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特開2022-127462受信コイル装置及びそれを備えた磁気共鳴イメージング装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022127462
(43)【公開日】2022-08-31
(54)【発明の名称】受信コイル装置及びそれを備えた磁気共鳴イメージング装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20220824BHJP
【FI】
A61B5/055 355
A61B5/055 390
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021025629
(22)【出願日】2021-02-19
(71)【出願人】
【識別番号】320011683
【氏名又は名称】富士フイルムヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000888
【氏名又は名称】特許業務法人 山王坂特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩澤 浩二郎
(72)【発明者】
【氏名】大竹 陽介
(72)【発明者】
【氏名】羽原 秀太
(72)【発明者】
【氏名】加藤 和之
(72)【発明者】
【氏名】白猪 亨
(72)【発明者】
【氏名】金子 幸生
(72)【発明者】
【氏名】花田 光
【テーマコード(参考)】
4C096
【Fターム(参考)】
4C096AB12
4C096AD10
4C096CC06
4C096CC08
4C096CC40
4C096FC09
(57)【要約】
【課題】撮影前の受信コイル装着のワークフローを低下することなく、前頭部の動きを高感度に検出する技術を提供する。
【解決手段】受信コイル装置は、被検体の頭部を覆う1ないし複数の受信コイルと、被検体の頭部が載せられるベース部と、受信コイルの一つが固定され、ベース部に支持されたホルダー部と、ホルダー部に固定された受信コイルを頭部の一部に対し密着させる機構部と、を備える。さらに、ホルダー部またはベース部に、ホルダー部の変位に関する物理量を検出する検出部を備える。検出部が検出した物理量は受信コイル装置が用いられるMRI装置に送られる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の頭部を覆う1ないし複数の受信コイルと、
前記被検体の頭部が載せられるベース部と、
前記受信コイルの一つが固定され、前記ベース部に支持されたホルダー部と、
前記ホルダー部に固定された受信コイルを前記頭部の一部に対し密着させる機構部と、
を備えた磁気共鳴イメージング装置用の受信コイル装置であって、
前記ホルダー部の変位に関する物理量を検出する検出部をさらに備えることを特徴とする受信コイル装置。
【請求項2】
請求項1に記載の受信コイル装置であって、
前記ホルダー部は、前記ベース部に載る前記頭部の面を背面、その反対側を前面としたとき、前記頭部の前面から両側面に沿って湾曲する形状を有し、
前記検出部は、前記物理量として、前記ホルダー部の端部と前記ベース部との距離の変化を検出する距離計であることを特徴とする受信コイル装置。
【請求項3】
請求項1に記載の受信コイル装置であって、
前記ホルダー部は、前記ベース部に載る前記頭部の面を背面、その反対側を前面としたとき、前記頭部の両側面に沿って湾曲する形状を有し、
前記検出部は、前記物理量として、前記ホルダー部の端部の動きを検出する加速度計であることを特徴とする受信コイル装置。
【請求項4】
請求項1に記載の受信コイル装置であって、
前記ベース部は、前記ホルダー部の端部と面接触するガイド部を備え、
前記検出部は、前記ホルダー部の端部と前記ガイド部との間に配置され、前記物理量として、前記ホルダー部の端部と前記ガイド部との間の圧力変化を検出する圧力計であることを特徴とする受信コイル装置。
【請求項5】
請求項1に記載の受信コイル装置であって、
前記ホルダー部は、被検体の左右に対応して左側端部と右側端部とを有し
前記検出部は、前記ホルダー部の左右の両端側にそれぞれ備えられることを特徴とする受信コイル装置。
【請求項6】
請求項1に記載の受信コイル装置であって、
前記機構部は、前記ホルダー部に固定され、前記ホルダー部を装着位置と退避位置との間で可動にする可動部と、前記可動部を前記ベース部に対し段発的に支持する支持部と、を備えることを特徴とする受信コイル装置。
【請求項7】
請求項6に記載の受信コイル装置であって、
前記可動部は、前記ホルダー部を、前記頭部の形状に沿ってスライドする機構であることを特徴とする受信コイル装置。
【請求項8】
被検体の頭部を覆う1ないし複数の受信コイルと、
前記被検体の頭部が載せられるベース部と、
前記受信コイルの一つが固定され、前記ベース部に支持されたホルダー部と、
前記ホルダー部に固定された受信コイルを前記頭部の一部に対し密着させる機構部と、
