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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022127324
(43)【公開日】2022-08-31
(54)【発明の名称】モータ制御装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20220824BHJP
   H02K 11/33 20160101ALI20220824BHJP
   H02P 27/06 20060101ALI20220824BHJP
   H02P 25/22 20060101ALI20220824BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
H02K11/33
H02P27/06
H02P25/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021025403
(22)【出願日】2021-02-19
(71)【出願人】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 裕人
(72)【発明者】
【氏名】夏目 悠佑
【テーマコード(参考)】
5H505
5H611
5H770
【Fターム(参考)】
5H505AA16
5H505AA18
5H505BB04
5H505DD03
5H505DD06
5H505HA09
5H505HB01
5H505HB05
5H505JJ03
5H505JJ26
5H505LL41
5H611BB01
5H611BB07
5H611TT01
5H611UA04
5H770AA21
5H770BA02
5H770DA03
5H770DA41
5H770HA07Z
5H770PA22
5H770PA24
5H770QA01
5H770QA02
5H770QA08
5H770QA09
5H770QA12
5H770QA14
5H770QA27
5H770QA31
(57)【要約】
【課題】電源端子接続部からモータ端子接続部までの間における三相各相の電流経路の長さの差をより低減することができるモータ制御装置を提供する。
【解決手段】モータ制御装置は、2系統の巻線群を有するモータの端部に設けられる基板を備えている。基板は、モータの軸方向からみてモータの中心を通る境界線を境として区画される2つの領域を有している。2つの領域にはそれぞれ電源端子接続部、インバータ回路およびモータ端子接続部が設けられている。モータ端子接続部には、モータの端部の周縁に沿って一列に並んで設けられる三相のモータ端子が接続される。モータの軸方向からみて、電源端子接続部、インバータ回路およびモータ端子接続部は、この順で境界線に沿って並んでいる。モータ端子接続部は、その延伸方向でもあるモータ端子の並び方向に直交する直線と境界線とが鋭角をなすように傾斜して設けられている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2系統の巻線群を有するモータの端部に設けられて前記巻線群に対する給電を系統ごとに独立して制御する基板を備えたモータ制御装置であって、
前記基板は、前記モータの軸方向からみて前記モータの中心を通る境界線を境として区画される2つの領域を有し、これら2つの領域にはそれぞれ各系統に対応する構成として、
外部の直流電源から直流電力が供給される電源端子接続部と、
前記電源端子接続部から供給される直流電力を三相の交流電力に変換するインバータ回路と、
前記モータの端部の周縁に沿って一列に並んで設けられる三相のモータ端子が接続される接続部位群であって、三相各相の接続部位が三相各相の前記モータ端子と同位置に配置されて前記インバータ回路から供給される三相の交流電力を対応する系統の前記巻線群に供給するモータ端子接続部と、が設けられていて、
前記モータの軸方向からみて、前記電源端子接続部、前記インバータ回路および前記モータ端子接続部は、この順で前記境界線に沿って並び、
前記モータ端子接続部は、前記モータ端子の並び方向に直交する直線と前記境界線とが鋭角をなすように設けられているモータ制御装置。
【請求項2】
前記2つの領域に設けられた各系統の前記電源端子接続部、前記インバータ回路および前記モータ端子接続部は、前記モータの軸方向からみて、前記境界線を対称軸とする線対称に設けられている請求項1に記載のモータ制御装置。
【請求項3】
前記インバータ回路は、前記モータの軸方向からみて、前記モータ端子接続部を基準として前記モータの中心へ向かう側である前記モータ端子接続部の内側に位置している請求項1または請求項2に記載のモータ制御装置。
【請求項4】
前記インバータ回路は、前記モータの軸方向からみて、前記モータ端子接続部を基準として前記モータの中心から離れる側である前記モータ端子接続部の外側に位置している請求項1または請求項2に記載のモータ制御装置。
【請求項5】
前記インバータ回路は、電源側のスイッチング素子とグランド側のスイッチング素子とが直列に接続された三相各相に対応する3つのレグを有し、これら3つのレグは前記モータ端子接続部の延伸方向に沿って並んでいて、
前記電源端子接続部から前記3つのレグまでの間の電流経路は、前記3つのレグに対する給電分岐点を起点として3つの直線状の電流経路に分岐している請求項1~請求項4のうちいずれか一項に記載のモータ制御装置。
【請求項6】
前記基板として、前記2つの領域のうちいずれか一方の前記電源端子接続部を割愛した構成が採用されていて、
前記2つの領域のうちいずれか他方の前記電源端子接続部は、前記2つの領域のうちいずれか一方の前記インバータ回路の前記3つのレグに対する前記給電分岐点に接続される請求項5に記載のモータ制御装置。
【請求項7】
前記電源端子接続部は、前記モータの軸方向からみて、前記基板の中央に寄せて設けられている請求項1~請求項6のうちいずれか一項に記載のモータ制御装置。
【請求項8】
前記基板において、前記電源端子接続部と前記インバータ回路との間の電流経路には、フィルタが設けられている請求項1~請求項7のうちいずれか一項に記載のモータ制御装置。
【請求項9】
前記基板における前記2つの領域には、それぞれ各系統に対応する構成として、前記インバータ回路の動作を制御する制御回路が設けられている請求項1~請求項8のうちいずれか一項に記載のモータ制御装置。
【請求項10】
前記2つの領域は、モータの軸方向からみて、前記境界線に沿った方向において前記モータに対応する領域であるパワー回路領域と前記モータから外れた領域である制御回路領域とに区画されていて、
前記モータ端子接続部および前記インバータ回路を含む電力系の部品は前記パワー回路領域に設けられている一方、前記制御回路を含む制御系の部品は前記制御回路領域に設けられている請求項9に記載のモータ制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載されるように、2つの給電系統を有するモータが存在する。モータは、三相分を1組とする2組の巻線群を有している。モータの制御装置は、単一の電源端子接続部、単一のグランド端子接続部、2組の駆動回路、2組の電流検出回路、2組のモータ電流遮断回路および2組のモータ端子接続部を有している。電源端子接続部は、外部電源から直流電力が供給される部分である。グランド端子接続部は、グランドに接続される部分である。駆動回路は、電源端子接続部に供給される直流電力を対応する系統の巻線群に供給される交流電力に変換する。モータ電流遮断回路は、対応する系統の巻線群に対する給電を遮断するための回路である。電流検出回路は、対応する系統の駆動回路から対応する系統のモータへ供給される電流を検出する。モータ端子接続部は、対応する系統の駆動回路によって生成される交流電力を対応する系統の巻線群に対して個別に供給する。
【0003】
制御装置は、基板を有している。基板は、第1の領域と第2の領域とに区画されている。第1の領域には、電源端子接続部、第1の駆動回路、第1の電流検出回路、第1のモータ電流遮断回路、および第1のモータ端子接続部が設けられている。これら電源端子接続部、第1の駆動回路、第1の電流検出回路、第1のモータ電流遮断回路および第1のモータ端子接続部は、第1の領域と第2の領域との境界線に沿って配列されている。第2の領域には、グランド端子接続部、第2の駆動回路、第2の電流検出回路、第2のモータ電流遮断回路、および第2のモータ端子接続部が設けられている。これらグランド端子接続部、第2の駆動回路、第2の電流検出回路、第2のモータ電流遮断回路および第2のモータ端子接続部も、第1の領域と第2の領域との境界線に沿って配列されている。各系統の接続部および回路は、境界線を間に挟んで互いに対をなすかたちで設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-068542号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の制御装置によるように、基板に対して各系統の駆動回路、電流検出回路およびモータ電流遮断回路を規則正しく並べて配置することにより、たしかに各系統における駆動回路から各相のモータ端子接続部までの間の電流経路の長さのばらつきを一定程度は低減することができるかもしれない。
【0006】
しかし、特許文献1の制御装置においては、つぎのようなことが懸念される。すなわち、各系統の駆動回路は、3相の各相に対応する3つのレグが並列に接続されてなる。レグは、2つのスイッチング素子が直列に接続されたものである。3つのレグは、第1の領域と第2の領域との境界線に対して直交する方向に沿って並んでいる。これら3つのレグには、電源端子接続部に供給される直流電力が分岐して供給される。このため、駆動回路と電源端子接続部との位置関係によっては、各相のレグに対する給電分岐点を起点として分岐する三相各相の電流経路の長さに差が生じるおそれがある。
【0007】
たとえば、基板の第1の領域に設けられた電源端子接続部と基板の第2の領域に設けられた第2の駆動回路との位置関係をみると、電源端子接続部から各相のレグまでの電流経路は、第1の領域と第2の領域との境界線に直交する方向から境界線に沿った方向へ向けて屈曲することが考えられる。この場合、電源端子接続部から各相のレグまでの電流経路は、第1の領域と第2の領域との境界線に直交する方向において、電源端子接続部に対して最も近い第1の電流経路、電源端子接続部に対して最も遠い第2の電流経路、および電源端子接続部に対して最も近い電流経路と最も遠い電流経路との間に位置する第3の電流経路に分けられる。
【0008】
