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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022127172
(43)【公開日】2022-08-31
(54)【発明の名称】硬貨包装機及び貨幣処理機
(51)【国際特許分類】
   G07D 9/00 20060101AFI20220824BHJP
   B65B 11/56 20060101ALI20220824BHJP
【FI】
G07D9/00 A
B65B11/56 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021025156
(22)【出願日】2021-02-19
(71)【出願人】
【識別番号】000116079
【氏名又は名称】ローレルバンクマシン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500267170
【氏名又は名称】ローレル機械株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500265501
【氏名又は名称】ローレル精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】勝見 凌亮
(72)【発明者】
【氏名】清水 悠一
(72)【発明者】
【氏名】桧森 江靖
【テーマコード(参考)】
3E001
3E051
3E141
【Fターム(参考)】
3E001AA01
3E001BA01
3E001FA10
3E051AB09
3E051BA10
3E051CA02
3E051CB05
3E051DA01
3E051DA08
3E051DA10
3E051DB06
3E051DB10
3E051FA04
3E051FA06
3E051FA09
3E051FA10
3E051HA02
3E051HD07
3E051HD08
3E051JA08
3E141AA08
3E141GA01
3E141LA10
(57)【要約】
【課題】棒金の包装紙が裂けてしまうことを抑制できる硬貨包装機及び貨幣処理機を提供する。
【解決手段】硬貨包装機は、硬貨を所定枚数集積させる硬貨集積部と、前記硬貨集積部によって集積された硬貨を包装紙で包装する包装部と、前記包装部に包装紙を供給する包装紙供給部と、前記包装紙に対して進退可能とされ、前方側に設けられた刃先Bによって前記包装紙を切断するカッター15と、を備え、前記カッター15は、最も前方側Dafに位置する頂部51と、前記頂部51の両外側に設けられて、前記頂部51から離間するほど後方側Dabに位置するように延びる直線状又は曲線状の刃先Bからなる二つの傾斜部52と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬貨を所定枚数集積させる硬貨集積部と、
前記硬貨集積部によって集積された硬貨を包装紙で包装する包装部と、
前記包装部に包装紙を供給する包装紙供給部と、
前記包装紙に対して進退可能とされ、前方側に設けられた刃先によって前記包装紙を切断するカッターと、を備え、
前記カッターは、
最も前方側に位置する頂部と、
前記頂部の両外側に設けられて、前記頂部から離間するほど後方側に位置するように延びる直線状又は曲線状の刃先からなる二つの傾斜部と、を備える硬貨包装機。
【請求項2】
前記頂部は、
後方側に向かって凹む切欠き部を備える請求項1に記載の硬貨包装機。
【請求項3】
前記カッターは、前記頂部に、前方に向かって凸となる曲線状の刃先を備える請求項1又は2に記載の硬貨包装機。
【請求項4】
前記包装部は、前記硬貨が集積される集積方向における前記包装紙の両端部に加締部を形成する加締形成部を更に備える請求項1から3の何れか一項に記載の硬貨包装機と、
前記加締部を、前記加締部よりも前記集積方向内側に位置する包装紙本体部から取り外す剥き部材と、を備え、
前記剥き部材は、
第1の基部と、
前記第1の基部と交差する方向に延びて、前記硬貨の径方向における前記加締部の内側に配置可能で、且つ前記加締部の内側から前記加締部に隣接する前記包装紙本体部に突き刺すことが可能な切断部と、を備える貨幣処理機。
【請求項5】
前記剥き部材を収容可能な剥き部材収容部と前記剥き部材が着脱可能な剥き部材支持部とのうち少なくとも一方を更に備える請求項4に記載の貨幣処理機。
【請求項6】
前記剥き部材は、
前記切断部が前記加締部の内側に配置されたときに、前記切断部の前記径方向外側に位置するとともに前記加締部の外周側に位置する第2の基部と、
前記切断部が前記加締部の内側に配置されたときに、前記径方向に延びて前記第1の基部と前記第2の基部とを連結する第3の基部と、
を更に備える請求項4又は5に記載の貨幣処理機。
【請求項7】
前記剥き部材は、前記硬貨を前記包装紙で包装してなる棒金の端部を挿入可能であるとともに、挿入された前記棒金の端部を少なくとも前記硬貨の径方向の内の一方向へ変位させることが可能な棒金挿入部を更に備え、
前記第1の基部及び前記切断部は、前記棒金挿入部の内側に設けられ、
前記第1の基部は、前記棒金を前記棒金挿入部へ挿入する挿入方向に延び、
前記切断部は、前記第1の基部から前記一方向とは反対方向に延びている請求項4に記載の貨幣処理機。
【請求項8】
前記切断部は、前記加締部の内側に挿入されたときに、前記加締部の内側に露出した前記硬貨の表面又は裏面に当接する平面状の当接部を備える請求項4から7の何れか一項に記載の貨幣処理機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬貨包装機及び貨幣処理機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、所定枚数集積した集積硬貨の周面に包装紙を巻き回して棒金を作成する硬貨包装機が記載されている。このような硬貨包装機は、集積硬貨の周面に巻き回された包装紙を切断した後に、集積硬貨の端部からはみ出した包装紙を加締爪によって加締めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-217564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されているような硬貨包装機においては、集積硬貨の周面に包装紙を巻き回した後、カッターで包装紙を切断している。図14は、硬貨包装機にて使用されている一般的なカッターを示している。この図14に示すように、包装紙Hを切断する一般的なカッター215は、その幅方向Dwの中央が突出した山形(言い換えれば逆V字状)に形成されている。このカッター215は、幅方向Dwの両側から幅方向Dwの中央の頂部251に向かって延びる二つの傾斜部252を備えている。これら二つの傾斜部252には、それぞれ鋸刃Gzが形成されている。したがって、上記のような一般的なカッター215により切断された上記包装紙Hの切断端部Htgは、ギザギザの鋸刃状を呈することとなる。
