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特開2022-127705音声制御システムおよびそれを用いた加熱調理器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022127705
(43)【公開日】2022-09-01
(54)【発明の名称】音声制御システムおよびそれを用いた加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   F24C 7/04 20210101AFI20220825BHJP
   F24C 15/00 20060101ALI20220825BHJP
   F24C 3/12 20060101ALI20220825BHJP
   G10L 17/00 20130101ALI20220825BHJP
   G10L 15/28 20130101ALI20220825BHJP
【FI】
F24C7/04 301A
F24C15/00 M
F24C3/12 K
F24C15/00 D
G10L17/00 200C
G10L15/28 230K
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021025841
(22)【出願日】2021-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】301071893
【氏名又は名称】株式会社ハーマン
(74)【代理人】
【識別番号】100092071
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 均
(74)【代理人】
【識別番号】100130638
【弁理士】
【氏名又は名称】野末 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】亀田 珠央
【テーマコード(参考)】
3L087
【Fターム(参考)】
3L087AA03
3L087BA05
3L087BB18
3L087DA01
(57)【要約】
【課題】ガスコンロなどの加熱調理器を、より安全に音声によって制御することが可能な音声制御システム、および、該音声制御システムを備えた、安全に音声による制御を行うことが可能な加熱調理器を提供する。
【解決手段】
加熱調理器を音声操作することができるように構成された音声制御システムにおいて、加熱調理器Aが設置された調理室30内に人が存在していることを検出する人感センサSと、人感センサが調理室内に人が存在していることを検出している場合にのみ音声操作を受け付け、人感センサが調理室内に人が存在していることを検出していない場合には音声操作を受け付けないように牽制する音声操作牽制手段とを備えた構成とする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱調理器を音声操作することができるように構成された音声制御システムであって、
前記加熱調理器が設置された調理室内に人が存在していることを検出する人感センサと、
前記人感センサが前記調理室内に人が存在していることを検出している場合にのみ前記音声操作を受け付け、前記人感センサが前記調理室内に人が存在していることを検出していない場合には前記音声操作を受け付けないように牽制する音声操作牽制手段と
を備えていることを特徴とする音声制御システム。
【請求項2】
前記人感センサとして、空間温度を網目状に分割検出するサーモパイル型赤外線アレイセンサモジュールが用いられ、前記人感センサによる検出結果として得られる温度および形によって人の存在の有無の検出と、検出された人が予め前記音声操作の実行を許可された対象である大人であるか、許可されていない子供であるかを判別することができるように構成され、かつ、
前記音声操作牽制手段は、前記人感センサが前記大人の存在を検出したときにのみ前記音声操作を受け付け、前記大人の存在を検出しないときには前記音声操作を受け付けないように構成されていること
を特徴とする請求項1に記載の音声制御システム。
【請求項3】
前記音声操作の実行を許可された対象である人の声紋を予め登録する声紋登録手段と、前記音声操作時の音声から得られる声紋が、予め登録された人の声紋と一致するか否かを判定する声紋認識手段とをさらに備えており、
前記音声操作時の音声から得られる声紋が、予め登録された、前記音声操作の実行を許可された対象である人の声紋と一致する場合にのみ前記音声操作を受け付け、一致しない場合には前記音声操作を受け付けないように構成されていること
を特徴とする請求項1または2記載の音声制御システム。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載の音声制御システムを備えていることを特徴とする加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスコンロなどの加熱調理器を音声によって制御する音声制御システムと、該音声制御システムをそなえた加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスコンロなどの加熱調理器の中には、内臓マイクによる音声認識(ウェイクワード制御)を行って、音声により操作をすることができるように構成されたものがある。