したがって、第1の領域と第2の領域との境界線に直交する方向において、電源端子接続部に対してより近い側を通る電流経路と、電源端子接続部に対してより遠い側を通る電流経路との間において電流経路の長さに差が生じやすい。これと同様に、電源端子接続部から第1の駆動回路の各相のレグまでの電流経路についても、電源端子接続部に対してより近い側を通る電流経路と、電源端子接続部に対してより遠い側を通る電流経路との間において電流経路の長さに差が生じるおそれがある。このように、引用文献1の制御装置においては、電源端子接続部からモータ端子接続部までの間におけるトータルとしての電流経路の長さの差をより低減する余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決し得るモータ制御装置は、2系統の巻線群を有するモータの端部に設けられて前記巻線群に対する給電を系統ごとに独立して制御する基板を備えたモータ制御装置である。前記基板は、前記モータの軸方向からみて前記モータの中心を通る境界線を境として区画される2つの領域を有している。これら2つの領域にはそれぞれ各系統に対応する構成として、外部の直流電源から直流電力が供給される電源端子接続部と、前記電源端子接続部から供給される直流電力を三相の交流電力に変換するインバータ回路と、前記モータの端部の周縁に沿って一列に並んで設けられる三相のモータ端子が接続される接続部位群であって、三相各相の接続部位が三相各相の前記モータ端子と同位置に配置されて前記インバータ回路から供給される三相の交流電力を対応する系統の前記巻線群に供給するモータ端子接続部と、が設けられている。前記モータの軸方向からみて、前記電源端子接続部、前記インバータ回路および前記モータ端子接続部は、この順で前記境界線に沿って並んでいる。前記モータ端子接続部は、前記モータ端子の並び方向に直交する直線と前記境界線とが鋭角をなすように設けられている。
【0010】
基板のレイアウトとして、つぎのようなレイアウトを採用することが考えられる。たとえば各系統の電源端子接続部およびインバータ回路については上記の構成と同様に2つの領域の境界線に沿って設ける一方、各系統のモータ端子接続部についてはその延伸方向が境界線に対して平行をなすように設ける。この場合、電源端子接続部からインバータ回路を経てモータ端子に至るまでの間における三相各相の電流経路を、その途中で、境界線に沿った方向から境界線に直交する方向へ向けて大きく屈曲させる必要がある。このため、電源端子接続部からモータ端子までの間における三相各相の電流経路の長さに差が生じやすい。
【0011】
この点、上記の構成によれば、各系統の電源端子接続部、インバータ回路およびモータ端子接続部は2つの領域の境界線に沿って並んでいて、各系統のモータ端子接続部はモータ端子の並び方向に直交する直線と境界線とが鋭角をなすように傾斜している。このモータ端子接続部が境界線に対して傾斜する分だけ電源端子接続部からインバータ回路を経てモータ端子に至るまでの間における三相各相の電流経路の屈曲度合いをより緩やかにすることが可能である。すなわち、電源端子接続部とモータ端子接続部との間における三相各相の電流経路をより直線的に設けることが可能となる。したがって、電源端子接続部とモータ端子との間における三相各相の電流経路の長さの差をより小さくすることができる。
【0012】
上記のモータ制御装置において、前記2つの領域に設けられた各系統の前記電源端子接続部、前記インバータ回路および前記モータ端子接続部は、前記モータの軸方向からみて、前記境界線を対称軸とする線対称に設けられていてもよい。
【0013】
この構成によれば、2系統分の電源端子接続部、インバータ回路およびモータ端子接続部を基板に対してより規則的に配置することができる。
上記のモータ制御装置において、前記インバータ回路は、前記モータの軸方向からみて、前記モータ端子接続部を基準として前記モータの中心へ向かう側である前記モータ端子接続部の内側に位置していてもよい。
【0014】
製品仕様などに応じて、基板のレイアウトとして、上記のレイアウトを採用することができる。
上記のモータ制御装置において、前記インバータ回路は、前記モータの軸方向からみて、前記モータ端子接続部を基準として前記モータの中心から離れる側である前記モータ端子接続部の外側に位置していてもよい。
【0015】
製品仕様などに応じて、基板のレイアウトとして、上記のレイアウトを採用することができる。
上記のモータ制御装置において、前記インバータ回路は、電源側のスイッチング素子とグランド側のスイッチング素子とが直列に接続された三相各相に対応する3つのレグを有し、これら3つのレグは前記モータ端子接続部の延伸方向に沿って並んでいてもよい。この場合、前記電源端子接続部から前記3つのレグまでの間の電流経路は、前記3つのレグに対する給電分岐点を起点として3つの直線状の電流経路に分岐していてもよい。
【0016】
この構成によれば、給電分岐点と3つのレグとの間の電流経路が直線状に設けられることにより、給電分岐点から3つのレグまでの電流経路の長さの差をより小さくすることができる。ひいては、電源端子接続部からモータ端子接続部までの間における三相各相のトータルとしての電流経路の長さの差をより小さくすることができる。
【0017】
上記のモータ制御装置において、前記基板として、前記2つの領域のうちいずれか一方の前記電源端子接続部を割愛した構成が採用されていてもよい。この場合、前記2つの領域のうちいずれか他方の前記電源端子接続部は、前記2つの領域のうちいずれか一方の前記インバータ回路の前記3つのレグに対する前記給電分岐点に接続されていてもよい。
【0018】
製品仕様などに応じて、基板のレイアウトとして、上記のレイアウトを採用することができる。
上記のモータ制御装置において、前記電源端子接続部は、前記モータの軸方向からみて、前記基板の中央に寄せて設けられていてもよい。
【0019】
この構成によれば、たとえば電源端子接続部を基板のインバータ回路を基準とするモータ端子接続部と反対側の端部に寄せて設ける場合に比べて、電源端子接続部が基板の中央に寄った分だけ、電源端子接続部とインバータ回路との間の電気的距離がより短くなる。このため、電源端子接続部とインバータ回路との間の電気抵抗がより小さくなる。
【0020】
上記のモータ制御装置において、前記基板において、前記電源端子接続部と前記インバータ回路との間の電流経路には、フィルタが設けられていてもよい。
この構成によれば、基板に設けられたフィルタによって、電源端子接続部からインバータ回路へ供給される直流電力に重畳するノイズが除去される。また、フィルタを基板の外部に設けることも考えられるところ、この構成を採用する場合に比べて、電源端子接続部からフィルタを経てインバータ回路へ至るまでの電気的距離がより短くなる。このため、電源端子接続部とインバータ回路との間の電気抵抗がより小さくなる。
【0021】
上記のモータ制御装置において、前記基板における前記2つの領域には、それぞれ各系統に対応する構成として、前記インバータ回路の動作を制御する制御回路が設けられていてもよい。
【0022】
この構成によれば、制御装置には単一の基板を設けるだけでよい。たとえばパワー系の部品が設けられるパワー基板、および制御系の部品が設けられる制御基板の2枚の基板を制御装置に設ける必要がない。
【0023】
上記のモータ制御装置において、前記2つの領域は、モータの軸方向からみて、前記境界線に沿った方向において前記モータに対応する領域であるパワー回路領域と前記モータから外れた領域である制御回路領域とに区画されていてもよい。この場合、前記モータ端子接続部および前記インバータ回路を含む電力系の部品は前記パワー回路領域に設けられている一方、前記制御回路を含む制御系の部品は前記制御回路領域に設けられていてもよい。
【0024】
この構成によれば、電力系の構成をモータに対してより近い位置に設けることができる。このため、モータ端子接続部とモータ端子とをより簡単に接続することができる。また、インバータ回路とモータ端子との間の電流経路をより短く、かつ簡素にすることもできる。
【発明の効果】
【0025】
本発明のモータ制御装置によれば、電源端子接続部からモータ端子接続部までの間における三相各相の電流経路の長さの差をより低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】モータ制御装置の第1の実施の形態が搭載されるモータ装置の部分断面図。
図2】第1の実施の形態におけるモータ制御装置の分解斜視図。
図3】第1の実施の形態におけるモータ制御装置の回路図。
図4】第1の実施の形態におけるパワー基板の平面図。
図5】比較例における電源端子接続部からモータ端子接続部までの3相各相の電流経路を示す模式図。
図6】第1の実施の形態における電源端子接続部からモータ端子接続部までの3相各相の電流経路を示す模式図。
図7】第2の実施の形態におけるバスバーモジュールの平面図。
図8】第2の実施の形態におけるモータのコイルの結線図。
図9】比較例のバスバーモジュールの平面図。
図10】第3の実施の形態におけるパワー基板の平面図。
図11】第3の実施の形態における電源端子接続部からモータ端子接続部までの3相各相の電流経路を示す模式図。
図12】モータ制御装置の第4の実施の形態の分解斜視図。
図13】第4の実施の形態における基板の平面図。
図14】第4の実施の形態における電源端子接続部からモータ端子接続部までの3相各相の電流経路を示す模式図。
図15】比較例における基板の4つの領域の配置を示す平面図。
図16】第5の実施の形態における基板の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
<第1の実施の形態>
以下、モータ制御装置をモータ装置に具体化した第1の実施の形態を説明する。
図1に示すように、モータ装置11は、モータ12および制御装置13を有している。モータ12としては、たとえば三相のブラシレスモータが採用される。モータ12は、2系統の巻線群を有している。制御装置13は、モータ12の端部に設けられている。制御装置13は、モータ12における2系統の巻線群に対する給電を系統ごとに独立して制御する。制御装置13はモータ制御装置に相当する。
【0028】
モータ12は、有底円筒状のケース21、およびケース21の開口を塞ぐ蓋22を有している。ケース21の内部には、ステータ23、バスバーモジュール24、およびロータ25が設けられている。
【0029】
ステータ23は、ケース21の内周面に嵌った状態で固定されている。ステータ23は、円筒状のコア31、2つのインシュレータ32,33、および複数の巻線34を有している。インシュレータ32はコア31の第1の端部に、インシュレータ33はコア31の第2の端部に設けられている。複数の巻線34は、インシュレータ32,33を介してコア31に巻回されている。
【0030】
バスバーモジュール24は、ステータ23の蓋22側の端部に設けられている。バスバーモジュール24は、円筒状のホルダ35および複数のバスバー36を有している。ホルダ35は、合成樹脂材料により円筒状に設けられている。各バスバー36は、ホルダ35に保持されている。各バスバー36には、各巻線34の両端が適宜接続される。各巻線34には、各バスバー36を介して三相交流電力が供給される。
【0031】
