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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022127280
(43)【公開日】2022-08-31
(54)【発明の名称】梱包部材及び梱包構造
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/05 20060101AFI20220824BHJP
【FI】
B65D81/05 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021025340
(22)【出願日】2021-02-19
(71)【出願人】
【識別番号】000006264
【氏名又は名称】三菱マテリアル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101465
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 正和
(72)【発明者】
【氏名】東 浩司
(72)【発明者】
【氏名】中田 有治
【テーマコード(参考)】
3E066
【Fターム(参考)】
3E066AA43
3E066CA01
3E066CA04
3E066DA01
3E066HA01
3E066JA04
3E066KA08
3E066KA20
3E066NA60
(57)【要約】
【課題】段ボールのみを用い、振動及び衝撃から製品をより確実に保護でき、作業効率を低下させる係合作業も不要にする。
【解決手段】複数の側板部を接続した角筒部の両端開口に側板部の辺部に連続する蓋片が折り曲げ自在に接続された段ボール製の外箱と、段ボール製のシート材からなり、前記角筒部に組み入れられる底板部を有するとともに、前記底板部の各辺部に、前記側板部と平行に折り曲げられて起立する起立板部を有する少なくとも一つの箱形スペーサと、起立した前記起立板部の上に載置される板状の上蓋と、を備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の側板部を接続した角筒部の両端開口に前記側板部の辺部に連続する蓋片が折り曲げ自在に接続された段ボール製の外箱と、
段ボール製のシート材からなり、前記角筒部に組み入れられる底板部を有するとともに、前記底板部の各辺部に、前記側板部と平行に折り曲げられて起立する起立板部を有する少なくとも一つの箱形スペーサと、
起立した前記起立板部の上に載置される板状の上蓋と、を備えることを特徴とする梱包部材。
【請求項2】
前記箱形スペーサは複数設けられ、前記複数の箱形スペーサは互いに大きさが異なることを特徴とする請求項1に記載の梱包部材。
【請求項3】
前記箱形スペーサの前記底板部上に配置可能な板状パットが設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の梱包部材。
【請求項4】
前記箱形スペーサの内側に、前記起立板部に沿う枠状の側面用スペーサが設けられることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の梱包部材。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の梱包部材に被梱包物を収容して梱包した構造であり、
前記被梱包物は、前記箱形スペーサの内側に収容されていることを特徴とする梱包構造。
【請求項6】
前記被梱包物が気泡緩衝材により包装された半導体製造部品であることを特徴とする請求項5に記載の梱包構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、段ボールを利用した梱包部材及び梱包構造に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコン(Si)製電極板、シリコン製リング、スパッタリングターゲットなどの半導体製造部品は、パーティクルの付着を防ぐために真空包装された後、気泡緩衝材などで覆われて梱包される。従来の梱包形態は、外箱に、気泡緩衝材で覆った半導体製造部品を入れ、外箱と半導体製造部品との隙間に発泡系の緩衝材を入れることにより、製品を振動及び衝撃から保護していた。ところが、発泡系の緩衝材は、廃棄物としての処理が困難であり、環境に与える影響も大きい。また、発泡系の緩衝材(発泡樹脂系)は、段ボール(紙箱)に比べ指定可燃物の指定倍率規制が厳しく、数量を多く保管できず、取り扱い・保管が困難なデメリットがある。更に、発泡系の緩衝材は、量が少なかったり、入れ方が悪かったりすると、隙間が発生しやすく、振動及び衝撃から製品を十分に保護できない場合があった。
