(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022127214
(43)【公開日】2022-08-31
(54)【発明の名称】コネクタ、並びにコネクタ用のコンタクトおよびハウジング
(51)【国際特許分類】
H01R 13/24 20060101AFI20220824BHJP
H01R 13/46 20060101ALI20220824BHJP
H01R 13/42 20060101ALI20220824BHJP
【FI】
H01R13/24
H01R13/46 B
H01R13/42 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021025232
(22)【出願日】2021-02-19
(71)【出願人】
【識別番号】000227995
【氏名又は名称】タイコエレクトロニクスジャパン合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 晴彦
(74)【代理人】
【識別番号】100197583
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 健
(72)【発明者】
【氏名】植松 紀行
(72)【発明者】
【氏名】古平 善彦
【テーマコード(参考)】
5E087
【Fターム(参考)】
5E087EE03
5E087FF02
5E087GG13
5E087RR08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ハウジングに対するコンタクトのプリロードが供される部分がハウジングの開口端側にて1箇所である場合においても、長軸方向に沿って接触部が円滑に上下移動するコンタクトを供することが可能なコネクタを提供すること。
【解決手段】コンタクトおよび該コンタクトを収容可能な貫通した内側空間を備えたハウジング20を有して成るコネクタであって、コンタクトは相手方の電子基材と接触可能な接触部11と該接触部と連続し蛇行形態をなすバネ部12とを備え、プリロード状態のコンタクトのバネ部12とハウジングの内側空間を形作る内側形成面27とが、コンタクトの長軸方向にて相互に高さレベルの異なる少なくとも2つの接触部分にて接触可能となっており、断面視にて、第1の接触部分が最も高い前記高さレベルの接触部分であり、第2の接触部分が第1の接触部分よりも低い前記高さレベルにある、コネクタが提供される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンタクトおよび該コンタクトを収容可能な貫通した内側空間を備えたハウジングを有して成るコネクタであって、
前記コンタクトは、前記ハウジングの開口端から外部に突出し相手方の電子基材と接触可能な接触部と該接触部と連続し蛇行形態をなすバネ部とを備え、およびプリロード状態で前記ハウジングの前記内側空間に設けられ、
前記プリロード状態のコンタクトの前記バネ部と前記ハウジングの前記内側空間を形作る内側形成面とが、前記コンタクトの長軸方向にて相互に高さレベルの異なる少なくとも2つの接触部分にて接触可能となっており、
前記接触部分は、前記ハウジングが前記バネ部より受けるプリロード受け部分であり、 前記少なくとも2つの接触部分が第1の接触部分および第2の接触部分を含み、
断面視にて、前記第1の接触部分が最も高い前記高さレベルの接触部分であり、前記第2の接触部分が前記第1の接触部分よりも低い前記高さレベルにある、コネクタ。
【請求項2】
前記開口端の位置を基準として、前記第1の接触部分が前記開口端に対して近位側に位置する一方、前記第2の接触部分が前記開口端に対して遠位側に位置する、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記第1の接触部分と前記第2の接触部分とが、前記コンタクトの前記長軸方向に沿った中心ラインを基準として両側にそれぞれ位置づけられている、請求項1又は2に記載のコネクタ。
【請求項4】
少なくとも前記第1の接触部分が前記開口端の輪郭ラインよりも外側に位置している、請求項1~3のいずれかに記載のコネクタ。
【請求項5】
断面視にて、前記接触部の一方の側のみから前記バネ部が連続し、前記接触部の他方の側と前記ハウジングの前記内側形成面とが離隔している、請求項1~4のいずれかに記載のコネクタ。
【請求項6】
前記第2の接触部分が前記第1の接触部分の次に低い高さレベルにある接触部分である、請求項1~5のいずれかに記載のコネクタ。
【請求項7】
前記少なくとも2つの接触部分における前記ハウジングの厚み寸法が互いに異なっている、請求項1~6のいずれかに記載のコネクタ。
【請求項8】
前記プリロード受け部分としての前記接触部分が3つ以上設けられている、請求項1~7のいずれかに記載のコネクタ。
【請求項9】
前記3つ以上の接触部分が、前記コンタクトの前記長軸方向に沿った中心ラインを基準として両側に交互に位置づけられている、請求項3に従属する請求項8に記載のコネクタ。
【請求項10】
断面視にて、前記接触部分の前記高さレベルが低くなるにつれて、前記蛇行形態のバネ部の幅寸法が漸次大きくなっている、請求項8又は9に記載のコネクタ。
【請求項11】
断面視にて、前記ハウジングの前記内側形成面が階段構造となっている、請求項8~10のいずれかに記載のコネクタ。
【請求項12】
コネクタ用のコンタクトであって、
貫通した内側空間を備えたハウジングに収容可能となっており、
相手方の電子基材と接触可能な接触部と、該接触部と連続し蛇行形態をなすバネ部とを有して成り、プリロード状態で前記内側空間に設けられ、
