(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022012763
(43)【公開日】2022-01-17
(54)【発明の名称】フェイスカバー
(51)【国際特許分類】
A41D 13/11 20060101AFI20220107BHJP
A62B 18/02 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
A41D13/11 G
A41D13/11 L
A62B18/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020114827
(22)【出願日】2020-07-02
(71)【出願人】
【識別番号】000143880
【氏名又は名称】株式会社細川洋行
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100152146
【弁理士】
【氏名又は名称】伏見 俊介
(72)【発明者】
【氏名】山田 盛厚
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 進
(72)【発明者】
【氏名】小川 和真
【テーマコード(参考)】
2E185
【Fターム(参考)】
2E185AA04
2E185BA05
2E185CC73
(57)【要約】
【課題】飛沫感染の防護効果が高く、通気性を確保でき、外部の視認性及び着衣性に優れ、大量生産が可能であるフェイスカバーを提供することを目的とする。
【解決手段】対向する一対の平面部10,12と、袋の内方に折り込まれるマチ部20とを備え、少なくとも下端部4を残して上部ヒートシール部31及び側部ヒートシール部32,33が形成されて袋状とされ、一対の平面部10,12が透明樹脂フィルムからなり、マチ部20に通気材を有する、下端開口部40から被って頭部全体を覆う袋状のフェイスカバー1。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下端開口部から被って頭部全体を覆う袋状のフェイスカバーであって、
対向する一対の平面部と、袋の内方に折り込まれる少なくとも1つのマチ部とを備え、
前記一対の平面部及び前記マチ部において重なり合う周端部に、少なくとも下端部を残してヒートシール部が形成されて袋状とされ、
前記一対の平面部及び前記マチ部のうち、前記フェイスカバーを頭部に被せた状態で少なくとも顔正面に配置される部分が透明樹脂フィルムからなり、それ以外の部分に通気材を有する、フェイスカバー。
【請求項2】
前記マチ部が前記一対の平面部の上端から袋の内方に折り込まれるように設けられ、前記マチ部が通気材からなり、前記一対の平面部の両方が透明樹脂フィルムからなる、請求項1に記載のフェイスカバー。
【請求項3】
前記一対の平面部が上下方向に長い長方形状の透明樹脂フィルムからなり、前記一対の平面部の両方の側端部に、ヒートシール部が上端から上下方向の途中まで形成されている、請求項1又は2に記載のフェイスカバー。
【請求項4】
前記下端開口部に、前記下端開口部を開閉自在に閉じる開閉部材が設けられている、請求項1又は2に記載のフェイスカバー。
【請求項5】
前記マチ部が前記一対の平面部の両方の側端のそれぞれから袋の内方に折り込まれるように設けられ、それぞれの前記マチ部が通気材からなり、前記一対の平面部が透明樹脂フィルムからなる、請求項1又は3に記載のフェイスカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェイスカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
医療現場等では、感染症予防のために防護衣類等が着用される。特に感染力や致死率の高い感染症の場合は、体全体を覆う完全防護の衣類が着用される。しかし、完全防護の衣類は価格が高く、希少であり、風邪等の一般的な感染症には不向きである。風邪等の感染症に対しては、使い捨ての不織布マスクを着用して鼻口部周辺を防護することが一般的である。しかし、鼻口部周辺のみを覆う不織布マスクは、通気性は確保できるが、飛沫感染を防ぐ効果が十分ではない。
【0003】
