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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022127444
(43)【公開日】2022-08-31
(54)【発明の名称】音声伝達装置
(51)【国際特許分類】
   H04M 9/00 20060101AFI20220824BHJP
   H04R 3/00 20060101ALI20220824BHJP
   H04B 5/02 20060101ALI20220824BHJP
【FI】
H04M9/00 A
H04R3/00 310
H04B5/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021025605
(22)【出願日】2021-02-19
(71)【出願人】
【識別番号】520352780
【氏名又は名称】アクロスオーディオ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134072
【弁理士】
【氏名又は名称】白浜 秀二
(72)【発明者】
【氏名】濱島 力
【テーマコード(参考)】
5D220
5K012
5K038
【Fターム(参考)】
5D220AB01
5D220AB08
5D220DD03
5K012AB03
5K012AB17
5K012AC06
5K038AA07
5K038AA09
5K038CC02
5K038DD02
5K038DD09
5K038EE05
5K038EE17
(57)【要約】
【課題】配線が不要であるばかりか、見栄えが良い音声伝達装置を提供。
【解決手段】仕切り部材を隔てて音声を伝達する音声伝達装置であって、仕切り部材の一方側に設けられた親機と、仕切り部材の他方側に設けられた子機とを備え、親機と子機との音声信号と電源供給を非接触で行うようにした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
仕切り部材を隔てて音声を伝達する音声伝達装置であって、
前記仕切り部材の一方側に設けられた親機と、
前記仕切り部材の他方側に設けられた子機と、
前記仕切り部材に前記親機および前記子機を固定する固定手段と、
を備え、
前記親機は、音声を拾う親側マイクと、この親側マイクから出力された音声信号を前記子機に非接触で伝達する親側伝達コイル部と、電力を子機に非接触で給電する給電コイル部とを有し、
前記子機は、前記親側伝達コイル部から伝達される音声信号を非接触で受信する子側受信コイル部と、この子側受信コイル部で受信した音声信号に基づいて音声を出力する子側スピーカと、音声を拾う子側マイクと、この子側マイクから出力された音声信号を前記親機に非接触で伝達する子側伝達コイル部と、前記給電コイル部から給電される電力を非接触で受電する受電コイル部とを有し、
さらに、
前記親機は、前記子側伝達コイル部から伝達される音声信号を非接触で受信する親側受信コイル部と、この親側受信コイル部で受信した音声信号に基づいて音声を出力する親側スピーカとを有し、
さらに、
前記固定手段は、前記親側伝達コイル部と前記子側受信コイル部、前記子側伝達コイル部と前記親側受信コイル部、および前記給電コイル部と前記受電コイル部とが、それぞれ前記仕切り部材を挟んで対峙するように前記親機と前記子機とを前記仕切り部材に固定する構成とした、
ことを特徴とする音声伝達装置。
【請求項2】
前記固定手段は、前記仕切り部材に前記親機および前記子機を固定するための磁石を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の音声伝達装置。
【請求項3】
前記親機および前記子機は、それぞれ、前記仕切り部材により損なわれた音量および周波数特性を補正する補正手段と備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の音声伝達装置。
【請求項4】
仕切り部材を隔てて音声を伝達する音声伝達装置であって、
前記仕切り部材の一方側に設けられた親機と、
前記仕切り部材の他方側に設けられた子機と、
前記親機および前記子機のそれぞれに設けられ、少なくとも前記仕切り部材により損なわれた音量および周波数特性を補正する補正手段と、
を備えたことを特徴とする音声伝達装置。
【請求項5】
