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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022012751
(43)【公開日】2022-01-17
(54)【発明の名称】巻線ユニット
(51)【国際特許分類】
   H01F 30/10 20060101AFI20220107BHJP
   H01F 27/08 20060101ALI20220107BHJP
   F28D 15/02 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
H01F30/10 S
H01F27/08 101
F28D15/02 G
F28D15/02 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020114807
(22)【出願日】2020-07-02
(71)【出願人】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100160093
【弁理士】
【氏名又は名称】小室 敏雄
(72)【発明者】
【氏名】平島 光
(72)【発明者】
【氏名】木村 勇作
(72)【発明者】
【氏名】中原 康希
(72)【発明者】
【氏名】本田 啓祐
【テーマコード(参考)】
5E070
【Fターム(参考)】
5E070AA01
5E070AA11
5E070AB01
5E070DA18
(57)【要約】
【課題】巻線ユニットにおける巻線部の内周部と外周部との温度差を小さくして巻線部の放熱効率を向上させることができるようにする。
【解決手段】巻線ユニットは、筒状に形成された巻線部23と、巻線部23の内周部に取り付けられる第一ヒートパイプ3と、巻線部23の外周部に取り付けられる第二ヒートパイプ4と、を備える。巻線部23は、第一ヒートパイプ3及び第二ヒートパイプ4を介して固定対象10に固定される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状に形成された巻線部と、
前記巻線部の内周部に取り付けられる第一ヒートパイプと、
前記巻線部の外周部に取り付けられる第二ヒートパイプと、を備え、
前記巻線部は、前記第一ヒートパイプ及び第二ヒートパイプを介して固定対象に固定される巻線ユニット。
【請求項2】
前記巻線部の外周部に取り付けられる前記第二ヒートパイプの第一端部側の部位と前記巻線部の外周部との間に設けられ、前記巻線部の熱を前記第二ヒートパイプに伝える第一伝熱ブロックと、
前記巻線部から離れて位置する前記第二ヒートパイプの第二端部側の部位と前記固定対象との間に設けられ、前記第二ヒートパイプの熱を前記固定対象に伝える第二伝熱ブロックと、を備える請求項1に記載の巻線ユニット。
【請求項3】
前記第二伝熱ブロックには、当該第二伝熱ブロックを前記固定対象にネジ止めするためのネジを通すネジ挿通孔が形成され、
前記ネジ挿通孔は、前記巻線部と前記第一伝熱ブロックとが並ぶ方向に延びた長孔状に形成されている請求項2に記載の巻線ユニット。
【請求項4】
前記巻線部の軸方向における前記第一伝熱ブロックの寸法は、前記軸方向における前記巻線部の寸法よりも小さい請求項2又は3に記載の巻線ユニット。
【請求項5】
前記第一ヒートパイプの第一端部側の部位が前記巻線部の内周部に取り付けられ、
前記巻線部から離れて位置する前記第一ヒートパイプの第二端部側の部位と前記固定対象との間に設けられ、前記第一ヒートパイプの熱を前記固定対象に伝える第三伝熱ブロックを備え、
前記第二伝熱ブロックと前記第三伝熱ブロックとが前記固定対象上において重なった状態で前記固定対象に固定される請求項2から4のいずれか一項に記載の巻線ユニット。
【請求項6】
前記巻線部の外周部に取り付けられる前記第二ヒートパイプの第一端部側の部位と前記巻線部の外周部との間に設けられ、前記巻線部の熱を前記第二ヒートパイプに伝える第一伝熱ブロックを備え、
前記第一伝熱ブロックは、前記巻線部の径方向において前記巻線部の両側に一対配置され、
一対の前記第一伝熱ブロックは、前記巻線部を挟んだ状態でネジ止めによって互いに固定される請求項1から5のいずれか一項に記載の巻線ユニット。
【請求項7】
