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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022127498
(43)【公開日】2022-08-31
(54)【発明の名称】結束設備及び結束機
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/12 20060101AFI20220824BHJP
   B65B 13/28 20060101ALI20220824BHJP
   E04C 5/18 20060101ALI20220824BHJP
   B25B 25/00 20060101ALI20220824BHJP
   B21F 15/06 20060101ALI20220824BHJP
【FI】
E04G21/12 105E
B65B13/28
E04C5/18 103
B25B25/00 A
B21F15/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021025686
(22)【出願日】2021-02-19
(71)【出願人】
【識別番号】000006301
【氏名又は名称】マックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110001209
【氏名又は名称】特許業務法人山口国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】荒井 健一
(72)【発明者】
【氏名】野田口 洋成
(72)【発明者】
【氏名】新藤 茂輝
【テーマコード(参考)】
2E164
3C031
3E052
4E070
【Fターム(参考)】
2E164AA02
2E164BA34
3C031BB01
3E052AA08
3E052BA18
3E052CA18
3E052GA15
3E052HA09
3E052JA02
3E052LA20
4E070AA01
4E070AB06
4E070AC02
4E070BA15
4E070BC08
4E070BD09
(57)【要約】
【課題】鉄筋結束機の内部の異物を外部に排出できるようにした結束設備を提供する。
【解決手段】結束設備に適用される鉄筋結束機1Aは、本体部10Aの上部に露出して設けられ、ワイヤを鉄筋の周囲に巻き回す経路を構成するカール形成部5Aと、本体部10Aの内部に設けられ、鉄筋の周囲に巻き回されたワイヤを係止し、鉄筋に巻き付けられたワイヤを回転することで捩じるワイヤ係止体70と、本体部10Aの上部に設けた開口と連通し、本体部10A内でワイヤ係止体70の一部が露出するワイヤ係止体露出部93と、ワイヤ係止体露出部93の内部の異物を本体部10Aの外部に排出する排出部94を備える。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結束対象物をワイヤで結束する結束機と、
ワイヤが引き出し可能に収容される収容部と、
前記収容部に収容されたワイヤを引き出すワイヤ送り機構とを備え、
前記結束機は、
本体部と、
前記本体部の内部に設けられ、前記収納部から引き出されたワイヤを送るワイヤ送り部と、
前記本体部の上部に露出して設けられ、前記ワイヤ送り部で送られるワイヤを結束物の周囲に巻き回す経路を構成するカール形成部と、
前記本体部の内部に設けられ、結束物の周囲に巻き回されたワイヤを係止するワイヤ係止体を有し、結束物に巻き付けられたワイヤを、前記ワイヤ係止体を回転させて捩じる結束部と、
前記本体部の上部に設けた開口と連通し、前記本体部内で前記ワイヤ係止体の一部が露出するワイヤ係止体露出部と、
前記ワイヤ係止体露出部の内部の異物を前記本体部の外部に排出する排出手段とを備えた
結束設備。
【請求項2】
前記排出手段は、前記本体部に前記ワイヤ係止体露出部と連通する開口を設けて構成される
請求項1に記載の結束設備。
【請求項3】
前記排出手段は、前記ワイヤ係止体露出部と連通する前記開口と前記ワイヤ係止体露出部を構成する壁部の少なくとも一部を同一面とする排出誘導部を備えた
請求項2に記載の結束設備。
【請求項4】
前記排出手段は、前記ワイヤ係止体露出部と連通する前記開口の一部または全部を覆うカバー部が着脱可能に取り付けられる
請求項2または請求項3に記載の結束設備。
【請求項5】
前記排出手段は、前記本体部に前記ワイヤ係止体露出部と連通する前記開口が、直径が10mm以上の仮想円の直径部分を、2方向で含む形状である
請求項2~請求項4の何れか1項に記載の結束設備。
【請求項6】
前記排出手段は、前記本体部に前記ワイヤ係止体露出部と連通する前記開口が、前記ワイヤ係止体の回転軸の軸方向に沿った方向の長さと、前記回転軸の軸方向に直交する方向の長さが、それぞれ10mm以上50mm以下である
請求項2~請求項5の何れか1項に記載の結束設備。
【請求項7】
本体部と、
前記本体部の内部に設けられ、前記収納部から引き出されたワイヤを送るワイヤ送り部と、
前記本体部の前部に露出して設けられ、前記ワイヤ送り部で送られるワイヤを結束物の周囲に巻き回す経路を構成するカール形成部と、
前記本体部の内部に設けられ、結束物の周囲に巻き回されたワイヤを係止するワイヤ係止体を有し、結束物に巻き付けられたワイヤを、前記ワイヤ係止体を回転させて捩じる結束部と、
前記本体部の前部に設けた開口と連通し、前記本体部内で前記ワイヤ係止体の一部が露出するワイヤ係止体露出部と、
前記ワイヤ係止体露出部の内部の異物を前記本体部の外部に排出する排出手段と
を備えた結束機。
【請求項8】
前記排出手段は、前記本体部に前記ワイヤ係止体露出部と連通する開口を設けて構成される
請求項7に記載の結束機。
【請求項9】
前記排出手段は、前記ワイヤ係止体露出部と連通する前記開口と前記ワイヤ係止体露出部を構成する壁部の少なくとも一部を同一面とする排出誘導部を備えた
請求項8に記載の結束機。
【請求項10】
前記排出手段は、前記ワイヤ係止体露出部と連通する前記開口の一部または全部を覆うカバー部が着脱可能に取り付けられる
請求項8または請求項9に記載の結束機。
【請求項11】
前記排出手段は、前記本体部に前記ワイヤ係止体露出部と連通する前記開口が、直径が10mmの仮想円の直径部分を、2方向で含む形状である
請求項8~請求項10の何れか1項に記載の結束機。
【請求項12】
前記排出手段は、前記本体部に前記ワイヤ係止体露出部と連通する前記開口が、前記ワイヤ係止体の回転軸の軸方向に沿った方向の長さと、前記回転軸の軸方向に直交する方向の長さが、それぞれ10mm以上50mm以下である
請求項8~請求項11の何れか1項に記載の結束機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
鉄筋等の結束対象物をワイヤで結束する結束設備及び結束機に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリート建造物には強度を向上させるために鉄筋が使用されており、コンクリート打設時に鉄筋が所定の位置からずれないように、ワイヤで結束している。
