IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アエッセカッパ インドゥストリエス ソチエタ ペル アツィオニの特許一覧

特開2022-1276125G用途のためのミリ波アンテナ、及びこのようなアンテナを備える車両
<>
  • 特開-5G用途のためのミリ波アンテナ、及びこのようなアンテナを備える車両 図1
  • 特開-5G用途のためのミリ波アンテナ、及びこのようなアンテナを備える車両 図2
  • 特開-5G用途のためのミリ波アンテナ、及びこのようなアンテナを備える車両 図3
  • 特開-5G用途のためのミリ波アンテナ、及びこのようなアンテナを備える車両 図4
  • 特開-5G用途のためのミリ波アンテナ、及びこのようなアンテナを備える車両 図5
  • 特開-5G用途のためのミリ波アンテナ、及びこのようなアンテナを備える車両 図6
  • 特開-5G用途のためのミリ波アンテナ、及びこのようなアンテナを備える車両 図7
  • 特開-5G用途のためのミリ波アンテナ、及びこのようなアンテナを備える車両 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022127612
(43)【公開日】2022-08-31
(54)【発明の名称】5G用途のためのミリ波アンテナ、及びこのようなアンテナを備える車両
(51)【国際特許分類】
   H01Q 13/08 20060101AFI20220824BHJP
   H01Q 1/22 20060101ALI20220824BHJP
   H01Q 21/24 20060101ALI20220824BHJP
   H01Q 21/06 20060101ALI20220824BHJP
【FI】
H01Q13/08
H01Q1/22 A
H01Q21/24
H01Q21/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022022751
(22)【出願日】2022-02-17
(31)【優先権主張番号】102021000003860
(32)【優先日】2021-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(71)【出願人】
【識別番号】522063815
【氏名又は名称】アエッセカッパ インドゥストリエス ソチエタ ペル アツィオニ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智史
(72)【発明者】
【氏名】マッテオ チェルレーテッリ
(72)【発明者】
【氏名】アニェーゼ マッツィンギ
(72)【発明者】
【氏名】アンジェロ フレーニ
(72)【発明者】
【氏名】ファビオ カゾーリ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレーア ノターリ
(72)【発明者】
【氏名】ステファノ レンツィーニ
(72)【発明者】
【氏名】ルカ ビンチェッティ
【テーマコード(参考)】
5J021
5J045
5J047
【Fターム(参考)】
5J021AA05
5J045AA12
5J045AB05
5J045CA01
5J045DA10
5J045NA01
5J047AA19
5J047AB13
5J047EA00
(57)【要約】      (修正有)
【課題】5G用途のためのミリ波アンテナを備える車両を提供する。
【解決手段】ミリ波アンテナ1は、5G用途のための複数層構造のアンテナであって、上部外側層10は、少なくとも、互いから離間して第一の誘電体副層12に配置された複数の第一の放射要素14を備える。第一の内側層20は、上部外側層10の下に配置されていて、放射される供給信号を複数の第一の放射要素14に運ぶために適している複数のスルースロットを備える。第二の内側層30、第一の内側層20の下、かつ、第一の内側層20に隣接して配置され、少なくとも1つの誘電体副層32を備え、少なくとも1つの誘電体副層32の上に、放射される供給信号を複数の第一の放射要素14に伝導するために適している複数の伝導性ライン34が配置されている。層40は、銅ホイルで構成された、伝導性材料の第一の副層42を備える。第一の副層42は、第二の誘電体副層46の上に配置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
5G用途のためのミリ波アンテナ(1)であって、少なくとも、
互いから離間して第一の誘電体副層(12)に配置された少なくとも複数の第一の放射要素(14)を備える、上部外側層(10);
前記上部外側層(10)の下に配置されていて、放射される供給信号を前記複数の第一の放射要素(14)に運ぶために適している複数のスルースロット(24)を備える、第一の内側層(20);
前記第一の内側層(20)の下に、かつ前記第一の内側層(20)に隣接して配置された第二の内側層(30)であって、第二の内側層(30)が少なくとも1つの誘電体副層(32)を備え、前記少なくとも1つの誘電体副層(32)の上に、前記放射される供給信号を前記複数の第一の放射要素(14)に伝導するために適している複数の伝導性ライン(34)が配置されている、第二の内側層(30);
前記第二の内側層(30)の下に、かつ前記第二の内側層(30)に隣接して配置されたさらなる層(40)であって、さらなる層(40)が第一のスルー開口部(44)を備え、前記第一のスルー開口部(44)のそれぞれが、前記複数のスルースロット(24)のうち少なくとも1つの関連するスルースロット(24)の位置に対応する位置で、さらなる層(40)に形成されている、さらなる層(40)