前記巻線部の径方向において前記第一ヒートパイプが取り付けられる前記内周部と前記第二ヒートパイプが取り付けられる前記外周部との間の位置に取り付けられる第三ヒートパイプを備える請求項1から6のいずれか一項に記載の巻線ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、巻線ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、トランスやチョークコイル等を構成する巻線部(コイル巻線体)をケースに収容すると共に、ケース内に充填された充填樹脂によって巻線部を封止して巻線部をケースに対して固定する巻線ユニットが開示されている。また、特許文献1の巻線ユニットでは、巻線部の外側に装着された外周コアとケースの内面との間にヒートシンクを介在させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-201603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の巻線ユニットにおいては、主に巻線部の外周部の熱が充填樹脂や外周コア、ヒートシンクを介してケースに伝わる。しかしながら、巻線部の内周部の熱はケースに伝わりにくいため、巻線部の外周部と内周部との温度差が大きくなる。巻線部の外周部と内周部との温度差が大きくなると、巻線部全体の温度が下がり難くなり、巻線部の放熱効率が低くなる、という課題がある。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みたものであって、巻線部の内周部と外周部との温度差を小さくすることにより、巻線部の放熱効率を向上させることができる巻線ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、筒状に形成された巻線部と、前記巻線部の内周部に取り付けられる第一ヒートパイプと、前記巻線部の外周部に取り付けられる第二ヒートパイプと、を備え、前記巻線部は、前記第一ヒートパイプ及び第二ヒートパイプを介して固定対象に固定される巻線ユニットである。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る巻線ユニットによれば、巻線部の内周部と外周部にそれぞれヒートパイプが設けられているため、これらのヒートパイプによる熱移動により、巻線部の内周部と外周部との温度差を小さくすることができる。これにより巻線部の放熱効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第一実施形態に係る巻線ユニットを示す斜視図である。
図2】上記巻線ユニットにおいて、第二ヒートパイプ、第一及び第二伝熱ブロックを巻線部及び放熱部材から分離し、かつ、ボビンを取り除いた状態を示す斜視図である。
図3】上記巻線ユニットにおいて、巻線部の軸方向に直交する断面を示す図である。
図4図3のIV-IVの位置での上記巻線ユニットの断面図である。
図5】本発明の第二実施形態に係る巻線ユニットを示す断面図(図4と同じ位置での断面図)である。
図6図5のVI-VIの位置での上記巻線ユニットの断面図である。
図7】本発明の他の実施形態に係る巻線ユニットの要部を模式的に示す図である。
図8】本発明の他の実施形態に係る巻線ユニットの要部を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔第一実施形態〕
以下、図1図4を参照して本発明の第一実施形態について説明する。本実施形態では、本発明に係る巻線ユニットを適用したトランス装置1について説明する。図1及び図2に示すように、トランス装置1は、トランス2と、複数の第一ヒートパイプ3と、複数の第二ヒートパイプ4と、二つの第一伝熱ブロック6と、二つの第二伝熱ブロック7と、四つの第三伝熱ブロック8とを備える。
【0010】
トランス2は、コア21と、二つのボビン22と、二つの巻線部23とを有する。コア21は、磁性材料からなり、二つの円柱部211,212(第一円柱部211、第二円柱部212)と、二つの連結部213,214(第一連結部213、第二連結部214)とを有する。二つの連結部213,214は、いずれも矩形ブロック状に形成されている。二つの円柱部211,212の軸線が互いに平行となるように二つの円柱部211,212が間隔をあけて並べて配置され、それらの円柱部211,212の両端をそれぞれ繋ぐように二つの連結部213,214が設けられることにより、コア21は矩形環状に形成されている。
【0011】
二つのボビン22はそれぞれ、絶縁材料からなり、円筒状に形成された筒部221(図3及び図4参照)と、筒部221の両端からそれぞれ筒部221の径方向外側に張り出す鍔部222(図4参照)とを有する。二つのボビン22は、筒部221の内側にコア21の円柱部211,212が配置されるように、コア21の円柱部211,212の外側に取り付けられる。このように二つのボビン22がコア21に取り付けられると、コア21の二つの連結部213,214がそれぞれ、二つのボビン22の両端の鍔部222,222よりも外側に配置されるようになっている。なお、図2においては、二つのボビン22の記載を省略している。
【0012】
二つの巻線部23は、導電性を有する線材をコア21に取り付けられた二つのボビン22の筒部221にそれぞれ巻き回すことで円筒状に形成されている。これにより、コア21の二つの円柱部211,212はそれぞれ、二つの巻線部23の内側に挿通された状態で配置される。二つの巻線部23の軸線は二つの円柱部211,212と同様に互いに平行した状態となる。
【0013】
