(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022127472
(43)【公開日】2022-08-31
(54)【発明の名称】茶飲料
(51)【国際特許分類】
A23F 3/16 20060101AFI20220824BHJP
【FI】
A23F3/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021025641
(22)【出願日】2021-02-19
(71)【出願人】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100163784
【弁理士】
【氏名又は名称】武田 健志
(72)【発明者】
【氏名】石松 篤積
(72)【発明者】
【氏名】吉田 直史
(72)【発明者】
【氏名】小林 靖幸
(72)【発明者】
【氏名】北原 望
【テーマコード(参考)】
4B027
【Fターム(参考)】
4B027FB13
4B027FC02
4B027FK02
4B027FK05
4B027FP72
4B027FP85
(57)【要約】
【課題】砂糖様の甘みが感じられる茶飲料を提供することを目的とする。
【解決手段】茶飲料において、フラネオール、ソトロン、シクロテン、バニリン、及びマルトールからなる群より選択される少なくとも一種と、アミノ酸又は重合ポリフェノールとを含有させ、フラネオール、ソトロン、シクロテン、バニリン、及びマルトールに関して所定の含有量に調整する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミノ酸又は重合ポリフェノールと、フラネオール、ソトロン、シクロテン、バニリン、及びマルトールからなる群より選択される少なくとも一種とを含み、
(a)フラネオールの含有量が1.0mg/L以上である;
(b)ソトロンの含有量が0.35mg/L以上である;
(c)シクロテンの含有量が10mg/L以上である;
(d)バニリンの含有量が1.0mg/L以上である;又は
(e)マルトールの含有量が5.0mg/L以上である;
茶飲料。
【請求項2】
アミノ酸及び重合ポリフェノールを含む、請求項1に記載の飲料。
【請求項3】
アミノ酸が、テアニン、セリン、トレオニン、プロリン、グリシン、及びアルギニンからなる群より選択される少なくとも一種である、請求項1又は2に記載の飲料。
【請求項4】
重合ポリフェノールの含有量が30~500mg/Lである、請求項1~3のいずれか1項に記載の飲料。
【請求項5】
緑茶飲料、烏龍茶飲料、又は紅茶飲料である、請求項1~4のいずれか1項に記載の飲料。
【請求項6】
アミノ酸又は重合ポリフェノールと、フラネオール、ソトロン、シクロテン、バニリン、及びマルトールからなる群より選択される少なくとも一種とを含む茶飲料の甘みを改善する方法であって、
(a)フラネオールの含有量を1.0mg/L以上に調整する工程;
(b)ソトロンの含有量を0.35mg/L以上に調整する工程;
(c)シクロテンの含有量を10mg/L以上に調整する工程;
(d)バニリンの含有量を1.0mg/L以上に調整する工程;又は
(e)マルトールの含有量を5.0mg/L以上に調整する工程;
を含む、上記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、茶飲料に関する。特に本発明は、香気成分を含む茶飲料であって、砂糖様の甘みが感じられる茶飲料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、緑茶をはじめ紅茶や烏龍茶といった茶飲料の市場は世界的に拡大してきている。日本国内の緑茶は無糖茶が一般的であるが、国、地域、又は茶の種類によっては砂糖を添加して飲まれることも珍しくない。むしろ世界的に見れば、甘い茶飲料の方が一般的に好まれているのが現状である。
【0003】
その一方で、昨今の世界的な健康志向及び自然志向により、無糖茶への関心も高まっている。しかしながら、無糖茶は茶特有の渋みが際立ち飲みづらく、また、これまで慣れ親しんだ甘みも足りず嗜好性に欠ける部分があるため、砂糖を添加せずとも甘い美味しい茶飲料の開発が求められてきている。
【0004】
茶飲料の甘みを増強する手段としては、例えば、茶飲料にスクラロースを添加する方法(特許文献1)や、水蒸気蒸留を用いた茶エキスを添加する方法(特許文献2)が挙げられる。一方、フラネオールは甘味強化剤としての作用を有することが知られており(特許文献3)、茶飲料に添加することで高級茶葉類が本来有している自然な甘さを付与することができること(特許文献4)、さらには、アミノ酸やカフェインなどと適量組み合わせることで加熱劣化を抑制できること(特許文献5)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000-135058号公報
【特許文献2】特開2010-207116号公報
【特許文献3】特開昭50-140659号公報
【特許文献4】特開2007-167003号公報
