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特開2022-127648ペルチェコントローラの外的要因ノイズ排除方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022127648
(43)【公開日】2022-09-01
(54)【発明の名称】ペルチェコントローラの外的要因ノイズ排除方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 35/28 20060101AFI20220825BHJP
【FI】
H01L35/28 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021025755
(22)【出願日】2021-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】511017564
【氏名又は名称】TUI Solutions株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120916
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 壽見子
(72)【発明者】
【氏名】村岡仁之
(72)【発明者】
【氏名】塩瀬伸行
(57)【要約】
【課題】高精度な制御を実行中のペルチェ素子に対して外的要因ノイズによる影響を及ぼさないようにするため、ペルチェコントローラが供給電源を複数の電源系列に切り替えること。
【解決手段】ペルチェコントローラの機能は、ペルチェ素子2の駆動を制御することであるが、これに加え、ペルチェコントローラ1に電源切替機能も持たせる。すなわち、制御対象のペルチェ素子2が対象物6の測定等を行っているときは、外的要因ノイズの多い商用電源3からの電力供給を停止し、商用電源と絶縁された外的要因ノイズの少ないUPS装置や電池からの電力供給に切り替える。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペルチェ素子を駆動するペルチェコントローラであって、
ペルチェ素子に対する高精度な制御を行う際には、前記ペルチェ素子への供給電力を複数の電源系列から切り替える電源切替制御部を備えたことを特徴とするペルチェコントローラ。
【請求項2】
高精度な計測、測定を実行中のペルチェ素子に外的要因ノイズの影響を与えないようにする方法であって、
ペルチェコントローラが、
ペルチェ素子の駆動を制御するステップと、
外的要因ノイズの多い電源からの電力供給を停止し、外的要因ノイズの少ない電源からの電力供給に切り替えるステップとを
実行することを特徴とする複数の電源系列切替によるペルチェコントローラの外的要因ノイズ排除方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
高精度な制御を実行中のペルチェ素子に対して外的要因ノイズによる影響を及ぼさないようにするため、ペルチェコントローラが供給電源を複数の電源系列、すなわち商用電源、電池または蓄電装置に切り替える方法に関するものである。ここで、「外的要因ノイズ」とは、コントローラや電源の外部から侵入してくるノイズのことである。
【背景技術】
【0002】
ペルチェ素子の使用されている分野は、(a)簡単な保冷庫から、(b)半導体製造装置、(c)光通信用レーザーダイオードの精密温調、そして(d)半導体素子を始めとする各種デバイスの温度特性測定装置など多方面にわたる。いずれの分野でも、ペルチェ素子のコントロールは重要であるが、特に上記(b)~(d)の三分野ではペルチェ素子の安定したコントロールが極めて重要なな位置を占めている。
ペルチェコントローラの駆動方法には、現在大別すれば2種類あり、1つはPWM(Pulse Width Modulation)方式、もう一つはリニア方式である。「ペルチェコントローラ」には、ペルチェ素子を固定・設定した電気的条件で駆動するリニア方式の電源を含む駆動回路又は装置も含まれるが、装置に組み込まれた電源や外的要因ノイズの少ない電源を採用することで、ペルチェコントローラ自体には電源を含まない場合もある。このようなペルチェコントローラはシステムから供給される商用電源から直流に変換した直流電源、または商用電源を直流に変換するAC/DC電源を介して駆動制御部に給電されることになる。