を備える複数層構造を備えることを特徴とする、アンテナ(1)。
【請求項2】
前記複数層構造が、前記上部外側層(10)と前記第一の内側層(20)との間に挿入された少なくとも1つのさらなる内側層(15)をさらに備え、前記さらなる内側層(15)が、離間してさらなる誘電体副層(17)に配置された少なくとも複数の第二の放射要素(16)を備える、請求項1に記載のアンテナ(1)。
【請求項3】
前記第二の放射要素(16)が、前記第一の放射要素(14)の放射表面(A1)以下の放射表面(A2)をそれぞれ有する、請求項2に記載のアンテナ(1)。
【請求項4】
それぞれのスルースロット(24)が、前記第一の内側層(20)の上部表面に、前記それぞれのスルースロット(24)の端部が、前記第一の内側層(20)自体に、対応する第一の放射要素(14)又は第二の放射要素(16)の前記放射表面(A1、A2)を投影することによって得られる仮想領域から外に延びて、延在している、請求項3に記載のアンテナ(1)。
【請求項5】
少なくとも前記第一の内側層(20)が、複数の金属化されたスルーホール(29)を備える、請求項1に記載のアンテナ(1)。
【請求項6】
前記複数層構造が、前記さらなる内側層(40)の下に、かつ前記さらなる内側層(40)に隣接して配置された第一の追加の層(60)をさらに備え、前記第一の追加の層(60)が、略鉛直の基準方向(X)に、対応する第一のスルー開口部(44)にそれぞれ実質的に整列された複数の第二のスルー開口部(64)を備える、請求項1に記載のアンテナ(1)。
【請求項7】
前記さらなる層(40)又は前記第一の追加の層(60)の下に、かつ前記さらなる層(40)又は前記第一の追加の層(60)に隣接して配置された第二の追加の層(70)をさらに備え、前記第二の追加の層(70)が、略鉛直の基準方向(X)に、少なくとも対応する第一のスルー開口部(44)にそれぞれ実質的に整列された複数の第三のスルー開口部(74)を備える、請求項1又は6に記載のアンテナ(1)。
【請求項8】
下部外側層(80)をさらに備え、前記下部外側層(80)の上に、少なくとも前記複数の第一の放射要素(14)について、前記放射される供給信号を調節するための1つ又は複数のチップとの接続のためのトラック(82)が設けられている、請求項1に記載のアンテナ(1)。
【請求項9】
前記上部外側層(10)が、前記上部外側層(10)を、それに直接的に隣接している複数の層のうち1つの層に接着することを可能とするように適合された第一の接着副層(18)をさらに備え、前記第二の内側層(30)が、前記第一の接着副層(18)の厚さ(S1)以上の厚さ(S2)を有する第二の誘電体副層(32)を備える、請求項1に記載のアンテナ(1)。
【請求項10】
前記複数の伝導性ライン(34)が、それぞれの第一の放射要素(14)について、第一の伝導性ライン(34a)が、放射される供給信号を、対応する前記第一の放射要素(14)に、第一の偏波の方向で送信するように適合されていて、かつ第二の伝導性ライン(34b)が、放射される供給信号を、対応する前記第一の放射要素(14)に、第二の偏波の方向で送信するように適合されている関連する伝導性ラインのペアを備え、伝導性ライン(34)のペアの前記第一のライン(34a)及び前記第二のライン(34b)が、先の及び/又は次のラインのペアの対応する第一及び第二のライン(34a、34b)に対して反転した順序で、前記第二の内側層(30)に沿って配置されている、請求項1に記載のアンテナ(1)。
【請求項11】
無給電放射要素(11)の第一のシリーズと、無給電放射要素(13)の第二のシリーズとを少なくとも備え、無給電放射要素(11)の第一のシリーズと、無給電放射要素(13)の第二のシリーズとが、それらの間に挟まれた前記複数の第一の放射要素(14)とともに、互いに対して平行な2つの行に沿って、少なくとも前記上部外側層(10)に配置されている、請求項1に記載のアンテナ(1)。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載の少なくとも1つのアンテナ(1)を備えることを特徴とする、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、5G用途のためのミリ波アンテナ、及びこのようなアンテナを備える車両に関する。
【0002】
本発明によるアンテナは、車両、例えば自動車、バス、列車、商業的な車両等における使用のためにとりわけ適していて、以下で、このような用途を参照して説明されるが、その説明によって、他の適用の可能性がある分野におけるその使用を限定することは、決して意図していない。
【背景技術】
【0003】
周知であるように、過去数十年間、ワイヤレスデータ通信量は、増加する比率が次第に想定されていて、従って、さらに早く、より信頼性のある通信システムの実装が要求されている。
【0004】
この目的のために、近年では、最新の5G通信システムと呼ばれる、ミリ波(mmW)周波数帯が割り当てられたシステムの実装が進行している。
【0005】
明確に、さらにこのシステムについて、データの適した送受信のための基本的な構成要素のうち1つは、それらの必須の構成要素の中に、信号の送受信に寄与する放射要素と、放射要素自体の運転を制御し、適切に動作させるように設計された制御電子装置とを備えるアンテナによって表される。
【0006】
これらの構成要素の組立品は、例えば送信される信号の事実上の質に関する幾つかの問題を引き起こす。実際には、アンテナの構造中の、グランドプレーンとして機能する伝導性要素の存在は、アンテナにおいて、位相シフトによって、送信される信号と重なる反射された信号によるミラー効果を引き起こし、送信の全体の質に負に影響を与える場合がある。
