(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022127736
(43)【公開日】2022-09-01
(54)【発明の名称】更新装置、室内外機、更新システム、更新方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 8/65 20180101AFI20220825BHJP
F24F 11/88 20180101ALI20220825BHJP
F24F 11/89 20180101ALI20220825BHJP
【FI】
G06F8/65
F24F11/88
F24F11/89
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021025887
(22)【出願日】2021-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】横浜 浩二
(72)【発明者】
【氏名】高橋 和良
【テーマコード(参考)】
3L260
5B376
【Fターム(参考)】
3L260JA01
3L260JA08
5B376AB02
5B376AB40
5B376CA29
5B376CA45
(57)【要約】
【課題】室内外機のプログラムの更新時間を短縮可能な更新装置を提供する。
【解決手段】更新装置は、複数の室内外機を接続する通信回線に接続される装置であって、複数の室内外機に対し、通信回線を介して複数の室内外機の間で送受信される制御信号の通信頻度を低減させるための指示を送信する低減指示部と、対象とする室内外機に対してプログラムの更新処理を行う更新処理部と、複数の室内外機に対し、制御信号の通信頻度を回復させるための指示を送信する回復指示部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の室内外機を接続する通信回線に接続される装置であって、
複数の室内外機に対し、前記通信回線を介して前記複数の室内外機の間で送受信される制御信号の通信頻度を低減させるための指示を送信する低減指示部と、
対象とする室内外機に対してプログラムの更新処理を行う更新処理部と、
複数の室内外機に対し、前記制御信号の通信頻度を回復させるための指示を送信する回復指示部と、
を備える更新装置。
【請求項2】
前記低減指示部は、更に、前記通信回線に接続されている集中制御器に対し、前記通信頻度を低減させるための指示を送信する
請求項1に記載の更新装置。
【請求項3】
前記回復指示部は、更に、前記通信回線に接続されている集中制御器に対し、前記通信頻度を回復させるための指示を送信する
請求項1または請求項2に記載の更新装置。
【請求項4】
通信回線を介して外部の室内外機または集中制御器との間で、所定の通信頻度で制御信号の送受信を行う制御信号送受信部と、
前記通信回線を介して、前記制御信号の通信頻度を低減させるための指示を受け付けた場合に前記制御信号の通信頻度を低減させ、かつ、
前記通信回線を介して、前記制御信号の通信頻度を回復させるための指示を受け付けた場合に前記制御信号の通信頻度を回復させる通信頻度変更部と、
を備える室内外機。
【請求項5】
前記通信頻度変更部は、
前記制御信号の通信頻度を低減させるための指示を受け付けた場合であっても、前記制御信号のうち、異常の有無を示す制御信号である異常検知信号の通信頻度を低減させないようにする
請求項4に記載の室内外機。
【請求項6】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の更新装置と、
請求項4または請求項5に記載の室内外機と、
を備える更新システム。
【請求項7】
複数の室内外機を接続する通信回線に接続される更新装置を用いてプログラムの更新を行う更新方法であって、
複数の室内外機に対し、前記通信回線を介して前記複数の室内外機の間で送受信される制御信号の通信頻度を低減させるための指示を送信するステップと、
対象とする室内外機に対してプログラムの更新処理を行うステップと、
複数の室内外機に対し、前記制御信号の通信頻度を回復させるための指示を送信するステップと、
を有する更新方法。
【請求項8】
複数の室内外機を接続する通信回線に接続される更新装置に、
複数の室内外機に対し、前記通信回線を介して前記複数の室内外機の間で送受信される制御信号の通信頻度を低減させるための指示を送信するステップと、
対象とする室内外機に対してプログラムの更新処理を行うステップと、
