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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022127554
(43)【公開日】2022-08-31
(54)【発明の名称】表返しハンガー
(51)【国際特許分類】
   A47G 25/44 20060101AFI20220824BHJP
【FI】
A47G25/44 Z
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021066787
(22)【出願日】2021-02-19
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】521149895
【氏名又は名称】森 美琴
(72)【発明者】
【氏名】森 美琴
【テーマコード(参考)】
3K099
【Fターム(参考)】
3K099AA07
3K099BA12
3K099CA49
3K099CB19
3K099DA13
(57)【要約】
【課題】干した服を取り込む際に容易に表返しにすることができるハンガーを提供する。
【解決手段】表返しハンガーは、竿用のフック1と、竿用フックから下方に延びる軸9と、軸9に沿ってスライドする持ち手部7と、持ち手部7に一端が固定され、持ち手部7を軸9に沿って上へスライドさせるにしたがって閉じた状態から開いた状態へ変化するアーム2、アーム2を開いた状態で保持する支え棒6と、アーム2の先端に取り付けられた袖用フック3を備える。服を干すときには、アーム2を開いた状態とし、服を裏返して袖を袖用フック3に引っ掛けることができ、服を取り込むときには、アーム2を閉じた状態とし、袖が袖用フック3に引っ掛かった状態のまま服の裾を上側へ引っ張り上げることにより、服を簡単に表返すことができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
竿用フックと、
前記竿用フックから下方に延びる軸と、
前記軸に沿ってスライドする持ち手部と、
前記持ち手部に一端が固定され、前記持ち手部を前記軸に沿って上へスライドさせるにしたがって閉じた状態から開いた状態へ変化するアームと、
前記アームを開いた状態で保持する支え棒と、
前記アームの先端に取り付けられた袖用フックとを備え、
服を干すときには、前記アームを開いた状態とし、前記服を裏返して袖を前記袖用フックに引っ掛けることができ、
前記服を取り込むときには、前記アームを閉じた状態とし、前記袖が前記袖用フックに引っ掛かった状態のまま前記服の裾を上側へ引っ張り上げることにより、前記服を表返すことができる、
表返しハンガー。
【請求項2】
一つのアームに対して2つの袖用フックが設けられた、請求項1に記載の表返しハンガー。
【請求項3】
前記2つの袖用フックの間にバネを備えた、請求項2に記載の表返しハンガー。
【請求項4】
前記アームの先端であって前記袖用フックよりも手前に筒状部材をさらに備えた、請求項1~3のいずれか一項に記載の表返しハンガー。
【請求項5】
前記竿用フックと前記軸との間に、前記竿用フックに対して相対的に移動可能であり、前記竿用フックの先端を収容する穴を有する固定部をさらに備えた、請求項1~4のいずれか一項に記載の表返しハンガー。
【請求項6】
前記アームの先端側が、前記アームが開いた状態となったときに自重で下方へ伸展可能な部材で形成された、請求項1~5のいずれか一項に記載の表返しハンガー。
【請求項7】
前記袖用フックが、球体の重りと、前記球体から自重で出てくるフックによって構成された、請求項1~6のいずれか一項に記載の表返しハンガー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、裏返して干した服を取り込むときに簡単に服を表返すことができる表返しハンガーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、折りたたみハンガーとしては様々な構成が知られている。例えば、特許文献1に記載されているのは、丸くびセーターに簡単に着脱できる折りたたみハンガーである。使用しないときはハンガーを折りたたむことができ、かさばらないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-78555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