【0007】
これらの欠点を回避するために、1つの解決策として、放射要素とグランドプレーンとの間に存在する距離を、例えばそれらの間に挿入される誘電体材料の層を増加させることによって、増加させることが考えられる。
【0008】
しかし、この場合において、アンテナのコスト及び寸法は負に影響を受け、アンテナのために利用することができる空間は制限され、さらに通常は、アンテナ自体のためのシールドとして作用する金属部分の広範囲にわたる存在のために、異なる位置に配置された複数のアンテナを同時に使用することが必要である、例えば自動車などの車両において、アンテナの使用をより困難にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の主な目的は、特に、送信される信号の望ましくない反射に関する問題を解決するか、又は少なくとも低減することができ、一方で比較的低コストで実装しやすく、小型である構築構造を要件とする、5G用途のためのミリ波アンテナを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この主な目的、並びに以下の説明からより明確になる任意の他の目的は、5G用途のためのミリ波アンテナによって達成され、その特徴は請求項1において画定される。
【0011】
この主な目的、並びに任意のあり得るさらなる目的もまた、請求項12に記載の車両、典型的には乗客輸送を意図する車両、特に自動車、によって達成される。
【0012】
特定の実施態様は、従属請求項の主題を構成していて、その内容は、この特許明細書の必要な部分として理解される。
【0013】
本発明のさらなる特徴及び利点は、添付の図面を参照することによって、以下の単に非限定的な例として規定される詳細な説明から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明によるミリ波アンテナのあり得る実施態様を模式的に示している。
図2】放射要素を設けられた、図1に示されるアンテナの上部外側層の一部を模式的に示している図である。
図3図1に示されるアンテナにおいて使用することができるさらなる放射要素を設けられた別の層の一部を模式的に示している図である。
図4図1に示されるアンテナにおいて使用することができる層の一部を模式的に示している。
図5図1に示されるアンテナにおいて使用することができる層の一部を模式的に示している。
図6図1に示されるアンテナにおいて使用することができる層の一部を模式的に示している。
図7図1に示されるアンテナにおいて使用することができる層の一部を模式的に示している。
図8図1に示されるアンテナにおいて使用することができる層の一部を模式的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の詳細な説明において、構造及び/又は機能の観点から同一又は類似である構成要素は、それらが本発明の異なる実施態様において示されているか、又は別の部分において示されているかに関わらず、同じ又は異なる符号を有する場合があることに注意すべきである。
【0016】
本発明を明確かつ簡潔に説明するために、図は必ずしもスケールどおりでない場合があり、本明細書の幾つかの特徴は幾らか模式的に示される場合があることに注意すべきである。
【0017】
さらに、用語「適合された」、「構造化された」、「構成された」、「成形された」若しくは「固定された」、又は任意の類似の用語は、本明細書において、全体としての任意の構成要素を、構成要素の任意の部分を、又は構成要素の組み合わせを参照するのに使用される場合があり、構造、構成、形態及び形状、並びに/又は位置をいい、対応してそれらを含むと理解される。
【0018】
特に、これらの用語がエレクトロニクスのハードウェア又はソフトウェアの手段をいうとき、チップ、回路、若しくはエレクトロニクス回路の部分、又は類似の構成要素を含むと理解される。
【0019】
加えて、用語「実質的な」又は「実質的に」が本明細書において使用される場合、基準の値、軸又は位置として示されたものに対して、プラス又はマイナス5%の実際の変化を含むものとして理解され;用語「横方向の」又は「横方向に」が本明細書において使用される場合、それらが参照する基準の1つ若しくは複数の部分、又は1つ若しくは複数の方向/軸に対して平行でない方向を含むと理解され、垂直は、横方向の特定の場合とみなされる。
【0020】
最後に、以下の本明細書及び特許請求の範囲において、序数詞、第一の、第二の等は、例示の明確さの目的のために使用され、いかようにも、いかなる理由のためにも、限定をするものとして解釈されるべきではなく;詳細には、例えば、「第一の層」又は第一の「第一の副層、・・・」の示すものは、さらなる「第二の層」若しくは「第二の副層」が存在することが、説明される実施態様の適した操作のために明確に明らかなものでない限り、全ての実施態様において、必ずしも、厳しい要件を示すものではないか、さらなる「第二の層」若しくは「第二の副層」の存在を示すものではないか、又は逆もまた同様であり、その順序は例示的な実施態様を参照して説明されるシークエンスと同じではない。
【0021】
図1は、本発明によるミリ波アンテナの1つのあり得る実施態様を模式的に示していて、その全体が符号1によって示されている。
【0022】
詳細には、本発明によるアンテナ1は、図1において基準軸Xによって示される基準方向に沿って鉛直方向に積み重ねられた複数層構造を備え、複数層構造は、少なくとも
