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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022127344
(43)【公開日】2022-08-31
(54)【発明の名称】印刷装置及び取除ユニット
(51)【国際特許分類】
   B41F 35/06 20060101AFI20220824BHJP
   B41F 17/14 20060101ALI20220824BHJP
   B41F 3/20 20060101ALI20220824BHJP
   H05K 3/20 20060101ALI20220824BHJP
【FI】
B41F35/06
B41F17/14 E
B41F3/20 C
H05K3/20 Z
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021025436
(22)【出願日】2021-02-19
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】000145286
【氏名又は名称】株式会社写真化学
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】北澤 裕之
【テーマコード(参考)】
2C250
5E343
【Fターム(参考)】
2C250FA09
2C250FB18
5E343AA02
5E343BB23
5E343BB24
5E343BB25
5E343BB28
5E343BB44
5E343BB48
5E343BB72
5E343DD02
5E343DD56
5E343FF08
5E343GG11
5E343GG20
(57)【要約】
【課題】転写ドラムの転写面に残留する導電性インクを、溶剤を使用することなく取り除くことができる取除ユニットが備えられた印刷装置を提供する。
【解決手段】転写面13aを有し、当該転写面13aに製膜された導電性インクを基材に対して転写する転写ドラム13と、基材に対して導電性インクを転写した後に転写面13aに残留する導電性インクを当該転写面から取り除く取除ユニット20とが備えられた印刷装置であって、取除ユニット20は、転写面13aに残留する導電性インクに接触する取除面22aを有し、当該取除面22aにおいて導電性インクを転写面13aから取り除くローラ22と、取除面22aに取り除かせた導電性インクを当該取除面22aから浄化する浄化機構23と、を備え、ローラは少なくとも取除面22aがガラスから構成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
転写面を有し、当該転写面に製膜された導電性インクを基材に対して転写する転写ドラムと、
前記基材に対して前記導電性インクを転写した後に前記転写面に残留する前記導電性インクを当該転写面から取り除く取除ユニットとが備えられた印刷装置であって、
前記取除ユニットは、
前記転写面に残留する前記導電性インクに接触する取除面を有し、当該取除面において前記導電性インクを前記転写面から取り除くローラと、
前記取除面に取り除かせた前記導電性インクを当該取除面から浄化する浄化機構とを備え、
前記ローラは少なくとも前記取除面がガラスから構成されていることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記浄化機構は、前記取除面に取り除かせた前記導電性インクを前記取除面から刮取る刮取手段、払い落とす払落手段、又は撫で落とす撫落手段から構成され、
前記刮取手段、前記払落手段、又は前記撫落手段の前記取除面に対する接触部は、前記取除面を構成する前記ガラスよりも硬度の低い材料から形成されている請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記取除ユニットは、前記浄化機構を帯電させる帯電機構を備えている請求項1又は2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記取除ユニットは、前記ローラによる前記導電性インクの取除及び前記浄化機構による前記導電性インクの浄化が行われる空間を覆うハウジングと、当該ハウジングの内部の空気を吸引する吸引機構とを備えている請求項1から3のいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記取除ユニットは、前記浄化機構によって前記導電性インクが浄化された前記ローラを除電する除電機構を備えている請求項1から4のいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記導電性インクは、導電性粒子である銀粒子を溶媒に分散させて構成されている請求項1から5のいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記転写ドラムの転写幅よりも狭い取除幅を有する第二ローラと、
前記第二ローラを移動させるためのモータと、
前記基材に対して前記導電性インクが転写される前に、予め定められたパターンニングのレイアウトに応じて前記モータを制御して前記第二ローラを移動させることにより、前記転写ドラムに製膜された前記導電性インクの一部を前記転写ドラムから除去するパターンニングを行う制御部と、
を更に備えている請求項1から6のいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項8】
転写面を有し、当該転写面に製膜された導電性インクを基材に対して転写する転写ドラムが前記基材に対して前記導電性インクを転写した後に、前記転写面に残留する前記導電性インクを当該転写面から取り除く取除ユニットであって、
前記転写面に残留する前記導電性インクに接触する取除面を有し、当該取除面において前記導電性インクを前記転写面から取り除くローラを備え、
前記ローラは少なくとも前記取除面がガラスから構成されていることを特徴とする取除ユニット。
【請求項9】
