(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022127629
(43)【公開日】2022-08-31
(54)【発明の名称】組立玩具
(51)【国際特許分類】
A63H 3/16 20060101AFI20220824BHJP
A63F 9/12 20060101ALI20220824BHJP
【FI】
A63H3/16
A63F9/12 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022046363
(22)【出願日】2022-03-23
(62)【分割の表示】P 2021025516の分割
【原出願日】2021-02-19
(71)【出願人】
【識別番号】000135748
【氏名又は名称】株式会社バンダイ
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松井 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】戸澗 宏太
(72)【発明者】
【氏名】山上 篤史
【テーマコード(参考)】
2C150
【Fターム(参考)】
2C150AA05
2C150BA64
2C150BC02
2C150CA01
2C150EH09
2C150EH16
2C150FD08
(57)【要約】
【課題】本発明は、例えば組立玩具における組立工程の興趣性を好適に高める仕組みを提供する。
【解決手段】本組立玩具は、前記組立玩具の組立説明書に組み立て方法が示されていない、複数のパーツから組み立てられる第1組立部品と、前記組立説明書に組み立て方法が示されている、複数のパーツから組み立てられる第2組立部品とを備え、前記組立説明書には、前記第1組立部品を組み立てるためのヒント情報が含まれ、前記第1組立部品には、前記ヒント情報に対応する形状が含まれる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組立玩具であって、
前記組立玩具の組立説明書に組み立て方法が示されていない、複数のパーツから組み立てられる第1組立部品と、
前記組立説明書に組み立て方法が示されている、1以上のパーツから組み立てられる第2組立部品と
を備え、
前記組立説明書には、前記第1組立部品を組み立てるためのヒント情報が含まれ、
前記第1組立部品には、前記ヒント情報に対応する形状が含まれることを特徴とする組立玩具。
【請求項2】
前記第1組立部品は、複数のパーツが正確に組み立てられると、1以上の前記第2組立部品が連結される連結部として機能することを特徴とする請求項1に記載の組立玩具。
【請求項3】
前記ヒント情報とは、謎解きであることを特徴とする請求項1又は2に記載の組立玩具。
【請求項4】
前記第1組立部品において、複数のパーツが正確に組み立てられると形成される前記ヒント情報に対応する形状は、前記謎解きを解くと得られる情報を示すことを特徴とする請求項3に記載の組立玩具。
【請求項5】
前記ヒント情報に対応する形状には、文字、記号、図形、及び模様の少なくとも1つが含まれることを特徴とする請求項4に記載の組立玩具。
【請求項6】
前記謎解きを解くと得られる情報は、前記組立玩具に関する情報が得られることを特徴とする請求項4又は5に記載の組立玩具。
【請求項7】
前記組立玩具に関する情報とは、該組立玩具が対象とするモデルの名称であることを特徴とする請求項6に記載の組立玩具。
【請求項8】
前記第1組立部品に含まれる複数のパーツはそれぞれ、前記名称の少なくとも1文字の少なくとも一部に対応する形状を有することを特徴とする請求項7に記載の組立玩具。
【請求項9】
前記組立説明書には、前記名称の1文字ごとに前記ヒント情報が含まれることを特徴とする請求項8に記載の組立玩具。
【請求項10】
前記組立説明書には、前記第1組立部品を組み立てたる際に利用する外形を示す枠が記載され、
前記第1組立部品は、複数のパーツが正確に組み立てられると前記外形に嵌まる形状となることを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載の組立玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組立玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
初心者や年少者にとっても容易に組み立て可能な組立玩具が知られている。例えば、特許文献1には、ランナーが無く隣接した2つの主要パーツがゲートで繋がれ、当該ゲートを折り曲げるだけでほぼ完成する組立玩具が提案されている。ランナーから切り離して組み立てる必要がないため、切り離したパーツがどの部分のパーツかを把握する必要がなく、容易に組み立てることができる。
【0003】