【0003】
そこで、段ボールのみを用いて製品を保護する緩衝部材(例えば特許文献1)や、梱包装置及び緩衝材(例えば特許文献2)が提案されている。特許文献1では、段ボール製のシートを折り曲げて筒形状に構成したものを緩衝部材として梱包品の周りに配置している。特許文献2でも同様に段ボールシートを折り曲げて形成した緩衝材を用いている。
これらの緩衝部材や、梱包装置及び緩衝材は、いずれも段ボール、すなわち、梱包箱と同一の材料で作製されるため、使用後の分別が不要となり、更に、素材が段ボールであるためリサイクルすることが可能であり、環境に与える負荷も少なくできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-313927号公報
【特許文献2】特開2008-308178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の緩衝部材や、梱包装置及び緩衝材は、段ボールのみを用いることにより、環境に与える負荷は少なくできるが、隙間を埋めるために、シートを折り曲げるとともに例えば係合片や突起部を、係止部や挿入部に係合させることで筒形状に組み立てる必要があり、作業効率が悪い。また、中空筒形状の段ボールで隙間が埋められるため、軽量化は可能になるものの例えば運搬時にフォークリフトの爪などが突き刺されば中空筒形状を貫通して極めて容易に製品に傷がつく可能性があった。このため、特に、側面からの外力を防ぎたい要請もある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、段ボールのみを用い、振動及び衝撃から製品をより確実に保護でき、作業効率を低下させる係合作業も不要にできる梱包部材及び半導体製造部品の梱包構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の梱包部材は、複数の側板部を接続した角筒部の両端開口に前記側板部の辺部に連続する蓋片が折り曲げ自在に接続された段ボール製の外箱と、段ボール製のシート材からなり、前記角筒部に組み入れられる底板部を有するとともに、前記底板部の各辺部に、前記側板部と平行に折り曲げられて起立する起立板部を有する少なくとも一つの箱形スペーサと、起立した前記起立板部の上に載置される板状の上蓋と、を備える。
【0008】
この梱包部材によれば、段ボール製であるので、発泡系の緩衝材を使用することに比べて廃棄物としての処理が容易で、環境に与える影響も小さい。また、発泡樹脂系に比べ、指定可燃物の指定倍率規制が緩く、数量を多く保管でき、取り扱い・保管が容易となる。
また、梱包部材は、外箱に、箱形スペーサを組み入れ、上蓋を箱形スペーサに載置して、外箱の蓋片を折り曲げて封止すれば、梱包が完了する。このため、従来の緩衝部材や、梱包装置及び緩衝材のように、シートを折り曲げて係合片や突起部を、係止部や挿入部に係合させて、隙間を埋めるための筒形状に組み立てる作業を不要にできる。また、箱形スペーサは、発泡系の緩衝材のように、隙間が発生しないように、量を調整したり、入れ方に注意したりする必要もなく、単に外箱の内側に合わせるように組み入れればよい。このため、作業効率の低下を抑制することができる。
更に、外箱の内側に箱形スペーサが組み入れられることから、外箱の側板部に、起立板部を当てて、複数層の板状として補強できる。このため、例えば運搬時にフォークリフトの爪などが衝突しても、製品を傷つきにくくすることができる。
【0009】
この梱包部材において、前記箱形スペーサは複数設けられ、前記複数の箱形スペーサは互いに大きさが異なるとよい。
【0010】
このように、箱形スペーサは、大きさの異なる複数設けられている。この梱包部材によれば、外箱内に、大きさの異なる複数の箱形スペーサを大きいものから小さなものに順次重ねて組みこむことができる。箱形スペーサの大きさの種類は、任意とすることができ、所望の大きさの被梱包物を隙間無く収容できる大きさを基準サイズとした場合、所望の強度が確保できる厚みとなる枚数分を、順次に大きなサイズで形成しておく。
例えば2枚の箱形スペーサを使用することで所望の強度が確保できる場合、大きいサイズの箱形スペーサと、小さいサイズの箱形スペーサとの2種類の箱形スペーサを用意する。外箱は、大きいサイズの箱形スペーサが組み入れられる大きさで作られる。
