IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ SSH株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-多層シート 図1
  • 特開-多層シート 図2
  • 特開-多層シート 図3
  • 特開-多層シート 図4
  • 特開-多層シート 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022127715
(43)【公開日】2022-09-01
(54)【発明の名称】多層シート
(51)【国際特許分類】
   B32B 3/14 20060101AFI20220825BHJP
【FI】
B32B3/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021025856
(22)【出願日】2021-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】519181124
【氏名又は名称】SSH株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100178009
【弁理士】
【氏名又は名称】小河内 功佑
(72)【発明者】
【氏名】白井 庄史
(72)【発明者】
【氏名】白井 龍史郎
(72)【発明者】
【氏名】小河内 功佑
(72)【発明者】
【氏名】鳩崎 正徳
(72)【発明者】
【氏名】戸松 嶺太郎
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 絢士
【テーマコード(参考)】
4F100
【Fターム(参考)】
4F100AT00A
4F100AT00B
4F100BA02
4F100BA07
4F100DC13A
4F100DC13B
4F100GB71
(57)【要約】

【課題】 本発明は、平面形状を容易に立体形状にすることのできる保管や持ち運びに便利な多層シートを提供することを目的とする。
【手段】 本発明の多層シートは、切り込みを設けた2枚以上のシートを重ねて固定し、それぞれのシートが重なる部分はシート同士を固定するための差し込み部と差し込み口を有し、前記切り込みが拡張されることにより内部に空間が形成されることを特徴とする。前記差し込み口はシートの中心に向かって凸状のスリットであり、当該凸状のスリットに固定されるシートの外縁が前記差し込み部を兼ねたことが好ましい。また、前記差し込み口と差し込み部を前記シートの中心部に設けたことが好ましい。

【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
切り込みを設けた2枚以上のシートを重ねて固定し、それぞれのシートが重なる部分はシート同士を固定するための差し込み部と差し込み口を有し、前記切り込みが拡張されることにより内部に空間が形成される多層シート。
【請求項2】
前記差し込み口はシートの中心に向かって凸状のスリットであり、当該凸状のスリットに固定されるシートの外縁が前記差し込み部を兼ねた請求項1記載の多層シート。
【請求項3】
前記差し込み口と差し込み部を前記シートの中心部に設けた請求項1または2記載の多層シート。
【請求項4】
前記切り込みが同心円状に一定の長さを断続的に切断することにより形成された請求項1~3のいずれかに記載の多層シート。
【請求項5】
前記切り込みを年輪状の波線上またはジグザグ線上に断続的に設けた請求項1~3のいずれかに記載の多層シート。
【請求項6】
山型の切り込みが連続する周と谷型の切り込みが連続する周を交互に配置するように前記切り込みを設けた請求項5記載の多層シート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、多層シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の段落0029~0031、0041、0063~0064、0067、図1~6、図13等には、切目20、50を設けた2枚以上のシート10、40を重ね合わせて、前記切り込みが拡張されることにより空間が形成されるサンバイザー2の発明が記載されている。本発明は非装着時にサンバイザー2を嵩張らずに収納することができ、装着時には切目20、50が広がることにより、被覆部42が立体的に変形するように構成されている。このため、本発明のサンバイザー2は、組立作業を行わずに装着することができるが、2枚以上のシート10、40を重ね合わせたときに各シートを固定することについては一切示唆がない。
【0003】
特許文献2には、厚手の紙又はプラスチックシートを打抜き加工し形成された部材を、使用者自身が組み立てる組立式のうちわが記載されている。抜打ち加工された厚手の紙又はプラスチックシートには、ミシン目及び切り込みが形成されており、道具を使用することなく容易に2枚の部材A、Bに切り離し、その2枚の部材を重ね切り込みCに差し込み片Dを差し込むことにより、結合部分を支点として擦り合わせるように開閉可能なうちわとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO2016/203608号公報
