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特開2022-127213軒先支持材、及びそれを用いた軒先構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022127213
(43)【公開日】2022-08-31
(54)【発明の名称】軒先支持材、及びそれを用いた軒先構造
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/072 20060101AFI20220824BHJP
【FI】
E04D13/072 502F
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021025230
(22)【出願日】2021-02-19
(71)【出願人】
【識別番号】000165505
【氏名又は名称】元旦ビューティ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095337
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100174425
【弁理士】
【氏名又は名称】水崎 慎
(74)【代理人】
【識別番号】100203932
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 克宗
(72)【発明者】
【氏名】舩木 元旦
(72)【発明者】
【氏名】桑原 健
(57)【要約】
【課題】一般住宅や集合住宅などの各種の屋根に対して適用でき、屋根の軒先に各種の軒樋を安定に且つ確実に取り付けることができ、特に既設屋根の様々な軒先に対して対応することができる軒先支持材、及びそれを用いた軒先構造を提供する。
【解決手段】本発明の軒先支持材1は、建築物の軒先側に配設される軒樋4を支持する本体1Aと、軒先6Eに取り付けられる取付部24a,24bを有する軒先取付材2と、本体1Aと軒先取付材2とを固定する固定具3と、からなり、本体1A及び軒先取付材2には、回動自在に固定した状態にて所定間隔Hを隔てて対向する横片14,23がそれぞれ形成され、固定具3には、所定間隔Hを保持する嵌合部30が形成され、本体1Aには、固定具3と係合する係合部17が形成されていることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の軒先側に配設される軒樋を支持する本体と、軒先に取り付けられる取付部を有する軒先取付材と、前記本体と前記軒先取付材とを固定する固定具と、からなり、
前記本体及び前記軒先取付材には、回動自在に固定した状態にて所定間隔Hを隔てて対向する横片がそれぞれ形成され、前記固定具には、前記所定間隔Hを保持する嵌合部が形成され、前記本体には、前記固定具と係合する係合部が形成されていることを特徴とする軒先支持材。
【請求項2】
前記本体及び前記軒先取付材の一端には、前記対向する横片が形成され、他端には回動自在に固定させる軸部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の軒先支持材。
【請求項3】
前記本体及び前記軒先取付材の横片のうち、一方には係止凸部を備え、他方には前記係止凸部が当接する複数段の係合歯が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の軒先支持材。
【請求項4】
前記本体の前記軒樋の支持は、前記軒樋の開放上面を覆うカバー材を固定する被固定部にて行うことを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の軒先支持材。
【請求項5】
前記本体の前記軒樋の支持は、前記軒樋の建築物側の側面の上端又は下端の何れか一方或いは両方を保持する保持部にて行うことを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の軒先支持材。
【請求項6】
請求項1~5の何れか一項に記載の軒先支持材を用いた軒先構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般住宅や集合住宅などの各種の屋根に対して適用でき、屋根の軒先に各種の軒樋を安定に且つ確実に取り付けることができる軒先支持材、及びそれを用いた軒先構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、屋根の軒先に軒樋を取付けた雨樋付き屋根が知られている。