【0003】
そのような音声操作が可能なガスコンロとして、特許文献1には、入力された音声を電気信号に変換する変換部と、変換部で変換された電気信号に基づいて外部から与えられた音声指示を認識する認識処理を行う認識部と、認識部が認識した音声指示に応じた制御を行う制御部とを備えたガスコンロであって、予め定められたトリガ状態の発生を非接触方式で検出する非接触検出部を備え、認識部は、認識処理の停止中に非接触検出部がトリガ状態の発生を検出したことを条件として認識処理を開始するようにしたガスコンロが開示されている。
【0004】
特許文献1に開示されているような音声操作の可能なガスコンロは、使用者が手で操作をする必要がなく、いわゆるハンズフリー操作を行うことが可能で利便性が高いという特徴を有している。
【0005】
また、特許文献1のガスコンロの場合には、使用者が認識処理を行わせるための契機となる条件(認識処理の停止中に非接触検出部がトリガ状態の発生を検出するという条件)を非接触方式にて成立させることができるので、使用者が望む時期に音声認識を行うことが可能になり、消費電力を抑えることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-3076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1のガスコンロの場合、「音声認識可能範囲」が規定されておらず、ガスコンロが設置されている領域(通常は調理室)の外からの指示を誤って受け付けてしまうおそれがあり、安全性に関し改善の余地があるのが実情である。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するものであり、ガスコンロなどの加熱調理器を、より安全に音声によって制御することが可能な音声制御システム、および、該音声制御システムを備えた、安全に音声による制御を行うことが可能な加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明の音声制御システムは、
加熱調理器を音声操作することができるように構成された音声制御システムであって、
前記加熱調理器が設置された調理室内に人が存在していることを検出する人感センサと、
前記人感センサが前記調理室内に人が存在していることを検出している場合にのみ前記音声操作を受け付け、前記人感センサが前記調理室内に人が存在していることを検出していない場合には前記音声操作を受け付けないように牽制する音声操作牽制手段と
を備えていることを特徴としている。
【0010】
本発明の音声制御システムにおいては、前記人感センサとして、空間温度を網目状に分割検出するサーモパイル型赤外線アレイセンサモジュールが用いられ、前記人感センサによる検出結果として得られる温度および形によって人の存在の有無の検出と、検出された人が予め前記音声操作の実行を許可された対象である大人であるか、許可されていない子供であるかを判別することができるように構成され、かつ、
前記音声操作牽制手段は、前記人感センサが前記大人の存在を検出したときにのみ前記音声操作を受け付け、前記大人の存在を検出しないときには前記音声操作を受け付けないように構成されていること
が好ましい。
【0011】
また、本発明の音声制御システムは、前記音声操作の実行を許可された対象である人の声紋を予め登録する声紋登録手段と、前記音声操作時の音声から得られる声紋が、予め登録された人の声紋と一致するか否かを判定する声紋認識手段とをさらに備えており、
前記音声操作時の音声から得られる声紋が、予め登録された、前記音声操作の実行を許可された対象である人の声紋と一致する場合にのみ前記音声操作を受け付け、一致しない場合には前記音声操作を受け付けないように構成されていること
が好ましい。
【0012】
また、本発明の加熱調理器は、上述の本発明の音声制御システムを備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明の音声制御システムは、上述のように構成されており、人感センサが、調理室内に人がいることを検出している場合にのみ音声操作を受け付けるように構成されているので、加熱調理器が室外からの音声に誤って反応してしまうことを防止することが可能で、安全性および信頼性の高い音声制御システムを提供することができる。
【0014】
また、人感センサとして、空間温度を網目状に分割検出するサーモパイル型赤外線アレイセンサモジュールが用いられ、人感センサによる検出結果として得られる温度および形によって人の存在の有無の検出と、検出された人が予め音声操作の実行を許可された対象である大人であるか、許可されていない子供であるかを判別することができるように構成し、かつ、音声操作牽制手段は、人感センサが予め音声操作の実行を許可された対象である大人の存在を検出したときにのみ音声操作を受け付け、上記大人の存在を検出しないときには音声操作を受け付けないように構成した場合、音声操作が許可された大人以外の人(子供)が調理室に存在して、音声操作をしようとしても、音声操作が受け付けられることがないので、さらに安全性の高い音声制御システムを提供することが可能になる。
