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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022127330
(43)【公開日】2022-08-31
(54)【発明の名称】半導体集積回路
(51)【国際特許分類】
   G11C 7/10 20060101AFI20220824BHJP
   H03K 19/00 20060101ALI20220824BHJP
【FI】
G11C7/10 300
H03K19/00 108
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021025415
(22)【出願日】2021-02-19
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】李 東旭
(72)【発明者】
【氏名】板垣 清太郎
(72)【発明者】
【氏名】川口 一昭
【テーマコード(参考)】
5J056
【Fターム(参考)】
5J056AA00
5J056BB17
5J056CC00
5J056CC14
5J056DD28
5J056DD52
5J056EE13
5J056EE15
5J056FF02
5J056FF09
5J056GG12
5J056GG13
5J056KK00
5J056KK01
(57)【要約】
【課題】チップ面積を増大させずに消費電力を抑制できる半導体集積回路を提供する。
【解決手段】半導体集積回路は、第1信号線、第2信号線、第1信号線に配置された第1インバートリピータ、第2信号線に配置された第2インバートリピータ、および制御回路を備える。第1サイクルにおいて、第1クロック信号に応答して第1信号線に第1の信号が入力される。第2サイクルにおいて、第2クロック信号に応答して第2信号線に第2の信号が入力される。第1インバートリピータは、第1の信号の論理を反転させた反転信号を第1信号線に出力する。第2インバートリピータは、第2の信号の論理を反転させた反転信号を第2信号線に出力する。制御回路は、第1サイクルにおいて第2信号線をフローティング状態にし、第2サイクルにおいて第1信号線をフローティング状態にする。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1サイクルにおいて第1クロック信号に応答して第1の信号が入力される第1信号線と、
第2サイクルにおいて第2クロック信号に応答して第2の信号が入力される第2信号線と、
前記第1信号線に配置され、前記第1の信号の論理を反転させた反転信号を前記第1信号線に出力する第1インバートリピータと、
前記第2信号線に配置され、前記第2の信号の論理を反転させた反転信号を前記第2信号線に出力する第2インバートリピータと、
前記第1サイクルにおいて前記第2信号線をフローティング状態にし、前記第2サイクルにおいて前記第1信号線をフローティング状態にする制御回路と
を備える半導体集積回路。
【請求項2】
前記第1信号線と前記第2信号線のいずれもフローティング状態のときに前記第1信号線と前記第2信号線のレベル調整を行うイコライザ回路を更に備え、
前記制御回路は、
前記第1クロック信号がオフした後の前記第1サイクルの期間と、前記第2クロック信号がオフした後の前記第2サイクルの期間において、前記第1信号線と前記第2信号線のいずれもフローティング状態にし、
前記レベル調整において、前記イコライザ回路は、
前記第1インバートリピータの前後の前記第1信号線の電位を平均化し、
前記第2インバートリピータの前後の前記第2信号線の電位の平均化する、
請求項1に記載の半導体集積回路。
【請求項3】
前記イコライザ回路が、
前記レベル調整において、前記第1信号線の前記第1インバートリピータの前後を電気的に接続する第1イコライザと、
前記レベル調整において、前記第2信号線の前記第2インバートリピータの前後を電気的に接続する第2イコライザと
を備える、請求項2に記載の半導体集積回路。
【請求項4】
前記第1信号線の寄生容量の大きさが前記第1インバートリピータの前後で同等であり、
前記第2信号線の寄生容量の大きさが前記第2インバートリピータの前後で同等である、
請求項3に記載の半導体集積回路。
【請求項5】
前記制御回路が、前記第1クロック信号と前記第2クロック信号を用いて、前記イコライザ回路を制御する信号を生成する、
請求項3又は4に記載の半導体集積回路。
【請求項6】
前記第1信号線および前記第2信号線が、不揮発性メモリのセンスアンプに接続し、前記不揮発性メモリに書き込むデータと前記不揮発性メモリから読み出されたデータの少なくともいずれかが伝搬するデータバスを構成する、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の半導体集積回路。
【請求項7】
前記第1クロック信号がオンするタイミングと前記第2クロック信号がオンするタイミングは、半周期分ずれている、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の半導体集積回路。
【請求項8】
前記第1信号線と前記第2信号線が、半導体集積回路が含む信号線のうち、信号が伝搬する速度が相対的に遅い信号線である、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の半導体集積回路。
【請求項9】
前記第1信号線と前記第2信号線が、双方向に信号が伝搬する信号線である、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の半導体集積回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体集積回路に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路において、信号線を信号が伝搬する際に、信号線の相互間の容量性カップリングに起因して消費電力が増大する。信号線の間隔を広げて信号線間のカップリング容量を減少させることにより消費電力の増大を抑制できるが、チップ面積が増大する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8-221977号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、チップ面積を増大させずに消費電力を抑制できる半導体集積回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る半導体集積回路は、第1信号線、第2信号線、第1信号線に配置された第1インバートリピータ、第2信号線に配置された第2インバートリピータ、および制御回路を備える。第1サイクルにおいて、第1クロック信号に応答して第1信号線に第1の信号が入力される。第2サイクルにおいて、第2クロック信号に応答して第2信号線に第2の信号が入力される。第1インバートリピータは、第1の信号の論理を反転させた反転信号を第1信号線に出力する。第2インバートリピータは、第2の信号の論理を反転させた反転信号を第2信号線に出力する。制御回路は、第1サイクルにおいて第2信号線をフローティング状態にし、第2サイクルにおいて第1信号線をフローティング状態にする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態に係る半導体集積回路を有する不揮発性メモリを含むメモリシステムの構成を示すブロック図である。
図2】実施形態に係る不揮発性メモリの構成を示すブロック図である。
図3A】不揮発性メモリの読み出し動作を指示するコマンドシーケンスの例である。
図3B】不揮発性メモリのデータの読み出し動作に関するコマンドシーケンスの例である。
図4】実施形態に係る不揮発性メモリの構成の一部を示すブロック図である。
図5】実施形態に係るインバートリピータ回路の第1の例を示す図である。
