(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022127634
(43)【公開日】2022-08-31
(54)【発明の名称】マイクロ流体デバイス
(51)【国際特許分類】
G01F 1/684 20060101AFI20220824BHJP
G01N 37/00 20060101ALI20220824BHJP
B81B 1/00 20060101ALI20220824BHJP
【FI】
G01F1/684 B
G01N37/00 101
B81B1/00
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022077354
(22)【出願日】2022-05-10
(62)【分割の表示】P 2018089873の分割
【原出願日】2018-05-08
(71)【出願人】
【識別番号】000116633
【氏名又は名称】愛知時計電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】西田 将志
(72)【発明者】
【氏名】田中 善人
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 秀文
(57)【要約】
【課題】導入管及び導出管の挿入に際して、コツや技能を不要としつつ、挿入後、被計測流体の流れが良好な状態を保つことが可能となるマイクロ流体デバイスを提供する。
【解決手段】マイクロ流体デバイス100は、流路形成部120の流路121が形成された面上に、孔122aを囲むとともに流路121に連結する溝である、液だまり部121aを形成したものである。これにより、シリコンチューブ130を、切欠き部130bが流路121の方向と異なった方向を向いた状態で挿入して、先端部130aがシリコン基板110の表面に当接した状態になったとしても、被計測流体は、切欠き部130bから液だまり部121aに流れた後、当該液だまり部121aと連結する流路121に流れるので、被計測流体の流れの良好な状態は保たれる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面上にセンサが形成された基板と、
当該基板の表面に対向する面に、被計測流体が流れる流路となる溝が、少なくとも1本形成された流路形成部と、
前記被計測流体を前記流路に導入する、周壁に囲まれた中空部を有する導入管と、
当該被計測流体を前記流路から導出する、周壁に囲まれた中空部を有する導出管と、
を有し、
前記流路は、前記基板の表面に、前記流路形成部を、前記溝が形成された面を対向させて重ね合わせることによって形成され、
前記流路形成部には、前記流路の両端部に相当する位置にそれぞれ孔が形成され、
前記各孔にはそれぞれ、前記導入管及び前記導出管が各一端部を各先端部として当該各先端部側から挿入され、
前記導入管及び前記導出管にはそれぞれ、当該導入管及び当該導出管の前記各周壁の一部を当該導入管及び当該導出管の前記各先端部にかけて1箇所切り欠いて形成された切欠き部が設けられ、
前記流路形成部の前記基板の表面に対向する面には、前記各孔をそれぞれ囲むとともに、前記流路となる溝に連結する、液だまり部となる溝が形成されている
ことを特徴とするマイクロ流体デバイス。
【請求項2】
前記基板及び前記流路形成部の全体を覆う樹脂製のケースをさらに有し、
前記樹脂製のケースには、前記導入管及び前記導出管をそれぞれ挿通する孔が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ流体デバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、マイクロ流体デバイスに関する技術が種々提案されている。
【0003】
例えば、下記特許文献1の[背景技術]欄に記載されたマイクロ流体デバイスは、基板に1本のマイクロチャネルを形成し、このマイクロチャネルの両端にそれぞれ入出力ポートを形成し、上記基板の下面側に対面基板を接着して、当該対面基板により、入出力ポート及びマイクロチャネルの底部を封止したものである。
【0004】
そして、このマイクロ流体デバイスは、上記入出力ポートのいずれか一方又は両方に、チューブを接着剤で固着し、このチューブの他端に接続された液体の供給源から加圧ポンプにより液体を上記マイクロチャネル内に圧送するようにしている。
【0005】
