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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022127568
(43)【公開日】2022-08-31
(54)【発明の名称】仕切り装置
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/82 20060101AFI20220824BHJP
   E04B 2/74 20060101ALI20220824BHJP
   A47G 5/00 20060101ALI20220824BHJP
【FI】
E04B2/82 501B
E04B2/74 541Z
E04B2/74 561C
E04B2/74 561B
A47G5/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021150084
(22)【出願日】2021-09-15
(31)【優先権主張番号】P 2021025504
(32)【優先日】2021-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000250672
【氏名又は名称】立川ブラインド工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】立川 光威
(72)【発明者】
【氏名】江波戸 武信
(57)【要約】
【課題】仕切りが可撓性を有しない新規な仕切り装置を提供する。
【解決手段】ランナ走行空間24を備えるレール部材11と、ランナ走行空間24内を走行するランナ12と、透光性かつ剛性を有する板体で構成され、ランナ12から吊り下げられるパネル13とを備える。パネル13は、ランナ12から線状部材41によって吊り下げられ、レール部材11とパネル13の上縁との間は、貫通した開口44が構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランナ走行空間を備えるレール部材と、
前記ランナ走行空間を走行するランナと、
透光性かつ剛性を有する板体で構成されたパネルであって、前記ランナから吊り下げられる前記パネルとを備える
仕切り装置。
【請求項2】
前記レール部材は、第1方向に延びる第1レール部と、前記第1方向と交差する第2方向に延びる第2レール部と、前記第1レール部と前記第2レール部とを繋ぐ連結レール部とを備える
請求項1に記載の仕切り装置。
【請求項3】
前記パネルが前記第1レール部に位置しているときは、前記パネルの使用位置であり、
前記パネルが前記第2レール部に位置しているときは、前記パネルの待機位置である
請求項2に記載の仕切り装置。
【請求項4】
前記パネルは、前記ランナから線状部材によって吊り下げられ、
前記レール部材と前記パネルの上縁との間は、貫通した開口が構成されている
請求項1ないし3のうち何れか1項に記載の仕切り装置。
【請求項5】
前記レール部材は、1つまたは複数であり、
前記1つまたは複数のレール部材は、並設状態の複数のランナ走行空間を構成し、
各ランナ走行空間は、前記ランナを収容しており、
各ランナ走行空間における前記ランナに前記パネルが吊り下げている
請求項1に記載の仕切り装置。
【請求項6】
前記レール部材と天井との間に貫通した第1開口を備え、
前記レール部材と前記パネルの上縁との間に貫通した第2開口を備え、
前記第1開口の上下方向の寸法をAとし、前記第2開口の上下方向の寸法をBとしたとき、
前記Aおよび前記Bは、A>Bの関係にある
請求項5に記載の仕切り装置。
【請求項7】
前記パネルは、複数であり、
互いに隣り合うパネルは、一方のパネルに対して他方のパネルが平行移動可能に対向面同士が連結されている
請求項1に記載の仕切り装置。
【請求項8】
前記レール部材および前記パネルは、複数であり、
少なくとも1つのパネルは、位置が固定された固定パネルであり、
残りのパネルは、前記ランナに吊下げられており、前記固定パネルに対して移動可能な可動パネルである
請求項1に記載の仕切り装置。
【請求項9】
前記パネルは、複数であり、少なくとも1つのパネルは、障害物を避ける切欠部を備えている
請求項1に記載の仕切り装置。
【請求項10】
前記パネルは、線状部材によって昇降可能に吊下げられ、
前記ランナは、前記線状部材が垂下されるヘッドボックスに設けられている
請求項1に記載の仕切り装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空間を仕切る仕切り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、空間を仕切る仕切り装置として、飛沫感染防止の観点から空間を仕切る飛沫感染防止用フィルム装置が記載されている。この飛沫感染防止用フィルム装置は、透明フィルムを吊り下げ用ワイヤで天井などから吊り下げるようにしている。また、天井などに設けたワイヤのフック支承部がスライド可能であることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】登録実用新案第3227065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の仕切り装置は、仕切りに可撓性を有するフィルムを用いることが主流であるが、設置場所によって、仕切りに可撓性を有しないものが望まれることもある。例えば、フィルムは、可撓性を有し、下端も固定されていないことから、揺動し易く、表面を清掃しにくい。また、例えば、仕切られる2つの空間との間で物などのやり取りをしたいが、保安などの観点からしっかりと空間を仕切りたいこともある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための仕切り装置は、ランナ走行空間を備えるレール部材と、前記ランナ走行空間を走行するランナと、透光性かつ剛性を有する板体で構成されたパネルであって、前記ランナから吊り下げられる前記パネルとを備える。
【0006】
上記仕切り装置において、前記レール部材は、第1方向に延びる第1レール部と、前記第1方向と交差する第2方向に延びる第2レール部と、前記第1レール部と前記第2レール部とを繋ぐ連結レール部とを備えるようにしてもよい。
【0007】
上記仕切り装置において、前記パネルが前記第1レール部に位置しているときは、前記パネルの使用位置であり、前記パネルが前記第2レール部に位置しているときは、前記パネルの待機位置とするようにしてもよい。
【0008】
上記仕切り装置において、前記パネルは、前記ランナから線状部材によって吊り下げられ、前記レール部材と前記パネルの上縁との間は、貫通した開口が構成されているようにしてもよい。
【0009】
上記仕切り装置において、前記レール部材は、1つまたは複数であり、前記1つまたは複数のレール部材は、並設状態の複数のランナ走行空間を構成し、各ランナ走行空間は、前記ランナを収容しており、各ランナ走行空間における前記ランナに前記パネルが吊り下げているようにしてもよい。
【0010】
上記仕切り装置において、前記レール部材と天井との間に貫通した第1開口を備え、前記レール部材と前記パネルの上縁との間に貫通した第2開口を備え、前記第1開口の上下方向の寸法をAとし、前記第2開口の上下方向の寸法をBとしたとき、前記Aおよび前記Bは、A>Bの関係にあるようにしてもよい。
【0011】
上記仕切り装置において、前記パネルは、複数であり、互いに隣り合うパネルは、一方のパネルに対して他方のパネルが平行移動可能に対向面同士が連結されているようにしてもよい。
【0012】
上記仕切り装置において、前記レール部材および前記パネルは、複数であり、少なくとも1つのパネルを、その位置が固定された固定パネルとし、残りのパネルを、前記ランナに吊下げられており、前記固定パネルに対して移動可能な可動パネルとしてもよい。
【0013】
