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特開2022-127651折り畳み車両の車体構造、駆動装置および折り畳み車両
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022127651
(43)【公開日】2022-09-01
(54)【発明の名称】折り畳み車両の車体構造、駆動装置および折り畳み車両
(51)【国際特許分類】
   B62K 15/00 20060101AFI20220825BHJP
【FI】
B62K15/00
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021025761
(22)【出願日】2021-02-20
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】510013079
【氏名又は名称】株式会社ワイディーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100194249
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】吉松 晴雄
【テーマコード(参考)】
3D212
【Fターム(参考)】
3D212BA02
3D212BA04
3D212BA07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】車両の折り畳み動作をスムーズに行え、車両の高さを略維持した折り畳み姿勢が得られる折り畳み車両を提供する。
【解決手段】折り畳み車両1はメインフレーム10の前フレーム部12と後フレーム部13を逆V字形状に折れ曲がるようにヒンジ部11を介して連結し、電動アクチュエータ74の駆動で前フレーム部12と後フレーム部13を相対的に回動させてヒンジ部11を上下方向に移動させる。メインフレーム10の折り畳み動作に従って後輪2を接地面GLから浮かした状態で車両スタンド60の接地部位をずらし、車両スタンド60を基点とした折り畳み動作を行う。メインフレーム10の折り畳み動作に従って、第1リンク部31はハンドル20を後方に向けてシート40の高さに傾倒させ、第2リンク部50はシート40の高さを略維持する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り畳み前の状態から折り畳み終了状態まで折り畳み可能な折り畳み車両のフレーム構造であって、
前端部に前輪を操作するハンドルポストを軸支する前フレーム部と後端部に後輪を支持する後フレーム部とにより2分割され、前記前輪と前記後輪との間に配置されたメインフレームと、
前記前フレーム部の後端部と前記後フレーム部の前端部とを連結し、左右方向に延びるヒンジ軸を支点として前記前フレーム部と前記後フレーム部とを前後方向に直列に連結する折り畳み前の第1状態と逆V字形状に折れ曲がる第2状態との間を相対移動可能とするヒンジ部とを有し、
前記ヒンジ部は、前後方向に沿った軸線と直交する左右方向の軸線に対して前記ヒンジ軸の軸線を傾斜させ、前記第1状態から前記第2状態に前記前フレーム部と前記後フレーム部が相対移動する際に、左右方向において前記前フレーム部と前記後フレーム部に位置ずれを生じさせるヒンジ部と、
を有する折り畳み車両の車体構造。
【請求項2】
請求項1に記載の折り畳み車両の車体構造において、
前記後フレーム部は、前記前フレーム部の後端部に前記ヒンジ部を介して連結される後フレーム本体部と、前記後フレーム本体部に接続され、前記後輪を支持する後輪支持フレーム部と、
を有することを特徴とする折り畳み車両の車体構造。
【請求項3】
請求項2に記載の折り畳み車両の車体構造において、
前記後輪支持フレーム部は、前記後フレーム本体部に対して左右方向に延びるピボット軸を介して回動自在に連結され、前記後フレーム本体部の後部と前記後輪支持フレーム部との間に衝撃吸収用のサスペンションを設けたことを特徴とする折り畳み車両の車体構造。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の折り畳み車両の車体構造において、
前記後輪を接地面から浮かせた状態で折り畳み車両を自立可能に保持する下げ位置と走行可能な状態の上げ位置との間を前記後フレーム部に設けた回動支点部を中心として回動可能な車両スタンドを有し、
前記車両スタンドは、前記折り畳み動作の開始から折り畳み動作の終了までの動作に従って前記回動支点部を中心として前記後フレーム部と一体に回動する回動レバーと、前記回動レバーの先端部に設けられ、前記下げ位置で接地面と接する前記回動レバーと一体に回動する接地部と、前記接地部の後端部に設けた回転自在の小径車輪と、を有し、
前記接地部は、前記下げ位置において、接地領域が先端側から前記小径車輪の手前側までに設定され、前記小径車輪が接地面から浮いた位置に設けられていることを特徴とする折り畳み車両の車体構造。
【請求項5】
請求項4に記載の折り畳み車両の車体構造において、
前記接地部は、接地領域が外面側に向けて凸に湾曲した湾曲面に形成されていることを特徴とする折り畳み車両の車体構造。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の折り畳み車両の車体構造において、
後方に向けて上部が傾倒可能な前記ハンドルポストを前記メインフレームの折れ曲げ動作に連動して傾倒動作させる第1リンク部と、
前記メインフレームの折れ曲げ動作に連動してシートを略同じ高さに保持する第2リンク部と、
を有することを特徴とする折り畳み車両の車体構造。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の折り畳み車両の車両フレーム構造において、
前記前フレーム部と前記後フレーム部とを折り畳み前の連結状態を保持するロック位置と、前記前フレーム部と前記後フレーム部とを逆V字形状に折り曲げ可能とするロック解除位置との間をロック部材が移動可能なロック部を有することを特徴とする折り畳み車両の車体構造。
【請求項8】
請求項7に記載の折り畳み車両の車体構造において、
前記車両スタンドの上げ下げ動作により前記ロック部を駆動する駆動力伝達部を有し、前記駆動力伝達部は前記車両スタンドの上げ動作で前記ロック部材を前記ロック位置に移動し、前記車両スタンドの下げ動作で前記ロック部材を前記ロック解除位置に移動させることを特徴とする折り畳み車両の車体構造。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載の折り畳み車両の車体構造における前記メインフレームの前フレーム部と後フレーム部とを折り曲げ動作させる駆動装置であって、
電動駆動源により駆動される駆動部と、前記電動駆動源の電源電池と、前記駆動部の駆動力が作用する駆動力作用部と、前記駆動部と前記駆動力作用部との間に設けられ、前記前フレーム部と前記後フレーム部とが前記第1状態と前記第2状態との間を移動する際に、前記前フレーム部と前記後フレーム部との間に生じる前記位置ずれを吸収する位置ずれ吸収部と、
を有し、
前記前フレーム部または前記後フレーム部のいずれか一方に前記駆動部を設け、前記前フレーム部または前記後フレーム部のいずれか他方に前記駆動力作用部を設けた駆動装置。
【請求項10】
請求項9に記載の駆動装置において、
前記電動駆動部は、電動モータにより移動体を直進駆動する電動アクチュエータで構成し、前記位置ずれ吸収部は、前記電動アクチュエータの移動体の先端部に設けた自在継ぎ手で構成し、前記自在継ぎ手を介して前記移動体と前記駆動力作用部を接続することを特徴とする駆動装置。
【請求項11】
請求項1から8のいずれかに記載の折り畳み車両の車体構造を前輪と後輪を有する2輪車に適用した折り畳み車両であって、
駆動方式としてペダルの踏み込み操作を駆動動力とする自転車、前記自転車の駆動動力を補助する補助電動駆動システムを搭載した電動アシスト自転車、電動モータを駆動動力として走行する電動車両、またはこれら3種の駆動方式を切り替え可能に備えた車両のいずれかである折り畳み車両。
【請求項12】
請求項1から8のいずれかに記載の折り畳み車両の車体構造に、請求項9または10に記載の駆動装置を設けた前輪と後輪を有する2輪車に適用した車両であって、
駆動方式としてペダルの踏み込み操作を駆動動力とする自転車、前記自転車の駆動動力を補助する補助電動駆動システムを搭載した電動アシスト自転車、電動モータを駆動動力として走行する電動車両、またはこれら3種の駆動方式を切り替え可能に備えた車両のいずれかである折り畳み車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車、電動アシスト自転車、電動スクータ等の車両、または電動スクータに電動アシスト機能とペダルを漕いで走行できる機能を備えた車両において、車体フレームを折り畳む技術に関する。
【背景技術】
【0002】
自転車、電動スクータ等の車両において、車体フレームを折り畳み可能とし、走行した後に例えば建物、自動車内への格納を容易とした折り畳み式の車両が種々提案されている。
【0003】
車体フレームの折り畳み構造としては、例えば前輪と後輪を取り付けたメインフレームを車体フレームの前後方向で前フレーム部と後フレーム部に分割し、前フレーム部の後端と後フレーム部の前端とを幅方向に延びる連結軸で連結した構成が提案されている(特許文献1)。
【0004】
特許文献1に開示の車体フレームの折り畳み構造は、自転車の前フレーム部と後フレーム部とを連結軸を頂点として逆V字形状に折り畳み、前輪と後輪との前後方向の距離を縮める方式としている。この車体フレームの折り畳み構造を備えた自転車の折り畳み駆動機構は、前フレーム部の後端部に設けた固定ギヤと後フレーム部の先端部に設けた駆動ギヤで構成し、駆動ギヤと固定ギヤとが噛み合って前フレーム部と後フレーム部とを連結軸を中心に相対的に傾動させるギヤ駆動部を有する。そして、前フレーム部と後フレーム部とを一体的に固定するロック手段を解錠した状態で自転車を手押しで後進させると、後輪に加わる後進回転力がチェーン伝達機構を介してギヤ駆動部に伝達され、前フレーム部と後フレーム部とがヒンジ軸を支点として逆V字形状に折れ曲げられる。
【0005】
