(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022127546
(43)【公開日】2022-08-31
(54)【発明の名称】(メタ)アクリルアミド系水溶性重合体粉末及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
C08L 33/26 20060101AFI20220824BHJP
C08K 3/30 20060101ALI20220824BHJP
C08K 5/07 20060101ALI20220824BHJP
C08K 5/405 20060101ALI20220824BHJP
C08K 5/42 20060101ALI20220824BHJP
C08K 5/098 20060101ALI20220824BHJP
C08F 220/56 20060101ALI20220824BHJP
【FI】
C08L33/26
C08K3/30
C08K5/07
C08K5/405
C08K5/42
C08K5/098
C08F220/56
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021025748
(22)【出願日】2021-02-19
(71)【出願人】
【識別番号】306048535
【氏名又は名称】MTアクアポリマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100163120
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 嘉弘
(72)【発明者】
【氏名】山本 和男
(72)【発明者】
【氏名】逆井 一也
【テーマコード(参考)】
4J002
4J100
【Fターム(参考)】
4J002BG131
4J002DG046
4J002EE047
4J002EG029
4J002EV128
4J002FD036
4J002FD037
4J002FD038
4J002FD039
4J002GC00
4J002HA09
4J100AK08Q
4J100AM15P
4J100CA04
4J100DA09
4J100FA03
4J100FA21
4J100FA28
4J100FA30
4J100GC32
4J100JA24
(57)【要約】 (修正有)
【課題】不溶解分の生成が抑制された(メタ)アクリルアミド系水溶性重合体粉末及びその製造方法を提供する。
【解決手段】少なくとも(メタ)アクリルアミド系化合物を含む単量体混合物を、所定量のチオ硫酸塩の存在下でレドックス重合した後に乾燥して得られる(メタ)アクリルアミド系水溶性重合体粉末は、乾燥時における不溶解分の生成が大幅に抑制される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも(メタ)アクリルアミド系化合物に由来する単量体単位を含む重合体と、
チオ硫酸塩と、
を含む(メタ)アクリルアミド系水溶性重合体粉末であって、
前記チオ硫酸塩の含有量が、前記重合体を構成する全単量体単位に対して2×10-3モル%以上であることを特徴とする(メタ)アクリルアミド系水溶性重合体粉末。
【請求項2】
前記チオ硫酸塩がチオ硫酸ナトリウムである、請求項1に記載の(メタ)アクリルアミド系水溶性重合体粉末。
【請求項3】
前記重合体が前記(メタ)アクリルアミド系化合物と、
(メタ)アクリル酸及びその塩、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸及びその塩、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びその四級塩から選択される少なくとも1種と、
の共重合体である、請求項1又は2に記載の(メタ)アクリルアミド系水溶性重合体粉末。
【請求項4】
分子内に1,3-ジオン構造を有する化合物を含む、請求項1乃至3の何れか1項に記載の(メタ)アクリルアミド系水溶性重合体粉末。
【請求項5】
チオ尿素又はギ酸塩を含む、請求項1乃至4の何れか1項に記載の(メタ)アクリルアミド系水溶性重合体粉末。
【請求項6】
水不溶解分が10質量%以下である、請求項1乃至5の何れか1項に記載の(メタ)アクリルアミド系水溶性重合体粉末。
【請求項7】
少なくとも(メタ)アクリルアミド系化合物を含む単量体混合物を水溶液重合して重合体ゲルを得、次いで前記重合体ゲルを乾燥及び粉砕する(メタ)アクリルアミド系水溶性重合体粉末の製造方法であって、
前記水溶液重合はチオ硫酸塩の存在下で、酸化剤及び還元剤との組み合わせから成るレドックス開始剤を使用して行うことを特徴とする(メタ)アクリルアミド系水溶性重合体粉末の製造方法。
【請求項8】
前記チオ硫酸塩がチオ硫酸ナトリウムである、請求項7に記載の(メタ)アクリルアミド系水溶性重合体粉末の製造方法。
【請求項9】
前記チオ硫酸塩の添加量が前記酸化剤の添加量の10倍モル超である、請求項7又は8に記載の(メタ)アクリルアミド系水溶性重合体粉末の製造方法。