トランス装置1は、放熱部材10(固定対象)に固定される。放熱部材10は、平坦な載置面10aを有するベース部11と、ベース部11における載置面10aの反対側の面に並設された複数の放熱フィン12とを備える空冷ヒートシンクである。トランス2は、コア21の二つの円柱部211,212の軸線が放熱部材10の載置面10aに直交する姿勢となり、コア21の第一連結部213の外面が載置面10aに接触した状態で載置面10a上に配置される。このとき、第一連結部213の外面と載置面10aとの間には、弾力性を有する放熱シート15が設けられる(図4参照)。第一連結部213の外面や載置面10aの表面粗さなどに基づいて、第一連結部213の外面と載置面10aとの間に生じる微小な隙間を、当該放熱シート15により埋めて第一連結部213の外面と載置面10aとの密着度を高めることができる。これにより、コア21の熱を第一連結部213を経由して載置面10aから放熱部材10に効率よく逃がすことができる。
【0014】
第一ヒートパイプ3は、熱伝導率が高い材料からなり、中空棒状に形成されている。第一ヒートパイプ3は、その長手方向の中途部で折り曲げられてL字状に形成されている。第一ヒートパイプ3の内部には空気が封入されている。なお、第一ヒートパイプ3の内部には、空気ではなく、揮発性の液体(作動液)が封入されていてもよい。第一ヒートパイプ3は、その長手方向の第一端部側の部位31(以下、第一部位31と称する)が巻線部23の内周部において巻線部23の軸方向に延びた状態で配置される。より具体的には、ボビン22の筒部221の外周面に第一ヒートパイプ3の第一部位31を当接させた状態で、当該筒部221及び第一部位31に巻線部23をなす線材を巻き付けることにより、第一部位31が巻線部23の内周部に配置される(図3参照)。なお、第一ヒートパイプ3の第一部位31は、ボビン22の筒部221の外周面に接した状態ではなく、巻線部23の内部に配置されてもよい。
【0015】
第一ヒートパイプ3の第一部位31側の先端部は、巻線部23の内周部から軸方向に突出せずに、巻線部23の内周部に留まった状態で配置される。第一ヒートパイプ3は、第一部位31の基端部側から巻線部23の内周部を飛び出してコア21の第一連結部213側の位置まで延び、そこから直交方向に折り曲げられて延びたL字状になっている。その延長方向に位置する第一ヒートパイプ3の第二端部側の部位32(以下、第二部位32と称する)は、上記のようにトランス2が放熱部材10の載置面10a上に配置された状態で、載置面10aに沿うように延びる。第一ヒートパイプ3の第二部位32には、後述する第三伝熱ブロック8が取り付けられる。
【0016】
トランス装置1では、図2及び図3に示すように、コア21の二つの円柱部211,212の配列方向の外側位置にそれぞれ、二つの第一ヒートパイプ3が当該配列方向と直交する方向(図3における左右方向)に間隔をあけて並んで配置され、合計四つの第一ヒートパイプ3を備える。トランス装置1では、一つの巻線部23に対して二つの第一ヒートパイプ3が設けられる。当該二つの第一ヒートパイプ3は、互いの第二部位32が巻線部23から逆向きに離れるように延びて設けられる。四つの第一ヒートパイプ3の第二部位32にはそれぞれ第三伝熱ブロック8が取り付けられる。
【0017】
第三伝熱ブロック8は、例えばアルミニウム等の熱伝導率の高い材料からなり、矩形平板状に形成されている。第三伝熱ブロック8には、短辺方向に延びる矩形凹状のパイプ挿入溝81が形成されている。パイプ挿入溝81は、第三伝熱ブロック8の短辺方向の両側に開口している。このパイプ挿入溝81に放熱性接着剤を塗布して第一ヒートパイプ3の第二部位32が圧入されることにより、第三伝熱ブロック8が第一ヒートパイプ3の第二部位32に取り付けられる。このとき、第二部位32側の先端部はパイプ挿入溝81から突出した状態となる。第一ヒートパイプ3の第二部位32が第三伝熱ブロック8のパイプ挿入溝81に挿入されることで、第一ヒートパイプ3と第三伝熱ブロック8との接触面積を増やして、巻線部23の熱を第一ヒートパイプ3から第三伝熱ブロック8に効率よく伝えることができる。第一ヒートパイプ3に取り付けられた第三伝熱ブロック8は、パイプ挿入溝81が形成された面の反対側の面が放熱部材10の載置面10aに接触した状態で載置面10a上に載置される。このとき、第三伝熱ブロック8の当該面と載置面10aとの間には、上記放熱シート15が設けられる。
【0018】
第三伝熱ブロック8には、第三伝熱ブロック8を放熱部材10の載置面10a上にネジ止めするためのネジ16(図4参照)を通す二つのネジ挿通孔82が形成されている。二つのネジ挿通孔82は、第三伝熱ブロック8においてパイプ挿入溝81を間に挟んだ位置に形成されている。二つのネジ挿通孔82はそれぞれ、パイプ挿入溝81が延びて形成された方向(図3において左右方向)に延びた長孔状に形成されている。
【0019】
