(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022127621
(43)【公開日】2022-08-31
(54)【発明の名称】ノットレス不安定装置及び軟組織修復のための方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/86 20060101AFI20220824BHJP
【FI】
A61B17/86
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022023620
(22)【出願日】2022-02-18
(31)【優先権主張番号】17/180,102
(32)【優先日】2021-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514046806
【氏名又は名称】メドス・インターナショナル・エスエイアールエル
【氏名又は名称原語表記】Medos International SARL
【住所又は居所原語表記】Chemin-Blanc 38, CH-2400 Le Locle, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ・エルナンデス
(72)【発明者】
【氏名】ジェローム・ミラー
(72)【発明者】
【氏名】メフメット・ジヤ・センガン
(72)【発明者】
【氏名】エリック・ソイカ
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー・アール・ホイッタカー
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL30
4C160LL54
4C160LL55
4C160LL59
(57)【要約】
【課題】軟組織を骨に固着させるためのノットレス縫合糸アンカー及び方法を提供すること。
【解決手段】縫合糸アンカーの一例示的実施形態は、挿入ロッドと、挿入ロッドの遠位端に取り外し可能に結合された遠位先端部材であって、先端部材に摺動可能に結合された複数の縫合糸リムを有するように構成された縫合糸係合特徴部を有する、遠位先端部材と、その外部表面に配置された1つ又は2つ以上の骨係合特徴部を備えた細長い円筒形本体、及び近位端から遠位端まで延在する長手方向管腔を有する近位主要部材と、を含む。縫合糸アンカーはまた、2つの縫合糸リムを互いからある距離離間して維持するための2つの縫合糸リム保持表面を含むことができる。他の例示的な実施形態、及び軟組織を骨に固着させるための方法も提供される。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縫合糸植え込みアセンブリであって、
挿入ロッドと、
前記挿入ロッドの遠位端に取り外し可能に結合された遠位先端部材であって、複数の縫合糸リムが摺動可能に結合されるように構成された縫合糸係合特徴部を有する、遠位先端部材と、
近位主要部材であって、外部表面上に配置された1つ又は2つ以上の骨係合特徴部と、近位端から遠位端まで延在する長手方向管腔と、を備えた細長い円筒形本体を有し、前記近位主要部材が、前記長手方向管腔を通って取り外し可能に配置された前記挿入ロッドを有することによって、前記挿入ロッド上に摺動可能に配置されており、前記近位主要部材が、前記遠位先端部材の近位にあり、前記近位主要部材が、前記遠位先端部材に摺動可能に結合された複数の縫合糸リムを、前記細長い円筒形本体上の第1の位置から前記細長い円筒形本体上の第2の位置まで、近位方向において、前記細長い円筒形本体の少なくとも一部分を通して通過させるように構成されており、前記第1の位置が、前記細長い円筒形本体の前記遠位端に対して、前記第2の位置よりも近い、近位主要部材と、を備え、
前記遠位先端部材及び前記近位主要部材のうちの一方が、投影像からの前記長手方向管腔を通って中心に延在する中心長手方向軸の第1の側上で内部に形成された第1の縫合糸リム保持表面と、前記投影像からの前記第1の側に対向する前記中心長手方向軸の第2の側上で内部に形成された第2の縫合糸リム保持表面と、を有し、前記遠位先端部材の近位端に最も近い前記第1の縫合糸リム保持表面の一部分が、前記遠位先端部材の近位端に最も近い前記第2の縫合糸リム保持表面の一部分から分離して位置しており、そのため、前記遠位先端部材に摺動可能に結合された前記複数の縫合糸リムの第1のリムが、前記遠位先端部材の前記近位端に最も近い前記第1の縫合糸リム保持表面の前記一部分に接して配置され得、前記遠位先端部材に摺動可能に結合された前記複数の縫合糸リムの第2のリムが、前記遠位先端部材の前記近位端に最も近い前記第2の縫合糸リム保持表面の前記一部分に接して配置され得、前記第1の縫合糸リム及び前記第2の縫合糸リムが、互いからある距離離間して維持されている、縫合糸植え込みアセンブリ。
【請求項2】
前記第1の縫合糸リム保持表面が、第1のボアを備え、第2の縫合糸リム保持表面が、第2のボアを備え、前記第1のボア及び前記第2のボアが、前記中心長手方向軸の前記第1の側及び前記第2の側上にある、請求項1に記載の縫合糸植え込みアセンブリ。
【請求項3】
前記第1の縫合糸リム保持表面が、第1のローブの一部であり、前記第2の縫合糸リム保持表面が、第2のローブの一部であり、前記第1のローブ及び前記第2のローブが、単一のボアの一部分であり、前記第1のローブ及び前記第2のローブの最近位部分が、前記中心長手方向軸の前記第1の側及び前記第2の側上にある、請求項1に記載の縫合糸植え込みアセンブリ。
【請求項4】
前記第1の縫合糸リム保持表面及び前記第2の縫合糸リム保持表面が、前記遠位先端部材上に位置する、請求項1に記載の縫合糸植え込みアセンブリ。
【請求項5】
前記第1の縫合糸リム保持表面及び前記第2の縫合糸リム保持表面が、前記近位主要部材上に位置する、請求項1に記載の縫合糸植え込みアセンブリ。
【請求項6】
前記第1の縫合糸リム保持表面及び前記第2の縫合糸リム保持表面が、前記近位主要部材に形成された少なくとも1つの開口部の一部であり、そのため、前記開口部の最遠位端部が、前記近位主要部材の前記最遠位端部に配置されており、それによって、前記第1の縫合糸リム及び前記第2の縫合糸リムが、前記第1の縫合糸リム保持表面及び前記第2の縫合糸リム保持表面に摺動可能に結合するために、前記少なくとも1つの開口部に進入することができる場所を形成する、請求項5に記載の縫合糸植え込みアセンブリ。
【請求項7】
前記近位主要部材の遠位部分の外部表面から半径方向外向きに配置された1つ又は2つ以上の突起を更に備え、前記突起のうちの少なくとも1つが、ボアの進入場所に近接して配置された相対的に平面状の表面が前記少なくとも1つの突起の遠位端と係合したとき、前記第1の縫合糸リム保持表面及び前記第2の縫合糸リム保持表面のうちの少なくとも1つの少なくとも一部分が、前記相対的に平面状の表面の近位に配置されるように構成されており、そのため、前記それぞれの第1の保持表面及び第2の保持表面に摺動可能に結合されている前記複数の縫合糸リムの第1のリム又は第2のリムのうちの少なくとも1つが、前記それぞれの第1の保持表面及び第2の保持表面に対して摺動可能であるままになっている、請求項1に記載の縫合糸植え込みアセンブリ。
【請求項8】
前記少なくとも1つの突起の前記遠位端が、前記突起が前記近位主要部材の前記近位端に向けて延在するにつれて、半径方向外向きにテーパ状になっている、請求項7に記載の縫合糸植え込みアセンブリ。
【請求項9】
前記近位主要部材の前記近位端に配置されたフレア状部分を更に備え、
前記フレア状部分と、前記フレア状部分の上に形成された前記1つ又は2つ以上の骨係合表面の任意部分との組み合わせが、前記フレア状部分の遠位の前記近位主要部材と、前記近位主要部材の前記外部表面上に配置された前記1つ又は2つ以上の骨係合表面との組み合わせによって形成された直径よりも大きい直径を有する、請求項8に記載の縫合糸植え込みアセンブリ。
【請求項10】
縫合糸アンカーであって、
細長いアンカー本体であって、近位端、遠位端、及び前記遠位端から前記近位端まで前記細長いアンカー本体の長さを通って延在する長手方向管腔を有し、前記縫合糸アンカーの前記遠位端に関連付けられた遠位先端部分がテーパ状になっており、前記細長いアンカー本体の外部表面によって前記遠位端において画定された直径が、前記細長いアンカー本体の前記外部表面によって前記遠位先端部分の前記近位端において画定された直径よりも小さくなっている、細長いアンカー本体と、
前記細長いアンカー本体の前記外部表面上に配置され、骨を係合するように構成された1つ又は2つ以上の骨係合表面と、
前記細長いアンカー本体の前記外部表面に形成された少なくとも1つの側部開口部であって、縫合糸リムが前記側部開口部を通って通過し前記長手方向管腔内に通され得るように、前記長手方向管腔と直接連通している、少なくとも1つの側部開口部と、を備え、
前記少なくとも1つの側部開口部の近位端が、少なくとも2つの別個の縫合糸誘導経路が形成されるような形状を有し、前記少なくとも2つの別個の縫合糸誘導経路が、投影像からの前記少なくとも1つの側部開口部を通って延在する中心長手方向軸の第1の側上に配置された第1の縫合糸誘導経路と、前記投影像からの前記中心長手方向軸の第2の側上に配置された第2の縫合糸誘導経路と、を含み、前記第2の側が前記第1の側に対向している、縫合糸アンカー。
【請求項11】
前記少なくとも1つの側部開口部の前記形状が、スカラップ部分を含む、請求項10に記載の外科用アンカー。
【請求項12】
前記少なくとも1つの側部開口部が、チャネルを含む遠位部分と、前記スカラップ部分を含む近位部分と、を備え、前記スカラップ部分が、前記第1の誘導経路及び前記第2の誘導経路を含む、請求項11に記載の縫合糸アンカー。
【請求項13】
前記縫合糸アンカーの遠位部分の前記外向き表面から半径方向外向きに配置された1つ又は2つ以上の突起を更に備え、前記突起のうちの少なくとも1つが、ボアの進入場所に近接して配置された相対的に平面状の表面が、前記少なくとも1つの突起の遠位端に係合するときに、前記第1の縫合糸誘導経路及び前記第2の縫合糸誘導経路のうちの少なくとも1つの少なくとも一部分が、前記相対的に平面状の表面の近位に配置されるように構成されており、そのため、前記側部開口部を通って通過し前記長手方向管腔内に通された縫合糸リムが、前記ぞれぞれの第1の縫合糸誘導経路及び第2の縫合糸誘導経路に摺動可能に結合され、それに対して摺動されることができる、請求項10に記載の縫合糸アンカー。
【請求項14】
前記少なくとも1つの突起の前記遠位端が、前記突起が前記縫合糸アンカーの前記近位端に向けて延在するにつれて半径方向外向きにテーパ状になっている、請求項13に記載の縫合糸アンカー。
【請求項15】
前記細長いアンカー本体の前記近位端に配置されたフレア状部分を更に備え、
前記フレア状部分と、前記フレア状部分上に形成された前記1つ又は2つ以上の骨係合表面の任意部分との組み合わせが、前記フレア状部分の遠位の前記細長いアンカー本体と、前記細長いアンカー本体の前記外部表面上に配置された前記1つ又は2つ以上の骨係合表面との組み合わせによって形成された直径よりも大きい直径を有する、請求項10に記載の縫合糸アンカー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、軟組織を骨に固着させるための装置及び方法に関し、より具体的には、軟組織修復を実施する際に使用するためのノットレス縫合糸アンカー及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの外科的処置は、インプラントを骨に設置することを含む。例えば、軟組織損傷が、軟組織(例えば、靭帯及び/又は腱)の関連する骨からの部分的又は完全な剥離となる事例では、分離した軟組織の骨への再付着が必要になり得る。そのような事例では、骨インプラントを含む外科的処置は軟組織を骨に再付着させるために使用され得る。軟組織修復に使用される一般的なタイプの骨インプラントは、縫合糸と組み合わせられた縫合糸アンカーである。例えば、軟組織は、縫合糸に結合されることができ、縫合糸は、軟組織が取り付けられている骨に配置された縫合糸アンカーに結び付けられるか、又は縫合糸アンカーによって別様に固定され得る。縫合糸アンカーは、骨内に直接打ち込むことによって骨に植え込まれ得るか、又は縫合糸アンカーは、事前形成された、若しくは既存の骨内の孔内に固定され得る。
【0003】
ノットレス縫合糸アンカーは、外科医が処置中にいかなるノットを結ぶ必要がないように構成された縫合糸アンカーの一種である。例えば、いくつかのノットレス縫合糸アンカーは、孔の内部表面と縫合糸アンカーの外部表面との間に縫合糸リムを閉じ込めることによって、縫合糸リム(ストランド)を骨に固定する。ノットレス縫合糸アンカーは、単一構成要素の縫合糸アンカーであり得る。代替的に、ノットレス縫合糸アンカーは、多種構成要素システムであることができ、これは、例えば、挿入ロッド、縫合糸係合部材、及び縫合糸アンカー部材を含み、挿入ロッドは、最初に縫合糸係合部材を骨の孔に誘導し、縫合糸リムの一部分を孔に運び、続いて挿入された縫合糸リムの一部分を縫合糸アンカー部材の孔の中に挿入することによって骨に固定することができるようになっている。
【0004】
現在利用可能なノットレス縫合糸アンカーによって提起される1つの課題は、軟組織修復処置中に縫合糸リムを適切に操作することができないことである。軟組織修復処置中の縫合糸リムの適切な操作は、多くの理由で重要である。例えば、縫合糸アンカーを骨に完全に挿入する前に、骨に対して軟組織を適切に位置決めするように、軟組織に取り付けられた縫合糸リムの適切な張力付与を確実にするために縫合糸リムを操作されることが必要になり得る。縫合糸リムの不適切な操作は、アンカー植え込み前に縫合糸リムの不十分な、又は過剰な張力付与になり得る。更に、縫合糸リムが交差するときに縫合糸リムを骨に保持する摩擦力が著しく低減され得、縫合糸リムの不十分な保持になるため、骨孔表面と縫合糸アンカー表面との間に閉じ込められている縫合糸リムの部分が、交差しないことを確実にするように縫合糸リムを操作することが必要になることがある。縫合糸リムのそのような不十分な保持は、意図された固定位置から縫合糸リムを摺動させる(又は別様に逸脱させる)ことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、縫合糸リムへの適切な張力付与、及び骨と縫合糸アンカーとの間に固定されている縫合糸リムの部分が交差しないように防止することを確実にするために、縫合糸リムの改善された操作を可能にする軟組織修復に使用するための装置及び方法を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