【請求項10】
前記単量体混合物が前記(メタ)アクリルアミド系化合物と、
(メタ)アクリル酸及びその塩、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸及びその塩、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びその四級塩から選択される少なくとも1種と、
を含む、請求項7乃至9の何れか1項に記載の(メタ)アクリルアミド系水溶性重合体粉末の製造方法。
【請求項11】
前記水溶液重合が断熱的水溶液重合である、請求項7乃至10の何れか1項に記載の(メタ)アクリルアミド系水溶性重合体粉末の製造方法。
【請求項12】
前記酸化剤が有機過酸化物、及び過硫酸塩から選択される少なくとも1種であり、
前記還元剤が無機塩及びアミンから選択される少なくとも1種である、請求項7乃至11の何れか1項に記載の(メタ)アクリルアミド系水溶性重合体粉末の製造方法。
【請求項13】
水溶液重合の開始前にアゾ化合物を添加する、請求項7乃至12の何れか1項に記載の(メタ)アクリルアミド系水溶性重合体粉末の製造方法。
【請求項14】
水溶液重合の開始前に分子内に1,3-ジオン構造を有する化合物を添加する、請求項7乃至13の何れか1項に記載の(メタ)アクリルアミド系水溶性重合体粉末の製造方法。
【請求項15】
水溶液重合の開始前にチオ尿素又はギ酸塩を添加する、請求項7乃至14の何れか1項に記載の(メタ)アクリルアミド系水溶性重合体粉末の製造方法。
【請求項16】
前記重合体ゲルの水分量を維持しながら90~120℃で加熱する熱処理工程をさらに有する、請求項7乃至15の何れか1項に記載の(メタ)アクリルアミド系水溶性重合体粉末の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(メタ)アクリルアミド系水溶性重合体粉末及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、チオ硫酸塩の存在下でレドックス重合された(メタ)アクリルアミド系水溶性重合体粉末であって、不溶解分の少ない(メタ)アクリルアミド系水溶性重合体粉末及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アクリルアミドの単独重合体や、アクリルアミドと、アニオン性又はカチオン性単量体と共重合した共重合体から成る粉末状のアクリルアミド系水溶性重合体は、凝集剤や凝結剤、製紙工程用薬剤、石油三次回収用薬剤として各産業で広く使用されている。これらの用途においては、分子量が高いほど性能が良い場合が多く、1000万を超える分子量を有する重合体が要求される場合がある。このような重合体は、一般的にラジカル重合を行った後に、乾燥及び粉砕することにより製造される。
【0003】
工業的な乾燥方法は、一般的に、水溶液重合で得られた重合体を回転型通気乾燥機や流動層乾燥機のような熱風乾燥機を用いて乾燥する方法が用いられる。しかし、非常に高い分子量の場合、生産性の向上を企図して高温で乾燥させると、分子内及び分子間で架橋が起こり、水に対する不溶解成分が多量に発生する。そのため、凝集剤等としての役目を果たさなくなる。
【0004】
生産性を低下させずに、水不溶解分を低減する方法として様々な方法が提案されている。特許文献1には、モノマー混合液にアゾ化合物を共存させて重合し、得られたゲル状重合体を80℃ないし150℃の温度で水分量を維持しながら加熱することで水不溶解分の量が顕著に減少すると開示されている。
【0005】
また、不溶解防止効果を持つ化合物を添加する方法として、特許文献2には、アミンを添加する方法、特許文献3には、尿素化合物と水溶性窒素化合物を併用して添加する方法、特許文献4には、エチレントリチオカーボネート、チオニコチン酸アミドのような硫黄化合物を添加する方法、特許文献5には、ピリジン又はピリジン誘導体を添加する方法、特許文献6には、1,3-ジオン残基を含有する環式有機化合物を添加する方法が開示されている。しかし、これらの方法は、高分子量であり且つ水不溶解分が非常に少ないアクリルアミド系水溶性重合体を製造する方法としては十分ではない。
【0006】
チオ硫酸塩をラジカル重合系に添加する方法はいくつか見られる。特許文献7には、水膨潤性ポリマーの重合速度調整のために、レドックス開始剤の還元剤としてチオ硫酸塩を使用する方法、特許文献8には、懸濁重合の還元剤としてチオ硫酸塩を使用する方法、特許文献9には、重合性改善のために酸素吸収剤としてチオ硫酸塩を使用する方法、特許文献10には、重合系の酸素吸収剤としてチオ硫酸塩を添加する方法が開示されているが、不溶解分の低減に関する記載はない。
【0007】