【0005】
一方で、上記のように作成された棒金200は、硬貨処理機や棒金収納機等の棒金収納トレーTに収納される場合が有る。このような棒金収納トレーTは、一般に、収納された棒金200を一方向(例えば前方)に転がして寄せるために傾斜している。このような棒金収納トレーTにおいては、棒金出金処理や棒金装填処理の際に、棒金200が一方向に転がり移動する。そのため、例えば図15に示すように隣り合う棒金200の切断端部Htgの向きを揃えて棒金収納トレーTに収納されて停止している場合には問題無いが、図16に示すように、棒金200が棒金収納トレーTの傾斜により転がることで隣り合う棒金200の切断端部Htg同士が接触してしまう。そのため、それぞれの切断端部Htgの一部に、包装紙Hを剥離する方向の力が集中してしまい、鋸刃状を形成するV字溝の底部から包装紙Hが裂けて集積硬貨が包装紙Hの外部に出てしまう可能性が有る。このように包装紙Hの切断端部Htgが裂けてしまう現象は、隣り合う棒金200の切断端部Htg同士が接触する場合に限られず、部品のバリに切断端部Htgが引っ掛かる等した場合にも生じてしまう。
この発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、棒金の包装紙が裂けてしまうことを抑制できる硬貨包装機及び貨幣処理機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために以下の構成を採用する。
この発明の第一態様に係る硬貨包装機によれば、硬貨を所定枚数集積させる硬貨集積部と、前記硬貨集積部によって集積された硬貨を包装紙で包装する包装部と、前記包装部に包装紙を供給する包装紙供給部と、前記包装紙に対して進退可能とされ、前方側に設けられた刃先によって前記包装紙を切断するカッターと、を備える。前記カッターは、最も前方側に位置する頂部と、前記頂部の両外側に設けられて、前記頂部から離間するほど後方側に位置するように延びる直線状又は曲線状の刃先からなる二つの傾斜部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
上記態様によれば、棒金の包装紙が裂けてしまうことを抑制可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】この発明の第一実施形態に係る硬貨包装機の概略構成を示す図である。
図2】この発明の第一実施形態に係る硬貨包装機の主要構成を示す斜視図である。
図3】この発明の第一実施形態におけるカッターの平面図である。
図4】この発明の第一実施形態における棒金の包装紙の切断端部の側面図である。
図5】この発明の第一実施形態の変形例における図3に相当する平面図である。
図6】この発明の第一実施形態の変形例における図4に相当する側面図である。
図7】この発明の第二実施形態における剥き部材の斜視図である。
図8】この発明の第二実施形態における剥き部材収容部の斜視図である。
図9】上記剥き部材の切断部を加締部の内側に配置した状態を示す部分断面図である。
図10】上記剥き部材の切断部を包装紙本体部へ突き刺した状態を示す部分断面図である。
図11】上記剥き部材を変位させて加締部を包装紙本体部から取り外した状態を示す部分断面図である。
図12】この発明の第二実施形態の変形例における剥き部材本体部の斜視図である。
図13】この発明の第三実施形態における剥き部材及び棒金の斜視図である。
図14】一般的な硬貨包装機にて使用されるカッター及び棒金を示す図である。
図15図14に示す棒金における包装紙の切断端部の位置を揃えて配置した場合を示す図である。
図16図14に示す棒金における包装紙の切断端部に剥離方向の力が作用する場合を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明の一実施形態に係る硬貨包装機及び貨幣処理機を図面に基づき説明する。
〈第一実施形態〉
〈〈硬貨包装機〉〉
図1は、この発明の第一実施形態に係る硬貨包装機の概略構成を示す図である。図2は、この発明の第一実施形態に係る硬貨包装機の主要構成を示す斜視図である。
硬貨包装機1は、棒金(包装硬貨)100を作製する。
図1図2に示すように、この第一実施形態に係る硬貨包装機1は、操作部11と、硬貨集積部12と、包装部13と、包装紙供給部14と、カッター15と、制御部16と、記憶部17と、を備えている。この硬貨包装機1は、バラ硬貨を所定枚数集積させるとともに、バラ硬貨が所定枚数集積された集積硬貨Cs(図4参照)を、包装紙Hで包装して棒状にして棒金100(図4参照)を作製する。硬貨包装機1は、バラ硬貨を投入する投入口(図示せず)が設けられ、この投入口に作業者によりバラ硬貨が投入される。投入口(図示せず)には、手動で開閉されるカバー(図示せず)が設けられている。
【0010】
操作部11は、例えば上記の投入口(図示せず)の近傍に設けられ、操作入力部41と表示部42とを備えている。操作入力部41は、包装動作における金種指定情報などの各設定の入力、包装処理の開始・停止の操作入力が可能となっている。表示部42は、操作部11は、硬貨包装機1内で硬貨を計数した計数結果、包装動作や印刷内容等の各種設定時の案内及び設定内容等の各種情報を表示する。この実施形態の操作部11としては、例えば、タッチセンサパネルを用いることができる。
【0011】
硬貨集積部12は、上記の投入口(図示せず)に一括投入されたバラ硬貨を集積させる。硬貨集積部12は、回転ホッパ19と、硬貨通路20と、識別部22と、集積ドラム23と、を少なくとも備えている。