上部外側層10;
上部外側層10の下に配置された第一の内側層20;
第一の内側層20の下に、第一の内側層20に隣接して配置された第二の内側層30;及び
第二の内側層30の下に、第二の内側層30に隣接して配置されたさらなる層40
を備える。
【0023】
詳細には、図1及び2において示されるあり得る実施態様において、上部外側層10は、少なくとも、例えばROGERS RO4350B材料から作られた、第一の誘電体副層12と、送信される信号を供給され、かつ放射するために適した複数の第一の放射要素14とを備える。
【0024】
第一の放射要素14は、電気的に伝導性の材料、例えば銅から作られ、軸Xに対して垂直である基準水平軸Yに沿って、順に、実質的に整列されて、第一の誘電体副層12に互いから離間して配置されている。
【0025】
好ましくは、第一の放射要素14は、互いに実質的に同じものであり、それぞれが、軸Xに対して横方向の平面に、すなわち層自体の平面に区画された放射領域又は表面「A1」を有する。例示の単純さのために、この放射領域は、図2において、1つの放射要素14についてのみ斜線で明確に示されている。
【0026】
例示された実施態様において、第一の放射要素14は、全国的又は国際的に使用される用語によれば、より正確には「パッチ」といわれる種類であり、それぞれは、実質的に一定の幾何学的構成、例えば正方形、長方形又は円形を有している。
【0027】
図1において示される実施態様において、上部外側層10は、例えばROGERS RO4450材料で作られた、以降では第一の結合副層18ともいわれる第二の副層18を有し、第二の副層18は、上部外側層10の全体が、そのすぐ下の複数層の層と結合することを可能とする。この第一の結合副層18は、第一の厚さS1を有する。
【0028】
図1において示される1つのあり得る実施態様によれば、以下でより詳細に説明される目的のために、アンテナ1の複数層構造は、有用なことには、図3において示される別の内側層15を備え、別の内側層15は第一の結合副層18に結合され、従って、上部外側層10と第一の内側層20との間に挿入されている。
【0029】
代替として、1つのあり得る実施態様において、第一の内側層20は、その上部部分において、第一の結合副層18のすぐ下に配置され、かつ直接的に第一の結合副層18に結合されてよく;この場合においては、さらなる層15は使用されない。
【0030】
図1及び4において示されるように、第一の内側層20は、少なくとも、例えば銅ホイルで構成された、第一の内側層20の伝導性材料の第一の副層22を備え、第一の副層22は、第一の内側層20の誘電体材料の第二の副層26上に配置されている。この誘電体材料の第二の副層26は、例えば、付着特性を有し、そのすぐ下の複数層の層と、すなわち例示された実施態様においては第二の内側層30と結合することを可能とするように設けることができるか、又は次の層に付着することを可能とするように加えられた幾つかの接着材料と組み合わせられてよい。
【0031】
都合の良いことには、第一の内側層20は、例えばU又はC型の形態を有する複数のスルースロット24を備え、複数のスルースロット24は、伝導性材料の第一の副層22及び誘電体材料の第二の副層26を通過していて、以下で説明されるアンテナ1の下部層に起因した放射される供給信号を、少なくとも、複数の第一の放射要素14に運ぶために適している。
【0032】
詳細には、本発明によるアンテナ1において、それぞれの第一の放射要素14について、第一の放射要素14に動作可能に関連する少なくとも1つの対応するスロット24が設けられ;図1において軸Xによって示される略鉛直方向に関して、それぞれのスルースロット24は、上部外側層10上の関連する第一の放射要素14の位置に対応する、その下の位置において、第一の内側層20上に実現される。
【0033】
好ましくは、軸Xによって表される鉛直方向に関して、それぞれのスロット24は、第一の内側層20の上部水平表面に、その少なくとも1つの端部が、鉛直方向に(軸Xの方向に沿って)、第一の内側層20自体に、関連する第一の放射要素の放射表面「A1」を投影することによってか、又は代替として、これも鉛直方向に、第一の内側層20に、それぞれのスロット24を投影することによって得られる仮想領域の外部にあるように、延在している。
【0034】
1つのあり得る実施態様において、図4の例において示されるように、それぞれの第一の放射要素14について、スルースロット24の関連するペアが設けられ、それぞれのペアの2つのスルースロット24は、上部外側層10上の関連する第一の放射要素14の位置に対応する、その下の位置における第一の内側層20に形成される。
【0035】
例示される実施態様において、例えばC又はU型の形態を有する、スルースロット24のそれぞれのペアの2つのスロットは、互いに対して略垂直に配置されている。
【0036】
この場合においても、軸Xによって表される鉛直方向に関して、それぞれのスロット24は、第一の内側層20の上部水平表面に、その少なくとも1つの端部が、鉛直方向に、第一の内側層20自体に、関連する第一の放射要素14の放射表面「A1」を投影することによって(又は代替として、これも鉛直方向に、第一の内側層20に、それぞれのスロット24を投影することによって)得られる仮想領域の外側に延在するように、延在している。
【0037】
さらに、少なくとも第一の内側層20に、副層22及び26を通過する複数の金属化されたホール29が画定される。
【0038】
