(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022127375
(43)【公開日】2022-08-31
(54)【発明の名称】回転往復駆動アクチュエーター
(51)【国際特許分類】
H02K 33/14 20060101AFI20220824BHJP
G02B 26/10 20060101ALI20220824BHJP
G02B 26/08 20060101ALI20220824BHJP
H02K 5/173 20060101ALI20220824BHJP
H02K 5/167 20060101ALI20220824BHJP
【FI】
H02K33/14
G02B26/10 104Z
G02B26/08 E
H02K5/173 A
H02K5/167 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021025491
(22)【出願日】2021-02-19
(71)【出願人】
【識別番号】000006220
【氏名又は名称】ミツミ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 勇樹
(72)【発明者】
【氏名】加賀美 雅春
(72)【発明者】
【氏名】北村 泰隆
(72)【発明者】
【氏名】大塚 裕樹
【テーマコード(参考)】
2H045
2H141
5H605
5H633
【Fターム(参考)】
2H045AB02
2H045AB03
2H045AB34
2H045AB38
2H045AB44
2H045AB54
2H045BA02
2H045CB65
2H045DA02
2H141MA12
2H141MB24
2H141MC04
2H141MD12
2H141MD20
2H141ME01
2H141MF02
2H141MF10
2H141MF26
2H141MZ13
5H605CC04
5H605EB06
5H605EB10
5H633BB03
5H633GG02
5H633HH03
5H633JA08
(57)【要約】
【課題】ミラー等の可動対象物の大型化及び高振幅化を図ることができるとともに、駆動性能の安定化を図ることができる回転往復駆動アクチュエーターを提供する。
【解決手段】回転往復駆動アクチュエーターは、回転軸を含む可動部と、回転軸を支持する固定部と、固定部に配置されるコイル及びコア、並びに回転軸に配置されるマグネットを有し、電磁相互作用を利用して固定部に対して回転軸を軸中心に回転させる駆動部と、を備える。固定部は、軸方向においてマグネットを挟んで対向して配置される第1支持体及び第2支持体を有し、回転軸は、第1軸受及び第2軸受を介して、第1支持体及び第2支持体に、回転自在に取り付けられており、第1軸受及び第2軸受の一方は転がり軸受であり、他方は滑り軸受である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動対象物が配置される回転軸を含む可動部と、
前記回転軸を支持する固定部と、
前記固定部に配置されるコイル及びコア、並びに前記回転軸に配置されるマグネットを有し、電磁相互作用を利用して前記固定部に対して前記回転軸を軸中心に回転させる駆動部と、
を備える回転往復駆動アクチュエーターであって、
前記マグネットは、外周面においてS極及びN極が周方向に交互に配置されているリング型マグネットであり、
前記コアは、前記コイルへの通電により励磁され極性を生じる磁極部を有し、前記回転軸を前記固定部に取り付けたときに、前記磁極部と前記マグネットの前記外周面とがエアギャップを介して対向するように配置され、
前記マグネットの磁極の数と前記磁極部の数は等しく、
前記マグネットとエアギャップを介して対向するように前記固定部に配置され、前記マグネットとの間で生じる磁気吸引力により前記回転軸の回転角度位置を中立位置に保持する回転角度位置保持部をさらに備え、
前記固定部は、軸方向において前記マグネットを挟んで対向して配置される第1支持体及び第2支持体を有し、
前記回転軸は、第1軸受及び第2軸受を介して、前記第1支持体及び前記第2支持体に、回転自在に取り付けられており、
前記第1軸受及び前記第2軸受の一方は転がり軸受であり、他方は滑り軸受である、
回転往復駆動アクチュエーター。
【請求項2】
前記第1軸受は、滑り軸受であり、
前記第2軸受は、転がり軸受である、
請求項1に記載の回転往復駆動アクチュエーター。
【請求項3】
前記第1軸受は、
前記回転軸が挿通される筒状の胴部と、前記胴部の端部に配置されたフランジ部と、を有し、
前記筒状の胴部が前記第1支持体に形成された軸受取付部に嵌入され、前記フランジ部が前記第1支持体の外側面に係止される、
請求項2に記載の回転往復駆動アクチュエーター。
【請求項4】
前記第1軸受は、樹脂成型品である、
請求項3に記載の回転往復駆動アクチュエーター。
【請求項5】
前記第1軸受は、フッ素樹脂で形成される、
請求項4に記載の回転往復駆動アクチュエーター。
【請求項6】
前記マグネットは、2極マグネットであり、
前記マグネットの2つの磁極切替部は、前記マグネットが前記中立位置で保持されているとき、前記磁極部と正対する、
請求項1から5のいずれか一項に記載の回転往復駆動アクチュエーター。
【請求項7】
前記コア及び前記コイルを含むコアユニットの軸方向における少なくとも一方の側に、電気伝導材からなるシールド部材が配置されている、
