(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022127245
(43)【公開日】2022-08-31
(54)【発明の名称】導管の開口端における繊維さや管の整列装置
(51)【国際特許分類】
H02G 9/06 20060101AFI20220824BHJP
H02G 1/08 20060101ALI20220824BHJP
H02G 1/06 20060101ALI20220824BHJP
【FI】
H02G9/06
H02G1/08
H02G1/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021025287
(22)【出願日】2021-02-19
(71)【出願人】
【識別番号】502259469
【氏名又は名称】シンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074251
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100066223
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 政美
(72)【発明者】
【氏名】野原 光博
(72)【発明者】
【氏名】國川 優矢
【テーマコード(参考)】
5G352
5G369
【Fターム(参考)】
5G352CG01
5G352DA02
5G352DA06
5G369BA04
5G369DC03
5G369EA01
(57)【要約】
【課題】繊維さや管を導管内に整列状態で挿通でき、その後に実施する各種ケーブルの通線作業も支障なく行えるようにする。
【解決手段】地下に埋設した導管Pの開口端に取り付ける設置ベース1と、この設置ベース1の上下部に固定する上部支持部材11、下部支持部材16と、上部支持部材11、下部支持部材16相互間に着脱自在に配列して複数の繊維さや管S毎に仕分けする仕分材21とを備える。上部支持部材11、下部支持部材16それぞれは、固定部12,17、支持部13,18から、側面から見て断面でL字状に形成する。仕分材21は、上部支持部材11、下部支持部材16それぞれの支持部13,18に所定間隔毎に開穿し、上下方向で相対向している配列孔19に挿通支持する。仕分材21は、頭部を有する棒材状で、上部支持部材11の配列孔19から下部支持部材16の配列孔19に挿通して配列する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地下に埋設されて内部に各種ケーブルを収容可能にした導管内に、複数の繊維さや管を挿通配置する導管の開口端における繊維さや管の整列装置であって、導管の開口端に取り付けられる設置ベースと、この設置ベースの上下部に固定される上部支持部材、下部支持部材と、これらの上部支持部材、下部支持部材相互間に着脱自在に配列されて、区分けされた複数の繊維さや管毎に仕分けする仕分材とを備えて成ることを特徴とする導管の開口端における繊維さや管の整列装置。
【請求項2】
上部支持部材、下部支持部材それぞれは、設置ベース面に固定される固定部と、この固定部から直交状で折曲形成されて上下方向で相対向する支持部とから、側面から見て断面でL字状に形成してある請求項1に記載の導管の開口端における繊維さや管の整列装置。
【請求項3】
仕分材は、上部支持部材、下部支持部材それぞれの支持部に所定間隔毎に配列孔を開穿し、上下方向で相対向している配列孔に挿通支持されるようにしてある請求項1または2に記載の導管の開口端における繊維さや管の整列装置。
【請求項4】
仕分材は、頭部を有する棒材状で、上部支持部材の配列孔から下部支持部材の配列孔に挿通されると共、上部支持部材の配列孔の孔縁に頭部が係止されるようにしてある請求項1乃至3のいずれかに記載の導管の開口端における繊維さや管の整列装置。
【請求項5】
仕分材相互間には、所定数で綴じ合わせられた束状の繊維さや管毎で挿通位置決めされるようにしてある請求項1乃至4のいずれかに記載の導管の開口端における繊維さや管の整列装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地下に埋設配線される各種ケーブルを挿通させる電線共同溝等の導管内に、例えば通信・放送用のケーブルを種別毎に区画通線させて保護するように複数の繊維さや管を挿通設置するに際し、挿通させる導管の開口端において繊維さや管を整列区分けし、鉛直方向に沿った扁平状の儘で導管内に挿通できるようにした導管の開口端における繊維さや管の整列装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種ケーブルを地下に埋設配線するには、コンクリート製・鋼製・合成樹脂製の導管を埋設し、この導管内にケーブル種別毎に対応した所定径の例えば合成樹脂製のさや管を挿通設置し、それらのさや管毎に所定のケーブルを順次に通線している。このような剛性構造のさや管では、導管内への挿通配置は所定長さのさや管を順次に接続しながら挿通させるから面倒であるばかりでなく、ケーブルの占有空間に比しさや管の収容空間が大きいために、空間容積が大きくなって導管径も必要以上に大きくなる。