【特許文献5】特開2011-97905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の通り茶飲料の甘みを増強する技術はいくつか報告されているが、従来の技術では茶の香味バランスが崩れてしまったり、或いは甘みが不十分であったりすることがあり、甘くて美味しいと感じられる砂糖様の甘みを茶飲料において表現するには、必ずしも十分なものとはいえなかった。そこで、本発明は、砂糖様の甘みが感じられる茶飲料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、フラネオールをはじめとする特定の香気成分にアミノ酸または重合ポリフェノールを組み合わせて茶飲料に含有させると、茶飲料において砂糖様の甘みが感じられることを見出した。かかる知見に基づき、本発明者らは、本発明を完成するに至った。
【0008】
本発明は、これに限定されるものではないが、以下に関する。
(1)アミノ酸又は重合ポリフェノールと、フラネオール、ソトロン、シクロテン、バニリン、及びマルトールからなる群より選択される少なくとも一種とを含み、
(a)フラネオールの含有量が1.0mg/L以上である;
(b)ソトロンの含有量が0.35mg/L以上である;
(c)シクロテンの含有量が10mg/L以上である;
(d)バニリンの含有量が1.0mg/L以上である;又は
(e)マルトールの含有量が5.0mg/L以上である;
茶飲料。
(2)アミノ酸及び重合ポリフェノールを含む、(1)に記載の飲料。
(3)アミノ酸が、テアニン、セリン、トレオニン、プロリン、グリシン、及びアルギニンからなる群より選択される少なくとも一種である、(1)又は(2)に記載の飲料。
(4)重合ポリフェノールの含有量が30~500mg/Lである、(1)~(3)のいずれか1に記載の飲料。
(5)緑茶飲料、烏龍茶飲料、又は紅茶飲料である、(1)~(4)のいずれか1に記載の飲料。
(6)アミノ酸又は重合ポリフェノールと、フラネオール、ソトロン、シクロテン、バニリン、及びマルトールからなる群より選択される少なくとも一種とを含む茶飲料の甘みを改善する方法であって、
(a)フラネオールの含有量を1.0mg/L以上に調整する工程;
(b)ソトロンの含有量を0.35mg/L以上に調整する工程;
(c)シクロテンの含有量を10mg/L以上に調整する工程;
(d)バニリンの含有量を1.0mg/L以上に調整する工程;又は
(e)マルトールの含有量を5.0mg/L以上に調整する工程;
を含む、上記方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、砂糖様の甘みが感じられる茶飲料を提供することができる。また、本発明の技術を利用することにより、茶飲料(好ましくは、無糖茶飲料)に甘みを付与したり、或いはその甘みを増強したりすることができる。本発明の技術を利用すれば、糖類無添加或いは砂糖不使用等のように健康志向及び自然志向にかなった茶飲料であって、その上で十分な甘みと美味しさとが感じられる茶飲料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、茶重合ポリフェノールを含む試料を測定して得られるHPLCチャートの例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一態様は飲料であり、具体的には茶飲料である。本発明の茶飲料は、アミノ酸又は重合ポリフェノールと、フラネオール、ソトロン、シクロテン、バニリン、及びマルトールからなる群より選択される少なくとも一種とを含むことを特徴とし、さらに、以下の条件:
(a)フラネオールの含有量が1.0mg/L以上である;
(b)ソトロンの含有量が0.35mg/L以上である;
(c)シクロテンの含有量が10mg/L以上である;
(d)バニリンの含有量が1.0mg/L以上である;又は
(e)マルトールの含有量が5.0mg/L以上である;
を満たすことを特徴とする。なお、特に断りがない限り、本明細書において用いられる「重量%」及び「ppm」は、重量/容量(w/v)の重量%及びppmを意味する。また、本明細書においては、特に記載しない限り、数値範囲はその端点を含むものとして記載される。
【0012】
本発明の飲料には、フラネオール、ソトロン、シクロテン、バニリン、及びマルトールからなる群より選択される少なくとも一種が含まれる。これらの成分は香気成分であり、いずれも甘い香りを呈することが知られている。そのため、これらの成分は甘香成分と称されることもある。上記の成分は一種を単独で用いてもよいし、或いは二種以上又は三種以上を組み合わせ用いてもよい。上記の成分については、好ましくは市販品を用いることができる。また、上記の成分は、合成品であってもよく、或いは天然物からの抽出物であってもよい。
【0013】
本発明ではフラネオールを用いることができる。フラネオールは、化学式C6H8O3で表される有機化合物であり、別名として2,5-ジメチル-4-ヒドロキシ-3(2H)-フラノンとも称される。また、フラネオールのCAS登録番号は3658-77-3である。フラネオールはイチゴの香りを有することが知られており、食品用の香料や香水原料として使用されている。