回転ホッパ19は、開状態の投入口を介して一括投入されたバラ硬貨を受け入れる。この回転ホッパ19は、自らが回転することで生じた遠心力により、受け入れたバラ硬貨を一枚ずつ硬貨通路20に繰り出す。硬貨通路20は、送りベルト21を有し、硬貨を一枚ずつ移送させる。
【0012】
識別部22は、硬貨通路20の途中に設けられている。識別部22は、硬貨通路20を搬送される硬貨の真偽及び金種等を必要に応じて判別する。上述した硬貨通路20には排除孔(図示せず)が設けられており、識別部22で正貨であると判別されなかった硬貨は、この排除孔から落下して排除される。硬貨通路20は、識別部22で正貨であると判別された硬貨のみ集積ドラム23に搬送する。
【0013】
集積ドラム23は、硬貨通路20を経由した硬貨を集積させる。この実施形態では、一対の集積ドラム23が設けられている。これら一対の集積ドラム23は、螺旋状の突起部24をそれぞれ有している。一対の集積ドラム23は、相互の突起部24の高さ位置を一致させた状態で、硬貨通路20からの硬貨の供給に同期させて、互いに反対方向に間欠的に回転駆動させられるようになっている。硬貨通路20を通じて供給された硬貨は、一対の集積ドラム23の双方の突起部24に乗せられて一段下降させられる。さらに、その後に供給された硬貨が先の硬貨の上に積み重ねられる。これを繰り返して、一対の集積ドラム23間に、複数の硬貨が上下方向に積み重ねた状態で集積され、集積硬貨Csが形成される。
【0014】
包装部13は、硬貨集積部12によって作成された集積硬貨Csを包装紙Hで包装する。包装部13は、支持棒28と、包装ローラー29と、加締形成部31と、を備えている。
支持棒28は、落下した集積硬貨Csを下方から支持するとともに昇降可能に構成されている。支持棒28は、一対の集積ドラム23間に硬貨が所定枚数集積されて集積硬貨Csが作成されると、上昇してその集積硬貨Csを下方から支持して集積ドラム23から受け取り、その後下降して集積硬貨Csを包装ローラー29に受け渡す。
【0015】
包装ローラー29は、支持棒28の周囲に鉛直方向に延びるように配置されている。この実施形態では、三本の包装ローラー29が互に平行となるように設けられている。三つの包装ローラー29のうち一つの包装ローラー29は、残りの二つの包装ローラー29に対して近接・離間可能とされている。三つの包装ローラー29のうちの一つの包装ローラー29が残りの二つ包装ローラー29に対し離間した開状態のときに、硬貨集積部12から集積硬貨Csを受け入れる。一方で、このように集積硬貨Csを受け入れた状態で三つの包装ローラー29のうち一つの包装ローラー29が残りの二つ包装ローラー29に対し近接させると、三つの包装ローラー29で集積硬貨Csが挟持された閉状態になる。これら三つの包装ローラー29は、回転駆動可能とされている。これら三つの包装ローラー29が回転駆動された状態で、包装ローラー29と集積硬貨Csとの間に包装紙Hを挟み込むことで、集積硬貨Csの周面に包装紙Hが巻き回される。
【0016】
加締形成部31は、包装ローラー29により集積硬貨Csに巻き回された包装紙Hのうち、集積硬貨Csよりも上下に突出する両余剰部分(言い換えれば、集積方向における包装紙Hの両端部)を加締めて加締部K(図4参照)を形成する。この実施形態の加締形成部31は爪状に形成されている。集積硬貨Csは、上下方向に集積されているため、上述した加締形成部31は、上下にそれぞれ一つずつ配置されている。
この実施形態における包装紙Hは、一軸延伸フィルムである透明ポリエチレンフィルム等からなり、上述した集積硬貨Csが所定量の包装紙Hにより巻き回されて両端部に加締部Kを形成することで棒状の棒金100が形成される。
【0017】
包装紙供給部14は、上述した包装部13の側方に配置され、包装部13に包装紙Hを供給する。包装紙供給部14は、包装紙ロール34と、一対の紙送りローラー35と、複数の案内ローラー37と、を備えている。包装紙ロール34は、包装紙Hをロール状にしたものであって鉛直軸回りに回転自在に支持されている。一対の紙送りローラー35は、包装紙ロール34から送り出される包装紙Hを挟み込んだ状態で回転駆動する。一対の紙送りローラー35は、その回転量に応じた長さの包装紙Hを包装紙ロール34から引き出して包装部13に向けて供給する。複数の案内ローラー37は、回転自在に設けられ、紙送りローラー35から送り出された包装紙Hを包装部13の包装ローラー29に向けて案内する。
【0018】
カッター15は、案内ローラー37と包装ローラー29との間に設けられ、包装紙Hに対して進退可能に設けられている。カッター15は、その前方に設けられた刃先によって包装紙Hを切断する。この実施形態において、カッター15は、紙送りローラー35が停止し、且つ包装ローラー29が回転駆動されている状態で包装紙Hを切断する。つまり、この実施形態のカッター15は、包装紙Hに生じる張力を利用して包装紙Hを切断するようになっている。カッター15の詳細な構成については後述する。
【0019】
制御部16は、硬貨包装機1の全体を制御する。制御部16は、硬貨包装機1における種々の制御指令を行うものであり、操作入力部41、表示部42、識別部22、硬貨包装機1の制御プログラム等を記憶する記憶部17のROM(Read Only Memory)43、及び、所定のデータを記憶するRAM(Random access memory)44等と接続されていると共に、回転ホッパ19、送りベルト21、集積ドラム23、支持棒28、包装ローラー29、加締形成部31、及び、紙送りローラー35等の駆動部とそれぞれ接続されている。
【0020】
〈〈硬貨包装機の動作〉〉
次に、上記構成を備える硬貨包装機1の動作について説明する。
先ず、作業者は、投入口(図示せず)に金種混合状態のバラ硬貨を投入し、操作入力部41から包装を行う金種や枚数などのデータを入力し、その後、包装開始の入力操作を行う。すると、制御部16は、回転ホッパ19の駆動制御を開始し、投入口に投入されたバラ硬貨を回転ホッパ19によって一枚ずつ分離させて順次硬貨通路20へと繰り出させる。
【0021】
制御部16は、硬貨通路20に繰り出された硬貨の金種、真偽、汚損等の鑑別結果及び計数結果の情報を、硬貨通路20の途中に設置された識別部22から受け取り、この情報に基づいて硬貨通路20の送りベルト21を駆動制御する。これにより、操作入力部41の入力に基づいた金種の正貨のみが集積機構の集積ドラム23へ搬送されて所定枚数(例えば、50枚程度)が集積される。
【0022】