第二ヒートパイプ4は、第一ヒートパイプ3と同様に、熱伝導率が高い材料からなる中空棒状に形成され、その長手方向の中途部で折り曲げられてL字状に形成されている。第二ヒートパイプ4の内部にも空気だけが封入されているが、第一ヒートパイプ3と同様に、揮発性の液体(作動液)が封入されていてもよい。第二ヒートパイプ4の長手方向の第一端部側の部位41(以下、第一部位41と称する)は、巻線部23の外周部に配置される。より具体的には、第二ヒートパイプ4の第一部位41は、巻線部23の外周面よりも巻線部23の径方向外側の位置において、巻線部23の軸方向に延びた状態で配置される。トランス装置1では、二つの巻線部23の配列方向と直交する方向の外側位置にそれぞれ、四つの第二ヒートパイプ4が当該配列方向(図3における上下方向)に間隔をあけて並んで配置される。トランス装置1では、一つの巻線部23に対して両側にそれぞれ二つの第二ヒートパイプ4が設けられる。第二ヒートパイプ4の第一部位41には第一伝熱ブロック6が取り付けられる。トランス装置1では、二つの巻線部23の両側にそれぞれ、一つの第一伝熱ブロック6及び四つの第二ヒートパイプ4が配置され、合計二つの第一伝熱ブロック6及び八つの第二ヒートパイプ4を備える。
【0020】
第一伝熱ブロック6は、例えばアルミニウム等の熱伝導率の高い材料からなり、矩形ブロック状に形成されている。第一伝熱ブロック6は、トランス2の二つの巻線部23の配列方向に二つの巻線部23の外側両端部よりも長く延びた矩形ブロック状に形成されている。第一伝熱ブロック6には、短辺方向に延びる矩形凹状の四つのパイプ挿入溝61が長辺方向に間隔をあけて並んで形成されている。四つのパイプ挿入溝61はそれぞれ、第一伝熱ブロック6の短辺方向の両側に開口している。これらのパイプ挿入溝61にそれぞれ放熱性接着剤を塗布して第二ヒートパイプ4の第一部位41が圧入されることにより、第一伝熱ブロック6に四つの第二ヒートパイプ4が取り付けられる。このとき、各第二ヒートパイプ4の第一部位41側の先端部はパイプ挿入溝61から突出した状態となる。第二ヒートパイプ4の第一部位41が第一伝熱ブロック6のパイプ挿入溝61に挿入されることで、第二ヒートパイプ4と第一伝熱ブロック6との接触面積を増やして、巻線部23の熱を第一伝熱ブロック6から第二ヒートパイプ4に効率よく伝えることができる。
【0021】
第一伝熱ブロック6は、四つのパイプ挿入溝61が形成された面の反対側の面に、トランス2の二つの巻線部23の外周面の形状に対応した半円形凹状の二つの巻線嵌合凹部62が形成されている。二つの巻線嵌合凹部62はそれぞれ、第一伝熱ブロック6の短辺方向の両側に開口している。上記のように四つの第二ヒートパイプ4が取り付けられた第一伝熱ブロック6は、二つの巻線嵌合凹部62の内面に二つの巻線部23の外周面をそれぞれ接触させた状態で、二つの巻線部23の側方に配置される。トランス装置1では、二つの巻線部23の配列方向と直交する方向から二つの巻線部23を挟み込むように二つの第一伝熱ブロック6が配置される。このとき、二つの巻線部23の外周面と第一伝熱ブロック6の巻線嵌合凹部62との間には、弾力性を有する放熱シート17が設けられる。この放熱シート17により、線材による巻線部23の外周面の凹凸や、第一伝熱ブロック6の巻線嵌合凹部62の表面粗さ等に基づいて、巻線部23と第一伝熱ブロック6との間に生じる隙間を埋めて密着度を高めることができる。これにより、巻線部23と第一伝熱ブロック6との間における熱の伝わり方を向上させることができる。
【0022】
二つの巻線部23を挟むように配置された二つの第一伝熱ブロック6は、二つの第一伝熱ブロック6に挿通されるボルト18と、ボルト18に噛み合うナット19とによって互いに固定される。ボルト18及びナット19は、二つの巻線部23の間の位置、及び二つの巻線部23の配列方向の両側の位置の合計三か所にそれぞれ二組ずつ設けられている(図1及び図3参照)。図4に示すように、第一伝熱ブロック6の短辺方向の寸法L1は、巻線部23の軸方向の寸法L2よりも小さくなっている。第一伝熱ブロック6の短辺方向の両端が、巻線部23の軸方向の両端の内側に位置するように、二つの第一伝熱ブロック6が二つの巻線部23に対して配置される。
【0023】
図2及び図3に示すように、第二ヒートパイプ4の第一部位41が第一伝熱ブロック6に取り付けられた状態では、第二ヒートパイプ4の第一部位41に対して直交する方向に延びる第二ヒートパイプ4の長手方向の第二端部側の部位42(以下、第二部位42と称する)が、第一伝熱ブロック6の板厚方向においてパイプ挿入溝61が形成された面側に延びる。第二ヒートパイプ4の第二部位42は、上記のようにトランス2が放熱部材10の載置面10a上に配置され、そのトランス2に第一伝熱ブロック6を介して固定された状態において、載置面10aに沿うように延びる。二つの第一伝熱ブロック6にそれぞれ取り付けられた第二ヒートパイプ4は、互いの第二部位42が二つの第一伝熱ブロック6の間に位置する巻線部23から逆向きに離れるように延びて設けられる。第二ヒートパイプ4の第二部位42には、第二伝熱ブロック7が取り付けられる。
【0024】
