(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022127508
(43)【公開日】2022-08-31
(54)【発明の名称】壁面収納ユニット及び壁面収納装置
(51)【国際特許分類】
A47B 85/08 20060101AFI20220824BHJP
A47B 55/00 20060101ALI20220824BHJP
【FI】
A47B85/08
A47B55/00
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021025700
(22)【出願日】2021-02-19
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】000204985
【氏名又は名称】大建工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 舞帆
(72)【発明者】
【氏名】坂本 みさき
(72)【発明者】
【氏名】谷口 雄祐
【テーマコード(参考)】
3B067
3B260
【Fターム(参考)】
3B067AA05
3B067AA07
3B067BA02
3B260AA02
3B260AB01
(57)【要約】
【課題】固定部と、固定部の前端部に連結されて垂直位置と水平位置とで回動する可動部とを有する棚板を備えた壁面収納ユニットにおいて、机として用いる棚板の耐荷重性を向上させる。
【解決手段】壁目収納ユニットUは、収納本体1と棚板11と正面扉26とを備えている。棚板11は、収納本体1内に固定された固定部15と、固定部15の前端部に左右方向に延びる水平軸回りに回動自在に取り付けられ、固定部15の前端部から上方に延びる垂直位置と前方に延びる水平位置との間で回動可能な可動部16とを有している。正面扉26は、閉位置において収納本体1の前側開口の少なくとも一部を覆う扉本体27と、該扉本体27の内面に設けられ、開位置において水平位置にある可動部16の側縁部を下方から支持する支持部28とを有している。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の側板を有し、前側に開口する収納本体と、
一部が上記収納本体の内部に配置された状態で上記収納本体に固定された棚板と、
上記収納本体の上記側板の前端部に垂直軸回りに回動自在に取り付けられ、上記収納本体の前側開口の少なくとも一部を覆う閉位置と、上記側板の前端部から前方に延びる開位置との間で回動可能な板状の正面扉とを備え、
上記棚板は、
上記収納本体内に固定された固定部と、
上記固定部の前端部に左右方向に延びる水平軸回りに回動自在に取り付けられ、上記固定部の前端部から上方に延びる垂直位置と、上記固定部の前端部から前方に延びる水平位置との間で回動可能な可動部とを有し、
上記正面扉は、
上記閉位置において上記収納本体の前側開口の少なくとも一部を覆う扉本体と、
上記扉本体の内面に設けられ、上記開位置において上記水平位置にある上記可動部の側縁部を下方から支持する支持部とを有している
壁面収納ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の壁面収納ユニットにおいて、
上記開位置にある上記正面扉の上記支持部が、上記水平位置にある上記可動部の側縁部を支持する際に、上記正面扉の回動を規制する規制部を備えている
壁面収納ユニット。
【請求項3】
請求項2に記載の壁面収納ユニットにおいて、
上記水平位置にある上記可動部の側縁部の下面には、上記開位置にある上記正面扉の上記支持部の少なくとも一部が嵌まる溝が形成され、
上記溝は、上記支持部の少なくとも一部が嵌まると、該一部が上記溝の周壁に当接することによって上記正面扉の回動が規制される形状に形成され、
上記溝の周壁が上記規制部を構成している
壁面収納ユニット。
【請求項4】
請求項3に記載の壁面収納ユニットにおいて、
上記支持部は、
上記扉本体の内面に固定される固定部材と、
上記固定部材の上面にねじ込まれたボルトとを有し、
上記ボルトの頭部が上記溝に嵌まることにより、上記可動部の側縁部が上記支持部によって支持されると共に、上記正面扉の回動が規制される
壁面収納ユニット。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1つに記載の壁面収納ユニットにおいて、
上記扉本体の下端部には、キャスターが取り付けられ、
上記正面扉は、上記キャスターを介して床面に接地している
壁面収納ユニット。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1つに記載の壁面収納ユニットにおいて、
上記正面扉は、上記左右の側板の前端部にそれぞれ垂直軸回りに回動自在に取り付けられ、
上記水平位置にある上記可動部は、左側縁部が上記左側の側板に取り付けられた上記開位置における上記正面扉の上記支持部に支持され、右側縁部が上記右側の側板に取り付けられた上記開位置における上記正面扉の上記支持部に支持される
壁面収納ユニット。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1つの壁面収納ユニットが組み込まれて施工された壁面収納装置であって、
上記壁面収納ユニットの側板は、上記壁面収納装置の間仕切り板を構成している
壁面収納装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁面収納ユニット及びその壁面収納ユニットが組み込まれた壁面収納装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、壁面に設けられる収納ユニットとして、特許文献1に示されるようにヒナ壇構造体と名付けられたものが知られている。このヒナ壇構造体は、壁体に支持され且つ上下に2段の棚を有する側部構造体と、その前側に設けられ、側部構造体の前側開口を開閉する正面扉とを備えている。2段の棚の前端部には、板状の可動部(内部扉)の基端部が垂直位置(起立位置)と水平位置との間で回動可能に取り付けられている。特許文献1では、可動部は、垂直位置では正面扉の内部で棚の前側を覆う覆いとして用いられ、水平位置では棚の前側に面一状に延びて机として用いられるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の壁面収納ユニットでは、可動部(内部扉)が基端部(水平位置では後端部、垂直位置では下端部)のみで棚に連結される片持ち構造が採用されている。そのため、水平位置で机として用いられる可動部の上に重量物を載置すると、可動部が撓んだり、ヒンジが外れたりする虞があり、耐荷重性に欠けるという問題があった。特に、可動部の奥行き(前後長さ)が大きくなればなる程、可動部が大きく撓み、問題が顕著になる。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、固定部と、固定部の前端部に連結されて垂直位置と水平位置とで回動する可動部とを有する棚板を備えた壁面収納ユニットにおいて、机として用いる棚板の耐荷重性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明では、固定部と、固定部の前端部に連結されて垂直位置と水平位置とで回動する可動部とを有する棚板を備えた壁面収納ユニットにおいて、水平位置にある可動部の側縁部が、開位置にある正面扉の支持部によって下方から支持されるように構成した。
【0007】
具体的には、第1の発明は、左右の側板を有し、前側に開口する収納本体と、一部が上記収納本体の内部に配置された状態で上記収納本体に固定された棚板と、上記収納本体の上記側板の前端部に垂直軸回りに回動自在に取り付けられ、上記収納本体の前側開口の少なくとも一部を覆う閉位置と、上記側板の前端部から前方に延びる開位置との間で回動可能な板状の正面扉とを備え、上記棚板は、上記収納本体内に固定された固定部と、上記固定部の前端部に左右方向に延びる水平軸回りに回動自在に取り付けられ、上記固定部の前端部から上方に延びる垂直位置と、上記固定部の前端部から前方に延びる水平位置との間で回動可能な可動部とを有し、上記正面扉は、上記閉位置において上記収納本体の前側開口の少なくとも一部を覆う扉本体と、上記扉本体の内面に設けられ、上記開位置において上記水平位置にある上記可動部の側縁部を下方から支持する支持部とを有しているものである。
【0008】
第1の発明では、棚板の可動部の基端部が、収納本体内に固定された固定部の前端部に左右方向に延びる水平軸回りに回動自在に取り付けられて該固定部に支持されるだけでなく、少なくとも左右片方の可動部の側縁部も開位置における正面扉の支持部によって支持される。つまり、第1の発明では、従来、基端部のみで支持される片持ち構造であった棚板の可動部が、基端部だけでなく側縁部も支持されることとなる。よって、可動部を水平位置で机として用いる際に可動部の上に重量物を載置しても、可動部が撓んだり、基端部を支持するヒンジ等の固定具が外れたりする虞がない。つまり、第1の発明によれば、固定部と、固定部の前端部に連結されて垂直位置と水平位置とで回動する可動部とを有する棚板を備えた壁面収納ユニットにおいて、机として用いる棚板の耐荷重性を向上させることができる。
【0009】
第2の発明は、第1の発明において、上記開位置にある上記正面扉の上記支持部が、上記水平位置にある上記可動部の側縁部を支持する際に、上記正面扉の回動を規制する規制部を備えているものである。
【0010】
第2の発明では、壁面収納ユニットが規制部を備えているので、可動部の側縁部が支持部によって支持されている際に、規制部によって正面扉の回動が規制され、支持部の移動も規制される。つまり、水平位置における可動部の側縁部が支持部によって安定的に支持される。
【0011】
第3の発明は、第2の発明において、上記水平位置にある上記可動部の側縁部の下面には、上記開位置にある上記正面扉の上記支持部の少なくとも一部が嵌まる溝が形成され、上記溝は、上記支持部の少なくとも一部が嵌まると、該一部が上記溝の周壁に当接することによって上記正面扉の回動が規制される形状に形成され、上記溝の周壁が上記規制部を構成しているものである。
【0012】
第3の発明では、可動部が水平位置にある際に、開位置にある正面扉の支持部の少なくとも一部が、可動部の側縁部の下面に形成された溝に嵌まり、溝の周壁に当接することにより、正面扉の回動が規制される。このように、第3の発明によれば、可動部の側縁部の下面に支持部の一部が嵌まる溝を形成するだけで、支持部が可動部の側縁部を支持している際に正面扉の回動を規制する規制部を容易に形成することができる。
【0013】
第4の発明は、第3の発明において、上記支持部は、上記扉本体の内面に固定される固定部材と、上記固定部材の上面にねじ込まれたボルトとを有し、上記ボルトの頭部が上記溝に嵌まることにより、上記可動部の側縁部が上記支持部によって支持されると共に、上記正面扉の回動が規制されるものである。
【0014】
第4の発明では、可動部が水平位置にある際に、開位置にある正面扉の扉本体の内面に固定された固定部材の上面にねじ込まれたボルトが、可動部の側縁部の下面に形成された溝に嵌まり、溝の周壁に当接することにより、正面扉の回動が規制される。このように、第4の発明によれば、扉本体の内面に上面にボルトがねじ込まれた固定部材を固定し、可動部の側縁部の下面にボルトの頭部が嵌まる溝を形成するだけで、水平位置にある可動部の側縁部を下方から支持する支持部と、該支持部が可動部の側縁部を支持している際に正面扉の回動を規制する規制部とを容易に形成することができる。