前記取除面に取り除かせた前記導電性インクを当該取除面から浄化する浄化機構を備えている請求項8に記載の取除ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、転写面を有し、当該転写面に製膜された導電性インクを基材に対して転写する転写ドラムと、前記基材に対して前記導電性インクを転写した後に前記転写面に残留する前記導電性インクを当該転写面から取り除く取除ユニットとが備えられた印刷装置、及び、前記取除ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示されるような、電子デバイス用途を目的とした高精度な印刷装置は、導電性粒子を溶剤に分散させて構成される導電性インクを転写ドラムの転写面に面状に製膜し、当該製膜された導電性インクが転写ドラムから基板等の対象物に転写されるように構成されている。
【0003】
また、従来の印刷装置として、前回の印刷において転写されずに残留する導電性インクを当該転写ドラムから取り除くことにより、新たな導電性インクの製膜の不良の低減するものがあった。この印刷装置において、粘着面を有するシリコーンゴムローラを使用して、転写面に残留した導電性インクを取り除いていた。
【0004】
シリコーンゴムローラの粘着面は、導電性インクを粘着させるたびに、新たな導電性インクを取り除く性能が大幅に低下してしまうため、使用のたびに溶剤等によって洗浄される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-155284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、転写ドラムの転写面に残留する導電性インクを、溶剤を使用することなく連続的に取り除くことができる取除ユニットが備えられた印刷装置及び取除ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
しかし、このように洗浄されたシリコーンゴムローラは、再び使用するまでに乾燥させる時間が必要であり、また、洗浄に用いた溶剤の廃棄処理などの環境負荷への配慮が必要であるといった問題があった。
【0008】
また、シリコーンゴムローラは、導電性インクを取り除く性能の確保のために粘着力を増加させるほど導電性インクに含まれる導電性粒子が浸潤しやすく、洗浄の際に用いる溶剤等により膨潤する。よって、シリコーンゴムローラは、導電性インクを取り除く性能が経時的に低下するので、取り換える頻度が高くなるという問題点があった。
【0009】
本開示の一実施形態に係る印刷装置の構成は、転写面を有し、当該転写面に製膜された導電性インクを基材に対して転写する転写ドラムと、前記基材に対して前記導電性インクを転写した後に前記転写面に残留する前記導電性インクを当該転写面から取り除く取除ユニットとが備えられた印刷装置であって、前記取除ユニットは、前記転写面に残留する前記導電性インクに接触する取除面を有し、当該取除面において前記導電性インクを前記転写面から取り除くローラと、前記取除面に取り除かせた前記導電性インクを当該取除面から浄化する浄化機構とを備え、前記ローラは少なくとも前記取除面がガラスから構成されている。
【0010】
導電性インクとは、導電性粒子を溶媒に分散させて構成されたインクである。導電性インクに含有される導電性粒子としては、例えば、半田、ニッケル、金、銀、銅等の金属粒子、金属(ニッケル、金、銀、パラジウム、アルミニウム、銅等)で被覆(メッキ)された樹脂粒子等の有機フィラー、金属(ニッケル、金、銀、パラジウム、アルミニウム、銅等)で被覆(メッキ)された、ガラス粒子、セラミック粒子等の無機フィラーなどが挙げられる。
【0011】
これらの導電性粒子は、帯電列においてガラスに対し負極側に帯電する特性を有するものである。ガラスは、帯電列において導電性粒子よりも正極側に帯電する。したがって、転写ドラムの転写面に残留している導電性インクに、ローラの取除面が接触することによって、転写ドラムの転写面に残留している導電性インクは負極側に帯電し、ローラの取除面はガラスから構成されていることから正極側に帯電する。よって、当該導電性インクは転写面からクーロン力によってローラの取除面へと転写される。
【0012】
従来のシリコーンゴムローラのように粘着性を利用して転写ドラムから導電性インクを取り除く構成であるときは、シリコーンゴムローラの表面を転写ドラムに対し弾性変形範囲内で接触面積を得られる押付力にて押し付ける必要(押付幅で数ミリメートルの変形を伴う)があったため、転写ドラムの転写面にはシリコーンゴムローラからの物理的な負荷がかかっていた。これに対して、取除面がガラスから構成された当該ローラは、ガラスの表面が均等に接触する押付力で転写ドラムに押し付ける必要がないため、転写ドラムにかかる負荷が低減され、したがって転写ドラムの長寿命化が可能となる。
【0013】
ローラの取除面を構成するガラスとしては、形状安定性及び耐損耗性に優れ、また、転写ドラムへの影響が少ないものが好ましく、例えば無アルカリガラス、耐熱ガラス、石英が挙げられる。ローラは、少なくとも取除面がガラスであればよい。さらに、ローラは中空構造であっても中実構造であってもよい。
【0014】
なお、ローラの取除面は、転写ドラムの転写面の転写幅以上の取除幅を有することが好ましい。例えば転写ドラムの転写面の全幅に亘って導電性インクを面状に製膜するようなときであっても、当該転写幅以上の取除幅を有するローラの取除面により、転写ドラムの転写面は全幅に亘り導電性インクが取り除かれる。
【0015】
導電性インクは、導電性粒子を溶媒に分散させて構成されていることから、スリットダイから転写ドラムの転写面に面状に製膜された直後から溶媒が揮発しはじめる。導電性インクは、ローラに到達するころには半乾き状態であり、ローラの取除面に取り除かせたときには概ね乾燥状態である。したがって、当該ローラの浄化のために溶媒等を用いなくても、当該取除面から容易に剥離させることができる。したがって、溶剤等を用いる場合の問題、すなわちローラを再び使用するまでに必要な乾燥時間や、浄化廃液の処理などの環境負荷が発生しない。
【0016】
本開示に係る印刷装置の更に別の構成は、前記浄化機構は、前記取除面に取り除かせた前記導電性インクを前記取除面から刮取る刮取手段、払い落とす払落手段、又は撫で落とす撫落手段から構成され、前記刮取手段、前記払落手段、又は前記撫落手段の前記取除面に対する接触部は、前記取除面を構成する前記ガラスよりも硬度の低い材料から形成されている。
【0017】
転写ドラムの転写面からローラの取除面に取り除かれた導電性インクは乾燥状態であるため、前記刮取手段、前記払落手段、又は前記撫落手段により容易に浄化することができる。前記取除面に対する接触部が、ガラスよりも硬度が低い材料から構成されていることから、当該ガラスから導電性インクを刮取り、払い落し、又は撫で落としする際に当該接触部によってガラスの取除面を傷つけてしまう虞がない。
