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特開2022-127466繊維強化中空成形体及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022127466
(43)【公開日】2022-08-31
(54)【発明の名称】繊維強化中空成形体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 70/30 20060101AFI20220824BHJP
   B29C 70/16 20060101ALI20220824BHJP
   B32B 1/08 20060101ALI20220824BHJP
   B32B 5/26 20060101ALI20220824BHJP
   B32B 5/12 20060101ALI20220824BHJP
   B29K 101/12 20060101ALN20220824BHJP
   B29K 105/08 20060101ALN20220824BHJP
   B29L 22/00 20060101ALN20220824BHJP
【FI】
B29C70/30
B29C70/16
B32B1/08
B32B5/26
B32B5/12
B29K101:12
B29K105:08
B29L22:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021025633
(22)【出願日】2021-02-19
(71)【出願人】
【識別番号】000001096
【氏名又は名称】倉敷紡績株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】特許業務法人池内アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】飯尾 隼人
(72)【発明者】
【氏名】▲ろ▼ ▲ごう▼
(72)【発明者】
【氏名】田中 忠玄
【テーマコード(参考)】
4F100
4F205
【Fターム(参考)】
4F100AK01A
4F100AK01B
4F100BA02
4F100BA05
4F100BA22
4F100DA11
4F100DC21B
4F100DG01A
4F100DG01B
4F100EC03
4F100EJ94
4F100JA20
4F100JB16A
4F100JB16B
4F205AA34
4F205AC04
4F205AD16
4F205AG07
4F205HA02
4F205HA09
4F205HA25
4F205HA34
4F205HA37
4F205HA45
4F205HB01
4F205HC02
4F205HC17
4F205HG06
4F205HK33
4F205HL02
4F205HT22
(57)【要約】

【課題】賦形性が良好であり、且つ、強度特性が優れた、繊維強化中空成形体を提供する。
【解決手段】内部に中空部を有する繊維補強樹脂部31を含む繊維強化中空成形体30であって、繊維補強樹脂部は、連続繊維群が開繊され一方向に並列状に配列された一方向連続繊維の表面にマトリックスとなる熱可塑性樹脂の粉体を付着させ熱融着させた樹脂一体化繊維シートが複数枚積層された積層体を用いて成形されている。積層体は、第1の樹脂一体化繊維シートと、一方向連続繊維の長手方向が、第1の樹脂一体化繊維シートと交差する第2の樹脂一体化繊維シートと、を含む。第2の樹脂一体化繊維シートには、スリットが形成されることにより、当該スリットにより一方向連続繊維の一部または全部が途中で分断されており、繊維補強樹脂部に成形された前記樹脂一体化繊維シート内に熱可塑性樹脂が含浸して積層体が一体化している。

【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に中空部を有する繊維補強樹脂部を含む繊維強化中空成形体であって、
前記繊維補強樹脂部は、連続繊維群が開繊され一方向に並列状に配列された一方向連続繊維の表面にマトリックスとなる熱可塑性樹脂の粉体を付着させ熱融着させた樹脂一体化繊維シートが複数枚積層された積層体を用いて成形されており、
前記積層体は、
前記一方向連続繊維の長手方向が、前記繊維強化中空成形体の軸方向と同方向の第1の樹脂一体化繊維シートと、
一方向連続繊維の長手方向が、前記第1の樹脂一体化繊維シートと交差する第2の樹脂一体化繊維シートと、を含み、
前記第2の樹脂一体化繊維シートには、スリットが形成されることにより、当該スリットにより前記一方向連続繊維の一部または全部が途中で分断されており、
前記繊維補強樹脂部に成形された前記樹脂一体化繊維シート内に前記熱可塑性樹脂が含浸して前記積層体が一体化している、繊維強化中空成形体。
【請求項2】
前記第2の樹脂一体化繊維シートに、前記一方向連続繊維の全部を切断する前記スリットが複数形成されて、前記第2の樹脂一体化繊維シートが複数枚のシートに分割されており、前記第2の樹脂一体化繊維シートの幅方向の長さよりも、前記シートの繊維長の方が短い、請求項1に記載の繊維強化中空成形体。
【請求項3】
前記第2の樹脂一体化繊維シートには、前記スリットが複数形成されており、
前記複数のスリットが、前記連続繊維の長手方向に沿って、前記中空成形体の外周長さの0.5倍~1.5倍の間隔で形成されている、請求項1又は2に記載の繊維強化中空成形体。
【請求項4】
前記第2の樹脂一体化繊維シートには、前記スリットが複数形成されており、
繊維補強中空成形体の軸方向と直交する断面視において、複数のスリットは、前記軸を中心とする周方向に分散している、請求項1~3のいずれかの項に記載の繊維強化中空成形体。
【請求項5】
前記第1の樹脂一体化繊維シートの一方向連続繊維の配向方向に対する、第2樹脂一体化繊維シートの一方向連続繊維の配向方向の角度の絶対値は、20°以上90°以下である、請求項1~4のいずれかの項に記載の繊維強化中空成形体。
【請求項6】
前記樹脂一体化繊維シートは、前記一方向連続繊維と交錯する方向の架橋繊維を含み、かつ前記熱可塑性樹脂は前記一方向連続繊維と前記架橋繊維とを一体化している請求項1~5のいずれかに記載の繊維強化中空成形体。
【請求項7】
内部に中空部を有する繊維補強樹脂部を含む繊維強化中空成形体の製造方法であって、
連続繊維群が開繊され一方向に並列状に配列された一方向連続繊維の表面にマトリックスとなる熱可塑性樹脂の粉体を付着させ熱融着させた樹脂一体化繊維シートが複数枚積層された積層体の巻回体を弾性体上に配置する工程と、
金型内に配置された前記弾性体の内部へ圧力流体を供給することにより、前記巻回体を前記金型に押し付け、前記金型の熱により前記熱可塑性樹脂を溶融させ、前記樹脂一体化繊維シートに前記熱可塑性樹脂を含浸し、前記巻回体を一体化させる工程と、を含み、