ロータ25は、ステータ23およびバスバーモジュール24に挿通されている。ロータ25は、段付き円柱状の回転軸37、および回転軸37の外周面に固定された円筒状のロータマグネット38を有している。回転軸37は、ケース21の内底部および蓋22にそれぞれ設けられた2つの軸受39A,39Bを介して回転可能に支持されている。回転軸37の第1の端部は、ケース21の底壁を貫通して外部に突出している。回転軸37の第2の端部は、制御装置13に向かって延びている。
【0032】
つぎに、制御装置13について説明する。
図2に示すように、制御装置13は、ヒートシンク41、2つの基板42,43、およびカバー44を有している。これらヒートシンク41、基板42,43およびカバー44は、部分組立体として組み立てられる。この部分組立体としての制御装置13がモータ12の端部に取り付けられる。
【0033】
ヒートシンク41は、モータ12の端部に固定される。ヒートシンク41は、アルミニウムなどの熱伝導性に優れる金属材料によって設けられる。ヒートシンク41には、第1の基板収容部41Aおよび第2の基板収容部41Bが設けられている。第1の基板収容部41Aは、モータ12と反対側(図2中の上側)へ向けて開口している。第2の基板収容部41Bは、モータ12側(図2中の下側)へ向けて開口している。
【0034】
基板42は、ヒートシンク41の第1の基板収容部41Aに収容される。基板42には、モータ12に対する給電を制御するための電子部品が設けられている。この電子部品には、2系統の巻線群に対応する2つのマイクロコンピュータ51,61およびIC(集積回路)群が含まれる。2つのマイクロコンピュータ51,61は、チップ型の集積回路である。IC群は、モータ12の給電制御に必要とされる電気信号のマイクロコンピュータ51,61に対する入力と出力とを担う。電気信号には、たとえば後述する回転角センサにより生成される電気信号などが含まれる。基板42は、いわゆる制御基板である。
【0035】
基板43は、ヒートシンク41の第2の基板収容部41Bに収容される。基板43は、第2の基板収容部41Bの内底部に固定される。基板43には、基板42による制御を通じてモータ12に電力を供給するための電子部品が設けられている。この電子部品には、2系統の巻線群に対応する2つのインバータ回路52,62が含まれる。インバータ回路52は複数のFET(Field Effect Transistor)53を、インバータ回路62は複数のFET63を有している。これらFET53,63は、スイッチング素子であって、基板43のモータ12と反対側の面に設けられている。また、基板43には、2系統の巻線群に対応する2つのモータ端子接続部54,64、2つの電源端子接続部55,65、および2つのグランド端子接続部56,66が設けられている。基板43のモータ12側の面には、モータ12の回転を検出するための図示しない回転角センサが設けられる。基板43は、いわゆるパワー基板である。
【0036】
カバー44は、ヒートシンク41におけるモータ12と反対側の面に取り付けられる。カバー44は、合成樹脂材料により一体的に設けられている。カバー44は、ヒートシンク41の第1の基板収容部41Aを覆うかたちで塞ぐ。カバー44の内底部には、基板42が固定される。
【0037】
カバー44のヒートシンク41と反対側の側面には、2系統の巻線群に対応する2つのコネクタ嵌合部57,67が設けられている。これらコネクタ嵌合部57,67は、それぞれ四角筒状をなすとともにヒートシンク41と反対側に開口している。2つのコネクタ嵌合部57,67には、それぞれ第1の端部がバッテリなどの直流電源に接続される配線の第2の端部に設けられるプラグコネクタが嵌合される。
【0038】
2つのコネクタ嵌合部57,67の内部には、それぞれ図示しない電源端子およびグランド端子が設けられている。コネクタ嵌合部57の電源端子は、基板42およびヒートシンク41を非接触状態で貫通して基板43の電源端子接続部55に接続される。コネクタ嵌合部57のグランド端子は、基板42およびヒートシンク41を非接触状態で貫通して基板43のグランド端子接続部56に接続される。これと同様にして、コネクタ嵌合部67の電源端子は電源端子接続部65に接続される。また、コネクタ嵌合部67のグランド端子はグランド端子接続部66に接続される。
【0039】
基板43には、2つのコネクタ嵌合部57,67の電源端子を介して直流電源からの直流電力が供給される。基板42には、たとえば基板43に供給される直流電力が基板間コネクタを介して供給される。
【0040】
モータ12における制御装置13が取り付けられる側の端面12aには、モータ12の第1の巻線群に対応する三相各相のモータ端子36A、およびモータ12の第2の巻線群に対応する三相各相のモータ端子36Bが突出して設けられている。これらモータ端子36A,36Bは、三相各相のバスバー36の一部分であって、バスバー36の端部がモータ12の外部に導出されることにより設けられる。
【0041】
3つのモータ端子36Aは、ケース21の円筒部分の周縁、詳しくは円筒部分の内周面に沿って一列に立ち並んでいて、基板43のモータ端子接続部54に接続される。モータ端子接続部54は、三相各相に対応する3つのモータ端子36Aが接続される接続部位群である。この接続部位群を構成する三相各相の接続部位は、3つのモータ端子36Aと同位置に配置される。
【0042】
3つのモータ端子36Bも、ケース21の円筒部分の周縁、詳しくは円筒部分の内周面に沿って一列に立ち並んでいて、基板43のモータ端子接続部64に接続される。モータ端子接続部64は、三相各相に対応する3つのモータ端子36Bが接続される接続部位群である。この接続部位群を構成する三相各相の接続部位は、3つのモータ端子36Bと同位置に配置される。
【0043】
ちなみに、これらモータ端子接続部54,64は、たとえば直方体状の端子台であってもよい。また、3つのモータ端子36Aおよび3つのモータ端子36Bは、ケース21の円筒部分の内周面に沿って円弧状に立ち並んでいてもよい。
【0044】
つぎに、モータ装置11の電気的な構成について説明する。
図3に示すように、モータ装置11は、第1の系統の構成要素として、モータ12の第1の巻線群34A、インバータ回路52およびマイクロコンピュータ51を有している。
【0045】
インバータ回路52は、直列に接続された2つのFET53,53を1組とする3組のレグが電源端子接続部55とグランド端子接続部56との間に並列に接続されてなる。詳述すると、インバータ回路52の3組のレグは、フィルタ58を介して電源端子接続部55とグランド端子接続部56との間に接続されている。フィルタ58は、電源ラインに対して直列に設けられたコイルと、電源ラインとグランドラインとの間に接続されたコンデンサとを含む。フィルタ58とインバータ回路52との間の接続経路は、電源側とグランド側とでそれぞれ途中の給電分岐点で3本の経路に分岐し、これら分岐した経路が3組のレグの電源側の端部とグランド側の端部とに接続されている。フィルタ58自体の構成およびインバータ回路52に対するフィルタ58の接続方法は公知の技術であるため、その詳細な説明を割愛する。電源端子接続部55は直流電源の+端子に、グランド端子接続部56は直流電源の-端子に接続される。フィルタ58は、電源端子接続部55から供給される直流電力に対してフィルタ処理を施すことにより、その直流電力に重畳するノイズを除去する。
【0046】
第1の巻線群34Aは、U相巻線、V相巻線およびW相巻線がたとえばスター結線されてなる。各相の巻線の中性点と反対側の端部は、モータ端子36Aを介してインバータ回路52における各相のレグの中点に接続されている。
【0047】
マイクロコンピュータ51は、インバータ回路52の動作を制御する制御回路として機能する。マイクロコンピュータ51は、回転角センサを通じて検出されるモータ12の回転角に基づきインバータ回路52の各FET53に対するスイッチング指令を生成する。インバータ回路52の各FET53がマイクロコンピュータ51により生成されるスイッチング指令に基づきスイッチングすることによって直流電源から供給される直流電力が三相の交流電力へ変換される。インバータ回路52により生成される交流電力は、モータ端子36Aを介してモータ12の第1の巻線群34Aへ供給される。
【0048】
モータ装置11は、第2の系統の構成要素として、モータ12の第2の巻線群34B、インバータ回路62およびマイクロコンピュータ61を有している。
インバータ回路62は、直列に接続された2つのFET63,63を1組とする3組のレグが電源端子接続部65とグランド端子接続部66との間に並列に接続されてなる。詳述すると、インバータ回路62の3組のレグは、フィルタ68を介して電源端子接続部65とグランド端子接続部66との間に接続されている。フィルタ68とインバータ回路62との間の接続経路は、電源側とグランド側とでそれぞれ途中の給電分岐点で3本の経路に分岐し、これら分岐した経路が3組のレグの電源側の端部とグランド側の端部とに接続されている。電源端子接続部65は直流電源の+端子に、グランド端子接続部66は直流電源の-端子に接続される。フィルタ68は、電源端子接続部65から供給される直流電力に対してフィルタ処理を施すことにより、その直流電力に重畳するノイズを除去する。
【0049】
第2の巻線群34Bは、U相巻線、V相巻線およびW相巻線がたとえばスター結線されてなる。各相の巻線の中性点と反対側の端部は、モータ端子36Bを介してインバータ回路62における各相のレグの中点に接続されている。
【0050】
マイクロコンピュータ61は、インバータ回路62の動作を制御する制御回路として機能する。マイクロコンピュータ61は、回転角センサを通じて検出されるモータ12の回転角に基づきインバータ回路62の各FET63に対するスイッチング指令を生成する。インバータ回路62の各FET63がマイクロコンピュータ61により生成されるスイッチング指令に基づきスイッチングすることによって直流電源から供給される直流電力が三相の交流電力へ変換される。インバータ回路62により生成される交流電力は、モータ端子36Bを介してモータ12の第2の巻線群へ供給される。
【0051】
つぎに、基板43に設けられる構成要素のレイアウトについて説明する。
図4に示すように、基板43は、モータ12の軸Oに沿った方向からみて、六角板状をなしている。基板43は、モータ12の軸Oに沿った方向からみて、矩形の短辺方向において隣り合う2つの角部にそれぞれ斜辺43A,43Bが設けられてなる。基板43は、境界線BLを境として第1の領域A1と第2の領域A2とに区画されている。境界線BLは、基板43の長辺に沿って延びている。また、境界線BLは、モータ12の軸Oに沿った方向からみて、モータ12の中心である軸Oを通る。
【0052】