前記親機および前記子機は、それぞれ、前記補正手段による補正を少なくとも前記仕切り部材の特性に応じて予め定められた設定に基づいて行う設定手段を備えたことを特徴とする請求項3または4に記載の音声伝達装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仕切り部材を隔てて音声を伝達する音声伝達装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の音声伝達装置としては、次のようなものが知られている。
【0003】
たとえば、特許文献1には、仕切り板または壁を介して部屋の外側の者と内側の者が親機と子機とで通話することができる通話装置が開示されている。
【0004】
また、非特許文献1には、テーブル上に立設された飛沫防止パネル等の衝立を隔てて対話するにあたり親機と子機とで音声を伝達する通話装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4365414号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】ユニペックス株式会社「ポータブル窓口通話システム」http://www.unipex.co.jp/seihin/syoukai/pcc100/
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、これら通話装置はいずれも、親機と子機とを有線で接続する構成となっているため、配線が煩わしいばかりか、見栄えが悪いという問題がある。
【0008】
また、対面する相手と、マイクおよびスピーカの位置がずれているため、会話し辛い。
【0009】
さらに、音声を単にマイクで拾って相手方スピーカから出力する構成であるため、音が大きくなり過ぎて周囲の人に会話の内容が漏れてしまう可能性が高い。
【0010】
さらに、会話を行うために通話ボタンを押して話す必要があり、ウイルス等の感染リスクが発生し易い。
【0011】
本発明は、上記事情に基づいてなされたもので、その目的とするところは、配線が不要であり見栄えが良いばかりか、仕切り部材の所望位置に設置することができるため対話者の顔とマイクおよびスピーカの位置を一致させることが可能で会話がし易くなり、しかも、仕切り部材による音量の減衰および周波数特性を仕切り部材により損出した分に応じて加算することにより周囲への秘話性を高め会話ボタン等を無くすことにより感染リスクを低減することができる音声伝達装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明は、仕切り部材を隔てて音声を伝達する音声伝達装置であって、仕切り部材の一方側に設けられた親機と、仕切り部材の他方側に設けられた子機と、仕切り部材に前記親機および前記子機を固定する固定手段とを備え、親機は、音声を拾う親側マイクと、この親側マイクから出力された音声信号を子機に非接触で伝達する親側伝達コイル部と、電力を子機に非接触で給電する給電コイル部とを有し、子機は、親側伝達コイル部から伝達される音声信号を非接触で受信する子側受信コイル部と、この子側受信コイル部で受信した音声信号に基づいて音声を出力する子側スピーカと、音声を拾う子側マイクと、この子側マイクから出力された音声信号を親機に非接触で伝達する子側伝達コイル部と、給電コイル部から給電される電力を非接触で受電する受電コイル部とを有し、さらに、親機は、子側伝達コイル部から伝達される音声信号を非接触で受信する親側受信コイル部と、この親側受信コイル部で受信した音声信号に基づいて音声を出力する親側スピーカとを有し、さらに、固定手段は、親側伝達コイル部と子側受信コイル部、子側伝達コイル部と親側受信コイル部、および給電コイル部と受電コイル部とが、それぞれ仕切り部材を挟んで対峙するように親機と子機とを仕切り部材に固定する構成としたことを特徴とするものである。
【0013】
固定手段は、仕切り部材に親機および子機を固定するための磁石を備えた構成とすることが好ましい。
【0014】
また、親機および子機は、それぞれ、仕切り部材により損なわれた音量および周波数特性を補正する補正手段と備えた構成とすることが好ましい。
【0015】
また、本発明は、仕切り部材を隔てて音声を伝達する音声伝達装置であって、仕切り部材の一方側に設けられた親機と、仕切り部材の他方側に設けられた子機と、親機および子機のそれぞれに設けられ、少なくとも仕切り部材により損なわれた音量および周波数特性を補正する補正手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0016】
