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  • 特開-ケース入り除菌剤 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022127706
(43)【公開日】2022-09-01
(54)【発明の名称】ケース入り除菌剤
(51)【国際特許分類】
   A01N 59/00 20060101AFI20220825BHJP
   C01B 11/02 20060101ALI20220825BHJP
   A01N 25/18 20060101ALI20220825BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20220825BHJP
【FI】
A01N59/00 Z
C01B11/02 F
A01N25/18 102A
A01P3/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021025842
(22)【出願日】2021-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】306023602
【氏名又は名称】株式会社エスエヌシ-
(71)【出願人】
【識別番号】503406169
【氏名又は名称】株式会社モリシン
(74)【代理人】
【識別番号】100098936
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 晃司
(74)【代理人】
【識別番号】100098888
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 明子
(72)【発明者】
【氏名】毛利 唯志
(72)【発明者】
【氏名】森川 正
【テーマコード(参考)】
4H011
【Fターム(参考)】
4H011AA02
4H011BB18
4H011DB07
4H011DF02
(57)【要約】
【課題】プラスチックケース入り除菌剤では、信頼できる除菌剤の商品イメージを使用者に強力に与えるためにも、プラスチック表面へのウイルス付着の懸念に更に積極的に対応できることが求められている。
【解決手段】プラスチックケース25の蓋体9の平らな天面部9aと、天面部9aに対して外方に隆起することで形成された隆起側面部17aに、それぞれ通気孔15、19が設けられている。通気孔15、15、……から放出された二酸化塩素ガスにより、正面側の空間の除菌が図れると共に、通気孔19、19、……から放出された二酸化塩素ガスによってプラスチックケース25の主な露出面である天面部9aのプラスチック面へのウイルス付着による汚染のリスクも効果的に軽減できる。また、通気孔19の形状は肉眼で見られるので、除菌効果を視覚的に確認して安心することができる。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱状体と前記箱状体を開閉自在に閉鎖する蓋体とから成る扁平なケース本体と、前記蓋体を閉鎖状態に保持する蓋体閉鎖保持手段とでなるプラスチック製ケースと、前記ケースに収容される二酸化塩素ガス発生用の袋入り除菌剤を備え、
前記蓋体の平らな天面部と、前記天面部に対して外方に隆起することで形成された前記天面部と交差する隆起側面部に、それぞれ通気孔が設けられていることを特徴とするケース入り除菌剤。
【請求項2】
請求項1に記載したケース入り除菌剤において、
蓋体の矩形の天面部の角隅を二辺部として三角形状にほぼ垂直に隆起した隆起部の残りの一辺部が隆起側面部になっていることを特徴とするケース入り除菌剤。
【請求項3】
請求項1または2に記載したケース入り除菌剤において、
箱状体の底面部の外面に面ファスナが取付けられていることを特徴とするケース入り除菌剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は二酸化塩素ガスの発生剤をケースに入れて、除菌剤として製品化したケース入り除菌剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
二酸化塩素ガスは高い酸化力を有することから、除菌剤としての利用が提案されている。
