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  • 特開-電源装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022012723
(43)【公開日】2022-01-17
(54)【発明の名称】電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/32 20060101AFI20220107BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20220107BHJP
   H02J 3/46 20060101ALI20220107BHJP
   H02J 7/35 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
H02J3/32
H02J3/38 130
H02J3/46
H02J7/35 K
H02J3/38 160
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020114753
(22)【出願日】2020-07-02
(71)【出願人】
【識別番号】596132433
【氏名又は名称】小林 栄藏
(74)【代理人】
【識別番号】100097113
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 城之
(74)【代理人】
【識別番号】100162363
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 幸彦
(74)【代理人】
【識別番号】100194283
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 大勇
(72)【発明者】
【氏名】小林 栄藏
【テーマコード(参考)】
5G066
5G503
【Fターム(参考)】
5G066HA15
5G066HB01
5G066HB06
5G066HB09
5G066JA01
5G066JB03
5G503AA06
5G503BA04
5G503BB01
5G503CA08
5G503CA11
5G503DA07
5G503EA05
5G503GB06
(57)【要約】
【課題】負荷への電力供給の瞬断、及びスイッチ部の発熱量の増加を抑制しつつ、安定した電力の使用を継続させる。
【解決手段】一定の閾値を有する自動運転制御部30が、バッテリ10a、10b(第1及び第2のメインバッテリ)の電圧を検出する電圧検出回路の検出結果と閾値とを比較し、直列接続された複数のトランジスタ70a~70dで構成されているスイッチ部70の切り替えと、バッテリ20(サブバッテリ)からのバッテリ10a、又は10bに充電させる充電回路の充電動作とを制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のメインバッテリと、
前記第1のメインバッテリに対して並列接続された第2のメインバッテリと、
サブバッテリと、
前記サブバッテリからの電力を前記第1又は第2のメインバッテリに充電させる充電回路と、
前記第1又は第2のメインバッテリの電力を交流に変換するインバータと、
前記第1及び第2のメインバッテリと自然エネルギー源との間の接続経路と、前記第1及び第2のメインバッテリと前記インバータと前記充電回路との間の接続経路とを切り替えるスイッチ部と、
前記スイッチ部の切り替えと、前記充電回路の充電動作とを制御可能な自動運転制御部とを備え、
前記スイッチ部は、直列接続された複数のトランジスタで構成されている
ことを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記第1及び第2のメインバッテリの電圧を検出する電圧検出回路を備え、
前記スイッチ部は、
前記第1のメインバッテリと、前記自然エネルギー源、及び前記充電回路とを接続する、直列接続された複数の第1のトランジスタと、
前記第2のメインバッテリ、前記自然エネルギー源、前記充電回路、及び前記第2のメインバッテリとを接続する、直列接続された複数の第2のトランジスタと、
前記第1のメインバッテリ、及び前記インバータを接続する、直列接続された複数の第3のトランジスタと、