親機および子機は、それぞれ、補正手段による補正を少なくとも仕切り部材の特性に応じて予め定められた設定に基づいて行う設定手段を備えた構成とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、配線が不要であり見栄えが良いばかりか、仕切り部材の所望位置に設置することができるため対話者の顔とマイクおよびスピーカの位置を一致させることが可能で会話がし易くなり、しかも、少なくとも仕切り部材により損なわれた音量および周波数特性を補正することにより周囲への秘話性を高め会話ボタン等を無くすことにより感染リスクを低減することができる音声伝達装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図面は、本開示に係る本発明の特定の実施の形態を示し、発明の不可欠な構成ばかりでなく、選択的及び好ましい実施の形態を含む。
図1】本発明の第1実施形態に係る音声伝達装置の設置状態を示す斜視図。
図2】同音声伝達装置の親機を示す正面図。
図3】同音声伝達装置の親機の内部を示す図。
図4】同音声伝達装置の子機を示す正面図。
図5】同音声伝達装置の子機の内部を示す図。
図6】同音声伝達装置の設置状態を示す断面図。
図7】同音声伝達装置のコイル部を示す側面図。
図8】同音声伝達装置の回路構成を示す図。
図9】同音声伝達装置の作用を説明するための図。
図10】同音声伝達装置の他の作用を説明するための図。
図11】同音声伝達装置のさらに他の作用を説明するための図。
図12】同音声伝達装置のさらに他の作用を説明するための図。
図13】本発明の第2実施形態に係る音声伝達装置のコイル部を示す側面図。
図14】同音声伝達装置の子機側のコイル部を示す正面図。
図15】同音声伝達装置の回路構成を示す図。
図16】本発明の第3実施形態に係る音声伝達装置のコイル部を示す側面図。
図17】同音声伝達装置の子機側のコイル部を示す正面図。
図18】本発明の第4実施形態に係る音声伝達装置の回路構成を示す図。
図19】本発明の第5実施形態に係る音声伝達装置の設置状態を示す側面図。
図20】同音声伝達装置の親機を示す正面図。
図21】同音声伝達装置の親機の内部を示す図。
図22】同音声伝達装置の子機を示す正面図。
図23】同音声伝達装置の子機の内部を示す図。
図24】同音声伝達装置の設置状態を示す側断面図。
図25】本発明の第6実施形態に係る音声伝達装置の親機を示す正面図。
図26】同音声伝達装置の親機の内部を示す図。
図27】同音声伝達装置の子機を示す正面図。
図28】同音声伝達装置の子機の内部を示す図。
図29】同音声伝達装置の設置状態を一部断面にして示す側面図。
図30】同音声伝達装置の磁石の作用を説明するための図。
図31】本発明の第7実施形態に係る音声伝達装置の親機を示す正面図。
図32】同音声伝達装置の親機の内部を示す図。
図33】同音声伝達装置の子機を示す正面図。
図34】同音声伝達装置の子機の内部を示す図。
図35】同音声伝達装置の設置状態を一部断面にして示す側面図。
図36】コイル部の変形例を示す側面図。
図37】同コイル部の正面図。
図38】同コイル部の設置状態を示す正面図。
図39】コイル部の他の変形例を示す側面図。
図40】同コイル部の正面図。
図41】同コイル部の設置状態を示す正面図。
図42】同一コアに音声用コアと電源用コアを巻回した場合の回路構成を説明するための回路図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<第1実施形態>
以下、図面を参照しながら本発明の第1実施形態について説明する。
【0020】
図1は、第1実施形態に係る音声伝達装置1の設置状態を示している。
【0021】
図1に示すように、テーブル2上には、アクリル板等で形成された飛沫防止パネル等の衝立(仕切り部材)3が立設され、この衝立3を隔てて対話するようになっている。
【0022】
この衝立3には、親機4および子機5を有する音声伝達装置1が設置されている。
【0023】
すなわち、衝立3の一方側には、親機4が取付けられ、他方側には子機5が親機4と対峙する状態に取付けられている。
【0024】
この音声伝達装置1には、ACアダプター6により電力が供給されるようになっている。
