリングNSinh、及び非選択ストリングユニットSU内のNANDストリングNSのチャネルは、フローティング状態になり、チャネルプリチャージ動作は終了する。なお、NANDストリングNSprog、及び非選択ストリングユニットSU内のビット線BLprogに接続されたNANDストリングNSのチャネル電圧は、電圧VSSに維持される。NANDストリングNSinh、及び非選択ストリングユニットSU内のビット線BLinhに接続されたNANDストリングNSのチャネル電圧は、電圧VBL2に維持される。
【0178】
時刻t5から時刻t7までの期間は、プリチャージリカバリ動作である。時刻t6において、ロウデコーダモジュール15は、ビット線BLinhに電圧VBL3を印加する。電圧VBL3は、電圧VSSよりも高く且つ電圧VBL2よりも低い電圧である。選択トランジスタST2がオフ状態とされることにより、NANDストリングNSinh、及び非選択ストリングユニットSU内のNANDストリングNSのチャネルは、フローティング状態に維持される。これにより、NANDストリングNSprog、及び非選択ストリングユニットSU内のビット線BLprogに接続されたNANDストリングNSのチャネル電圧は、電圧VSSに維持される。NANDストリングNSinh、及び非選択ストリングユニットSU内のビット線BLinhに接続されたNANDストリングNSのチャネル電圧は、電圧VBL2に維持される。
【0179】
プリチャージリカバリ動作が実行された後、i+1回目のプログラムループにおいて、時刻t7から時刻t10までの期間に、第5実施形態において図10で示した時刻t6から時刻t9までの期間と同様に、各種配線等の電圧が制御され、プログラム動作及びプログラムリカバリ動作が実行される。
【0180】
[8-2]効果
本実施形態に係る構成によれば、第5実施形態と同様の効果を奏する。また、本実施形態に係る構成では、チャネルプリチャージ動作において、選択トランジスタST1をオンさせた状態で、ワード線WLsel及びWLusel、並びに選択ゲート線SGSのそれぞれに電圧VSSを印加するとともに、ビット線BLinhの電圧を電圧VBL1から電圧VBL2まで昇圧する。このため、各NANDストリングNSのチャネルにプリチャージされる電圧を調整することができる。
【0181】
もちろん、本実施形態に係る半導体記憶装置1は、第6実施形態及び第7実施形態に適用することもできる。
【0182】
[9]変形例等
上記のように、実施形態に係る半導体記憶装置は、第1選択トランジスタ(ST1)と、第1選択トランジスタのゲートに接続された第1選択ゲート線(SGDsel/SGDusel)と、第1選択トランジスタに接続された第1ビット線(BLprog/BLinh)と、第2選択トランジスタ(ST2)と、第2選択トランジスタのゲートに接続された第2選択ゲート線(SGS)と、第2選択トランジスタに接続されたソース線(SL)と、第1選択トランジスタと、第2選択トランジスタとの間に接続された第1及び第2メモリセルトランジスタ(MC)と、第1メモリセルトランジスタに接続された第1ワード線(WLsel)と、第2メモリセルトランジスタに接続された第2ワード線(WLusel)とを備える。データの書き込み動作は、プログラム動作とベリファイ動作とを含むループの繰り返しによって行われる。第1メモリセルトランジスタへの書き込み動作において、ベリファイ動作が実行された後、第2選択トランジスタ(ST2)がオン状態の期間に、第1ワード線(WLsel)の電圧は第1電圧から第2電圧に変化し、第2ワード線(WLusel)の電圧はベリファイ動作において印加された第3電圧から第4電圧に変化し、第1ワード線の電圧が第2電圧に変化し且つ第2ワード線の電圧が第4電圧に変化した後、第2選択ゲート線(SGS)の電圧は第5電圧から第6電圧に変化する。
【0183】
なお、実施形態は上記説明した形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【0184】
また、上記実施形態で説明したフローチャートは、その処理の順番を可能な限り入れ替えることができる。
【0185】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0186】
1…半導体記憶装置、2…メモリコントローラ、10…メモリセルアレイ、11…コマンドレジスタ、12…アドレスレジスタ、13…シーケンサ、14…ドライバモジュール、15…ロウデコーダモジュール、16…センスアンプモジュール、17…ソース線ドライバ、20…半導体基板、21~25…導電体層、26…半導体部材、27~29…絶縁体層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14