洗濯物を干す場合、裏返しに干して、ハンガーから外して取り込んだ後に表返してから畳むことが一般的である。従来のハンガーで、取り込む際に服を簡単に表返しにできるものは見受けられない。本願発明では、裏で干した服を取り込む際に簡単に表面に返すことができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明の表返しハンガーは、
竿用フックと、
前記竿用フックから下方に延びる軸と、
前記軸に沿ってスライドする持ち手部と、
前記持ち手部に一端が固定され、前記持ち手部を前記軸に沿って上へスライドさせるにしたがって閉じた状態から開いた状態へ変化するアームと、
前記アームを開いた状態で保持する支え棒と、
前記アームの先端に取り付けられた袖用フックとを備え、
服を干すときには、前記アームを開いた状態とし、前記服を裏返して袖を前記袖用フックに引っ掛けることができ、
前記服を取り込むときには、前記アームを閉じた状態とし、前記袖が前記袖用フックに引っ掛かった状態のまま前記服の裾を上側へ引っ張り上げることにより、前記服を表返すことができる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、服を干すときにアームを開いた状態とし、使用しないときはアームを閉じた状態とすることにより、かさばらずに収納できるハンガーにおいて、さらに、服を取り込むときには、アームを閉じた状態とし、袖が袖用フックに引っ掛かった状態のまま服の裾を上側へ引っ張り上げることにより、服を表返すことができる。これにより、干した服を取り込むと同時に服を表返しにできるので、洗濯物を取り込むときの作業負担が軽減される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、表返しハンガーが閉じている状態を示す。
図2図2は、図1を横から見た状態を示す。
図3図3は、表返しハンガーが開いた状態を示す。
図4図4は、表返しハンガーを開いて服を干した状態を示す。
図5図5は、取り込むときに表返しハンガーを閉じた状態を示す。
図6図6は、服の裾を上に引っ張り、服が表面に戻った状態を示す。
図7図7は、表返しハンガーの変形例を示す。
図8図8は、表返しハンガーのもう一つの変形例を示す。
図9図9は、表返しハンガーのフックの構成を示す。
図10図10は、表返しハンガーのもう一つの変形例を示す。
図11図11は、図10の表返しハンガーのアームが伸びた状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【実施例0008】
図1に示すように、本発明の一実施形態にかかるハンガーは、フック1と、アーム2が2個と、袖用フック3が2個と、接続部4が2個と、固定部5が2個と、支え棒6が2個と、持ち手部7と、ストッパー8と、軸棒9を備える。フック1は物干し竿に引っ掛ける部分であり、プラスチック等の樹脂を使用して形成される。アーム2は、服の左右の腕を通すために2つ設けられており、一端が持ち手部7に接続されている。アーム2は、服を干したときに服を支えられる程度の適度な剛性を持つ材料(例えば金属または樹脂)で形成される。袖用フック3は服の袖を引っ掛ける部分であり、アーム2の先端に設けられていて、上向きにも下向きにもどちらの向きに取り付けられていてもいい。袖用フック3は、アーム2の先端を屈曲させて形成しても良いし、アーム2の先端に別部材として取付けても良い。接続部4はアーム2の中ほどに支え棒6の一端を固定する部分である。接続部4はリンク機構になっているのでアーム2が開いていくときに、アーム2に対する支え棒6の角度が変わる。固定部5は支え棒6の他端を固定する部分である。また、固定部5はリンク機構になっているので、アーム2が開くと同時に支え棒6が開いていく。支え棒6は、アーム2が服の重みに負けないように、接続部4と、固定部5に固定されている。持ち手部7は、軸棒9に沿って上下にスライドさせることができる。また、持ち手部7は、ストッパー8の位置で止まるが、手を離したら軸9の途中(ストッパー8よりも下方)で止まるようにしても良い。ストッパー8は、持ち手部7を上に行かせないようにする部分である。軸棒9はフック1の下に接続されている。
【0009】