上記マイクロ流体デバイスと同様に、マイクロチャネル(流路)内に液体(被計測流体)を流すものであるが、上記マイクロ流体デバイスとは構成を異にするマイクロ流体デバイスも、従来から知られている。
【0006】
図6は、このような従来のマイクロ流体デバイスの一例を示している。同図に示すマイクロ流体デバイス1000は、主として、流量センサ110aが形成されたシリコン基板110と、流路121を形成するための流路形成部120とによって構成されている。なお、流路形成部120は、例えば、PDMS(polydimethylsiloxane)やガラス等によって形成されている。
【0007】
流路121は、矩形状の溝を形成した流路形成部120をシリコン基板110の表面上に重ね合わせることにより、形成されている。そして、流路形成部120は、流路121の両端部に相当する位置にそれぞれ孔122a,122bを形成している。この孔122a,122bにはそれぞれ、シリコンチューブ200が挿入される。なお、シリコンチューブ200は、挿入後、接着剤Gによって固着される。
【0008】
2本のシリコンチューブ200はいずれも、被計測流体を流路121内に導入する導入管としての役割と、流路121から被計測流体を導出する導出管としての役割のいずれも果たしている。つまり、マイクロ流体デバイス1000は、被計測流体が流路121内を順逆両方向に流れても、その流量を測定可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、上記従来のマイクロ流体デバイス1000では、
図6の左側のシリコンチューブ200のように、シリコンチューブ200の挿入位置が深過ぎたため、シリコンチューブ200の先端部200aがシリコン基板110の表面に当接した状態になると、被計測流体の流れが非常に悪くなるという問題がある。
【0011】
もちろん、
図6の右側のシリコンチューブ200のように、シリコンチューブ200を、当該先端部200aとシリコン基板110の表面との間に隙間が空くように挿入すれば、被計測流体の流れが悪くなることはないが、シリコンチューブ200を挿入するためにコツや技能が必要になる。
【0012】
そこで、本発明は、以上のようなことに対処するため、導入管及び導出管の挿入に際して、コツや技能を不要としつつ、挿入後、被計測流体の流れが良好な状態を保つことが可能となるマイクロ流体デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この課題を解決するためになされた請求項1に係る発明は、表面上にセンサが形成された基板と、当該基板の表面に対向する面に、被計測流体が流れる流路となる溝が、少なくとも1本形成された流路形成部と、被計測流体を流路に導入する、周壁に囲まれた中空部を有する導入管と、当該被計測流体を流路から導出する、周壁に囲まれた中空部を有する導出管と、を有し、流路は、基板の表面に、流路形成部を、溝が形成された面を対向させて重ね合わせることによって形成され、流路形成部には、流路の両端部に相当する位置にそれぞれ孔が形成され、各孔にはそれぞれ、導入管及び導出管が各一端部を各先端部として当該各先端部側から挿入され、導入管及び導出管にはそれぞれ、当該導入管及び当該導出管の各周壁の一部を当該導入管及び当該導出管の各先端部にかけて1箇所切り欠いて形成された切欠き部が設けられ、流路形成部の基板の表面に対向する面には、各孔をそれぞれ囲むとともに、流路となる溝に連結する、液だまり部となる溝が形成されていることを特徴とする。
【0014】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のマイクロ流体デバイスであって、基板及び流路形成部の全体を覆う樹脂製のケースをさらに有し、樹脂製のケースには、導入管及び導出管をそれぞれ挿通する孔が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係るマイクロ流体デバイスによれば、導入管及び導出管はいずれも、その周壁の一部をその先端部にかけて1箇所切り欠いて形成した切欠き部を設けるようにしたので、当該切欠き部が流路の方向を向いた状態で導入管及び導出管を挿入すれば、導入管及び導出管の先端部が基板の表面に当接した状態になったとしても、被計測流体は、切欠き部から流路内に流れるため、流れの悪化は生じず、流れの良好な状態は保たれる。そして、導入管及び導出管を挿入する際に、切欠き部を流路に向けることだけ考慮すればよいので、つまり、挿入位置の深さを考慮する必要はないので、コツや技能は不要となる。
【0016】
