(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022127724
(43)【公開日】2022-09-01
(54)【発明の名称】包装袋、包装袋の製造方法、及びシート包装体
(51)【国際特許分類】
B65D 75/08 20060101AFI20220825BHJP
【FI】
B65D75/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021025872
(22)【出願日】2021-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】藁科 真一
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067AA16
3E067AB76
3E067BA20A
3E067BB01A
3E067BB14A
3E067BB25A
3E067BC03A
3E067CA24
3E067EA06
3E067FA01
3E067FC01
3E067GD10
(57)【要約】
【課題】包装性能の低下を抑制する紙製の包装袋を提供する。
【解決手段】シートをキャラメル包装する包装袋であって、紙成分を含む紙層と、前記紙層の両面に設けられた熱可塑性樹脂を含む樹脂層と、を有し、前記包装袋における前記紙成分の比率が45%以上である、包装袋。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートをキャラメル包装する包装袋であって、
紙成分を含む紙層と、
前記紙層の両面に設けられた熱可塑性樹脂を含む樹脂層と、を有し、
前記包装袋における前記紙成分の比率が45%以上である、
包装袋。
【請求項2】
前記紙層の坪量が10g/m2以上40g/m2以下である、
請求項1に記載の包装袋。
【請求項3】
前記紙層が絶縁紙またはレーヨン紙で形成されている、
請求項1または2に記載の包装袋。
【請求項4】
前記樹脂層の一層あたりの厚みが5μm以上40μm以下である、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の包装袋。
【請求項5】
前記熱可塑性樹脂が低密度ポリエチレンである、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の包装袋。
【請求項6】
縦方向の引裂強度が70mN以上350mN以下であり、
横方向の引裂強度が250mN以上950mN以下である、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の包装袋。
【請求項7】
縦方向のソフトネスが90mN/100mm以上800mN/100mm以下であり、
横方向のソフトネスが40mN/100mm以上330mN/100mm以下である、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の包装袋。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の包装袋の製造方法であって、
前記包装袋のシール部を熱溶着する溶着工程を有し、
前記溶着工程における加熱温度が120℃以上180℃以下である、
包装袋の製造方法。
【請求項9】
シール強度が0.2kN/m以上0.5kN/mである、
請求項8に記載の包装袋の製造方法。
【請求項10】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の包装袋と、
前記包装袋に収容されたシートと、を有する、
シート包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装袋、包装袋の製造方法、及びシート包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
トイレットペーパー等のシートロールが収容されたシート包装体は、樹脂フィルム製の包装袋に複数のシートロールが収容された状態で流通する(例えば、特許文献1)。近年、CO2排出に伴う地球温暖化やマイクロプラスチック等の海洋汚染等の環境負荷を抑制する観点から、シートロールを収容する包装袋の材質を樹脂製から紙製に変更するシフトする動きがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、シート包装体の包装袋を紙製にすると、紙製の包装袋は樹脂製の包装袋に比べて柔軟性がないため、シート包装体の製造時や輸送時中に包装袋が破れたり、包装袋のシール部が剥がれたりするなど、包装性能が低下する。
【0005】
本発明の課題は、包装性能の低下を抑制する紙製の包装袋を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る第1の態様は、シートをキャラメル包装する包装袋であって、紙成分を含む紙層と、前記紙層の両面に設けられた熱可塑性樹脂を含む樹脂層と、を有し、前記包装袋における前記紙成分の比率が45%以上である、包装袋である。
【0007】
本明細書において、キャラメル包装は、包装袋用シートに、シートロールがセットされた状態で、ボトムシールが施され、さらにサイドシールが施された包装態様を示す。紙層の両面に設けられた樹脂層は、紙層の表面及び裏面のいずれにも積層された樹脂層を示す。
【0008】
第1の態様では、紙成分を含む紙層の両面に設けられた熱可塑性樹脂を含む樹脂層を有することで、包装袋を柔らかくすることができる。これにより、包装袋のごわごわ感を抑制し、包装袋に追従性を付与することができる。そのため、包装袋の材質を樹脂製から紙製にシフトした場合でも、製造時や輸送時に破れにくい包装袋を提供することができる。
【0009】