ペルチェコントローラに電源が含まれているか否かに関わらず、リニア方式は、PWM方式に比べてエネルギー効率が悪く、制御サイクルも遅いものが多い。にもかかわらず、厳密な測定等のノイズを嫌う用途では依然としてPWM方式よりもリニア方式が選ばれているのが現状である。理由は、リニア方式で駆動されている配線を含むペルチェ素子から発生するノイズが、交流電気信号で駆動するPWM方式に比べて圧倒的に小さいからである。
しかし、リニア方式でさえ、商用電源または非安定化電源部からの給電を原因とするノイズの影響を完全に免れることができない。
なぜなら、商用電源は交流であり、電圧が変動しやすい。また、商用電源にはたいてい複数の電気機器が接続しており、これらの機器で発生するノイズが他の機器に及ぶ可能性が高い。さらに、非安定化電源部および安定化電源で、この商用電源の交流成分を直流に変換し、ペルチェ素子に供給する過程で、外部電源由来の外的要因ノイズも含め様々なノイズが発生する。ペルチェ素子自体は絶縁体で外界とは電気的に絶縁されているとはいえ、発生したノイズはペルチェ素子の近傍に接する外部の機器(例えば、測定対象物と接続するセンサー)やペルチェコントローラが電気的に接続している機器等へ影響を及ぼしてしまう。
このさまざまなノイズは、分光装置を含む精密または通信分野を含む高感度な計測、測定システムにおいて、温度管理にペルチェ素子を使用した場合、計測や測定に重大な影響を引き起こすおそれがある。
また一方、PWM方式も、リニア方式も、制御部にCPU(Central Processing Unit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field-programmable gate array)または通信を介してAI(artificial intelligence)制御していても、それらの演算部位やADC(Analog-to-Digital Converter)、DAC(Digital-to-Analog Converter)部に対し外的要因ノイズが大きく影響して、期待する安定制御ができない場合がある。そのうえ、システム構成上外的要因ノイズが不定期に発生したり、排除しにくかったりする場合もある。
【0003】
そのため、現在出回っている製品は、電源の改良、コントローラと電源間あるいは/およびコントローラとペルチェ素子間のフィルタ等のノイズ対策がとられている。
特許文献1には、フィルタによってノイズを除去しようとする「ペルチェ駆動回路」に関する発明が開示されている。しかし、これはそもそも駆動周波数やパルスのスリューレートに起因する駆動方式そのものが生み出す宿命とも言える駆動ノイズに対する部分が大きいのであって、リニア方式のように根本的にノイズが少ない製品をさらに厳しくノイズ対策するために発明されたものではない。また、制御駆動回路そのものに対する不安定を引き起こす外的要因ノイズを排除しようとするものではない。さらに、外的要因ノイズの発生元が特定できなかったり、制御しきれなかったりする環境に対応するために発明されたものでもない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-40687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された発明は、PWM信号平滑用フィルタとペルチェ素子との間にコモンモードフィルタを挿入したことを特徴とするのであるが、完全にノイズを除去することは困難である。
なぜなら、PWM方式そのものが放つ高調波も含めた駆動ノイズは、決して無くならないからである。これは現在もリニア方式が採用される由縁でもある。
また、このノイズ除去方式をリニア方式のペルチェコントローラへ導入しても、商用電源から電力の供給を受ける以上、商用電源のコンセント等から侵入する様々な外的要因ノイズを完全には排除できないのである。
一方、駆動ノイズがPWM方式に比較して少ないリニア方式ではあるが、その駆動方法はオーディオのA級アンプのそれと酷似しており、外的要因ノイズの成分を増幅し、また、そのノイズに対してフィルタを施工しても、そのフィルタ自体からもノイズが発生しうるので、外的要因ノイズに対する対策にはなり得ない。