請求項1から6のいずれか一項に記載の回転往復駆動アクチュエーター。
【請求項8】
前記第1支持体は、前記シールド部材で構成される、
請求項7に記載の回転往復駆動アクチュエーター。
【請求項9】
前記シールド部材は、アルミ合金で形成される、
請求項7又は8に記載の回転往復駆動アクチュエーター。
【請求項10】
前記可動対象物は、走査光を反射するミラーである、
請求項1から9のいずれか一項に記載の回転往復駆動アクチュエーター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転往復駆動アクチュエーターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複合機、レーザービームプリンタ等のスキャナーに使用されるアクチュエーターとして、回転往復駆動式のアクチュエーター(以下、「回転往復駆動アクチュエーター」と称する)が知られている。回転往復駆動アクチュエーターは、例えば、可動体である回転軸と、コイルマグネットを有する駆動部を備えており、コイルに通電して回転軸を往復回転駆動させることで、回転軸に取り付けられたミラーによるレーザー光の反射角度を変更して対象物に対する光走査を実現する。このような回転往復駆動アクチュエーターには、回転軸にコイルが配置されているムービングコイルタイプと、回転軸にマグネットが配置されているムービングマグネットタイプとがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ムービングコイルタイプの回転往復駆動アクチュエーターにおいては、駆動時(通電時)のコイルの発熱により、ミラーの表面状態、回転軸へのミラーの接合状態、反りを含むミラーの形状等に悪影響を与える虞がある。また、駆動時のコイルの発熱を考慮すると、コイルへの入力電流も大きくしにくく、可動対象物であるミラーの大型化や高振幅化が困難であるという問題がある。さらに、回転軸に配置されているコイルへの配線を固定体側に引き出す必要があり、組立性が悪いという問題がある。
【0005】
一方、ムービングマグネットタイプの回転往復駆動アクチュエーターの場合、上述したコイル発熱やコイル配線に関する問題は解消できる。しかしながら、特許文献1に開示の構造では、回転軸においてミラーが配置されている領域と同じ領域にマグネットが配置され、コイルが巻回されたヨークがマグネットを取り囲むように配置されているので、回転軸が回転したときに可動対象物であるミラーとヨークが干渉しやすい。そのため、ミラーの大型化や高振幅化が困難である。
【0006】
本発明の目的は、ミラー等の可動対象物の大型化及び高振幅化を図ることができるとともに、駆動性能の安定化を図ることができる回転往復駆動アクチュエーターを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る回転往復駆動アクチュエーターは、
可動対象物が配置される回転軸を含む可動部と、
前記回転軸を支持する固定部と、
前記固定部に配置されるコイル及びコア、並びに前記回転軸に配置されるマグネットを有し、電磁相互作用を利用して前記固定部に対して前記回転軸を軸中心に回転させる駆動部と、
を備える回転往復駆動アクチュエーターであって、
前記マグネットは、外周面においてS極及びN極が周方向に交互に配置されているリング型マグネットであり、
前記コアは、前記コイルへの通電により励磁され極性を生じる磁極部を有し、前記回転軸を前記固定部に取り付けたときに、前記磁極部と前記マグネットの前記外周面とがエアギャップを介して対向するように配置され、
前記マグネットの磁極の数と前記磁極部の数は等しく、
前記マグネットとエアギャップを介して対向するように前記固定部に配置され、前記マグネットとの間で生じる磁気吸引力により前記回転軸の回転角度位置を中立位置に保持する回転角度位置保持部をさらに備え、
前記固定部は、軸方向において前記マグネットを挟んで対向して配置される第1支持体及び第2支持体を有し、
前記回転軸は、第1軸受及び第2軸受を介して、前記第1支持体及び前記第2支持体に、回転自在に取り付けられており、
前記第1軸受及び前記第2軸受の一方は転がり軸受であり、他方は滑り軸受である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ミラー等の可動対象物の大型化及び高振幅化を図ることができるとともに、駆動性能の安定化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る回転往復駆動アクチュエーターの外観斜視図である。
【
図2】
図2は、回転往復駆動アクチュエーターの分解斜視図である。
【
図3】
図3は、回転往復駆動アクチュエーターの断面図である。
【
図4】
図4は、コアユニットの構成を示す斜視図である。
【
図5】
図5A、
図5Bは、回転往復駆動アクチュエーターの磁気回路の動作の説明に供する図である。
【
図6】回転往復駆動アクチュエーターを用いた光走査装置の要部構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0011】
図1は、実施の形態の回転往復駆動アクチュエーター1の外観斜視図である。
図2は、回転往復駆動アクチュエーター1の分解斜視図である。