また、第1の態様では、紙層の両面に設けられた樹脂層が熱可塑性樹脂を含むことで、樹脂層を包装袋の外側および内側のいずれにも配置することができる。これにより、包装袋のシール部を加熱したときに、包装袋の外側および内側のいずれでも樹脂層が接着剤として機能し得る(接着機能を有する)。そのため、第1の態様では、シートをキャラメル包装する場合でも、シールが容易であり、しかもシール部が剥がれにくい。
【0010】
さらに、第1の態様では、包装袋における紙成分の比率を45%以上にすることで、樹脂層が接着剤として機能する場合でも、包装袋の内側に配置された樹脂層が包装袋に収容されたシートに対して貼り付きにくい。また、第1の態様では、包装袋における紙成分の比率が45%以上であるため、環境負荷が抑制されたシート包装体を提供することができる。
【0011】
本発明に係る第2の態様は、前記紙層の坪量が10g/m2以上40g/m2以下である、包装袋である。本明細書において、紙層の坪量は、JIS P 8124(2011)の規定に準拠して測定される坪量を示す。
【0012】
第2の態様では、紙層の坪量を10g/m2以上40g/m2以下にすることで、包装袋の強度を維持することができる。そのため、第2の態様によれば、さらに破れにくい包装袋を提供することができる。
【0013】
本発明に係る第3の態様は、前記紙層がクラフト紙またはレーヨン紙で形成されている、包装袋である。本明細書において、クラフト紙は、クラフトパルプを原料とする紙を示す。また、レーヨン紙は、木材パルプなどから化学合成して作られたレーヨン繊維をクラフトパルプに配合させたものを示す。なお、レーヨン紙は、包装袋の柔らかさと強度を両立させる観点から、レーヨン繊維の配合率が質量比で20%以下のものが好ましい。
【0014】
第3の態様では、紙層をクラフト紙またはレーヨン紙で形成することで、包装袋の強度を維持することができる。
【0015】
本発明に係る第4の態様は、前記樹脂層の一層あたりの厚みが5μm以上40μm以下である、包装袋である。本明細書において、樹脂層の厚みは、JIS P 8118(2014)の規定に準拠して測定される厚みを示す。
【0016】
第4の態様では、紙層の両面に設けられた各樹脂層の厚みを5μm以上40μm以下にすることで、包装袋における紙成分の比率を45%以上に維持しやすくなる。また、包装袋のごわごわ感を抑制しながら、包装袋のシール時における樹脂層の接着機能を維持することができる。
【0017】
本発明に係る第5の態様は、前記熱可塑性樹脂が低密度ポリエチレンである、包装袋である。第5の態様では、各樹脂層に含まれる熱可塑性樹脂として低密度ポリエチレンを用いることにより、包装袋のごわごわ感をさらに抑制しながら、包装袋のシール時における樹脂層の接着機能を向上させることができる。
【0018】
本発明に係る第6の態様は、縦方向の引裂強度が70mN以上350mN以下であり、横方向の引裂強度が250mN以上950mN以下である、包装袋である。本明細書において、引裂強度は、JIS P 8116(2000)の規定に準拠して測定される引裂強度を示す。縦方向は、包装袋を構成する繊維の流れ方向であり、横方向は、包装袋を構成する繊維の流れ方向と直交する方向である。
【0019】
第6の態様では、シートをキャラメル包装する紙製の包装袋において、縦方向の引裂強度が70mN以上350mN以下であり、横方向の引裂強度が250mN以上950mN以下であると、キャラメル包装袋の柔軟性および追従性が向上する。これにより、第6の態様では、製造時や輸送時に破れにくく、シールが容易で、シール部が剥がれにくいキャラメル包装袋を提供することができる。
【0020】
本発明に係る第7の態様は、縦方向のソフトネスが90mN/100mm以上800mN/100mm以下であり、横方向のソフトネスが40mN/100mm以上330mN/100mm以下である、包装袋である。本明細書において、ソフトネスは、JIS L 1096 E法の規定に準拠して測定されるソフトネスを示す。
【0021】
第7の態様では、シートをキャラメル包装する紙製の包装袋において、縦方向のソフトネスが90mN/100mm以上800mN/100mm以下であり、横方向のソフトネスが40mN/100mm以上330mN/100mm以下であることで、キャラメル包装袋の柔軟性および追従性がさらに向上する。これにより、第7の態様では、製造時や輸送時に破れにくく、シールが容易で、シール部が剥がれにくいキャラメル包装袋を提供することができる。
【0022】
本発明に係る第8の態様は、第1乃至第7の態様に係る包装袋の製造方法であって、前記包装袋のシール部を熱溶着する溶着工程を有し、前記溶着工程における加熱温度が120℃以上180℃以下である、包装袋の製造方法である。本明細書において、熱溶着は、包装袋用シートの一部を加熱して包装袋用シートの一部同士を溶着することを示す。
【0023】
第8の態様では、シートをキャラメル包装する包装袋において、包装袋のシール部を熱溶着する際の加熱温度を120℃以上180℃以下にすることで、シートをキャラメル包装する包装袋を樹脂製から紙製にシフトした場合でも、シール部が剥がれにくくシール性の高い包装袋が得られる。
【0024】
本発明に係る第9の態様は、シール強度が0.2kN/m以上0.5kN/mである、包装袋の製造方法である。本明細書において、シール強度は、JIS Z0238(1998)の規定に準拠して測定されるシール強度を示す。
【0025】
第9の態様では、シートをキャラメル包装する包装袋のシール部において、シール強度が0.2kN/m以上0.5kN/mであると、シートをキャラメル包装する包装袋を樹脂製から紙製にシフトした場合に、さらにシール部が剥がれにくくシール性の高い包装袋が得られる。
【0026】
本発明に係る第10の態様は、第1乃至第7の態様に係る包装袋と、前記包装袋に収容されたシートと、を有する、シート包装体である。第10の態様では、上述の包装袋にシートが収容されたシート包装体を構成することで、上述の包装袋と同様の効果が得られる。すなわち、第10の態様によれば、包装袋を樹脂製から紙製にシフトした場合でも、製造時や輸送時に包装袋が破れにくいシート包装体を提供することができる。