図6図5に示す回路の動作例のタイミングチャートである。
図7】EQ信号と/EQ信号を生成する回路図である。
図8】実施形態に係るインバートリピータ回路の第2の例を示す図である。
図9図8に示す回路の動作例のタイミングチャートである。
図10】第1の比較例に係るリピータ回路の模式図である。
図11図10に示す回路の動作例のタイミングチャートである。
図12】第1の比較例に係る信号線の配置を示す模式図である。
図13】実施形態に係るデータバスの信号線の配置を示す模式図である。
図14】第2の比較例に係る信号線の配置を示す模式図である。
図15】電源電流の比較を示す表である。
図16】信号線の電位の変化を説明するための模式図である(サイクル01)。
図17】信号線の電位の変化を説明するための模式図である(サイクル02)。
図18】イコライザ回路による信号線の電位の変化を説明するための模式図である(サイクル1)。
図19】イコライザ回路による信号線の電位の変化を説明するための模式図である(サイクル2)。
図20】イコライザ回路による信号線の電位の変化を説明するための模式図である(サイクル3)。
図21】実施形態の変形例に係る半導体集積回路の動作を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
次に、図面を参照して、実施形態について説明する。以下に説明する図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。図面は模式的なものである。また、以下に示す実施形態は、技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、部品の材質、形状、構造、配置などを特定するものではない。実施形態は、種々の変更を加えることができる。
【0008】
本発明の実施形態に係る半導体集積回路は、例えば、図1に示すメモリシステムが含む不揮発性メモリ2である。不揮発性メモリ2は、データを不揮発に記憶する半導体メモリである。不揮発性メモリ2は、例えばNANDフラッシュメモリを備える。メモリコントローラ1が、不揮発性メモリ2の動作を制御する。ホストは、例えば、パーソナルコンピュータ、携帯端末などの電子機器である。
【0009】
まず、図1に示すメモリシステムについて説明する。なお、以下の説明で、信号DQ<7:0>は、おのおのが1ビットの信号である信号DQ<0>、DQ<1>、・・・、DQ<7>の集合を意味する。信号DQ<7:0>は、8ビットの信号である。
【0010】
メモリコントローラ1は、ホストから命令を受け取り、受け取られた命令に基づいて不揮発性メモリ2を制御する。具体的には、メモリコントローラ1は、ホストから書き込みを指示されたデータを不揮発性メモリ2に書き込み、ホストから読み出しを指示されたデータを不揮発性メモリ2から読み出してホストに送信する。不揮発性メモリ2の書き込み対象の不揮発性メモリセルは、メモリコントローラ1が指定する。以下において、不揮発性メモリ2の不揮発性メモリセルを「メモリセル」とも称する。
【0011】
メモリコントローラ1と不揮発性メモリ2は、メモリコントローラ1と不揮発性メモリ2のインターフェース規格に従った信号を、個別の信号線を介して送受信を行う。メモリコントローラ1と不揮発性メモリ2の間で送受信する信号は、信号/CE、/RB、CLE、ALE、/WE、/RE、RE、/WP、DQ<7:0>、DQS、/DQSなどである。
【0012】
信号/CEは、不揮発性メモリ2をイネーブルにするためのチップイネーブル信号である。信号/RBは、不揮発性メモリ2がレディ状態(外部からの命令を受け付ける状態)であるか、ビジー状態(外部からの命令を受け付けない状態)であるかを示すレディビジー信号である。信号CLEは、信号CLEがH(High)レベルである間に不揮発性メモリ2に送信される信号DQ<7:0>がコマンドであることを不揮発性メモリ2に通知するコマンドラッチイネーブル信号である。信号ALEは、信号ALEがHレベルである間に不揮発性メモリ2に送信される信号DQ<7:0>がアドレスであることを不揮発性メモリ2に通知するアドレスラッチイネーブル信号である。信号/WEは、不揮発性メモリ2に送信される信号DQ<7:0>を不揮発性メモリ2に取り込むことを指示するライトイネーブル信号である。シングルデータレート(Single Data Rate、SDR)モードにおいて、信号/WEの立ち上がりエッジ(rising edge)で不揮発性メモリ2に送信されるコマンド、アドレス又はデータとしての信号DQ<7:0>を取り込むことを指示する。また、ダブルデータレート(Double Data Rate、DDR)モードにおいて、信号/WEの立ち上がりエッジで不揮発性メモリ2に送信されるコマンド又はアドレスとしての信号DQ<7:0>を取り込むことを指示する。信号/WEは、メモリコントローラ1によりコマンド、アドレスおよびデータを不揮発性メモリ2が受信する都度、アサートされる。
【0013】
信号/REは、メモリコントローラ1が、不揮発性メモリ2から信号DQ<7:0>を読み出すことを指示するリードイネーブル信号である。信号REは信号/REの相補信号である。例えば、信号DQ<7:0>を出力する際の不揮発性メモリ2の動作タイミングを制御するために、信号/REおよびREは使用される。より具体的には、シングルデータレートモードにおいて、信号/REの立ち下がりエッジ(falling edge)で不揮発性メモリ2にデータとしての信号DQ<7:0>を出力すること指示する。また、ダブルデータレートモードにおいて、信号/REの立ち下がりエッジ及び立ち上がりエッジで不揮発性メモリ2にデータとしての信号DQ<7:0>を出力すること指示する。信号/WPは、データの書き込みの禁止を不揮発性メモリ2に指示するライトプロテクト信号である。信号DQ<7:0>は、不揮発性メモリ2とメモリコントローラ1との間で送受信されるデータの実体であり、コマンドCMD、アドレスADD、およびデータDATを含む。データDATは、書き込みデータおよび読み出しデータを含む。信号DQSは、信号DQ<7:0>に係る不揮発性メモリ2の動作タイミングを制御するために使用されるデータストローブ信号である。信号/DQSは信号DQSの相補信号である。信号DQSおよび/DQSは、例えば信号REおよび/REに基づいて生成される。より具体的には、ダブルデータレートモードにおいて、信号DQSの立ち下がりエッジ及び立ち上がりエッジで不揮発性メモリ2にデータとしての信号DQ<7:0>を取り込むことを指示する。また、信号DQSは、ダブルデータレートモードにおいて、信号/REの立ち下がりエッジ及び立ち上がりエッジに基づいて生成され、不揮発性メモリ2からデータとしての信号DQ<7:0>とともに出力される。
【0014】
メモリコントローラ1は、RAM11、プロセッサ12、ホストインターフェース13、ECC回路14、およびメモリインターフェース15を備える。RAM11、プロセッサ12、ホストインターフェース13、ECC回路14、およびメモリインターフェース15は、互いにバス16で接続される。
【0015】
RAM11は、ホストから受信したデータを不揮発性メモリ2に記憶するまでに一時格納したり、不揮発性メモリ2から読み出したデータをホストに送信するまでに一時格納したりする。RAM11は、例えば、SRAM(Static Random Access Memory)やDRAM(Dynamic Random Access Memory)などの汎用半導体メモリである。
【0016】
プロセッサ12は、メモリコントローラ1全体の動作を制御する。プロセッサ12は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)などである。プロセッサ12は、例えば、ホストから受信したデータの読み出し命令に応答して、読み出し命令を不揮発性メモリ2に対して発行する。この動作は、データの書き込みの場合についても同様である。プロセッサ12は、RAM11に蓄積されるデータに対して、不揮発性メモリ2の格納領域(メモリ領域)を決定する。また、プロセッサ12は、不揮発性メモリ2からの読み出しデータに対して、種々の演算を実行する機能を有する。