前記第2のメインバッテリ、及び前記インバータを接続する、直列接続された複数の第4のトランジスタとを有し、
前記自動運転制御部は、一定の閾値を有し、前記電圧検出回路の検出結果と前記閾値との比較結果に基づき、前記第1~第4のトランジスタのいずれかのベースに制御信号を印加する
ことを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自然エネルギーの利用に適した電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題を考慮して太陽光や風力等の自然エネルギーを利用した電源装置の開発が進められている。しかし、自然エネルギーを利用する発電方式は、エネルギー密度が低い他、その発電による出力量が気象条件に影響されやすく、常時安定した電力供給を行うことができないという欠点があることから、安定した電力供給を行うことができる装置が種々提案されている。
【0003】
その一つとして、特許文献1では、蓄電時に太陽電池からの電気エネルギーを蓄電スイッチを介して複数のキャパシタに蓄電し、放電時に蓄電スイッチを開いてキャパシタに蓄電された電気エネルギーを出力するように構成された電源装置において、複数のキャパシタを直列接続もしくは並列接続に切り替えるキャパシタ切替手段を備え、特に、キャパシタの端子電圧が蓄電満了状態を示す電圧になったとき、蓄電状態から放電状態へ切り替える電源装置を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-042523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1での電源装置では、キャパシタを、蓄電時には直列接続し、放電時には並列接続に切り替えるので、キャパシタの充放電を効率良く行うことができるものと考えられる。
【0006】
ところで、この電源装置では、キャパシタの直列接続や並列接続の切り替えを、メカニカルな蓄電スイッチによって行っている。このように、キャパシタの直列接続や並列接続の切り替えを、メカニカルな蓄電スイッチによって行うようにすると、蓄電スイッチの切り替え時に生じるチャタリングにより、負荷への電力供給が瞬断されてしまうおそれがある。
【0007】
この場合、メカニカルな蓄電スイッチをトランジスタ等のスイッチング素子によって行うことで、チャタリングの発生を抑制できるものと考えられる。ところが、太陽電池からの電気エネルギーの流れを切り替えるためには、スイッチング素子の入力インピーダンスを大きくする必要がある。このように、スイッチング素子の入力インピーダンスを大きくすると、スイッチング素子自体の発熱量が増加してしまうおそれがある。
【0008】
また、キャパシタに蓄電する電気エネルギーを太陽電池からのものとすると、悪天候や夜間等のように太陽光からのエネルギーの供給が得られなくなる。このような状況では、蓄電した電力の消費が尽きてしまうと、その後、太陽電池からの電気エネルギーの供給が得られるまで電力の使用を行うことができないおそれがある。
【0009】
このようなことから、負荷への電力供給の瞬断、及びスイッチの発熱量の増加を抑制しつつ、安定した電力の使用を継続させることができる装置の開発が望まれている。
【0010】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、上記問題点を解消することができる電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の電源装置は、第1のメインバッテリと、前記第1のメインバッテリに対して並列接続された第2のメインバッテリと、サブバッテリと、前記サブバッテリからの電力を前記第1又は第2のメインバッテリに充電させる充電回路と、前記第1又は第2のメインバッテリの電力を交流に変換するインバータと、前記第1及び第2のメインバッテリと自然エネルギー源との間の接続経路と、前記第1及び第2のメインバッテリと前記インバータと前記充電回路との間の接続経路とを切り替えるスイッチ部と、前記スイッチ部の切り替えと、前記充電回路の充電動作とを制御可能な自動運転制御部とを備え、前記スイッチ部は、直列接続された複数のトランジスタで構成されていることを特徴とする。