概して、軟組織を骨に固定するための装置及び方法が提供される。装置及び方法はまた、他の外科的処置の中でも、骨片又は組織などの1つ又は2つ以上の対象物の固定での使用のために適応され得、また、2つ又は3つ以上の組織を共に引き出し、それによりそれらが所望の場所で固定され得るようにするために適応され得る。
【0007】
一例示的実施形態では、縫合糸植え込みアセンブリは、挿入ロッドと、挿入ロッドに取り外し可能に結合された遠位先端部材と、近位主要部材と、を含む。遠位先端部材は、複数の縫合糸リムが摺動可能に結合されるように構成されている、縫合糸係合特徴部を有する。近位主要部材は、その外部表面上に配置された1つ又は2つ以上の骨係合特徴部を備えた細長い円筒形本体を有する。近位主要部材はまた、近位端から遠位端まで延在する長手方向管腔も含む。近位主要部材は、長手方向管腔を通って取り外し可能に配置された挿入ロッドを有することにより、挿入ロッド上に摺動可能に配置される。近位主要部材は、遠位先端部材の近位にあり、近位主要部材は、遠位先端部材に摺動可能に結合された複数の縫合糸リムを、細長い円筒形本体上の第1の位置から細長い円筒形本体上の第2の位置まで、近位方向において、細長い円筒形本体の少なくとも一部分を通して通過させるように構成されている。第1の位置は、細長い円筒形本体の遠位端に対して、第2の位置よりも近い。遠位先端部材及び近位主要部材のうちの一方は、投影像からの長手方向管腔を通って中心に延在する中心長手方向軸の第1の側上に形成された第1の縫合糸リム保持表面、及び投影像からの中心長手方向軸の第2の側上でその内部に形成された第2の縫合糸リム保持表面を含み、第2の側は、中心長手方向軸を基準に第1の側に対向している。遠位先端部材の近位端に最も近い第1の縫合糸リム保持表面の一部分は、遠位先端部材の近位端に最も近い第2の縫合糸リム保持表面の一部分から分離して位置しており、遠位先端部材に摺動可能に結合された複数の縫合糸リムの第1のリムが、遠位先端部材の近位端に最も近い第1の縫合糸リム保持表面の一部分に接して配置されることができ、遠位先端部材に摺動可能に結合された複数の縫合糸リムの第2のリムが、遠位先端部材の近位端に最も近い第2の縫合糸リム保持表面の一部分に接して配置されることができるようになっている。結果として、第1の縫合糸リム及び第2の縫合糸リムは、互いからある距離離間して維持される。
【0008】
第1の縫合糸リム保持表面は、第1のボアを含むことができ、第2の縫合糸リム保持表面は、第2のボアを含むことができる。第1のボア及び第2のボアは、中心長手方向軸の第1の側及び第2の側上にあることができる。代替的に、第1の縫合糸リム保持表面は、第1のローブの一部であることができ、第2の縫合糸リム保持表面は、第2のローブの一部であることができる。第1のローブ及び第2のローブは、単一のボアの一部分であり得る。更に、第1のローブ及び第2のローブの最近位部分は、中心長手方向軸の第1の側及び第2の側上にあることができる。
【0009】
いくつかの実施形態では、第1の縫合糸リム保持表面及び第2の縫合糸リム保持表面は、遠位先端部材上に位置することができ、一方で、いくつかの実施形態では、第1の縫合糸リム保持表面及び第2の縫合糸リム保持表面は、近位主要部材上に位置することができる。後者の事例では、第1の縫合糸リム保持表面及び第2の縫合糸リム保持表面は、近位主要部材に形成された少なくとも1つの開口部の一部であり得る。いくつかのそのような実施形態では、開口部の最遠位端部は、近位主要部材の最遠位端部に配置されることができ、このことが、第1の縫合糸リム及び第2の縫合糸リムが少なくとも1つの開口部に進入し、第1の縫合糸リム保持表面及び第2の縫合糸リム保持表面に摺動可能に結合することができる場所を形成することができる。
【0010】
いくつかの他の実施形態では、第1の縫合糸リム保持表面及び第2の縫合糸リム保持表面は、近位主要部材に形成された少なくとも1つの開口部の一部であり、開口部の最遠位端部が、近位主要部材の最遠位端部に配置されるようになっている。結果として、第1の縫合糸リム及び第2の縫合糸リムが、少なくとも1つの開口部に進入し、第1の縫合糸リム保持表面及び第2の縫合糸リム保持表面に摺動可能に結合することができる場所が作成される。
【0011】
1つ又は2つ以上の突起は、近位主要部材の遠位部分の外部表面から半径方向外向きに配置され得る。突起(複数可)は、ボアの進入場所に近接して配置された相対的に平面状の表面が突起(複数可)の遠位端と係合したときに、第1の縫合糸リム保持表面及び第2の縫合糸リム保持表面のうちの少なくとも1つの少なくとも一部分が、相対的に平面状の表面の近位に配置されるように構成され得る。結果として、それぞれの第1の保持表面及び第2の保持表面に摺動可能に結合された複数の縫合糸リムの第1又は第2のリムのうちの少なくとも1つは、それぞれの第1の保持表面及び第2の保持表面に対して摺動可能なままであることができる。いくつかのそのような実施形態では、1つ又は2つ以上の突起のうちの少なくとも1つの突起の遠位端は、突起が近位主要部材の近位端に向かって延在するにつれて半径方向外向きにテーパ状になることができる。
【0012】
フレア状部分は、近位主要部材の近位端に配置されることができる。フレア状部分と、フレア状部分上に形成された1つ又は2つ以上の骨係合表面の任意の部分との組み合わせは、フレア状部分の遠位の近位主要部材と、近位主要部材の外部表面上に配置された1つ又は2つ以上の骨係合表面との組み合わせによって形成された直径よりも大きい直径を有することができる。
【0013】
組織を骨に固着する外科的処置の一例示的実施形態は、2つの縫合糸リムが組織から延在するように縫合糸を組織に結合することと、2つの縫合糸リムが、縫合糸アンカーの遠位先端部材の1つ又は2つ以上の縫合糸係合特徴部に対して摺動可能に配置されるように、2つの縫合糸リムの各々を1つ又は2つ以上の縫合糸係合特徴部に結合することと、を含む。本方法は、遠位先端部材を骨に形成されたボアに挿入することと、遠位先端部材の1つ又は2つ以上の縫合糸係合特徴部から2つの縫合糸リムを、縫合糸アンカーの近位主要部材の少なくとも一部分の中に、かつそこを通して通過させることと、を更に含む。2つの縫合糸リムは、2つの縫合糸リムのうちの第1のリムが、投影像からの縫合糸アンカーを通って中心に延在する中心長手方向軸の第1の側上に位置する遠位先端部材及び近位主要部材のうちの1つに形成された少なくとも1つの開口部の一部分を画定する第1の表面と係合し、2つの縫合糸リムのうちの第2のリムが、投影像からの第1の側に対向する中心長手方向軸の第2の側上に位置する遠位先端部材及び近位主要部材のうちの1つに形成された少なくとも1つの開口部の一部分を画定する第2の表面と係合するように位置付けられており、そのため、第1のリム及び第2のリムが、中心長手方向軸のそれぞれ反対の側上で互いからある距離離間して維持されている。本方法は、2つの縫合糸リムのうちの少なくとも1つに張力を加えて、組織を骨に向けて引き込み、近位主要部材を遠位先端部材に向けて遠位に前進させて、2つの縫合糸リム、したがって骨に結合された組織の場所を骨に対する場所で係止することを更に含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの開口部が、遠位先端部材内に形成され得、1つ又は2つ以上の縫合糸係合特徴部は、少なくとも1つの開口部を含むことができる。いくつかのそのような実施形態では、2つの縫合糸リムの各々を遠位先端部材の1つ又は2つ以上の縫合糸係合特徴部に結合することはまた、第1のリムを少なくとも1つの開口部の第1の表面に係合することと、第2のリムと少なくとも1つの開口部の第2の表面に係合すること、を含み得る。いくつかの代替的な実施形態では、少なくとも1つの開口部は、近位主要部材に形成されている。いくつかのそのような実施形態では、2つの縫合糸リムの各々を遠位先端部材の1つ又は2つ以上の縫合糸係合特徴部に結合する動作は、2つの縫合糸リムを遠位先端部材の1つ又は2つ以上の縫合糸係合特徴部から縫合糸アンカーの近位主要部材の少なくとも一部分に通過させる動作の前に生じ得る。
【0015】
遠位先端部材を骨に形成されたボアに挿入する動作は、遠位先端部材が結合された挿入ロッドを骨に形成されたボアに向けて前進させることを含み得る。いくつかのそのような実施形態では、近位主要部材は、挿入ロッド上に摺動可能に配置され得る。近位主要部材を遠位先端部材に向けて遠位に前進させて、2つの縫合糸リムの位置を係止することは、近位主要部材を骨孔に挿入して、細長い本体の外部表面上に形成された表面係合特徴部がボアを画定する骨の表面に係合するようにすることを含み得る。
【0016】
いくつかの実施形態では、外科的処置はまた、近位主要部材上に配置された1つ又は2つ以上の突起がボアに近接する骨に係合するまで、近位主要部材を骨に形成されたボアに向けて移動させることを含み得、そのため、近位主要部材は、近位主要部材に追加の量の力を加えることなく、ボアに向けて更に前進することができない。1つ又は2つ以上の突起と骨との係合は、近位主要部材とボアの近位縁との間に間隙をもたらし、それによって、第1の表面及び第2の表面に対する縫合糸リムの動きに適応することができる。近位主要部材を遠位先端部材に向けて遠位に前進させて2つの縫合糸リムの場所を係止することにより、間隙が排除されることになる。
【0017】
縫合糸アンカーの一例示的実施形態は、細長いアンカー本体、1つ又は2つ以上の骨係合表面、及び外部表面に形成された少なくとも1つの側部開口部を含む。より具体的には、細長いアンカー本体は、近位端、遠位端、及び遠位端から近位端まで細長いアンカー本体の長さを通って延在する長手方向管腔を含む。縫合糸アンカーの遠位端に関連付けられた遠位先端部分はテーパ状になっており、細長いアンカー本体の外部表面によって遠位端部において画定される直径が、細長いアンカー本体の外部表面によって遠位先端部分の近位端において画定される直径よりも小さくなっている。1つ又は2つ以上の骨係合表面は、細長いアンカー本体の外部表面上に配置され、骨を係合するように構成されている。少なくとも1つの側部開口部は、細長いアンカー本体の外部表面に形成され、縫合糸リムが側部開口部を通過して長手方向管腔内に通され得るように、長手方向管腔と直接連通する。少なくとも1つの側部開口部の近位端は、少なくとも2つの別個の縫合糸誘導経路が形成されるような形状を有する。少なくとも2つの別個の縫合糸誘導経路は、投影像からの少なくとも1つの側部開口部を通って延在する中心長手方向軸の第1の側上に配置された第1の縫合糸誘導経路と、投影像から中心長手方向軸の第2の側上に配置された第2の縫合糸誘導経路と、を含み、第2の側は、第1の側に対向している。
【0018】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの側部開口部の形状は、スカラップ部分を含むことができる。いくつかのそのような実施形態では、少なくとも1つの側部開口部は、チャネルを含む遠位部分、及びスカラップ部分を含む近位部分を含むことができる。スカラップ部分は、第1の誘導経路及び第2の誘導経路を含むことができる。
【0019】
アンカーはまた、縫合糸アンカーの遠位部分の外向き表面から半径方向外向きに配置された1つ又は2つ以上の突起を含むことができる。突起のうちの少なくとも1つは、ボアの進入場所に近接して配置された相対的に平面状の表面が少なくとも1つの突起の遠位端に係合するときに、第1の縫合糸誘導経路及び第2の縫合糸誘導経路のうちの少なくとも1つの少なくとも一部分が、相対的に平面状の表面の近位に配置され、それにより、側部開口部を通って通過し長手方向管腔内に通された縫合糸リムが、それぞれの第1の縫合糸誘導経路及び第2の縫合糸誘導経路に摺動可能に結合され、それらに対して摺動されることができるように構成され得る。
【0020】
いくつかの実施形態では、突起が縫合糸アンカーの近位端に向けて延在するにつれて、少なくとも1つの突起の遠位端は、半径方向外向きにテーパ状になり得る。突起は、突起が縫合糸アンカーの近位端に向けて延在するにつれて、半径方向外向きにテーパ状になっていない近位端を更に含むことができる。
【0021】
フレア状部分は、細長い本体の近位端に配置されることができる。フレア状部分と、フレア状部分上に形成された1つ又は2つ以上の骨係合表面の任意部分との組み合わせは、フレア状部分の遠位にある細長いアンカー本体と、細長いアンカー本体の外部表面上に配置された1つ又は2つ以上の骨係合表面との組み合わせによって形成された直径よりも大きい直径を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1A】縫合糸アンカーの一例示的実施形態の正面図である。
【
図2A】アンカーが骨内のボア内に配置されているときの線A-Aに沿って取られた
図1Aの縫合糸アンカーの断面図である。
【
図2B】アンカーが骨内のボア内に配置されているときの線A-Aに沿って取られた
図1Aの縫合糸アンカーの断面図である。
【
図3A】縫合糸アンカーの別の例示的実施形態を示す正面図である。
【
図4】アンカーを骨内のボア内に完全に挿入する前の線B-Bに沿って取られた
図3Aの縫合糸アンカーの断面図である。
【
図5A】縫合糸アンカーの更に別の例示的実施形態の正面図である。
【
図6】使用中である