【0014】
フラネオールを使用する場合、本発明の飲料におけるフラネオールの含有量は1.0mg/L以上である。フラネオールの含有量が1.0mg/L以上であることにより、アミノ酸又は重合ポリフェノールと併用した場合に優れた甘みを感じやすくなる傾向がある。本発明の飲料におけるフラネオールの含有量は、好ましくは1.0~50.0mg/L、より好ましくは1.5~10.0mg/L、さらに好ましくは1.5~8.0mg/L、1.5~5.0mg/L、3.0~8.0mg/L又は3.0~5.0mg/Lである。フラネオールの含有量は、当業者に公知の方法を用いて測定することができ、例えばHPLCを用いることができる。
【0015】
本発明ではソトロンを用いることができる。ソトロンは、ラクトンの一種で、化学式C6H8O3で表される有機化合物あり、別名として4,5-ジメチル-3-ヒドロキシ-2(5H)-フラノンとも称される。また、ソトロンのCAS登録番号は28664-35-9である。ソトロンは、濃度によって香りが異なり、高濃度では典型的なフェヌグリークまたはカレーの匂いが、低濃度ではメープルシロップやキャラメル、焦がした砂糖の匂いがすることが知られている。
【0016】
ソトロンを使用する場合、本発明の飲料におけるソトロンの含有量は0.35mg/L以上である。ソトロンの含有量が0.35mg/L以上であることにより、アミノ酸又は重合ポリフェノールと併用した場合に優れた甘みを感じやすくなる傾向がある。本発明の飲料におけるソトロンの含有量は、好ましくは0.35~3.0mg/L、より好ましくは0.35~1.5mg/L、さらに好ましくは0.35~1.0mg/L又は0.35~0.7mg/Lである。ソトロンの含有量は、当業者に公知の方法を用いて測定することができ、例えばHPLCを用いることができる。
【0017】
本発明ではシクロテンを用いることができる。シクロテンは、化学式C6H8O2で表される有機化合物であり、別名として、2-ヒドロキシ-3-メチル-2-シクロペンテノンやメチルシクロペンテノロンとも称される。また、シクロテンのCAS登録番号は80-71-7である。シクロテンは、カラメル様の甘く焦げた匂いを有することが知られており、食品や飼料添加物、或いは衣料用洗剤等に使用されている。
【0018】
シクロテンを使用する場合、本発明の飲料におけるシクロテンの含有量は10mg/L以上である。シクロテンの含有量が10mg/L以上であることにより、アミノ酸又は重合ポリフェノールと併用した場合に優れた甘みを感じやすくなる傾向がある。本発明の飲料におけるシクロテンの含有量は、好ましくは10~150mg/L、より好ましくは30~100mg/L、さらに好ましくは40~100mg/L、40~80mg/L又は50~75mg/Lである。シクロテンの含有量は、当業者に公知の方法を用いて測定することができ、例えばHPLCを用いることができる。
【0019】
本発明ではバニリンを用いることができる。バニリンは、バニロイド類に属し、化学式C8H8O3で表される有機化合物である。バニリンは、別名として4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒドとも称され、そのCAS登録番号は121-33-5である。バニリンは、バニラ特有の甘い香りを有することが知られており、飲食品や香水の原料として広く使用されている。
【0020】
バニリンを使用する場合、本発明の飲料におけるバニリンの含有量は1.0mg/L以上である。バニリンの含有量が1.0mg/L以上であることにより、アミノ酸又は重合ポリフェノールと併用した場合に優れた甘みを感じやすくなる傾向がある。本発明の飲料におけるバニリンの含有量は、好ましくは1.0~100mg/L、より好ましくは1.5~100mg/L、さらに好ましくは2.0~100mg/L、2.0~20mg/L又は3~10mg/Lである。バニリンの含有量は、当業者に公知の方法を用いて測定することができ、例えばHPLCを用いることができる。
【0021】
本発明ではマルトールを用いることができる。マルトールは、化学式C6H6O3で表される有機化合物であり、別名として3-ヒドロキシ-2-メチル-4-ピロンとも称される。また、マルトールのCAS登録番号は118-71-8である。マルトールは、糖類を熱分解したときに生成する甘い香りの原因の一つであることが知られており、香料や食品添加物として用いられている。
【0022】
マルトールを使用する場合、本発明の飲料におけるマルトールの含有量は5.0mg/L以上である。マルトールの含有量が5.0mg/L以上であることにより、アミノ酸又は重合ポリフェノールと併用した場合に優れた甘みを感じやすくなる傾向がある。本発明の飲料におけるマルトールの含有量は、好ましくは5.0~50mg/L、より好ましくは6.0~50mg/L、さらに好ましくは8.0~40mg/L、8.0~35mg/L又は10~30mg/Lである。マルトールの含有量は、当業者に公知の方法を用いて測定することができ、例えばHPLCを用いることができる。