さらに、どのようなペルチェコントローラであっても、その演算部やセンサ、ADC、DAC、駆動回路等に影響を及ぼすような、外的要因ノイズを完全に排除することはできないのである。
それならば、商用電源(交流)を使わず、電池を含む蓄電装置(直流発生装置を含む)のみを使用し、必要に応じて接地点(GND)さえも変更することが外的要因ノイズ対策として有効と考えられる。ここで、接地点の変更とは、最も外的要因ノイズの少ない接地点への接続変更を行うことを意味する。
【0006】
ところで、ペルチェ素子への外的要因ノイズの流入を抑えなくてはならない場合は、主として測定(高精度な制御を伴う場合も含む。以下の説明の中で単に「測定」ということもある。)中である。図3のように、ペルチェ素子による測定は、温度が所定の値に安定的に保たれた状態のときに限られる。つまり、図3の(S)の状態である。この状態に限れば、状態(U)(ペルチェ素子による加熱や冷却等を含む状態)では、外的要因ノイズが発生してもペルチェ素子のシステムに悪影響は及ぶことがなく、状態(S)のときのみ外的要因ノイズを遮断すればよいのである。
一方、非定常状態つまり図4の(U)の状態においても、勾配についてペルチェ素子による測定が必要とされる場合がある。例えば、氷等結晶生成の観察等であって、外的要因ノイズを除去しなければ良い観察や実験ができない。この場合は、定常状態(S)では外的要因ノイズを許容するが、状態(U)において温度変化を一定の勾配で行う試験等ではその勾配を導き出す制御において外的要因ノイズは問題になる。
さらに、ペルチェ素子を用いる試験としては、図5に例示するように、上り、下り、平常状態の3フェーズから成り立つサイクル試験等がある。このような試験では図5の様に各フェーズが連結して滑らかな波形を呈するのであれば、各サイクルが綺麗な均一なサイクルとなって、実験系の信頼度に貢献する。
このように考え、本発明は、ペルチェ素子が対象物を測定している間あるいは外的要因ノイズを排除する必要がある場合は、外的要因ノイズの多い商用電源からの電力供給を受けないようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、請求項1に係る発明は、
ペルチェ素子を駆動するペルチェコントローラであって、
ペルチェ素子に対する高精度な制御を行う際には、前記ペルチェ素子への供給電力を複数の電源系列から切り替える電源切替制御部を備えたことを特徴とする。
ここで、「複数の電源」とは、商用電源および1個以上の電池を含む直流蓄電放電装置(以下、「1個以上の電池等」という)のことである。直流蓄電放電装置には、商用電源と絶縁された直流発生装置も含まれる。
これにより、ペルチェ素子による対象物の測定中は、交流成分を含まずノイズが圧倒的に少ない電池からの電力供給を受けられるので、外的要因ノイズの影響を回避して精密な測定、システムの維持が実現できる。
【0008】
上記の目的を達成するために、請求項2に係る発明は、
高精度な計測、測定を実行中のペルチェ素子(本発明にいう「ペルチェ素子」には、狭義のペルチェ素子に対する制御駆動系も含まれる)に外的要因ノイズの影響を与えないようにする方法であって、
ペルチェコントローラが、
ペルチェ素子の駆動を制御するステップと、
外的要因ノイズの多い電源(専ら商用電源)からの電力供給を停止し、外的要因ノイズの少ない電源(専ら2次電池であるが、1次電池でもよい)からの電力供給に切り替えるステップとを実行することを特徴とする。
つまり、ペルチェ素子の駆動制御回路、またはペルチェ素子を搭載した機器への供給電源を交流の商用電源等から直流の電源(一次電池、二次電池、あるいはコンデンサを含む直流蓄電放電装置、直流発生装置など)に切り替えることを特徴とする方法である。電源の切替には、複数の直流電源を充放電させながら切り替える場合も含む。
上記の切り替えステップにおいて、ペルチェ素子と接続している測定器との通信を行うことが可能となるのは言うまでもない。これにより、ペルチェ素子が高い精度を要求される測定をしているときは、外的要因ノイズをほとんど含まない電力を1個以上の電池等から供給し、測定していないときは、電池を商用電源で充電することによって、効率的かつ安定的かつ正確な計測・測定あるいは駆動制御が可能となるのである。
