(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022127120
(43)【公開日】2022-08-31
(54)【発明の名称】圧力発生装置
(51)【国際特許分類】
F15B 11/06 20060101AFI20220824BHJP
G05D 16/00 20060101ALI20220824BHJP
【FI】
F15B11/06 C
G05D16/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021025076
(22)【出願日】2021-02-19
(71)【出願人】
【識別番号】000130178
【氏名又は名称】株式会社コスモ計器
(74)【代理人】
【識別番号】100121706
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128705
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147773
【弁理士】
【氏名又は名称】義村 宗洋
(72)【発明者】
【氏名】本島 勝久
(72)【発明者】
【氏名】古瀬 良介
(72)【発明者】
【氏名】西村 宏
【テーマコード(参考)】
3H089
5H316
【Fターム(参考)】
3H089AA02
3H089DB12
3H089GG03
5H316BB01
5H316DD02
5H316EE02
5H316EE07
5H316EE12
5H316FF01
5H316GG01
5H316JJ13
(57)【要約】
【課題】供給するガスの圧力と基準となる圧力との差圧を一定に保ちやすい圧力発生装置を提供する。
【解決手段】本発明の圧力発生装置は、流量制御弁、一次圧設定部、整流器、層流管、圧力計、ポートを備える。流量制御弁は、ガスの流量を一定に保つ。一次圧設定部は、流量制御弁の一次側のガスの圧力をあらかじめ定めた一次圧に設定する。整流器は、流量制御弁の二次側に接続される。層流管は、整流器から出力されるガスを、基準となる圧力の空間に排出する。圧力計は、整流器と層流管との接続部分の圧力を計測する。ポートは、整流器と層流管との接続部分に形成され、外部のガス回路に接続される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスの流量を一定に保つ流量制御弁と、
前記流量制御弁の一次側のガスの圧力をあらかじめ定めた一次圧に設定する一次圧設定部と、
前記流量制御弁の二次側に接続された整流器と、
前記整流器から出力されるガスを、基準となる圧力の空間に排出する層流管と、
前記整流器と前記層流管との接続部分の圧力を計測する圧力計と、
前記整流器と前記層流管との接続部分に形成された外部のガス回路と接続するためのポート
を備える圧力発生装置。
【請求項2】
請求項1記載の圧力発生装置であって、
前記流量制御弁はニードルバルブであり、前記一次圧と前記流量制御弁の二次圧は、流量が一定となる条件を満たすように設定される
ことを特徴とする圧力発生装置。
【請求項3】
請求項1記載の圧力発生装置であって、
前記流量制御弁はサーボバルブである
ことを特徴とする圧力発生装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載の圧力発生装置であって、
前記基準となる圧力とは大気圧である
ことを特徴とする圧力発生装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載の圧力発生装置であって、
前記ポートは、正常なときは閉じた空間を形成しているガス回路に接続される
ことを特徴とする圧力発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の圧力を発生させるための圧力発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、大気圧に対して少し高い圧力である微圧を発生するときには、
図2に示した装置が利用されている。
図2は、従来の圧力発生装置の構成例である。圧力発生装置900は、手動で容積が変更できるタンク300とガス回路31で接続された圧力計140とポート150を備える。ポート150には、検査対象物を含む外部のガス回路が接続される。検査対象物の検査には差圧センサが用いられることが一般的であり、外部のガス回路は閉じた空間を形成している。圧力発生装置900は、圧力計140を確認しながら、タンク300の容積を微妙に変更することで、外部のガス回路の圧力を大気圧よりも所定の圧力だけ高い状態に維持する。なお、
図2の例の他にも、いろいろな目的でガスの圧力を制御する技術が存在し、例えば、特許文献1,2なども知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭60-98274号公報
【特許文献2】特開2004-138104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図2に示した従来技術は、閉じた空間内の気圧を一定に保つ技術であるが、気温が変化すると気圧も変化してしまうため、気圧の制御が難しいという問題がある。さらに、外部のガス回路が差圧センサを備え、ポート150から供給するガスの圧力と大気圧との差圧を検出している場合、大気圧の変動に伴ってポート150から供給するガスの圧力も調整する必要があるが、この調整も難しかった。特に、供給するガスの圧力が微圧の場合は、調整が困難である。