基板43の第1の領域A1には、モータ端子接続部54、インバータ回路52、フィルタ58、電源端子接続部55およびグランド端子接続部56が設けられている。これらの構成要素は、基板43の第1の端部から第2の端部へ向けて、モータ端子接続部54、インバータ回路52、フィルタ58、電源端子接続部55およびグランド端子接続部56の順に配置されている。ちなみに、第1の端部は、基板43の斜辺43Aが設けられている側の端部である。第2の端部は、基板43の境界線BL沿った方向における第1の端部と反対側の端部である。
【0053】
モータ端子接続部54およびインバータ回路52は、モータ12の軸Oに沿った方向からみて、基板43における第1の端部側に寄っている。また、基板43において、モータ端子接続部54およびインバータ回路52は、境界線BLに直交しかつモータ12の軸Oを通る直線NLを基準とする第1の端部側の領域におおよそ収まっている。電源端子接続部55およびグランド端子接続部56、およびフィルタ58は、直線NLを基準とする第2の端部側の領域に収まっている。
【0054】
モータ端子接続部54は、基板43の斜辺43Aに沿って傾斜している。また、モータ端子接続部54は境界線BLに対しても傾斜している。モータ端子接続部54に接続される第1の系統の3つのモータ端子36Aは、モータ端子接続部54に沿って傾斜して並んでいる。3つのモータ端子36Aの並び方向に直交しかつモータ12の軸Oを通る直線NL1と境界線BLとのなす角度θ1は、90°未満の角度である鋭角に設定されている。望ましくは、直線NL1が3つのモータ端子36Aのうち中央に位置する端子の中心を通るように3つのモータ端子36Aを配置する。3つのモータ端子36Aがケース21の円筒部分の内周面に沿って円弧状に立ち並ぶ配置とした場合は、3つのモータ端子36Aの並び方向は両端の端子を結ぶ方向をモータ端子36Aの並び方向とする。
【0055】
インバータ回路52は、モータ12の軸Oに沿った方向からみて、モータ端子接続部54の内側に位置している。モータ端子接続部54の内側とは、モータ12の軸Oに沿った方向からみて、モータ端子接続部54を基準としてモータ12の中心である軸Oへ向かう側をいう。インバータ回路52における電源側の3つのFET53およびグランド側の3つのFET53(三相各相のレグ)は、モータ端子接続部54の延伸方向、すなわち3つのモータ端子36Aの並び方向に沿って並んでいる。インバータ回路52において、グランド側のFET53はモータ端子接続部54側に、電源側のFET53はグランド側のFET53を基準としてモータ端子接続部54と反対側に位置している。
【0056】
また、基板43において、電源端子接続部55およびグランド端子接続部56は、境界線BLに直交しかつモータ12の軸Oを通る直線NLを基準とする第2の端部側の領域に設けられている。電源端子接続部55およびグランド端子接続部56は、境界線BLに沿って並んでいる。電源端子接続部55は基板43の第1の端部側(図4中の左側)に、グランド端子接続部56は基板43の第2の端部側(図4中の右側)に位置している。
【0057】
電源端子接続部55と各モータ端子36Aとの間の電流経路は、電源端子接続部55と各モータ端子36Aとを基板43の構成レイアウトの観点から許容される範囲内で可能な限り直線または直線に近い経路で結ぶという観点に基づき設定される。また、グランド端子接続部56とインバータ回路52のグランド側の各FET53との間の電流経路も、グランド端子接続部56とグランド側の各FET53とを基板43の構成レイアウトの観点から許容される範囲内で可能な限り直線または直線に近い経路で結ぶという観点に基づき設定される。
【0058】
基板43の第2の領域A2には、モータ端子接続部64、インバータ回路62、フィルタ68、電源端子接続部65およびグランド端子接続部66が設けられている。これらモータ端子接続部64、インバータ回路62、フィルタ68、電源端子接続部65およびグランド端子接続部66は、第1の領域A1のモータ端子接続部54、インバータ回路52、フィルタ58、電源端子接続部55およびグランド端子接続部56に対して境界線BLを対称軸とする線対称の位置に設けられている。
【0059】
モータ端子接続部64は、基板43の斜辺43Bに沿って傾斜している。また、モータ端子接続部64は境界線BLに対しても傾斜している。モータ端子接続部64に接続される第2の系統の3つのモータ端子36Bは、モータ端子接続部64に沿って傾斜して並んでいる。3つのモータ端子36Bの並び方向に直交しかつモータ12の軸Oを通る直線NL2と境界線BLとのなす角度θ2は、90°未満の角度である鋭角に設定されている。角度θ2は、先の角度θ1と同じ角度に設定されている。ただし、角度θ2は角度θ1と異なる角度に設定してもよい。2つの直線NL1,NL2のなす角度は、180°未満の角度に設定されている。望ましくは、直線NL2が3つのモータ端子36Bのうち中央に位置する端子の中心を通るように3つのモータ端子36Bを配置する。3つのモータ端子36Bがケース21の円筒部分の内周面に沿って円弧状に立ち並ぶ配置とした場合は、3つのモータ端子36Bの並び方向は両端の端子を結ぶ方向をモータ端子36Bの並び方向とする。
【0060】
インバータ回路62は、モータ12の軸Oに沿った方向からみて、モータ端子接続部64の内側に位置している。モータ端子接続部64の内側とは、モータ12の軸Oに沿った方向からみて、モータ端子接続部64を基準としてモータ12の中心である軸Oへ向かう側をいう。インバータ回路62における三相各相のレグ、より具体的には電源側の3つのFET63、およびグランド側の3つのFET63は、モータ端子接続部64の延伸方向、すなわち3つのモータ端子36Bの並び方向に沿って並んでいる。インバータ回路62において、グランド側のFET63はモータ端子接続部64側に、電源側のFET63はグランド側のFET63を基準としてモータ端子接続部64と反対側に位置している。
【0061】
電源端子接続部65と各モータ端子36Bとの間の電流経路は、電源端子接続部65と各モータ端子36Bとを基板43の構成レイアウトの観点から許容される範囲内で可能な限り直線または直線に近い経路で結ぶという観点に基づき設定される。また、グランド端子接続部66とインバータ回路62のグランド側の各FET63との間の電流経路も、グランド端子接続部66とグランド側の各FET63とを基板43の構成レイアウトの観点から許容される範囲内で可能な限り直線または直線に近い経路で結ぶという観点に基づき設定される。
【0062】
つぎに、基板43のレイアウトに関して、本実施の形態との比較例を説明する。
比較例において、2系統のモータ端子接続部54,64は、境界線BLを対称軸とする線対称の位置に設けられている。ただし、2系統のモータ端子接続部54,64は、直線NLに沿った方向において、モータ12の軸Oを間に挟んで互いに反対側に位置している。
【0063】
図5に示すように、第1の系統における電源端子接続部55からモータ端子接続部54までの電流経路は、L字形に屈曲している。インバータ回路52およびモータ端子接続部54は境界線BLに直交する方向に並んでいる。インバータ回路52は、境界線BLに直交する方向において、モータ端子接続部54よりも境界線BLに近い位置に設けられている。電源端子接続部55は、境界線BLに直交する方向においてインバータ回路52よりも境界線BLに近い位置に設けられている。また、電源端子接続部55は、境界線BLに沿った方向において、インバータ回路52の側方(図5中の右方)に設けられている。
【0064】
このレイアウトを採用する場合、電源端子接続部55からインバータ回路52の各相のレグまでの電流経路は、たとえば境界線BLに沿った方向から境界線BLに直交する方向へ向けて屈曲して設けられる。この場合、電源端子接続部55からインバータ回路52の各相のレグ(電源側のFET53)までの電流経路CPは、途中で3つの電流経路CP1,CP2,CP3に分岐する。電流経路CP1は、境界線BLに沿った方向において、電源端子接続部55に対して最も近い電流経路である。電流経路CP2は、境界線BLに沿った方向において、電源端子接続部55に対して最も遠い電流経路である。電流経路CP3は、境界線BLに沿った方向において、電流経路CP1と電流経路CP2との間に位置する電流経路である。
【0065】
したがって、境界線BLに沿った方向において、電源端子接続部55に対してより近い側を通る電流経路CP1と、電源端子接続部55に対してより遠い側を通る電流経路CP2あるいは電流経路CP3との間において電流経路の長さに差が生じる。また、電源端子接続部55に対してより近い側を通る電流経路CP2と、電源端子接続部55に対してより遠い側を通る電流経路CP3との間においても、電流経路の長さに差が生じる。
【0066】
ちなみに、第2の系統における電源端子接続部65からインバータ回路62の各相のレグ(電源側のFET63)までの電流経路についても、第1の系統と同様に、電源端子接続部65に対してより近い側を通る電流経路と、電源端子接続部に対してより遠い側を通る電流経路との間において電流経路の長さに差が生じる。また、第1の系統におけるグランド側の各FET53とグランド端子接続部56との間の電流経路の長さ、ならびに第2の系統におけるグランド側の各FET63とグランド端子接続部66との間の電流経路の長さにも差が生じる。
【0067】
これら三相の電流経路の長さの差に応じて三相の電流経路の電気抵抗にも差が生じる。この三相の電流経路における電気抵抗の差は、モータ12にトルクリップルを発生させる一因にもなる。
【0068】
そこで、本実施の形態では、基板43のレイアウトとして、つぎのレイアウトが採用されている。
図6に示すように、基板43の第1の領域A1において、モータ端子接続部54、インバータ回路52、フィルタ58および電源端子接続部55は、この順に境界線BLに沿って配置されている。また、モータ端子接続部54およびインバータ回路52が並んで配置される方向は、境界線BLに対して傾斜している。インバータ回路52は、境界線BLに直交する方向において、モータ端子接続部54よりも境界線BLに近い位置に設けられている。フィルタ58および電源端子接続部55は、境界線BLに沿った方向において、インバータ回路52の側方に設けられている。モータ端子接続部54およびインバータ回路52の並ぶ方向が境界線BLに対して傾斜するよう配置されることにより、モータ端子接続部54、インバータ回路52、フィルタ58および電源端子接続部55を、境界線BLに沿って一列に並んだ状態に近づけることが可能となる。
【0069】
電源端子接続部55と各モータ端子36Aとの間の電流経路は、電源端子接続部55と各モータ端子36Aとを基板43の構成レイアウトの観点から許容される範囲内で可能な限り直線または直線に近い経路で結ぶという観点に基づき設定される。電源端子接続部55からインバータ回路52の各相のレグ(電源側のFET53)までの電流経路CPは、境界線BLに沿った方向から境界線BLに交わる方向へ向けて、インバータ回路52の傾斜の度合いに応じて屈曲して設けられる。
【0070】