折り畳みの途中から終期に向かうにしたがって、車体フレームを構成するハンドルを支持するハンドルポストとサドルを支持するサドルポストが前方に向けて大きく傾けられて自転車の高さが低くなる。最終的な折り畳み姿は、前輪と後輪が左右方向で重なった状態となる。また、ハンドルポストは手動操作で途中に設けたヒンジを介して折り畳まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006-232276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した従来の折り畳み式の車両において、メインフレームの前フレーム部と後フレーム部とを逆V字形状に回動させると、前輪と後輪は前後方向において同一軸線上を互いに近づきながら移動し、前輪と後輪が衝突する。さらに前フレーム部と後フレーム部とが回動すると、前輪は後輪と擦れ合って移動して前輪と後輪が左右方向で重なる。このため、前輪と後輪が傷つくおそれがあり、特にハンドルを持って車両を後進させると前輪の自由な旋回が阻害されてスムーズな折り畳み動作ができない。また、折り畳み動作の途中からハンドルが下方に大きく下がるため、操作者に窮屈な姿勢を強いることになる。
【0008】
また、前輪と後輪が左右方向で重なった最終の折り畳み姿勢は高さが低いため、折り畳み操作を行った操作者が普通に立った姿勢で引っ張りあるいは押して移動させるのには適していない。このため、操作者は折り畳まれた車両を手で持ち上げて移動することになり、移動操作性が悪い。
【0009】
一方、折り畳み駆動機構は、車両を手押しで後進させて発生した後輪の回転力を利用している。このため、操作者は常に車両に手を添えていなければならず、操作者が車両に手を添えることなく自動的に折り畳みできることが望まれる。また、後輪の後進力はチェーン伝達機構を介してギヤ駆動部に伝達されるため、駆動系が複雑化する。
【0010】
本発明の目的は、車両の折り畳み動作をスムーズに行え、車両の高さを略維持した折り畳み姿勢が得られ、また簡素化した駆動機構で折り畳み動作の自動化が図れる折り畳み車両の車体構造、駆動装置、折り畳み車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的を達成する第1の発明の構成は、折り畳み前の状態から折り畳み終了状態まで折り畳み可能な折り畳み車両のフレーム構造であって、前端部に前輪を操作するハンドルポストを軸支する前フレーム部と後端部に後輪を支持する後フレーム部とにより2分割され、前記前輪と前記後輪との間に配置されたメインフレームと、前記前フレーム部の後端部と前記後フレーム部の前端部とを連結し、左右方向に延びるヒンジ軸を支点として前記前フレーム部と前記後フレーム部とを前後方向に直列に連結する折り畳み前の第1状態と逆V字形状に折れ曲がる第2状態との間を相対移動可能とするヒンジ部とを有し、前記ヒンジ部は、前後方向に沿った軸線と直交する左右方向の軸線に対して前記ヒンジ軸の軸線を傾斜させ、前記第1状態から前記第2状態に前記前フレーム部と前記後フレーム部が相対移動する際に、左右方向において前記前フレーム部と前記後フレーム部に位置ずれを生じさせるヒンジ部と、を有する。
【0012】
本発明の目的を達成する第2の発明の構成は、上記第1の発明の折り畳み車両の車体構造の構成において、前記後フレーム部は、前記前フレーム部の後端部に前記ヒンジ部を介して連結される後フレーム本体部と、前記後フレーム本体部に接続され、前記後輪を支持する後輪支持フレーム部と、を有する。
【0013】
本発明の目的を達成する第3の発明の構成は、上記第3の発明の折り畳み車両の車体構造の構成において、前記後輪支持フレーム部は、前記後フレーム本体部に対して左右方向に延びるピボット軸を介して回動自在に連結され、前記後フレーム本体部の後部と前記後輪支持フレーム部との間に衝撃吸収用のサスペンションを設けることができる。
【0014】
本発明の目的を達成する第4の発明の構成は、上記第1から第3のいずれかの発明の折り畳み車両の車体構造の構成において、前記後輪を接地面から浮かせた状態で折り畳み車両を自立可能に保持する下げ位置と走行可能な状態の上げ位置との間を前記後フレーム部に設けた回動支点部を中心として回動可能な車両スタンドを有し、前記車両スタンドは、前記折り畳み動作の開始から折り畳み動作の終了までの動作に従って前記回動支点部を中心として前記後フレーム部と一体に回動する回動レバーと、前記回動レバーの先端部に設けられ、前記下げ位置で接地面と接する前記回動レバーと一体に回動する接地部と、前記接地部の後端部に設けた回転自在の小径車輪と、を有し、前記接地部は、前記下げ位置において、接地領域が先端側から前記小径車輪の手前側までに設定され、前記小径車輪が接地面から浮いた位置に設けている。
【0015】
本発明の目的を達成する第5の発明の構成は、上記第4の発明の折り畳み車両の車体構造の構成において、前記接地部は、接地領域が外面側に向けて凸に湾曲した湾曲面に形成されている。
【0016】
本発明の目的を達成する第6の発明は、上記第1から第5のいずれかの発明の折り畳み車両の車体構造の構成において、後方に向けて上部が傾倒可能な前記ハンドルポストを前記メインフレームの折れ曲げ動作に連動して傾倒動作させる第1リンク部と、前記メインフレームの折れ曲げ動作に連動してシートを略同じ高さに保持する第2リンク部と、を有する。
【0017】
本発明の目的を達成する第7の発明は、上記第1から第6のいずれかの発明の折り畳み車両の車体構造の構成において、前記前フレーム部と前記後フレーム部とを折り畳み前の連結状態を保持するロック位置と、前記前フレーム部と前記後フレーム部とを逆V字形状に折り曲げ可能とするロック解除位置との間をロック部材が移動可能なロック部を有する。
【0018】
本発明の目的を達成する第8の発明は、上記第7の発明の折り畳み車両の車体構造の構成において、前記車両スタンドの上げ下げ動作により前記ロック部を駆動する駆動力伝達部を有し、前記駆動力伝達部は前記車両スタンドの上げ動作で前記ロック部材を前記ロック位置に移動し、前記車両スタンドの下げ動作で前記ロック部材を前記ロック解除位置に移動させる。
【0019】
本発明の目的を達成する第9の発明は、上記第1から第8のいずれかの発明の折り畳み車両の車体構造における前記メインフレームの前フレーム部と後フレーム部とを折り曲げ動作させる駆動装置であって、電動駆動源により駆動される駆動部と、前記電動駆動源の電源電池と、前記駆動部の駆動力が作用する駆動力作用部と、前記駆動部と前記駆動力作用部との間に設けられ、前記前フレーム部と前記後フレーム部とが前記第1状態と前記第2状態との間を移動する際に、前記前フレーム部と前記後フレーム部との間に生じる前記位置ずれを吸収する位置ずれ吸収部と、を有し、前記前フレーム部または前記後フレーム部のいずれか一方に前記駆動部を設け、前記前フレーム部または前記後フレーム部のいずれか他方に前記駆動力作用部を設けている。
【0020】
本発明の目的を達成する第10の発明は、上記第9の発明の駆動装置の構成において、前記電動駆動部は、電動モータにより移動体を直進駆動する電動アクチュエータで構成し、前記位置ずれ吸収部は、前記電動アクチュエータの移動体の先端部に設けた自在継ぎ手で構成し、前記自在継ぎ手を介して前記移動体と前記駆動力作用部を接続する。
【0021】
本発明の目的を達成する第11の発明は、上記第1から第8のいずれかの発明の折り畳み車両の車体構造を前輪と後輪を有する2輪車に適用した折り畳み車両であって、駆動方式としてペダルの踏み込み操作を駆動動力とする自転車、前記自転車の駆動動力を補助する補助電動駆動システムを搭載した電動アシスト自転車、電動モータを駆動動力として走行する電動車両、またはこれら3種の駆動方式を切り替え可能に備えた車両のいずれかとしている。
【0022】
本発明の目的を達成する第12の発明は、上記第1から第8のいずれかの発明の折り畳み車両の車体構造に上記第9または第10の発明の駆動装置を設けた前輪と後輪を有する2輪車に適用した車両であって、駆動方式としてペダルの踏み込み操作を駆動動力とする自転車、前記自転車の駆動動力を補助する補助電動駆動システムを搭載した電動アシスト自転車、電動モータを駆動動力として走行する電動車両、またはこれら3種の駆動方式を切り替え可能に備えた車両のいずれかとしている。
【発明の効果】
【0023】
第1の発明によれば、メインフレームの前フレーム部と後フレーム部とはヒンジ軸を頂点として前後方向で逆V字形状に折れ曲がる際、左右方向に位置ずれが生じるため、前輪と後輪は左右方向で重なって折り畳まれ、折り畳み車両のコンパクト化を図ることができる。ヒンジ部を下から上に持ち上げると、簡単に折り畳み動作が開始できるので、例えば一人で折り畳み操作することも可能となる。
【0024】
第2の発明によれば、後フレーム部をヒンジ部が取り付けられる後フレーム本体部と後輪を取り付ける後輪支持フレーム部に分けて構成しているため、後フレーム部を機能に応じた形状等に形成することができる。
【0025】
第3の発明によれば、乗り心地が良くなる。
【0026】
第4の発明によれば、車両スタンドを折り畳み動作の基点とすることができ、後フレーム部と一体に接地部が接地部位を移動させながら回動するため、後輪を接地面から浮かせた状態で後フレーム部の回動動作を許容することができる。
【0027】
第5の発明によれば、接地部の接地領域を湾曲面とすることにより、接地部のスムーズな移動が得られ、特に回動レバーの回動軌跡に合わせた湾曲面とすればより一層接地部のスムーズな移動が可能となる。
【0028】
第6発明によれば、折り畳み動作により自動的にハンドルポストの傾倒動作を行え、折り畳み動作前の状態と折り畳み動作の終了後の状態にあってもシートの高さを略一定に維持することができる。
【0029】
第7発明によれば、ロック部により前フレーム部と後フレーム部がヒンジ部を介して不用意に折れ曲がることが防止される。
【0030】
第8の発明によれば、車両を走行させるために車両スタンドを上げればロック部がロックされ、折り畳み動作の前の状態となる車両スタンドの下げ位置でロック部のロックが解除されるため、ロック部の操作が自動的に行われる。
【0031】
第9の発明によれば、メインフレームの折り曲げ動作を電動駆動する際、位置ずれ吸収部の作用により、前フレーム部と後フレーム部との折り曲げで生じる左右方向の位置ずれを吸収し、メインフレームのスムーズな折り曲げ動作が可能となる。
【0032】
第10の発明によれば、電動駆動部の小型化が可能となる。また、メインフレームに予め取り付けることでユニット化を図ることができる。