を備えた磁気共鳴イメージング装置用の受信コイル装置であって、
前記ホルダー部は、カメラ画像において識別可能なマーカーが付されていることを特徴とする受信コイル装置。
【請求項9】
静磁場中に配置された被検体に高周波磁場を印加する送信コイルを備えた送信部と、
前記被検体から発生する核磁気共鳴信号を受信する受信コイルを備えた受信部と、
前記核磁気共鳴信号に位置情報を付与する傾斜磁場を発生する傾斜磁場発生部と、
前記送信部、前記傾斜磁場発生部及び前記受信部を制御する制御部と、
異なる傾斜磁場条件で収集された前記核磁気共鳴信号を用いて、前記被検体の画像を作成する演算部と、を備え、
前記受信コイルとして、請求項1ないし8いずれか一項に記載の受信コイル装置を備えたことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項10】
請求項9に記載の磁気共鳴イメージング装置であって、
前記制御部は、前記検出部が検出した物理量に基づき、前記核磁気共鳴信号を再取得すべき傾斜磁場条件を判断し、再取得が要と判断された傾斜磁場条件について、核磁気共鳴信号を再取得する制御を行うことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項11】
請求項9に記載の磁気共鳴イメージング装置であって、
前記演算部は、前記検出部が検出した物理量に基づき、前記核磁気共鳴信号の補正量を算出し、前記核磁気共鳴信号を補正して画像再構成することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項12】
請求項9に記載の磁気共鳴イメージング装置であって、
前記受信コイルは、請求項5に記載の受信コイル装置であって、
前記演算部は、前記ホルダー部の左右の両端側にそれぞれ備えられた前記検出部の検出結果を用いて、前記ホルダーの移動量を算出することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項13】
請求項9に記載の磁気共鳴イメージング装置であって、
前記受信コイルは、請求項8に記載の受信コイル装置であり、
前記マーカーを含むホルダー部の少なくとも一部を撮影可能な位置に設置されたカメラをさらに備え、
前記演算部は、前記カメラの画像を用いて、前記ホルダー部の変位に関する物理量を算出することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項14】
請求項9に記載の磁気共鳴イメージング装置であって、
前記受信コイルは送信コイルを兼ねることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気共鳴イメージング装置(以下、MRI装置という)に用いられる核磁気共鳴信号を送受信するためのコイル装置に関し、特に頭部用撮影用の受信コイル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
MRI装置では、静磁場中に置かれた被検体に対し高周波磁場を印加するとともに、それによって誘起される核磁気共鳴(NMR)信号を受信し、NMR信号を処理することで被検体の画像を生成する。高周波磁場の印加及びNMR信号の受信には、専用のRFコイルが用いられる。MRI装置のコイルには、送信か受信か、静磁場の向き、カバーする領域の広さ、撮影対象部位の形状等に応じて、形態が異なる様々なコイル装置がある。受信コイルは、被検体に密着して配置することで高い感度が得られることから、撮影時に被検体の対象部位に取り付けて装着するものが多く、装着の際の手間や時間を軽減することや、被検体に不快感なく密着性を保った装着状態とすること(装着性)が重要な課題である。
【0003】
一方、MRIの撮影中に被検体の体動があると画像が劣化するため、撮影中の体動を検知し、体動の影響を除去することが必要となる。特に脳の撮影などでは、画像の分解能と同程度かそれより若干大きい程度の頭部の動きがあった場合にも、その動きが画像に与える影響は大きい。このため、頭部撮影の際の頭部の体動を、被検体の頭部に装着した受信コイルやマーカーから検知する技術が開発されている。例えば、特許文献1には、受信コイルを後頭部側と顔面側とに2分割し、後頭部が載る側の下部に空気袋を配置し、空気袋の空気圧の変動を検知することで頭部の動きを検知する技術が開示されている。また、被検体の鼻にマーカーを取り付け、マーカーをカメラで撮影し、その映像からマーカーの動きすなわち被検体頭部の動きを検知する手法もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-27152号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
頭部の撮影では、後頭部を下、顔面を上にして撮影を行うことが多いが、コイルあるいはその支持体に載っている後頭部は動きが少ないため、特許文献1に記載された方法では、感度よく頭部の動きを検知できないという課題がある。顔面側に配置されるコイルと被検体の前頭部との間に特許文献1に開示されるような空気袋を配置することも考えられるが、その場合、コイル装着の手間に加えて、コイルと被検体との間の適切な位置に空気袋を配置するという手間があり装着のワークフローが低下する。