図1及び5において示されるように、副層26を上にして取り付けられた第二の内側層30は、少なくとも、第二の内側層30の第一の誘電体副層32(先に説明された誘電体層とより良く区別するように、第三の誘電体副層32ともいわれる)を備え、その上に、例えば銅ストリップから構成された、放射される供給信号を少なくとも複数の第一の放射要素に伝えるために適している複数の伝導性ライン34が配置されている。
【0039】
詳細には、少なくとも1つの対応する伝導性ライン34は、それぞれの放射要素と関連している。
【0040】
1つのあり得る実施態様において、第三の誘電体副層32は、結合層として機能し、従って付着特性を有するか、又は付着材料を備えていて、内側層30のすぐ下の複数層の層、すなわち例示的な実施態様においてさらなる層40で示される層、と結合することを可能とする。
【0041】
詳細には、例えばROGER RO4450材料で作られた、又はROGER RO4450材料を含む場合がある第三の誘電体副層32は、第一の結合層18の厚さS1以上の全体の厚さS2を有し;このようにして、有利には、信号の適合又は「マッチング」における改善が得られる。
【0042】
図5において示される実施態様によれば、複数の伝導性ライン34は、それぞれの第一の放射要素14について、それぞれの第一の放射要素14と関連する、例えば互いに異なる形状を有する、伝導性ライン34の対応するペアを備える。
【0043】
より詳細には、本実施態様によれば、伝導性ライン34のそれぞれのペアは、例えば略直線の進展を有する銅ストリップによって形成された、放射される供給信号を、対応する第一の放射要素14に、第一の偏波の方向で送信することができる第一の伝導性ライン34aと、例えばL型の銅ストリップによって形成された、放射される供給信号を、対応する第一の放射要素14に、第一の方向とは異なる第二の偏波の方向で送信することができる第二の伝導性ライン34bとを備える。これらの方向は、例えば、図5に示されるように、基準軸Zに沿った第一の方向、及び基準軸Yに沿った第二の方向であってよい。
【0044】
さらに、第三の内側層30も同様に、金属化されたホール29を備え、金属化されたホール29は、第三の内側層30の副層34及び32を通過していて、かつ第一の内側層20に作られた対応する金属化されたスルーホール29に鉛直方向に沿ってそれぞれ整列されていて;図5において、例示の目的のために、金属化されたスルーホール29は、スルーチャネル又はシリンダーの形状が明確に分かるように示されている。
【0045】
都合の良いことには、それぞれの伝導性ライン34は、副層32の平面上に延在していて、金属化されたホール29は、両方のエッジに平行に配置されていて、関連する伝導性ライン34の経路に倣っている。
【0046】
さらに、図5において示される1つのあり得る実施態様において、ライン34の隣接するペアの伝導性ライン34a及び34bは、互いに対して、相互に反転した順序で配置される。さらに、それぞれのラインは、類似の先のラインに対して、鏡像に反転されているか、又は層30自体の平面において180°反転されていてよい。
【0047】
より詳細には、軸Yに沿った変位の方向に関して、上部外側層10上の、左のエッジ12Aの最も近くに配置された第一の放射要素14の位置に対応する位置における外部横方向エッジ31から開始して、内側層30には;まず、放射される供給信号を、関連する第一の放射要素14に、第一の偏波の方向で送信することができる第一のストリップ34aと;次いで連続して、放射される供給信号を、同じ第一の放射要素14に、第二の偏波の方向で送信することができる第二の伝導性ライン34bとが配置される。方向Yに沿って続けて、上部外側層10上の続く第一の放射要素14の位置において、層30には、伝導性ライン34a及び34bの第二のペアが配置されていて、その順序は反転されていて、それぞれのライン34a及び34bは先のペアの類似のラインに対して180°反転されている。実際に、軸Yに沿って続けて、まず、放射される供給信号を、この続く放射要素14に、第二の偏波の方向で送信することができる第二の伝導性ストリップ34bであって、先のラインのペアの類似の第二のライン34bに対して、層30の平面において180°反転されたL型の形態で配置されている第二の伝導性ストリップ34bがあり;次いで、放射される供給信号を、同じ続く放射要素14に、第一の偏波の方向で送信することができる(これもまた先のペアの類似の第一のライン34aに対して鏡像に反転されているか、又は180°反転されていてよい)第一のライン34aが配置されている。先のペアの類似のラインに対するいずれかの関連する反転を伴う第一のストリップ34aと第二のストリップ34bとの間の配置の順序の反転は、先の1つの放射要素14にそれぞれ続く放射要素14において、規則的に繰り返される。
【0048】
さらに、1つのあり得る実施態様において、伝導性ライン34のうち1つ又は複数は、好ましくはそれらの全ては、対応する伝導性ライン34に沿って平行に派生した、好ましくは例示的な実施態様においては層の外側エッジに近いが、一般にはより広範囲の層に見られる遷移区域と一致するように、及び特に、無線周波数信号の遷移と一致するように配置された、有意な損失を引き起こすことなくアンテナの異なる層にシグナル自体をシフトさせるために適している、少なくとも1つの区画をそれぞれ備える。この派生した区画は、信号遷移区域の「マッチング」といわれるものをさらに向上するように機能する変更を人工的に引き起こすことを可能とする。
【0049】
このラインの派生した区画は、例えばさらなるストリップの部分によって構成されてよく、図5において、符号34cによって、説明を単純にするために伝導性ライン34の1つのペアについてのみ示されている。