制御部16は、硬貨集積部12にて所定枚数の硬貨が集積されると、集積硬貨Csを支持棒28により硬貨集積部12から包装部13の開状態の三つの包装ローラー29に受け渡した後、これら包装ローラー29を閉状態にする。
【0023】
制御部16は、その一方で、包装紙供給部14の紙送りローラー35を駆動制御して、包装紙ロール34から包装紙Hを包装部13に供給する。そして、制御部16は、包装紙Hを包装ローラー29と集積硬貨Csの周面との間に挟み込んだ状態で包装ローラー29を駆動させる。これにより、包装紙Hが集積硬貨Csに巻き回される。制御部16は、更に、集積硬貨Csに包装紙Hを所定回数巻き回させた後、カッター15を動作させて包装紙Hを切断させる。
【0024】
制御部16は、カッター15により包装紙Hを切断させた後、集積硬貨Csに巻き回された包装紙Hの上下端部である余剰部分を加締形成部31によって加締部Kを形成させる。以上のようにすることで、硬貨包装機1により、棒金100(図4参照)が作製される。
なお、制御部16は、作成された棒金100を、棒金搬送手段(図示せず)により硬貨包装機1の棒金出金口(図示せず)から機体外部に排出させるようにしてもよい。
【0025】
〈〈カッターの構成〉〉
図3は、この発明の第一実施形態におけるカッター15の平面図である。図4は、この発明の第一実施形態における棒金の包装紙の切断端部の側面図である。なお、これら図3図4において、カッター15の進退する方向を「Da」とし、進退する方向の前方側をDaf、後方側をDabと称する。また、この実施形態において集積硬貨Csが集積される集積方向は、包装紙Hの幅方向と等しいため、単に幅方向Dwと称する。なお、この実施形態のカッター15の幅方向は、包装紙Hの幅方向と等しい。
【0026】
図3に示すように、この第一実施形態のカッター15は、頂部51と、二つの傾斜部52と、を備えている。幅方向Dwにおいて、カッター15は、包装紙Hの幅よりも大きく形成されている。
頂部51は、カッター15のうち、最も前方側Dafに位置している。この実施形態で例示するカッター15は、幅方向Dwの中央に頂部51を有している。
二つの傾斜部52は、幅方向Dwにおける頂部51の両外側に設けられて、頂部51から離間するほど後方側Dabに位置するように延びる刃先Bを有している。この実施形態における傾斜部52は、頂部51から幅方向Dwの外側に向かうにつれて後方側Dabに位置するように延びる直線状の刃先Bを有している場合を例示している。つまり、カッター15の二つの傾斜部52の刃先Bは、従来の多数のV字状の溝を含むギザギザの鋸歯状に形成されていない。
【0027】
二つの傾斜部52のうち頂部51に近い側における、直線状の刃先Bの互いの延長線E1,E2の角度θは、鈍角をなしている。この第一実施形態では、傾斜部52が直線状の刃先Bを有しているため、頂部51には、二つの傾斜部52の直線状の刃先B同士が交差する鈍角の角部が形成されている。なお、傾斜部52の刃先Bは、平面視で僅かに湾曲する曲線状に形成されていてもよい。この場合、傾斜部52は、曲線状の刃先Bのうち、最も頂部51に近い側における曲線状の刃先Bの互いの接線の角度が鈍角をなすように形成すればよい。
【0028】
また、この第一実施形態では、頂部51に角部が形成される場合を例示したが、図3の破線のように、頂部51は、前方側Dafに向かって凸となる曲線状の刃先B1を有するようにしてもよい。このように形成することで、二つの傾斜部52の刃先Bは、頂部51の曲線状の刃先B1を介して連続することとなる。そのため、包装紙Hにかかる応力集中を抑制できる。
【0029】
〈〈第一実施形態の作用効果〉〉
上記第一実施形態の硬貨包装機1によれば、上記構成のカッター15により包装紙Hを切断することで、図4に示すように、包装紙Hの切断端部Htが、カッター15の頂部51及び二つの傾斜部52に対応した形状となるが、カッター15の傾斜部52が直線状又は曲線状の刃先を有しているため、包装紙Hの切断端部Htは、ギザギザの鋸歯状に形成されない。その結果、包装紙Hの切断端部Htがギザギザの鋸刃状に形成される場合と比較して、隣り合う棒金100の切断端部Ht同士のかみ合いや、部品のバリ等への切断端部Htの引っ掛かりが生じたとしても、包装紙Hが裂けることを抑制できる。よって棒金の包装紙めくれを防止できる。
【0030】
上記第一実施形態では、更に、上記カッター15において、二つの傾斜部52の頂部51に近い側における直線状の刃先Bの互いの延長線E1,E2の角度(又は曲線状の刃先の互いの接線の角度)が、鈍角をなしている。これにより、包装紙Hの切断端部Htに、鈍角をなす略V字状の溝を形成することができる。したがって、上記延長線E1,E2の角度(又は接線の角度)が直角や鋭角に形成されている場合と比較して、応力集中を緩和して、略V字状の溝の最底部Bmから包装紙Hが裂けてしまうことを抑制できる。
【0031】
〈第一実施形態の変形例〉
次に、この発明の第一実施形態の変形例を図面に基づいて説明する。なお、この第一実施形態の変形例は、上述した第一実施形態とカッター15の頂部51の形状が異なるだけであるため、同一部分に同一符号を付して説明するとともに、重複する説明を省略する。
図5は、この発明の第一実施形態の変形例における図3に相当する平面図である。図6は、この発明の第一実施形態の変形例における図4に相当する側面図である。
【0032】
〈〈カッターの構成〉〉
図5に示すように、第一実施形態の変形例におけるカッター15は、第一実施形態と同様に、頂部51Bと、二つの傾斜部52と、を備えている。幅方向Dwにおいて、カッター15は、包装紙Hよりも大きく形成されている。
頂部51Bは、カッター15のうち、最も前方側Dafに位置している。この変形例で例示するカッター15も、第一実施形態と同様に、幅方向Dw中央に頂部51Bを有している。
二つの傾斜部52は、第一実施形態と同様の構成であり、頂部51Bから後方側Dabに向かって漸次離間するように延びる刃先Bを有している。この変形例における傾斜部52も、頂部51Bから幅方向Dw外側に向かうにつれて後方側Dabに位置する直線状の刃先Bを有している場合を例示しているが、僅かに湾曲する曲線状に形成されていてもよい。
【0033】