請求項1に係るマイクロ流体デバイスによれば、流路形成部の基板の表面に対向する面には、各孔をそれぞれ囲むとともに、流路となる溝に連結する、液だまり部となる溝が形成されている。これにより、導入管及び導出管をその切欠き部が流路の方向と異なる方向を向いた状態で挿入し、その先端部が基板の表面に当接した状態になったとしても、被計測流体は、切欠き部から液だまり部に流れた後、当該液だまり部と連結する流路に流れるので、被計測流体の流れの良好な状態は保たれる。そして、導入管及び導出管を挿入する際に、切欠き部を流路に向けることすら考慮する必要がなくなり、しかも、挿入位置の深さを考慮する必要はないので、コツや技能は不要となる。
【0017】
請求項2に係るマイクロ流体デバイスによれば、基板及び流路形成部の全体が樹脂製のケースで覆われる。これにより、当該ケースの外側の周囲の温度が急激に変化したとしても、熱伝導性の低い樹脂製のケースにより、その内部には、当該温度変化は緩慢な状態で伝導するので、基板及び流路形成部の温度変化は、これに追随した緩慢な温度変化となる。したがって、センサとして、例えば、ヒータを用いて、被計測流体を加熱し、その温度
を熱感知素子によって測定し、その結果に基づいて当該被計測流体の流量を計測する、いわゆる熱線式流量センサを用いた場合には、温度補償による補正が正常に動作して、定温度差駆動しているヒータ温度及び熱感知素子の計測値の誤差が小さくなり、被計測流体の流量の計測精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係るマイクロ流体デバイスの概略構成を示す断面図である。
【
図2】
図1のマイクロ流体デバイスに挿入された左側のシリコンチューブ周辺の拡大断面図である。
【
図3】本発明の第1の実施の形態に係るマイクロ流体デバイスに挿入されるシリコンチューブ(a)及び本発明の第2の実施の形態に係るマイクロ流体デバイスに挿入されるシリコンチューブ(b)の各外観を示す斜視図である。
【
図4】本発明の第3の実施の形態に係るマイクロ流体デバイスに含まれる流路形成部の底面図(a)及び左側のシリコンチューブ周辺の断面図(b)である。
【
図5】本発明の第4の実施の形態に係るマイクロ流体デバイスの概略構成を示す断面図である。
【
図6】従来のマイクロ流体デバイスの概略構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の各実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0020】
[第1の実施の形態]
本発明の第1の実施の形態に係るマイクロ流体デバイスは、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)流量計であり、当該マイクロ流体デバイスに含まれる流量センサは、被計測流体が流れる流路内に設置され、被計測流体の流量を計測するものである。用途としては、医療薬品の流量管理や、生物化学試験の試薬・培養液の管理等が考えられる。
【0021】
本実施形態のマイクロ流体デバイス100は、
図1に示すように、上述した従来のマイクロ流体デバイス1000に対して、シリコンチューブ130の形状のみが異なっている。このため、以下の説明は、シリコンチューブ130を中心として行うことにする。なお、本実施形態のマイクロ流体デバイス100中、従来のマイクロ流体デバイス1000と同様の構成要素には、同一符号を付すことにする。
【0022】
図3(a)は、本実施形態のマイクロ流体デバイス100で用いるシリコンチューブ130の外観を示している。同図(a)に示すように、シリコンチューブ130は、当該周壁の一部を先端部130aにかけて1箇所切り欠いて形成した切欠き部130bを設けている。
【0023】
この切欠き部130bは、被計測流体を流すためのものである。つまり、シリコンチューブ130の挿入位置が深過ぎて、シリコンチューブ130の先端部130aがシリコン基板110の表面に当接した状態になっても、切欠き部130bが流路121の方向を向いていれば、被計測流体は、この切欠き部130bから流路121内に流れ込むので、被計測流体の流れは悪化しない。
【0024】
図1は、切欠き部130bが流路121の方向を向いた状態で、シリコンチューブ130の先端部130aをシリコン基板110の表面に当接させた状態を示している。そして、
図2は、左側のシリコンチューブ130近傍の部分拡大断面図である。
【0025】
図1では、被計測流体の導入側のシリコンチューブ130も、導出側のシリコンチュー