複数の室内外機に対し、前記制御信号の通信頻度を回復させるための指示を送信するステップと、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、更新装置、室内外機、更新システム、更新方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機では、機能を追加したり変更したりするために、プログラムの更新を行うことがある。このプログラムの更新作業において空気調和機を構成する室外機および室内機(以下、室外機および室内機を総称して「室内外機」とも表記する。)を接続する通信回線を利用することで、プログラムの更新を容易に行うことができる技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、上記の技術に関連し、特許文献2には、「在室者が検出されない」、「空調運転を行っていない」との条件が満たされた場合にプログラムの自動更新処理を実行する空気調和機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3819583号公報
【特許文献2】特開2015-078770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の通信回線は、本来、運転中の室内外機同士が互いに制御信号をやり取りするために用いられている。そのため、プログラムの更新対象とする室内外機以外の室内外機が運転している場合、同一の通信回線を用いてやり取りされている制御信号のトラフィックの影響で、プログラムの更新に時間がかかってしまうことが想定される。
【0006】
本開示は、室内外機のプログラムの更新時間を短縮可能な更新装置、室内外機、更新システム、更新方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の更新装置は、複数の室内外機を接続する通信回線に接続される装置であって、複数の室内外機に対し、前記通信回線を介して前記複数の室内外機の間で送受信される制御信号の通信頻度を低減させるための指示を送信する低減指示部と、対象とする室内外機に対してプログラムの更新処理を行う更新処理部と、複数の室内外機に対し、前記制御信号の通信頻度を回復させるための指示を送信する回復指示部と、を備える。
【0008】
また、本開示の室内外機は、通信回線を介して外部の室内外機または集中制御器との間で制御信号の送受信を行う制御信号送受信部と、前記通信回線を介して、前記制御信号の通信頻度を低減させるための指示を受け付けた場合に前記制御信号の通信頻度を低減させ、かつ、前記通信回線を介して、前記制御信号の通信頻度を回復させるための指示を受け付けた場合に前記制御信号の通信頻度を回復させる通信頻度変更部と、を備える。
【0009】
また、本開示の更新システムは、上記の更新装置と、上記の室内外機と、を備える。
【0010】
また、本開示の更新方法は、複数の室内外機を接続する通信回線に接続される更新装置を用いてプログラムの更新を行う更新方法であって、複数の室内外機に対し、前記通信回線を介して前記複数の室内外機の間で送受信される制御信号の通信頻度を低減させるための指示を送信するステップと、対象とする室内外機に対してプログラムの更新処理を行うステップと、複数の室内外機に対し、前記制御信号の通信頻度を回復させるための指示を送信するステップと、を有する。
【0011】
また、本開示のプログラムは、複数の室内外機を接続する通信回線に接続される更新装置に、複数の室内外機に対し、前記通信回線を介して前記複数の室内外機の間で送受信される制御信号の通信頻度を低減させるための指示を送信するステップと、対象とする室内外機に対してプログラムの更新処理を行うステップと、複数の室内外機に対し、前記制御信号の通信頻度を回復させるための指示を送信するステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0012】
上述の更新装置、室内外機、更新システム、更新方法およびプログラムによれば、室内外機のプログラムの更新時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1の実施形態に係る更新システムの全体構成を示す図である。
【
図2】第1の実施形態に係る更新装置の機能構成を示す第1図である。
【
図3】第1の実施形態に係る更新装置の機能構成を示す第2図である。
【
図4】第1の実施形態に係る室内外機の機能構成を示す図である。
【
図5】第1の実施形態に係る更新装置および室内外機の処理フローを示す図である。
【
図6】第1の実施形態に係る更新装置および室内外機の処理の内容を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<第1の実施形態>
以下、第1の実施形態に係る更新システムについて、
図1~
図6を参照しながら詳しく説明する。
【0015】
(全体構成)
図1は、第1の実施形態に係る更新システムの全体構成を示す図である。
図1に示すように、更新システム9は、空調システム1を構成する室外機11a、11bおよび室内機11c、11d、11eの制御プログラムを更新するためのシステムである。
更新システム9は、集中制御器10および複数の室内外機11(室外機11a、11bおよび室内機11c、11d、11e)を含む空調システム1と、更新装置2とを備えている。
【0016】
空調システム1について説明する。