図3は、回転往復駆動アクチュエーター1の断面図である。
【0012】
回転往復駆動アクチュエーター1は、例えば、ライダー(LIDAR:Laser Imaging Detection and Ranging)装置に用いられる。なお、回転往復駆動アクチュエーター1は、複合機、レーザービームプリンタ等の光走査装置にも適用可能である。
【0013】
回転往復駆動アクチュエーター1は、大きく分けて、可動部10と、可動部10を回転自在に支持する固定部20と、固定部20に対して可動部10を往復回転駆動する駆動部30と、を備える。
【0014】
可動部10は、回転軸11及びミラー部12を有する。
ミラー部12は、回転往復駆動アクチュエーター1における可動対象物であり、回転軸11に取り付けられる。ミラー部12は、例えば、ミラーホルダー122の一面にミラー121を貼り付けることで形成される。回転軸11は、ミラーホルダー122の挿通孔122aに挿通され、固着される。
【0015】
固定部20は、ベース21、第2軸受22及び第3軸受23を有する。
ベース21は、対向して配置された左側壁部211及び右側壁部212を有する。左側壁部211及び右側壁部212は、平板状の底部213の軸方向両端に立設されている。すなわち、ベース21は、断面が略コ字状(U字状)に形成されている。
【0016】
左側壁部211及び右側壁部212には、それぞれ、回転軸11が挿通される挿通孔211a、212aが形成されている。また、左側壁部211及び右側壁部212には、それぞれ、挿通孔211a、212aと左側壁部211、右側壁部212の外縁とを連通する切欠部211b、212bが形成されている。
【0017】
ミラー部12が取り付けられた回転軸11は、外側から切欠部211b、212bを通って挿通孔211a、212aに配置される。切欠部211b、212bがない場合には、左側壁部211と右側壁部212の間にミラー部12を配置させた状態で、例えば、回転軸11を左側壁部211の挿通孔211a、ミラーホルダー122の挿通孔122a、右側壁部212の挿通孔212aの順に挿通し、さらに回転軸11とミラーホルダー122を固着させるといった煩雑な組立て作業が必要となる。これに対して、本実施の形態においては、左側壁部211及び右側壁部212に切欠部211b、212bが形成されているので、予めミラー部12が取り付けられた回転軸11を、切欠部211b、212bを通して簡単に挿通孔211a、212aに配置することができる。
【0018】
第2軸受22及び第3軸受23は、転がり軸受(例えば、ボールベアリング)で構成される。転がり軸受は、摩擦係数が低く、回転軸11をスムーズに回転させることができるので、回転往復駆動アクチュエーター1の駆動性能が向上する。
【0019】
第2軸受22及び第3軸受23は、それぞれ、左側壁部211及び右側壁部212の挿通孔211a、212aに連設された軸受取付部(符号略)に配置される。具体的には、第2軸受22及び第3軸受23は、回転軸11の軸方向両側から挿通され、回転軸11が挿通孔211a、212aに配置された後、軸受取付部に取り付けられる。このように、回転軸11は、第2軸受22及び第3軸受23を介して、回転自在にベース21に取り付けられる。
【0020】
駆動部30は、コアユニット31及びマグネット32を有する。
【0021】
コアユニット31は、第1コア41、42、第2コア(中継コア)43、コイル44、45、回転角度位置保持部48、第1シールド部材51、第2シールド部材52、及び第1軸受53等を有する。
図4は、コアユニット31の構成(第1シールド部材51、第2シールド部材52及び第1軸受53を除く)を示す斜視図である。
図4等に示すように、コアユニット31は、本実施の形態では、略直方体状に形成されている。コアユニット31は、ベース21に固着され、固定部20の一部をなす。
【0022】
第1コア41、42及び第2コア43は、一体化されて一つのコア体Cをなし、コイル44、45に通電したときの磁気回路を形成する。第1コア41、42及び第2コア43は、例えば、ケイ素鋼板等の電磁鋼板を積層してなる積層コアで構成される。
【0023】
第1コア41、42は、それぞれ、コイル44、45への通電により励磁したときに通電方向に応じた極性を生じる磁極部41a、42aと、磁極部41a、42aから下方に延在する脚部41b、42bを有する。
磁極部41a、42aのマグネット32と対向する部分は、マグネット32の外周面に沿って湾曲する形状を有している。脚部41b、42bには、それぞれ、コイル44、45が配置される。第1コア41、42は、磁極部41a、42aが対向し、かつ、脚部41b、42bが平行となる姿勢で、第2コア43に固定される。
【0024】
第2コア43は、第1コア41、42の脚部41b、42bを連絡し、磁極部41a、42a間を結ぶ磁気回路の中間部分を形成する。すなわち、第1コア41、42は、第2コア43を介して一体的に接続されている。本実施の形態では、第2コア43は、U字状に形成されており、脚部43a、43bの開放端部の内側に、第1コア41、42の脚部41b、42bの端部が接続されている。つまり、第1コア41、42は、第2コア43によって、回転軸11と直交する3方(左側、右側及び上側)から取り囲まれている。なお、第2コア43の屈曲部分(脚部43a、43bと橋架部43cとの連結部分)は、丸みを帯びたR形状を有していてもよいし、直線的に折れ曲がる形状を有していてもよい。