【0027】
また、第10の態様では、包装袋をシール(または封止)する際に紙層の両層に設けられた樹脂層を加熱することで、溶けた樹脂層が接着剤として機能し得る(接着機能を有する)ため、シートをキャラメル包装する場合でも包装袋のシールが容易で、シール部が剥がれにくいシート包装体が得られる。
【0028】
さらに、第10の態様では、包装袋における紙成分の比率を45%以上にすることで、樹脂層が接着剤として機能する場合でも、包装袋の内側に配置された樹脂層が包装袋に収容されたシートに対して貼り付きにくいシート包装体が得られる。また、第10の態様では、包装袋における紙成分の比率が45%以上であるため、環境負荷を抑制するシート包装体が得られる。
【発明の効果】
【0029】
本発明の一態様によれば、包装性能の低下を抑制する紙製の包装袋を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】包装袋にシートロールが収容されたシート包装体を示す図である。
【
図2】包装袋に収容されるシートロールを示す図である。
【
図3】
図1のシート包装体を天面側から見た図である。
【
図4】
図1のシート包装体を底面側から見た図である。
【
図5】
図1のシート包装体を一方の側面側から見た図である。
【
図6】
図1のシート包装体を他方の側面側から見た図である。
【
図7】
図1のシート包装体を一方の妻面側から見た図である。
【
図8】
図1のシート包装体を他方の妻面側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
<シート包装体>
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図において、共通する部分は、同一の符号を付して説明を省略する場合がある。また、各図において、各部材の縮尺は実際とは異なる場合がある。なお、各図では、3軸方向(X方向、Y方向、Z方向)の3次元直交座標系を用い、包装袋の幅方向をX方向とし、長手方向をY方向とし、高さ方向(上下方向または厚み方向)をZ方向とする。
【0032】
図1は、実施形態の包装袋にシートが収容されたシート包装体を示す図である。
図2は、包装袋に収容されるシートを示す図である。
図3、
図4、
図5、
図6、
図7、
図8は、
図1のシート包装体を天面側、底面側、一方の側面側、他方の側面側、一方の妻面側、他方の妻面側からそれぞれ見た図である。シート包装体100は、本実施形態に係るシート包装体の一例であり、包装袋10、シートロール20を有する。
【0033】
<シート>
シートロール20は、本実施形態に係る包装袋に収容されるシートの一例である。シートロール20は、
図1に示すように、包装袋10に4個収容されている。シートロール20は、
図2に示すように、長尺シート21が中空コア22に巻回されて構成されている。なお、シートは、本実施形態のようなシートロールに限定されず、複数枚のシートが積層されたシート積層体でもよい。
【0034】
シートロール20の態様は、特に限定されず、例えば、トイレットペーパー、キッチンペーパー、ペーパータオル、ティシューペーパー等の衛生薄葉紙に適用可能である。シートロール20の用途は、特に限定されず、産業用、家庭用、携帯用のいずれも適用できる。なお、本実施形態におけるシートロール20としては、これらの中でも、家庭用のトイレットペーパーが好適に用いられる。
【0035】
シートロール20の周面21Aは、包装袋10の天面11、底面12、側面13、側面14にそれぞれ対面し、周面21Aの一部は隣接するシートロール20の周面21Aの一部に接触する。4つのシートロール20のうち、包装袋10の妻面15側の2つは、シートロール20の側面21Bが包装袋10の妻面15に対面し、包装袋10の妻面16側の2つは、シートロール20の側面21Cが包装袋10の妻面16に対面する。
【0036】
シートロール20の寸法は、特に限定されないが、長尺シート21の幅方向(Y方向)の幅寸法(ロール幅)L2が好ましくは85mm以上400mm以下であり、長尺シート21の径方向(X方向またはZ方向)の径寸法(ロール径)W2が好ましくは80mm以上200mm以下である(
図2参照)。
【0037】
長尺シート21のプライ数は、特に限定されないが、1プライ以上にすることができ、好ましくは1プライまたは2プライ(2枚重ね)である。
【0038】
長尺シート21の材質は、特に限定されないが、例えば、紙、不織布または布等のシートを用いることができ、好ましくは紙(紙シート)である。なお、長尺シート21が紙シートの場合、パルプを主原料とする原紙が用いられる。パルプ組成は、紙シートにおける公知の組成を用いることができる。例えば、パルプの配合割合を、50質量%以上、好ましくは90質量%以上、より好ましくは100質量%とすることができる。
【0039】
また、長尺シート21(紙シート)におけるパルプ組成は、特に限定されない。例えば、NBKP(針葉樹クラフトパルプ)やNUKP(針葉樹未晒しパルプ)などの針葉樹パルプと、LBKP(広葉樹クラフトパルプ)やLUKP(広葉樹未晒しパルプ)などの広葉樹パルプとを、任意の比率で使用することができる。なお、広葉樹パルプと針葉樹パルプの比は、限定されないが、好ましくは10:90~80:20であり、より好ましくは広葉樹パルプに対して針葉樹パルプの比率がより多いパルプ組成である。また、長尺シート21(紙シート)に含まれるパルプには、古紙パルプを用いても良い。
【0040】
長尺シート21の坪量は、特に限定されないが、プライ数に応じて、紙の場合は5g/m2以上80g/m2以下であり、好ましくは10g/m2以上60g/m2以下、より好ましくは10g/m2以上45g/m2以下である。また、不織布の場合は20g/m2以上100g/m2以下のものが望ましい。なお、坪量は、JIS P 8124(2011)の規定に準拠して測定される。