例えば、特許文献1に開示されているように、屋根の軒先構成部材に取付ベースを取付け、この取付ベースに支持アームを回動可能に取付け、その支持アームに軒樋を取付けた雨樋付き屋根が知られている。
また、この特許文献1には、支持アームと取付ベースの何れか一方の外周に嵌合凹凸部を歯車状に連設すると共に他方に嵌合凹凸部の回動を阻止する係止爪部を設けた構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平4-82230号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の雨樋付き屋根は、支持アームを取付ベースに対して回動できるから、軒先構成部材の勾配、つまり屋根勾配に応じて支持アームを回動することで軒樋を水平に取付けできる。要するに、屋根勾配の違いに対応できる。
【0005】
しかしながら、特許文献1では、支持アームと取付ベースの何れか一方の外周に歯車状の嵌合凹凸部を、他方に係止爪部を設けた構成であるため、軒樋の位置決めに際して微調整が困難であって、強固に固定することも到底できないという問題を有するものであった。
また、特許文献1に記載の雨樋付き屋根は、取付ベースと支持アームと軒樋の3種類の部材を備えていると共に、その取付ベース、支持アームは短尺で、複数の取付ベースを軒先構部材の長手方向に間隔を置いて取付けるので、取付ベース、支持アームをそれぞれ複数用いている。
このために、軒樋を取付けるために多数の部材が必要で、構成部品点数が多く、施工に時間がかかると共に、コストが高い。
しかも、取付ベース、支持アームが短尺で、複数の支持アームに亘って軒樋を取付けるので、人が屋根を目視した際に屋根の軒先構成部材が見える。
このために、従来の雨樋付き屋根においては、軒先構成部材を外観意匠の優れたものとして屋根の軒先部分の見栄えを良くしなければならず、コストが高くなる。
【0006】
そこで、本発明は、一般住宅や集合住宅などの各種の屋根に対して適用でき、屋根の軒先に各種の軒樋を取り付けることができ、特に軒樋の配設に際して微調整も可能であり、且つ強固に取り付けることができる軒先支持材、及びそれを用いた軒先構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記に鑑み提案されたもので、建築物の軒先側に配設される軒樋を支持する本体と、軒先に取り付けられる取付部を有する軒先取付材と、前記本体と前記軒先取付材とを固定する固定具と、からなり、前記本体及び前記軒先取付材には、回動自在に固定した状態にて所定間隔Hを隔てて対向する横片がそれぞれ形成され、前記固定具には、前記所定間隔Hを保持する嵌合部が形成され、前記本体には、前記固定具と係合する係合部が形成されていることを特徴とする軒先支持材を提案する。
【0008】
また、本発明は、前記軒先支持材において、本体及び軒先取付材の一端には、前記対向する横片が形成され、他端には回動自在に固定させる軸部が形成されていることを特徴とする軒先支持材をも提案する。
【0009】
また、本発明は、前記軒先支持材において、本体及び軒先取付材の横片のうち、一方には係止凸部を備え、他方には前記係止凸部が当接する複数段の係合歯が形成されていることを特徴とする軒先支持材をも提案する。
【0010】
また、本発明は、前記軒先支持材において、本体の軒樋の支持は、軒樋の開放上面を覆うカバー材を固定する被固定部にて行うことを特徴とする軒先支持材をも提案する。
【0011】
また、本発明は、前記軒先支持材において、本体の軒樋の支持は、軒樋の建築物側の側面の上端又は下端の何れか一方或いは両方を保持する保持部にて行うことを特徴とする軒先支持材をも提案する。
【0012】
さらに、本発明は、前記軒先支持材を用いたことを特徴とする軒先構造をも提案する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の軒先支持材は、建築物の軒先側に配設される軒樋を支持する本体と、軒先に取り付けられる取付部を有する軒先取付材と、前記本体と前記軒先取付材とを固定する固定具と、からなり、前記本体及び前記軒先取付材には回動自在に固定した状態にて所定間隔Hを隔てて対向する横片がそれぞれ形成され、前記固定具には、前記所定間隔Hを保持する嵌合部が形成され、前記本体には、前記固定具と係合する係合部が形成されているので、固定具がズレ動くことがなく、軒樋の位置決めに際し、微調整も容易に行うことができ、しかも強固に取り付けることができるものである。