特許文献11には、アルデヒドを不純物として含有する(メタ)アクリル酸モノマーとそれと共重合可能なモノマーを使用し、レドックス開始剤の還元剤としてチオ硫酸塩を酸化剤に対して特定の比率で添加して水溶液重合して得られたポリマーの乾燥物は、その溶解性が改善する旨の記載がある。しかし、工業的に高重合度のアクリルアミド系水溶性重合体を製造する場合、実質的にアルデヒドを含まないモノマーを使用するのが一般的であり、本発明の範疇ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特公昭63-20842
【特許文献2】特公昭56-39657
【特許文献3】特公昭60-50808
【特許文献4】特開平5-230141
【特許文献5】特開平8-208720
【特許文献6】特開昭56-67312
【特許文献7】特開平1-234402
【特許文献8】特開2000-026512
【特許文献9】特開平10-049810
【特許文献10】特許4287284
【特許文献11】特開昭61-275308
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、不溶解分の生成が抑制された(メタ)アクリルアミド系水溶性重合体粉末及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは上記課題について鋭意検討を進めた結果、少なくとも(メタ)アクリルアミド系化合物を含む単量体混合物を、所定量のチオ硫酸塩の存在下でレドックス重合した後に乾燥して得られる(メタ)アクリルアミド系水溶性重合体粉末は、乾燥時における不溶解分の生成が大幅に抑制されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、第1の本発明は、
〔1〕 少なくとも(メタ)アクリルアミド系化合物に由来する単量体単位を含む重合体と、
チオ硫酸塩と、
を含む(メタ)アクリルアミド系水溶性重合体粉末であって、
前記チオ硫酸塩の含有量が、前記重合体を構成する全単量体単位に対して2×10-3モル%以上であることを特徴とする(メタ)アクリルアミド系水溶性重合体粉末である。
【0012】
上記第1の発明においては、
〔2〕 チオ硫酸塩が、チオ硫酸ナトリウムであることが好ましく、
〔3〕 重合体が、(メタ)アクリルアミド系化合物と、
(メタ)アクリル酸及びその塩、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸及びその塩、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びその四級塩から選択される少なくとも1種と、
の共重合体であることが好ましく、
〔4〕 分子内に1,3-ジオン構造を有する化合物を含むことが好ましく、
〔5〕 チオ尿素又はギ酸塩を含むことが好ましく、
〔6〕 水不溶解分が、10質量%以下であることが好ましい。
【0013】
第2の本発明は、
〔7〕 少なくとも(メタ)アクリルアミド系化合物を含む単量体混合物を水溶液重合して重合体ゲルを得、次いで前記重合体ゲルを乾燥及び粉砕する(メタ)アクリルアミド系水溶性重合体粉末の製造方法であって、
前記水溶液重合はチオ硫酸塩の存在下で、酸化剤及び還元剤との組み合わせから成るレドックス開始剤を使用して行うことを特徴とする(メタ)アクリルアミド系水溶性重合体粉末の製造方法である。
【0014】
上記第2の発明においては、
〔8〕 チオ硫酸塩が、チオ硫酸ナトリウムであることが好ましく、
〔9〕 チオ硫酸塩の添加量が、酸化剤の添加量の10倍モル超であることが好ましく、
〔10〕 単量体混合物が、(メタ)アクリルアミド系化合物と、
(メタ)アクリル酸及びその塩、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸及びその塩、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びその四級塩から選択される少なくとも1種と、
を含むことが好ましく、
〔11〕 水溶液重合が、断熱的水溶液重合であることが好ましく、
〔12〕 酸化剤が、有機過酸化物及び過硫酸塩から選択される少なくとも1種であり、
還元剤が、無機塩及びアミンから選択される少なくとも1種であることが好ましく、
〔13〕 水溶液重合の開始前にアゾ化合物を添加することが好ましく、
〔14〕 水溶液重合の開始前に分子内に1,3-ジオン構造を有する化合物を添加することが好ましく、
〔15〕 水溶液重合の開始前にチオ尿素又はギ酸塩を添加することが好ましく、
〔16〕 重合体ゲルの水分量を維持しながら90~120℃で加熱する熱処理工程をさらに有することが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の(メタ)アクリルアミド系水溶性重合体粉末は、水への溶解が容易であり、且つ水不溶解分が少ない。この(メタ)アクリルアミド系水溶性重合体粉末は、生活排水及び産業排水の汚泥の凝集剤;歩留向上剤、濾水性向上剤、及び地合形成助剤等の製紙用薬剤;掘削・泥水処理用凝集剤;原油増産用添加剤;有機凝結剤;増粘剤;分散剤;スケール防止剤;帯電防止剤;及び繊維用処理剤等の幅広い用途に応用することが可能である。