【0003】
こうした剛性構造のさや管に代えて、通線するケーブル径に対応した通線空間が設定可能な繊維製の長筒状のフレキシブルなさや管が提案されている。例えば特許文献1に示されるケーブル誘導スリーブ構造、特許文献2に示される多隔室架空ダクト、特許文献3に示される導管を複数の隔室に分割するための方法及び装置、特許文献4に示される多重挿入された横方向糸を有する編織布及び内部ダクト等である。これらは合成繊維製の経糸、横糸等を編み上げて成る帯状材を例えば辺縁を縫い合わせて長尺の筒状に形成すると共に、内部に紐状のケーブル牽引部材を内包させて成る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4047332号公報
【特許文献2】特許第4128534号公報
【特許文献3】特許第4236841号公報
【特許文献4】特許第5801412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の特許文献等に示された繊維さや管によれば、導管内に挿通させた後の繊維さや管内に各種のケーブルを通線できるようになることで、繊維さや管の導管内への挿通施工も容易であるばかりでなく、空間容量を低減できる利点が得られる。
【0006】
ただ、こうした繊維さや管による利点が得られるとしても、長尺な導管内への挿通施工時に挿通させる複数の繊維さや管相互が捩じれたり、撓んでしまったりすると、その後に実施するケーブルの通線作業が極めて困難になる。しかも、捩じれたり、撓んだりした場合、導管内のいずれの箇所であるかの特定、確認も事実上不可能であり、また再度の挿通作業も面倒である。
【0007】
そこで本発明は叙上のような従来存した諸事情に鑑み創出されたもので、繊維さや管を導管内に整列状態で挿通でき、その後に実施される各種ケーブルの通線作業も支障なく行えるようにする導管の開口端における繊維さや管の整列装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するため、本発明にあっては、地下に埋設されて内部に各種ケーブルCを収容可能にした導管P内に、複数の繊維さや管Sを挿通配置する導管の開口端における繊維さや管の整列装置であって、導管Pの開口端に取り付けられる設置ベース1と、この設置ベース1の上下部に固定される上部支持部材11、下部支持部材16と、これらの上部支持部材11、下部支持部材16相互間に着脱自在に配列されて、区分けされた複数の繊維さや管S毎に仕分けする仕分材21とを備えて成ることを特徴とする。
上部支持部材11、下部支持部材16それぞれは、設置ベース1面に固定される固定部12,17と、この固定部12,17から直交状で折曲形成されて上下方向で相対向する支持部13,18とから、側面から見て断面でL字状に形成して構成することができる。
仕分材21は、上部支持部材11、下部支持部材16それぞれの支持部13,18に所定間隔毎に配列孔19を開穿し、上下方向で相対向している配列孔19に挿通支持されることで構成することができる。
また、仕分材21は、頭部を有する棒材状で、上部支持部材11の配列孔19から下部支持部材16の配列孔19に挿通されると共、上部支持部材11の配列孔19の孔縁に頭部が係止されるようにして構成することができる。
仕分材21相互間には、所定数で綴じ合わせられた束状の繊維さや管S毎で挿通位置決めされるようにして構成することができる。
【0009】
以上のように構成された本発明に係る導管の開口端における繊維さや管の整列装置にあって、導管Pの開口端に取り付けた設置ベース1の上下部に固定した上部支持部材11、下部支持部材16相互間で上下方向に沿って配列した仕分材21によって、所定数で束ねられた繊維さや管Sを仕分けでき、その仕分け状態のままで導管P内に繊維さや管Sを挿通させる。
仕分材21は、例えば牽引機Mによって牽引されるよう繊維さや管Sを牽引機Mに連結しての牽引側の先端部分牽引機Mと共に導管P内に位置決め後、所定数で束ねられた繊維さや管S毎に応じた所定位置で上部支持部材11、下部支持部材16相互間に挿通配列されることで、繊維さや管S毎に区分けして位置決めさせる。
仕分材21の上部支持部材11、下部支持部材16相互間での配列は、導管P内に繊維さや管Sの引込側先端部分を一旦は挿入位置決めした状態で、整列させる繊維さや管S毎にこれらを仕分けする位置に着脱自在に設定可能にさせる。