図5Aの縫合糸アンカーの斜視図である。
【
図7A】縫合糸アンカーの別の例示的実施形態の正面図である。
【
図7C】断面が、
図7Aのアンカーの線C-Cと同じものに沿って取られている縫合糸アンカーの更に別の例示的実施形態の断面正面図である。
【
図8】アンカーを骨内のボア内に完全に挿入する前に線C-Cに沿って取った
図7Aの縫合糸アンカーの断面図である。
【
図9A】縫合糸アンカーの別の例示的実施形態の正面図である。
【
図10】アンカーを骨のボアに完全に挿入した後の線D-Dに沿って取られた
図9Aの縫合糸アンカーの断面図である。
【
図11A】縫合糸アンカーの更に別の例示的実施形態の斜視図である。
【
図11B】縫合糸リムが縫合糸アンカーの縫合糸保持表面に摺動可能に結合されている
図11Aの縫合糸アンカーの斜視図である。
【
図12A】縫合糸アンカーの別の例示的実施形態の斜視図である。
【
図12B】縫合糸リムが縫合糸アンカーの縫合糸保持表面に摺動可能に結合されている
図12Aの縫合糸アンカーの斜視図である。
【
図13A】縫合糸アンカーの別の実施形態の斜視図である。
【
図13B】縫合糸リムが縫合糸アンカーの縫合糸保持表面に摺動可能に結合されている
図13Aの縫合糸アンカーの斜視図である。
【
図14A】縫合糸アンカーの別の実施形態の斜視図である。
【
図14B】縫合糸リムが縫合糸アンカーの縫合糸保持表面に摺動可能に結合されている
図14Aの縫合糸アンカーの斜視図である。
【
図15A】縫合糸アンカーの更に別の例示的な実施形態の斜視図である。
【
図15B】縫合糸リムが縫合糸アンカーの縫合糸保持表面に摺動可能に結合されている
図15Aの縫合糸アンカーの斜視図である。
【
図16A】縫合糸アンカーの別の例示的実施形態の斜視図である。
【
図16B】縫合糸リムが縫合糸アンカーの縫合糸保持表面に摺動可能に結合されている
図16Aの縫合糸アンカーの斜視図である。
【
図17】縫合糸アンカーの別の例示的実施形態の概略側面図である。
【
図18】縫合糸アンカーの別の例示的実施形態の概略側面図である。
【
図19A】縫合糸アンカーの更に別の例示的実施形態の概略側面図である。
【
図19B】縫合糸アンカーの別の例示的実施形態の概略側面図である。
【
図20A】縫合糸アンカーの更に別の例示的実施形態の概略図である。
【
図20B】縫合糸アンカーの別の例示的実施形態の概略側面図である。
【
図21】縫合糸アンカーの更に別の例示的実施形態の概略側面図である。
【
図23】使用中である縫合糸アンカーの別の例示的実施形態の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本明細書で開示する装置及び方法の構造、機能、製造、及び使用の原理の全体的な理解が得られるように、特定の例示的な実施形態を説明する。これらの実施形態のうちの1つ又は2つ以上の実施例が、添付の図面に例解される。当業者であれば、本明細書で具体的に説明され、かつ添付の図面に例解される装置及び方法が、非限定的な例示的な実施形態であること、並びに本発明の範囲が、特許請求の範囲によってのみ定義されることを理解するであろう。1つの例示的な実施形態に関して例解又は説明される特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わせることも可能である。このような改変及び変形は、本発明の範囲内に含まれるものとする。
【0024】
更に、本開示においては、実施形態の同様の参照符合を付した構成要素は概して同様の特徴を有するものであり、したがって特定の実施形態において、同様の参照符合を付したそれぞれの構成要素のそれぞれの特徴について必ずしも完全に説明することはしない。更に、直線又は円形の寸法が、開示される装置及び方法の説明で使用される限りにおいて、このような寸法は、このような装置及び方法と共に使用され得る形状のタイプを限定することを意図しない。当業者には、任意の幾何学的形状についてかかる直線寸法及び円寸法に相当する寸法を容易に決定することができる点が認識されるであろう。装置の寸法及び形状、並びにその構成要素は、装置が使用されることになる患者の解剖学的形態、装置が使用されることになる構成要素の寸法及び形状、並びに装置が使用されることになる方法及び手技に少なくとも依存し得る。本明細書で提供される図面は、必ずしも縮尺通りではなく、それらの少なくともいくつかは、当業者が、本明細書の教示及び当技術分野におけるそれらの知識を考慮して、外科的処置の文脈において、例解された実施形態をどのようにサイズ設定、寸法設定、及び使用するかを認識する概略例解図である。
【0025】
概して、軟組織を骨に固定するための装置及び方法が提供される。一般に、装置及び方法は、軟組織を骨に対して定位置に固定するために結び目を縛ることなく、又は縫合糸を他の方法で縛ることなく、縫合糸アンカーに結合された縫合糸を使用して軟組織を骨に固定することを可能にする。本明細書に記載のいくつかの実施形態に例解されるように、縫合糸アンカーは、複数の構成要素を備える縫合糸植え込みアセンブリとして時に説明される2つ又は3つ以上の部品を含むことができる。
【0026】
装置は、縫合糸アンカーの植え込み中に縫合糸操作を改善するように構成された特徴部を含み、これにより、改善された軟組織の組織への固着がもたらされる。具体的には、装置は、縫合糸アンカーを縫合糸リムを係止するアンカー受容骨孔に完全に挿入する前に縫合糸ストランドに張力を加えることを可能にする特徴部を有し、かつ、骨孔の内部表面と縫合糸アンカーの外部表面との間で固定された、及び/又は係止された縫合糸リムの一部分において、ユーザが縫合糸リムの意図しない、及び/又は偶発的な「交差」を防止することを補助する特徴部を有する。本明細書で開示される装置及び方法は、軟組織を骨に固定するためのものであるが、方法及び装置は、様々な物体を互いに固定するための他の医療処置で使用されることができる。
【0027】
一例示的実施形態では、
図1A~
図1Dに示されるように、縫合糸アンカー100は、長手方向軸L
1に沿って近位端110pから遠位端110dまで延在する略円筒形の細長い本体110を含むことができる。遠位端110dは、より一般的に、細長い本体110の遠位部分の一部であることができ、遠位部分は、テーパ状の遠位部分110t及び切り欠き部分110cを含む。長手方向管腔120は、細長い本体110の遠位部分から近位端110pまで延在することができる。図示されるように、管腔120は中心に配置されることができ、長手方向軸L
1が、そこを通って延在し、管腔120が、縫合糸アンカー100の円筒形の細長い本体110と同軸であるようになっているが、他の構成も可能になっている。
図2Aに示すように、管腔120の近位部分は、遠位部分よりも大きい直径を有することができ、これは、挿入器又は縫合糸アンカー100用の他の挿入装置の遠位端を収容するのに役立ち得る。以下でより詳細に考察されるように、切り欠き部分110cは、遠位側部開口部140dの面を画定する補助をし、縫合糸係合特徴部130へのアクセスを提供する。例解された実施形態では、切り欠き部分110cは、
図1A及び
図1Cに最良に例解されるように、細長い湾曲したプロファイルを有するが、他の構成も可能になっている。
【0028】
細長い本体110の外部表面は、1つ又は2つ以上の骨係合特徴部150を含むことができる。例解された実施形態では、骨係合特徴部150は、縫合糸アンカー100の外部表面上に形成された複数の半径方向に延在する突起又はリブを含むが、当業者は、細長い本体110が骨内に堅固に位置することを補助する文脈で使用され得る他の好適な骨係合特徴部を認識するであろう。1つのそのような非限定的な例が、
図19Aに提供されており、そこでは骨係合特徴部は、単一のコルク抜き形状のねじ山1450を含む。当業者は、骨係合特徴部150の最も広い部分において骨孔70の直径よりも大きくなり得る寸法を有する骨係合特徴部150のように、骨アンカー100の骨係合特徴部150と骨孔70の内部表面又は壁71との間に加えられる圧縮力を増加させるために、骨係合特徴部150の幾何学的形状に対して変更が行われ得ることを理解するであろう。同様に、当業者は、縫合糸アンカー100の意図しない取り外し(すなわち、縫合糸アンカー100が、骨孔70内に挿入された後に近位に移動すること)を防止するのを補助するために、骨係合特徴部150の幾何学的形状に変更が行われ得、それにより縫合糸アンカー100が骨孔70内に留まり、縫合糸リム180を骨75に対して係止することを確実にすることを理解するであろう。
【0029】
細長い本体110の遠位部分はまた、縫合糸係合特徴部130を含むことができる。縫合糸係合特徴部130は、管腔120内に配置されるように説明され得、管腔120が遠位端110dから近位端110pに延在し、縫合糸係合特徴部130が、管腔120の長さ内に配置されるようになっている。管腔120は、細長い本体110と同軸であり得る。代替的に、管腔120は、遠位側部開口部140dの場所で終端し、次いで管腔120と実質的に整列した別個の管腔の位置で終端するものとして説明され得、縫合糸係合特徴部の下に存在するものとして説明され得る。いずれの解釈も適切であり得るが、参照を容易にするために、本例解は、遠位端110dまで延在するような管腔120を示す。更に、両方の解釈は、円筒形の細長い本体110の遠位端110d及び近位端110pの表面上に形成されている開口部になり得る。
【0030】
縫合糸係合特徴部130は、
図2A~
図2Bの縫合糸リム180などの縫合糸リムが摺動可能に結合され得る構造であり得る。いくつかの実施形態では、
図1Cに示されるように、縫合糸係合特徴部130は、ブリッジ部材(例えば、サドル又はプーリ様部材)を含み得る。
図1Cのブリッジ部材の例解された非限定的な実施形態では、縫合糸係合特徴部は、縫合糸アンカー100の中心長手方向軸L
1を縫合糸アンカー100の長手方向管腔120の内部表面の一方の側から反対側まで実質的に横切って延在するロッド状部材を含む。縫合糸係合特徴部130は、外科的処置中に縫合糸操作(例えば、
図2A~
図2Bに関してより詳細に説明されるような、縫合糸リムに関連付けられた軟組織を骨に位置決めするための縫合糸リムの張力調整)を改善することができる。より具体的には、例解された実施形態では、縫合糸係合特徴部130を形成するブリッジ部材は、使用中に縫合糸がその周りを容易に摺動することを可能にする「プーリ様」特徴部を提供する。当業者は、少なくとも
図4、
図7A、及び
図14Aに関して本明細書で説明される、そのような縫合糸係合特徴部を含むがこれらに限定されない、他の形状及び構造的特徴部を縫合糸係合特徴部130が含み得ることを理解するであろう。縫合糸係合特徴部130へのアクセスは、切り欠き部分110cによって提供されることができ、これにより、次に遠位側部開口部140d、及び長手方向管腔120によってアクセスが提供されるようになる。
【0031】
少なくとも1つの側部開口部140p、140dは、細長いアンカー本体110の外部表面上に形成され得る。例解された実施形態は、2つの側部開口部を含み、遠位側部開口部140dは、縫合糸係合特徴部130の上で、かつ近位にある本体110に対する位置に配置され、近位側部開口部140pは、近位端110pの下で、かつ近位にある本体110に対する位置に配置されている。より具体的には、遠位側部開口部140dは、縫合糸係合特徴部130の上部表面130t及び切り欠き部分110cの最近位面110ctによって画定される。
図1Aによって例解されるようなプロファイル図では、得られる遠位側部開口部140dは、ドア様形状を有することができる。実施形態では、
図2A及び
図2Bにより明確に例解されるように、最近位表面110ctは、縫合糸リムが使用中の表面に係合し得ることから、縫合糸リム保持表面として機能することができる。代替的に、最近位表面110ctは、例えば、縫合糸係合特徴部130が、縫合糸リムが通過し、それによって実際には最近位表面110ctを係合しないように位置決めされている場合には、必ずしも表面を保持していなくてもよい。
【0032】
近位側部開口部140pは、アンカー本体110を通して形成される。例解された実施形態では、それは、細長い楕円形を有する。より一般的には、1つ又は2つ以上の側部開口部140p、140dは、長手方向管腔120と直接連通することができ、縫合糸係合特徴部130の上、その周り、又は他の方法で関連付けられて配置されている縫合糸を伴い、縫合糸が1つ又は2つ以上の側部開口部140p、140d及び長手方向管腔120のうちの1つ又は2つ以上を通過することができるようになっている。尚更に、当業者は、本開示の趣旨から逸脱することなく、開口部140p、140d、又はアンカーに設けられた他の側部開口部の他のサイズ、形状、及び構成が使用され得ることを理解するであろう。側部開口部140p、140dの他の適切な用語としては、他の説明、形状、サイズ、及び構成の中において、スロット、アイレット、又はキー溝を含むことができる。
【0033】
図2A~
図2Bにより明確に示されるように、遠位側部開口部140d、長手方向管腔120、及び近位側部開口部140pの間のそのような直接連通は、2本のリムとして示される縫合糸リム180が遠位側部開口部140dを通り、長手方向管腔120の中を通って縫合糸アンカー100に進入し、細長い本体110の近位端110pに達する前に近位側部開口部140pを通って縫合糸アンカーを出ることを可能にしている。この構成は、
図2Bに例解される近位側部開口部140pの上部と近位端110pの終端部分との間の本体110の外部表面を示すように、縫合糸リム180がアンカー100の近位部分によって閉じ込められることができるため、短い長さ用に追加的圧縮を提供するのに役立ち得る。
【0034】
図2A~
図2Bに示されるように、縫合糸アンカー100は、骨75内に形成された対応する骨孔又はボア70に適合し、かつ固定されるようにサイズ決め及び形状化され得る。骨孔70は、縫合糸アンカー100を受容するように設計された骨75内の、事前穿孔されたか、又は既存のボアであり得る。本明細書で説明及び例解されるように、骨孔70は表面71を提供することができ、縫合糸リム180が、骨孔70の表面71(例えば、骨孔70の内部表面)と骨係合特徴部150を含むことができるように示された縫合糸アンカー100の外部表面との間に配置されることができるようになっている。