【0015】
第5の発明は、第1~第4のいずれか1つの発明において、上記扉本体の下端部には、キャスターが取り付けられ、上記正面扉は、上記キャスターを介して床面に接地しているものである。
【0016】
第5の発明では、正面扉は、下端部に取り付けられたキャスターを介して床面に接地している。そのため、正面扉は、側板の前端部に回動自在に取り付けられた基端部だけでなく、キャスターが取り付けられた部分でも支持されることとなる。このように、可動部の側縁部が正面扉の支持部によって支持される際に、正面扉が床面によって支持されるため、正面扉が側板に回動自在に取り付けられる基端部のみで支持される片持ち構造である場合に比べて、可動部の側縁部が支持部によって安定的に支持されることとなる。つまり、第5の発明によれば、固定部と、固定部の前端部に連結されて垂直位置と水平位置とで回動する可動部とを有する棚板を備えた壁面収納ユニットにおいて、机として用いる棚板の耐荷重性をより向上させることができる。
【0017】
第6の発明は、第1~第5のいずれか1つの発明において、上記正面扉は、上記左右の側板の前端部にそれぞれ垂直軸回りに回動自在に取り付けられ、上記水平位置にある上記可動部は、左側縁部が上記左側の側板に取り付けられた上記開位置における上記正面扉の上記支持部に支持され、右側縁部が上記右側の側板に取り付けられた上記開位置における上記正面扉の上記支持部に支持されるものである。
【0018】
第6の発明では、水平位置にある可動部は、左右の一方の側縁部だけでなく、両方の側縁部が左右の側板に取り付けられた2つの正面扉の支持部によって支持されることとなる。つまり、第6の発明によれば、固定部と、固定部の前端部に連結されて垂直位置と水平位置とで回動する可動部とを有する棚板を備えた壁面収納ユニットにおいて、机として用いる棚板の耐荷重性をより向上させることができる。
【0019】
第7の発明は、第1~第6のいずれか1つの発明に係る壁面収納ユニットが組み込まれて施工された壁面収納装置であって、上記壁面収納ユニットの側板は、上記壁面収納装置の間仕切り板を構成しているものである。
【0020】
第7の発明では、壁面に施工される壁面収納装置の一部に壁面収納ユニットが組み込まれるように施工され、そのときに壁面収納ユニットの側板は壁面収納装置の間仕切り板を構成している。このように構成することにより、壁面収納装置の一部に壁面収納ユニットを容易に組み込むことができる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明した如く、本発明によると、固定部と、固定部の前端部に連結されて垂直位置と水平位置とで回動する可動部とを有する棚板を備えた壁面収納ユニットにおいて、水平位置にある可動部の側縁部が、開位置にある正面扉の支持部によって下方から支持されるように構成したこととしたため、上記壁面収納ユニットにおいて机として用いる棚板の耐荷重性を向上させることすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態1に係る壁面収納ユニットが組み込まれて施工された壁面収納装置の斜視図である。
【
図2】
図2は、壁面収納ユニットの正面扉を開き且つ第1及び第2棚板の可動部を水平位置にした状態を示す
図1相当図である。
【
図3】
図3は、正面扉を開き且つ第1及び第2棚板の可動部を垂直位置にした状態を示す壁面収納ユニットの正面図である。
【
図4】
図4は、正面扉を開き且つ第1及び第2棚板の可動部を水平位置にした状態を示す壁面収納ユニットの正面図である。
【
図5】
図5は、正面扉を閉じ且つ第1及び第2棚板の可動部を垂直位置にした状態を示す壁面収納ユニットの断面図である。
【
図6】
図6は、正面扉を開き且つ第1及び第2棚板の可動部を水平位置にした状態を示す壁面収納ユニットの断面図である。
【
図7】
図7は、正面扉を開き且つ第1及び第2棚板の可動部を水平位置にした状態を示す壁面収納ユニットの平面図である。
【
図8】
図8は、第1及び第2棚板の可動部の固定部に対する連結支持構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の実施形態は、本質的に好ましい例示に過ぎず、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0024】
《発明の実施形態1》
図1及び
図2は本発明の実施形態に係る壁面収納装置Aを示し、この壁面収納装置Aは、建物の室内等の壁Wにおいて天井Cと床Fとの間の全体に亘って施工されている。なお、壁面収納装置Aは、壁Wの一部として施工されていてもよい。本発明及び本実施形態では、壁Wに向かって手前側を「前」、また奥側を「後」、さらに左側を「左」、また右側を「右」とそれぞれ定義して説明する。
【0025】
上記壁面収納装置Aは公知構造のものであり、図示しないが、壁W面上において垂直上下方向に延びる複数の間仕切り板と、水平左右方向に延びる上下複数段の棚板、天板及び底板とが交差して連結され、それらで仕切られた空間が収納空間とされている。
【0026】
上記壁面収納装置Aには、本発明の実施形態1に係る壁面収納ユニットUが部分的に組み込まれて施工されている。壁面収納ユニットUは、例えば、幅が740mm、高さが1975~2025mm、奥行きが150mmの縦長形状の薄型のユニットに形成され、その下端部が例えば床Fに接した状態で組み込まれている(
図3~
図6参照)。このことで、壁面収納ユニットUが組み込まれる壁面収納装置Aも薄型に形成されている。
【0027】
図1~
図7に示すように、壁面収納ユニットUは前側に開口する矩形箱状の収納本体1を備えている。詳しくは、この収納本体1は、後側(壁W側)に位置する例えば矩形状の背板2と、その背板2前面の左右両側部に互いに対向するように配置されて連結された上下方向に延びる左右の側板3,3と、両側板3,3の上端部間に連結された天板4と、両側板3,3の下端部間に連結された底板5とを有し、これらが矩形箱状に組み立てられている。そして、壁面収納ユニットUが上記壁面収納装置Aに組み込まれた構造では、収納本体1の左右の側板3,3は壁面収納装置Aの間仕切り板を構成し、天板4は壁面収納装置Aの棚板を、また底板5は壁面収納装置Aの底板をそれぞれ構成している。背板2は壁面収納装置Aの背板と共用されていてもよい。
【0028】
壁面収納ユニットUの収納本体1には、左右水平方向に延びる例えば上下6枚の棚板7,7,8,8,11,12が配置されている。収納本体1内で底板5近くの下端部寄りの位置に2枚の下段棚板7,7が、また天板4近くの上端部寄りの位置に2枚の上段棚板8,8がそれぞれ配置され、これらの棚板7,7,8,8は左右の側板3,3に固定されるか、或いはダボによる連結構造等により高さ位置を変更可能に支持されている。
【0029】
収納本体1には、その上下高さの中央よりもやや下側の位置に第1棚板11が、またこの第1棚板11よりも高い上側の位置に第2棚板12がそれぞれ配置されている。
図6に示すように、床F上面からの第1棚板11の上面の高さh1は例えばh1=720.5mmに、また第2棚板12の上面の同高さh2は例えばh2=1098.5mmにそれぞれ設定されている。
【0030】
第1及び第2棚板11,12は、各々の一部(後部)を収納本体1の内部に配置した状態で該収納本体1に固定されている。すなわち、これらの棚板11,12はいずれも折り曲げタイプのものであり、収納本体1内に配置されて固定された固定部15と、この固定部15の前端部に左右方向に延びる水平軸回りに回動可能に基端部(水平位置で後端部、垂直位置で下端部)で支持された可動部16とを有する。なお、固定部15及び可動部16については、棚板11,12で同じ符号を付して説明する。
【0031】
第1及び第2棚板11,12の可動部16,16は、上面が固定部15と面一に連続するように収納本体1の前側に突出する水平位置と、固定部15の前端部から上方に垂直に延びる垂直位置(起立位置)との間の90°の角度範囲で回動可能とされている。
【0032】
図8に示すように、第1及び第2棚板11,12の各可動部16は、固定部15に対し、固定部15の前端部上面と可動部16の基端部との間に取り付けた例えば左右複数の丁番18,18,…(
図8では右側のみ示す)により、左右方向に延びる水平軸回りに回動可能に連結されている。また、可動部16の左右縁部の基端(水平位置で後端、垂直位置で下端)寄りの位置と、左右側板3,3の内面で固定部15よりも高い位置(後述する取付プレート6)との間には、折れ曲がり可能なダウンステー19,19(
図8では右側のみ示す)が連結されている。ダウンステー19,19は、可動部16が垂直位置から水平位置に回動するのに伴ってV字状に折れ曲がった状態からI字状に展開し、その展開状態(I字の状態)が保持されることにより可動部16が水平位置に固定される。可動部16が水平位置にあるとき、可動部16と固定部15とは、各々の上面を面一にして1枚の板状に連続する。一方、可動部16が水平位置から垂直位置に回動すると、ダウンステー19,19は、折れ曲がり、元のV字状に戻る。
【0033】
ところで、
図7に示すように、第1及び第2棚板11,12の固定部15の左右幅L1(例えば709.5mm)は、収納本体1の側板3,3間に嵌まるように側板3,3の内面の間隔(例えば710mm)より僅かに小さい。また、第1及び第2棚板11,12の可動部16の左右幅L2(例えば670mm)は、第1及び第2棚板11,12の固定部15の左右幅L1よりもさらに小さい。そのため、ダウンステー19,19は、側板3の内面に固定された所定厚さの取付プレート6に取り付けられている。
【0034】
第1及び第2棚板11,12の固定部15の奥行きは、収納本体1の側板3,3の奥行きよりも少し小さい。固定部15の前端面は、側板3,3の前端面よりも後側に引っ込み、その前端面の前側にスペースが生じている(
図5,6参照)。
図7に示すように、水平位置において基端部以外の部分が収納本体1の外部に位置する第1及び第2棚板11,12の可動部16は、
図5に示すように、垂直位置では、収納本体1の左右の側板3,3間において、その後ろ向きになる面(水平位置にあるときの上面)が固定部15前端面に当接ないし近接し、固定部15前側の上記スペースに収まっている。
【0035】
なお、上記第1棚板11の固定部15の前端面には、硬質の樹脂やゴム等からなるストッパ部材を取り付けてもよい。このストッパ部材は、第1棚板11の可動部16が水平位置にあるときに、その後端面(木口面)に当接して固定部15の前端面(木口面)との間に挟み込まれることで、第1棚板11の可動部16が水平位置に回動したときに該可動部16を水平位置に保持するようになっている。なお、第2棚板12についても、同様の構造のストッパ部材を設けてもよい。
【0036】
図6に示すように、上記第1棚板11の可動部16の前後方向の奥行きd1は、例えばd1=350mmで、第2棚板12の可動部16の同奥行きd2(例えば190mm)よりも大きい。そして、
図5に示すように、第1棚板11の可動部16の前後方向の奥行きd1は、第1及び第2棚板11,12間の高さh3よりも小さい(d1>h3)。第2棚板12の可動部16の前後方向の奥行きd2は、第2棚板12とその上の上段棚板8との間の高さh4よりも小さい(d2>h4)。このような寸法関係により、これら棚板11,12の可動部16,16は、垂直位置では収納本体1内の前端部に配置され、
