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  • 特開-用紙検出装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022127044
(43)【公開日】2022-08-31
(54)【発明の名称】用紙検出装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 7/02 20060101AFI20220824BHJP
【FI】
B65H7/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021024962
(22)【出願日】2021-02-19
(71)【出願人】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(72)【発明者】
【氏名】中村 宏幸
【テーマコード(参考)】
3F048
【Fターム(参考)】
3F048AA05
3F048AB01
3F048BA05
3F048BA21
3F048BA22
3F048CC03
3F048CC05
3F048DA08
3F048DC15
(57)【要約】
【課題】用紙の先後端と左右端を適切に検知する。
【解決手段】用紙Pを搬送するベルト搬送部3aと、ベルト搬送部3aの上方に設けられ、ベルト搬送部3aの搬送方向と直交する用紙Pの幅方向における端を検知するイメージセンサ31と、イメージセンサ31を制御する制御部6とを備え、制御部6は、イメージセンサ31の下方を用紙Pが通過する間は、幅方向における中央部から端まで走査するようイメージセンサ31を制御し、イメージセンサ31の下方をベルト搬送部3a上の用紙Pと用紙Pの間が通過する間は、イメージセンサ31の走査の範囲を幅方向における中央部に限定して動作させるようにイメージセンサ31を制御する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を搬送する搬送部と、
前記搬送部の上方に設けられ、前記搬送部の搬送方向と直交する前記用紙の幅方向における端を検知する検知部と、
前記検知部を制御する検知制御部とを備え、
前記検知制御部は、前記検知部の下方を前記用紙が通過する間は、前記幅方向における中央部から端まで走査するよう前記検知部を制御し、前記検知部の下方を前記搬送部上の用紙と用紙の間が通過する間は、前記検知部の走査の範囲を前記幅方向における中央部に限定して動作させるように、前記検知部を制御すること、
を特徴とした用紙検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送される用紙を検出する用紙検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置は、給紙台に積載された最上部の用紙を1枚ずつ取り出し、取り出した用紙を搬送ベルトに吸着させながら搬送する。そして、搬送された用紙の先端を検知しタイミングを合わせ、画像データに基づいてインクジェットヘッドによりインクを吐出することにより用紙に印刷を行う。
【0003】
特許文献1には、搬送された用紙の先端のために反射式の用紙検出センサを備えるインクジェットプリンタが開示されている。このインクジェットプリンタでは、搬送ベルトからの直接反射を避けるために用紙検出センサを斜めに取り付けることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-212995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のインクジェットプリンタでは、用紙検出センサを斜めに取り付けているので、光沢のある搬送ベルトや用紙の場合に反射光の受光量が減、用紙先端の検知にずれが生じる場合がある。
【0006】
本発明は前記事情に鑑みなされたものであり、本発明の目的は、光量のロスが少ないイメージセンサで用紙の先端と左右端を適切に検知することができる用紙検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る用紙検出装置の特徴は、
用紙を搬送する搬送部と、
前記搬送部の上方に設けられ、前記搬送部の搬送方向と直交する前記用紙の幅方向における端を検知する検知部と、
前記検知部を制御する検知制御部とを備え、
前記検知制御部は、前記検知部の下方を前記用紙が通過する間は、前記幅方向における中央部から端まで走査するよう前記検知部を制御し、前記検知部の下方を前記搬送部上の用紙と用紙の間が通過する間は、前記検知部の走査の範囲を前記幅方向における中央部に限定して動作させるように、前記検知部を制御すること、
にある。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る用紙検出装置の特徴によれば、用紙の先後端と左右端を適切に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る用紙検出装置が適用されたインクジェット記録装置の要部の概略構成を示す説明図である。
図2】本実施形態のインクジェット記録装置の制御部による制御を説明した説明図である。