上記仕切り装置において、前記パネルは、複数であり、少なくとも1つのパネルは、障害物を避ける切欠部を備えているようにしてもよい。
上記仕切り装置において、前記パネルは、線状部材によって昇降可能に吊下げられ、前記ランナは、前記線状部材が垂下されるヘッドボックスに設けられているようにしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、仕切りが可撓性を有しない新規な仕切り装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1実施形態における、仕切り装置の使用状態を示す斜視図である。
図2】第1実施形態における、レール部材とランナとの関係を示す縦断面図である。
図3】ランナに吊り下げ部材である線状部材が係合された状態を示す要部断面図である。
図4】第1実施形態における、吊り下げ部材とパネルとの関係を示す正面図である。
図5】第1実施形態における、パネルが第1レール部にある状態を示す図であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。
図6】第1実施形態における、パネルが連結レール部にある状態を示す図であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。
図7】第1実施形態における、パネルが第2レール部にある状態を示す図であり、(a)は正面図、(b)は正面図である。
図8】第2実施形態における、仕切り装置の使用状態を示す斜視図である。
図9】第2実施形態における、仕切り装置の正面図である。
図10】第2実施形態における、仕切り装置の縦断面図である。
図11】第2実施形態における、仕切り装置の正面図であって、第1パネルと第2パネルとの間に隙間を設けた状態を示す。
図12】(a)は、カウンタに衝立を設けた状態を示す平面図であり、(b)は、カウンタに仕切り装置を設けた状態を示す平面図である。
図13】第3実施形態の仕切り装置の使用状態を示す側面図である。
図14】第3実施形態における仕切り装置において、2つのパネルを連結する移動支持部の構成を示す断面図である。
図15】第3実施形態の仕切り装置の変形例であって、パネル1枚の例を示す側面図である。
図16】第3実施形態の仕切り装置の変形例であって、1枚が固定パネルで他の1枚が可動パネルである仕切り装置の側面図である。
図17】第3実施形態の仕切り装置の変形例であって、第1パネルに切欠部が設けられた例を示す側面図である。
図18】第4実施形態の仕切り装置の変形例であって、パネルが平行移動可能で、かつ、昇降可能な仕切り装置を示す側面図である。
図19】第4実施形態の仕切り装置の変形例であって、ヘッドボックスの構成を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明が適用された仕切り装置について図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
[全体構成]
図1に示すように、仕切り装置10は、店舗などの施設において、受付などの第1人物1と第1人物1と対話する第2人物2との間に位置するように配置されるものであって、例えば、第1方向に延びるカウンタ3の上方に位置される。ここでは、一例として第1人物1が店員であり、第2人物2が客である。そして、仕切り装置10は、パネル13が第1人物1および第2人物2の間に介在することで、何れか一方の人物から相手方に対して飛沫が飛散することを抑制する。仕切り装置10のパネル13は、レール部材11によって吊り下げられていることで、状況に応じて移動可能である。
【0017】
このような仕切り装置10は、天井4に設置される第1レール部材11aおよび第2レール部材11bを備えている。第1レール部材11aには、第1レール部材11aの内部を走行する第1ランナ12aと第1ランナ12aに吊り下げられる第1パネル13aとが設けられている。第2レール部材11bには、第2レール部材11bの内部を走行する第2ランナ12bと第2ランナ12bに吊り下げられる第2パネル13bとが設けられている。
【0018】
なお、第1レール部材11aおよび第2レール部材11bは、同じ構成を有するため、これらをまとめてレール部材11ともいう。また、第1ランナ12aおよび第2ランナ12bも同じ構成を有するため、これらをまとめてランナ12ともいう。さらに、第1パネル13aおよび第2パネル13bも同じ構成を有するため、これらをまとめてパネル13ともいう。
【0019】
第1レール部材11aおよび第2レール部材11bは、共にL字形状を有している。ここでは、一例として、第1レール部材11aおよび第2レール部材11bは、天井4に、第1方向と直交する第2方向を対象軸としてほぼ線対称に配置されている。レール部材11は、カウンタ3上の天井4に設置される第1レール部21と、第1レール部21に対して直角に配置される第2レール部22と、第1レール部21と第2レール部22とを連結する連結レール部23とを備えている。
【0020】
第1レール部材11aおよび第2レール部材11bの第1レール部21は、カウンタ3が延びる方向と同じ第1方向に延びる直線レール部であり、ここではカウンタ3上において、若干、第2方向にずれるもののほぼ直線状となるように天井4に取り付けられている。第1レール部21の位置は、カウンタ3において、第1人物1と第2人物2とが対向して会話する境界位置である。第1レール部21は、第1端部と第2端部とを備えている。第1レール部材11aの第1端部と第2レール部材11bの第1端部は、互いに近接して位置している。そして、反矢印D方向の端に位置するランナ12の終点となるように例えばキャップなどが取り付けられている。また、第2端部は、連結レール部23の第1連結端部と連結される端部となる。
【0021】
パネル13が第1レール部21の下に位置し、かつ、反矢印D方向の端部に位置するランナ12が第1レール部21の第1端部または第1端部の近傍に位置し、かつ、パネル13を吊っている全てのランナ12が第1レール部21に位置しているときがパネル13の使用位置である。第1レール部21は、少なくとも、パネル13の面が第1方向に沿う状態をとなるだけの長さを有している。すなわち、第1レール部21は、少なくとも、パネル13を吊っている全てのランナ12が第1レール部21に位置できるだけの長さを有している。
【0022】
第1レール部材11aおよび第2レール部材11bの第2レール部22は、第1方向に対して交差、ここでは直交する第2方向に延びる直線レール部であり、ここでは、第1人物1がいるカウンタ3の内側に延びている。第2レール部22も、第1端部と第2端部とを備えている。各レール部材11a,11bの第1端部は、カウンタ3の最も奥空間に位置している。そして、矢印D方向の端部に位置するランナ12の終点となるように例えばキャップなどが取り付けられている。また、第2端部は、連結レール部23の第2連結端部と連結される端部となる。
【0023】
パネル13が第2レール部22の下に位置し、かつ、矢印D方向の端部に位置するランナ12が第2レール部22の第1端部または第1端部の近傍に位置し、かつ、パネル13を吊っている全てのランナ12が第2レール部22に位置しているときがパネル13の待機位置である。第2レール部22は、パネル13の面が第2方向に沿う状態をとなるだけの長さを有している。すなわち、第2レール部22は、少なくとも、パネル13を吊っている全てのランナ12が第2レール部22に位置できるだけの長さを有している。一例として、第1レール部21と第2レール部22とは同じ長さものを共用することができる。また、第1レール部21と第2レール部22は、異なる長さであってもよい。
【0024】
連結レール部23は、1つの湾曲レール部であって、第1連結端部と第2連結端部とを備えている。第1連結端部は、第1レール部21の第2端部と連結具によって連結され、第2連結端部は、第2レール部22の第2端部と連結具によって連結される。第1レール部21、第2レール部22、および、連結レール部23は、第1レール部21および第2レール部22と連結されることで、L字形状を有する一連のレール部材11となり、ランナ12は、第1レール部21と第2レール部22との間を自由に移動できるようになる。