前記積層体は、
前記一方向連続繊維の長手方向が、前記巻回体の軸方向と同方向の第1の樹脂一体化繊維シートと、
一方向連続繊維の長手方向が、前記第1の樹脂一体化繊維シートと交差する第2の樹脂一体化繊維シートと、を含み、
前記第2の樹脂一体化繊維シートには、スリットが形成されることにより、当該スリットにより前記一方向連続繊維の一部または全部が途中で分断されている、繊維強化中空成形体の製造方法。
【請求項8】
前記第2の樹脂一体化繊維シートに、前記一方向連続繊維の全部を切断する前記スリットが複数形成されて、前記第2の樹脂一体化繊維シートが複数のシートに分割されており、前記第2の樹脂一体化繊維シートの幅方向の長さよりも、前記シートの繊維長の方が短い、請求項7に記載の繊維強化中空成形体の製造方法。
【請求項9】
前記第2の樹脂一体化繊維シートには、前記スリットが複数形成されており、
前記複数のスリットが、前記連続繊維の長手方向に沿って、前記中空成形体の外周長さの0.5倍~1.5倍の間隔で形成されている、請求項7又は8に記載の繊維強化中空成形体の製造方法。
【請求項10】
前記第2の樹脂一体化繊維シートには、前記スリットが複数形成されており、
繊維補強中空成形体の軸方向と直交する断面視において、複数のスリットは、前記軸を中心とする周方向に分散している、請求項7~9のいずれかの項に記載の繊維強化中空成形体の製造方法。
【請求項11】
前記第1の樹脂一体化繊維シートの一方向連続繊維の配向方向に対する、第2樹脂一体化繊維シートの一方向連続繊維の配向方向の角度の絶対値は、20°以上90°以下である、請求項7~10のいずれかの項に記載の繊維強化中空成形体の製造方法。
【請求項12】
前記樹脂一体化繊維シートは、前記一方向連続繊維と交錯する方向の架橋繊維を含み、かつ前記熱可塑性樹脂は前記一方向連続繊維と前記架橋繊維とを一体化している、請求項7~11のいずれかに記載の繊維強化中空成形体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維強化中空成形体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
強化繊維材料である炭素繊維は、各種のマトリックス樹脂と複合化され、得られる繊維強化プラスチックは種々の分野・用途に広く利用されるようになってきた。特に高い機械的特性や耐衝撃性を満たした複合材が求められている。複合材の一つである中空成形体も需要が高まっている。中空成形体の成形方法はいくつかあるが、なかでも繊維とマトリックス樹脂とが複合化された樹脂繊維シートの積層体を芯材に巻き付け、積層体の巻回体の内部に圧縮空気等の圧力流体を供給する内圧成形法が注目されている。この方法では、作製された樹脂繊維シートを積層させるので、煩雑な作業を簡略化でき、任意の形状に成形することができる。
【0003】
特許文献1には、パイプの成形用基材として、一方向に強化繊維を引き揃えたシート材に熱可塑性樹脂からなる不織布を重ねたシート状の成形基材を用いることが提案されている。特許文献2には、強化繊維と熱硬化性樹脂とから構成される切込プリプレグ基材を含む積層体をマンドレル上に巻き付け、マンドレルを脱芯した箇所に発泡性樹脂(フォーム材)を注入し、発泡性樹脂の発泡圧で前記積層体を成形型に押し付け、発泡性樹脂を硬化させて、積層体を鞘部とし、フォーム材を芯部とする、芯鞘構造の繊維強化プラスチックの製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-62818号公報
【特許文献2】特開2008-273176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の成形用基材は、不織布を含むため賦形性が良好であるとは言えない。特許文献2に記載の積層体も、強化繊維と熱硬化性樹脂とから構成されるプリプレグ基材であることから、賦形性が良好であるとは言えない上に、特許文献2に記載の製造方法では、発泡性樹脂の発泡圧を利用しており、また、工程数が多く、高速生産が難しい。
【0006】
本発明は、賦形性が良好であり、且つ、強度特性が優れた、繊維強化中空成形体およびその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の繊維強化中空成形体は、内部に中空部を有する繊維補強樹脂部を含む繊維強化中空成形体であって、
前記繊維補強樹脂部は、連続繊維群が開繊され一方向に並列状に配列された一方向連続繊維の表面にマトリックスとなる熱可塑性樹脂の粉体を付着させ熱融着させた樹脂一体化繊維シートが複数枚積層された積層体を用いて成形されており、
前記積層体は、
前記一方向連続繊維の長手方向が、前記繊維強化中空成形体の軸方向と同方向の第1の樹脂一体化繊維シートと、
一方向連続繊維の長手方向が、前記第1の樹脂一体化繊維シートと交差する第2の樹脂一体化繊維シートと、を含み、
前記第2の樹脂一体化繊維シートには、スリットが形成されることにより、当該スリットにより前記一方向連続繊維の一部または全部が途中で分断されており、
前記繊維補強樹脂部に成形された前記樹脂一体化繊維シート内に前記熱可塑性樹脂が含浸して前記積層体が一体化している、繊維強化中空成形体に関する。
【0008】
本発明の繊維強化中空成形体の製造方法は、内部に中空部を有する繊維補強樹脂部を含む繊維強化中空成形体の製造方法であって、
連続繊維群が開繊され一方向に並列状に配列された一方向連続繊維の表面にマトリックスとなる熱可塑性樹脂の粉体を付着させ熱融着させた樹脂一体化繊維シートが複数枚積層された積層体の巻回体を弾性体上に配置する工程と、
金型内に配置された前記弾性体の内部へ圧力流体を供給することにより、前記巻回体を前記金型に押し付け、前記金型の熱により前記熱可塑性樹脂を溶融させ、前記樹脂一体化繊維シートに前記熱可塑性樹脂を含浸し、前記巻回体を一体化させる工程と、を含み、
前記積層体は、
前記一方向連続繊維の長手方向が、前記巻回体の軸方向と同方向の第1の樹脂一体化繊維シートと、
一方向連続繊維の長手方向が、前記第1の樹脂一体化繊維シートと交差する第2の樹脂一体化繊維シートと、を含み、
前記第2の樹脂一体化繊維シートには、スリットが形成されることにより、当該スリットにより前記一方向連続繊維の一部または全部が途中で分断されている、繊維強化中空成形体の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、繊維強化中空成形体の成形に樹脂一体化繊維シートの積層体を用いており、前記積層体は、第1の樹脂一体化繊維シートと、一方向連続繊維の長手方向が、前記第1の樹脂一体化繊維シートと交差する第2の樹脂一体化繊維シートとを含んでおり、第2の樹脂一体化繊維シートには、スリットが形成されることにより、当該スリットにより前記一方向連続繊維の一部または全部が途中で分断されているので、賦形性が良好であり、且つ、強度特性が優れた、繊維強化中空成形体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1Aは、本発明の一実施形態の繊維強化中空成形体の模式的斜視図、図1Bは、図1Aの同模式的断面図である。