前記プリロード状態のコンタクトの前記バネ部が、前記ハウジングの前記内側空間を形作る内側形成面に長軸方向にて相互に高さレベルの異なる少なくとも2つの局所領域で接触可能となっており、
前記少なくとも2つの局所領域が第1の局所領域および第2の局所領域を含み、
断面視にて、前記第1の局所領域が前記ハウジングの前記内側形成面と最も高い高さレベルで接触可能となっており、前記第2の局所領域が前記第1の局所領域よりも低い前記高さレベルにある、コンタクト。
【請求項13】
断面視にて、前記ハウジングの前記内側形成面と接触可能な前記局所領域の前記高さレベルが低くなるにつれて、前記蛇行形態のバネ部の幅寸法が漸次大きくなっている、請求項12に記載のコンタクト。
【請求項14】
コネクタ用のハウジングであって、
コンタクトを収容可能な貫通した内側空間を備え、該内側空間を形作る内側形成面がプリロード状態の前記コンタクトと少なくとも2箇所で接触可能となっており、該少なくとも2つの接触部分における前記ハウジングの厚み寸法が互いに異なっている、ハウジング。
【請求項15】
断面視にて前記内側形成面が階段構造となっている、請求項14に記載のハウジング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はコネクタ、並びにコネクタ用のコンタクトおよびハウジングに関する。
【背景技術】
【0002】
従前より、コネクタを介して電子基材同士を互いに電気接続させる態様が知られている。コネクタは、コンタクトおよびハウジングを有して成る。コンタクトとしては、相手方の電子基材と接触可能な接触部および蛇行形態をなすバネ部を備えたものが用いられ得る。ハウジングとしては、コンタクトを収容しかつコンタクトが長軸方向に沿って上下移動可能な開口端を有する内側空間を備えたものが用いられ得る。
【0003】
特許文献1および特許文献2には、接触部の両側端部からそれぞれ、ハウジングの開口端側に位置する内側空間を形作る内側形成面に接触可能に延在する延在部分が形成され、両延在部分がコンタクトの長軸方向にて同一の高さレベルである態様が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表平10-510947号公報
【特許文献2】特開平11-162592号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、本願発明者らは以下の場合に改善する事項があることを新たに見出した。具体的には、相手方の電子基材の用途によっては、コンタクトおよびハウジングの形態に制約がかかる場合があり得る。具体的には、コンタクトの高さ、ハウジングの開口端のサイズに制約がかかる場合があり得る。これに伴い、コンタクトの先端側に位置する接触部の両側端部からではなく片側端部からのみハウジングの開口端近傍に位置する内側形成面に接触可能な延在部分を配置することが必要な場合がある。
【0006】
この場合、コンタクトとハウジングの内側形成面とが相互接触の上、バネ部によるコンタクトのプリロードをハウジングが受ける部分は、ハウジングの開口端側にて1箇所となる。そのため、コンタクトのバネ部に生じる応力分布が断面視でバネ部の一方の側と他方の側との間でバランスのとれたものとはなりにくく、コンタクトの接触部が一方の側に傾斜する虞がある。その結果、コンタクトの接触部への相手方の電子基材のパッド等の押付け接触時におけるバネ部の圧縮による長軸方向の接触部の下方移動と、バネ部の伸張による接触部の上方移動の際に、当該接触部がハウジングの内側形成面に擦ってしまう虞がある。それ故、全体として、長軸方向に沿った接触部の円滑な上下移動が可能なコンタクトを供することが困難となり得る。
【0007】
そこで、本開示は、ハウジングに対するコンタクトのプリロードが供される部分がハウジングの開口端側にて1箇所である場合においても、長軸方向に沿って接触部が円滑に上下移動するコンタクトを供することが可能なコネクタ、並びにコネクタ用のコンタクトおよびハウジングを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本開示の一実施形態では、
コンタクトおよび該コンタクトを収容可能な貫通した内側空間を備えたハウジングを有して成るコネクタであって、
前記コンタクトは、前記ハウジングの開口端から外部に突出し相手方の電子基材と接触可能な接触部と該接触部と連続し蛇行形態をなすバネ部とを備え、およびプリロード状態で前記ハウジングの前記内側空間に設けられ、
前記プリロード状態のコンタクトの前記バネ部と前記ハウジングの前記内側空間を形作る内側形成面とが、前記コンタクトの長軸方向にて相互に高さレベルの異なる少なくとも2つの接触部分にて接触可能となっており、
前記接触部分は、前記ハウジングが前記バネ部より受けるプリロード受け部分であり、前記少なくとも2つの接触部分が第1の接触部分および第2の接触部分を含み、
断面視にて、前記第1の接触部分が最も高い前記高さレベルの接触部分であり、前記第2の接触部分が前記第1の接触部分よりも低い前記高さレベルにある、コネクタが提供される。
【0009】
上記目的を達成するために、本開示の一実施形態では、
コネクタ用のコンタクトであって、
貫通した内側空間を備えたハウジングに収容可能となっており、
相手方の電子基材と接触可能な接触部と、該接触部と連続し蛇行形態をなすバネ部とを有して成り、プリロード状態で前記内側空間に設けられ、
前記プリロード状態のコンタクトの前記バネ部が、前記ハウジングの前記内側空間を形作る内側形成面に長軸方向にて相互に高さレベルの異なる少なくとも2つの局所領域で接触可能となっており、