図3及び
図5にも示すように、正面扉26,26が開位置にあるときに、収納本体1の開口部を上下中間部で閉鎖する内扉となる。
【0037】
図2,6に示すように、上記第1及び第2棚板11,12の各可動部16が水平位置にあるときに、その可動部16と固定部15とで机板(机の甲板)となり、
図2に示すように、第1棚板11は、例えば使用者が床F上の椅子Chに座って作業をする着座位置用の机として使用され、一方、高い方の第2棚板12は、例えば物置用の棚又は使用者が立って作業をする立ち位置用の机として使用されるようにしている。
【0038】
ところで、本実施形態1では、第2棚板12の可動部16の奥行きd2(例えば190mm)が、左右幅L2(例えば670mm)の3分の1未満の長さであるところ、第1棚板11の可動部16の奥行きd1(例えば350mm)は、左右幅L2の3分の1以上の長さ(本実施形態1では、2分の1以上の長さ)を有し、第2棚板12の可動部16の奥行きd2に比べて長い。このように左右幅L2に対する奥行きd2が長い第1棚板11の可動部16は、基端部のみで固定部15に連結されて支持される片持ち構造では、パーソナルコンピュータPC等の重量物を載置すると、撓んだり、丁番18及びダウンステー19が外れたりする虞がある。そこで、本実施形態1では、第1棚板11の可動部16は、丁番18及びダウンステー19が取り付けられた基端部(後端部)だけでなく側縁部も、後述する正面扉26,26の支持部28,28によって支持されるように構成されている。
【0039】
具体的には、
図6,9,10に示すように、第1棚板11の可動部16の左右の側縁部の下面の先端部(水平位置で前端部)には、後述する左右の正面扉26,26の支持部28,28のボルト28b,28bの頭部が嵌まる溝14,14が形成されている。溝14,14は、第1棚板11の可動部16を垂直位置から水平位置に回動させたときに、断面円形状のボルト28b,28bの頭部が嵌まり込むように、ボルト28b,28bの頭部に対応する位置(中心が、可動部16の前端から66.2mm、側縁から17mm離れた位置)に形成され、ボルト28b,28bの頭部よりも僅かに大径(例えばΦ=27.8mm、深さ8mm)の断面円形状に形成されている。詳細については後述するが、溝14,14の周壁は、該溝14,14内にボルト28b,28bの頭部が嵌まり込むと、ボルト28b,28bの頭部が当接することによって正面扉26,26の回動を規制する規制部を構成する。溝14,14には、図示しない同形状(有底円筒形状)の受け部材が埋め込まれていてもよい。
【0040】
図4~
図6等に示すように、第1棚板11の固定部15上面の後端部には断面L字状のコンセント取付材23が左右の側板3,3間に亘り連結されて一体的に固定されている。このコンセント取付材23は、第1棚板11の固定部15上面から上下方向に延びる前側部23aと、その前側部23aの上端部後面から水平後方向に延び、後端部が背板2に固定された上側部23bとを有し、このコンセント取付材23により背板2の前側に空間が区画されている。コンセント取付材23の前側部23aの例えば右端部には、商用電源、USB端子、その他の接続端子を接続するためのコンセントユニット24が貫通して取り付けられている。このように第1棚板11の固定部15の上面にコンセント取付材23が取り付けられ、そのコンセント取付材23が左右の側板3,3に固定されている構造であると、第1棚板11の固定部15は、側板3,3に対しコンセント取付材23によっても強固に固定されることになる。その結果、第1棚板11を机とするために可動部16を回動(机の開閉動作)させたときに、その力を受けて固定部15が撓んだり、固定部15の前端部が跳ね上がったりすることを防ぐことができる。
【0041】
上記コンセントユニット24に接続される配線(図示せず)は、コンセント取付材23内の空間に収容され、壁面収納ユニットUの外部に引き出されている。具体的に、配線の引出し構造としては、例えば、第1棚板11の固定部15に引出し孔をコンセント取付材23内の空間と連通するように貫通形成して、さらに、側板3の固定部15より下側の位置に引き出し孔を形成して、この引出し孔から配線を引き出す構造、第1棚板11の固定部15、下段棚板7及び底板5における後端部の左右一方の隅角部をそれぞれ切り欠いて隙間を形成し、その隙間から配線を引き出す構造、背板2に引出し孔をコンセント取付材23内の空間と連通するように貫通形成して、この引出し孔から配線を背板2後側(裏側)の壁Wとの間に引き出す構造があり、これらの構造を必要に応じて選択し或いは組み合わせればよい。
【0042】
収納本体1の前面には、収納本体1の前側開口の一部(本実施形態1では、中段部及び下段部)を開閉する左右の正面扉26,26が配置されている。本実施形態1では、正面扉26,26は、上下2段の上段棚板8,8の下側の上段棚板8の少し上側から底板5に亘る長さに形成され、収納本体1の前側開口の中段部及び下段部を開閉する。これら正面扉26,26は、左右の端部(基端部)がそれぞれ側板3,3の前端部に垂直軸回りに回動自在に取り付けられ、収納本体1の前側開口の中段部及び下段部を覆う閉位置と、側板3,3の前端部から前方に延びる開位置との間で回動可能な所謂両開きタイプに構成されている。正面扉26,26は、扉本体27と支持部28とをそれぞれ有する。
【0043】
扉本体27,27は、矩形の板状体(パネル)によって構成され、基端部がそれぞれ側板3,3の前端部に垂直軸回りに回動自在に取り付けられている。具体的には、扉本体27,27は、左右の側板3,3の前端部内面と、扉本体27,27の基端部内面との間に取り付けた例えば上下複数の丁番(図示せず)により、垂直軸回りに回動可能に連結されている。このように、扉本体27,27は、収納本体1の前側開口の中段部及び下段部の左右半分ずつを覆う閉位置と、側板3,3の前端部から前方に延びる開位置とに回動可能に構成されている。
【0044】
支持部28は、扉本体27の内面(閉状態で後向きの面)に固定される桟部材(固定部材)28aと、該桟部材28aの上面にねじ込まれたボルト28bとを有する。
【0045】
桟部材28aは、厚さ30mm、長さ250mm、上下幅70mmの角材によって構成され、開位置にある扉本体27の内面において、上面が水平位置にある第1棚板11の可動部16の側縁部の下面と対応する位置(例えば前端が可動部16の前端から24.5mm後方に引っ込んだ位置)に取り付けられている。桟部材28aの上面には、ボルト28bがねじ込まれるネジ孔28cが形成されている。ネジ孔28cには、図示しない鬼目ナットが埋め込まれていてもよい。
【0046】
ボルト28bは、第1棚板11の可動部16の左右の側縁部の下面の先端部に形成された溝14に嵌まる大きさ(例えばΦ=25mm、高さ13mm)の略円柱形状の頭部を有する。ボルト28bは、桟部材28aの上面に形成されたネジ孔28cにねじ込まれている。ボルト28bの頭部の上面には、図示しない硬質の樹脂やゴム等からなるクッション部材が取り付けられている。
【0047】
このように構成された支持部28,28により、正面扉26,26を開位置に回動させ、第1棚板11の可動部16を水平位置に回動させると、支持部28,28のボルト28b,28bの頭部が可動部16の下面の溝14,14に嵌まり込むことにより、可動部16の左右の側縁部が支持部28,28によって支持される。
【0048】
また、正面扉26の扉本体27の下端部には、キャスター29が1つずつ取り付けられている。キャスター29は、正面扉26を閉位置から開位置に回動させる際に、車輪が床F上面に接地して床F上面上を走行するように取り付けられている。このようなキャスター29を取り付けることにより、正面扉26,26は、閉位置においても開位置においても常時床F上面に接地することとなる。
【0049】
-使用例-
以上の構成の実施形態1においては、壁面収納ユニットUの収納本体1に、下側から順に2枚の下段棚板7,7、第1棚板11、第2棚板12、2枚の上段棚板8,8の6枚が間隔をあけて設けられ、そのうち、第1及び第2棚板11,12は、収納本体1内に固定された固定部15と、その固定部15の前端部に回動可能に支持された可動部16とを有する折り曲げタイプである。これらの棚板11,12の可動部16を水平位置と垂直位置とに個別に切り換えることで、壁面収納ユニットUを種々の使用形態で使用し、その多機能の使い方を選択することができる。
【0050】
例えば、
図1及び
図5に示す使用状態では、第1及び第2棚板11,12の各可動部16がいずれも垂直位置にあり、正面扉26,26が閉じている。第1及び第2棚板11,12の各可動部16の左側の略半部には左側の正面扉26が前側から重なり、右側の略半部には右側の正面扉26が前側から重なっている。左右の正面扉26,26は、収納本体1の開口の中段部及び下段部を閉じ、第1及び第2棚板11,12の各可動部16は、左右の正面扉26,26の内側で収納本体1の開口の中段部の一部を覆う内扉となる。
【0051】
また、
図2、
図4、
図6及び
図7に示す使用状態では、左右の正面扉26,26が開けられて開位置にあり、第1及び第2棚板11,12の各可動部16は、垂直位置から下方に回動されて水平位置にある。また、第1棚板11の可動部16は、左右の側縁部の下面に形成された溝14,14内に嵌まり込んだ、正面扉26,26の支持部28,28のボルト28b,28bの頭部が溝14,14の溝底に当接することにより、正面扉26,26に支持されている。さらに、正面扉26,26は、支持部28,28のボルト28b,28bの頭部が溝14,14の周壁に当接することにより、回動が規制され、開位置に止め置かれる。その結果、第1棚板11の可動部16が、支持部28,28を介して正面扉26,26に安定的に支持される。これにより、下側の第1棚板11は、重量物の載置が可能で使用者が椅子Chに座って作業をする着座位置用の机として使用することができ、上側の第2棚板12は、物置用の棚又は使用者が立って作業をする立ち位置用の机として使用することができる。
【0052】
図示しないが、左右の正面扉26,26が開けられて開位置にあり、第1棚板11の可動部16のみが垂直位置から下方に回動されて水平位置にあり、第2棚板12の可動部16は垂直位置にある状態での使用も可能である。第2棚板12の可動部16が内扉となって収納本体1の開口の中段部の一部を閉じ、第1棚板11のみを机として使用することができる。
【0053】
また、逆に、左右の正面扉26,26が開けられて開位置にあり、第1棚板11の可動部16は垂直位置にあり、第2棚板12の可動部16のみが垂直位置から下方に回動されて水平位置にある状態での使用も可能である。第1棚板11の可動部16が内扉となって収納本体1の開口の中段部の一部を閉じ、第2棚板12のみを物置用の棚又は使用者が立って作業をする立ち位置用の机として使用することができる。
【0054】
-実施形態1の効果-
以上のように、本実施形態1によれば、第1棚板11の可動部16の基端部が、収納本体1内に固定された固定部15の前端部に左右方向に延びる水平軸回りに回動自在に取り付けられて該固定部15に支持されるだけでなく、可動部16の側縁部も開位置における正面扉26,26の支持部28,28によって支持される。つまり、本実施形態1では、従来、基端部のみで支持される片持ち構造であった第1棚板11の可動部16が、基端部だけでなく側縁部も支持されることとなる。よって、第1棚板11の可動部16を水平位置で机として用いる際に可動部16の上に重量物を載置しても、可動部16が撓んだり、基端部を支持するヒンジ等の固定具(丁番18及びダウンステー19)が外れたりする虞がない。つまり、本実施形態1によれば、固定部15と、固定部15の前端部に連結されて垂直位置と水平位置とで回動する可動部16とを有する棚板11,12を備えた壁面収納ユニットUにおいて、机として用いる第1棚板11の耐荷重性を向上させることができる。