ここで、図1図3を参照しながら、ハンガーの開閉動作について説明する。図1は、ハンガーのアーム2が閉じた状態を示す。図3は、ハンガーのアーム2が開いた状態を示す。持ち手部7を上にスライドさせるとアーム2の下端が軸9に沿って持ち上げられることによって連動し、接続部4と支え棒6と固定部5が動き、アーム2が広がっていく。持ち手部7がストッパー8で止まると、図3のようにアーム2の先端が下方に向かって湾曲した状態(アーム2が開いた状態)になる。持ち手部7は、ストッパー8に当たると固定されるようになっている。
【0010】
フック1を物干し竿に引っ掛けると図4の状態になる。服を干す際には、図1に示されているように閉じた状態のハンガーを、裏返した服の下から挿入する。その後、持ち手部7を上にスライドさせることで、ハンガーは図3に示されているような開いた状態になる。このようにアーム2が開いた状態で、図4に示すように、袖用フック3を服の袖にひっかける。フック1を物干し竿に引っ掛けると干すことができる。乾いたら、フック1を物干し竿から外し、持ち手部7を下にスライドさせると、図1のようにハンガーが閉じた状態に戻る。
【0011】
袖用フック3を服の袖に引っ掛けた状態で、持ち手部7を下にスライドさせると、アーム2が閉じていき、図5のように服の袖が中心に寄せられてくる。服の袖が袖用フック3に固定された状態で、図6に示すように、服の裾を持って裾を上に持ち上げれば服が表返しになり、そのまま引っ張り上げると袖が最後に表返しになる。最後に、袖用フック3から袖を取り外せば、服全体が表返しになった状態でハンガーから取り外すことができる。このように、本発明のハンガーを使用すれば、裏返しに干した服を取り込むと同時に表返しにすることができるので、洗濯物を取り込んで畳む際の手間が軽減される。
【0012】
なお、アーム2が伸縮可能な構成にすれば、半袖と長袖の両方に対応できる。
【0013】
以上、本発明の一実施形態に係るハンガーについて説明したが、本発明に係るハンガーは、上述した実施形態の構成に限定されず、様々な変形構成とすることができる。以下に、実施例1の変形構成を例示する。
【実施例0014】
図7に、一つの変形構成に係るハンガーの袖用フック3の構成を示す。図7に示した変形構成では、アーム2の先端に近いところで袖用フック3が2つに別れ、第1の袖用フック3Aと第2の袖用フック3Bになっている。また、第1の袖用フック3Aと第2の袖用フック3Bの間にはバネ3Cがついている。第1の袖用フック3Aは取り外し可能としても良い。バネ3Cは袖に入れるときはバネが縮んでいるので、第1の袖用フック3Aと第2の袖用フック3Bとの間隔が小さく保たれており、袖に通しやすい。一方、服を取り込むときは、服を表返す際に第1の袖用フック3Aと第2の袖用フック3Bが袖に引っ張られても、バネ3Cが伸びることにより、服の袖が袖用フック3から外れにくくなる。袖用フックが2つあることで、図3の状態から図5の状態へ持ち手部7を下にスライドさせるときに、服の袖が袖用フック3に強く固定されているので外れにくく、図6に示すように服を表返しながらハンガーから取り外す際にも、袖用フック3から袖が外れることなく簡単に袖を引っ張れる。また、袖用フック3Aを取り外し可能とし、例えば重い服を干すときに取り付けるようにすれば、重い服にも対応できる。
【実施例0015】
図8に、別の変形構成に係るハンガーの袖用フック3の構成を示す。図8の変形構成では、図7に示した変形構成に加えて、筒3Dを備えている。筒3Dは脱着可能としても良い。その場合、図7の第1の袖用フック3Aを取り外した状態で、筒3Dをアーム2の先端から差し込んでから、第1の袖用フック3Aを取り付ければ良い。このように、筒3Dを備えたことにより、図1の状態から図3の状態にするときに、袖が袖用フック3A・3Bに入りやすくなる。筒3Dは、例えば、プラスチック等の樹脂を使用して形成できる。また、風通しを良くするために、筒3Dに穴をあけると良い。筒3Dがあることによって干した服の袖先からの通気性がよくなり、服をすぐに乾かすことができる。
【実施例0016】
図9は、フック1の変形構成を示す。図1の状態のハンガーを服に挿入するときや抜くときに、フック1が服に引っかかる可能性がある。そのため、図9の変形構成では、固定部5に穴5Aを設けた。また、フック1が固定部5に対して上下に移動可能な構成として、服を挿入するときや抜くときにはフック1の先端部分を穴5Aに収納することができるようにした。これにより、ハンガーに対して服を出し入れしやすくなる。また、フック1を穴5Aから抜いたら竿に引っ掛けられる状態になる。
【実施例0017】
