(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022127573
(43)【公開日】2022-08-31
(54)【発明の名称】ヘッドホン、制御方法、及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
H04R 5/033 20060101AFI20220824BHJP
H04R 1/10 20060101ALI20220824BHJP
【FI】
H04R5/033 Z
H04R1/10 101B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021170951
(22)【出願日】2021-10-19
(31)【優先権主張番号】63/151,266
(32)【優先日】2021-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514136668
【氏名又は名称】パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカ
【氏名又は名称原語表記】Panasonic Intellectual Property Corporation of America
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100118049
【弁理士】
【氏名又は名称】西谷 浩治
(72)【発明者】
【氏名】白鳥 真衣子
(72)【発明者】
【氏名】岸田 麻祐
(72)【発明者】
【氏名】川島 大地
(72)【発明者】
【氏名】高田 徹
【テーマコード(参考)】
5D005
5D011
【Fターム(参考)】
5D005BB11
5D011AC01
(57)【要約】
【課題】音声を聞くユーザの臨場感をより向上させることができる技術を提供する。
【解決手段】ヘッドホン1は、音声信号を入力する音声信号入力部11と、耳介を覆うハウジング12と、ハウジング12内に設けられ、音声信号を出力するスピーカ13と、空気を送出するポンプ14と、ポンプ14とハウジング12内に設けられた空気孔15とを連結し、ポンプ14から送出された空気を空気孔15に運ぶ管16と、管16に設けられた電磁弁17と、音声信号に基づいて、電磁弁17の開閉を制御する制御部10とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声信号を入力する音声信号入力部と、
耳介を覆うハウジングと、
前記ハウジング内に設けられ、前記音声信号を出力するスピーカと、
空気を送出するポンプと、
前記ポンプと前記ハウジング内に設けられた空気孔とを連結し、前記ポンプから送出された前記空気を前記空気孔に運ぶ管と、
前記管に設けられた弁と、
前記音声信号に基づいて、前記弁の開閉を制御する制御部と、
を備えるヘッドホン。
【請求項2】
前記制御部は、前記音声信号が入力された場合、前記弁を開き、前記音声信号が入力されていない場合、前記弁を閉じる、
請求項1記載のヘッドホン。
【請求項3】
前記制御部は、入力された前記音声信号の音量を解析し、解析した前記音量に基づいて、前記弁の開度を制御する、
請求項1又は2記載のヘッドホン。
【請求項4】
前記制御部は、解析した前記音量が大きくなるほど、前記弁の開度を大きくする、
請求項3記載のヘッドホン。
【請求項5】
前記制御部は、入力された前記音声信号の周波数を解析し、解析した前記周波数が、人の声の周波数範囲内である場合、前記弁を開き、解析した前記周波数が、前記人の声の周波数範囲内ではない場合、前記弁を閉じる、
請求項1~4のいずれか1項に記載のヘッドホン。
【請求項6】
前記制御部は、入力された前記音声信号に含まれる人の声の種類を判定し、判定結果に基づいて、前記弁の開度を制御する、
請求項1~5のいずれか1項に記載のヘッドホン。
【請求項7】
前記声の種類は、前記音声信号が有声音及び無声音のいずれであるかを示し、
前記制御部は、入力された前記音声信号が有声音及び無声音のいずれであるかを判定し、判定結果に基づいて、前記弁の開度を制御する、
請求項6記載のヘッドホン。
【請求項8】
前記制御部は、入力された前記音声信号が無声音であると判定された場合の前記弁の開度を、入力された前記音声信号が有声音であると判定された場合の前記弁の開度よりも大きくする、
請求項7記載のヘッドホン。
【請求項9】
耳介を覆うハウジングと、前記ハウジング内に設けられ、音声信号を出力するスピーカと、空気を送出するポンプと、前記ポンプと前記ハウジング内に設けられた空気孔とを連結し、前記ポンプから送出された前記空気を前記空気孔に運ぶ管と、前記管に設けられた弁とを備えるヘッドホンを制御する制御方法であって、
コンピュータが、
前記音声信号を入力し、
前記音声信号に基づいて、前記弁の開閉を制御する、
制御方法。
【請求項10】
耳介を覆うハウジングと、前記ハウジング内に設けられ、音声信号を出力するスピーカと、空気を送出するポンプと、前記ポンプと前記ハウジング内に設けられた空気孔とを連結し、前記ポンプから送出された前記空気を前記空気孔に運ぶ管と、前記管に設けられた弁とを備えるヘッドホンを制御する制御プログラムであって、
前記音声信号を入力する音声信号入力部と、