【0025】
ACアダプター6は、たとえばUSB-Cタイプが用いられ、コンセント7からの電力が親機4に供給されるようになっている。また、子機5には、詳細を後述するが、親機4からの電力が衝立3を隔てて非接触で供給されるようになっている。
【0026】
親機4は、図2および図3に示すように、音声を拾う親側マイク8、この親側マイク8から出力された音声信号を子機5に伝達するとともに電力を子機5に供給する親側共用コイル部(親側伝達コイル部および給電コイル部)9、後述する子側伝達コイル部10から伝達される音声信号を受ける親側受信コイル部11、この親側受信コイル部11で受信した音声信号に基づいて音声を出力する親側スピーカ12、およびこれらを支持する基板13、さらに、これらを収容する筐体14を有している。
【0027】
筐体14には、親側マイク8に対応して複数のスリット15および親側スピーカ12に対応して多数の穴16が設けられている。
【0028】
子機5は、図4および図5に示すように、親側共用コイル部9から伝達される音声信号を受けるとともに給電される電力を受電する子側共用コイル部(子側受信コイル部および受電コイル部)17、この子側共用コイル部17で受信した音声信号に基づいて音声を出力する子側スピーカ18、音声を拾う子側マイク19、この子側マイク19から出力された音声信号を親機4に伝達する子側伝達コイル部10、およびこれらを支持する基板21、さらに、これらを収容する筐体22を有している。
【0029】
筐体22には、子側マイク19に対応して複数のスリット23および子側スピーカ18に対応して多数の穴24が設けられている。
【0030】
このように構成された親機4と子機5は、図6に示すように、親側共用コイル部9と子側共用コイル部17、親側受信コイル部11と子側伝達コイル部10が、それぞれ対峙するように、衝立3に磁石25によって装着されている。
【0031】
すなわち、子側共用コイル部17に磁石25が磁着されることにより親側共用コイル部9と子側共用コイル部17とが磁着され、子側伝達コイル部10に磁石25が磁着されることにより親側受信コイル部11と子側伝達コイル部10とが磁着されるようになっている。
【0032】
すなわち、図7に示すように、親側共用コイル部9、子側共用コイル部17は、それぞれ、コア9aおよびコイル9bならびにコア17aおよびコイル17bを備えていて、コア9aとコア17aが衝立3を隔てて対峙した状態でコア17aに磁着された磁石25の磁力により衝立3に装着されるようになっている。
【0033】
また、親側受信コイル部11、子側伝達コイル部10は、それぞれ、コア11aおよびコイル11bならびにコア10aおよびコイル10bを備えていて、コア9aとコア17bが衝立3を隔てて対峙した状態でコア10aに磁着された磁石25の磁力により衝立3に装着されるようになっている。
【0034】
また、親機4は、図2に示すように、親側共用コイル部9が左側、親側受信コイル部11が右側、マイク8がこれらの上側、スピーカ12がこれらの下側に配置され、子機5は、図4に示すように、子側共用コイル部17が右側、子側伝達コイル部10が左側、マイク19がこれらの上側、スピーカ18がこれらの下側に配置されている。そして、親機4と子機5とが面対称に向い合せで衝立3に装着されるようになっている。
【0035】
なお、磁石25,25は、信号伝送に影響を及ぼさない程度の磁力を保有したものである。
【0036】
次に、回路構成を説明する。
【0037】
図8に示すように、ACアダプター6を介して親機4に供給された直流電力は、DC-DCコンバータ26を介して親機4の各部に供給される。
【0038】
この直流電力の一部は、発振器27、インバータ28を介して交流に変換され親側共用コイル部9に供給される。
【0039】
この親側共用コイル部9に供給された交流電力は、磁界共振により非接触で子機5の子側共用コイル部17に送電される。
【0040】
子側共用コイル部17に送電された交流電力は、ハイパスフィルタ29、整流器30、DC-DCコンバータ31を介して直流電源として充電器32に充電され、子機5の各部に供給される。
【0041】
親側マイク8は親側の音声を拾い、音声信号を出力する。この音声信号は、増幅器33で増幅された後、比較器34を介して親側共用コイル部9に供給される。
【0042】
この親側共用コイル部9に供給された音声信号は、磁界共振により非接触で子機5の子側共用コイル部17に送信される。