亜塩素酸塩が酸性物質との接触により二酸化塩素ガスを発生させることが知られており、亜塩素酸塩を無機多孔質担体に担持させ、空気に接触させることにより、無機多孔質担体の孔の中に空気中の二酸化炭素と水蒸気を吸収させて炭酸を生成させ、当該孔の中において炭酸(弱酸性物質)と亜塩素酸塩との接触状態を実現して、二酸化塩素ガスを発生させるのが通常のガス発生手法になっている。
【0003】
二酸化塩素ガスは高濃度で直接肌に触れると薬傷を起こす恐れがあるので、日常空間で除菌剤として利用する場合には、特許文献1に記載のように、亜塩素酸塩を粒子状の無機多孔質担体に担持させたものを除菌剤として先ず通気性の袋に充填させ、更に通気孔を設けたケースに入れて、該ケースの通気孔を利用して、二酸化塩素ガスを徐々に発生して外に放出させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3181259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、最近では、新型コロナウイルスによる汚染が懸念されており、WHOからは、新型コロナウイルスはプラスチックの表面では最大72時間も生存することが報告されている。そのため、照明のスイッチ等プラスチック部分は除菌シートで定期的に拭く人が増えている。
上記したケース入り除菌剤では、軽量にしかも所望の形状に忠実に成形できることから、通常はケースがプラスチック製になっているが、除菌効果のある二酸化塩素ガスが通気孔から放出されるので、ケース表面に二酸化塩素ガスが浮遊しており、表面に付着したウイルスの除菌も一応はなされている。しかしながら、信頼できる除菌剤の商品イメージを使用者に強力に与えるためにも、上記したプラスチック表面へのウイルス付着の懸念に更に積極的に対応できることが求められている。
【0006】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、ケース入り除菌剤用のプラスチック製ケースの表面にも除菌効果が確実に及び、且つ、それを視覚的に確認して安心できるよう、工夫された形状を有するプラスチック製ケースに入れた除菌剤を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、請求項1の発明は、箱状体と前記箱状体を開閉自在に閉鎖する蓋体とから成る扁平なケース本体と、前記蓋体を閉鎖状態に保持する蓋体閉鎖保持手段とでなるプラスチック製ケースと、前記ケースに収容される二酸化塩素ガス発生用の袋入り除菌剤を備え、前記蓋体の平らな天面部と、前記天面部に対して外方に隆起することで形成された前記天面部と交差する隆起側面部に、それぞれ通気孔が設けられていることを特徴とするケース入り除菌剤である。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載したケース入り除菌剤において、蓋体の矩形の天面部の角隅を二辺部として三角形状にほぼ垂直に隆起した隆起部の残りの一辺部が隆起側面部になっていることを特徴とするケース入り除菌剤である。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載したケース入り除菌剤において、箱状体の底面部の外面に面ファスナが取付けられていることを特徴とするケース入り除菌剤である。
【発明の効果】
【0010】
本発明のケース入り除菌剤では、ケースの形状が工夫されており、プラスチック製ケースの表面にも除菌効果が確実に及び、且つ、それを視覚的に確認して安心できるようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態に係るケース入り除菌剤のケース本体を蓋体を開いて箱状体の平面方向に並ぶように広げた状態を外側から見た図である。
図2図1のケース本体から蓋体をほぼ直角に開いた状態を内側から見た斜視図である。
図3図1のケース本体を蓋体で閉じた状態の斜視図である。
図4図3のA-A断面図である。
図5図1のケース入り除菌剤とその被取付け側のスタンドの斜視図である。
図6図5の取付けた状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態に係るケース入り除菌剤1を図1図4に従って説明する。
図1で符号3は横長長方形の扁平なケース本体3を示す。ケース本体3は浅い箱状体5と、蓋体9と、箱状体5と蓋体9をヒンジ結合するヒンジ11とによって構成されており、ヒンジ11を中心として蓋体9が回動自在になっている。