【0023】
上記のフラネオール、ソトロン、シクロテン、バニリン、及びマルトールについて、これらの成分が茶抽出物に含まれている場合は、上述した各成分の含有量は、茶抽出物に存在する量も含めた上での量であることを意味する。
【0024】
本発明の飲料には、アミノ酸及び/又は重合ポリフェノールが含まれる。本発明の飲料に含まれるアミノ酸としては、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、及びテアニン等が挙げられるが、特にこれらに限定されない。本発明では、好ましくは、テアニン、セリン、トレオニン、プロリン、グリシン、及びアルギニンのいずれか一種以上が用いられる。本発明において、アミノ酸は一種を単独で用いてもよいし、或いは二種以上又は三種以上を組み合わせ用いてもよい。
【0025】
アミノ酸にはD体及びL体が存在するが、本発明ではいずれの構造のものであってもよく、DL体のように両方の構造が存在していてもよい。アミノ酸については、好ましくは市販品を用いることができる。また、本発明においてアミノ酸は、発酵法、酵素法、抽出法、及び合成法のいずれで得られたものであってもよく、特に限定されない。
【0026】
アミノ酸としてテアニンを用いる場合、本発明の飲料におけるテアニンの含有量は、例えば2.0~2000mg/L、好ましくは20~1500mg/L、より好ましくは80~1300mg/L又は900~1200mg/Lである。アミノ酸としてセリンを用いる場合、本発明の飲料におけるセリンの含有量は、例えば0.2~5000mg/L、好ましくは1.0~4900mg/L、より好ましくは2.5~4850mg/L又は3600~4800mg/Lである。アミノ酸としてトレオニンを用いる場合、本発明の飲料におけるトレオニンの含有量は、例えば0.1~5000mg/L、好ましくは1.0~4900mg/L、より好ましくは2.5~4850mg/L又は3600~4800mg/Lである。アミノ酸としてプロリンを用いる場合、本発明の飲料におけるプロリンの含有量は、例えば0.3~5000mg/L、好ましくは0.5~4900mg/L、より好ましくは2.5~4850mg/L又は3600~4800mg/Lである。アミノ酸としてグリシンを用いる場合、本発明の飲料におけるグリシンの含有量は、例えば0.1~5000mg/L、好ましくは0.2~4900mg/L、より好ましくは0.5~4850mg/L又は3600~4800mg/Lである。アミノ酸としてアルギニンを用いる場合、本発明の飲料におけるアルギニンの含有量は、例えば0.1~1200mg/L、好ましくは3.0~800mg/L、より好ましくは8.0~600mg/L又は259~600mg/Lである。アミノ酸の含有量が上記の範囲内である場合、上述した香気成分と併用することによって優れた甘みを感じやすくなる傾向がある。各種アミノ酸の含有量は、当業者に公知の方法を用いて測定することができ、例えばHPLCを用いることができる。
【0027】
本発明の飲料におけるアミノ酸の合計含有量は、特に限定されないが、例えば5.0mg/L以上、10mg/L以上、40mg/L以上、60mg/L以上、100mg/L以上、250mg/L以上、又は500mg/L以上である。また、アミノ酸の合計含有量は、特に限定されないが、例えば10000mg/L以下、8000mg/L以下、6000mg/L以下、5000mg/L以下、4500mg/L以下、4000mg/L以下、3500mg/L以下、3000mg/L以下、又は2500mg/L以下である。本発明の飲料におけるアミノ酸の合計含有量は、特に限定されないが、例えば5.0~10000mg/L、好ましくは60~5000mg/L、より好ましくは100~3000mg/Lである。アミノ酸の合計含有量は、各種アミノ酸の含有量の総和として表される。
【0028】
アミノ酸としてテアニン及びアルギニンを用いる場合、本発明の飲料におけるテアニン及びアルギニンの合計含有量は、例えば90mg/L以上、好ましくは120mg/L以上、より好ましくは140mg/L以上である。本発明の飲料におけるアルギニンの含有量に対するテアニンの含有量の重量比([テアニンの含有量]/[アルギニンの含有量])は、例えば5~50、好ましくは7~20、より好ましくは8~13である。
【0029】
本発明においてフラネオールを用いる場合、フラネオールの含有量に対するアミノ酸の合計含有量の重量比([アミノ酸の合計含有量]/[フラネオールの含有量])は、例えば0.1~5000、好ましくは0.5~1000、より好ましくは1~300である。ソトロンを用いる場合、ソトロンの含有量に対するアミノ酸の合計含有量の重量比([アミノ酸の合計含有量]/[ソトロンの含有量])は、例えば1~2000、好ましくは4~1000、より好ましくは6~500である。シクロテンを用いる場合、シクロテンの含有量に対するアミノ酸の合計含有量の重量比([アミノ酸の合計含有量]/[シクロテンの含有量])は、例えば0.05~100、好ましくは0.1~30、より好ましくは0.1~10である。バニリンを用いる場合、バニリンの含有量に対するアミノ酸の合計含有量の重量比([アミノ酸の合計含有量]/[バニリンの含有量])は、例えば0.05~1000、好ましくは1~500、より好ましくは2~100である。マルトールを用いる場合、マルトールの含有量に対するアミノ酸の合計含有量の重量比([アミノ酸の合計含有量]/[マルトールの含有量])は、例えば0.1~150、好ましくは0.3~100、より好ましくは0.5~50である。