【0003】
従来から、2本以上の鉄筋にワイヤを巻き、鉄筋に巻いたワイヤを捩じって当該2本以上の鉄筋をワイヤで結束する作業者が手で持って使用する鉄筋結束機と称す結束機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、鉄筋結束機を設置して使用する設備機器に適用した技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8-34405号公報
【特許文献2】特開2013-35052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
結束機を設備機器に適用した構成では、鉄筋を下側から結束する構成であるため、結束機が常時上向きで使用される。このため、鉄筋に付着していた異物や、ワイヤが擦れることで発生する削りかす、不用意に切断されたワイヤ等の異物が、結束機の内部に入りやすい。また、手で持って使用される結束機でも、ワイヤが擦れることで発生する削りかすや、不用意に切断されたワイヤ等、結束機の内部で発生する異物が入った状態となる。結束機の内部に異物が溜まると、作動不良の要因となる。
【0007】
本発明は、このような課題を解決するためなされたもので、結束機の内部の異物を外部に排出できるようにした結束設備及び結束機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するため、本発明は、結束対象物をワイヤで結束する結束機と、ワイヤが引き出し可能に収容される収容部と、収容部に収容されたワイヤを引き出すワイヤ送り機構とを備え、結束機は、本体部と、本体部の内部に設けられ、収納部から引き出されたワイヤを送るワイヤ送り部と、本体部の上部に露出して設けられ、ワイヤ送り部で送られるワイヤを結束物の周囲に巻き回す経路を構成するカール形成部と、本体部の内部に設けられ、結束物の周囲に巻き回されたワイヤを係止するワイヤ係止体を有し、結束物に巻き付けられたワイヤを、ワイヤ係止体を回転させて捩じる結束部と、本体部の上部に設けた開口と連通し、本体部内でワイヤ係止体の一部が露出するワイヤ係止体露出部と、ワイヤ係止体露出部の内部の異物を本体部の外部に排出する排出手段とを備えた結束設備である。
【0009】
また、本発明は、本体部と、本体部の内部に設けられ、収納部から引き出されたワイヤを送るワイヤ送り部と、本体部の前部に露出して設けられ、ワイヤ送り部で送られるワイヤを結束物の周囲に巻き回す経路を構成するカール形成部と、本体部の内部に設けられ、結束物の周囲に巻き回されたワイヤを係止するワイヤ係止体を有し、結束物に巻き付けられたワイヤを、ワイヤ係止体を回転させて捩じる結束部と、本体部の前部に設けた開口と連通し、本体部内でワイヤ係止体の一部が露出するワイヤ係止体露出部と、ワイヤ係止体露出部の内部の異物を本体部の外部に排出する排出手段とを備えた結束機である。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、結束機において開口からワイヤ係止体露出部に入った異物、ワイヤ係止体露出部内で発生した異物を、本体部の外部に排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1A】本実施の形態の結束設備の一例を示す側面図である。
図1B】本実施の形態の結束設備の一例を示す斜視図である。
図2A】本実施の形態の鉄筋結束機の一例を示す側面図である。
図2B】本実施の形態の鉄筋結束機の一例を示す側面図である。
図2C】本実施の形態の鉄筋結束機の一例を示す要部上面図である。
図3A】本実施の形態の鉄筋結束機の一例を示す要部斜視図である。
図3B】本実施の形態の鉄筋結束機の一例を示す要部斜視図である。
図3C】本実施の形態の鉄筋結束機の一例を示す要部斜視図である。
図3D】本実施の形態の鉄筋結束機の一例を示す要部側面図である。
図3E】本実施の形態の鉄筋結束機の一例を示す要部側面図である。
図4A】本実施の形態の鉄筋結束機の一例を示す要部斜視図である。
図4B】本実施の形態の鉄筋結束機の一例を示す要部斜視図である。
図4C】本実施の形態の鉄筋結束機の一例を示す要部斜視図である。
図5】本実施の形態の鉄筋結束機の内部構成の一例を示す要部側面図である。
図6A】結束部の一例を示す断面平面図である。
図6B】結束部の一例を示す断面平面図である。
図7A】結束設備において鉄筋結束機で鉄筋を結束する動作の一例を示す動作説明図である。
図7B】結束設備において鉄筋結束機で鉄筋を結束する動作の一例を示す動作説明図である。
図8A】本実施の形態の鉄筋結束機の変形例を示す側面図である。
図8B】本実施の形態の鉄筋結束機の変形例を示す側面図である。
図9A】本実施の形態の鉄筋結束機の他の例を示す側面図である。
図9B】本実施の形態の鉄筋結束機の他の例を示す側面図である。
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の結束設備の実施の形態、及び、結束設備に使用される結束機の実施の形態としての鉄筋結束機、手で持って使用される結束機の実施の形態としての鉄筋結束機について説明する。
【0013】
<本実施の形態の結束設備の構成例>
図1Aは、本実施の形態の結束設備の一例を示す側面図、図1Bは、本実施の形態の結束設備の一例を示す斜視図である。
【0014】
本実施の形態の結束設備100Aは、結束対象物である鉄筋SをワイヤWで結束する鉄筋結束機1Aと、ワイヤWが引き出し可能に収容されるリール収容部21と、リール収容部21に収容されたワイヤWを引き出すワイヤ送り機構2Aを備える。鉄筋結束機1Aは、鉄筋Sの配設面に対して交差する方向である上下方向に移動(昇降)可能とするため、昇降機構111Aに取り付けられてベース部112Aに支持される。
【0015】
リール収容部21は収容部の一例で、ワイヤWが引き出し可能に巻かれたリール20が回転、着脱可能に収容される。ワイヤWは、塑性変形し得る金属線で構成されたワイヤ、金属線が樹脂で被覆されたワイヤ、あるいは撚り線のワイヤ等が使用される。リール20は、1本のワイヤWが図示しないハブ部に巻かれ、リール20からワイヤWを引き出せるようになっている。
【0016】
リール収容部21は、本例では、鉄筋結束機1Aにおいて2本のワイヤWで鉄筋Sを結束するため、2個のリール20が、回転の軸を鉛直方向に対して横向きとして、軸方向に沿って並べて収容される。
【0017】
ワイヤ送り機構2Aは、鉄筋結束機1Aとリール20との間でワイヤWを送るワイヤ引き出し機構22と、リール20とワイヤ引き出し機構22との間でワイヤWを誘導する第1のワイヤ誘導部23と、鉄筋結束機1Aとワイヤ引き出し機構22との間でワイヤWを誘導する第2のワイヤ誘導部24とを備える。
【0018】