【0043】
子側共用コイル部17に送信された音声信号は、ローパスフィルタ35、イコライザ(補正手段)36、増幅器(補正手段)37を介して子側スピーカ18に入力される。
【0044】
ここで、図9(a)に示すように、親機9のインバータ28から出力された電源信号は、比較器34から出力された音声信号と、図9(b)に示すように、重畳され、子機5のハイパスフィルタ29および整流器30を通過後、図9(c)に示す波形に整流される。
【0045】
また、図10に示すように、音声信号と給電用信号は、周波数が異なるので、ローパスフィルタ35で給電用信号がカットされ、音声信号のみが子側スピーカ18に入力される。また、ハイパスフィルタ29で音声信号がカットされ、給電用信号のみが充電器32に入力される。
【0046】
図8に戻り、子側マイク19は、子側の音声を拾い、音声信号を出力する。この音声信号は、増幅器45で増幅された後、比較器46を介して子側伝達コイル部10に供給される。
【0047】
この子側伝達コイル部10に供給された音声信号は、磁界共振により非接触で親機4の親側受信コイル部11に送信される。
【0048】
親側受信コイル部11に送信された音声信号は、ローパスフィルタ38、イコライザ(補正手段)39、増幅器(補正手段)40を介して親側スピーカ12に入力される。
【0049】
また、親機4の増幅器40から出力された音声信号は比較器34に入力され、これにより親側のハウリングが防止されるようになっている。
【0050】
さらに、子機5の増幅器37から出力された音声信号は比較器46に入力され、これにより子側のハウリングが防止されるようになっている。
【0051】
ここで、増幅器40,37およびイコライザ39,36は、仕切り部材により損なわれた音量および周波数特性を補正するように構成されている。
【0052】
さらに、親機4と子機5には、増幅器40,37およびイコライザ39,36による補正を少なくとも仕切り部材の特性に応じて予め定められた設定に基づいて行うスイッチ(設定手段)41,42がそれぞれ設けられている。
すなわち、スイッチ41,42は、衝立13の厚さや材質による特性および対話者のマスク装着の有無、対話者の性別などに応じて、音量と周波数特性を予め設定した特性で制御できるように構成されている。
【0053】
以上の構成によれば、親機4と子機5とが衝立3を隔てて音声信号と電力信号を非接触で伝送するため、配線が不要であるばかりか、見栄えが良い。
【0054】
また、親機4および子機5を仕切り部材の所望位置に設置することができるため、対話者の顔とマイクおよびスピーカの位置を一致させることが可能になり、会話がし易くなる。
【0055】
さらに、仕切り部材による音量の減衰および周波数特性を仕切り部材により損出した分に応じて加算することにより周囲への秘話性を高め会話ボタン等を無くすことにより感染リスクを低減することができる。
【0056】
すなわち、本音声伝達装置1が無い場合、衝立3が無い状態では、図11(a)に示すように、音声はそのまま伝達されるが、衝立3がある状態では、図11(b)に示すように、音声は、マスクと衝立3により音が小さく、また周波数の高い成分ほど減衰が大きくなる。
【0057】
本音声伝達装置1を衝立3に装着することにより、図11(c)に示すように、減衰分のゲイン補正(ゲインアップ)と周波数補正(イコライザ補正)を増幅器37,40およびイコライザ36,39により行うので、衝立3が無い場合と同様の音声伝達が行える。
【0058】
なお、遅延が大きくなると音声が聴きづらくなるので、遅延を最小とするため、アナログ回路で構成する。
【0059】
また、スイッチ41,42により増幅器40,37のゲインとイコライザ39,36の周波数を衝立3の厚さや材質による特性および対話者のマスク装着の有無などに応じて設定できるようにしたため、図12に示すように、衝立3が薄い場合や厚い場合であっても、衝立3が無い場合と同様のレベルに補正することができる。
【0060】
<第2実施形態>
以下、図面を参照しながら本発明の第2実施形態について説明する。
【0061】
第2実施形態では、図13および14に示すように、第1実施形態の親側共用コイル部9を、親側マイク8から出力された音声信号を子機5に伝達する親側伝達コイル部51と、電力を子機5に給電する給電コイル部52とに分け、第1実施形態の子側共用コイル部17を、親側伝達コイル部51から伝達される音声信号を受ける子側受信コイル部53と、給電コイル部52から給電される電力を受電する受電コイル部54とに分けた構成となっている。