【0017】
ホストインターフェース13は、ホストと接続し、ホストとの間のインターフェース規格に従った処理を実行する。ホストインターフェース13は、例えば、ホストから受信した命令およびデータを、プロセッサ12に転送する。また、ホストインターフェース13は、不揮発性メモリ2から読み出されたデータ、プロセッサ12からの応答などをホストに送信する。
【0018】
ECC回路14は、RAM11に格納されたデータを符号化して、符号語を生成する。また、ECC回路14は、不揮発性メモリ2から読み出された符号語を復号する。
【0019】
メモリインターフェース15は、バスを介して不揮発性メモリ2と接続し、不揮発性メモリ2との通信を実行する。メモリインターフェース15は、プロセッサ12の指示により、コマンドCMD、アドレスADD、および書き込みデータを不揮発性メモリ2に送信する。また、メモリインターフェース15は、不揮発性メモリ2から読み出しデータを受信する。
【0020】
図1では、メモリコントローラ1が、ECC回路14とメモリインターフェース15をそれぞれ備える構成例を示した。しかし、ECC回路14がメモリインターフェース15に内蔵されてもよい。また、ECC回路14が、不揮発性メモリ2に内蔵されてもよい。
【0021】
ホストから書き込み命令を受信した場合、メモリシステムは次のように動作する。プロセッサ12は、書き込みを指示されたデータをRAM11に一時記憶させる。プロセッサ12は、RAM11に格納されたデータを読み出し、ECC回路14に入力する。ECC回路14は、入力されたデータを符号化し、符号語をメモリインターフェース15に入力する。メモリインターフェース15は、入力された符号語を不揮発性メモリ2に書き込む。
【0022】
ホストから読み出し命令を受信した場合、メモリシステムは次のように動作する。メモリインターフェース15は、不揮発性メモリ2から読み出した符号語をECC回路14に入力する。ECC回路14は、入力された符号語を復号し、復号されたデータをRAM11に格納する。プロセッサ12は、RAM11に格納されたデータを、ホストインターフェース13を介してホストに送信する。
【0023】
図2は、不揮発性メモリ2の構成例を示すブロック図である。不揮発性メモリ2は、メモリセルアレイ21、入出力回路22、ロジック制御回路24、レジスタ26、シーケンサ27、電圧生成回路28、ロウデコーダ30、センスアンプ31、インバートリピータ回路40を備える。更に、不揮発性メモリ2は、入出力用パッド群32、ロジック制御用パッド群34、および、電源入力用端子群35を備える。
【0024】
メモリセルアレイ21は、ワード線及びビット線に関連付けられた複数のメモリセル(図示せず)を含む。
【0025】
入出力回路22は、メモリコントローラ1との間で、信号DQ<7:0>、信号DQSおよび信号/DQSを送受信する。入出力回路22は、信号DQ<7:0>内のコマンドCMD及びアドレスADDをレジスタ26に転送する。また、入出力回路22は、書き込みデータ及び読み出しデータをセンスアンプ31との間で送受信する。
【0026】
ロジック制御回路24は、メモリコントローラ1から信号/CE、CLE、ALE、/WE、/RE、RE、/WP、/RBを受信する。また、ロジック制御回路24は、信号/RBをメモリコントローラ1に転送して、不揮発性メモリ2の状態を外部に通知する。
【0027】
レジスタ26は、コマンドCMD及びアドレスADDを保持する。レジスタ26は、アドレスADDをロウデコーダ30及びセンスアンプ31に転送すると共に、コマンドCMDをシーケンサ27に転送する。
【0028】
シーケンサ27は、コマンドCMDを受け取り、受け取ったコマンドCMDに基づくシーケンスに従って不揮発性メモリ2の全体を制御する。
【0029】
電圧生成回路28は、シーケンサ27からの指示に基づき、データの書き込み、データの読み出し、及びデータの消去などの動作に必要な電圧を生成する。レジスタ26からのアドレスに基づいて、電圧生成回路28から種々の電圧がロウデコーダ30、センスアンプ31及びメモリセルアレイ21に供給される。
【0030】
ロウデコーダ30は、レジスタ26からアドレスADD内のブロックアドレスおよびロウアドレスを受け取る。ロウデコーダ30は、ブロックアドレスに基づいてブロックを選択すると共に、ロウアドレスに基づいてワード線を選択する。
【0031】
センスアンプ31は、データの読み出し時には、メモリセルからビット線に読み出された読み出しデータをセンスし、センスした読み出しデータを入出力回路22に転送する。センスアンプ31は、データの書き込み時には、ビット線を介して書き込みデータをメモリセルに転送する。
【0032】
センスアンプ31と入出力回路22の間のデータの転送は、データバスYIOを介して行われる。不揮発性メモリ2に書き込むデータ及び不揮発性メモリ2から読み出されたデータは、データバスYIOを伝搬する。
【0033】
インバートリピータ回路40は、データバスYIOの中央付近に配置されている。詳細は後述するが、インバートリピータ回路40により、データバスYIOに流れる電源電流の増大を抑制できる。
【0034】
入出力用パッド群32は、不揮発性メモリ2とメモリコントローラ1の間でデータを含む各信号の送受信を行うため、信号DQ<7:0>および信号DQS、/DQSに対応する複数の端子(パッド)を備える。
【0035】
ロジック制御用パッド群34は、不揮発性メモリ2とメモリコントローラ1の間で各信号の送受信を行うため、信号/CE、CLE、ALE、/WE、/RE、RE、/WP、/RBに対応する複数の端子(パッド)を備える。
【0036】
電源入力用端子群35は、外部から不揮発性メモリ2に種々の動作電源を供給するため、電源電圧Vcc、VccQ、および接地電圧Vssが入力される複数の端子を備える。電源電圧Vccは、動作電源として一般的に外部から与えられる回路電源電圧である。例えば、電源電圧Vccは2.5Vである。電源電圧VccQは、メモリコントローラ1と不揮発性メモリ2との間で信号を送受信する際に用いられる。例えば、電源電圧Vccqは1.2Vである。
【0037】
図3Aは、不揮発性メモリ2の読み出し動作を指示するコマンドシーケンスの例を示す。図3Bは、不揮発性メモリ2からのデータの読み出し動作に関するコマンドシーケンスの例を示す。
【0038】
図3Aに示すように、読み出し動作に際して、メモリコントローラ1は、信号/WEをトグルさせながら、読み出しコマンド「00h」、5サイクルにわたるアドレスADD、およびコマンド「30h」を続けて発行し、不揮発性メモリ2に送信する。読み出しコマンド「00h」は、不揮発性メモリ2のメモリセルアレイ21からのデータの読み出しを命令するコマンドである。コマンド「30h」は、読み出し動作の開始を命令するコマンドである。不揮発性メモリ2は、コマンド「30h」を受信すると、メモリセルアレイ21からのデータの読み出し動作を開始し、信号/RBをLレベルにして、不揮発性メモリ2がビジー状態であることをメモリコントローラ1に知らせる。メモリセルアレイ21からのデータの読み出しが完了した後、不揮発性メモリ2は、信号/RBをHレベルにして、不揮発性メモリ2がレディ状態であることをメモリコントローラ1に知らせる。
【0039】
メモリコントローラ1は、不揮発性メモリ2がレディ状態になったことを確認した後、図3Bに示すように、信号/REおよびREをトグルさせる。不揮発性メモリ2は、信号/REおよびREに同期させて、読み出したデータを信号DQ<7:0>としてメモリコントローラ1に転送する。また、不揮発性メモリ2は、信号DQ<7:0>に同期させて信号DQSおよび/DQSをトグルさせ、メモリコントローラ1に転送する。
【0040】