また、本発明の製造方法によれば、新たな設備を導入することなく、上記の(メタ)アクリルアミド系水溶性重合体粉末を経済的に製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明について詳細に説明する。
なお、本明細書において、アクリレート及び/又はメタクリレートは、(メタ)アクリレートと表し; アクリルアミド及び/又はメタクリルアミドは、(メタ)アクリルアミドと表し; アクリル酸及び/又はメタクリル酸は、(メタ)アクリル酸と表すことがある。
【0017】
本発明は、少なくとも(メタ)アクリルアミド系化合物に由来する単量体単位を含む重合体と、
チオ硫酸塩と、
を含む(メタ)アクリルアミド系水溶性重合体粉末であって、
前記チオ硫酸塩の含有量が、前記重合体を構成する全単量体単位に対して2×10-3モル%以上であることを特徴とする(メタ)アクリルアミド系水溶性重合体粉末である。
【0018】
(メタ)アクリルアミド系化合物は、下記化学式(1)で表される。
CH2=CR1-CO-NR2R3 ・・・化(1)
但し、上記化学式(1)において、R1は水素原子又はメチル基であり、R2及びR3はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1~8のアルキル基である。
【0019】
上記化学式(1)で表される(メタ)アクリルアミド系化合物の中でも、水溶性であり、高分子凝集剤としての性能が特に優れることから、(メタ)アクリルアミドが好ましく、アクリルアミドが特に好ましい。これらの(メタ)アクリルアミド系化合物は、単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
【0020】
(メタ)アクリルアミド系化合物に由来する単量体単位を含む重合体としては、(メタ)アクリルアミド系化合物と、当該(メタ)アクリルアミド系化合物と共重合可能なアニオン性単量体又はカチオン性単量体と、の共重合体であることが好ましい。
【0021】
アニオン性単量体としては、(メタ)アクリル酸、ビニルスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、マレイン酸、及びこれらの塩が例示される。塩としては、アンモニウム塩、ナトリウム塩及びカリウム塩等のアルカリ金属塩が好ましい。これらの中でも、(メタ)アクリル酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、及びこれらの塩が好ましい。これらのアニオン性単量体は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0022】
カチオン性単量体としては、下記化学式(2)で表される化合物の他、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド等のジアリルジアルキルアンモニウムハロゲン化物が例示される。これらのカチオン性単量体の中でも、ラジカル重合反応性に優れており、高分子量化が容易であり、得られる重合体の高分子凝集剤としての性能が優れることから、下記化学式(2)で表される化合物が好ましい。
CH2=CR1-CO-X-Q-N+R2R3R4・Z- ・・・化(2)
但し、R1は水素原子又はメチル基、R2及びR3はそれぞれ独立に炭素数1~3のアルキル基又はベンジル基、R4は水素原子、炭素数1~3のアルキル基又はベンジル基であり、同種でも異種でもよい。Xは酸素原子又はNH、Qは炭素数1~4のアルキレン基又は炭素数2~4のヒドロキシアルキレン基、Z-は対アニオンをそれぞれ表し、Z-としては、塩化物イオン等のハロゲン化物イオンや硫酸イオンが例示される。
【0023】
上記化学式(2)で表されるカチオン性単量体としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートや、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドの塩酸塩及び硫酸塩が例示される。また、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートやジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドの塩化メチル等のハロゲン化アルキル付加物、塩化ベンジル等のハロゲン化ベンジル付加物、硫酸ジメチル等の硫酸ジアルキル付加物等である第4級塩が例示される。特に、高分子凝集剤に必要な高分子量化が容易であるという理由から、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートの塩化メチル四級塩及び塩化ベンジル四級塩が好ましい。これらのカチオン性単量体は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0024】