【0050】
図6においてより詳細に示されるように、第二の内側層30の下に、かつ第二の内側層30に隣接して配置されたさらなる層40は、少なくとも、例えば銅ホイルで構成された、さらなる層40の伝導性材料の第一の副層42(以降では、先の副層22と区別するように、第二の伝導性副層42ともいわれる)を備え、さらなる層40の伝導性材料の第一の副層42は、さらなる層40の第二の誘電体副層46(以降では、先に説明された誘電体層と区別するように、第四の誘電体副層46ともいわれる)の上に配置されている。
【0051】
第四の誘電体副層46は、同様に、付着特性を有する材料から直接的に作られるか、又は追加の付着材料と結合されてよい。
【0052】
詳細には、さらなる層40には、その副層42及び46を通過する複数の第一のスルー開口部44が画定される。
【0053】
より詳細には、図1において軸Xによって示される略鉛直方向に対して、第一のスルー開口部44のそれぞれは、層40に、特に伝導性材料の副層42に、第一の内側層20の伝導性材料の第一の副層22に画定される複数のスルースロット24のスルースロット24に関連する少なくとも1つの位置に対応する位置に、形成される。
【0054】
都合の良いことには、1つのあり得る実施態様において、公称操作周波数におけるアンテナ1の操作に関して、それぞれの第一のスルー開口部44は、基準軸Xに対して横方向に測定して、実質的にλ2/4以上である、すなわち、伝導性材料の副層42のすぐ上の第三の誘電体副層32と、伝導性材料の副層42のすぐ下の第四の誘電体副層46との組立によって形成される誘電体材料において測定して、少なくとも波長λの2乗の4分の1である通過の領域「B]を画定している。
【0055】
例示の単純さのために、図6において、通過の領域「B]は、1つの開口部44についてのみ、斜線によって表されている。
【0056】
このようにして、特に、グランドプレーンとして機能する伝導性材料の副層42に形成されたスルー開口部44の存在は、送信される信号の質に影響を与える反射効果の存在を実質的に妨げ、一方で、同じ問題に取り組むことを目的とする異なる解決策と比較して、最適化された全体の寸法と低いコストとをもたらす。
【0057】
さらに、例示された実施態様において、さらなる層40は、同様に、少なくともその副層42を通過し、かつ第一の内側層20及び第二の内側層30に作られた対応する金属化されたスルーホール29にそれぞれ整列されている平行な行に配置されている、金属化されたホール29を備える。
【0058】
先述のように、1つのあり得る実施態様において、本発明によるアンテナ1の複数層構造は、有用なことには、図1及び2において符号15によって表され、上部外側層10と第一の内側層20との間に挿入されていて、かつ詳細には、その上の第一の結合層18に結合されている少なくとも1つの他の内側層を備える。
【0059】
示される実施態様において、内側層15は、少なくとも、例えばROGERS RO4350B材料から作られた、内側層15の誘電体副層17(以降では、さらなる誘電体副層17ともいわれる)と、互いから離間して配置されていて、かつ送信される信号を供給され、放射するために適している複数の第二の放射要素16とを備える。
【0060】
図1において示される実施態様において、内側層15は、例えばROGERS RO4450材料から作られた、さらなる結合副層19をさらに備え、さらなる結合副層19は、下にある第一の内側層20に対する内側層15の結合を可能とすることができる。
【0061】
第二の放射要素16は、電気的に伝導性の材料、例えば銅から作られ、互いから離間して、さらなる誘電体副層17に、同様に基準軸Yに沿って実質的に整列されて配置されている。
【0062】
詳細には、軸Xによって示される略鉛直の基準方向に対して、それぞれの第二の放射要素16は、ある特定の距離で、対応する第一の放射要素14の下に、かつ対応する第一の放射要素14に実質的に整列して配置される。
【0063】
この場合において、それぞれの第二の放射要素16に関連して、少なくとも1つの伝導性ライン34、特に、その上に位置する対応する第一の放射要素14に関連する少なくとも1つの同じ伝導性ライン34が存在する。
【0064】
示される実施態様において、それぞれの放射要素16は、伝導性ライン34a及び34bのペアと関連して;従って、伝導性ライン34のそれぞれのペアは、対応する第二の放射要素16、並びに対応する第二の放射要素16の上に配置された第一の放射要素14の両方に関連している。
【0065】
好ましくは、第二の放射要素16は、互いに対して実質的に同じであり、それぞれは、放射領域又は表面「A2」(例示の単純さのために、図1においては、1つの放射要素16についてのみ斜線によって明示されている)上に延在していて、示される実施態様において、それらは「パッチ」型ともいわれる。
【0066】
示される実施態様において、それぞれの第二の放射要素16は、実質的に一定の、例えば正方形、長方形又は円形の幾何学的構成を有している。
【0067】
都合の良いことには、第二の放射要素16は、それぞれの放射領域A2をそれぞれ有し、軸Xに対して横方向の平面において測定した場合に、第一の放射要素14のそれぞれの放射領域A1以下、好ましくは第一の放射領域14のそれぞれの放射領域A1未満である、それぞれの放射領域A2をそれぞれ有する。
【0068】
実際に、第二の放射要素16に設けられたさらなる層15の存在は、本発明によるアンテナ1の操作周波数の範囲を適切に広くすることを可能とする。
【0069】