図2図2Aは、本発明の一実施形態の繊維強化中空成形体の成形に使用する樹脂一体化炭素繊維シートの調製方法を説明する模式的平面図であり、図2Bは、第1の樹脂一体化炭素繊維シート及び第2の樹脂一体化炭素繊維シートを説明する模式的平面図である。
図3図3Aは、本発明の一実施形態の繊維強化中空成形体の成形に使用する樹脂一体化炭素繊維シートの積層体の一例を説明する模式的斜視分解図であり、図3Bは、図3Aに示した積層体の巻回方向を説明する模式的説明図である。
図4図4Aは、本発明の一実施形態の繊維強化中空成形体の成形に使用する樹脂一体化炭素繊維シートの積層体の他の例を説明する模式的斜視分解図であり、図4Bは、図4Aに示した積層体の巻回方向を説明する模式的説明図である。
図5図5Aは、本発明の一実施形態の繊維強化中空成形体の成形に使用する樹脂一体化炭素繊維シートの積層体の他の例を説明する模式的斜視分解図であり、図5Bは、図5Aに示した積層体の巻回方向を説明する模式的説明図である。
図6図6Aは、本発明の一実施形態の繊維強化中空成形体の成形に使用する弾性体の模式的斜視図、図6Bは、図6Aに示した弾性体に樹脂一体化炭素繊維シートの積層体を巻回した模式的斜視図、図6C図6Bの断面図である。
図7図7Aは、成形金型内に樹脂一体化炭素繊維シートの積層体を巻回した弾性体を入れた状態を示す模式的平面図、図7B図7AのI-I線断面図である。
図8図8は、本発明の一実施形態の繊維強化中空成形体の成形に使用する、樹脂一体化炭素繊維シートの模式的斜視図である。
図9図9は、樹脂一体化炭素繊維シート1の厚み方向の模式的断面図である。
図10図10は、本発明の一実施形態の繊維強化中空成形体の製造に使用する、樹脂一体化炭素繊維シートの製造方法を示す模式的工程図である。
図11図11は、繊維強化中空成形体A~Eの成形に用いた積層体を構成するAシートの模式的平面図である。
図12図12Aは、中空成形体Aの成形に用いた積層体を構成するBシートIの模式的平面図、図12Bは、中空成形体Bの成形に用いた積層体を構成するBシートIIの模式的平面図、図12Cは、中空成形体Cの成形に用いた積層体を構成するBシートIIIの模式的平面図、図12Dは、中空成形体Dの成形に用いた積層体を構成するBシートIVの模式的平面図である。
図13図13は、参考例1の中空成形体Aから切り出した評価用サンプルについての試験力-変位測定グラフである。
図14図14は、参考例2の中空成形体Bから切り出した評価用サンプルについての試験力-変位測定グラフである。
図15図15は、実施例1の中空成形体Cから切り出した評価用サンプルについての試験力-変位測定グラフである。
図16図16は、実施例2の中空成形体Dから切り出した評価用サンプルについての試験力-変位測定グラフである。
図17図17は、実施例3の中空成形体Eから切り出した評価用サンプルについての試験力-変位測定グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明者らは、繊維強化中空成形体の成形において、賦形性の改善のために、連続繊維群が開繊され一方向に並列状に配列された一方向連続繊維の表面にマトリックスとなる熱可塑性樹脂の粉体を付着させ熱融着させた樹脂一体化繊維シート(セミプレグシート)を用いることとした。また、強度特性の向上のために、一方向連続繊維の長手方向が異なるように、複数の樹脂一体化繊維シートが積層された積層体を用いることとした。具体的には、例えば、繊維強化中空成形体に成形されたときに、あるシートについては、一方向連続繊維の長手方向が繊維強化中空成形体の軸方向と同方向となるように、別のシートについては、一方向連続繊維が繊維強化中空成形体の軸回りに巻き付くように両シートが積層された積層体を用いた。得られた繊維強化中空成形体について強度特性が不十分であったが、その原因が、積層体の巻回体の内部に圧力流体を供給して巻回体を拡径させる際に、軸回りに巻き付いた一方向連続繊維が、巻回体の拡径を妨げていることにあるということを、新たな知見として見出した。巻回体の拡径が不十分であると、成形金型からの巻回体への熱の伝達及び熱可塑性樹脂の溶融が不十分となって、ボイドの発生や剥離が生じやすくなり、強度特性が低下する。本発明者は、当該課題の解決のために鋭意検討した結果、下記の本発明を完成させるに至った。
【0012】
本発明の繊維強化中空成形体(以下「中空成形体」と略称する場合もある。)は、内部に中空部を有する繊維補強樹脂部を含む中空成形体である。前記繊維補強樹脂部は、樹脂一体化繊維シートが複数枚積層された積層体を用いて成形されている。樹脂一体化繊維シートは、連続繊維群が開繊され一方向に並列状に配列された一方向連続繊維の表面にマトリックスとなる熱可塑性樹脂の粉体(以下「熱可塑性粉体樹脂」と称する場合もある。)を付着させ熱融着させたセミプレグシートである。積層体を使用して成形された繊維補強樹脂部においては、樹脂一体化繊維シート内全体に熱可塑性樹脂が含浸している。
【0013】
中空成形体の成形に使用される積層体は、第1の樹脂一体化繊維シートと、第2の樹脂一体化繊維シートと、を含む。第1の樹脂一体化繊維シートの一方向連続繊維の長手方向は、中空成形体の軸方向と同方向である。一方、第2の樹脂一体化繊維シートの一方向連続繊維は、第1の樹脂一体化繊維シートの一方向連続繊維と所定の角度で交差している。第2の樹脂一体化繊維シートには、スリットが形成されることにより、当該スリットにより前記一方向連続繊維の一部または全部が途中で分断されている。
【0014】
以下、本発明の中空成形体およびその製造方法の一例について、図面を用いて詳述する。
【0015】
[中空成形体]
図1Aは本発明の一実施形態の中空成形体30の模式的斜視図、図1B図1Aの模式的断面図である。中空成形体30は、内部が長さ方向に中空の繊維補強樹脂部31を含む。繊維補強樹脂部31は、樹脂一体化炭素繊維シートの積層体が筒状に巻回され、成形中の加熱により、樹脂一体化炭素繊維シートの表面及び/またはその近傍に付着していた熱可塑性樹脂が、樹脂一体化炭素繊維シート内に含浸され、樹脂一体化炭素繊維シート間に浸透かつ拡散して、一体化されたものである。
【0016】