ワイヤ引き出し機構22は、第1のワイヤ誘導部23と第2のワイヤ誘導部24との間においてワイヤWを引っ張る引き出しローラ22aと、引き出しローラ22aの位置を、第1のワイヤ誘導部23と第2のワイヤ誘導部24との間のワイヤWに対して交差する方向に移動させる駆動部22bを備える。引き出しローラ22aは、駆動部22bがモータ22cに駆動されることで、待機位置である第1の位置としての上限位置P1と、ワイヤWを引っ張る第2の位置としての下限位置P2との間を移動する。
【0019】
ワイヤ引き出し機構22は、引き出しローラ22aが第1のワイヤ誘導部23と第2のワイヤ誘導部24との間で上側からワイヤWと接し、上限位置P1から下限位置P2に移動することで、リール20と第1のワイヤ誘導部23との間のワイヤWと、鉄筋結束機1Aと第2のワイヤ誘導部24との間のワイヤWを、第1のワイヤ誘導部23と第2のワイヤ誘導部24との間に引っ張る力を加える。
【0020】
第1のワイヤ誘導部23は、リール収容部21に収容されたリール20から鉄筋結束機1Aへ送られるワイヤWの送り方向に対して、ワイヤ引き出し機構22の上流側にローラ23a、23b、23cを備える。第1のワイヤ誘導部23は、リール収容部21に収容されたリール20から引き出されたワイヤWが送られる経路をローラ23bでローラ23a方向に誘導し、ローラ23aで第2のワイヤ誘導部24方向に誘導する。
【0021】
第2のワイヤ誘導部24は、ワイヤ引き出し機構22の下流側にローラ24aを備える。第2のワイヤ誘導部24は、ワイヤWが送られる経路をローラ24aで鉄筋結束機1A方向に誘導する。
【0022】
第1のワイヤ誘導部23のローラ23a、23bは、鉛直方向に対して略同等の高さに設けられ、ワイヤWに下側から接する。また、第2のワイヤ誘導部24のローラ24aは、第1のワイヤ誘導部23のローラ23a、23bと鉛直方向に対して略同等の高さに設けられ、ワイヤWに下側から接する。
【0023】
更に、第1のワイヤ誘導部23のローラ23cは、ローラ23aとローラ23bとの間で、鉛直方向に対してローラ23aとローラ23bの下側に設けられる。ローラ23cは、ワイヤWの上側から接し、ワイヤWの送り経路をローラ23a、23bに沿って屈曲させる。
【0024】
これにより、第1のワイヤ誘導部23におけるローラ23a、23b及びローラ23cとワイヤWとの接触角度(長)が、第2のワイヤ誘導部24におけるローラ24aとワイヤWとの接触角度(長)に対して増加する。
【0025】
第1のワイヤ誘導部23のローラ23a、23b及び23cと、第2のワイヤ誘導部24のローラ24aは、ワイヤWの送りに従動して回転することで、ローラとワイヤとの接触角度(長)が長い方が、ワイヤWに掛かる負荷より大きくなる。
【0026】
従って、第1のワイヤ誘導部23で誘導されるワイヤWに掛かる負荷が、第2のワイヤ誘導部24で誘導されるワイヤWに掛かる負荷より大きく、第1の負荷>第2の負荷となる。
【0027】
ワイヤ引き出し機構22は、上限位置P1にある引き出しローラ22aが、第1のワイヤ誘導部23のローラ23aと第2のワイヤ誘導部24のローラ24aとの間のワイヤWに、ローラ23a、24aが接する側と反対側である上側から接する。ワイヤ引き出し機構22は、引き出しローラ22aが、第1のワイヤ誘導部23のローラ23aと第2のワイヤ誘導部24のローラ24aとの間のワイヤWに対して交差する方向に、上限位置P1から下限位置P2へ移動する。
【0028】
これにより、第1のワイヤ誘導部23のローラ23aと第2のワイヤ誘導部24のローラ24aとの間のワイヤWが、引き出しローラ22aで下方に引っ張られる。そして、鉄筋結束機1Aと第2のワイヤ誘導部24との間のワイヤW、第1のワイヤ誘導部23とリール収容部21に収容されたリール20との間のワイヤWが、第1のワイヤ誘導部23のローラ23aと第2のワイヤ誘導部24のローラ24aとの間に送られる。
【0029】
このとき、第1のワイヤ誘導部23で誘導されるワイヤWに掛かる負荷と、第2のワイヤ誘導部24で誘導されるワイヤWに掛かる負荷の大小で、第1のワイヤ誘導部23側のワイヤWが送られるか、第2のワイヤ誘導部24側のワイヤWが送られるかが切り替えられる。
【0030】
<本実施の形態の鉄筋結束機の構成例>
図2A及び図2Bは、本実施の形態の鉄筋結束機の一例を示す側面図、図2Cは、本実施の形態の鉄筋結束機の一例を示す要部上面図である。また、図3A図3Cは、本実施の形態の鉄筋結束機の一例を示す要部斜視図、図3D図3Eは、本実施の形態の鉄筋結束機の一例を示す要部側面図、図4A図4Cは、本実施の形態の鉄筋結束機の一例を示す要部斜視図である。なお、図4A図4Cは、図3A図3Cに対して一部部品を省略したものである。更に、図5は、本実施の形態の鉄筋結束機の内部構成の一例を示す要部側面図である。
【0031】
鉄筋結束機1Aは結束機の一例で、図5に示すように、ワイヤWを矢印Fで示す正方向に送り、交差した2本の鉄筋Sの周囲に巻き回し、鉄筋Sの周囲に巻き回されたワイヤWを、矢印Rで示す逆方向に送って鉄筋Sに巻き付けた後、ワイヤWを捩じり、鉄筋SをワイヤWで結束する。
【0032】
鉄筋結束機1Aは、上述した機能を実現するため、ワイヤWを正方向及び逆方向に送るワイヤ送り部3Aと、ワイヤ送り部3Aに送られるワイヤWをガイドするワイヤガイド4Aを備える。また、鉄筋結束機1Aは、ワイヤ送り部3Aで送られるワイヤWを鉄筋Sの周囲に巻き回す経路を構成するカール形成部5Aと、鉄筋Sに巻き付けられたワイヤWを切断する切断部6Aを備える。更に、鉄筋結束機1Aは、鉄筋Sに巻き付けられたワイヤWを捩じる結束部7Aと、結束部7Aを駆動する駆動部8Aを備える。
【0033】
結束設備100Aに適用される鉄筋結束機1Aは,上述したように、鉄筋Sの配設面に対して交差する方向である上下方向に移動して、カール形成部5Aに対して鉄筋Sが出し入れされる。このため、鉄筋結束機1Aは、カール形成部5Aが本体部10Aの上側の端部(上部)に位置する上向きで昇降機構111Aに取り付けられる。以下、鉄筋結束機1Aにおいて、カール形成部5Aが設けられる側を上側とする。
【0034】
ワイヤ送り部3Aは、本体部10Aの内部に設けられ、1本または並列された複数本のワイヤWを挟持して送る一対の送りギア30を備える。ワイヤ送り部3Aは、一対の送りギア30が、互いが近づく方向に付勢され、図示しない送りモータの回転動作が伝達されて送りギア30が回転する。これにより、ワイヤ送り部3Aは、一対の送りギア30の間に挟持したワイヤWを、ワイヤWの延在方向に沿って送る。複数本、例えば2本のワイヤWを送る構成では、2本のワイヤWが並列された状態で送られる。
【0035】
鉄筋結束機1Aは,本体部10Aにおいてワイヤ送り部3A内の異物を、本体部10Aの外部に排出する排出部31を備える。排出部31は、本体部10Aの少なくとも一方の側部、本例では両側部に、一対の送りギア30等が入る空間と連通する開口を設けて構成される。
【0036】