【0013】
箱状体5は、横長長方形の底面部5aと、底面部5aの縁からほぼ垂直に立ち上がる低い壁部5bによって構成されており、壁部5bは環状に連なって縁をなしている。この壁部5bには段差5cが設けられて外側が内側よりも一段低くなっている。天面部は無いので天面側が大きく開口した状態になっている。
箱状体5の一方の長辺縁側には間隔をあけて一対の凹部7、7が形成されており、凹部7は断面L形で、底面部5aと壁部5bが連なった角部が一段内方に陥没した状態になっており、凹面7aは底面部5aの外面より一段下がった位置にあり、凹面7bは壁部5bの外面よりも一段下がった位置にある。凹面7aと凹面7bは直交方向で交差した状態で連なっており、この連続部分に沿って凹面7a側に極低の凸条部7cが形成されている。
【0014】
蓋体9は、箱状体5と同様に横長長方形の天面部9aと、天面部9aの縁からほぼ垂直に立ち上がる低い壁部9bによって構成されており、壁部9bは環状に連なって縁をなしている。壁部9bには段差9cが設けられて内側が外側よりも一段低くなっている。
蓋体9の壁部9bが箱状体5の壁部5bに外嵌されると、壁部9b、5bどうしが重なり合うと共に、段差9cが段差5cに重なり合う。この状態で、蓋体9が箱状体5の天面側の開口部をぴったりと閉鎖する。
蓋体9の一方の長辺縁側と箱状体5の他方の長辺縁側で、壁部9bと壁部5bがヒンジ11によって結合されている。このヒンジ11は、長辺縁の全長ではなく、中心側に寄った位置に設けられている。
【0015】
蓋体9には、通気孔13が形成されている。この通気孔13は壁部9bと天面部9aが連なる角部に形成されており、3つを一組として箱状体5に繋がったヒンジ11を挟んでその両側に一組ずつ配置されている。通気孔13は壁部9bから天面部9aに向かって長い長円状になっている。
また、蓋体9には、通気孔15が形成されている。この通気孔15は平らな天面部9aに形成されており、天面部9aの長方形の縁の内方で相似形をなすように、長辺側に4つずつ、短辺側に3つずつ間隔をあけて、配置されている。通気孔15は通気孔13よりも細長い長円状になっており、辺に平行に長くなっている。
【0016】
天面部9aの4つの角隅には、それぞれ、角隅を二辺部として三角形状にほぼ垂直に低く外方に向かって隆起した隆起部17が設けられている。この隆起部17の残りの辺部が隆起側面部17aになっている。この隆起側面部17aはほぼ開口して通気孔19になっている。
通気孔15は天面部9aをその厚さ方向に貫通して形成されているが、通気孔19は天面部9aに対して直交する隆起側面部17aをその厚さ方向に貫通して形成されており、通気孔15と通気孔19の通気方向は互いに直交している。
また、一対の通気孔19、19は天面部9aの対角線上で対向しており、この一対の通気孔19、19を一組として二組が配置されている状態になっている。
【0017】
蓋体9の他方の長辺縁側の壁部9bには間隔をあけて一対の凹面21、21が形成されている。一対の凹面21、21は蓋体9で箱状体5を閉じたときに一対の凹部7、7に対応する位置にあり、凹面7bと凹面21がほぼ面一で並んだ状態になり、凹面21、凹面7b、凹面7aの凹面が連なる。
凹面21と天面部9aとの角部に沿って、天面部9a側には係合片23が連設されている。この係合片23は連設側を支点として回動自在になっており、蓋体9で箱状体5を閉じたときに、箱状体5側に回り込ませると、凹面21、凹面7b、凹面7aの連なった凹面内に嵌り込むよう、長辺縁に直交する方向から見ると、断面L字状になっている。
【0018】
また、係合片23の先端部の内側にはロック凸部23aが形成されており、外側には指掛け凸部23bが形成されている。このロック凸部23aが凸条部7cを乗り越えて掛止されることで、係合片23は凹部7内に嵌り込んだ状態でロックされる。また、指掛け凸部23bに指を掛けて係合片23を開く方向に回動させようとすると、ロック凸部23aが凸条部7cを乗り越えてロック状態が解除される。蓋体閉鎖保持手段は、このように係合片23を利用して構成されている。
【0019】
プラスチックケース25は、上記のようにケース本体3と蓋体閉鎖保持手段とでなり、全体が連なって、プラスチック製の一つの成形品になっている。因みに、ケース本体3のサイズは、6cm×9.5cm×8mm程度になっている。