そして、被梱包物を梱包するには、先ず、外箱に大きいサイズの箱形スペーサを、起立板部を起立させた状態に組み入れ、次いで、大きいサイズの箱形スペーサの内側に、小さいサイズの箱形スペーサを入れ子式に組み入れる。この小さいサイズの箱形スペーサに、被梱包物を入れた後、上蓋を大きいサイズの箱形スペーサの起立板部上に載置して蓋をし、外箱の蓋片を閉じて梱包を終了する。
外箱に比べて、梱包される被梱包物が小さい場合には、箱形スペーサの数を増やせばよい。
【0011】
また、前記箱形スペーサの前記底板部上に配置可能な板状パットが設けられているとよい。
【0012】
この板状パットは、箱形スペーサの底板部上に配置してもよいし、その上に収容した被梱包体の上に配置してもよい。複数枚設けてもよく、上下方向の隙間を板状パッドにより埋めることができる。この場合、外箱の下面から被梱包物までの段ボールの層数と、外箱の上面から被梱包物までの段ボールの層数とがほぼ等しくなるようにすることにより、被梱包物の下側と上側とを同程度に保護することができる。
【0013】
さらに、前記箱形スペーサの内側に、前記起立板部に沿う枠状の側面用スペーサが設けられるとよい。
【0014】
箱形スペーサの内側に、起立板部に沿う枠状の側面用スペーサが入れられることにより、箱形スペーサの起立板部に加え、更に内側に側面用スペーサが重ねられることから、側面からの外力をより確実に防ぐことができる。
【0015】
本発明の梱包構造は、梱包部材に被梱包物を収容して梱包した構造であり、前記被梱包物は、前記箱形スペーサの内側に収容されている。
その被梱包物として、円板状に形成され、真空包装された外周が気泡緩衝材で覆われた半導体製造部品とすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、段ボールのみを用い、振動及び衝撃から製品をより確実に保護でき、作業効率を低下させる係合作業も不要にできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】一実施形態に係る梱包部材及び半導体製造部品の梱包構造を表す分解斜視図である。
図2図1に示した箱形スペーサにおけるサイズのバリエーションを表す平面図である。
図3】二つの箱形スペーサが使用された半導体製造部品の梱包構造を表す分解斜視図である。
図4】板状パットが使用された半導体製造部品の梱包構造を表す分解斜視図である。
図5】側面用スペーサが使用された半導体製造部品の梱包構造を表す分解斜視図である。
図6図5に示した半導体製造部品の梱包構造の要部側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、一実施形態に係る梱包部材及び梱包構造を表す分解斜視図である。
この実施形態の梱包構造は、被梱包物として半導体製造部品1を梱包部材111により梱包するものであり、梱包部材111は、外箱13と、箱形スペーサ15と、上蓋17と、を有している。
【0019】
半導体製造部品1は、円板状に形成される。半導体製造部品1としては、シリコン製電極板、シリコン製リング、スパッタリングターゲットなどが挙げられる。これら半導体製造部品1は、梱包時、パーティクルの付着を防ぐために真空包装された後、更にその外周が気泡緩衝材19などで覆われて保護・隙間埋めされる。気泡緩衝材19としては、エアキャップ(登録商標)、プチプチ(登録商標)などの名称で呼ばれるシート材を用いることができる。
【0020】
外箱13は、段ボール製である。この場合、段ボールとしては、3枚のライナーの間に、それぞれ中芯が挟み込まれた所謂ダブルフルートを好適に用いることができる。この他、段ボールとして、1枚の中芯の両側を一対のライナーで挟み込んだものや、中芯の片側にのみライナーを貼着した所謂片面段ボールを用いてもよい。
【0021】
外箱13は、四つの側板部21を接続した角筒部23を有し、角筒部23の両端開口25には、各側板部21の辺部に連続する蓋片27が折り曲げ自在に接続されている。この外箱13は、角筒部23の開口を平行四辺形に変形させた後に更に変形させることにより二層の段ボールとして平板状に畳むことができる。外箱13は、半導体製造部品1の梱包時に、最も外側の外殻となる。梱包時には、平板状に畳まれた角筒部23が角筒状にされ、一方の開口側に接続する一対の対向する蓋片27を側板部21に対して直角に折り曲げて開口を閉鎖する。その後、他の一対の対向する蓋片27を同様に直角に折り曲げ、折り曲げ先端縁部同士を粘着テープなどにより固定して底部を作る。これにより、外箱13は、他方の開口側の蓋片27が開いた状態となり、収容物の収容が可能な空き箱となる。
