(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022127404
(43)【公開日】2022-08-31
(54)【発明の名称】シャープペンシル
(51)【国際特許分類】
B43K 21/027 20060101AFI20220824BHJP
【FI】
B43K21/027 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021025539
(22)【出願日】2021-02-19
(71)【出願人】
【識別番号】303022891
【氏名又は名称】株式会社パイロットコーポレーション
(72)【発明者】
【氏名】菅原 良昌
【テーマコード(参考)】
2C353
【Fターム(参考)】
2C353FA04
2C353FC13
2C353FE04
2C353FG18
(57)【要約】 (修正有)
【課題】スライダーが退没可能なシャープペンシルであって、すぐに筆記開始可能なシャープペンシルを提供する。
【解決手段】軸筒本体23と先部材21とを有する軸筒2と、先部材21に装着されたスライダー3と、芯7を把持するチャック41と、チャック41の外方に配設された筒状体42と、チャック41を締め付ける締部と、を備え、スライダー3はガイド部と芯保持部を有し、筒状体42の後方に、前後に摺動可能な中間把持部材5が配設され、中間把持部材5は、筒状体42を把持する把持部と、チャック41と当接することで移動が制限される第1当接部と、筒状体42と当接することで移動が制限される第2当接部と、を有し、筒状体42の前部にスライダー押圧部を有し、中間把持部材5の後方に操作体6を有し、スライダー3に、先部材21の被係止部と係止する係止部3eを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸筒本体と前記軸筒の前方に配設された先部材とを有する軸筒と、前記先部材に内包され該先部材に対して前後動可能に装着されたスライダーと、前記軸筒内に配置され筆記用の芯を把持するチャックと、前記チャックの外方に配設された筒状体と、前記筒状体の内方に前記チャックを締め付ける締部と、を備え、
前記スライダーは前部に前記芯をガイドする内孔を備えたガイド部と、前記芯を一定の力で保持する芯保持部を有し、
前記ガイド部は、筆記時において前記先部材の前端開口部から前方へ突出し、携帯時においては前記芯とともに前記軸筒内に退没可能に構成されたシャープペンシルであって、
前記筒状体の後方に、該筒状体に対して軸方向に沿って前後に摺動可能な中間把持部材が配設され、前記中間把持部材は、当該筒状体を把持する把持部と、前記チャックと当接することで該チャックに対して前方への移動が制限される第1当接部と、前記筒状体と当接することで該筒状体に対して前方への移動が制限される第2当接部と、を有し、
前記筒状体の前部に、前記スライダーの後部に当接するスライダー押圧部を有し、
前記中間把持部材の後方に、該中間把持部材を前後方向に操作可能な操作体を有し、
前記スライダーの外周部に、前記スライダーが後退した際に前記先部材の内周部に形成された被係止部と係止する係止部を有し、
前記スライダーを前方へ付勢する弾性部材が該スライダーと前記先部材の間に張架され、
前記係止部と前記被係止部との係止状態を解除するために、前記スライダーを軸方向に沿って前方へ押圧する押圧力をXとし、前記中間把持部材が前記筒状体を把持する把持力をYとしたとき、Y<Xの関係式を満たし、
前記ガイド部が前記軸筒内に退没し前記係止部と前記被係止部とが係止した状態から、前記操作体を操作することで前記スライダーを前進させ、前記ガイド部を前記先部材の前端開口部から前方へ突出させた際の前記スライダーの前進量をS1、前記芯の前進量をS2としたとき、S1<S2となることを特徴とするシャープペンシル。
【請求項2】
前記ガイド部が前記軸筒内に退没し前記係止部と前記被係止部とが係止した状態において、前記スライダーの後部とスライダー押圧部との間に隙間が構成されることを特徴とする請求項1に記載のシャープペンシル。
【請求項3】
前記筒状体の内周面に前記締部を備えたことを特徴とする請求項2に記載のシャープペンシル。
【請求項4】
前記筒状体の内方に、該筒状体に対して前後に摺動可能な締具が配設され、前記締具の内周面に前記締部を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載のシャープペンシル。
【請求項5】
前記スライダーの係止部は外方へ向かって突出する突出部を有し、前記先部材の被係止部は外方へ向かって凹む凹部を有することを特徴とする請求項1ないし4の何れか一項に記載のシャープペンシル。
【請求項6】