【0030】
本発明において重合ポリフェノールとは、ポリフェノールの重合体を意味する。本発明における重合ポリフェノールとしては、カテキン類が重合した茶重合ポリフェノールを用いることが好ましい。茶重合ポリフェノール(茶重合カテキンともいう)は、ポリフェノールの一種であり、特有の苦味や渋味を有することが知られている。
【0031】
本明細書でいう「茶重合ポリフェノール」とは、重合していない単量体のカテキン類((+)-カテキン、(-)-エピカテキン、(+)-ガロカテキン、(-)-エピガロカテキン、(-)-カテキンガレート、(-)-エピカテキンガレート、(-)-ガロカテキンガレート、(-)-エピガロカテキンガレート(これらは、本明細書において、「非重合カテキン」とも記載する))が、茶由来酵素、酵素、光、pHの変化等により複数個連結した構造を持つものを意味する。茶重合ポリフェノールは、後述の実施例の通りHPLCにより定量分析することができる。
【0032】
茶重合ポリフェノールの定量分析においては、茶重合ポリフェノールのピークが他の成分のピークと重なることがある。そのような他の成分を含有する飲料としては、例えば、果汁を含有している飲料、植物抽出物を含有している飲料等がある。その場合には、上記の分析条件は、茶重合ポリフェノールの特定には適するものの、定量には適さない。その場合には、約14分に現れるピークを定量に使用する。約14分のピーク面積値に10を乗じて得られた値と約25分に現れるピーク面積値とを比較し、前者の方が低い場合は、前者の値を茶重合ポリフェノールの定量のために使用する。これらのピークが現れたHPLCチャートの例を
図1に示す。
【0033】
本発明の実施形態において、茶重合ポリフェノールの由来は特に限定されない。例えば、天然物由来のものであっても、市場から入手したものであっても、有機化学的手法により合成したものであってもよいが、近年の天然志向の高まりから天然物由来の茶重合ポリフェノールであることが好ましい。天然物としては、例えば、茶(緑茶、白茶、紅茶、ウーロン茶、マテ茶など)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明の実施形態において、茶重合ポリフェノールは茶由来のものが好ましく、茶重合ポリフェノールを多く含有する半発酵茶又は発酵茶の茶葉、特にウーロン茶葉由来のものがより好ましい。また、当該茶重合ポリフェノールは、由来の異なる茶重合ポリフェノールの混合物であってもよい。
【0034】
本発明の実施形態において用いられる茶重合ポリフェノールとしては、具体的にはテアルビジン等の慣用名で呼ばれている茶重合ポリフェノールの他、式(1)のエピガロカテキンガレート二量体:
【0035】
【0036】
式(2)のエピガロカテキンガレート三量体:
【0037】
【0038】
式(3)のエピガロカテキンの二量体:
【0039】
【0040】
(式中、R1およびR2は、それぞれ独立してHまたはガロイル基である。)、式(4)のエピガロカテキンの三量体:
【0041】
【0042】
(式中、R3、R4およびR5は、それぞれ独立してHまたはガロイル基である。)、式(5)のウーロンテアニン-3'-O-ガレート:
【0043】
【0044】
等の茶重合ポリフェノールが例示され、これらの化合物からなる群から選択されてもよい。
【0045】
本発明の実施の形態において、茶重合ポリフェノールは、茶重合ポリフェノールを含有する植物抽出物として得ることができる。植物抽出物はカメリアシネンシス(Camellia sinensis)由来のものが好ましい。例えば、カメリアシネンシスの茶葉を溶媒抽出することにより得られる。原料となる茶葉としては、不発酵茶である緑茶、半発酵茶であるウーロン茶、発酵茶である紅茶のうち、1種類又は2種類以上を用いることができるが、なかでも、茶重合ポリフェノールを多く含有する半発酵茶又は発酵茶の茶葉、特にウーロン茶の茶葉を用いるのがよい。抽出溶媒としては、水または熱水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチルなどを用いることができ、これらの1種もしくは2種類以上の混合物で抽出することができる。好ましい抽出溶媒は熱水であり、これに必要に応じて重曹を添加してもよい。この茶葉の溶媒抽出物を、精製せずにそのまま用いてもよいが、濃縮又は精製したもの、すなわち茶葉の溶媒抽出物から茶重合ポリフェノール以外の成分を選択的に除去して、茶重合ポリフェノールの含有率を高めたものを用いることが好ましい。一般に、非重合カテキンは苦渋味を有するため、特に、非重合カテキンを選択的に除去することが好ましい。そのようにして得られた抽出物としては、WO2005/077384号公報に記載の非重合カテキンの4倍以上の濃度で茶重合ポリフェノールを含有するもの等が例示される。