【0025】
回転往復駆動アクチュエーター1を組み立てた状態において、磁極部41a、42aで囲まれた空間に回転軸11が挿通される。また、この空間に、回転軸11に取り付けられたマグネット32が位置し、磁極部41a、42aとエアギャップを介して対向する。
【0026】
コアユニット31において、第1コア41、42の磁極部41a、42aと第2コア43の脚部43a、43bの間には、スペーサー49が配置される。スペーサー49は、例えば、第1コア41、42及び第2コア43に、接着又は溶接により固定される。スペーサー49は、例えば、真鍮若しくはアルミニウム等の非磁性体で形成される。
【0027】
自由端である磁極部41a、42aと第2コア43との間にスペーサー49を介在させることにより、コアユニット31の剛性を高めることができ、マグネット32との間に生じる磁気力や衝撃によって第1コア41、42が変形或いは破損するのを抑制することができる。また、スペーサー49を非磁性体で形成することにより、コアユニット31における磁束経路を規制することができる。
【0028】
コイル44、45は、筒状のボビン46、47に巻回される。コイル44、45及びボビン46,47からなるコイルユニットが、第1コア41、42の脚部41b、42bに外挿されることにより、コイル44、45は、第1コア41、42の脚部41b、42bを巻回するように配置される。コイル44、45の巻線方向は、通電が行われた際に、第1コア41、42の磁極部41a、42aの一方から他方に向かって好適に磁束が生じるように設定される。
【0029】
回転角度位置保持部48は、回転往復駆動アクチュエーター1を組み立てた状態において、マグネット32とエアギャップを介して対向するようにコアユニット31に組み込まれる。回転角度位置保持部48は、例えば、第2コア43の橋架部43c(第1コア41、42の上方の部分)に、磁極がマグネット32に対向する姿勢で取り付けられる。
【0030】
回転角度位置保持部48は、例えば、マグネットにより構成され、マグネット32との間に磁気吸引力を生じる。すなわち、回転角度位置保持部48は、第1コア41、42とともに、マグネット32との間に磁気バネを形成する。この磁気バネにより、コイル44、45への通電が行われていない常態時(非通電時)には、マグネット32の回転角度位置、すなわち、回転軸11の回転角度位置が中立位置に保持される。
【0031】
中立位置とは、マグネット32の回転往復動作の基準位置、すなわち、揺動の中心である。マグネット32が中立位置に保持されているとき、マグネット32の磁極切替部32c、32dは、第1コア41、42の磁極部41a、42aと正対する。また、マグネット32が中立位置にある状態を基準にして、ミラー部12の取付け姿勢が調整される。
【0032】
コアユニット31の軸方向の両側には、電気伝導材からなる第1シールド部材51及び第2シールド部材52が配置されている。第1シールド部材51及び第2シールド部材52により、外部からコアユニット31へのノイズの入射及びコアユニット31から外部へのノイズの出射を抑制することができる。
【0033】
第1シールド部材51及び第2シールド部材52は、アルミ合金により形成されるのが好ましい。アルミ合金は設計の自由度が高く、容易に所望の剛性を付与することができる。したがって、回転軸11を支持する支持体として第1シールド部材51を機能させる場合に好適である。
【0034】
第1シールド部材51には、第1軸受53を介して、回転軸11が回転自在に取り付けられる。第1軸受53は、第1シールド部材51に形成された軸受取付部51aに配置される。第1軸受53は、回転軸11が挿通される筒状の胴部53bと、胴部53bの一端部に配置されたフランジ部53aと、を有する。第1軸受53の胴部53bは第1シールド部材51の軸受取付部51aに嵌入され、フランジ部53aは第1シールド部材51の外側面に係止される。第1軸受53は、第1シールド部材51の軸受取付部51aに回転軸11を挿通した後、第1シールド部材51から突出した回転軸11の端部から挿通され、軸受取付部51aに嵌着される。このように、回転軸11のマグネット32が配置される側の端部を、容易に第1シールド部材51に取り付けることができる。
【0035】
第1軸受53は、例えば、滑り軸受で構成される。具体的には、第1軸受53は、フッ素樹脂等の樹脂成型品であることが好ましい。第1軸受53を滑り軸受で構成することにより、減衰部として機能させ、駆動音(可動部10の共振音)を抑制することができる。また、第1軸受53を樹脂成型品とすることにより、形状の自由度が高く、低コストで作製することができる。特に、フッ素樹脂成型品とした場合、環境温度による膨張収縮を抑制できるので、回転往復駆動アクチュエーター1を高温環境下で使用される場合に好適である。また、フッ素樹脂成型品は、加工精度が高く、適度な摺動特性を実現することができるので、回転軸11の回転往復動作を妨げることなく、回転軸11を安定して支持することができ、軸受として好適である。
【0036】
第2シールド部材52は、マグネット32の外形よりも大きい、挿通孔52aを有する。マグネット32を装着した回転軸11は、第2シールド部材52の挿通孔52aを介して、コアユニット31内に挿入される。
【0037】