【0025】
図2および図3に示すように、第1レール部21、第2レール部22、および、連結レール部23は、その断面形状が同じ形状を有している。すなわち、第1レール部材11aを構成する各レール部21,22,23は、内部に、第1ランナ12aを走行可能に収容可能な1つのランナ走行空間24を備え、第2レール部材11bを構成する各レール部21,22,23も、内部に、第2ランナ12bを走行可能に収容可能な1つのランナ走行空間24を備えている。
【0026】
ランナ走行空間24は、前壁25、後壁26、天板27、および、前後で一対の底板28で囲まれて構成されている。天板27は、天井4と対向する面であって、天井4に対して、直接ビスなどの固定具により固定される。または、天井4に対してブラケットを介して固定される。すなわち、レール部材11は、天井4との間に隙間が形成されないように取り付けられる。
【0027】
前後で一対の底板28は、長手方向に延在する板形状を有する。前後で一対の底板28は、長手方向に延在するレール開口29を区画する。ランナ12は、各底板28の上面である走行面に支持されて、レール開口29を垂直方向に通されている。そして、ランナ12は、パネル13を吊り下げる部分が露出している。
【0028】
ランナ12は、ランナ本体31を備えている。ランナ本体31は、上端部の前方および後方の各々に一対のコロ32を備えている。各一対のコロ32は、シャフト33によって連結されており、レール開口29を構成する底板28の内面を転動する。また、ランナ本体31は、下縁に、レール開口29から下方に突出する突出部34を備えている。突出部34は、その先端に、吊下孔35を備えている。吊下孔35には、パネル13を吊り下げるための吊り下げ部材としての線状部材41を取り付けるための取付部であるリング36が係合される。リング36は、金属製または合成樹脂製である。
【0029】
第1レール部材11aにおいて、第1ランナ12aが少なくとも2つ収容されており、第2レール部材11bにおいても、第2ランナ12bが少なくとも2つ収容されている。すなわち、第1レール部材11aでは、複数の第1ランナ12aで第1パネル13aを吊り下げるようにしており、第2レール部材11bでは、複数の第2ランナ12bで第2パネル13bを吊り下げるようにしている。
【0030】
図3および図4に示すように、線状部材41は、金属製または合成樹脂製のワイヤなど可撓性を有する部材であって、パネル13を吊り下げ可能なように十分な強度を有している。線状部材41は、一端部に、吊下孔35に取り付けられたリング36に係合するための第1係合部42を備え、他端部に、パネル13の取付孔45に係合するための第2係合部43を備えている。線状部材41は、レール部材11とパネル13の上縁との間に貫通した開口44を構成するためのものである。すなわち、レール部材11とパネル13の上縁とを殆ど隙間がないように近接させるものではない。
【0031】
開口44は、パネル13で仕切られる第1人物1側の空間と第2人物2側の空間との間で、パネル13が存在しても十分に会話ができるようにしている(図1参照)。したがって、線状部材41の長さは、パネル13の大きさにもよるが、カウンタ3の表面に対して垂直なパネル13の下縁がカウンタ3の表面に接するか、わずかな間隙を介して直ぐ上に位置し、かつ、レール部材11とパネル13の上縁との間に開口44が設けられる長さとされる。開口44の上下方向の寸法は一例として、数十cmであり、カウンタ3の表面とパネル13の下縁との間隔は、一例として、数cmである。パネル13は、少なくとも対面している第1人物1と第2人物2の頭部または上半身を覆うことができるように吊り下げられる。また、カウンタ3の表面とパネル13の下縁との間隔は、手で物のやり取りを行うことができる程度の隙間があってもよい。
【0032】
第1係合部42および第2係合部43は、例えば環状部で構成されている。環状部は、線状部材41の端部を吊下孔35および取付孔45に挿通し、端部をカシメ、溶着、接着剤によって固定することで構成できる。この場合、第1係合部42は、リング36から外れにくくなり、第2係合部43は、取付孔45から外れにくくなる。第1係合部42および第2係合部43のうち少なくとも1つは、フック形状とすることもできる。この場合、吊下孔35および取付孔45に対して引っ掛け易くなる。また、リング36がフック形状を有した吊り具であってもよい。
【0033】
図4に示すように、パネル13は、矩形形状を有する透光性の板体であり、一例としてガラス、ポリカーボネート、アクリルなどの合成樹脂により形成されている。パネル13は、少なくとも対面している第1人物1と第2人物2の頭部または上半身よりも大きい板体である。また、パネル13は、剛性を有する板体であり、風などが当たっときにも撓まない強度を有している。第1レール部材11aに吊り下げられる第1パネル13aと第2レール部材11bに吊り下げられる第2パネル13bとは、同じデザインでもよいし、異なるデザインであってもよい。また、形状や大きさも、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0034】
パネル13は、パネル13で仕切られる第1人物1側の空間と第2人物2側の空間との間で明るさなどの環境も変わらないようにする。パネル13は、無地でもよいが、各面に、種々の装飾を施すことができる。一例として、パネル13は、一部が透光性を有し、残りが遮光性となるように構成することができる。このようなパネル13は、上縁近くであって、コーナ部の近くに、取付孔45を備えている。取付孔45は、貫通孔であって、線状部材41の第2係合部43が係合される。取付孔45は、内周縁などを金具などの補強部材を取り付けて補強することもできる。
【0035】
[第1実施形態の作用]
以上のように構成された仕切り装置10は、次のような作用を有する。
図1に示すように、仕切り装置10は、第1レール部材11aに1枚の第1パネル13aが吊り下げられており、第2レール部材11bに1枚の第2パネル13bが吊り下げられている。図5(a)および(b)に示すように、第1パネル13aが第1レール部材11aの第1レール部21に位置し、使用位置に位置しているとき、第1パネル13aは、カウンタ3上に位置している。また、第2パネル13bが第2レール部材11bの第1レール部21に位置し、使用位置に位置しているとき、第1パネル13aは、カウンタ3上に位置している。
【0036】
パネル13が使用位置にあるとき、カウンタ3を挟んで対向している第1人物1および第2人物2との間には、パネル13が介在することになる。パネル13が使用位置にあるとき、パネル13は、透光性を有するので明るさなどの環境もほぼ同じであり、また、開口44を有するので、温度や湿度なども同じとなり、相手方の声も十分聴くことができる。第1パネル13aの反矢印D方向の縦側縁と第2パネル13bの反矢印D方向の縦側縁とは、同じ位置または重なるように位置している。これにより、第1パネル13aの反矢印D方向の縦側縁と第2パネル13bの反矢印D方向の縦側縁との間を飛沫などが通過しないようにしている。仕切られる2つの空間は、フィルムの場合よりしっかりと区画することができ、第1人物1のいる空間の保安を高めることもできる。
【0037】
第1人物1と第2人物2との間で商品のやり取りや金銭授受を行う場合は、第1パネル13aおよび第2パネル13bの少なくとも一方のパネル13を矢印D方向に若干、移動する。一例として、手を通すことができる程度の隙間ができる程度に第1パネル13aおよび第2パネル13bの少なくとも一方を移動する。これにより、第1パネル13aの反矢印D方向の縦縁と第2パネル13bの反矢印D方向の縦縁との間の隙間から手を通したり、物のやり取りを行うことができる。
【0038】