前記突出部が弾性材料で形成されたOリングで構成されていることを特徴とする請求項5に記載のシャープペンシル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スライダーを軸筒内に退没可能に構成されたシャープペンシルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、軸筒内に前後動可能に収納されたスライダーを、筆記時においては軸筒の前端開口部から前方へ突出させ、携帯時においては筆記用の芯とともに前記軸筒内に退没可能に構成されたシャープペンシルは、筆記時においては細く延びたスライダーの前端から筆記用の芯が突出することで芯を目視し易くとても筆記し易い特徴があり、さらに、細く延びるスライダー前端を軸筒内に退没可能であることから、携帯時にスライダー前端が他の物品と当たることで破損したり、逆に他の物品を傷つけたりすることがなく、実際に市場においても高評価を得ている。
【0003】
特許文献1には、スライダーの芯ガイドを先具から突出および退没した位置で係合し、芯ガイドを、筆記時には先具から突出させた位置に固定し、不使用時には先具内に退没した状態で維持可能なシャープペンシルのスライダー構造が開示されている。
この特許文献1のスライダー構造は、芯ガイドを固着したスライダーに、先具の内周面を摺動する摺動片と、この摺動片の後端の外周部に突起と、を設け、先具の内周面に、芯ガイドが先具の先端の孔から突出および退没した位置で、突起が係合する溝を設けたものであり、スライダーの突起と先具の溝が係合することでスライダーの前後動を固定できることから、携帯時に振動などがシャープペンシルに加わってもスライダーが前進することがなく、スライダーの退没状態を維持できるため、とても便利なものとなっている。
【0004】
しかしながら、特許文献1の構造では、退没状態のスライダーを前進させ芯ガイドを先具から突出させた際、芯の前進量はスライダーの前進量より小さく設定されているため、筆記を開始するには芯ガイドを突出させた後に複数回のノック動作により芯を芯ガイド前端から突出させる必要があるという課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の背景をもとになされたものであり、その目的とするところは、携帯時にスライダーが前進しないようスライダーが軸筒内に退没した状態で係止可能とするとともに、筆記時においてスライダーを退没状態から前進させた際にスライダーの前端から芯が突出することで、すぐに筆記を開始可能なシャープペンシルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、軸筒本体と前記軸筒の前方に配設された先部材とを有する軸筒と、前記先部材に内包され該先部材に対して前後動可能に装着されたスライダーと、前記軸筒内に配置され筆記用の芯を把持するチャックと、前記チャックの外方に配設された筒状体と、前記筒状体の内方に前記チャックを締め付ける締部と、を備え、
前記スライダーは前部に前記芯をガイドする内孔を備えたガイド部と、前記芯を一定の力で保持する保持部を有し、
前記ガイド部は、筆記時において前記先部材の前端開口部から前方へ突出し、携帯時においては前記芯とともに前記軸筒内に退没可能に構成されたシャープペンシルであって、
前記筒状体の後方に、該筒状体に対して軸方向に沿って前後に摺動可能な中間把持部材が配設され、前記中間把持部材は、当該筒状体を把持する把持部と、前記チャックと当接することで該チャックに対して前方への移動が制限される第1当接部と、前記筒状体と当接することで該筒状体に対して前方への移動が制限される第2当接部と、を有し、
前記筒状体の前部に、前記スライダーの後部に当接するスライダー押圧部を有し、
前記中間把持部材の後方に、該中間把持部材を前後方向に操作可能な操作体を有し、
前記スライダーの外周部に、前記スライダーが後退した際に前記先部材の内周部に形成された被係止部と係止する係止部を有し、
前記スライダーを前方へ付勢する弾性部材が該スライダーと前記先部材の間に張架され、
前記係止部と前記被係止部との係止状態を解除するために、前記スライダーを軸方向に沿って前方へ押圧する押圧力をXとし、前記中間把持部材が前記筒状体を把持する把持力をYとしたとき、Y<Xの関係式を満たし、
前記ガイド部が前記軸筒内に退没し前記係止部と前記被係止部とが係止した状態から、前記操作体を操作することで前記スライダーを前進させ、前記ガイド部を前記先部材の前端開口部から前方へ突出させた際の前記スライダーの前進量をS1、前記芯の前進量をS2としたとき、S1<S2となることを特徴とするシャープペンシルである。
尚、本発明においては、軸筒の前端開口部がある側を前方と表現しその反対方向を後方と表現する。また、軸筒の軸心に向かう方向を内方と表現し、その反対方向を外方と表現する。
【0008】
本発明によれば、ガイド部が軸筒内に退没し係止部と被係止部とが係止することで、携帯時の振動などでスライダーが意図に反して前進してしまうことを防止できる。またスライダーが軸筒内に退没し係止した状態から、操作体を操作することでスライダーを前進させ、ガイド部を前記先部材の前端開口部から前方へ突出させた際のスライダーの前進量をS1とし、芯の前進量をS2としたとき、S1<S2の関係式を満たすことから、スライダーを軸筒内に退没した際に芯の前端がスライダーのガイド部前端と略同位置にいれば、スライダーを前進させてガイド部を軸筒から突出させて際に芯がガイド部より突出するため、更なるノック動作をしなくてもすぐに筆記が開始できるという優れた効果を有する。