【0033】
第11、第12の発明によれば、上記した発明の効果を備えた自転車、電動アシスト自転車、電動スクータ等の電動車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1A】本発明による折り畳み車両の第1実施形態を示す左側面図で、車両スタンを下げ位置に降ろした状態であって、折り畳み動作前の状態を示す。
図1B図1Aに示す車両スタンドの拡大図で、車両スタンを下げ位置に降ろした状態であって、折り畳み動作前の状態を示す。
図1C】折り畳み動作の途中における車両スタンドの位置を示す図である。
図1D】折り畳み動作が終了した状態における車両スタンドの位置を示す図である。
図2A図1に示すメインフレームの左側面図で、折り畳み動作の開始前の状態を示す。
図2B図2AのA矢視図である。
図3A】車両スタンドを上げた状態におけるメインフレームをロックするロック部のロック施錠状態を示す右側面図である。
図3B】車両スタンドを下げた状態におけるロック部のロック解錠状態を示す右側面図である。
図3C】車両スタンドの上げ位置でロック部を施錠させる駆動力伝達部を示し、図3Aに対応する右側面図である。
図3D】車両スタンドの下げ位置でロック部を解錠させる駆動力伝達部を示し、図3Bに対応する右側面図である。
図4A図1に示す折り畳み車両が途中まで折り畳まれた状態を示す左側面図である。
図4B図1に示す折り畳み車両が最後まで折り畳まれた折り畳み終了状態を示す左側面図である。
図5】折り畳み前後における車両の高さ等を比較する左側面図面である。
図6図4Bに示す折り畳み終了状態の折り畳み車両を右斜め前方から見た斜視図である。
図7図4Bに示す折り畳み終了状態の折り畳み車両を左斜め後方から見た斜視図である。
図8図4Bに示す折り畳み終了状態の折り畳み車両を上面から見た上面図である。
図9図4Bに示す折り畳み終了状態の折り畳み車両を底面から見た底面図である。
図10A】本発明の第2実施形態のメインフレームを折り曲げする駆動装置を示し、メインフレームの固定状態を示す左側面図である。
図10B図10Aに示す駆動装置によりメインフレームを最終折り曲げ状態まで折り曲げ駆動した左側面図である。
図10C図10AのB矢視図である。
図11】本発明の第3実施形態を示す車両の左側面図で、車両の後部を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明を図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0036】
第1実施形態
【0037】
図1Aから図9は本発明による折り畳み車両の第1実施形態を示す。
【0038】
先ず、本実施形態の折り畳み車両(以下、車両と略す)1の構成を図1から図3Dに基づいて説明する。
【0039】
車両1は、前輪2と後輪3を有する2輪車で、不図示のクランクシャフトの左右両側に設けた不図示ペダルの踏み込み操作を駆動動力とする駆動方式の自転車、前記自転車の駆動動力を補助する不図示の補助電動駆動システムを駆動方式として搭載した電動アシスト自転車、不図示の走行駆動用電動モータを駆動動力として走行する駆動方式の電動車両の3種の駆動方式を不図示の切り替えスイッチにより切り替え可能とする車両である。なお、前記自転車、電動アシスト自転車、電動車両に対して個々に適用しても良い。また、図3A図3Dの説明を除き、時計回り方向とは後輪3の後進回転方向を示し、反時計回り方向とは後輪3の前進回転方向を示す。
【0040】
車両1は、逆V字形状に折り曲げ可能な前後方向に沿って延びるメインフレーム10と、上端部にハンドル20を備えたハンドルポスト21と、ハンドルポスト21を後方に向けて傾倒させる第1リンク部30と、運転者が座るシート40と、シート40を支持する第2リンク部50と、後輪3側に設けた車両スタンド60とを有する。車両スタンド60は走行するために上方に上げた上げ位置と車両1を自立保持するために下げた下げ位置との間を移動可能としている。
【0041】
また、車両1は、メインフレーム10を電動駆動で折り畳む駆動装置70を有する。前記クランクシャフトに固定されるクランクギヤ4aをメインフレーム10の右側に配置し、クランクギヤ4aと後輪3側に設けた後輪側ギヤ4b(図6参照)との間にチェーン5を掛け回している。前輪2にはブレーキディスク7a、後輪3にはブレーキディスク7bが取り付けられている。
【0042】
メインフレーム10は、ヒンジ部11を挟んで前フレーム部12と後フレーム部13が分割線10aを境にして2分割に構成されている。前フレーム部12と後フレーム部13は、ヒンジ部11を介して直列に連結する折り畳み開始前の状態(メインフレーム10の第1状態)と、ヒンジ部11を折れ曲げ支点として逆V字形状に折り曲げられる折り畳み状態(第2状態)との間で相対的に回動する。ヒンジ部11はメインフレーム10の前後方向における長さの略中間位置に設けている。
【0043】
後フレーム部13は、後フレーム本体部13Aと、後フレーム本体部13Aの後端に固定した二股形状の後輪支持フレーム部13Bを有している。前フレーム部12と後フレーム本体部13Aは、前記第1状態において外観的に略直方体形状に形成されている。後輪3は、ホイール内にモータを組み込んだホイールインモータ形式で、モータの回転軸を後輪車軸3aとしている。左右の後輪支持フレーム部13Bの後端部に設けた車軸取り付け孔131に後輪車軸3aの左右両端部が装着されて固定されている。後輪支持フレーム部13Bには、車軸取り付け孔131からさらに先端側にレバー取り付け孔132が形成されている。車両スタンド60の回動レバー60cの基部がレバー取り付け孔132を回動支点部として回動可能に取り付けられる。車両スタンド60は、レバー取り付け孔132を支点として下げ位置と上げ位置との間を回動可能としている。車両スタンド60の構成は後述する。
【0044】
前フレーム部12内にバッテリー6を収容する。バッテリー6は、駆動装置70の駆動電源、補助電動駆動システムの駆動電源、走行用電動モータの駆動電源、駆動方式の切り替え制御回路の電源等として使用される。
【0045】
後フレーム部13には、後フレーム部の一部を構成する下方に向けて延びるポスト部として、前記クランクシャフトを取り付けるためのペダル取り付けポスト14が下向きに取り付けられており、本実施形態では後フレーム本体部13Aの後端にペダル取り付けポスト14が固定される。ペダル取り付けポスト14の下端部に前記クランクシャフトを回転自在に軸支する軸受け部15が固定される。
【0046】
車両スタンド60の構成を更に図6図7図9を参照して説明する。
【0047】
車両スタンド60を図1Aおよび図1Bに示す下げ位置まで回動すると、車両スタンド60に設けた例えば不図示のストッパーが後輪支持フレーム部13Bに形成した不図示の係合部に係合し、それ以上の時計回り方向への回動が阻止される。また、後輪支持フレーム部13Bが後方に向かう時計回り方向に回動すると、車両スタンド60も一体に後輪車軸3aを中心に時計回り方向に回動する。
【0048】
車両スタンド60は、後輪3を挟んで左右両側に配置した側面略逆T字形状の左脚部60aと右脚部60b(図6参照)を有する。左脚部60aと右脚部60bは、回動レバー60cの先端に後端部が上向きに折れ曲がった直線状に形成された金属製の接地体60dを固定している。接地体60dの外面側には、外側に向けて凸に湾曲した接地パッド60eが前端部を除いて取り付けられており、接地体60dと接地パッド60eにより接地部を構成している。前記接地部の接地領域は、接地体60dの先端部と接地パッド60eの外周面としている。
【0049】
接地パッド60eは例えば接地面GLに対して滑りやすい低摩擦性の材質、構造で構成することができる。左右の接地体60dの先端部の間に連結体60f(図6図9参照)が設けられて左脚部60aと右脚部60bを一体化している。左右の接地体60dの後端部に形成した上方に向けて折れ曲がった傾斜部60gの後端に小径の車輪、タイヤ等で構成されたコロ60hを回転自在に取り付けている。本実施形態において、左右の接地体60と連結体60fは例えば1本の棒状部材を折り曲げて一体的に形成した構成とすることができる。
【0050】
折り畳み動作の開始前における車両スタンド60の下げ位置は、図1A図1Bに示すように、接地体60dの先端部が接地した状態であって、回動レバー60cが後輪車軸3aの軸心を通る垂直線よりも後方側に傾斜して保持され、コロ60hは接地面GLから離れて位置する。この下げ位置において、後輪3は接地面GLから浮いた状態に保持される。
【0051】
図1Cは折り畳み動作の途中の状態を示し、メインフレーム10の所定の折り曲げ動作により後輪支持フレーム部13Bの後端部が略垂直となる位置まで後方(時計回り方向)に向けて回動した状態を示している。この状態において、回動レバー60cが前方側(時計回り方向)に向けて後輪支持フレーム部13Bと一体に回動し、接地体60dが略水平状態になる。その際、接地部位が接地パッド60eの外周面となる。この状態でも後輪3は接地面GLから浮いている。
【0052】
図1Dは折り畳み終了状態を示し、図1Cに示す状態からさらに後輪支持フレーム部13Bが時計回り方向に回動して停止する。車両スタンド60の回動レバー60cは、後輪支持フレーム部13Bの回動により接地体60dと一体に回動し、接地部位が後端部に移動する。その際、コロ60hは接地面GLから浮いている。
【0053】
図1Bに示すように、車両スタンド60が折り畳み開始前の状態において、金属製の接地体60dの先端が接地面GLに接地しているため、高摩擦接触状態が維持される。折り畳み動作が開始されると、後輪3を接地面GLから浮かした状態と後輪3の前後方向位置を保持して接地体60dを時計回り方向に回動させて車両スタンド60の接地部位を後方に移動させる。図1Cおよび図1Dに示すように、接地体60dに設けた湾曲している低摩擦性の接地パッド60eが接地面GLに接してスムーズに車両スタンド60が回動し、後輪3を前後方向に移動させることなく確実な折り畳み動作が行われる。すなわち、車両スタンド60を基点とした折り畳み動作が行われる。また、メインフレーム10を折り畳み終了状態から逆の動作で元の折り畳み開始前の状態に戻すことで、図1Bの下げ位置に車両スタンド60が戻る。そして、車両スタンド60を足で跳ね上げて上げ位置に移動させることができる。
【0054】