図4は、入出力回路22、センスアンプ31、インバートリピータ回路40およびデータバスYIOを含む、不揮発性メモリ2の構成の一部を示すブロック図である。入出力回路22は、データバスYIOを経由して、書き込みデータ及び読み出しデータをセンスアンプ31との間で送受信する。
【0041】
センスアンプ31は、ビット線BL0-BLmに接続するセンスアンプユニット31A、センスアンプユニット31Aに接続するデータレジスタ31B、データレジスタ31Bに接続するデータマルチプレクサ31Cを有する。ビット線の本数は、例えば約13万本である。センスアンプユニット31Aは、ビット線に読み出された読み出しデータをセンスし、ビット線を介して書き込みデータをメモリセルに転送する。データレジスタ31Bは、読み出しデータや書き込みデータを保持する。データマルチプレクサ31Cは、データバスYIOを構成する信号線を伝搬するデータをビット線BL0-BLmを伝搬するデータから選択する。データバスYIOを構成する信号線は例えば128本である。
【0042】
入出力回路22は、バス幅を変換する変換回路221を含んでもよい。変換回路221は、例えば128本のビット線を含むデータバスYIOを、信号DQ<7:0>がそれぞれ伝搬する8本の信号線を含むバスにバス幅を変換する。変換回路221は、例えばFIFO(First In First Out)回路であってもよい。センスアンプ31と変換回路221の間は電源電圧Vcc(例えば2.5V)で動作する。変換回路221とメモリコントローラ1の間は電源電圧VccQ(例えば1.2V)で動作する。
【0043】
インバートリピータ回路40は、制御回路50により制御される。図4においては、制御回路50を入出力回路22およびロジック制御回路24とは異なる回路ブロックとして示している。しかし、制御回路50は、例えば、入出力回路22および/またはロジック制御回路24の一部として構成されてもよい。図5に、インバートリピータ回路40の構成例を示す。図5に示したインバートリピータ回路40は、第1信号線D1と第2信号線D2に接続されている。第1信号線D1と第2信号線D2は、データバスYIOを構成する複数の信号線のうちの、隣接して配置された信号線である。第1信号線D1と第2信号線D2は、相互に容量性カップリングを有する。
【0044】
以下において、第1信号線D1および第2信号線D2を、「信号線D」とも称する。ここでは、説明を容易にするために、信号線が2本の場合について、インバートリピータ回路40の動作を例示的に説明する。また、容量性カップリングによる信号線の間の容量を「カップリング容量」とも称する。
【0045】
なお、以下の説明においては読み出し動作を例として説明する。すなわち、メモリコントローラ1が信号/REおよびREをトグルさせ、不揮発性メモリ2が信号/REおよびREに同期させて、読み出したデータを信号DQ<7:0>としてメモリコントローラ1に転送する動作を例として説明する。また、以下の説明において、信号のレベルがHレベルのときを「信号がオン」、信号のレベルがLレベルのときを「信号がオフ」であるとする。
【0046】
インバートリピータ回路40は、第1クロック信号CLKAおよび第2クロック信号CLKBに応答して動作する。
【0047】
第1クロック信号CLKAがオンのときに、第1の信号DataAが第1信号線D1に入力される。インバートリピータ回路40は、第1の信号DataAの論理を反転させた信号(以下において「反転信号」という。)を第1信号線D1に出力する。第1信号線D1に接続する第1受信回路61が、第1の信号DataAの反転信号を受信する。
【0048】
第2クロック信号CLKBがオンのときに、第2の信号DataBが第2信号線D2に入力される。インバートリピータ回路40は、第2の信号DataBの反転信号を第2信号線D2に出力する。第2信号線D2に接続する第2受信回路62が、第2の信号DataBの反転信号を受信する。
【0049】
インバートリピータ回路40は、第1受信回路61および第2受信回路62に接続されている。図5は、第1受信回路61および第2受信回路62がフリップフロップ(FF)である例を示している。この場合、第1クロック信号CLKAがオンすると、第1受信回路61が第1の信号DataAの反転信号を保持する。第2クロック信号CLKBがオンすると、第2受信回路62が第2の信号DataBの反転信号を保持する。
【0050】
図6に、インバートリピータ回路40の動作例のタイミングチャートを示す。図6において、V_CLKは、不揮発性メモリ2の動作の基準のクロック信号である基準クロック信号CLKの電位である。V_CLKAは第1クロック信号CLKAの電位、V_CLKBは第2クロック信号CLKBの電位である。また、V_DataAは第1信号線D1の電位、V_DataBは第2信号線D2の電位である。V_EQは、EQ信号の電位である(以下において同様。)。
【0051】
図6に示すように、第1クロック信号CLKAの周期および第2クロック信号CLKBの周期は、基準クロック信号CLKの周期と同じである。
【0052】
ただし、第1クロック信号CLKAおよび第2クロック信号CLKBのオン期間の長さは、基準クロック信号CLKのオン期間の長さの半分である。また、第1クロック信号CLKAがオンするタイミングと第2クロック信号CLKBがオンするタイミングは、基準クロック信号CLKの半周期分ずれている。
【0053】
図6に示すように、第1クロック信号CLKAがオンしてから、第1クロック信号CLKAがオフした後に第2クロック信号CLKBがオンするまでの期間を、「第1サイクルC1」と称する。また、第2クロック信号CLKBがオンしてから、第2クロック信号CLKBがオフした後に第1クロック信号CLKAがオンするまでの期間を、「第2サイクルC2」と称する。第1クロック信号CLKAは、第2サイクルC2の期間はオフしている。第2クロック信号CLKBは、第1サイクルC1の期間はオフしている。以下において、第1サイクルC1と第2サイクルC2を、「サイクル」とも称する。
【0054】
第1信号線D1に、第1サイクルC1において第1クロック信号CLKAに応答して第1の信号DataAが入力される。また、第2信号線D2に、第2サイクルC2において第2クロック信号CLKBに応答して第2の信号DataBが入力される。
【0055】
インバートリピータ回路40は、第1信号線D1の途中に配置された第1インバートリピータ411と、第2信号線D2の途中に配置された第2インバートリピータ412を備える。以下において、第1インバートリピータ411および第2インバートリピータ412を、「インバートリピータ41」とも称する。
【0056】
第1信号線D1に入力された第1の信号DataAは、第1クロック信号CLKAの立ち下がりエッジに応答して、第1インバートリピータ411に入力される。第1インバートリピータ411は、第1の信号DataAの反転信号を第1信号線D1に出力し、第1受信回路61が第1の信号DataAの反転信号を受信する。
【0057】
第2信号線D2に入力された第2の信号DataBは、第2クロック信号CLKBの立ち下がりエッジに応答して、第2インバートリピータ412に入力される。第2インバートリピータ412は、第2の信号DataBの反転信号を第2信号線D2に出力し、第2受信回路62が第2の信号DataBの反転信号を受信する。第2受信回路62が第2の信号DataBの反転信号を受信するタイミングは、第1受信回路61が第1の信号DataAの反転信号を受信するタイミングから基準クロック信号CLKの周期の半分ずれる。
【0058】
不揮発性メモリ2では、図4に示した制御回路50が、例えば、メモリコントローラ1から受信する信号/REおよび信号REに基づいて基準クロック信号CLKを生成し、基準クロック信号CLKの生成に基づいて第1クロック信号CLKAおよび第2クロック信号CLKBを生成する。例えば、基準クロック信号CLKの立ち上がりエッジから生成するパルスを第1クロック信号CLKAとし、基準クロック信号CLKの立ち下がりエッジから生成するパルスを第2クロック信号CLKBとする。この場合、制御回路50は、例えば、基準クロック信号CLKを分周する分周回路としての機能を有している。