また、前記第1及び第2のメインバッテリの電圧を検出する電圧検出回路を備え、前記スイッチ部は、前記第1のメインバッテリと、前記自然エネルギー源、及び前記充電回路とを接続する、直列接続された複数の第1のトランジスタと、前記第2のメインバッテリ、前記自然エネルギー源、前記充電回路、及び前記第2のメインバッテリとを接続する、直列接続された複数の第2のトランジスタと、前記第1のメインバッテリ、及び前記インバータを接続する、直列接続された複数の第3のトランジスタと、前記第2のメインバッテリ、及び前記インバータを接続する、直列接続された複数の第4のトランジスタとを有し、前記自動運転制御部は、一定の閾値を有し、前記電圧検出回路の検出結果と前記閾値との比較結果に基づき、前記第1~第4のトランジスタのいずれかのベースに制御信号を印加することを特徴とする。
本発明の電源装置では、たとえば、一定の閾値を有する自動運転制御部が、並列接続された第1及び第2のメインバッテリの電圧を検出する電圧検出回路の検出結果と閾値との比較結果に基づき、直列接続された複数のトランジスタで構成されているスイッチ部の切り替えと、サブバッテリからの電力を第1又は第2のメインバッテリに充電させる充電回路の充電動作とを制御する。
ここで、スイッチ部が直列接続された複数のトランジスタで構成されているので、オン/オフ切り替え時でのチャタリングが生じない。
また、スイッチ部が直列接続された複数のトランジスタで構成されているので、それぞれのトランジスタの入力インピーダンスを小さくできる。
また、自動運転制御部が、サブバッテリからの電力を第1又は第2のメインバッテリに充電させる充電回路の充電動作を制御するので、夜間等での第1又は第2のメインバッテリの充電不足を抑制できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の電源装置によれば、スイッチ部が直列接続された複数のトランジスタで構成されているので、オン/オフ切り替え時でのチャタリングが生じないことから、負荷への電力供給の瞬断を抑制できる。また、スイッチ部が直列接続された複数のトランジスタで構成されているので、それぞれのトランジスタの入力インピーダンスを小さくできることから、それぞれのトランジスタの発熱量の増加を抑制できる。また、自動運転制御部が、サブバッテリからの電力を第1又は第2のメインバッテリに充電させる充電回路の充電動作を制御するので、第1又は第2のメインバッテリの充電不足を抑制できることから、夜間等のように太陽光からのエネルギーの供給が絶たれてしまう状況であっても、安定して電力の使用を継続させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の電源装置の一実施形態を説明するための回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の電源装置の一実施形態の詳細を、図1を参照して説明する。
図1に示す電源装置は、主として、バッテリ10a、10b、20、自動運転制御部30、電圧検出回路40、インバータ50、充電回路60、スイッチ部70を備えている。なお、詳細については後述するが、バッテリ10a、10bはメインバッテリとして用いられ、バッテリ20はサブバッテリとして用いられる。
【0015】
すなわち、バッテリ10a、10bは、太陽電池90からの電力を充電し、充電した電力を負荷へ供給する。バッテリ10a、10bは、2系統に分けられているが、この例に限らず3系統以上であってもよい。また、それぞれのバッテリ10a、10b、20は、大容量のものを用いることができる。また、バッテリ10a、10bは小容量のものとし、複数並列接続して用いることも可能である。
【0016】
また、符号20aは、詳細については後述するが、スイッチ部70との間の経路を接続したり、切断したりする切替回路を示している。また、符号90は、たとえば18V-100Wの発電能力を有する太陽電池を示している。太陽電池については、任意の発電能力を有するものを用いてもよい。また、符号D1は、逆流防止用のダイオードを示している。
【0017】