前記少なくとも2つの局所領域が第1の局所領域および第2の局所領域を含み、
断面視にて、前記第1の局所領域が前記ハウジングの前記内側形成面と最も高い高さレベルで接触可能となっており、前記第2の局所領域が前記第1の局所領域よりも低い前記高さレベルにある、コンタクトが提供される。
【0010】
上記目的を達成するために、本開示の一実施形態では、
コネクタ用のハウジングであって、
コンタクトを収容可能な貫通した内側空間を備え、該内側空間を形作る内側形成面がプリロード状態の前記コンタクトと少なくとも2箇所で接触可能となっており、該少なくとも2つの接触部分における前記ハウジングの厚み寸法が互いに異なっている、ハウジングが提供される。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、ハウジングに対するコンタクトのプリロードが供される部分がハウジングの開口端側にて1箇所である場合においても、長軸方向に沿って接触部が円滑に上下移動するコンタクトを供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、上面側から見た本開示のコネクタを模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図2は、底面側から見た本開示のコネクタを模式的に示す斜視図である。
【
図3】
図3は、内部断面構造が一部視認可能な本開示のコネクタを模式的に示す斜視図である。
【
図4】
図4は、本開示のコネクタを模式的に示す断面図である。
【
図5】
図5は、本開示のコネクタのコンタクトとハウジングとの接触部分を模式的に示す断面図である。
【
図6】
図6は、ハウジングの内側空間へのコンタクトの挿入態様を経時的に示す模式断面図である。
【
図7】
図7は、プリロード前のコンタクトを模式的に示す模式斜視図である。
【
図8】
図8は、プリロード完了後のコンタクトを模式的に示す模式斜視図である。
【
図9】
図9は、本開示のコネクタを模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、図面を参照して本開示のコネクタ、並びにコネクタ用のコンタクトおよびハウジングをより詳細に説明する。図面における各種の要素は、本開示の理解のために模式的かつ例示的に示したにすぎず、外観や寸法比等は実物とは異なり得る。
【0014】
[コネクタの全体的構成]
まず、本開示のコネクタの全体的構成について説明する。その後、本開示のコネクタの特徴部分について説明する。
【0015】
図1は、上面側から見た本開示のコネクタを模式的に示す斜視図である。
図2は、底面側から見た本開示のコネクタを模式的に示す斜視図である。
図3は、内部断面構造が一部視認可能な本開示のコネクタを模式的に示す斜視図である。
図4は、本開示のコネクタを模式的に示す断面図である。
【0016】
図1~
図4に示すように、本開示のコネクタ100は、一体的に組み合わされたコンタクト10およびハウジング20を有して成る。
【0017】
ハウジング20は、断面視でコンタクト10を収容可能な貫通した内側空間23を備える(
図4参照)。ここでいう「収容可能」とは、後述するコンタクト10の接触部への相手方の電子基材のパッド等の押付け接触前後において、コンタクト10の構成要素であるバネ部およびブロック部の全ておよび接触部の少なくとも一部が収容される状態を指す。ここでいう「貫通した内側空間」とは、相互に対向する2つの開口を両端にそれぞれ有する空間領域を指し、後述するコンタクトの一方の側に位置する接触部と他方の側に位置する接続部とが上記2つの開口からそれぞれ突出可能に構成された空間を指す。
【0018】
内側空間23は内側形成面27により形作られている。内側形成面27は、断面視でコンタクト10の長軸方向A(又はコンタクト10の長軸方向Aに沿った中心ラインL又はL1の方向)(
図4、
図5及び
図9参照)に平行な略直線形状であることができる。ハウジング20は全体構造として略直方体形状を採ることができる(
図1参照)。
【0019】
この場合、上面21の縦横寸法はそれぞれ一例として5mm~100mm、好ましくは10mm~50mm、例えば15mmであることができる。厚み寸法は一例として2mm~20mm、好ましくは3mm~10mm、例えば5mmであることができる。なお、縦と横の寸法は同一である必要はない。
【0020】
本開示のハウジング20は、絶縁性を有する樹脂材を含み得る。特に限定されるものではないが、ハウジング20は、例えばフェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、および不飽和ポリエステル樹脂から成る群から選択される少なくとも1種の熱硬化性樹脂材を含み得る。
【0021】
本開示のコンタクト10は、接触部11、バネ部12、ブロック部13、および接続部14を備える。特に限定されるものではないが、コンタクト10は金属材、例えば銅系材を含み、一例としてリン青銅を含み得る。なお、後述するが、コンタクト10は、ハウジング20と一体的に組合せ可能とするためにハウジング20の内側空間23へと挿入可能となっている(
図6参照)。
【0022】
このうち、接触部11および接続部14は、コンタクト10の一方の先端側と他方の先端側にそれぞれ位置づけられ、コンタクト10の長軸方向に沿って同列上に位置づけられている。一方、バネ部12およびブロック部13はいずれもハウジングの内側空間23内に位置づけられ得る。
【0023】
(接触部)