【0059】
不揮発性メモリ2は、信号/REおよびREに同期させてメモリコントローラ1との間でデータを転送する。このため、制御回路50は、例えば信号/REおよびREを用いて、第1クロック信号CLKAおよび第2クロック信号CLKBを生成してもよい。
【0060】
制御回路50は、第1サイクルC1において第2信号線D2をフローティング状態にし、第2サイクルC2において第1信号線D1をフローティング状態にする。具体的には、制御回路50は、第1サイクルC1のうち第1クロック信号CLKAがオフした後の期間と、第2サイクルC2のうち第2クロック信号CLKBがオフした後の期間において、第1信号線D1と第2信号線D2のいずれもフローティング状態にする。
【0061】
インバートリピータ回路40は、イコライザ回路42を備える。イコライザ回路42は、フローティング状態の第1信号線D1の第1インバートリピータ411の前後の電位を平均化し、フローティング状態の第2信号線D2の第2インバートリピータ412の前後の電位を平均化する。これらの電位の平均化を、以下において「レベル調整」という。イコライザ回路42は、第1信号線D1と第2信号線D2のいずれもフローティング状態のときに、上記のレベル調整を行う。
【0062】
通常、フローティング状態の信号線の電位は、隣接する信号線との容量性カップリングの影響により変動しやすい。すなわち、フローティング状態の第1信号線D1の電位は、第2信号線D2の電位の影響を受ける。そして、フローティング状態の第2信号線D2の電位は、第1信号線D1の電位の影響を受ける。
【0063】
フローティング状態の信号線Dが容量性カップリングを介して他の信号線Dから影響を受けることにより、電源電流が増加し、回路の消費電力が増大する可能性がある。詳細は後述するが、イコライザ回路42は、この消費電力の増大をレベル調整によって抑制する。まず、イコライザ回路42の構成と動作について以下に説明する。
【0064】
既に説明したように、第1クロック信号CLKAに応答して、第1信号線D1に第1の信号DataAが入力される。第1クロック信号CLKAは、第1サイクルC1の前半にオンし、第1サイクルC1の前半にオフする。このため、第1サイクルC1の前半において、第1信号線D1に第1の信号DataAが入力される。制御回路50は、第1サイクルC1の後半において、第1信号線D1をフローティング状態にする。そして、イコライザ回路42は、第1サイクルC1の後半において第1信号線D1についてレベル調整を行う。
【0065】
また、第2クロック信号CLKBに応答して、第2信号線D2に第2の信号DataBが入力される。第2クロック信号CLKBは、第2サイクルC2の前半にオンし、第2サイクルC2の前半にオフする。このため、第2サイクルC2の前半において、第2信号線D2に第2の信号DataBが入力される。制御回路50は、第2サイクルC2の後半において、第2信号線D2をフローティング状態にする。そして、イコライザ回路42は、第2サイクルC2の後半において第2信号線D2についてレベル調整を行う。
【0066】
イコライザ回路42のレベル調整により、第1インバートリピータ411の前後の電位が一致し、第2インバートリピータ412の前後の電位が一致する。各サイクルにおいて、イコライザ回路42は、フローティング状態における信号線Dのインバートリピータ41の前後の電位を一致させるレベル調整を行う。
【0067】
イコライザ回路42は、図5に示すように、第1イコライザ421と第2イコライザ422を有する。第1イコライザ421は、イコライザ回路42によるレベル調整において、第1信号線D1の第1インバートリピータ411の前後を電気的に接続する。第2イコライザ422は、イコライザ回路42によるレベル調整において、第2信号線D2の第2インバートリピータ412の前後を電気的に接続する。第1イコライザ421および第2イコライザ422を「イコライザ420」とも称する。
【0068】
第1イコライザ421は、第1インバートリピータ411と並列に第1信号線D1に接続する。第1イコライザ421がオン状態のときに、第1信号線D1において第1インバートリピータ411の前後が電気的に接続する。このため、第1イコライザ421がオン状態になることにより、第1インバートリピータ411の前後間で電荷が移動する。電荷の移動により、第1信号線D1の第1インバートリピータ411の入力側に保持された電荷と出力側に保持された電荷が中和される。このように、第1イコライザ421を介して第1インバートリピータ411の前後で第1信号線D1が短絡することにより、第1インバートリピータ411の前後で第1信号線D1の電位が一致する。
【0069】
第2イコライザ422は、第2インバートリピータ412と並列に第2信号線D2に接続する。第2イコライザ422がオン状態のときに、第2信号線D2において第2インバートリピータ412の前後が電気的に接続する。このため、第2イコライザ422がオン状態になることにより、第2インバートリピータ412の前後間で電荷が移動する。電荷の移動により、第2信号線D2の第2インバートリピータ412の入力側に保持された電荷と出力側に保持された電荷が中和される。このように、第2イコライザ422を介して第2インバートリピータ412の前後で第2信号線D2が短絡することにより、第2インバートリピータ412の前後で第2信号線D2の電位が一致する。
【0070】
制御回路50は、EQ信号とEQ信号を反転した/EQ信号により、イコライザ420のオン動作およびオフ動作を制御する。EQ信号がオン、/EQ信号がオフの場合に、第1イコライザ421および第2イコライザ422はオン動作して、第1インバートリピータ411の前後が短絡し、第2信号線D2において第2インバートリピータ412の前後が短絡する。図6に示すように、第1クロック信号CLKAと第2クロック信号CLKBがいずれもオフのときにEQ信号がオンであり、このとき/EQ信号はオフである。
【0071】
なお、図6において、電位V_DataAおよび電位V_DataBの太線の実線は、信号が入力されたときの信号線Dの電位を示す。電位V_DataAおよび電位V_DataBの破線は、容量性カップリングを介した影響を受けるフローティング状態における信号線Dの電位を示す。電位V_DataAおよび電位V_DataBの矢印は、レベル調整による信号線Dの電位の変化を示す。図6において、電位Vd10はレベル調整された後の電位V_DataAであり、電位Vd20はレベル調整された後の電位V_DataBである。
【0072】
イコライザ420は、例えば、n型MOSトランジスタとp型MOSトランジスタにより構成されるトランスファーゲートである。或いは、イコライザ420をひとつのトランジスタによって構成してもよい。
【0073】
EQ信号と/EQ信号は、例えば、第1クロック信号CLKAと第2クロック信号CLKBを用いて、図7に示すように排他的論理和回路51とインバータ52の直列接続によって生成してもよい。すなわち、制御回路50は、第1クロック信号CLKAと第2クロック信号CLKBの排他的論理和としてEQ信号を生成し、EQ信号の論理値を反転して/EQ信号を生成してもよい。このように、制御回路50は、第1クロック信号CLKAと第2クロック信号CLKBを用いて、イコライザ回路42を制御する信号を生成してもよい。
【0074】
インバートリピータ回路40は、2本の隣接する信号線Dのうち一方の信号線Dを駆動している間は他方の信号線Dをフローティング状態にする。このため、隣接する他の信号線Dに対する容量性カップリングの影響を低減できる。更に、インバートリピータ回路40は、イコライザ回路42のレベル調整により、消費電力の増大を抑制する。
【0075】