尚、本発明における筒状体のスライダー押圧部は筒状体に一体的に形成されていてもよく、複数の部品を圧入や係止嵌合、接着等の手段で固定させてもよい。
【0009】
さらに、係止部と被係止部との係止状態を、スライダーが軸方向に沿って前方へ押圧されることで解除するための押圧力をXとし、中間把持部材が筒状体を把持する把持力をYとしたとき、Y<Xの関係式を満たすことから、中間把持部材が前進した際に当該中間把持部材が把持する筒状体のスライダー押圧部に当接しても当該中間把持部材の第2当接部が筒状体と当接するまでは中間把持部材が前進できるため、中間把持部材の第1当接部とチャックとを先に当接させることで筒状体に対してチャックを前進させることができる。
【0010】
また、ガイド部が軸筒内に退没し係止部と被係止部とが係止した状態において、スライダーの後端とスライダー押圧部との間に隙間が構成されてもよく、この場合、操作体を操作して中間把持部材を前進させることで、筒状体は芯を把持したチャックと共にスライダーに対して隙間分前進させるできる。
【0011】
また、筒状体の内周面に締部を備えていてもよく、この場合、筒状体に対してチャックが前進した際に締部に対してもチャックは前進するため、締部によるチャックの締め付けが解除され、芯の把持を解除できる。
【0012】
また、筒状体の内方に、該筒状体に対して前後に摺動可能な締具が配設され、締具の内周面に締部を備えていてもよく、この場合、操作体を操作することで筒状体を前進させた際に該筒状体の前進が止まっても、筒状体に対してチャックが締具と共に前進できるため、締具の移動量分、芯の突出量を増加させることができる。このため、構造上、スライダーの後端とスライダー押圧部との間の隙間の長さを十分形成することが困難な場合でも、芯をスライダーに対して締具の移動量分前進させることができる。
【0013】
また、スライダーの係止部は外方へ向かって突出する突出部を有し、先部材の被係止部は外方へ向かって凹む凹部を有してもよく、この場合、突出部と凹部とを乗り越え嵌合させることで係止できることから、スライダーと先部材とがしっかり係止されるため、携帯時の振動などでスライダーと先部材の係止が解除されてしまうことを防止できる。尚、先部材の凹部は、先部材に一体的に形成してもよく、別体で形成したものを係合、螺着、圧入、接着等により固定してもよい。
【0014】
また、突出部を弾性材料で形成されたOリングで構成してもよく、この場合、係止時にOリングが弾性変形することから突出部と凹部との係止状態と係止解除を繰り返しても変形や摩耗等により損耗し難いことから好適に使用できる。尚、Oリングの弾性材料としては、合成ゴム、シリコンゴム、ニトリルゴム、フッ素ゴム等が使用できる。
【0015】
本発明のシャープペンシルは、筆記時において、前記スライダーの後退と前進動作で前記芯が前方へ繰り出される先端ノック構造を有していてもよく、この場合、スライダーの前端が紙面に接触して微後退することで筆記時に自動的に芯が繰り出せれるため、使用開始時から終了時までノック動作を極力減らすことができ快適に筆記を継続できるため好適である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、携帯時にスライダーが前進しないようスライダーが軸筒内に退没した状態で係止可能とするとともに、係止状態からスライダーを前進させた際にはスライダーの前端から芯が突出することですぐに筆記を開始可能なシャープペンシルを提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第一の実施形態のシャープペンシルを示す縦断面図である。
【
図2】
図1のシャープペンシルにおいて、要部を拡大した拡大縦断面図である。
【
図4】
図2のシャープペンシルにおいて、スライダーが後退した状態を示す縦断面図である。
【
図5】
図4の状態から中間把持部材が前進してチャックと第1当接部が当接した状態を示す縦断面図である。
【
図6】
図5の状態から中間把持部材が更に前進して筒状体と第2当接部が当接した状態を示す縦断面図である。
【
図7】
図6の状態から中間把持部材が更に前進してスライダーと先部材の係止状態が解除された状態を示す縦断面図である。
【
図8】
図7の状態からスライダーが前進した状態を示す縦断面図である。
【
図9】本発明の第二の実施形態のシャープペンシルを示す縦断面図である。
【
図10】
図9のシャープペンシルにおいて、要部を拡大した拡大縦断面図である。
【
図11】
図10のシャープペンシルにおいて、スライダーが後退した状態を示す縦断面図である。
【
図12】
図11の状態から中間把持部材が前進してチャックと第1当接部が当接した状態を示す縦断面図である。
【
図13】
図12の状態から中間把持部材が更に前進して締具と第2当接部が当接した状態を示す縦断面図である。
【
図14】
図13の状態から中間把持部材が更に前進してスライダーと先部材の係止状態が解除された状態を示す縦断面図である。
【
図15】
図14の状態からスライダーが前進した状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0019】
(第一実施形態)