また、棒材状の仕分材21における頭部は、上部支持部材11の配列孔19の孔縁に係止支持されることで、上部支持部材11上からの挿通操作のみで、所定数で綴じ合わせられた束状の繊維さや管S毎を仕分け区画させ、位置決めさせる。
【発明の効果】
【0010】
本発明は以上説明したように構成されているため、例えば地下に埋設される電線共同溝用の導管P内に複数束の繊維さや管Sを挿通させるにつき、導管Pの一方の管端開口部において繊維さや管S毎に区分けして位置決めできる。そのため、他方の管端開口部から繊維さや管Sが牽引されることで挿通される際の繊維さや管S内での相互の捩じれ、絡まりその他を生じにくくすることができ、後日に実施される各種ケーブルCの引き込み通線を円滑に実施できるようになる。
【0011】
これは本発明において、導管Pの開口端に取り付ける設置ベース1と、設置ベース1の上下部に固定する上部支持部材11、下部支持部材16相互間に着脱自在に配列されることで、区分けされた複数の繊維さや管S毎に仕分けする仕分材21とを備えるからである。これによって、導管Pへの挿通導入箇所において複数の繊維さや管Sを整列でき、導出側末端箇所まで繊維さや管Sを円滑に挿通案内できる。
【0012】
また、設置ベース1の上下部に固定した上部支持部材11、下部支持部材16相互間に所定間隔で仕分材21を着脱自在に挿通配列してあることで、挿通させる繊維さや管Sの例えば束の大小によっての区分け間隔をも設定調整できる。更には、牽引機Mに連結された状態で扁平状である繊維さや管Sを上下方向に沿った配置とさせることができ、牽引機Mによる挿通作業を円滑に行わせることもできる。
【0013】
仕分材21は、これの頭部が上部支持部材11の配列孔19の孔縁に係止されることで、上部支持部材11、下部支持部材16相互間に仕分材21を配列するに際し、仕分材21自体が棒状であることと相俟ち、上部支持部材11の上方から挿通させることで所定間隔毎に配列することができる。
【0014】
尚、上記の課題を解決するための手段、発明の効果の項それぞれにおいて付記した符号は、図面中に記載した構成各部を示す部分との参照を容易にするために付した。本発明は、これらの記載、図面中の符号等によって示された構造・形状等に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明を実施するための一形態を示す分解斜視図である。
【
図5】同じく繊維さや管を導管内に挿通させるときの繊維さや管の配置例を示す概要斜視図である。
【
図6】同じく導管内への挿通後における繊維さや管の仮止め支持状態を示す側断面図である。
【0016】
以下、図面を参照して本発明を実施するための一形態を説明すると、図において示される符号1は地下に埋設される、例えばコンクリート製、鋼製、合成樹脂製等によって形成された導管Pの開口端に、開口端の周囲を囲繞するようにして設置される設置ベースである。この設置ベース1は、例えば導管Pの開口端の周縁外部である、例えば後述する埋設ボックスBにおいて、導管Pに連絡するよう埋設ボックスBのコンクリート壁に設けられる開口部の周縁に配置したインサート具2に、設置ベース1を貫挿させた複数の取付ボルト3をネジ止めすることで設置される。
【0017】
尚、導管Pは、例えば無電柱化を推進している等の地域で埋設される配線ボックス、マンホール等の各種の埋設ボックスB相互間に電線共同溝等として接続配管されており、これらの埋設ボックスBにおける各種ケーブルCの導入側の開口端に本発明装置が設置される。
【0018】
設置ベース1自体は、図例のように導管Pが断面で円形状となっていることに対応して円形枠板状に形成されている。もとより、導管Pが例えば断面で矩形状となっている場合には設置ベース1自体も矩形枠板状に形成されるもので、導管Pにおける開口端形状に対応したものとされる。設置ベース1の内周縁は、導管P側の内側から外側に向かって次第に広がり状となるテーパー面に形成されていることで、繊維さや管S自体の導管P内への挿通作業が容易に行えるように配慮してある。
【0019】
尚、繊維さや管Sは、例えばポリエチレンテレフタール(PET)繊維、ナイロン繊維等で編み上げた帯状材の辺縁を縫い合わせて扁平な長尺筒状に形成されていると共に、ケーブル牽引用紐Tを内包して成る。そして、例えば3乃至5条で、一方の辺縁部分を綴じ合わせることによって並列状態で束状に纏められており、例えばドラムに巻回収容されたり、包装容器内に巻回状にして収納されたりして、準備されている。
【0020】
この設置ベース1には、これの上下部に相対向して上部支持部材11、下部支持部材16それぞれが固定され、これらの上部支持部材11、下部支持部材16相互間には、複数で束ねられた束状の繊維さや管S毎に仕分けさせる仕分材21が所定間隔毎に着脱自在に配列されている。