【0046】
また、茶葉をそのまま抽出してもよいが、茶重合ポリフェノールや非重合カテキンを含む茶葉をポリフェノールオキシダーゼなどの酵素で処理するなどして茶重合ポリフェノールの重合度をさらに高めてから抽出してもよいし、抽出物に対してそのような酵素処理を行ってもよい。重合度が高く、茶重合ポリフェノールの割合が非重合カテキンより高くなるほど、不快な苦渋味が少なく香味は好ましいものとなる。
【0047】
本発明の実施の形態の飲料においては、非重合カテキンの含有割合が低いことが好ましい。飲料における茶重合ポリフェノール含有量の非重合カテキン含有量に対する重量比(茶重合ポリフェノール含有量/非重合カテキン含有量)は、好ましくは1以上、より好ましくは1.2以上、より好ましくは1.4以上である。このような飲料を製造するためには、WO2005/077384号公報に記載の技術等を利用することができる。
【0048】
本発明の飲料における重合ポリフェノール(好ましくは、茶重合ポリフェノール)の含有量は、例えば30~500mg/L、好ましくは40~300mg/L、より好ましくは50~200mg/L又は50~170mg/Lである。重合ポリフェノールの含有量が上記の範囲内である場合、上述した香気成分と併用することによって優れた甘みを感じやすくなる傾向がある。
【0049】
本発明においてフラネオールを用いる場合、フラネオールの含有量に対する重合ポリフェノール(好ましくは、茶重合ポリフェノール)の含有量の重量比([重合ポリフェノール]/[フラネオール])は、例えば0.5~1000、好ましくは0.5~700、より好ましくは10~500である。本発明においてソトロンを用いる場合、ソトロンの含有量に対する重合ポリフェノール(好ましくは、茶重合ポリフェノール)の含有量の重量比([重合ポリフェノール]/[ソトロン])は、例えば10~2000、好ましくは20~1500、より好ましくは40~1200である。本発明においてシクロテンを用いる場合、シクロテンの含有量に対する重合ポリフェノール(好ましくは、茶重合ポリフェノール)の含有量の重量比([重合ポリフェノール]/[シクロテン])は、例えば0.2~60、好ましくは0.2~30、より好ましくは0.2~15である。本発明においてバニリンを用いる場合、バニリンの含有量に対する重合ポリフェノール(好ましくは、茶重合ポリフェノール)の含有量の重量比([重合ポリフェノール]/[バニリン])は、例えば0.2~600、好ましくは5~400、より好ましくは10~200である。本発明においてマルトールを用いる場合、マルトールの含有量に対する重合ポリフェノール(好ましくは、茶重合ポリフェノール)の含有量の重量比([重合ポリフェノール]/[マルトール])は、例えば0.5~100、好ましくは1.5~80、より好ましくは3~60である。
【0050】
本発明の飲料には、上記した各種成分に加えて、通常の飲料に用いられる添加剤、例えば、酸化防止剤、乳化剤、保存量、pH調整剤、香料、調味料、甘味料、酸味料、品質安定剤等を単独、或いは併用して添加することができる。茶本来の香味を味わうことができるという観点から、香料、調味料、甘味料、酸味料等は添加しないことが好ましい。
【0051】
本発明の飲料のpHは、特に限定されないが、例えば4.0~7.0、好ましくは4.5~6.5、より好ましくは5.0~6.5である。
【0052】
本発明の飲料は、茶飲料である。本明細書において茶飲料とは、茶樹(学名:Camellia sinensis)の主に葉や茎を用いて製造された緑茶、紅茶、ウーロン茶、プアール茶などの茶、これら茶にさらに玄米、麦類、その他各種植物原料をブレンドしたもの、或いは、茶樹以外の各種植物(穀類を含む)の主に葉や茎、地下茎、根、花、実、果実などの原料や、それらをブレンドしたものを、水系溶媒で抽出して得られた液体を含む飲料をいう。一つの態様において、本発明の茶飲料は、茶抽出物を含有する茶飲料である。なお、本明細書において茶抽出物とは、茶葉から抽出溶媒を用いて抽出されたものをいう。
【0053】
本発明の茶飲料は、不発酵茶(緑茶など)、半発酵茶(烏龍茶など)、発酵茶(紅茶など)を含むが、具体的には、煎茶、番茶、ほうじ茶、玉露、かぶせ茶、甜茶等の蒸し製の不発酵茶(緑茶);嬉野茶、青柳茶、各種中国茶等の釜炒茶等の不発酵茶;包種茶、鉄観音茶、烏龍茶等の半発酵茶;紅茶、阿波番茶、プアール茶などの発酵茶等の茶類を挙げることができる。また、茶葉としては、抽出して飲用可能な部位であれば何ら制限されず、葉、茎など適宜使用することができる。また、その形態も大葉、粉状など制限されない。一つの態様において、本発明の茶飲料は、茶抽出物を含有する茶飲料である。本明細書において茶抽出物とは、茶葉から抽出溶媒を用いて抽出されたものをいう。本発明の茶飲料は、好ましくは緑茶飲料、烏龍茶飲料、又は紅茶飲料である。
【0054】