【0018】
なお、刮取手段はスクレイパーが例示できる。払落手段はブラシが例示できる。また、撫落手段はスポンジが例示できる。当該スクレイパー、ブラシ、及び、スポンジはローラに対する所定の位置に固定的に設けられていてもよいし、ローラと同じ方向又は逆の方向に回転する浄化ローラの表面に設けられていてもよい。当該浄化ローラの回転方向、ないし、周速度を調節することによって、浄化効率を変化させることができる。
【0019】
本開示に係る印刷装置の更に別の構成は、前記取除ユニットは、前記浄化機構を帯電させる帯電機構を備えている。
【0020】
上記構成によれば、帯電機構によって前記刮取手段、前記払落手段、又は前記撫落手段を帯電させることにより、前記ローラの取除面から、前記導電性インクをクーロン力により更に浄化することができる。
【0021】
本開示に係る印刷装置の更に別の構成は、前記取除ユニットは、前記ローラによる前記導電性インクの取除及び前記浄化機構による前記導電性インクの浄化が行われる空間を覆うハウジングと、当該ハウジングの内部の空気を吸引する吸引機構とを備えている。
【0022】
上記構成によれば、吸引機構によって、導電性インクの取除や浄化が行われる空間を覆うハウジングの内部の空気を吸引することによって、乾燥状態である導電性インクが当該空間から外部へと自由に飛散することを回避しながら、当該導電性インクを回収することができる。なお、回収された前記導電性インクは、別途再利用が可能となる。
【0023】
従来のような溶剤等を用いることがなく、乾燥状態のまま導電性インクの回収を行うことができるため、浄化に用いた溶剤の廃棄処理などの環境負荷への配慮が不要である。
【0024】
本開示に係る印刷装置の更に別の構成は、前記取除ユニットは、前記浄化機構によって前記導電性インクが浄化された前記ローラを除電する除電機構を備えている。
【0025】
ローラから導電性インクを浄化する際に、当該ローラが摩擦帯電し、転写ドラムからの導電性インクの取除に影響を及ぼす場合、上記構成によれば、除電機構によって、導電性インクが浄化されたローラを除電することができる。これにより、ローラの帯電が、転写ドラムからの導電性インクの取除や、浄化機構によるローラの浄化の妨げとなるような事態の発生を低減することができる。
【0026】
なお、除電機構は、ガラスの取除面に接触する除電ブラシが例示でき、当該除電ブラシは、カーボンを混練した樹脂や樹脂に金属膜をコートしたような導電性樹脂又はステンレス鋼や銅などの金属のような導電性材料から構成されることが好ましい。なお、当該除電ブラシはアースラインに接続される。
【0027】
除電ブラシの線径を細く構成することにより、単位面積あたりの密度を上げることができる。これにより、浄化機構によって完全に浄化できなかった導電性インク及び/又はローラの静電気の帯電により吸着されたパーティクルを、クーロン力を使用しない態様によって、物理的に浄化することができる。
【0028】
除電ブラシはローラに対する所定の位置に固定的に設けられていてもよいし、ローラと同じ方向又は逆の方向に回転する除電ローラに設けられていてもよい。これにより、除電ブラシは連続的に、ローラの除電のみならず、浄化機構によって浄化し損ねた導電性インク、及び/又はパーティクルをローラから物理的に浄化することもできる。
【0029】
本開示に係る印刷装置の更に別の構成は、前記導電性インクは、導電性粒子である銀粒子を溶媒に分散させて構成されている。
【0030】
帯電列において、銀粒子は負極側に帯電するため、正極側に帯電するガラスによって効率よく取り除かれる。
【0031】
本開示に係る印刷装置の更に別の構成は、前記転写ドラムの転写幅よりも狭い取除幅を有する第二ローラと、前記第二ローラを移動させるためのモータと、前記基材に対して前記導電性インクが転写される前に、予め定められたパターンニングのレイアウトに応じて前記モータを制御して前記第二ローラを移動させることにより、前記転写ドラムに製膜された前記導電性インクの一部を前記転写ドラムから除去するパターンニングを行う制御部とを更に備えている。
【0032】
上記構成によれば、印刷後に残った不要な導電性インクを転写ドラムから除去するだけでなく、印刷前に印刷が不要なエリアの導電性インクを転写ドラムから除去することができる。
【0033】
本開示の一実施形態に係る取除ユニットの構成は、転写面を有し、当該転写面に製膜された導電性インクを基材に対して転写する転写ドラムが前記基材に対して前記導電性インクを転写した後に、前記転写面に残留する前記導電性インクを当該転写面から取り除く取除ユニットであって、前記転写面に残留する前記導電性インクに接触する取除面を有し、当該取除面において前記導電性インクを前記転写面から取り除くローラを備え、前記ローラは少なくとも前記取除面がガラスから構成されている。
【0034】
上述のように導電性粒子は、帯電列においてガラスよりも負極側に帯電し、ガラスは、帯電列において導電性粒子よりも正極側に帯電する。したがって、転写ドラムの転写面に残留している導電性インクに、ローラの取除面が接触することによって、転写ドラムの転写面に残留している導電性インクは負極側に帯電し、ローラの取除面はガラスから構成されていることから正極側に帯電する。よって、当該導電性インクは転写面からクーロン力によってローラの取除面へと取り除かれる。
【0035】
従来のシリコーンゴムローラのように粘着性を利用して転写ドラムから導電性インクを取り除く構成であるときは、シリコーンゴムローラを転写ドラムに押し付ける必要があったため、転写ドラムの転写面にはシリコーンゴムローラからの物理的な負荷がかかっていた。これに対して、取除面がガラスから構成された当該ローラは、転写ドラムの表面に対しガラスの表面が接触する条件が成立する程度の押し付けとなる為、転写ドラムに大きな弾性変形を伴う押付力で押し付ける必要がないため、転写ドラムに係る負荷が低減され、したがって転写ドラムの長寿命化が可能となる。
【0036】
ローラの取除面を構成するガラスとしては、形状安定性及び耐損耗性に優れ、また、転写ドラムへの影響が少ないものが好ましく、例えば無アルカリガラス、耐熱ガラス、石英が挙げられる。ローラは、少なくとも取除面がガラスであればよい。さらに、ローラは中空構造であっても中実構造であってもよい。
【0037】