中空成形体30の成形に使用される積層体は、後で詳述する第1の樹脂一体化炭素繊維シートと後で詳述する第2の樹脂一体化炭素繊維シートとを含むため、繊維補強樹脂部31は、第1の樹脂一体化炭素繊維シート1aに対応する第1の繊維補強樹脂シート33aと、第2の樹脂一体化炭素繊維シートに対応する第2の繊維補強樹脂シート33bとを含む。第1の繊維補強樹脂シート33aの一方向連続繊維は、中空成形体30の中心軸33の長手方向と同方向に配向しており、一方、第2の繊維補強樹脂シート33bの一方向連続繊維は、その一部または全部が、途中で分断されており、中心軸33の軸回りに巻き付いている。なお、図1Bにおいて、第2の繊維補強樹脂シート33bとの識別性の向上のために、第1の繊維補強樹脂シート33aに対してドットを付している。
【0017】
第2の繊維補強樹脂シート33bにおいて、分断された繊維長は、中空成形体30の成形過程においてボイドおよび剥離等の発生を抑制して、強度低下を抑制する観点から、中空成形体の外周長の好ましくは1.5倍以下、より好ましくは1.2倍以下である。一方、第2の繊維補強樹脂シート33bの繊維による強度向上の観点から、前記繊維長は、中空成形体の外周長の好ましくは0.5倍以上であり、0.7倍以上である。
【0018】
図1に示した中空成形体30では、積層体がオーバーラップ部32を含んでいるが、巻回数が2回以上であれば、オーバーラップ部32は無くてもよい。巻回数が1回の場合は、オーバーラップ部32を要し、前記オーバーラップ部の幅は3mm以上が好ましく、より好ましくは10mm以上である。
【0019】
中空成形体30の成形に使用される第2の樹脂一体化炭素繊維シートに、一方向連続繊維の一部を途中で分断するスリットが複数形成され、積層体の巻回数が複数である場合、強度均一性向上の観点から、図1Bに示すように、中空成形体30の中心軸33方向と直交する断面視において、第2の繊維補強樹脂シート33bの一方向連続繊維は、繊維補強樹脂部31の厚み方向において、重ならない位置で切断されていると好ましい。図1Bにおいて、繊維の切断箇所33cにハッチング付しているが、中空成形体30の成形時に熱可塑性樹脂が当該箇所に流入して固化している。
【0020】
中空成形体30の直径(外径)は、好ましくは30~100mmであり、長さは、好ましくは50~5000mmであり、厚みは、好ましくは0.05~5mm、より好ましくは0.5~5mmである。中空成形体30の断面形状は丸型であるが、これに限定されず、角型等であってもよい。
【0021】
中空成形体30は、直径が一定の直線パイプであるが、本発明の中空成形体はこれに限定されず、シャフト、フレームその他様々な形状の中空成形体であってもよい。
【0022】
[中空成形体およびその製造方法]
次に、本発明の中空成形体の製造方法の一例について説明する。本発明の中空成形体の製造方法の一例は、以下の工程を含む。
・連続繊維群が開繊され一方向に並列状に配列された一方向連続繊維の表面にマトリックスとなる熱可塑性粉体樹脂を付着させ熱融着させた樹脂一体化繊維シートが複数枚積層された積層体の巻回体を弾性体上に配置する工程
・金型内に配置された前記弾性体の内部へ圧力流体を供給することにより、前記巻回体を前記金型に押し付け、前記金型の熱により前記熱可塑性樹脂を溶融させ、前記樹脂一体化繊維シートに前記熱可塑性樹脂を含浸し、前記巻回体を一体化させる工程
前記巻回体の弾性体上への配置は、積層体を弾性体に巻き付けることにより行ってもよいし、積層体の巻回体を形成してからそれを弾性上に配置することにより行ってもよい。
【0023】
上記積層体は、下記の2種の樹脂一体化繊維シートを含む。
(1)第1の樹脂一体化繊維シート
第1の樹脂一体化シートの一方向連続繊維の長手方向は、中空成形体の軸方向と同方向である。
(2)第2の樹脂一体化繊維シート
第2の樹脂一体化繊維シートの一方向連続繊維は、第1の樹脂一体化繊維シートと所定の角度で交差している。第2の樹脂一体化繊維シートには、スリットが形成されることにより、当該スリットにより、一方向連続繊維の一部または全部が途中で分断されている。
【0024】
本発明の中空成形体の製造方法の一例では、まず、樹脂一体化繊維シートの長尺物から、上記積層体の調製に必要な樹脂一体化繊維シートを切り出す。樹脂一体化繊維シートの長尺物における一方向連続繊維の長手方向はMD方向である。
【0025】
切り出された樹脂一体化繊維シート11a,11bは、例えば、図2Aに示すように重ね合わせ、重なっている部分34を切り取り、当該部分34を積層体の調製に用いる。図2Bに示すように、1枚は、第1の樹脂一体化繊維シート1aとしてそのまま用い、もう一方の樹脂一体化繊維シートに対しては、例えば、複数のスリット10aを形成して第2の樹脂一体化繊維シート1bとする。なお、積層体を構成する樹脂一体化繊維シートの外形寸法の調整は、スリットを形成する前後のいずれであってもよい。
【0026】
図2Bに示すように、各スリット10aは、並列配列された一方向連続繊維のうちの一部の連続繊維を切断することにより、当該連続繊維が途中で分断されている。スリット10aの長さは、拡径時の捻じれを抑える観点から、好ましくは、10~100mmである。
【0027】
図2Bに示すように、第2の樹脂一体化繊維シートにおいて、スリット10aは、強度均一性向上の観点から、第2の樹脂一体化繊維シートにおいて複数形成されていることが好ましい。そして、スリット10aは、強度均一性向上の観点から、一方向連続繊維の長手方向に、周期的に形成されていると好ましく、成形時のボイド発生および剥離の発生等による強度低下を抑制する観点から、連続繊維の長手方向に沿って隣り合うスリット10a間の距離Lは、中空成形体の外周長の1.5倍以下が好ましく、1.2倍以下がより好ましい。一方、第2の樹脂一体化繊維シート1bの繊維による強度向上の観点から、前記距離Lは、中空成形体の外周長の0.5倍以上が好ましく、0.7倍以上がより好ましい。
【0028】
第2の樹脂一体化繊維シート1bにおいて、並列配列された一方向連続繊維は、複数のスリット10aのうちのいずれかのスリット10aによって切断されて、一方向連続繊維の全部が途中で分断されていると好ましい。
【0029】
図3Aに示されるように、第1の樹脂一体化繊維シート1aの上に第2の樹脂一体化繊維シート1bを重ね合わせて積層体110とする。第1の樹脂一体化繊維シート1aと第2樹脂一体化繊維シート1bとは、一方向連続繊維の長手方向が交差するように積層されている。矢印Xは、第1の樹脂一体化繊維シート1aの一方向連続繊維の長手方向(配向方向)であり、矢印Yは、第2の樹脂一体化繊維シート1bの一方向連続繊維の長手方向(配向方向)である。図3Bに示されるように、積層体110を、第1の樹脂一体化繊維シート1aの一方向連続繊維の長手方向の弾性体35の中心軸35aに対する角度が0°となるように、弾性体に巻き付ける。第2の樹脂一体化繊維シート1bの一方向連続繊維については、弾性体の中心軸35a回りに巻き付く。巻き付け回数は、1回でもよいし、複数回でもよい。1回巻き付けの場合は、巻き終わりを1回巻き付け部分に一部重ね合わせてオーバーラップ部を設けることを要する。