ここで、バッテリ10aの+端子は、スイッチ部70のトランジスタ70a、70cのエミッタに接続されている。バッテリ10bの+端子は、スイッチ部70のトランジスタ70b、70dのエミッタに接続されている。また、バッテリ10a、10bの+端子は、バッテリ20、切替回路20aの+端子に接続されている。バッテリ10a、10bの-端子は、電圧検出回路40、太陽電池90、及びバッテリ20の-端子に接続されている。
【0018】
バッテリ20は、夜間時等において、太陽電池90からの電力が得られず、負荷への放電によってバッテリ10a、又は10bの電圧が低下した場合、充電した電力をバッテリ10a、又は10bに再び充電させたりするためのサブバッテリとして用いられるものである。また、バッテリ20は、切替回路20a、自動運転制御部30、電圧検出回路40、インバータ50、及び充電回路60の駆動源として用いられる。バッテリ20の+端子、-端子は、切替回路20aを介し、充電回路60の+端子、-端子に接続されている。また、バッテリ20の+端子は、切替回路20aを介し、トランジスタ70a、70bのエミッタ側に接続されている。また、バッテリ20の-端子は、太陽電池90の-端子に接続されている。
【0019】
切替回路20aは、太陽電池90からの電力がトランジスタ70a、又は70bを介してバッテリ10a、又は10bに充電されるとき、太陽電池90からの電力がバッテリ20に充電されるように、切り替える。また、切替回路20aは、バッテリ20からの電力がバッテリ10a、又は10bに充電されるとき、トランジスタ70a、又は70bとの間の経路を切り離すように切り替える。
【0020】
自動運転制御部30は、切替回路20a、電圧検出回路40、インバータ50、充電回路60、スイッチ部70の動作を制御する。自動運転制御部30は、図示しない起動設定スイッチをオンすると、動作を開始する。自動運転制御部30は、図示しない起動設定スイッチ等によって予め設定された一定の閾値(たとえば10V)を有している。なお、一定の閾値は、任意に変更してもよい。自動運転制御部30は、電圧検出回路40の検出結果と、閾値とを比較する。自動運転制御部30は、詳細については後述するが、バッテリ10a、又は10bの電圧が放電によって閾値を下回ったことを確認すると、スイッチ部70にトランジスタ70a~70dのいずれかをオンさせる制御信号A~Dのいずれかを図示しない配線を介して出力する。なお、制御信号A、Bは正電圧であり、制御信号C、Dは負電圧である。これにより、スイッチ部70は、閾値を下回ったバッテリ10a、又は10bを充電に切り替え、他方のバッテリ10a、又は10bを放電に切り替える。
【0021】
また、自動運転制御部30は、詳細については後述するが、夜間等のように太陽光からのエネルギーの供給が絶たれてしまう状況において、バッテリ10a、又は10bが閾値を下回ったことを確認すると、切替回路20a、及び充電回路60を動作させる。この場合、自動運転制御部30は、スイッチ部70に制御信号A~Dのいずれかを出力し、バッテリ20からの電力を閾値を下回ったバッテリ10a、又は10bに充電させる。また、自動運転制御部30は、切替回路20aを動作させ、バッテリ20とトランジスタ70a、又は70bとの間の経路を切り離すように切り替える。これにより、バッテリ20からの電力をバッテリ10a、又は10bに充電させるとき、バッテリ20自らの電圧によって生じるバッテリ20の充電能力の低下を抑制できるので、バッテリ20からの電力をバッテリ10a、又は10bに確実に充電できる。なお、夜間等のように太陽光からのエネルギーの供給が絶たれてしまう状況においてのバッテリ20からの充電においては、自動運転制御部30が予め設定されたタイマーに基づき、制御できるようにしてもよい。
【0022】
電圧検出回路40は、自動運転制御部30の制御により、バッテリ10a、及びバッテリ10bの電圧を検出する。なお、電圧検出回路40については、たとえば自動運転制御部30側に電圧検出機能を持たせた場合、省略してもよい。インバータ50は、自動運転制御部30の制御により、バッテリ10a、又は10bの12Vの直流電圧を100Vの交流電圧に変換し、負荷へ供給する。充電回路60は、自動運転制御部30による制御により、バッテリ20の電力をスイッチ部70側に出力する。これにより、詳細については後述するが、スイッチ部70を介し、バッテリ20の電力がバッテリ10a、又は10bに充電される。
【0023】