前記音声信号に基づいて、前記弁の開閉を制御する制御部としてコンピュータを機能させる制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、耳介を覆うハウジング内のスピーカから音声信号を出力する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、ダミーヘッドマイクロホンで収録した音をヘッドホンで再生して両耳で受聴させることにより、臨場感のある音場再生を行うバイノーラル方式のステレオ音響技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術では、臨場感のある音場再生を行っているが、更なる改善が必要とされていた。
【0005】
本開示は、上記の問題を解決するためになされたもので、音声を聞くユーザの臨場感をより向上させることができる技術を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るヘッドホンは、音声信号を入力する音声信号入力部と、耳介を覆うハウジングと、前記ハウジング内に設けられ、前記音声信号を出力するスピーカと、空気を送出するポンプと、前記ポンプと前記ハウジング内に設けられた空気孔とを連結し、前記ポンプから送出された前記空気を前記空気孔に運ぶ管と、前記管に設けられた弁と、前記音声信号に基づいて、前記弁の開閉を制御する制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、耳元で人が発話しているような感覚をユーザに与えることができ、音声を聞くユーザの臨場感をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の実施の形態1におけるヘッドホンの構成を示すブロック図である。
【
図2】本実施の形態1において、音量と電磁弁の開度との関係の一例を示す図である。
【
図3】本開示の実施の形態1におけるヘッドホンの制御処理の一例を示すフローチャートである。
【
図4】本開示の実施の形態2におけるヘッドホンの構成を示すブロック図である。
【
図5】本実施の形態2において、音量と声の種類と電磁弁の開度との関係の一例を示す図である。
【
図6】本開示の実施の形態2におけるヘッドホンの制御処理の一例を示す第1のフローチャートである。
【
図7】本開示の実施の形態2におけるヘッドホンの制御処理の一例を示す第2のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(本開示の基礎となった知見)
上記の従来技術は、ダミーヘッドマイクロホンを用いて収録した音響信号をヘッドホンにより再生するバイノーラル方式のステレオ音響技術を開示している。従来技術のバイノーラル再生装置は、左右スピーカ部がヘッドホンの左右耳介装着部よりも前方に配置されたヘッドホンと、スピーカ部から耳介装着部へ至る空間の音響特性の逆特性を音響信号に畳み込み演算して再生音の振幅及び位相遅れを是正した再生信号をスピーカ部に出力する音像定位フィルタリング部とを備えている。
【0010】
これにより、従来技術では、ヘッドホンのスピーカ部が受聴者の耳介よりも前方に位置するように構成されることにより、ダミーヘッドマイクロホンで収録した音を不特定多数の受聴者に対して再生した場合でも、前方方向への音像定位感を付与することが可能になり、高い臨場感をユーザに提供可能にしている。
【0011】
しかしながら、従来技術で提供される臨場感は、再生される音声のみから得られるものであり、従来技術は、音声以外の事象から臨場感を向上させることについて開示していない。
【0012】
以上の課題を解決するために、本開示の一態様に係るヘッドホンは、音声信号を入力する音声信号入力部と、耳介を覆うハウジングと、前記ハウジング内に設けられ、前記音声信号を出力するスピーカと、空気を送出するポンプと、前記ポンプと前記ハウジング内に設けられた空気孔とを連結し、前記ポンプから送出された前記空気を前記空気孔に運ぶ管と、前記管に設けられた弁と、前記音声信号に基づいて、前記弁の開閉を制御する制御部と、を備える。
【0013】
この構成によれば、耳介を覆うハウジング内に設けられたスピーカから、音声信号が出力される。そして、空気を送出するポンプとハウジング内に設けられた空気孔とを連結する管に弁が設けられており、音声信号に基づいて、弁の開閉が制御される。
【0014】
したがって、音声信号に基づいて、空気孔からユーザの耳に向けて空気が吹き付けられるので、耳元で人が発話しているような感覚をユーザに与えることができ、音声を聞くユーザの臨場感をより向上させることができる。
【0015】
また、上記のヘッドホンにおいて、前記制御部は、前記音声信号が入力された場合、前記弁を開き、前記音声信号が入力されていない場合、前記弁を閉じてもよい。
【0016】
この構成によれば、スピーカから音声信号が出力される場合、空気孔からユーザの耳に向けて空気が吹き付けられ、スピーカから音声信号が出力されない場合、空気孔からユーザの耳に向けて空気が吹き付けられないので、あたかも耳元で人が発話しているような感覚をユーザに与えることができる。
【0017】
また、上記のヘッドホンにおいて、前記制御部は、入力された前記音声信号の音量を解析し、解析した前記音量に基づいて、前記弁の開度を制御してもよい。
【0018】
人が発する声の大きさによって、吐く息の量は異なる。この構成によれば、出力される音声信号の音量に応じて、空気孔からユーザの耳に向けて吹き付ける空気の量が制御されるので、人が発する声の大きさに応じて異なる息の量を再現することができ、音声を聞くユーザの臨場感をより向上させることができる。
【0019】
