(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022127064
(43)【公開日】2022-08-31
(54)【発明の名称】非水電解質二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 10/0585 20100101AFI20220824BHJP
H01M 50/10 20210101ALI20220824BHJP
H01M 50/147 20210101ALI20220824BHJP
H01M 50/572 20210101ALI20220824BHJP
【FI】
H01M10/0585
H01M2/02 J
H01M2/04 J
H01M2/34 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021024985
(22)【出願日】2021-02-19
(71)【出願人】
【識別番号】000002325
【氏名又は名称】セイコーインスツル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142837
【弁理士】
【氏名又は名称】内野 則彰
(74)【代理人】
【識別番号】100166305
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100171251
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 拓也
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 祐輔
【テーマコード(参考)】
5H011
5H029
5H043
【Fターム(参考)】
5H011AA04
5H011AA13
5H011CC06
5H029AJ02
5H029AJ12
5H029AL02
5H029AL06
5H029AL07
5H029BJ03
5H029DJ02
5H029DJ03
5H029DJ05
5H043AA03
5H043AA04
5H043BA17
5H043CA07
5H043CA13
5H043EA01
5H043EA06
5H043EA53
5H043GA22
5H043GA24
5H043GA26
5H043GA27
(57)【要約】
【課題】高出力といった電気的特性に優れ、かつ、安全性に優れた小型の非水電解質二次電池を提供する。
【解決手段】負極缶1と正極缶2とが絶縁封止されてなる外装体と、外装体に収容され負極缶1及び正極缶2にそれぞれ電気的に接続する負極6及び正極8を含む電極構造体10と、を備え、さらに、負極6及び正極8とそれぞれ電気的に接続する負極リードタブ5と正極リードタブ7を備え、負極リードタブ5及び正極リードタブ7はそれぞれ、負極缶1及び正極缶2との対向面に負極接続部50及び正極接続部70を有し、負極缶1の内面1a及び正極缶2の内面2aに、それぞれ、負極接続部50及び正極接続部70と接続するための凹凸部4が形成され、負極接続部50及び正極接続部70と電極構造体10との間に凹凸吸収部が配置されている非水電解質二次電池100とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の容器と第二の容器とが絶縁封止されてなる外装体と、前記外装体に収容され前記第一の容器及び前記第二の容器にそれぞれ電気的に接続する第一の電極及び第二の電極を含む電極構造体と、を備え、
前記第一の電極と前記第二の電極の少なくとも一方の電極は、前記電極と電気的に接続するリードタブをさらに備え、前記リードタブは、接続する側の容器との対向面に接続部を有し、
前記容器の内面に前記接続部と接続するための凹凸部が形成され、
前記接続部と前記電極構造体との間に凹凸吸収部が配置されている
ことを特徴とする非水電解質二次電池。
【請求項2】
前記凹凸吸収部が、前記接続部と前記電極構造体との間に配置された複数層の前記リードタブを含む請求項1に記載の非水電解質二次電池。
【請求項3】
前記凹凸吸収部が、絶縁性の凹凸吸収材を含む請求項1又は2に記載の非水電解質二次電池。
【請求項4】
前記凹凸吸収材が、樹脂製のスポンジ、テープ、シート、クリップからなる群の少なくとも1種を含む請求項3に記載の非水電解質二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非水電解質二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