【0041】
また、長尺シート21(紙シート)の厚みは、特に限定されず、JIS P 8111(1998)の環境下で測定された紙厚を採用することができる。例えば、長尺シート21が紙の場合、紙厚は、2プライあたり、50μm以上600μm以下であり、好ましくは60μm以上500μm以下、より好ましくは130μm以上400μm以下である。
【0042】
また、長尺シート21(紙シート)には、エンボス加工が施されていてもよい。このようなエンボス加工は、公知のエンボス付与方法により実施することができる。
【0043】
また、中空コア22は、周方向(R方向)に長尺シート21が巻き付けられる円筒状の巻芯である(
図2参照)。また、中空コア22には、巻芯が存在しない構造(コアレス構造)も含まれる。中空コア22の材質は、特に限定されず、紙、樹脂等を用いることができる。
【0044】
中空コア22の形態は、特に限定されず、例えば、中空コア22が紙管の場合は、一層の厚紙で構成したもの、複数層の厚紙で構成したもののいずれでもよく、厚紙への印刷や消臭剤の塗工を事前に行った塗工厚紙原紙でも良い。また、紙管の巻き方は、特に限定されず、例えば、平巻きのもの、螺旋状に巻かれたもの(いわゆるスパイラル紙管)等のいずれでもよい。
【0045】
中空コア22の寸法は、特に限定されない。例えば、中空コア22の長手方向(Y方向)の長さは、シートロール20の幅方向(Y方向)のロール幅と同程度(85mm以上400mm以下)である。また、中空コア22の径方向(X方向またはZ方向)の径寸法は、33mm以上50mm以下であり、好ましくは35mm以上45mm以下である(
図2参照)。
【0046】
<包装袋>
包装袋10は、本実施形態に係る包装袋の一例である。包装袋10は、紙成分を含む紙層10Aと、紙層10Aの両面に設けられた熱可塑性樹脂を含む樹脂層10B、10Cとを有する(
図9)。本実施形態では、包装袋10が、紙層10Aの表面及び裏面のいずれにも樹脂層(樹脂層10B、10C)が積層された3層構造を有する(
図9)。
【0047】
また、包装袋10は、包装袋10における紙成分の比率が45%以上となっている。ここで、紙成分は、例えば、植物繊維を膠着させたもの(パルプ)である。紙成分におけるパルプ組成は、限定されず、例えば、広葉樹パルプと針葉樹パルプの比が0:100~70:30であり、好ましくは広葉樹パルプに対して針葉樹パルプの比率がより多いパルプ組成である。また、パルプには、古紙パルプを用いても良い。
【0048】
包装袋10を構成する紙層10Aの材質は、特に限定されないが、例えば、クラフト紙またはレーヨン紙で形成することができる。ここで、クラフト紙は、クラフトパルプを原料とする紙である。また、レーヨン紙は、木材パルプなどから化学合成して作られたレーヨン繊維をクラフトパルプに配合させたものである。なお、レーヨン紙は、包装袋10の柔らかさと強度を両立させる観点から、レーヨン繊維の配合率が質量比で20%以下のものが好ましい。
【0049】
包装袋10を構成する紙層10Aの坪量は、限定されないが、好ましくは10g/m2以上40g/m2以下であり、より好ましくは15g/m2以上35g/m2以下、さらに好ましくは20g/m2以上30g/m2以下である。なお、坪量は、JIS P 8124(2011)の規定に準拠して測定される。
【0050】
包装袋10を構成する紙層10Aの厚みは、限定されないが、例えば、好ましくは20μm以上100μm以下であり、より好ましくは25μm以上90μm以下、さらに好ましくは40μm以上75μm以下である。なお、厚みは、JIS P 8118(2014)の規定に準拠して測定される。
【0051】
包装袋10を構成する樹脂層10B、10Cに含まれる熱可塑性樹脂の材質は、特に限定されないが、好ましくは低密度ポリエチレンである。なお、低密度ポリエチレンとしては高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(L-LDPE)のいずれでもよい。
【0052】
包装袋10を構成する樹脂層10B、10Cの厚みは、限定されないが、樹脂層10B、10Cの各層(一層あたり)の厚みが好ましくは5μm以上40μm以下であり、より好ましくは7μm以上35μm以下であり、さらに好ましくは9μm以上30μm以下である。なお、紙厚は、JIS P 8118(2014)の規定に準拠して測定される。
【0053】
包装袋10の坪量は、限定されないが、好ましくは20g/m2以上70g/m2以下であり、より好ましくは25g/m2以上65g/m2以下、さらに好ましくは30g/m2以上60g/m2以下である。なお、坪量は、JIS P 8124(2011)の規定に準拠して測定される。
【0054】
包装袋10の厚みは、限定されないが、例えば、25μm以上105μm以下であり、好ましくは30μm以上95μm以下、より好ましくは45μm以上80μm以下である。なお、厚みは、JIS P 8118(2014)の規定に準拠して測定された厚みを採用することができる。
【0055】
包装袋10の密度は、限定されないが、例えば、0.1g/m3以上1.5g/m3以下0.3g/m3以上1.2g/m3以下、より好ましくは0.5g/m3以上0.9g/m3以下である。なお、密度は、JIS P 8118(2014)の規定に準拠して測定される。
【0056】
包装袋10の引張強度は、限定されないが、例えば、繊維の縦方向(流れ方向)に1kN/m以上6kN/m以下、好ましくは1.3kN/m以上5.5kN/m以下より好ましくは1.5kN/m以上5kN/m以下であり、横方向(流れ方向と直交する方向)に0.1kN/m以上2.5kN/m以下、好ましくは0.2kN/m以上2.4kN/m以下より好ましくは0.3kN/m以上2.3kN/m以下である。なお、引張強度は、JIS P 8113(2006)の規定に準拠して測定される。