また、上記のヘッドホンにおいて、前記制御部は、解析した前記音量が大きくなるほど、前記弁の開度を大きくしてもよい。
【0020】
人が発する声が大きくなるほど、吐く息の量は増加する。この構成によれば、出力される音声信号の音量が大きくなるほど、空気孔からユーザの耳に向けて吹き付ける空気の量が増えるので、人が発する声が大きくなるのに従って増加する息の量を再現することができ、音声を聞くユーザの臨場感をより向上させることができる。
【0021】
また、上記のヘッドホンにおいて、前記制御部は、入力された前記音声信号の周波数を解析し、解析した前記周波数が、人の声の周波数範囲内である場合、前記弁を開き、解析した前記周波数が、前記人の声の周波数範囲内ではない場合、前記弁を閉じてもよい。
【0022】
この構成によれば、人が発話している音声が出力される場合、空気孔からユーザの耳に向けて空気が吹き付けられ、人が発話していない音声が出力される場合、空気孔からユーザの耳に向けて空気が吹き付けられないので、あたかも耳元で人が発話しているような感覚をユーザに与えることができる。
【0023】
また、上記のヘッドホンにおいて、前記制御部は、入力された前記音声信号に含まれる人の声の種類を判定し、判定結果に基づいて、前記弁の開度を制御してもよい。
【0024】
この構成によれば、入力された音声信号に含まれる人の声の種類が判定され、人の声の種類の判定結果に基づいて、空気孔からユーザの耳に向けて吹き付ける空気の量が制御されるので、人が発する声の種類に応じて異なる息の量を再現することができ、音声を聞くユーザの臨場感をより向上させることができる。
【0025】
また、上記のヘッドホンにおいて、前記声の種類は、前記音声信号が有声音及び無声音のいずれであるかを示し、前記制御部は、入力された前記音声信号が有声音及び無声音のいずれであるかを判定し、判定結果に基づいて、前記弁の開度を制御してもよい。
【0026】
有声音を発声した場合の息の量と、無声音を発声した場合の息の量とは異なる。この構成によれば、音声信号が有声音である場合と、音声信号が無声音である場合とで、空気孔からユーザの耳に向けて吹き付ける空気の量を異ならせることができるので、有声音と無声音とで異なる息の量を再現することができ、音声を聞くユーザの臨場感をより向上させることができる。
【0027】
また、上記のヘッドホンにおいて、前記制御部は、入力された前記音声信号が無声音であると判定された場合の前記弁の開度を、入力された前記音声信号が有声音であると判定された場合の前記弁の開度よりも大きくしてもよい。
【0028】
無声音を発声した場合の息の量は、有声音を発声した場合の息の量よりも多くなる。この構成によれば、出力される音声信号が無声音である場合に、空気孔からユーザの耳に向けて吹き付ける空気の量は、出力される音声信号が有声音である場合に、空気孔からユーザの耳に向けて吹き付ける空気の量よりも多くなるので、無声音を発声する場合の息の量が、有声音を発声する場合の息の量よりも多くなることを再現することができ、音声を聞くユーザの臨場感をより向上させることができる。
【0029】
また、本開示は、以上のような特徴的な構成を備えるヘッドホンとして実現することができるだけでなく、ヘッドホンが備える特徴的な構成に対応する特徴的な処理を実行するヘッドホンの制御方法などとして実現することもできる。また、このような制御方法に含まれる特徴的な処理をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムとして実現することもできる。したがって、以下の他の態様でも、上記のヘッドホンと同様の効果を奏することができる。
【0030】
本開示の他の態様に係る制御方法は、耳介を覆うハウジングと、前記ハウジング内に設けられ、音声信号を出力するスピーカと、空気を送出するポンプと、前記ポンプと前記ハウジング内に設けられた空気孔とを連結し、前記ポンプから送出された前記空気を前記空気孔に運ぶ管と、前記管に設けられた弁とを備えるヘッドホンを制御する制御方法であって、コンピュータが、前記音声信号を入力し、前記音声信号に基づいて、前記弁の開閉を制御する。
【0031】
本開示の他の態様に係る制御プログラムは、耳介を覆うハウジングと、前記ハウジング内に設けられ、音声信号を出力するスピーカと、空気を送出するポンプと、前記ポンプと前記ハウジング内に設けられた空気孔とを連結し、前記ポンプから送出された前記空気を前記空気孔に運ぶ管と、前記管に設けられた弁とを備えるヘッドホンを制御する制御プログラムであって、前記音声信号を入力する音声信号入力部と、前記音声信号に基づいて、前記弁の開閉を制御する制御部としてコンピュータを機能させる。
【0032】
以下添付図面を参照しながら、本開示の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態は、本開示を具体化した一例であって、本開示の技術的範囲を限定するものではない。
【0033】
(実施の形態1)
図1は、本開示の実施の形態1におけるヘッドホン1の構成を示すブロック図である。
【0034】
図1に示すヘッドホン1は、制御部10、音声信号入力部11、ハウジング12、スピーカ13、ポンプ14、空気孔15、管16、及び電磁弁17を備える。
【0035】
音声信号入力部11は、音声信号を制御部10及びスピーカ13に入力する。音声信号入力部11は、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、ダブレット型コンピュータ、又は再生装置などの端末装置(不図示)に接続され、端末装置から出力された音声信号を取得する。なお、音声信号入力部11と端末装置とは、有線で接続されていてもよいし、無線で接続されていてもよい。