図1は、本発明の第一の実施形態におけるシャープペンシル1の縦断面図であり、
図2は、
図1の要部を拡大した拡大縦断面図であり、
図3は、
図2のA-A端面を拡大して示す拡大端面図であり、
図4は、
図2のシャープペンシルにおいて、スライダーが後退した状態を示す縦断面図であり、
図5は、
図4の状態から中間把持部材が前進してチャックと第1当接部が当接した状態を示す縦断面図であり、
図6は、
図5の状態から中間把持部材が更に前進して筒状体と第2当接部が当接した状態を示す縦断面図であり、
図7は、
図6の状態から中間把持部材が更に前進してスライダーと先部材の係止状態が解除された状態を示す縦断面図であり、
図8は、
図7の状態からスライダーが前進した状態を示す縦断面図である。
【0020】
図1から
図3に示すように、シャープペンシル1は、軸筒2が、先部材21と、該先部材21の後部に螺着された連結体22と、連結体22の後部に螺着された軸筒本体23と、で構成され、軸筒2の内部に、軸筒2に対して前後方向に摺動可能に挿入れたスライダー3と、スライダー3の後方に配置され前後方向に摺動可能な芯操出機構4と、芯繰出機構4の後方に配置され前後方向に摺動可能な中間把持部材5と、中間把持部材の後方に配置され軸筒2の後端開口部から後方へ突出する操作体6と、により構成される。
【0021】
先部材21は、先部材本体211と該先部材本体211の後部内周部に圧入装着された内駒212とで構成してあり、前部内周部にはスライダー3が出没する前端開口部21aを有し、中央内周部には、後述するスライダー3の係止部と係止する被係止部として、外方へ向かって凹む凹部21bを有し、後部内周部には段部21cを有する。また、凹部21b(被係止部)は内駒212の前方部212aに形成されており、前方部212aと先部材本体211の内周部には隙間が形成され、凹部21b(被係止部)に後述するスライダー3の係止部となる突出部3eが係止する際に前方部212aが外方へ撓むことで係止し易くしてある。尚、前方部212aは撓み易くなるよう周方向に沿って複数に分割されていてもよい。
【0022】
先部材21の内方にはスライダー3が軸方向に沿って前後に摺動可能に配置される。スライダー3は、スライダー本体31と、スライダー本体31の外周凹状部に外嵌されたOリング32と、スライダー本体31の内周部に圧入装着された芯保持部材33とで構成されている。また、スライダー3には、内周部に筆記用の芯7が挿通するガイド部3aと、外周部に形成された段部3bと、後端部に筒状体42のスライダー押圧部42cと当接する後部当接部3cと、芯5を弱い力で保持する芯保持部3dと、外周部に外方へ向かって突出し凹部21b(被係止部)に係止する係止部としてOリング32により構成される突出部3eと、を有している。そして、スライダー3の段部3bと先部材21の段部21cとの間には弾性部材であるコイルスプリング8が張架されており、先部材21に対してスライダー3は常に前方へ弾発される。
【0023】
Oリング32及び芯保持部材33は弾性材料で形成されている。具体的には、Oリング32は合成ゴム、シリコンゴム、ニトリルゴム、フッ素ゴムなどが使用でき、芯保持部材33には合成ゴム、シリコンゴム、ニトリルゴム、フッ素ゴムなどが使用できる。尚、本実施形態では芯保持部3dで芯7を保持する保持力は約0.3Nに設定される。
【0024】
軸筒本体23は、前軸231と前軸231の後部に螺着された後軸232で構成されている。軸筒本体23の内周部には、前部内周部に段状に形成された前段部23aと、中央外周部に内方へ向かって突出した内段部23bを有する。
【0025】
スライダー3の後方且つ軸筒2の内周部には芯繰出機構4が配設されており、芯繰出機構4は、チャック41と、チャック41の外方に外嵌された筒状体42と、チャック41と筒状体42の間に配設された鋼製ボール43と、筒状体42の中央内段42aとチャック41の後段41cとの間に張架されチャック41を前方に弾発するコイルスプリング44と、で構成される。
【0026】
チャック41は、チャック本体411とチャック本体411の後部に圧入装着された後部筒体412とを有し、筒状体42に対して前後動可能に構成される。そして、チャック41の頭部41aは軸方向に沿って二分割されており、分割されたそれぞれの頭部41aは前方へ向かって互いが次第に離間するように形成され、頭部41aがそれぞれ径方向内方に撓むことで芯7が把持可能に構成される。また、頭部41aは鋼製ボール43が挿入されるチャック凹部41bを備え、後部には段状の後段41cを有する。
【0027】
筒状体42は、筒状体本体421と、筒状体本体421の前部内孔に圧入装着された前部当接部材422と、を有し、前後方向に貫通する内孔を備えるとともに軸筒2に対して軸方向に沿って摺動可能に構成される。また、内孔の前部には前方へ向かって拡径する傾斜部として締部42bを形成してあり、締部42bにはチャック41のチャック凹部41bに挿入した鋼製ボール10が当接するように配置され、内孔の中央には中央内段42aを有する。そして、筒状体42の外周部には段状に形成された外段42dを有し、外段42dが軸筒本体23の前段部23aに当接することで筒状体42の後方への移動が制限される。また、筒状体42の前端は、スライダー3の後部当接部3cと当接するスライダー押圧部42cを備え、スライダー押圧部42cは先部材21の内駒212の後端と当接することで前方への移動が制限される。