ワイヤガイド4Aは、ワイヤWを正方向に送る送り方向に対して、ワイヤ送り部3Aの上流側の所定の位置で、本体部10Aの内部に設けられる。ワイヤガイド4Aは、2本のワイヤWを送る構成では、2本のワイヤWの径方向の向きを規制し、進入してきた2本のワイヤWを並列にして、一対の送りギア30の間にガイドする。
【0037】
ワイヤガイド4Aは、正方向に送られるワイヤWの送り方向に対して下流側の開口が、ワイヤWの径方向の向きを規制するような形状を有する。これに対し、正方向に送られるワイヤWの送り方向に対して上流側の開口が、下流側の開口に比べて開口面積が大きくなっている。例えば、ワイヤガイド4Aは、図1A及び図1Bに示すワイヤ送り機構2Aから送られるワイヤWの導入側の開口面積を最も大きくし、そこから徐々に開口面積が小さくなるようなテーパ状の開口で構成される。これにより、鉄筋結束機1Aの高さや向きが変化しても、ワイヤ送り機構2Aにより送られるワイヤWを、一対の送りギア30の間にガイドできる。
【0038】
カール形成部5Aは、ワイヤ送り部30で送られるワイヤWに巻き癖をつけるカールガイド50と、カールガイド50で巻き癖を付けられたワイヤWを結束部7Aに誘導する誘導ガイド51を備える。カール形成部5Aは、カールガイド50と誘導ガイド51が、本体部10Aの上部に露出して設けられる。
【0039】
鉄筋結束機1Aでは、ワイヤ送り部3Aで送られるワイヤWの送り経路がカール形成部5Aで規制されることで、ワイヤWの軌跡が図5に破線で示すようなループRuとなり、ワイヤWが鉄筋Sの周囲に巻き回される。
【0040】
カール形成部5Aは、正方向に送られるワイヤWをガイドし、ワイヤWに巻き癖をつけるガイド部材53a、53bを備える。ガイド部材53aは、カールガイド50においてワイヤ送り部3Aで送られるワイヤWの導入部側に設けられ、ワイヤWにより形成されるループRuの径方向の内側に配置される。ガイド部材53bは、カールガイド50においてワイヤ送り部3Aで送られるワイヤWの排出部側に設けられ、ワイヤWにより形成されるループRuの径方向の外側に配置される。
【0041】
カール形成部5Aは、ガイド部材53aを退避させるガイド部材移動機構54Aを備える。ガイド部材移動機構54Aは、ワイヤWが鉄筋Sに巻き回された後、結束部7Aの動作と連動して、ガイド部材53aを退避させる。
【0042】
切断部6Aは、本体部10Aの内部に設けられ、固定刃部60と、固定刃部60との協働でワイヤWを切断する可動刃部61と、結束部7Aの動作を可動刃部61に伝達する伝達機構62を備える。切断部6Aは、固定刃部60を支点軸とした可動刃部61の回転動作でワイヤWを切断する。伝達機構62は、結束部7Aの動作を、移動部材83を介して可動刃部61に伝達し、結束部7Aの動作と連動して可動刃部61を回転させ、ワイヤWを切断する。
【0043】
結束部7Aは、本体部10Aの内部に設けられ、ワイヤWが係止されるワイヤ係止体70を備える。結束部7Aの詳細な構成は後述する。駆動部8Aは、本体部10Aの内部に設けられ、モータ80と、減速及びトルクの増幅を行う減速機81を備える。
【0044】
鉄筋結束機1Aは、作業者が手に持って使用する形態のものを結束設備100Aに適用する場合、本体部10Aにハンドル部11Aを備え、ハンドル部11Aにバッテリ15Aが着脱可能に取り付けられる。
【0045】
鉄筋結束機1Aは、カール形成部5Aを通り鉄筋Sの周囲に巻き回され、ワイヤ係止体70で係止されるワイヤWの送り経路に、ワイヤWの先端が突き当てられる送り規制部90を備える。
【0046】
また、鉄筋結束機1Aは、本体部10Aの上部に、鉄筋Sが突き当てられる突き当て部91を備える。突き当て部91は、カールガイド50と誘導ガイド51との間に、左右一対で設けられる。
【0047】
更に、鉄筋結束機1Aは、本体部10Aの上部に開口92を備える。開口92は、左右一対の突き当て部91の間で、ワイヤ係止体70を通りカールガイド50に送られるワイヤWが通る経路と、誘導ガイド51を通りワイヤ係止体70に送られるワイヤWが通る経路の間に設けられる。
【0048】
開口92は、ワイヤWを正方向に送る動作では、ワイヤ結束体70を通りカールガイド50に送られるワイヤW、誘導ガイド51を通りワイヤ結束体70に送られるワイヤWが通り、ワイヤWを逆方向に送る動作では、カールガイド50と誘導ガイド51との間に入れられた鉄筋Sに巻き付けられるワイヤWが通り、結束終了後に鉄筋Sから鉄筋結束機1Aを離す動作では、結束後のワイヤWが通る。また、開口92は、カールガイド50と誘導ガイド51との間から鉄筋Sを抜く動作で、鉄筋Sを結束したワイヤWが通る。
【0049】
鉄筋結束機1Aは、開口92の内側で本体部10Aの内部にワイヤ係止体露出部93を備える。ワイヤ係止体露出部93は、壁部93aで仕切られた本体部10Aの上部内側の空間で構成され、開口92と連通する。
【0050】
ワイヤ係止体露出部93は、壁部93aを構成する底面に設けた孔部93bから、ワイヤ係止体70の一部が本体部10A内に露出する。ワイヤ係止体露出部93は、ワイヤ係止体70で係止されるワイヤWが送られる経路を構成すると共に、ワイヤ係止体70で係止されたワイヤWを捩じる動作で必要な空間を構成する。
【0051】
鉄筋結束機1Aは,ワイヤ係止体露出部93内の異物を、本体部10Aの外部に排出する排出部94を備える。排出部94は排出手段の一例で、本体部10Aの少なくとも一方の側部、本例では両側部に、ワイヤ係止体露出部93と連通する開口を設けて構成される。
【0052】
排出部94は、ワイヤ係止体露出部93を構成する壁部93aの内、下側に位置する一の面である少なくとも底面に排出誘導部94aを備える。結束設備100Aで使用される鉄筋結束機1Aにおいて、ワイヤ係止体露出部93を構成する壁部93aの中の底面とは、鉄筋結束機1Aが上向きで使用される形態で下側に位置する面である。排出誘導部94aは、壁部93aを構成する底面と、排出部94を構成する開口の辺の少なくとも一部を、同一面でつなげて構成される。なお、排出誘導部94aは、孔部93bから排出部94に向けて、下降する方向に傾斜した斜面で構成しても良い。また、排出誘導部94aは、底面以外の他の壁部93aについても、壁部93aと、排出部94の辺の少なくとも一部を、同一面でつなげて構成される。
【0053】
図6A及び図6Bは、結束部の一例を示す断面平面図であり、次に、各図を参照して、結束部の構成について説明する。
【0054】
結束部7Aは、ワイヤWが係止されるワイヤ係止体70と、ワイヤ係止体70を作動させる回転軸72を備える。結束部7Aと駆動部8Aは、回転軸72とモータ80が減速機81を介して連結され、回転軸72が、減速機81を介してモータ80に駆動される。
【0055】
ワイヤ係止体70は、回転軸72と連結されるセンターフック70Cと、センターフック70Cに対して開閉する第1のサイドフック70R及び第2のサイドフック70Lと、第1のサイドフック70R及び第2のサイドフック70Lを作動させると共に、ワイヤWを所望の形状に成形するスリーブ71とを備える。
【0056】