【0035】
いくつかの実施形態では、縫合糸アンカー100は、遠位側部開口部140d及び近位側部開口部140pを含むことができる一方で、他の実施形態では、遠位側部開口部140dのみが存在し得る。いくつかの事例では、縫合糸は、本体110の近位端110pにおいて長手方向管腔120によって画定される開口部120pを通過することができる。一例が
図9A~
図10に関して例解されており、ここでは、縫合糸アンカー500が、遠位側部開口部540dのみを含み、別個の近位側部開口部を含んでおらず、縫合糸580は、以下で更に詳細に説明される長手方向管腔520の開口部520pを通過する。追加の側部開口部は、所望により本体110内に形成されることもでき、代替的な通路又は経路を提供し、それにより、縫合糸がアンカー100の内外に通されることができ、アンカーの外部表面及び/又は骨孔70を形成する骨75によって画定された骨表面71と連通し、連通しないようになり得る。結果として、縫合糸リムの様々な部分が、本体110と骨孔70内の様々な長さにわたる骨表面71との間に閉じ込められ得る多くの異なる構成がある。
【0036】
骨係合特徴部150はまた、縫合糸係合特徴部130に加えて、又はその代わりに、縫合糸係合特徴部としても機能することができる。
図2Bに示すように、骨係合特徴部150は、アンカー100により縫合糸リム180を所定位置に固定する保持力を高めることによって、骨75に対する縫合糸リム180の固定、又は他の係止若しくは固着を改善することができる。例えば、縫合糸アンカー100及び/又は骨孔70の表面71と接触している縫合糸リム180の部分の長さの増加は、縫合糸アンカー100と縫合糸リム180との間、及び/又は縫合糸リム180と骨孔表面71との間に存在する総摩擦を増加させることができる。アンカー100と表面71との間の縫合糸リム180の固定は、骨係合特徴部150の形状及びサイズが、アンカー100の骨75に対する固定を更に強化することができるように、骨係合特徴部150の形状及びサイズによって更に強化され得る。
【0037】
いくつかの実施形態では、縫合糸アンカー100の遠位先端部分110tは、(例えば、中心軸L1に向かって遠位に)テーパ状にされることができ、本体110の遠位端110dの外部表面によって画定される直径が、遠位先端部分110tの近位端110tpにおいて本体110の外部表面によって画定される直径、及び/又はアンカー100が挿入される骨孔70の直径よりも小さくなるようになっている。細長い本体110の遠位端110dが骨孔70の直径よりも小さい直径を有することから、縫合糸アンカー100のそのようなテーパ状遠位先端部分110tは、ユーザが縫合糸アンカー110の遠位先端部分110tを骨孔70に挿入することを容易にすることによって、縫合糸アンカー100の骨孔70への挿入を容易にすることができる。更に、代替的な実施形態における、より線形で角度が付けられているが、直線状の表面であり得る、例解された湾曲は、アンカー100を骨孔70に挿入開始することを補助することができる。
【0038】
図2A及び
図2Bは、組織90を骨75に固定するために、縫合糸アンカー100を使用して実行することができる外科的処置の1つの非限定的な例示的実施形態を例解する働きをする。縫合糸リム180は、骨75に固定されることを意図した組織90に結合されるか、又は別の方法で係合され得る。このことは、例えば、図示されるように、組織90を通して一方又は両方の縫合糸リム180の一端を挿入することによって達成することができる。他の非限定的な事例では、このことは、一方又は両方の縫合糸リム180を組織90の周りで包むことを含み得る。組織90に結合された後、又は他の方法で組織に関連付けられた後、縫合糸リム180は、組織90から延在し、アンカー100に対して操作され得る。例解された実施形態では、縫合糸リム180は、組織90から延在し、遠位側部開口部140dによって縫合糸アンカー100に通され、縫合糸係合特徴部130に摺動可能に結合されるか、又は別の方法で関連付けられる。縫合糸リム180は、縫合糸係合特徴部に対して容易に摺動することができる。次いで、リム180は、縫合糸係合特徴部130から、長手方向管腔120の少なくとも一部分を通って近位に延在することができる。図示されるように、リム180は、管腔120を通って延在し、近位側部開口部140pを通ってアンカー100を出る。代替的に、これらは、本体110の近位端110pの終端部分(すなわち、末端又は近位末端)で長手方向管腔120を通過することができる。
【0039】
とりわけ、例解された実施形態では、両方の縫合糸リム180は、同じ経路を追従するが、他の実施形態では、これらは異なる経路を取ることができ、一方が本体110の近位端110pの終端部分で長手方向管腔120を通過するが、他方が近位側部開口部140pを通過するようになっている。更なる非限定的な実施形態として、一方のリムは、縫合糸係合特徴部130の周りで遠位側部開口部140dを通過して長手方向管腔120の少なくとも一部を通って近位に延在することができ、一方で、別のリムは、(遠位側部開口部140dを通って)本体110の遠位端部110dの周りに配置されることができ、かつ、(それが遠位側部開口部140dを通過する場合)本体110の対向する外部表面の周りを上向きに近位に通過されることができ、次いで、本体110の遠位端110dの終端部分で長手方向管腔120を出ることができる。少なくともいくつかの事例では、3つ以上の縫合糸リムが使用され得、それらは、本開示の趣旨から逸脱することなく、アンカー100の周りの、及び/又はアンカー100を通る同一又は異なる経路を取ることができる。これらの構成及び他の構成は、典型的には、アンカー100を骨孔70に挿入する前に、又は少なくとも遠位側部開口部140dを含むアンカー100の部分を骨孔70に挿入する前にセットアップされることができ、それにより、開口部140dが容易にアクセス可能であることができ、縫合糸リム180は、それに対して容易に摺動することができる。
【0040】
縫合糸リム180が組織90及び縫合糸アンカー100に結合されると、アンカーが骨孔70に挿入されることができ、又は、
図2Aに示されるように、骨孔70に少なくとも部分的に挿入される場合、より完全に挿入されることができる。アンカー100が骨孔70に挿入され、遠位側部開口部140dが骨内に配置されると、縫合糸リム180を操作することがより困難になる。挿入はまた、縫合糸リム180が骨孔70内へ遠位に引っ張られると、組織90が骨孔70に向けて引かれるようにし、組織90がアンカー100と骨孔70を画定する骨75の表面71との間に閉じ込められるようにする。したがって、アンカー100に対する組織90及び/又は縫合糸リム180の所望の操作のいくつかの態様は、遠位側部開口部140dが骨孔70内に配置される前に実行されるべきであり、アンカー100に対して縫合糸リム180を摺動することがより困難になる前に実行されるべきである。例えば、挿入前に、縫合糸リム180に張力を加えることによって、縫合糸リム180をアンカー100に対して摺動させ、それによって、組織90をアンカー100に向けて引き寄せることが望ましくなり得る。
【0041】
図2Bは、骨孔70内に完全に挿入された後のアンカー100を例解する。挿入は、打ち込み、ねじ込み、押し込みなどを含むがこれらに限定されない、骨孔にアンカーを配置するための任意の技法を用いて実行されることができる。図示されるように、縫合糸リム180は、アンカー100と骨孔70を画定する表面71との間に閉じ込められることによってアンカー100に対して固着される。上で考察されるように、アンカー100及び表面71による縫合糸リム180の係合は、(
図2Bに示されるように、外部表面の露出した長さの全体にわたって)本体110の外部表面の実質的な長さにわたって生じ、一方、縫合糸リム180は、近位側部開口部140pから出るため、アンカー100と表面71による縫合糸リム180の係合は、近位端110pでアンカーの反対側の本体110の外部表面の長さにわたって生じ得る。骨係合特徴部150は、これら2つの間の固定を提供するのに役立つ。組織90は、アンカー100が更に骨孔70内に配置されるにつれて、骨孔70に向けて、したがって骨75に向けて引き出される。
【0042】
図3A~
図4は、縫合糸アンカー200の別の実施形態を例解する。アンカー200は、その長手方向軸L
2に沿って延在する近位端210p及び遠位端210dを有する細長い本体210と、テーパ状遠位部分210tと、それを通って延在する長手方向管腔220と、管腔220内で本体210の遠位部分に配置された縫合糸係合特徴部230(
図4)と、近位側部開口部240p及び遠位側部開口部240dと、骨係合特徴部250と、を含むという点で、アンカー100と同様である。例解された実施形態は、少なくとも本体210の遠位部分に形成された切り欠き部分がないことから、遠位側部開口部240dが近位側部開口部240pと比較して、より円形の形状を有し、縫合糸係合特徴部230の位置に向き合う遠位側部開口部240の位置が異なっており、アンカー100とは異なっている。この最後に、
図4により明確に例解されるように、縫合糸リム280は、遠位側部開口部240dを通過し、縫合糸係合特徴部230に向けて遠位に延在し、次いでその周りを延在し、続いて、長手方向管腔220を通って近位に上方に延在し、次いで近位側部開口部240pから出ることができる。遠位側部開口部240dの形状及び切り欠き部分の欠如により、少なくとも本実施形態では、縫合糸リム280が遠位側部開口部240dから縫合糸係合特徴部230まで移動した距離は、縫合糸リム180が遠位側部開口部140dからアンカー100の縫合糸係合特徴部130まで移動した同様の距離よりも長くなる。そうでない場合、アンカー200の構成及び動作は、本開示及び図面を考慮して、当業者によって、異なる形で動作することが注記、又は別様に理解されない限り、アンカー100の構成及び動作と同様である。
図4の例解された実施形態では、アンカー200は、全長にわたって縫合糸リム280を係合しないが、遠位側部開口部240dの上方で全長にわたって縫合糸リム280を係合することになり、このことは、アンカー200の実質的な長さとして適格化する。縫合糸アンカー200の1つの利点は、アンカー100と比較して本体210の遠位端210dにある材料が多いため、遠位端210dが追加の強度及び弾力性を提供することができることであり、このことは、例えば、アンカー200が骨孔に軸外で挿入される場合に有益になり得る。この構成は、遠位端210dが破損しにくくすることができる。
【0043】
図5A~
図6は、縫合糸アンカー300の更に別の実施形態を例解している。アンカー300は、長手方向軸L
3に沿って延在する近位端310p及び遠位端310dを有する細長い本体310と、切り欠き部分310cと、テーパ状遠位部分310tと、そこを通って延在する長手方向管腔320と、管腔320内で本体310の遠位部分内に配置された縫合糸係合特徴部330と、近位側部開口部340p及び遠位側部開口部340dと、骨係合特徴部350と、を含むという点で、前述のアンカー(とりわけ、例えば、アンカー100)と同様である。例解された実施形態は、アンカー本体310の外部表面上に配置された追加の特徴部、つまり、ボス特徴部として示される少なくとも1つの突起355を示すために含まれている。突起355は、アンカー本体310の外部表面の対向する側上に形成され、本体310から半径方向外向きに突出することができる。任意の数の突起を使用することができ、本体310に対するそれらの構成は変化し得る。突起355は、アンカーが骨275に形成された骨孔又はボア270内に配置されるときに、いくらかの安定性を提供することができる長手方向寸法(本明細書で規定されるように長手方向に延在する)を有する。
【0044】
突起355は、縫合糸アンカー300を完全に挿入する前に、縫合糸リム380の操作を容易にするように構成されている。例えば、
図5A~
図6に例解されるように、突起355は、骨孔の進入場所(すなわち、骨孔270の近位縁270p)に近接して配置された相対的に平面状の表面が、少なくとも1つの突起355の遠位端と係合するとき、側部開口部340dの少なくとも一部が、骨孔270の近位縁270pの近位に配置されるように構成されており、それにより、縫合糸リム380は、側部開口部340dを通って長手方向管腔320内へ通過することができる。その結果、縫合糸リム380は、縫合糸係合特徴部330に摺動可能に結合されたままであることができ、それらがまだ閉じ込められておらず、本体300の骨係合特徴部350と骨孔270を形成する骨275の表面(図示せず)との間で圧縮されることから、操作されることができる。この構成は、突起355が本体310の近位端310pに向かって延在するにつれて、突起355が半径方向外向きにテーパ状になっていることによって、例解された実施形態において達成される。図示されるように、突起355の近位端は、半径方向外向きにテーパ状になることができず、すなわち、テーパ状構成は、突起355の長手方向全長で延在することができない。いくつかの実施形態では、突起355は、骨孔270に対して部分的に挿入された位置に縫合糸アンカー300を維持する物理的障害を提供することによって、骨孔270の近位縁270pに近接する側部開口部340dの少なくとも一部分を維持することができる。縫合糸アンカー300の遠位に追加の力を加えると、物理的障害を克服し、縫合糸アンカー300を骨孔270に完全に挿入することができる。
【0045】