前フレーム部12は、前端部に固定したヘッドチューブ16が固定されている。ハンドルポスト21はヘッドチューブ16に回転自在で軸方向移動不能に軸支される。ハンドルポスト21は、ヘッドチューブ16よりも上方に設けた分割位置21aで上ポスト部21Aと下ポスト部21Bに上下に分割されている。上ポスト部21Aと下ポスト部21Bは、ポストヒンジ部22を介して接続されている。上ポスト部21Aは下ポスト部21Bに対して直立した直結位置と、上ポスト部21Aが下ポスト部21Bに対して後方に向けて傾倒した傾倒位置との間を移動可能としている。下ポスト部21Bの下端部に前輪2を取り付けたフロントフォーク23が固定されている。なお、上ポスト部21Aと下ポスト部21Bとを手動操作によりロックおよびロック解除する不図示のハンドルポストロック部をポストヒンジ部22と対向して前方に設けている。
【0055】
ハンドル20の左ハンドルバー20Aと右ハンドルバー20B(図6参照)は、左ハンドルバー20Aと右ハンドルバー20Bにそれぞれ設けた不図示のハンドルヒンジ部を介して折れ曲がり可能に構成されている。前記左右のハンドルヒンジ部は、例えば連結部の外周を覆うパイプ部を軸方向に沿ってスライドさせることにより、固定状態と折れ曲がり可能状態との切り替えが手動で行える。
【0056】
上ポスト部21Aには、回転リング部24が軸回りに回転自在で、軸方向移動不能に取り付けられる。第1リンク部30は、後フレーム本体部13Aと回転リング部24との間に連結された第1リンクロッド31を有する。第1リンク部30は、第1リンクロッド31と、後フレーム本体部13Aと、ヒンジ部11と、前フレーム部12と、下ポスト部21Bと、ポストヒンジ部22と、ポストヒンジ部22と回転リング部24との間の上ポスト部21Aと、第1リンクロッド31の両端部がそれぞれ連結される連結部とにより構成される。
【0057】
シート40は、第2リンク部50を介してメインフレーム10に取り付けられる。第2リンク部50は、左右に対向配置した一対の第1シートリンク部材51と、一対の第1シートリンク部材51の間で、第1シートリンク部材51の上部に固定された水平方向に延びるシート台52と、軸方向長さを調節可能とするターンバックルで構成された第2シートリンク部材53を有する。シート40を支持するシートポスト41をシート台52に対して長さ調整可能に取り付けられる。また、第1シートリンク部材51とシート台52により略逆L字形状のリンク部材(以下、逆L字形リンク部材54とする)を構成している。
【0058】
左右一対の第1シートリンク部材51は、左右一対の後輪支持フレーム13Bにそれぞれ第1支軸55を介して連結される。逆L形リンク部材54を構成するシート台52の先端部は、第2支軸56を介して第2シートリンク部材53の一端部に連結される。第2シートリンク部材53の他端部は、第3支軸57を介して前フレーム部12の後端部に連結される。
【0059】
第2リンク部50は、逆L字形リンク部材54と、第2シートリンク部材53と、前フレーム部12と、後フレーム本体部13Aから後輪支持フレーム部13Bの第1支軸52までの後フレーム部13と、第1支軸55と、第2支軸56と、第3支軸57と、ヒンジ部11とにより構成される。
【0060】
シート40の後部に不図示の引っ張り把手を設けている。例えば図6に示す折り畳み終了状態において、前記引っ張り把手を下向きに押すと、例えば図6に示す折り畳み終了状態の車両1は車両スタンド60の接地部位を支点として後方に向けて回動する。図1Dに示す折り畳み終了状態において、コロ60hは僅かに接地面GLよりも上方に浮いている。この状態で、折り畳み終了状態の車両1の前記引っ張り把手を下方に押し下げると車両1は後方に向けて少しだけ傾くため、車両スタンド60のコロ60hは接地面GLに接地する。そして、このまま車両1を後方に引っ張ると、コロ60hの転がりにより車両1を後方に引きずりながら移動させることができる。
【0061】
シート40はシートポスト41に設けた不図示のスライド機構を介して左右方向にスライド可能としている。折り畳み終了状態において、前輪2と後輪3は左右方向にずれて位置する。このため、後輪3の真上に配置されるシート40に設けた引っ張り把手を後方に向けて引っ張ると、前輪2の移動線と引っ張り力の作用線とが左右方向でずれているため、前輪2が首振りしながら後進回転し、折り畳まれた車両1を後方に向けてスムーズに移動できない場合がある。そこで、前記スライド機構の不図示のスライドロックを解除し、図6図8及び図9に示すように、左右にずれて位置する前輪2と後輪3の間にシート40の左右方向中央(引っ張り把手の中央)を移動させるようにしている。
【0062】
したがって、前記引っ張り把手を後方に向けて引っ張ると、折り畳み状態の車両1をスムーズに後方に向けて移動させることができる。
【0063】
ヒンジ部11は、図2Aおよび図2Bに示すように、平板状の第1羽根部11aと第2羽根部11bがヒンジ軸11cを支点として回動自在である。図2Bにおいて、図の上側が車両1の左側、下側が車両1の右側を示す。第1羽根部11aが前フレーム部12の底面に固定され、第2羽根部11bが後フレーム本体部13Aの底面に固定される。第1羽根部11aの後端から後方に円筒形状に形成された2つの第1チューブ部11dが間隔を有して後方に向けて平行に突出する。第2羽根部11bの前端から前方に第1チューブ部11dと同構造の3つの第2チューブ部11eが間隔を有して前方に向けて平行に突出する。第2チューブ部11eは第1チューブ部11dの間に配置され、ヒンジ軸11cが挿通される。なお、ヒンジ部11は、前フレーム部12の後端に第1チューブ部11dを一体に形成し、後フレーム本体部13Aの前端に第2チューブ部11eを一体に形成した構成としても良い。
【0064】
前後方向の軸線をX、軸線Xと直交する左右方向の軸線をYとすると、第1チューブ部11d(第2チューブ部11e)に挿通されるヒンジ軸11cの軸線Lが軸線Yに対して反時計回り方向で傾斜角度θの傾きを有している。傾斜角度θは、例えば6度としている。
【0065】
ヒンジ部11のヒンジ軸11cが上記した傾斜角度θを有しているため、ヒンジ部11のヒンジ軸11cを折れ曲がり支点として前フレーム部12と後フレーム部13が逆V字形状に折れ曲がると、前フレーム部12と後フレーム部13は左右方向において位置ずれを有して相対的に回動する。その際、車両1を正面から見ると、ヒンジ軸11cを頂点として第1フレーム部12と第2フレーム部13は逆V字形状に広がって回動する。すなわち、前フレーム部12と後フレーム部13は左右方向において位置ずれが生じる。本実施形態において、第1フレーム部12を第2フレーム部13に対して左側にずれるように回動させ、メインフレーム10の右側に配置しているクランクギヤ4とチェーン5との干渉を避け、折り畳み状態における車両1の左右の幅をできるだけコンパクトにしている。
【0066】
駆動装置70は、ケース71内に電動モータ72の回転を直進移動体である作動ロッド73の直進移動に変換する電動アクチュエータ74を有する。電動アクチュエータ74は、ケース71の後端部を第1フレーム部12の底面側に左右方向に延びる前支軸75を介して回動自在に取り付けられる。作動ロッド73の先端部には位置ずれ吸収部をなすユニバーサルジョイント76の一端部が取り付けられている。ユニバーサルジョイント76の他端部は後フレーム本体部13Aの底面に左右方向に延びる後支軸77を介して回動自在に取り付けられる。
【0067】
駆動装置70は、不図示の操作部を操作することにより作動ロッド73の進退動作が行われる。前記操作部の折り畳み動作スイッチをオンすると、図2Aに示す作動ロッド73が所定長さまで延びている走行可能状態(折り畳み開始前の状態)から前方に向けた後退方向へ移動する。したがって、電動アクチュエータ74の両端部を支持する前支軸75と後支軸77には互いに向かい合う方向に引っ張り力が発生する。
【0068】
折り畳み前の状態において、図2Aに示すように、前支軸75が後支軸77よりも上方に位置し、ヒンジ部11のヒンジ軸11cよりも後支軸77が下方に位置している。このため、前記引っ張り力はヒンジ軸11cを支点として前フレーム部12と後フレーム部13とを逆V字形状に折れ曲がるよう折り畳み終了状態まで回動させる。その際、ユニバーサルジョイント76の作用により、前フレーム部13と後フレーム部13が相対的に左右方向にずれて移動する動作を吸収し、スムーズな回動動作が行われる。
【0069】
なお、電動アクチュエータ74を図2Aに示す状態とは逆に、ユニバーサルジョイント76を前支軸75に取り付け、ケース71を後支軸77に取り付けても良い。
【0070】
折り畳み終了状態において、前記操作部の折り畳み解除動作スイッチをオンすると、上述した折り畳み動作と逆の動作が行われ、メインフレーム10が図1Aに示す走行可能状態になる。前記操作部としては、例えばハンドル20に設けた不図示の操作スイッチ、遠隔操作スイッチ、操作者のスマートフォン等を例示することができる。
【0071】
車両1が走行可能な状態(折り畳み開始前の状態)において、メインフレーム10は前フレーム部12と後フレーム部13が折り曲げ不能にロックすることが安全上必要である。本実施形態において、図3Aおよび図3Bに示すように、前フレーム部12と後フレーム本体部13Aの突き合わせ部分(分割線10a)の近傍でメインフレーム10の右側にメインフレーム10のロック部80を設けている。
【0072】
ロック部80は、ヒンジ部11の上方に設けられており、分割線10aを挟んで前フレーム部12側にロックピン81が取り付けられ、後フレーム本体部13Aにロックピン81に係合するフック状のロックレバー82が支軸83を介して回転可能に取り付けられている。ロックレバー82は、支軸83に軸支されるレバー部84とレバー部84の先端部に形成されたフック状のフック部85を有する。レバー部84には、支軸83を挟んで上下に第1孔84aと第2孔84bが形成されている。
【0073】
図3Aはメインフレーム10の第1状態を示し、前フレーム部12の後端面と後フレーム本体部13Aの前端面が分割線10aを挟んで前後に当接する。第1状態でロックレバー82が時計回り方向(矢印CW方向)にロック位置まで回転してロックピン81にフック部85が係合する。このため、メインフレーム10が逆V字形状に折れ曲がるのが阻止される。
【0074】