【0036】
ハウジング12は、耳介を覆う。スピーカ13は、ハウジング12内に設けられ、音声信号入力部11によって入力された音声信号を出力する。ポンプ14は、空気を送出する。空気孔15は、ハウジング12内に設けられ、耳介に向かって空気を吹き付ける。管16は、ポンプ14とハウジング12内に設けられた空気孔15とを連結し、ポンプ14から送出された空気を空気孔15に運ぶ。
【0037】
電磁弁17は、管16に設けられ、管16内を通る空気の流量を0~100%の範囲で連続的に変化させる比例制御電磁弁である。電磁弁17は、0~100%の範囲で開度を変更することが可能である。
【0038】
制御部10は、例えば、マイクロプロセッサ、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)及びハードディスクなどから構成される。RAM、ROM又はハードディスクは、コンピュータプログラムを記憶しており、マイクロプロセッサがコンピュータプログラムに従って動作することにより、制御部10の機能が実現される。
【0039】
制御部10は、音声信号に基づいて、電磁弁17の開閉を制御する。制御部10は、音声信号判定部101、周波数解析部102、声判定部103、音量解析部104、及び電磁弁制御部105を備える。
【0040】
音声信号判定部101は、音声信号入力部11によって音声信号が入力されたか否かを判定する。
【0041】
周波数解析部102は、音声信号入力部11によって入力された音声信号の周波数を解析する。
【0042】
声判定部103は、周波数解析部102によって解析された音声信号の周波数が、人の声の周波数範囲内であるか否かを判定する。なお、人の声の周波数範囲は、例えば、100Hz~1000Hzの範囲である。
【0043】
音量解析部104は、音声信号入力部11によって入力された音声信号の音量を解析する。
【0044】
電磁弁制御部105は、音声信号が入力された場合、電磁弁17を開き、音声信号が入力されていない場合、電磁弁17を閉じる。すなわち、電磁弁制御部105は、音声信号判定部101によって音声信号が入力されたと判定された場合、電磁弁17を開き、音声信号判定部101によって音声信号が入力されていないと判定された場合、電磁弁17を閉じる。
【0045】
また、電磁弁制御部105は、周波数解析部102によって解析された周波数が、人の声の周波数範囲内である場合、電磁弁17を開き、周波数解析部102によって解析された周波数が、人の声の周波数範囲内ではない場合、電磁弁17を閉じる。すなわち、電磁弁制御部105は、声判定部103によって音声信号の周波数が、人の声の周波数範囲内であると判定された場合、電磁弁17を開き、声判定部103によって音声信号の周波数が、人の声の周波数範囲内ではないと判定された場合、電磁弁17を閉じる。
【0046】
また、電磁弁制御部105は、音量解析部104によって解析された音量に基づいて、電磁弁17の開度を制御する。電磁弁制御部105は、音量解析部104によって解析された音量が大きくなるほど、電磁弁17の開度を大きくする。電磁弁17の開度が変更されることにより、空気孔15からユーザの耳に向けて吹き付けられる空気の量が変更される。電磁弁17の開度が大きくなるに従って、空気孔15からユーザの耳に向けて吹き付けられる空気の量も多くなる。
【0047】
図2は、本実施の形態1において、音量と電磁弁17の開度との関係の一例を示す図である。
【0048】
電磁弁制御部105は、音量解析部104によって解析された音声信号の音量が第1音量未満である場合、第1開度で電磁弁17を開く。ここで、第1音量は、例えば、30dBであり、第1開度は、例えば、30%である。また、電磁弁制御部105は、音量解析部104によって解析された音声信号の音量が第1音量以上第2音量未満である場合、第1開度より大きい第2開度で電磁弁17を開く。ここで、第2音量は、例えば、40dBであり、第2開度は、例えば、60%である。また、電磁弁制御部105は、音量解析部104によって解析された音声信号の音量が第2音量以上である場合、第2開度より大きい第3開度で電磁弁17を開く。ここで、第3開度は、例えば、100%である。
【0049】
なお、電磁弁制御部105は、音声信号の音量が、第1音量未満、第1音量以上第2音量未満、及び第2音量以上の3つの範囲のいずれであるかを判定しているが、本開示は特にこれに限定されず、音声信号の音量が2つの範囲のいずれであるかを判定してもよく、また、音声信号の音量が4つ以上の範囲のいずれであるかを判定してもよい。
【0050】
また、
図1は、1つのハウジング12を示しているが、ヘッドホン1は、左側の耳介を覆う左耳用ハウジングと、右側の耳介を覆う右耳用ハウジングとを備えてもよい。この場合、左耳用ハウジング及び右耳用ハウジングは、それぞれスピーカ13及び空気孔15を備える。音声信号は、左耳用ハウジング内の左耳用スピーカと、右耳用ハウジング内の右耳用スピーカとに入力される。なお、左耳用音声信号が左耳用スピーカに出力され、右耳用音声信号が右耳用スピーカに出力されてもよい。
【0051】