ブ130も、それぞれ、切欠き部130bが流路121の方向を向いた状態で、挿入されている。なお、上述した従来のマイクロ流体デバイス1000と同様に、本実施形態のマイクロ流体デバイス100も、被計測流体が流路121内を順逆両方向に流れても、その流量を測定可能に構成されているので、
図1において、左右いずれのシリコンチューブ130も、導入管としても導出管としても使用され得る。
【0026】
このように、本実施形態のマイクロ流体デバイス100では、シリコンチューブ130の周壁の一部を先端部130aにかけて1箇所切り欠いて形成した切欠き部130bを設けるようにしたので、当該切欠き部130bが流路121の方向を向いた状態でシリコンチューブ130を挿入すれば、シリコンチューブ130の先端部130aがシリコン基板110の表面に当接した状態になったとしても、被計測流体は、切欠き部130bから流路121に流れるため、流れの悪化は生じず、流れの良好な状態は保たれる。そして、シリコンチューブ130を挿入する際に、切欠き部130bを流路121に向けることだけ考慮すればよいので、つまり、挿入位置の深さを考慮する必要はないので、コツや技能は不要となる。
【0027】
[第2の実施の形態]
上述した第1実施形態では、切欠き部130bは、1本のシリコンチューブ130につき1箇所設けただけであるので、切欠き部130bが流路121の方向と異なる方向を向いた状態でシリコンチューブ130を挿入した場合には、被計測流体の流れの悪化は免れない。
【0028】
そこで、本実施の形態では、シリコンチューブ131として、
図3(b)に示すように、当該周壁の一部を先端部131aにかけて4箇所切り欠いて形成した4つの切欠き部131b~131eを設けたものを採用している。
【0029】
このシリコンチューブ131を被計測流体の導入管及び導出管として用いれば、切欠き部131b~131eを流路121の方向に向けながら挿入するという考慮すら不要になる。つまり、シリコンチューブ131を、切欠き部131b~131eの向く方向を考慮せずに挿入し、先端部131aがシリコン基板110の表面に当接した状態になったとしても、切欠き部131b~131eのいずれかが、流路121の方向を向くことになるので、被計測流体の流れの良好な状態は保たれる。そして、シリコンチューブ130を挿入する際に、切欠き部131b~131eの向く方向を考慮する必要がなくなり、しかも、挿入位置の深さも考慮する必要はないので、コツや技能は不要となる。
【0030】
なお、切欠き部の数は、4つに限らず、複数であれば、いくつであってもよい。
【0031】
[第3の実施の形態]
本実施形態の本実施形態のマイクロ流体デバイスは、上述した第1実施形態と同様のシリコンチューブ130、つまり、切欠き部130bを1箇所だけ設けたシリコンチューブ130を用いながら、上述した第2実施形態のように、シリコンチューブ130を、切欠き部130bが流路121の方向と異なる方向に向いた状態で挿入し、先端部130aがシリコン基板110の表面に当接した状態になったとしても、被計測流体の流れの良好な状態が保たれるようにしたものである。
【0032】
図4(a)は、シリコンチューブ130を流路形成部120の孔122aに挿入した状態で、流路形成部120をその底面、つまり、シリコン基板110の表面と対向する面から見た様子を示している。そして、
図4(b)は、
図4(a)の断面図である。
【0033】
本実施形態のマイクロ流体デバイス100は、
図4に示すように、流路形成部120の
流路121が形成された面上に、孔122aを囲むとともに流路121に連結する溝である、液だまり部121aを形成したものである。
【0034】
これにより、シリコンチューブ130を、切欠き部130bが流路121の方向と異なった方向を向いた状態で挿入して、先端部130aがシリコン基板110の表面に当接した状態になったとしても、被計測流体は、切欠き部130bから液だまり部121aに流れた後、当該液だまり部121aと連結する流路121に流れるので、被計測流体の流れの良好な状態は保たれる。
【0035】
なお、
図4では、孔122aを囲む液だまり部121aのみ図示されているが、孔122bを囲む液だまり部も、図示しないものの、同様に設けられている。
【0036】
[第4の実施の形態]
本実施形態のマイクロ流体デバイス10は、
図5に示すように、上記第1~第3実施形態のマイクロ流体デバイス100を樹脂製のケース300で覆った点が異なっている。