本発明において、単量体混合物中の各単量体の配合比(モル比)には特に制限がない。単量体混合物中の各単量体の配合比(モル比)は、カチオン性単量体:アニオン性単量体:(メタ)アクリルアミド系化合物=0~99:0~99:1~100であり、0~90:0~90:10~100であることが好ましい。
【0025】
チオ硫酸塩としては、チオ硫酸のアンモニウム塩、カルシウム塩、カリウム塩、及びナトリウム塩が例示される。特に好ましいチオ硫酸塩は、チオ硫酸ナトリウムである。
【0026】
チオ硫酸塩の含有量は、重合体を構成する全単量体単位に対して2×10-3モル%以上であり、5×10-3モル%以上であることが好ましく、8×10-3モル%以上であることがより好ましい。2×10-3モル%未満である場合、不溶解分を抑制する効果が不十分となる場合がある。チオ硫酸塩の含有量の上限は特に限定されないが、重合体を構成する全単量体単位に対して5×10-1モル%以下であることが好ましく、1×10-1モル%以下であることがより好ましい。5×10-1モル%を超える場合、主として経済性の観点から好ましくない場合がある。
【0027】
本発明におけるチオ硫酸塩の効果については明らかではないが、酸素の存在下の高温乾燥工程においてポリマーの酸化により発生する過酸化物を還元的に分解して不活性化し、ラジカルの発生を抑制することで、分子内及び分子間の架橋が抑制されると、本発明者らは推測している。
【0028】
本発明の(メタ)アクリルアミド系水溶性重合体粉末は、上記のチオ硫酸塩とともに、不溶解防止効果を持つ他の化合物を含んでいても良い。不溶解防止効果を持つ化合物としては、分子内に1,3-ジオン構造を有する化合物、チオ尿素、及びギ酸塩が挙げられる。分子内に1,3-ジオン構造を有する化合物としては、5,5-ジメチル-1,3-シクロヘキサンジオン、1,3-シクロヘキサンジオン、及びバルビツール酸が例示されるが、5,5-ジメチル-1,3-シクロヘキサンジオンが特に好ましい。ギ酸塩としては、ギ酸ナトリウムが例示される。これらの化合物は2種以上を併用しても良い。
【0029】
これらの化合物の含有量は、全単量体単位に対して5×10-4~1000×10-4モル%であることが好ましく、10×10-4~500×10-4モル%であることがより好ましい。
【0030】
本発明の(メタ)アクリルアミド系水溶性重合体粉末は、後述の方法によって測定される水不溶解分が10質量%以下であることが好ましく、6質量%以下であることがより好ましい。
【0031】
本発明の(メタ)アクリルアミド系水溶性重合体粉末は、後述の方法によって測定される標準粘度が1~15mPa・sであることが好ましく、2~15mPa・sであることがより好ましく、2~10mPa・sであることがさらに好ましい。
【0032】
次に、本発明の(メタ)アクリルアミド系水溶性重合体粉末の製造方法について説明する。本発明の(メタ)アクリルアミド系水溶性重合体粉末は、少なくとも(メタ)アクリルアミド系化合物を含む単量体混合物を水溶液重合して重合体ゲルを得、次いで前記重合体ゲルを乾燥及び粉砕することによって製造できる。ここで、前記水溶液重合は、チオ硫酸塩の存在下で、酸化剤及び還元剤との組み合わせから成るレドックス開始剤を使用して行われる。
【0033】
先ず、少なくとも(メタ)アクリルアミド系化合物を含む単量体混合物の水溶液を調製し、この単量体混合物をチオ硫酸塩の存在下でレドックス開始剤を用いて水溶液重合し、重合体ゲルを得る。
【0034】
(メタ)アクリルアミド系化合物、(メタ)アクリルアミド系化合物と共重合可能な単量体、及びチオ硫酸塩については、上記で説明したとおりである。
【0035】
チオ硫酸塩の添加量は、レドックス開始剤を構成する酸化剤の添加量の10倍モル超であり、12倍モル超であることが好ましく、20倍モル超であることがより好ましく、50倍モル超であることがさらに好ましい。10倍モル以下である場合、不溶解分を抑制する効果が不十分となる場合がある。チオ硫酸塩の添加量の上限は特に限定されないが、レドックス開始剤を構成する酸化剤の添加量の3000倍モル未満であることが好ましく、1500倍モル未満であることがより好ましい。3000倍モル以上である場合、主として経済性の観点から好ましくない場合がある。
【0036】
本発明の(メタ)アクリルアミド系水溶性重合体粉末の製造方法では、重合開始後に単量体混合物の水溶液の粘度が上昇しゲル状物となる。そのため、重合開始後にチオ硫酸塩を均一に添加することが困難となる。したがって、チオ硫酸塩は単量体混合物の水溶液に予め混合しておくことが好ましい。チオ硫酸塩の添加は、重合開始24時間前から1時間前が好ましい。
【0037】
本発明の製造方法においては、上記のチオ硫酸塩とともに、不溶解防止効果を持つ他の化合物を添加しても良い。不溶解防止効果を持つ他の化合物は上述したとおりである。また、これらの化合物は単量体混合物の水溶液に予め混合しておくことが好ましい。添加は重合開始24時間前から1時間前が好ましい。