【0006】
また被検体自体にマーカーを取り付けるという手法は、追加作業が必要になりワークフローが低下するという問題の他に、鼻がかゆくなるなど被検者の快適性が低下する、また、頭部自体には動きがないにも関わらず鼻だけの動きを体動として誤検出する可能性があるなどの問題がある。
【0007】
本発明は被検者への受信コイル装着を含む、撮影前のセッティングにおけるワークフローを低下することなく、前頭部の動きを高感度に検出する技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、頭部の前面側を覆うコイルを固定する部材(ホルダー部)の動きを検出することで上記課題を解決する。動きは、ホルダーを支持するベース部や、ベース部とホルダー部との間に固定された検出部が物理量として検出する。
【0009】
すなわち本発明の受信コイル装置は、被検体の頭部を覆う1ないし複数の受信コイルと、被検体の頭部が載せられるベース部と、受信コイルの一つが固定され、ベース部に支持されたホルダー部と、ホルダー部に固定された受信コイルを頭部の一部に対し密着させる機構部と、を備え、さらに、ホルダー部の変位に関する物理量を検出する検出部を備える。
【0010】
本発明において検出部は、マーカーとそれを撮影するカメラとの組み合わせで構成することも可能であり、その場合、受信コイル装置は、当該組み合わせの一方(例えばマーカー)を備えたものであってもよい。
【0011】
また本発明のMRI装置は、受信コイルとして、上述した受信コイル装置を備えたものである。受信コイル装置の検出部が、マーカーとそれを撮影するカメラとの組み合わせで構成される場合、カメラはMRI装置と接続する構成とすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、検出部が受信コイル装置のコイルを支持する部材側に固定されているので、受信コイル装置を被検体に装着するという作業のみで、検出部が被検体に取り付けられた状態とすることができ、コイル装着時のワークフローを大幅に改善できる。また本発明によれば、コイル装置に載せた被検体部分(例えば後頭部)ではなく、その反対側(例えば前面側)の動きを検出するので、物理量の検出感度が向上する。さらにマーカーを被検体に取り付けた場合の被検体の違和感や不快感をなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明が適用されるMRI装置の一実施形態を示す全体構成図。
図2】送信RFコイルと受信RFコイルとの関係を示す図。
図3】検出部を取り付ける前の受信コイル装置の構成例を示す図。
図4図3の受信コイル装置の装着状態と退避状態を示す図。
図5】実施形態1の受信コイル装置を示す図。
図6】(A)~(C)は、実施形態1~3の体動処理部の構成を示す図。
図7】実施形態1の受信コイル装置を備えたMRI装置の動作を示す図。
図8】実施形態1の変形例の受信コイルの配置を示す図。
図9】実施形態2のMRI装置の動作を示す図。
図10】実施形態3の検出部の構成を示す図。
図11】実施形態3の変形例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の受信コイル装置及びMRI装置の実施形態を説明する。
【0015】
最初に、本発明が適用されるMRI装置の一実施形態を説明する。図1に示すように、MRI装置1は、被検体10が置かれる空間に静磁場を発生する静磁場発生装置11、静磁場空間に置かれた被検体に高周波磁場パルスを印加する送信部12、高周波磁場パルスの照射によって被検体から発生する核磁気共鳴信号を受信する受信部13、核磁気共鳴信号に位置情報を付与する傾斜磁場を発生する傾斜磁場発生部14、送信部12、受信部13及び傾斜磁場発生部14を所定のパルスシーケンスに基づいて動作させるシーケンサ15、信号処理部16、及び、装置全体の制御を行うとともに核磁気共鳴信号に対し補正や画像再構成等の演算を行う計算機20を備えている。なお信号処理部16は、その機能の一部または全部を計算機20が実行することも可能である。
【0016】
静磁場発生装置11は、永久磁石或いは常電導又は超電導などの電磁石とその駆動部とを備え、被検体が置かれる撮影空間に均一な静磁場を発生する。静磁場磁石には、発生する静磁場の方向によって垂直磁場方式や水平磁場方式などがあり、本発明はそのいずれも採用可能である。また静磁場の均一度を保つためのシムコイル171とシム電源172が配置される場合もある。被検体10は、通常、寝台18に載せられた状態で、撮影部位が概ね静磁場中心と一致するように撮影空間に配置される。
【0017】
送信部12は、不図示の高周波発信器及び高周波増幅器と、送信用のRFコイル(単に送信コイル)121とを備える。送信コイル121は、撮影空間内に配置され、被検体を構成する組織の原子の原子核に核磁気共鳴を生じさせる高周波磁場パルスを印加する。限定されるものではないが、通常、MRI装置が対象とする原子核はプロトンであり、送信コイルは共鳴周波数の高周波磁場を発生するように調整されている。