センターフック70Cは、回転軸72の軸方向に沿った一方の端部である回転軸72の先端に、回転軸72に対して回転可能、かつ、回転軸72と一体的に軸方向への移動が可能な構成を介して連結される。
【0057】
ワイヤ係止体70は、軸71bを支点とした回転動作で、第1のサイドフック70Rの先端側がセンターフック70Cに対して離接する方向に開閉する。また、第2のサイドフック70Lの先端側がセンターフック70Cに対して離接する方向に開閉する。
【0058】
スリーブ71は、回転軸72が挿入される空間の内周面に突出する図示しない凸部を有し、この凸部が、回転軸72の外周に軸方向に沿って形成された送りネジ72aの溝部に入る。スリーブ71は、回転軸72が回転すると、図示しない凸部と回転軸72の送りネジ72aの作用により、回転軸72の軸方向に沿った方向である上下方向へ、回転軸72の回転方向に応じて移動する。また、スリーブ71は、回転軸72と一体的に回転する。
【0059】
スリーブ71は、第1のサイドフック70R及び第2のサイドフック70Lを開閉する開閉ピン71aを備える。
【0060】
開閉ピン71aは、第1のサイドフック70R及び第2のサイドフック70Lに設けられた開閉ガイド孔73に挿入される。開閉ガイド孔73は、スリーブ71の移動方向に沿って延在し、スリーブ71と連動して移動する開閉ピン71aの直線方向の動きを、軸71bを支点とした第1のサイドフック70R及び第2のサイドフック70Lの回転による開閉動作に変換する形状を有する。
【0061】
ワイヤ係止体70は、スリーブ71が矢印A2で示す下方向に移動することで、開閉ピン71aの軌跡と開閉ガイド孔73の形状により、第1のサイドフック70R及び第2のサイドフック70Lが、軸71bを支点とした回転動作でセンターフック70Cから離れる方向に移動する。
【0062】
これにより、第1のサイドフック70R及び第2のサイドフック70Lが、センターフック70Cに対して開き、第1のサイドフック70Rとセンターフック70Cとの間、第2のサイドフック70Lとセンターフック材70Cとの間に、ワイヤWが通る送り経路が形成される。
【0063】
第1のサイドフック70R及び第2のサイドフック70Lが、センターフック70Cに対して開いた状態では、ワイヤ送り部3Aで送られるワイヤWは、センターフック70Cと第1のサイドフック70Rの間を通る。センターフック70Cと第1のサイドフック70Rとの間を通るワイヤWは、カール形成部5Aに誘導される。そして、カール形成部5Aで巻き癖が付けられ、結束部7Aに誘導されたワイヤWは、センターフック70Cと第2のサイドフック70Lの間を通る。
【0064】
ワイヤ係止体70は、スリーブ71が矢印A1で示す上方向に移動することで、開閉ピン71aの軌跡と開閉ガイド孔73の形状により、第1のサイドフック70R及び第2のサイドフック70Lが、軸71bを支点とした回転動作でセンターフック70Cに近づく方向に移動する。これにより、第1のサイドフック70R及び第2のサイドフック70Lが、センターフック70Cに対して閉じる。
【0065】
第1のサイドフック70Rがセンターフック70Cに対して閉じると、第1のサイドフック70Rとセンターフック70Cとの間に挟まれたワイヤWが、第1のサイドフック70Rとセンターフック70Cとの間を移動することが可能な形態で係止される。また、第2のサイドフック70Lがセンターフック70Cに対して閉じると、第2のサイドフック70Lとセンターフック70Cとの間に挟まれたワイヤWが、第2のサイドフック70Lとセンターフック70Cとの間から抜けない形態で係止される。
【0066】
スリーブ71は、ワイヤWの一方の端部である先端側を所定の方向に押して曲げることで、ワイヤWを所定の形状に成形する曲げ部71c1と、切断部6Aで切断されたワイヤWの他方の端部である終端側を所定の方向に押して曲げることで、ワイヤWを所定の形状に成形する曲げ部71c2を備える。
【0067】
スリーブ71は、矢印A1で示す上方向に移動することで、センターフック70Cと第2のサイドフック70Lで係止されたワイヤWの先端側を曲げ部71c1で押して、鉄筋S側へ曲げる。また、スリーブ71は、矢印A1で示す上方向に移動することで、センターフック70Cと第1のサイドフック70Rで係止され、切断部6Aで切断されたワイヤWの終端側を曲げ部71c2で押して、鉄筋S側へ曲げる。
【0068】
結束部7Aは、回転軸72の回転動作と連動したワイヤ係止体70及びスリーブ71の回転を規制する回転規制部74を備える。結束部7Aは。回転軸72の軸方向に位置に沿ったスリーブ71の位置に応じて、回転規制部74が、回転軸72の回転に連動したスリーブ71の回転を規制し、回転軸72の回転動作でスリーブ71が上下方向へ移動する。また、回転規制部74によるスリーブ71の回転の規制が解除されると、回転軸72の回転に連動してスリーブ71が回転する。
【0069】
ワイヤ係止体70は、図2A図2B図3A図3Cに示すように、ワイヤ係止体露出部93の壁部93aを構成する底面に設けた孔部93bから、センターフック70C、第1のサイドフック70R及び第2のサイドフック50Lと、スリーブ71の先端側が、ワイヤ係止体露出部93に露出する。
【0070】
これにより、ワイヤ係止体露出部93は、切断部6Aを通り、センターフック70Cと第1のサイドフック70Rの間に送られるワイヤW、センターフック70Cと第1のサイドフック70Rとの間を通り、カール形成部5Aに送られるワイヤW、カール形成部5Aで巻き癖が付けられ、センターフック70Cと第2のサイドフック70Lの間に送られるワイヤW、センターフック70Cと第2のサイドフック70Lとの間を通り、送り規制部90に突き当てられるワイヤWが通る経路を構成する。
【0071】
<本実施の形態の結束設備の動作例>
図7A及び図7Bは、結束設備において鉄筋結束機で鉄筋を結束する動作の一例を示す動作説明図で、次に、各図を参照して、結束設備100Aで鉄筋結束機1Aにより鉄筋SをワイヤWで結束する動作について説明する。
【0072】
結束設備100Aは、鉄筋Sの交差した結束対象箇所が、鉄筋結束機1Aのカール形成部5Aと対向する位置となるように鉄筋Sを移動させ、カール形成部5Aのカールガイド50と誘導ガイド51との間に鉄筋Sの結束対象箇所が入るように、鉄筋結束機1Aを移動させる。
【0073】
鉄筋結束機1Aは、図示しない送りモータを正回転方向に駆動し、ワイヤ送り部3AでワイヤWを矢印Fで示す正方向に送る。ワイヤ送り部3Aでは、2本のワイヤWが当該ワイヤWにより形成されるループRuの軸方向に沿って並列された状態で送られる。
【0074】
正方向に送られるワイヤWは、センターフック70Cと第1のサイドフック70Rの間を通り、カール形成部5Aのカールガイド50に送られる。ワイヤWは、カールガイド50を通ることで、ガイド部材53a、53bで鉄筋Sの周囲に巻き回される巻き癖が付けられる。
【0075】