第二伝熱ブロック7は、上記第三伝熱ブロック8と同様に、アルミニウム等の熱伝導率の高い材料からなり、矩形平板状に形成されている。第二伝熱ブロック7には、短辺方向に延びる矩形凹状の四つのパイプ挿入溝71が長辺方向に間隔をあけて並んで形成されている。四つのパイプ挿入溝71は、第二伝熱ブロック7の短辺方向の両側に開口している。これらのパイプ挿入溝71にそれぞれ放熱性接着剤を塗布して第二ヒートパイプ4の第二部位42が圧入されることにより、第二伝熱ブロック7に四つの第二ヒートパイプ4が取り付けられる。このとき、各第二ヒートパイプ4の第二部位42側の先端部はパイプ挿入溝71から突出した状態となる。第二ヒートパイプ4の第二部位42が第二伝熱ブロック7のパイプ挿入溝71に挿入されることで、第二ヒートパイプ4と第二伝熱ブロック7との接触面積を増やして、巻線部23の熱を第二ヒートパイプ4から第二伝熱ブロック7に効率よく伝えることができる。第一伝熱ブロック6がトランス2に取り付けられ、第二ヒートパイプ4が第一伝熱ブロック6及び第二伝熱ブロック7に取り付けられた状態において、第二伝熱ブロック7は、第一伝熱ブロック6及び巻線部23に対して巻線部23の軸方向に間隔をあけて位置する(図4参照)。
【0025】
四つの第二ヒートパイプ4が取り付けられた第二伝熱ブロック7は、第一ヒートパイプ3に取り付けられた第三伝熱ブロック8上に重なるように配置される(図1及び図4参照)。第二伝熱ブロック7には、第三伝熱ブロック8とともに放熱部材10の載置面10a上にネジ止めするためのネジ16(図4参照)を通す五つのネジ挿通孔72が形成されている。五つのネジ挿通孔72は、第二伝熱ブロック7において四つのパイプ挿入溝71を間に挟んだ位置にそれぞれ形成されている。五つのネジ挿通孔72はそれぞれ、パイプ挿入溝71が延びて形成された方向(図3において左右方向)に延びた長孔状に形成されている。第二伝熱ブロック7が第三伝熱ブロック8上に重ねて配置された状態において、第二伝熱ブロック7のネジ挿通孔72と第三伝熱ブロック8のネジ挿通孔82との位置が整合し、これらのネジ挿通孔72,82に挿入されたネジ16が放熱部材10のベース部11の載置面10aに開口する雌ねじ孔13に噛み合うことにより、第二伝熱ブロック7及び第三伝熱ブロック8が一緒に放熱部材10の載置面10a上に固定されるようになっている。雌ねじ孔13は、ベース部11を貫通していないが、ベース部11を貫通するように形成してもよい。
【0026】
トランス装置1では、トランス2を放熱部材10の載置面10a上に配置し、トランス2の二つの巻線部23を二つの第一伝熱ブロック6により挟み込み、第二伝熱ブロック7及び第三伝熱ブロック8をネジ16により載置面10a上にネジ止めすることで、二つの巻線部23が第一ヒートパイプ3及び第二ヒートパイプ4を介して放熱部材10に固定される。トランス装置1のうち巻線部23、第一ヒートパイプ3、第二ヒートパイプ4及び第一~第三伝熱ブロック6~8は、巻線ユニットを構成している。
【0027】
トランス装置1では、巻線部23の内周部の熱が、第一ヒートパイプ3の第一部位31側から第二部位32側へ第一ヒートパイプ3を介して第三伝熱ブロック8に伝わり、当該第三伝熱ブロック8から放熱シート15を介して放熱部材10に伝わるようになっている。巻線部23の外周部の熱は、放熱シート17を介して第一伝熱ブロック6に伝わり、当該第一伝熱ブロック6に取り付けられた第二ヒートパイプ4の第一部位41側から第二部位42側へ第二ヒートパイプ4を介して第二伝熱ブロック7に伝わり、当該第二伝熱ブロック7から第三伝熱ブロック8及び放熱シート15を介して放熱部材10に伝わるようになっている。
【0028】
以上説明したように、本実施形態に係るトランス装置1によれば、巻線部23の内周部に取り付けられる第一ヒートパイプ3と、巻線部23の外周部に取り付けられる第二ヒートパイプ4とを備えている。トランス2は、第一ヒートパイプ3及び第二ヒートパイプ4を介して放熱部材10に固定されるようになっている。そのため、第一及び第二ヒートパイプ3,4によって巻線部23の熱をその内周部及び外周部の両方から放熱部材10に逃がすことができる。従って、巻線部23の内周部と外周部との温度差を小さくすることができ、巻線部23全体の温度を容易に下げることができる。これにより、巻線部23の放熱効率を向上することができる。
【0029】
本実施形態では、第一及び第二ヒートパイプ3,4は、所定の剛性を有するため、巻線部23を放熱部材10に固定する部材としても機能する。そのため、放熱部材10に代えてケース内にトランス2を固定する場合に、従来では当該ケース内に樹脂を充填することによりトランス2を固定していたが、このような樹脂を充填する必要がなく、第一及び第二ヒートパイプ3,4によってトランス2を固定することができる。従って、従来必要であった固定用の樹脂や当該樹脂を充填する作業工数を削減することができる。また、トランス2を固定するための部材を別途用意する場合と比較して、トランス装置1を構成する部品点数を少なく抑えることができる。
【0030】