ところで、特許文献1には、頭全体を覆うマスクとして、顔正面に対応する窓孔に透明体を設けた不織布素材からなる頭巾状の防塵マスクが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のような頭全体を覆うマスクを用いれば、鼻口部周辺のみを覆うマスクに比べて飛沫感染の抑制効果は高まると考えられる。しかし、特許文献1の粉塵マスクは、ミシン縫いによって部材を接合しているため、仮に飛沫感染の防護用に転用するとしても量産は困難である。また不織布素材からなる頭巾状のマスクは頭部や顔にまとわりつきやすく、着衣性が劣る。
【0006】
本発明は、飛沫感染の防護効果が高く、通気性を確保でき、外部の視認性及び着衣性に優れ、大量生産が可能であるフェイスカバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の態様を有する。
[1]下端開口部から被って頭部全体を覆う袋状のフェイスカバーであって、対向する一対の平面部と、袋の内方に折り込まれる少なくとも1つのマチ部とを備え、前記一対の平面部及び前記マチ部において重なり合う周端部に、少なくとも下端部を残してヒートシール部が形成されて袋状とされ、前記一対の平面部及び前記マチ部のうち、前記フェイスカバーを頭部に被せた状態で少なくとも顔正面に配置される部分が透明樹脂フィルムからなり、それ以外の部分に通気材を有する、フェイスカバー。
[2]前記マチ部が前記一対の平面部の上端から袋の内方に折り込まれるように設けられ、前記マチ部が通気材からなり、前記一対の平面部の両方が透明樹脂フィルムからなる、[1]に記載のフェイスカバー。
[3]前記一対の平面部が上下方向に長い長方形状の透明樹脂フィルムからなり、前記一対の平面部の両方の側端部に、ヒートシール部が上端から上下方向の途中まで形成されている、[1]又は[2]に記載のフェイスカバー。
[4]前記下端開口部に、前記下端開口部を開閉自在に閉じる開閉部材が設けられている、[1]又は[2]に記載のフェイスカバー。
[5]前記マチ部が前記一対の平面部の両方の側端のそれぞれから袋の内方に折り込まれるように設けられ、それぞれの前記マチ部が通気材からなり、前記一対の平面部が透明樹脂フィルムからなる、[1]又は[3]に記載のフェイスカバー。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、飛沫感染の防護効果が高く、通気性を確保でき、外部の視認性及び着衣性に優れ、大量生産が可能であるフェイスカバーを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態のフェイスカバーを示した正面図である。
【
図2】
図1のフェイスカバーのA-A断面図である。
【
図3】
図1のフェイスカバーを頭部に被った様子を示した斜視図である。
【
図4】第2実施形態のフェイスカバーを示した正面図である。
【
図5】
図4のフェイスカバーを頭部に被った様子を示した斜視図である。
【
図6】第3実施形態のフェイスカバーを示した正面図である。
【
図7】
図6のフェイスカバーを頭部に被った様子を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のフェイスカバーは、下端開口部から被って頭部全体を覆う袋状であり、対向する一対の平面部と、袋の内方に折り込まれる少なくとも1つのマチ部とを備えている。本発明のフェイスカバーは、一対の平面部及びマチ部において重なり合う周端部に、少なくとも下端部を残してヒートシール部が形成されることで袋状とされている。また、本発明では、一対の平面部及びマチ部のうち、フェイスカバーを頭部に被せた状態で少なくとも顔正面に配置される部分が透明樹脂フィルムからなり、それ以外の部分に通気材を有する。
【0011】
なお、「ヒートシール部」とは、ヒートシールによって2枚以上のフィルムもしくは通気材が溶融一体化されて形成された部分を指す。「ヒートシール」とは、熱した金型、超音波振動等によって外部熱をフィルムもしくは通気材に与えて融点以上まで加熱し、2枚以上のフィルムもしくは通気材を溶融一体化し、冷却により固化して接合させることをいう。
【0012】