カールガイド50で巻き癖が付けられたワイヤWは誘導ガイド51に誘導され、更にワイヤ送り部3Aで正方向に送られることで、誘導ガイド51によりセンターフック70Cと第2のサイドフック70Lの間に誘導される。そして、ワイヤWは、先端が送り規制部90に突き当てられるまで送られる。ワイヤ送り部3Aで送られるワイヤWの送り経路がカール形成部5Aで規制されることで、ワイヤWの軌跡が図7Aに破線で示すようなループRuとなり、ワイヤWが鉄筋Sの周囲に巻き回される。ワイヤWの先端が送り規制部90に突き当てられる位置まで送られると、図示しない送りモータの駆動を停止する。
【0076】
ワイヤWの正方向への送りを停止した後、モータ80を正回転方向に駆動する。回転規制部74が、回転軸72の回転に連動したスリーブ71の回転を規制する動作域では、スリーブ71は、回転軸72の回転動作が直線移動に変換され、上方向である矢印A1方向に移動する。
【0077】
スリーブ71が上方向に移動すると、開閉ピン71aが開閉ガイド孔73を通過する。これにより、図6Bに示すように、第1のサイドフック70Rは、軸71bを支点とした回転動作で、センターフック70Cに近づく方向に移動する。第1のサイドフック70Rがセンターフック70Cに対して閉じると、第1のサイドフック70Rとセンターフック70Cとの間に挟まれたワイヤWが、第1のサイドフック70Rとセンターフック70Cとの間を移動することが可能な形態で係止される。
【0078】
また、第2のサイドフック70Lは、軸71bを支点とした回転動作で、センターフック70Cに近づく方向に移動する。第2のサイドフック70Lがセンターフック70Cに対して閉じると、第2のサイドフック70Lとセンターフック70Cとの間に挟まれたワイヤWが、第2のサイドフック70Lとセンターフック70Cとの間から抜けない形態で係止される。
【0079】
第1のサイドフック70R及び第2のサイドフック70Lが閉じる動作でワイヤWを係止する動作域の終点位置までスリーブ71を移動させた後、モータ80の回転を一時停止し、図示しない送りモータを逆回転方向に駆動する。これにより、一対の送りギア30が逆転する。よって、一対の送りギア30の間に挟持されたワイヤWが、矢印Rで示す逆方向に送られる。
【0080】
鉄筋Sの周囲に巻き回され、ワイヤ係止体70で係止されたワイヤWは、第2のサイドフック70Lとセンターフック70Cの間に挟まれた先端側の部位が、第2のサイドフック70Lとセンターフック70Cとの間から抜けない形態で係止される。また、ワイヤ係止体70で係止されたワイヤWは、第1のサイドフック70Rとセンターフック70Cの間に挟まれた部位が、第1のサイドフック70Rとセンターフック70Cとの間をワイヤWの送り経路に沿ったループRuの周方向に移動することが可能な形態で係止される。
【0081】
これにより、鉄筋Sの周囲に巻き回されたワイヤWは、図7Bに示すように、ワイヤWを矢印Rで示す逆方向に送る動作で、鉄筋Sに巻き付けられる。この鉄筋結束機1AでワイヤWを逆方向に送る動作で、ワイヤ送り機構2Aでは、ワイヤWは逆方向に送られない。このため、鉄筋結束機1AでワイヤWを逆方向に送る動作で、鉄筋結束機1Aと第2のワイヤ誘導部24との間でワイヤWが弛む。
【0082】
ワイヤWを鉄筋Sに巻き付ける位置までワイヤWを引き戻すと、図示しない送りモータの逆回転方向の駆動を停止した後、モータ80を正回転方向に駆動することで、スリーブ71を矢印A1で示す上方向に移動させる。スリーブ71が上方向に移動する動作が切断部6Aに伝達されることで、可動刃部61が回転し、第1のサイドフック70Rとセンターフック70Cで係止されたワイヤWが、固定刃部60と可動刃部61の動作で切断される。
【0083】
ワイヤWが切断されると、曲げ部71c1、71c2が鉄筋Sに接する方向へ移動する。これにより、センターフック70Cと第2のサイドフック70Lで係止されたワイヤWの先端側を、曲げ部71c1で鉄筋S側へ押圧して、係止位置を支点として鉄筋S側へ曲げる。スリーブ71が更に上方向に移動することで、第2のサイドフック70Lとセンターフック70Cとの間で係止されたワイヤWが、曲げ部71c1で挟まれた状態で保持される。
【0084】
また、センターフック70Cと第1のサイドフック70Rで係止され、切断部6Aで切断されたワイヤWの終端側を、曲げ部71c2で鉄筋S側へ押圧して、係止位置を支点として鉄筋S側へ曲げる。スリーブ71が更に上方向に移動することで、第1のサイドフック70Rとセンターフックとの間で係止されたワイヤWが、曲げ部71c2で挟まれた状態で保持される。
【0085】
ワイヤWの先端側及び終端側を鉄筋S側に折り曲げた後、モータ80が更に正回転方向に駆動されることで、スリーブ71が更に上方向に移動する。スリーブ71が所定の位置まで移動することで、ワイヤ係止体70で係止したワイヤWを捩じる動作域に到達すると、回転規制部74によるスリーブ71の回転の規制が解除され、回転軸72の回転に連動してスリーブ71が回転する。
【0086】
これにより、モータ80が更に正回転方向に駆動されることで、回転軸72と連動してワイヤ係止体70が回転することでワイヤWを捩じり、ワイヤWで鉄筋Sを結束する。モータ80に掛かる負荷が所定値、例えば負荷が最大となったことを検知すると、所定のタイミングでモータ80の正方向の回転を停止させる。
【0087】
モータ80の正方向の回転を停止させた後、モータ80を逆回転させることで、第1のサイドフック70Rがセンターフック70Cに対して開き、第2のサイドフック70Lがセンターフック70Cに対して開いた状態となる位置までスリーブ71を下方向に移動させ、ワイヤ結束体70を待機位置に戻す。鉄筋Sを結束したワイヤWがワイヤ結束体70から外れると、鉄筋結束機1Aを待機位置へ移動させる。
【0088】
ワイヤ送り機構2Aは、上述した鉄筋結束機1Aでの結束動作において、ワイヤWを逆方向に送って鉄筋Sに巻き付けた後、次の結束動作においてワイヤWを正方向に送るまでの間に、リール20から所定量のワイヤWを引き出す動作を行う。
【0089】
ワイヤ送り機構2Aは、モータ22cを正転させ、引き出しローラ22aを上限位置P1から下降させる。ワイヤ引き出し機構22は、第1のワイヤ誘導部23のローラ23aと第2のワイヤ誘導部24のローラ24aとの間のワイヤWに対して交差する方向に沿って、引き出しローラ22aが上限位置P1から下限位置P2へ下降する。
【0090】
引き出しローラ22aが上限位置P1から下降を開始すると、第1のワイヤ誘導部23のローラ23aと第2のワイヤ誘導部24のローラ24aとの間のワイヤWが下方に引っ張られることで、リール20と第1のワイヤ誘導部23との間のワイヤWと、鉄筋結束機1Aと第2のワイヤ誘導部24との間のワイヤWが、第1のワイヤ誘導部23と第2のワイヤ誘導部24との間に引っ張られる。よって、鉄筋結束機1Aと第2のワイヤ誘導部24との間のワイヤWと、第1のワイヤ誘導部23とリール収容部21に収容されたリール20との間のワイヤWが、第1のワイヤ誘導部23のローラ23aと第2のワイヤ誘導部24のローラ24aとの間に送られる。
【0091】