【0015】
また、音声操作の実行を許可された対象である人の声紋を予め登録する声紋登録手段と、音声操作時の音声から得られる声紋が、予め登録された人の声紋と一致するか否かを判定する声紋認識手段とをさらに備えており、音声操作時の音声から得られる声紋が、予め登録された、音声操作の実行を許可された対象である人の声紋と一致する場合にのみ音声操作を受け付け、一致しない場合には音声操作を受け付けないように構成した場合、より確実に、音声操作が許可された人の音声操作によってのみ音声操作が行われる信頼性の高い音声制御システムを提供することが可能になる。
【0016】
また、本発明の加熱調理器は、上述の本発明の音声制御システムを備えているので、安全性を損なうことなく、音声操作を行うことが可能で、使用者が手で操作をすることを必要としない、いわゆるハンズフリー操作を行うことが可能で、利便性が高い加熱調理器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態にかかる音声制御システムを備えた加熱調理器(ガスコンロ)の斜視図である。
図2】本発明の実施形態にかかる音声制御システムを備えた加熱調理器(ガスコンロ)の構成を示す図である。
図3】本発明の実施形態にかかる音声制御システムにおいて、音声操作牽制手段が音声操作を牽制する(音声操作を容認しない)条件を説明する模式的な側面図である。
図4】本発明の実施形態にかかる音声制御システムにおいて、音声操作牽制手段が音声操作の牽制を行わない(音声操作を容認する)条件を説明する模式的な側面図である。
図5A】本発明の実施形態にかかる音声制御システムの変形例、すなわち、人感センサを調理室の天井に設置した例を示す模式的な側面図である。
図5B】本発明の実施形態にかかる音声制御システムの変形例、すなわち、人感センサを調理室の天井に設置した例を示す模式的な平面図である。
図6】本発明の実施形態にかかる音声制御システムの他の変形例、すなわち、人感センサを調理室の側壁に設置した例を示す模式的な平面図である。
図7】本発明の実施形態にかかる音声制御システムのさらに他の変形例、すなわち、人感センサを調理室の天井と側壁の両方に設置した例を示す模式的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を示して、その特徴とするところをさらに詳しく説明する。
【0019】
<音声操作の対象となる加熱調理器の基本構造>
図1は本発明の実施形態にかかる音声操作の対象(すなわち、本発明にかかる音声制御システムの適用の対象)となる加熱調理器Aの斜視図、図2はその構成を示す図である。
【0020】
本実施形態にかかる加熱調理器Aは、システムキッチンのカウンターに配設して用いられる、いわゆるドロップインコンロであって、図1、2に示すように、調理容器を加熱するコンロバーナ1(標準バーナ1a、高火力バーナ1b、および小バーナ1cの3つのバーナ)と、コンロバーナ1の火力を調節する火力調節手段(この実施形態にかかる加熱調理器Aでは、流量制御弁3)(図2)と、 火力調節指令を指令する火力調節指令手段(バーナ操作部)21(標準バーナ操作部21a、高火力バーナ操作部21b、小バーナ操作部21c)(図1)と、を備えている。
【0021】
さらに、加熱調理器Aは、コンロバーナ1の燃焼開始指令および燃焼停止指令を指令する点消火指令手段を備えている。本実施形態にかかる加熱調理器Aでは、火力調節指令手段(バーナ操作部)21が、コンロバーナ1の燃焼開始指令および燃焼停止指令を指令する点消火指令手段としても機能するように構成されている。
【0022】
また、加熱調理器Aは、コンロバーナ1の燃焼を制御する制御部40(図2)を備えている。
【0023】
さらに、加熱調理器Aは、魚などの被調理物を載置するためのグリル部4を備えており、グリル部4内にはグリルバーナ2(図2参照)が配設されている。
【0024】
また、標準バーナ1(1a)には、調理容器に接触してその温度を検出するための温度センサ(鍋底温度センサ)9が配設されている。なお、高火力バーナ1b、および小バーナ1cにも、同様に温度センサを設けるように構成することも可能である。
【0025】
加熱調理器Aの前側面には、上述のコンロバーナ1と、グリル部4内に設けられたグリルバーナ2の点火および消火、火力調節と各種の設定とを手動により指令するための、火力調節指令手段(バーナ操作部)21(標準バーナ操作部21a、高火力バーナ操作部21b、小バーナ操作部21c)と、グリルバーナ2の点火および消火、火力調節と各種の設定とを手動により指令するためのグリルバーナ操作部22(図1)が配設されている。
【0026】
また、図2に示すように、コンロバーナ1(標準バーナ1a、高火力バーナ1b、小バーナ1c)の夫々には、点火作動を実行する点火装置としての点火プラグ7および着火状態を検出するための熱電対8が設けられ、グリルバーナ2(上側バーナ2a、下側バーナ2b、2c)の夫々にも、点火作動を実行する点火装置としての点火プラグ7および着火状態を検出するための熱電対8が設けられている。