他の実施形態でより詳細に考察されるように、外科的処置は、組織290を骨275に向けて引き出すために2つの縫合糸リム380のうちの少なくとも1つに張力を加えるステップを含み得る。突起355は、アンカー300が骨孔270内に部分的に配置されている間に、縫合糸係合特徴部330の手段によってなど、縫合糸リム380がアンカー300に対して摺動可能なままであることを確実にする働きをすることができるため、突起355は外科的処置において、この動作中に支援することができる。縫合糸リム380は、本体310の外部表面と骨孔270を画定する表面との間にまだ締められていないことから、縫合糸リム380が実行される所望の張力付与を可能にする。所望の張力付与が実行されると、アンカー300は、上記で提供されたものか、又は当業者に既知である他の方法と同様の方法で骨孔270に挿入され得る。したがって、突起355は、全体的な障壁ではないが、アンカー300を骨孔270に挿入するための障害物を提供し、この障害物は、所望に応じて、骨孔270内のアンカー300の位置を最終的に固定する前に、縫合糸リム380及びそこに関連付けられた組織290を操作しながら、アンカー300を骨孔270に位置させるのに役立つ。
【0046】
図7A~
図7B及び
図8は、縫合糸アンカー400の別の実施形態を例解する。アンカーは、長手方向軸L
4に沿って延在する近位端410p及び遠位端410dを有する細長い本体410と、切り欠き部分410cと、テーパ状遠位部分410tと、そこを通って延在する長手方向管腔420と、近位側部開口部440p及び遠位側部開口部440dと、骨係合特徴部450と、を含むという点で、前述のアンカー(とりわけ、例えば、アンカー100)と同様である。例解された実施形態は、別個に配置された縫合糸係合特徴部がない、少なくとも1つの実施形態を示すために、かつ、近位端部410pがフレア状部分450fを含み、フレア状部分450fでは、最近位端部において骨係合特徴部(複数可)450の直径が、アンカー本体410の長さに沿ってより遠位に配置された1つ又は2つ以上の骨係合特徴部450の直径と比較して増加している構成を例解するために、含まれている。
【0047】
図8に例解されるように、別個に配置された縫合糸係合特徴部を有しない場合、組織390を骨375に向けて引き込むための組織390に結合された縫合糸リム480は、遠位側部開口部440d内に通され、切り欠き部分410cの上部表面410ctを係合し、管腔420を通り近位に延在し、近位側部開口部440pから出ることができる(代替的に、1つ又は2つ以上のリムを本体410の近位端410pの終端部分において長手方向管腔420に通すことができる)。遠位側部開口部440dを画定する表面でもある切り欠き部分410cの上部表面410ctは、縫合糸係合特徴部として機能することができ、縫合糸リム480は、アンカー400を骨375内に完全に植え込む前に上部表面410ctに対して摺動することができるようになっている。他の実施形態と同様に、アンカー400が骨375に形成された骨孔370内に完全に配置されると、縫合糸リム380は、本体410の外部表面と骨孔370を画定する骨375の表面371との間に閉じ込められ得る。この構成は例解されていないが、
図10に関して以下に説明される縫合糸アンカー500に関して同様のそのような構成が提供される。アンカー500はまた、最近位端にフレア状部分を含み、したがって、アンカー400のフレア状部分450fについての追加の詳細は、アンカー500に関して以下でより詳細に説明される。
【0048】
図7Cは、フレア状部分450f’を有する縫合糸アンカー400’の代替的な構成を例解する。縫合糸アンカー400’は、フレア状部分450fに相当するフレア状部分450f’などの縫合糸アンカー400のいくつかの特徴部、及び縫合糸アンカー200の同等の特徴部230と同様に配置された縫合糸係合特徴部430’を有するより円形の遠位側部開口部440d’などの縫合糸アンカー200のいくつかの特徴部を含む。長手方向軸L
4’に沿って延在する近位端410p’及び遠位端410d’を有する細長い本体410’、テーパ状遠位部分410t’、長手方向管腔420’、近位側部開口部440p及び遠位側部開口部440d’の存在、及び骨係合特徴部450’などの特徴部は、アンカー400及び200を含む上述の他の実施形態の多くに同様に見られる、アンカー400’に見られる特徴部である。
図7Cは、フレア状部分450fの直径450fd’と骨係合特徴部450’の直径450d’との差を特にそれぞれ標識付けしている。いくつかの実施形態では、フレア状部分450f’は、アンカーのより遠位に位置した骨係合特徴部の直径よりも約3パーセント~約20パーセント大きい範囲の、又はアンカーのより遠位に位置した骨係合特徴部の直径よりも約3パーセント~約10パーセント大きい範囲の直径を有することができる。
【0049】
図9A~
図10は、縫合糸アンカー500の更に別の実施形態を例解している。アンカーはここでも、その長手方向軸L
5に沿って延在する近位端510p及び遠位端510dを有する細長い本体510と、切り欠き部分510cと、テーパ状遠位部分510tと、それを通って延在する長手方向管腔520と、遠位側部開口部540dと、骨係合特徴部550と、近位端510pに配置されたフレア状部分550fと、を含むという点で、以前に説明したアンカー(とりわけ、例えば、アンカー100)と同様である。例解された実施形態は、近位側部開口部がない実施形態を示し、アンカー500が骨475に形成された骨孔470に植え込まれた場合のフレア状部分550fの衝撃を例解するために含まれている。更に、アンカー400と同様に、遠位側部開口部540dを画定する表面でもある切り欠き部分510cの上部表面510ctは、縫合糸係合特徴部として機能することができ、縫合糸リム580は、アンカー500を骨475内に完全に植え込む前に上部表面510ctに対して摺動することができるようになっている。
【0050】
図10に示すように、近位側部開口部がないため、縫合糸リム580は、組織490から遠位側部開口部540dを通って延在し、切り欠き部分510cの上部表面510ctを係合し、長手方向管腔520を通ってリム580がアンカー本体510の近位端510pの終端部分で管腔520を出るまで近位に延在することができる。他の実施形態と同様に、アンカー500を骨孔470に完全に挿入することで、本体510の外部表面と骨孔470を画定する骨475の表面471との間で縫合糸リム580を捕捉することができる。しかしながら、いくつかの他の実施形態とは異なり、
図10のフレア状係合セクション550fsに示されるように、少なくとも部分的に、フレア状部分550fのより大きい直径によって生じた縫合糸リム580を係合するための増加した表面積によって、したがって、フレア状部分550fによって係合される縫合糸リム580の増加した長さによって、フレア状部分550fは、縫合糸リム580とアンカー500との間により安定したな固定を形成することができる。特に、保持を改善するための他の方法が存在し得るが、それを行うようにアンカーを延長することは、植え込みが発生する骨内で追加の深さを占めるために通常望ましくない。一方で、フレア状部分550fの使用は、アンカーを有する多くの追加的な骨を置き換えることなく、アンカー500と骨475との間の圧縮力、すなわち、アンカー500の保持力を増加させる。
【0051】
図11A~
図24は、様々な縫合糸アンカー構成を提供しており、これらによって、縫合糸はより容易に分離され、かつ制御されることができる。これには、アンカーの本体及び/又はアンカーの遠位部分に特別な表面特徴部が形成される構成が含まれ得る。
【0052】
図11A~
図11Bは、縫合糸の設置、位置、及び/又は移動を制御するのを補助するように設計された特徴部を有する縫合糸アンカー600の一例示的実施形態を例解する。前述の実施形態はまた、縫合糸の設置、位置、及び/又は動作を制御するのに役立たないわけではないが、むしろ、縫合糸アンカー600は、アンカー本体610に特定の設計を含み、これが複数の縫合糸リムが識別を容易にするために互いに分離され得るようにし、縫合糸リムとアンカーとの間の所望の摺動可能な移動を依然として可能にしながら制御することができる。
【0053】
アンカー600のいくつかの態様は、長手方向軸L6に沿って延在する近位端610p及び遠位端610dを有する細長い本体610と、切り欠き部分610cと、テーパ状遠位部分610tと、そこを通って延在する長手方向管腔620と、遠位側部開口部640dと、骨係合特徴部650と、を含むという点で、前述のアンカー(とりわけ、例えば、アンカー100)と同様である。例解された実施形態は、少なくとも、その遠位側部開口部640dが、2つの異なる表面640d1、640d2(すなわち、縫合糸係合表面又は縫合糸保持表面)を提供するように具体的に設計されていることから、アンカー100とは異なっており、これらは保持する縫合糸リム680a、680bを受容することができ、そのため、これらの表面640d1、640d2が、縫合糸リム680a、680bを互いに分離することを可能にする。ローブ(又は分岐が長手方向軸L6から得られた、分岐したローブ)として呼ばれることもある表面640d1、640d2は、切り欠き部分610cの上部表面610ctによって形成されることができ、縫合糸リム680a、680bのための経路を提供することができる。図示されるように、切り欠き部分610cは、Y字形構成の上部部分(すなわち、Y字形構成の「アーム」)を形成するローブ640d1、640d2を備えたY字形構成、及びローブ640d1、640d2から本体610の遠位端610dまで延在するY字形構成のステムを有することができる。遠位側部開口部の表面の代替的な形状及び/又は構成は、後述の実施形態に関して提供され、異なる形状及び/又は構成は、そこに関連付けられた縫合糸リムの代替的な保持表面、力、及び経路を提供する。
【0054】
図11A~
図11Bのアンカー600に関してより具体的には、表面640d
1、640d
2は、長手方向軸L
6の両側に配置されている。図示されるように、表面640d
1、640d
2は、長手方向軸L
6に向かい合って互いに湾曲しており、対称になっており、遠位側部開口部640のスカラップ構成又はスカラップ部分を形成している。結果として、少なくとも2つの縫合糸経路が形成され、各々が長手方向軸L
6の対向する側上にある。
図11Bに示されるように、2つの縫合糸リム680a、680bは分離されることができ、リム680aとして示される一方の縫合糸リムが、表面640d
1を係合し、リム680bとして示される他方の縫合糸リムが、表面640d
2を係合するようになっている。これにより、リム680a、680bが、ある距離離間して容易に分離され、識別され、アンカー600に対して保持されることができる。そのような構成の利点の1つは、遠位側部開口部640dを通して、かつ、長手方向管腔620を通して縫合糸リム680a、680bを配置するときの、改善した縫合糸リム680a、680bの操作の容易性であり、両方のリム680a、680bが、管腔620の終端部でもある側部開口部640dの同じ終端部640dtを通して挿入されることができるようになっている。ある距離離間して2つの縫合糸リム680a、680bを保持する別個のローブ640d
1、640d
2は、手術中に縫合糸アンカーと縫合糸アンカーと骨孔との間に固定されている縫合糸リムの交差部分の可能性を低減することができる。例解された構成、及び他の構成は、縫合糸リムの重なりを防止するのに役立ち得る。縫合糸リムの重なりは、アンカーが所望の位置に縫合糸を保持する能力に悪影響を及ぼすことがある。
【0055】
図12A~
図12Bは、縫合糸アンカー700の別の実施形態を例解する。アンカー700は、長手方向軸L
7に沿って延在する近位端710p及び遠位端710dを有する細長い本体710と、切り欠き部分710cと、テーパ状遠位部分710tと、そこを通って延在する長手方向管腔720と、遠位側部開口部740dと、骨係合特徴部750と、を含むという点で、前述のアンカー(とりわけ、例えば、アンカー600)と同様である。例解された実施形態は、切り欠き部分の代替的な構成を示すために含まれている。図示されるように、切り欠き部分710cは、表面740d
1、740d
2を含み、これらは表面640d
1、640d
2と比較すると、より矩形又は窓状の構成を有する。表面740d
1、740d
2は、別個に位置する縫合糸係合特徴部(例えば、縫合糸係合特徴部130、330、430’)がない状態で、アンカー700の縫合糸係合表面として機能することができる。より具体的には、図示されるように、表面740d
1、740d
2は、アンカー本体710の長手方向軸L
7を実質的に横断して配置されている。表面740d
1、740d
2の使用及び目的は、表面640d
1、640d
2と同様である。したがって、
図12Bに示されるように、第1の縫合糸リム780aは、表面740d
1に結合されるか、又はそうでない場合、それと関連付けられることができ、第2の縫合糸リム780bは、表面740d
2に結合されるか、又はそうでない場合、それに関連付けられることができ、それにより、2つの縫合糸リム780a、780bを互いに分離した状態に保つ。例解された実施形態では、2つの表面740d
1、740d
2は長手方向軸L
7の両側にあるが、他の構成も可能になっている。
【0056】
図13A~
図13Bは、縫合糸アンカー800の更に別の実施形態を例解している。アンカー800は、その長手方向軸L
8に沿って延在する近位端810p及び遠位端810dを有する細長い本体810と、切り欠き部分810cと、テーパ状遠位部分810tと、そこを通って延在する長手方向管腔820と、遠位側部開口部840dと、骨係合特徴部850と、を含むという点で、前述のアンカー(とりわけ、例えば、アンカー600)と同様である。アンカー400、400’及び500と同様に、フレア状部分850fも含み、これは、フレア状部分450f、450f’及び550fと同様の目的を果たすことができる。例解された実施形態は、切り欠き部分の更に別の代替的な構成を示すために含まれている。図示されるように、切り欠き部分810cは、シェルフ840d