また、特許文献2には、一直線に配置可能な複数の構成部材を重ねて、それぞれの貫通孔に棒状の支持部材を挿入して組み立てを行う組み立て玩具が提案されている。この組み立て玩具では支持部材を挿入して軸中心に回動させることにより各構成部材をロックすることができる。したがって、年少者にとっても容易に組み立てることができ、かつ安全で、楽しく、知育遊びにもなる組み立て玩具が提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公平8-7915号公報
【特許文献2】特開2012-148172号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術では、容易に組み立て可能であるものの、複数のパーツを組み立てること自体に興味を抱かせることが難しく、さらに複雑なパーツを組み立てたいという欲求を与えることは難しい。例えば上記特許文献1では、隣接して配置された2つの主要パーツを、互いが繋がったゲートを折り曲げるだけでほぼ完成となる。これでは、パーツを切り離す必要がないため容易に組み立可能であるものの、あまりにも組み立てが簡単すぎて、組み立てること自体に興味を抱かせることが難しい。一方、特許文献2では複数のパーツを重ねて棒状の支持部材を挿入することにより各パーツをロックすることができ、面白味のある知育玩具が提供されている。しかし、支持部材の挿入により各パーツを一括で組み立てるものであり、複数のパーツを組み立てて作り上げていく工程の楽しさや達成感を感じることができず、さらに難しい組立玩具へ挑戦するという意欲を与えることができない。このような従来技術では、プラスチックモデル等の組立工程の楽しさを知り、次の玩具への販売促進効果を得ることができない。また、組立説明書に従って組み立てるだけでは年少者などは組立作業を退屈に感じてしまい、組立工程自体の楽しさを感じることができない虞もある。
【0006】
本発明は、例えば、組立玩具における組立工程の興趣性を好適に高める仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、例えば、組立玩具であって、前記組立玩具の組立説明書に組み立て方法が示されていない、複数のパーツから組み立てられる第1組立部品と、前記組立説明書に組み立て方法が示されている、複数のパーツから組み立てられる第2組立部品とを備え、前記組立説明書には、前記第1組立部品を組み立てるためのヒント情報が含まれ、前記第1組立部品には、前記ヒント情報に対応する形状が含まれることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、組立玩具における組立工程の興趣性を好適に高める仕組みを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態に係る組立玩具の外観正面の一例を示す図。
【
図3】一実施形態に係る組立玩具のパッケージの一部を示す図。
【
図4】一実施形態に係る組立玩具における謎解き組立部品の組立図及び分解図。
【
図5】一実施形態に係る組立玩具のパッケージの一部を利用した様子を示す図。
【
図6】一実施形態に係る組立玩具における謎解き組立部品を背面部材に装着する様子を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴うち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
<組立玩具の外観>
まず、
図1を参照して、本実施形態に係る組立玩具100の外観構成の一例について説明する。
図1は組立玩具100の外観正面を示す。なお、上下、左右、前後の矢印については図における組立玩具の向きを示し、他の図面についても同様である。
【0012】
組立玩具(人形玩具)100は、組立後の最終組立品を示す。組立玩具100は、複数の組立部品から構成され、例えば、右腕102a、左腕102b、胴体部103、及び右脚部104a、左脚部104bを含んで構成される。本実施形態に係る組立部品とは、複数のパーツから構成される組立玩具100の一部品を示す。また、本実施形態では人の組立玩具を例に説明するため、これらの組立部品を例示しているが、本発明に係る組立玩具は人に限らず、様々な物体をモデルにすることができるものであり、組立部品についても種々の物体が含まれるものである。
【0013】
<全体の組立構成>
次に、
図2を参照して、本実施形態に係る組立玩具100全体の組立構成について説明する。
図2は組立玩具100の右前方からの分解斜視図を示す。
【0014】
組立玩具100は、複数のパーツから構成される組立部品203と、1以上のパーツから構成される組立部品201、202、204、205、206、207とを含む。組立部品203は、第1組立部品に相当し、後述する組立説明書に組み立て方法が示されておらず、その代わりに組み立て方法を示唆するヒント情報が示されている謎解き組立部品である。組立説明書の詳細については後述する。一方、組立部品201、202、204、205、206、207は、第2組立部品に相当し、複数のパーツから構成される組立部品についてはその組み立て方法が後述する組立説明書に示されている。なお、組立部品205については1つのパーツから構成される。