図3Bは、メインフレーム10の第1状態において、ロックレバー82を反時計回り方向(矢印CCW方向)にロック解除位置まで回転し、フック部85とロックピン81との係合を解除した状態を示す。したがって、メインフレーム10は、ヒンジ部11を上部として逆V字形状に折り曲げ可能となる。
【0075】
本実施形態において、車両スタンド60の上げ動作と下げ動作により、ロックレバー82をロック位置とロック解除位置との間で回転操作を可能とする。図3Aは車両スタンド60が上方に上げられた走行状態(折り畳み開始前の状態)を示し、図3Bは車両スタンド60が下げられた状態で、車両1を自立保持する。
【0076】
図3Cおよび図3Dは、車両スタンド60の上げ下げ動作に応じてロック部80を遠隔操作する駆動力伝達部61を示す。図3C図3Aに対応するロック状態、図3D図3Bに対応するロック解除状態を示す。
【0077】
駆動力伝達部61は、チューブ状のアウターケーシング62内にコントロールケーブル63を挿通したワイヤーケーブル64を有する。ワイヤーケーブル64は、アウターケーシング62の両端部にそれぞれ設けたアウターエンド金具62a、62bを後フレーム本体部13Aに設けた取り付けブラケット65a、後輪支持フレーム部13Bの後端部に設けた取り付けブラケット65bに固定する。
【0078】
コントロールケーブル63の一端は、ロックレバー82の第1孔84aに取り付けられ、他端は車両スタンド60の回動中心部(レバー取り付け孔132に軸支される回動レバー60cの回転軸部)に固定されて車両スタンド60と一体に回転するワイヤーリール66に取り付けられる。ロックレバー82の第2孔84bには、引っ張りばね67の一端が取り付けられる。引っ張りばね67の他端は、支軸83よりも後方に設けた固定ピン68に固定される。ロックレバー82は、引っ張りばね67のバネ力で時計回り方向(CW)のロック位置方向に向けて付勢される。
【0079】
図3Cに示す走行状態は、ワイヤーリール66からコントロールケーブル63が巻き戻され、フック部85がロックピン81に係合する。図3Dに示すように、車両スタンド60を下げると、ワイヤーリール66にコントロールケーブル63が引っ張りばね67のバネ力に抗して巻き付く。このため、ロックレバー82が反時計回り方向(CCW方向)に回動し、ロックピン81に対するフック部85の係合が外れてロック解除状態となる。
【0080】
このロック解除状態において、例えば手動操作でヒンジ部11を下から上に向けて押し上げても、電動アクチュエータ74の作動ロッド73が移動しない。したがって、メインフレーム10が不用意に折れ曲がることがない。電動アクチュエータ74は、電動モータ72の回転を例えば減速歯車機構(不図示)を介して作動ロッド73を進退方向に直進移動させているため、作動ロッド73に進退方向の外力が加わっても減速歯車機構がロックし、作動ロッド73の移動が阻止される。
【0081】
ロック部80のロックおよびロック解除操作は、図3Cおよび図3Dに示す駆動力伝達部61の構成に限定されるものではなく、ハンドルポスト21に設けた前記ハンドルポストロック部のロック状態からロック解除状態への動作を利用しても良い。前記ハンドルポストロック部がロック状態のときは図3Cに示すようにロックフック部85がロックピン81に係合し、前記ハンドルポストロック部がロック解除状態のときは図3Dに示すようにロックピン81からロックフック部85が外れた状態となる。この場合、ロックピン81を後フレーム本体部13Aに設け、ロックレバー82を前フレーム部12に設けることが望ましい。
【0082】
次に、本実施形態による車両1の折り畳み動作について図4Aから図9を参照して説明する。
【0083】
折り畳み動作が開始される前の車両1は、図1に示すように車両スタンド60が下げられて接地体60dが接地面GLに接地し、自立している。そして、図3Bおよび図3Dに示すように、ロック部80はロック解除状態にある。このロック解除状態で、操作者が駆動装置70を操作する操作部の折り畳み動作スイッチをオンすると、電動アクチュエータ74の所定方向回転で延びている作動ロッド73が前方に向けて縮む方向に直進移動し、折り畳み動作が開始される。なお、ハンドル20は、予め左ハンドルバー20Aと右ハンドルバー20Bを手動で折り畳み、前記ハンドルポストロック部を手動操作でロック解除する。
【0084】
図4Aは、車両1が折り畳み動作を開始した直後を示し、メインフレーム10は、ヒンジ軸11cを上昇させながら前フレーム部12と後フレーム部13がヒンジ軸11cを中心にして逆V字形状に折れ曲がる。後フレーム部13が折り畳み動作に伴う回動動作と一体に車両スタンド60の回動レバー60cが回動する(折り畳み回動方向とする)。回動レバー60cが折り畳み回動方向に回動すると、接地面GLに対する接地部位が接地体60dの先端部から湾曲している接地パッド60eに移動する。
【0085】
メインフレーム10の折り畳み動作は、前フレーム部12と後フレーム部13がヒンジ軸11cを支点として上方に移動しながら逆V字形状に折れ曲がりながら互いに近づく方向に回動する。一方、下げ位置に車両スタンド60をセットして後輪3を接地面GLから浮かせた状態で折り畳み動作は開始される。すなわち、メインフレーム10の折り畳み動作は車両スタンド60を基点として行われ、前フレーム部12と後フレーム13の折れ曲がり動作の反力が車両スタンド60の接地体60dと接地パッド60eが受けることになる。
【0086】
このため、メインフレーム10の折り畳み動作が開始されると、ヒンジ軸11cの移動軌跡が後輪車軸3aを中心とした円弧上を移動する。このため、図4Aに示すように、前フレーム部12は全体的に後方へ移動する移動力と、ヒンジ軸11cを支点として前輪2を後方に向けて移動させる回動力が付与される。したがって、メインフレーム10の前後方向の距離が短くなり、前輪2は後輪3に近づく。
【0087】
第1リンク部30は、後フレーム本体部13Aの時計回り方向への回動で第1リンクロッド31が後方へ移動するのに伴い、回転リング部24を介して上ポスト部21Aがポストヒンジ部22を支点として後方に向けて傾倒動作を開始する。
【0088】
一方、第2リンク部50は、シート40を支持する逆L字形リンク部材54に対し、後輪支持フレーム部13Bの時計回り方向への回動に応じて第2シートリンク部材53がシート40の高さと姿勢を略一定にコントロールする。第2シートリンク部材53は、前フレーム部12の反時計回り方向への回動に従って上方に移動し、同時に前輪2の後方移動に従って後方に移動する。第2リンク部50は、メインフレーム10の折り曲げ動作に従って逆L字形リンク部材54を第2シートリンク部材53によりシート40が水平姿勢を維持するようにコントロールする。
【0089】
メインフレーム10は、ヒンジ部11のヒンジ軸11cが傾斜角θを有するため、後フレーム部13の左側に前フレーム部12が上方から下方に向けて外側に広がるようにして回動する(図6参照)。なお、後フレーム部13は後輪3の後輪車軸3aに対して垂直な垂直状態を維持して時計回り方向に回動する。
【0090】
駆動装置70の駆動を図4Aに示す状態から更に進めると、車両1は図4Bに示す折り畳み終了状態まで折り畳み動作が進む。図4Bにおいて、前フレーム部12と後フレーム部13とはヒンジ部11を介して折り曲げ角度が90度よりも狭くなり、後輪支持フレーム部13Bが略垂直に起立した状態となっている。前フレーム部12の折り曲げ傾斜角度が図4Bに示すように狭くなると、フロントフォーク23が後方に向けて傾斜し、前輪2と後輪3が左右方向において重なる。また、第2リンク部50により、シート40は水平姿勢に維持され、高さも略同じ高さに維持される。車両1の折り畳み終了状態の外観は、前輪2と後輪3の前後方向の間にハンドル20およびシート40が略収まっている。折り畳み動作の開始から終了までの動作時間として約5秒を設定している。
【0091】
折り畳み動作の前後における車両1の外観を図5に示す。図5において、左側に示す折り畳み終了状態の車両1のシート40の高さは、右側に示す折り畳み動作を開始する前の車両1のシート40の高さと略同じである。すなわち、折り畳み操作を行う運転者(操作者)の腰と同程度の高さである。このため操作者は自然体で前記引張把手を引張ってコロ60hにより折り畳まれた状態の車両1を移動させることが可能となる。なお、操作者は、車両1を引張る前に、前記スライド機構のスライドロックを解除し、シート40を図8および図9に示すように左側にスライドさせ、左右方向にずれて重なる前輪2と後輪3の間に移動させ、スライドロックを施錠する。
【0092】
折り畳み終了状態の車両1の外観は、図6図9に示すように、前輪2と後輪3は略隙間なく左右方向において重なって折り畳まれ、前輪2がチェーン5との干渉を避けて後輪3よりも左側に位置している。このため、車両1は幅方向の長さをできるだけ狭くしてコンパクト化が図られている。折り畳み終了状態で、車両1は、車両スタンド60により自立姿勢に保持されるだけでなく、斜めに傾斜した前輪2によっても保持される。車両1は折り畳まれたハンドル20の高さをシート40と略同じ高さとすることで、ステーションワゴン車、SUV車、ワンボックス車等の自動車に対する収納性を高めている。
【0093】
図9に示すように、シート40は、後輪3と前輪2の間に位置する。車両1を後方に引っ張る際、車両スタンド60に設けた左右のコロ60hと、前輪3の3点が接地面GLに接地する。左右のコロ60hの左右方向の中央に後輪3が存在する。したがって、引っ張り把手に作用する引っ張り力は、前輪2と左右のコロ60hに略等分に分配される。このため、前輪2を首振りさせずにスムーズに折り畳まれた車両1をスムーズに移動させることができる。
【0094】
第2実施形態
【0095】
図10A図10Cは駆動装置の第2実施形態を示す。
【0096】
第2実施形態の駆動装置90は、減速駆動される回転軸にモータギヤ91aを備えた電動モータ91と、Y軸方向に延びる支軸92を支点として回転するカム溝93aが形成された略半円形状のカム板93と、メインフレーム10の前フレーム部12に固定した軸形状のY軸方向に延びるカムフォロワー94とを有する。電動モータ91はペダル取り付けポスト14に固定され、支軸92がヒンジ軸11cの軸端と同軸にヒンジ部11に固定される。カム板93は外周部にモータギヤ91aと噛み合うギヤ部93bが形成されている。
【0097】