【0027】
なお、コンロバーナ1およびグリルバーナ2へのガス供給に関する構成は以下のとおりである。
図2に示すように、元ガス供給路(主ガス配管)11に元ガス電磁弁12が設けられており、元ガス供給路11は、標準バーナ用分岐路13a、高火力バーナ用分岐路13b、小バーナ用分岐路13c、グリルバーナ用分岐路13dに分岐している。
【0028】
これらの各分岐路の夫々には、ガス量を調節して各バーナの加熱量を調節する流量制御弁(ステッピングモータにより駆動されるガス量調節弁)3と、その開度位置を検出する位置センサ19が設けられている。なお、この実施形態にかかる加熱調理器Aでは、前記流量制御弁3が火力調節手段として機能するように構成されている。
【0029】
また、この実施形態の加熱調理器Aにおいては、上述の火力調節指令手段(バーナ操作部)21、22が、コンロバーナ1の燃焼開始指令および燃焼停止指令を指令する点消火指令手段としても機能するように構成されている。
なお、加熱調理器Aの前側面には、電源スイッチ24、電源スイッチ24がONになったことを知らせる電源ランプ25を備えている。
【0030】
<本発明の特徴的な構成>
本実施形態にかかる加熱調理器Aは、音声により操作を行うことができるように構成された音声制御システムを備えている。
【0031】
そして、この音声制御システムは、加熱調理器Aの前面に配設され、加熱調理器Aが設置された調理室30内に人が存在していることを検出する人感センサSと、人感センサSが調理室30内に人が存在していることを検出している場合にのみ音声操作を受け付け、人感センサSが調理室30内に人が存在していることを検出していない場合には音声操作を受け付けないように音声操作を牽制する音声操作牽制手段とを備えた構成とされている。
【0032】
なお、本実施形態にかかる加熱調理器Aにおいては、コンロバーナ1の燃焼を制御する制御部40(図2)が、音声操作の制御を行うとともに、音声操作を牽制する制御を行う音声操作牽制手段としても機能するように構成されている。
【0033】
また、本実施形態にかかる加熱調理器Aは、図2に示すように、音声操作時の音声を集めて信号に変えるための集音マイク41、音声操作時の音声による指令の受け付けや拒否をはじめとする種々の情報を使用者に知らせるためのスピーカー42を備えている。
【0034】
また、本実施形態にかかる加熱調理器Aにおいては、人感センサSとして、空間温度を網目状に分割検出するサーモパイル型赤外線アレイセンサモジュールが用いられている。
【0035】
すなわち、本実施形態にかかる加熱調理器Aでは、サーモパイル型赤外線アレイセンサモジュールを人感センサSとして用いることにより、人感センサSによる検出結果として得られる温度および形によって人の存在の有無の検出と、検出された人が予め音声操作の実行を許可された対象である大人であるか、許可されていない子供であるかを判別することができるように構成されている。
【0036】
また、音声操作牽制手段として機能する制御部40は、人感センサSが音声操作の実行を許可された対象である大人の存在を検出したときにのみ音声操作を受け付け、大人の存在を検出しないときには音声操作を受け付けないように構成されている。
【0037】
例えば、図3に示すように、調理室30の加熱調理器Aの近傍に身長が140cm未満の子供がいる場合には、サーモパイル型赤外線アレイセンサモジュール(人感センサ)Sによる検出結果として得られる温度および形によって、人の存在が検出されるとともに、検出された人が子供であると判別される。
【0038】
また、図4に示すように、調理室30の加熱調理器Aの近傍に身長が140cmを超える大人がいる場合には、サーモパイル型赤外線アレイセンサモジュール(人感センサ)Sによる検出結果として得られる温度および形によって人の存在が検出されるとともに、検出された人が大人であると判別される。
【0039】
そして、本実施形態にかかる加熱調理器Aにおいては、音声操作牽制手段(制御部40)が、人感センサSが音声操作の実行を許可された大人の存在を検出したときにのみ音声操作を受け付け、大人の存在を検出しないときには音声操作を受け付けないようにしているので、音声操作が許可されていない人(子供)が調理室30にいて、音声操作の発令(音声による操作指示)を行った場合も音声操作が受け付けられることがなく、安全性の高い音声制御システムを実現することが可能になる。
【0040】
さらに、本実施形態にかかる加熱調理器Aにおいては、音声操作の実行を許可された対象である人の声紋を予め登録する声紋登録手段(声紋記憶手段)と、音声操作時の音声から得られる声紋が、予め登録された人の声紋と一致するか否かを判定する声紋認識手段とをさらに備えている。そして、音声操作時の音声から得られる声紋が、予め登録された人(音声操作の実行を許可された人)の声紋と一致する場合にのみ音声操作を受け付け、一致しない場合には音声操作を受け付けないように構成されている。
【0041】