【0055】
また、本実施形態1では、開位置にある正面扉26,26の支持部28,28が、水平位置にある第1棚板11の可動部16の側縁部を支持する際に、正面扉26,26の回動を規制する規制部(溝14の周壁)を備えている。そのため、本実施形態1では、第1棚板11の可動部16の側縁部が支持部28,28によって支持されている際に、規制部によって正面扉26,26の回動が規制され、支持部28,28の移動も規制される。つまり、水平位置における第1棚板11の可動部16の側縁部が支持部28,28によって安定的に支持される。
【0056】
本実施形態1では、水平位置にある第1棚板11の可動部16の側縁部の下面には、開位置にある正面扉26,26の支持部28,28のボルト28b,28bの頭部が嵌まる溝14,14が形成され、該溝14は、支持部28,28のボルト28b,28bの頭部が嵌まると、該ボルト28b,28bの頭部が周壁に当接することによって正面扉26,26の回動が規制される形状に形成されている。そのため、本実施形態1では、第1棚板11の可動部16が水平位置にある際に、開位置にある正面扉26,26の支持部28,28のボルト28b,28bの頭部が、可動部16の側縁部の下面に形成された溝14,14に嵌まり、溝14,14の周壁に当接することにより、正面扉26,26の回動が規制される。このように、本実施形態1によれば、第1棚板11の可動部16の側縁部の下面に支持部28,28のボルト28b,28bの頭部が嵌まる溝14,14を形成するだけで、支持部28,28が可動部16の側縁部を支持している際に正面扉26,26の回動を規制する規制部を容易に形成することができる。
【0057】
本実施形態1では、支持部28,28は、扉本体27,27の内面に固定される桟部材(固定部材)28a,28aと、該桟部材28a,28aの上面にねじ込まれたボルト28b,28bとを有し、ボルト28b,28bの頭部が溝14,14に嵌まることにより、第1棚板11の可動部の16側縁部が支持部28,28によって支持されると共に、正面扉26,26の回動が規制されるように構成されている。そのため、本実施形態1では、第1棚板11の可動部16が水平位置にある際に、開位置にある正面扉26,26の扉本体27,27の内面に固定された桟部材28a,28aの上面にねじ込まれたボルト28b,28bが、可動部16の側縁部の下面に形成された溝14,14に嵌まり、溝14,14の周壁に当接することにより、正面扉26,26の回動が規制される。このように、本実施形態1によれば、扉本体27,27の内面に上面にボルト28b,28bがねじ込まれた桟部材28a,28aを固定し、可動部16の側縁部の下面にボルト28b,28bの頭部が嵌まる溝14,14を形成するだけで、水平位置にある可動部16の側縁部を下方から支持する支持部28,28と、該支持部28,28が可動部16の側縁部を支持している際に正面扉26,26の回動を規制する規制部とを容易に形成することができる。
【0058】
また、本実施形態1では、扉本体27,27の下端部に、キャスター29,29が取り付けられ、正面扉26,26は、キャスター29,29を介して床F上面に接地するように構成されている。そのため、本実施形態1では、正面扉26,26は、側板3,3の前端部に回動自在に取り付けられた基端部だけでなく、キャスター29,29が取り付けられた部分でも支持されることとなる。このように、第1棚板11の可動部16の側縁部が正面扉26,26の支持部28,28によって支持される際に、正面扉26,26が床F上面によって支持されるため、正面扉26,26が側板3,3に回動自在に取り付けられる基端部のみで支持される片持ち構造である場合に比べて、可動部16の側縁部が支持部28,28によって安定的に支持されることとなる。つまり、本実施形態1によれば、固定部15と、固定部15の前端部に連結されて垂直位置と水平位置とで回動する可動部16とを有する棚板11,12を備えた壁面収納ユニットUにおいて、机として用いる第1棚板11の耐荷重性をより向上させることができる。
【0059】
また、本実施形態1では、正面扉26,26を、左右の側板3,3のそれぞれに垂直軸回りに回動自在に取り付け、水平位置にある第1棚板11の可動部16の左側縁部が左側の側板3に取り付けられた開位置における正面扉26の支持部28に支持され、水平位置にある第1棚板11の可動部16の右側縁部が右側の側板3に取り付けられた開位置における正面扉26の支持部28に支持されるように構成している。そのため、本実施形態1では、水平位置にある第1棚板11の可動部16は、左右の一方の側縁部だけでなく、両方の側縁部が左右の側板3,3に取り付けられた2つの正面扉26,26の支持部28,28によって支持されることとなる。つまり、本実施形態1によれば、固定部15と、固定部15の前端部に連結されて垂直位置と水平位置とで回動する可動部16とを有する棚板11,12を備えた壁面収納ユニットUにおいて、机として用いる第1棚板11の耐荷重性をより向上させることができる。
【0060】
また、本実施形態1では、上記壁面収納ユニットUの側板3,3が壁面収納装置Aの間仕切り板を構成するように、壁面収納ユニットUが壁面収納装置Aに組み込まれて施工されている。本実施形態1によれば、このように構成することにより、壁面収納装置Aの一部に壁面収納ユニットUを容易に組み込むことができる。
【0061】
《その他の実施形態》
上記実施形態1では、本発明に係る正面扉が、左右の側板3,3のそれぞれに回動自在に取り付けられる所謂両開きタイプに構成されていたが、本発明に係る正面扉は両開きタイプに限られない。本発明に係る正面扉は、左右の側板3,3の一方に回動自在に取り付けられ、閉位置において収納本体1の前側開口の上下方向の少なくとも一部分を左端から右端に亘って覆う所謂片開きタイプに構成されていてもよい。このような片開きタイプの正面扉26を備える場合、第1棚板11の可動部16の左右の側縁部の一方が、正面扉26の支持部28に支持されることとなる。このような形態であっても、実施形態1と同様に、第1棚板11の可動部16が基端部だけでなく側縁部でも支持されることとなるため、机として用いられる第1棚板11の耐荷重性を向上させることができる。
【0062】
また、上記実施形態1では、正面扉26を構成する扉本体27と支持部28とは別体に構成され、扉本体27の内面に支持部28が取り付けられていたが、扉本体27と支持部28とは一体に成形されていてもよい。
【0063】
上記実施形態1では、第1棚板11の可動部16の側縁部を支持する支持部28は、桟部材28aとボルト28bとで構成されていたが、支持部28の構成はこれに限られず、水平位置にある第1棚板11の可動部16の側縁部を支持できるものであればいかなるものであってもよい。
【0064】
例えば、支持部28は、桟部材28aのみで構成され、第1棚板11の可動部16の側縁部が桟部材28a上に載置されることにより、可動部16を支持するものであってもよい。その場合、桟部材28aの上面のボルト28bが設けられる位置に溝を形成し、第1棚板11の可動部16の下面の溝14の形成位置に上記溝に嵌まる突起を設け、突起が溝の周壁に当接することにより、正面扉26の回動が規制されるように形成してもよい。
【0065】
また、上記実施形態1では、支持部28が水平位置にある第1棚板11の可動部16の側縁部を支持する際に、正面扉26の回動を規制する規制部が、支持部28のボルト28bの頭部が嵌まる溝14の周壁で構成されていた。しかしながら、本発明に係る規制部は、溝14の周壁に限られず、支持部28が水平位置にある第1棚板11の可動部16の側縁部を支持する際に、正面扉26の回動を規制できるものであればいかなるものであってもよい。
【0066】
例えば、規制部は、第1棚板11の可動部16と正面扉26とに設けられ、第1棚板11の可動部16が水平位置にあるときに互いに引き合うことによって正面扉26の開位置からの回動を規制する磁石であってもよい。また、規制部は、キャスター29のストッパ機構で構成され、正面扉26が開位置において第1棚板11の可動部16の側縁部を支持する際に、ストッパ機構を作動させて正面扉26の回動を規制することとしてもよい。また、ストッパ機構を有するキャスター29を用いると共に、左右の側板3,3の前端部内面と扉本体27,27の基端部内面との間に取り付けられて扉本体27,27を側板3,3の前端部に連結する丁番として、開閉角度を規制できる(例えば、180°までしか開かない)丁番を用いることとしてもよい。この場合、キャスター29のストッパ機構と丁番とが規制部となる。また、上下動する支持脚を正面扉26の扉本体27の下端部に取り付け、正面扉26が開位置にあるときに、支持脚を床F上面と正面扉26との間で突っ張らせて正面扉26の回動を規制する規制部として用いることとしてもよい。
【0067】
また、上記実施形態1では、支持部28を介して第1棚板11の可動部16の荷重がかかる正面扉26を、キャスター29を介して床F上面に接地させることとしていた。しかしながら、キャスター29の代わりに、上下動する支持脚を正面扉26の扉本体27の下端部に取り付け、正面扉26が開位置において第1棚板11の可動部16の側縁部を支持する際に、支持脚を床F上面に接地させることとしてもよい。
【0068】
また、上記実施形態1では、固定部15と可動部16とを有する複数の棚板11,12のうち、可動部16の奥行きd1が左右幅L2の3分の1以上の長さの第1棚板11の可動部16のみが、水平位置において支持部28によって支持されるように構成していた。しかしながら、本発明に係る壁面収納ユニットは、上述の構成に限られず、第1棚板11の可動部16だけでなく第2棚板12の可動部16も水平位置において支持部28によって支持されるものであってもよい。
【0069】
また、上記実施形態1では、第1棚板11の可動部16は、前後方向の奥行きd1が第1及び第2棚板11,12間の高さh3よりも小さくなるように形成されていた(d1>h3)。しかしながら、第1棚板11の可動部16は、前後方向の奥行きd1が第1及び第2棚板11,12間の高さh3以上となるように形成されていてもよい。このような場合、第1及び第2棚板11,12の可動部16が垂直位置でも収納本体1内に納まるように(第1及び第2棚板11,12の可動部16が垂直位置でも当接しないように)、第2棚板12の固定部15の奥行きを第1棚板11の固定部15の奥行きよりも短くする。第1及び第2棚板11,12の固定部15の奥行きの差は、第1棚板11の可動部16の厚さより少し大きい長さとする。このように設計すれば、第1及び第2棚板11,12の可動部16は、垂直位置にあっても当接せず収納本体1内に納まることとなる。
【0070】
また、上記実施形態1では、収納本体1において固定部15と可動部16とを有する棚板11,12を2枚設けているが、収納本体1に設ける固定部15と可動部16とを有する棚板の枚数は、2枚に限られない。収納本体1に第1棚板11のみを設けてもよく、収納本体1に、固定部15と可動部16とを有する棚板を3枚以上設けることとしてもよい。
【0071】