【0028】
本実施形態の芯繰出機構4は、ボールをチャックと締部の間に配した公知のボールチャック構造であり、チャック41はコイルスプリング44の弾発力で後方へ弾発され、芯7をチャック41が把持した状態であればチャック41の後退により鋼製ボール43を介して筒状体42の締部42bによりくさび作用が発生し、芯7をチャック41により把持することができる。また、ボールチャック構造の特徴として、芯7に後方への押圧力(筆圧)などが加わるとチャック41で強く芯7を把持して芯7の後退を制限できるが、芯7に対して前方への引張力が加わると、くさび作用がすぐに解除されて芯7の前方への移動を許容する構造となっている。本実施形態では、スライダー3の芯保持部3dで芯7を保持した状態で該スライダー3が前進すると、芯7もスライダー3の前進に合わせて前進する。
【0029】
中間把持部材5は、把持部材本体51と、把持部材本体51の後部に圧入装着された後筒52と、で構成され、軸筒2の内部に軸方向に沿って摺動可能に収納される。また、中間把持部材5の前部は周方向に沿って均等に4分割され(
図3参照)、弾性力で筒状体42を一定の力で把持する把持部42aを有し、後部内周部には、複数の予備芯が収容される芯収容部5bを有する。そして、後筒52の前端と軸筒本体23の内段部23dとの間にはコイルスプリング9が張架され、コイルスプリング9の弾発力で中間把持部材5は常時後方に弾発される。さらに、中間把持部材5の中央内段には、中間把持部材5が前進した際にチャック41の後端に当接する第1当接部5cと、筒状体42の後端に当接する第2当接部5dとを有する。本実施形態では、第1当接部5cと第2当接部5dとが同一平面上の内方と外方にそれぞれ形成することで、加工性が向上される。尚、中間把持部材5は、外周部に中央外段を有し、中央外段に軸筒本体23の内段部23bが当接することで、後方への移動が制限される。
【0030】
中間把持部材5の後部には、操作体6が着脱自在に装着されており、操作体6を前方へ押圧することで中間把持部材5を前方へ押圧可能に構成される。
【0031】
ここで、スライダー3と先部材21との係止状態を解除するための押圧力と、中間把持部材5の把持部5aが筒状体42を把持する把持力と、の関係を詳述する。
図4に示すように、スライダー3の突出部3e(係止部)と先部材21の凹部21b(被係止部)とのが係止した状態で、スライダー3が筒状体42により軸方向に沿って前方へ押圧された際に前記係止状態を解除するための押圧力をXとし、中間把持部材5の把持部5aが筒状体42を把持する把持力をYとしたとき、Y<Xの関係式を満たすように構成される。具体的には、本実施形態では押圧力Xは約2Nであり、把持力Yは約1Nであり、上記関係式を満たしている。
【0032】
次に、本実施形態において、
図1及び
図2の状態から操作体6を前方へ押圧するノック動作により、芯7が前方へ繰り出される状態を説明する。
図1及び
図2の状態から操作体6をコイルスプリング9の弾発力に抗して前方へ押圧すると、操作体6に押圧された中間把持部材5も同時に前進する。そして、中間把持部材5が前進すると当該中間把持部材5の把持部5aに把持されている筒状体42がチャック41及び芯7と共に前進する。この際、芯7の前端はスライダー3のガイド部3aの前端から突出する。そして、筒状体42のスライダー押圧部42cが先部材21の内駒212の後端に当接することで筒状体42の前進が止まると、同時にチャック41と当該チャック41に把持されている芯7の前進も止まる。この状態で、操作体6に対する押圧を解除すると、コイルスプリング9の弾発力で中間把持部材5と操作体6が後退し、中間把持部材5の把持部5aで把持されている筒状体42が後退する。この際、芯7はスライダー3の芯保持部3dで保持されており、筒状体42及びチャック41が後退することで、芯7には前方への引張力が掛かる。そして、前述したように、本実施形態ではボールチャック構造を採用しているため、芯7に対して前方への引張力が加わると、締42b部によるチャック41に対するくさび作用がすぐに解除されて芯7の前方への移動を許容するため、芯7は後退せずに前進した位置を維持し、その結果として、芯7がスライダー3に対して前方へ繰り出される。
【0033】
次に、本実施形態で筆記した際に、先端ノック構造が作動し、筆記動作に伴い芯7が前方へ繰り出される状態を説明する。
図1及び
図2の状態で紙面等へ筆記を行い、芯7の前端が摩耗すると、筆記時にスライダー3の前端が紙面に当接する。スライダー3が紙面に当接することで、紙面に押されたスライダー3がコイルスプリング8の弾発力に抗して先部材21(軸筒2)に対して後退すると、芯7はチャック41で把持されており、前述したように本実施形態の芯繰出機構4は後方へ芯7が押圧された場合は強く芯7を把持するため、芯7は後退せず、スライダー3のみが先部材21及び芯7に対して後退する。ここで、スライダー3の前端が紙面から離れると、スライダー3はコイルスプリング8の弾発力で前進するが、この際、芯7はスライダー3の芯保持部3dで保持されているため、芯7には前方への引張力が掛かり、芯繰り出し時同様に、締部42dによるチャック41へのくさび力が低下し芯7がチャック41から解放される。このため、スライダー3の前進に伴い当該スライダー3により保持されている芯7も前進することから、筆記をすることで自動的に芯が前方へ繰り出される先端ノック構造が構成される。