【0057】
包装袋10の引裂強度は、限定されないが、例えば、繊維の縦方向(流れ方向)に70mN以上350mN以下、好ましくは80mN以上340mN以下より好ましくは90mN以上330mN以下であり、横方向(流れ方向と直交する方向)に250mN以上950mN以下、好ましくは280mN以上930mN以下より好ましくは300mN以上920mN以下である。なお、引裂強度は、JIS P 8116(2000)の規定に準拠して測定される。
【0058】
包装袋10のソフトネスは、限定されないが、例えば、繊維の縦方向(流れ方向)のソフトネスは、90mN/100mm以上800mN/100mm以下、好ましくは110mN/100mm以上750mN/100mm以下、より好ましくは130mN/100mm以上730mN/100mm以下である。また、横方向(流れ方向と直交する方向)のソフトネスは、40mN/100mm以上330mN/100mm以下、好ましくは、50mN/100mm以上310mN/100mm以下、より好ましくは60mN/100mm以上310mN/100mm以下である。なお、ソフトネスは、JIS L 1096 E法に準じたハンドルオメータ法に基づいて測定される。
【0059】
包装袋10は、天面11、底面12、側面13、側面14、妻面15、妻面16を有する。なお、包装袋10では、天面11と底面12が上下方向(Z方向)に対向し、側面13と側面14が幅方向(X方向)に対向し、妻面15と妻面16が長手方向(Y方向)に対向する。そして、妻面15、16は、天面11、底面12、側面13、および側面14のいずれにも連続する(
図1、
図3~
図8)。
【0060】
また、包装袋10の寸法は、特に限定されないが、例えば、包装袋10の長手方向(Y方向)の長さL1が170mm以上800mm以下、包装袋10の長手方向(Y方向)に直交する幅方向(X方向)の幅W1が160mm以上400mm以下、高さ方向(Z方向)の高さH1が160mm以上400mm以下である。なお、この包装袋10の寸法は、包装袋10に4つのシートロール20が収容された状態での寸法を示す。
【0061】
包装袋10では、包装袋10の天面11、底面12、妻面15、妻面16の少なくともいずれかに、包装袋10の開封口(図示せず)を設けてもよい。このような開封口は、例えば、ミシン目等の開裂用切目線を形成し、この開裂用切目線を開裂することで形成することができる。
【0062】
ここで、開裂用切目線は、カットとタイ(2つのカット間のカットされていない部分)が交互に配置され、タイが破断すると両隣のカットが連続したカットになる切目線を示す。なお、開裂用切目線のカットの態様は、特に限定されないが、好ましくは包装袋の紙層10A、樹脂層10B、10Cを貫通させる。
【0063】
包装袋10では、包装袋10の天面11、底面12、側面13、側面14、妻面15、妻面16の少なくともいずれかに、通気孔(図示せず)を設けてもよい。通気孔は、包装袋10の空気穴として機能することができる。なお、通気孔の数、形状、サイズは、任意である。なお、通気孔の態様は、任意であるが、包装袋の紙層10A、樹脂層10B、10Cを貫通させることが好ましい。
【0064】
包装袋10は、長手方向(Y方向)の両端に一対のシール部30、40、50を有する。シール部30、40は、包装袋10の妻面15、16にサイドシールとして形成され、シール部50は、包装袋10の底面12にボトムシールとして形成されている。
【0065】
そして、包装袋10は、キャラメル包装袋で構成されている。具体的には、妻面15、16のシール部30、40(サイドシール)が、折りたたまれた状態でシールされている(
図1、
図2~
図8)。なお、キャラメル包装は、包装袋用シート(図示せず)が包装機(図示せず)へ供給され、シートロールをセットした後、包装機内で包装袋用シートにボトムシールが施され、その後サイドシールが施されたものである(
図1、
図7、
図8)。
【0066】
シール部30、40、50の態様は、任意であり、例えば、シール部30、40、50が熱溶着されている。ここで、熱溶着は、包装袋用シートの一部を加熱して包装袋用シートの一部同士を溶着することを示す。具体的には、包装袋10の樹脂層10B、10Cのいずれかが包装袋10の内側に配置された状態で、シール部30、40、50が熱溶着されている(
図1、
図7~
図9)。
【0067】
熱溶着における加熱温度は、任意であるが、好ましくは120℃以上180℃以下に調整し、より好ましくは130℃以上170℃以下、さらに好ましくは140℃以上160℃以下に調整する。
【0068】
また、熱溶着におけるシール強度は、任意であるが、好ましくは0.2kN/m以上0.5kN/mに調整し、より好ましくは0.21kN/m以上0.49kN/m、さらに好ましくは0.22kN/m以上0.48kN/mに調整する。本明細書において、シール強度は、JIS Z0238(1998)の規定に準拠して測定されるシール強度を示す。
【0069】
なお、包装袋10では、シール部30、40、50のラップピッチは、特に限定されないが、例えば、80mm以上400mm以下にすることができ、好ましくは100mm以上300mm以下、より好ましくは160mm以上200mm以下である。
【0070】
ここで、シール部30、40のラップピッチは、包装袋10の妻面15、16で天面11側の折りたたみ部分と底面12側の折りたたみ部分とが重なり合う接着領域の高さ方向(Z方向)の寸法を示す。また、シール部50のラップピッチは、包装袋10の底面12で包装袋用シートの長手方向の両端部が重なり合う接着領域の幅方向(X方向)の寸法を示す。
【0071】