本実施形態では、第一伝熱ブロック6が巻線部23の外周面と第二ヒートパイプ4の第一部位41との間に設けられる。そのため、巻線部23の外周部全体の熱を第一伝熱ブロック6に伝えることができ、更にその熱を第一伝熱ブロック6から第二ヒートパイプ4に伝えることができる。従って、第二ヒートパイプ4を巻線部23の外周部に直接設ける場合よりも、巻線部23の外周部全体の熱を第一伝熱ブロック6及び第二ヒートパイプ4を介して効率良く放散させることができ、巻線部23の放熱効率を更に向上させることができる。また、第一伝熱ブロック6には巻線部23の外周面の形状に対応した巻線嵌合凹部62が形成されている。そのため、巻線部23と第一伝熱ブロック6との接触面積を増やすことができ、巻線部23と第一伝熱ブロック6との熱伝導性を向上させることができる。
【0031】
本実施形態では、第二伝熱ブロック7が第二ヒートパイプ4の第二部位42と放熱部材10との間に設けられる。そのため、第二ヒートパイプ4を放熱部材10に直接固定する場合よりも、第二伝熱ブロック7によって放熱部材10との接触面積を増やすことができる。これにより、巻線部23から第二ヒートパイプ4に伝わった熱を、第二伝熱ブロック7を介して放熱部材10に効率良く伝えることができる。
【0032】
本実施形態では、第二伝熱ブロック7のネジ挿通孔72が、巻線部23と第一伝熱ブロック6とが並ぶ方向に延びた長孔状に形成されている。そのため、巻線部23のサイズ(特に径寸法)にばらつきがある場合であっても、放熱部材10に対する第二伝熱ブロック7の取付位置を簡単に調整することができる。以下、この点について具体的に説明する。
【0033】
巻線部23のサイズ(特に径寸法)は、線材の巻き方などによってばらつく。巻線部23の径寸法にばらつきがあると、第一伝熱ブロック6の位置が巻線部23の径方向に変位し、これに伴って、第二伝熱ブロック7の位置も巻線部23の径方向(巻線部23と第一伝熱ブロック6とが並ぶ方向)に変位する。ここで、第二伝熱ブロック7のネジ挿通孔72が上記した長孔状に形成されていることで、第二伝熱ブロック7の位置が上記のように変位しても、第二伝熱ブロック7を放熱部材10にネジ止めすることができる。したがって、巻線部23のサイズにばらつきがあっても、第二ヒートパイプ4の第二部位42に対する第二伝熱ブロック7の固定位置を変えることなく、(すなわち、第二ヒートパイプ4と第一及び第二伝熱ブロック6,7とを一体に固定してなる同一種類の伝熱ユニットを利用して、)巻線部23を放熱部材10に固定することができる。
【0034】
本実施形態では、巻線部23の軸方向における第一伝熱ブロック6の寸法L1が、巻線部23の軸方向の寸法L2よりも小さくなっている。そのため、第一伝熱ブロック6が巻線部23で生じる磁界MF(図4参照)を遮るように配置されることを防ぐことができる。これにより、第一伝熱ブロック6がアルミニウム等のように透磁性を有する材料で構成されていても、巻線部23の漏れ磁束によって第一伝熱ブロック6が発熱することを抑制することができる。なお、上記した第一伝熱ブロック6の寸法L1と巻線部23の寸法L2との差は、小さい方がより好ましい。当該差が小さい方が、第一伝熱ブロック6と巻線部23の接触面積が大きくなるので、巻線部23の熱を効率よく第一伝熱ブロック6に伝えることができる。
【0035】
本実施形態では、第二ヒートパイプ4に固定される第一伝熱ブロック6と第二伝熱ブロック7とが互いに間隔をあけて配置されている。そのため、第一及び第二伝熱ブロック6,7が一体に形成される場合と比較して、第一及び第二伝熱ブロック6,7が巻線部23の漏れ磁束を遮ることを抑制することができる。これにより、巻線部23の漏れ磁束によって第一及び第二伝熱ブロック6,7が発熱することを抑制することができる。
【0036】
本実施形態では、第三伝熱ブロック8が、第一ヒートパイプ3の第二部位32と放熱部材10との間に設けられる。そのため、第一ヒートパイプ3を放熱部材10に直接固定する場合よりも、第三伝熱ブロック8によって放熱部材10との接触面積を増やすことができる。これにより、巻線部23から第一ヒートパイプ3に伝わった熱を、第三伝熱ブロック8を介して放熱部材10に効率良く伝えることができる。
【0037】
本実施形態では、第二ヒートパイプ4の第二部位42に固定された第二伝熱ブロック7と、第一ヒートパイプ3の第二部位32に固定された第三伝熱ブロック8とが、放熱部材10上において互いに重なった状態で放熱部材10に固定される。これにより、放熱部材10上(載置面10a)における第二伝熱ブロック7及び第三伝熱ブロック8の配置領域が小さくなるため、放熱部材10の小型化を図ることができる。また、第二及び第三伝熱ブロック7,8が上下に重なった状態で配置されるため、第二及び第三伝熱ブロック7,8が巻線部23に対してその径方向に並ぶ場合と比較して、第一ヒートパイプ3あるいは第二ヒートパイプ4の長さを短くすることができる。
【0038】