なお、ローラの取除面は、転写ドラムの転写面の転写幅以上の取除幅を有することが好ましい。例えば転写ドラムの転写面の全幅に亘って導電性インクを面状に製膜するようなときであっても、当該転写幅以上の取除幅を有するローラの取除面により、転写ドラムの転写面は全幅に亘り導電性インクが取り除かれる。
【0038】
本開示に係る取除ユニットの更なる特徴構成は、前記取除面に取り除かせた前記導電性インクを当該取除面から浄化する浄化機構を備えている。
【0039】
導電性インクは、導電性粒子を溶媒に分散させて構成されていることから、スリットダイから転写ドラムの転写面に面状に製膜された直後から溶媒が揮発しはじめる。導電性インクは、ローラに到達するころには半乾き状態であり、ローラの取除面に取り除かせたときには概ね乾燥状態である。したがって、当該ローラの浄化のために溶媒等を用いなくても、当該取除面から容易に剥離させることができる、したがって、溶剤等を用いる場合の問題、すなわちローラを再び使用するまでに必要な乾燥時間や、浄化廃液の処理などの環境負荷が発生しない。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1図1は、印刷装置の概略図である。
図2図2は、取除ユニットの説明図である。
図3図3は、制御部による制御の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下に、本開示に係る印刷装置を図に基づいて説明する。
【0042】
図1に示すように、印刷装置10は、基体11と、この基体11に設けられた載置台12と、載置台12の上方に配置され、円筒状の転写面13aを有する転写ドラム13と、転写ドラム13に対して導電性インクを供給するスリットダイ14と、当該印刷装置10の各部を制御する制御部31(図3参照)とを備えている。本実施形態においては、導電性インクは、導電性粒子としての銀ナノ粒子(銀粒子の一例)を、溶媒として例えば80vol%の有機溶剤に分散させて構成されている。
【0043】
転写ドラム13は、円筒状の外表面と、水平、かつ、下記の載置台12の長手方向に垂直な回転軸とを有し、当該回転軸の回転軸心の周りに回転可能に軸支されている。
【0044】
転写ドラム13は、当該転写ドラム13を回転軸心の周りに回転させるドラムモータ32(図3参照)に接続されており、ドラムモータ32は制御部31からの制御により、転写ドラム13を所定の周速度により回転させる。制御部31は、当該転写ドラム13の回転及び載置台12の移動、並びに、当該転写ドラム13の周速度及び載置台12の移動速度を、互いの対向面が同じ速度となるように制御する。これに代えて、制御部31は、転写ドラム13の周速度と移動速度が一致するように、転写ドラム13の回転及び移動を制御してもよい。
【0045】
制御部31は、例えば、プロセッサ回路、プロセッサ回路によって実行されるプログラムを記録したメモリを備えている。プロセッサ回路は、メモリに記録されたプログラムを読み込んで実行することにより、制御処理を行う。
【0046】
さらに、前記回転軸の両端には、転写ドラム13を水平移動させるためのモータを有する移動装置34(図3参照)や、転写ドラム13を昇降させるためのモータを有する昇降装置35(図3参照)が設けられている。制御部31は、移動装置34や昇降装置35をそれぞれ水平、鉛直方向に独立に駆動することで転写ドラム13の傾きを制御可能となっている。
【0047】
転写ドラム13は、スリットダイ14(製膜用ノズルの一例)から供給された導電性インクから構成される製膜15を保持した状態で、回転軸心の周りに回転自在に、かつ、載置台12に対して近接離間移動自在に横架して配置されている。
【0048】
基体11には、水平駆動手段16が設けられている。制御部31は、水平駆動モータ33(図3参照)を有する水平駆動手段16を駆動して、載置台12は基体11の上を水平方向に任意の速度で移動させることができる。
【0049】
載置台12には、載置台支持部17が設けられており、これにより載置台12は所定の姿勢、例えば水平姿勢になるように支持される。載置台12の上面に、印刷対象である基材18が載置される。
【0050】
転写ドラム13及びスリットダイ14は、基体11に設けられた一対のアーム36(図3参照)に横架支持されている。アーム36は伸縮用のモータを有し、制御部31は、当該モータを駆動してアーム36を伸縮させることによって転写ドラム13及びスリットダイ14の高さが調節可能となっている。
【0051】
スリットダイ14により、導電性インクを転写ドラム13の転写面13aに供給し、導電性インクの製膜15を形成する。転写ドラム13の転写面13aに供給されて面状に製膜された導電性インクは、圧接機構により基材18に圧接されることにより、当該製膜15は、転写面13aから基材18に転写され、基材18に所定の配線が印刷される。
【0052】
製膜15を基材18に対して転写した後に、転写ドラム13の転写面13aには、印刷に用いられなった導電性インクが残留する。印刷装置10は、当該転写面13aに残留する導電性インクを当該転写面13aから取り除くために取除ユニット20を備えている。
【0053】
取除ユニット20は、例えば、転写ドラム13に対する距離や姿勢が調節可能な態様により、転写ドラム13やスリットダイ14とともにアーム36に設けられている。
【0054】
図2に示すように、取除ユニット20は、ハウジング21の内部に、円筒状の取除面22aを有するローラ22と、浄化機構23と、帯電機構24と、除電機構25と、当該ハウジング21の内部の空気を吸引する吸引機構26とを備えている。
【0055】
ローラ22は、導電性インクを転写面13aから取り除くためのものであって、回転軸心の周りに回転自在に、かつ、転写ドラム13に対して近接離間移動自在に横架して配置されている。なお、ローラ22は、中空構造であっても中実構造であってもよい。
【0056】
ローラ22は、円筒状の外表面である取除面22aと、転写ドラム13の回転軸心と平行な回転軸心を有する回転軸22bとを有し、当該回転軸22bの回転軸心の周りに回転可能に軸支されている。
【0057】
ローラ22は、当該ローラ22を回転軸心の周りに回転させるローラモータ37(図3参照)に接続されており、ローラモータ37は制御部31からの制御により、ローラ22を所定の周速度により回転させる。制御部31は、転写ドラム13の回転及びローラ22の回転、並びに、当該転写ドラム13の周速度及びローラ22の周速度を、互いの対向面が同じ速度となるように制御する。