本実施形態の包装袋10では、上述のように、紙成分を含む紙層10Aの両面に設けられた熱可塑性樹脂を含む樹脂層10B、10Cを有することで、包装袋10を柔らかくすることができる。これにより、包装袋10のごわごわ感を抑制し、包装袋10に追従性を付与することができる。そのため、本実施形態によれば、包装袋10の材質を樹脂製から紙製にシフトした場合でも、製造時や輸送時に破れにくい包装袋10を提供することができる。
【0072】
また、本実施形態では、紙層10Aの両面に設けられた樹脂層10B、10Cが熱可塑性樹脂を含むことで、樹脂層10B、10Cを包装袋10の外側および内側のいずれにも配置することができる。これにより、包装袋10のシール部30、40、50を加熱したときに、包装袋10の外側および内側のいずれでも樹脂層10B、10Cが接着剤として機能し得る(接着機能を有する)。そのため、本実施形態では、シートロール20をキャラメル包装する場合でも、シールが容易であり、しかもシール部30、40、50が剥がれにくい。
【0073】
本実施形態では、包装袋10における紙成分の比率を45%以上にすることで、樹脂層10B、10Cが接着剤として機能する場合でも、包装袋10の内側に配置された樹脂層(樹脂層10Bまたは樹脂層10C)が包装袋10に収容されたシートロール20に対して貼り付きにくい。また、本実施形態では、包装袋10における紙成分の比率が45%以上であるため、環境負荷を抑制することができる。
【0074】
本実施形態の包装袋10では、上述のように、紙層10Aの坪量を10g/m2以上40g/m2以下にすることで、包装袋10の強度を維持することができる。そのため、本実施形態によれば、さらに破断しにくい包装袋10を提供することができる。
【0075】
本実施形態では、上述のように、紙層10Aをクラフト紙またはレーヨン紙で形成することで、包装袋10の強度を維持することができる。
【0076】
本実施形態では、上述のように、紙層の両面に設けられた各樹脂層10B、10Cの厚みを5μm以上40μm以下にすることで、包装袋における紙成分の比率を45%以上に維持しやすくなる。また、包装袋のごわごわ感を抑制しながら、包装袋のシール時における樹脂層10B、10Cの接着機能を維持することができる。
【0077】
本実施形態では、上述のように、各樹脂層10B、10Cに含まれる熱可塑性樹脂として低密度ポリエチレンを用いることにより、包装袋10のごわごわ感をさらに抑制しながら、包装袋10のシール時における樹脂層10B、10Cの接着機能を向上させることができる。
【0078】
本実施形態では、上述のように、シートロール20をキャラメル包装する紙製の包装袋において、縦方向の引裂強度が70mN以上350mN以下であり、横方向の引裂強度が250mN以上950mN以下であることで、キャラメル包装袋10の柔軟性および追従性が向上する。これにより、本実施形態では、製造時や輸送時に破れにくく、シールが容易で、シール部30、40、50が剥がれにくいキャラメル包装袋10を提供することができる。
【0079】
本実施形態では、上述のように、シートロール20をキャラメル包装する紙製の包装袋10において、縦方向のソフトネスが90mN/100mm以上800mN/100mm以下であり、横方向のソフトネスが40mN/100mm以上330mN/100mm以下であることで、キャラメル包装袋10の柔軟性および追従性がさらに向上する。これにより、本実施形態では、製造時や輸送時に破れにくく、シールが容易で、シール部30、40、50が剥がれにくいキャラメル包装袋10を提供することができる。
【0080】
本実施形態では、上述のように、包装袋10にシートロール20が収容されたシート包装体100を構成することで、上述の包装袋10と同様の効果が得られる。すなわち、本実施形態によれば、包装袋10を樹脂製から紙製にシフトした場合でも、製造時や輸送時に包装袋が破れにくいシート包装体を提供することができる。
【0081】
また、本実施形態では、上述のように、包装袋10をシール(または封止)する際に紙層10Aの両層に設けられた樹脂層10B、10Cを加熱することで、溶けた樹脂層10B、10Cが接着剤として機能し得る(接着機能を有する)ため、シートロール20をキャラメル包装する場合でも包装袋10のシールが容易で、シール部30、40、50が剥がれにくいシート包装体100が得られる。
【0082】
さらに、本実施形態では、上述のように、包装袋10における紙成分の比率を45%以上にすることで、樹脂層10B、10Cが接着剤として機能する場合でも、包装袋10の内側に配置された樹脂層(樹脂層10Bまたは樹脂層10C)が包装袋10に収容されたシートロール20に対して貼り付きにくいシート包装体100が得られる。また、本実施形態では、包装袋10における紙成分の比率が45%以上であるため、環境負荷を抑制するシート包装体100が得られる。
【0083】
<包装袋の製造方法>
本実施形態に係る包装袋の製造方法は、上述の包装袋10を製造する方法である。具体的には、包装袋10のシール部30、40、50を熱溶着する溶着工程を有する。溶着工程では、加熱温度を120℃以上180℃以下、好ましくは130℃以上170℃以下、より好ましくは140℃以上160℃以下に調整して熱溶着が行われる。
【0084】
また、溶着工程では、シール強度を0.2kN/m以上0.5kN/mに調整することが好ましく、より好ましくは0.21kN/m以上0.49kN/m、さらに好ましくは0.22kN/m以上0.48kN/mに調整する。なお、溶着工程以外の工程については、従来の樹脂フィルムの包装袋を製造する方法で用いられる工程を採用することができる。
【0085】
本実施形態に係る包装袋の製造方法によれば、包装袋10のシール部30、40、50を熱溶着する溶着工程で加熱温度を120℃以上180℃以下にすることで、上述のように包装袋の材質を樹脂製から紙製にシフトした場合でも、シール性の高い包装袋10が得られる。
【0086】