扁平円筒型の金属製容器に発電要素たる電極構造体が収容されてなる、いわゆるコイン型(ボタン型)の電池が知られている。コイン型(ボタン型)の電池は、例えば、正極電極が接続された金属製の正極缶と、負極電極が接続された金属製の負極缶とが、絶縁体からなるガスケット(パッキング)を介して封止されてなる構造を有している。このような構造では、正極缶及び負極缶といった金属製容器を集電体として利用することができる。
金属製容器を集電体として利用する場合、接続する電極(正極電極及び負極電極)と容器の接触を良好なものとすることで、発電要素の内部抵抗を低減し、電池の負荷特性といった電気的特性を向上させることができる。金属製容器と電極との接触の態様としては、例えば、容器の内部底面における接触面に所定の表面粗さの鋭利な凹凸を形成することが提案されている。(例えば、特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電子機器のメイン電源としては、従来、角型形状や円筒形状の容器の電池が用いられているが、上記のコイン型(ボタン型)電池のようなより小型の電池が求められてきている。メイン電源として用いられる電池には高い出力特性が求められることから、発電要素たる電極構造体には、平板状の正極電極と負極電極とをセパレータを介して対向するように積層させ、さらに巻回、折畳等により一体化させたものが用いられる。
ここで、電極構造体を構成する正極電極及び負極電極は通常、アルミニウムや銅といった金属薄膜からなる集電体上に活物質等が配置された構造が用いられる。また、電極構造体金属製容器との電気的接続は、電極構造体から延出するリードタブと金属製容器とを溶接等により接続することでなされる。このリードタブは上記の金属薄膜を延出させる、あるいは、別体の金属平板を金属薄膜に接合することで形成することができる。
【0005】
上述した特許文献1のように、金属製容器の内部底面に凹凸が形成されている場合、リードタブと金属製容器との接触性が向上することで、電池の抵抗を低減し出力特性を高めることが期待される。しかしながら、金属製容器内に電極構造体が高密度で収納される場合、高い圧力が電極構造体に与えられることになる。特に、リードタブや集電体は通常厚さが100μmよりも薄い金属薄膜であり、これに凹凸が転写されると隣接する集電体との距離が短くなることで、電極構造体に内部短絡(ショート)を生じるおそれがある。
本発明はこのような問題点に鑑み、高出力といった電気的特性に優れ、かつ、安全性に優れた小型の非水電解質二次電池を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明における非水電解質二次電池は、第一の容器と第二の容器とが絶縁封止されてなる外装体と、前記外装体に収容され前記第一の容器及び前記第二の容器にそれぞれ電気的に接続する第一の電極及び第二の電極を含む電極構造体と、を備え、前記第一の電極と前記第二の電極の少なくとも一方の電極は、前記電極と電気的に接続するリードタブをさらに備え、前記リードタブは、接続する側の容器との対向面に接続部を有し、前記容器の内面に前記接続部と接続するための凹凸部が形成され、前記接続部と前記電極構造体との間に凹凸吸収部が配置されていることを特徴とする。
【0007】
本発明における非水電解質二次電池において、前記凹凸吸収部が、前記接続部と前記電極構造体との間に配置された複数層の前記リードタブを含むことが好ましい。
【0008】
本発明における非水電解質二次電池において、前記凹凸吸収部が、絶縁性の凹凸吸収材を含むことが好ましい。
【0009】
本発明における非水電解質二次電池において、前記凹凸吸収材が、樹脂製のスポンジ、テープ、シート、クリップからなる群の少なくとも1種を含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、凹凸部の形成された正極缶若しくは負極缶の内面と、正極接続部若しくは負極接続部とが圧着されており、電極構造体と缶との間で良好な電気的接続を得ることができる。加えて、正極接続部若しくは負極接続部と電極構造体との間に凹凸吸収部が配置されていることで、電極構造体が缶の内面の凹凸部の影響を受けにくくなる。これにより、電極構造体から延出されたリードタブと容器とが良好に導電接続され、かつ短絡を防止することができることから、高出力かつ安全性に優れた非水電解質二次電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第一実施形態の非水電解質二次電池を構成する部材を説明するための概略断面図である。
【
図2】本発明の第一実施形態の非水電解質二次電池の組立状態を説明する概略断面図である。
【
図3】本発明の第二実施形態の非水電解質二次電池を構成する部材を説明するための概略断面図である。