そのため、取り付けられる軒先として、破風等が様々な角度を備えている傾斜面であっても、適宜に調整することにより、安定に且つ確実に適正位置に固定することができる。また、この軒先支持材は、前述のように既存屋根の軒先や新設屋根の軒先の角度に何等制限を受けないし、軒樋の取付が行える屋根構造の施工にも影響を受けることなく取り付けることができるので、新設又は既設の屋根に対して適用でき、特に既設屋根の改修に容易に且つ好適に用いることができ、改修工事を簡易に施工することができる。
【0014】
また、本体及び軒先取付材の一端には前記対向する横片が形成され、他端には回動自在に固定させる軸部が形成されている場合、他端の軸部を回動状に微調整し、その後、筒状、コ字状、U字状、エ字状等の各種の固定具にて容易に且つ強固に一体化させることができる。
【0015】
また、本体及び軒先取付材の横片のうち、一方には係止凸部を備え、他方には前記係止凸部が当接する複数段の係合歯が形成されている場合、係止凸部を係合歯に当接させた状態で段階的に係止させる微調整を行うことができる。
【0016】
また、本体の軒樋の支持は、軒樋の開放上面を覆うカバー材を固定する被固定部にて行う場合、軒樋を両サイド、即ち建築物側及び軒先端側から、安定に保持することができる。
【0017】
さらに、本体の軒樋の支持は、軒樋の建築物側の側面の上端又は下端の何れか一方或いは両方を保持する保持部にて行う場合、軒樋を容易に配置させて取り付けることができる。
【0018】
また、本発明の前記軒先支持材を用いた軒先構造は、新設又は既設の一般住宅や集合住宅等の建築物の各種の軒先構造に適用することができ、特に既設の建築物の軒先構造の老朽化に伴い、各種の軒樋を容易に且つ確実に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】(a)本発明の軒先支持材の一実施例(実施例1)を形成する本体を示す斜視図、(b)実施例1の軒先支持材を形成する軒先取付材を示す斜視図、(c)実施例1の軒先支持材を形成する固定具を示す斜視図、(d)実施例1の軒先支持材を用いた軒先構造の一例(施工例A:破風が垂直状)を示す側面図である。
図2】(a)実施例1の軒先支持材を用いた別の軒先構造(施工例B:破風が傾斜状)の施工手順を示し、傾斜状の破風に軒先取付材を固定した状態を示す側面図、(b)軒先取付材に固定具を取り付ける状態を示す斜視図、(c)固定した軒先取付材に本体を取り付ける状態を示す側面図である。
図3】(a)施工例Bにおける軒先取付材に本体を組み付ける状態を示す斜視図、(b)軒先取付材に対して本体を回動状に微調整する状態を示す側面図、(c)一体化させた軒先支持材を管理・保管する状態の一例を示す斜視図である。
図4】実施例1の軒先支持材を用いた別の軒先構造(施工例B)の施工状態を示す側面図である。
図5】実施例1の軒先支持材を用いた更に別の軒先構造(施工例C:破風が更に傾斜状)を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の軒先支持材は、建築物の軒先側に配設される軒樋を支持する本体と、軒先に取り付けられる取付部を有する軒先取付材(以下、単に取付材という)と、前記本体と前記取付材とを固定する固定具と、からなり、前記本体及び前記取付材には、回動自在に固定した状態にて所定間隔Hを隔てて対向する横片がそれぞれ形成され、前記固定具には、前記所定間隔Hを保持する嵌合部が形成され、前記本体には、前記固定具と係合する係合部が形成されていることを特徴とする。
なお、取付部が取り付けられる軒先とは、破風等のビス等の締着具が締着可能な部位を指すが、特にこれらに限定するものではなく、軒先から見て「面」で構成されるものであればよく、破風等は垂直であっても傾斜状であってもよい。
【0021】
前記本発明の軒先構造に用いる軒樋は、内部に雨水等の排水路が設けられているものであれば、その材質や寸法、特に底面及び両側面の形状等は限定するものではないが、建築物側の側面の下方(下端)には、下方からこの軒樋を支持させるための(例えば隅部状又は角状の)被支持部が形成されていることが望ましい。そして、この軒樋の開放上面を覆うようにカバー材が取り付けられている。