【0030】
図4Aには、積層体の他の一例を示している。図4Aにおいて、第1の樹脂一体化繊維シート1aの上に積層された、第2の樹脂一体化繊維シート1bには、スリット10bが複数形成されており、各スリット10bは、並列配列された一方向連続繊維のうちの全部の連続繊維を切断している。故に、第2の樹脂一体化繊維シートは複数のシートに分割されている。分割されたシートは、各々、例えば、第2の樹脂一体化繊維シートの幅方向の長さよりも、前記シートの繊維長の方が短い、短冊状になっている。図4Bに示されるように、積層体110を、第1の樹脂一体化繊維シート1aの一方向連続繊維の長手方向の弾性体35の中心軸35aに対する角度が0°となるように、弾性体に巻き付ける。第2の樹脂一体化繊維シート1bの一方向連続繊維については、弾性体の中心軸35a回りに巻き付く。この例では、図3A及び図3Bに示した積層体よりも、巻回体の拡径がより容易化され、中空成形体についてより高い強度の確保が可能となる。連続繊維の長手方向に沿って隣り合うスリット10b間の距離は、ボイドおよび剥離等の発生による強度低下を抑制する観点から、中空成形体の外周長の1.5倍以下が好ましく、1.2倍以下がより好ましい。一方、第2の樹脂一体化繊維シート1bの繊維による強度向上の観点から、前記スリット10b間の距離は、中空成形体の外周長の0.5倍以上が好ましく、0.7倍以上がより好ましい。
【0031】
図5Aには、積層体のさらに別の一例を示している。図5Aに示されるように、2枚の第1の樹脂一体化繊維シート1aが同一層に配置され、2枚の第2の樹脂一体化繊維シート1bが同一層に配置されている。図5Bに示されるように、積層体110は、第1の樹脂一体化繊維シート1aの一方向連続繊維の長手方向の弾性体35の中心軸35aに対する角度が0°となるように、弾性体に巻き付けられる。第2の樹脂一体化繊維シート1bの一方向連続繊維については、弾性体の中心軸35a回りに巻き付く。このように、中空成形体の直径(外径)および積層体の巻回数、樹脂一体化繊維シートの長尺物からの調整等に応じて、積層体110の同一層の形成に、複数の第1の樹脂一体化繊維シート1a、および/または、複数の第2の樹脂一体化繊維シート1bを用いてもよい。
【0032】
図3A図4A、および図5Aにおいて、矢印Xは、第1の樹脂一体化繊維シートを構成する一方向連続繊維の長手方向(配向方向)、矢印Yは第2の樹脂一体化繊維シートを構成する一方向連続繊維の長手方向(配向方向)である。第1の樹脂一体化繊維シートの一方向連続繊維の配向方向に対する、第2樹脂一体化繊維シートの一方向連続繊維の配向方向の角度(θ)の絶対値は、強度特性の向上の観点から、好ましくは20°以上90°以下であり、中空成形体に要求される力学特性に応じて、前記範囲内で適宜選択されると好ましい。図3図5を用いて説明した積層体110においては、いずれも、θが90°であり、第2の樹脂一体化繊維シート1bを構成する繊維は、巻回体の周方向に巻き付きくが、θが90°未満の場合は、巻回体の軸回りにらせん状に巻き付く。
【0033】
図3A図4A、および図5Aにおいて、積層体を、第1の樹脂一体化繊維シート1aが外側になるように(第2樹脂一体化繊維シート1bが弾性体側に配置されるように)巻回しているが、中空成形体に要求される力学特性に応じて、第2の樹脂一体化繊維シート1bが外側になるようになるように巻回してもよい。
【0034】
前記積層体の巻回数が複数である場合に、巻回体の厚み方向から見て、スリット10a,10bが重なって特定の範囲に集中配置すると、その部分の強度が他部分と比較して低下する。強度均一性の確保の観点から、図6Cに示すように、巻回体37の軸方向と直交する断面視において、複数のスリット10aは、前記軸を中心とする周方向に分散していると好ましく、巻回体の厚み方向において、重ならない位置に形成されていると好ましく、前記軸を中心とする周方向に実施的に等間隔で配置されているとより好ましい。ここで、実質的に等間隔とは、厳密な等間隔と実質的に同一とみなせる範囲内の間隔を含み、具体的には、±10mmの誤差を意味する。スリット10bについても同様である。
【0035】
スリット10a、10bの形成方法としては、例えば、カッターによる手作業による切断、樹脂一体化繊維シートに対して所定の位置に刃を配置した回転ローラーを押し当てる等の方法が挙げられるがこれに限定されない。また、本例においては、積層体の調製のために、樹脂一体化繊維シートの長尺物を所定の形状に切断してからスリットを形成するが、これに限定されず、樹脂一体化繊維シートの長尺物に対してスリットを形成してもよい。第1の樹脂一体化繊維シートと第2の樹脂一体化繊維シートは、組成が同一又は異なる別の樹脂一体化繊維シートの長尺物から調整したものであってもよい。
【0036】
図6Aは、内圧成形に使用する弾性体35の模式的斜視図、図6Bは、樹脂一体化炭素繊維シートの積層体の巻回体を弾性体35上に配置した模式的斜視図、図6C図6Bの断面図である。弾性体35の先端には治具36を取り付け、弾性体内の圧力流体を封止する。弾性体は、例えば、フッ素ゴム(耐熱限界温度230℃)、又はシリコーンゴム(耐熱限界温度230℃)製のチューブである。
【0037】
図7Aは、樹脂一体化炭素繊維シートの積層体の巻回体37が配置された弾性体35が、成形金型内に配置された状態を示す模式的平面図、図7B図7AのI-I線断面図である。成形金型は、下金型40と上金型39で構成されている。例えば、樹脂一体化炭素繊維シートの積層体110を弾性体35の表面に巻き付けて巻回体37とする。または、積層体110を巻回してプリフォームとした後に、それを弾性体上に配置してもよい。
【0038】
巻回体37が配置された弾性体35を、成形金型内に配置し、弾性体35の一端に固定したエアー供給口41から圧力流体を供給し、弾性体を膨張させる。これにより、巻回体37も膨張し、弾性体によって金型に押し付けられる。金型に押し付けられた巻回体37は、金型から加熱を受け、巻回体37を構成する樹脂一体化炭素繊維シート表面の熱可塑性樹脂は溶融する。溶融された熱可塑性樹脂は、樹脂一体化炭素繊維シート内に含浸され、樹脂一体化炭素繊維シート間に浸透かつ拡散し、巻回体37全体に含浸して、巻回体が一体化する。金型の昇温は、例えば、巻回体37の金型内への配置後に開始する。次いで、金型を例えば水冷により冷却した後、脱型する。これにより、繊維補強樹脂部を含む中空成形体が得られる。
【0039】