図10Cに示すように、カム板93とメインフレーム10の側面との距離Hは、前フレーム部12が折り畳み開始前の位置から折り畳み終了位置までに回動する際に、左側にずれるずれ量よりも長い長さに設定している。また、カムフォロワー94は、前記ずれ量に対応してカム溝93aとの係合を維持できる高さとしている。図10Cに示す折り畳み前の状態において、カムフォロアー94はカム溝93aを貫通している。折り畳み動作が開始されると、前フレーム部12はカム板93に近づくため、カムフォロワー94はカム溝93aに対する貫通長さが増えるため、カム溝93aに対する係合が維持される。
【0098】
図10Cにおいて、電動モータ91を駆動してモータギヤ91aを矢印R1方向に回転すると、カム板93が矢印R2方向に回転する。カム板93が矢印R2方向に回転すると、カムフォロワー94がカム溝93aと係合しながら支軸92側に向かって移動する。したがって、前フレーム部12と後フレーム部13がヒンジ軸11cを支点として相対的に回動する際、前フレーム部12と後フレーム部13との左右方向の位置ずれが吸収される。すなわち、本実施形態の駆動装置90は、カム板93とメインフレーム10の側面との距離、およびカム溝93aに大して抜けることなく貫通係合するカムフォロワー94により位置ずれ吸収部が構成される。
【0099】
本実施形態の駆動装置90は、モータギヤ91とカム板93とのギヤ比の設定により、大きなトルクでメインギヤ10の折り畳み動作を行うことができる。
【0100】
第3実施形態
【0101】
図11は本発明の第3実施形態を示す。図11において、図1Aから図9に示す部材と同じ部材には同じ符号を付してその説明を省略する。
【0102】
本実施形態の車両100は、乗り心地を良くするために衝撃吸収用のサスペンション130を後フレーム部113に取り付けている。本実施形態のメインフレーム110は、前フレーム部12と後フレーム部113とにより構成している。前フレーム部12に不図示のヒンジ部を介して連結される後フレーム部113は、後フレーム本体部113Aと二股形状の後輪支持フレーム部113Bとにより構成している。このヒンジ部は第1実施形態のヒンジ部11と同構造としている。後フレーム本体部113Aの一部を構成するペダル取り付けポスト14は、第1実施形態とは異なり、後フレーム本体部113Aの前後方向の略中央位置に下向きに固定されている。
【0103】
後フレーム本体部113Aに接続される後輪支持フレーム部113Bの先端部は、後輪支持フレーム本体部113Aの一部を構成するペダル取り付けポスト14で、軸受け部15の近傍に設けた左右方向に延びるピボット軸120に回動自在に軸支されている。すなわち、後輪3を支持する後輪支持フレーム部113Bは、ピボット軸120を支点として回動可能に構成される。
【0104】
本実施形態の後フレーム本体部113Aは、ペダル取り付けポスト14よりも後方に延びたサイズに形成されており、図1に示す後フレーム本体部113Aよりも前後方向において長い。第2リンク部50の第1支軸55をこの長くなった後フレーム本体部113Aの後方に取り付けている。第1実施形態では、後フレーム本体部13Aの後端に後輪支持フレーム部13Bを直接固定した構成としているため、第2リンク部50は第2実施形態においても第1実施形態と同様の動作を行う。
【0105】
サスペンション130は、ショックアブソーバ131の回りに押しバネ構成の不図示のコイルスプリングを外装した構成で、ショックアブソーバ131の上端部が第1支軸55に回転自在に連結され、下端部が後輪支持フレーム部113Bの長さ方向の略中央に支軸121を介して回動自在に連結されている。
【0106】
したがって、車両100の走行中に後輪3が受ける上下動がサスペンション130により吸収されて乗り心地が良くなる。折り畳み動作において、後輪支持フレーム部113Bは後フレーム本体部113Aの時計回り方向への回動に従って移動するピボット軸120を介して回動力を受ける。そして、後輪支持フレーム部113Bは、後輪車軸3aを回転中心として回動する。
【0107】
次に、バッテリー6は、長くなった後フレーム本体部113A内に収容している。この場合、折り畳み終了時における車両100の姿勢は、車両スタンド60の略真上にバッテリー6が位置するため折り畳み時の安定性が良い。また、左右一対の第1シートリンク部材51の間にバッテリー60を収容する後フレーム本体部113Aが位置するため、バッテリー6の交換作業が容易に行える。
【符号の説明】
【0108】
1、100:折り畳み車両 2:前輪 3:後輪 3a:後輪車軸
4a:クランクギヤ 4b:後輪側ギヤ 5:チェーン 6:バッテリー
7a、7b:ブレーキディスク 10、110:メインフレーム 10a:分割線
11:ヒンジ部 11a:第1羽根部 11b:第2羽根部
11c:ヒンジ軸 11d:第1チューブ部 11e:第2チューブ部
12:前フレーム部 13、113:後フレーム部
13A、113A:後フレーム本体部
13B、113B:後輪支持フレーム部 131:車軸取り付け孔
132:レバー取り付け孔 14:ペダル取り付けポスト 15:軸受け部
16:ヘッドチューブ 20:ハンドル 20A:左ハンドルバー
20B:右ハンドルバー 21:ハンドルポスト 21a:分割位置
21A:上ポスト部 21B:下ポスト部 22:ポストヒンジ部
23:フロントフォーク 24:回転リング部 30:第1リンク部
31:第1リンクロッド 40:シート 41:シートポスト
50:第2リンク部 51:第1シートリンク部材 52:シート台
53:第2シートリンク部材 54:逆L字形リンク部材 55:第1支軸
56:第2支軸 57:第3支軸 60:車両スタンド 60a:左脚部
60b:右脚部 60c:回動レバー 60d:接地体
60e:接地パッド 60f:連結体 60g:傾斜部 60h:コロ
61:駆動力伝達部 62:アウターケーシング
62a、62b:アウターエンド金具 63:コントロールケーブル
64:ワイヤーケーブル 65a、65b:取り付けブラケット
66:ワイヤーリール 67:引っ張りばね 68:固定ピン
70:駆動装置 71:ケース 72:電動モータ 73:作動ロッド
74:電動アクチュエータ 75:前支軸 76:ユニバーサルジョイント
77:後支軸 80:ロック部 81:ロックピン 82:ロックレバー
83:支軸 84:レバー部 84a:第1孔 84b:第2孔
85:フック部 90:駆動装置 91:電動モータ 91a:モータギヤ
92:支軸 93:カム板 93a:カム溝 93b:ギヤ部
94:カムフォロワー GL:接地面
120:ピボット軸 121:支軸 130:サスペンション
131:ショックアブソーバ
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図11
【手続補正書】
【提出日】2021-07-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り畳み前の状態から折り畳み終了状態まで折り畳み可能な折り畳み車両のフレーム構造であって、
前端部に前輪を操作するハンドルポストを軸支する前フレーム部と後端部に後輪を支持する後フレーム部とにより2分割され、前記前輪と前記後輪との間に配置されたメインフレームと、
前記前フレーム部の後端部と前記後フレーム部の前端部とを連結し、左右方向に延びるヒンジ軸を支点として前記前フレーム部と前記後フレーム部とを前記前フレーム部の後端面と前記後フレーム部の前端面が当接して前後方向に直列に連結する折り畳み前の第1状態と逆V字形状に折れ曲がる第2状態との間を相対移動可能とするヒンジ部とを有し、
前記ヒンジ部は、前後方向に沿った軸線と直交する左右方向の軸線に対して前記ヒンジ軸の軸線を傾斜させ、前記第1状態から前記第2状態に前記前フレーム部と前記後フレーム部が相対移動する際に、左右方向において前記前フレーム部と前記後フレーム部に位置ずれを生じさせることを特徴とする折り畳み車両の車体構造。
【請求項2】
請求項1に記載の折り畳み車両の車体構造において、
前記後フレーム部は、前記前フレーム部の後端部に前記ヒンジ部を介して連結される後フレーム本体部と、前記後フレーム本体部に接続され、前記後輪を支持する後輪支持フレーム部と、
を有することを特徴とする折り畳み車両の車体構造。
【請求項3】
請求項2に記載の折り畳み車両の車体構造において、
前記後輪支持フレーム部は、前記後フレーム本体部に対して左右方向に延びるピボット軸を介して回動自在に連結され、前記後フレーム本体部の後部と前記後輪支持フレーム部との間に衝撃吸収用のサスペンションを設けたことを特徴とする折り畳み車両の車体構造。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の折り畳み車両の車体構造において、
前記後輪を接地面から浮かせた状態で折り畳み車両を自立可能に保持する下げ位置と走行可能な状態の上げ位置との間を前記後フレーム部に設けた回動支点部を中心として回動可能な車両スタンドを有し、
前記車両スタンドは、折り畳み動作の開始から折り畳み動作の終了までの動作に従って前記回動支点部を中心として前記後フレーム部と一体に回動する回動レバーと、前記回動レバーの先端部に設けられ、前記下げ位置で接地面と接する前記回動レバーと一体に回動する接地部と、前記接地部の後端部に設けた回転自在の小径車輪と、を有し、
前記接地部は、前記下げ位置において、接地領域が先端側から前記小径車輪の手前側までに設定され、前記小径車輪が接地面から浮いた位置に設けられていることを特徴とする折り畳み車両の車体構造。
【請求項5】
請求項4に記載の折り畳み車両の車体構造において、
前記接地部は、接地領域が外面側に向けて凸に湾曲した湾曲面に形成されていることを特徴とする折り畳み車両の車体構造。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の折り畳み車両の車体構造において、
後方に向けて上部が傾倒可能な前記ハンドルポストを前記メインフレームの折れ曲げ動作に連動して傾倒動作させる第1リンク部と、
前記メインフレームの折れ曲げ動作に連動してシートを略同じ高さに保持する第2リンク部と、
を有することを特徴とする折り畳み車両の車体構造。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の折り畳み車両の車両フレーム構造において、