【0015】
組立部品201は、組立玩具100の頭部101に相当する。組立部品202は組立玩具100の胴体部103の胸部の一部に相当する。組立部品204は胴体部103及び右腕部102aの前面に相当する。組立部品205は胴体部103及び右腕部102aの背面に相当する。組立部品206は組立玩具100の左腕102bに相当する。組立部品207は組立玩具100の下体部(胴体部103の一部、右脚104a及び左脚104bを含む。)に相当する。
【0016】
組立部品203は、
図2では、点線枠に示すように複数のパーツに分解された様子を示す。これらの複数のパーツが正確に組み立てられると、1以上の他の組立部品(第2組立部品)を連結する連結部として機能する。つまり、組立部品203が正確に組み立てられなければ、組立玩具100を完成させることはできない。したがって、組立ユーザは、組立説明書に示されている、後述するヒント情報を手掛かりに組立部品203を正確に組み立てる必要がある。
【0017】
<組立説明書の一部>
次に、
図3を参照して、本実施形態に係る組立玩具100の組立説明書の一部について説明する。
図3は組立部品203に関する情報が記載された組立説明書の一部を示す。他の組立部品201、202、204、205、206、207については、通常のプラスチックモデルと同様に、それぞれのパーツの組み立て方法が示されているものであり、図示については省略する。
【0018】
300は、組立説明書の一部を示すものであり、組立部品203を組み立てるための組み立て方法が直接示されておらず、ヒント情報が示されている。組立説明書300は、文字302、303、304と、各文字に対応する謎解き情報305、306、307と、組立領域308と、ヒント情報309a~309fとを含んで構成される。
【0019】
文字302、303、304は、各文字を合わせると組立玩具100に関する情報となり、ここでは一例として、組立玩具100のモデルの名称「コイン」の各文字に対応する。文字302は「コ」に対応し、文字303は「イ」に対応し、文字304は「ン」に対応する。謎解き情報305、306は、文字302、303のそれぞれに対応した謎解きを示す。また、この謎解き305、306についてのヒントが、ヒント情報309aに示されている。
【0020】
謎解き情報305、306はダイヤルを示しており、ヒント情報309aが文字302「コ」と文字303「イ」が各ダイヤルの数字に連動していることを示唆している。即ち、ここでは、「コ」が「5」に対応し、「イ」が「1」に対応していることを示している。従って、組立ユーザは組立部品203を組み立てる際に、「5」及び「1」を手掛かりに組み立てることができる。実際の組み立てについての詳細は
図4及び
図5を用いて後述する。
【0021】
また、謎解き情報307は、方位磁石を示しており、ヒント情報309bには方位磁石が上下反対になっており、一部が壊れていることが示唆されている。これにより、壊れている部分が「N」の部分であり、「N」が通常の方位磁石と比較して下方向に位置していることがわかる。従って、組立ユーザは組立部品203を組み立てる際に、上記「5」及び「1」に加えて、さらに下に位置する「N」を手掛かりに組み立てることができる。
【0022】
組立領域308は、ヒント情報309cに示されているように、組立部品203を組み立てるための領域であり、正確に組み立てた場合の組立部品203の外形を示している。つまり、正確に組み立てた組立部品203は、組立領域308に嵌まる形(又は、収まる形)となる。従って、組立ユーザは、組立領域308の外形となる枠をヒントに組立部品203を組み立てることができる。
【0023】
また、組立説明書300には、更なるヒント情報309d~309fが示されており、組立ユーザはこれらのヒント情報を手掛かりに組立部品203を組み立てることができる。このように、謎を解いて正確に組立部品203を組み立てると達成感を得ることができ、組立工程における興趣性を向上させることができる。また、これらのヒント情報は、段階的により解答を導きやすいような内容として示されるようにしてもよい。従って、これらのヒントは一見して全てのヒントが確認できないように、異なる位置に記載されることが望ましい。例えば、組立説明書300は、紙媒体に記載される場合には、異なるページや異なる面に各ヒント情報が記載され、製品パッケージの箱に記載される場合には、異なる面に各ヒントが記載されることが望ましい。これにより、組立ユーザはより少ないヒントで謎解きができればより高い達成感を得ることができる。また、謎解きが解けない場合を想定して、最終的なヒントとして解答や組立部品203の組み立て方法を直接記載するようにしてもよい。これにより、謎解きが解けない場合であっても、組立玩具100を完成させるように支援することができる。
【0024】