【0022】
前記カバー材は、その軒先端が軒樋の軒先端と係合して取り付けられ、且つ軒樋の開放上面を覆う部材であって、後述する図示実施例に示すようにその軒先端に下方へ更に内側へ折曲した略コ字状の係合部を設けてその裏面側に軒樋の軒先端を係合させる構成が望ましい。この略コ字状の係合部は、軒樋の軒先端を建築物側へ引っ張るように保持するため、このカバー材は軒樋の荷重を保持するアームの作用を果たす。また、このカバー材は、前述のように軒樋の開放上面を覆う部材であるから、内部に降雪が堆積したり、落ち葉等が侵入、堆積したり、鳥類等が巣作りすることを防止する作用をも果たし、その表面には雨水を内部へ導く導水口、例えば小径のスリット孔が形成されて雨水のみを軒樋内に導く作用をも果たす。このようにカバー材は、前述の有効な作用を目的として配設される部材である。そのため、仮にこのカバー材と本発明の軒先支持材とを固定する場合には、カバー材と共に軒樋を保持(支持)する(=即ちカバー材を通して軒樋を支持している)役割を果たす。
【0023】
前記軒先支持材は、前述のように建築物の軒先側に配設される軒樋を支持する本体と、軒先に取り付けられる取付部を有する取付材と、前記本体と前記取付材とを固定する固定具と、を備え、前記本体及び前記取付材には、回動自在に固定した状態にて所定間隔Hを隔てて対向する横片がそれぞれ形成され、前記固定具には、前記所定間隔Hを保持する嵌合部が形成され、前記本体には、前記固定具と係合する係合部が形成されているが、本体における軒樋の支持構成も、取付材における取付部の構成も、また所定間隔Hを隔てて対向するそれぞれの横片の具体的構成も、特に限定するものではない。なお、本発明の軒先支持材は、基本的に複数部材から構成されるが、配設に際しては少なくとも本体と取付材とが一体的に組み合わされている。
【0024】
例えば本体における軒樋の支持構成としては、軒樋の上面を覆うカバー材を固定する被固定部にて行う構成が挙げられる。
また、別の支持構成としては、軒樋の建築物側の側面の上端又は下端の何れか一方或いは両方を保持する構成が挙げられる。
きる。
或いはこれらの支持構成を同時に採用するようにしてもよい。その場合、軒樋を両サイド、即ち建築物側及び軒先端側から、安定に保持することができる。
【0025】
また、取付材における取付部の構成としては、前記軒先の部位形状に応じて適宜に設定すればよく、当該取付材ばかりでなく、本体にも取付部を設けて複数の取付部が形成されるようにしてもよい。
【0026】
さらに、所定間隔Hを隔てて対向するそれぞれの横片の具体的構成としては、例えば後述する図示実施例のように上下に対向することを前提とし、更に対向面のそれぞれに複数段の係合歯を噛み合わせ状に係合することを前提とすると、上方に配置する横片には下面側が対向面であり、下方に配置する横片には上面側が対向面であるから、上方横片には、その下面側に下方へ突出する係合歯を設け、下方横片には、その上面側に上方へ突出する係合歯を設ければよい。
尤も所定間隔Hを隔てて対向する横片の固定方法は限定しないので、例えば横片同士を直接的に固定してもよいし、横片間に厚みHの別部材を介在させた状態で固定してもよい。
【0027】
なお、本体の横片と取付材の横片とを所定間隔Hを隔てて微調整可能に係止させる構成としては、前述のように双方の横片に複数段の係合歯を形成して噛み合わせ状に係合させるようにしてもよいし、後述する図示実施例のように何れか一方の横片のみに複数段の係合歯を形成し、他方の横片には一方の係合歯に係合する係止凸部を形成するようにしてもよい。当該構成は、例えば前記特許文献1にも適用されている公知の手段であって、係止凸部を係合歯に当接させた状態で段階的に係止させて微調整できるが、係合歯を小さく且つ多数に形成することにより、更に微細な寸法調整が可能となるものである。
但し、本発明では、本体及び取付材の横片同士に固定具を装着することにより、前記本体と前記取付材とを回動可能に固定した状態で微調整させて係止(固定)させることができ、固定具のズレ動きを防止できる点が前記特許文献1とは明らかに相違する。
【0028】