【0018】
受信部13は、被検体から発生する核磁気共鳴信号を受信する受信用のRFコイル(単に受信コイルという)131と、不図示の増幅器、直交検波器及びA/D変換器などを備え、受信コイル131が受信した核磁気共鳴信号を増幅後、二系統のデジタル信号にして、信号処理部16に送る。図1では、送信コイル121と受信コイル131とが、それぞれ別のコイルからなる場合を示しているが、受信コイルが送信コイル121を兼ねる場合もあり、その場合には、送受信を切り替える切り替え器が挿入される。
【0019】
図2に水平磁場方式のMRI装置における送信コイル121と受信コイル131の配置の一例を示す。図2に示す例では、送信コイル121は静磁場空間に配置された被検体の全体をカバーする大きさの鳥かご型のRFコイルで構成され、送信部12に接続されている。受信コイル131は、被検体の検査部位(ここでは頭部)に密着して配置されるアレイコイルで構成されている。アレイコイルは、ループ形状を有する表面コイルを複数並べたコイルで、それぞれが受信部13に接続されている。なお、図2では2つ表面コイルのみを示しているが、表面コイルの数や配置は種々の構成をとりえる。鳥かご型コイル及びマルチプルアレイコイルの回路構成については、公知の構成が採用することができ、本明細書では詳細の説明を省略するが、コイル導体と共振周波数を調整するための回路素子を含み、また送信コイル121及び受信コイル131には、一方が作動するときに他方を非作動状態とするための磁気結合防止回路123、133が挿入されている。磁気結合防止回路123、133は、それぞれ、磁気結合防止回路駆動装置150に接続されている。
【0020】
また受信コイル131は、被検体に装着するために受信コイル131を支持するための支持構造や、被検体に密着させるための機構が備えられている。これら構造及び機構を含めて受信コイル装置と呼ぶ。本実施形態のMRI装置は、この受信コイル装置に、被検体の体動を検出する検出部50を備えている。検出部50を備えた受信コイル装置の詳細は後述する。
【0021】
傾斜磁場発生部14は、互いに直交するx、y、zの3軸方向にそれぞれ傾斜磁場を発生する3組の傾斜磁場コイル141と、各傾斜磁場コイル141を駆動する傾斜磁場電源142とを備える。
【0022】
シーケンサ15は、計算機20(制御部)の制御のもとで、送信部12、傾斜磁場電源142、及び受信部13に指令を送る。これにより、シーケンサ15に設定されたパルスシーケンスに基づいて高周波磁場パルスの発生、傾斜磁場コイル141からの傾斜磁場パルスの発生、及び核磁気共鳴信号の受信が行われ、画像再構成に必要な核磁気共鳴信号が収集される。収集された核磁気共鳴信号はk空間データとして計算機20に渡される。
【0023】
計算機20は、CPU或いはGPUとメモリを備えた汎用の計算機やワークステーションで構成され、シーケンサ15を含む装置全体を制御する制御部21及びk空間データを用いた画像再構成などの演算を行う演算部22を備える。制御部21及び演算部22の機能は、予め記録装置等に収納されたプログラムをCPU(GPU)が読み込むことで実行される。パルスシーケンスは、このようなプログラムの一つであり、撮影方法によって異なる種々のパルスシーケンスがあり、撮影目的や部位に応じてユーザーが選択したパルスシーケンスと、ユーザーが設定した撮影パラメータとをもとに実行されるパルスシーケンスが決定される。
【0024】
制御部21及び演算部22の機能は、公知のMRI装置に備えられた制御部及び演算部の機能と同じであるが、さらに本実施形態の計算機20は、受信コイル装置に取り付けられた検出部50からの体動検出信号を入力し、体動検出信号をもとに、撮影の中断、再開、NMR信号再計測などの制御を行ったり、体動検出信号をもとに再構成画像に対し体動の影響を排除する補正を行ったりする。このために必要な計算機20の機能を図1では体動処理部23として示している。
【0025】
計算機20には、ユーザーが撮影条件や撮影に必要な指令などを入力するための入力デバイス24、計算機20の処理途中のデータや処理結果である画像などを表示するディスプレイ25、外部記憶装置などの記憶部が接続されている。なお接続は有線、無線、ネットワークを介した接続を含む。また計算機20には、外部の計測機からの信号を入力するための入力ポートが備えられており、入力ポートを介して検出部50からの体動検出信号を取り込む。
【0026】
次に、受信コイル装置の実施形態を説明する。上述したように受信コイル装置は、被検体の体動を検出する検出部50を備えるものであるが、検出部50の取り付け位置は、検出部50の態様によって異なるので、まず、検出器50を取り付けていない状態の受信コイル装置の構造を説明する。頭部用受信コイル装置40の一例を図3に示す。以下の説明において、本受信コイル装置を被検体に装着した際の被検体の左右方向(図中、x方向)を、受信コイル装置の左右方向と言い、左右方向及び被検体の体軸方向と直交する方向(頭部の前後方向:図中y方向)を上下方向と言う。