なお、本発明のペルチェ素子へのノイズ制御方法は従来にない新規な方法であって、発明者はこれを「自閉静給電制御」方法と名付けている。外界からの給電を行わず内部内蔵の電源を利用するので「自閉」であり、よって外的要因ノイズは「静」かであり、このような特徴を備えた「給電」方式を「制御」する方法だからである。
【発明の効果】
【0009】
ペルチェ素子が対象物を測定しているときをはじめ、外的要因ノイズが存在してはならない時間だけ交流電源を介在させず、1個以上の電池等による駆動を可能にする。
これにより、商用電源からくる外的要因ノイズを遮断でき、ペルチェ素子を利用する計測システム、精密分光システム等の品質向上に貢献する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施形態の機能ブロック図である。
図2】第2の実施形態の機能ブロック図である。
図3】ペルチェ素子の稼動状態を説明する図である。
図4】ペルチェ素子の稼動状態を説明する図である。
図5】ペルチェ素子の稼動状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1を参照しながら、本発明の第1の実施形態のペルチェコントローラ1について説明する。
【0012】
ペルチェコントローラ1は、ペルチェ素子駆動部1aと、電源切替制御部1bを備える。
ペルチェ素子駆動部1aは、ペルチェ素子2に電力を供給し駆動させる機能を有し、電源切替制御部1bは、ペルチェ素子駆動部1aからペルチェ素子2の状態(測定中か否か)を取得して、電源を商用電源3あるいは電力供給部4のいずれから取得するかを制御する。ペルチェ素子2の状態は、計測器7およびその周辺機器からなる測定システムと連携して取得すればよい。図1の計測器7は、ペルチェ素子2が必要とされる温度の状態になったこと等をペルチェコントローラ1側から伝えられる機能、およびペルチェコントローラ1に対してペルチェ素子2の状態に応じた電源の切り替えを指示する機能を備えている。計測器7側から、電源切替の指示を受けるとペルチェコントローラ1は電源を切り替えて、切り替わったことを計測器7側に伝える。
【0013】
ペルチェ素子2が対象物6の精密な測定を実行していない状態であったり、外的要因ノイズの排除を要しない状態にあったりするならば、外的要因ノイズが含まれていても問題はない。これは、例えばペルチェ素子2が待機状態や加熱・冷却状態などにある場合である。このような場合は、商用電源3から取得した電力は、電力供給部4とペルチェ素子駆動部1aを介してペルチェ素子2に給電される。
電力供給部4は、直流の電気を出力するUPS装置(Uninterruptible Power Supply、無停電電源装置)4aあるいは電池4bである。UPS装置4aは電池4bを内蔵していることもある。電池4bは、1個以上の2次電池であるが、1次電池でもかまわない。いずれも直流の電力を供給するので、商用電源からの電力に比べて外的要因ノイズの発生が圧倒的に少ないからである。2次電池には、充放電を繰り返して何度でも使用可能な電池およびコンデンサに類するものは全部含まれる。
なお、電力供給部4には、UPS装置4aも電池4bも1個以上の任意個数含まれうる。
【0014】
ペルチェ素子2が、対象物6の測定等の高精度な制御を開始するときは、計測器7側から電池等への電源切替が指示されるので、電源切替制御部1bは、断線回路5に対して、商用電源3からの給電を停止するように指示する。この指示は、有線によって直接行っても、無線通信によって間接的に行ってもよい。断線回路5によって商用電源3からの給電が停止されると、電力供給部4の制御部(図示せず)は給電停止を検知して、UPS装置4aあるいは電池4bからの電力をペルチェ素子駆動部1aを介してペルチェ素子2に供給させる。
【0015】
このようにして対象物6を測定中のペルチェ素子2は、外的要因ノイズをほぼ含んでいない電力の供給が受けられるのである。断線回路5によって商用電源3からの給電を遮断する、つまり禍(外的要因ノイズ)を元から断つわけである。そのため、ノイズを除去したり減少させたりするためのフィルタを設けたり、既存の回路を変更したり、電源を改良したりといった手間のかかる対応策は不用または限定的なもので良いことになる。ただし、外的要因ノイズ以外のノイズ、すなわち本体から発生する何らかのノイズに対する対策は必要となりうるが、これは本発明にとって本質的ではないので、説明を省略する。