さらに、上記実施形態1では、壁面収納ユニットUには、2枚の側板3,3と6枚の棚板7,7,8,8,11,12と正面扉26とが設けられているが、本発明に係る壁面収納ユニットは、2枚の側板3,3と第1棚板11と正面扉26とが設けられるものであればよい。
【0072】
さらに、上記実施形態1では、壁面収納装置Aの下部に壁面収納ユニットUが部分的に組み込まれて施工されているが、壁面収納ユニットUは単独で壁Wに施工されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0073】
以上説明したように、本発明は、壁面収納ユニット及びその壁面収納ユニットが組み込まれた壁面収納装置について有用である。
【符号の説明】
【0074】
1 収納本体
3 側板
11 第1棚板(棚板)
14 溝
15 固定部
16 可動部
26 正面扉
27 扉本体
28 支持部
29 キャスター
U 壁面収納ユニット
A 壁面収納装置
W 壁
F 床
【手続補正書】
【提出日】2022-02-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁面収納ユニット及びその壁面収納ユニットが組み込まれた壁面収納装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、壁面に設けられる収納ユニットとして、特許文献1に示されるようにヒナ壇構造体と名付けられたものが知られている。このヒナ壇構造体は、壁体に支持され且つ上下に2段の棚を有する側部構造体と、その前側に設けられ、側部構造体の前側開口を開閉する正面扉とを備えている。2段の棚の前端部には、板状の可動部(内部扉)の基端部が垂直位置(起立位置)と水平位置との間で回動可能に取り付けられている。特許文献1では、可動部は、垂直位置では正面扉の内部で棚の前側を覆う覆いとして用いられ、水平位置では棚の前側に面一状に延びて机として用いられるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の壁面収納ユニットでは、可動部(内部扉)が基端部(水平位置では後端部、垂直位置では下端部)のみで棚に連結される片持ち構造が採用されている。そのため、水平位置で机として用いられる可動部の上に重量物を載置すると、可動部が撓んだり、ヒンジが外れたりする虞があり、耐荷重性に欠けるという問題があった。特に、可動部の奥行き(前後長さ)が大きくなればなる程、可動部が大きく撓み、問題が顕著になる。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、固定部と、固定部の前端部に連結されて垂直位置と水平位置とで回動する可動部とを有する棚板を備えた壁面収納ユニットにおいて、机として用いる棚板の耐荷重性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明では、固定部と、固定部の前端部に連結されて垂直位置と水平位置とで回動する可動部とを有する棚板を備えた壁面収納ユニットにおいて、水平位置にある可動部の側縁部が、開位置にある正面扉の支持部によって下方から支持されるように構成した。
【0007】
具体的には、第1の発明は、左右の側板を有し、前側に開口する収納本体と、一部が上記収納本体の内部に配置された状態で上記収納本体に固定された棚板と、上記収納本体の上記側板の前端部に垂直軸回りに回動自在に取り付けられ、上記収納本体の前側開口の少なくとも一部を覆う閉位置と、上記側板の前端部から前方に延びる開位置との間で回動可能な板状の正面扉とを備え、上記棚板は、上記収納本体内に固定された固定部と、上記固定部の前端部に左右方向に延びる水平軸回りに回動自在に取り付けられ、上記固定部の前端部から上方に延びる垂直位置と、上記固定部の前端部から前方に延びる水平位置との間で回動可能な可動部とを有し、上記正面扉は、上記閉位置において上記収納本体の前側開口の少なくとも一部を覆う扉本体と、上記扉本体の内面に設けられ、上記開位置において上記水平位置にある上記可動部の側縁部を下方から支持する支持部とを有しているものである。
【0008】
第1の発明では、棚板の可動部の基端部が、収納本体内に固定された固定部の前端部に左右方向に延びる水平軸回りに回動自在に取り付けられて該固定部に支持されるだけでなく、少なくとも左右片方の可動部の側縁部も開位置における正面扉の支持部によって支持される。つまり、第1の発明では、従来、基端部のみで支持される片持ち構造であった棚板の可動部が、基端部だけでなく側縁部も支持されることとなる。よって、可動部を水平位置で机として用いる際に可動部の上に重量物を載置しても、可動部が撓んだり、基端部を支持するヒンジ等の固定具が外れたりする虞がない。つまり、第1の発明によれば、固定部と、固定部の前端部に連結されて垂直位置と水平位置とで回動する可動部とを有する棚板を備えた壁面収納ユニットにおいて、机として用いる棚板の耐荷重性を向上させることができる。
【0009】
また、第1の発明は、上記開位置にある上記正面扉の上記支持部が、上記水平位置にある上記可動部の側縁部を支持する際に、上記正面扉の回動を規制する規制部を備えているものである。
【0010】
第1の発明では、壁面収納ユニットが規制部を備えているので、可動部の側縁部が支持部によって支持されている際に、規制部によって正面扉の回動が規制され、支持部の移動も規制される。つまり、水平位置における可動部の側縁部が支持部によって安定的に支持される。
【0011】
また、第1の発明は、上記水平位置にある上記可動部の側縁部の下面には、上記開位置にある上記正面扉の上記支持部の少なくとも一部が嵌まる溝が形成され、上記溝は、上記支持部の少なくとも一部が嵌まると、該一部が上記溝の周壁に当接することによって上記正面扉の回動が規制される形状に形成され、上記溝の周壁が上記規制部を構成し、上記支持部は、上記溝に嵌まる部分の高さ調節が可能に構成されているものである。
【0012】
第1の発明では、可動部が水平位置にある際に、開位置にある正面扉の支持部の少なくとも一部が、可動部の側縁部の下面に形成された溝に嵌まり、溝の周壁に当接することにより、正面扉の回動が規制される。このように、第1の発明によれば、可動部の側縁部の下面に支持部の一部が嵌まる溝を形成するだけで、支持部が可動部の側縁部を支持している際に正面扉の回動を規制する規制部を容易に形成することができる。
【0013】
第2の発明は、第1の発明において、上記支持部は、上記扉本体の内面に固定される固定部材と、上記固定部材の上面にねじ込まれたボルトとを有し、上記固定部材の上面には、上記ボルトがねじ込まれるネジ孔が形成され、上記ボルトの頭部が上記溝に嵌まることにより、上記可動部の側縁部が上記支持部によって支持されると共に、上記正面扉の回動が規制されるものである。
【0014】
第2の発明では、可動部が水平位置にある際に、開位置にある正面扉の扉本体の内面に固定された固定部材の上面にねじ込まれたボルトが、可動部の側縁部の下面に形成された溝に嵌まり、溝の周壁に当接することにより、正面扉の回動が規制される。このように、第2の発明によれば、扉本体の内面に上面にボルトがねじ込まれた固定部材を固定し、可動部の側縁部の下面にボルトの頭部が嵌まる溝を形成するだけで、水平位置にある可動部の側縁部を下方から支持する支持部と、該支持部が可動部の側縁部を支持している際に正面扉の回動を規制する規制部とを容易に形成することができる。
【0015】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、上記扉本体の下端部には、キャスターが取り付けられ、上記正面扉は、上記キャスターを介して床面に接地しているものである。
【0016】
第3の発明では、正面扉は、下端部に取り付けられたキャスターを介して床面に接地している。そのため、正面扉は、側板の前端部に回動自在に取り付けられた基端部だけでなく、キャスターが取り付けられた部分でも支持されることとなる。このように、可動部の側縁部が正面扉の支持部によって支持される際に、正面扉が床面によって支持されるため、正面扉が側板に回動自在に取り付けられる基端部のみで支持される片持ち構造である場合に比べて、可動部の側縁部が支持部によって安定的に支持されることとなる。つまり、第3の発明によれば、固定部と、固定部の前端部に連結されて垂直位置と水平位置とで回動する可動部とを有する棚板を備えた壁面収納ユニットにおいて、机として用いる棚板の耐荷重性をより向上させることができる。
【0017】
第4の発明は、第1~第3のいずれか1つの発明において、上記正面扉は、上記左右の側板の前端部にそれぞれ垂直軸回りに回動自在に取り付けられ、上記水平位置にある上記可動部は、左側縁部が上記左右の側板のうちの左側の側板に取り付けられた上記開位置における上記正面扉の上記支持部に支持され、右側縁部が上記左右の側板のうちの右側の側板に取り付けられた上記開位置における上記正面扉の上記支持部に支持されるものである。
【0018】
第4の発明では、水平位置にある可動部は、左右の一方の側縁部だけでなく、両方の側縁部が左右の側板に取り付けられた2つの正面扉の支持部によって支持されることとなる。つまり、第4の発明によれば、固定部と、固定部の前端部に連結されて垂直位置と水平位置とで回動する可動部とを有する棚板を備えた壁面収納ユニットにおいて、机として用いる棚板の耐荷重性をより向上させることができる。
【0019】
第5の発明は、第1~第4のいずれか1つの発明に係る壁面収納ユニットが組み込まれて施工された壁面収納装置であって、上記壁面収納ユニットの側板は、上記壁面収納装置の間仕切り板を構成しているものである。
【0020】
第5の発明では、壁面に施工される壁面収納装置の一部に壁面収納ユニットが組み込まれるように施工され、そのときに壁面収納ユニットの側板は壁面収納装置の間仕切り板を構成している。このように構成することにより、壁面収納装置の一部に壁面収納ユニットを容易に組み込むことができる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明した如く、本発明によると、固定部と、固定部の前端部に連結されて垂直位置と水平位置とで回動する可動部とを有する棚板を備えた壁面収納ユニットにおいて、水平位置にある可動部の側縁部が、開位置にある正面扉の支持部によって下方から支持されるように構成したこととしたため、上記壁面収納ユニットにおいて机として用いる棚板の耐荷重性を向上させることすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態1に係る壁面収納ユニットが組み込まれて施工された壁面収納装置の斜視図である。
【
図2】
図2は、壁面収納ユニットの正面扉を開き且つ第1及び第2棚板の可動部を水平位置にした状態を示す
図1相当図である。
【
図3】
図3は、正面扉を開き且つ第1及び第2棚板の可動部を垂直位置にした状態を示す壁面収納ユニットの正面図である。
【
図4】
図4は、正面扉を開き且つ第1及び第2棚板の可動部を水平位置にした状態を示す壁面収納ユニットの正面図である。
【
図5】
図5は、正面扉を閉じ且つ第1及び第2棚板の可動部を垂直位置にした状態を示す壁面収納ユニットの断面図である。
【
図6】
図6は、正面扉を開き且つ第1及び第2棚板の可動部を水平位置にした状態を示す壁面収納ユニットの断面図である。
【
図7】
図7は、正面扉を開き且つ第1及び第2棚板の可動部を水平位置にした状態を示す壁面収納ユニットの平面図である。
【
図8】