また、電磁弁17から延びる管16は、2つに分岐され、左耳用ハウジング内の空気孔15と右耳用ハウジング内の空気孔15とに接続される。なお、ポンプ14から延びる管16は、2つに分岐され、左耳用ハウジング内の空気孔15と右耳用ハウジング内の空気孔15とに接続されてもよい。この場合、ヘッドホン1は、分岐された2つの管16それぞれに電磁弁17を備えてもよい。電磁弁制御部105は、2つの電磁弁17をそれぞれ制御してもよい。
【0052】
図3は、本開示の実施の形態1におけるヘッドホン1の制御処理の一例を示すフローチャートである。
【0053】
まず、ステップS1において、音声信号判定部101は、音声信号入力部11によって音声信号が入力されたか否かを判定する。
【0054】
ここで、音声信号が入力されていないと判定された場合(ステップS1でNO)、ステップS2において、電磁弁制御部105は、電磁弁17を閉じる。そして、ステップS1に処理が戻る。
【0055】
一方、音声信号が入力されたと判定された場合(ステップS1でYES)、ステップS3において、周波数解析部102は、音声信号入力部11によって入力された音声信号の周波数を解析する。
【0056】
次に、ステップS4において、声判定部103は、周波数解析部102によって解析された音声信号の周波数が、人の声の周波数範囲内であるか否かを判定する。
【0057】
ここで、音声信号の周波数が、人の声の周波数範囲内ではないと判定された場合(ステップS4でNO)、ステップS2に処理が移行する。
【0058】
一方、音声信号の周波数が、人の声の周波数範囲内であると判定された場合(ステップS4でYES)、ステップS5において、音量解析部104は、音声信号入力部11によって入力された音声信号の音量を解析する。
【0059】
次に、ステップS6において、電磁弁制御部105は、音量解析部104によって解析された音声信号の音量が第1音量未満であるか否かを判定する。第1音量は、例えば、30dBである。
【0060】
ここで、音声信号の音量が第1音量未満であると判定された場合(ステップS6でYES)、ステップS7において、電磁弁制御部105は、第1開度で電磁弁17を開く。第1開度は、例えば、30%である。そして、ステップS1に処理が戻る。
【0061】
一方、音声信号の音量が第1音量未満ではないと判定された場合(ステップS6でNO)、ステップS8において、電磁弁制御部105は、音量解析部104によって解析された音声信号の音量が第1音量以上第2音量未満であるか否かを判定する。第2音量は、例えば、40dBである。
【0062】
ここで、音声信号の音量が第1音量以上第2音量未満であると判定された場合(ステップS8でYES)、ステップS9において、電磁弁制御部105は、第1開度より大きい第2開度で電磁弁17を開く。第2開度は、例えば、60%である。そして、ステップS1に処理が戻る。
【0063】
一方、音声信号の音量が第1音量以上第2音量未満ではないと判定された場合、すなわち音声信号の音量が第2音量以上であると判定された場合(ステップS8でNO)、ステップS10において、電磁弁制御部105は、第12度より大きい第3開度で電磁弁17を開く。第3開度は、例えば、100%である。そして、ステップS1に処理が戻る。
【0064】
このように、耳介を覆うハウジング12内に設けられたスピーカ13から、音声信号が出力される。そして、空気を送出するポンプ14とハウジング12内に設けられた空気孔15とを連結する管16に電磁弁17が設けられており、音声信号に基づいて、電磁弁17の開閉が制御される。
【0065】
したがって、音声信号に基づいて、空気孔15からユーザの耳に向けて空気が吹き付けられるので、耳元で人が発話しているような感覚をユーザに与えることができ、音声を聞くユーザの臨場感をより向上させることができる。
【0066】
なお、本実施の形態1では、音声信号判定部101によって音声信号が入力されたと判定され、かつ声判定部103によって音声信号の周波数が、人の声の周波数範囲内であると判定された場合、電磁弁制御部105は、音声信号の音量に応じて電磁弁17の開度を制御しているが、本開示は特にこれに限定されない。音声信号判定部101によって音声信号が入力されたと判定された場合、電磁弁制御部105は、音声信号の音量に応じて電磁弁17の開度を制御してもよい。すなわち、制御部10は、周波数解析部102及び声判定部103を備えず、音声信号判定部101、音量解析部104、及び電磁弁制御部105を備えてもよい。
【0067】
また、音声信号判定部101によって音声信号が入力されたと判定され、かつ声判定部103によって音声信号の周波数が、人の声の周波数範囲内であると判定された場合、電磁弁制御部105は、電磁弁17を開いてもよい。この場合、電磁弁制御部105は、電磁弁17の開度を制御せずに、開閉のみを制御する。すなわち、制御部10は、音量解析部104を備えず、音声信号判定部101、周波数解析部102、声判定部103、及び電磁弁制御部105を備えてもよい。
【0068】
さらに、音声信号判定部101によって音声信号が入力されたと判定された場合、電磁弁制御部105は、電磁弁17を開いてもよい。この場合、電磁弁制御部105は、電磁弁17の開度を制御せずに、開閉のみを制御する。すなわち、制御部10は、周波数解析部102、声判定部103、及び音量解析部104を備えず、音声信号判定部101及び電磁弁制御部105を備えてもよい。
【0069】
(実施の形態2)
実施の形態1では、音声信号の音量に基づいて電磁弁17の開度が制御される。これに対し、実施の形態2では、音声信号の音量と、音声信号に含まれる人の声の種類とに基づいて電磁弁17の開度が制御される。