【0038】
レドックス開始剤は、公知の酸化剤と還元剤との組み合わせから成る。
【0039】
酸化剤としては、有機過酸化物、過硫酸塩及び過酸化水素が挙げられる。有機過酸化物としては、ハイドロパーオキサイド、ジハイドロパーオキサイドが挙げられる。ハイドロパーオキサイドとしては、t-ブチルハイドロパーオキサイド、1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、及びp-メンタンハイドロパーオキサイドが例示され、ジハイドロパーオキサイドとしては、2,5-ジメチルヘキサン-2,5-ジハイドロパーオキサイドが例示され、過硫酸塩としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム及び過硫酸カリウムが例示される。これらは、2種以上を組み合わせて用いてもよい。酸化剤の添加量は、全単量体のモル数に対して、0.1×10-4~50×10-4モル%であることが好ましく、0.3~25×10-4モル%であることがより好ましい。
【0040】
還元剤としては、無機塩、アミン化合物が挙げられ、無機塩としては硫酸第一鉄、硫酸第1鉄塩、亜硫酸塩が挙げられる。硫酸第1鉄塩としては、硫酸第1鉄アンモニウムが例示され、亜硫酸塩としては、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、及び2亜硫酸ナトリウムが例示される。アミン化合物としては3級アミンが挙げられ、トリメチルアミンが例示される。これらは、2種以上を組み合わせて用いてもよい。還元剤の添加量は、全単量体のモル数に対して、0.1×10-4~50×10-4モル%であることが好ましく、0.3~25×10-4モル%であることがより好ましい。
【0041】
レドックス開始剤に加えてアゾ開始剤を添加して重合しても良い。アゾ系開始剤を重合前の単量体混合物に添加しておくと、重合時の発熱により分解し、水溶性重合体の重合を促進し、残留モノマーを低減させる効果がある。アゾ開始剤としては特に制限はないが、10時間半減期温度が30~100℃の範囲にあることが好ましい。この範囲のアゾ化合物としては、水溶性の2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)ジハイドロクロリド、4,4’-アゾビスシアノ吉草酸、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジハイドロクロリド、油溶性の2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、ジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)などが挙げられる。その添加量は、これらのアゾ化合物の少なくとも1種以上を全単量体のモル数に対して、0.02~0.2モル%添加するのが好ましい。また、アゾ開始剤は単量体混合物に事前に添加しておくことが好ましい。
【0042】
レドックス開始剤によって重合反応が開始する。重合反応中に加熱したり、重合反応に伴い発生する反応熱を除去したりしても本発明の効果は十分得られるが、意図的な加熱や除熱を行わない水溶液重合である断熱的水溶液重合を採用することが好ましい。断熱的水溶液重合においては、重合開始とともに反応温度が上昇し、重合がほぼ完結するとともに温度上昇は停止し、最高温度に達する。本発明においては、最高到達温度が50~100℃となるようにするのが好ましい。この最高温度は、水溶液中の単量体濃度と重合開始温度によって変動するので、これらを適宜調整することにより最高温度を制御できる。
【0043】
水溶液中における単量体混合物の濃度は、15~50質量%とすることが好ましく、20~35質量%とすることが特に好ましい。単量体混合物の水溶液のpHは3~10に調整することが好ましい。重合開始温度は-15~30℃であることが好ましく、-10~15℃であることがより好ましい。
【0044】
このようにして得られる重合体を含む水溶液は、ゲル状の物質である。重合は、適当な反応容器で回分的に行うこともできるし、ベルトコンベア等の上に連続的に流し込み、連続的に行うこともできる。
【0045】
分子量を調節する目的で連鎖移動剤を使用しても良い。その種類は特に制限されない。本発明で使用可能な連鎖移動剤としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類; メチルアミン、ジメチルアミン等のアミン類; メタンチオール、エタンチオール等のチオール類; メタリルスルホン酸メルカプトエタノール及びメルカプトプロピオン酸等のチオール化合物; 亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム及び次亜リン酸ナトリウム等の還元性無機塩類; メタリルスルホン酸ナトリウム等の有機系スルホン酸化合物が例示される。これらの中でも単量体混合物の水溶液への溶解度が高く、少量の添加量でも効果が高く、分子量を容易に調整できる等の理由から、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、次亜リン酸ナトリウム、メタリルスルホン酸ナトリウムが好ましい。