第1コア41、42及び第2コア43からなるコア体Cは、第1シールド部材51及び第2シールド部材52によって挟持され、止着材61により固定されて、コアユニット31として一体化される。また、コアユニット31は、止着材62によりベース21の左側壁部211に固定され、ベース21と一体化される。
【0038】
マグネット32は、S極32a及びN極32bが周方向に交互に配置されているリング型マグネットである。マグネット32は、回転往復駆動アクチュエーター1を組み立てた状態において、コアユニット31の磁極部41a、42aで囲まれた空間に位置するように、回転軸11の周面に取り付けられる。コイル44、45に通電が行われると、第1コア41、42及び第2コア43が励磁されて磁極部41a、42aに通電方向に応じた極性が生じ、磁極部41a、42aとマグネット32との間で磁気力(吸引力及び反発力)が生じる。
【0039】
本実施の形態では、マグネット32は、回転軸11の軸方向に沿う平面を境界として異なる極性に着磁されている。すなわち、マグネット32は、S極32aとN極32bに等分割されるように着磁された2極マグネットである。マグネット32の磁極の数(本実施の形態では2つ)は、コアユニット31の磁極部41a、42aの数と等しい。なお、マグネット32は、可動時の振幅に応じて2極以上に着磁されていてもよい。この場合、コアユニット31の磁極部は、マグネット32の磁極に対応して設けられる。
【0040】
マグネット32は、S極32aとN極32bとの境界部分32c、32d(以下、「磁極切替部」と称する)で極性が切り替わる。磁極切替部32c、32dは、マグネット32が中立位置で保持されているとき、磁極部41a、42aのそれぞれと正対する。
【0041】
中立位置において、マグネット32の磁極切替部32c、32dが、磁極部41a、42aと正対することにより、駆動部30は最大トルクを発生して可動部10を安定して駆動することができる。また、マグネット32を2極マグネットで構成することにより、コアユニット31との協働により、可動対象物を高振幅で駆動しやすくなるとともに、駆動性能の向上を図ることができる。なお、実施の形態では、マグネット32が一対の磁極切替部32c、32dを有する場合について説明したが、二対以上の磁極切替部を有していてもよい。
【0042】
ミラー部12及びマグネット32が装着された回転軸11は、第2軸受22及び第3軸受23を介してベース21に固定される。ミラー部12は、ベース21の左側壁部211と右側壁部212に挟まれた空間に位置し、マグネット32は、ベース21の左側壁部211よりも外側(左側)に位置する。
【0043】
回転軸11の左側壁部211から露出している部分(マグネット32が配置されている部分)には、軸方向からコアユニット31が挿入され、第1軸受53を介して第1シールド部材51に固定される。マグネット32は、コアユニット31内、すなわち、第1シールド部材51とベース21の左側壁部211に挟まれた空間に位置する。
【0044】
回転往復駆動アクチュエーター1を組み立てた状態において、回転軸11のミラー部12が配置されている部分は、左側壁部211と右側壁部212によって2点支持されているので、左側壁部211だけで支持され片持ちとなっている場合に比較して支持強度が高く、ミラー部12が大型化して重量が増加しても、回転軸11の直線性を確保することができる。
【0045】
また、回転軸11のマグネット32が配置されている部分は、第1シールド部材51と左側壁部211によって2点支持されているので、マグネット32と回転角度位置保持部48との間の磁気吸引力が大きくなっても、回転軸11の直線性を確保することができる。つまり、回転軸11のマグネット32が配置されている部分が、左側壁部211だけで支持され片持ちとなっている場合には、マグネット32と回転角度位置保持部48との間の磁気吸引力が大きくなると、回転軸11が回転角度位置保持部48側に撓んで直線性が低下する虞があるが、このような問題は生じない。
【0046】
次に、回転往復駆動アクチュエーター1の動作について、
図5A、
図5Bを用いて説明する。
図5A、
図5Bは、回転往復駆動アクチュエーター1の磁気回路の動作の説明に供する図である。
【0047】
コア体Cの2つの磁極部41a、42aは、エアギャップGを空けてマグネット32を挟むように配置されている。コイル44、45への非通電時は、
図5Aに示すように、マグネット32は、回転角度位置保持部48との間の磁気吸引力により、中立位置に保持される。
【0048】
この中立位置では、マグネット32のS極32a及びN極32bの一方(
図5AでS極32a)が回転角度位置保持部48に吸引される。このとき、磁極切替部32c、32dは、コア体Cの磁極部41a、42aの中心位置と対向する。
【0049】
コイル44、45に対して通電が行われると、コア体Cが励磁され、磁極部41a、42aに通電方向に応じた極性が生じる。
図5Bに示すようにコイル44、45への通電が行われると、コア体Cの内部に磁束が生じ、磁極部41aはS極、磁極部42aはN極となる。これにより、S極に磁化された磁極部41aは、マグネット32のN極32bと引き合い、N極に磁化された磁極部42aは、マグネット32のS極32aと引き合い、マグネット32には回転軸11の軸回りにF方向のトルクが発生し、マグネット32はF方向に回転する。これに伴い、回転軸11もF方向に回転し、回転軸11に固定されているミラー部12もF方向に回転する。