【0027】
この受信コイル装置40は、大きく分けて、コイル本体(受信コイル131)と、コイル本体を支持する機構とからなり、図3に示す例では、コイル本体として、被検体の頭頂部から前頭部にかけて装着される前側コイル(A側コイルという)31と、後頭部を装着される後側コイル(P側コイルという)32を備えている。これらコイルは、それぞれ、MRI装置1の受信部13と接続される。またコイル本体を支持する機構として、A側コイル31が固定されるホルダー部41と、P側コイル32が配置されるベース部42と、ベース部42に対しホルダー部41を支持するホルダー支持部43と、を備える。さらに図3に示す実施形態では、被検体の左右側面からP側コイルを被検体側に密着させるための側面パネル44が備えられている。
【0028】
A側コイル31及びP側コイル32は、図2に示したように、複数の表面コイルを並べたマルチアレイコイルで構成することができ、表面コイルを構成する各導体ループには、コイルの受信周波数を調整するためのキャパシタやインダクタなどの回路素子が必要に応じて挿入されており、核磁気共鳴信号を受信することができる。またA側コイル31及びP側コイル32は、それぞれ、適用する部位の形状や大きさに応じて、表面コイルの大きさ、数、配置、回路素子の位置などが設計されている。例えば、被検体の前面側を覆うA側コイル31は、導体ループや回路素子が配置されていない領域が、被検体の目に対応する部分となるようにして、その部分を開口或いは透明にしている。
【0029】
なお図3では、コイル本体として、A側コイル31及びP側コイル32の2つのコイルを備える場合を示したが、さらに頸部用受信コイル(不図示)など第三、第四のコイルを備えた受信コイル装置や、ホルダー部41に固定されるA側コイル31のみを備えた受信コイル装置についても本発明は適用可能である。
【0030】
次にコイル本体を支持する構造と密着させる機構について説明する。
【0031】
ベース部42は、非磁性材料からなる概ね板状の部材で構成され、上面にP側コイル32を配置し、その上に被検体の後頭部が載せられる。P側コイル32と被検体との密着性を確保するために、ベース部42は上面に後頭部を受け入れる凹部を形成されていてもよいし、P側コイル32との間に図示しないスポンジ等の緩衝材を配置してもよい。
【0032】
ホルダー部41は、非磁性材料からなる薄板状の部材で構成され、A側コイル31が固定される。コイルの固定は、ネジ、スナップなど着脱可能にする固定手段であれば特に限定されず、また1か所或いは複数個所で固定してもよい。またホルダー部41は、中央から左右方向にベース部側に向かって湾曲した細長い形状を有し、中央部分がホルダー支持部43を介してベース部42に固定されている。ホルダー部41の長手方向の長さは、その湾曲した左右の端部がベース部42から若干離間した長さであり、後述するホルダー支持部43が作動することによってホルダー部41が位置を変えてもベース部42と干渉することはない。
【0033】
ホルダー支持部43は、被検体の頭部をベース部42に載せたときに、被検体の頭頂部側に位置するようにベース部42に固定されており、A側コイル31が被検体の前頭部を覆うように装着される位置(装着位置)から、図4に示すように、被検体の頭頂部側に退避させた位置(退避位置)までA側コイル31を移動させる機構を備えている。このような機構として、図示する実施形態では、一端がホルダー部41に固定されたスライド部(可動部)431と、スライド部431の他端とベース部42とを段発的に接続する固定部432と、を備えている。
【0034】
スライド部431は、湾曲した形状で、ホルダー部41に固定された外筒と、固定部432に固定された内筒とで構成され、内筒を外筒内でスライドさせることにより、その形状に沿って外筒先端に固定されたホルダー部41及びそれに固定されたA側コイル31を、装着位置と退避位置との間で移動させることができる。また図示していないが、スライド部431には、外筒の移動を所望の位置で止めるストッパが備えられている。ストッパは、押し釦とそれに係合する穴などの公知の構成を採用することができる。スライド部431の可動範囲は、被検体のサイズの違いに対応可能に設計されており、頭部サイズの大きい被検体でも小さい被検体でも、固定部432の段発力を利用してA側コイル31を被検体に密着させた状態でストッパを作動することで、その位置を装着位置としてホルダー部41を固定することができる。但しA側コイル31を密着状態で装着する構成として、ストッパは必須ではなく、例えば外筒と内筒との摩擦力を固定部432の段発力よりも大きくするなど別の手段を用いることも可能である。
【0035】