【特許文献2】実用新案登録第3205472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、平面形状を容易に立体形状にすることのできる保管や持ち運びに便利な多層シートを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の多層シートは、切り込みを設けた2枚以上のシートを重ねて固定し、それぞれのシートが重なる部分はシート同士を固定するための差し込み部と差し込み口を有し、前記切り込みが拡張されることにより内部に空間が形成されることを特徴とする。
【0007】
前記差し込み口はシートの中心に向かって凸状のスリットであり、当該凸状のスリットに固定されるシートの外縁が前記差し込み部を兼ねたことが好ましい。
前記差し込み口と差し込み部を前記シートの中心部に設けたことが好ましい。
【0008】
前記切り込みが同心円状に一定の長さを断続的に切断することにより形成されたことが好ましい。
【0009】
前記切り込みを年輪状の波線上またはジグザグ線上に断続的に設けたことが好ましい。
【0010】
山型の切り込みが連続する周と谷型の切り込みが連続する周を交互に配置するように前記切り込みを設けたことが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る多層シートは、シートの切り込みが拡張されることにより空間が形成されるため、保管したり持ち運んだりするときは平面形状のままにしておき、使用するときは切り込みを拡張することにより容易に立体形状にすることができる。また、本発明は2枚以上のシートで構成されるため、立体形状にしたときのデザインバリエーションが豊富になる。さらに、シートの差し込み部と差し込み口を使って容易に2枚以上のシートを重ねて固定できるので、製作は極めて容易である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の多層シートに使用されるシートの平面図(図1(1)、(2))である。
図2図1(1)、(2)のシートを重ねて固定した多層シートの裏面図(図2(1))および平面図(図2(2))である。
図3】多層シートの内部に空間が形成された状態の斜視図である。
図4】本発明の別の実施形態の多層シートに使用されるシートの平面図(図4(1)、(2))である。
図5図4(1)、(2)のシートを重ねて固定した多層シートの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る多層シートの実施形態を図面に基づいて説明する。
図1(1)は、本発明に係る多層シートに使用されるシート10の平面図であり、シート10には複数の切り込み11と周縁部12が設けられている。シート10は正円状に形成されており、切り込み11は年輪状の波線上に、山型の切り込みが連続する周と谷型の切り込みが連続する周を交互に配置するように設けている。
【0014】
図1(2)は、本発明に係る多層シートに使用されるシート20の平面図であり、シート20には複数の切り込み21と周縁部22が設けられている。シート20は正円状に形成されており、切り込み21は年輪状の波線上に、山型の切り込みが連続する周と谷型の切り込みが連続する周を交互に配置するように設けている。切り込み22が設けられている範囲は切り込み11が設けられている範囲よりも大きい。周縁部22にはシート10、20を重ねて固定するための差し込み口23が設けられている。
【0015】
シート10、20の形状に限定はなく、正円状の他、正方形状、矩形状などに形成しても良い。切り込み11、21の長さ、幅、位置、形状に限定はなく、後述するように切り込み11、22が拡張されることにより空間が形成されるものであれば良い。したがって、切り込み11、22を年輪状のジグザグ線上に断続的に切断することにより形成したり、切り込み11、22を同心円状に一定の長さを断続的に切断することにより形成したりすることもできる。シート10、20の素材は軽量化およびコスト削減の観点から紙などの素材を用いることが好ましいが、多層シートの用途や目的に応じて素材を選択すれば良い。
【0016】
本実施形態において、切り込み11、21は年輪状の波線上に山型の切り込みが連続する周と谷型の切り込みが連続する周を交互に配置しているので、同心円状に切り込みを設ける場合に比べて切り込み11、22の長さを長くすることができる結果として、多層シートが立体形状になったときにその表面積を大きくすることができる。したがって、例えば多層シートを帽子として使用し、切り込み11、21が通気口および庇として機能する場合にその通気性および遮光性を向上することができる。また、例えば多層シートをランプシェードとして使用する場合には、ランプシェードから漏れる電球の光を抑えることができる。
【0017】