【0050】
一方、図示を省略するが、コイル44、45に対して
図5Bとは逆向きに通電が行われると、コア体Cの内部に磁束が生じ、磁極部41aはN極、磁極部42aはS極となる。これにより、N極に磁化された磁極部41aは、マグネット32のS極32aと引き合い、S極に磁化された磁極部42aは、マグネット32のN極32bと引き合い、マグネット32には回転軸11の軸回りにF方向とは逆向きのトルクが発生し、マグネット32は-F方向に回転する。これに伴い、回転軸11も回転し、回転軸11に固定されるミラー部12も回転する。
回転往復駆動アクチュエーター1は、以上の動作を繰り返すことで、ミラー部12を回転往復駆動する。
【0051】
実際上、回転往復駆動アクチュエーター1は、電源供給部(例えば
図6の駆動信号供給部103に相当)からコイル44、45に入力される交流波によって駆動される。つまり、コイル44、45の通電方向は周期的に切り替わる。通電方向の切り替わり時には、回転角度位置保持部48とマグネット32との間の磁気吸引力、つまり磁気バネの復元力により、マグネット32は中立位置に戻るように付勢されるので、可動部10には、軸回りにF方向のトルクと、F方向とは逆の方向(-F方向)のトルクが交互に作用する。これにより、可動部10は、回転往復駆動される。
【0052】
以下に、回転往復駆動アクチュエーター1の駆動原理について簡単に説明する。本実施の形態の回転往復駆動アクチュエーター1では、可動体(可動部10)の慣性モーメントをJ[kg・m2]、磁気バネ(磁極部41a、42a、回転角度位置保持部48及びマグネット32)のねじり方向のバネ定数をKspとした場合、可動体は、固定体(固定部20)に対して、式(1)によって算出される共振周波数Fr[Hz]で振動(往復回転)する。
【0053】
【0054】
可動体は、バネマス系の振動モデルにおけるマス部を構成するので、コイル44、45に可動体の共振周波数Frに等しい周波数の交流波が入力されると、可動体は共振状態となる。すなわち、電源供給部からコイル44、45に対して、可動体の共振周波数Frと略等しい周波数の交流波を入力することにより、可動体を効率良く振動させることができる。
【0055】
回転往復駆動アクチュエーター1の駆動原理を示す運動方程式及び回路方程式を以下に示す。回転往復駆動アクチュエーター1は、式(2)で示す運動方程式及び式(3)で示す回路方程式に基づいて駆動する。
【0056】
【0057】
【0058】
すなわち、回転往復駆動アクチュエーター1における可動体の慣性モーメントJ[kg・m2]、回転角度θ(t)[rad]、トルク定数Kt[N・m/A]、電流i(t)[A]、バネ定数Ksp[N・m/rad]、減衰係数D[N・m/(rad/s)]、負荷トルクTLoss[N・m]等は、式(2)を満たす範囲内で適宜変更できる。また、電圧e(t)[V]、抵抗R[Ω]、インダクタンスL[H]、逆起電力定数Ke[V/(rad/s)]は、式(3)を満たす範囲内で適宜変更できる。
【0059】
このように、回転往復駆動アクチュエーター1は、可動体の慣性モーメントJと磁気バネのバネ定数Kspにより決まる共振周波数Frに対応する交流波によりコイルへの通電を行った場合に、効率良い大きな振動出力を得ることができる。
【0060】
なお、回転往復駆動アクチュエーター1は、回転軸11の回転角度を検出する角度センサー60(
図6参照)を備えていてもよい。角度センサー60は、例えば、ベース21の右側壁部212に固定される。
【0061】
角度センサー60は、例えば、光センサー及びエンコーダーディスクを有する。エンコーダーディスクは、回転軸11に取り付けられ、マグネット32及びミラー部12と一体に回転する。つまり、エンコーダーディスクの回転位置が回転軸11の回転位置と同一となる。光センサーは、エンコーダーディスクに光を出射しその反射光に基づいてエンコーダーディスクの回転位置(角度)を検出する。これにより、マグネット32及びミラー部12の回転位置を検出できる。
角度センサー60を備えることにより、マグネット32及び回転軸11を含む可動部10の回転角度を検知可能となり、駆動時の可動体、具体的には、可動対象物であるミラー部12の回転角度位置及び回転速度を制御することができる。
【0062】
図6は、回転往復駆動アクチュエーター1を用いた光走査装置の要部構成を示すブロック図である。
【0063】
光走査装置Aは、回転往復駆動アクチュエーター1に加えて、レーザー発光部101、レーザー制御部102、駆動信号供給部103及び位置制御信号計算部104を有する。
【0064】
レーザー発光部101は、例えば、光源となるLD(レーザーダイオード)と、この光源から出力されるレーザー光を収束するためのレンズ系などを有する。レーザー制御部102は、レーザー発光部101を制御する。レーザー発光部101から照射されたレーザー光は、回転往復駆動アクチュエーター1のミラー121に入射される。
【0065】
位置制御信号計算部104は、角度センサー60により取得された回転軸11(ミラー121)の角度位置と、目標角度位置とを参照して、回転軸11(ミラー121)を目標角度位置となるように制御する駆動信号を生成して出力する。例えば、位置制御信号計算部104は、取得した回転軸11(ミラー121)の角度位置と、図示しない波形メモリに格納されているのこぎり波形データ等を用いて変換された目標角度位置を示す信号とに基づいて位置制御信号を生成して、この位置制御信号を駆動信号供給部103に出力する。