第1パネル13aおよび第2パネル13bは、片付けるとき、第1レール部21から連結レール部23を通じて第2レール部22の方向へ移動させる(矢印D方向)。図6(a)および(b)に示すように、第1レール部材11aにおいて、進行方向である矢印D方向に対して先行する1つの第1ランナ12aが第2レール部22に位置し、後続の1つの第1ランナ12aが第1レール部21に位置しているとき、第1パネル13aは、第1レール部21および第2レール部22に対して斜めに位置する。第2レール部材11bにおいても、進行方向に対して先行する1つの第2ランナ12bが第2レール部22に位置し、後続の1つの第2ランナ12bが第1レール部21に位置しているとき、第2パネル13bは、第1レール部21および第2レール部22に対して斜めに位置する。
【0039】
そして、第1パネル13aおよび第2パネル13bは、第2レール部22に吊り下げられた待機位置に移動される。図7(a)および(b)に示すように、待機位置において、第1パネル13aおよび第2パネル13bは、カウンタ3に対して直角であって、第1人物1の空間側に位置し、カウンタ3上から退避した状態となる。退避した状態では、例えばパネル13に付着した飛沫など除去するため、拭き掃除などの清掃を行う。勿論、使用位置においてもこのようなパネル13の掃除を行うことはできる。
【0040】
なお、待機位置から使用位置に第1パネル13aおよび第2パネル13bを移動させるときは、図7図6図5の順に第1パネル13aおよび第2パネル13bを移動させればよい(反矢印D方向)。
【0041】
[第1実施形態の効果]
以上のような仕切り装置10は、以下のように列挙する効果を得ることができる。
(1-1)仕切りがフィルムでなく剛性を有するパネル13で構成された新規な仕切り装置10を提供することができる。
【0042】
(1-2)パネル13が剛性を有するのでパネル13における表面の清掃が容易となる。
(1-3)パネル13が剛性を有するので第1人物1がいる空間と第2人物2がいる空間とをしっかりと区画できる。その一方で、第1パネル13aまたは第2パネル13bとを移動させることで、隙間を設けて、手を通したり、物のやり取りを行うことができる。
【0043】
(1-4)パネル13が剛性を有するので、フィルムの場合のような表面の乱反射を抑制でき、意匠性を向上できる。
(1-5)パネル13が使用位置にあるとき、パネル13は、透光性を有するので明るさなどの環境もほぼ同じでとすることができる。
【0044】
(1-6)パネル13が使用位置にあるとき、カウンタ3を挟んで対向している第1人物1および第2人物2との間には、パネル13が介在する。これにより、第1人物1および第2人物2の何れかかの飛沫が相手方にかからないようになる。
【0045】
(1-7)パネル13を使用位置から待機位置に移動することで、非使用時にパネル13が邪魔になることを防ぐことができる。すなわち、仕切り装置10は、パネル13を容易に片づけることができる。
【0046】
(1-8)物のやり取りも、第1パネル13aと第2パネル13bとを矢印D方向に若干移動させるだけで容易に行うことができる。
(1-9)開口44を有するので、温度や湿度なども同じとなり、相手方の声も十分聴くことができる。
【0047】
(1-10)レール部材11は、連結レール部23を備え、連結レール部23に様々な角度のものを用意することで、第1レール部21に対して第2レール部22を様々な方向に延ばすことができる。すなわち、第1レール部21に対して第2レール部22を、例えば135°の角度を有するように延ばすこともできる。
【0048】
(1-11)仕切り装置10の用途や設置場所に応じて、第2レール部22の第1レール部21とは反対側の端部にさらに連結レール部23を設け、さらに更なる直線レール部を連結することも可能である。
【0049】
(1-12)線状部材41の長さを調整することで、パネル13の高さを調整することができる。
(1-13)パネル13の取付は、線状部材41の第1係合部42をリング36に係合させるとともに第2係合部43をパネル13の取付孔45に係合させるだけでよい。したがって、パネル13の取付作業も容易である。
【0050】
なお、第1実施形態における仕切り装置10は、さらに、以下のように適宜変更して実施することもできる。
・リング36に取付孔45を係合する構成としてもよい。すなわち、線状部材41を省略してもよい。これにより、開口44を極狭とできる。極狭の開口44は、レール部材11の前壁および後壁の少なくとも一方の壁に設けられたカバーで塞ぐようにしてもよい。
【0051】
・カウンタ3をコ字状形状として、第1レール部材11aの第2レール部22の上、および、第2レール部材11bの第2レール部22の上にも、カウンタ3が存在するようにしてもよい。この場合、上述した、待機位置も、使用位置となり、例えば、対面する第1人物1と第2人物2の一方から他方への飛沫が飛ぶことを防ぐことができる。
【0052】
・第1レール部材11aおよび第2レール部材11bの各々は、第1レール部21、第2レール部22、および、連結レール部23に分割されておらず、一連の1つの部材であってもよい。
【0053】
・第1レール部材11aには、第1パネル13aを複数枚吊り下げるようにしてもよい。第2レール部材11bにも、第2パネル13bを複数枚吊り下げるようにしてもよい。各レール部材11に吊り下げられる複数枚のパネル13は、同じデザインでもよいし、異なるデザインであってもよい。また、形状や大きさも、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0054】
・第1レール部材11aと第2レール部材11bとは、図1のように同じ長さや形状で線対称に配置してもよいし、線対称でなくてもよい。また、第1レール部材11aと第2レール部材11bとは、形状や長さが異なっていてもよい。一例として、第1レール部材11aおよび第2レール部材11bの何れか一方が、上述のようにL字形状とし、第2レール部材11bが、直線形状であってもよいし、C字形状やクランク形状であってもよい。
【0055】
・仕切り装置10は、第1レール部材11aおよび第2レール部材11bの何れか一方のレール部材11だけで構成されていてもよい。
・第1レール部材11aと第2レール部材11bとを一連の一本のレール部材11とし、内部に2つのランナ走行空間24を区画し並設するようにしてもよい。この場合、一方のランナ走行空間24に、第1パネル13aを吊り下げる第1ランナ12aを収容し、他方のランナ走行空間24に第2パネル13bを吊り下げる第2ランナ12bを収容する。
【0056】
・カウンタ3には、パネル13の下縁に係合されるC字形状を有した案内部材を配置するようにしてもよい。これにより、パネル13は、下縁が案内部材に案内されることになり、第1人物1や第2人物2の方向えの揺動を抑えることができる。
【0057】
・パネル13の取付孔45は、上縁に沿う位置であって、ランナ12に対して傾くことなく取り下げ可能であれば、その数は1つでもよいし、複数であってもよい。すなわち、パネル13の吊り下げ箇所は、1カ所でも3カ所以上であってもよい。
【0058】
・レール部材11を天井4から第2実施形態のように吊り下げ部材53で吊り下げるようにし、天井4とレール部材11との間に開口を設けるようにしてもよい。
・取付孔45を省略し、吊り下げ具を取付孔45の位置に固定し取付部を構成するようにしてもよい。この場合、取付部を構成する吊り下げ具には、線状部材41の第2係合部43が係合される。
【0059】
・線状部材41は、ターンバックルのように、長さ調整部を備えていてもよい。
・カウンタ3の表面とパネル13の下縁との隙間は、手や物を通すことができる程度の隙間であってもよく、このような場合、当該隙間を通じて物のやり取り間などを行うことができる。
【0060】
・仕切り装置10は、カウンタ3以外の場所に設置してもよい。例えば、パネル13の下縁は、床面に接するか、わずかな間隙を介して直ぐ上に位置するものであってもよい。また、病院施設などにおけるベッドを囲む仕切り装置としても使用可能である。