以下に、イコライザ回路42のレベル調整による消費電力の抑制について説明する。上記では、インバートリピータ41を接続した信号線Dが2本である場合を説明した。しかし、インバートリピータ41を接続した信号線Dの本数は任意である。以下に、インバートリピータ41を接続した信号線Dが3本である場合について、図8を参照して、インバートリピータ回路40の動作を説明する。
【0076】
図8は実施形態に係るインバートリピータ回路40の回路図を示す。実施形態に係るインバートリピータ回路40は、少なくとも、配列された第1信号線D1、第2信号線D2および第3信号線D3と接続されている。第1信号線D1と第2信号線D2は相互に容量性カップリングを有し、第2信号線D2と第3信号線D3は相互に容量性カップリングを有する。
【0077】
図8に示すインバートリピータ回路40は、図5に示すインバートリピータ回路40に、第3信号線D3、第3インバートリピータ413、第3イコライザ423、第3受信回路63を追加した構成である。
【0078】
第1クロック信号CLKAがオンのときに、第3信号線D3に第3の信号DataCが入力される。第3信号線D3の途中に配置された第3インバートリピータ413は、第3の信号DataCの論理を反転させた反転信号を第3信号線D3に出力する。第3イコライザ423は、レベル調整によって、第3信号線D3の第3インバートリピータ413の前後を電気的に接続する。第3受信回路63は、第1クロック信号CLKAがHレベルのときに、第3の信号DataCの反転信号を受信する。
【0079】
第1クロック信号CLKAに応答して、第1信号線D1と第3信号線D3を信号が伝搬する。また、第2クロック信号CLKBに応答して、第2信号線D2を信号が伝搬する。
【0080】
図9に、クロック信号の電位、信号線Dの電位およびEQ信号の電位を示す。図9において、V_DataCは第3信号線D3の電位である。電位Vd30は、レベル調整された後の電位V_DataCである。
【0081】
図5は第1信号線D1および第2信号線D2を示している。これに対して、図8は第1信号線D1、第2信号線D2および第3信号線D3を示している。第1信号線D1と第2信号線D2の関係は、第3信号線D3と第2信号線D2の関係に相当する。図8のように第2信号線D2を挟んで第1信号線D1と第3信号線D3が配置されている構成を想定すると、中央の第2信号線D2の電位が隣接する両隣の信号線Dの電位の変化から受ける。
【0082】
図10に、インバートリピータ回路40を有さない、第1の比較例に係るリピータ回路を示す。以下に、図8に示した実施形態に係るインバートリピータ回路40の動作と、図10に示した第1の比較例に係るリピータ回路の動作を比較する。
【0083】
図10は、第1の信号DataAが入力される第1信号線D1と、第2の信号DataBが入力される第2信号線D2を示している。第1の信号DataAは第1受信回路61に受信され、第2の信号DataBは第2受信回路62に受信される。第1の比較例は、信号線Dでの信号の中継にノーマルバッファ71を使用している。「ノーマルバッファ」は、信号の論理値を反転させないバッファ回路である。
【0084】
図11に、図10に示す回路の動作例のタイミングチャートを示す。図11において、V_CLKは基準クロック信号CLKの電位、V_DataAは第1信号線D1の電位、V_DataBは第2信号線D2の電位である。第1の信号DataAは、基準クロック信号CLKの立ち上がりエッジに応答して、第1信号線D1に入力される。また、第2の信号DataBは、基準クロック信号CLKの立ち上がりエッジに応答して、第2信号線D2に入力される。すなわち、第1の信号DataAが送信されるタイミングと、第2の信号DataBが送信されるタイミングは一致する。
【0085】
図12に第1の比較例に係る信号線Dの配置を示す。第1信号線D1と第2信号線D2との間隔はSであり、第1信号線D1と第2信号線D2の間のカップリング容量はCである。間隔Sは、例えば回路の設計ルールの最小ピッチdであってもよい。
【0086】
図13に、図8に示した実施形態に係るインバートリピータ回路40に接続された信号線Dの配置を示す。第1信号線D1と第2信号線D2との間隔はSであり、第1信号線D1と第2信号線D2の間のカップリング容量はCである。また、第2信号線D2と第3信号線D3との間隔はSであり、第2信号線D2と第3信号線D3の間のカップリング容量はCである。第1信号線D1に第1の信号DataAが入力され、第3信号線D3に第3の信号DataCが入力される。第2信号線D2はフローティング状態である。
【0087】
また、図14に、第2の比較例に係る信号線Dの配置を示す。第2の比較例は、第1の比較例に基づいて第1信号線D1と第2信号線D2との間隔を2×Sに広げた配置を示す。第1信号線D1と第2信号線D2の間のカップリング容量は0.5×Cである。
【0088】
図15に、図12に示した第1の比較例に係る信号線Dの配置における電源電流の例、図13に示した実施形態に係る信号線Dの配置における電源電流の例、および、図14に示した第2の比較例に係る信号線Dの配置における電源電流の例を示す。図15では、信号線Dの電位の変化ごとにケース1~ケース4に場合を分けて、電源電圧Vccの電源線に流れる電源電流Ivccの値と、接地電圧Vssの電源線に流れる電源電流Ivssの値を示す。ただし、電源電流の大きさは、第1の比較例、実施形態、第2の比較例について相対的に示している。
【0089】
ケース1は、データを伝送する信号線のうち最も近くに配置される2つの信号線において、両信号線の電位が反対の方向に変化する例を示す。すなわち、ケース1では、第1の比較例および第2の比較例においては、第1信号線D1の電位V_DataAがHレベルからLレベルに変化し、第2信号線D2の電位V_DataBがLレベルからHレベルに変化する。実施形態においては、電位V_DataAがHレベルからLレベルに変化し、電位V_DataCがLレベルからHレベルに変化する。ケース1では、実施形態におけるフローティング状態の第2信号線D2の電位V_DataBは変化しない。図15で、フローティング状態の第2信号線D2の電位V_DataBを破線で示す(ケース2~4において同様。)。
【0090】
ケース2は、データを伝送する信号線のうち最も近くに配置される2つの信号線において、両信号線の電位が同じ方向に変化する例を示す。すなわち、ケース2では、第1の比較例および第2の比較例においては、電位V_DataAと電位V_DataBがHレベルからLレベルに変化する。実施形態においては、電位V_DataAと電位V_DataCがHレベルからLレベルに変化する。ケース2では、実施形態における第2信号線D2の電位V_DataBがHレベルからLレベルに変化する。
【0091】
ケース3は、データを伝送する信号線のうち最も近くに配置される2つの信号線において、両信号線のうち一方の電位が変化することで、両信号線間が同じ電位となる例を示す。すなわち、ケース3では、第1の比較例および第2の比較例においては、電位V_DataAがHレベルからLレベルに変化し、電位V_DataBがLレベルで一定である。実施形態においては、電位V_DataAがHレベルからLレベルに変化し、電位V_DataCがLレベルで一定である。ケース3では、実施形態における第2信号線D2の電位V_DataBがHレベルからLレベルに変化する。ただし、実施形態における電位V_DataBの変化は、他の信号線Dの電位の変化よりも小さい。これは、イコライザ回路42によるレベル調整によって、信号線D間の容量性カップリングの影響が低減されるためである。レベル調整による容量性カップリングの影響の低減の詳細は後述する。
【0092】