頂部51Bは、後方側Dabに向かって凹む切欠き部53を備えている。この変形例において例示する切欠き部53は、平面視V字状をなしている。すなわち、切欠き部53は、前方側Dafから後方側Dabに向かって漸次幅方向Dwの寸法が減少するように形成されている。また、この変形例において例示する切欠き部53は、V字状を形成する二つの辺が直線状に形成されている。そして、頂部51Bは、最も前方側Dafに二つの角部54a,54bを有している。なお、頂部51B(角部54a,54b)は、第一実施形態と同様に、前方側Dafに向かって凸となる曲線状の刃先を有していてもよい。
【0034】
上記変形例によれば、第一実施形態と同様に、図6に示すように、包装紙Hの切断端部Htにギザギザの鋸歯状の部分が形成されないので、包装紙Hの切断端部Htがギザギザの鋸刃状に形成される場合と比較して、隣り合う棒金100の切断端部Ht同士のかみ合いや、部品のバリ等への切断端部Htの引っ掛かりが生じたとしても、包装紙Hが裂けることを抑制できる。よって棒金の包装紙めくれを防止できる。
【0035】
さらに、上記変形例によれば、図6に示すように、包装紙Hの切断端部Htにカッター15の切欠き部53に対応する形状の凸部55を形成することができる。そのため、包装紙Hに包装された集積硬貨Csを取り出す際には、凸部55を引っ張ることで凸部55の根元に形成されたV字溝から包装紙Hを裂くことができる。したがって、容易に包装紙Hを剥いて、集積硬貨Csを取り出すことが可能となる。
【0036】
なお、第一実施形態及び第一実施形態の変形例において、硬貨包装機を一例にして説明したが、この発明は、上述した硬貨集積部12、包装部13、包装紙供給部14、及びカッター15を有し、棒金100を作成可能な装置であれば良く、硬貨包装機に限られるものではない。上記の棒金100を作成する硬貨包装機1の機能に加えて、例えば、バラ硬貨の入出金処理を行うバラ硬貨処理部と、棒金の入出金処理を行う棒金処理部とを具備した貨幣処理機にも適用可能である。
【0037】
〈第二実施形態〉
次に、この発明の第二実施形態を図面に基づいて説明する。この第二実施形態は、上述した第一実施形態で作成した棒金100の包装紙Hを剥きやすくするための剥き部材を具備する点でのみ相違するため、第一実施形態と重複する説明を省略する。
図7は、この発明の第二実施形態における剥き部材の斜視図である。図8は、この発明の第二実施形態における剥き部材収容部の斜視図である。
【0038】
〈〈剥き部材〉〉
図7図8に示すように、この発明の第二実施形態における貨幣処理機60は、上述した第一実施形態の硬貨包装機1の構成に加えて、棒金100の包装紙Hを剥き易くするための剥き部材61と、剥き部材61を収容する剥き部材収容部62と、をそれぞれ備えている。
剥き部材61は、棒金100の加締部K(図4参照)を、集積硬貨Csの外周に巻き回された包装紙本体部Hbから取り外すための部材である。剥き部材61は、少なくとも、第1の基部63と、切断部64と、備えている。具体的には、この第二実施形態における剥き部材61は、第1の基部63と、切断部64と、第2の基部65と、第3の基部66と、を備えている。剥き部材61は、合成樹脂や金属等により形成することができる(以下、第二実施形態の変形例、第三実施形態も同様)。
【0039】
切断部64は、第1の基部63と交差する一方向に延びるように形成されている。切断部64は、棒金100の加締部Kの径方向Dr(図9参照)の内側に配置可能であり、この加締部Kの径方向Drの内側から加締部Kに隣接する包装紙本体部Hbに突き刺すことが可能に形成されている。切断部64は、刃部64aと、当接部64bと、を有している。
【0040】
この第二実施形態で例示する刃部64aは、切断部64の端部に向かうにつれて先細りに形成されている。さらに、刃部64aは、切断部64の幅方向Dwmの中央部に稜線64cを有し、この稜線64cを基準にして対称な平行四辺形状の二つの平面64dを有し、これら平行四辺形の鋭角がそれぞれ刃部64aの先端側に配置されている。当接部64bは、刃部64aと第1の基部63との間に位置しており、加締部Kの内側に挿入されたときに、加締部Kの内側に露出した硬貨Cの表面又は裏面に当接する平面状に形成されている。この第二実施形態における当接部64bは、第1の基部63から刃部64aの先端64tに向かって延びて、平行四辺形の平面64dの鈍角の位置から先端に向かって先細りに形成されている。
【0041】
第1の基部63は、上記切断部64を支持している。この第二実施形態における第1の基部63は、断面矩形状に形成され、切断部64の当接部64bに対して垂直で、且つ平面状の当接部64bが向く方向とは反対側に向かって延びている。
【0042】
第2の基部65は、作業者が切断部64に接触することを防止するための部位である。この第2の基部65は、上述した切断部64が加締部Kの径方向Drの内側に配置されたときに、切断部64の径方向Drの外側に位置するとともに加締部Kの外周側に位置する。この第二実施形態で例示する第2の基部65の一部は、切断部64の刃部64aの先端に対向する位置に配置されている。また、この第二実施形態で例示する第2の基部65は、上述した第1の基部63と同一形状の断面矩形状に形成され、第1の基部63と平行に延びている。さらに、この第二実施形態で例示する第2の基部65の長さ寸法は、第1の基部63の長さ寸法よりも大きく形成されている。
【0043】
第3の基部66は、上述した第1の基部63と第2の基部65とを連結している。より具体的には、第3の基部66は、切断部64が加締部Kの内側に配置されたときに、径方向に延びるように形成されている。この実施形態における第3の基部66は、第1の基部63の長手方向における二つの端部のうちの切断部64とは反対側の端部と、第2の基部65の長手方向における二つの端部のうちの切断部64から遠い方の端部とを繋いでいる。
剥き部材61は、図7に示すように、第1の基部63と第2の基部65とが平行に設けられ、切断部64が第1の基部63の先端に第2の基部65側に向けて設けられ、第2の基部65が第1の基部63よりも長く設けられ、第1の基部63と第2の基部65とが第3の基部66によって連結されている。つまり、切断部64は、第1の基部63と第2の基部65と第3の基部66とに囲まれており、第1の基部63と第2の基部65と第3の基部66とで設けられる退避空間部内に配置されている。これにより、作業者が切断部64に接触することを低減できる。
【0044】
〈〈剥き部材収容部〉〉