【0066】
駆動信号供給部103は、位置制御信号に基づいて、回転往復駆動アクチュエーター1のコイル44、45に、回転軸11(ミラー121)の角度位置が所望の角度位置となるような駆動信号を供給する。これにより、光走査装置Aは、回転往復駆動アクチュエーター1から所定の走査領域に走査光を出射することができる。
【0067】
本実施の形態に係る回転往復駆動アクチュエーター1は、以下の特徴を有している。
すなわち、回転往復駆動アクチュエーター1は、ミラー部12(可動対象物)が配置される回転軸11を含む可動部10と、回転軸11を支持する固定部20と、固定部20に配置されるコイル44、45及びコア41~43、並びに回転軸11に配置されるマグネット32を有し、電磁相互作用を利用して固定部20に対して回転軸11を軸中心に回転させる駆動部30と、を備える。
また、マグネット32は、外周面においてS極32a及びN極32bが周方向に交互に配置されているリング型マグネットであり、コア41~43は、コイル44、45への通電により励磁され極性を生じる磁極部41a、42aを有し、回転軸11を固定部20に取り付けたときに、磁極部41a、42aとマグネット32の外周面とがエアギャップGを介して対向するように配置されており、マグネット32の磁極の数と磁極部41a、42aの数は等しく、マグネット32とエアギャップGを介して対向するように固定部20に配置され、マグネット32との間で生じる磁気吸引力により回転軸11の回転角度位置を中立位置に保持する回転角度位置保持部48をさらに備える。
これにより、コイル44、45への通電方向が切り替わる度に、マグネット32が回転角度位置保持部48によって磁気吸引され、中立位置(動作基準位置)に戻るように付勢されるので、エネルギー効率及び応答性が良く、かつ高振幅の回転往復駆動が実現される。また、ムービングコイルタイプの回転往復駆動アクチュエーターと比較して、コイルでの発熱が可動対象物に伝わりにくいので、可動対象物がミラーである場合に、ミラーに対して熱による悪影響(接合劣化、反りなど)が及ぶことを回避できる。
【0068】
さらに、固定部20は、軸方向においてマグネット32を挟んで対向して配置される第1シールド部材51(第1支持体)及びベース21の左側壁部211(第2支持体)を有し、回転軸11は、第1軸受53及び第2軸受22を介して、第1シールド部材51及び左側壁部211に、回転自在に取り付けられており、第1軸受53及び第2軸受22の一方は転がり軸受であり、他方は滑り軸受である。
本実施の形態では、第1軸受53が滑り軸受であり、第2軸受22が転がり軸受である。
回転軸11のマグネット32が配置されている部分が、第1シールド部材51と左側壁部211によって支持されていることにより、マグネット32と回転角度位置保持部48との間の磁気吸引力が大きくなっても、回転軸11の直線性を確保することができる。つまり、回転軸11のマグネット32が配置されている部分が、左側壁部211だけで支持され片持ちとなっている場合には、マグネット32と回転角度位置保持部48との間の磁気吸引力が大きくなると、回転軸11が回転角度位置保持部48側に撓んで直線性が低下する虞があるが、このような問題は生じない。
したがって、マグネット32を大型化して駆動トルクを増大させ、可動対象物の大型化に対応することができるとともに、マグネット32を大径化することで、可動対象物の高振幅化を図ることもできる。また、回転軸11の直線性を確保できるので、駆動性能の安定化を図ることができる。
さらに、第1軸受53が滑り軸受であることにより、減衰部として機能し、駆動音(可動部10の共振音)を抑制することができる。なお、第1軸受53が転がり軸受、第2軸受22が滑り軸受で構成され、第2軸受22が減衰部として機能するようにしてもよい。
【0069】
また、第1軸受53は、回転軸11が挿通される筒状の胴部53bと、胴部53bの端部に配置されたフランジ部53aと、を有し、胴部53bが第1シールド部材51(第1支持体)に形成された軸受取付部51aに嵌入され、フランジ部53aが第1シールド部材51の外側面に係止される。これにより、回転軸11のマグネット32が配置される側の端部を、容易に第1シールド部材51に取り付けることができる。
【0070】
また、第1軸受53は、樹脂成型品である。これにより、第1軸受53の形状の自由度が高く、低コストで作製することができる。
また、第1軸受53は、フッ素樹脂で形成される。これにより、第1軸受53の環境温度による膨張収縮を抑制でき、また、加工精度が高く、適度な摺動特性を実現することができる。したがって、回転往復駆動アクチュエーター1の高温環境下での使用にも対応できるとともに、回転往復動作を妨げることなく回転軸11を安定して支持することができ、信頼性が向上する。
【0071】
また、マグネット32は、2極マグネットであり、マグネット32の2つの磁極切替部32c、32dは、マグネット32が中立位置で保持されているとき、磁極部41a、42aと正対する。これにより、マグネット32、つまり、回転軸11を含む可動体が、軸回りの一方と他方とに、中立位置から同じ角度範囲で回転往復移動することとなり、駆動トルクを最大化でき、かつ、駆動トルクの向きを安定化できる。