【0058】
或いは、制御部31は、ローラ22を転写ドラム13に接触させている時は、ローラ22をローラモータ37からクラッチ等により切り離してもよい。この場合、ローラ22は、転写ドラム13に対し連れまわるように構成されている。制御部31は、ローラ22と転写ドラム13の接触を外し、クラッチを切り替えてローラ22をローラモータ37により駆動し、ローラ22の表面に残ったインクを浄化機構23により浄化する。これにより、転写ドラム13の周速度及びローラ22の周速度を、互いの対向面が同じ速度となるように精度よく制御する必要が無くなる。
【0059】
ローラ22の取除面22aはその一部がハウジング21に設けられた開口21aから外方に位置し、当該外方に位置する部分において転写ドラム13の転写面13aに対して、製膜15の厚み程度の間隔をあけて近接する。
【0060】
取除面22aは、転写面13aの、軸心方向に沿った転写幅の全幅に対応した取除幅を有している。取除面22aが、転写面13aに残留する導電性インクに接触して、当該導電性インクを転写面13aから当該取除面22aに取り除く。なお、上述のように、導電性インクは、導電性粒子としての銀ナノ粒子を、溶媒として例えば80vol%の有機溶剤に分散させて構成されている。したがって、当該導電性インクは、スリットダイ14から転写ドラム13の転写面13aに面状に製膜された直後から溶媒が揮発しはじめ、ローラ22に到達するころには半乾き状態ないし乾燥状態となっている。
【0061】
更に第二ローラ及び第二ローラを移動させるためのモータを設けてもよい。第二ローラは、転写ドラム13の転写幅よりも狭い取除幅を有する。また、第二ローラ及びモータを含む第二除去ユニットを設けてもよい。第二ローラ及び第二除去ユニットの構成は、除去幅を除き、ローラ22及び取除ユニット20と同様である。制御部31は、基材18に対して導電性インクが転写される前に、予め定められたパターンニングのレイアウトに応じてモータを制御して第二ローラを移動させる。これにより、制御部31は、転写ドラム13に製膜された導電性インクの一部を転写ドラム13から除去するパターンニングを行う。制御部31は、例えば、第二ローラを軸方向に移動させる。また、制御部31は、例えば、第二ローラを転写ドラム13から離れる方向及び近づく方向に移動させる。
【0062】
第二ローラは、転写ドラム13を挟んでローラ22と対向する位置で導電性インクの除去を行ってもよい。或いは、制御部31は、ローラ22と同じ位置にローラ22と入れ替わりで第二ローラを移動させ、導電性インクの除去を行ってもよい。この場合、制御部31は、転写ドラム13に製膜された導電性インクが基材18に転写されない位置に転写ドラム13を移動させ、パターンニングが終わった後で、転写ドラム13を基材18の転写用の位置に移動させる。
【0063】
本実施形態においては、ローラ22の取除面22aは、無アルカリガラス(OA-10G、OA-11等)から構成されている。ただし、ローラ22の取除面22aは、形状安定性及び耐損耗性に優れ、また、転写ドラム13への影響が少ないものであればよく、例えば、耐熱ガラス(石英ガラス(非結晶のSiO)、ホウケイ酸ガラス(パイレックス(登録商標)等)、アルミノケイ酸ガラス等)、石英(結晶のSiO)などから構成されていてもよい。
【0064】
上述のように導電性インクには、導電性粒子である銀ナノ粒子が含有されている。帯電列において、銀ナノ粒子は負極側に帯電するのに対して、取除面22aを構成する無アルカリガラスは正極側に帯電する。
【0065】
転写ドラム13の転写面13aに残留している導電性インクに、ローラ22の取除面22aが接触することによって、転写ドラム13の転写面13aに残留している導電性インクは負極側に帯電し、ローラ22の取除面22aは無アルカリガラスから構成されていることから正極側に帯電する。したがって、転写ドラム13の転写面13aに残留している導電性インクは、転写面13aからクーロン力によって取除面22aへと取り除かれる。
【0066】
浄化機構23は、ローラ22の取除面22aに取り除かせた導電性インクを当該取除面22aから浄化するために設けられている。
【0067】
浄化機構23は、取除面22aに取り除いた導電性インクを取除面22aから払い落とす払落手段としてのブラシ23aが、浄化ローラ23bの表面に設けられて構成されている。本実施形態においては、ブラシ23aが設けられた浄化ローラ23bが二つ設けられている。
【0068】
各浄化ローラ23bは、円筒状の外表面と、ローラ22の回転軸心と平行な回転軸心を有する回転軸とを有し、当該回転軸の回転軸心の周りに回転可能に軸支されている。したがって、転写ドラム13の回転軸心、ローラ22の回転軸心、及び各浄化ローラ23bの回転軸心は、互いに平行である。
【0069】
各浄化ローラ23bは、各浄化ローラ23bを回転軸心の周りに回転させる浄化ローラモータ38(図3参照)に接続されており、浄化ローラモータ38は制御部31からの制御により、各浄化ローラ23bを所定の周速度により回転させる。
【0070】
ブラシ23aは、取除面22aに対する接触部が、取除面22aを構成する無アルカリガラスよりも硬度の低い材料、例えば樹脂又はエラストマから形成されている。浄化ローラ23bは、回転軸心の周りに回転自在に、かつ、ローラ22に対して近接離間移動自在に横架して配置されている。
【0071】
制御部31は、浄化ローラ23bの周速度、及び、回転方向を制御可能となっている。本実施形態においては、制御部31は、浄化ローラ23bを、ローラ22と同じ方向に回転するように制御する。これにより、浄化ローラ23bに設けられているブラシ23aは、ローラ22の取除面22aに対して、対向する方向に移動しながら当接することとなる。導電性インクは、転写ドラム13の転写面13aからローラ22の取除面22aに取り除かせたときには概ね乾燥状態であるため、当該導電性インクはローラ22の取除面22aからブラシ23aにより容易に払い落とされ粉状になる。
【0072】
なお、制御部31は、浄化ローラ23bを、ローラ22と逆の方向に回転するように制御してもよい。この場合は、浄化ローラ23bに設けられているブラシ23aは、ローラ22の取除面22aに対して、同じ方向に移動しながら当接することとなる。また、制御部31は、各浄化ローラ23bの周速度、及び、回転方向を個別に制御し、例えば一方の浄化ローラ23bの周速度や回転方向を、他方の浄化ローラ23bの周速度や回転方向と異ならせて制御してもよい。