図8に示すように、剥き部材収容部62は、貨幣処理機60の処理機本体67の上部カバー部68に設けられている。剥き部材収容部62は、剥き部材配置部71と、剥き部材カバー部72と、剥き部材支持部73と、を備えている。
【0045】
剥き部材配置部71は、上部カバー部68の上面68aから下方に向かって凹んで形成されている。この第二実施形態で例示する剥き部材配置部71は、平面視矩形状に形成された平面状の底面71aと、この底面71aの四辺からそれぞれ上方に向かって立ち上がる四つの内側面71bとを有している。
剥き部材カバー部72は、上記剥き部材配置部71の開口を閉塞する閉塞位置と、剥き部材配置部71の開口を開放する開放位置との間で変位可能に形成されている。この第二実施形態における剥き部材カバー部72は、矩形の平板状に形成されたカバー本体部72aと、剥き部材配置部71の開口周縁部に設けられて、カバー本体部72aを揺動可能に支持するヒンジ部(図示せず)とを備えている。
【0046】
剥き部材支持部73は、剥き部材配置部71の底面71aに設けられて、剥き部材61を保持可能とされている。この第二実施形態における剥き部材支持部73は、剥き部材61の第1の基部63、第2の基部65、第3の基部66がそれぞれ剥き部材配置部71の底面71aに当接された姿勢で剥き部材61を保持する。さらに、この第二実施形態では、剥き部材支持部73が剥き部材配置部71の底面71aに二つ設けられており、これら二つの剥き部材支持部73が底面71aから突出するように設けられている。これら二つの剥き部材支持部73は、剥き部材61の第2の基部65と第3の基部66とをそれぞれ保持可能になっている。
【0047】
これら二つの剥き部材支持部73は、第2の基部65及び第3の基部66を挟み込むことが可能な一対の突起73aをそれぞれ備えている。第2の基部65を保持可能な一方の剥き部材支持部73は、第2の基部65を保持した状態で、第2の基部65と交差し且つ底面71aに沿う方向への第2の基部65の変位を規制し、底面71aと交差する方向で且つ底面71aから離間する方向(例えば、上方)への変位を許容する。第3の基部66を保持可能な他方の剥き部材支持部73は、第3の基部66を保持した状態で、第3の基部66と交差し且つ底面71aに沿う方向への第3の基部66の変位を規制し、底面71aから離間する方向への変位を許容する。つまり、二つの剥き部材支持部73によって保持された剥き部材61は、底面71aから離間する方向へ変位することを許容される一方で、底面71aに沿う方向への変位を規制されている。そして、上記剥き部材収容部62においては、剥き部材支持部73の二つの突起73aの間に底面71aと交差する方向から剥き部材61を挿入することで剥き部材61が剥き部材支持部73に保持することができる。また、剥き部材支持部73に保持された剥き部材61を底面71aから離間する方向に変位させることで、剥き部材支持部73から剥き部材61を離脱させることができる。
【0048】
〈〈加締部の取り外し方法〉〉
次に、上述した剥き部材61を用いて作業者が棒金の加締部Kを取り外す方法について図9から図11を参照しながら説明する。図9は、上記剥き部材の切断部64を加締部Kの内側に配置した状態を示す部分断面図である。図10は、上記剥き部材の切断部64を包装紙本体部Hbへ突き刺した状態を示す部分断面図である。図11は、上記剥き部材を変位させて加締部Kを包装紙本体部Hbから取り外した状態を示す部分断面図である。
【0049】
まず、作業者は、剥き部材61を剥き部材支持部73及び剥き部材収容部62から取り外す。次いで、作業者は、剥き部材61の第1の基部63、第2の基部65及び第3の基部66の少なくとも1つを把持して、図9に示すように、棒金100の加締部Kの径方向Drの内側に切断部64を挿入する。この際、加締部Kの径方向Drの内側に露出している硬貨Cの表面又は裏面に平面状の当接部64bを当接させて、切断部64を位置決めする。これにより、切断部64は、硬貨Cの径方向Drに延びる姿勢となり、切断部64の刃部64aの先端64tは、加締部Kに隣接する包装紙本体部Hbに対向配置される。また、第2の基部65が加締部Kの径方向Drの外側に配置された状態となる。
【0050】
次に、図10に示すように、作業者は、剥き部材61を操作して、第2の基部65を径方向外側(図10中、矢印で示す方向)に向かって変位させる。すると、第2の基部65の変位に伴って第3の基部66、第1の基部63及び切断部64も第2の基部65側の径方向Drの外側に変位して、切断部64の刃部64aの先端64tが包装紙本体部Hbに突き刺さり、切断部64が包装紙本体部Hbを貫通した状態となる。
【0051】
図11に示すように、次に、作業者は、剥き部材61を操作して、棒金100に対して棒金100の軸方向Do(図9から図10において集積硬貨Csの中心を通る一点鎖線の延びる方向)で且つ棒金100から離間する方向(図11中、矢印で示す方向)に第1の基部63を相対変位させる。この第1の基部63の相対変位により、切断部64は、軸方向Doで且つ集積硬貨Csから離間する方向に変位する。すると、加締部Kに包装紙本体部Hbから離間する軸方向Doの力が作用して、切断部64の貫通している包装紙本体部Hbの貫通孔から包装紙本体部Hbが加締部Kに沿って周方向に裂けて、全周にわたって破断する。これにより、加締部Kが包装紙本体部Hbから取り外された状態となる。なお、棒金100の二つの加締部Kのうちの他方の加締部Kについても同様に包装紙本体部Hbから取り外してもよい。その後、作業者は、包装紙本体部Hbを外周側から把持した状態で、加締部Kが取り外された端部側に向かって軸方向Doの反対側から集積硬貨Csを押圧する。これにより、加締部Kが取り外された端部から集積硬貨Csがバラ硬貨として押し出される。
なお、作業者は、剥き部材61を操作して第2の基部65を径方向外側に向けて変位させて、切断部64の刃部64aの先端64tが包装紙本体部Hbに突き刺さり、切断部64が包装紙本体部Hbを貫通した状態で、剥き部材61又は棒金100を、棒金100の軸方向Doを中心に回転させることで、包装紙本体部Hbを加締部Kに沿って全周にわたって裂いて破断させて、加締部Kを包装紙本体部Hbから取り外すようにしてもよい。
更に、棒金100の両端部の加締部Kを包装紙本体部Hbから剥き部材61によって取り外してから、包装紙Hに包装された集積硬貨Csを取り出すようにしてもよい。