本実施形態では、巻線部23の両側に配置される一対の第一伝熱ブロック6が、巻線部23を挟んだ状態でネジ止めによって互いに固定されるようになっている。そのため、線材の巻き方などに起因して巻線部23のサイズ(特に径寸法)がばらついても、一対の第一伝熱ブロック6の間隔を巻線部23のサイズに追従させることができる。一対の第一伝熱ブロック6を固定するネジ止めのトルクを一定にするだけで、ネジ止めに基づいて巻線部23に押し付けられる第一伝熱ブロック6の押付力にばらつきが生じることを抑制することができる。これにより、巻線部23と第一伝熱ブロック6との間の熱抵抗にばらつきが生じることを抑制することができる。したがって、巻線ユニットにおける巻線部23の放熱性能にばらつきが生じることを抑制することができる。
【0039】
〔第二実施形態〕
次に、図5及び図6を参照して本発明の第二実施形態について説明する。第二実施形態では、第一実施形態と同様の構成要素について同一符号を付す等して、その説明を省略する。本実施形態のトランス装置1Cは、第一実施形態のトランス装置1と同様の構成に加え、伝熱部材9をさらに備える。伝熱部材9は、アルミニウムや銅などの熱伝導率の高い材料によって構成される。伝熱部材9は、カバー部91と、複数の脚部92とを有する。
【0040】
カバー部91は、平板状に形成され、放熱部材10との間にコア21を挟むようにコア21の第二連結部214に重ねて配置される。カバー部91は、コア21の他に、二つの巻線部23及び第一伝熱ブロック6を上側から覆う。コア21の第二連結部214とカバー部91との間には放熱シート115が設けられる。放熱シート115は、コア21の第一連結部213と放熱部材10との間に介在する放熱シート15と同様であってよい。
【0041】
複数の脚部92はそれぞれ、カバー部91から放熱部材10に向かうように下方に延びる帯板状に形成されている。各脚部92は、巻線部23との間に第一伝熱ブロック6が位置するように第一伝熱ブロック6に重ねて配置される。各脚部92は、第一伝熱ブロック6に接触する。脚部92は、一つの第一伝熱ブロックに対し、二つの巻線部23の間の位置、及び二つの巻線部23の配列方向の両側の位置の合計三か所に配置されている。これにより、脚部92は、二つの第一伝熱ブロック6の配列方向から見て巻線部23と重ならないように配置される。
【0042】
脚部92は、巻線部23及び二つの第一伝熱ブロック6を挟み込むように二つの第一伝熱ブロック6の両側に配置されている。脚部92は、二つの第二伝熱ブロックに対し、合計六か所に配置されている。脚部92は、二つの第一伝熱ブロック6を固定するボルト18及びナット19(図3参照)を利用する等して、第一伝熱ブロック6に固定されてよい。
【0043】
脚部92は、第一伝熱ブロック6よりもさらに下方に延びている。脚部92の延長方向の先端部は、外側に折り曲げられて第二伝熱ブロック7に重ねて配置され、ネジ止めなどによって第二伝熱ブロック7に固定される。このように伝熱部材9が取り付けられることで、カバー部91が振動などによってコア21の第二連結部214から離れることを抑制又は防止することができる。
【0044】
伝熱部材9は、板状部材に折り曲げ加工などを施すことで形成されてよい。伝熱部材9は、コア21、巻線部23、第一ヒートパイプ3、第二ヒートパイプ4及び第一~第三伝熱ブロック6~8と共に第二実施形態の巻線ユニットを構成している。
【0045】
トランス装置1Cでは、コア21の第二連結部214の熱が伝熱部材9のカバー部91と脚部92を順番に経由して第一伝熱ブロック6に伝わり、第一伝熱ブロック6から第二ヒートパイプ4と第二伝熱ブロック7と第三伝熱ブロック8を順番に経由して載置面10aから放熱部材10に伝わる。
【0046】
第二実施形態によれば、第一実施形態と同様の効果を奏する。また、第二実施形態では、トランス装置1Cがコア21の第二連結部214の熱を第一伝熱ブロック6に伝える伝熱部材9を備える。このため、伝熱部材9がコア21の第二連結部214から放熱部材10まで延びる場合と比較して、伝熱部材9においてコア21の第二連結部214の熱を逃がす放熱経路を短くすることができる。第一及び第二ヒートパイプ3,4の熱伝導率は伝熱部材9よりも高いため、コア21の第二連結部214の熱を効率よく放熱部材10に逃がすことができる。
【0047】
第二実施形態では、伝熱部材9のカバー部91が、コア21の第二連結部214及び二つの巻線部23を上側から覆う。このため、巻線部23やコア21の熱がトランス2の上方に伝わることを抑制又は防止することができる。
【0048】
第二実施形態では、第一伝熱ブロック6に重なる脚部92が、二つの第一伝熱ブロック6の配列方向から見て巻線部23と重ならないように配置される。このため、脚部92が巻線部23で生じた磁界MF(図4参照)を遮ることを抑制又は防止することができる。これにより、脚部92を有する伝熱部材9がアルミニウム等のように透磁性を有する材料で構成されていても、巻線部23の漏れ磁束によって伝熱部材9(特に脚部92)が発熱することを抑制することができる。したがって、コア21の第二連結部214の熱を、効率よく伝熱部材9を経由して第一伝熱ブロック6に伝えることができる。
【0049】