【0070】
人の口から出る息の量は、人が発した声の種類によって異なる。例えば、無声音を発声した場合の息の量は、有声音を発声した場合の息の量よりも多くなる。そのため、実施の形態2では、音声信号の音量だけでなく、音声信号に含まれる人の声の種類に基づいて電磁弁17の開度が制御される。
【0071】
図4は、本開示の実施の形態2におけるヘッドホン1Aの構成を示すブロック図である。
【0072】
図4に示すヘッドホン1Aは、制御部10A、音声信号入力部11、ハウジング12、スピーカ13、ポンプ14、空気孔15、管16、及び電磁弁17を備える。なお、本実施の形態2において、実施の形態1と同じ構成については同じ符号を付し、説明を省略する。
【0073】
制御部10Aは、音声信号判定部101、周波数解析部102、声判定部103、音量解析部104、電磁弁制御部105A、及び声種類判定部106を備える。
【0074】
声種類判定部106は、音声信号入力部11によって入力された音声信号に含まれる人の声の種類を判定する。声の種類は、例えば、有声音及び無声音のいずれであるかを示す。声種類判定部106は、音声信号入力部11によって入力された音声信号が有声音及び無声音のいずれであるかを判定する。なお、有声音及び無声音の判定方法については、特開2015-206958号公報に開示されているため、説明を省略する。
【0075】
電磁弁制御部105Aは、声種類判定部106の判定結果に基づいて、電磁弁17の開度を制御する。電磁弁制御部105Aは、入力された音声信号が無声音であると判定された場合の電磁弁17の開度を、入力された音声信号が有声音であると判定された場合の電磁弁17の開度よりも大きくする。
【0076】
図5は、本実施の形態2において、音量と声の種類と電磁弁17の開度との関係の一例を示す図である。
【0077】
電磁弁制御部105Aは、音量解析部104によって解析された音声信号の音量が第1音量未満であり、かつ音声信号が有声音である場合、第1開度で電磁弁17を開く。ここで、第1音量は、例えば、30dBであり、第1開度は、例えば、25%である。また、電磁弁制御部105Aは、音量解析部104によって解析された音声信号の音量が第1音量未満であり、かつ音声信号が無声音である場合、第1開度より大きい第2開度で電磁弁17を開く。ここで、第2開度は、例えば、50%である。
【0078】
また、電磁弁制御部105Aは、音量解析部104によって解析された音声信号の音量が第1音量以上第2音量未満であり、かつ音声信号が有声音である場合、第2開度で電磁弁17を開く。ここで、第2音量は、例えば、40dBである。また、電磁弁制御部105Aは、音量解析部104によって解析された音声信号の音量が第1音量以上第2音量未満であり、かつ音声信号が無声音である場合、第2開度より大きい第3開度で電磁弁17を開く。ここで、第3開度は、例えば、75%である。
【0079】
また、電磁弁制御部105Aは、音量解析部104によって解析された音声信号の音量が第2音量以上であり、かつ音声信号が有声音である場合、第3開度で電磁弁17を開く。また、電磁弁制御部105Aは、音量解析部104によって解析された音声信号の音量が第2音量以上であり、かつ音声信号が無声音である場合、第3開度より大きい第4開度で電磁弁17を開く。ここで、第4開度は、例えば、100%である。
【0080】
なお、電磁弁制御部105Aは、音声信号の音量が、第1音量未満、第1音量以上第2音量未満、及び第2音量以上の3つの範囲のいずれであるかを判定しているが、本開示は特にこれに限定されず、音声信号の音量が2つの範囲のいずれであるかを判定してもよく、また、音声信号の音量が4つ以上の範囲のいずれであるかを判定してもよい。
【0081】
また、電磁弁制御部105Aは、第1開度~第4開度の4段階の開度で電磁弁17を制御しているが、本開示は特にこれに限定されず、3段階の開度で電磁弁17を制御してもよい。
【0082】
この場合、電磁弁制御部105Aは、音量解析部104によって解析された音声信号の音量が第1音量未満であり、かつ音声信号が有声音である場合、第1開度で電磁弁17を開いてもよい。ここで、第1音量は、例えば、30dBであり、第1開度は、例えば、30%である。また、電磁弁制御部105Aは、音量解析部104によって解析された音声信号の音量が第1音量未満であり、かつ音声信号が無声音である場合、第1開度より大きい第2開度で電磁弁17を開いてもよい。ここで、第2開度は、例えば、60%である。また、電磁弁制御部105Aは、音量解析部104によって解析された音声信号の音量が第1音量以上第2音量未満であり、かつ音声信号が有声音である場合、第1開度で電磁弁17を開いてもよい。ここで、第2音量は、例えば、40dBである。また、電磁弁制御部105Aは、音量解析部104によって解析された音声信号の音量が第1音量以上第2音量未満であり、かつ音声信号が無声音である場合、第2開度より大きい第3開度で電磁弁17を開いてもよい。ここで、第3開度は、例えば、100%である。また、電磁弁制御部105Aは、音量解析部104によって解析された音声信号の音量が第2音量以上であり、かつ音声信号が有声音である場合、第2開度で電磁弁17を開いてもよい。また、電磁弁制御部105Aは、音量解析部104によって解析された音声信号の音量が第2音量以上であり、かつ音声信号が無声音である場合、第3開度で電磁弁17を開いてもよい。
【0083】
また、電磁弁制御部105Aは、5段階以上の開度で電磁弁17を制御してもよい。
【0084】