さらに図3の実施形態では、ベース部42にはホルダー部41の移動をガイドするガイド部45が設けられている。ガイド部45は、湾曲したホルダー部41の左端側と右端側に対応した左右一対の板状部材からなり、それぞれがベース部42のその主平面方向に対し概ね垂直に設けられている。左右のガイド部45は、ホルダー部41の左右端部と接するように配置されている。これによりホルダー部41はホルダー支持部43に固定された1点と、両側のガイド部45との2つの接点とで支持された構造となり、ホルダー部41の各位置において安定した構造を取ることができ、且つ移動する際に安定な動作を担保することができる。さらに左右の2点(接点)はベース部42に固定されていないので、被検体頭部の体動に伴うホルダー部41の動きは、体動と一体的な動きとみなすことができ、後述する体動検出用の検出器により、精度よく体動を検出することができる。
【0036】
以上のように構成される受信コイル装置40は、被検体の後頭部をベース部42上のP側コイル32に載せて密着させた状態で、A側コイル31を固定したホルダー部41を退避位置から装着位置に移動させてA側コイル31を被検体の前頭部に固定する。その際、固定部432の段発性を利用することで被検体に密着した状態で装着させることができる。従って、被検体の頭部の動きは、そのままホルダー部41の動きとして検出可能になる。
【0037】
以上の受信コイル装置40の構造を踏まえ、以下、体動検出用の検出器の実施形態を説明するとともに、各実施形態の受信コイル装置40を備えたMRI装置の処理を説明する。
【0038】
<実施形態1>
本実施形態の受信コイル装置は、体動検出用の検出器50として、ホルダー部の端部とベース部との距離の変化を検出する距離計を用いる。
【0039】
以下、図面を参照して、距離計の取り付け位置と測定する物理量について説明する。本実施形態の受信コイル装置40は、図5に示すように、ベース部42のガイド部45に近接して距離計51が固定されている。距離計としては、光学式、超音波式、レーザー式など公知の距離計を用いることができ、図示しないケーブルを介してMRI装置に接続される。距離計51の位置は、ガイド部45に接するホルダー部41の端部411の位置を検出可能な位置であり、図示する例では、ガイド部45に接するようにベース部42上に固定されている。距離計51は、ホルダー部41の端部411とベース部42(距離計51)との距離を連続的に計測し、距離またはその変動に相当する電気信号を生成して、MRI装置の制御部21に送る。MRI装置が体動検出信号を取り込むサンプリング速度は、特に限定されないが、周期的体動の場合には体動周期より十分短い周期であることが望ましく、またパルスシーケンスにもよるがその繰り返し時間TRの数倍以下であることが好ましい。
【0040】
距離計51は、左右のガイド部45のうち一方の近傍に取り付けてもよいし、両方に取り付けてもよい。一方に取り付けた場合には、主として被検体頭部の上下方向の体動を検出することができ、左右に取り付けた場合には、左右の動きの非対称性に基づき、上下方向だけでなく左右方向の動きも検出することができる。
【0041】
本実施形態のMRI装置は、距離計51からの体動信号をもとに、再計測の要否を判断し、その結果に応じて再計測を実行する。このため体動処理部23には、図6(A)に示すように、体動判定部231が備えられる。体動判定部231には、体動の大きさを判定するための閾値が予め設定される。閾値は、例えば、デフォルトで設定しておいてもよいし、MRI装置1の入力デバイス24を介して、ユーザーが画像の分解能等をもとに体動の許容値を設定しておいてもよい。
【0042】
次に距離計51から体動信号を入力したMRI装置1の動作を、図7を参照して説明する。撮像が開始されると、制御部21の制御のもとで、所定パルスシーケンスに従って核磁気共鳴信号が計測され、k空間データの収集が開始される(S1)。
【0043】
体動処理部23(体動判定部21)は、撮像の開始とともに、距離計51からの体動信号を入力し、距離計51で計測した物理量、即ちベース部42に固定された距離計からホルダー部41の端部411までの距離或いは初期値からの変動値を、予め設定した閾値と比較する(S2)。体動判定部21は、例えば変動値が閾値よりも大きいと判定すると、その体動信号を取得した時刻において取得したk空間データを取り直す指示を制御部21に送る(S3)。
【0044】
制御部21は、許容できない体動変動を生じていた時刻のk空間データを再計測する制御を行う。S2において、体動信号が閾値以下と判定した場合には、目的とするk空間データを全て収集するまでk空間データの収集を継続し(S4)、撮像を完了する。
【0045】
なお図7のフローは、体動が一時的或いは周期的で、被検体の位置が最初の設定位置に戻ることを前提としているが、判定ステップS2において、体動信号が連続的に閾値を超える場合には、被検体の位置が初期位置からずれていることが予想されるので、一部のk空間データの撮り直しではなく、当該パルスシーケンスの再実行をするようにしてもよい。
【0046】
このように本実施形態によれば、ベース部42に検出器50として距離計51を取り付けることで、被検体へのコイル装着作業と体動検出器の取り付け作業とを一体化することができる。これにより、検出器を被検体に密着させたり取り付けたりする作業を不要とし、作業性を大幅に改善することができる。また被検体に密着して装着されたホルダー部の移動を検出するので、実質的に被検体の動きを検出することができ、高い精度で体動を検出することができ、しかも、検出器50の位置が、被検体から離れているので、MRI画像に影響を与えることなく体動を検出することができる。