ケース4は、データを伝送する信号線のうち最も近くに配置される2つの信号線において、両信号線のうち一方の電位が変化することで、両信号線間が異なる電位となる例を示す。ケース4では、第1の比較例および第2の比較例においては、電位V_DataAがHレベルからLレベルに変化し、電位V_DataBがHレベルで一定である。実施形態においては、電位V_DataAがHレベルからLレベルに変化し、電位V_DataCがHレベルで一定である。ケース4では、実施形態においては電位V_DataBがHレベルからLレベルに変化する。ただし、イコライザ回路42によるレベル調整により、電位V_DataBの変化は小さい。
【0093】
図15において第1の比較例と実施形態を比較すると、ケース1において、電源電流Ivccおよび電源電流Ivssは、第1の比較例においては「2」であるのに対して実施形態においては「1」である。また、ケース3、4において、電源電流Ivccおよび電源電流Ivssは、第1の比較例においては「1」であるのに対して実施形態においては「0.5」である。このように、第1の比較例よりも実施形態において電源電流が小さい。その理由は、実施形態においては、第1の比較例と比べて、容量性カップリングの影響が略半分であるためである。実施形態に係るインバートリピータ回路40を用いた場合に、信号線D間における容量性カップリングの影響が小さいのは、第1信号線D1と第3信号線D3の間に配置された第2信号線D2がフローティング状態だからである。
【0094】
第2の比較例に係る構成を適用しても、第1の比較例の構成を適用する場合と比べて電源電流を低減することができる。図15に示すように、ケース1において、電源電流Ivccおよび電源電流Ivssは、第1の比較例においては「2」であるのに対して第2の比較例においては「1」である。また、ケース3、4において、電源電流Ivccおよび電源電流Ivssは、第1の比較例においては「1」であるのに対して第2の比較例においては「0.5」である。第2の比較例において信号線D間における容量性カップリングの影響が小さいのは、第1信号線D1と第2信号線D2の間隔が、第1の比較例の場合と比べて広いためである。しかし、第2の比較例に係る構成においては、信号線D間の間隔を広げるために、回路面積が増大する。一方実施形態に係る構成においては、第2の比較例に係る構成と比べて、信号線Dの間隔が半分でありながら、電源電流は同程度である。このように、実施形態に係るインバートリピータ回路40によれば、回路面積の増大を抑制し、かつ電源電流を低減できる。
【0095】
ところで、フローティング状態の信号線Dの電位は、隣接する信号線Dとの容量性カップリングの影響により変動しやすい。例えば、第1信号線D1および第3信号線D3の電位の変化の影響を受けて、フローティング状態の第2信号線D2の電位が変動する。
【0096】
以下に、図16に示すサイクル01の状態から図17に示すサイクル02の状態に、信号線Dの電位が変化する場合を検討する。図16および図17において、電位が変化する信号線Dを「on」、フローティング状態の信号線Dを「off」として示した。また、図16および図17の矢印は、信号線Dの電位の変化する方向を示す。つまり、図面で下向きの矢印はHレベルからLレベルに電位が変化することを示し、図面で上向きの矢印はLレベルからHレベルに電位が変化することを示す。上記の表示は、以下の図面において同様である。
【0097】
サイクル01では、第1信号線D1と第3信号線D3の電位がHレベルからLレベルに変化する場合に、容量性カップリングの影響により、フローティング状態の第2信号線D2の電位が低下する。ここで、フローティング状態の第2信号線D2の電位を、周囲の信号線Dからの影響がない場合を「0」、容量性カップリングの影響により低下した場合を「-1」とする。サイクル01では、第2信号線D2をフローティング状態にすることにより、先に述べたように電源電流を低減できる。
【0098】
サイクル01の次のサイクル02において、第1信号線D1と第3信号線D3をフローティング状態にし、第2信号線D2の電位をHレベルの「1」にする。このとき、サイクル01で第2信号線D2の電位が「0」であれば、第2信号線D2の電位を「1」だけ上昇させればよい。しかし、サイクル01において第2信号線D2の電位が「-1」に低下していると、第2信号線D2の電位を「1」にするために、第2信号線D2の電位を「2」だけ上昇させる必要がある。つまり、サイクル01で第2信号線D2をフローティング状態にすることにより、サイクル01では電源電流を抑制できるが、サイクル02では電源電流が増大する。
【0099】
上記のように、フローティング状態において電位が変動した信号線Dの電位を次のサイクルでHレベルやLレベルに設定する場合、当該信号線Dの初期状態によっては、すなわち前のサイクルの動作によっては、消費電力が増大する可能性がある。
【0100】
これに対し、イコライザ回路42を有するインバートリピータ回路40によれば、信号線Dをフローティング状態としている間に容量性カップリングを介して生じた電位変化を初期化することにより、次のサイクルでの電源電流の増大を抑制できる。以下に、図18図20を参照して、イコライザ回路42の動作を説明する。
【0101】
図18に示すサイクル1において、第1信号線D1と第3信号線D3の電位がHレベルからLレベルに変化する。このとき、第2信号線D2の電位は、第2インバートリピータ412の入力側で「0」から「-1」に低下し、第2インバートリピータ412の出力側で「1」から「2」に上昇する。サイクル1では、第1イコライザ421、第2イコライザ422および第3イコライザ423はオフ状態である。
【0102】
次に、図19に示すサイクル2において、第1信号線D1、第2信号線D2および第3信号線D3をフローティング状態にして、イコライザ回路42によるレベル調整を行う。すなわち、第1イコライザ421、第2イコライザ422および第3イコライザ423をオン状態にする。第2イコライザ422をオン状態にすることで、第2インバートリピータ412の前後で第2信号線D2の電位が「0.5」で一致する。
【0103】
その後、図20に示すサイクル3において、第1信号線D1および第3信号線D3がフローティング状態のまま、第2信号線D2の電位をHレベルに設定する。このとき、第2信号線D2の電位は、第2インバートリピータ412の入力側で「0.5」から「1」に上昇し、第2インバートリピータ412の出力側で「0.5」から「0」に低下する。このように、イコライザ回路42を有する回路では、第2信号線D2の変化させる電位の大きさを抑制できる。
【0104】
なお、サイクル3の後にも、イコライザ回路42によるレベル調整を行う。具体的には、第1信号線D1に接続する第1イコライザ421と第3信号線D3に接続する第3イコライザ423をオン状態にする。これにより、第1インバートリピータ411の前後での第1信号線D1の電位が一致し、第3インバートリピータ413の前後での第3信号線D3の電位が一致する。このため、第2信号線D2の電位の変化に起因して生じる第1信号線D1および第3信号線D3の電位の変動を低減できる。その結果、第1信号線D1および第3信号線D3の変化させる電位の大きさを抑制できる。
【0105】
上記のように、イコライザ回路42によるレベル調整により、他の信号線Dとの容量性カップリングによりインバートリピータ41の前半と後半で信号線Dにそれぞれ蓄積されている電荷を、イコライズする。その結果、信号線Dがフローティング状態であった期間(前のサイクル)に蓄積された電荷の影響による次のサイクルでの電源電流の増大を抑制できる。
【0106】
以上に説明したように、インバートリピータ回路40は、隣接する2本の信号線Dの一方をフローティング状態にすることにより、容量性カップリングの影響を低減する。その結果、半導体集積回路の面積を増大させずに電源電流を抑制できる。
【0107】
更に、イコライザ回路42は、レベル調整により、フローティング状態であった信号線Dについて、信号が入力される前にインバートリピータ41の前後の電位を平均化する。このため、フローティング状態の信号線Dに蓄積されたプラスの電荷とマイナスの電荷が、サイクルごとに相殺される。電荷が相殺されることにより、フローティング状態のときに信号線Dに生じた電位の変動が、信号が入力される次のサイクルで信号線Dに及ぼす影響が抑制される。その結果、電源電流の増大を抑制することができる。