1を含み、これは分離して配置された縫合糸係合特徴部がない状態で縫合糸リムを係合することができる。シェルフ840d
1の表面は、長手方向軸L
8を実質的に横切ることができ、縫合糸リムが本明細書で提供される他の実施形態において切り欠き部分によって形成された他の表面と係合するように、
図13Bに示すように、縫合糸リム880a、880bがシェルフ840d
1と係合することを可能にしている。例解された構成は、長手方向軸L
8の両側に配置されているシェルフ840d
1の角840dc
1、840dc
2において、縫合糸リム880a、880bの分離を提供するのに役立ち得る。いくつかの実施形態では、角840dc
1、840dc
2は、ディボット、溝、スカラップ、又は縫合糸リム880a、880bが互いからより容易に分離され、角840dc
1、840dc
2においてそれらの所望の位置で、又はそれらに近接して保持され得る他の構成を含むことができる。
【0057】
図14A~
図14Bは、縫合糸アンカー900の別の実施形態を例解する。アンカー900は、長手方向軸L
9に沿って延在する近位端910p及び遠位端910dを有する細長い本体910と、切り欠き部分910cと、テーパ状遠位部分910tと、そこを通って延在する長手方向管腔920と、遠位側部開口部940dと、骨係合特徴部950と、を含むという点で、前述のアンカー(とりわけ、例えば、アンカー600)と同様である。例解された実施形態は、切り欠き部分の別の代替的な構成を示すために含まれている。より具体的には、カット部分910cは、アンカー900の容積を通って完全に延在し、アンカー900の直径全体を通って延在する遠位側部開口部940dになっている。図示されるように、アンカー本体910の対向する表面上の遠位側部開口部940dの形状は対称的であるが、本明細書で提供される切り欠き部分及び遠位開口部の様々な形状が混合及び整合され、かつ/又は他の形状及び構成が、遠位側部開口部940dを形成するために利用されている構成などの他の構成も可能になっている。以前の実施形態で説明されるように、切り欠き部分910cの上部表面910ctは、縫合糸リム980a、980bを互いに分離すること、及び/又は互いに分離して保持するのを更に補助する様式になるように構成され得る。
【0058】
図15A~
図15Bは、縫合糸アンカー1000の更に別の実施形態を例解している。アンカー1000は、その長手方向軸L
10に沿って延在する近位端1010p及び遠位端1010dを有する細長い本体1010と、切り欠き部分1010cと、テーパ状遠位部分1010tと、そこを通って延在する長手方向管腔1020と、遠位側部開口部1040dと、骨係合特徴部1050と、を含むという点で、前述のアンカー(とりわけ、例えば、アンカー600)と同様である。例解された実施形態は、切り欠き部分の更に別の代替的な構成を示すために含まれている。より具体的には、切り欠き部分1010cは、対向する長手方向面1010c
1、1010c
2を含み、これらは、切り欠き部分1010cの上部表面1010ctと遠位端1010dとの間で変化する直径を有する。このことは、遠位側部開口部1040dが最も狭い位置1011まで絞られるか又は狭くなるようにし、次いで表面1010c
1、1010c
2が遠位端1010dに到達するまで再び拡張する。図示されるように、対向する長手方向面1010c
1、1010c
2は、長手方向軸L
10に対して対称的に対向している。切り欠き部分910cと同様に、切り欠き部分1010cは、アンカー1000の容積を通して完全に延在することができ、アンカー1000の直径全体を通って延在する遠位側部開口1040dになっている。したがって、切り欠き部分1010cの対向する長手方向表面1010c
1、1010c
2は、アンカー本体1010の両側に形成されている。
図15Bに示されるように、アンカー1000の構成は、縫合糸リム1180a、1180bの遠位側部開口1040dに対する保持を強化することができる。
【0059】
図16A~
図16Bは、縫合糸アンカー1100の別の実施形態を例解する。アンカー1100は、長手方向軸L
11に沿って延在する近位端1110p及び遠位端部1110dを有する細長い本体1110と、テーパ状遠位部分1110tと、そこを通って延在する長手方向管腔1120と、遠位側部開口部1140dと、骨係合特徴部1150と、を含むという点で、前述のアンカー(とりわけ、例えば、アンカー200)と同様である。例解された実施形態は、遠位側部開口部1140dがアンカー本体1110の反対側まで延在するが、遠位端1110dまでは完全に延在しない構成を示すために含まれている。図示されるように、遠位側部開口部1140dは、実質的に楕円形の形状又は断面を有し、アンカー本体1110の一方の側からアンカー本体1110の反対側まで延在している。
図16Bに示されるように、2つの縫合糸リム1180a、1180bは、遠位側部開口1140dの対向する側部1140da、1140dbをそれぞれ通って配置され、長手方向管腔1120を通過することができる。他の実施形態と同様に、代替的な実施形態では、近位側部開口部(図示せず)などの1つ又は2つ以上の他の側部開口部が含まれ得、一方又は両方の縫合糸リム1180a、1180bが、本体1110の近位端1110pにおいて長手方向管腔1120を通過する代わりに、又はそれらに加えて、そのような開口部を通過することができる。
【0060】
図17は、縫合糸アンカー1200の更に別の実施形態を例解する。アンカー1200は、その長手方向軸L
12に沿って延在する近位端1210p及び遠位端1210dを有する細長い本体1210と、テーパ状遠位部分1210tと、そこを通って延在する長手方向管腔1220と、骨係合特徴部1250と、を含むという点で、前述のアンカー(とりわけ、例えば、アンカー100)と同様である。
図11A~
図11Bのアンカー600にやや類似しているが、例解された実施形態は、2つ又は3つ以上の縫合糸リムを区別し、保持し、又は他の方法で別々に識別することができるようにする目的で、2つの別個に形成された表面を含むアンカー1200を示すために含まれている。より具体的には、図示されるように、アンカー1200は、2つの遠位側部開口部1240d
1、1240d
2を含み、これらは遠位端1210dまで延在する長手方向壁1241によって分離され、それによって、アンカー1200内に分岐通路を形成する。例解された実施形態では、長手方向壁1241は、長手方向軸L
12に沿って延在するが、当業者は、2つの等しいサイズの遠位側部開口部1240d
1、1240d
2を必ずしも形成しない、及び/又は2つ以上のそのような壁が他の実施形態において提供され得るなど、他の位置に配置され得ることを認識するであろう。長手方向壁1241は、長手方向管腔1200の一部又は全部に延在することができるが、そうである必要はない。この構成により、縫合糸リム1280a、1280bを通過させることができる位置を明確に描くことができ、例解された実施形態では、縫合糸リム1280aは、遠位側部開口部1240d
1を通り、近位端1210pで管腔1220を出る前に、長手方向管腔1220を上方に通って通過し、縫合糸リム1280bは、遠位側部開口部1240d
2を通り、同様に近位端1210pで管腔1220を出る前に、長手方向管腔1220を上方に通って通過する。他の実施形態と同様に、代替的な構成では、縫合糸リム1280a、1280bの一方又は両方は、アンカー本体1210内に形成された1つ又は2つ以上の他の側部開口部(図示せず)を通過して長手方向管腔1220を出ることができる。
【0061】
図18は、縫合糸アンカー1300の別の実施形態を例解する。アンカー1300は、長手方向軸L
13に沿って延在する近位端1310p及び遠位端1310dを有する細長い本体1310と、テーパ状遠位部分1310tと、そこを通って延在する長手方向管腔1320と、2つの遠位側部開口部1340d
1、1340d
2と、遠位端1310dまで延在し、2つの遠位側部開口部1340d
1を分離する長手方向壁1341、1340d
2と、骨係合特徴部1350と、を含むという点で、前述のアンカー(とりわけ、例えば、アンカー1200)と同様である。例解された実施形態は、細長い本体1310が、近位部分又は近位主要部材1310aと、遠位部分又は遠位先端部材1310bとして示されるような複数の部品に分離され得る構成を示すために含まれている。図示されるように、挿入ロッド1360は、外科的処置中に縫合糸アンカー1300を植え込むのを補助するために提供され得る。アンカー1300とロッド1360の組み合わせは、縫合糸アンカー挿入アセンブリと見なすことができる。例解された実施形態では、アンカー本体1310の遠位部分1310bは、挿入ロッドの遠位端1360dに装着することができ、アンカー本体1310の近位部分1310aは、ロッド1360上に摺動可能に配置され、ロッド1360に沿って並進して遠位部分1310bに選択的に結合することができるようになっている。1つの構成要素を別の構成要素に嵌合するための任意の数の既知の技法が、近位部分1310aを遠位部分1310bと嵌合させるために使用され得る。この構成によって提供される1つの利点は、2つの部品又は構成要素への固定を分離しない本明細書で提供される他の実施形態と比較して、縫合糸張力を制御することがより容易になり得ることである。
【0062】
図19A及び
図19Bは、縫合糸アンカー挿入アセンブリの2つの実施形態を例解し、これらのアセンブリは、縫合糸アンカー1400、1400’及び挿入ロッド1460、1460’の2つの更なる実施形態の両方を含む。各アンカー1400、1400’は、その長手方向軸L
14、L
14’に沿って延在する近位端1410p、1410p’及び遠位端1410d、1410d’を有する細長い本体1410、1410’と、テーパ状遠位部分1410t、1410t’と、そこを通って延在する長手方向管腔1420、1420’と、骨係合特徴部1450、1450’と、細長い本体1410、1410’の分離可能な近位部分又は近位主要部材1410a、1410a’及び遠位部分又は遠位先端部材1410b、1410b’と、を含むという点で、前述のアンカー(とりわけ、例えば、アンカー1300)と同様である。例解された実施形態では、長手方向管腔1420、1420’は、近位主要部材1410a、1410a’を通って延在するが、遠位先端部材1410b、1410b’を通らないが、他の実施形態では、長手方向管腔1420、1420’は、遠位先端部材1410b、1410b’の一部又は全部を通って延在し得る。アンカー1400はまた、その遠位部分1410bが2つの遠位側部開口部1440d
1、1440d
2を含むという点で、アンカー1300と同様であり、一方で、アンカー1400’は、Y字形構成で内部に形成された異なる表面1440d
1’、1440d
2′(すなわち、縫合糸係合表面)を有する1つの遠位側部開口1440d’を含むという点で、
図11A~
図11Bのアンカー600と同様である。したがって、アンカー600の表面640d
1’、640d
2と同様に、表面1440d
1’、1440d
2’は、単一の開口部1440d’のローブ又はスカラップとして識別され得る。両方の実施形態では、それぞれの遠位側部開口部1440d
1、1440d
2及び遠位側部開口部1440d’の表面1440d
1’、1440d
2’は、長手方向軸L
14、L
14′の対向する側に対称的に配置される。
【0063】
図示されるように、遠位先端部材1410b、1410b’は、挿入ロッド1460、1460’の遠位端1460d、1460d’に取り外し可能に嵌合され得、近位主要部材1410a、1410a’は、ロッド1460、1460’に沿って摺動可能に配設され得るが、当業者は、本開示の趣旨から逸脱することなく、アンカー本体の分離可能な部分を挿入するための他の構成が使用され得ることを理解するであろう。挿入ロッド1460、1460’は、遠位先端部材1410b、1410b’が骨に形成されたボア内の所望の場所に位置付けられた後、及び/又は近位主要部材1410a、1410a’が挿入され、遠位先端部材1410b、1410b’に固定された後など、外科的処置中に遠位先端部材1410b、1410b’から結合解除することができる。特に、少なくとも
図19A~
図19Bのアセンブリのような実施形態は概略例解図であり、当業者は、挿入ロッド1460、1460’を含むがこれらに限定されない構成要素が、より大きい、及びより小さい直径、形状、長さなどを含む多くの異なる構成を有することができることを理解するであろう。
【0064】
図19Aの骨係合特徴部1450は、
図19Bの骨係合特徴部1450’とは異なっており、それは、骨係合特徴部1450’を形成する突起又はリブと比較して、骨係合特徴部1450が細長い本体1410の外部表面の周りで半径方向に延在する単一のコルク抜き状ねじ山を含むことからである。いずれの方法でも、本明細書で提供される様々な実施形態の骨係合特徴部と同様に、骨係合特徴部1450、1450’は、骨孔又は骨孔内に形成されたボア内の近位主要部材1410a、1410a’の安全な係合を容易にするのに役立つ。本明細書の他の箇所で説明されるように、縫合糸リム1480a、1480b、1480a’、1480b’は、遠位側部開口部1440d
1、1440d
2、1440d’内に通され、長手方向管腔1420、1420’を通り、本体1410、1410’の近位端1410p、1410p’、又は1つ若しくは2つ以上の他の側部開口部(図示せず)のいずれかにおいて、管腔1120、1120’の外に通されて、それぞれ骨係合特徴部1450、1450’と骨にボアを形成する骨表面との間で捕捉され得る。骨係合特徴部1450、1450’は、アンカー1400、1400’によって外科的場所に固定されるように構成された縫合糸リム1480a、1480b、1480a’、1480b’に摩擦力を提供することができ、また、追加の表面積を提供することができ、それによって、アンカー1400、1400’が骨に形成されたボアに植え込まれるときに、リム1480a、1480b、1480a’、1480b’が係合され得る。