【0047】
さらに本実施形態によれば、体動があった時に取得したデータのみ取り直すことで、撮影時間を大幅に延長することなく体動の影響を排除した画像を得ることができる。
【0048】
<実施形態1の変形例>
実施形態1では、体動を検出する検出器50として、距離計51を用い、距離計51をベース部42に固定したが、検出器50として加速度計52(変形例1)、圧力計53(変形例2)を用いることも可能である。
【0049】
加速度計52或いは加圧計53を用いる場合の構成例を、図8に示す。
加速度計52としては、限定されるものではないが、静電容量の変化やピエゾ効果を利用した小型の加速度センサを用いることができる。加速度計52は、被検体と一体として動くホルダー部41に固定する。或いは、図8に示すように、ホルダー部41とホルダー部41が接しているガイド部45との間に固定する。この場合、ホルダー部側とガイド部側のいずれに固定してもよい。なお図8では、左右両側に加速度計52或いは圧力計53を配置した例を示しているが、いずれか一方のみでもよい。但し両側に配置した場合には、両方の検出器50の出力(変化量の絶対値)を加算することにより体動量検出の精度を高めることができる。
【0050】
このような配置において、加速度計52は、主としてホルダー部41の上下方向の動きを検出することができ、ホルダー部41が被検体の体動と一体的に動くと、その動きは加速度計52において静電容量の変化或いはピエゾ効果による電気抵抗の変化として検知される。
【0051】
圧力計53は、半導体型歪ゲージや静電容量式歪ゲージなど公知の小型の歪ゲージを用いることができ、加速度計52と同様に、ホルダー部41とホルダー部41が接しているガイド部45との間に、その一方に固定して用いる。ホルダー部41の端部とガイド部45とは、予めある程度の圧がかかる状態で接しているものとする。これにより、被検体の体動に伴いホルダー部41が左右方向に動くと、ホルダー部41とガイド部45との間の圧力が変化し、圧力計53によって検出される。これにより、圧力計53は、被検体の左右方向の動きを精度よく検出することができる。
【0052】
加速度計52や圧力計53は、実施形態1の距離計51の場合と同様に、MRI装置1に接続され、検出した信号が体動処理部23で処理される。処理の内容は、実施形態1と同様であるので、説明を省略する。
【0053】
これら変形例の効果も実施形態1と同様であるが、上下方向の動きだけでなく、左右方向の動きも精度よく検出することができるので、高精度の画像が要求される撮影に好適に適用することができる。
【0054】
<実施形態2>
実施形態1では、検出部50からの体動信号を、k空間データの再取得をするか否かの判断に用いる場合を説明したが、本実施形態では、MRI装置の演算部22が、画像再構成時に体動信号を用いて画像を補正する。このため体動処理部23は、図6(B)に示すように、体動補正部232を備えている。画像の体動補正の手法は、従来種々の方法が提案されており、いずれも採用することができるが、ここでは、位相エンコード方向の体動を補正する場合を一例として説明する。
【0055】
位相エンコード方向は撮像に用いるパルスシーケンスによって決まるので、本実施形態では、複数の方向の体動を精度よく検出可能にするために、検出器50として距離計51を用いる場合には、左右両側に一対の距離計51を用いることが好ましい。或いは主として上下方向の動きを検出する距離計51または加速度計52と、主として左右方向の動きを検出する圧力計53とを併用してもよい。例えば、検出器50の一つとして、左右両側のガイド部45とホルダー部41との間に圧力計53を設置した場合は、左右の体動があると圧力の変化する向きが異なるので体動の方向も知ることができる。
【0056】
本実施形態のMRI装置の処理の流れを図9に示す。
【0057】
撮像が開始されると、制御部21の制御のもとで、所定パルスシーケンスに従って核磁気共鳴信号が計測され、k空間データの収集が開始される(S11)。体動処理部23(体動補正部232)は、撮像の開始とともに、検出部50からの体動信号を入力し、検出部50で計測した物理量、すなわちホルダー部41の端部411の上下の変位量及び左右の変位量を用いて、位相エンコード方向の変位量ΔYを算出する(S12)。
【0058】
次いで変移量ΔYが所定の閾値より大きいか否かを判定し(S13)、閾値より大きい場合には、その体動信号を取得した時点を記憶部(不図示)に記憶するとともに、位相の補正値を算出する(S14)。実空間の位置の変化量(移動量ΔY)は計測空間では時間に比例する位相変化(△θ=γGy△yt:γは磁気回転比、Gyは位相エンコード傾斜磁場)となる。体動補正部232は、変位量ΔYを用いてk空間の位相変化Δθを補正値として算出する。
【0059】