上述したように、第1のワイヤ誘導部23で誘導されるワイヤWに掛かる負荷が、第2のワイヤ誘導部24で誘導されるワイヤWに掛かる負荷より大きく、第1の負荷>第2の負荷となるように構成される。
【0092】
また、鉄筋結束機1Aでは、鉄筋SをワイヤWで結束する動作で、ワイヤWを逆方向に送ることで、ワイヤWが鉄筋Sに巻き付けられる。この鉄筋結束機1AでワイヤWを逆方向に送る動作で、ワイヤ送り機構2Aでは、ワイヤWは逆方向に送られない。このため、鉄筋結束機1AでワイヤWを逆方向に送る動作で、鉄筋結束機1Aと第2のワイヤ誘導部24との間でワイヤWが弛む。
【0093】
これにより、ワイヤ引き出し機構22の引き出しローラ22aでワイヤWを引っ張る動作で、まず、鉄筋結束機1Aと第2のワイヤ誘導部24との間のワイヤWの送り経路26で弛んだワイヤWの余剰分が、第1のワイヤ誘導部23のローラ23aと第2のワイヤ誘導部24のローラ24aとの間に引き込まれる。
【0094】
鉄筋結束機1Aと第2のワイヤ誘導部24との間のワイヤWの余剰分が送られて、ワイヤWの弛みが解消すると、ワイヤ送り部3Aの一対の送りギア30が停止状態で回転しないことから、鉄筋結束機1Aと第2のワイヤ誘導部24との間のワイヤWの送り経路26においてワイヤWを送ることができなくなる。これにより、送りギア30が負荷となって鉄筋結束機1Aと第2のワイヤ誘導部24との間のワイヤWに掛かる張力が大きくなり、第2の負荷に送りギア30による負荷が加わって、第2の負荷+送りギアの負荷>第1の負荷となる。
【0095】
第2の負荷+送りギアの負荷>第1の負荷となると、リール収容部21に収容されたリール20からワイヤWが引き出され、第1のワイヤ誘導部23のローラ23aと第2のワイヤ誘導部24のローラ24aとの間に送られる。引き出しローラ22aが下限位置まで移動すると、鉄筋結束機1Aと第2のワイヤ誘導部24との間のワイヤWの送り経路26におけるワイヤWの弛みを解消すると共に、鉄筋結束機1で鉄筋Sを結束するために必要な量のワイヤWがリール20から引き出せるように、引き出しローラ22aの移動量が設定される。
【0096】
ワイヤ送り機構2Aは、引き出しローラ22aが下限位置P2まで下降すると、モータ22cの回転方向を正転から逆転に切り替え、引き出しローラ22aを上昇させる。引き出しローラ22aが上限位置P1まで移動すると、モータ22cの回転方向を停止させる。これにより、第1のワイヤ誘導部23のローラ23aと第2のワイヤ誘導部24のローラ24aとの間に、鉄筋結束機1Aで鉄筋Sを結束するために必要な量のワイヤWが、弛んだ状態となる。
【0097】
鉄筋結束機1Aで実行される次の結束動作において、ワイヤ送り部3AでワイヤWを正方向に送る動作により、第1のワイヤ誘導部23のローラ23aと第2のワイヤ誘導部24のローラ24aとの間で弛んだワイヤWが鉄筋結束機1Aの方向に送られる。
【0098】
このように、第1のワイヤ誘導部23で誘導されるワイヤWに掛かる負荷と、第2のワイヤ誘導部24で誘導されるワイヤWに掛かる負荷の大小で、第1のワイヤ誘導部23側のワイヤWを送るか、第2のワイヤ誘導部24側のワイヤWを送るかが切り替えられる。
【0099】
これにより、ワイヤWを鉄筋Sに巻き付けるため、鉄筋結束機1AでワイヤWを逆方向に送る動作で、鉄筋結束機1Aと第2のワイヤ誘導部24との間のワイヤWの送り経路26で生じるワイヤWの弛みを、ワイヤ引き出し機構22でワイヤWを引き出す動作で解消することができる。また、鉄筋結束機1Aで鉄筋Sを結束するために必要な量のワイヤWを、ワイヤ引き出し機構22でワイヤWを引き出す動作で、リール20から引き出すことができる。
【0100】
上述したように、結束設備100Aでは、鉄筋結束機1Aは、カール形成部5Aが上向きとなる形態であり、ワイヤ係止体露出部93の開口82が上を向いている。このため、結束設備100Aにおいて、鉄筋結束機1Aのカール形成部5Aに鉄筋Sを入れる動作で、鉄筋Sが突き当て部91に突き当てられると、鉄筋Sと突き当て部91が擦れることで、鉄筋Sに付着していた異物が落下し、開口92からワイヤ係止体露出部93に入る可能性がある。
【0101】
また、ワイヤ係止体70を構成するセンターフック70Cと第1のサイドフック70Rの間、センターフック70Cと第2のサイドフック70Lの間をワイヤWが通る際に、ワイヤWがワイヤ係止体70と擦れることで発生する削りかす等の異物が、ワイヤ係止体露出部93の内部で壁部93aを構成する底面に落下する。更に、切断部6AでワイヤWを切断する動作で、ワイヤWの切れ端がワイヤ係止体露出部93の内部で壁部93aを構成する底面に落下する可能性がある。
【0102】
そこで、鉄筋結束機1Aは、ワイヤ係止体露出部93内の異物を、本体部10Aの外部に排出する排出部94を備える。排出部94は、本体部10Aの両側部に、ワイヤ係止体露出部93と連通する開口を設けて構成される。
【0103】
また、排出部94は、ワイヤ係止体露出部93を構成する壁部93aの底面と同一面となる排出誘導部94aを備えることで、排出部94の辺とワイヤ係止体93の底面との間に、異物の排出を阻害するような凸部が設けられていない構成である。
【0104】
これにより、ワイヤ係止体露出部93内の異物を、排出部94から本体部10Aの外部へ排出することができる。また、排出部94に排出誘導部94aを備えることで、排出部94を構成する開口の辺の部位に異物が溜まることを抑制できる。
【0105】
更に、排出誘導部94aは、ワイヤ係止体露出部93を構成する壁部93aの内、底面のみならず、底面以外の他の壁部93aについても、壁部93aと、排出部94の辺の少なくとも一部を、同一面でつなげて構成されることで、排出部94を構成する開口の各辺の部位に異物が溜まることを抑制できる。
【0106】
鉄筋結束機1Aでは、上述した鉄筋Sを結束する動作において、鉄筋Sに巻き付けられたワイヤWを、ワイヤ係止体70を回転させて捩じる動作で、ワイヤWが不用意に切断される場合がある。不用意に切断されたワイヤWをワイヤ片と称す。ワイヤ片の長さは、約10mm~15mm程度である。ワイヤ係止体70を回転させる動作で切断されたワイヤ片は、第1のサイドフック70R及び第2のサイドフック70Lをセンターフック70に対して開くことで、ワイヤ係止体露出部93内に落下する可能性がある。
【0107】
そこで、排出部94は、開口の幅を、ワイヤ係止体70の径方向の寸法より大きくする。具体的には、ワイヤ片の長さをLWとしたとき、排出部94を構成する開口は、図3D図3Eに示すように、一の方向及び一の方向に直交する他の方向に沿った長さが、直径がLW、本例では10mm以上の仮想円C1の直径以上となる部分を、対向する辺の間の少なくとも一部に有する形状であり、直径が10mmの仮想円C1の直径部分を、任意の2方向で含む形状である。
【0108】