以下、本発明のフェイスカバーの実施形態例を示し、図面を参照して説明する。なお、以下の説明において例示される図の寸法等は一例であって、本発明はそれらに必ずしも限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0013】
[第1実施形態]
図1及び
図2に示すように、第1実施形態のフェイスカバー1は、対向する一対の平面部10,12と、一対の平面部10,12の上端から袋の内方に折り込まれるように設けられたマチ部20とを備えている。マチ部20は、折り線20aにて半折された状態で一対の平面部10,12の間に配置されている。
【0014】
フェイスカバー1の上端部2には、一対の平面部10,12及びマチ部20における重なり合う上端部同士がヒートシールされた上部ヒートシール部31が形成されている。上部ヒートシール部31では、一方の平面部10の上端部10aと、半折されたマチ部20の平面部10側の上端部20bとがヒートシールにより接合されている。また、他方の平面部12の上端部12aと、半折されたマチ部20の平面部12側の上端部20cとがヒートシールにより接合されている。
【0015】
一対の平面部10,12の正面視形状は、上下方向に長い長方形状である。なお、一対の平面部10,12の正面視形状は、長方形状には限定されず、適宜設定できる。一対の平面部10,12の両方の側端部3には、上端から上下方向の途中まで側部ヒートシール部32,33が形成されている。すなわち、一対の平面部10,12の両方の側端部3における上側部分3aには側部ヒートシール部32,33が形成されている。
【0016】
側部ヒートシール部32におけるマチ部20が存在する部分では、一方の平面部10の側端部と、半折されたマチ部20の平面部10側の側端部とがヒートシールにより接合されている。また、他方の平面部12の側端部と、半折されたマチ部20の平面部12側の側端部とがヒートシールにより接合されている。側部ヒートシール部32におけるマチ部20が存在しない部分では、平面部10と平面部12の側端部同士がヒートシールにより接合されている。側部ヒートシール部33においても側部ヒートシール部32と同様の態様になっている。
【0017】
一対の平面部10,12の両方の側端部3における下側部分3bと下端部4にはヒートシール部は形成されていない。このように、フェイスカバー1は、一対の平面部10,12及びマチ部20の重なり合う周端部において、少なくとも下端部4を残して上部ヒートシール部31及び側部ヒートシール部32,33が形成され、これにより下端部4において下端開口部40を有する袋状となっている。フェイスカバー1では、平面部10が正面、平面部12が背面となる。
図3に示すように、フェイスカバー1は、下端開口部40から被って頭部全体を覆うことができるようになっている。
【0018】
フェイスカバー1は、マチ部20を有するため、扁平状態では小さい面積であっても、広げた状態では十分に大きな容積を確保することができる。そのため、フェイスカバー1は、コンパクトでありながら頭部全体を覆うことが可能である。また、フェイスカバー1は、厚みがあって剛性が高い上部ヒートシール部31及び側部ヒートシール部32,33が支柱のような働きを果たし、広げた形状が保持されやすいため、頭部や顔面にまとわりつきにくく、着衣性に優れている。さらに、ヒートシールによって部材の接合するフェイスカバー1は、連続加工が可能であり大量生産も容易である。
【0019】
また、この例では一対の平面部10,12は上下方向に長い長方形状で、両方の側端部3の下側部分3bはヒートシールされていないため、フェイスカバー1を頭部に被った状態では、一対の平面部10,12の下側部分10b,12bが胸と背中に垂れ下がった状態になる。これにより、飛沫感染を防ぐ効果がより高くなる。また、一対の平面部10,12の胸と背中に垂れ下がる下側部分10b,12bを首元から服の中に入れることで、飛沫感染を防ぐ効果をさらに高めることもできる。またこれにより、特許文献1における、スペーサーから延びる締紐のようなものが無くても、固定ができる効果がある。
【0020】
フェイスカバー1の寸法は特に限定されず、適宜設定できる。例えば、一対の平面部10,12の上下方向の長さを370~660mm、幅を250~520mm、側部ヒートシール部32,33の上下方向の長さを200~410mmとし、半折したマチ部20の上下方向の長さを80~160mmとすることができる。このように使用者の顔の大きさに応じた寸法バリエーションを揃えることができる。