【0022】
本実施形態において、梱包される半導体製造部品1は、上述したように、円板状である。半導体製造部品1は、外箱13の底部に板面が平行に載置される。このため、外箱13は、平面視における各辺部の長さが等しい多角形(例えば正方形)で作られる。
【0023】
箱形スペーサ15は、段ボール製のシート材からなる。この段ボール製のシート材は、上述のダブルフルートなどを好適に用いることができる。この箱形スペーサ15は、展開形状が、正方形の四隅を小さい正方形で切り落とした、全体として十字形となる形状(ヤッコ型ともいう)であり、半導体製造部品1が載置される四角形の底板部29を有し、この底板部29の各辺部に、折り曲げられて起立する起立板部31を有する。底板部29は、外箱13の角筒部23の内寸より小さい正方形に形成されおり、この底板部29を角筒部23内に配置し、四つの起立板部31を側板部21と平行に折り曲げられて起立させた状態で、外箱13の内側に組み入れられる。これにより、底板部29の底面は外箱13の底部に平行に載置され、箱形スペーサ15の起立板部31は外箱13の側板部21に平行に載置される。
【0024】
上蓋17は、外箱13内に組み入れられた箱形スペーサ15の起立した起立板部31の上に載置される。上蓋17は、外箱13の角筒部23の内寸よりわずかに小さい正方形に形成されている。このため、後述するように、外箱17内に複数の箱形スペーサ15が組み入れられている場合、最も外側に組み入れられた箱形スペーサ15の起立板部31の上端縁に載置される。
【0025】
図2は、図1に示した箱形スペーサ15におけるサイズのバリエーションを表す平面図である。各箱形スペーサ15は底板部29の各辺及び起立板部31の各辺や高さなどの寸法のみ異なるだけであるので、各部位には同じ符号を付している。
これら箱形スペーサ15は、展開形状が十字形となる。この異なる大きさの複数の箱形スペーサ15は、互いにほぼ相似形で作られる。この複数の箱形スペーサ15の展開形状は、互いに相似形である。ここでは、例えば四つの異なるサイズの大型箱形スペーサA、中型箱形スペーサB、小型箱形スペーサC、最小箱形スペーサDを例示する。なお、箱形スペーサ15のサイズ数は、これに限定されない。
【0026】
ここで、各部の諸寸法について必ずしも限定されるものではないが、外箱13、各箱形スペーサ15、上蓋17における寸法の一例を示す。これら外箱13、各箱形スペーサ15、上蓋17に使用される段ボールには、例えば厚み8mmのダブルフルートが使用される。外箱13は、各辺部の長さS(図1参照)を500mm、高さHを150mmで作ることができる。
【0027】
大型箱形スペーサAは、底板部29からの起立板部31の高さA1を140mm、起立板部31の長さA2を455mm、起立板部先端同士の長さA3を745mmで作ることができる。中型箱形スペーサBは、底板部29からの起立板部31の高さB1を132mm、起立板部31の長さB2を435mm、起立板部先端同士の長さB3を710mmで作ることができる。小型箱形スペーサCは、底板部29からの起立板部31の高さC1を124mm、起立板部31の長さC2を420mm、起立板部先端同士の長さC3を675mmで作ることができる。最小箱形スペーサDは、底板部29からの起立板部31の高さD1を116mm、起立板部31の長さD2を410mm、起立板部先端同士の長さD3を640mmで作ることができる。このように、例えば、箱形スペーサAからDは、その展開形状が互いに相似形である。
【0028】
各箱形スペーサ15は、隣接する起立板部31の間に形成される凹隅部に、一部が開放する抜き穴35が形成される。これにより、箱形スペーサ15は、各起立板部31が折り曲げやすくなっている。図2において、各箱形スペーサ15に一点鎖線で示した線が折り曲げ線である。
【0029】
上蓋17は、外箱13の各辺部の長さSが500mmの場合、各辺部の長さE(図1参照)を480mmで作ることができる。なお、上述した外箱13のサイズ、箱形スペーサ15の各サイズ、上蓋17のサイズは、これに限定されず、外箱13のサイズ、半導体製造部品1のサイズ、或いは必要強度を設計時の基準として種々に設定することができる。
【0030】