【0073】
帯電機構24は、浄化機構23を帯電させるために設けられている。帯電機構24によって払落手段としてのブラシ23aを帯電させることにより、ローラ22の取除面22aから、導電性インクをクーロン力により確実に浄化することができる。
【0074】
除電機構25は、ローラ22を除電するために設けられている。浄化機構23によってローラ22から導電性インクを浄化する際に、当該ローラ22が摩擦帯電してしまったとしてもこれを除電することができるため、ローラ22の帯電が、転写ドラム13からの導電性インクの取除や、浄化機構23によるローラ22の浄化の妨げとなるような事態の発生を低減することができる。
【0075】
除電機構25は、ローラ22の取除面22aに接触する除電ブラシ25aを有している。ハウジング21の内部においてローラ22に対する所定の位置に固定的に設けられている。なお、除電ブラシ25aはアースラインに接続することで静電気の除去を行う。
【0076】
除電ブラシ25aは、カーボンを混練した樹脂や樹脂に金属膜をコートしたような導電性樹脂又はステンレス鋼や銅などの金属のような導電性材料から構成されている。
【0077】
除電機構25によって、導電性インクが浄化されたローラ22を除電することができるため、転写ドラム13からの導電性インクを取り除くに際して影響を及ぼす虞が回避される。
【0078】
吸引機構26は、ハウジング21に接続された吸引配管26aと、吸引配管26aに接続されたブロワ27を備えている。
【0079】
ブロワ27によって、ローラ22による導電性インクの取除や浄化機構23による導電性インクの浄化が行われるハウジング21の内部の空気を、吸引配管26aを介して吸引する。これにより、ローラ22からブラシ23aにより払い落とされた粉状の導電性インクが当該空間から外部へと自由に飛散することが回避される。なお、ハウジング21の内部の空気を吸引することにより、ハウジング21の隙間、例えば開口21aからは空気が導入される。このような空気の導入により、導電性インクの乾燥が促進される。
【0080】
ブロワ27によって吸引された空気に含まれる当該導電性インクは、導電性粒子と、それ以外の成分に分離され、当該導電性粒子は別途再利用が可能となる。
【0081】
上記の実施形態においては、浄化機構23は、取除面22aに取り除いた導電性インクを取除面22aから払い落とす払落手段としてのブラシ23aが、浄化ローラ23bの表面に設けられている場合について説明したが、浄化機構23の構成はこれに限らない。
【0082】
浄化機構23は、例えば、ローラ22の取除面22aに取り除いた導電性インクを取除面22aから刮取る刮取手段としてのスクレイパーや、撫で落とす撫落手段としてのスポンジから構成されていてもよい。このような刮取手段や撫落手段であっても、取除面22aに対する接触部は、取除面22aを構成する無アルカリガラスよりも硬度の低い材料から形成されていることが好ましい。
【0083】
また、当該刮取手段としてのスクレイパーや、払落手段としてのブラシ23a、又は当該撫落手段としてのスポンジは、浄化ローラ23bの表面に設けられている構成に限らず、ハウジング21の内部においてローラ22に対する所定の位置に固定的に設けられていてもよい。
【0084】
なお、上記の実施形態においては、取除ユニット20は、帯電機構24を備えている場合について説明したが、取除ユニット20は帯電機構24を備えていなくてもよい。
【0085】
上述の実施形態においては、除電ブラシ25aは、ローラ22に対する所定の位置に固定的に設けられていたが、除電ブラシ25aは、ローラ22と同じ方向又は逆の方向に回転する除電ローラの表面に設けられていてもよい。これにより、除電ブラシ25aは連続的に、ローラ22の除電のみならず、浄化機構23によって浄化し損ねた導電性インクの浄化もすることができる。
【0086】
なお、除電機構25は除電ブラシ25aに限らず、ローラ22の取除面22aを除電できる構成であればよく、導電性を有するスポンジであってもよい。
【0087】
上記の実施形態においては、導電性粒子が銀ナノ粒子である場合を例に説明したが、導電性粒子としては、例えば、半田、ニッケル、金、銀、銅等の金属粒子、金属(ニッケル、金、銀、パラジウム、アルミニウム、銅等)で被覆(メッキ)された樹脂粒子等の有機フィラー、金属(ニッケル、金、銀、パラジウム、アルミニウム、銅等)で被覆(メッキ)された、ガラス粒子、セラミック粒子等の無機フィラーなどであってもよい。
【0088】
上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用でき、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本開示の実施形態はこれに限定されず、本開示の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本開示は、転写ドラムの転写面に残留する導電性インクを、溶剤を使用することなく取り除くことができる取除ユニットが備えられた印刷装置及び取除ユニットに利用することができる。
【符号の説明】
【0090】
10 :印刷装置
11 :基体
12 :載置台
13 :転写ドラム
13a :転写面
14 :スリットダイ
15 :製膜
16 :水平駆動手段
17 :載置台支持部
18 :基材
20 :取除ユニット
21 :ハウジング
21a :開口
22 :ローラ
22a :取除面
22b :回転軸
23 :浄化機構
23a :ブラシ(払落手段)
23b :浄化ローラ
24 :帯電機構
25 :除電機構
25a :除電ブラシ
26 :吸引機構
26a :吸引配管
27 :ブロワ
31 :制御部
32 :ドラムモータ
33 :水平駆動モータ
34 :移動装置
35 :昇降装置
36 :アーム
37 :ローラモータ
38 :浄化ローラモータ
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2021-06-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
転写面を有し、当該転写面に製膜された導電性インクを基材に対して転写する転写ドラムと、