図3】本実施形態のインクジェット記録装置の処理を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一若しくは同等の部位や構成要素には、同一若しくは同等の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
【0011】
また、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係る用紙検出装置が適用されたインクジェット記録装置の要部の概略構成を示す説明図である。なお、図1に示すインクジェット記録装置は、インクジェット方式のラインカラープリンタであるものとする。
【0013】
また、以下の説明において、図1の紙面に直交する方向を左右方向とし、紙面表方向を右側とする。また、図1における紙面の上下を上下方向とし、図1における紙面の水平方向を前後方向とする。なお、紙面右方向を前方、左方向を後方とする。また、図1において太線で示す経路が、印刷媒体である用紙Pが搬送される搬送経路Rである。以下の説明における上流、下流は、搬送経路Rにおける上流、下流を意味する。
【0014】
図1に示すように、本実施形態のインクジェット記録装置1は、給紙部2と、印刷部3と、制御部6とを備える。
【0015】
給紙部2は、用紙Pを印刷部3に給紙する。給紙部2は、外部給紙台11と、外部給紙ユニット12と、複数の内部給紙台13と、複数対の内部給紙ローラ14と、複数対の内部給紙搬送ローラ15と、レジストローラ16とを備える。
【0016】
外部給紙台11は、印刷に用いられる用紙Pが積載されるものである。外部給紙台11は、一部がインクジェット記録装置1の筐体(図示せず)の外部に露出して設置されている。外部給紙台11には、例えば、用紙補充のために装置から引き出された(開放された)か否かを検出するトレイセンサ11aが設けられている。
【0017】
外部給紙ユニット12は、外部給紙台11から用紙Pを1枚ずつ取り出し、搬送経路Rに沿ってレジストローラ16へ向けて搬送する。具体的には、外部給紙ユニット12は、図示しないモータにより回転駆動されるベルト12aの周回方向に沿って用紙Pを前方の搬送経路Rに向けて搬送する。ベルト12aには、空気を吸引するための吸引孔(図示せず)が設けられており、ベルト12aの内側に設けられたファン(図示しない)を駆動することにより、用紙Pは、ベルト12aの吸引孔から吸引する空気によりベルト12aの表面に吸着されて搬送される。
【0018】
内部給紙台13は、印刷に用いられる用紙Pが積載されるものである。内部給紙台13は、インクジェット記録装置1の筐体(図示せず)の内部に配置されている。内部給紙台13それぞれには、例えば、用紙補充のために装置から引き出された(開放された)か否かを検出するトレイセンサ13aが設けられている。
【0019】
内部給紙ローラ14は、内部給紙台13から用紙Pを1枚ずつ取り出して搬送経路Rへ送り出す。内部給紙ローラ14は、図示しないモータにより回転駆動される。
【0020】
内部給紙搬送ローラ15は、内部給紙台13から取り出された用紙Pをレジストローラ16に向けて搬送する。内部給紙搬送ローラ15は、内部給紙ローラ14とレジストローラ16との間の搬送経路Rに沿って配置されている。内部給紙搬送ローラ15は、図示しないモータにより回転駆動される。
【0021】
レジストローラ16は、外部給紙ユニット12または内部給紙搬送ローラ15から搬送されてきた用紙Pを一旦止めた後、印刷部3に向けて搬送する。レジストローラ16は、外部給紙ユニット12及び内部給紙搬送ローラ15の下流側に配置されている。レジストローラ16は、図示しないモータにより回転駆動される。
【0022】
印刷部3は、用紙Pを搬送しつつ、用紙Pに画像を印刷する。印刷部3は、ベルト搬送部3aと、インクジェットヘッド部3bとを備える。
【0023】
ベルト搬送部3aは、レジストローラ16により搬送されてきた用紙Pをベルト上に吸着保持して搬送する。ベルト搬送部3aは、レジストローラ16の下流側に配置されている。
【0024】
インクジェットヘッド部3bは、用紙Pの搬送方向と直交する方向(左右方向)に沿って複数のノズルが配列されたラインタイプの複数のインクジェットヘッド(図示せず)を有する。インクジェットヘッド部3bは、ベルト搬送部3aの上方に配置されている。インクジェットヘッド部3bは、ベルト搬送部3aにより搬送される用紙Pにインクジェットヘッドのノズルからインクを吐出して画像を印刷する。
【0025】
イメージセンサ31は、ベルト搬送部3aの上方に設けられている。イメージセンサ31は、ベルト搬送部3aの搬送方向と直交する用紙Pの幅方向(主走査方向)における中央部と、ベルト搬送部3aが搬送する用紙Pの搬送方向における先端および後端とを検知する。イメージセンサ31は、元々は、搬送される用紙Pの左右端検知の目的で設けられている。
【0026】
制御部6は、インクジェット記録装置1の各部の動作を制御する。制御部6は、CPU、RAM、ROM、ハードディスク等を備えて構成される。
【0027】
具体的には、制御部6は、給紙部2により用紙Pを給紙し、給紙された用紙Pを、印刷部3のベルト搬送部3aで搬送しつつ、インクジェットヘッド部3bからインクを吐出して用紙Pに印刷するよう制御する。