なお、本実施形態にかかる加熱調理器Aにおいては、コンロバーナ1の燃焼を制御する制御部40が、上記の声紋登録手段(声紋記憶手段)および声紋認識手段としても機能するように構成されている。
【0042】
このように構成した場合において、(a)音声操作牽制手段により音声操作が牽制される条件と、(b)音声操作牽制手段により音声操作が牽制されない条件は、以下の通りとなる。
【0043】
(a)音声操作牽制手段によって音声操作が牽制される条件
(a-1)調理室にいる人が身長140cm未満の人(子供)である場合(図3参照)、
(a-2)声紋が声紋登録手段(声紋記憶手段)に登録されていない人である場合
のいずれかの条件に当てはまる場合(OR条件を満たす場合)には、音声操作牽制手段により音声操作が牽制される。
【0044】
(b)音声操作牽制手段によって音声操作が牽制されない条件
(b-1)調理室にいる人が身長140cm以上の人(大人)である場合(図4参照)、
(b-2)声紋が声紋登録手段(声紋記憶手段)に登録されている人である場合
の両方の条件に当てはまる場合(AND条件を満たす場合)には、音声操作牽制手段により音声操作が牽制されることはなく、音声操作が受け入れられることになる。
【0045】
上述のように、(a-1)、(a-2)のいずれかの条件に当てはまれば、音声操作が牽制されるので、十分な安全性が確保される。
【0046】
一方、上述の(b-1)、(b-2)の両方の条件を満たした場合にのみ、音声操作が受け入れられることになるので、安全性が損なわれることがない。
【0047】
したがって、上記構成を備えることにより、加熱調理器を音声操作する場合において、安全性の高い音声制御システムを提供することが可能になる。
【0048】
なお、上記実施形態では、加熱調理器Aが人感センサ(サーモパイル型赤外線アレイセンサモジュール)Sを備えている場合について説明したが、例えば、図5A図5Bに示すように、人感センサS(S1)を、調理室30の天井30aに配設するように構成することも可能である。このように構成した場合にも、人感センサSの検出結果として得られる温度および形によって人の存在の有無の検出と、検出された人が予め音声操作の実行を許可された対象である大人であるか、許可されていない子供であるかを判別することができる
【0049】
また、図6に示すように、調理室30の側壁30bに、人感センサS(S2)を配設するように構成することも可能である。
【0050】
また、本発明の音声制御システムにおいて、人感センサSの数は一つに限られるものではなく、複数の人感センサSを備えた構成とすることも可能である。
【0051】
その場合、例えば、図7に示すように、調理室30の天井30aに人感センサS(S1)を取り付け、側壁30bに人感センサS(S2)を取り付けるように構成することができる。さらに他の位置に、さらなる人感センサSを配設することも可能である。
【0052】
また、特に図示しないが、人感センサと音声操作牽制手段とを、AIスピーカーを用いて構成してもよい。そして、たとえば、インターネット経由で、加熱調理器とのデータの送受信を行うようにしてもよい。
【0053】
また、上記実施形態では、人感センサとして、サーモパイル型赤外線アレイセンサモジュールを用いるようにしているが、人感センサとしては、公知の種々のセンサを用いることが可能であり、超音波を利用したものや、可視光を利用したもの、あるいはそれらを組み合わせたものなどを用いることが可能である。
【0054】
また、上記実施形態では、加熱調理器がガスコンロである場合について説明したが、本発明は、その他の加熱調理器にも適用することが可能であり、例えば、電磁調理器(IH調理器)を音声操作する際の音声制御システムとしても用いることが可能である。
【0055】
本発明は、さらにその他の点においても上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内において種々の変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0056】
1 コンロバーナ
1a 標準バーナ
1b 高火力バーナ
1c 小バーナ
2 グリルバーナ
2a 上側バーナ
2b 下側バーナ
2c 下側バーナ
3 流量制御弁(ガス量調節弁)
4 グリル部
7 点火プラグ
8 熱電対
9 温度センサ(鍋底センサ)
11 元ガス供給路(主ガス配管)
12 元ガス電磁弁
13a 標準バーナ用分岐路
13b 高火力バーナ用分岐路
13c 小バーナ用分岐路
13d グリルバーナ用分岐路
19 位置センサ
21 火力調節指令手段(バーナ操作部)
21a 標準バーナ操作部
21b 高火力バーナ操作部
21c 小バーナ操作部
22 グリルバーナ操作部
23 燃焼表示ランプ、火力表示部
24 電源スイッチ
25 電源ランプ
30 調理室
30a 調理室の天井
30b 調理室の側壁
40 制御部(音声操作牽制手段)(声紋認識手段)
41 集音マイク
42 スピーカー
A 加熱調理器(ガスコンロ)
S 人感センサ
S1 天井に取り付けた人感センサ
S2 側壁に取り付けた人感センサ
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7