図18の縫合糸アンカー1300と同様に、
図19A及び19Bの縫合糸アンカー1400、1400’の構成によって提供される1つの利点は、2つの部品又は構成要素への固定を分離しない本明細書で提供される他の実施形態と比較して、縫合糸張力を制御することが容易であり得ることである。
【0065】
図20A及び
図20Bは、縫合糸アンカー挿入アセンブリの2つの更なる実施形態を例解しており、縫合糸アンカー1500、1500’及び挿入ロッド1560、1560’の2つの更なる実施形態を含む。各アンカー1500、1500’は、各々が、長手方向軸L
15、L
15’に沿って延在する近位端1510p、1510p’及び遠位端1510d、1510d’を有する細長い本体1510、1510’と、テーパ状遠位部分1510t、1510t’と、そこを通って延在する長手方向管腔1520、1520’と、骨係合特徴部1550、1550’と、細長い本体1510、1510’の分離可能な近位部分又は近位主要部材1510a、1510a’及び遠位部分又は遠位先端部材1510b、1510b’とを含むという点で、前述のアンカー(とりわけ、例えば、アンカー1400、1400’)と同様である。長手方向管腔1420、1420’と同様に、長手方向管腔1520、1520’は、近位主要部材1510a、1510a’を通って延在し、遠位先端部材1510b、1510b’の少なくともいくつかの部分内に延在してもよく、又は延在していなくてもよい。遠位側部開口部1540d
1、1540d
2、1540d’の構成もまた、開口部自体が完全に包囲されていないことを除いて同様であり、溝であると説明することができる。開口部1540d
1、1540d
2、1540d’は、それ自体が開放されている遠位端1540de
1、1540de
2、1540de’を有し、それらを長手方向軸L
15、L
15’に実質的に平行に移動することなどによって、縫合糸リム1580a、1580b、1580a’、1580b’が開放遠位端を通過させて溝1540d
1、1540d
2、1540d’と接触するようにすることを可能にしている。例解された実施形態では、骨1475、1475’の概略例解図が提供され、遠位先端部材1510b、1510b’が、どのように骨に係合して、開口部1540d
1、1540d
2、1540d’を閉鎖することができるかを例解している。しかしながら、使用中、開口部1540d
1、1540d
2、1540d’は、遠位端において、例えば、そこに関連付けられた縫合糸リム1580a、1580b、1580a’、1580b’に適切な張力が加えられる場合、開放を維持することができ、縫合糸リム1580a、1580b、1580a’、1580b’が落ちるか、そうでない場合、開口部1540d
1、1540d
2、1540d’から、より具体的には開口部1540d’の表面1540d
1、1540d
2から離れるリスクがないようになっている。
図18の縫合糸アンカー1300及び
図19A及び
図19Bの縫合糸アンカー1400、1400’と同様に、
図20A及び
図20Bの縫合糸アンカー1500、1500’の構成によってもたらされる利点の1つは、2つの部品又は構成要素への固定を分離しない本明細書で提供される他の実施形態と比較して、縫合糸張力を制御することが容易になり得ることである。
【0066】
図21は、縫合糸アンカー挿入アセンブリの更に別の実施形態を例解しており、縫合糸アンカー1600及び挿入ロッド1660を含む。アンカー1600は、長手方向軸L
16に沿って延在する近位端部1610p及び遠位端部1610dを有する細長い本体1610と、テーパ状遠位部分1610tと、そこを通って延在する長手方向管腔1620と、骨係合特徴部1650と、細長い本体1610の分離可能な近位部分又は近位主要部材1610a及び遠位部分又は遠位先端部材1610bと、を含むという点で、前述のアンカー(とりわけ、例えば、アンカー1500、1500’)と同様である。例解された実施形態は、一非限定的な実施形態を示すために含まれており、縫合糸リムをより容易に分離、若しくは保持するか、又は縫合糸リムを特定するために設計された特徴部が、アンカーが複数の構成要素を含むときに遠位先端部材を越える別の位置に形成されている。より具体的には、例解された実施形態では、溝1540d
1’、1540d
2’と同等のものが、近位主要部材1610aに形成されている。図示されるように、遠位側部開口部1640dの表面1640d
1、1640d
2は、近位主要部材1610aの遠位端1610adに形成されることができ、ローブ又はスカラップを形成する表面1640d
1、1640d
2が、縫合糸リム1680a、1680bを受容及び保持するように構成されている。例解された実施形態では、開口部1640dを通過するロッド1660の部分は、遠位側部開口部1640dを見ることを容易にするために取り外される。更に、遠位先端部材1610bは、第2の遠位側部開口部1640d’に示されるように、1つ又は2つ以上の遠位側部開口部も含むことができる。したがって、例解された実施形態などのいくつかの事例では、縫合糸リム1680a、1680bは、遠位先端部材1610bの第2の遠位側部開口部1640d’を通り、近位主要部材1610aに形成された表面1640d
1、1640d
2を横切り、細長い本体1610の近位端1610pにおいて、又は別の側部開口部(図示せず)を通って管腔1620を出る前に長手方向管腔1620の少なくとも一部分を通って通され得る。他の実施形態では、縫合糸リム1680a、1680bは、遠位先端部材1610bの任意の部分を通過しないことがある。更に、
図18の縫合糸アンカー1300、
図19A及び
図19Bの縫合糸アンカー1400、1400’、並びに
図20A及び
図20Bの縫合糸アンカー1500、1500’と同様に、
図21の縫合糸アンカー1600の構成によってもたらされる利点の1つは、2つの部品又は構成要素への固定を分離しない本明細書で提供される他の実施形態と比較して、縫合糸張力を制御することが容易になり得ることである。
【0067】
本開示は、外科的処置と併せて使用される開示されたアンカー及びアセンブリのいくつかの非限定的な例を既に提供しているが、更なる手順が、様々なアンカー実施形態の特徴部及び説明に基づいて当業者によってよく理解されることになり、
図22A~
図22Bは、本明細書で開示される装置及びアセンブリ、より具体的には、
図19Aのアンカー1400及びロッド1460を含むアセンブリを利用する外科的処置の更なる非限定的な例を提供する。
【0068】
プロセスは、縫合糸リム1480a、1480bを組織1390に通すことによって、及び/又は縫合糸リム1480a、1480bを組織1390の周りに巻くことによってなどのように、縫合糸リム1480a、1480bを組織1390に結合することを含み得る。次いで、リム1480a、1480bは、遠位先端部材1410bに形成された、それぞれの遠位側部開口部1440d1、1440d2を通されることができる。リム1480a、1480bは、近位主要部材1410aに形成された長手方向管腔1420を上向きに通されることができ、リム1480a、1480bは、細長い本体1410の近位端1410pで、近位主要部材1410aを出る。他の側部開口部を含む実施形態では、1つ又は2つ以上のリム1480a、1480bは、本体1410の近位端1410pを出て通る代わりに、又はそれに加えて、側部開口部を通過して出ることができる。遠位先端部材1410bは、組織1390が固着される骨1375に形成されたボア又は孔1370内に配置され得る。このことは、例えば、ロッド1460を使用して、遠位先端部材1410bを外科手術部位に挿入することによって達成することができる。
【0069】
本体1410の遠位端1410dが骨孔1370の遠位終端部に接触するときのように、遠位先端部材1410bがその所望の場所に位置付けられた後、近位主要部材1410aは、
図22Bに例解されるように、遠位先端部材1410bに当接するように、ロッド1460を摺動して下げることができる。それらは、所望される場合、当業者に既知の任意の技法を使用して共に固定的に結合され得る。近位主要部材1410aが骨孔1370に進入すると、縫合糸リム1480a、1480bの少なくとも一部は、骨係合特徴部1450と、孔1370を画定する骨1375の表面1371との両方によって係合され得る。これは、
図2Bのアンカー100の骨係合特徴部150が、それらの間の縫合糸リム180及び骨孔70を画定する骨75の表面71に当たる方法と同様に、
図22において視認者に対して、視認者に向けた図の三次元抽象で生じる。近位主要部材1410aの遠位先端部材1410bに向けた挿入は、係止構成になることができ、この構成では、縫合糸リム1480a、1480bがアンカー1400及び骨1375に対して所定の位置に係止され、次に、組織1390をアンカー1400及び骨1375に対して所定の位置に係止する。このことは、近位主要部材1410a及び遠位先端部材1410bが接続された後、又は近位主要部材1410aが骨孔1370に十分に深く入る場合には、その前のある点で生じ得る。ロッド1460は、近位主要部材1410aが所望に応じて位置付けられた後に、遠位先端部材1410bから結合解除され得る。他の実施形態では、ロッド1460は、近位主要部材1410aを挿入することを補助するために使用され得ず、その場合は、近位主要部材1410aを遠位先端部材1410bに向かって遠位に前進させる前に取り外され得る。
【0070】
縫合糸リム1480a、1480bは、組織1390をアンカー1400に向けて引き込むために、したがって、骨1375に向けて引き込むために操作され得る。代替的に、又は追加的に、縫合糸リム1480a、1480bには、十分に張力をかけることができ、近位主要部材1410aを遠位先端部材1410bに向けて遠位に前進させることにより、組織1390を骨1375に向けて引き寄せることができるようになっている。更に、例解された実施形態は、縫合糸リム1480a、1480bを挿入前にアンカー1400に関連付けることを提供するが、縫合糸リム1480a、1480bは、アンカー1400の少なくとも一部がボア1370に植え込まれた後に、アンカー1400の少なくともいくつかの部分に関連付けられ得る。例えば、縫合糸リム1480a、1480bは、遠位先端部材1410bをボア1370内に挿入する前に、遠位側部開口部1440d1、1440d2に結合されることができるが、遠位先端部材1410bがボア1370に挿入された後に、長手方向管腔1420を通過させることができる。当業者は、本明細書で説明される外科的方法と併せて提供されるステップのほとんどの順序が、本開示の趣旨から逸脱することなく、異なる順序で実行され得ることを理解するであろう。
【0071】
図23は、縫合糸アンカー挿入アセンブリの別の非限定的な実施形態、及びその使用方法を例解する。縫合糸アンカー挿入アセンブリは、縫合糸アンカー1700及び挿入ロッド1760を含む。アンカー1700は、その長手方向軸L
17に沿って延在する近位端1710p及び遠位端1710dを有する細長い本体1710と、テーパ状遠位部分1710tと、そこを通って延在する長手方向管腔1720と、骨係合特徴部1750と、細長い本体1710の分離可能な近位部分又は近位主要部材1710a及び遠位部分又は遠位先端部材1710bと、近位主要部材1710aに形成され、表面1740d
1、1740d
2を有する遠位側部開口部1740dと、遠位先端部材1710bに形成された第2の遠位側部開口部1740d’と、を含むという点で、前述のアンカー(とりわけ、例えば、アンカー1600)と同様である。例解された実施形態は、第2の実施形態を示すために含まれており、そこでは、突起1755が、
図5A~
図6に例解されるアンカー300の突起355と同様の理由で、アンカー本体1710の外部表面上に形成され、より具体的には、近位主要部材1710a上に形成されている。図示されるように、突起1755は、本体1710の対向する表面上に形成されている。突起1755は、骨1675の上部表面1675tと係合することができ、それによって、アンカー1700及びそれに関連する組織1690に対する縫合糸リム1780a、1780bの操作を可能にする。より具体的には、縫合糸リム1780a、1780bは、突起1755によってもたらされる障害を克服するのに十分な力を付与する前に、第2の遠位側部開口部1740d’を通って、遠位側部開口部1740dの表面1740d
1、1740d
2に接して、本体1710の長手方向管腔1720を通って摺動することができる。近位主要部材1710aが遠位先端部材1710bに向けて、骨1675に形成されたボア1670内に前進した後であっても、縫合糸リム1780a、1780bのアンカー1700に対するいくつかの操作が可能であり得る。
【0072】
本明細書で提供される縫合糸アンカー及び挿入アセンブリの様々な実施形態は、改善された縫合糸張力を可能にし、更に、結果として生じる縫合糸張力に関連付けられた縫合糸保持力を最大化することを可能にする。このことは、少なくとも部分的に、側部開口部(例えば、とりわけ、近位側部開口部140p及び遠位側部開口部140d)、縫合糸係合特徴部(とりわけ、例えば、縫合糸係合特徴部130)、及び骨係合特徴部(とりわけ、例えば、骨係合特徴部150)の様々な構成、並びに外科的処置中に縫合糸リムが様々な構成と相互作用する方法によるものである。植え込みが生じると、関連する縫合糸リムも、アンカーの外部表面、及びアンカーが植え込まれた骨孔を画定する骨の表面によって捕捉されることによってしっかりと保持される。様々な実施形態はまた、張力に関連する前述の理由から、また、例えば、特別に構成された遠位側部開口部(とりわけ、例えば、遠位側部開口部640d)によって、縫合糸を保持、分離、及び/又は識別することを容易にしていることから、植え込み処置を容易にしている。
【0073】