【0108】
以上に説明したように、実施形態に係る半導体集積回路によれば、半導体集積回路の面積を増大させずに、すべてのサイクルで電源電流の増大を抑制して、半導体集積回路の消費電力を低減できる。
【0109】
ところで、図6に示すように、イコライザ420の動作を制御するEQ信号の周期は、基準クロック信号CLKの周期の半分である。しかし、不揮発性メモリ2のメモリセルアレイ21の動作速度よりも入出力回路22の動作速度は遅く設定される。入出力回路22の動作のサイクルは、例えば100MHz程度である。このため、EQ信号の周期が基準クロック信号CLKの周期の半分であっても、インバートリピータ回路40は安定して動作する。このように、半導体集積回路の信号線のうち、信号が伝搬する速度が相対的に遅い信号線にインバートリピータ回路40を配置してもよい。
【0110】
なお、インバートリピータ41の入力側と出力側とで信号線Dの寄生容量の大きさが近いほど、レベル調整によって、フローティング状態における信号線Dのインバートリピータ41の前後の電位を一致させられる。つまり、第1信号線D1の寄生容量の大きさが第1インバートリピータ411の前後で同等であり、第2信号線D2の寄生容量の大きさが第2インバートリピータ412の前後で同等であることが好ましい。例えば、信号線Dの全長にわたって信号線Dの寄生容量の大きさがほぼ一定である場合に、信号線Dの全長の中央付近にインバートリピータ41を配置する。
【0111】
<変形例>
図8に示した実施形態に係るインバートリピータ回路40では、信号線Dを信号が一方向に伝搬する場合を示した。しかし、信号が双方向に伝搬する信号線Dにインバートリピータ回路40を配置してもよい。インバートリピータ回路40により、信号が双方向に伝搬する信号線Dの場合にも、電源電流の増大を抑制し、半導体集積回路の消費電力を低減できる。
【0112】
例えば、不揮発性メモリ2のデータバスYIOを信号が双方向に伝搬する場合に、インバートリピータ回路40により電源電流の増大を抑制できる。以下において、入出力回路22からセンスアンプ31に信号が伝搬する場合を「データイン」と称する。一方、センスアンプ31から入出力回路22に信号が伝搬する場合を「データアウト」と称する。
【0113】
図21に、実施形態の変形例に係るインバートリピータ回路40Aおよび40Bの回路構成を示す。変形例のインバートリピータ回路40Aおよび40Bは、信号線Dを信号が双方向に伝搬する。図21において、紙面の左から右の方向を「第1方向R1」、右から左の方向を「第2方向R2」とする。例えば、第1方向R1はデータインの場合の信号の進行方向であり、第2方向R2はデータアウトの場合の信号の進行方向である。
【0114】
図21に示した変形例に係る構成においては、信号DataA1が第1信号線D1を第1方向R1に進行し、信号DataA2が第1信号線D1を第2方向R2に進行する。信号DataB1が第2信号線D2を第1方向R1に進行し、信号DataB2が第2信号線D2を第2方向R2に進行する。
【0115】
変形例に係る構成においては、第1信号線D1と第2信号線D2に、第1回路401、第2回路402および第3回路403を直列接続した構成のインバートリピータ回路40が配置されている。図21に、第1信号線D1の途中に配置したインバートリピータ回路40を第1インバートリピータ回路40A、第2信号線D2の途中に配置したインバートリピータ回路40を第2インバートリピータ回路40Bと示した。
【0116】
第1回路401は、信号が第1方向R1に伝搬するノーマルバッファN11と、信号が第2方向R2に伝搬するノーマルバッファN12を、逆並列に接続した構成を有する。第2回路402は、信号が第1方向R1に伝搬するインバートリピータ4111、信号が第2方向R2に伝搬するインバートリピータ4112、および、イコライザ4201を並列接続した構成を有する。第3回路403は、信号が第1方向R1に伝搬するノーマルバッファN31と、信号が第2方向R2に伝搬するノーマルバッファN32を、逆並列に接続した構成を有する。
【0117】
第1クロック線CA1を伝搬するクロック信号CLKA_DINに応答して、第1インバートリピータ回路40Aを信号DataA1が第1方向R1に進行する。また、第2クロック線CA2を伝搬するクロック信号CLKA_DOUTに応答して、第1インバートリピータ回路40Aを信号DataA2が第2方向R2に進行する。一方、第3クロック線CB1を伝搬するクロック信号CLKB_DINに応答して、第2インバートリピータ回路40Bを信号DataB1が第1方向R1に進行する。そして、第4クロック線CB2を伝搬するクロック信号CLKB_DOUTに応答して、第2インバートリピータ回路40Bを信号DataB2が第2方向R2に進行する。
【0118】
クロック信号CLKA_DINは、第1のAND回路81が、第1クロック信号CLKAと信号DINの論理積として生成する。クロック信号CLKA_DOUTは、第2のAND回路82が、第1クロック信号CLKAと信号DOUTの論理積として生成する。一方、クロック信号CLKB_DINは、第3のAND回路83が、第2クロック信号CLKBと信号DINの論理積として生成する。クロック信号CLKB_DOUTは、第4のAND回路84が、第2クロック信号CLKBと信号DOUTの論理積として生成する。
【0119】
信号線Dを伝搬する信号が第1方向R1に進行する場合に、制御回路50は、信号DINをHレベルかつ信号DOUTをLレベルにする。信号線Dを信号が第2方向R2に進行する場合に、制御回路50は、信号DINをLレベルかつ信号DOUTをHレベルにする。これにより、変形例に係る構成においては、信号が信号線Dを双方向に伝搬する。そして、第1クロック信号CLKAがオンするタイミングと第2クロック信号CLKBがオンするタイミングは、基準クロック信号CLKの周期の半分ずれている。このため、第1信号線D1の電位が変化するタイミングと第2信号線D2の電位が変化するタイミングを、基準クロック信号CLKの周期の半分ずらすことができる。
【0120】
既述のように、データアウトの場合は、制御回路50は、信号/REおよびREを用いてインバートリピータ回路40を制御する制御信号を生成してもよい。一方、データインの場合は、制御回路50が、信号DQSおよび/DQSに基づいてインバートリピータ回路40を制御する制御信号である信号DINおよび信号DOUTを生成してもよい。
【0121】
(その他の実施形態)
以上の説明では、不揮発性メモリ2がNANDフラッシュメモリである場合を説明したが、不揮発性メモリ2が他の型式のメモリデバイスであってもよい。また、本発明の実施形態は不揮発性メモリ以外の半導体集積回路であってもよい。
【0122】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、書き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0123】
1…メモリコントローラ
2…不揮発性メモリ
21…メモリセルアレイ
22…入出力回路
24…ロジック制御回路
31…センスアンプ
40…インバートリピータ回路
42…イコライザ回路
50…制御回路
411…第1インバートリピータ
412…第2インバートリピータ
413…第3インバートリピータ
421…第1イコライザ
422…第2イコライザ
423…第3イコライザ
D1…第1信号線
D2…第2信号線
D3…第3信号線
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図13
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図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21