【0052】
〈〈第二実施形態の作用効果〉〉
上記第二実施形態では、加締部Kを包装紙本体部Hbから取り外す剥き部材61と、剥き部材61を収容可能な剥き部材収容部62と剥き部材61が着脱可能な剥き部材支持部73とを備えている。そのため、剥き部材収容部62に収容され、剥き部材支持部73に支持された剥き部材61を用いて、出金等された棒金100の加締部Kを包装紙本体部Hbから取り外すことができる。したがって、包装紙Hの切断端部Htにギザギザの鋸歯状の部分が形成されていなくても、包装紙Hに包装された集積硬貨Csを容易に取り出すことができる。
【0053】
さらに、上記第二実施形態では、剥き部材61が、第1の基部63と、切断部64と、第3の基部66と、第2の基部65と、を備えているので、作業者が剥き部材61の第1の基部63、第2の基部65及び第3の基部66の少なくとも1つを把持して変位させることで、第1の基部63及び切断部64を容易に変位させることができる。また、切断部64を加締部Kの径方向Drの内側に配置し、切断部64が加締部Kの径方向Drの内側から外側に向かうように第1の基部63を変位させることで、包装紙本体部Hbのうち、加締部Kに近い位置の包装紙本体部Hbに切断部64を突き刺すことができる。さらに、第1の基部63を棒金100から離間する軸方向Doに相対変位させることで、切断部64を突き刺した箇所から包装紙本体部Hbが裂けるので、加締部Kを包装紙本体部Hbから容易に取り外すことが可能となる。
【0054】
また、上記第二実施形態では、切断部64が、加締部Kの径方向Drの内側に露出した硬貨Cの表面又は裏面に当接可能な平面状の当接部64bを有している。そのため、当接部64bを加締部Kの径方向Drの内側に露出した硬貨Cの表面又は裏面に当接させるだけで、切断部64の位置決めをすることができ、その結果、包装紙本体部Hbに突き刺す際の切断部64の姿勢を、安定的に適正な姿勢に保つことが可能となる。
【0055】
なお、この第二実施形態における剥き部材収容部62は、上部カバー部68の上面68aに設けられている場合を例示したが、剥き部材収容部62の配置は、上記配置に限られない。例えば、上部カバー部68、貨幣処理機60の処理機本体67、貨幣処理機60の処理機本体67等に設けられた扉部、処理機本体67内に設けられて機外に引き出し可能な引出部等の何れかの面に設けてもよい。
また、剥き部材支持部73は、剥き部材収容部62の内部に設けられている場合を例示したが、剥き部材配置部71を省略して、剥き部材支持部73のみを設けるようにしてもよい。また、剥き部材支持部73を省略して剥き部材61を保持することなく剥き部材配置部71の内部に載置するようにしてもよい。
【0056】
図12は、この発明の第二実施形態の変形例における剥き部材本体部の斜視図である。
上述した第二実施形態の剥き部材61は、第1の基部63及び切断部64に加えて、第3の基部66及び第2の基部65を備えていたが、例えば、図12に示す変形例の剥き部材61Bのように、第3の基部66及び第2の基部65を省略し、作業者が第1の基部63を把持して剥き部材61Bを変位させるようにしてもよい。
【0057】
〈第三実施形態〉
上述した第二実施形態及び第二実施形態の変形例では、棒金100に対して第1の基部63及び切断部64を動かして切断部64を包装紙本体部Hbに突き刺す場合について説明した。しかし、固定された第1の基部63及び切断部64に対して棒金100を動かして切断部64を包装紙本体部Hbに突き刺すようにすることもできる。以下、この発明の第三実施形態を図面に基づき説明する。また、この第三実施形態では、第二実施形態及び第二実施形態の変形例と同一部分に同一符号を付して、重複する説明を省略する。
【0058】
図13は、この発明の第三実施形態における剥き部材及び棒金の斜視図である。
図13に示すように、この第三実施形態における剥き部材61Cは、ベース部75と、第1の基部63と、切断部64と、備えている。
ベース部75は、例えば、貨幣処理機60の処理機本体67の上部カバー部68等、貨幣処理機60の何れかと一体に形成することができるが、貨幣処理機60と別体としてもよい。ベース部75は、棒金100の端部100tを挿入可能な棒金挿入部76を備えている。棒金挿入部76は、ベース部75の上面75aから凹むようにして形成されている。棒金挿入部76は、一対の側面76aと、これら側面76aの長手方向の端部同士を接続する一対の端面76bと、ベース部75の上面75aと平行な底面76cとを備えている。
【0059】
一対の側面76aは、底面76cから垂直に立ち上がり、全金種の棒金100の端部100tが挿入可能な距離(言い換えれば、最も大きい直径を有した棒金100の直径よりも長い距離)だけ離れて対向配置されている。この第三実施形態における一対の側面76aは互いに平行に延びている。一対の端面76bは、二つ側面76aの長手方向における一方側の端部同士、及び他方側の端部同士を繋いでいる。これら二つの端面76bは、ベース部75の平面視で僅かに凹状に湾曲する曲面をなしている。この第三実施形態における棒金挿入部76は、これら側面76a及び端面76b及び底面76cによって構成されている。棒金挿入部76は、その内部に挿入された棒金100の端部100tを側面76aの延びる長手方向の一方向に変位可能なように、端面76bの延びる方向よりも側面76aの延びる方向に長い形状をなしている。
【0060】
第1の基部63及び切断部64は、棒金挿入部76の内側に設けられている。第1の基部63は、棒金100を棒金挿入部76へ挿入する挿入方向に延びている。この第二実施形態の変形例における第1の基部63は、底面76cから垂直な方向に突出するように設けられている。底面76cから突出する第1の基部63の長さ寸法は、加締部Kの軸方向Doの長さ寸法よりも大きくなっている。
【0061】
切断部64は、第1の基部63の先端から側面76aの長手方向の上記一方向とは反対方向に延びている。切断部64は、上述した第二実施形態と同様に、刃部64aと当接部64bとを有している。刃部64aの先端64tは、上記反対方向を向いている。この変形例における当接部64bは、ベース部75の上面75aと平行な平面状に形成され、棒金挿入部76の内部に位置している。
【0062】
〈〈加締部の取り外し方法〉〉
次に、上述した第三実施形態の剥き部材61を用いて作業者が棒金100の加締部Kを取り外す方法について図13を参照しながら説明する。