電源端子接続部55からインバータ回路52の各相のレグまでの電流経路CPは、各相のレグに対する給電分岐点BPを起点として3つの電流経路CP11,CP12,CP13に分岐している。電流経路CP11は、境界線BLに対して最も遠い電流経路である。電流経路CP12は、境界線BLに対して最も近い電流経路である。電流経路CP13は、電流経路CP11と電流経路CP12との間に位置する電流経路である。これら3つの電流経路CP11,CP12,CP13は、それぞれ単一の経路であり、極力直線経路であることが望ましい。電流経路CPにおける電源端子接続部55と給電分岐点BPとの間にはフィルタ58が配置されている。
【0071】
なお、図6に示す例では、説明の便宜上、モータ端子接続部54に接続される各相のモータ端子36Aとインバータ回路52の各相レグとは各相のモータ端子36Aの並び方向において互いに対応している。各相のレグから各相のモータ端子36Aまでの3つの電流経路は直線状に設けられている。また、インバータ回路52からモータ端子接続部54における各相のモータ端子36Aまでの間の3つの電流経路の長さはほぼ同じ長さに設定されている。
【0072】
したがって、モータ端子接続部54およびインバータ回路52を境界線BLに対して傾斜して設けることによって、モータ端子接続部54、インバータ回路52、フィルタ58および電源端子接続部55は、境界線BLに沿って一列に並んだ状態に近づく。このため、先の図5に示される比較例のL字形の電流経路と比べて、モータ端子接続部54およびインバータ回路52が鋭角で傾斜する分だけ電源端子接続部55からインバータ回路52の各相のレグまでの電流経路の屈曲度合いがより緩やかになる。そのうえで、各モータ端子36Aと給電分岐点BPとの間の電流経路をより直線に近づける観点で設けることにより、各モータ端子36Aと各相のレグに対する給電分岐点BPとの間の電流経路の長さの差がより小さくなる。ひいては、電源端子接続部55から各相のモータ端子36Aまでの間のトータルとしての電流経路の長さの差がより小さくなる。
【0073】
ちなみに、各相のモータ端子36Aとインバータ回路52の各相レグとを各相のモータ端子36Aの並び方向において互いにずらして設ける場合、各相のモータ端子36Aと給電分岐点BPとの間の電流経路は、つぎのように設けられる。すなわち、各相のモータ端子36Aと給電分岐点BPとの間を基板43の構成レイアウトの観点から許容される範囲内で可能な限り直線または直線に近い経路で結ぶという観点に基づき、各相のモータ端子36Aと給電分岐点BPとの間の電流経路が設けられる。このようにすれば、各モータ端子36Aとインバータ回路52の各相のレグに対する給電分岐点BPとの間の電流経路の長さの差をより小さくすることができる。
【0074】
また、図示は割愛するものの、グランド端子接続部56とインバータ回路52のグランド側の各FET53との間の電流経路は、グランド端子接続部56とグランド側の各FET53とを基板43の構成レイアウトの観点から許容される範囲内で可能な限り直線または直線に近い経路で結ぶという観点に基づき設定される。これにより、グランド端子接続部56とインバータ回路52のグランド側の各FET53との間の電流経路長さの差をより小さくすることができる。
【0075】
第2の系統における電源端子接続部65からインバータ回路62の各相のレグまでの間の電流経路についても、第1の系統と同様である。すなわち、各モータ端子36Bと給電分岐点BPとの間の電流経路をより直線に近づける観点で設けることにより、各モータ端子36Bとインバータ回路62の各相のレグに対する給電分岐点BPとの間の電流経路の長さの差がより小さくなる。ひいては、電源端子接続部65から各相のモータ端子36Bまでの間のトータルとしての電流経路の長さの差がより小さくなる。
【0076】
また、グランド端子接続部66とインバータ回路62のグランド側の各FET63との間の電流経路は、グランド端子接続部66とグランド側の各FET63とを基板43の構成レイアウトの観点から許容される範囲内で可能な限り直線または直線に近い経路で結ぶという観点に基づき設定される。これにより、グランド端子接続部66とインバータ回路62のグランド側の各FET63との間の電流経路長さの差をより小さくすることができる。
【0077】
したがって、第1の実施の形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)第1の系統における各相のモータ端子36Aとインバータ回路52の各相のレグに対する給電分岐点BPとの間の電流経路の長さの差、ひいては電源端子接続部55から各相のモータ端子36Aまでの間のトータルとしての電流経路の長さの差がより小さくなる。このため、電源端子接続部55から各相のモータ端子36Aまでの間の電気抵抗の差もより小さくなる。すなわち、電源端子接続部55から各相のモータ端子36Aまでの間の電気抵抗がより均一化される。第2の系統についても第1の系統と同様である。したがって、モータ12が発生するトルクの変動量であるトルクリップルがより低減される。
【0078】
(2)第1の系統のモータ端子接続部54は基板43の斜辺43Aに沿うかたちで設けられている。このため、モータ端子接続部54を基板43の斜辺43Aに対してより近接して設けることにより、基板43におけるデッドスペースを低減することが可能である。また、基板43の長辺に沿って延びる境界線BLに沿った方向の長さをより短縮することも可能である。
【0079】
<第2の実施の形態>
つぎに、モータ制御装置の第2の実施の形態を説明する。本実施の形態は、基本的には先の図1図4に示される第1の実施の形態と同様の構成を有している。
【0080】
図8に示すように、モータ12は、1番~12番の巻線34を有している。1番,2番,5番,6番,9番,10番の巻線34は、第1の巻線群34Aを構成する。3番,4番,7番,8番,11番,12番の巻線34は、第2の巻線群34Bを構成する。各巻線34は、バスバーモジュール24における各相のバスバー36を介して各相のモータ端子36A,36Bに接続される。
【0081】
なお、モータ12では、巻線34として、いわゆる二連巻線が使用されている。二連巻線とは、モータ12におけるコア31の円周方向において互いに隣り合う2つの巻線34,34が直列に接続された巻線をいう。図8において、「×」は各巻線34の端部を、「黒丸」は各巻線34と各相のバスバー36との接続点を示す。
【0082】
つぎに、第1の巻線群34Aの結線方法を説明する。
1番巻線34の第1の端部は、バスバー36を介して第1の系統におけるU相(U1)のモータ端子36Aに接続される。1番巻線34の第2の端部は、2番巻線34の第1の端部に接続される。2番巻線34の第2の端部は、バスバー36を介して第1の系統におけるW相(W1)のモータ端子36Aに接続される。
【0083】
5番巻線34の第1の端部は、バスバー36を介して第1の系統におけるV相(V1)のモータ端子36Aに接続される。5番巻線34の第2の端部は、6番巻線34の第1の端部に接続される。6番巻線34の第2の端部は、バスバー36を介して第1の系統におけるU相(U1)のモータ端子36Aに接続される。
【0084】
9番巻線34の第1の端部は、バスバー36を介して第1の系統におけるW相(W1)のモータ端子36Aに接続される。9番巻線34の第2の端部は、10番巻線34の第1の端部に接続される。10番巻線34の第2の端部は、バスバー36を介して第1の系統におけるV相(V1)のモータ端子36Aに接続される。
【0085】
つぎに、第2の巻線群34Bの結線方法を説明する。
3番巻線34の第1の端部は、バスバー36を介して第2の系統におけるV相(V2)のモータ端子36Bに接続される。3番巻線34の第2の端部は、4番巻線34の第1の端部に接続される。4番巻線34の第2の端部は、バスバー36を介して第2の系統におけるW相(W2)のモータ端子36Bに接続される。
【0086】
7番巻線34の第1の端部は、バスバー36を介して第2の系統におけるW相(W2)のモータ端子36Bに接続される。7番巻線34の第2の端部は、8番巻線34の第1の端部に接続される。8番巻線34の第2の端部は、バスバー36を介して第2の系統におけるU相(U2)のモータ端子36Bに接続される。
【0087】
11番巻線34の第1の端部は、バスバー36を介して第2の系統におけるU相(U2)のモータ端子36Bに接続される。11番巻線34の第2の端部は、12番巻線34の第1の端部に接続される。12番巻線34の第2の端部は、バスバー36を介して第2の系統におけるV相(V2)のモータ端子36Bに接続される。
【0088】
このように、モータ12の巻線34として、コア31の円周方向において互いに隣り合う2つの巻線34,34が直列に接続された、いわゆる二連巻線が使用される。これにより、モータ12の各巻線34と各相のバスバー36との接続箇所の数を減らすことが可能となる。
【0089】
たとえばモータ12の巻線34として一連コイルが採用される場合、図9に黒丸で示されるように各巻線34と各バスバー36との接続箇所は全部で24箇所となる。各一連コイルの2つの端部を各々バスバー36に接続する必要があるからである。これに対し、モータ12の巻線34として二連コイルが採用される場合、図7に黒丸で示されるように各巻線34と各バスバー36との接続箇所は全部で12箇所となる。すなわち、二連コイルを使用する場合、各巻線34と各バスバー36との接続箇所の数は、一連コイルを使用する場合の半分となる。
【0090】
したがって、第2の実施の形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(3)モータ12の巻線34として二連巻線が使用される。このため、モータ12の巻線34として一連巻線を採用する場合に比べて、モータ12の各巻線34と各バスバー36との接続箇所の数を減らすことができる。このため、モータ端子36A,36Bの設置自由度が向上する。また、モータ端子接続部54,64の配置の自由度も向上する。このため、モータ端子接続部54,64を境界線BLに対して傾斜して設けやすくなる。
【0091】
(4)また、図9に破線で示されるように、モータ12の巻線34として一連巻線を採用する場合、巻線34の端部を取り回す距離がより長くなって巻線34の端部が交差するおそれがある。この点、モータ12の巻線34として二連巻線を採用する場合、モータ12の各巻線34と各バスバー36との接続箇所の数がより少なくなることによって、モータ端子接続部54,64の配置の自由度が向上する。このため、図7に示されるように巻線34の端部が交差することが抑えられる。したがって、モータ12の絶縁性能を確保することができる。
【0092】
<第3の実施の形態>
つぎに、モータ制御装置の第3の実施の形態を説明する。本実施の形態は、基板43に設けられる構成要素のレイアウトの点で先の第1の実施の形態と異なる。
【0093】