また、本体の横片及び取付材の横片を所定間隔Hを隔てて対向させる構成としては、例えば両部材の他端(横片が形成される側を一端としている)に、枢着でも軸着でも挿着でも嵌合でも掛合でもよいが、少なくとも係合する係合部(図示実施例では軸部と軸受け部)を形成すれば、この係合部同士を組み付けた部分を調整のための挙動(回動や傾動又は摺動等)の支点とできるため、該組み合わせ支点からの成形寸法を調整して所定間隔Hを形成できる。
このように、本体と取付材の他端に、少なくとも係合する係合部を形成して組み付けた場合には、これらの部材を一つの部材として施工に際して容易に取り扱うことができる。
【0029】
前述のように本体と取付材の他端を、少なくとも係合するように組み合わせた場合には、一端の横片同士が回動自在であるため、例えば破風等が傾斜状面であっても取付部を任意の固定角度に調整した状態で軒樋を支持することができ、より安定に且つ確実に固定することができる。
また、両部材の横片を所定間隔Hで保持する嵌合部を有する固定具にて固定する構成を採用したので、該固定具の取付(嵌合させる操作)が、例えば締め付けを必要とするビス等の締着具の取付に比べて容易に行うことができる。
【0030】
そして、本発明の前記軒先支持材を用いた軒先構造は、新設又は既設の一般住宅や集合住宅等の建築物の各種の軒先構造に適用することができ、特に既設の建築物の軒先構造の老朽化に伴い、各種の軒樋を容易に且つ確実に取り付けることができる。
しかも本体に、固定具と係合する係合部を設けたので、固定具がズレ動くことがなく、軒樋の位置決めに際し、微調整も容易に行うことができ、しかも強固に取り付けることができるものである。
【実施例0031】
図1(a)~(c)に示す実施例1の軒先支持材1は、建築物の軒先側に配設される軒樋4を支持する本体1Aと、軒先(破風6E)に取り付けられる取付部24a,24bを有する取付材2と、本体1Aと取付材2とを固定する固定具3とからなり、本体1A及び取付材2には、回動自在に固定した状態にて所定間隔Hを隔てて対向する横片14,23がそれぞれ形成され、固定具3には、所定間隔Hを保持する嵌合部30が形成され、本体1Aには、固定具3と係合する係合部17が形成されている。
図3(c)には、施工に供する直前の軒先支持材1を示しているが、構成する各部材1A,2,3が逸脱しないように一体化させている。、
【0032】
前記本体1Aは、図1(a)に示すように縦状片11に、上方から順に建築物側(図面右側)へ向かう横片12、軒先側(図面左側)へ向かう横片13がそれぞれ略直交状に形成され、更に軒先側の下方へ向かう傾斜片16が形成され、下端には建築物側へ向かう傾斜状の横片14が形成されると共に、軒先側へは略直交状(略L字状)の支持部(下方保持部)15が形成されている。
前記横片12の先端には、小円弧状の軸部121が形成され、前記横片13の先端には、傾斜状に下降する支持面部131が形成され、前記傾斜片16と前記縦片11との隅部が保持部(上方保持部)161である。
また、前記横片14の上面には、略L字状に突出する係合部17が形成され、前記横片14の先端には、下向き片である縦片18が直交状に形成されている。この縦片18の下端が係止凸部181である。
【0033】
前記取付材2は、図1(b)に示すように縦状片21に、三つの孔211~213が穿設され、上方寄りには軒先側へ略直交状に延在する横片22が形成され、下端には軒先側へ略円弧状に延在する横片23が形成されている。
前記横片22の先端(軒端)側には、前記本体1Aの軸部121を枢着させる軸受け部221が形成され、前記横片23の上面側には、前記本体1Aの係止凸部181が当接(係止)する複数段の係合歯231が形成されている。
前記縦状片21を軒先(破風6E)に沿わせ、該縦状片21の二箇所の孔211,213よりビス2b,2cを打ち込んで固定することで、取付部24a,24bとしている。
【0034】
前記固定具3は、図1(c)に示すように前記本体1Aと前記取付材2とを固定するものであって、前記本体1Aの横片14と、前記取付材2の横片23との所定間隔Hを保持する嵌合部30が形成されている。当該実施例の固定具3は、高さHの角筒状空間を有する角筒状体であり、この角筒状空間が嵌合部30である。
またこの固定具3には、前記本体1Aの係合部17に係合される被係合部31が設けられているが、この被係合部31とは、当該実施例では角筒状体の上面部の軒先端を指している。
【0035】