接触部11はコンタクト10の一方の先端側に位置づけられる。接触部11の断面形状は、相手方の電子基材との接触面積あたりにおける接触部11に対する相手方の電子基材の押付加圧力を小さくする観点から、少なくとも先端側にてテーパー形状となっていることが好ましい。を接触部11は、バネ部12によりハウジング20の上面21に形成された開口端26から外部へと突出し相手方の電子基材と接触可能となっている。特に限定されるものではないが、一例として、
図1の矢印X方向に沿って、3つの接触部11が所定の間隔をおいて列状配置されたものと、2つの接触部11が一定の間隔をおいて列状配置されたものとが、矢印Y方向(X方向に直交する方向)に沿って所定の間隔おいて交互に配置された態様を採ることができる。
【0024】
当該所定の間隔につき、一例として、相互に隣り合う一方の接触部11と他方の接触部11との間の間隔としては、0.3mm~10mm、好ましくは0.5mm~5mm、例えば1mmであることができる。ハウジング20の上面21から突出する接触部11自体の高さは、0.3mm~10mm、好ましくは0.5mm~5mm、例えば1mmであることができる。ハウジング20の上面21から突出する接触部11自体の長手方向の幅は、0.3mm~10mm、好ましくは0.5mm~5mm、例えば1mmであることができる。ハウジング20の上面21から突出する接触部11自体の短手方向の幅は、0.05mm~5mm、好ましくは0.1mm~3mm、例えば0.2mmであることができる。
【0025】
(バネ部)
バネ部12は、一方の側が接触部11と連続し他方の側がブロック部13と連続し、かつ蛇行形態をなすものである。又、バネ部12は、外力がかかると圧縮状態となり、その後弾性の性質により元の伸張状態に変形可能となっている。
【0026】
上記のバネ部12の性質により、圧縮および伸張可能となっていることで、バネ部12と連続する接触部11は、コンタクト10の長軸方向にハウジング20の開口端26を介して上下移動可能となっている。具体的には、相手方の電子基材のパッド等がコンタクト10の接触部11に押付け接触すると、これに伴いバネ部12が圧縮して長軸方向に接触部11が下方移動可能となっている。
【0027】
その後、一旦圧縮したバネ部12が弾性の性質により伸張することで、長軸方向に接触部11が上方移動可能となっている。かかる上方移動により、接触部11は、ハウジング20の上面21に形成された開口端26から外部へと突出し相手方の電子基材と接触可能となっている。
【0028】
かかるバネ部12の圧縮および伸張を円滑にする観点から、断面視で、バネ部12はコンタクトの長軸方向にてハウジング20の内側形成面27と接してない(
図4参照)。即ち、コンタクトの長軸方向にて、バネ部12の湾曲部分12X、12Y、12Zとハウジング20の内側形成面27との間にクリアランスが供され、両者は相互に離隔している。
【0029】
なお、断面視で湾曲部分12X、12Yは同一平面上に位置づけられている。一方、後述する係止部分13a、13bがハウジング20の内側形成面27に係止可能なスペースを確保する観点から、湾曲部分12Zは湾曲部分12X、12Yよりも内側に位置づけられている(
図4参照)。
【0030】
又、ハウジング20の内側空間23へのコンタクト10の挿入完了時にプリロード(又はプリロード力とも称し得る)が最大となるように構成されている。これにより、全体として、プリロード状態のバネ部を含むコンタクト10も、挿入完了時に内側空間23にてプリロード状態が最大となり得る。バネ部12を含むコンタクト10をプリロード状態にすることで、コンタクト10のバネ部12は予め一部圧縮された状態となる。
【0031】
そのため、相手方の電子基材のパッド等を接触部11に押付け接触した際に、プリロードさせない場合と比べて、接触部11の所定の変位量に対する伸張する側への垂直抗力を相対的に小さくすることができる。その結果、プリロードさせない場合と比べて、コンタクト10側から相手方電子基材へと作用する力が小さくなるため、相手方電子基材の品質を継続して確保することができる。
【0032】
バネ部のプリロードの最大状態については、コンタクト10の挿入完了時に、後述するブロック部13の圧入が完了可能となっており、後述するようにバネ部12の局所領域がハウジング20の内側形成面27に押圧接触されることで、実現可能となっている。
【0033】
これにより、挿入前段階の伸張したバネ部等と比べて、コンタクト10の挿入完了時では、バネ部12が一部圧縮された状態にすることができる。その結果、相手方の電子基材のパッド等をコンタクト10の接触部11に押付ける前段階で、バネ部のプリロード状態を最大にすることが可能となる。
【0034】
(ブロック部)
ブロック部13は、一方の側がバネ部12と連続し他方の側が接続部14と連続するものである。ブロック部13は、上記のハウジング20の内側空間23へのコンタクト10の挿入時に、ハウジング20の内側形成面27と接しながら内側空間23内に圧入可能となっている。
【0035】
又、ブロック部13は、断面視でその両側端部にハウジング20の内側形成面27に係止可能な係止部分13a、13bを有する。かかる係止部分13a、13bの存在により、ハウジング20の内側形成面27に係止するため、ハウジング20の内側空間23へのコンタクト10の挿入完了後、コンタクト10が内側空間23から外部へと完全に抜け出すことが回避され得る。
【0036】
特に限定されるものではないが、圧入時にハウジング20側における圧入に伴うクラック発生を防止する観点から、係止部分13a、13bの高さレベルは同じではなく微小の高低差があり得る。なお、高さレベルなる記載の定義については後述する。
【0037】
(接続部)