樹脂一体化炭素繊維シートの積層体110を弾性体35に巻き付けると、第2の樹脂一体化繊維シートを構成する一方向連続繊維は、弾性体35の周方向に巻き付く。樹脂一体化繊維シートを構成する一方向連続繊維は、それ自体伸長しない。したがって、第2の樹脂一体化繊維シートの一方向連続繊維が長手方向全長に渡って完全に連続していると、弾性体35の径方向への膨張、延いては巻回体37の膨張が阻害される。しかし、第2の樹脂一体化炭素繊維シートに、スリットが形成されているので、スリットが形成された部分が径方向へ膨張し、巻回体の径方向への膨張が容易化する。その結果、金型への巻回体の押し付け及び巻回体の加熱が十分に行えることにより、ボイドおよび剥離の発生が抑制されて、中空成形体について実用上十分な強度の確保が可能となる。
【0040】
弾性体内部へ供給される圧力流体としては、圧縮空気等が挙げられる。圧力流体による内圧は、0.1~2MPaが好ましく、金型温度Tは、Tm(熱可塑性樹脂の溶融温度)+20℃≦T≦350℃であると好ましい。加熱成形時間は、好ましくは30秒~30分であり、冷却時間は、好ましくは1分~10分である。冷却は、金型の温度が例えば60℃以下になるまで行う。
【0041】
[樹脂一体化繊維シート]
次に、中空成形体の製造に使用される樹脂一体化繊維シートについて説明する。中空成形体の製造に使用される樹脂一体化繊維シートは、前記一方向連続繊維と交錯する方向の架橋繊維を含み、かつ前記熱可塑性樹脂は前記連続繊維と前記架橋繊維とを一体化していることが好ましい。前記樹脂一体化繊維シートは、前記連続繊維上に他方向に配置されている補助糸をさらに含んでもよい。補助糸とは、一方向連続繊維の配向性を一定に保つものであり、補助糸としては、例えば、ガラス繊維、アラミド繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ビニロン繊維等が挙げられる。
【0042】
本発明で使用する樹脂一体化繊維シートの繊維の主成分は、開繊され一方向に並列状に配列された一方向連続繊維であり、一方向長繊維である。繊維の副成分は、一方向連続繊維と交錯する方向に配列された架橋繊維であることが好ましい。ここで主成分の含有量は、樹脂一体化繊維シートに含まれる繊維を100質量%としたとき、75~99質量%が好ましく、副成分の含有量は1~25質量%が好ましい。熱可塑性樹脂は、粉体状で一方向連続繊維及び架橋繊維の上から付着させ、一方向連続繊維の少なくとも表面に熱融着しており、かつ一方向連続繊維と架橋繊維とを一体化していることが好ましい。このシートは、一方向連続繊維と架橋繊維が、熱融着した熱可塑性樹脂により一体化しているため、取り扱い性が良好で、積層(巻回に伴う積層も含む)する際、及び成形する際の操作性が良い。
【0043】
前記樹脂一体化繊維シートは、一方向連続繊維の表面にマトリックスとなる熱可塑性粉体樹脂を付着させ熱融着させたセミプレグである。このセミプレグは、成形により、表面の熱可塑性樹脂が樹脂一体化繊維シート内に含浸されやすく、樹脂一体化繊維シート間に一様に浸透かつ拡散され易い。そのため賦形性(成形性)に優れ、ボイドの発生が抑制される。
【0044】
前記一方向連続繊維と架橋繊維の合計を100質量%としたとき、一方向連続繊維は75~99質量%が好ましく、より好ましくは80~97質量%、さらに好ましくは85~97質量%である。また、架橋繊維は1~25質量%が好ましく、より好ましくは3~20質量%、さらに好ましくは3~15質量%である。質量割合が前記の範囲であれば、一方向連続繊維の一体性が高く、幅方向の引張強度の高い樹脂一体化繊維シートとなる。
【0045】
前記樹脂一体化繊維シートの繊維体積(Vf)は25~70体積%、熱可塑性樹脂30~75体積%が好ましく、より好ましくは繊維35~60体積%、樹脂40~65体積%である。これにより、樹脂一体化繊維シートの樹脂成分を、そのまま中空成形体のマトリックス樹脂成分にすることができる。すなわち、中空成形体を製造する際に、新たな樹脂の追加は不要である。樹脂一体化繊維シートの単位面積あたりの質量は20~1000g/m2が好ましく、より好ましくは50~500g/m2である。
【0046】
前記繊維は、炭素繊維、ガラス繊維及び弾性率が380cN/dtex以上の高弾性率繊維から選ばれる少なくとも一つが好ましい。前記高弾性率繊維としては、例えばアラミド繊維、とくにパラ系アラミド繊維(弾性率:380~980cN/dtex)、ポリアリレート繊維(弾性率:600~741cN/dtex)、ヘテロ環ポリマー(PBO,弾性率:1060~2200cN/dtex)繊維、高分子量ポリエチレン繊維(弾性率:883~1413cN/dtex)、ポリビニルアルコール繊維(PVA,強度:14~18cN/dtex)などがある(繊維の百科事典,522頁,2002年3月25日,丸善)。これらの繊維は樹脂強化繊維として有用である。とくに炭素繊維は有用である。
【0047】
前記樹脂一体化繊維シートの1枚の厚みは20~1000μmが好ましく、50~500μmがより好ましい。この範囲の厚さの樹脂一体化繊維シートは成形しやすい。なお、前記樹脂一体化繊維シートの1枚の厚みは、熱可塑性樹脂を、一方向連続繊維に完全に含浸させた状態で測定した厚みである。
【0048】
前記熱可塑性樹脂は、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、アクリル系樹脂、フェノキシ樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリイミド系樹脂、及びポリエーテルエーテルケトン(PEEK)系樹脂などが使用可能であるが、これらに限定されない。
【0049】
本発明の樹脂一体化繊維シートの樹脂の付着状態は、連続繊維群が開繊され一方向に並列状に配列された一方向連続繊維(以下、「開繊シート」ともいう)の表面付近に粉体樹脂が溶融固化して付着しており、樹脂は開繊シート内部には含浸していないか又は一部僅かに含浸しているのが好ましい。前記状態であると、樹脂一体化繊維シートを複数枚積層し、中空成形体を成形するのに際し、樹脂が開繊シート全体に行き渡りやすく好ましい。
【0050】
開繊シートの幅は、炭素繊維の場合、構成繊維本数1000本当たり0.1~5.0mmが好ましい。具体的には、開繊シートの幅は、50K又は60Kなどのラージトウの場合は構成繊維本数1000本当たり0.1~1.5mm程度であり、12K又は15Kなどのレギュラートウの場合は構成繊維本数1000本当たり0.5~5.0mm程度である。ここで、Kは構成繊維本数1000本のことを示す。炭素繊維メーカーの販売する未開繊トウを拡開し、使用し易い開繊シートとし、様々な中空成形体の成形のために供給できる。樹脂一体化繊維シートの製造のために供給される炭素繊維束(トウ)は5,000~50,000本/束が好ましく、この炭素繊維束(トウ)を10~280本、開繊手段へ供給するのが好ましい。このように炭素繊維束(トウ)を複数本供給して開繊し、1枚のシートにすると、炭素繊維束(トウ)と炭素繊維束(トウ)の間が開裂しやすいが、様々な方向性を有する架橋繊維が樹脂により開繊シートに接着固定されていると、トウ間の開裂も防止できる。