図10に示すように、基板43は、第1の実施の形態と同様に、モータ12の軸Oに沿った方向からみて、矩形の2つの角にそれぞれ斜辺43A,43Bが設けられた六角板状をなしている。基板43は、境界線BLを境として第1の領域A1と第2の領域A2とに区画されている。境界線BLは、基板43の長辺に沿って延びている。また、モータ12の軸Oに沿った方向からみて、境界線BLはモータ12の中心である軸Oを通る。
【0094】
基板43の第1の領域A1には、モータ端子接続部54、インバータ回路52、フィルタ58、電源端子接続部55およびグランド端子接続部56が設けられている。これらモータ端子接続部54、インバータ回路52、フィルタ58、電源端子接続部55およびグランド端子接続部56は、境界線BLに直交しかつモータ12の軸Oを通る直線NLを基準とする第2の端部側(図10中の右側)の領域に収まっている。モータ端子接続部54、インバータ回路52、フィルタ58、電源端子接続部55およびグランド端子接続部56は、第1の端部から第2の端部へ向けて、この順に配置されている。ちなみに、第1の端部は、基板43の斜辺43Aが設けられている側の端部である。第2の端部は、基板43の境界線BL沿った方向における第1の端部と反対側の端部である。
【0095】
インバータ回路52は、モータ12の軸Oに沿った方向からみて、モータ端子接続部54の外側に位置している。モータ端子接続部54の外側とは、モータ12の軸Oに沿った方向からみて、モータ端子接続部54を基準としてモータ12の中心である軸Oから離れる側をいう。図示は割愛するが、インバータ回路52において、グランド側のFET53はモータ端子接続部54側に、電源側のFET53はグランド側のFET53を基準としてモータ端子接続部54と反対側に位置している。
【0096】
モータ端子接続部54は、モータ12の軸Oに沿った方向からみて、図10に二点鎖線で示されるモータ12の輪郭に対する接線方向に沿って傾斜している。モータ端子接続部54に接続される第1の系統の3つのモータ端子36Aは、モータ12の輪郭に対する接線方向に沿って傾斜して並んでいる。3つのモータ端子36Aの並び方向に直交しかつモータ12の軸Oを通る直線NL1と境界線BLとのなす角度θ1は、90°未満の角度である鋭角に設定されている。望ましくは、直線NL1が3つのモータ端子36Bのうち中央に位置する端子の中心を通るように3つのモータ端子36Bを配置する。ちなみに、図示は割愛するものの、インバータ回路52における電源側の3つのFET53およびグランド側の3つのFET53(三相各相のレグ)は、モータ端子接続部54の延伸方向、すなわちモータ12の輪郭に対する接線方向に沿って傾斜して並んでいる。
【0097】
電源端子接続部55およびグランド端子接続部56は、基板43の第2の端部の近傍に設けられている。電源端子接続部55およびグランド端子接続部56は、基板43の短辺に沿って並んでいる。グランド端子接続部56は、電源端子接続部55よりも境界線BLに対してより近い位置に設けられている。
【0098】
電源端子接続部55と各モータ端子36Aとの間の電流経路は、電源端子接続部55と各モータ端子36Aとを基板43の構成レイアウトの観点から許容される範囲内で可能な限り直線または直線に近い経路で結ぶという観点に基づき設定される。また、グランド端子接続部56とインバータ回路52のグランド側の各FET53との間の電流経路も、グランド端子接続部56とグランド側の各FET53とを基板43の構成レイアウトの観点から許容される範囲内で可能な限り直線または直線に近い経路で結ぶという観点に基づき設定される。
【0099】
基板43の第2の領域A2には、モータ端子接続部64、インバータ回路62、フィルタ68、電源端子接続部65およびグランド端子接続部66が設けられている。これらモータ端子接続部64、インバータ回路62、フィルタ68、電源端子接続部65およびグランド端子接続部66は、第1の領域A1のモータ端子接続部54、インバータ回路52、電源端子接続部55およびグランド端子接続部56に対して境界線BLを対称軸とする線対称の位置に設けられている。
【0100】
モータ端子接続部64は、モータ12の軸Oに沿った方向からみて、図10に二点鎖線で示されるモータ12の輪郭に対する接線方向に沿って傾斜している。モータ端子接続部64に接続される第2の系統の3つのモータ端子36Bは、モータ12の輪郭に対する接線方向に沿って傾斜して並んでいる。3つのモータ端子36Bの並び方向に直交しかつモータ12の軸Oを通る直線NL2と境界線BLとのなす角度θ2は、90°未満の角度である鋭角に設定されている。角度θ2は、先の角度θ1と同じ角度に設定されている。ただし、角度θ2は角度θ1と異なる角度に設定してもよい。2つの直線NL1,NL2のなす角度は、180°未満の角度に設定されている。望ましくは、直線NL2が3つのモータ端子36Bのうち中央に位置する端子の中心を通るように3つのモータ端子36Bを配置する。ちなみに、図示は割愛するものの、インバータ回路62の電源側の3つのFET63、およびグランド側の3つのFET63(三相各相のレグ)は、モータ端子接続部64の延伸方向、すなわちモータ12の輪郭に対する接線方向に沿って傾斜して並んでいる。
【0101】
電源端子接続部65およびグランド端子接続部66は、基板43の第2の端部の近傍に設けられている。電源端子接続部65およびグランド端子接続部66は、基板43の短辺に沿って並んでいる。グランド端子接続部66は、電源端子接続部65よりも境界線BLに対してより近い位置に設けられている。
【0102】
電源端子接続部65と各モータ端子36Bとの間の電流経路は、電源端子接続部65と各モータ端子36Bとを基板43の構成レイアウトの観点から許容される範囲内で可能な限り直線または直線に近い経路で結ぶという観点に基づき設定される。また、グランド端子接続部66とインバータ回路62のグランド側の各FET63との間の電流経路も、グランド端子接続部66とグランド側の各FET63とを基板43の構成レイアウトの観点から許容される範囲内で可能な限り直線または直線に近い経路で結ぶという観点に基づき設定される。
【0103】
図11に示すように、基板43の第1の領域A1において、モータ端子接続部54、インバータ回路52、フィルタ58および電源端子接続部55は、この順に境界線BLに沿って配置されている。モータ端子接続部54およびインバータ回路52が並んで配置される方向は、境界線BLに対して傾斜して設けられている。このため、モータ端子接続部54、インバータ回路52、フィルタ58および電源端子接続部55を、境界線BLに沿って一列に並んだ状態に近づけることが可能となる。モータ端子接続部54は、境界線BLに直交する方向において、インバータ回路52よりも境界線BLに近い位置に設けられている。電源端子接続部55は、境界線BLに沿った方向において、インバータ回路52の側方(図11中の右方)に設けられている。
【0104】
電源端子接続部55と各モータ端子36Aとの間の電流経路は、電源端子接続部55と各モータ端子36Aとを基板43の構成レイアウトの観点から許容される範囲内で可能な限り直線または直線に近い経路で結ぶという観点に基づき設定される。電源端子接続部55からインバータ回路52の各相のレグ(電源側のFET53)までの電流経路CPは、境界線BLに沿った方向から境界線BLに交わる方向へ向けて、インバータ回路52の傾斜の度合いに応じて屈曲して設けられる。
【0105】
電源端子接続部55からインバータ回路52の各相のレグまでの電流経路CPは、各相のレグに対する給電分岐点BPを起点として3つの電流経路CP11,CP12,CP13に分岐している。電流経路CP11は、境界線BLに対して最も遠い電流経路である。電流経路CP12は、境界線BLに対して最も近い電流経路である。電流経路CP13は、電流経路CP11と電流経路CP12との間に位置する電流経路である。これら3つの電流経路CP11,CP12,CP13は、それぞれ単一の経路であり、極力直線経路であることが望ましい。
【0106】
なお、図11に示す例では、説明の便宜上、モータ端子接続部54に接続される各相のモータ端子36Aとインバータ回路52の各相レグとは各相のモータ端子36Aの並び方向において互いに対応している。各相のレグから各相のモータ端子36Aまでの3つの電流経路は直線状に設けられている。また、インバータ回路52からモータ端子接続部54における各相のモータ端子36Aまでの間の3つの電流経路の長さは同じ長さに設定されている。
【0107】
したがって、モータ端子接続部54およびインバータ回路52を境界線BLに対して傾斜して設けることによって、モータ端子接続部54、インバータ回路52、フィルタ58および電源端子接続部55は、より境界線BLに沿って一列に並んだ状態に近づく。このため、先の図5に示される比較例のL字形の電流経路と比べて、インバータ回路52が鋭角で傾斜する分だけ電源端子接続部55からインバータ回路52の各相のレグまでの電流経路の屈曲度合いがより緩やかになる。そのうえで、各モータ端子36Aと給電分岐点BPとの間の電流経路を直線により近づける観点で設けることにより、各モータ端子36Aと各相のレグに対する給電分岐点BPとの間の電流経路の長さの差がより小さくなる。ひいては、電源端子接続部55から各相のモータ端子36Aまでの間のトータルとしての電流経路の長さの差がより小さくなる。
【0108】
ちなみに、各相のモータ端子36Aとインバータ回路52の各相レグとを各相のモータ端子36Aの並び方向において互いにずらして設ける場合、各相のモータ端子36Aと給電分岐点BPとの間の電流経路は、つぎのように設けられる。すなわち、各相のモータ端子36Aと給電分岐点BPとの間を基板43の構成レイアウトの観点から許容される範囲内で可能な限り直線または直線に近い経路で結ぶという観点に基づき、各相のモータ端子36Aと給電分岐点BPとの間の電流経路が設けられる。このようにすれば、各モータ端子36Aとインバータ回路52の各相のレグに対する給電分岐点BPとの間の電流経路の長さの差をより小さくすることができる。
【0109】
また、図示は割愛するものの、グランド端子接続部56とインバータ回路52のグランド側の各FET53との間の電流経路は、グランド端子接続部56とグランド側の各FET53とを基板43の構成レイアウトの観点から許容される範囲内で可能な限り直線または直線に近い経路で結ぶという観点に基づき設定される。これにより、グランド端子接続部56とインバータ回路52のグランド側の各FET53との間の電流経路長さの差をより小さくすることができる。
【0110】
第2の系統における電源端子接続部65とインバータ回路62の電源側の各FET63との間の電流経路についても、第1の系統と同様である。すなわち、各モータ端子36Bと給電分岐点BPとの間の電流経路を直線により近づける観点で設けることにより、各モータ端子36Bとインバータ回路62の各相のレグに対する給電分岐点BPとの間の電流経路の長さの差がより小さくなる。ひいては、電源端子接続部65から各相のモータ端子36Bまでの間のトータルとしての電流経路の長さの差がより小さくなる。