第二実施形態において、脚部92の延長方向の先端部は、放熱部材10や第三伝熱ブロック8に固定されてもよい。伝熱部材9の脚部92は、二つの第一伝熱ブロック6の配列方向から見て巻線部23と重なるように配置されてもよい。
【0050】
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。本発明において、トランス2が固定される対象は、放熱部材10に限定されるものではなく、金属製のケース等であってもよい。トランス2において、コア21は、放熱部材10の載置面10aに直接接触して固定されてもよい。放熱部材10に対する第二伝熱ブロック7や第三伝熱ブロック8の固定手法は、ネジ止めに限らず、接着など任意の手法であってよい。
【0051】
本発明において、第二ヒートパイプ4の第一部位41は、少なくとも第一ヒートパイプ3の第一部位31よりも巻線部23の径方向外側に配置されればよく、巻線部23の内部に配置されてもよい。同一の巻線部23に取り付けられる第一ヒートパイプ3や第二ヒートパイプ4の数は、任意であってよい。同一の巻線部23に取り付けられる第一及び第二ヒートパイプ3,4の数は、例えば図7に示すように、互いに等しくてもよい。この場合には、巻線部23の内周部と外周部との温度差をさらに小さく抑えて、巻線部23の放熱効率をさらに向上することができる。本発明では、例えば図7に示すように、複数の第一ヒートパイプ3の第一部位31が巻線部23の周方向に等間隔で配列されてもよいし、複数の第二ヒートパイプ4の第一部位41が巻線部23の周方向に等間隔で配列されてもよい。この場合には、第一伝熱ブロック6などが無くても、巻線部23をその周方向において均等に冷却することが可能となる。
【0052】
本発明では、例えば図8に示すように、巻線部23の径方向において第一ヒートパイプ3が取り付けられる巻線部23の内周部と第二ヒートパイプ4が取り付けられる巻線部23の外周部との間の位置に、第三ヒートパイプ5が取り付けられてもよい。第三ヒートパイプ5は、径方向において巻線部23の内周部と外周部との間(すなわち巻線部23の内部)に位置する。第三ヒートパイプ5は、第一及び第二ヒートパイプ3,4と同様に、第三ヒートパイプ5の長手方向の第一端部側の部位(第一部位)が巻線部23側に位置し、第三ヒートパイプ5の第二端部側の部位(第二部位)が放熱部材10(図1図4参照)側に位置するように配置される。
【0053】
第三ヒートパイプ5を備える構成では、巻線部23の熱をさらに効率よく放熱部材10に逃がすことができる。以下、この点について詳しく説明する。巻線部23は、線材が周方向に延びるように、かつ、径方向に重なるように巻かれている。このため、巻線部23では、その周方向における熱抵抗が小さいが、径方向における熱抵抗は大きい。このことから、径方向における巻線部23の中途部分(外周部と内周部との間の部分)において生じた熱は、巻線部23の内周部や外周部に配置された第一及び第二ヒートパイプ3,4に伝わりにくい。これに対し、第三ヒートパイプ5を備える構成では、巻線部23の中途部分の熱を第三ヒートパイプ5によって効率よく放熱部材10に逃がすことができる。従って、巻線部23の熱をさらに効率よく放熱部材10に逃がすことができる。すなわち、巻線部23の放熱効率を向上することができる。
【0054】
本発明では、第二伝熱ブロック7と第三伝熱ブロック8とが、この順番で載置面10a上に重ねて配置されてもよい。第二伝熱ブロック7は、放熱部材10の載置面10aに直接接触してもよい。第二伝熱ブロック7と載置面10aとの間には、放熱シート15だけが設けられてもよい。第三伝熱ブロック8は、放熱部材10の載置面10aに直接接触してもよい。
【0055】
本発明において、第一伝熱ブロック6は、巻線部23の外周面に直接接触してもよい。複数の巻線部23の配列方向に並ぶ複数の第一ヒートパイプ3の第二部位32は、配列方向に長く延びる同一の第三伝熱ブロック8に固定されてもよい。巻線部23は、ボビン22に巻き回されることに限らず、少なくとも導電性の線材を巻き回すことで筒状に形成されればよい。第二ヒートパイプ4は、第一伝熱ブロック6を利用せずに任意の手法で巻線部23に対して固定されてよい。第一及び第二ヒートパイプ3,4は、第二及び第三伝熱ブロック7,8に限らず、任意の手法で放熱部材10に固定されてよい。本発明において、巻線部23は、トランス2に限らず、チョークコイルなど他の巻線部品を構成してよい。
【符号の説明】
【0056】
1,1C トランス装置
2 トランス
21 コア
22 ボビン
23 巻線部
3 第一ヒートパイプ
31 第一部位(第一端部側の部位)
32 第二部位(第二端部側の部位)
4 第二ヒートパイプ
41 第一部位(第一端部側の部位)
42 第二部位(第二端部側の部位)
5 第三ヒートパイプ
6 第一伝熱ブロック
7 第二伝熱ブロック
8 第三伝熱ブロック
9 伝熱部材
91 カバー部
92 脚部
10 放熱部材(固定対象)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8