図8は、第1及び第2棚板の可動部の固定部に対する連結支持構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の実施形態は、本質的に好ましい例示に過ぎず、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0024】
《発明の実施形態1》
図1及び
図2は本発明の実施形態に係る壁面収納装置Aを示し、この壁面収納装置Aは、建物の室内等の壁Wにおいて天井Cと床Fとの間の全体に亘って施工されている。なお、壁面収納装置Aは、壁Wの一部として施工されていてもよい。本発明及び本実施形態では、壁Wに向かって手前側を「前」、また奥側を「後」、さらに左側を「左」、また右側を「右」とそれぞれ定義して説明する。
【0025】
上記壁面収納装置Aは公知構造のものであり、図示しないが、壁W面上において垂直上下方向に延びる複数の間仕切り板と、水平左右方向に延びる上下複数段の棚板、天板及び底板とが交差して連結され、それらで仕切られた空間が収納空間とされている。
【0026】
上記壁面収納装置Aには、本発明の実施形態1に係る壁面収納ユニットUが部分的に組み込まれて施工されている。壁面収納ユニットUは、例えば、幅が740mm、高さが1975~2025mm、奥行きが150mmの縦長形状の薄型のユニットに形成され、その下端部が例えば床Fに接した状態で組み込まれている(
図3~
図6参照)。このことで、壁面収納ユニットUが組み込まれる壁面収納装置Aも薄型に形成されている。
【0027】
図1~
図7に示すように、壁面収納ユニットUは前側に開口する矩形箱状の収納本体1を備えている。詳しくは、この収納本体1は、後側(壁W側)に位置する例えば矩形状の背板2と、その背板2前面の左右両側部に互いに対向するように配置されて連結された上下方向に延びる左右の側板3,3と、両側板3,3の上端部間に連結された天板4と、両側板3,3の下端部間に連結された底板5とを有し、これらが矩形箱状に組み立てられている。そして、壁面収納ユニットUが上記壁面収納装置Aに組み込まれた構造では、収納本体1の左右の側板3,3は壁面収納装置Aの間仕切り板を構成し、天板4は壁面収納装置Aの棚板を、また底板5は壁面収納装置Aの底板をそれぞれ構成している。背板2は壁面収納装置Aの背板と共用されていてもよい。
【0028】
壁面収納ユニットUの収納本体1には、左右水平方向に延びる例えば上下6枚の棚板7,7,8,8,11,12が配置されている。収納本体1内で底板5近くの下端部寄りの位置に2枚の下段棚板7,7が、また天板4近くの上端部寄りの位置に2枚の上段棚板8,8がそれぞれ配置され、これらの棚板7,7,8,8は左右の側板3,3に固定されるか、或いはダボによる連結構造等により高さ位置を変更可能に支持されている。
【0029】
収納本体1には、その上下高さの中央よりもやや下側の位置に第1棚板11が、またこの第1棚板11よりも高い上側の位置に第2棚板12がそれぞれ配置されている。
図6に示すように、床F上面からの第1棚板11の上面の高さh1は例えばh1=720.5mmに、また第2棚板12の上面の同高さh2は例えばh2=1098.5mmにそれぞれ設定されている。
【0030】
第1及び第2棚板11,12は、各々の一部(後部)を収納本体1の内部に配置した状態で該収納本体1に固定されている。すなわち、これらの棚板11,12はいずれも折り曲げタイプのものであり、収納本体1内に配置されて固定された固定部15と、この固定部15の前端部に左右方向に延びる水平軸回りに回動可能に基端部(水平位置で後端部、垂直位置で下端部)で支持された可動部16とを有する。なお、固定部15及び可動部16については、棚板11,12で同じ符号を付して説明する。
【0031】
第1及び第2棚板11,12の可動部16,16は、上面が固定部15と面一に連続するように収納本体1の前側に突出する水平位置と、固定部15の前端部から上方に垂直に延びる垂直位置(起立位置)との間の90°の角度範囲で回動可能とされている。
【0032】
図8に示すように、第1及び第2棚板11,12の各可動部16は、固定部15に対し、固定部15の前端部上面と可動部16の基端部との間に取り付けた例えば左右複数の丁番18,18,…(
図8では右側のみ示す)により、左右方向に延びる水平軸回りに回動可能に連結されている。また、可動部16の左右縁部の基端(水平位置で後端、垂直位置で下端)寄りの位置と、左右側板3,3の内面で固定部15よりも高い位置(後述する取付プレート6)との間には、折れ曲がり可能なダウンステー19,19(
図8では右側のみ示す)が連結されている。ダウンステー19,19は、可動部16が垂直位置から水平位置に回動するのに伴ってV字状に折れ曲がった状態からI字状に展開し、その展開状態(I字の状態)が保持されることにより可動部16が水平位置に固定される。可動部16が水平位置にあるとき、可動部16と固定部15とは、各々の上面を面一にして1枚の板状に連続する。一方、可動部16が水平位置から垂直位置に回動すると、ダウンステー19,19は、折れ曲がり、元のV字状に戻る。
【0033】
ところで、
図7に示すように、第1及び第2棚板11,12の固定部15の左右幅L1(例えば709.5mm)は、収納本体1の側板3,3間に嵌まるように側板3,3の内面の間隔(例えば710mm)より僅かに小さい。また、第1及び第2棚板11,12の可動部16の左右幅L2(例えば670mm)は、第1及び第2棚板11,12の固定部15の左右幅L1よりもさらに小さい。そのため、ダウンステー19,19は、側板3の内面に固定された所定厚さの取付プレート6に取り付けられている。
【0034】
第1及び第2棚板11,12の固定部15の奥行きは、収納本体1の側板3,3の奥行きよりも少し小さい。固定部15の前端面は、側板3,3の前端面よりも後側に引っ込み、その前端面の前側にスペースが生じている(
図5,6参照)。
図7に示すように、水平位置において基端部以外の部分が収納本体1の外部に位置する第1及び第2棚板11,12の可動部16は、
図5に示すように、垂直位置では、収納本体1の左右の側板3,3間において、その後ろ向きになる面(水平位置にあるときの上面)が固定部15前端面に当接ないし近接し、固定部15前側の上記スペースに収まっている。
【0035】
なお、上記第1棚板11の固定部15の前端面には、硬質の樹脂やゴム等からなるストッパ部材を取り付けてもよい。このストッパ部材は、第1棚板11の可動部16が水平位置にあるときに、その後端面(木口面)に当接して固定部15の前端面(木口面)との間に挟み込まれることで、第1棚板11の可動部16が水平位置に回動したときに該可動部16を水平位置に保持するようになっている。なお、第2棚板12についても、同様の構造のストッパ部材を設けてもよい。
【0036】
図6に示すように、上記第1棚板11の可動部16の前後方向の奥行きd1は、例えばd1=350mmで、第2棚板12の可動部16の同奥行きd2(例えば190mm)よりも大きい。そして、
図5に示すように、第1棚板11の可動部16の前後方向の奥行きd1は、第1及び第2棚板11,12間の高さh3よりも小さい(d1>h3)。第2棚板12の可動部16の前後方向の奥行きd2は、第2棚板12とその上の上段棚板8との間の高さh4よりも小さい(d2>h4)。このような寸法関係により、これら棚板11,12の可動部16,16は、垂直位置では収納本体1内の前端部に配置され、
図3及び
図5にも示すように、正面扉26,26が開位置にあるときに、収納本体1の開口部を上下中間部で閉鎖する内扉となる。
【0037】
図2,6に示すように、上記第1及び第2棚板11,12の各可動部16が水平位置にあるときに、その可動部16と固定部15とで机板(机の甲板)となり、
図2に示すように、第1棚板11は、例えば使用者が床F上の椅子Chに座って作業をする着座位置用の机として使用され、一方、高い方の第2棚板12は、例えば物置用の棚又は使用者が立って作業をする立ち位置用の机として使用されるようにしている。
【0038】
ところで、本実施形態1では、第2棚板12の可動部16の奥行きd2(例えば190mm)が、左右幅L2(例えば670mm)の3分の1未満の長さであるところ、第1棚板11の可動部16の奥行きd1(例えば350mm)は、左右幅L2の3分の1以上の長さ(本実施形態1では、2分の1以上の長さ)を有し、第2棚板12の可動部16の奥行きd2に比べて長い。このように左右幅L2に対する奥行きd2が長い第1棚板11の可動部16は、基端部のみで固定部15に連結されて支持される片持ち構造では、パーソナルコンピュータPC等の重量物を載置すると、撓んだり、丁番18及びダウンステー19が外れたりする虞がある。そこで、本実施形態1では、第1棚板11の可動部16は、丁番18及びダウンステー19が取り付けられた基端部(後端部)だけでなく側縁部も、後述する正面扉26,26の支持部28,28によって支持されるように構成されている。
【0039】
具体的には、
図6,9,10に示すように、第1棚板11の可動部16の左右の側縁部の下面の先端部(水平位置で前端部)には、後述する左右の正面扉26,26の支持部28,28のボルト28b,28bの頭部が嵌まる溝14,14が形成されている。溝14,14は、第1棚板11の可動部16を垂直位置から水平位置に回動させたときに、断面円形状のボルト28b,28bの頭部が嵌まり込むように、ボルト28b,28bの頭部に対応する位置(中心が、可動部16の前端から66.2mm、側縁から17mm離れた位置)に形成され、ボルト28b,28bの頭部よりも僅かに大径(例えばΦ=27.8mm、深さ8mm)の断面円形状に形成されている。詳細については後述するが、溝14,14の周壁は、該溝14,14内にボルト28b,28bの頭部が嵌まり込むと、ボルト28b,28bの頭部が当接することによって正面扉26,26の回動を規制する規制部を構成する。溝14,14には、図示しない同形状(有底円筒形状)の受け部材が埋め込まれていてもよい。
【0040】
図4~
図6等に示すように、第1棚板11の固定部15上面の後端部には断面L字状のコンセント取付材23が左右の側板3,3間に亘り連結されて一体的に固定されている。このコンセント取付材23は、第1棚板11の固定部15上面から上下方向に延びる前側部23aと、その前側部23aの上端部後面から水平後方向に延び、後端部が背板2に固定された上側部23bとを有し、このコンセント取付材23により背板2の前側に空間が区画されている。コンセント取付材23の前側部23aの例えば右端部には、商用電源、USB端子、その他の接続端子を接続するためのコンセントユニット24が貫通して取り付けられている。このように第1棚板11の固定部15の上面にコンセント取付材23が取り付けられ、そのコンセント取付材23が左右の側板3,3に固定されている構造であると、第1棚板11の固定部15は、側板3,3に対しコンセント取付材23によっても強固に固定されることになる。その結果、第1棚板11を机とするために可動部16を回動(机の開閉動作)させたときに、その力を受けて固定部15が撓んだり、固定部15の前端部が跳ね上がったりすることを防ぐことができる。
【0041】
上記コンセントユニット24に接続される配線(図示せず)は、コンセント取付材23内の空間に収容され、壁面収納ユニットUの外部に引き出されている。具体的に、配線の引出し構造としては、例えば、第1棚板11の固定部15に引出し孔をコンセント取付材23内の空間と連通するように貫通形成して、さらに、側板3の固定部15より下側の位置に引き出し孔を形成して、この引出し孔から配線を引き出す構造、第1棚板11の固定部15、下段棚板7及び底板5における後端部の左右一方の隅角部をそれぞれ切り欠いて隙間を形成し、その隙間から配線を引き出す構造、背板2に引出し孔をコンセント取付材23内の空間と連通するように貫通形成して、この引出し孔から配線を背板2後側(裏側)の壁Wとの間に引き出す構造があり、これらの構造を必要に応じて選択し或いは組み合わせればよい。