前記前フレーム部と前記後フレーム部とを折り畳み前の連結状態を保持するロック位置と、前記前フレーム部と前記後フレーム部とを逆V字形状に折り曲げ可能とするロック解除位置との間をロック部材が移動可能なロック部を有することを特徴とする折り畳み車両の車体構造。
【請求項8】
請求項7に記載の折り畳み車両の車体構造において
両スタンドの上げ下げ動作により前記ロック部を駆動する駆動力伝達部を有し、前記駆動力伝達部は前記車両スタンドの上げ動作で前記ロック部材を前記ロック位置に移動し、前記車両スタンドの下げ動作で前記ロック部材を前記ロック解除位置に移動させることを特徴とする折り畳み車両の車体構造。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載の折り畳み車両の車体構造における前記メインフレームの前フレーム部と後フレーム部とを折り曲げ動作させる駆動装置であって、
電動駆動源により駆動される駆動部と、前記電動駆動源の電源電池と、前記駆動部の駆動力が作用する駆動力作用部と、前記駆動部と前記駆動力作用部との間に設けられ、前記前フレーム部と前記後フレーム部とが前記第1状態と前記第2状態との間を移動する際に、前記前フレーム部と前記後フレーム部との間に生じる前記位置ずれを吸収する位置ずれ吸収部と、
を有し、
前記前フレーム部または前記後フレーム部のいずれか一方に前記駆動部を設け、前記前フレーム部または前記後フレーム部のいずれか他方に前記駆動力作用部を設けた駆動装置。
【請求項10】
請求項9に記載の駆動装置において、
記駆動部は、電動モータにより移動体を直進駆動する電動アクチュエータで構成し、前記位置ずれ吸収部は、前記電動アクチュエータの移動体の先端部に設けた自在継ぎ手で構成し、前記自在継ぎ手を介して前記移動体と前記駆動力作用部を接続することを特徴とする駆動装置。
【請求項11】
請求項1から8のいずれかに記載の折り畳み車両の車体構造を前輪と後輪を有する2輪車に適用した折り畳み車両であって、
駆動方式としてペダルの踏み込み操作を駆動動力とする自転車、前記自転車の駆動動力を補助する補助電動駆動システムを搭載した電動アシスト自転車、電動モータを駆動動力として走行する電動車両、またはこれら3種の駆動方式を切り替え可能に備えた車両のいずれかである折り畳み車両。
【請求項12】
請求項1から8のいずれかに記載の折り畳み車両の車体構造に、請求項9または10に記載の駆動装置を設けた前輪と後輪を有する2輪車に適用した車両であって、
駆動方式としてペダルの踏み込み操作を駆動動力とする自転車、前記自転車の駆動動力を補助する補助電動駆動システムを搭載した電動アシスト自転車、電動モータを駆動動力として走行する電動車両、またはこれら3種の駆動方式を切り替え可能に備えた車両のいずれかである折り畳み車両。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
本発明の目的を達成する第1の発明の構成は、折り畳み前の状態から折り畳み終了状態まで折り畳み可能な折り畳み車両のフレーム構造であって、前端部に前輪を操作するハンドルポストを軸支する前フレーム部と後端部に後輪を支持する後フレーム部とにより2分割され、前記前輪と前記後輪との間に配置されたメインフレームと、前記前フレーム部の後端部と前記後フレーム部の前端部とを連結し、左右方向に延びるヒンジ軸を支点として前記前フレーム部と前記後フレーム部とを前記前フレーム部の後端面と前記後フレーム部の前端面が当接して前後方向に直列に連結する折り畳み前の第1状態と逆V字形状に折れ曲がる第2状態との間を相対移動可能とするヒンジ部とを有し、前記ヒンジ部は、前後方向に沿った軸線と直交する左右方向の軸線に対して前記ヒンジ軸の軸線を傾斜させ、前記第1状態から前記第2状態に前記前フレーム部と前記後フレーム部が相対移動する際に、左右方向において前記前フレーム部と前記後フレーム部に位置ずれを生じさせる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
本発明の目的を達成する第4の発明の構成は、上記第1から第3のいずれかの発明の折り畳み車両の車体構造の構成において、前記後輪を接地面から浮かせた状態で折り畳み車両を自立可能に保持する下げ位置と走行可能な状態の上げ位置との間を前記後フレーム部に設けた回動支点部を中心として回動可能な車両スタンドを有し、前記車両スタンドは、折り畳み動作の開始から折り畳み動作の終了までの動作に従って前記回動支点部を中心として前記後フレーム部と一体に回動する回動レバーと、前記回動レバーの先端部に設けられ、前記下げ位置で接地面と接する前記回動レバーと一体に回動する接地部と、前記接地部の後端部に設けた回転自在の小径車輪と、を有し、前記接地部は、前記下げ位置において、接地領域が先端側から前記小径車輪の手前側までに設定され、前記小径車輪が接地面から浮いた位置に設けている。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
本発明の目的を達成する第8の発明は、上記第7の発明の折り畳み車両の車体構造の構成において、車両スタンドの上げ下げ動作により前記ロック部を駆動する駆動力伝達部を有し、前記駆動力伝達部は前記車両スタンドの上げ動作で前記ロック部材を前記ロック位置に移動し、前記車両スタンドの下げ動作で前記ロック部材を前記ロック解除位置に移動させる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
本発明の目的を達成する第10の発明は、上記第9の発明の駆動装置の構成において、前記駆動部は、電動モータにより移動体を直進駆動する電動アクチュエータで構成し、前記位置ずれ吸収部は、前記電動アクチュエータの移動体の先端部に設けた自在継ぎ手で構成し、前記自在継ぎ手を介して前記移動体と前記駆動力作用部を接続する。
【手続補正書】
【提出日】2021-10-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り畳み前の状態から折り畳み終了状態まで折り畳み可能な折り畳み車両のフレーム構造であって、
前端部に前輪を操作するハンドルポストを軸支する前フレーム部と後端部に後輪を支持する後フレーム部とにより2分割され、前記前輪と前記後輪との間に配置されたメインフレームと、
前記前フレーム部の後端部と前記後フレーム部の前端部とを連結し、左右方向に延びるヒンジ軸を支点として前記前フレーム部と前記後フレーム部とを前記前フレーム部の後端面と前記後フレーム部の前端面が当接して前後方向に直列に連結する折り畳み前の第1状態と逆V字形状に折れ曲がる第2状態との間を相対移動可能とするヒンジ部と
前記後輪を接地面から浮かせた状態で折り畳み車両を自立可能に保持する下げ位置と走行可能な状態の上げ位置との間を前記後フレーム部に設けた回動支点部を中心として回動可能な車両スタンドと、
を有し、
前記車両スタンドは、折り畳み動作の開始から折り畳み動作の終了までの動作に従って前記回動支点部を中心として前記後フレーム部と一体に回動する回動レバーと、前記回動レバーの先端部に設けられ、前記下げ位置で接地面と接する前記回動レバーと一体に回動する接地部と、前記接地部の後端部に設けた回転自在の小径車輪と、を有し、
前記接地部は、前記下げ位置において、接地領域が先端側から前記小径車輪の手前側までに設定され、前記小径車輪が接地面から浮いた位置に設けられていて、
前記ヒンジ部は、前後方向に沿った軸線と直交する左右方向の軸線に対して前記ヒンジ軸の軸線を傾斜させ、前記第1状態から前記第2状態に前記前フレーム部と前記後フレーム部が相対移動する際に、左右方向において前記前フレーム部と前記後フレーム部に位置ずれを生じさせることを特徴とする折り畳み車両の車体構造。
【請求項2】
請求項1に記載の折り畳み車両の車体構造において、
前記後フレーム部は、前記前フレーム部の後端部に前記ヒンジ部を介して連結される後フレーム本体部と、前記後フレーム本体部に接続され、前記後輪を支持する後輪支持フレーム部と、
を有することを特徴とする折り畳み車両の車体構造。
【請求項3】
請求項2に記載の折り畳み車両の車体構造において、
前記後輪支持フレーム部は、前記後フレーム本体部に対して左右方向に延びるピボット軸を介して回動自在に連結され、前記後フレーム本体部の後部と前記後輪支持フレーム部との間に衝撃吸収用のサスペンションを設けたことを特徴とする折り畳み車両の車体構造。
【請求項4】
請求項に記載の折り畳み車両の車体構造において、
前記接地部は、接地領域が外面側に向けて凸に湾曲した湾曲面に形成されていることを特徴とする折り畳み車両の車体構造。
【請求項5】
請求項1からのいずれかに記載の折り畳み車両の車体構造において、
後方に向けて上部が傾倒可能な前記ハンドルポストを前記メインフレームの折れ曲げ動作に連動して傾倒動作させる第1リンク部と、
前記メインフレームの折れ曲げ動作に連動してシートを略同じ高さに保持する第2リンク部と、
を有することを特徴とする折り畳み車両の車体構造。
【請求項6】
請求項1からのいずれかに記載の折り畳み車両の車両フレーム構造において、
前記前フレーム部と前記後フレーム部とを折り畳み前の連結状態を保持するロック位置と、前記前フレーム部と前記後フレーム部とを逆V字形状に折り曲げ可能とするロック解除位置との間をロック部材が移動可能なロック部を有することを特徴とする折り畳み車両の車体構造。
【請求項7】
請求項に記載の折り畳み車両の車体構造において、
車両スタンドの上げ下げ動作により前記ロック部を駆動する駆動力伝達部を有し、前記駆動力伝達部は前記車両スタンドの上げ動作で前記ロック部材を前記ロック位置に移動し、前記車両スタンドの下げ動作で前記ロック部材を前記ロック解除位置に移動させることを特徴とする折り畳み車両の車体構造。
【請求項8】
請求項1からのいずれかに記載の折り畳み車両の車体構造における前記メインフレームの前フレーム部と後フレーム部とを折り曲げ動作させる駆動装置であって、
電動駆動源により駆動される駆動部と、前記電動駆動源の電源電池と、前記駆動部の駆動力が作用する駆動力作用部と、前記駆動部と前記駆動力作用部との間に設けられ、前記前フレーム部と前記後フレーム部とが前記第1状態と前記第2状態との間を移動する際に、前記前フレーム部と前記後フレーム部との間に生じる前記位置ずれを吸収する位置ずれ吸収部と、
を有し、
前記前フレーム部または前記後フレーム部のいずれか一方に前記駆動部を設け、前記前フレーム部または前記後フレーム部のいずれか他方に前記駆動力作用部を設けた駆動装置。
【請求項9】
請求項に記載の駆動装置において、