図6は、本開示の実施の形態2におけるヘッドホン1Aの制御処理の一例を示す第1のフローチャートであり、
図7は、本開示の実施の形態2におけるヘッドホン1Aの制御処理の一例を示す第2のフローチャートである。
【0085】
ステップS21~ステップS25の処理は、
図3に示すステップS1~ステップS5の処理と同じであるので、説明を省略する。
【0086】
次に、ステップS26において、声種類判定部106は、音声信号入力部11によって入力された音声信号が有声音及び無声音のいずれであるかを判定する。
【0087】
次に、ステップS27において、電磁弁制御部105Aは、音量解析部104によって解析された音声信号の音量が第1音量未満であるか否かを判定する。第1音量は、例えば、30dBである。
【0088】
ここで、音声信号の音量が第1音量未満であると判定された場合(ステップS27でYES)、ステップS28において、電磁弁制御部105Aは、声種類判定部106による音声信号の判定結果が有声音であるか否かを判定する。
【0089】
ここで、音声信号の判定結果が有声音であると判定された場合(ステップS28でYES)、ステップS29において、電磁弁制御部105Aは、第1開度で電磁弁17を開く。第1開度は、例えば、25%である。そして、ステップS1に処理が戻る。
【0090】
一方、音声信号の判定結果が有声音ではないと判定された場合、すなわち、音声信号の判定結果が無声音であると判定された場合(ステップS28でNO)、ステップS30において、電磁弁制御部105Aは、第1開度より大きい第2開度で電磁弁17を開く。第2開度は、例えば、50%である。そして、ステップS1に処理が戻る。
【0091】
また、音声信号の音量が第1音量未満ではないと判定された場合(ステップS27でNO)、ステップS31において、電磁弁制御部105Aは、音量解析部104によって解析された音声信号の音量が第1音量以上第2音量未満であるか否かを判定する。第2音量は、例えば、40dBである。
【0092】
ここで、音声信号の音量が第1音量以上第2音量未満であると判定された場合(ステップS31でYES)、ステップS32において、電磁弁制御部105Aは、声種類判定部106による音声信号の判定結果が有声音であるか否かを判定する。
【0093】
ここで、音声信号の判定結果が有声音であると判定された場合(ステップS32でYES)、ステップS33において、電磁弁制御部105Aは、第2開度で電磁弁17を開く。そして、ステップS1に処理が戻る。
【0094】
一方、音声信号の判定結果が有声音ではないと判定された場合、すなわち、音声信号の判定結果が無声音であると判定された場合(ステップS32でてNO)、ステップS34において、電磁弁制御部105Aは、第2開度より大きい第3開度で電磁弁17を開く。第3開度は、例えば、75%である。そして、ステップS1に処理が戻る。
【0095】
また、音声信号の音量が第1音量以上第2音量未満ではないと判定された場合、すなわち音声信号の音量が第2音量以上であると判定された場合(ステップS31でNO)、ステップS35において、電磁弁制御部105Aは、声種類判定部106による音声信号の判定結果が有声音であるか否かを判定する。
【0096】
ここで、音声信号の判定結果が有声音であると判定された場合(ステップS35でYES)、ステップS36において、電磁弁制御部105Aは、第3開度で電磁弁17を開く。そして、ステップS1に処理が戻る。
【0097】
一方、音声信号の判定結果が有声音ではないと判定された場合、すなわち、音声信号の判定結果が無声音であると判定された場合(ステップS35でてNO)、ステップS37において、電磁弁制御部105Aは、第3開度より大きい第4開度で電磁弁17を開く。第4開度は、例えば、100%である。そして、ステップS1に処理が戻る。
【0098】
このように、入力された音声信号に含まれる人の声の種類が判定され、人の声の種類の判定結果に基づいて、空気孔15からユーザの耳に向けて吹き付ける空気の量が制御されるので、人が発する声の種類に応じて異なる息の量を再現することができ、音声を聞くユーザの臨場感をより向上させることができる。
【0099】
また、有声音を発声した場合の息の量と、無声音を発声した場合の息の量とは異なる。本実施の形態2によれば、音声信号が有声音である場合と、音声信号が無声音である場合とで、空気孔15からユーザの耳に向けて吹き付ける空気の量を異ならせることができるので、有声音と無声音とで異なる息の量を再現することができ、音声を聞くユーザの臨場感をより向上させることができる。
【0100】
さらに、本実施の形態2によれば、無声音を発声する場合の息の量が、有声音を発声する場合の息の量よりも多くなることを再現することができ、音声を聞くユーザの臨場感をより向上させることができる。
【0101】
なお、本実施の形態2では、音声信号判定部101によって音声信号が入力されたと判定され、かつ声判定部103によって音声信号の周波数が、人の声の周波数範囲内であると判定された場合、電磁弁制御部105Aは、音声信号の音量及び音声信号が有声音及び無声音のいずれであるかに応じて電磁弁17の開度を制御しているが、本開示は特にこれに限定されない。音声信号判定部101によって音声信号が入力されたと判定された場合、電磁弁制御部105Aは、音声信号の音量及び音声信号が有声音及び無声音のいずれであるかに応じて電磁弁17の開度を制御してもよい。すなわち、制御部10Aは、周波数解析部102及び声判定部103を備えず、音声信号判定部101、音量解析部104、電磁弁制御部105A及び声種類判定部106を備えてもよい。