【0051】
架橋繊維の平均長さは、1mm以上が好ましく、さらに好ましくは5mm以上である。架橋繊維の平均長さが前記の範囲であれば、幅方向の強度が高く、取り扱い性に優れた炭素繊維シートとなる。
【0052】
[樹脂一体化繊維シートの製造方法]
本発明の中空成形体の製造に使用する樹脂一体化繊維シートの製造方法は、例えば、次の工程を含む。開繊シートとして炭素繊維シートを挙げて説明する。
(1)炭素繊維フィラメント群を、複数のロールを通過、開繊バーを通過、及びエアー開繊から選ばれる少なくとも一つの手段により開繊させ、一方向に並列状に配列させるに際し、開繊時もしくは開繊後に架橋繊維を炭素繊維フィラメント群から発生させるか、又は開繊時もしくは開繊後に架橋繊維を炭素繊維シートに落下させる。前記架橋繊維は炭素繊維シートの面積10mm2あたり平均1本以上とする。ロール又は開繊バーを通過させて炭素繊維フィラメント群を開繊する場合、炭素繊維フィラメント群に張力をかけることで、開繊時に炭素繊維フィラメント群から架橋繊維を発生させることができる。炭素繊維フィラメント群の張力は、例えば、15,000本あたり2.5~30Nの範囲とすることができる。エアー開繊を採用する場合は、この後にロール又は開繊バーにより架橋繊維を発生させるのが好ましい。架橋繊維を炭素繊維フィラメント群から発生させた場合は、架橋繊維は、炭素繊維シートを構成する炭素繊維と交錯した状態となる。ここで交錯とは、絡み合いを含む。例えば、架橋繊維の一部又は全部は炭素繊維シート内に存在し、一方向に配列されている炭素繊維と立体的に交錯している。
(2)開繊された炭素繊維シートに粉体樹脂を付与する。
(3)加圧フリー(加圧なし)状態で粉体樹脂を加熱溶融し、冷却し、炭素繊維シートの少なくとも表面の一部に部分的に樹脂を存在させる。この際に、架橋繊維を表面の樹脂により炭素繊維シートに接着固定させる。
【0053】
図8は本発明の一実施形態の中空成形体の製造に使用する、樹脂一体化炭素繊維シート1の模式的斜視図、図9は、樹脂一体化炭素繊維シート1の厚み幅方向の模式的断面図である。連続繊維群が開繊され一方向に並列状に配列された一方向連続繊維2の表面には、架橋繊維3が様々な方向に配向して配置している。また一方向炭素繊維2の表面付近に樹脂4が溶融固化して付着しており、樹脂4は一方向炭素繊維2(開繊シート)の内部には含浸していないか又は一部僅かに含浸している程度である。樹脂4は架橋繊維3を一方向炭素繊維2の表面に接着固定している。
【0054】
図9に示すように、一方向炭素繊維2(開繊シート)の表面には架橋繊維3a,3bが存在する。架橋繊維3aは全部が一方向炭素繊維2の表面にある。架橋繊維3bは一部が一方向炭素繊維2の表面にあり、一部は内部に入って炭素繊維と交錯した状態である。樹脂4は架橋繊維3を一方向炭素繊維2の表面に接着固定している。また、一方向炭素繊維2(開繊シート)の表面には樹脂4が付着している部分と、樹脂が付着していない部分5がある。樹脂が付着していない部分5は、樹脂一体化炭素繊維シート1を複数枚積層状態で加熱し、繊維強化中空成形体に成形する際に、繊維シート内部の空気がこの部分から抜ける通路となり、加圧により表面の樹脂が開繊シート内全体に含浸しやすくなる。これにより樹脂4は繊維強化中空成形体のマトリックス樹脂となる。
【0055】
図10は本発明の一実施形態の中空成形体の製造に使用する、樹脂一体化炭素繊維シートの製造方法を示す模式的工程図である。多数個の供給ボビン7(図7では1つのみ記載し、他は省略している。)から炭素繊維フィラメント群(トウ)8を引き出し、開繊ロール21a-21jの間を通過させることで、開繊させる(ロール開繊工程23)。ロール開繊に代えて、エアー開繊としてもよい。開繊ロールは固定又は回転してもよく、幅方向に振動してもよい。
【0056】
開繊工程の後、開繊されたトウをニップロール9a,9b間でニップし、この間に設置した複数のブリッジロール12a-12bの間を通過させ、トウの張力を例えば15,000本あたり(1個の供給ボビンから供給される炭素繊維フィラメント群に相当)2.5~30Nの範囲でかけることで、架橋繊維を発生させる(架橋繊維発生工程24)。ブリッジロールは回転してもよく、幅方向に振動してもよい。ブリッジロールは、例えば表面が梨地、凹凸、または鏡面の複数ロールであり、ブリッジロールを炭素繊維フィラメント群に対して屈曲状態で配置する、固定、回転、幅方向に振動させる又はこれらの組み合わせにより架橋繊維を発生させる。13a-13gはガイドロールである。
【0057】
その後、粉体供給ホッパー14からドライパウダー樹脂15を開繊シートの表面に振りかけ、圧力フリー状態で加熱装置16内に供給し加熱し、ドライパウダー樹脂15を溶融し、ガイドロール13e-13g間で冷却する。その後、開繊シートの裏面にも粉体供給ホッパー17からドライパウダー樹脂18を振りかけ、圧力フリー状態で加熱装置19内に供給し加熱し、ドライパウダー樹脂18を溶融し、冷却し、巻き上げロール20に巻き上げられる(粉体樹脂付与工程25)。ドライパウダー樹脂15、18は、例えばポリプロピレン樹脂(融点:150~165℃)とし、加熱装置16,19内の各温度は例えばドライパウダー樹脂の融点、軟化点又は流動化点の+5~60℃、滞留時間は例えば各4秒とする。これにより、炭素繊維の開繊シートは幅方向の強度が高くなる。
【0058】
粉体樹脂の付与は、粉体塗布法、静電塗装法、吹付法、流動浸漬法などが採用できる。炭素繊維の開繊シート表面に粉体樹脂を落下させる粉体塗布法が好ましい。例えばドライパウダー状の粉体樹脂を開繊された炭素繊維の開繊シート表面に振りかける。
【0059】
本発明の利点をまとめると次のようになる。
(1)前記樹脂一体化炭素繊維シートは、不織布やプリプレグ基材とは異なり、柔軟性が高いため、賦形性、成形性が優れている。
(2)第2の樹脂一体化炭素繊維シートにスリットを形成することにより、積層体の巻回体の巻回方向に配向する連続繊維を途中で分断することで、弾性体の膨張及びその上に配置された巻回体の拡径が行われ易くなる。その結果、金型への巻回体の押し付け及び巻回体の加熱が十分に行えることにより、ボイドおよび剥離の発生が抑制されて、中空成形体について実用上十分な強度の確保が可能となる。
(3)樹脂一体化炭素繊維シートは、熱硬化性樹脂を用いたプリプレグ基材またはセミプレグ基材とは異なり、ダイレクト成形が可能である。すなわち、巻回体の形成のための樹脂の軟化および巻回体の拡径のための樹脂の軟化が不要であり、樹脂一体化炭素繊維シートへの賦形と、熱可塑性樹脂の繊維シート全体への含浸・樹脂一体化炭素繊維シート間への浸透かつ拡散とを、ほぼ同時に行える。