前記基材に対して前記導電性インクを転写した後に前記転写面に残留する前記導電性インクを当該転写面から取り除く取除ユニットとが備えられた印刷装置であって、
前記導電性インクは導電性粒子を溶媒に分散させたものであり、
前記取除ユニットは、
前記転写面に残留する前記導電性インクに接触する取除面を有し、当該取除面において前記導電性インクを前記転写面から取り除くローラと、
前記取除面に取り除かせた前記導電性インクを当該取除面から浄化する浄化機構とを備え、
前記ローラは少なくとも前記取除面がガラスから構成され、
前記浄化機構は、前記取除面に取り除かせた乾燥状態の前記導電性インクを、前記取除面から粉状に刮取る刮取手段、粉状に払い落とす払落手段、又は粉状に撫で落とす撫落手段から構成されていることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
記刮取手段、前記払落手段、又は前記撫落手段の前記取除面に対する接触部は、前記取除面を構成する前記ガラスよりも硬度の低い材料から形成されている請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記取除ユニットは、前記浄化機構を帯電させる帯電機構を備えている請求項1又は2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記取除ユニットは、前記ローラによる前記導電性インクの取除及び前記浄化機構による前記導電性インクの浄化が行われる空間を覆うハウジングと、当該ハウジングの内部の空気を吸引する吸引機構とを備えている請求項1から3のいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記取除ユニットは、前記浄化機構によって前記導電性インクが浄化された前記ローラを除電する除電機構を備えている請求項1から4のいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項6】
記導電性粒子は銀子である請求項1から5のいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記転写ドラムの転写幅よりも狭い取除幅を有する第二ローラと、
前記第二ローラを移動させるためのモータと、
前記基材に対して前記導電性インクが転写される前に、予め定められたパターンニングのレイアウトに応じて前記モータを制御して前記第二ローラを移動させることにより、前記転写ドラムに製膜された前記導電性インクの一部を前記転写ドラムから除去するパターンニングを行う制御部と、
を更に備えている請求項1から6のいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項8】
転写面を有し、当該転写面に製膜された導電性インクを基材に対して転写する転写ドラムが前記基材に対して前記導電性インクを転写した後に、前記転写面に残留する前記導電性インクを当該転写面から取り除く取除ユニットであって、
前記導電性インクは導電性粒子を溶媒に分散させたものであり、
前記転写面に残留する前記導電性インクに接触する取除面を有し、当該取除面において前記導電性インクを前記転写面から取り除くローラと、
前記取除面に取り除かせた前記導電性インクを当該取除面から浄化する浄化機構とを備え、
前記ローラは少なくとも前記取除面がガラスから構成され、
前記浄化機構は、前記取除面に取り除かせた乾燥状態の前記導電性インクを、前記取除面から粉状に刮取る刮取手段、粉状に払い落とす払落手段、又は粉状に撫で落とす撫落手段から構成されていることを特徴とする取除ユニット。
【請求項9】
転写面を有し、当該転写面に製膜された導電性インクを基材に対して転写する転写ドラムと、
前記基材に対して前記導電性インクを転写した後に前記転写面に残留する前記導電性インクを当該転写面から取り除く取除ユニットとが備えられた印刷装置であって、
前記取除ユニットは、
前記転写面に残留する前記導電性インクに接触する取除面を有し、当該取除面において前記導電性インクを前記転写面から取り除くローラと、
前記取除面に取り除かせた前記導電性インクを当該取除面から浄化する浄化機構とを備え、
前記ローラは少なくとも前記取除面がガラスから構成され、
前記転写ドラムの転写幅よりも狭い取除幅を有する第二ローラと、
前記第二ローラを移動させるためのモータと、
前記基材に対して前記導電性インクが転写される前に、予め定められたパターンニングのレイアウトに応じて前記モータを制御して前記第二ローラを移動させることにより、前記転写ドラムに製膜された前記導電性インクの一部を前記転写ドラムから除去するパターンニングを行う制御部と、
を更に備えていることを特徴とする印刷装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
しかし、このように洗浄されたシリコーンゴムローラは、再び使用するまでに乾燥させる時間が必要であり、また、洗浄に用いた溶剤の廃棄処理などの環境負荷への配慮が必要であるといった問題があった。
また、シリコーンゴムローラは、導電性インクを取り除く性能の確保のために粘着力を増加させるほど導電性インクに含まれる導電性粒子が浸潤しやすく、洗浄の際に用いる溶剤等により膨潤する。よって、シリコーンゴムローラは、導電性インクを取り除く性能が経時的に低下するので、取り換える頻度が高くなるという問題点があった。
本開示は、転写ドラムの転写面に残留する導電性インクを、溶剤を使用することなく連続的に取り除くことができる取除ユニットが備えられた印刷装置及び取除ユニットを提供することを目的とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本開示の一実施形態に係る印刷装置の構成は、転写面を有し、当該転写面に製膜された導電性インクを基材に対して転写する転写ドラムと、前記基材に対して前記導電性インクを転写した後に前記転写面に残留する前記導電性インクを当該転写面から取り除く取除ユニットとが備えられた印刷装置であって、前記導電性インクは導電性粒子を溶媒に分散させたものであり、前記取除ユニットは、前記転写面に残留する前記導電性インクに接触する取除面を有し、当該取除面において前記導電性インクを前記転写面から取り除くローラと、前記取除面に取り除かせた前記導電性インクを当該取除面から浄化する浄化機構とを備え、前記ローラは少なくとも前記取除面がガラスから構成され、前記浄化機構は、前記取除面に取り除かせた乾燥状態の前記導電性インクを、前記取除面から粉状に刮取る刮取手段、粉状に払い落とす払落手段、又は粉状に撫で落とす撫落手段から構成されている。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