【0021】
この例では、一対の平面部10,12の両方が透明樹脂フィルムからなる。このように、フェイスカバー1では、顔正面に配置される平面部10と、背面に配置される平面部12の両方が透明樹脂フィルムで形成されている。なお、「透明」とは、フェイスカバーを被った状態で作業をすることに支障がない程度の状態であればよい。
透明樹脂フィルムのJIS T7361-1に準拠して測定されるヘイズは、好ましくは45%以下、より好ましくは20%以下である。透明樹脂フィルムのJIS T8147に準拠して測定される視感透過率は、好ましくは55%以上、より好ましくは85%以上である。透明度が高いほど作業性が良好になる。
【0022】
正面の平面部10が透明樹脂フィルムからなることで、外部の視認性を確保することができる。また、一対の平面部10,12の両方が透明樹脂フィルムからなることで、剛性が向上し、着衣性がより優れたものになる。なお、本発明のフェイスカバーは、一対の平面部の両方が透明樹脂フィルムからなる態様には限定されない。例えば、一対の平面部のうち、頭部に被ったときに正面に配置される平面部が透明樹脂フィルムからなり、背面に配置される平面部が通気材からなるフェイスカバーであってもよい。他には、正面に配置される平面部のうち目を覆う部分を透明樹脂フィルムとし、口を覆う部分などを通気材としてもよく、このような態様は熱がこもらない効果がある。
【0023】
透明樹脂フィルムを構成する樹脂としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレン(低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等)、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド等が挙げられる。なかでも、ヒートシール性に優れる点では、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)が好ましい。視認性に優れる点では、PP、PETが好ましい。透明樹脂フィルムを構成する樹脂は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。透明樹脂フィルムは、延伸フィルムであってもよく、未延伸フィルムであってもよい。また、透明樹脂フィルムは、単層構成であってもよく、複層構成であってもよい。
【0024】
複層構成の透明樹脂フィルムとしては、例えば、一般的な食品等向け包装袋に使用されるラミネートフィルムで、遮光性のないものを使用することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)(厚さ12μm)と二軸延伸ナイロンフィルム(ONY)(厚さ15μm)と低密度ポリエチレン(LDPE)(厚さ40μm)が接着層(DL)を介して積層されたラミネートフィルム(以下、このような積層構成を「PET/DL/ONY/DL/LDPE」と記し、他の積層構成も同様に記す。)が挙げられる。また、積層構成がPET(厚さ12μm)/DL/無延伸ポリプロピレン(CPP)(厚さ20μm)、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)(厚さ20μm)/DL/CPP(厚さ20μm)等であるラミネートフィルムであってもよい。
【0025】
フェイスカバーにおいて顔正面に配置される透明樹脂フィルムには、防曇素材を設けたり、防曇コートを施したりしてもよい。これにより、呼気に含まれる水分によってフェイスカバーの内面が曇ることを抑制しやすく、視認性を確保することが容易になる。
【0026】
透明樹脂フィルムの剛性は、樹脂の材質や複層構成の組合せに応じて適宜設定でき、厚みによって調節できる。透明樹脂フィルムの厚みは、16μm以上1500μm以下が好ましく、25μm以上500μm以下がより好ましく、40μm以上150μm以下がさらに好ましい。透明樹脂フィルムの厚みが前記範囲の下限値以上であれば、フェイスカバーを被った状態で呼吸の際にも鼻口部に吸い付きにくく、着衣性に優れる。透明樹脂フィルムの厚みが前記範囲の上限値以下であれば、フェイスカバーをしなやかに被ったり脱いだりすることができ、またフェイスカバーの鼻口部に対応する部分に折り癖をつけたり梁を設けたりしてフェイスカバーの貼り付きを抑制することが容易になる。したがって、特許文献1の額のスペーサーのようなものが不要となる。