図10および図11に、さらに他の変形構成を示す。図10のハンガーは、アーム2がらせん状アーム2Aとして構成されている。また、袖用フック3が、アーム2が開くと、球体の重り3Eから自動袖用フック3Fが飛び出すように構成されている。らせん状アーム2Aは、らせん状またはバネのような形状で、図10に示すように、アーム2が閉じて上を向いている状態では、同心円状に収納されている。らせんの中に入っている部分をアーム2の長さ方向において中頃であって、接続部4よりも先端側に取り付ける。らせんの外側を外向きにすることで、図11に示すように、アーム2が開くとらせん状アーム2がほどけて自重で下方へ延びる。また、らせんの外側を外向きにつけることにより、服の袖がぐちゃぐちゃになっていても、袖の内部でらせん状アーム2が回転することで通りやすくなる。袖用フック3は、球体の重り3Eの中に自動袖用フック3Fが1つまたは複数(図11の例では3つ)収納されている。自動袖用フック3Fは、アーム2が閉じて上を向いている状態では重り3Eの中に収納されていて、アーム2が開いてらせん状アーム2Aが下方へ延びる際に、重り3Eから自重で飛び出すように構成されている。球体の重り3Eをつけることで、服の肩から服の袖を通すときに服に通りやすくなる。自動袖用フック3Fは、アーム2が閉じて上を向いている状態では重り3Eに収納されているので、服の裾からハンガーを挿入する際に邪魔にならない。また、重り3Eがあるためらせん状アーム2Aが自重によって回転しながら下に伸びていく。
【0018】
なお、上記の実施例は、互いに組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0019】
1:フック(竿用フック)
2:アーム
3:袖用フック
4:接続部
5:固定部
6:支え棒
7:持ち手部
8:ストッパー
9:軸棒
2A:らせん状アーム
3A:第1の袖用フック
3B:第2の袖用フック
3C:バネ
3D:筒
3E:重り
3F:自動袖用フック
5A:穴
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2021-09-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
竿用フックと、
前記竿用フックから下方に延びる軸と、
前記軸に沿ってスライドする持ち手部と、
前記持ち手部に一端が固定され、前記持ち手部を前記軸に沿って上へスライドさせるにしたがって閉じた状態から開いた状態へ変化するアームと、
前記アームを開いた状態で保持する支え棒と、
前記アームの先端に取り付けられた袖用フックとを備え、
服を干すときには、前記アームを開いた状態とし、前記服を裏返して袖を前記袖用フックに引っ掛けることができ、
前記服を取り込むときには、前記アームを閉じた状態とし、前記袖が前記袖用フックに引っ掛かった状態のまま前記服の裾を上側へ引っ張り上げることにより、前記服を表返すことができ
一つのアームに対して2つの袖用フックが設けられ、
前記2つの袖用フックの間にバネを備えた、
表返しハンガー。
【請求項2】
前記アームの先端であって前記袖用フックよりも手前に筒状部材をさらに備えた、請求項に記載の表返しハンガー。
【請求項3】
竿用フックと、
前記竿用フックから下方に延びる軸と、
前記軸に沿ってスライドする持ち手部と、
前記持ち手部に一端が固定され、前記持ち手部を前記軸に沿って上へスライドさせるにしたがって閉じた状態から開いた状態へ変化するアームと、
前記アームを開いた状態で保持する支え棒と、
前記アームの先端に取り付けられた袖用フックとを備え、
服を干すときには、前記アームを開いた状態とし、前記服を裏返して袖を前記袖用フックに引っ掛けることができ、
前記服を取り込むときには、前記アームを閉じた状態とし、前記袖が前記袖用フックに引っ掛かった状態のまま前記服の裾を上側へ引っ張り上げることにより、前記服を表返すことができ、
前記竿用フックと前記軸との間に、前記竿用フックに対して相対的に移動可能であり、前記竿用フックの先端を収容する穴を有する固定部をさらに備えた、表返しハンガー。
【請求項4】
前記アームの先端側が、前記アームが開いた状態となったときに自重で下方へ伸展可能な部材で形成された、請求項1~のいずれか一項に記載の表返しハンガー。
【請求項5】
前記袖用フックが、球体の重りと、前記球体から自重で出てくるフックによって構成された、請求項に記載の表返しハンガー。