【0021】
上部支持部材11、下部支持部材16それぞれは、設置ベース1面に当接固定させる固定部12,17と、この固定部12,17から直交状で折曲形成されて上下方向で相対向する支持部13,18とから成り、側面から見て断面でL字状を呈している。これらの上部支持部材11、下部支持部材16それぞれは、固定部12,17に貫挿させた固定ネジ15によって設置ベース1面にネジ止め固定される。
【0022】
上部支持部材11の支持部13と、下部支持部材16の支持部18とには、これらの相互間で上下方向に沿って配列される複数の前記仕分材21を挿通保持する配列孔19が穿設されている。仕分材21自体は、図例のように頭部を有する長ボルトによって丸棒状を呈するように形成されており、先端側から上部支持部材11の配列孔19に直接に挿入し、そのまま下方位置にある下部支持部材16における支持部18の配列孔19に挿通されるようになっている。そして、頭部が上部支持部材11の配列孔19の開口縁に係止することで上部支持部材11、下部支持部材16相互間で保持されており、必要に応じて下部支持部材16部位において、例えばネジ止め固定されるようにしてある。
【0023】
この仕分材21相互間の間隔は、複数、例えば3乃至5個で束ねられている繊維さや管S全体の肉厚に比し小さくはない程度に設定されている。仕分材21自体は、図例のように7本が配列されることで6個の配管区画が得られるようにしてあるも、これに限定されない。
【0024】
尚、上部支持部材11の支持部13には、スリット状の多数の支持結束孔14が穿設されていて、導管P内への繊維さや管Sの挿通終了後等で、繊維さや管S自体が導管P内に引き込まれないよう、例えば繊維さや管Sに貫挿支持させた結束バンドFを支持結束孔14に挿通固定することで支持するようになっている(
図6参照)。
【0025】
次にこれの使用の一例を以下に説明する。例えば地下に埋設された埋設ボックスB、及びこれら相互間に接続配管された電線共同溝となる導管Pにおいて、一方の導管Pの開口端部に本発明装置が設置される。設置に際し、導管Pの開口端には、上部支持部材11、下部支持部材16が取り付けられている設置ベース1を、すなわち仕分材21を配列させていない状態で取り付けておく。また、導管P内を清掃し、導管P内に繊維さや管Sを牽引させる牽引用紐材を挿通させておく。
【0026】
次いで、導管P内を走行する牽引機Mに、所定数で束ねた繊維さや管Sを巻回収容しているさや管ドラムから引き出した挿通すべき複数の繊維さや管S束を、それらの束毎に分離させて連結した牽引機Mを導管P内に位置決めさせる。このとき、束ねられている複数の繊維さや管S束は、導管Pの開口端に取り付けた設置ベース1内方側の導管P内に牽引機Mと共に置かれた状態である。
【0027】
そこで、設置ベース1における上部支持部材11、下部支持部材16相互間において、繊維さや管S束それぞれが仕分材21相互間で位置決めされるようにして仕分材21を挿通固定する。尚、このとき、繊維さや管S束は、束状に綴じ合わせた部位を上方に位置させて、鉛直方向に沿って扁平状を呈しているようにして牽引機Mに連結され、仕分材21相互間でも鉛直方向に沿った状態で挿通される。
【0028】
その後、牽引走行される牽引機Mによって繊維さや管S束を導管P内に引き入れ挿通させ、導管Pにおける他方の開口端に至るまで牽引する。他方の開口端から外出した繊維さや管Sそれぞれは適当な長さで切断され、それぞれが識別されるように識別ラベル・札その他の識別表示が付設されるものとしてある。
【0029】
また、繊維さや管Sの挿通作業が終了した段階では、導管Pの両端開口部において、繊維さや管S、更には必要があればケーブル牽引用紐Tを交互に例えば2~3回程度で引っ張り合いをし、撚り、撓み、捩じり等のいわゆるバンチング現象の発生を防止し、これが生じていないようにする。
【0030】
そして、このようにして導管P内への繊維さや管Sの挿通終了後では、導管Pの両端開口部において繊維さや管Sを牽引しながら繊維さや管S自体が導管P内に引き込まれないように、繊維さや管Sに貫挿支持させた結束バンドFを支持結束孔14に取り付けて固定する。更には繊維さや管Sそれぞれの内部に挿入配置させてあるケーブル牽引用紐Tを束ねて結んでおいて、後日のケーブル牽引用紐Tを利用した各種ケーブルCの繊維さや管S内への引込作業の準備とする。
【符号の説明】
【0031】
B…埋設ボックス
C…ケーブル
F…結束バンド
M…牽引機
P…導管
S…繊維さや管
T…ケーブル牽引用紐
1…設置ベース
2…インサート具
3…取付ボルト
11…上部支持部材
12…固定部
13…支持部
14…支持結束孔
15…固定ネジ
16…下部支持部材
17…固定部
18…支持部
19…配列孔
21…仕分材