単層構成の透明樹脂フィルムの場合は特に、最下限値の16μmを下回ると着衣性が損なわれやすい。また透明性とヒートシール性を両立させるためには複層構成の透明樹脂フィルムにすることが望ましく、この場合の総厚みは40μmから150μmが好ましい。
【0027】
マチ部20は、通気材からなる。「通気材」とは、フェイスカバーを被った状態で日常動作を行っても支障がない程度に通気性を有する基材であればよく、JIS L1913フラジール形法に従って測定される通気度が65~403.84cm3/cm2・sである基材が好ましい。マチ部20を通気材にすることで、頭部全体を覆っていても十分な通気性を確保することができる。
【0028】
通気材の具体例としては、例えば、不織布、織布(木綿やシルク、ポリエステル繊維など)、ガーゼ、全体に微小孔が形成された多孔質フィルムが挙げられる。なかでも、ヒートシール性と通気性の両方をバランスよく有している点から、不織布が好ましい。
不織布としては、特に限定されず、例えば、不織布マスクに用いられている不織布を使用することができる。具体例としては、PETスパンボンド、PEスパンボンド等が挙げられる。なお、不織布、織布、ガーゼ等のフィルム以外の通気材を用いる場合でも、ヒートシール時には、それらの通気材の繊維の間に、一対の平面部を構成する透明樹脂フィルムの溶融樹脂が含浸するため十分なヒートシール性が得られる。本発明の効果を損なわない範囲であれば、透明樹脂フィルムと通気材との接合に接着剤を使用してもよい。
【0029】
フェイスカバー1の製造方法は、特に限定されない。例えば、マチ部20を形成する通気材を半折し、一対の平面部10,12を形成する透明樹脂フィルムの間に配置し、ヒートシールによって上部ヒートシール部31及び両側の側部ヒートシール部32,33を形成することで、フェイスカバー1が得られる。
【0030】
具体的には、例えば厚さ12μmの二軸延伸ポリエステルフィルム[東洋紡株式会社製、商品名「E5102」]と厚さ15μmの二軸延伸ナイロンフィルム[ユニチカ株式会社製、商品名「エンブレム(登録商標)」]と厚さ40μmの直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルム[三井化学東セロ株式会社製、商品名「TUX(FCS)」]とのラミネートフィルムを透明樹脂フィルムとして正面及び背面に用い、これらの間に半折したスパンボンド不織布(ユニチカ株式会社製、商品名「エルベス(登録商標) S0503WDO」)を配置してマチ部とし、上部と側部をヒートシールすることで製造する。
【0031】
第1実施形態のフェイスカバーにおいては、一対の平面部の両方が透明樹脂フィルムからなり、マチ部が通気材からなる態様には限定されない。例えば、第1実施形態では、正面に配置される平面部及び天面に設けられたマチ部が樹脂フィルムからなり、背面に配置される平面部が通気材からなるフェイスカバーとしてもよい。また、顔正面に配置される平面部以外がすべて通気材からなるフェイスカバーとしてもよい。また図示しないが一般的な衛生マスクを着用した状態でフェイスカバーを被ってもよい。これにより感染防止効果の向上が期待できる。
【0032】
[第2実施形態]
本発明のフェイスカバーは、下端開口部に、下端開口部を開閉自在に閉じる開閉部材が設けられているものであってもよい。フェイスカバーを被った状態で開閉部材によって下端開口部を閉じることで、飛沫感染を防ぐ効果がさらに高くなる。開閉部材としては、フェイスカバーの下端開口部を開閉自在に閉じることができるものであればよく、例えば、ジッパー、スライダー付ジッパー、面ファスナー、ボタン等が挙げられる。
【0033】
具体的には、本発明のフェイスカバーは、
図4に例示したフェイスカバー5であってもよい。
図5における
図1と同じ部分には同符号を付して説明を省略する。
第2実施形態のフェイスカバー5は、一対の平面部10,12の代わりに正面視形状が矩形状の一対の平面部10A,12Aを備え、その両方の側端部3に上端から下端まで側部ヒートシール部32A,33Aが形成されている。フェイスカバー5では、一対の平面部10A,12Aの両方が透明樹脂フィルムからなり、マチ部20が通気材からなる。