図3は、二つの箱形スペーサ15が使用された梱包部材112により半導体製造部品1を梱包する形態を表す分解斜視図である。
この梱包部材112は、箱形スペーサ15を、大きいものから小さなものへ順次に重ねて組み入れることができる。図示例では、外箱13に大型箱形スペーサAが組み入れられ、その内側に、中型箱形スペーサBが組み入れられる。
【0031】
図4は、板状パット37が使用された梱包部材113により半導体製造部品1を梱包する形態を表す分解斜視図である。
この板状パッド37は、正方形に形成され、最も内側の箱形スペーサ15の底板部29の上、または半導体製造部品1の上の少なくとも一方に設けられる。図4では半導体製造製品1の下で箱形スペーサ15の底板部29の上に設けられている。板状パット37は、各辺部の長さFを例えば400mmで作ることができる。なお、板状パット37のサイズは、これに限定されない。また、板状パット37は、箱形スペーサ15の組み入れ数に応じ任意の枚数を調整して入れることができる。
【0032】
図5は、側面用スペーサ38が使用された梱包部材114により半導体製造部品1を梱包する形態を表す分解斜視図である。
この梱包部材114では、最も内側の箱形スペーサ15の内側に、四つの起立板部31に沿う四角枠状の側面用スペーサ38を更に入れることができる。側面用スペーサ38に使用される段ボールには、上述同様、例えば厚み8mmのダブルフルートが使用される。側面用スペーサ38は、長尺段ボールを折り曲げて4つの側面部39を有する四角枠状に形成される。したがって、側面部39で囲まれた部分は上下に開放している。折り曲げた長尺段ボールの長手方向両端同士は、接合されなくてもよい。
【0033】
図5に示した半導体製造部品の梱包構造では、外箱13に、大型箱形スペーサA、中型箱形スペーサB、小型箱形スペーサCが順次に入れ子式となって組み入れられる。小型箱形スペーサCの内側には、側面用スペーサ38が更に入れられる。側面用スペーサ38の内側には、1枚の板状パット37が敷かれ、その上に、気泡緩衝材19で包装した半導体製造部品1が載置される。載置された半導体製造部品1の上には、3枚の板状パット37が載せられる。最後に、上蓋17が各箱形スペーサ15の上に載置された後、外箱13の各蓋片27が折り曲げられ、上側一対の蓋片27が粘着テープなどにより相互に固定される。
【0034】
図6は、図5に示した梱包部材114で半導体製造部品1を梱包した構造の要部側断面図である。
図6に示した梱包構造の例では、半導体製造部品1を上下で挟む段ボールが5層となる。また、半導体製造部品1の外周を包囲する段ボールも5層となる。すなわち、段ボールのみが8mm×5=40mmの厚さとなって半導体製造部品1を保護した構造となる。なお、外箱13は、上下面において、各辺部の重なりが一重となる場合もあることを考慮して一層として数えている。
【0035】
次に、上記した構成の作用を説明する。
実施の形態に係る半導体製造部品の梱包構造では、半導体製造部品1が、外箱13、箱形スペーサ15及び上蓋17のみの段ボールにより梱包される。このため、発泡系の緩衝材に比べ廃棄物としての処理が容易で、環境に与える影響も小さい。また、発泡樹脂系に比べ、指定可燃物の指定倍率規制が緩く、数量を多く保管でき、取り扱い・保管が容易となる。
【0036】
また、外箱13に、箱形スペーサ15を組み入れ、その内側に半導体製造部品1を収容した後、上蓋17を箱形スペーサ15に載置して、外箱13の蓋片27を折り曲げて封止すれば、梱包が完了する。このため、従来の緩衝部材や、梱包装置及び緩衝材のように、シートを折り曲げて係合片や突起部を、係止部や挿入部に係合させて、隙間を埋めるための筒形状に組み立てる作業を不要にできる。また、箱形スペーサ15は、発泡系の緩衝材のように、隙間が発生しないように、量を調整したり、入れ方に注意したりする必要もなく、外箱13に入れ子式に組み入れればよい。このため、作業効率の低下を抑制することができる。
【0037】
更に、外箱13と半導体製造部品1との隙間には、少なくとも一つの箱形スペーサ15が組み入れられる。これにより、外箱13の側板部21に、段ボールのみからなる少なくとも一層の起立板部31を当てて、複数層の板状として補強できる。このため、例えば運搬時にフォークリフトの爪などが突き刺さっても、中空筒形状の緩衝部材を用いた場合に比べ製品を傷つきにくくできる。
【0038】