【0037】
ケース300は、本実施形態では、ケース本体301と、ケース蓋302とによって構成されている。そして、ケース蓋302には、シリコンチューブ130がそれぞれ挿通する孔302a,302bが形成されている。
【0038】
マイクロ流体デバイス本体100を構成する部材のうち、少なくとも、シリコン基板110は、熱伝導性の高いシリコン材によって形成されているので、周囲の温度環境の変化の影響を受け易い。このため、当該シリコン基板110上に形成された流量センサも、温度変化の影響を受ける。その結果、被計測流体の流量の計測誤差の要因となる。
【0039】
そこで、本実施形態のマイクロ流体デバイス10では、熱伝導性の低い樹脂製のケース300でマイクロ流体デバイス本体100全体を覆うことにより、マイクロ流体デバイス本体100が周囲の温度環境の変化の影響を受け難いようにしている。
【0040】
このようにして、本実施形態のマイクロ流体デバイス10によれば、周囲の温度が急激に変化したとしても、熱伝導性の低い樹脂製のケース300により、その内部には、当該温度変化は緩慢な状態で伝導するので、マイクロ流体デバイス本体100の温度変化も、これに追随した緩慢な温度変化となる。
【0041】
流量センサ110aとして、例えば、ヒータを用いて、被計測流体を加熱し、その温度を熱感知素子によって測定し、その結果に基づいて当該被計測流体の流量を計測する、いわゆる熱線式流量センサを用いた場合には、温度補償による補正が正常に動作して、定温度差駆動しているヒータ温度及び熱感知素子の計測値の誤差が小さくなり、被計測流体の流量の計測精度が向上する。
【0042】
ちなみに、上記第1~第4実施形態において、シリコン基板110は、「基板」の一例である。流量センサ110aは、「センサ」の一例である。シリコンチューブ130は、「導入管」及び「導出管」の一例である。
【0043】
なお、本発明は上記各実施形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0044】
(1)上記第1~第4実施形態では、シリコン基板110を用いたが、これに限らず、基板は、シリコン以外の半導体材料で形成してもよいし、半導体以外の材料、例えば、セラミックス、ガラス、プリント基板等で形成してもよい。
【0045】
(2)上記第1~第4実施形態では、流路121の断面の形状として、矩形状を用いたが、これに限らず、半円形状や円形状等、他の形状を用いてもよい。
【0046】
(3)上記第1~第4実施形態では、流路121は、1本のみ形成されているが、これに限らず、複数本形成されるようにしてもよい。
【0047】
(4)上記第1~第4実施形態では、被計測流体を流路121に導入及び導出する管として、シリコーン製のチューブを用いたが、他の材料の管を用いてもよい。他の材料としては、例えば、アクリル、PEEK(polyetheretherketone)、ポリウレタン等を挙げることができる。
【0048】
(5)上記第1、第3及び第4実施形態では、切欠き部130b、上記第2実施形態では、切欠き部131b~131eは、平面を用いて切り欠いたものを想定している。つまり、切欠き後の形状は、二次曲線状となるが、これに限らず、被計測流体が流路121にそれほど抵抗を受けずに流れるような形状であれば、どのような形状を採用してもよい。
【0049】
(6)流量センサ110aは、上記例示した熱線式流量センサに限らず、どのような方式で流量を計測するものであってもよい。また、上記第1~第4実施形態では、本発明を流量計に適用した例を挙げたが、本発明は、流量計以外の装置にも適用することができる。この場合には、流量センサ110aに代えて、他のセンサを用いるようにすればよい。
【0050】
(7)上記第4実施形態では、ケース300の材料は、樹脂とし、樹脂の種類を特定していない。どのような樹脂も用いることができるという趣旨であるが、例えば、塩化ビニル樹脂(0.16)、アクリル樹脂(0.21)、フッ素樹脂(0.24)等を挙げることができる。ただし、かっこ内の数値は、熱伝達率(W/m・K)を示している。
【符号の説明】
【0051】
10,100 マイクロ流体デバイス
110 シリコン基板
110a 流量センサ
120 流路形成部
121 流路
121a 液だまり部
122a,122b 孔
130,131 シリコンチューブ
130a,131a 先端部
130b,131b~131e 切欠き部
300 ケース
301 ケース本体
302 ケース蓋
302a,302b 孔