【0062】
すなわち、親側伝達コイル部51および給電コイル部52は、同一の親側コア55に親側伝達コイル51aおよび給電コイル52aを並列に巻回し、子側受信コイル部53および受電コイル部54は、同一の子側コア56に子側受信コイル53aおよび受電コイル54aを並列に巻回した構成となっている。
【0063】
そして、本実施形態の回路構成は、図15に示すように、親機4から子機5への音声信号の送信と電力の供給が別の回路をなっている。
【0064】
<第3実施形態>
以下、図面を参照しながら本発明の第3実施形態について説明する。
【0065】
第2実施形態では、同一の親側コア55に、親側伝達コイル51aおよび給電コイル52a、同一の子側コア56に、子側受信コイル53aおよび受電コイル54aを巻回して構成したが、第3実施形態では、図16および図17に示すように、親側音声用コア61と親側電源用コア62を同芯状に設け、親側音声用コア61に親側伝達コイル51aを、親側電源用コア62に給電コイル52aをそれぞれ巻回し、また、子側音声用コア63と子側電源用コア64を同芯状に設け、子側音声用コア63に子側受信コイル53aを、子側電源用コア64に受電コイル54aをそれぞれ巻回した構成となっている。
【0066】
これにより、音声と電源に適したコア素材を使用することができるので、非接触での送信および給電をより向上することができる。
【0067】
<第4実施形態>
以下、図面を参照しながら本発明の第4実施形態について説明する。
【0068】
第4実施形態では、図18に示すように、インバータ28、給電コイル部52、受電コイル部54、ハイパスフィルタ29および整流器30を備えた電源供給回路71が複数並列に設けられている。なお、72,72は、整流器である。
【0069】
これにより、電源容量が不足する場合に対応することができる。
【0070】
<第5実施形態>
以下、図面を参照しながら本発明の第5実施形態について説明する。
【0071】
第1実施形態では、着座状態での対話に対応するように、親側共用コイル部9、子側共用コイル部17、親側受信コイル部11、子側伝達コイル部10を同じ高さになるように配置、すなわち、親機4は、図2に示すように、親側共用コイル部9が左側、親側受信コイル部11が右側、マイク8がこれらの上側、スピーカ12がこれらの下側に配置され、子機5は、図4に示すように、子側共用コイル部17が右側、子側伝達コイル部10が左側、マイク19がこれらの上側、スピーカ12がこれらの下側に配置し、親機4と子機5とが面対称に向い合せで衝立3に装着されるようにしたが、本第5実施形態では、図19図24に示すように構成されている。
【0072】
すなわち、図19に示すように、親機4側が着座状態、子機5側が立位状態の場合、親機4は、図20および図21に示すように、親側共用コイル部9が上側、親側受信コイル部11が下側、マイク8がこれらの間、スピーカ12が親側共用コイル部9とマイク8との間に配置され、子機5は、図22および図23に示すように、子側共用コイル部17が下側、子側伝達コイル部10が上側、マイク19がこれらの間、スピーカ18が子側伝達コイル部10とマイク19との間に配置されている。そして、図24に示すように、親機4と子機5とが向い合せ且つ子機5が上下反転した状態で衝立3に装着されるようになっている。
【0073】
すなわち、子側共用コイル部17に磁石25が磁着されることにより親側共用コイル部9と子側共用コイル部17とが磁着され、親側受信コイル部11に磁石25が磁着されることにより親側受信コイル部11と子側伝達コイル部10とが磁着されるようになっている。
【0074】
これにより、親機4と子機5とで、マイク8,19とスピーカ12,18の位置が逆になり、マイク8,19の位置を着座状態の口の位置と立位状態の口の位置にそれぞれ近づけることができる。
【0075】
<第6実施形態>
以下、図面を参照しながら本発明の第6実施形態について説明する。
【0076】
第1実施形態では、磁石25を子側共用コイル部17のコア17aと子側伝達コイル部10のコア10aに取り付けたが、本第6実施形態では、図25図29に示すように構成されている。
【0077】
すなわち、図25および図26に示すように、親機4の基板13には、親側共用コイル部9および親側受信コイル部11とスピーカ12との間に磁石71,71が取り付けられている。