【
図4】本発明の第二実施形態の非水電解質二次電池の組立状態を説明する概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の非水電解質二次電池の各実施形態を挙げ、それぞれの構成について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
(第一実施形態)
本実施形態における非水電解質二次電池の例について、
図1及び
図2を挙げて説明する。
図1は、非水電解質二次電池100を構成する各部材を説明するために、封止前の状態の概略断面図を示したものである。また
図2は封止後の状態の非水電解質二次電池100を説明する概略断面図である。
【0014】
本実施形態における非水電解質二次電池100は、扁平円筒状の金属製容器の内部に発電要素たる電極構造体が収容されてなる、いわゆるコイン型(ボタン型)の電池である。
より詳細には、
図1及び
図2に示すように、一端が開口した扁平円筒状である金属製の第一の容器(負極缶1)と金属製の第二の容器(正極缶2)とが、ガスケット3を介して絶縁配置されている。そして、負極缶1に正極缶2の開口部を重ね合わせて加締め封止することにより、内部に密閉した収容空間が形成されてなる扁平円筒状の金属製容器を形成することができる。
そして、この収容空間内に電極構造体10が収容され、負極缶1及び正極缶2のそれぞれと電気的に接続することで電池が構成されている。
【0015】
電極構造体10は、第一の電極(負極6)と第二の電極(正極8)とがセパレータ9を介して対向するように積層した状態で、
図1に示す捲回構造のほか、積層、折畳等により容器に収容可能な構造となるように作製されている。
さらに、図示しないが、収容空間内には電解液が封入されている。
【0016】
本実施形態では、負極缶1の内面1a、及び、正極缶2の内面2aに、後述する凹凸部4がそれぞれ形成されている。そして、それぞれの内面に形成された凹凸部4に、負極リードタブ5及び正極リードタブ7が圧接接続により固定されている。
ここで、負極リードタブ5は、電極構造体10を構成する負極6の延出部である。より具体的には、例えば、負極リードタブ5は、負極6を構成する銅箔製の負極集電体が延出したものである。この負極リードタブ5は、複数回折り返されて積層した状態で、電極構造体10と負極缶1との間の位置に配置されている。負極リードタブ5のうち、負極缶1に対向する負極接続部50が負極缶1の内面1aに形成された凹凸部4に圧着されることにより、負極接続部50と内面1aとが接続している。また、残りの負極リードタブ5である負極リードタブ折畳部51は、負極接続部50と電極構造体10との間に配置されている。
同様に、電極構造体10を構成する正極8(例えば、正極8を構成するアルミニウム箔製の正極集電体)から正極リードタブ7が延出している。正極リードタブ7は複数回折り返されて積層した状態で、電極構造体10と正極缶2との間の位置に配置されている。正極リードタブ7のうち、正極缶2に対向する正極接続部70が正極缶2の内面2aに形成された凹凸部4に圧着されることにより、正極接続部70と内面2aとが接続している。また、残りの正極リードタブ7である正極リードタブ折畳部71は、正極接続部70と電極構造体10との間に配置されている。
【0017】
非水電解質二次電池100を作製する場合には、まず、負極6、正極8、及びセパレータ9を用いて電極構造体10を作製した後、
図1に示すような配置で、負極缶1、正極缶2、ガスケット3とで構成される外装体の内部に電極構造体10を収容する。次いで、ガスケット3が取り付けられた負極缶1を正極缶2と接するように配置した後、正極缶2の開口部を負極缶1側に加締めて封止することにより、
図2に示すような非水電解質二次電池100を作成することができる。このとき、負極缶1の内面1aと正極缶2の内面2aに対し、負極接続部50と正極接続部70をそれぞれ圧着させる。このようにして、負極缶1及び正極缶2と電極構造体10とを電気的に接続させることができる。
【0018】
また、負極缶1と正極缶2とを加締め封止する前に、負極リードタブ5の負極接続部50を負極缶1の内面1aに形成された凹凸部4に圧着させ、正極リードタブ7の正極接続部70を正極缶2の内面2aに形成された凹凸部4に圧着させておいてもよい。このようにすることで、負極缶1及び正極缶2と電極構造体10との電気的接続をより確実に行うことができる。
【0019】
本実施形態においては、負極缶1の内面1a及び正極缶2の内面2aに凹凸部4が形成されている。この凹凸部4が形成されていることにより、負極接続部5や正極接続部7がそれぞれの側の内面に接続するときの接触面積が増大し、接触抵抗を充分に低減することができる。なお、