当業者であれば、上述の実施形態に基づいた本開示の更なる特徴及び利点を、認識するであろう。したがって、本開示及び関連した発明は、添付の特許請求の範囲によって示される場合を除き、具体的に示され説明された内容により限定されるものではない。例えば、本明細書に提供される開示が、軟組織修復と併せて使用される装置及び方法について記載する範囲において、当業者であれば、本開示の趣旨から逸脱することなく、これらの開示を、骨に対する、また、他の解剖学的構造との、かつ身体の他の位置での縫合糸保持を要する他の外科的処置に適用することができるであろう。更に、本明細書において提供される装置及び方法は、一般的に外科的技法を対象としたものであるが、これら装置及び方法の少なくとも一部は、外科分野以外の用途において使用され得る。当業者はまた、本開示の異なる実施形態の様々な特徴部及び/又は要素が様々な方法で組み合わされ得ることを理解するであろう。明確に物理的に達成することが不可能でない限り、一実施形態からの1つ又は2つ以上の特徴部は、1つ又は2つ以上の他の実施形態の1つ又は2つ以上の特徴部と組み合わせられ得る。更に、特定の実施形態が、アンカーの容積を部分的にのみ、又はアンカーの容積を完全に通って延在する側部開口部を例解している限り、当業者は、そのような構成が、必要に応じて、開口部が容積又はアンカーを完全に通って、又はアンカーの容積を部分的にだけ通って延在することを可能にするように改変され得ることを認識するであろう。
【0074】
〔実施の態様〕
(1) 縫合糸植え込みアセンブリであって、
挿入ロッドと、
前記挿入ロッドの遠位端に取り外し可能に結合された遠位先端部材であって、複数の縫合糸リムが摺動可能に結合されるように構成された縫合糸係合特徴部を有する、遠位先端部材と、
近位主要部材であって、外部表面上に配置された1つ又は2つ以上の骨係合特徴部と、近位端から遠位端まで延在する長手方向管腔と、を備えた細長い円筒形本体を有し、前記近位主要部材が、前記長手方向管腔を通って取り外し可能に配置された前記挿入ロッドを有することによって、前記挿入ロッド上に摺動可能に配置されており、前記近位主要部材が、前記遠位先端部材の近位にあり、前記近位主要部材が、前記遠位先端部材に摺動可能に結合された複数の縫合糸リムを、前記細長い円筒形本体上の第1の位置から前記細長い円筒形本体上の第2の位置まで、近位方向において、前記細長い円筒形本体の少なくとも一部分を通して通過させるように構成されており、前記第1の位置が、前記細長い円筒形本体の前記遠位端に対して、前記第2の位置よりも近い、近位主要部材と、を備え、
前記遠位先端部材及び前記近位主要部材のうちの一方が、投影像からの前記長手方向管腔を通って中心に延在する中心長手方向軸の第1の側上で内部に形成された第1の縫合糸リム保持表面と、前記投影像からの前記第1の側に対向する前記中心長手方向軸の第2の側上で内部に形成された第2の縫合糸リム保持表面と、を有し、前記遠位先端部材の近位端に最も近い前記第1の縫合糸リム保持表面の一部分が、前記遠位先端部材の近位端に最も近い前記第2の縫合糸リム保持表面の一部分から分離して位置しており、そのため、前記遠位先端部材に摺動可能に結合された前記複数の縫合糸リムの第1のリムが、前記遠位先端部材の前記近位端に最も近い前記第1の縫合糸リム保持表面の前記一部分に接して配置され得、前記遠位先端部材に摺動可能に結合された前記複数の縫合糸リムの第2のリムが、前記遠位先端部材の前記近位端に最も近い前記第2の縫合糸リム保持表面の前記一部分に接して配置され得、前記第1の縫合糸リム及び前記第2の縫合糸リムが、互いからある距離離間して維持されている、縫合糸植え込みアセンブリ。
(2) 前記第1の縫合糸リム保持表面が、第1のボアを備え、第2の縫合糸リム保持表面が、第2のボアを備え、前記第1のボア及び前記第2のボアが、前記中心長手方向軸の前記第1の側及び前記第2の側上にある、実施態様1に記載の縫合糸植え込みアセンブリ。
(3) 前記第1の縫合糸リム保持表面が、第1のローブの一部であり、前記第2の縫合糸リム保持表面が、第2のローブの一部であり、前記第1のローブ及び前記第2のローブが、単一のボアの一部分であり、前記第1のローブ及び前記第2のローブの最近位部分が、前記中心長手方向軸の前記第1の側及び前記第2の側上にある、実施態様1に記載の縫合糸植え込みアセンブリ。
(4) 前記第1の縫合糸リム保持表面及び前記第2の縫合糸リム保持表面が、前記遠位先端部材上に位置する、実施態様1に記載の縫合糸植え込みアセンブリ。
(5) 前記第1の縫合糸リム保持表面及び前記第2の縫合糸リム保持表面が、前記近位主要部材上に位置する、実施態様1に記載の縫合糸植え込みアセンブリ。
【0075】
(6) 前記第1の縫合糸リム保持表面及び前記第2の縫合糸リム保持表面が、前記近位主要部材に形成された少なくとも1つの開口部の一部であり、そのため、前記開口部の最遠位端部が、前記近位主要部材の前記最遠位端部に配置されており、それによって、前記第1の縫合糸リム及び前記第2の縫合糸リムが、前記第1の縫合糸リム保持表面及び前記第2の縫合糸リム保持表面に摺動可能に結合するために、前記少なくとも1つの開口部に進入することができる場所を形成する、実施態様5に記載の縫合糸植え込みアセンブリ。
(7) 前記近位主要部材の遠位部分の外部表面から半径方向外向きに配置された1つ又は2つ以上の突起を更に備え、前記突起のうちの少なくとも1つが、ボアの進入場所に近接して配置された相対的に平面状の表面が前記少なくとも1つの突起の遠位端と係合したとき、前記第1の縫合糸リム保持表面及び前記第2の縫合糸リム保持表面のうちの少なくとも1つの少なくとも一部分が、前記相対的に平面状の表面の近位に配置されるように構成されており、そのため、前記それぞれの第1の保持表面及び第2の保持表面に摺動可能に結合されている前記複数の縫合糸リムの第1のリム又は第2のリムのうちの少なくとも1つが、前記それぞれの第1の保持表面及び第2の保持表面に対して摺動可能であるままになっている、実施態様1に記載の縫合糸植え込みアセンブリ。
(8) 前記少なくとも1つの突起の前記遠位端が、前記突起が前記近位主要部材の前記近位端に向けて延在するにつれて、半径方向外向きにテーパ状になっている、実施態様7に記載の縫合糸植え込みアセンブリ。
(9) 前記近位主要部材の前記近位端に配置されたフレア状部分を更に備え、
前記フレア状部分と、前記フレア状部分の上に形成された前記1つ又は2つ以上の骨係合表面の任意部分との組み合わせが、前記フレア状部分の遠位の前記近位主要部材と、前記近位主要部材の前記外部表面上に配置された前記1つ又は2つ以上の骨係合表面との組み合わせによって形成された直径よりも大きい直径を有する、実施態様8に記載の縫合糸植え込みアセンブリ。
(10) 組織を骨に固着させる外科的方法であって、
2つの縫合糸リムが組織から延在するように、縫合糸を前記組織に結合することと、
前記2つの縫合糸リムが、縫合糸アンカーの遠位先端部材の1つ又は2つ以上の縫合糸係合特徴部に対して摺動可能に配置されるように、前記2つの縫合糸リムの各々を前記1つ又は2つ以上の縫合糸係合特徴部に結合することと、
前記2つの縫合糸リムを前記遠位先端部材の前記1つ又は2つ以上の縫合糸係合特徴部から前記縫合糸アンカーの近位主要部材の少なくとも一部分の中に、かつそこを通して通過させることであって、前記2つの縫合糸リムは、前記2つの縫合糸リムのうちの第1のリムが、投影像からの前記縫合糸アンカーを通って中心に延在する中心長手方向軸の第1の側上に位置する前記遠位先端部材及び前記近位主要部材のうちの1つに形成された少なくとも1つの開口部の一部分を画定する第1の表面と係合し、前記2つの縫合糸リムのうちの第2のリムが、前記投影像からの前記第1の側に対向する前記中心長手方向軸の第2の側上に位置する前記遠位先端部材及び前記近位主要部材のうちの1つに形成された少なくとも1つの開口部の一部分を画定する第2の表面と係合するように、位置付けられており、そのため、前記第1のリム及び前記第2のリムが、前記中心長手方向軸のそれぞれ反対の側上で互いからある距離離間して維持されている、通過させることと、
前記遠位先端部材を骨に形成されたボアに挿入することと、
前記組織を前記骨に向かって引き込むために、前記2つの縫合糸リムのうちの少なくとも1つに張力を加えることと、
前記近位主要部材を前記遠位先端部材に向かって遠位に前進させて、前記2つの縫合糸リムの場所を係止し、したがって、前記組織が、前記骨に対してある場所において、前記骨に結合されることと、を含む、方法。
【0076】
(11) 前記少なくとも1つの開口部が、前記遠位先端部材内に形成され、前記1つ又は2つ以上の縫合糸係合特徴部が、前記少なくとも1つの開口部を備え、
前記2つの縫合糸リムの各々を前記遠位先端部材の1つ又は2つ以上の縫合糸係合特徴部に結合することが、前記第1のリムを前記少なくとも1つの開口部の前記第1の表面に係合することと、前記第2のリムを前記少なくとも1つの開口部の前記第2の表面に係合することと、を更に含む、実施態様10に記載の外科的方法。
(12) 前記少なくとも1つの開口部が、前記近位主要部材に形成され、
前記2つの縫合糸リムの各々を前記遠位先端部材の1つ又は2つ以上の縫合糸係合特徴部に結合する動作が、前記2つの縫合糸リムを、前記遠位先端部材の前記1つ又は2つ以上の縫合糸係合特徴部から、前記縫合糸アンカーの前記近位主要部材の少なくとも一部分の中に、かつそこを通して通過させる動作の前に生じる、実施態様10に記載の外科的方法。
(13) 前記遠位先端部材を骨に形成されたボア内に挿入する動作が、前記遠位先端部材が結合された挿入ロッドを骨に形成された前記ボアに向けて前進させることを更に含み、前記近位主要部材が、前記挿入ロッド上に摺動可能に配置されている、実施態様10に記載の外科的方法。
(14) 前記2つの縫合糸リムの場所を係止するために、前記近位主要部材を前記遠位先端部材に向けて遠位に前進させることが、前記近位主要部材を前記骨孔に挿入して、その外部表面に形成された表面係合特徴部が、前記ボアを画定する前記骨の表面と係合するようにすることを更に含む、実施態様10に記載の外科的方法。
(15) 前記近位主要部材上に配置された1つ又は2つ以上の突起が前記ボアに近接する前記骨に係合するまで前記近位主要部材を前記骨に形成された前記ボアに向けて移動させることを更に含み、前記近位主要部材に追加の量の力を加えないと、前記近位主要部材が前記ボアに向けて更に前進することができないようになっており、前記1つ又は2つ以上の突起の前記骨との前記係合が、前記縫合糸リムの前記第1の表面及び前記第2の表面に対する移動に適応するために、前記近位主要部材と前記ボアの近位縁との間の間隙を提供し、
前記2つの縫合糸リムの場所を係止するために前記近位主要部材を前記遠位先端部材に向けて遠位に前進させることが、前記間隙の排除をもたらす、実施態様10に記載の外科的方法。
【0077】
(16) 縫合糸アンカーであって、
細長いアンカー本体であって、近位端、遠位端、及び前記遠位端から前記近位端まで前記細長いアンカー本体の長さを通って延在する長手方向管腔を有し、前記縫合糸アンカーの前記遠位端に関連付けられた遠位先端部分がテーパ状になっており、前記細長いアンカー本体の外部表面によって前記遠位端において画定された直径が、前記細長いアンカー本体の前記外部表面によって前記遠位先端部分の前記近位端において画定された直径よりも小さくなっている、細長いアンカー本体と、
前記細長いアンカー本体の前記外部表面上に配置され、骨を係合するように構成された1つ又は2つ以上の骨係合表面と、
前記細長いアンカー本体の前記外部表面に形成された少なくとも1つの側部開口部であって、縫合糸リムが前記側部開口部を通って通過し前記長手方向管腔内に通され得るように、前記長手方向管腔と直接連通している、少なくとも1つの側部開口部と、を備え、
前記少なくとも1つの側部開口部の近位端が、少なくとも2つの別個の縫合糸誘導経路が形成されるような形状を有し、前記少なくとも2つの別個の縫合糸誘導経路が、投影像からの前記少なくとも1つの側部開口部を通って延在する中心長手方向軸の第1の側上に配置された第1の縫合糸誘導経路と、前記投影像からの前記中心長手方向軸の第2の側上に配置された第2の縫合糸誘導経路と、を含み、前記第2の側が前記第1の側に対向している、縫合糸アンカー。
(17) 前記少なくとも1つの側部開口部の前記形状が、スカラップ部分を含む、実施態様16に記載の外科用アンカー。
(18) 前記少なくとも1つの側部開口部が、チャネルを含む遠位部分と、前記スカラップ部分を含む近位部分と、を備え、前記スカラップ部分が、前記第1の誘導経路及び前記第2の誘導経路を含む、実施態様17に記載の縫合糸アンカー。
(19) 前記縫合糸アンカーの遠位部分の前記外向き表面から半径方向外向きに配置された1つ又は2つ以上の突起を更に備え、前記突起のうちの少なくとも1つが、ボアの進入場所に近接して配置された相対的に平面状の表面が、前記少なくとも1つの突起の遠位端に係合するときに、前記第1の縫合糸誘導経路及び前記第2の縫合糸誘導経路のうちの少なくとも1つの少なくとも一部分が、前記相対的に平面状の表面の近位に配置されるように構成されており、そのため、前記側部開口部を通って通過し前記長手方向管腔内に通された縫合糸リムが、前記ぞれぞれの第1の縫合糸誘導経路及び第2の縫合糸誘導経路に摺動可能に結合され、それに対して摺動されることができる、実施態様16に記載の縫合糸アンカー。
(20) 前記少なくとも1つの突起の前記遠位端が、前記突起が前記縫合糸アンカーの前記近位端に向けて延在するにつれて半径方向外向きにテーパ状になっている、実施態様19に記載の縫合糸アンカー。
【0078】
(21) 前記細長いアンカー本体の前記近位端に配置されたフレア状部分を更に備え、
前記フレア状部分と、前記フレア状部分上に形成された前記1つ又は2つ以上の骨係合表面の任意部分との組み合わせが、前記フレア状部分の遠位の前記細長いアンカー本体と、前記細長いアンカー本体の前記外部表面上に配置された前記1つ又は2つ以上の骨係合表面との組み合わせによって形成された直径よりも大きい直径を有する、実施態様16に記載の縫合糸アンカー。
【外国語明細書】