【0111】
また、第2の系統におけるグランド端子接続部66とインバータ回路62のグランド側の各FET63との間の電流経路についても、第1の系統と同様である。すなわち、グランド端子接続部56とインバータ回路62におけるグランド側の各FET53との間の電流経路を直線により近づける観点で設けることにより、グランド端子接続部56とグランド側の各FET53との間の電流経路の長さの差がより小さくなる。
【0112】
したがって、第3の実施の形態によれば、第1の実施の形態の(1)と同様の効果を得ることができる。製品仕様などに応じて、基板43のレイアウトとして、先の図10に示される第3の実施の形態のレイアウトを採用することができる。
【0113】
<第4の実施の形態>
つぎに、モータ制御装置の第4の実施の形態を説明する。本実施の形態は、基本的には先の図1図4に示される第1の実施の形態と同様の構成を有している。ただし、本実施の形態は、主に2つの基板42,43が単一の基板として統合されている点で先の第1の実施の形態と異なる。
【0114】
図12に示すように、モータ装置11は、モータ12および制御装置13を有している。制御装置13は、単一の基板71およびカバー44を有している。基板71は、先の第1の実施の形態における2つの基板42,43の双方の機能を有している。基板71は、モータ12の軸Oに沿った方向からみて、2つの基板42,43と同様の外形形状を有している。基板71は、モータ12のケース21の端部に設けられた収容部21Aの内部に収容される。収容部21Aは、モータ12の軸方向に開口した箱体状を有している。収容部21Aの内形形状は、基板71の外形形状に対応している。収容部21Aの内部には、蓋22およびモータ端子36A,36Bが露出している。カバー44は、収容部21Aの内部に基板71を収容した状態で、収容部21Aの開口を覆うかたちで収容部21Aに取り付けられる。
【0115】
モータ装置11は、第1の系統の構成要素として、モータ端子接続部54、インバータ回路52、フィルタ58、電源端子接続部55、グランド端子接続部56およびマイクロコンピュータ51を有している。モータ装置11は、第2の系統の構成要素として、モータ端子接続部64、インバータ回路62、フィルタ68、電源端子接続部65、グランド端子接続部66およびマイクロコンピュータ61を有している。フィルタ58,68としては、たとえばインダクタおよびコンデンサからなるLCフィルタが採用される。
【0116】
図13に示すように、基板71は、先の第1の実施の形態と同様に、モータ12の軸Oに沿った方向からみて、境界線BL1を境として第1の領域A1と第2の領域A2とに区画されている。境界線BL1は、基板71の長辺に沿って延びている。また、境界線BL1は、モータ12の軸Oに沿った方向からみて、モータ12の中心である軸Oを通る。
【0117】
第1の領域A1および第2の領域A2は、それぞれ境界線BL2を境としてさらに2つの領域に区画されている。すなわち、基板43は、互いに直交する2つの境界線BL1,BL2によって4つの領域に区画されている。境界線BL2は、モータ12の軸Oに沿った方向からみて、境界線BL1に対して直交する方向に沿って延びている。また、境界線BL2は、モータ12の軸Oに沿った方向からみて、境界線BL1に沿った方向における基板71の中央付近を通る。
【0118】
第1の領域A1は、第1のパワー回路領域A11および第1の制御回路領域A12に区画されている。第2の領域A2は、第2のパワー回路領域A21および第2の制御回路領域A22に区画されている。第1のパワー回路領域A11および第2のパワー回路領域A21は、モータ12の軸Oに沿った方向からみて、モータ12に対応している。第1の制御回路領域A12および第2の制御回路領域A22は、モータ12の軸Oに沿った方向からみて、モータ12から外れている。
【0119】
第1の系統の構成要素であるインバータ回路52およびマイクロコンピュータ51は、基板43におけるモータ12側の面に設けられている。インバータ回路52は、モータ12の軸Oに沿った方向からみて、第1のパワー回路領域A11に設けられている。インバータ回路52の各FET53は、放熱グリスを介してケース21の蓋22に接触した状態に維持される。蓋22は、たとえばアルミニウムなどの熱伝導性に優れる金属材料によって設けられる。蓋22は、軸受39Aを保持するベアリングホルダとしての機能および放熱を促すヒートシンクとしての機能を有している。マイクロコンピュータ51は、モータ12の軸Oに沿った方向からみて、第1の制御回路領域A12に設けられている。
【0120】
第2の系統の構成要素であるインバータ回路62およびマイクロコンピュータ61も、基板43におけるモータ12側の面に設けられている。インバータ回路62は、モータ12の軸Oに沿った方向からみて、第2のパワー回路領域A21に設けられている。インバータ回路62の各FET63は、放熱グリスを介してケース21の蓋22に接触した状態に維持される。マイクロコンピュータ61は、モータ12の軸Oに沿った方向からみて、第2の制御回路領域A22に設けられている。
【0121】
また、2つのフィルタ58,68は、それぞれ基板71のモータ12と反対側の面に設けられている。第1の系統の構成要素であるフィルタ58は、モータ12の軸Oに沿った方向からみて、第1のパワー回路領域A11に設けられている。第2の系統の構成要素であるフィルタ68は、モータ12の軸Oに沿った方向からみて、第2のパワー回路領域A21に設けられている。
【0122】
図14に示すように、第1の系統のフィルタ58は、電源端子接続部55とインバータ回路52との間の電流経路CPに設けられている。より具体的には、フィルタ58は、電流経路CPにおける電源端子接続部55と給電分岐点BPとの間に位置している。フィルタ58は、電源端子接続部55から供給される直流電力に対してフィルタ処理を施すことにより、その直流電力に重畳するノイズを除去する。また、図示は割愛するものの、第2の系統のフィルタ68は、電源端子接続部65とインバータ回路62との間の電流経路に設けられている。フィルタ68は、電源端子接続部65から供給される直流電力に対してフィルタ処理を施すことにより、その直流電力に重畳するノイズを除去する。
【0123】
ここで、図13に示すように、第1の系統の電源端子接続部55およびグランド端子接続部56は、基板71の中央付近に設けられている。電源端子接続部55およびグランド端子接続部56は、2つの境界線BL1,BL2が交わることにより形成される4つの角部のうち第1の制御回路領域A12に対応する1つの角部に設けられている。また、第2の系統の電源端子接続部65およびグランド端子接続部66も、基板71の中央付近に設けられている。電源端子接続部65およびグランド端子接続部66は、2つの境界線BL1,BL2が交わることにより形成される4つの角部のうち第2の制御回路領域A22に対応する1つの角部に設けられている。
【0124】
2つのフィルタ58,68も、基板71の中央付近に設けられている。第1の系統のフィルタ58は、2つの境界線BL1,BL2が交わることにより形成される4つの角部のうち第1のパワー回路領域A11に対応する1つの角部に設けられている。第2の系統のフィルタ68は、2つの境界線BL1,BL2が交わることにより形成される4つの角部のうち第2のパワー回路領域A21に対応する1つの角部に設けられている。2つのフィルタ58,68は、境界線BLを対称軸として互いに線対称の位置に設けられている。第1の系統のフィルタ58は、境界線BL1に沿った方向において、基板71の構成レイアウトの観点から許容される範囲内で可能な限り電源端子接続部55に近接して設けられている。第2の系統のフィルタ68は、境界線BL1に沿った方向において、基板71の構成レイアウトの観点から許容される範囲内で可能な限り電源端子接続部65に近接して設けられている。
【0125】
したがって、第4の実施の形態によれば、先の第1の実施の形態の(1),(2)の効果に加え、以下の効果を得ることができる。
(5)第1の系統の電源端子接続部55およびグランド端子接続部56は基板71の中央に寄せて設けられている。このため、たとえば電源端子接続部55を境界線BL1に沿った方向における基板71のモータ端子接続部54と反対側の端部に寄せて設ける場合に比べて、電源端子接続部55とインバータ回路52(電源側のFET53)との間の電気的距離がより小さくなる。また、グランド端子接続部56とインバータ回路52(グランド側のFET53)との間の電気的距離もより小さくなる。このため、電源端子接続部55とインバータ回路52との間の電気抵抗、ならびにグランド端子接続部56とインバータ回路52との間の電気抵抗がより小さくなる。第2の系統についても第1の系統と同様のことがいえる。したがって、モータ12に対してより好適に電流が供給される。モータ12の出力も改善される。
【0126】
(6)第1の系統のフィルタ58は、基板71に設けられている。より具体的には、フィルタ58は、電源端子接続部55とインバータ回路52との間の電流経路CPにおける電源端子接続部55の近傍に設けられている。これにより、つぎのような効果が得られる。すなわち、モータ装置11として、たとえばフィルタ58をカバー44に組み込む構成を採用することが考えられる。この構成を採用する場合に比べて、電源端子接続部55からフィルタ58を経てインバータ回路52へ至るまでの電気的距離がより小さくなる。このため、電源端子接続部55とインバータ回路52との間の電気抵抗がより小さくなる。第2の系統についても、第1の系統と同様のことがいえる。したがって、モータ12に対してより好適に電流が供給される。モータ12の出力も改善される。
【0127】
(7)基板71は4つの領域、すなわち第1のパワー回路領域A11および第2のパワー回路領域A21、ならびに第1の制御回路領域A12および第2の制御回路領域A22を有している。第1のパワー回路領域A11および第2のパワー回路領域A21は、モータ12の軸方向からみて、モータ12に対応する領域である。パワー回路領域(A11,A21)には、インバータ回路(52,62)およびモータ端子接続部(54,64)などのモータ12に電力を供給するための電力系の構成が設けられている。また、制御回路領域(A12,A22)は、モータ12の軸方向からみて、モータ12から外れた領域である。制御回路領域(A12,A22)には、マイクロコンピュータ(51,61)などのインバータ回路、ひいてはモータ12の動作を制御するための制御系の構成が設けられている。
【0128】
この構成によれば、電力系の構成をモータ12に対してより近い位置に設けることができる。このため、モータ端子接続部54,64とモータ端子36A,36Bとをより簡単に接続することができる。また、インバータ回路52,62とモータ端子36A,36Bとの間の電流経路をより短く、かつ簡素にすることができる。したがって、単一の基板71において、より効率的に電力系の構成および制御系の構成を配置することができる。特に、電子部品の点数がより多い複数系統の回路が設けられる基板71に好適である。