【0028】
また、制御部6は、イメージセンサ31の下方を用紙Pが通過する間は、幅方向における中央部から端まで走査するようイメージセンサ31を制御する。また、制御部6は、イメージセンサ31の下方をベルト搬送部3a上の用紙Pと用紙Pの間が通過する間は、イメージセンサ31の走査の範囲を幅方向における中央部に限定して動作させるようにイメージセンサ31を制御する。
【0029】
図2は、本実施形態のインクジェット記録装置1の制御部6による制御を説明した説明図である。
【0030】
図2に示すように、イメージセンサ31は、左右方向(用紙の幅方向:主走査方向)に長尺の形状を有しており、左右方向の長さL1は、搬送される最小サイズの用紙Pの幅LPの半分以上の長さを有している。
【0031】
制御部6は、イメージセンサ31の下方を用紙Pが通過する間(符号311)は、イメージセンサ31の右端31aが、幅方向における中央部の位置P1からベルト搬送部3aが搬送する用紙Pの左右方向(用紙の幅方向:主走査方向)における端である位置P2までの間を往復運動させるようイメージセンサ31を制御する。
【0032】
このとき、イメージセンサ31は、搬送される用紙Pの左右方向に全画素を走査するので、ライン周期が、数ms単位となり、1走査毎に副走査方向(搬送方向)に数十画素進む。そのため、用紙Pの左右端を検知することはできるが、用紙Pの先端を検知することは困難となる。
【0033】
そこで、制御部6は、イメージセンサ31の下方をベルト搬送部3a上の用紙Pと用紙Pの間が通過する間(符号312)は、左右方向(用紙の幅方向:主走査方向)における走査の範囲を中央部に限定して、イメージセンサ31の右端31aが、幅方向における中央部の位置P1から所定の位置P3までの間を往復運動させるようイメージセンサ31を制御する。例えば、所定の位置P3は、ベルト搬送部3aのエンコーダ周期313に収まる画素までの走査のみ行う位置として設定される。
【0034】
これにより、イメージセンサ31の下方を用紙Pが通過している場合には、用紙Pの左右端を検出するとともに、イメージセンサ31の下方を用紙Pの紙間が通過している場合には、用紙Pの先端を検出することができる。これにより、光量のロスが少ないイメージセンサで用紙の先端と左右端が検知できるようになる。
【0035】
図3は、本実施形態のインクジェット記録装置1の処理を示したフローチャートである。
【0036】
図3に示すように、まず、制御部6は、用紙先端検知モードを設定し(ステップS101)、給紙部2から用紙Pの搬送を開始する(ステップS103)。
【0037】
用紙先端検知モードが設定されることにより、制御部6は、イメージセンサ31の走査の範囲を幅方向における中央部に限定して動作させるようにイメージセンサ31を制御する。
【0038】
制御部6は、搬送された用紙Pの先端がイメージセンサ31に到達したか否かを判定する(ステップS105)。
【0039】
搬送された用紙Pの先端がイメージセンサ31に到達したと判定された場合(ステップS105;YES)、制御部6は、用紙左右端検知モードを設定する(ステップS107)。
【0040】
用紙左右端検知モードが設定されることにより、制御部6は、幅方向における中央部からベルト搬送部3aが搬送する用紙Pの幅方向における端まで走査するようイメージセンサ31を制御する。
【0041】
制御部6は、搬送された用紙Pの後端がイメージセンサ31に到達したか否かを判定する(ステップS109)。
【0042】
搬送された用紙Pの後端がイメージセンサ31に到達したと判定された場合(ステップS109;YES)、制御部6は、給紙部2から用紙Pの搬送停止始する(ステップS111)。
【0043】
なお、イメージセンサ31の下方に用紙Pが通過している場合と、通過していない場合それぞれの状態に対し、イメージセンサ31の光源の光量を変更するようにしてもよい。
【0044】
(付記)
本出願は、以下の発明を開示する。
【0045】
(付記1)
用紙を搬送する搬送部と、
前記搬送部の上方に設けられ、前記搬送部の搬送方向と直交する前記用紙の幅方向における端を検知する検知部と、
前記検知部を制御する検知制御部とを備え、
前記検知制御部は、前記検知部の下方を前記用紙が通過する間は、前記幅方向における中央部から端まで走査するよう前記検知部を制御し、前記検知部の下方を前記搬送部上の用紙と用紙の間が通過する間は、前記検知部の走査の範囲を前記幅方向における中央部に限定して動作させるように、前記検知部を制御すること、
を特徴とした用紙検出装置。
【0046】
これにより、検知部の下方を用紙が通過している場合には、用紙の左右端を検出するとともに、検知部の下方を用紙の紙間が通過している場合には、用紙の先端または後端を検出することができる。これにより、光量のロスが少ないイメージセンサで用紙の先後端と左右端が検知できるようになる。
【符号の説明】
【0047】
1 インクジェット記録装置
2 給紙部
3 印刷部
3a ベルト搬送部
3b インクジェットヘッド部
6 制御部
11 外部給紙台
11a トレイセンサ
12 外部給紙ユニット
12a ベルト
13 内部給紙台
13a トレイセンサ
14 内部給紙ローラ
15 内部給紙搬送ローラ
16 レジストローラ
31 イメージセンサ
図1
図2
図3