スイッチ部70は、NPN型のトランジスタ70a、70bと、PNP型のトランジスタ70c、70dとを有している。それぞれのトランジスタ70a、70b、70c、70dは、それぞれ3個の組み合わせで構成され、それぞれが直列接続されている。なお、トランジスタ70a~70dについては、それぞれが3個の組み合わせに限定されるものではない。2個の組み合わせであってもよいし、4個以上の組み合わせであってもよい。ここで、トランジスタ70a、70cは、バッテリ10aの充放電の切替に対応している。また、トランジスタ70b、70dは、バッテリ10bの充放電の切替に対応している。また、トランジスタ70a、70bは、充電用としての役割をもつ。また、トランジスタ70c、70dは、放電用としての役割をもつ。
【0024】
このように、トランジスタ70a~70dのそれぞれを直列接続された3個の組み合わせとすることで、それぞれ3個のトランジスタ70a~70dの入力インピーダンスを小さくできる。これにより、それぞれのトランジスタ70a~70dでの発熱量を低減させることができる。なお、本実施形態では、スイッチ部70を充電用のトランジスタ70a、70bと、放電用のトランジスタ70c、70dの2系統で構成した場合を示しているが、充電用と放電用の系統を3系統以上としてもよい。この場合、太陽電池90の数が増加しても、スイッチ部70での発熱等の問題を回避でき、バッテリ10a、及びバッテリ10b等への充電等を効率良く行える。また、それぞれのトランジスタ70a~70dのたとえばベース側にコンデンサ等の素子を設けてもよい。この場合、たとえば自動運転制御部30側等で発生したチャタリングによる影響を回避できる。
【0025】
次に、上述した構成の電源装置の動作について説明する。なお、以下において、自動運転制御部30による充放電の切り替えは、上述したように、自動運転制御部30が電圧検出回路40の検出結果と、閾値とを比較し、閾値を下回ったバッテリ10a、又は10bの一方を充電に切り替え、他方を放電に切り替えるようにスイッチ部70を制御する。この説明については適宜行うものとする。
【0026】
まず、太陽電池90からの電力を、たとえばバッテリ10aに充電させる場合、自動運転制御部30が、スイッチ部70のそれぞれ3個のトランジスタ70aのベースに正電圧の制御信号Aを印加する。また、自動運転制御部30は、切替回路20aを動作させ、バッテリ20とスイッチ部70との間の経路が接続されるように切り替える。このとき、トランジスタ70aがオンすることで、太陽電池90からの電力がバッテリ10aに供給され、バッテリ10aへの充電が行われる。このとき、バッテリ20への充電も行われる。
【0027】
次に、バッテリ10aが充電に切り替えられた場合、自動運転制御部30が、スイッチ部70のそれぞれ3個のトランジスタ70dのベースに負電圧の制御信号Dを印加する。また、自動運転制御部30は、インバータ50を動作させる。このとき、トランジスタ70dがオンすることで、バッテリ10bが放電に切り替えられ、バッテリ10bの電力がインバータ50側に放電される。そして、インバータ50は、バッテリ10bの12Vの直流電圧を100Vの交流電圧に変換し、負荷へ供給する。
【0028】
次に、放電中のバッテリ10bを、太陽電池90からの電力の充電に切り替える場合、自動運転制御部30が、スイッチ部70のそれぞれ3個のトランジスタ70bのベースに正電圧の制御信号Bを印加する。このとき、トランジスタ70bがオンすることで、太陽電池90からの電力がバッテリ10bに供給され、バッテリ10bへの充電が行われる。このとき、バッテリ20への充電も行われる。
【0029】
次に、バッテリ10bが充電に切り替えられた場合、自動運転制御部30が、スイッチ部70のそれぞれ3個のトランジスタ70cのベースに負電圧の制御信号Cを印加する。このとき、トランジスタ70cがオンすることで、バッテリ10aが放電に切り替えられ、バッテリ10aの電力がインバータ50側に放電される。そして、インバータ50は、バッテリ10aの12Vの直流電圧を100Vの交流電圧に変換し、負荷へ供給する。
【0030】