また、この半導体製造部品の梱包構造では、図3又は図5に示すように、箱形スペーサ15が、大きいものから小さなものへ順次に重ねて組み入れられる。つまり、箱形スペーサ15は、入れ子式で外箱13へ組み入れられる。箱形スペーサ15のサイズの種類は、任意とすることができる。箱形スペーサ15は、例えば所望外径の半導体製造部品1を隙間無く収容できるサイズを基準サイズとした場合、所望の強度が確保できる厚みとなる枚数分を、順次に大きなサイズで形成しておくことができる。
【0039】
例えば2枚の箱形スペーサ15を使用すれば、所望の強度が確保できる場合、基準サイズよりも大きい大サイズ(例えば図3のA)と、基準サイズ(同B)との2種の箱形スペーサ15を用意する。外箱13は、大サイズが組み入れられる大きさで作られる。
【0040】
そして、先ず、外箱13に大サイズの箱形スペーサ15が、四方の起立板部31を起立させて、組み入れられる。次いで、大サイズの箱形スペーサ15の内側に、基準サイズの箱形スペーサ15を入れ子式に組み入れる。この基準サイズの箱形スペーサ15に、半導体製造部品1を入れた後、上蓋17を大サイズの箱形スペーサ15に載置して蓋をし、外箱13の蓋片27を閉じて梱包を終了する。
【0041】
それより小さい半導体製造部品1を梱包する場合には、例えば図5に示すように、基準サイズ(B)の箱形スペーサ15の内側に、小サイズ(C)の箱形スペーサ15を順次に組み入れることにより、半導体製造部品1との隙間を埋めるようにする。つまり、入れ子式に箱形スペーサ15の種類を増やすことにより、所望サイズの半導体製造部品1の梱包を可能にすることができる。
【0042】
また、この半導体製造部品の梱包構造では、箱形スペーサ15の底板部29または半導体製造部品1の上面の少なくとも一方に、板状パット37が敷かれる。板状パット37は、箱形スペーサ15に半導体製造部品1を収容した際に、半導体製造部品1と上蓋17との間に生じた隙間を、所望の枚数敷くことにより埋めることができる。この場合、板状パット37は、外箱13の下面から半導体製造部品1までの段ボールの層数と、外箱13の上面から半導体製造部品1までの段ボールの層数とがほぼ等しくなるようにして、半導体製造部品1の下側と上側とに割り振って敷くことができる。
【0043】
また、図5に示す半導体製造部品の梱包構造のように、最も内側の箱形スペーサ15の内側に、四つの起立板部31に沿う四角枠状の側面用スペーサ38を入れることができる。箱形スペーサ15の起立板部31に加え、更に内側に側面用スペーサ38が重ねられることにより、側面からの外力をより確実に防ぐことができるようになる。
【0044】
このような梱包構造に用いた梱包部材33は、発泡系の緩衝材を使用するのに比べ廃棄物としての処理が容易で、環境に与える影響も小さい。また、発泡樹脂系に比べ、指定可燃物の指定倍率規制が緩く、数量を多く保管でき、取り扱い・保管が容易となる。
【0045】
また、梱包部材33は、外箱13に、箱形スペーサ15を組み入れ、上蓋17を箱形スペーサ15に載置して、外箱13の蓋片27を折り曲げて封止すれば、梱包が完了する。このため、従来の緩衝部材や、梱包装置及び緩衝材のように、シートを折り曲げて係合片や突起部を、係止部や挿入部に係合させて、隙間を埋めるための筒形状に組み立てる作業を不要にできる。また、箱形スペーサ15は、発泡系の緩衝材のように、隙間が発生しないように、量を調整したり、入れ方に注意したりする必要もなく、外箱13に入れ子式に組み入れればよい。このため、作業効率の低下を抑制することができる。
【0046】
更に、外箱13には、少なくとも一つの箱形スペーサ15が組み入れられる。これにより、外箱13の側板部21に、段ボールのみからなる少なくとも一層の起立板部31を当てて、複数層の板状として補強できる。このため、例えば運搬時にフォークリフトの爪などが突き刺さっても、中空筒形状の緩衝部材を用いた場合に比べ製品を傷つきにくくできる。
【0047】
従って、本開示の半導体製造部品の梱包構造及び梱包部材33によれば、段ボールのみを用い、振動及び衝撃から製品をより確実に保護でき、作業効率を低下させる係合作業も不要にできる。
【符号の説明】
【0048】
1…半導体製造部品(被梱包物)
13…外箱
15…箱形スペーサ
17…上蓋
19…気泡緩衝材
21…側板部
23…角筒部
25…両端開口
27…蓋片
29…底板部
31…起立板部
33…梱包部材
37…板状パット
38…側面用スペーサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6