本開示に係る印刷装置の更に別の構成は、前記刮取手段、前記払落手段、又は前記撫落手段の前記取除面に対する接触部は、前記取除面を構成する前記ガラスよりも硬度の低い材料から形成されている。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0029】
本開示に係る印刷装置の更に別の構成は、前記導電性粒子は銀子である
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0033】
本開示の一実施形態に係る取除ユニットの構成は、転写面を有し、当該転写面に製膜された導電性インクを基材に対して転写する転写ドラムが前記基材に対して前記導電性インクを転写した後に、前記転写面に残留する前記導電性インクを当該転写面から取り除く取除ユニットであって、前記導電性インクは導電性粒子を溶媒に分散させたものであり、前記転写面に残留する前記導電性インクに接触する取除面を有し、当該取除面において前記導電性インクを前記転写面から取り除くローラと、前記取除面に取り除かせた前記導電性インクを当該取除面から浄化する浄化機構とを備え、前記ローラは少なくとも前記取除面がガラスから構成され、前記浄化機構は、前記取除面に取り除かせた乾燥状態の前記導電性インクを、前記取除面から粉状に刮取る刮取手段、粉状に払い落とす払落手段、又は粉状に撫で落とす撫落手段から構成されている。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0039】
導電性インクは、導電性粒子を溶媒に分散させて構成されていることから、スリットダイから転写ドラムの転写面に面状に製膜された直後から溶媒が揮発しはじめる。導電性インクは、ローラに到達するころには半乾き状態であり、ローラの取除面に取り除かせたときには概ね乾燥状態である。したがって、当該ローラの浄化のために溶媒等を用いなくても、当該取除面から容易に剥離させることができる、したがって、溶剤等を用いる場合の問題、すなわちローラを再び使用するまでに必要な乾燥時間や、浄化廃液の処理などの環境負荷が発生しない。
本開示の一実施形態に係る印刷装置の構成は、転写面を有し、当該転写面に製膜された導電性インクを基材に対して転写する転写ドラムと、前記基材に対して前記導電性インクを転写した後に前記転写面に残留する前記導電性インクを当該転写面から取り除く取除ユニットとが備えられた印刷装置であって、前記取除ユニットは、前記転写面に残留する前記導電性インクに接触する取除面を有し、当該取除面において前記導電性インクを前記転写面から取り除くローラと、前記取除面に取り除かせた前記導電性インクを当該取除面から浄化する浄化機構とを備え、前記ローラは少なくとも前記取除面がガラスから構成され、前記転写ドラムの転写幅よりも狭い取除幅を有する第二ローラと、前記第二ローラを移動させるためのモータと、前記基材に対して前記導電性インクが転写される前に、予め定められたパターンニングのレイアウトに応じて前記モータを制御して前記第二ローラを移動させることにより、前記転写ドラムに製膜された前記導電性インクの一部を前記転写ドラムから除去するパターンニングを行う制御部と、を更に備えている。
導電性インクとは、導電性粒子を溶媒に分散させて構成されたインクである。導電性インクに含有される導電性粒子としては、例えば、半田、ニッケル、金、銀、銅等の金属粒子、金属(ニッケル、金、銀、パラジウム、アルミニウム、銅等)で被覆(メッキ)された樹脂粒子等の有機フィラー、金属(ニッケル、金、銀、パラジウム、アルミニウム、銅等)で被覆(メッキ)された、ガラス粒子、セラミック粒子等の無機フィラーなどが挙げられる。
これらの導電性粒子は、帯電列においてガラスに対し負極側に帯電する特性を有するものである。ガラスは、帯電列において導電性粒子よりも正極側に帯電する。したがって、転写ドラムの転写面に残留している導電性インクに、ローラの取除面が接触することによって、転写ドラムの転写面に残留している導電性インクは負極側に帯電し、ローラの取除面はガラスから構成されていることから正極側に帯電する。よって、当該導電性インクは転写面からクーロン力によってローラの取除面へと転写される。
従来のシリコーンゴムローラのように粘着性を利用して転写ドラムから導電性インクを取り除く構成であるときは、シリコーンゴムローラの表面を転写ドラムに対し弾性変形範囲内で接触面積を得られる押付力にて押し付ける必要(押付幅で数ミリメートルの変形を伴う)があったため、転写ドラムの転写面にはシリコーンゴムローラからの物理的な負荷がかかっていた。これに対して、取除面がガラスから構成された当該ローラは、ガラスの表面が均等に接触する押付力で転写ドラムに押し付ける必要がないため、転写ドラムにかかる負荷が低減され、したがって転写ドラムの長寿命化が可能となる。
ローラの取除面を構成するガラスとしては、形状安定性及び耐損耗性に優れ、また、転写ドラムへの影響が少ないものが好ましく、例えば無アルカリガラス、耐熱ガラス、石英が挙げられる。ローラは、少なくとも取除面がガラスであればよい。さらに、ローラは中空構造であっても中実構造であってもよい。
なお、ローラの取除面は、転写ドラムの転写面の転写幅以上の取除幅を有することが好ましい。例えば転写ドラムの転写面の全幅に亘って導電性インクを面状に製膜するようなときであっても、当該転写幅以上の取除幅を有するローラの取除面により、転写ドラムの転写面は全幅に亘り導電性インクが取り除かれる。
導電性インクは、導電性粒子を溶媒に分散させて構成されていることから、スリットダイから転写ドラムの転写面に面状に製膜された直後から溶媒が揮発しはじめる。導電性インクは、ローラに到達するころには半乾き状態であり、ローラの取除面に取り除かせたときには概ね乾燥状態である。したがって、当該ローラの浄化のために溶媒等を用いなくても、当該取除面から容易に剥離させることができる。したがって、溶剤等を用いる場合の問題、すなわちローラを再び使用するまでに必要な乾燥時間や、浄化廃液の処理などの環境負荷が発生しない。
上記構成によれば、印刷後に残った不要な導電性インクを転写ドラムから除去するだけでなく、印刷前に印刷が不要なエリアの導電性インクを転写ドラムから除去することができる。