例えば、排出部94を構成する開口は、回転軸72の軸方向に沿った方向の長さL1と、回転軸72の軸方向に直交する方向の長さL2が、ワイヤ片の長さLW以上、すなわち、それぞれ10mm以上50mm以下であることが好ましい。ワイヤ片の排出性と、鉄筋結束機1Aの構成の関係から、上記寸法はそれぞれ13mm以上15mm以下であることがより好ましい。なお、排出部94を構成する開口は、図3D等に示す略四角形でなくても良く、図3E等に示すように、一部が内側に凸となる形状でも良い。この場合でも、回転軸72の軸方向に沿った方向の長さL1と、回転軸72の軸方向に直交する方向の長さL2が、それぞれワイヤ片の長さLW以上、本例では10mm以上の箇所があれば、ワイヤ片の向きによらず、排出部94から排出可能となる。これにより、異物の排出に必要十分な面積の開口で、排出部94を構成することができる。
【0109】
なお、鉄筋結束機1Aでは、カール形成部5Aに鉄筋Sを出し入れする動作、鉄筋Sを結束する動作等で振動する。鉄筋結束機1Aが振動することで、ワイヤ係止体露出部93内の異物を、排出部94から外部へ排出することが促進される。
【0110】
そこで、排出手段として、異物を排出するモードを設定し、結束動作を実行していない所定のタイミングで、昇降機構111Aにより鉄筋結束機1Aを昇降させる等により鉄筋結束機1Aを振動させて、ワイヤ係止体露出部93内の異物を、排出部94から外部へ排出することを促進しても良い。
【0111】
また、別の排出手段として、異物を排出するモードを設定し、ワイヤ係止体露出部93を構成する壁部93aの底面が、孔部93bから排出部94に向けて下降する方向に傾斜させて、ワイヤ係止体露出部93内の異物を、排出部94から外部へ排出することを促進しても良い。
【0112】
更に、鉄筋結束機1Aは,本体部10Aにおいてワイヤ送り部3A内の異物を、本体部10Aの外部に排出する排出部31を備えている。ワイヤ送り部3Aにおいては、一対の送りギア30でワイヤWを挟持する構成で、ワイヤWが送りギア30と擦れることで発生する削りかす等の異物が、ワイヤ送り部3Aで送りギア30等が入る空間内に落下する。そこで、送りギア30等が入る空間と連通する開口を設けて排出部31を構成することで、ワイヤ送り部3A内の異物を、排出部31から本体部10Aの外部へ排出することができる。
【0113】
<本実施の形態の鉄筋結束機の変形例>
図8A及び図8Bは、本実施の形態の鉄筋結束機の変形例を示す側面図である。図1A及び図1Bに示す結束設備100Aに適用される変形例の鉄筋結束機1Bは、排出部94に着脱可能なカバー部95を備える。カバー部95は、排出部94を構成する開口を全部覆う形状、または、排出部94を構成する開口の一部を覆い、残部を露出させる形状、あるいは、例えばスリット状の開口部95aを設けて、排出部94を構成する開口の一部を覆い、残部を露出させる形状で構成される。
【0114】
鉄筋結束機1Bは、本体部10Aの両側部に排出部94が設けられる構成であり、どちらか一方の排出部94にカバー部95を取り付けることで、異物の排出方向を選択可能となる。また、カバー部95が、スリット状の開口部95aを設けて、排出部94を構成する開口の一部を覆い、残部を露出させる形状であれば、排出部94にカバー部95を通り付けることで、排出部94の開口面積を調整することができる。
【0115】
<本実施の形態の鉄筋結束機の他の構成例>
図9A及び図9Bは、本実施の形態の鉄筋結束機の他の例を示す側面図である。本実施の形態の他の例の鉄筋結束機1Cは、作業者が手に持って使用する形態のものであり、ワイヤWが収容されるマガジン2Aを備える。他の構成は、上述した鉄筋結束機1Aと同様である。
【0116】
マガジン2Aは収容部の一例で、長尺状のワイヤWが繰り出し可能に巻かれた図示しないリールが回転、着脱可能に収納される。リールは、1本または複数本のワイヤWが図示しないハブ部に巻かれ、リールから1本または同時に複数本のワイヤWを引き出せるようになっている。
【0117】
作業者が手に持って使用する形態の鉄筋結束機1Cでは、ハンドル部11Aが本体部10Aの下側に位置し、カール形成部5Aが本体部10Aの前側の端部(前部)に位置する横向きの形態で使用されることが多い。以下、鉄筋結束機1Cにおいて、カール形成部5Aが設けられる側を前側とする。カール形成部5Aは、カールガイド50と誘導ガイド51が、本体部10Aの前部に露出して設けられる。また、鉄筋結束機1Cは、本体部10Aの前部に、鉄筋Sが突き当てられる突き当て部91を備える。更に、鉄筋結束機1Cは、本体部10Aの前部に開口92を備える。
【0118】
排出部94は、ワイヤ係止体露出部93を構成する壁部93aの内、下側に位置する一の面である少なくとも底面に排出誘導部94aを備える。手に持って使用される鉄筋結束機1Cにおいて、ワイヤ係止体露出部93を構成する壁部93aの中の底面とは、鉄筋結束機1Cが横向きで使用される形態で下側に位置する面である。排出誘導部94aは、壁部93aを構成する底面と、排出部94を構成する開口の辺の少なくとも一部を、同一面でつなげて構成される。なお、排出誘導部94aは、孔部93bから排出部94に向けて、下降する方向に傾斜した斜面で構成しても良い。また、排出誘導部94aは、底面以外の他の壁部93aについても、壁部93aと、排出部94の辺の少なくとも一部を、同一面でつなげて構成される。
【0119】
作業者が手に持って使用する形態の鉄筋結束機1Cでも、ワイヤ係止体露出部93内の異物を、排出部94から本体部10Aの外部へ排出することができる。また、排出部94に排出誘導部94aを備えることで、排出部94を構成する開口の辺の部位に異物が溜まることを抑制できる。
【0120】
更に、排出誘導部94aは、ワイヤ係止体露出部93を構成する壁部93aの内、底面のみならず、底面以外の他の壁部93aについても、壁部93aと、排出部94の辺の少なくとも一部を、同一面でつなげて構成されることで、排出部94を構成する開口の各辺の部位に異物が溜まることを抑制できる。
【0121】
また、作業者が手に持って使用する形態の鉄筋結束機1Cでも、図8A図8Bで説明したように、排出部94に着脱可能なカバー部95を備える構成としても良い。
【符号の説明】
【0122】
1A、1B、1C・・・鉄筋結束機、2A・・・ワイヤ送り機構、20・・・リール、21・・・リール収容部、22・・・ワイヤ引き出し機構、22a・・・引き出しローラ、22b・・・駆動部、22c・・・モータ、23・・・第1のワイヤ誘導部、23a、23b、23c・・・ローラ、24・・・第2のワイヤ誘導部、24a・・・ローラ、3A・・・ワイヤ送り部、30・・・送りギア、31・・・排出部、5A・・・カール形成部、6A・・・切断部、7A・・・結束部、70・・・ワイヤ係止体、8A・・・駆動部、80・・・モータ、90・・・送り規制部、91・・・突き当て部、92・・・開口、93・・・ワイヤ係止体露出部、93a・・・壁部、93b・・・孔部、94・・・排出部、94a・・・排出誘導部、95・・・カバー部、95a・・・開口部、W・・・ワイヤ
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4A
図4B
図4C
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B