【0042】
収納本体1の前面には、収納本体1の前側開口の一部(本実施形態1では、中段部及び下段部)を開閉する左右の正面扉26,26が配置されている。本実施形態1では、正面扉26,26は、上下2段の上段棚板8,8の下側の上段棚板8の少し上側から底板5に亘る長さに形成され、収納本体1の前側開口の中段部及び下段部を開閉する。これら正面扉26,26は、左右の端部(基端部)がそれぞれ側板3,3の前端部に垂直軸回りに回動自在に取り付けられ、収納本体1の前側開口の中段部及び下段部を覆う閉位置と、側板3,3の前端部から前方に延びる開位置との間で回動可能な所謂両開きタイプに構成されている。正面扉26,26は、扉本体27と支持部28とをそれぞれ有する。
【0043】
扉本体27,27は、矩形の板状体(パネル)によって構成され、基端部がそれぞれ側板3,3の前端部に垂直軸回りに回動自在に取り付けられている。具体的には、扉本体27,27は、左右の側板3,3の前端部内面と、扉本体27,27の基端部内面との間に取り付けた例えば上下複数の丁番(図示せず)により、垂直軸回りに回動可能に連結されている。このように、扉本体27,27は、収納本体1の前側開口の中段部及び下段部の左右半分ずつを覆う閉位置と、側板3,3の前端部から前方に延びる開位置とに回動可能に構成されている。
【0044】
支持部28は、扉本体27の内面(閉状態で後向きの面)に固定される桟部材(固定部材)28aと、該桟部材28aの上面にねじ込まれたボルト28bとを有する。
【0045】
桟部材28aは、厚さ30mm、長さ250mm、上下幅70mmの角材によって構成され、開位置にある扉本体27の内面において、上面が水平位置にある第1棚板11の可動部16の側縁部の下面と対応する位置(例えば前端が可動部16の前端から24.5mm後方に引っ込んだ位置)に取り付けられている。桟部材28aの上面には、ボルト28bがねじ込まれるネジ孔28cが形成されている。ネジ孔28cには、図示しない鬼目ナットが埋め込まれていてもよい。
【0046】
ボルト28bは、第1棚板11の可動部16の左右の側縁部の下面の先端部に形成された溝14に嵌まる大きさ(例えばΦ=25mm、高さ13mm)の略円柱形状の頭部を有する。ボルト28bは、桟部材28aの上面に形成されたネジ孔28cにねじ込まれている。ボルト28bの頭部の上面には、図示しない硬質の樹脂やゴム等からなるクッション部材が取り付けられている。
【0047】
このように構成された支持部28,28により、正面扉26,26を開位置に回動させ、第1棚板11の可動部16を水平位置に回動させると、支持部28,28のボルト28b,28bの頭部が可動部16の下面の溝14,14に嵌まり込むことにより、可動部16の左右の側縁部が支持部28,28によって支持される。
【0048】
また、正面扉26の扉本体27の下端部には、キャスター29が1つずつ取り付けられている。キャスター29は、正面扉26を閉位置から開位置に回動させる際に、車輪が床F上面に接地して床F上面上を走行するように取り付けられている。このようなキャスター29を取り付けることにより、正面扉26,26は、閉位置においても開位置においても常時床F上面に接地することとなる。
【0049】
-使用例-
以上の構成の実施形態1においては、壁面収納ユニットUの収納本体1に、下側から順に2枚の下段棚板7,7、第1棚板11、第2棚板12、2枚の上段棚板8,8の6枚が間隔をあけて設けられ、そのうち、第1及び第2棚板11,12は、収納本体1内に固定された固定部15と、その固定部15の前端部に回動可能に支持された可動部16とを有する折り曲げタイプである。これらの棚板11,12の可動部16を水平位置と垂直位置とに個別に切り換えることで、壁面収納ユニットUを種々の使用形態で使用し、その多機能の使い方を選択することができる。
【0050】
例えば、
図1及び
図5に示す使用状態では、第1及び第2棚板11,12の各可動部16がいずれも垂直位置にあり、正面扉26,26が閉じている。第1及び第2棚板11,12の各可動部16の左側の略半部には左側の正面扉26が前側から重なり、右側の略半部には右側の正面扉26が前側から重なっている。左右の正面扉26,26は、収納本体1の開口の中段部及び下段部を閉じ、第1及び第2棚板11,12の各可動部16は、左右の正面扉26,26の内側で収納本体1の開口の中段部の一部を覆う内扉となる。
【0051】
また、
図2、
図4、
図6及び
図7に示す使用状態では、左右の正面扉26,26が開けられて開位置にあり、第1及び第2棚板11,12の各可動部16は、垂直位置から下方に回動されて水平位置にある。また、第1棚板11の可動部16は、左右の側縁部の下面に形成された溝14,14内に嵌まり込んだ、正面扉26,26の支持部28,28のボルト28b,28bの頭部が溝14,14の溝底に当接することにより、正面扉26,26に支持されている。さらに、正面扉26,26は、支持部28,28のボルト28b,28bの頭部が溝14,14の周壁に当接することにより、回動が規制され、開位置に止め置かれる。その結果、第1棚板11の可動部16が、支持部28,28を介して正面扉26,26に安定的に支持される。これにより、下側の第1棚板11は、重量物の載置が可能で使用者が椅子Chに座って作業をする着座位置用の机として使用することができ、上側の第2棚板12は、物置用の棚又は使用者が立って作業をする立ち位置用の机として使用することができる。
【0052】
図示しないが、左右の正面扉26,26が開けられて開位置にあり、第1棚板11の可動部16のみが垂直位置から下方に回動されて水平位置にあり、第2棚板12の可動部16は垂直位置にある状態での使用も可能である。第2棚板12の可動部16が内扉となって収納本体1の開口の中段部の一部を閉じ、第1棚板11のみを机として使用することができる。
【0053】
また、逆に、左右の正面扉26,26が開けられて開位置にあり、第1棚板11の可動部16は垂直位置にあり、第2棚板12の可動部16のみが垂直位置から下方に回動されて水平位置にある状態での使用も可能である。第1棚板11の可動部16が内扉となって収納本体1の開口の中段部の一部を閉じ、第2棚板12のみを物置用の棚又は使用者が立って作業をする立ち位置用の机として使用することができる。
【0054】
-実施形態1の効果-
以上のように、本実施形態1によれば、第1棚板11の可動部16の基端部が、収納本体1内に固定された固定部15の前端部に左右方向に延びる水平軸回りに回動自在に取り付けられて該固定部15に支持されるだけでなく、可動部16の側縁部も開位置における正面扉26,26の支持部28,28によって支持される。つまり、本実施形態1では、従来、基端部のみで支持される片持ち構造であった第1棚板11の可動部16が、基端部だけでなく側縁部も支持されることとなる。よって、第1棚板11の可動部16を水平位置で机として用いる際に可動部16の上に重量物を載置しても、可動部16が撓んだり、基端部を支持するヒンジ等の固定具(丁番18及びダウンステー19)が外れたりする虞がない。つまり、本実施形態1によれば、固定部15と、固定部15の前端部に連結されて垂直位置と水平位置とで回動する可動部16とを有する棚板11,12を備えた壁面収納ユニットUにおいて、机として用いる第1棚板11の耐荷重性を向上させることができる。
【0055】
また、本実施形態1では、開位置にある正面扉26,26の支持部28,28が、水平位置にある第1棚板11の可動部16の側縁部を支持する際に、正面扉26,26の回動を規制する規制部(溝14の周壁)を備えている。そのため、本実施形態1では、第1棚板11の可動部16の側縁部が支持部28,28によって支持されている際に、規制部によって正面扉26,26の回動が規制され、支持部28,28の移動も規制される。つまり、水平位置における第1棚板11の可動部16の側縁部が支持部28,28によって安定的に支持される。
【0056】
本実施形態1では、水平位置にある第1棚板11の可動部16の側縁部の下面には、開位置にある正面扉26,26の支持部28,28のボルト28b,28bの頭部が嵌まる溝14,14が形成され、該溝14は、支持部28,28のボルト28b,28bの頭部が嵌まると、該ボルト28b,28bの頭部が周壁に当接することによって正面扉26,26の回動が規制される形状に形成されている。そのため、本実施形態1では、第1棚板11の可動部16が水平位置にある際に、開位置にある正面扉26,26の支持部28,28のボルト28b,28bの頭部が、可動部16の側縁部の下面に形成された溝14,14に嵌まり、溝14,14の周壁に当接することにより、正面扉26,26の回動が規制される。このように、本実施形態1によれば、第1棚板11の可動部16の側縁部の下面に支持部28,28のボルト28b,28bの頭部が嵌まる溝14,14を形成するだけで、支持部28,28が可動部16の側縁部を支持している際に正面扉26,26の回動を規制する規制部を容易に形成することができる。
【0057】
本実施形態1では、支持部28,28は、扉本体27,27の内面に固定される桟部材(固定部材)28a,28aと、該桟部材28a,28aの上面にねじ込まれたボルト28b,28bとを有し、ボルト28b,28bの頭部が溝14,14に嵌まることにより、第1棚板11の可動部の16側縁部が支持部28,28によって支持されると共に、正面扉26,26の回動が規制されるように構成されている。そのため、本実施形態1では、第1棚板11の可動部16が水平位置にある際に、開位置にある正面扉26,26の扉本体27,27の内面に固定された桟部材28a,28aの上面にねじ込まれたボルト28b,28bが、可動部16の側縁部の下面に形成された溝14,14に嵌まり、溝14,14の周壁に当接することにより、正面扉26,26の回動が規制される。このように、本実施形態1によれば、扉本体27,27の内面に上面にボルト28b,28bがねじ込まれた桟部材28a,28aを固定し、可動部16の側縁部の下面にボルト28b,28bの頭部が嵌まる溝14,14を形成するだけで、水平位置にある可動部16の側縁部を下方から支持する支持部28,28と、該支持部28,28が可動部16の側縁部を支持している際に正面扉26,26の回動を規制する規制部とを容易に形成することができる。
【0058】
また、本実施形態1では、扉本体27,27の下端部に、キャスター29,29が取り付けられ、正面扉26,26は、キャスター29,29を介して床F上面に接地するように構成されている。そのため、本実施形態1では、正面扉26,26は、側板3,3の前端部に回動自在に取り付けられた基端部だけでなく、キャスター29,29が取り付けられた部分でも支持されることとなる。このように、第1棚板11の可動部16の側縁部が正面扉26,26の支持部28,28によって支持される際に、正面扉26,26が床F上面によって支持されるため、正面扉26,26が側板3,3に回動自在に取り付けられる基端部のみで支持される片持ち構造である場合に比べて、可動部16の側縁部が支持部28,28によって安定的に支持されることとなる。つまり、本実施形態1によれば、固定部15と、固定部15の前端部に連結されて垂直位置と水平位置とで回動する可動部16とを有する棚板11,12を備えた壁面収納ユニットUにおいて、机として用いる第1棚板11の耐荷重性をより向上させることができる。