【0034】
フェイスカバー5の一対の平面部10A,12Aの下端開口部40の内面には、下端開口部40を開閉自在に閉じるジッパー50が設けられている。また、フェイスカバー5の下端開口部40に、ジッパー50の長さ方向に沿ってスライドしてジッパー50を開閉するスライダー52がさらに設けられている。スライダー52は、一方の側部ヒートシール部32から他方の側部ヒートシール部33に向かう方向にスライドさせたときにジッパー50が閉じ、その逆方向にスライドさせたときにジッパー50が開くようになっている。
ジッパー50及びスライダー52の態様としては、特に限定されず、公知の態様を採用することができる。
【0035】
フェイスカバー5は、例えば、
図5に示すように、側部ヒートシール部32が顔正面に配置されるように被ることができる。一対の平面部10A,12Aの両方が透明樹脂フィルムからなるため、一対の平面部10A,12Aの側部ヒートシール部32側の部分から外部を視認することができる。また、マチ部20が通気材であることで十分な通気性も確保できる。フェイスカバー5は、フェイスカバー1と同様に、マチ部20を有するため、コンパクトでありながら頭部全体を覆うことが可能である。また、上部ヒートシール部31及び側部ヒートシール部32A,33Aによって広げた形状が保持されやすいため着衣性に優れ、大量生産も容易である。
【0036】
さらに、フェイスカバー5では、下端開口部40にジッパー50及びスライダー52が設けられているため、スライダー52によって顎の下でジッパー50を閉めることができる。これにより、フェイスカバー5を被った状態における開口部分を減少させることができるため、飛沫感染を防ぐ効果がより一層高くなる。
【0037】
フェイスカバー5の寸法は特に限定されず、適宜設定できる。例えば、一対の平面部10A,12Aの上下方向の長さを220~360mm、幅を250~520mm、側部ヒートシール部32,33の上下方向の長さを220~360mmとし、半折したマチ部20の上下方向の長さを80~160mmとすることができる。
【0038】
なお、第2実施形態のフェイスカバーにおいては、ジッパー及びスライダーの両方を設ける態様には限定されず、下端開口部の内面にジッパーのみを設け、スライダーは設けていないフェイスカバーであってもよい。
【0039】
[第3実施形態]
本発明のフェイスカバーは、天面にマチ部を有する態様には限定されず、側面にマチ部を有していてもよい。例えば、本発明のフェイスカバーは、
図6に例示したフェイスカバー6であってもよい。
図6における
図1と同じ部分には同符号を付して説明を省略する。
【0040】
第3実施形態のフェイスカバー6は、対向する一対の平面部14,16と、一対の平面部14,16の両方の側端から袋の内方に折り込まれる一対のマチ部22,24とを備えている。一対のマチ部22,24は、それぞれ折り線22a,24aにて半折され、互いの折り線22aと折り線24aが突き合わされて向かい合った状態で一対の平面部14,16の間に配置されている。
【0041】
フェイスカバー6の上端部2には、一対の平面部14,16及び一対のマチ部22,24における重なり合う上端部同士がヒートシールされた上部ヒートシール部34が形成されている。上部ヒートシール部34では、一方の平面部14の上端部と、半折されたマチ部22及びマチ部24の平面部14側の上端部とがヒートシールにより接合されている。また、他方の平面部16の上端部と、半折されたマチ部22及びマチ部24の平面部16側の上端部とがヒートシールにより接合されている。
【0042】
一対の平面部14,16の正面視形状は矩形状であり、一対の平面部14,16の両方の側端部3には上端から下端まで側部ヒートシール部35,36が形成されている。側部ヒートシール部35では、一方の平面部14の側端部と、半折されたマチ部22の平面部14側の側端部とがヒートシールにより接合されている。また、他方の平面部16の側端部と、半折されたマチ部22の平面部16側の側端部とがヒートシールにより接合されている。同様に、側部ヒートシール部36では、一方の平面部14の側端部と、半折されたマチ部24の平面部14側の側端部とがヒートシールにより接合されている。また、他方の平面部16の側端部と、半折されたマチ部24の平面部16側の側端部とがヒートシールにより接合されている。