この電源切替の制御を、ペルチェ素子2の駆動を制御するペルチェコントローラ1に担当させるところに本発明の特徴がある。ペルチェ素子2への外的要因ノイズの流入が厳禁か否かを判断できるのは、ペルチェ素子2の状態を捕捉できる計測器7と接続しているペルチェコントローラ1である。そのペルチェコントローラ1が、外的要因ノイズを遮断すべきと判断したときに、ペルチェコントローラ1自体が電源切替を行うのである。
【0016】
本実施形態では、外的要因ノイズ対策のために、既存のペルチェコントローラに電源切替機能を追加し、1個以上の電池等(UPS装置4aまたは/および電池4bを含む)を電力供給源として追加するだけでよい。つまり、既存のペルチェコントローラを本実施形態のペルチェコントローラ1に交換するならば、ペルチェ素子2とその周辺の回路の変更は必要ない。すなわち、現行すでに稼動している装置の品質向上も実現しうる。いわゆるレトロフィット可能なのである。
【0017】
次に、図2を参照しながら、第2の実施形態について説明する。
第1の実施形態では、ペルチェコントローラ1の電源切替制御部1bは、商用電源3からの供給あるいは供給遮断を断線回路5への信号送出によって直接制御していた。
これに対し、第2の実施形態では、ペルチェコントローラ10はホットスワップ回路11への指示信号を送信することにより間接的に電源を切り替えるのである。ペルチェコントローラ10の電源切替制御部10bは、ホットスワップ回路11の制御部11aに電源切替を指示する。
【0018】
商用電源3から得た電力はAC/DC変換器12によって直流に変換される。
直流に変換された電力は、2次電池14の充電器13にも供給され、1台以上の2次電池14を充電する。ホットスワップ回路11の制御部11aの指示に従い、電源切替部11bは交流から変換された直流の電力と、2次電池14からの電力のいずれかをペルチェコントローラ10のペルチェ素子駆動部10aを介してペルチェ素子2に供給する。
【0019】
図2の破線の矩形で囲んだ部分は、図1の電源供給部4と近似しているので、この実施形態は第1の実施形態と本質的な相異はないと考えることができる。
ただし、第2の実施形態では、2次電池14を複数個備えておくならば、ペルチェ素子2を駆動しながら充電することができる。これによって、2次電池14からペルチェ素子へ継続的に給電でき、電源切替時間をほぼゼロにすることができる。これに対し、第1の実施形態では、電力供給部4が商用電源3からの電力が遮断されていると判定した場合に、電源を切り替えるので、電源切替に要する時間が若干生じてしまう。
なお、本出願時(2021年)現在、電気自動車等で様々な蓄電装置が著しい速さで、進化している。例えば全固体電池、リチウム系キャパシタ等、電池、コンデンサ、を含む直流を溜め込むことのできるデバイスが大きく進化しているので、それらの優れた蓄電池をホットスワップして切り替えて使用することが考えられる。
【0020】
本発明者は、既存のペルチェ素子を使用した諸製品を見てきた。が、他社製品のいずれのペルチェコントローラも、ペルチェ素子を制御する機能は持っているが、ペルチェ素子の供給電源を切り替えて外的要因ノイズ対策をする機能は見当たらなかった。ノイズ対策としては、いずれの製品もAC/DC変換の過程で生じる電磁波ノイズをカットしようとするものであった。これに対し本発明は、ペルチェコントローラが外的要因ノイズをほとんど含まない直流信号を、駆動電圧としてペルチェ素子に供給するのである。つまり、ペルチェコントローラがペルチェ素子の駆動を制御するだけでなく、供給電源も制御するのである。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明は、対象物を測定中のペルチェ素子に対して、電池から電力を供給できるので、精密であることが要求される計測器や分光装置などへの適用が期待できる。
【符号の説明】
【0022】
1: ペルチェコントローラ
1a:ペルチェ素子駆動部
1b:電源切替制御部
2: ペルチェ素子
3: 商用電源
4:電力供給部
4a:UPS装置
4b:電池(1次・2次電池)
6:対象物
7:計測器
10:ペルチェコントローラ
10a:ペルチェ素子駆動部
10b:電源切替制御部
11:ホットスワップ回路
11a:制御部
11b:電源切替部
14:2次電池
図1
図2
図3
図4
図5