k空間データの取得が完了した後(S16)、体動補正部232は、算出した補正値を用いて、体動変化が検出された時点のk空間データを補正する(S16)。その後、演算部22が補正後のk空間データを用いて画像再構成することは(S17)、通常のMRI装置と同様である。
【0060】
本実施形態によれば、検出器50を複数位置に配置し、或いは2種以上の検出器を配置することで、検出できる体動情報の精度を高めることができる。それにより体動情報を事後的に用いて画像を補正することが可能となり、撮像時間の延長を招くことなく体動の影響を排除した画像を得ることができる。
【0061】
<実施形態3>
実施形態1では、検出器50を受信コイル装置の支持構造に取り付けた例を説明したが、本実施形態では、受信コイル装置の支持構造にカメラによって検出可能なマーカーを取り付け、マーカーを映したカメラの映像から体動を検出する。すなわち本実施形態では、支持構造に取り付けたマーカーとそれを撮影するカメラとで検出器が構成される。MRI装置は入力ポートを介してカメラからの映像信号を取得し、体動処理部23において体動(移動量)の算出を行う。
【0062】
本実施形態におけるマーカー55とカメラ60の配置例を図10に示す。図10でも受信コイル装置は、受信コイル(A側コイル)31を固定したホルダー部41と、ホルダー部41を支持するベース部42とを備えており、マーカー55はホルダー部41のほぼ中央につけられている。但しマーカー55は、カメラ60との関係で撮影可能な位置であれば中央に限定されず、また1個だけでなく複数配置してもよい。またマーカー55の材質や形状はカメラ60の映像で識別可能なものであれば、特に限定されず、ホルダー部41の一部であってもよいし、ホルダー部41にネジ、接着剤等の固定手段で固定したものでもよい。
【0063】
カメラ60は、被検体が挿入される検査空間を提供するガントリーの内部或いはガントリーの外側であって内部を撮影可能な位置に固定される。図10では1台のカメラ60を示しているが、複数でもよい。
【0064】
本実施形態のMRI装置の体動処理部23は、図6(C)に示すように、体動判定部231の他に、体動量算出部233を備え、カメラ60からの映像を入力し、マーカー55の変化から体動量を算出する。体動量の算出は、例えば、フレーム毎の画像からマーカーを抽出し、画像におけるマーカーの位置の変化量を算出する。
【0065】
本実施形態におけるMRI装置の処理の流れは、上述した体動量の算出ステップが追加されること以外は、図7に示すフローと同様であり、図7の判定ステップS2に先立って、体動量算出部233により体動量の算出が行われる。その後、体動量の大きさに応じて、k空間データの一部撮り直しを行うことは実施形態1と同様である。
【0066】
本実施形態によれば、実施形態1と同様の効果が得られるとともに、受信コイル装置側にはMRI装置と直接接続される機器等が固定されていないので、機器によってMRI装置で得られる画像に影響を完全に排除することができる。
【0067】
<変形例>
本実施形態3は、ホルダー部41に固定したマーカー55をカメラ60で撮影する例であるが、図11に示すように、ガイド部45と接するホルダー部41の端部に上下方向に長い穴412を形成するとともに、ホルダー部41の端部を撮影可能な位置にカメラ60を設置し、この穴を通して見えるガイド部45の端部をカメラ60で撮影することも可能である。この場合、ガイド部45の端部に識別性を高めるためのマーカーを配置してもよいし、この穴412に沿った上下2か所に体動量の許容値を示すラインLmax、Lminを形成しておいてもよい。これにより体動量を算出することなく、カメラ映像から体動量が許容値を超えたか否かを判別ことができ、より簡便な制御を行うことができる。
【0068】
以上、受信コイル装置とそれを用いたMRI装置の実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態や実施形態の説明に用いた図面に限定されることなく、種々の変更や追加が可能である。例えば、実施形態では、図に示す構造の受信コイル装置を例にして、検出部50の配置を説明したが、検出部50は被検体に受信コイルを密着させる機構を備え、被検体と一体的に動く部材の動きを検出するものであればよく、その機構や部材の態様に応じた配置が可能である。
【符号の説明】
【0069】
1:MRI装置、11:静磁場発生装置、12:送信部、121:送信コイル、13:受信部、131:受信コイル、14:傾斜磁場発生部、15:シーケンサ、20:計算機、21:制御部、22:演算部、23:体動処理部、231:体動判定部、232:体動補正部、233:体動量算出部、24:入力デバイス、25:ディスプレイ
31:A側コイル(お面コイル)、32:P側コイル(後頭部側コイル)、33:頸部用コイル、40:受信コイル装置、41:ホルダー部、42:ベース部、43:ホルダー支持部、45:ガイド部、
50:検出部、51:距離計、52:加速度計、53:圧力計、55:マーカー、60:カメラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11