【0005】
本発明は、供給するガスの圧力と基準となる圧力との差圧を一定に保ちやすい圧力発生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の圧力発生装置は、流量制御弁、一次圧設定部、整流器、層流管、圧力計、ポートを備える。流量制御弁は、ガスの流量を一定に保つ。一次圧設定部は、流量制御弁の一次側のガスの圧力をあらかじめ定めた一次圧に設定する。整流器は、流量制御弁の二次側に接続される。層流管は、整流器から出力されるガスを、基準となる圧力の空間に排出する。圧力計は、整流器と層流管との接続部分の圧力を計測する。ポートは、整流器と層流管との接続部分に形成され、外部のガス回路に接続される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の圧力発生装置は、流体抵抗が一定の層流管に一定の流量のガスを流す構造である。したがって、気温の変化、基準となる圧力の変化(大気圧の変化)の影響を受けることなく、供給するガスの圧力を一定に保てる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、同じ機能を有する構成部には同じ番号を付し、重複説明を省略する。
【実施例0010】
図1に本発明の圧力発生装置の構成例を示す。圧力発生装置100は、流量制御弁110、一次圧設定部200、整流器120、層流管130、圧力計140、ポート150を備える。ガス回路22は一次圧設定部200と流量制御弁110とを接続する。ガス回路23は流量制御弁110と整流器120を接続する。ガス回路24は、整流器120、層流管130、圧力計140、ポート150を接続する。
【0011】
流量制御弁110は、ガスの流量を一定に保つ。流量制御弁110には、例えばニードルバルブを用いればよい。ニードルバルブであれば、流量制御弁の一次圧と二次圧は、流量が一定となる条件を満たすように設定すればよい。このように設定すれば、ガスの流量を一定にできる。流量制御弁110に、サーボバルブを利用してもよい。サーボバルブを利用する場合は、サーボバルブのオリフィスプレートの穴をできるだけ細くする方が望ましい。なお、サーボバルブに関しては、実開昭62-81109の記載を参考にすればよい。
【0012】
一次圧設定部200は、流量制御弁110の一次側のガスの圧力をあらかじめ定めた一次圧に設定する。一次圧設定部200は、例えば、
図1に示すように一次圧よりも高い圧力のガスを供給するガス供給源210、ガス圧を調整する調整弁220、一次圧を計測する圧力計230を備えればよい。ガス回路21は、ガス供給源210と調整弁220を接続する。ガス回路22は、調整弁220と圧力計230に接続されると共に、流量制御弁110に接続される。ただし、一次圧設定部200は、その他の構成でも構わない。
【0013】
整流器120は、流量制御弁110の二次側に接続される。整流器120は、流量制御弁110から出力されるガスの流れを整流する役割を果たす。
【0014】
層流管130は、整流器120から出力されるガスを、基準となる圧力の空間に排出する。基準となる圧力としては、大気圧を想定している。しかし、大気圧でなくても本発明の効果は得られる。層流管130は一定の流体抵抗を有するので、層流管130に一定の流量のガスを流すと、ガス回路24内の圧力と基準となる圧力との差圧を、あらかじめ定めた圧力に維持できる。したがって、気温の変化、基準となる圧力の変化(大気圧の変化)の影響を受けることなく、供給するガスの差圧を一定に保てる。
【0015】
圧力計140は、整流器120と層流管130との接続部分の圧力を計測する。ポート150は、整流器120と層流管130との接続部分に形成され、外部のガス回路に接続される。外部のガス回路は、正常なときは閉じた空間であり、基準となる圧力との差圧を検出する差圧センサを利用するガス回路にすればよい。「正常なとき」とは、例えば外部のガス回路で検査する対象物に亀裂などの穴がない状態を意味している。
【0016】
閉じた空間の場合は、気温が変化するとボイルシャルルの法則により、気圧が変化してしまう。しかし、圧力発生装置100によれば、層流管130を介して基準となる圧力の空間(例えば、大気)とつながっている。そして、層流管130には一定の流量のガスが流れるので、気温に関わらず、層流管130の整流器120側と基準となる圧力の空間側との差圧を一定にできる。したがって、気温の変化、基準となる圧力の変化(大気圧の変化)の影響を受けることなく、供給するガスの圧力を基準となる圧力に対して一定に保てる。
【0017】
実際に圧力発生装置100を構成して実験した。実験では、一次圧を大気圧に対して約100kPa高い圧力とし、ポート150の圧力(流量制御弁110にニードルバルブを用いて層流管130の整流器120側の圧力)が大気圧よりも500Pa高い状態とした。約3分の計測時間では、ポート150の大気圧との差圧の変化の最大値を0.5Pa未満に抑えることができた。