(4)本発明では、樹脂一体化炭素繊維シートに含まれる樹脂以外の追加樹脂が不要であるため、成形時間を高速にすることができ、繊維補強樹脂部の厚みが薄い中空成形体を製造することもできる。
【実施例0060】
以下実施例を用いて本発明を具体的に説明する。なお、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0061】
(実施例1)
(1)炭素繊維未開繊トウ
炭素繊維未開繊トウは三菱ケミカル社製、品番:PYROFILE TR 50S15L、形状:レギュラートウ フィラメント15K(15,000本)、単繊維直径7μmを使用した。この炭素繊維未開繊トウの炭素繊維にはエポキシ系化合物がサイジング剤として付着されている。
【0062】
(2)未開繊トウの開繊手段
図10の開繊手段を使用して開繊した(開繊工程)。開繊工程において、炭素繊維フィラメント群(トウ)の張力は15,000本あたり15Nとした。このようにして炭素繊維フィラメント構成本数15K、開繊幅500mmの開繊シートとした。架橋繊維は3.3質量%であった。
【0063】
(3)セミプレグ
[セミプレグ1]
ドライパウダー樹脂としてポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂(融点:290℃、ポリプラスチック社製)を使用した。この樹脂は、炭素繊維1m2に対して平均片面28.2g、両面で56.4g付与した。加熱装置16,19内の温度は各220℃、滞留時間は各8秒とした(粉体樹脂付与工程)。得られた樹脂一体化繊維シート(長尺物)の質量は132.4g/m2、厚みは0.2mm、繊維体積(Vf)は50体積%、ドライパウダー樹脂(熱可塑性樹脂)は50体積%であった。
[セミプレグ2]
ドライパウダー樹脂の付与量を変えたこと以外は上記と同様にして、124.1g/m2、厚み0.2mm、繊維体積(Vf)35体積%、ドライパウダー樹脂(熱可塑性樹脂)65体積%の、樹脂一体化繊維シート(長尺物)を作製した。
【0064】
(4)積層体
樹脂一体化繊維シートの長尺物を所定の形状にカットし、必要に応じてスリットを設けて、図11に示したAシート(幅460mm、MD方向長320mm(炭素繊維の長手方向の長さ)、スリットなし)と、図12A~Dに各々示したBシートI~IV(幅320mm、MD方向長460mm(炭素繊維の長手方向の長さ))とを得た。図12Bに示したBシートIIは、炭素繊維の長手方向に沿って5分割されており(L1=90mm、L2=100mm)、図12Cに示したBシートIIIは、炭素繊維の長手方向に沿って4分割されており(L3=140mm、L4=40mm)、図12Dに示したBシートIVには、長さ60mmのスリットが炭素繊維の長手方向に沿って90mm間隔(L5)で形成されている。
Aシートの炭素繊維の長手方向とBシートI~IVの炭素繊維の長手方向とが直交するように、Aシートの上にBシートI~IVを各々重ねて、2層構造の積層体A~Eを得た(表1参照)。
【0065】
次に、図7に示す装置で次の条件で内圧成形を実施して、中空成形体を成形し、バリ取りのためにその両端を各々10mm切断して、下記表1に示す、参考例1~2、実施例1~3の中空成形体(巻回数4、直径35mm、長さ300mm、外周長109mm、オーバーラップ部の幅24mm)を得た。積層体の巻回は、Aシートが外側になるように行った。
・弾性体の直径:30mm
・金型温度:315℃
・エアー圧:0.6MPa
・加熱成形時間:5分
・水冷却時間:5分
冷却後にエアラインを切り、中空成形体を脱型した。
【0066】
【表1】
【0067】
[評価]
(厚みの測定)
中空成形体A~Eの端部及び中央部から、それぞれ、長さ50mmの評価用サンプルを切り出した。各サンプルから最小厚みおよび平均厚みを測定し、その結果を下記表2に示した。厚みは、マイクロメーターを用いて測定し、平均厚みは、5点測定しその平均値とした。測定は、評価用サンプルを、23℃、湿度50%の雰囲気下に48時間以上放置した後に行った。
【0068】
(強度測定)
中空成形体A~Eの端部及び中央部から、それぞれ、長さ50mmの評価用サンプルを切り出し、評価用サンプルの直径方向に圧縮試験を行った。圧縮試験は、JIS K7181準拠して行い、精密万能試験機(島津製作所社製、型式:AG-50kNXplus)を用いた。評価用サンプルを台の上に配置し、φ50mmの円盤によってプレスした。測定は、評価用サンプルを、23℃、湿度50%の雰囲気下に48時間以上放置した後に行った。下記表2には、最大荷重、最大荷重ストローク、最大応力(座屈する瞬間の力)を示している。図13図17は、各々、参考例1~2、実施例1~3の中空成形体から切り出した評価用サンプルについての試験力-変位測定グラフである。図13図17において、aは、中空成形体の中央部での測定結果を示し、bは、中空成形体の端部での測定結果を示す。
【0069】
【表2】
【0070】
表2に示されるように、実施例1~3の中空成形体は、参考例1~2の中空成形体よりも、最大応力(圧縮強度)が高くなっており、強度特性が向上している。特に、シートAが複数に分割された実施例1~2の中空成形体の強度特性が向上している。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明の中空成形体は、パイプ、シャフト、フレームなどであり、断面は円形中空、四角形中空、その他様々な形状の中空体が可能である。本発明は、建築部材、スポーツ用品、風車、自転車、自動車、鉄道、船舶、航空、宇宙などの一般産業用途等において広く応用できる。
【符号の説明】
【0072】
1 樹脂一体化炭素繊維シート
1a 第1の樹脂一体化炭素繊維シート
1b 第2の樹脂一体化炭素繊維シート
2 一方向炭素繊維
3,3a,3b 架橋繊維
4 樹脂
5 樹脂が付着していない部分
6 開繊装置
7 供給ボビン
8 炭素繊維フィラメント群(炭素繊維未開繊トウ)
9a,9b ニップロール
10a,10b スリット
11a,11b 樹脂一体化炭素繊維シート
12a-12b ブリッジロール
13a-13g ガイドロール
14,17 粉体供給ホッパー
15,18 ドライパウダー樹脂
16,19 加熱装置
20 巻き上げロール
21a-21j 開繊ロール
23 ロール開繊工程
24 架橋繊維発生工程
25 粉体樹脂付与工程
30 中空成形体
31 繊維補強樹脂部
32 樹脂一体化炭素繊維シートのオーバーラップ部
33 中空成形体の中心軸
34 重なり部分
35 弾性体
35a 弾性体の中心軸
36 治具
37 樹脂一体化炭素繊維シートの積層体の巻回体
39 上金型
40 下金型
41 エアー供給口
110 積層体
図1
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