図2(1)は図1におけるシート10、20を重ねて固定した多層シートの裏面図である。シート10の外縁は差し込み部13を兼ねており、シート20の差し込み口23にシート10の差し込み部13を差し込むことにより2枚のシートを重ねて固定している。図2(2)は図1におけるシート10、20を重ねて固定した多層シートの平面図である。
【0018】
本実施形態において、シート10の外縁が差し込み部13を兼ねるようにしたが、差し込み部13はシート10、20が重なる部分に設ければ良く、必ずしもシート10の外縁が差し込み部13を兼ねるようにしなくても良い。シート10の外縁が差し込み部13を兼ねるようにすれば、別途差し込み部13を設ける必要がないため製造コストを下げることができる。
【0019】
本実施形態において、差し込み口23はシート20の中心に向かって凸状のスリットとし、シート20の周縁部22に4つ設けたが、差し込み口23の数、長さ、幅、位置、形状に限定はなく、シート10、20が重なる部分にシート同士が固定できるように設ければ良い。また、補強のためにシート10、20を接着、縫製等の方法により固定しても良い。この場合、差し込み口23に差し込み部13を差し込むことにより、シート10、20を接着、縫製等の方法により固定するための位置を容易に合わせることが可能となる。
【0020】
本実施形態において、切り込みが設けられている範囲が大きいシート20を上部に、切り込みが設けられている範囲が小さいシート10を下部に位置して固定しているため、後記するように切り込み11、22が拡張される際にシート10、20同士が互いに干渉しないようにすることが可能となる。
【0021】
図3は本発明の多層シート1の内部に空間が形成された状態の斜視図である。切り込み11、22が拡張されることにより多層シート1の内部に空間Sが形成されている。本実施形態では拡張された切り込み11、22が波状に形成されているが、これは切り込み11、22の形状、位置等に依るものである。切り込み11が設けられている範囲は切り込み22が設けられている範囲より小さいので、シート10とシート20の間に隙間ができる結果として、シート10、20同士が互いに干渉しない。
【0022】
本発明の多層シート1は、シート10、20の切り込み11、22が拡張されることによりその内部に空間Sが形成されるため、多層シート1を保管したり持ち運んだりするときは平面形状のままにしておき(図2(1)、(2)参照)、多層シート1を使用するときは、切り込み11、22を拡張されることにより容易に立体形状にすることができる。
【0023】
本発明の多層シート1の用途として、帽子、ランプシェード、壁飾り等が挙げられるがこれらに限定されない。仮に多層シート1を帽子として使用する場合には、拡張された切り込み11、22により通気性を確保することができるし、仮に多層シート1をランプシェードとして使用する場合には、拡張された切り込み11、22から適度に電球の光が漏れるデザインにすることができる。また、多層シート1を帽子として使用する場合には、切り込み11、22の作用により、平面状態の多層シート1を頭部に被せれば自然に切り込み11、22が拡張される。
【0024】
本発明の多層シートは2枚以上のシートで構成されるため、例えば多層シートを帽子として使用する場合には、1枚のシートで構成されるものと比して、通気性を確保しつつ雨、光その他の異物が帽子の内部に侵入するのを防ぐことができる。また、仮に多層シートをランプシェードとして使用する場合は、2枚以上のシートで構成することにより、電球の光が漏れる加減を抑えることができる。多層シートは差し込み口に差し込み部を差し込むことによって組み立てることができるので、製作は極めて容易である。
【0025】
本実施形態では多層シート1を2枚のシート10、20で構成したが、シートの枚数に格別の制限はなく、2枚以上のシートで構成されていれば良い。シートの枚数が多いほど防水性や遮光性が向上するが、重量が増加することに考慮する必要がある。また、各シートの間に適切に隙間を設けるため、最上位のシートに設けたつまみを上方に引っ張った場合に、各シートが連動するように糸等で連結しても良い。
【0026】
次に本発明の別の実施形態について図4および図5を参照しながら説明する。
図4(1)は本実施形態の多層シートに使用されるシート10の平面図であり、この実施形態では、シート10の中央部に差し込み部13を半円状に設けている。
図4(2)は本実施形態の多層シートに使用されるシート20の平面図であり、この実施形態では、シート20の中央部に差し込み口23を直線状に設けている。
図5図4におけるシート10、20を重ねて固定した多層シートの平面図である。
【0027】
本実施形態においてシート10、20の中央部にのみ差し込み部13および差し込み口23を設けたが、シートの周縁部にも差し込み部および差し込み口を設ければ、シート10、20同士をより強固に固定することができる。
【0028】
以上、本発明に係る多層シートは、帽子、ランプシェード、壁飾りなど、幅広く適用することができる。
【符号の説明】
【0029】
1 多層シート
10 シート
11 切り込み
12 周縁部
13 差し込み部
20 シート
21 切り込み
22 周縁部
23 差し込み口
S 空間
図1
図2
図3
図4
図5