好ましくは、この場合においても、軸Xによって表される鉛直方向に対して、それぞれのスロット24は、第一の内側層20の上部水平表面に、その少なくとも1つの端部が、鉛直方向に、さらなる内側層15自体に、関連する第二の放射要素16の放射表面「A2」を投影することによって(又は代わりに、これもまた鉛直方向に、さらなる内側層15に、それぞれのスロット24を投影することによって)得られる仮想領域の外部にあるように、延在している。
【0070】
例示の目的で、それぞれのスロット24のこの端部は、図3においてのみ、層15に、スロット24を仮想的に投影することによって表されている。先に説明したように、単純さのために図2において模写されていないとしても、第一の放射要素14の放射領域A1から外に出たスロット24の少なくとも1つの端部に関して、類似の構成も存在する。
【0071】
さらなるあり得る実施態様によれば、アンテナ1の複数層構造は、1つ又は複数のさらなる層を備えてよい。
【0072】
詳細には、図1の例示的な実施態様において、例えば第一の追加の層60(以降では、第三の内側層60といわれる)、第二の追加の層70(以降では、第四の内側層70といわれる)及び第三の追加の層80(以降では、下部外側層80といわれる)が示されている。
【0073】
しかし、用途に応じて、本発明によるアンテナ1において、このような追加の層のうち1つのみを、2つのみ、例えば第一及び第二の追加の層60及び70、第一及び第三の追加の層60及び80、若しくは第二及び第三の追加の層70及び80を、又は図1に描かれる例示的な構成によって以下で説明されるようにそれら全てを、使用することができると理解されるべきである。
【0074】
第一の追加の層又は第三の内側層60は、例えば第四の誘電体副層46に結合されて、さらなる内側層40の下に、かつさらなる内側層40に隣接して配置されている。
【0075】
1つのあり得る実施態様において、図1及び7において示されるように、第三の内側層60は、第三の内側層60の伝導性材料の第一の副層62(以降では、先の伝導性副層22及び42と区別するように、第三の伝導性副層62ともいわれる)を備え、第三の内側層60の伝導性材料の第一の副層62は、供給電圧をアンテナ1の制御チップに届けるように例えば銅ホイルから作られ、第三の内側層60の第二の誘電体副層66(以降では、先に説明された誘電体層と区別するように、第五の誘電体副層66ともいわれる)上に配置されていて、第三の内側層60の第二の誘電体副層66は、付着特性を有する材料から作られるか、又は幾つかの追加の付着材料と結合されている。
【0076】
内側層60には、第三の伝導性副層62及び第五の誘電体副層66を通過する複数の第二のスルー開口部64が画定され;これらの第二のスルー開口部64は、それらの数及び形状の点で、好ましくは第一のスルー開口部44と実質的に同じであり、それらのそれぞれは、軸Xによって規定される略鉛直の基準方向に、対応する第一のスルー開口部44に実質的に整列されている。
【0077】
1つのあり得る実施態様において、第三の内側層にも、及び特に第三の伝導性副層62のみにも、上で示されたスルーホール29に類似の複数の金属化されたスルーホール(図7には図示されていない)が画定され、そのスルーホールもまた、第一の内側層20及びさらなる内側層40に形成された対応する金属化されたスルーホール29に、それぞれ整列されるように配置されている。
【0078】
この場合において、スルーホールはまた、誘電体層46を通過し、基準軸Xによって規定される鉛直方向に沿って見て、アンテナ1の構造体が組み立てられたときに、図1に破線で模式的に示されるように、伝導性材料の第一の副層22から開始して伝導性材料の第三の副層62で終結する複数のスルーチャネルを形成する。
【0079】
代替として、鉛直方向に整列されたスルーホール29によって形成されるこれらのチャネルは、伝導性材料の第二の副層42で終結してよい。
【0080】
第一の追加の層60のみが使用される場合において、第一の追加の層60は、アンテナ1の下部外側層、すなわち使用される層の積み重ねの最も下の位置に配置される層、を構成する。
【0081】
図1において示される実施態様において、第二の追加の層又は第四の内部副層70は、例えば第五の誘電体副層66に結合されて、第三の内側層60の下に、かつ第三の内側層60に隣接して配置される。
【0082】
1つのあり得る実施態様において、図1及び8において示されるように、第四の内側層70は、少なくとも、第四の内側層70の伝導性材料の第一の副層72(以降では、先の伝導性副層22、42及び62と区別するように、第四の伝導性副層72ともいわれる)を備え、第四の内側層70の伝導性材料の第一の副層72は、例えばグランドプレーンとして機能する銅ホイルから作られ、付着特性を有する第四の内側層70の第二の誘電体副層76(以降では、先の誘電体副層と区別するように、第六の誘電体副層76ともいわれる)上に配置される。
【0083】
第四の誘電体副層72には、複数の第三のスルー開口部74が画定され;これらの第三のスルー開口部74は、それらの数及び形状の点で、好ましくは第一のスルー開口部44と実質的に同じであり、それらのそれぞれは、軸Xによって規定される略鉛直の基準方向に、対応する第一のスルー開口部44に実質的に整列されている。
【0084】
実際に、アンテナの種々の層が互いに対して組み立てられた後、第一のスルー開口部44は、複数層構造の鉛直方向の進展に沿って、第二のスルー開口部64及び/又は第三のスルー開口部74に実質的に整列されている。
【0085】