図2に示すように、このプラスチックケース25は、二酸化塩素ガス発生用の袋入り除菌剤27を収容する。亜塩素酸塩を粒子状の無機多孔質担体に担持させたものが通気性の平袋27aに充填されており、この袋入り除菌剤27をそのままプラスチックケース25に収容する。蓋体9を閉じ、係合片23、23を利用して閉鎖状態でロックすると、図3、4に示す状態になる。
【0020】
図5に示すように、箱状体5の底面部5aの外面には面ファスナ29が取付けられている。面ファスナはフック状に密集して起毛された側とループ状に密集して起毛された側とに分かれており、両方を押し付け合うとそれだけで貼り付くようになっており、貼り付けたり剥がしたりすることが自在にできる。このループ側が面ファスナ29になっている。
【0021】
図5で符号31はスタンドを示す。このスタンド31はプラスチックで一体成形されており、矩形のベース31aの一辺縁から立ち上がった被取付面部31bの被取付面に面ファスナ33が取付けられている。
この面ファスナ33は、フック側になっている。従って、プラスチックケース25側の面ファスナ29をこの面ファスナ33に押し付けると、フックとループが係合することにより貼り付き合い、図6に示すように、プラスチックケース25がスタンド31に取付られた状態になる。
【0022】
この状態では、プラスチックケース25側は蓋体9の天面部9aが正面を向いている。発生した二酸化塩素ガスは通気孔13、13、……、通気孔15、15、……、通気孔19、19、……を通過して外に放出されるが、通気孔13、15を通過したものは天面部9aから離れる方向に進むのに対して、通気孔19を通過したものは天面部9aの表面をなぞるように広がりながら進む。通気孔19、19は対角線状に対向しているので、天面部9aの表面全体を覆って、更に一部は壁部9b側に回り込む。
【0023】
通気孔13、13、……から放出された二酸化塩素ガスにより下側の空間の除菌が図れ、通気孔15、15、……から放出された二酸化塩素ガスにより、正面側の空間の除菌が図れると共に、通気孔19、19、……から放出された二酸化塩素ガスによってプラスチックケース25の主な露出面である天面部9aのプラスチック面へのウイルス付着による汚染のリスクも効果的に軽減できる。また、通気孔19の形状は肉眼で見られるので、除菌効果を視覚的に確認して安心することができる。
【0024】
面ファスナ33は、汎用的なものであり、設置予定の場所に予め取付けておくことで、ケース入り除菌剤1の設置場所を任意に変えて、効率良く除菌効果を利用することができる。
二酸化塩素ガスは発生反応が開始した後は長時間にわたって発生し続けるため、途中でケース入り除菌剤1を取付ける場所を変える場合が出てきたときに、スタンド31ごと動かすだけでなく、室内の壁に予め面ファスナ33を取付けておき、そこにケース入り除菌剤1を取付けるようにしてもよい。除菌剤入りケース1は扁平で軽量になっており、面ファスナ29と面ファスナ33との貼り付き合いで十分な取付け強度が得られる。
【0025】
以上、本発明の実施の形態について詳述してきたが、具体的構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計の変更などがあっても発明に含まれる。
例えば、スーパーやコンビニエンスストアの客と従業員との物理的な距離が近くなるレジでは、客と従業員を隔てて飛沫感染を防ぐように透明なシートが天井から吊下げられているところが多いが、このシートの視界の邪魔にならないような位置に面ファスナ33を取付けておき、ケース入り除菌剤1を設置することも考えられる。
また、ケース本体3のサイズは変更可能であり、それに応じて通気孔の形状やサイズや配置レイアウトは、上記した機能を最適に発現させることを目的として、適宜変更することが推奨される。
【符号の説明】
【0026】
1…ケース入り除菌剤 3…ケース本体 5…箱状体 5a…底面部
5b…壁部 5c…段差 7…凹部 7a…凹面
7b…凹面 7c…凸条部 9…蓋体 9a…天面部
9b…壁部 9c…段差 11…ヒンジ 13…通気孔
15…通気孔 17…隆起部 17a…隆起側面部 19…通気孔
21…凹面 23…係合片 23a…ロック凸部 23b…指掛け凸部
25…プラスチックケース 27…二酸化塩素ガス発生用の袋入り除菌剤
27a…通気性の平袋 29…面ファスナ 31…スタンド 31a…ベース
31b…被取付面部 33…面ファスナ
図1
図2
図3
図4
図5
図6