【0078】
また、図27および図28に示すように、子機5の基板21には、子側共用コイル部17および子側受信コイル部10とスピーカ18との間に磁石72,72が取り付けられている。
【0079】
そして、図29に示すように、これら磁石71,71,72,72によって、親機4と子機5が衝立3を挟んで磁着されるようになっている。
【0080】
ここで、図30に示すように、磁石71,71と磁石72,72は、親機4と子機5が衝立3に装着されたとき磁極の極性が反対になるように、親機4と子機5とで極性を変えて、親機4と子機5に設けられている。
【0081】
このような構成によれば、親機4と子機5の衝立3に対する保持力を強化することができる。
【0082】
<第7実施形態>
以下、図面を参照しながら本発明の第7実施形態について説明する。
第5実施形態では、磁石25を子側共用コイル部17のコア17aと親側受信コイル部11のコア11aに取り付けたが、本第6実施形態では、図31図35に示すように構成されている。
【0083】
すなわち、図31および図32に示すように、親機4の基板13の上部および下部には磁石73,73が取り付けられている。
【0084】
また、図33および図34に示すように、子機5の基板21の上部および下部には磁石74,74が取り付けられている。には、子側共用コイル部17および子側受信コイル部10とスピーカ18との間に磁石72,72が取り付けられている。
【0085】
そして、図35に示すように、これら磁石73,73,74,74によって、親機4と子機5が衝立3を挟んで磁着されるようになっている。
【0086】
ここで、上述の第6実施形態同様に、磁石73,73と磁石74,74は、親機4と子機5が衝立3に装着されたとき磁極の極性が反対になるように、親機4と子機5とで極性を変えて、親機4と子機5に設けられている。
【0087】
このような構成によれば、親機4と子機5の衝立3に対する保持力を強化することができるだけでなく、親機4および子機5のそれぞれの上下を間違えずに実装することができる。
【0088】
なお、上記各実施形態において、各コイル部は、柱状のコアにコイルを巻き付けて構成したものを用いたが、図36図41に示すように構成したものを用いてもよい。
【0089】
すなわち、図36および図37に示すように、E鋼板で形成されたコア81の中央部81aにコイル82を巻回したものを用い、図38に示すように、衝立3を挟んでE型の開放側が対向するように構成してもよい。
【0090】
このような構成とすることにより小型化が図れる。
【0091】
さらに、図39および図40に示すように、E鋼板で形成されたコア81の中央部81aおよび両端部81b,81cにコイル82を一端部81c、中央部81a、他端部81bの順に巻回方向が反対方向になるように巻回したものを用い、図41に示すように、衝立3を挟んでE型の開放側が対向するように構成してもよい。
【0092】
このような構成とすることによりさらに小型化が図れる。
【0093】
また、図13に示すように、同一コア55で2種類の信号を入力すると(矢印A)、片方からの信号が出力される(矢印B)。特に大きな電力のある信号からの影響をうけるため、電源用のコイル52aは、固定周波数であることから、音声用のコイル51a側に電源周波数に共振するためのコンデンサ91を実装して電源用のコイル52aからの信号を遮断するように構成するのが好ましい。
【0094】
さらに、上記各実施形態では、固定手段として磁石を用いたが、吸盤等を用いてもよく、双方を併用しても良い。
【符号の説明】
【0095】
1 音声伝達装置
3 仕切り部材
4 親機
5 子機
8 親側マイク
9 親側伝達コイル部および給電コイル部(親側共用コイル)
10 子側伝達コイル部
11 親側受信コイル部
12 子側スピーカ
17 子側受信コイル部および受電コイル部(子側共用コイル)
18 親側スピーカ
19 子側マイク
25 固定手段(磁石)
36 補正手段(イコライザ)
37 補正手段(増幅器)
39 補正手段(イコライザ)
40 補正手段(増幅器)
41 設定手段(スイッチ)
42 設定手段(スイッチ)
51 親側伝達コイル部
52 給電コイル部
53 子側受信コイル部
54 受電コイル部
図1
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