また、本実施形態に係る包装袋の製造方法によれば、シートロール20をキャラメル包装する包装袋10のシール部30、40、50において、シール強度が0.2kN/m以上0.5kN/mであると、シートロール20をキャラメル包装する包装袋10を樹脂製から紙製にシフトした場合に、さらにシール部30、40、50が剥がれにくくシール性の高い包装袋10が得られる。
【実施例0087】
以下、本発明について、さらに実施例を用いて具体的に説明する。実施例、比較例の評価は、以下の試験により行った。
【0088】
[試験体]
試験体として、4つのシートロール20が包装袋10にキャラメル包装されたシート包装体100を用意した(
図1~
図8)。シートロール20は、市販のロール状のトイレットペーパー(大王製紙株式会社製、エリエールトイレットティシュー、55m、シングル、138g/ロール)を用いた。
【0089】
[米坪]
試験体における包装袋10の米坪(坪量)を、JIS P 8124(2011)の規定に準拠して測定した。米坪の単位は、g/m2である。
【0090】
[紙厚]
試験体における包装袋10の紙厚(厚み)を、JIS P 8118(2014)の規定に準拠して測定した。厚みの単位は、μmである。
【0091】
[密度]
試験体における包装袋10の密度を、JIS P 8118(2014)の規定に準拠して測定した。密度の単位は、g/m3である。
【0092】
[引張強度]
試験体における包装袋10について、JIS P 8113(2006)の規定に準拠して、テンシロン万能試験機(A&D社製、RTG-1210)を使用し、縦方向(流れ方向)と横方向(流れ方向と直交する方向)の引張強度(mN)を測定した。
【0093】
[伸び]
試験体における包装袋10について、JIS P 8113(2006)の規定に準拠して、テンシロン万能試験機(A&D社製、RTG-1210)を使用し、縦方向(流れ方向)と横方向(流れ方向と直交する方向)の伸び(%)を測定した。
【0094】
[引裂強度]
試験体における包装袋10について、JIS P 8116(2000)の規定に準拠して、引裂強度試験機(熊谷理機工業社製、エルメンドルフ引裂度試験機(デジタル表示式))を使用し、繊維の縦方向(流れ方向)と横方向(流れ方向と直交する方向)の引裂強度を測定した。
【0095】
[ソフトネス]
試験体の包装袋10について、JIS L 1096 E法に準じたハンドルオメータ法に従ってソフトネスを測定した。試験片は100mm×100mmの大きさとし、クリアランスは5mmとした。測定は、表・縦方向(流れ方向)、表・横方向(流れ方向と直交する方向)の各々5回ずつ測定し、その全10回の平均値を、mN/100mmを単位として表した。なお、ソフトネスは、JIS L 1096 E法に準じたハンドルオメータ法に基づいて測定した。但し、試験片は100mm×100mmの大きさとし、クリアランスは5mmで実施した。ソフトネスの測定は、ハンドルオメータ(熊谷理機工業社製、手触り測定器)を用いて、1プライで縦方向、横方向の各々5回ずつ測定し、その全10回の平均値を小数点1桁とし、mNを単位として表した。
【0096】
[ヒートシール強度]
試験体の包装袋10について、ヒートシール強度を確認した。ヒートシール強度は、120℃、140℃、160℃、180℃についてそれぞれ測定した。ヒートシール強度の測定は、ロードセル引張試験器(A&D社製、テンシロンRTG-1210)、および熱傾斜試験機(東洋精機製、TYPE HG-100)を用いて、縦方向に長さ300mm、横方向に幅120mmの試験片を、ヒートシール面を内側にして縦方向の内側に折り、熱傾斜試験器で試験片をシールする。このとき、荷重は1.0kgf、時間は1.0秒、温度設定は120℃、140℃、160℃、180℃の4水準で試験をする。ヒートブロックは幅1.0cm、長さ2.5cmのブロックを5個(横並びで5連)で荷重は均等とする。ヒートシールした試験片からヒートシール強度測定用の試験片を採取する。試験片は幅1.5cm×長さ15cm程度としヒートシール部のヒートブロック1個分を含む。試験片の両端部を、ロードセル引張試験機のチャッキング間を100mmとして、試験片の中央部にヒートシール部が配置されるようにセットして引張試験を行う。
【0097】
[紙成分(比率)]
試験体の包装袋10について、紙層の比重と樹脂層の比重から、紙成分の比率(%)を算出した。
【0098】
[サイドシールの接着性]
試験体について、サイドシール(シール部30、40)の接着性を評価した。評価は、試験体を天面11と底面12から手で圧縮させたときに、サイドシール(シール部30、40)が剥がれなかった場合は〇(良好)、サイドシールが破れた場合は△(やや不良)、サイドシールが接着しなかった場合は×(不良)、と評価した。
【0099】
[サイドシールのロール付着性]
試験体について、サイドシール(シール部30、40)のロール付着性を評価した。評価は、サイドシール(シール部30、40)を剥がしたときにシートロール20が破れなかった場合は〇(良好)、シートロール20が包装袋10のサイドシールに接着した場合は△(やや不良)、シートロール20が包装袋のサイドシールに貼り付いて破れた場合は×(不良)、と評価した。
【0100】
[ボトムシールの接着性]
試験体について、ボトムシール(シール部50)の接着性を評価した。評価は、試験体を天面11と底面12から手で圧縮させ、ボトムシール(シール部50)が剥がれなかった場合は〇(良好)、ボトムシールが破れた場合は△(やや不良)、ボトムシールが接着しなかった場合は×(不良)、と評価した。
【0101】
[ボトムシールのロール付着性]
試験体について、ボトムシール(シール部50)のロール付着性を評価した。評価は、ボトムシール(シール部50)を剥がしたときにシートロール20が破れなかった場合は〇(良好)、シートロール20が包装袋10のボトムシールに接着した場合は△(やや不良)、シートロール20が包装袋のボトムシールに貼り付いて破れた場合は×(不良)、と評価した。
【0102】
[包装袋の破れ]