【0102】
また、本実施の形態2では、音声信号判定部101によって音声信号が入力されたと判定され、かつ声判定部103によって音声信号の周波数が、人の声の周波数範囲内であると判定された場合、音量解析部104は、音声信号の音量を解析しているが、本開示は特にこれに限定されない。音声信号判定部101によって音声信号が入力されたと判定され、かつ声判定部103によって音声信号の周波数が、人の声の周波数範囲内であると判定された場合、声種類判定部106は、音声信号入力部11によって入力された音声信号が有声音及び無声音のいずれであるかを判定してもよい。そして、電磁弁制御部105Aは、声種類判定部106による音声信号の判定結果が有声音であるか否かを判定してもよい。ここで、音声信号の判定結果が有声音であると判定された場合、電磁弁制御部105Aは、第1開度で電磁弁17を開いてもよい。第1開度は、例えば、50%である。一方、音声信号の判定結果が有声音ではないと判定された場合、すなわち、音声信号の判定結果が無声音であると判定された場合、電磁弁制御部105Aは、第1開度よりも大きい第2開度で電磁弁17を開いてもよい。第2開度は、例えば、100%である。
【0103】
この場合、電磁弁制御部105は、音声信号の音量に応じて電磁弁17の開度を制御するのではなく、音声信号に含まれる人の声の種類に応じて電磁弁17の開度を制御してもよい。例えば、電磁弁制御部105は、音声信号が有声音及び無声音のいずれであるかに応じて電磁弁17の開度を制御してもよい。すなわち、制御部10Aは、音量解析部104を備えず、音声信号判定部101、周波数解析部102、声判定部103、電磁弁制御部105A、及び声種類判定部106を備えてもよい。
【0104】
また、音声信号判定部101によって音声信号が入力されたと判定された場合、声種類判定部106は、音声信号入力部11によって入力された音声信号が有声音及び無声音のいずれであるかを判定してもよい。すなわち、制御部10Aは、周波数解析部102、声判定部103、及び音量解析部104を備えず、音声信号判定部101、電磁弁制御部105A、及び声種類判定部106を備えてもよい。
【0105】
また、声の種類は、有声音及び無声音のいずれかだけではなく、例えば、ささやき音、息漏れ音、及びきしみ音のいずれであるかを示してもよい。声種類判定部106は、音声信号入力部11によって入力された音声信号が有声音、無声音、ささやき音、息漏れ音、及びきしみ音のいずれであるかを判定してもよい。そして、電磁弁制御部105Aは、音声信号の音量及び音声信号が有声音、無声音、ささやき音、息漏れ音、及びきしみ音のいずれであるかに応じて電磁弁17の開度を制御してもよい。この場合、電磁弁制御部105Aは、入力された音声信号が息漏れ音であると判定された場合の電磁弁17の開度を、入力された音声信号がささやき音であると判定された場合の電磁弁17の開度よりも大きくしてもよい。また、電磁弁制御部105Aは、入力された音声信号がきしみ音であると判定された場合の電磁弁17の開度を、入力された音声信号が息漏れ音であると判定された場合の電磁弁17の開度よりも大きくしてもよい。
【0106】
なお、上記各実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。また、プログラムを記録媒体に記録して移送することにより、又はプログラムをネットワークを経由して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムによりプログラムが実施されてもよい。
【0107】
本開示の実施の形態に係る装置の機能の一部又は全ては典型的には集積回路であるLSI(Large Scale Integration)として実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。また、集積回路化はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、又はLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0108】
また、本開示の実施の形態に係る装置の機能の一部又は全てを、CPU等のプロセッサがプログラムを実行することにより実現してもよい。
【0109】
また、上記で用いた数字は、全て本開示を具体的に説明するために例示するものであり、本開示は例示された数字に制限されない。
【0110】
また、上記フローチャートに示す各ステップが実行される順序は、本開示を具体的に説明するために例示するためのものであり、同様の効果が得られる範囲で上記以外の順序であってもよい。また、上記ステップの一部が、他のステップと同時(並列)に実行されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本開示に係る技術は、音声を聞くユーザの臨場感をより向上させることができるので、耳介を覆うハウジング内のスピーカから音声信号を出力する技術として有用である。
【符号の説明】
【0112】
1,1A ヘッドホン
10,10A 制御部
11 音声信号入力部
12 ハウジング
13 スピーカ
14 ポンプ
15 空気孔
16 管
17 電磁弁
101 音声信号判定部
102 周波数解析部
103 声判定部
104 音量解析部
105,105A 電磁弁制御部
106 声種類判定部