接続部14は、コンタクト10の他方の先端側に位置づけられる。接続部14は、ブロック部13と連続し、コンタクト10の挿入完了時にハウジング20の底面22に形成された開口端28から外部に突出し、かつ所定の電子基材とはんだ接続等可能となっているものである。
【0038】
[本開示の特徴部分]
以下、本開示のコネクタ100の特徴部分について説明する。
図5は、本開示のコネクタのコンタクトとハウジングとの接触部分を模式的に示す断面図である。
【0039】
本願発明者らは、ハウジング20に対するバネ部12のプリロードが供される部分がハウジング20の開口端26側にて1箇所である場合においても、長軸方向に沿って接触部11が円滑に上下移動するコンタクト10を供するための改善策について鋭意検討した。その結果、本願発明者らは下記の思想に基づき本開示を案出するに至った。
【0040】
具体的には、本開示は、「プリロード状態のコンタクト10のバネ部12とハウジング20の内側空間23を形作る内側形成面27と接触し、かつコンタクト10の長軸方向にて相互に異なる高さレベルの」接触部分30を少なくとも2つ設けるという思想に基づく。
【0041】
かかる思想を前提として、本開示では、
図5に示すように、断面視にて、少なくとも2つの接触部分30の構成要素の一方の第1の接触部分31を最も高い高さレベルの接触部分とし、他方の第2の接触部分32を第1の接触部分31よりも低い高さレベルとする構成が採られる。なお、第1の接触部分31および第2の接触部分32等のように特定の接触部分を指さない場合には、接触部分の符号として30を用いる。
【0042】
別の観点からは、所定位置からの距離の違いに従い本開示の特徴を述べることもできる。具体的には、本開示では、ハウジング20の開口端26の位置を基準として、第1の接触部31が開口端26に対して近位側に位置する一方、第2の接触部分32が開口端26に対して遠位側に位置し得る(
図5参照)。
【0043】
なお、本開示でいう「高さレベル」とは、コンタクトの長軸方向Aを座標軸又は座標線とした場合における相対座標位置を示し、「高さレベルが異なる」とは、長軸方向Aにおける座標軸上における位置が異なる、および/又は長軸方向Aにおける座標軸上における座標値に大小関係があることを指す。
【0044】
又、本開示でいう「最も高い高さレベルの接触部分」とは、例えば
図5に示す通り、ハウジング20の開口端26の位置を基準として、長軸方向Aにおいて当該開口端26に対して最も近位側に位置する部分を指す。別の観点から言えば、本開示でいう「最も高い高さレベルの接触部分」とは、接触部11の一方の側から蛇行形態のバネ部12が延在開始する延在開始領域とハウジング20の内側形成面27とが接触する部分を指す。
【0045】
本開示でいう「バネ部12の延在開始領域」とは、接触部11とバネ部12との境界部分と、蛇行形態のバネ部の第1の湾曲部分との間に位置する略水平領域を指す。本開示でいう「バネ部12の略水平領域」とは、コンタクト10の長軸方向に交差する方向、例えば直交する方向に延在する領域を指す。
【0046】
かかる構成によれば、
図5に示すように、少なくとも2つの接触部分30を供することができる。バネ部12は蛇行形態を採るため、これに起因して、計2つ以上の接触部分30をコンタクトの長軸方向に沿った中心ラインLを基準として両側にそれぞれ位置づけ可能となる。即ち、第1の接触部分31および第2の接触部分32が中心ラインLを基準として一方の側に偏って配置されない。
【0047】
上記のとおり、接触部分30ではハウジング20がバネ部12のプリロードを受ける部分となる。即ち、接触部分30はプリロード受け部分(又はプリロード荷重受け部分又は予荷重受け部分又はプリロード力受け部分とも称し得る)である。そのため、ハウジング20がバネ部12のプリロード力を受ける部分も計2箇所以上であって、中心ラインLを基準として両側にそれぞれ位置づけ可能となる。
【0048】
これにより、ハウジング20に対するコンタクト10のプリロードが供される部分がハウジング20の開口端側にて1箇所である場合においても、バネ部12に生じる応力分布を断面視でバネ部12の一方の側と他方の側との間でバランスのとれたものとし得る。
【0049】
その結果、コンタクトの接触部11が一方の側に傾斜することを防止することができる。それ故、コンタクトの接触部11への相手方の電子基材のパッド等の押付け接触時におけるバネ部12の圧縮による長軸方向の接触部11の下方移動と、バネ部12の伸張による接触部11の上方移動の際に、接触部11がハウジングの内側形成面27に擦ることを防止できる。
【0050】
以上の事から、ハウジング20に対するコンタクト10のプリロードが供される部分がハウジング20の開口端側にて1箇所である場合においても、全体として、長軸方向に沿った接触部11の円滑な上下移動が可能なコンタクト10を供することができる。
【0051】
上記の技術的効果に加え、本開示の一実施形態によれば、下記の技術的効果も奏され得る。
【0052】
上記のとおり、長軸方向に沿った接触部11の上下移動の際に、ハウジングの内側形成面27への接触部11の擦り防止が図れる。そのため、下方移動における接触部11の移動軌跡と、上方移動における接触部11の移動軌跡とを略同一ラインとすることができる。即ち、コンタクト10の接触部11の移動軌跡を一定保持することができる。
【0053】
その結果、所定箇所に位置する接触部11に対する相手方の電子基材のパッド等の押付けを高い精度で繰り返し安定して行うことができる。そのため、所定の接触部11を取り換えることなく当該接触部11に対してパッド等の押付けを数十回、例えば30回行うことができる。
【0054】