【0059】
また、本実施形態1では、正面扉26,26を、左右の側板3,3のそれぞれに垂直軸回りに回動自在に取り付け、水平位置にある第1棚板11の可動部16の左側縁部が左側の側板3に取り付けられた開位置における正面扉26の支持部28に支持され、水平位置にある第1棚板11の可動部16の右側縁部が右側の側板3に取り付けられた開位置における正面扉26の支持部28に支持されるように構成している。そのため、本実施形態1では、水平位置にある第1棚板11の可動部16は、左右の一方の側縁部だけでなく、両方の側縁部が左右の側板3,3に取り付けられた2つの正面扉26,26の支持部28,28によって支持されることとなる。つまり、本実施形態1によれば、固定部15と、固定部15の前端部に連結されて垂直位置と水平位置とで回動する可動部16とを有する棚板11,12を備えた壁面収納ユニットUにおいて、机として用いる第1棚板11の耐荷重性をより向上させることができる。
【0060】
また、本実施形態1では、上記壁面収納ユニットUの側板3,3が壁面収納装置Aの間仕切り板を構成するように、壁面収納ユニットUが壁面収納装置Aに組み込まれて施工されている。本実施形態1によれば、このように構成することにより、壁面収納装置Aの一部に壁面収納ユニットUを容易に組み込むことができる。
【0061】
《その他の実施形態》
上記実施形態1では、本発明に係る正面扉が、左右の側板3,3のそれぞれに回動自在に取り付けられる所謂両開きタイプに構成されていたが、本発明に係る正面扉は両開きタイプに限られない。本発明に係る正面扉は、左右の側板3,3の一方に回動自在に取り付けられ、閉位置において収納本体1の前側開口の上下方向の少なくとも一部分を左端から右端に亘って覆う所謂片開きタイプに構成されていてもよい。このような片開きタイプの正面扉26を備える場合、第1棚板11の可動部16の左右の側縁部の一方が、正面扉26の支持部28に支持されることとなる。このような形態であっても、実施形態1と同様に、第1棚板11の可動部16が基端部だけでなく側縁部でも支持されることとなるため、机として用いられる第1棚板11の耐荷重性を向上させることができる。
【0062】
また、上記実施形態1では、正面扉26を構成する扉本体27と支持部28とは別体に構成され、扉本体27の内面に支持部28が取り付けられていたが、扉本体27と支持部28とは一体に成形されていてもよい。
【0063】
上記実施形態1では、第1棚板11の可動部16の側縁部を支持する支持部28は、桟部材28aとボルト28bとで構成されていたが、支持部28の構成はこれに限られず、水平位置にある第1棚板11の可動部16の側縁部を支持できるものであればいかなるものであってもよい。
【0064】
例えば、支持部28は、桟部材28aのみで構成され、第1棚板11の可動部16の側縁部が桟部材28a上に載置されることにより、可動部16を支持するものであってもよい。その場合、桟部材28aの上面のボルト28bが設けられる位置に溝を形成し、第1棚板11の可動部16の下面の溝14の形成位置に上記溝に嵌まる突起を設け、突起が溝の周壁に当接することにより、正面扉26の回動が規制されるように形成してもよい。
【0065】
また、上記実施形態1では、支持部28が水平位置にある第1棚板11の可動部16の側縁部を支持する際に、正面扉26の回動を規制する規制部が、支持部28のボルト28bの頭部が嵌まる溝14の周壁で構成されていた。しかしながら、本発明に係る規制部は、溝14の周壁に限られず、支持部28が水平位置にある第1棚板11の可動部16の側縁部を支持する際に、正面扉26の回動を規制できるものであればいかなるものであってもよい。
【0066】
例えば、規制部は、第1棚板11の可動部16と正面扉26とに設けられ、第1棚板11の可動部16が水平位置にあるときに互いに引き合うことによって正面扉26の開位置からの回動を規制する磁石であってもよい。また、規制部は、キャスター29のストッパ機構で構成され、正面扉26が開位置において第1棚板11の可動部16の側縁部を支持する際に、ストッパ機構を作動させて正面扉26の回動を規制することとしてもよい。また、ストッパ機構を有するキャスター29を用いると共に、左右の側板3,3の前端部内面と扉本体27,27の基端部内面との間に取り付けられて扉本体27,27を側板3,3の前端部に連結する丁番として、開閉角度を規制できる(例えば、180°までしか開かない)丁番を用いることとしてもよい。この場合、キャスター29のストッパ機構と丁番とが規制部となる。また、上下動する支持脚を正面扉26の扉本体27の下端部に取り付け、正面扉26が開位置にあるときに、支持脚を床F上面と正面扉26との間で突っ張らせて正面扉26の回動を規制する規制部として用いることとしてもよい。
【0067】
また、上記実施形態1では、支持部28を介して第1棚板11の可動部16の荷重がかかる正面扉26を、キャスター29を介して床F上面に接地させることとしていた。しかしながら、キャスター29の代わりに、上下動する支持脚を正面扉26の扉本体27の下端部に取り付け、正面扉26が開位置において第1棚板11の可動部16の側縁部を支持する際に、支持脚を床F上面に接地させることとしてもよい。
【0068】
また、上記実施形態1では、固定部15と可動部16とを有する複数の棚板11,12のうち、可動部16の奥行きd1が左右幅L2の3分の1以上の長さの第1棚板11の可動部16のみが、水平位置において支持部28によって支持されるように構成していた。しかしながら、本発明に係る壁面収納ユニットは、上述の構成に限られず、第1棚板11の可動部16だけでなく第2棚板12の可動部16も水平位置において支持部28によって支持されるものであってもよい。
【0069】
また、上記実施形態1では、第1棚板11の可動部16は、前後方向の奥行きd1が第1及び第2棚板11,12間の高さh3よりも小さくなるように形成されていた(d1>h3)。しかしながら、第1棚板11の可動部16は、前後方向の奥行きd1が第1及び第2棚板11,12間の高さh3以上となるように形成されていてもよい。このような場合、第1及び第2棚板11,12の可動部16が垂直位置でも収納本体1内に納まるように(第1及び第2棚板11,12の可動部16が垂直位置でも当接しないように)、第2棚板12の固定部15の奥行きを第1棚板11の固定部15の奥行きよりも短くする。第1及び第2棚板11,12の固定部15の奥行きの差は、第1棚板11の可動部16の厚さより少し大きい長さとする。このように設計すれば、第1及び第2棚板11,12の可動部16は、垂直位置にあっても当接せず収納本体1内に納まることとなる。
【0070】
また、上記実施形態1では、収納本体1において固定部15と可動部16とを有する棚板11,12を2枚設けているが、収納本体1に設ける固定部15と可動部16とを有する棚板の枚数は、2枚に限られない。収納本体1に第1棚板11のみを設けてもよく、収納本体1に、固定部15と可動部16とを有する棚板を3枚以上設けることとしてもよい。
【0071】
さらに、上記実施形態1では、壁面収納ユニットUには、2枚の側板3,3と6枚の棚板7,7,8,8,11,12と正面扉26とが設けられているが、本発明に係る壁面収納ユニットは、2枚の側板3,3と第1棚板11と正面扉26とが設けられるものであればよい。
【0072】
さらに、上記実施形態1では、壁面収納装置Aの下部に壁面収納ユニットUが部分的に組み込まれて施工されているが、壁面収納ユニットUは単独で壁Wに施工されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0073】
以上説明したように、本発明は、壁面収納ユニット及びその壁面収納ユニットが組み込まれた壁面収納装置について有用である。
【符号の説明】
【0074】
1 収納本体
3 側板
11 第1棚板(棚板)
14 溝
15 固定部
16 可動部
26 正面扉
27 扉本体
28 支持部
29 キャスター
U 壁面収納ユニット
A 壁面収納装置
W 壁
F 床
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の側板を有し、前側に開口する収納本体と、
一部が上記収納本体の内部に配置された状態で上記収納本体に固定された棚板と、
上記収納本体の上記側板の前端部に垂直軸回りに回動自在に取り付けられ、上記収納本体の前側開口の少なくとも一部を覆う閉位置と、上記側板の前端部から前方に延びる開位置との間で回動可能な板状の正面扉とを備え、
上記棚板は、
上記収納本体内に固定された固定部と、
上記固定部の前端部に左右方向に延びる水平軸回りに回動自在に取り付けられ、上記固定部の前端部から上方に延びる垂直位置と、上記固定部の前端部から前方に延びる水平位置との間で回動可能な可動部とを有し、
上記正面扉は、
上記閉位置において上記収納本体の前側開口の少なくとも一部を覆う扉本体と、
上記扉本体の内面に設けられ、上記開位置において上記水平位置にある上記可動部の側縁部を下方から支持する支持部とを有し、
上記開位置にある上記正面扉の上記支持部が、上記水平位置にある上記可動部の側縁部を支持する際に、上記正面扉の回動を規制する規制部をさらに備え、
上記水平位置にある上記可動部の側縁部の下面には、上記開位置にある上記正面扉の上記支持部の少なくとも一部が嵌まる溝が形成され、
上記溝は、上記支持部の少なくとも一部が嵌まると、該一部が上記溝の周壁に当接することによって上記正面扉の回動が規制される形状に形成され、
上記溝の周壁が上記規制部を構成し、
上記支持部は、上記溝に嵌まる部分の高さ調節が可能に構成されている
壁面収納ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の壁面収納ユニットにおいて、
上記支持部は、
上記扉本体の内面に固定される固定部材と、
上記固定部材の上面にねじ込まれたボルトとを有し、
上記固定部材の上面には、上記ボルトがねじ込まれるネジ孔が形成され、
上記ボルトの頭部が上記溝に嵌まることにより、上記可動部の側縁部が上記支持部によって支持されると共に、上記正面扉の回動が規制される
壁面収納ユニット。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の壁面収納ユニットにおいて、
上記扉本体の下端部には、キャスターが取り付けられ、
上記正面扉は、上記キャスターを介して床面に接地している
壁面収納ユニット。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1つに記載の壁面収納ユニットにおいて、
上記正面扉は、上記左右の側板の前端部にそれぞれ垂直軸回りに回動自在に取り付けられ、
上記水平位置にある上記可動部は、左側縁部が上記左右の側板のうちの左側の側板に取り付けられた上記開位置における上記正面扉の上記支持部に支持され、右側縁部が上記左右の側板のうちの右側の側板に取り付けられた上記開位置における上記正面扉の上記支持部に支持される
壁面収納ユニット。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1つの壁面収納ユニットが組み込まれて施工された壁面収納装置であって、
上記壁面収納ユニットの側板は、上記壁面収納装置の間仕切り板を構成している
壁面収納装置。