これらの本体1Aと取付材2と固定具3とからなる実施例1の軒先支持材1は、前記軸受け部221に前記軸部121を挿着することにより容易に回動可能に組み合わせることができ、対向させた横片14,23に対して固定具3(の嵌合部30)を容易に嵌合させて一体化させることができる。
なお、予め前記本体1Aの横片14と、前記取付材2の横片23との間隔Hは、それぞれの縦状片11,21の長さや固定具3の嵌合部30等と調整されているので、係止凸部181が係合歯231に臨むように取り付けることができる。この状態において、軸部121及び軸受け部221を中心軸として、前記本体1Aを前記取付材2に対して回動させることができる。
そして、所定の角度が定まったら、前記固定具3を両部材1A,2に深く嵌合させて一体化(固定)する。具体的には、前記固定具3の被係合部31を、前記本体1Aの係合部17に係合させて一体化(固定)させる。
【0036】
図1(d)に示す軒先構造における軒樋4は、略水平状の底面41の軒先側(図面では左側)に、三つの傾斜面と二つの略水平面とで構成される段状の側面42が形成され、前記底面41の建築物側には、直交状(略垂直状)に起立する側面43が形成され、これらの底面41及び側面42,43にて雨水等の排水路が形成されている。
前記軒先側の側面42の上端に位置する略L字状部分は、カバー材5の係合部52に保持(係合)される軒先端421である。
また、前記側面43の下端には、隅部状の被保持部431が設けられ、前記軒先支持材1の本体1Aの支持部15に、上方から載置状に保持される部位である。なお、この側面43の上端432が、前記軒先支持材1の保持部161に、下方から挿入状に配置して保持される部位(第二被保持部)である。
【0037】
また、この軒先構造におけるカバー材5は、前記軒樋4の内部に降雪が堆積したり、落ち葉等が侵入、堆積したり、鳥類等が巣作りすることを防止する部材であって、その表面(化粧面51)には雨水を内部へ導く導水口511として複数の小径のスリット孔が形成され、その軒先端には略コ字状に形成された係合部52が、前記軒樋4の軒先端421と係合して取り付けられ、その上端に破風6Eにビス5bにて固定される固定部53が形成されている。
前記係合部52は、化粧面51の軒先端から斜め上方へ延在し、その先端を下方へ折曲し、更にその下端を内側へ折曲した略コ字状に形成されているが、化粧面51と係合部52との境界には下方へ凹む排水溝55が形成され、所定間隔で導水口551が形成されている。
【0038】
また、前記取付材2が取り付けられる軒先とは、前述のように破風等のビス等の締着具が締着可能な部位を指し、当該実施例では破風6Eがそれに相当する。
前記破風6Eの裏面側には厚肉の縦壁面6Dを介して屋根勾配を形成するH躯体7が配設され、その上面側には、木毛セメント板等からなる野地材6A及び外装材8Aが配設されている。
なお、前記野地材6Aの軒端には水切り材6Bが固定され、前記野地材6Aの上面には防水シート6cが敷設されている。
【0039】
そして、この実施例1の軒先支持材1は、本体1Aに支持部15と保持部161を備えるので、軒樋4の建築物側の被保持部431と第二被保持部432がそれぞれ保持され、軒樋4を容易に配置させて取り付けることができる。
なお、図1(d)に示す施工例Aでは、取り付ける破風6Eが垂直状に配設される例であるため、前記取付材2の縦状片21を垂直状に配設する一例であって、本体1Aの縦状片11と取付材2の縦状片21とが共に垂直状に配設されるので、両縦状片11,21が平行状に対向している一例ということができる。
【0040】
この施工例Aの施工手順について簡単に説明すると、まず垂直状の縦面である破風6Eに対し、取付材2の縦状片21を沿わせ、最上段の孔211にビス2bを、最下段の孔213にビス2cを打ち込んで固定する。次に、この取付材2の横片23に、固定具3の嵌合部30を遊嵌状に配設する。その後、取付材2の軸受け部221に本体1Aの軸部121を挿着させて、回動自在に固定した後、本体1Aの縦片18(係止凸部181)を、取付材2の横片23(係合歯231)に臨ませ、この状態で固定具3を、取付材2の横片23の奥端近くから軒先側へスライド状にずらせ、その被係合部31が係合部17に係合されるようにする。こうして、図1(d)に示す施工状態が得られる。
【0041】