まず、作業者は、加締部Kが形成されている棒金100の端部100tを、棒金挿入部76に対向させる。そして、作業者は、加締部Kの径方向Drの内側に切断部64が配置されるように、棒金100を底面76cに近づく方向(図13中、矢印aで示す方向)に変位させて、棒金100の端部100tを棒金挿入部76に挿入させる。この際、当接部64bを加締部Kの径方向Drの内側に露出した硬貨Cの表面又は裏面に当接させる。これにより、棒金100の端部100tのみが棒金挿入部76に挿入され、加締部Kに対して切断部64が位置決めされた状態となる。
【0063】
次いで、作業者は、剥き部材61Cに対し、側面76aの長手方向のうち切断部64の刃部64aの先端64tの向く一方向とは反対方向(図13中、矢印bで示す方向)に棒金100を変位させる。すると、第1の基部63及び切断部64が、棒金100に対して径方向Drの外側に相対変位して、切断部64の刃部64aの先端64tが包装紙本体部Hbに突き刺さり、切断部64が包装紙本体部Hbを貫通した状態となる。
【0064】
作業者は、この状態で、底面76cに対し棒金100が離間する方向(図13中、矢印cで示す方向)に変位させる。これにより、切断部64は、棒金100の軸方向Doで且つ集積硬貨Csから離間する方向に相対変位する。すると、第二実施形態と同様に、加締部Kに包装紙本体部Hbから離間する軸方向Doの力が作用して、切断部64の貫通している貫通孔から包装紙本体部Hbが周方向に裂けて、全周にわたって破断する。これにより、加締部Kが包装紙本体部Hbから取り外された状態となる。その後、第二実施形態と同様に、作業者は、包装紙本体部Hbを外周側から把持した状態で、加締部Kが取り外された端部100t側に向かって軸方向Doの反対側から集積硬貨Csを押圧する。これにより加締部Kが取り外された端部100t側から集積硬貨Csがバラ硬貨として押し出される。
【0065】
〈〈第三実施形態の作用効果〉〉
上記第三実施形態では、棒金100の端部100tを挿入可能で且つ棒金100の端部100tを内部で一方向への変位可能な棒金挿入部76を有し、この棒金挿入部76の内側に第1の基部63及び切断部64を備えている。
そのため、切断部64が加締部Kの内側に配置されるように棒金100の端部100tを棒金挿入部76に挿入して、切断部64が硬貨Cの径方向Drの内側から外側に向かって変位するように棒金100を変位させることで、第二実施形態と同様に、包装紙本体部Hbのうち、加締部Kに近い位置の包装紙本体部Hbに切断部64を突き刺すことができる。そして、棒金100の端部100tを、棒金挿入部76から抜き取る方向に変位させることで、切断部64を突き刺した箇所から包装紙本体部Hbが裂けて、加締部Kを取り外すことができる。したがって、包装紙Hの切断端部Htにギザギザの鋸歯状の部分が形成されていなくても、包装紙Hに包装された集積硬貨Csを容易に取り出すことができる。
【0066】
なお、上記第三実施形態では、剥き部材61Cが貨幣処理機60の上部カバー部68に設けられる場合を例示したが、例えば、剥き部材61Cが貨幣処理機60の処理機本体67、貨幣処理機60の処理機本体67等に設けられた扉部、処理機本体67内に設けられて機外に引き出し可能な引出部等に設けられてもよい。更に、剥き部材61Cが貨幣処理機60とは別体に設けられてもよい。
【0067】
〈他の実施形態〉
以上、図面を参照して一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、様々な設計変更等をすることが可能である。すなわち、他の実施形態においては、上述の処理の順序が適宜変更されてもよい。
例えば、切断部64の刃部64aの形状は、包装紙本体部Hbに突き刺すことが可能な形状であればよく、上述した各実施形態及び変形例の形状に限られない。
【0068】
また、第三実施形態において、貨幣処理機60と一体にベース部75を設ける場合を例示した。しかし、ベース部75が一体に設けられるのは貨幣処理機60に限られず、例えば、硬貨処理機、紙幣処理機、棒金収納機等であってもよい。
さらに、第二実施形態では、棒金100に対して剥き部材61を変位させる場合について説明したが、棒金100と剥き部材61とを同時に、切断部64が包装紙本体部Hbに突き刺さる方向へ変位させるようにしてもよい。
【0069】
また、第三実施形態では、第1の基部63の位置を固定して棒金100を変位させる場合について説明したが、例えば、アクチュエータ等によってベース部75を変位可能に構成して、棒金挿入部76の内側に棒金100の端部100tを挿入した後に、ベース部75を側面76aの長手方向のうちの上記反対方向にスライドさせて第1の基部63及び切断部64を変位させるようにしてもよい。またこの場合、ベース部75を変位させるのと同時に、切断部64が包装紙本体部Hbに突き刺さる方向へ、作業者が棒金100を変位させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0070】
1…硬貨包装機 11…操作部 12…硬貨集積部 13…包装部 14…包装紙供給部 15…カッター 16…制御部 17…記憶部 19…回転ホッパ 20…硬貨通路 21…送りベルト 22…識別部 23…集積ドラム 24…突起部 28…支持棒 29…包装ローラー 31…加締形成部 34…包装紙ロール 35…紙送りローラー 37…案内ローラー 41…操作入力部 42…表示部 43…ROM 44…RAM 51,51B…頂部 52…傾斜部 53…切欠き部 54a,54b…角部 60…貨幣処理機 61,61B,61C…剥き部材 62…剥き部材収容部 63…第1の基部 64…切断部 64a…刃部 64b…当接部 64c…稜線 64d…平面 64t…先端 65…第2の基部 66…第3の基部 67…処理機本体 68…上部カバー部 71…剥き部材配置部 71a…底面 71b…内側面 72…剥き部材カバー部 72a…カバー本体部 73…剥き部材支持部 73a…突起 75…ベース部 75a…上面 76…棒金挿入部 76a…側面 76b…端面 76c…底面 100…棒金 Cs…集積硬貨 H…包装紙 Hb…包装紙本体部 Ht…切断端部 K…加締部
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