【0061】
[第2実施形態]
[全体構成]
図8に示すように、第2実施形態としての仕切り装置50も、店舗などの施設において、受付などの第1人物1と第1人物1と対話する第2人物2との間に位置するように配置されるものであって、例えば、第1方向に延びるカウンタ3の上方に位置される。仕切り装置50は、パネル13が第1人物1および第2人物2の間に介在することで、何れか一方の人物から相手方に対して飛沫が飛散することを抑制する。仕切り装置50のパネル13は、レール部材11によって吊り下げられていることで、状況に応じて移動可能である。カウンタ3は、途中に通路5が設けられており、パネル13は、通路5にはみ出すことで、通路5を閉じている。第2実施形態の仕切り装置50は、レール部材51が直線形状である点、レール部材51が天井4から吊り下げられている点、天井4とレール部材との間の開口がレール部材とパネル13の上縁との開口より大きい点などが第1実施形態と異なる。
【0062】
すなわち、仕切り装置50は、第1レール部材51aおよび第2レール部材51bを備えている。第1レール部材51aには、第1レール部材51aの内部を走行する第1ランナ12aが収容され、第1ランナ12aには、第1パネル13aが吊り下げられている。第2レール部材51bには、第2レール部材51bの内部を走行する第2ランナ12bが収容され、第2ランナ12bには、第2パネル13bが吊り下げられている。
【0063】
なお、第1レール部材51aおよび第2レール部材51bは、同じ構成を有するため、これらをまとめてレール部材51ともいう。
第1レール部材51aおよび第2レール部材51bの各々は、直線形状を有しており、同じ長さである。そして、互いに隣接され平行に配置される。したがって、第1レール部材51aのランナ走行空間24および第2レール部材51bのランナ走行空間24は、互いに近接して平行な並設状態となる。
【0064】
図10に示すように、第1レール部材51aおよび第2レール部材51bの各々は、互いに隣接し平行な状態が固定されるように連結部材であるL字形状の連結金具52によって連結されている。連結金具52は、第1片52aと第2片52bとを備えている。第1片52aには、締結部材52fによって第1レール部材51aの天板と第2レール部材51bの天板とが固定される。
【0065】
第2片52bには、吊り下げ部材53が固定される。吊り下げ部材53は、天井4から第1レール部材51aおよび第2レール部材51bを吊り下げる部材である。吊り下げ部材53は、1つの第2片52bに対して2つが連結される。
【0066】
吊り下げ部材53は、軸部53aと、第1固定部53bと、第2固定部53cとを備えている。軸部53aは、長さ調整部を備え、伸縮することで、レール部材51から吊り下げられているパネル13の高さを調整できるようになっている。
【0067】
長さ調整部は、例えば、第1軸部に設けられた第1ボルト部と、第2軸部に設けられた第2ボルト部と、第1ボルト部が締め付けられる第1ナット部および第2ボルト部が締め付けられる第2ナット部を備える胴部とを備え、第1ナット部と第2ナット部とが逆向きのねじ溝で構成されている。そして、胴部を回転させることで軸部53aの全体の長さを調整することができる。
【0068】
第1固定部53bは、天井4などに固定部材としてのビス53dによって固定される。第2固定部53cは、ボルト、ナットなどの締結部材53eによって、第2片52bに固定される。1つの第2片52bに対しては、2本の吊り下げ部材53の第2固定部53cが固定される。1つの吊り下げ箇所において、2本の吊り下げ部材53は、V字をなすように配置され、レール部材51を吊り下げる。
【0069】
レール部材51は、第1実施形態における第1レール部21や第2レール部22と同様な構成を有し、ランナ12も第1実施形態のランナ12と同様な構成を有するので、ここではその詳細を省略する。
【0070】
図9に示すように、パネル13は、矩形形状を有する透光性の板体であり、一例としてガラス、ポリカーボネート、アクリルなどの合成樹脂により形成されている。パネル13は、少なくとも対面している第1人物1と第2人物2の頭部または上半身よりも大きい板体である。また、パネル13は、剛性を有する板体であり、風などが当たっときにも撓まない強度を有している。第1レール部材11aに吊り下げられる第1パネル13aと第2レール部材11bに吊り下げられる第2パネル13bとは、同じデザインでもよいし、異なるデザインであってもよい。また、形状や大きさも、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0071】
このようなパネル13は、上縁であって、コーナ部の近くに、取付孔45を備えている。ランナ12とパネル13とは、線状部材41ではなく、吊り下げリング55によって接続されている(図10参照)。吊り下げリング55は、金属製または合成樹脂製の部材であり、リング36に係合されるとともに、取付孔45に係合される。
【0072】
すなわち、レール部材51の上面と天井4との間には、貫通した第1開口56が構成され、レール部材51の下面とパネル13の上縁との間には、貫通した第2開口57が構成される。そして、第1開口56の上下方向の寸法をAとし、第2開口57の上下方向の寸法をBとしたとき、Aおよび前記Bは、A>Bの関係に設定される。
【0073】
第1開口56および第2開口57は、パネル13で仕切られる第1人物1側の空間と第2人物2側の空間との間で、パネル13が存在しても十分に会話ができるようにしている。特に、第1開口56が第2開口57より上下方向の寸法が大きくなっていることで、第1開口56がこのような機能に貢献する。
【0074】
[第2実施形態の作用]
以上のように構成された仕切り装置50は、次のような作用を有する。
図8および図9に示すように、仕切り装置50は、第1レール部材11aに1枚の第1パネル13aが吊り下げられており、第2レール部材11bに1枚の第2パネル13bが吊り下げられている。第1パネル13aの反矢印D方向の縦側縁と第2パネル13bの反矢印D方向の縦側縁とは、同じ位置または重なるように位置している。これにより、第1パネル13aの反矢印D方向の縦側縁と第2パネル13bの反矢印D方向の縦側縁との間を飛沫などが通過しないようにしている。仕切られる2つの空間は、フィルムの場合よりしっかりと区画することができ、第1人物1のいる空間の保安を高めることもできる。
【0075】
このような使用位置のとき、カウンタ3を挟んで対向している第1人物1および第2人物2との間には、パネル13が介在することになる。パネル13は、透光性を有するので明るさなどの環境もほぼ同じであり、また、第1開口56および第2開口57を有するので、温度や湿度なども同じとなり、相手方の声も十分聴くことができる。
【0076】
図11に示すように、第1人物1と第2人物2との間で商品のやり取りや金銭授受を行う場合は、第1パネル13aを矢印D方向に若干移動する。または、第2パネル13bを矢印D方向に若干移動する。一例として、手を通すことができる程度の隙間ができる程度に第1パネル13aおよび第2パネル13bの少なくとも一方を移動する。これにより、第1パネル13aの反矢印D方向の縦縁と第2パネル13bの反矢印D方向の縦縁との間の隙間から手を通したり、物のやり取りを行うことができる。
【0077】
第1パネル13aおよび第2パネル13bは、自分の前を開放するとき、第1パネル13aが第1レール部材51aを矢印D方向に移動され、第2パネル13bが第2レール部材51bを矢印D方向に移動される。
【0078】
また、図9に示すように、第1パネル13aは、使用位置にあるとき、カウンタ3が途切れた通路5上にはみ出している。第1人物1または第2人物2が通路5を通るときには、第1パネル13aを矢印D方向または反矢印D方向に移動して、通路5上から第1パネル13aを退避させる。これにより、通路5は、通行可能となる。