以上の事からも、接触部11と相手方電子基材との安定的接続が可能となり、それによってコネクタ100と相手方電子基材との間の電気接続の信頼性向上を図ることができる。更には、コンタクト10の接触部11の移動軌跡を一定保持できるため、コンタクト10の接触部11の上下移動の変位量の管理精度を向上させることができる点でも有利である。
【0055】
又、本開示の一実施形態によれば、ハウジング20がバネ部12のプリロードを受ける部分は計2箇所以上となる。そのため、ハウジング20へかかる得る物理的な力の点で言えば、ハウジング20にかかるバネ部12のプリロードが1箇所に集中することを回避することができる。換言すれば、1箇所集中の場合と比べて、ハウジング20にかかるバネ部12のプリロードを分散させることができる。
【0056】
ハウジング20へかかり得る熱負荷の点で言えば、コンタクト10の接続部14を介して所定の電子基材とコンタクト10とをはんだ接続する際には、接続途中において熱が生じ得る。コンタクト10は上記のとおり金属製であるため伝熱性がある。そのため、ハウジング20のバネ部12と接するハウジング20にも熱負荷がかかり得る。
【0057】
この点につき、ハウジング20がバネ部12のプリロードを受ける部分は計2箇所以上である。即ち、ハウジング20とバネ部12とが接する部分は計2箇所以上である。そのため、ハウジング20に対する熱負荷が1箇所に集中することを回避することができる。換言すれば、1箇所集中の場合と比べて、ハウジング20に対する熱負荷を分散させることができる。
【0058】
以上の事から、ハウジング20へかかり得る物理的な力(プリロードに相当)(又はプリロード力とも称し得る)および熱負荷のいずれも分散させることができる。その結果として、ハウジングの変形抑制およびこれに伴うハウジングの変形量の低減化を図ることができる。
【0059】
なお、上記の互いに高さレベルの異なる少なくとも2つの第1の接触部分31と第2の接触部分32とを好適に供するためには、当該接触部分におけるバネ部12が部分的に接触可能なハウジング20の厚み寸法が互いに異なっていることが必要である。これに対して、従前のコネクタでは、接触部の両側端部からそれぞれ延在する、コンタクトの構成要素である2つの延在部分はコンタクトの長軸方向にて同一の高さレベルであった。以上の事から、この延在部分とハウジングの内側形成面とが接触する部分におけるハウジングの厚み寸法は互い同一となる。この点においても、コネクタ100の構成要素であるハウジング20も、従前のものと比べて特異な構成である。
【0060】
具体的には、コネクタ用のハウジング20はコンタクト10を収容可能な貫通した内側空間23を備え、当該内側空間23を形作る内側形成面27がプリロード状態のコンタクト10と少なくとも2箇所で接触可能となっており、2つ以上の接触部分におけるハウジング20の厚み寸法が互いに異なっている。
【0061】
かかる構成によれば、従前のハウジングと比べて、ハウジング20の厚み寸法が互い異なる部分が存在するため、接触部分、即ちハウジング20がコンタクト10のプリロードを受ける部分の厚み寸法を相対的に大きくし得る。その結果として、全体としてハウジング20自体の強度向上を図ることができる。
【0062】
かかる構成によれば、2つ以上の接触部分にて厚み寸法の異なるハウジングを用いるため、2つの接触部分は相互に異なる高さレベルにあることとなり得る。プリロード状態のコンタクト10を実現するためには、バネ部、蛇行形態のバネ部が用いられ得る。その結果、計2つ以上の接触部分をコンタクトの長軸方向に沿った中心ラインを基準として両側にそれぞれ位置づけ可能となる。これにより、バネ部に生じる応力分布を断面視でバネ部の一方の側と他方の側との間でバランスのとれたものとすることができ、コンタクトの接触部の一方の側への傾斜防止を図ることができる。
【0063】
更に、上記の互いに高さレベルの異なる少なくとも2つの第1の接触部分31と第2の接触部分32とを好適に供するためには、コネクタ100自体の上記特徴に対応して、その構成要素であるコンタクト10も以下の特徴を有することができる。
【0064】
具体的には、プリロード状態のコンタクト10のバネ部12が、ハウジング20の内側形成面27に長軸方向にて相互に高さレベルの異なる少なくとも2つの局所領域で接触可能となっている。この少なくとも2つの接触領域は、第1の局所領域12aと第2の局所領域12bとを含む。更に、断面視にて、第1の局所領域12aがハウジング20の内側形成面27と最も高い高さレベルで接触可能となっており、第2の局所領域12bが第1の局所領域12aよりも低い高さレベルにある。
【0065】
この点につき、従前では、コンタクトのバネ部の局所領域がたとえ複数存在していたとしてもそれぞれハウジングに対し同一高さレベルで接していた。これに対して、本開示のコンタクトでは、その構成要素のバネ部12の局所領域12a、12bがハウジングと相互に異なる高さレベルで接するようになっている。即ち、ハウジングに対するコンタクトの接触箇所が同一ではない。この点において、上記コンタクト10も従前のものと比べて特異な構成である。
【0066】
(プリロード状態のコンタクト)
図6は、ハウジングの内側空間へのコンタクトの挿入態様を経時的に示す模式断面図である。
図6の左側図は、内側空間23へのコンタクト10αの挿入を開始する段階を示す。
図6の中央図は、内側空間23へのコンタクト10βの挿入を継続する段階を示す。
図6の右側図は、内側空間23へのコンタクト10γの挿入完了段階を示す。
図7は、プリロード前のコンタクトを模式的に示す模式斜視図である。
図8は、プリロード完了後のコンタクトを模式的に示す模式斜視図である。
【0067】