【0034】
次に、
図1及び
図2の状態からスライダー3と芯7を後退させ先部材に係止する状態を
図1から
図4を用いて説明する。
図1及び
図2の状態から、
図8の状態まで操作体6を前方へ押圧すると、中間把持部材5が押圧されて前進し、さらに、中間把持部材5の前進に伴い筒状体42に対してチャック41が前進することで、締部42bによるチャック41へのくさび作用が低下してチャック41が芯7を開放する。この
図8の状態で、スライダー3及び芯7を机などの平坦面に押圧すると、先ず芯7がスライダー3の前端まで後退し、次いでスライダー3及び芯7が先部材21(軸筒2)に対して後退し、スライダー3の突出部3e(係止部)と先部材21の凹部21b(被係止部)が係止する。そして、操作体6に対する前方への押圧を解除すると、コイルスプリング9およびコイルスプリング44の弾発力でチャック41、筒状体42、中間把持部材5、操作体6が後方へ移動し、チャック41で芯7が再び把持される
図4の状態となる。尚、この
図4の状態では、芯7の前端がスライダー3の前端と略同位置となるとともにスライダー3の後部当接部3cと筒状体42のスライダー押圧部42cとの間に隙間Lが形成されるよう構成してある。そして、この
図4の状態にすることで、シャープペンシル1を筆箱や衣服のポケットなどに入れて持ち歩いても、振動や他の物品との接触でスライダー3の先端が破損することがなく、また、同時にスライダー3の細い先端で他の物品に傷をつけたりすることを防止できる。さらに、本実施形態のシャープペンシル1は、前述したように、スライダー3の後退と前進により芯7を前方へ繰り出すことができる先端ノック構造であることから、スライダー3を係止することで、携帯時に芯7が意図に反して前方へ繰り出してしまうことを防止できる。さらにまた、突出部3eはシリコンゴム等のゴム製のOリング32により構成されていることから、突出部3eと凹部21bの係止と係止解除を繰り返しても変形や摩耗等により損耗することを防止できる。
【0035】
続いて、
図4の状態から操作体6を前方へ押圧操作することでスライダー3と先部材21との係止状態を解除して筆記状態に戻す動作を説明する。
図4の状態から、操作体6を前方へ押圧すると操作体6に押された中間把持部材5が前進する。中間把持部材5が前進すると、中間把持部材5の把持部5aに把持された筒状体42がチャック41と共に、スライダー3の後部当接部3cと筒状体42のスライダー押圧部42cとが当接するまでの隙間L分前進する。この際、チャック41に把持された芯7も隙間L分スライダー3に対して前進し、芯7は、スライダー3のガイド部3aの前端から前方へ向かって隙間L分突出する。具体的に、本実施形態では隙間Lを0.3mm~0.5mmに設定してあることから、芯7がスライダー3のガイド部3aの前端から突出する長さも同じく0.3mm~0.5mmとなる。そして、スライダー3の後部当接部3cと筒状体42のスライダー押圧部42cとが当接すると、前述したように、スライダー3と先部材21との係止状態を解除するための押圧力Xと、中間把持部材5の把持部5aが筒状体42を把持する把持力Yの関係は、Y<Xの関係式を満たすため、筒状体42の前進は停止し、筒状体42に対して中間把持部材5の把持部5aが筒状体42の外面を滑るようにして前進し、中間把持部材5の第1当接部5cとチャック41の後端とが当接する
図5の状態となる。そして、操作体6をさらに押圧して中間把持部材5が前進すると、コイルスプリング44の弾発力に抗してチャック41が筒状体42に対して前進し、鋼製ボール43を介した締部42bによるチャック41へのくさび作用が低下し、芯7は前進することなくチャックから解放される。チャック41の前進は筒状体42の後端と中間把持部材5の第2当接部5dとが当接した時点で止まり、
図6の状態となる。そして、
図6の状態からさらに中間配部材6が前進すると、筒状体42のスライダー押圧部42cがスライダー3を押圧して、スライダー3の突出部3e(係止部)と先部材21の凹部21b(被係止部)との係止状態が解除される
図7の状態となる。このスライダー3と先部材21の係止状態が解除されると、コイルスプリング8の弾発力でスライダー3のガイド部3aが前進して先部材21の前端開口部21aから前方へ突出し、さらに芯保持部3dで保持されている芯7もスライダー3との軸方向における位置関係を維持したまま前進し、
図8の状態となる。ここで、操作体6の押圧状態を解除すると、コイルスプリング9の弾発力とコイルスプリング44の弾発力で中間把持部材5と筒状体42とチャック41が後退して元の位置に戻り、
図1及び
図2の状態となる。
【0036】
この操作体6の押圧動作によりスライダー3と先部材21との係止状態を解除する動作により、
図4の状態ではスライダー3の前端と芯7の前端とが軸方向において略同位置にあったものが、動作終了時には