【0079】
[第2実施形態の効果]
以上のような仕切り装置50は、以下のように列挙する効果を得ることができる。
(2-1)仕切り装置50も上記(1-1)~(1-6)と同様な効果を有する。
【0080】
(2-2)第1パネル13aも第2パネル13bも、矢印D方向または反矢印D方向移動するだけで、自分の前から退かすことができる。
(2-3)パネル13を介した第1人物1側の空間と第2人物2側の空間とは、第1開口56を介して繋げることができる。第1開口56は、天井4とレール部材51との間の空間であり、第1人物1および第2人物2の頭部とも離れた空間である。したがって、飛沫なども、相手方の空間へ飛散しにくくなる。
【0081】
(2-4)パネル13の高さは、吊り下げ部材53の長さ調整部で長さを調整することができる。
なお、第2実施形態における仕切り装置50は、さらに、以下のように適宜変更して実施することもできる。
【0082】
・第2開口57は、レール部材51の前壁および後壁の少なくとも一方の壁に設けられたカバーで塞ぐようにしてもよい。カバーは、パネル13の上縁との接触を緩和するため、例えばゴムなどの弾性材で形成することが好ましい。
【0083】
・連結金具52には、3本以上のレール部材51が連結されてもよい。
・レール部材51を天井4に直付けする構成としてもよい。
・第1レール部材51aおよび第2レール部材51bの何れか一方のレール部材51を直線形状とし、他方のレール部材51を、第1実施形態で説明したようなL字形状としてもよい。
【0084】
・仕切り装置50は、第1レール部材51aおよび第2レール部材51bの何れか一方のレール部材51だけで構成されていてもよい。
・カウンタ3には、パネル13の下縁に係合されるC字形状を有した案内部材を配置するようにしてもよい。これにより、パネル13は、下縁が案内部材に案内されることになり、第1人物1や第2人物2の方向えの揺動を抑えることができる。
【0085】
・第1レール部材51aと第2レール部材51bとを一連の一本のレール部材51とし、内部に2つのランナ走行空間24を並設するようにしてもよい。この場合、一方のランナ走行空間24に、第1パネル13aを吊り下げる第1ランナ12aを収容し、他方のランナ走行空間24に第2パネル13bを吊り下げる第2ランナ12bを収容する。
【0086】
・パネル13の取付孔45は、上縁に沿う位置であって、ランナ12に対して傾くことなく取り下げ可能であれば、その数は1つでもよいし、2つ以上であってもよい。すなわち、パネル13の吊り下げ箇所は、1カ所でも3カ所以上であってもよい。
【0087】
・吊り下げ部材53は、第1レール部材51aと第2レール部材51bとを別々に吊り下げてもよい。
・角吊り下げ箇所を1本の吊り下げ部材53で吊り下げてもよい。
【0088】
・カウンタ3の表面とパネル13の下縁との隙間は、手や物を通すことができる程度の隙間であってもよく、このような場合、当該隙間を通じて物のやり取り間などを行うことができる。
【0089】
・取付孔45を省略し、吊り下げ具を取付孔45の位置に固定し取付部を構成するようにしてもよい。この場合、取付部を構成する吊り下げ具には、吊り下げ金具が係合される。
【0090】
・仕切り装置10,50は、カウンタ3以外の場所に設置してもよい。例えば、パネル13の下縁は、床面に接するか、わずかな間隙を介して直ぐ上に位置するものであってもよい。また、病院施設などにおけるベッドを囲む仕切り装置としても使用可能である。
【0091】
[第3実施形態]
図12(a)に示すように、飲食店などの店舗は、カウンタ61を備え、カウンタ61に向って一人ずつ客62が着座して飲食をするように構成されていることがある。例えば、カウンタ61には、第1席62aと第2席62bとが隣接して設けられている。カウンタ61の奥61aは、通常、壁、ウィンドウ、厨房などであったり、対面するカウンタ61との仕切りとなる壁部61bなどである。客62は、カウンタ61に向って第1席62aおよび第2席62bに座って飲食を行う。各客62が飲食を行うカウンタ61は、第1席62aと第2席62bとの間に透光性の衝立64が設けられることで仕切られている。各席62a,62bの上側の第1飲食空間63は、衝立64によって隣り合う客62同士の口から生じる細かい水滴である飛沫66の飛散が抑えられている。この衝立64は、カウンタ61の延びる長手方向と直交する奥行方向に立てられる。衝立64は、カウンタ61の奥行と同じ幅を有している。
【0092】
ところで、飲食中は、飲食だけでなく会話も加わることから、それ以外のときと比べて飛沫66の量も多く、かつ、勢いがあるため遠くまで飛びがちである。このため、衝立64では、衝立64が存在しないカウンタ61からはみ出た各席62a,62bの第2飲食空間65を介して隣の席62a,62bにまで飛散してしまうおそれがある。図12(b)に示すように、衝立となる仕切り装置70が第1飲食空間63から第2飲食空間65にまで延びることで、第2飲食空間65を介して隣の席にまで飛沫66が飛散することを抑えることができる。
【0093】
図13は、第1実施形態の変形例である。この仕切り装置70は、第1実施形態を飲食店において、客62が一人ずつ飲食するカウンタ61の仕切りに適用したものである。仕切り装置70は、第1レール部材71aおよび第2レール部材71bを備えている。第1レール部材71aには、第1レール部材71aの内部を走行する第1ランナ72aが収容され、第1ランナ72aには、第1パネル73aが吊り下げられている。第2レール部材71bには、第2レール部材71bの内部を走行する第2ランナ72bが収容され、第2ランナ72bには、第2パネル73bが吊り下げられている。
【0094】
なお、第1レール部材71aおよび第2レール部材71bは、同じ構成を有するため、これらをまとめてレール部材71ともいう。また、第1ランナ72aおよび第2ランナ72bは、同じ構成を有するため、これらをまとめてレール部材71ともいう。また、レール部材71は、第1実施形態における第1レール部21や第2レール部22と同様な構成を有し、かつ、ランナ72も第1実施形態のランナ12と同様な構成を有するので、ここではその詳細を省略する。さらに、第1パネル73aおよび第2パネル73bは、同じ構成を有するため、これらをまとめてパネル部材73ともいう。
【0095】
第1レール部材71aおよび第2レール部材71bの各々は、直線形状を有しており、同じ長さである。そして、天井4において、互いに隣接され平行に配置される。したがって、第1レール部材71aのランナ走行空間および第2レール部材71bのランナ走行空間は、互いに近接して平行な並設状態となる。
【0096】
パネル73は、矩形形状を有する透光性の板体であり、一例としてガラス、ポリカーボネート、アクリルなどの合成樹脂により形成されている。パネル73は、カウンタ61上の第1飲食空間63において、着座状態の隣同士の客62の上半身よりも大きい板体である。また、パネル73は、剛性を有する板体であり、風などが当たっときにも撓まない強度を有している。
【0097】
パネル73は、第1パネル73aおよび第2パネル73bの何れか一方のパネル73を透光性とし、他方のパネル73の少なくとも一部を透光性を有しないパネルとしてもよい。この場合、隣同士の客62同士で、第1飲食空間63では少なくとも一部が不透光のパネル(例えば第1パネル73a)によって実際に飲食している最中の前傾姿勢を隣席から見えにくくできる。そして、飲食しておらず椅子に対して直立した姿勢は、第2飲食空間65において透光性のパネル(例えば第2パネル73b)によって、見え易く気配を感じ取り易くできる。このように、第1パネル73aと第2パネル73bとは、異なるデザインであってもよい。パネル73は、カウンタ61の延びる方向と直交する方向に立てられる。パネル73は、カウンタ61の奥行と同じ幅を有している。
【0098】