次に、夜間等のように太陽光からのエネルギーの供給が絶たれてしまう状況において、バッテリ20の電力をバッテリ10a、又は10bに充電させる場合について説明する。まず、自動運転制御部30は、太陽光からのエネルギーの供給が絶たれているかどうかを判断する。この場合、自動運転制御部30は、電圧検出回路40の検出結果から、充電中のバッテリ10a、又は10bの電圧が一定時間(たとえば5分)、上昇しないことを確認することで、判断できる。
【0031】
ここで、バッテリ10aが充電に切り替えられていて、バッテリ10bが放電に切り替えられているとする。この場合、自動運転制御部30は、電圧検出回路40の検出結果を元に、バッテリ10aの電圧が一定時間上昇しないことを確認すると、バッテリ10bに対する電圧検出回路40の検出結果と、閾値とを比較し、閾値を下回ったかどうかを確認する。自動運転制御部30は、バッテリ10bの電圧が閾値を下回ったことを確認すると、充電回路60を動作させる。また、自動運転制御部30は、切替回路20aを動作させ、バッテリ20とスイッチ部70との間の経路を切り離すように切り替える。また、自動運転制御部30は、スイッチ部70のトランジスタ70bのベースに正電圧の制御信号Bを印加する。このとき、トランジスタ70bがオンすることで、充電回路60を介して得られるバッテリ20の電力がバッテリ10bに供給され、バッテリ10bへの充電が行われる。また、バッテリ10bへの充電中においては、自動運転制御部30がスイッチ部70のトランジスタ70cのベースに負電圧の制御信号Cを印加する。これにより、放電に切り替えられたバッテリ10aからの電力がインバータ50側に放電され、インバータ50がバッテリ10aの12Vの直流電圧を100Vの交流電圧に変換し、負荷へ供給する。
【0032】
次に、バッテリ10aが放電に切り替えられた後、自動運転制御部30が、電圧検出回路40の検出結果と、閾値とを比較し、電圧が閾値を下回ったかどうかを確認する。自動運転制御部30は、バッテリ10aの電圧が閾値を下回ったことを確認すると、充電回路60を動作させる。また、自動運転制御部30は、スイッチ部70のトランジスタ70aのベースに正電圧の制御信号Aを印加する。このとき、トランジスタ70aがオンすることで、充電回路60を介して得られるバッテリ20の電力がバッテリ10aに供給され、バッテリ10aへの充電が行われる。また、バッテリ10aへの充電中においては、自動運転制御部30がスイッチ部70のトランジスタ70dのベースに負電圧の制御信号Dを印加する。これにより、放電に切り替えられたバッテリ10bからの電力がインバータ50側に放電され、インバータ50がバッテリ10bの12Vの直流電圧を100Vの交流電圧に変換し、負荷へ供給する。
【0033】
このように、本実施形態では、一定の閾値を有する自動運転制御部30が、バッテリ10a、10b(第1及び第2のメインバッテリ)の電圧を検出する電圧検出回路の検出結果と閾値とを比較し、直列接続された複数のトランジスタ70a~70dで構成されているスイッチ部70の切り替えと、バッテリ20(サブバッテリ)からのバッテリ10a、又は10bに充電させる充電回路の充電動作とを制御する。
【0034】
ここで、スイッチ部70が直列接続された複数のトランジスタ70a~70dで構成されているので、オン/オフ切り替え時でのチャタリングが生じないことから、負荷への電力供給の瞬断を抑制できる。また、スイッチ部70が直列接続された複数のトランジスタ70a~70dで構成されているので、それぞれのトランジスタ70a~70dの入力インピーダンスを小さくできることから、それぞれのトランジスタ70a~70dの発熱量の増加を抑制できる。また、自動運転制御部30が、バッテリ20(サブバッテリ)からの電力をバッテリ10a、又は10bに充電させる充電回路60の充電動作を制御するので、バッテリ10a、又は10bの充電不足を抑制できることから、夜間等のように太陽光からのエネルギーの供給が絶たれてしまう状況であっても、安定して電力の使用を継続することができる。
【0035】
なお、本実施形態では、太陽光の自然エネルギーを利用した電源装置に限らず、風力等の他の自然エネルギーを利用した電源装置にも適用可能である。
【符号の説明】
【0036】
10a、10b、20 バッテリ
20a 切替回路
30 自動運転制御部
40 電圧検出回路
50 インバータ
60 充電回路
70 スイッチ部
70a~70d トランジスタ
90 太陽電池
A~D 制御信号
D1 ダイオード
図1