本発明の飲料は、上述した成分を適宜配合することにより製造することができる。本発明の飲料は茶飲料であることから、茶葉又はその抽出物等を配合して製造することができる。また、本発明の飲料は、必要に応じて殺菌等の工程を経て、容器詰め飲料としてもよい。例えば、飲料を容器に充填した後に加熱殺菌等を行う方法や、飲料を殺菌してから無菌環境下で容器に充填する方法により、殺菌された容器詰め飲料を製造することができる。容器の種類は特に限定されず、PETボトル、缶、瓶、紙パックなどを挙げることができる。特に、無色透明のPETボトルは、容器中の飲料の色味が外部から視認しやすく、且つ充填後の飲料の取り扱いも容易であるため、好ましい。
【0055】
本発明の別の一態様は、茶飲料の甘みを改善する方法である。本明細書において茶飲料の甘みを改善するとは、甘みが感じられない茶飲料に対して甘みを付与すること、又は甘みが感じられる茶飲料に対して甘みの強度若しくは質を高めることを意味する。本発明の方法における茶飲料は、アミノ酸又は重合ポリフェノールと、フラネオール、ソトロン、シクロテン、バニリン、及びマルトールからなる群より選択される少なくとも一種とを含む。また、本発明の方法は、
(a)フラネオールの含有量を1.0mg/L以上に調整する工程;
(b)ソトロンの含有量を0.35mg/L以上に調整する工程;
(c)シクロテンの含有量を10mg/L以上に調整する工程;
(d)バニリンの含有量を1.0mg/L以上に調整する工程;又は
(e)マルトールの含有量を5.0mg/L以上に調整する工程;
を含む。本発明の方法における各種成分の種類やその含有量等の各種要素は、本発明の飲料に関して上記した通りであるか、それらから自明である。
【実施例0056】
以下、実験例を示して本発明の詳細を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0057】
<実験例1>
甘香成分として、フラネオール、ソトロン、シクロテン、バニリン、及びマルトールを用い、各種甘香成分の有効濃度を調べた。具体的には、アミノ酸としてテアニンを用い、最終濃度が下表に示した通りになるように各種成分を水に添加し、飲料サンプルを調製した。得られた飲料サンプルのうち、試料1-1、1-9、1-10、2-1、2-4、3-1、3-4、4-1、4-5、5-1、及び5-4は、容器に充填して加熱処理を行い、容器詰め飲料とした。
【0058】
各種飲料サンプルについて官能評価を行った。官能評価は、飲料の甘さに関して行い、5名の専門パネルにより以下の基準に従ってスコア1~5の5段階のスコアで評価した。評価結果については、専門パネル各自が評価を行った後、パネル全員で協議して最終的な評価結果を決定した。
スコア1:砂糖様の甘みを感じない
スコア2:砂糖様の甘みを少し感じる
スコア3:砂糖様の甘みを感じる
スコア4:砂糖様の甘みを十分に感じる
スコア5:砂糖様の甘みを感じるが、飲料の香味バランスが崩れる
【0059】
【0060】
結果は上記の通りであり、アミノ酸との組み合わせにおいて、フラネオールは1.0mg/L以上、ソトロンは0.35mg/L以上、シクロテンは50mg/L以上、バニリンは3.0mg/L以上、マルトールは10mg/L以上の場合に、それぞれ砂糖様の甘みが感じられることが明らかとなった。なお、フラネオールに関しては、試料1-6と試料1-7とはいずれも砂糖様の甘みが十分に感じられた中で、試料1-6の方が試料1-7よりも甘みが強く感じられ、試料1-2~1-5は試料1-6と同程度の甘みが感じられた。そのため、フラネオールは3.0mg/L以上が好ましいとパネル全員が評価した。また、試料1-2、2-2、3-2、4-2及び5-2ではいずれも砂糖様の甘みが十分に感じられたが、パネル全員の評価においては、甘みが強すぎるようにも感じられた。
【0061】
<実験例2>
また、砂糖様の甘みの付与について、テアニン以外のアミノ酸についても効果が見られるかどうかを調べた。アミノ酸としては、セリン、トレオニン、プロリン、グリシン、及びアルギニンを用い、最終濃度が下表に示した通りになるように各種成分を水に添加し、飲料サンプルを調製した。得られた飲料サンプルについて、実験例1と同様の基準及び方法で官能評価を行った。
【0062】
【0063】
結果は上記の通りであり、テアニン以外のアミノ酸として、セリン、トレオニン、プロリン、グリシン、及びアルギニンにも甘香成分の併用効果が見られた。
【0064】
<実験例3>
市販の茶飲料を複数準備し、それぞれについて以下の通りアミノ酸と重合ポリフェノールの定量分析を行った。
【0065】
1.アミノ酸の定量分析
装置:Chromaster(HITACHI)
カラム:Rapid Resolution HD(3.0mm×50mm、アジレント・テクノロジー株式会社)
溶媒A:水:AccQ-TagTM Ultra溶離液A=100:900
溶媒B:AccQ-TagTM Ultra溶離液
流量: 0.7ml/min
カラム温度:40℃
グラディエント条件:
【0066】
【0067】
検出:260nm
注入量:5.0μL