このようなパネル73は、上縁であって、コーナ部の近くに、取付孔を備え、ランナ72とパネル73とは、線状部材75によって吊下げられている。各パネル73は、一例として、上縁の左右コーナに設けられた取付孔に線状部材75が接続されることによって、ランナ72から吊下げられる。線状部材75は、金属製または合成樹脂製のワイヤなど可撓性を有する部材であって、パネル73を吊り下げ可能なように十分な強度を有している。線状部材75は、レール部材71とパネル73の上縁との間に貫通した開口74を構成するためのものである。すなわち、仕切り装置70は、レール部材71とパネル73の上縁とを殆ど隙間がないように近接させるものではない。
【0099】
開口74は、パネル73で仕切られる第1席62aの客と第2席62bの客62との間で、パネル73が存在しても十分に会話ができるようにしている。したがって、線状部材75の長さは、パネル73の大きさにもよるが、カウンタ61の表面に対して垂直なパネル73の下縁がカウンタ61の表面に接するか、わずかな間隙を介して直ぐ上に位置し、かつ、レール部材71とパネル73の上縁との間に開口74が設けられる長さとされる。開口74の上下方向の寸法は一例として、数十cmであり、カウンタ61の表面とパネル73の下縁との間隔は、一例として、数cm~数mmである。パネル73は、席62a,62bの客62の上半身と高さ方向において重なるように吊り下げられる。また、カウンタ61の表面とパネル73の下縁との間隔は、手で物のやり取りを行うことができる程度の隙間があってもよい。
【0100】
ところで、第1パネル73aと第2パネル73bとは、互いに近接した状態で吊下げられており、互いに近接離間する方向に揺動するおそれがある。第1パネル73aと第2パネル73bとが互いに近接離間する方向に揺動することで、衝突し、衝突音を発生させるばかりか、傷ついてしまうおそれもある。そこで、互いに隣接する第1パネル73aと第2パネル73bとを移動可能に支持する移動支持部76を備えている。移動支持部76は、第1パネル73aおよび第2パネル73bの互いに対向する対向面の各々であって、それらの下縁に配置されるフレーム77と、一方のフレーム77であって一端部に取り付けられる案内部材78とを備えている。
【0101】
図14に示すように、フレーム77は、金属材料を押し出し成形した中空の形材である。また、フレーム77は、横方向、すなわちパネル73の移動方向に延びる長尺部材である。フレーム77は、底壁81と、底壁81の両側に位置する側壁82,83と、側壁82,83の端部を折曲した案内壁84とを備えている。そして、案内壁84の間には、長手方向に延びる案内溝85が構成されている。フレーム77は、その長手方向の寸法がパネル73の下縁の横方向の寸法と一致している。
【0102】
底壁81の外面は、パネル73に対する取付面である。第1パネル73aでは、第2パネル73bとの対向面であって、かつ、下縁に対して底壁81の外面が接着剤、両面テープ、ビスなどの固定手段によって固定される。第2パネル73bでは、第1パネル73aの下縁に対して底壁81の外面が接着剤、両面テープ、ビスなどの固定手段によって固定される。すなわち、第1パネル73aのフレーム77と第2パネル73bのフレーム77とは、互いに案内溝85が向き合うように配置される。
【0103】
第1パネル73aと第2パネル73bとが大きくずれて、第2パネル73bがカウンタ61からはみ出した使用状態において、互いに近接する第1パネル73aの下縁の端部と第2パネル73bの下縁の端部のうちの一方の端部端部には、案内部材78が取り付けられている。具体的には、案内部材78は、使用状態において、第2パネル73bの下縁に取り付けられるフレーム77であって、第1パネル74aに近い側の端部に配置されている。
【0104】
案内部材78は、フレーム77の端部に嵌合されるキャップ部86と、案内溝85に係合する案内突部87を備えている。案内突部87は、キャップ部86に一体的に設けられている。案内突部87は、案内溝85に挿通可能な太さの軸部の先端にフランジ部が設けられている。フランジ部は、フレーム内に位置することで、案内突部87が案内溝85から抜けて外れることを防いでいる。すなわち、案内突部87が案内溝85に係合されることによって、第1パネル73aおよび第2パネル73bが揺動する場合であっても、第1パネル73aおよび第2パネル73bが互いに離間する方向に揺動することを抑制する。これにより、第1パネル73aと第2パネル73bとの衝突を抑えることができる。そして、移動支持部76は、第1パネルと第2パネルとが互いに平行移動可能に支持する。
【0105】
[第3実施形態の作用]
以上のように構成された仕切り装置70は、次のような作用を有する。
仕切り装置70において、第1レール部材71aには、第1ランナ72aによって1枚の第1パネル73aが吊り下げられている。第2レール部材71bには、第2ランナ72bによって1枚の第2パネル73bが吊り下げられている。待機位置において、2枚の第1パネル73aおよび第2パネル73bは、カウンタ61上に位置しており、大部分が重なっている。すなわち、第1パネル73aおよび第2パネル73bは、カウンタ61上の第1飲食空間63だけを仕切っており、第2飲食空間65を仕切っていない。待機位置の状態は、2つの席62a,62bの何れにも客62がいない状態または何れか一方の席にしか客62がいないことが多い。このような状態は、第1パネル73aに対して第2パネル73bを重ねることで、第2飲食空間65を仕切らないようにして空間を広くしている。
【0106】
隣り合う2つの席に客62が着座する場合、仕切り装置70は、第1パネル73aおよび第2パネル73bの何れか一方のパネル73が待機位置から使用位置に遷移される。すなわち、第1パネル73aおよび第2パネル73bの何れか一方のパネル73が第2飲食空間65の方向に手で引っ張るなどして移動される。例えば、第2パネル73bは、第2飲食空間65の方向に引っ張られることで、第2ランナ72bが同方向に走行する。これによって、第2パネル73bは、第2飲食空間65上に移動する。そして、第1パネル73aに対して第2パネル73bとが大きくずれた状態となる。
【0107】
この際、第1パネル74aと第2パネル74bとは移動支持部76によって連結されていることで、各パネル73が各別に揺動することを抑えることができる。第2パネル73bの案内突部87は、第2パネル73bが待機位置のとき、第1パネル73aに取り付けられたフレーム77の奥61a側に位置している。案内突部87は、第2パネル73bが使用位置に移動する際に、同方向に移動する。第2パネル73bは、使用位置に移動することで、各席62a,62bにおける連続する第1飲食空間63および第2飲食空間65を仕切り、一方の席から他方の席に飛沫が飛散することを抑制できる。
【0108】
[第3実施形態の効果]
以上のような仕切り装置70は、以下のように列挙する効果を得ることができる。
(3-1)パネル73は、飛沫66が付着することで汚れ易い。この点、パネル73は、剛性を有するので表面の清掃が容易となる。
【0109】
(3-2)第2パネル73bを待機位置から使用位置に移動することで、隣り合う席62a,62bの間で、第1飲食空間63だけでなく第2飲食空間65も仕切ることができる。これにより、互いに隣接する席62a,62b同士で、他方の席に飛沫66が飛散することを抑えることができる。
【0110】
(3-3)パネル73は、剛性を有するので、フィルムの場合のような表面の乱反射を抑制でき、意匠性を向上できる。
(3-4)パネル73は、透光性を有するので、第1席62aの第1飲食空間63および第2飲食空間65と第2席62bの第1飲食空間63と第2飲食空間65における明るさなどの環境もほぼ同じでとすることができる。
【0111】
(3-5)第2パネル73bを、第2飲食空間65の使用位置から第1飲食空間63の待機位置に移動することで、非使用時に第2パネル73bが邪魔になることを防ぐことができる。
【0112】
(3-6)開口74を有するので、温度や湿度なども同じとなる。また、友人など知り合いが隣同士で座ったときには、隣席の知り合いの声も十分聴くことができる。