詳細には、図1の実施態様において、第一のスルー開口部44、第二のスルー開口部64及び第三のスルー開口部74は、複数層構造の鉛直方向の進展に沿って、互いに対して実質的に整列されている。
【0086】
第二の追加の層70のみが使用され、すなわち第一の追加の層60が使用されない場合において、第二の追加の層70は、さらなる内側層40の下に、かつさらなる内側層40に隣接して配置されていて、第二の追加の層70は、アンテナ1の下部外側層、すなわち使用される層の積み重ねの最も下の位置に配置される層、を構成する。第二の追加の層70はまた、第一及び第二の追加の層60及び70の両方のみが使用される場合、アンテナ1の下部外側層を構成する。
【0087】
図1に示される実施態様によれば、第三の追加の層又は下部外側層80は、第四の内側層70の下に配置されていて、図8において破線82で模式的に示される1つ又は複数の接続トラックを備える。これらの接続トラックは、例えば、伝導性副層72が配置された面に対向する誘電体副層76の面に合わさって配置された銅のトレースから構成されている。接続トラック82は、制御のための1つ又は複数のチップ(図示されていない)に接続されてよく、並びに/又は、少なくとも、複数の第一の放射要素14について、及び使用される場合には第二の放射要素16についても、例えば相シフト若しくは増幅のために、放射される供給信号の調節をすることができる。
【0088】
第一及び第二の追加の層60及び70が使用されない場合、第三の追加の層80は、さらなる内側層40の下に、かつさらなる内側層40に隣接して配置され、第二の追加の層70が使用されない場合、第三の追加の層80は、第一の追加の層60の下に、かつ第一の追加の層60に隣接して配置される。
【0089】
いずれの場合においても、第三の追加の層80は、使用される場合、好ましくは、アンテナ1の下部外側層を構成することが意図されている。
【0090】
1つのあり得る実施態様において、本発明によるアンテナ1は、少なくとも上部外側層10に配置された、特に第一の誘電体副層14に配置された、少なくとも1つの第一の無給電放射要素11のシリーズと、第二の無給電放射要素13のシリーズとをさらに備える。図2において示されるように、無給電放射要素11及び13は、それらの間に挟まれた複数の第一の放射要素14とともに、互いに対して平行である2つの行に沿って整列されるように配置される。
【0091】
無給電放射要素11及び13のシリーズは、送信されるシグナルの照射ビームの一致を改善するように機能する。
【0092】
さらに、無給電放射要素の2つのさらなるシリーズはまた、使用される場合には第二の放射要素16に関連させることができ;この場合において、上で説明されたのと同様に、これらのさらなる無給電放射要素は、それらの間に挟まれた第二の放射要素16の行とともに、2つの平行な行に沿って、伝導性材料の副層17に配置されてよい。
【0093】
実際に、本発明によるアンテナ1は、望ましくない仕方で、送信される信号と重なる信号の望ましくない反射の現象が、減少した全体の寸法を有する構造によって、完全に排除されない場合でも有意に低減されるため、意図された目的を達成することを可能とすることが示された。先に記載された利点に加えて、マッチングをさらに最適化するように、放射領域A1及びA2の外側に延在している少なくとも1つの区画を有するスロット24によってさらなる利益が得られ;さらに、互いに反転された順序の伝導性ライン34の配置は、チップに接続トラックを結び付ける/組み合わせることを伴わない種々の接続を促進する。それぞれの伝導性ライン34の2つの側に沿って、かつその経路に従って整列されるように配置された金属化されたホール29の存在は、伝導性ライン34自体が存在する領域における電磁場を、より良好に限定することを可能とする。
【0094】
さらなる利点について、本発明によるアンテナ1は、原理上は、任意の種類の車両において使用することができ、新規の車両、及び所望される場合には既に流通している車両の両方に、容易に組み込むことができる。従って、本発明のさらなる対象は、上で説明された少なくとも1つのアンテナ1を備えることを特徴とし、より具体的には添付の特許請求の範囲において画定される車両に関する。明確に、この車両は、5G帯のデータの送受信を利用することができる任意の種類のもの、例えば自動車、バス、列車、トラック、商業的な車両等であってよい。
【0095】
当然ながら、本発明の原理を変更せずに、特に添付の特許請求の範囲において画定される本発明の保護の範囲から逸脱することなく、製造又は実施の実施態様及び特定の詳細を、単に好ましいが非限定的である例として説明及び例示されたものと比較して幅広く変更することができる。説明された構成要素又はその部分の形状-形態及び/又は位置は、それらが、前記構成要素が本発明の枠内に入る機能及び範囲に相当するように行われる場合には、適切に変更することができる。例えば、第一の放射要素14、及び/又は使用されるときには第二の放射要素16は、説明されたものと比較して異なる構成を想定することができ、又は使用される放射要素の数は、示されている例において表される層当たり8つの要素14及び16と比較して異なってよく;アンテナ1は、さらなる構成要素、例えば図においては示されていない、例えばプラスチック材料から作られ、その中に説明された複数層構造が収容される格納ケーシングを備えてよく;伝導性ライン34は、違った仕方で構成されてよく、及び/又は説明された経路とは異なる経路、例えば曲線の経路等、に従ってよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【外国語明細書】