これらの連鎖移動剤は単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。また、これら連鎖移動剤は単量体混合物に事前に添加しておくことが好ましい。
【0046】
連鎖移動剤の添加量は特に制限されない。アルコール類の場合は単量体混合物中の各単量体の合計質量に対して、0.01~10質量%が好ましく、次亜リン酸ナトリウム、メタリルスルホン酸ナトリウムの場合は5×10-4~0.1質量%が好ましい。
【0047】
本発明では不溶解分をさらに低減するために、水溶液重合して得られたゲル状重合体の水分量を実質的に変動させることなく熱処理することが好ましい。熱処理の温度は90~120℃が好ましく、経済的な理由から91℃~100℃がさらに好ましい。また、熱処理の時間は50~200分間が好ましい。本発明では、水分量を実質的に変動させることなく熱処理する方法として、ゲル状重合体を飽和水蒸気雰囲気下で加熱する方法や、水を通さない樹脂製物質中に密封して温浴中に入れるなどの方法が例示される。水分量を実質的に変動させないとは、熱処理後における水分量が熱処理前の水分量の90~120質量%の範囲であることを意味する。90質量%未満である場合、水不溶解分が増える場合があり、120質量%超である場合、ゲル状重合体のハンドリングに支障が出る場合がある。
【0048】
水溶液重合が終了したゲル状重合体、又は熱処理が終了したゲル状重合体は、適当な方法で小さく切断された後に乾燥される。切断の方法は公知の方法でよく、ミートチョッパーによる切断等が挙げられる。乾燥の方法は公知の方法で良く、効率の観点から熱風乾燥が好ましく、通風乾燥機や回転乾燥機、流動層乾燥機などによる熱風乾燥が挙げられる。乾燥後は公知の方法で粉砕しても良い。
【0049】
本発明の製造方法により得られる(メタ)アクリルアミド系水溶性重合体粉末は、主として高分子凝集剤として使用される。具体的には、下水処理、し尿処理及び生活廃水処理等で発生する汚泥の他、食品工場、食肉加工及び化学工場等の各種産業廃水処理で発生する汚泥、養豚場等の畜産関係で発生する生し尿及びその廃水処理で発生する汚泥、パルプ又は製紙工業で発生する汚泥等の各種汚泥に添加してフロックを形成した後、脱水処理される。脱水装置としては、特に制限されないが、スクリュープレス型脱水機、ベルトプレス型脱水機、フィルタープレス型脱水機、スクリューデカンター、多重円盤等が例示される。
【実施例0050】
以下、実施例によりさらに具体的に本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。各種物性の測定方法は以下の通りである。各種物性の測定における温度条件は、特に断りのない限り25℃である。
【0051】
〔固形分量〕
サンプルを105℃で90分間乾燥した。乾燥前後における質量から固形分を算出した。
【0052】
〔標準粘度〕
サンプルを蒸留水に溶解し、固形分換算で0.1質量%溶解液を調製した。この水溶液を150メッシュのステンレス金網を用いて全量濾過し、濾液に1mol%となるように塩化ナトリウムを加えて溶解し塩溶解液とした。この溶解液の粘度を東機産業製TVB10M型粘度計でTMLアダプターを用い、25℃の恒温水槽に浸しながら回転数60rpmにて測定した。測定開始後3min以降で1min以上安定した粘度値を標準粘度とした。標準粘度が10を超える場合は、回転数を30rpmに変更して測定した。なお、標準粘度が高いほど分子量が大きい。
【0053】
〔水不溶解分〕
サンプルを秤取り、蒸留水に溶解し、固形分換算で0.1質量%の溶解液を400ml調製した。150メッシュのステンレス金網を用いて全量濾過し、残渣を200mlの蒸留水で洗浄後、金網ごと105℃で約16時間乾燥させ、金網に残った残渣の質量を測定した。サンプルの固形分量に対する残渣の割合を不溶解分とした。なお、全量濾過できなかったサンプルはその旨記載した。
【0054】
〔実施例1〕
50質量%アクリルアミド水溶液744.0gと、31質量%アクリル酸ナトリウム水溶液300.0gと、脱イオン水376.0gとを混合した。これに、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)を0.6581g(全単量体モル数に対して0.055モル%)をメタノール12.75gに溶解した溶液を添加し、チオ硫酸ナトリウム5水和物0.2418g(全単量体モル数に対して157×10-4モル%)を加えて溶解した。水酸化ナトリウム溶液を用いて溶液pHを7.5とした。この単量体混合液を1時間静置した。