【0129】
ちなみに、図15に示すように、たとえば第2のパワー回路領域A21および第2の制御回路領域A22の位置を、境界線BL1に沿った方向において先の図13に示される位置とは逆の位置に設定した場合、つぎのようなことが懸念される。すなわち、電力系の構成をモータ12に対してより近い位置に設けることが困難となる。このため、モータ端子接続部64とモータ端子36Bとを接続することがより難しくなる。また、インバータ回路62とモータ端子36Bとの間の電流経路がより長く、かつ複雑になるおそれがある。ちなみに、第1のパワー回路領域A11および第1の制御回路領域A12の位置を、境界線BL1に沿った方向において先の図13に示される位置とは逆の位置に設定した場合についても同様のことが懸念される。
【0130】
<第5の実施の形態>
つぎに、モータ制御装置の第5の実施の形態を説明する。本実施の形態は、先の第4の実施の形態と同様に、2つの基板42,43が単一の基板71として統合されている点で第1の実施の形態と主に異なる。本実施の形態は、基本的には先の図12に示される第4の実施の形態と同様の構成を有している。ただし、本実施の形態は、基板71に設けられる構成要素のレイアウトが第4の実施の形態と異なる。
【0131】
図16に示すように、基板71は、先の第1実施の形態と同様に、モータ12の軸Oに沿った方向からみて、境界線BL1を境として第1の領域A1と第2の領域A2とに区画されている。境界線BL1は、基板71の長辺に沿って延び、かつモータ12の軸Oを通る。第1の領域A1および第2の領域A2は、それぞれ境界線BL2を境としてさらに2つの領域に区画されている。すなわち、基板43は、互いに直交する2つの境界線BL1,BL2によって4つの領域に区画されている。境界線BL2は、モータ12の軸Oに沿った方向からみて、境界線BL1に対して直交し、かつモータ12の軸Oを通る。
【0132】
第1の領域A1は、第1のパワー回路領域A11および第1の制御回路領域A12に区画されている。第2の領域A2は、第2のパワー回路領域A21および第2の制御回路領域A22に区画されている。第1のパワー回路領域A11および第2のパワー回路領域A21は、モータ12の軸Oに沿った方向からみて、モータ12の側方へはみ出している。第1の制御回路領域A12および第2の制御回路領域A22は、モータ12の軸Oに沿った方向からみて、おおむねモータ12にオーバーラップしている。
【0133】
図16に示すように、基板71に設けられる構成要素のレイアウトは、マイクロコンピュータ51,61を除き、基本的には先の図10および図11に示される第3の実施の形態と同様である。ただし、境界線BL1は、図10に示される第3の実施の形態の境界線BLに相当する。境界線BL2は、図10に示される第3の実施の形態の直線NLに相当する。
【0134】
第1の系統の構成要素であるインバータ回路52およびマイクロコンピュータ51は、基板43におけるモータ12側の面に設けられている。インバータ回路52は、モータ12の軸Oに沿った方向からみて、第1のパワー回路領域A11に設けられている。マイクロコンピュータ51は、モータ12の軸Oに沿った方向からみて、第1の制御回路領域A12に設けられている。第1の系統の構成要素であるフィルタ58は、基板71のモータ12と反対側の面に設けられている。フィルタ58は、モータ12の軸Oに沿った方向からみて、第1のパワー回路領域A11に設けられている。
【0135】
第2の系統の構成要素であるインバータ回路62およびマイクロコンピュータ61も、基板43におけるモータ12側の面に設けられている。インバータ回路62は、モータ12の軸Oに沿った方向からみて、第2のパワー回路領域A21に設けられている。マイクロコンピュータ61は、モータ12の軸Oに沿った方向からみて、第2の制御回路領域A22に設けられている。第2の系統の構成要素であるフィルタ68は、基板71のモータ12と反対側の面に設けられている。フィルタ68は、モータ12の軸Oに沿った方向からみて、第2のパワー回路領域A21に設けられている。
【0136】
したがって、第5の実施の形態によれば、基板71のマイクロコンピュータ51,61以外の構成要素を先の図10および図11に示される第3の実施の形態と同様にレイアウトすることにより、第1の実施の形態の(1)と同様の効果を得ることができる。また、製品仕様などに応じて、基板71のレイアウトとして、先の図16に示される第5の実施の形態のレイアウトを採用することができる。
【0137】
<他の実施の形態>
なお、第1~第5の実施の形態は、つぎのように変更して実施してもよい。
・基板42,43,71のサイズは、製品仕様に応じて適宜のサイズに変更してもよい。たとえば第1の実施の形態において、基板42,43の境界線BLに沿った方向における長さを基板42,43の短辺と同じ程度の長さに設定してもよい。この場合、電源端子接続部55およびグランド端子接続部56、ならびに電源端子接続部65およびグランド端子接続部66は、境界線BLに沿った方向において、モータ12の軸Oに対してより近接して設けられる。
【0138】
・基板42,43,71として、2つの斜辺43A,43Bを割愛した構成を採用してもよい。この場合、基板42,43,71は、モータ12の軸Oに沿った方向からみて、矩形状をなしていてもよい。また、基板42,43,71における2つの斜辺43A,43Bが設けられていた第1の端部は、モータ12の軸Oに沿った方向からみて、モータ12の軸を中心とする円弧面状に設けてもよい。
【0139】
・インバータ回路52,62とモータ端子接続部54,64との間における各相の電流経路にモータリレーを設けてもよい。モータリレーは、マイクロコンピュータ51,61によって開閉が制御される。モータリレーは、インバータ回路52,62に異常が発生していない通常時においてはオンした状態に維持される。インバータ回路52,62において断線故障あるいは短絡故障などの異常が発生した場合、モータリレーはオン状態からオフ状態へ切り替えられる。モータリレーがオフされた場合、インバータ回路52,62とモータ端子接続部54,64との間の電流経路が遮断されることにより、インバータ回路52,62からモータ12の巻線群への給電が遮断される。ちなみに、モータリレーとしてFET(電界効果トランジスタ)を採用してもよい。
【0140】
・各実施の形態では、バッテリなどの直流電源に接続されるコネクタ嵌合部を系統数と同数(ここでは2つ)だけ設けたが、1つだけ設けるようにしてもよい。たとえば、第1の系統のコネクタ嵌合部57のみを設ける場合、基板43,71として第2の系統の電源端子接続部65およびグランド端子接続部66を割愛した構成を採用してもよい。この場合、第1の系統の電源端子接続部55は、基板43,71に配線パターンとして設けられる電流経路を介して、第2の系統のインバータ回路62の各レグ(電源側のFET63)に対する給電分岐点に接続される。また、第1の系統のグランド端子接続部56は、基板43,71に配線パターンとして設けられる電流経路を介して、第2の系統のインバータ回路62の各レグ(グランド側の3つのFET63)に対する接続分岐点に接続される。ただし、この構成を採用する場合であれ、電源端子接続部55と各モータ端子36Bとの間の電流経路、ならびにグランド端子接続部56と各モータ端子36Bとの間の電流経路は、基板43,71の構成レイアウトの観点から許容される範囲内で可能な限り直線に近づける観点に基づき設定される。
【0141】
・各実施の形態では、第1の系統のモータ端子接続部54およびインバータ回路52(三相各相のレグ)をそれぞれ境界線BL,BL1に対して傾斜して設けたが、少なくともモータ端子接続部54が境界線BL,BL1に対して傾斜していればよい。このようにしても、モータ端子接続部54が境界線BL,BL1に対して傾斜する分だけ電源端子接続部55からインバータ回路52を経てモータ端子36Aに至るまでの間における三相各相の電流経路の屈曲度合いをより緩やかにすることが可能である。すなわち、電源端子接続部55とモータ端子接続部54との間における三相各相の電流経路をより直線的に設けることが可能となる。ちなみに、第2の系統のモータ端子接続部64およびインバータ回路62についても、第1の系統と同様に、少なくともモータ端子接続部64が境界線BLに対して傾斜していればよい。
【0142】
・モータ装置11は、たとえば電動パワーステアリング装置の駆動源として使用してもよい。この場合、モータ12は操舵アシスト力を発生するアシストモータとして機能する。制御装置13は、アシストモータとしてのモータ12を制御する。また、モータ装置11は、ステアバイワイヤ方式の操舵装置における反力機構あるいは転舵機構の駆動源として使用してもよい。この場合、モータ12は操舵反力を発生する反力モータ、あるいは車両の転舵輪を転舵させるための転舵力を発生する転舵モータとして機能する。制御装置13は、反力モータあるいは転舵モータとしてのモータ12を制御する。モータ装置11を電動パワーステアリング装置およびステアバイワイヤ方式の操舵装置のいずれの装置に適用する場合であれ、先のモータ装置11によればモータ12のトルクリップルが低減される。このため、運転者がステアリングホイールを介して感じるトルク脈動に伴う違和感を抑えることができる。
【0143】
なお、モータ装置11の適用先は車載装置に限られない。モータ装置11をマシニングセンタなどの工作機械の駆動源として適用してもよい。
【符号の説明】
【0144】
11…モータ装置
12…モータ
13…制御装置(モータ制御装置)
34A…第1の巻線群
34B…第2の巻線群
36A,36B…モータ端子
43,71…基板
51,61…マイクロコンピュータ(制御回路)
52,62…インバータ回路
55,65…電源端子接続部
53,63…FET(スイッチング素子)
54,64…モータ端子接続部
58,68…フィルタ
A1…第1の領域
A2…第2の領域
A11,A21…パワー回路領域
A12,A22…制御回路領域
BL,BL1…境界線
BP…給電分岐点
CP,CP11,CP12,CP13…電流経路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【手続補正書】
【提出日】2021-10-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正の内容】
図2
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正の内容】
図4
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図12
【補正方法】変更
【補正の内容】
図12
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図13
【補正方法】変更
【補正の内容】
図13