図5の長さ前方へ隙間L分突出する。すなわち、本実施形態では、スライダー3と先部材21との係止状態から操作部6を操作することでスライダー3を前進させ、ガイド部3aを先部材21の前端開口部21aから前方へ突出させた際のスライダー3の前進量をS1とし、芯7の前進量をS2としたとき、S2の方が隙間L分長くなるのでS1<S2の関係式を満たす。このため、スライダー3を先部材21(軸筒2)内に退没した際に芯7の前端がスライダー3のガイド部3a前端と略同位置にいれば、スライダー3を前進させてガイド部3aを先部材21(軸筒2)から突出させた際に芯7がガイド部3aより隙間L分突出するため、更なるノック動作をしなくてもすぐに筆記が開始できるという優れた効果を奏する。
【0037】
(第二実施形態)
図9は、本発明の第二の実施形態におけるシャープペンシル11の縦断面図であり、
図10は、
図9の要部を拡大した拡大縦断面図であり、
図11は、
図10のシャープペンシルにおいて、スライダーが後退した状態を示す縦断面図であり、
図12は、
図11の状態から中間把持部材が前進してチャックと第1当接部が当接した状態を示す縦断面図であり、
図13は、
図12の状態から中間把持部材が更に前進して締具と第2当接部が当接した状態を示す縦断面図であり、
図14は、
図13の状態から中間把持部材が更に前進してスライダーと先部材の係止状態が解除された状態を示す縦断面図であり、
図15は、
図14の状態からスライダーが前進した状態を示す縦断面図である。
また、第一の実施形態と構造が同じ部分は、同一の符号を付記し、説明を省略する。
【0038】
本実施形態のシャープペンシル11の芯繰出機構14は、チャック141と、チャック141の外方に外嵌された筒状体142と、チャック141と筒状体142の間に配設され、筒状体142に対して軸方向に沿って摺動可能に配設された締具145と、筒状体142の中央内段142aとチャック141の後段141cとの間に張架されチャック141を常に前方に弾発するコイルスプリング44と、で構成される。
【0039】
チャック141は、チャック本体1411と当該チャック本体1411の後部に圧入装着された後部筒体412とを有し、筒状体142に対して前後動可能に構成される。そして、チャック141の頭部141aは軸方向に沿って二分割されており、それぞれの分割された頭部141aは、前方へ向かって互いが次第に離間するように形成され、それぞれの頭部141aが径方向内方に撓むことで芯7が把持可能に構成される。
【0040】
筒状体142は、筒状体本体1421と、筒状体本体1421の前部内孔に圧入装着された前部当接部材422と、を有し、前後方向に貫通する内孔を備えるとともに軸筒2に対して軸方向に沿って摺動可能に構成される。また、筒状体142の内孔の前部には、内周部にチャック141の頭部141aを締め付ける締部145aが形成された締具145が軸方向に沿って摺動自在に配設してあり、内孔の中央にはコイルスプリング44の前端が当接する中央内段142aを有する。さらに、筒状体142の前端は、スライダー3の後部当接部3cと当接するスライダー押圧部142cを備え、スライダー押圧部142cは先部材21の内駒212の後端と当接することで前方への移動が制限される。そして、外周部には段状に形成された外段142dを有し、外段142dが軸筒本体23の前段部23aに当接することで筒状体142の後方への移動が制限される。尚、締具145の軸方向に沿って移動可能な移動量M(
図11参照)は締具145の前端が前部当接部材422の後退に当接することで制限される。
【0041】
次に、本実施形態の作用について
図9から
図15を用いて説明する。
図9及び
図10の状態から、
図15の状態まで操作体6を前方へ押圧し、中間把持部材5が押圧されて前進し、さらに、中間把持部材5の前進に伴い筒状体142に対してチャック141が前進することで、チャック141の頭部141aから締具145の締部145aが外れてチャック141へのくさび作用が低下し、チャック141が芯7を開放する。この
図15の状態で、スライダー3及び芯7を机などの平坦面に押圧すると、先ず芯7がスライダー3の前端まで後退し、次いでスライダー3及び芯7が先部材21(軸筒2)に対して同時に後退し、スライダー3の突出部3e(係止部)と先部材21の凹部21b(被係止部)が係止し、
図11の状態となる。このため、
図11状態では、芯7の前端がスライダー3の前端と略同位置となる。尚、本実施形態では、この際、スライダー3の後部当接部3cと筒状体142のスライダー押圧部142cとが当接するよう構成される。
【0042】
次に、
図11の状態から操作体6を前方へ押圧操作することで、スライダー3と先部材21との係止状態を解除して筆記状態に戻す動作を説明する。
図11の状態から、操作体6を前方へ押圧すると操作体6に押された中間把持部材5が前進する。そして、中間把持部材5が前進すると、後部当接部3cとスライダー押圧部142cとが当接しており、さらに、スライダー3と先部材21との係止状態を解除するための押圧力Xと、中間把持部材5の把持部5aが筒状体142を把持する把持力Yの関係は、第一の実施形態と同様Y<Xの関係式を満たすため、筒状体142は前進せず、筒状体142に対して中間把持部材5の把持部5aが筒状体142の外面を滑るようにして前進し、中間把持部材5の第1当接部5cとチャック141の後端とが当接する