この単量体混合液を冷却した後、デュワー瓶に入れて蓋をし、窒素を2L/minの速度で導入し、十分に脱酸素を行った。温度が2℃となった段階で、窒素で脱酸素した過硫酸アンモニウム2.343mg(全単量体モル数に対し1.65×10-4モル%)を含む40ml水溶液と、硫酸第一鉄アンモニウム3.66mg(全単量体モル数に対し1.5×10-4モル%)を含む水溶液40mlをシリンジにとり、同時にデュワー瓶に投入し、素早く攪拌して反応を開始させた。この段階での単量体濃度は31質量%であった。反応開始後60分間で最高温度95℃に到達した。さらに180分間保持を続けた後、ゲル状重合物をデュワー瓶から取り出した。これをミートチョッパーで2~3mmの粒状に切断し、95℃の通風乾燥機で90分間乾燥を行った。この乾燥物を粉砕してサンプルとした。サンプルの固形分は93質量%であった。標準粘度は5.9mPa・sであり、水不溶解分は3.01質量%であった。
【0055】
〔実施例2~5、7~11、13~17、比較例1~4、6〕
表1に記載された配合、条件に変更した他は、実施例1と同様にしてサンプルを調製した。
結果は表1に示した。
【0056】
〔実施例6〕
50質量%アクリルアミド水溶液594.0gと、31質量%アクリル酸ナトリウム水溶液493.6gと、蒸留水332.4gとを混合した。これに、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)0.6698gをメタノール11.25gに溶解した溶液を添加し、チオ硫酸ナトリウム5水和物0.1931g(全単量体モル数に対して134×10-4モル%)を加えて溶解した。水酸化ナトリウム溶液を用いてpHを8.0とした。この単量体混合液を3時間静置した。
この単量体混合液を冷却した後、デュワー瓶に入れて蓋をし、窒素を2L/minの速度で導入し、十分に脱酸素を行った。温度が-1℃となった段階で、窒素で脱酸素した過硫酸アンモニウム1.192mg(全単量体モル数に対し0.9×10-4モル%)を含む40ml水溶液と、硫酸第一鉄アンモニウム2.049mg(全単量体モル数に対し0.9×10-4モル%)を含む水溶液40mlをシリンジにとり、同時にデュワー瓶に投入し、素早く攪拌して反応を開始させた。この段階での単量体濃度は30質量%であった。反応開始後120分間で最高温度84℃に到達した。さらに、120分間保持を続けた後、ゲル状重合物をデュワー瓶から取り出した。これを、約10センチ径×7~10センチに切断し、ポリエチレン製の袋に密着包装した。これを95℃の湯浴に投入して100分間熱処理した後、ミートチョッパーで2~3mmの粒状に切断し、内温95℃の通風乾燥機で90分間乾燥を行った。この乾燥物を粉砕してサンプルとした。サンプルの固形分は93質量%であった。標準粘度は7.2mPa・sであり、水不溶解分は0.65質量%であった。
【0057】
〔実施例12、比較例5、7〕
表1に記載された配合、条件に変更した他は、実施例6と同様にしてサンプルを調製した。
結果は表1に示した。
【0058】
表1における略号については、下記のものを表す。
アクリルアミド: AMD
アクリル酸ナトリウム: SAA
2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウム: AMPS-Na
ジメチルアミノエチルアクリレートメチルクロライド四級塩: DAC
ジメチルアミノエチルメタクリレートの塩化メチル第4級塩: DMC
過硫酸アンモニウム: APS
硫酸第一鉄アンモニウム: FAS
パーオキサイドA: 2,5-ジメチルヘキサン-2,5-ジハイドロパーオキサイド
パーオキサイドB: 1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド
パーオキサイドC: t-ブチルハイドロパーオキサイド
アゾA: 2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)
アゾB: 4,4’-アゾビスシアノ吉草酸
1,3-ジオン化合物: 5,5-ジメチル-1,3-シクロヘキサンジオン
【0059】
少なくとも(メタ)アクリルアミド系化合物を含む単量体混合物を水溶液重合して重合体ゲルを得、次いで前記重合体ゲルを乾燥及び粉砕する(メタ)アクリルアミド系水溶性重合体粉末の製造方法であって、
前記水溶液重合はチオ硫酸塩の存在下で、酸化剤及び還元剤との組み合わせから成るレドックス開始剤を使用して行い、
前記チオ硫酸塩の使用量が、(メタ)アクリルアミド系水溶性重合体を構成する全単量体単位に対して2×10
-3
モル%以上、5×10
-1
モル%以下であることを特徴とする(メタ)アクリルアミド系水溶性重合体粉末の製造方法。
水溶液重合の開始前に分子内に1,3-ジオン構造を有する化合物を添加する、請求項7乃至13の何れか1項に記載の(メタ)アクリルアミド系水溶性重合体粉末の製造方法。
前記重合体ゲルの水分量を維持しながら90~120℃で加熱する熱処理工程をさらに有する、請求項7乃至15の何れか1項に記載の(メタ)アクリルアミド系水溶性重合体粉末の製造方法。