【0043】
一対の平面部14,16のそれぞれには、上部ヒートシール部34と一方のマチ部22の折り線22aとの交点から、マチ部22側の側部ヒートシール部35に向けて斜めヒートシール部37が設けられている。また、一対の平面部14,16のそれぞれには、上部ヒートシール部34と他方のマチ部24の折り線24aとの交点から、マチ部24側の側部ヒートシール部36に向けて斜めヒートシール部38が設けられている。
【0044】
一対の平面部14,16及び一対のマチ部22,24の下端部4にはヒートシール部は形成されていない。このように、フェイスカバー6は、一対の平面部14,16及びマチ部22,24の重なり合う周端部において、下端部4を残して上部ヒートシール部34及び側部ヒートシール部35,36が形成されることで、下端開口部40を有する袋状となっている。フェイスカバー6では、平面部14が正面、平面部16が背面となる。
フェイスカバー6では、一対の平面部14,16の両方は透明樹脂フィルムからなり、一対のマチ部22,24の両方が通気材からなる。
【0045】
フェイスカバー6は、例えば、
図7に示すように、平面部14が顔正面に配置されるように被ることで、頭全体を覆うことができる。顔正面に配置される平面部14は透明樹脂フィルムからなるため、平面部14を通して外部を視認することができる。また、マチ部22,24が通気材であることで十分な通気性も確保できる。また、フェイスカバー6は、側面に配置されているマチ部22,24が通気材であるため、フェイスカバー6を被った状態の耳の位置は通気材であり、聴診器の使用などの医療行為や会話に支障が生じにくい点で特に有利である。
【0046】
また、フェイスカバー6は、フェイスカバー1と同様にマチ部22,24を有し、扁平状態では小さい面積でも広げた状態では十分に大きな容積を確保できるため、コンパクトでありながら頭部全体を覆うことが可能である。また、上部ヒートシール部34、側部ヒートシール部35,36及び斜めヒートシール部37,38が支柱としての役割を果たし、広げた形状が保持されやすく着衣性に優れるうえ、大量生産も容易である。
【0047】
フェイスカバー6の寸法は特に限定されず、適宜設定できる。例えば、一対の平面部14,16の上下方向の長さを370~560mm、幅を200~400mm、側部ヒートシール部35,36の上下方向の長さを210~360mmとし、半折したマチ部22,24の幅を80~190mmとすることができる。
【0048】
なお、第3実施形態では、顔正面に配置される平面部以外がすべて通気材からなるフェイスカバーとしてもよい。第3実施形態のフェイスカバーは、斜めヒートシール部が設けられていないものであってもよい。
【0049】
以上説明したように、本発明のフェイスカバーは、マチ部を有しているため広げた状態で十分な容積を確保でき、被ったときに頭全体をすっぽりと覆うことができ、飛沫感染の防護効果が高い。また、一対の平面部及びマチ部のうち、少なくとも顔正面に配置される部分は透明樹脂フィルムとなっているために外部の視認性に優れ、それ以外の部分が通気材からなるため、通気性も確保されている。また、通気材に比べて剛性が高い透明樹脂フィルムを有するうえ、一対の平面部とマチ部とを接合するヒートシール部が支柱として働くことで、広げた形状が保持されやすく、頭部にまとわりつきにくいため着衣性に優れている。さらに、本発明のフェイスカバーはヒートシールによって簡便に連続して製造できるため、大量生産も可能である。
【0050】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能であり、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1、5、6…フェイスカバー、2…上端部、3…側端部、4…下端部、10,10A,12,12A,14,16…平面部、20,22,24…マチ部、31,34…上部ヒートシール部、32,33,35,36…側部ヒートシール部、37,38…斜めヒートシール部、40…下端開口部、50…ジッパー、52…スライダー。