図1及び
図2に示す例では負極側、正極側の両方に凹凸部4が形成されているが、少なくとも一方の側に形成されていればよい。
凹凸部4は
図1や
図2に示すように、先端が鋭利な突起状に形成されている。これにより、負極接続部5と正極接続部7に金属表面の酸化膜を突き破るほど充分に食い込み、接触抵抗を大きく低減することができる。また、凹凸部4が負極接続部5と正極接続部7を貫通するように圧着する場合、負極缶1の内面1aと負極接続部5とを、若しくは、正極缶2の内面2aと正極接続部7とを強固に固定することができる。
【0020】
凹凸部4はまた、(図示しないが)先端が平面状に形成されていてもよい。また、先端に丸みを帯びていてもよい。これらの形状とすることで、上記した先端が鋭利な突起状の場合に得られる効果を一定程度にしながら、後述する凹凸吸収部と合わせて短絡防止をより確実に行うことができる。
【0021】
また
図1及び
図2に示すように、本実施形態においては、負極リードタブ5と正極リードタブ7が折り返され複数層が複数回折り返され、負極リードタブ折畳部51及び正極リードタブ折畳部71を有している。これにより、金属製である負極リードタブ5と正極リードタブ7の展性、あるいは、負極リードタブ5と正極リードタブ7の各層間の空隙により、凹凸部4の形状が電極構造体10にまで波及することを防止することができる。加えて、負極リードタブ5と正極リードタブ7が所定の長さを有していることで、負極接続部50及び正極接続部70と缶との圧着の際に圧着用治具を配置する空間を設けることができるため、製造面からも好適である。
【0022】
また、上述した本実施形態においては、負極リードタブ5と正極リードタブ7がそれぞれ1本ずつ電極構造体10から延出されている。これに限らず、複数本ずつ延出されてもよい。そして、1本の接続部の折畳構造にかえて、複数本の接続部の積層構造によって凹凸吸収部としてもよい。
【0023】
本実施形態における非水電解質二次電池を構成する材料は公知のものを用いることができる。
負極缶1は、一端が開口した扁平円筒状に形成されている。また負極缶1は、
図1に示すように、開口する側の端部に折り返しが形成されていてもよいし、多段円筒形状に形成されていてもよい。負極缶1は、ステンレス鋼板を絞り加工等することにより形成することができる。ステンレス鋼の材質としては、例えば、SUS316LやSUS329J4L、あるいはSUS304等を挙げることができる。また負極缶の材質として、例えば、ステンレス鋼に銅やニッケル等を圧着してなるクラッド材を用いてもよい。
【0024】
正極缶2は、一端が開口した扁平円筒状に形成されている。この正極缶2は、ステンレス鋼板を絞り加工等することにより形成することができる。ステンレス鋼の材質としては、例えば、SUS316LやSUS329J4L等を挙げることができる。
【0025】
ガスケット3は、環状に形成された絶縁性の部材からなり、負極缶1と正極缶2との間に介在し、両者を絶縁保持している。
ガスケット3の材質としては、例えば、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリフェニルサルファイド(PPS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド、液晶ポリマー(LCP)、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂(PFA)、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK)、ポリエーテルニトリル樹脂(PEN)、ポリエーテルケトン樹脂(PEK)、ポリアリレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂(PES)、ポリアミノビスマレイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、フッ素樹脂等のプラスチック樹脂を挙げることができる。
【0026】
また容器の封止性を向上させるために、負極缶1若しくは正極缶2とガスケット3との間に、さらにシール剤を配置してもよい。シール剤としては、例えば、アスファルト、エポキシ樹脂、ポリアミド系樹脂、ブチルゴム系接着剤等を用いることができる。
【0027】
電極構造体10は、シート状の負極6、正極8、及びセパレータ9を備える。この電極構造体10は、負極6と正極8とをセパレータ9を介して重ね合わせて、捲回、積層、折畳等により容器に収容可能な形状に作製することができる。例えば捲回により電極構造体10を作製する場合には、正極8のシートの両面側にセパレータ9を挟み込んで、さらに負極6を重ね合わせて扁平に捲回することができる。