上述のように、コンタクトは、ハウジング20と一体的に組合せ可能とするためにハウジング20の内側空間23へと挿入可能となっている。具体的には、まず、
図6の左側図および
図7に示すように、内側空間23へのコンタクト10αの挿入を開始する。この段階では、コンタクト10αには外力がかかっていないため、コンタクト10αは伸張状態にある。
【0068】
次に、
図6の中央図に示すように、内側空間23へのコンタクト10αの挿入を継続する。具体的には、コンタクトの接触部11がハウジング20の開口端26を通り、かつブロック部13がハウジング20の内側形成面27と接しながら内側空間23内へと圧入開始されるように、内側空間23へのコンタクト10αの挿入継続を行う。かかる圧入開始により、
図6の左側図の段階におけるバネ部12αと比べてバネ部12βは圧縮された状態となり得る。
【0069】
続けて、内側空間23内にブロック部13の全てが収まるように内側空間23へのコンタクト10αの挿入を更に継続して、
図6の右側図および
図8に示すように、内側空間23へのコンタクト10の挿入を完了させる。かかる挿入完了段階では、ブロック部13の圧入が完了している。
【0070】
具体的には、
図6の右側図に示すように、この段階では、接触部11の一方の側からバネ部12γが延在開始する延在開始領域12γaがハウジング20の内側形成面27に押圧接触されている。これに加え、第2の湾曲部分に近接する略水平領域12γbもハウジング20の内側形成面27に押圧接触されている。以上の事から、ブロック部13の圧入完了した状態で、バネ部12γの延在開始領域12γaと略水平領域12γbとが共に内側形成面27に押圧接触されていることから、バネ部12γのプリロードが最大となり得る。即ち、全体として、バネ部12γを含むコンタクトのプリロードが最大となり得る。
【0071】
本開示は一実施形態では下記態様を採ることが好ましい。
【0072】
第1に、少なくとも第1の接触部分31がハウジング20の開口端26の輪郭ライン26aよりも外側に位置していることが好ましい(
図5参照)。
【0073】
上述のように、第1の接触部分31は接触部11の一方の側から蛇行形態のバネ部12が延在開始する延在開始領域とハウジング20の内側形成面27とが接触する部分である。この点につき、断面視にて、接触部11の一方の側とは反対側の他方の側から突起状の延在部分が一部存在していたとしても、第1の接触部分31はあくまでも輪郭ライン26aよりも外側にあるため、同延在部分および接触部11とハウジング20の内側形成面27とが接触することを好適に回避可能となる。その結果、長軸方向に沿った接触部11のより円滑な上下移動を行うことができる。
【0074】
第2に、断面視にて、接触部11の一方の側のみからバネ部12が連続し、接触部11の他方の側とハウジング20の内側形成面27とが離隔していることが好ましい。
【0075】
かかる態様によれば、接触部11の一方の側のみから蛇行形態のバネ部12が延在し、接触部11の一方の側とは反対側の他方の側からの延在部分は存在せず、かつこの他方の側とハウジング20の内側形成面27とが相互離隔している。これにより、接触部11の他方の側とハウジング20の内側形成面27との間にクリアランス、例えば微小なクリアランスを確保可能となる。これにより、接触部11とハウジング20の内側形成面27とが接触することを好適に回避可能となる。その結果、長軸方向に沿った接触部11のより円滑な上下移動を行うことができる。なお、断面視にて、ハウジング20の内側形成面27との接触を更に好適に回避する観点から、接触部11の他方の側11aの下方コーナー部11bを一部切欠き形状とすることができる(
図5参照)。
【0076】
第3に、第2の接触部分が第1の接触部分の次に低い高さレベルにある接触部分であることが好ましい。
【0077】
上記のとおり、コンタクトの接触部11の一方の側への傾斜防止のためには、バネ部12に生じる応力分布を断面視でバネ部12の一方の側と他方の側との間でバランスのとれたものとすることが有効である。
【0078】
この点につき、例えば、ハウジング20が2つのパーツを合わせて一体構成する場合、いずれか一方のハウジングパーツの内側形成面の任意の箇所に突起を設けることができる。例えば、
図5に示す第2の接触部分32よりも相対的に下方に位置するバネ部12の湾曲部分に近接した略水平領域上に、この突起を差し込み配置可能である。
【0079】
この場合、第1の接触部分と第2の接触部分の両方が、中心ラインLを基準として一方の側に偏った配置となる可能性もある。かかる点を鑑み、中心ラインLを基準として第1の接触部分および第2の接触部分を両側にそれぞれ好適に位置づける観点から、第2の接触部分が第1の接触部分の次に(すぐ次に)低い高さレベルにあるものとすることが好ましい。
【0080】
更に、本開示は一実施形態では下記態様を採ることがより好ましい。
【0081】
具体的には、上記ハウジングの内側形成面27Aとバネ部12Aとの接触部分30Aが3つ以上設けられていることがより好ましい(
図9参照)。なお、バネ部12Aの湾曲部分の数によるが、一例として接触部分30Aの数の上限は20箇所以下、好ましくは10箇所以下、例えば
図9に示すように5か所であることができる。
【0082】
上記の3つ以上の接触部分30Aに関する態様については、一例として、ハウジング20Aおよびコンタクト10Aをそれぞれ以下の構成にすることで実現することができる。
【0083】
一例としては、断面視にて、接触部分30Aの高さレベルが低くなるにつれて、蛇行形態のバネ部12Aの幅寸法が漸次大きくなるように構成されたコンタクト10Aを用いることができる。換言すれば、