試験体を天面11と底面12から手で圧縮させ、包装袋10が破れるかを確認した。評価は、包装袋10が破れなかった場合は○(良好)、包装袋10は破れないが柔軟性がない場合は△(やや不良)、包装袋10が破れた場合は×(不良)、と評価した。
【0103】
以下、実施例及び比較例に用いる素材ついて、説明する。
【0104】
[素材1]
紙層10Aに坪量30g/m2のレーヨン紙を用い、樹脂層10B、10C(紙層10Aの両面)に坪量10g/m2、厚み11μmの低密度ポリエチレンを用いた3層構造の素材1を構成した。素材1の性状(紙成分(比率)、坪量、厚み、密度、引張強度、伸び、引裂強度、ソフトネス、ヒートシール強度)を、表1に示す。
【0105】
[素材2]
紙層10Aに坪量30g/m2のクラフト紙を用い、樹脂層10B、10C(紙層10Aの両面)に坪量14g/m2、厚み15μmの低密度ポリエチレンを用いた以外は、素材1と同様に素材2を構成した。素材2の性状を、表1に示す。
【0106】
[素材3]
紙層10Aに坪量20g/m2のレーヨン紙を用い、樹脂層10B(紙層10Aの片面)のみの2層構造とした以外は、素材1と同様に素材3を構成した。素材3の性状を、表1に示す。
【0107】
[素材4]
樹脂層10B(紙層10Aの片面)のみの2層構造とし、樹脂層10Bに坪量18g/m2、厚み20μmの低密度ポリエチレンを用いた以外は、素材1と同様に素材4を構成した。素材4の性状を、表1に示す。
【0108】
[素材5]
樹脂層10B(紙層10Aの片面)のみの2層構造とし、樹脂層10Bに坪量27g/m2、厚み30μmの低密度ポリエチレンを用いた以外は、素材2と同様に素材5を構成した。素材5の性状を、表1に示す。
【0109】
[素材6]
包装袋10を紙層10Aのみで構成し、紙層10Aを坪量65g/m2で未晒しのクラフト紙を用いた以外は、素材1と同様に素材6を構成した。素材6の性状を、表1に示す。
【0110】
以下、実施例及び比較例について、説明する。
【0111】
[実施例1]
包装袋10に素材1を用い、サイドシールの加熱温度を142℃、ボトムシールの加熱温度を110℃、シール速度50m/secで、キャラメル包装した。サイドシールの接着性、サイドシールのロール付着性、ボトムシールの接着性、ボトムシールのロール付着性、包装袋の破れを表2に示す。
【0112】
[実施例2]
サイドシールの加熱温度を147℃にした以外は、実施例1と同様に作製、評価した。結果を表2に示す。
【0113】
[実施例3]
サイドシールの加熱温度を152℃にした以外は、実施例1と同様に作製、評価した。結果を表2に示す。
【0114】
[実施例4]
サイドシールの加熱温度を157℃にした以外は、実施例1と同様に作製、評価した。結果を表2に示す。
【0115】
[実施例5]
包装袋10に素材1を用い、サイドシールの加熱温度を153℃、ボトムシールの加熱温度を120℃とした以外は、実施例1と同様に測定、評価した。結果を表2に示す。
【0116】
[実施例6]
サイドシールの加熱温度を157℃にした以外は、実施例5と同様に作製、評価した。結果を表2に示す。
【0117】
[実施例7]
サイドシールの加熱温度を161℃にした以外は、実施例5と同様に作製、評価した。結果を表2に示す。
【0118】
[比較例1]
包装袋10に素材3を用い、サイドシールの加熱温度を163℃、ボトムシールの加熱温度を115℃とした以外は、実施例1と同様に測定、評価した。結果を表3に示す。
【0119】
[比較例2]
サイドシールの加熱温度を165℃にした以外は、比較例1と同様に作製、評価した。結果を表3に示す。
【0120】
[比較例3]
包装袋10に素材4を用い、サイドシールの加熱温度を197℃、ボトムシールの加熱温度を205℃、シール速度47m/secとした以外は、実施例1と同様に測定、評価した。結果を表3に示す。
【0121】
[比較例4]
サイドシールの加熱温度を222℃、ボトムシールの加熱温度を222℃、シール速度49m/secとした以外は、実施例1と同様に測定、評価した。結果を表3に示す。
【0122】
[比較例5]
サイドシールの加熱温度を170℃、ボトムシールの加熱温度を150℃とした以外は、比較例4と同様に測定、評価した。結果を表3に示す。
【0123】
[比較例6]
包装袋10に素材5を用い、サイドシールの加熱温度を170℃、ボトムシールの加熱温度を167℃、シール速度49m/secとした以外は、実施例1と同様に測定、評価した。結果を表3に示す。
【0124】
[比較例7]
包装袋10に素材6を用い、サイドシールの加熱温度を230℃、ボトムシールの加熱温度を250℃、シール速度27m/secとした以外は、実施例1と同様に測定、評価した。結果を表3に示す。
【0125】
【0126】
【0127】
【0128】
表1、表2より、紙層10Aの両面に樹脂層10B、10Cを設け、紙成分の比率が45%以上の包装袋10にシートロール20がキャラメル包装された試験体は、サイドシールの接着性、サイドシールのロール付着性、ボトムシールの接着性、ボトムシールのロール付着性、包装袋の破れのいずれも良好であった(実施例1~7)。
【0129】
これに対して、紙層10Aの片面に樹脂層10Bのみ設けた包装袋を用いた試験体、および包装袋10を紙層10Aのみで構成した包装袋を用いた試験体は、サイドシールの接着性、サイドシールのロール付着性、ボトムシールの接着性、ボトムシールのロール付着性、包装袋の破れの少なくともいずれかが良好ではなかった(比較例1~7)。
【0130】
これらの結果から、シートをキャラメル包装する包装袋として、紙成分を含む紙層と、紙層の両面に設けられた熱可塑性樹脂を含む樹脂層とを有し、包装袋における紙成分の比率が45%以上である包装袋を用いることで、包装性能の低下を抑制できることが判る。
【0131】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。