【0072】
また、コア41~43及びコイル44、45を含むコアユニット31の軸方向における両側に、電気伝導材からなる第1シールド部材51及び第2シールド部材52が配置されている。これにより、外部からコアユニット31へのノイズの入射及びコアユニット31から外部へのノイズの出射が抑制されるので、回転往復駆動アクチュエーター1の信頼性が向上する。
なお、第1シールド部材51及び第2シールド部材52の一方が設けられていればよく、例えば、第2シールド部材52は配置されていなくてもよい。
【0073】
また、第1支持体は、第1シールド部材51で構成される。つまり、第1シールド部材51は、コアユニット31におけるノイズの出入りを抑制するシールドとして機能するとともに、回転軸11を支持する支持体として機能する。これにより、部品点数を低減でき、省スペース化を図ることができる。なお、第1シールド部材51とは別に、回転軸11を支持する支持体を設けてもよい。
【0074】
また、第1シールド部材51は、アルミ合金で形成される。これにより、設計の自由度が高く、十分な剛性を付与することができるので、第1シールド部材51を可動部10の支持体として機能させることができる。
【0075】
また、可動対象物は、走査光を反射するミラー121である。これにより、回転往復駆動アクチュエーター1を、光走査を行うスキャナーの用途に使用することができる。
【0076】
また、実施の形態に係る回転往復駆動アクチュエーター1は、以下の特徴も有している。
すなわち、回転往復駆動アクチュエーター1において、固定部20は、軸方向においてマグネット32を挟んで対向して配置される第1シールド部材51(第1支持体)及びベース21の左側壁部211(第2支持体)と、左側壁部211とミラー部12(可動対象物)を挟んで対向して配置される右側壁部212(第3支持体)と、を有し、回転軸11は、第1シールド部材51、左側壁部211及び右側壁部212の3か所で、回転自在に支持されている。
回転軸11のマグネット32が配置されている部分が、第1シールド部材51と左側壁部211によって2点支持されていることにより、マグネット32と回転角度位置保持部48との間の磁気吸引力が大きくなっても、回転軸11の直線性を確保することができる。また、回転軸11のミラー部12が配置されている部分が、左側壁部211と右側壁部212によって2点支持されていることにより、ミラー部12が大型化して重量が増加しても、回転軸11の直線性を確保することができる。
したがって、マグネット32を大型化して駆動トルクを増大させ、可動対象物の大型化に対応することができるとともに、マグネット32を大径化することで、可動対象物の高振幅化を図ることもできる。また、回転軸11の直線性を確保できるので、駆動性能の安定化を図ることができる。
【0077】
また、回転軸11は、第1軸受53、第2軸受22及び第3軸受23を介して、第1シールド部材51(第1支持体)、ベース21の左側壁部211(第2支持体)及び右側壁部212(第3支持体)に、回転自在に取り付けられ、第1軸受53は、滑り軸受であり、第2軸受22及び前記第3軸受23は、転がり軸受である。第2軸受22及び第3軸受23が転がり軸受であることにより、可動対象物が装着された回転軸11を、2か所の転がり軸受で安定して保持することができ、回転往復駆動アクチュエーター1としての耐久性に関して信頼性の向上を図ることができる。また、第1軸受53がり軸受であることにより、減衰部として機能し、駆動音(可動部10の共振音)を抑制することができる。なお、駆動性能の安定性の観点からは、第1軸受53、第2軸受22及び第3軸受23を、すべて転がり軸受としてもよい。
【0078】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0079】
例えば、実施の形態では、可動対象物がミラー部12である場合について述べたが、可動対象物はこれに限らない。可動対象物は、例えば、カメラなどの撮像装置であってもよい。
【0080】
また例えば、実施の形態では、回転往復駆動アクチュエーター1を共振駆動する場合について説明したが、本発明は、非共振駆動する場合にも適用できる。
【0081】
また、駆動部30の構成は、実施の形態で説明したものに限定されない。例えば、コアは、コイルへの通電により励磁され極性を生じる磁極部を有し、回転軸を固定部に取り付けたときに、磁極部とマグネットの外周面とがエアギャップを介して対向するようになっていればよい。また例えば、コイルは、通電したときに、コアの磁極部の一方から他方に向かって好適に磁束を生じさせる構成を有していればよい。
【0082】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0083】
1 回転往復駆動アクチュエーター
10 可動部
11 回転軸
12 ミラー部(可動対象物)
20 固定部
21 ベース
211 左側壁部(第2支持体)
212 右側壁部(第3支持体)
22 第2軸受
23 第3軸受
30 駆動部
31 コアユニット
32 マグネット
41、42 第1コア(コア)
43 第2コア(コア)
44、45 コイル
48 回転角度位置保持部
51 第1シールド部材(第1支持体)
52 第2シールド部材
53 第1軸受
A 光走査装置