図2(a)~(c)、図3(a),(b)、及び図4に示す施工例Bでは、前記施工例Aとは異なり、取り付ける破風6E'が傾斜状に配設される例であって、本体1Aの縦状片11と取付材2の縦状片21とが下方へ向かって拡開状に配設されている一例である。
なお、前述のように前記施工例Aとこの施工例Bとでは、破風6E'や縦壁面6D'の配設角度が異なり、それにより、取り付ける当該軒先支持材1の配設角度も相違するが、同一(実施例1)の軒先支持材1を用いるので、軒先支持材1に関する符号は変えずに表示している。
【0042】
図2(a)は、傾斜状に配設された破風6E'に対し、取付材2を固定した状態を示すものである。
図2(b)は、取付材2に対して固定具3を配設する状態を示し、取付材2の係合歯231を備える横片23に対し、固定具3の角筒状空間である嵌合部30を遊嵌状に配設する状態を示している。
続いて図2(c)及び図3(a)は、本体1A及び取付材2を回動自在に固定する状態を示し、取付材2の軸受け部221に対して側方から、本体1Aの軸部121を挿着させ、本体1Aの縦片18(係止凸部181)が取付材2の横片23(係合歯231)に臨む状態を形成している。
【0043】
図3(b)は、取付材2に対して本体1Aを回動状に微調整して取り付けた状態を示し、本体1Aの係合部17に、角筒状体の上面部の軒先端(被係合部31)が係合するように固定具3を配設することで取り付けられる。即ち本体1Aの縦状片11が垂直状になるまで回動させ、取付材2の横片23の奥端近くに遊嵌させた固定具3を、その被係合部31が係合部17に係合するポイントまで軒先側へスライド状にずらせることで微調整される。
なお、前記施工例Aでもこの施工例Bでも(更に後述する施工例Cでも)、軒樋4の底面41が水平状に配設されることが前提であることは同様であるから、言い換えれば軒樋4の底面41に対して直交状に設けた側面43は、垂直状に配設されることが前提となる。
そして、図4に示す施工状態を得る。
【0044】
図5に示す施工例Cでは、前記施工例Bよりも取り付ける破風6E"がより深く傾斜状に配設される例であって、本体1Aの縦状片11と取付材2の縦状片21とが下方へ向かってより広く拡開状に配設されている一例ということができる。
なお、前述のようにこの施工例Cでは、破風6E"や縦壁面6D"の配設角度がより深く傾斜しているが、それらに加えて屋根勾配を形成するH躯体7"やその上面側に配設された野地材6A"の勾配角度も相違するが、同一(実施例1)の軒先支持材1を用いるので、軒先支持材1に関する符号は変えずに表示している。野地材6A"の上面側の水切り材6Bや外装材8A等については符号は変えていない。
【0045】
この施工例Cについては、前記施工例Bのように軒先支持材1に関わる動作手順を図示してはいないが、前記施工例Bと全く同様に施工を行うことができる。
即ち破風6E"に対し、取付材2を固定した後、該取付材2に係合歯231を備える横片23に、固定具3の嵌合部30を遊嵌状に配設する。
その後、取付材2の軸受け部221に対して側方から、本体1Aの軸部121を挿着させて、回動自在に固定した状態を形成した後、本体1Aの縦片18(係止凸部181)を、取付材2の横片23(係合歯231)に臨ませる。
更にその後、本体1Aの縦状片11が垂直状になるまで回動させた状態で、固定具3を、取付材2の横片23の奥端近くから軒先側へスライド状にずらせ、その被係合部31が係合部17に係合されるようにする。
こうして、図5に示す施工状態が得られる。
【0046】
この図5の施工例Cでも前記図1(d)の施工例Aでも前記図4の施工例Bでも、それぞれの固定具3は、本体1Aの係合部17に係合される状態で取り付けられているので、ズレ動くことがなく安定に維持される。
【符号の説明】
【0047】
1 軒先支持材
1A 本体
11 縦状片
121 軸部
14 横片(本体の横片)
15 支持部
161 保持部
17 係合部
181 係止凸部
2 (軒先)取付材
21 縦状片
221 軸受け部
23 横片(取付材の横片)
231 係合歯
24a,24b 取付部
3 固定具
30 嵌合部
31 被係合部
4 軒樋
41 底面
42 内側面
421 軒先端
43 側面
431 被支持部
5 カバー材
51 化粧面
511 導水口
52 係合部
53 固定部
55 排水溝
6A,6A" 野地材
6E,6E',6E" 破風(軒先)
7,7" H躯体
図1
図2
図3
図4
図5