【0028】
負極6は、負極活物質と導電助剤と結着剤とからなる負極合剤が、負極集電体に塗布形成されたものである。より具体的には、有機溶剤により希釈されペースト状とした負極合剤を負極集電体に塗工した後、負極集電体を乾燥させ有機溶剤を除去することによって負極6を得ることができる。
【0029】
負極集電体は、厚みが100μm以下の金属薄膜であり、金属として銅やアルミニウム等を用いることができる。負極リードタブ5は、この負極集電体の延出部である金属薄膜で構成されている。また負極リードタブ5は、負極集電体の延出部に銅、ニッケル、アルミニウム等を溶接等により取り付けたものであってもよい。
【0030】
負極活物質は、非水電解質二次電池に用いられる公知の材料を用いることができる。負極活物質としては、例えば、ハードカーボン、ソフトカーボン、グラファイト等の炭素材料、SiOx(0<x<2)で表される酸化珪素、チタン酸リチウム(Li4Ti5O12)、Si、WO2、WO3、Li-Al合金等、種々の材料を挙げることができる。
【0031】
負極合剤に含まれる導電助剤としては、例えば、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、グラファイト等の炭素質材料を用いることができる。また、導電助剤として上記のうちの1種を単独として用いることができるほか、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0032】
負極合剤に含まれる結着剤としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)やポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリル酸(PA)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニルアルコール(PVA)等を用いることができる。また、結着剤として上記のうちの1種を単独として用いることができるほか、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0033】
正極8は、正極活物質と導電助剤と結着剤とからなる正極合剤が、正極集電体に塗布形成されたものである。より具体的には、有機溶剤により希釈されペースト状とした正極合剤を正極集電体に塗工した後、正極集電体を乾燥させ有機溶剤を除去することによって正極8を得ることができる。
【0034】
正極集電体は、厚みが100μm以下の金属薄膜であり、金属としてアルミニウム等を用いることができる。正極リードタブ7は、この正極集電体の延出部である金属薄膜で構成されている。また正極リードタブ7は、正極集電体の延出部にアルミニウム等を溶接等により取り付けたものであってもよい。
【0035】
正極活物質は、非水電解質二次電池に用いられる公知の材料を用いることができる。正極活物質としては、例えば、リチウムマンガン酸化物、モリブデン酸化物、リチウム鉄リン酸化合物、リチウムコバルト酸化物、リチウムニッケル酸化物、バナジウム酸化物等、種々の材料を挙げることができる。
【0036】
正極合剤に含まれる導電助剤及び結着剤としては、上述した、負極合剤に含まれる導電助剤及び結着剤として挙げた種々の材料を用いることができる。
【0037】
セパレータ9は、リチウムイオンを通す特性を有する部材である。セパレータ9は、例えば、ポリオレフィン製の樹脂ポーラスフィルムやガラス製不織布、樹脂製不織布、セルロース繊維の積層体等により形成されている。
【0038】
電解液は、非水溶媒に支持塩が溶解してなる非水電解質を用いることができる。
非水溶媒としては、環状カーボネート、鎖状カーボネート、鎖状エーテル等、種々の化合物を用いることができる。これらは例えば、γ-ブチロラクトン(GBL)、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ブチレンカーボネート(BC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、メチルフォーメイト、1,2-ジメトキシエタン(DME)、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキソラン、ジメチルフォルムアミド(DMF)、グライム、スルホラン、アセトニトリル等の有機溶媒の単独又は混合溶媒とすることができる。また、支持塩としては、例えば、LiClO4、LiPF6、LiBF4、LiCF3SO3、LiN(CF3SO2)2、LiN(SO2F)2等を採用することができる。