前記駆動部は、電動モータにより移動体を直進駆動する電動アクチュエータで構成し、前記位置ずれ吸収部は、前記電動アクチュエータの移動体の先端部に設けた自在継ぎ手で構成し、前記自在継ぎ手を介して前記移動体と前記駆動力作用部を接続することを特徴とする駆動装置。
【請求項10】
請求項1からのいずれかに記載の折り畳み車両の車体構造を前輪と後輪を有する2輪車に適用した折り畳み車両であって、
駆動方式としてペダルの踏み込み操作を駆動動力とする自転車、前記自転車の駆動動力を補助する補助電動駆動システムを搭載した電動アシスト自転車、電動モータを駆動動力として走行する電動車両、またはこれら3種の駆動方式を切り替え可能に備えた車両のいずれかである折り畳み車両。
【請求項11】
請求項1からのいずれかに記載の折り畳み車両の車体構造に、請求項またはに記載の駆動装置を設けた前輪と後輪を有する2輪車に適用した車両であって、
駆動方式としてペダルの踏み込み操作を駆動動力とする自転車、前記自転車の駆動動力を補助する補助電動駆動システムを搭載した電動アシスト自転車、電動モータを駆動動力として走行する電動車両、またはこれら3種の駆動方式を切り替え可能に備えた車両のいずれかである折り畳み車両。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
本発明の目的を達成する第1の発明の構成は、折り畳み前の状態から折り畳み終了状態まで折り畳み可能な折り畳み車両のフレーム構造であって、前端部に前輪を操作するハンドルポストを軸支する前フレーム部と後端部に後輪を支持する後フレーム部とにより2分割され、前記前輪と前記後輪との間に配置されたメインフレームと、前記前フレーム部の後端部と前記後フレーム部の前端部とを連結し、左右方向に延びるヒンジ軸を支点として前記前フレーム部と前記後フレーム部とを前記前フレーム部の後端面と前記後フレーム部の前端面が当接して前後方向に直列に連結する折り畳み前の第1状態と逆V字形状に折れ曲がる第2状態との間を相対移動可能とするヒンジ部と、前記後輪を接地面から浮かせた状態で折り畳み車両を自立可能に保持する下げ位置と走行可能な状態の上げ位置との間を前記後フレーム部に設けた回動支点部を中心として回動可能な車両スタンドと、を有し、前記車両スタンドは、折り畳み動作の開始から折り畳み動作の終了までの動作に従って前記回動支点部を中心として前記後フレーム部と一体に回動する回動レバーと、前記回動レバーの先端部に設けられ、前記下げ位置で接地面と接する前記回動レバーと一体に回動する接地部と、前記接地部の後端部に設けた回転自在の小径車輪と、を有し、前記接地部は、前記下げ位置において、接地領域が先端側から前記小径車輪の手前側までに設定され、前記小径車輪が接地面から浮いた位置に設けられていて、前記ヒンジ部は、前後方向に沿った軸線と直交する左右方向の軸線に対して前記ヒンジ軸の軸線を傾斜させ、前記第1状態から前記第2状態に前記前フレーム部と前記後フレーム部が相対移動する際に、左右方向において前記前フレーム部と前記後フレーム部に位置ずれを生じさせる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
本発明の目的を達成する第4の発明の構成は、上記第の発明の折り畳み車両の車体構造において、前記接地部は、接地領域が外面側に向けて凸に湾曲した湾曲面に形成されている。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
本発明の目的を達成する第の発明は、上記第1から第のいずれかの発明の折り畳み車両の車体構造の構成において、後方に向けて上部が傾倒可能な前記ハンドルポストを前記メインフレームの折れ曲げ動作に連動して傾倒動作させる第1リンク部と、前記メインフレームの折れ曲げ動作に連動してシートを略同じ高さに保持する第2リンク部と、を有する。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
本発明の目的を達成する第の発明は、上記第1から第のいずれかの発明の折り畳み車両の車体構造の構成において、前記前フレーム部と前記後フレーム部とを折り畳み前の連結状態を保持するロック位置と、前記前フレーム部と前記後フレーム部とを逆V字形状に折り曲げ可能とするロック解除位置との間をロック部材が移動可能なロック部を有する。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
本発明の目的を達成する第の発明は、上記第の発明の折り畳み車両の車体構造の構成において、車両スタンドの上げ下げ動作により前記ロック部を駆動する駆動力伝達部を有し、前記駆動力伝達部は前記車両スタンドの上げ動作で前記ロック部材を前記ロック位置に移動し、前記車両スタンドの下げ動作で前記ロック部材を前記ロック解除位置に移動させる。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
本発明の目的を達成する第の発明は、上記第1から第のいずれかの発明の折り畳み車両の車体構造における前記メインフレームの前フレーム部と後フレーム部とを折り曲げ動作させる駆動装置であって、電動駆動源により駆動される駆動部と、前記電動駆動源の電源電池と、前記駆動部の駆動力が作用する駆動力作用部と、前記駆動部と前記駆動力作用部との間に設けられ、前記前フレーム部と前記後フレーム部とが前記第1状態と前記第2状態との間を移動する際に、前記前フレーム部と前記後フレーム部との間に生じる前記位置ずれを吸収する位置ずれ吸収部と、を有し、前記前フレーム部または前記後フレーム部のいずれか一方に前記駆動部を設け、前記前フレーム部または前記後フレーム部のいずれか他方に前記駆動力作用部を設けている。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
本発明の目的を達成する第の発明は、上記第の発明の駆動装置の構成において、前記駆動部は、電動モータにより移動体を直進駆動する電動アクチュエータで構成し、前記位置ずれ吸収部は、前記電動アクチュエータの移動体の先端部に設けた自在継ぎ手で構成し、前記自在継ぎ手を介して前記移動体と前記駆動力作用部を接続する。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
本発明の目的を達成する第10の発明は、上記第1から第のいずれかの発明の折り畳み車両の車体構造を前輪と後輪を有する2輪車に適用した折り畳み車両であって、駆動方式としてペダルの踏み込み操作を駆動動力とする自転車、前記自転車の駆動動力を補助する補助電動駆動システムを搭載した電動アシスト自転車、電動モータを駆動動力として走行する電動車両、またはこれら3種の駆動方式を切り替え可能に備えた車両のいずれかとしている。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
本発明の目的を達成する第11の発明は、上記第1から第のいずれかの発明の折り畳み車両の車体構造に上記第または第の発明の駆動装置を設けた前輪と後輪を有する2輪車に適用した車両であって、駆動方式としてペダルの踏み込み操作を駆動動力とする自転車、前記自転車の駆動動力を補助する補助電動駆動システムを搭載した電動アシスト自転車、電動モータを駆動動力として走行する電動車両、またはこれら3種の駆動方式を切り替え可能に備えた車両のいずれかとしている。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
第1の発明によれば、メインフレームの前フレーム部と後フレーム部とはヒンジ軸を頂点として前後方向で逆V字形状に折れ曲がる際、左右方向に位置ずれが生じるため、前輪と後輪は左右方向で重なって折り畳まれ、折り畳み車両のコンパクト化を図ることができる。ヒンジ部を下から上に持ち上げると、簡単に折り畳み動作が開始できるので、例えば一人で折り畳み操作することも可能となる。また、車両スタンドを折り畳み動作の基点とすることができ、後フレーム部と一体に接地部が接地部位を移動させながら回動するため、後輪を接地面から浮かせた状態で後フレーム部の回動動作を許容することができる。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0027】
の発明によれば、接地部の接地領域を湾曲面とすることにより、接地部のスムーズな移動が得られ、特に回動レバーの回動軌跡に合わせた湾曲面とすればより一層接地部のスムーズな移動が可能となる。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0028】
発明によれば、折り畳み動作により自動的にハンドルポストの傾倒動作を行え、折り畳み動作前の状態と折り畳み動作の終了後の状態にあってもシートの高さを略一定に維持することができる。
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0029】
発明によれば、ロック部により前フレーム部と後フレーム部がヒンジ部を介して不用意に折れ曲がることが防止される。
【手続補正17】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0030】
の発明によれば、車両を走行させるために車両スタンドを上げればロック部がロックされ、折り畳み動作の前の状態となる車両スタンドの下げ位置でロック部のロックが解除されるため、ロック部の操作が自動的に行われる。
【手続補正18】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0031】
の発明によれば、メインフレームの折り曲げ動作を電動駆動する際、位置ずれ吸収部の作用により、前フレーム部と後フレーム部との折り曲げで生じる左右方向の位置ずれを吸収し、メインフレームのスムーズな折り曲げ動作が可能となる。
【手続補正19】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0032】
の発明によれば、電動駆動部の小型化が可能となる。また、メインフレームに予め取り付けることでユニット化を図ることができる。
【手続補正20】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0033】
10、第11の発明によれば、上記した発明の効果を備えた自転車、電動アシスト自転車、電動スクータ等の電動車両を提供することができる。