図9に示すように、断面視で、コンタクト10Aとして、接触部11Aと、接触部11Aに連続しかつ外縁形状が略ピラミッド形状であるバネ部12Aとを備えるものを用いることができる。
【0084】
この場合、ハウジング20Aは、当該バネ部12Aの形状に追従する構成とすることが好ましい。一例としては、断面視にて、ハウジング20Aの内側形成面27Aが階段構造、即ち連続した複数段差構造となるように構成されたハウジング20Aを用いることができる。
【0085】
なお、これに限定されることなく、ハウジングの内側形成面が、断面視でコンタクトの長軸方向に平行な略直線形状である場合(
図4参照)においても、以下の構成を採ることで、上記の3つ以上の接触部分30Aに関する態様を実現することができる。
【0086】
一例としては、2つ以上のパーツを合わせてハウジングを一体構成する場合、各ハウジングパーツの内側形成面の任意の箇所に、バネ部12Aと接触可能に配置された突起を設け、所定箇所のバネ部12Aの略水平領域上にこの突起を差し込み配置する。これにより、3つ以上の接触部分30Aに関する態様を実現することもできる。
【0087】
一例としては、
図9に示すように、5つの接触部分30Aが設けられる態様を採ることができる。具体的には、5つの接触部分30Aは、第1の接触部分31A、第2の接触部分32A、第3の接触部分33A、第4の接触部分34A、および第5の接触部分35Aから構成される。
【0088】
断面視にて、第1の接触部分31Aは最も高い高さレベルの接触部分である。第2の接触部分32Aは第1の接触部分31Aの次に低い高さレベルの接触部分である。第3の接触部分33Aは第2の接触部分32Aの次に低い高さレベルの接触部分である。第4の接触部分34Aは第3の接触部分33Aの次に低い高さレベルの接触部分である。第5の接触部分35Aは第4の接触部分34Aの次に低い高さレベルの接触部分である。
【0089】
ここで、断面視でバネ部12Aは蛇行形態を採るため、これに起因して、各接触部分30Aをコンタクト10Aの長軸方向に沿った中心ラインL1を基準として両側に順次交互に位置づけされ得る。具体的には、第1の接触部分31A、第2の接触部分32A、第3の接触部分33A、第4の接触部分34A、および第5の接触部分35Aを、中心ラインL1を基準として両側に順次交互に位置づけされ得る。
【0090】
各接触部分30Aはハウジング20Aがバネ部12Aのプリロードを受ける部分となる。そのため、ハウジング20Aがバネ部12Aのプリロードを受ける部分も、中心ラインL1を基準として両側に順次交互に位置づけ可能となる。これにより、接触部分の数が2つである
図5に示す態様と比べて、バネ部12Aに生じる応力分布を断面視でバネ部12Aの一方の側と他方の側との間でよりバランスのとれたものとすることができる。その結果、コンタクトの接触部11Aが一方の側に傾斜することをより好適に防止することができる。
【0091】
更に、ハウジング20Aがバネ部12Aのプリロードを受ける部分は計3箇所以上、一例としての
図9に示す態様では計5か所である。そのため、
図5に示す態様と比べて、ハウジング20Aにかかるバネ部12Aのプリロードをより分散させることができる。
【0092】
又、ハウジング20Aがバネ部12Aのプリロードを受ける部分は計3箇所以上であることは、ハウジング20Aとバネ部12Aとが接する部分は計3箇所以上であることを意味する。そのため、
図5に示す態様(接触部分の数:2つ)と比べて、ハウジング20Aに対する熱負荷をより分散させることができる。
【0093】
以上の事から、
図5に示す態様(接触部分の数:2つ)と比べて、ハウジング20Aへかかり得る物理的な力(プリロード力)および熱負荷のいずれもより分散させることができる。その結果として、ハウジングの変形抑制およびこれに伴うハウジングの変形量の低減化を更に図ることが可能となる。
【0094】
なお、本開示は、例示された実施の形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良および設計上の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本開示のコネクタ、並びに当該コネクタ用のコンタクトおよびハウジングは、所定の電子基材と電気的な接続のために使用することができる。
【符号の説明】
【0096】
100、100A コネクタ
10、10A コンタクト
10α プリロード前のコンタクト
10β プリロード途中段階のコンタクト
10γ プリロード後(プリロード完了段階)のコンタクト 11、11A、11α、11β、11γ 接触部
11a 接触部の他方の側
11b 接触部の他方の側の下方コーナー部
12、12A、12α、12β、12γ バネ部
12a バネ部の第1の局所領域
12b バネ部の第2の局所領域
12γa バネ部の延在開始領域
12γb バネ部の略水平領域
13、13A、13α、13β、13γ ブロック部
14、14α、14β、14γ 接続部
20、20A ハウジング
21 ハウジング上面
22 ハウジング底面
23 ハウジングの内側空間
26 ハウジングの開口端
26a 開口端の輪郭ライン
27、27A ハウジングの内側形成面
30、30A 接触部分
31、31A 第1の接触部分
32、32A 第2の接触部分
33A 第3の接触部分
34A 第4の接触部分
35A 第5の接触部分
A コンタクトの長軸方向
L、L1 コンタクトの長軸方向に沿った中心ライン
X 接触部が所定の間隔をおいて列状配置される方向
Y X方向に直交する方向(接触部が所定の間隔をおいて列状配置される方向)