図12の状態となる。そして、操作体6をさらに押圧して中間把持部材5が前進すると、コイルスプリング44の弾発力に抗してチャック141と締具145が筒状体142に対して前進し、締具145のくさび力でチャック141が把持している芯7も同時に前進する。芯7の前進は、締具145の前端と前部当接部材422の後端とが当接し、チャック141の頭部141aと締具145の締部145aとが離間することで、チャック141が芯7を開放して止まる
図13の状態となる。この際、本実施形態における芯7のスライダー3に対する前進量は、締具145の移動量M(
図11参照)と略同等となり、芯7は、スライダー3のガイド部3aの前端から前方へ向かって移動量M分突出する。具体的に、本実施形態では締具145の移動量Mを0.3mmに設定してあることから、芯7がスライダー3のガイド部3aの前端から突出する長さも同じく0.3mmとなる。そして、
図13の状態からさらに中間配部材6が前進すると、筒状体142のスライダー押圧部142cがスライダー3の後部当接部3cを押圧して、スライダー3の突出部3e(係止部)と先部材21の凹部21b(被係止部)との係止状態が解除される
図14の状態となる。このスライダー3と先部材21の係止状態が解除されると、コイルスプリング8の弾発力でスライダー3のガイド部3aが前進した先部材3の前端開口部21aから前方へ突出し、さらに芯保持部3dで保持されている芯7もスライダー3との軸方向における位置関係を維持したまま前進し
図15の状態となる。ここで、操作体6の押圧状態を解除すると、コイルスプリング9の弾発力とコイルスプリング44の弾発力で中間把持部材5と筒状体142とチャック141が後退して元の位置に戻り、
図9及び
図10の状態となる。
【0043】
この操作体6の押圧動作によりスライダー3と先部材21との係止状態を解除することで、
図10の状態ではスライダー3の前端と芯7の前端とが軸方向において略同位置にあったものが、動作終了時には前方方向へ移動量M分(0.3mm)突出する。すなわち、本実施形態では、スライダー3と先部材21との係止状態から操作部6を操作することでスライダー3を前進させ、ガイド部3aを先部材21の前端開口部21aから前方へ突出させた際のスライダー3の前進量をS1とし、芯7の前進量をS2としたとき、S2の方が移動量M分長くなるのでS1<S2の関係式を満たす。このため、スライダー3を先部材21(軸筒2)内に退没した際に芯7の前端がスライダー3のガイド部3a前端と略同位置にいれば、スライダー3を前進させてガイド部3aを先部材21(軸筒2)から突出させた際に芯7がガイド部3aより移動量M分突出するため、更なるノック動作をしなくてもすぐに筆記が開始できる。
【0044】
尚、本実施形態では、スライダー3を後退させてスライダー3の突出部3e(係止部)と先部材21の凹部21b(被係止部)が係止した状態では、スライダー3の後部当接部3cと筒状体142のスライダー押圧部142cとが当接するよう構成してあるが、第一の実施形態と同様に後部当接部3cとスライダー押圧部142cとの間に隙間Lが形成されるよう構成してもよく(図示せず)、この場合、突出部3e(係止部)と凹部21b(被係止部)が係止した状態からスライダー3を前進させた際の芯7のスライダー3(ガイド部3a)の前端からの突出量は隙間Lと移動量Mとを合算させたものとすることができることから、スライダー3を係止状態から前進させた際に、スライダー3の前端から芯7が突出する突出量を大きくしたい場合には好適である。
【符号の説明】
【0045】
1…シャープペンシル、
2…軸筒、
21…先部材、21a…前端開口部、21b…凹部(被係止部)、21c…段部、
211…先部材本体、212…内駒、212a…前方部、
22…連結体、
23…軸筒本体、23a…前段部、23b…内段部、
231…前軸、
232…後軸、
3…スライダー、3a…ガイド部、3b…段部、3c…後部当接部、3d…芯保持部、
3e…突出部(係止部)、
31…スライダー本体、
32…Oリング、
33…芯保持部材、
4…芯繰出機構、
41…チャック、41a…頭部、41b…チャック凹部、41c…後段
411…チャック本体、
412…後部筒体、
42…筒状体、42a…中央内段、42b…締部、42c…スライダー押圧部、
42d…外段、
421…筒状体本体、
422前部当接部材、
43…鋼製ボール、
44…コイルスプリング、
5…中間把持部材、5a…把持部、5b…芯収納部、5c…第1当接部、
5d…第2当接部、
51…把持部材本体、
52…後筒、
6…操作体、
7…芯、
8…コイルスプリング、
9…コイルスプリング、
11…シャープペンシル、
14…芯繰出機構、
141…チャック、141a…頭部、141c…後段
1411…チャック本体、
142…筒状体、142a…中央内段、142c…スライダー押圧部、
142d…外段、
1421…筒状体本体、
145…締具、145a…締部
L…隙間、
M…締具の移動量。