標準物質:アルギニン、リシン、ヒスチジン、フェニルアラニン、チロシン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、バリン、アラニン、グリシン、プロリン、グルタミン酸、セリン、トレオニン、アスパラギン酸、アスパラギン、L-テアニン
【0068】
2.茶重合ポリフェノール
装置:Prominence 20A(島津製作所)
カラム:TSK-gel ODS-80Ts QA(4.6mmφx150mm、東ソー株式会社)
溶媒A:水:アセトニトリル:TFA=900:100:0.5
溶媒B:水:アセトニトリル:TFA=200:800:0.5
流量:1.0ml/min
カラム温度:40℃
グラディエント条件:
【0069】
【0070】
検出:280nm
注入量:10μL
標準物質:ウーロンホモビスフラバンB(略記:OHBF-B)
【0071】
各種茶飲料における定量分析結果を下表に示す。
【0072】
【0073】
上記の各種茶飲料に対し、甘香成分として、フラネオール、ソトロン、シクロテン、バニリン、及びマルトールをそれぞれ添加し、各種成分の最終濃度が下表に示した通りになるように茶飲料サンプルを調製した。各種茶飲料サンプルは、容器に充填して加熱処理を行い、容器詰め飲料とした。
【0074】
各種茶飲料サンプルについて官能評価を行った。官能評価は、実験例1と同様の基準及び方法で行った。
【0075】
【0076】
結果は上記の通りであり、烏龍茶飲料、紅茶飲料、及び緑茶飲料のいずれの茶飲料においても、所定量のフラネオール、ソトロン、シクロテン、バニリン、及びマルトールを配合すると砂糖様の甘みが感じられて、甘くて美味しいと評価された。烏龍茶Aにおいては、アミノ酸の含有量が非常に少ないことから、砂糖様の甘み付与に対する茶重合ポリフェノールの作用効果が示唆された。緑茶Aでは、フラネオール濃度が1ppmと3ppmのサンプルでいずれも砂糖様の甘みが感じられた中で、フラネオール濃度が3ppmのサンプルの方が1ppmのものよりも甘みが強く感じられた。なお、各種茶飲料においては、テアニン、セリン、トレオニン、プロリン、グリシン、及びアルギニンのいずれもがアミノ酸として含まれていた。
【0077】
<実験例4>
実験例3の結果に基づき、緑茶C及び緑茶Dに対応する濃度でのテアニン及びアルギニンの効果について検証した。具体的には、最終濃度が下表に示した通りになるようにテアニン、アルギニン及びフラネオールを水に添加し、飲料サンプルを調製した。そして、得られた飲料サンプルについて、実験例1と同様の基準及び方法で官能評価を行った。なお、各種飲料サンプルは、容器に充填して加熱処理を行い、容器詰め飲料とした。
【0078】
【0079】
結果は上記の通りであり、所定量のテアニン及びアルギニンを併用し、これに甘香成分を組み合わせることによって砂糖様の甘みが感じられることが示された。
【0080】
<実験例5>
上記の甘香成分と茶重合ポリフェノールとの組み合わせについて調べた。本試験において、茶重合ポリフェノールは以下の通り製造した。
【0081】
0.15重量%の重曹液(95℃)で100gの烏龍茶葉をカラム法で抽出し、烏龍茶抽出液約2000gを得た。この抽出液の液温を70~80℃に保ち、100~130kgの粒状活性炭(クラレ、GW-H32/60)に通液して非重合カテキン、カフェインを選択的に除去した。この通過液を減圧下で濃縮し、Brix10以上の茶重合ポリフェノール高含有エキス(烏龍茶抽出物の濃縮物;エキス)約400gを調製した。得られたエキス中の茶重合ポリフェノール濃度を、上述した条件下のHPLCで測定した。その結果、茶重合ポリフェノールの濃度は1.28重量%であった。
【0082】
最終濃度が下表に示した通りになるように各種甘香成分及び茶重合ポリフェノール高含有エキスを水に添加し、飲料サンプルを調製した。そして、得られた飲料サンプルについて、実験例1と同様の基準及び方法で官能評価を行った。なお、各種飲料サンプルは、容器に充填して加熱処理を行い、容器詰め飲料とした。
【0083】
【0084】
結果は上記の通りであり、茶重合ポリフェノールに対して所定量のフラネオール、ソトロン、シクロテン、バニリン、及びマルトールを配合すると砂糖様の甘みが感じられて、甘くて美味しいと評価された。茶重合ポリフェノール濃度が204ppmのサンプルに関して、フラネオール濃度が1~4ppmのサンプルではいずれも砂糖様の甘みが感じられたが、フラネオール濃度が3ppm及び4ppmのサンプルは、フラネオール濃度が1ppm及び2ppmのものよりも甘みが強く感じられた。また、ソトロンが0.35ppmのサンプルではいずれも砂糖様の甘みが感じられた中で、茶重合ポリフェノール濃度が306ppm及び408ppmのサンプルは、茶重合ポリフェノール濃度が204ppmのものよりも甘みが強く感じられた。シクロテン濃度が100ppmのサンプル及びマルトール濃度が10ppmのサンプルにおいても、茶重合ポリフェノール濃度が306ppm及び408ppmのサンプルは、茶重合ポリフェノール濃度が204ppmのものよりも甘みが強く感じられた。