【0039】
支持塩としては、例えば、例えば、LiClO4、LiPF6、LiBF4、LiCF3SO3、LiN(CF3SO2)2、LiN(SO2F)2等を採用することができる。また、支持塩としてイオン液体を用いてもよい。
【0040】
また、これらの溶媒及び支持塩に加えて、種々の添加剤を加えることができる。
さらに、電解液に替えて、これらの非水電解液を高吸液性多孔質高分子に含浸吸蔵させたゲル電解質、ポリエチレンオキシドやポリフォスファゼン架橋体等の高分子に前記リチウム塩を固溶させた高分子固体電解質、あるいはLi3N、LiI等の無機固体電解質を用いることもできる。
【0041】
(第二実施形態)
次に、第一実施形態と異なる実施形態について、
図3及び
図4を例に説明する。第一実施形態と共通する構成については説明を省略し、異なる点について説明する。
【0042】
非水電解質二次電池200は、正極缶2と、ガスケット3を介して正極缶2に加締められている負極缶1と、から構成される外装体の収容空間に電極構造体10が収容されてなるものである。第一実施形態と同様に、負極缶1の内面1a、及び、正極缶2の内面2aにはそれぞれ、凹凸部4が形成されている。
【0043】
本実施形態では、第一実施形態と同様に、負極リードタブ15及び正極リードタブ17が、電極構造体10を構成する負極6及び正極8からそれぞれ延出している。一方で、負極リードタブ15及び正極リードタブ17は、第一実施形態のようなリードタブ折畳部を有さず、電極構造体10から延出し折り返された1層のみで構成され、それぞれ負極接続部150及び正極接続部170となっている。
負極接続部150は負極缶1の内面1aに形成された凹凸部4に圧着されている。これにより、負極接続部150と負極缶1の内面1aとが接続している。また、正極接続部170は正極缶2の内面2aに形成された凹凸部4に圧着されている。これにより、正極接続部170と正極缶2の内面2aとが接続している。
【0044】
本実施形態では、特に、負極接続部150と電極構造体10との間、また、正極接続部170と電極構造体10との間に、凹凸吸収材11が配置されている。凹凸吸収材11は変形可能な材料であり、正極接続部170と電極構造体10との間に配置されることで、凹凸部4の形状が電極構造体10にまで波及することを防止することができる。
【0045】
凹凸吸収材11は、
図3及び
図4に示すように、シート状に形成されている。凹凸吸収材11は化学的に安定で、かつ、変形可能な材質であれば、金属、非金属といった種類を問わない。
特に、凹凸吸収材11が絶縁体である場合、凹凸部4の形状を吸収することに加えて、リードタブと電極との間の絶縁を図ることができる。これにより、電極構造体10の短絡のリスクをより低減することができる。
【0046】
具体的な凹凸吸収材11の材質としては、例えば、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂等の樹脂、ゴム等のエラストマー、ガラス、セラミックといった種々の絶縁材料のほか、正極リードタブ17や負極リードタブ15として用いる材料と同種の各種金属材料等も用いることができる。
また凹凸吸収材11は、シート状で配置されるほか、スポンジ、テープ、コの字(U字)クリップ等、種々の態様とすることができる。
これらの材質と形状の組合せのうち、樹脂スポンジ、ゴム、ポリイミドテープ、セパレータ、樹脂製のコの字(U字)クリップ、といった材料が使いやすさ、材料の入手のしやすさ等から好適である。
【0047】
また、上述したポリオレフィン製の樹脂ポーラスフィルムやガラス製不織布、樹脂製不織布、セルロース繊維の積層体等からなるセパレータ9のシートを凹凸吸収材11として用いてもよい。この場合、シート状の別体のセパレータ材を負極接続部150と電極構造体10との間、若しくは正極接続部170と電極構造体10との間に配置してもよいし、電極構造体10を構成するセパレータ9を電極構造体10から延出させて用いてもよい。
【符号の説明】
【0048】
100、200・・・ 非水電解質二次電池
1・・・ 負極缶
1a・・・ 負極缶の内面
2・・・ 正極缶
2a・・・ 正極缶の内面
3・・・ ガスケット
4・・・ 凹凸部
10・・・ 電極構造体
5、15・・・ 負極リードタブ
50、150・・・ 負極接続部
51・・・ 負極リードタブ折畳部
6・・・ 負極
7、17・・・ 正極リードタブ
70、170・・・ 正極接続部
71・・・ 正極リードタブ折畳部
8・・・ 正極
9・・・ セパレータ
11・・・ 凹凸吸収材