なお、ここでは、組立玩具に関する情報として、組立玩具100が対象とするモデルの名称を例に説明した。しかし、本発明はこれに限定されず、例えば、組立玩具に関する情報には、モデルを示す文字列に代えて、モデルに関連する記号、図形、及び模様などが含まれてもよい。これらの組立玩具に関する情報は、組立ユーザが認識可能な情報であればよい。また、詳細については後述するが、これらのモデルに関する情報は、組立部品203の各パーツにそれぞれの文字の少なくとも一部が含まれるものである。したがって、組立ユーザは、複数のパーツを組み合わせることにより、謎解きによって得た情報、ここでは、「5」、「6」、「N」が形成されるように組み合わせることにより組立部品203を正確に組み立てることができる。
【0025】
<謎解き組立部品>
次に、
図4を参照して、本実施形態に係る謎解き組立部品である組立部品203の組立構成について説明する。
図4(a)は組立部品203の組み立て後の斜視図であり、
図4(b)は正面からの分解図であり、
図4(c)は下方からの分解図である。
【0026】
図4(b)及び
図4(c)に示すように、組立部品203はパーツ401、402、403から構成される。これらのパーツ401~403は、上述したように、組立説明書300の謎解きを解いて得た「5」、「1」、「N」の少なくとも一部を含んで構成される。例えば、パーツ401は「5」、「1」のそれぞれの文字の上半分を含んで構成される。また、パーツ402は、「5」の文字の下半分と、「N」の文字の左半分を含んで構成される。また、パーツ403は、「1」の文字の下半分と、「N」の文字の右半分を含んで構成される。このように、各パーツには、謎解きを解いて得た組立玩具に関する情報の各文字の少なくとも一部を含んで構成され、それらを正確に組み合わせると、
図4(a)に示すように、ヒント情報に対応する情報、ここでは組立玩具に関する情報を示す各文字が形成される。なお、パーツ403は、
図4(c)に示すように、下部に「N」の文字が別途形成されている。これは、組立部品203を他の組立部品と連結させる際に、当該Nが下向きになるように組み合わせることを示唆するものである。
【0027】
また、パーツ401から403は、上述した組立説明書300の組立領域308を利用してその枠の形状に合わせるように組み立てることができる。このように、本実施形態によれば、ヒント情報以外にも組立部品203の組み立てを支援することができる。
図5に示すように、パーツ401~403を正確に組み立てると、組立領域308の枠に収まるように組み立てられることができる。このように、組立領域308に収まるように組み立てることができれば、組立ユーザは組立部品203を正確に組み立てることができたと判断することができ、その後の組み立てを容易に行うことができる。
【0028】
<謎解き組立部品の装着>
次に、
図6を参照して、本実施形態に係る組立部品203の装着について説明する。
図6(a)は組立部品203を組立部品205へ装着する様子を示す斜視図であり、
図6(b)は組立部品203の正面図である。
【0029】
組み立てられた組立部品203は、
図6(a)に示すように、組立玩具100の背面部材となる組立部品205へ装着される。ここで、
図6(b)に示すように、組立部品205には、下向きに矢印601が形成されており、組立部品203の下部に形成された「N」が当該位置に対応するように形成されている。なお、下向き矢印601は、組立ユーザが認識しやすいように、組立部品205の他の部分とは異なる色で強調されてもよい。さらに、組立部品203の下部に形成された「N」と同色で形成されることが望ましい。これにより、組立ユーザは同一色の部分を合わせるように容易に組み立てを行うことができる。
【0030】
以上説明したように、本実施形態に係る組立玩具は、前記組立玩具の組立説明書に組み立て方法が示されていない、複数のパーツから組み立てられる第1組立部品と、前記組立説明書に組み立て方法が示されている、複数のパーツから組み立てられる第2組立部品とを備え、前記組立説明書には、前記第1組立部品を組み立てるためのヒント情報が含まれ、前記第1組立部品には、前記ヒント情報に対応する形状が含まれる。このように、組立ユーザは、組立説明書に組み立て方法が直接記載されていない組立部品について、ヒント情報から組み立てを行い、より達成感を得ることができる。また、ヒント情報は例えば謎解きのヒント情報となっており、組立ユーザは謎解きをしながら組立工程を行うことができ、組立工程の興趣性を向上させることができる。
【0031】
本発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。また、組立玩具の形状は、特に限定されるものではなく、人、動物、ロボット、昆虫、恐竜等、様々な形状を含むものである。
【符号の説明】
【0032】
100:組立玩具、101:頭部、102a:右腕、102b:左腕、103:胴体部、104a:右脚、104b:左脚