なお、第3実施形態における仕切り装置70は、さらに、以下のように適宜変更して実施することもできる。
【0113】
図15に示すように、仕切り装置70において、パネル73は、複数枚ではなく1枚であってもよい。また、1枚のパネル73の幅は、カウンタ61の奥行よりも広くしてもよい。一例として、パネル73の幅は、カウンタ61の奥行の1.1倍~1.5倍程度である。この場合、客62がそれぞれの好みに応じてパネル73を移動させることになる。パネル73は、その幅がカウンタ61の奥行よりも大きくすることで、どの位置にあっても、飛沫の飛散を抑制することができる。例えば、パネル73は、第1飲食空間63の方向に寄せられていても、または、第2飲食空間65の方向に寄せられていても、飛沫66の飛散を抑制することができる。
【0114】
図16に示すように、第1パネル73aおよび第2パネル73bのうち何れか一方のパネル73を固定パネルとし、他方のパネル73を可動パネルとしてもよい。一例として、第1パネル73aを固定パネルとし、第2パネル73bを可動パネルとする。固定パネルとなる第1パネル73aは、一例として壁、ウィンドウおよび/またはカウンタ61に固定金具や接着剤などによって隙間なく固定されている。このような場合、第1パネル73aは、固定パネルとなるので、第1ランナ72aおよび線状部材75を省略してもよい。そして、可動パネルとなる第2パネル73bは、手で引っ張られることによって待機位置と使用位置の間を移動する。
【0115】
なお、第2パネル73bを固定パネルとして、壁、ウィンドウおよび/またはカウンタ61に固定し、第1パネル73aを待機位置と使用位置との間に亘って移動可能としてもよい。
【0116】
図17に示すように、カウンタ61の奥には、壁部61bなどが設けられていることもある。壁部61bがあると、第1パネル73aおよび第2パネル73bのうちの何れかのパネルの縦側縁部を、当該パネル73の縦縁部と壁、ウィンドウなどとの間に隙間が形成されないように当接できなくなる。そこで、本実施形態では、第1パネル73aの壁、ウィンドウ側の縦縁部の下側コーナ部に切欠部88を設け、切欠部88を壁部61bに係合可能とすることで、奥61aと第1パネル73aとの間の隙間を小さくできる。ここでは、第1パネル73aに切欠部88が設けられている。この場合、第1パネル73aは、固定パネルでおよび可動パネルの何れのパネルであってもよい。切欠部88が避ける障害物としては、壁部61bの他に、壁部61bに沿って配置される調味料、メニューなどの冊子などであってもよい。
【0117】
[第4実施形態]
図18に示すように、仕切り装置90は、パネル73を、カウンタ61に対して平行な左右方向に移動可能とすることに加えて、昇降可能としている。
【0118】
図18および図19に示すように、この仕切り装置90は、ヘッドボックス91と、昇降コード92と、パネル93とを備えている。本実施形態でのパネル93は、図15に示したパネルと同じである。昇降コード92は、金属製または合成樹脂製のワイヤなどの線状部材41,75よりも可撓性を有する紐部材であって、一例として、組紐などである。昇降コード92の一端は、パネル93の上縁に形成された取付孔95に固定される。
【0119】
ヘッドボックス91は、案内部材91a、ストッパ91b、案内部材91cなどを内蔵している。案内部材91aは、パネル93から上方に延びる昇降コード92をヘッドボックス91内に案内する。ストッパ91bは、パネル93の昇降を制御する。案内部材91cは、操作のためヘッドボックス91から昇降コード92を垂下させる。昇降コード92の他端は、ジョイント92bを介して補助コード92aと接続され、補助コード92aは、パネル93の表面に固定されている。
【0120】
ヘッドボックス91は、断面形状がU字形状であって、内部に、案内部材91a,ストッパ91b,案内部材91cなどが固定されている。ヘッドボックス91の上面は、天板などの接続板が取り付けられ、レール部材71を走行する複数のランナ94と接続される。ランナ94は、上述のランナ12,72と同様な構成を有している。そして、複数のランナ94は、ヘッドボックス91の上面と、接続部材を介して等間隔に接続され、吊下げられている。接続部材としては、金属製または合成樹脂製のワイヤなどであってもよいし、フックなどの接続金具であってもよい。パネル93は、補助コード92aを下方に引っ張ることによって、ストッパ91bが解除され、パネル93の重さによって下方に移動し、下位置に移動させることができる。また、下位置からパネル93を上昇させて上位置に移動させることができる。
【0121】
なお、ここでのパネル93は、カウンタ61の奥行と同じでも良いが、ここではカウンタ61の奥行より広く、一例として、パネル93の幅は、カウンタ61の奥行の1.1倍~1.5倍程度である。
【0122】
[第4実施形態の作用]
以上のように構成された仕切り装置90は、次のような作用を有する。
仕切り装置90は、ヘッドボックス91がランナ94に吊下げられており、待機位置において、パネル93は、カウンタ61上に位置している。第1飲食空間63に寄せられた待機位置において、補助コード92aを下方に引き、ストッパ91bを解除することで、パネル93を昇降させることができる。待機位置は、2つの席62a,62bの何れにも客62がいない状態または何れか一方の席にしか客62がいないことが多い。パネル93は、上位置および下位置の何れの位置にあってもよい。待機位置では、パネル93は、下位置にあるとき、カウンタ61上の第1飲食空間63だけを仕切っており、第2飲食空間65を仕切っていない。
【0123】
知り合い同士が互いに隣接する席62a,62bに着座したときには、パネル93を下位置から上位置に移動させることで、会話し易くできる。上位置は、一例として、パネル93が顔よりも上に位置するのではなく、飛沫が直接相手方にかからない程度の高さ位置である。勿論、パネル93は、ヘッドボックス91に対してパネル93の上縁が近接するまで上昇可能とし、ここを上位置としてもよい。
【0124】
パネル93は、上位置、下位置、上位置と下位置の中間位置の何れの位置にあっても、互いに隣接する席62a,62bに着座している二人が飲食中などは、パネル93を引っ張ることで、パネル93およびヘッドボックス91を待機位置からカウンタ61から大きくはみ出した使用位置に移動させることができる。第2飲食空間65に寄せられた使用位置においても、パネル93は、補助コード92aを引っ張ることで昇降可能である。
【0125】
[第4実施形態の効果]
以上のような仕切り装置90は、上記(3-1)~(3-6)の効果に加えて、以下のように列挙する効果を得ることができる。
【0126】
(4-1)仕切り装置90は、待機位置および使用位置の各々において、パネル93を上位置と下位置との間で昇降することができる。したがって、客62は、その時々の環境に応じて、パネル93を待機位置から使用位置に移動させたり、下位置から上昇位置または上位置から下位置に移動させることができる。したがって、利便性が向上される。
【0127】
なお、第4実施形態における仕切り装置90は、さらに、以下のように適宜変更して実施することもできる。
・仕切り装置90において、パネル93の昇降は、ヘッドボックス91に内蔵された巻取軸に昇降コード92を巻き取るようにしてもよい。この場合、ヘッドボックス91から垂下された操作コードを引っ張ることによって、ヘッドボックス91の長手方向に延在された駆動軸を回転させることに巻取軸を回転させることができる。
【0128】
・異なる種類の仕切り装置を複数用意し、1つは、仕切り装置90とし、他を仕切り装置70としてもよい。
【符号の説明】
【0129】
11…レール部材
12…ランナ
13…パネル
21…第1レール部
22…第2レール部
23…連結レール部
24…ランナ走行空間
41…線状部材
44…開口
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