空調システム1は、例えば、ビルなどに設置される業務用のパッケージエアコンである。空調システム1は、集中制御器10と、複数の室外機11a、11bおよび室内機11c、11d、11eとを有している。以下、複数の室外機11a、11bおよび室内機11c、11d、11eを総称して室内外機11とも表記する。
【0017】
集中制御器10は、複数の室内外機11の運転を統括制御する制御盤である。
室内外機11は、共通の冷媒配管(図示せず)を通じて接続されるとともに、当該冷媒配管を巡る冷媒を介した熱交換により室内空調を実現する。室内外機11は、集中制御器10によって与えられた運転指令(冷暖房運転、設定温度など)に従って動作する。
【0018】
図1に示すように、空調システム1の各構成機器(集中制御器10および室内外機11)は、1本の通信回線Lに接続され、互いに通信可能となっている。
通常、集中制御器10および運転中の室内外機11は、通信回線Lを介して、一定間隔(例えば、1秒間隔)で互いに制御信号をやり取りする。制御信号とは、具体的には、各室内外機11に対する運転指令(冷暖房運転、設定温度など)や室内外機11の個々の状態を示す信号(異常検知信号など)である。空調システム1は、このような制御信号を各構成機器間で常時送受信することで、例えば、設定温度などの変更があった場合には直ちに運転に反映することができ、また、異常が発生した場合には直ちに保護動作(緊急停止など)を実行することができる。
【0019】
次に、更新装置2について説明する。
更新装置2は、空調システム1を構成する室内外機11の制御プログラムの更新を行う際に用いる端末装置である。更新装置2は、例えば、持ち運び可能なノート型PCまたはタブレット端末などであってよい。空調システム1を担当する作業者(サービスマン)は、各室内外機11の制御プログラムの更新を行うにあたり、更新装置2を、通信回線Lに接続する。そして、作業者は、更新装置2を通じて、制御プログラムの更新対象とする室内外機11を1つ指定し、新たな制御プログラムへの更新処理を実行する。
【0020】
なお、運転中の室内外機11の制御プログラムを更新することはできない。したがって、作業者は、運転していない(休止中の)室内外機11を指定して制御プログラムの更新対象とする。
図1の例において、例えば、室内機11cが休止中であり、他の室内外機11が運転中であった場合、作業者は、当該室内機11cを制御プログラムの更新対象として指定する。この場合において、室内機11cに対する制御プログラムの更新処理中であっても、室内機11c以外の室内外機11同士、または、室内機11c以外の室内外機11と集中制御器10との間では、通信回線Lを介した制御信号のやり取りが行われる。
【0021】
(更新装置の機能構成)
図2、
図3は、第1の実施形態に係る更新装置の機能構成を示す図である。
図2に示すように、更新装置2は、一般的な端末装置としての構成を有する。即ち、更新装置2は、CPU20と、メモリ21と、ディスプレイなどの出力手段22と、マウス、キーボード、タッチパッドなどの入力手段23と、通信インタフェース24と、記録媒体25とを備える。
本実施形態において、更新装置2の通信インタフェース24は、通信回線L(
図1)の外部接続端子に接続可能とされる。また、記録媒体25には、更新用の制御プログラムなどが格納される。
【0022】
次に、
図3を参照しながら、CPU20の機能について説明する。
CPU20は、予め用意された所定のプログラムに従って動作することで低減指示部200、更新処理部201および回復指示部202としての機能を発揮する。
【0023】
低減指示部200は、複数の室内外機11および集中制御器10に対し、通信回線Lを介して複数の室内外機の間で送受信される制御信号の通信頻度を低減させるための指示(以下、低減指示とも表記する。)を送信する。
【0024】
更新処理部201は、対象とする室内外機11に対して制御プログラムの更新処理を行う。
【0025】
回復指示部202は、複数の室内外機11および集中制御器10に対し、通信回線Lを介して複数の室内外機の間で送受信される制御信号の通信頻度を回復させるための指示(以下、回復指示とも表記する。)を送信する。
【0026】
(室内外機の機能構成)
図4は、第1の実施形態に係る室内外機の機能構成を示す図である。
次に、
図4を参照しながら、室内外機11の機能について説明する。
図4に示すように、室内外機11のCPU110は、制御信号送受信部1100、指示受信部1101および通信頻度変更部1102としての機能を発揮する。
【0027】
制御信号送受信部1100は、運転中において、通信回線Lを介して外部の室内外機11または集中制御器10との間で、所定の通信頻度で制御信号の送受信を行う。
指示受信部1101は、通信回線Lを介して、更新装置2から上述の低減指示または回復指示を受信する。
通信頻度変更部1102は、通信回線Lを介して、更新装置2から受け付けた低減指示または回復指示に応じて、制御信号の通信頻度を変更する。具体的には、通信頻度変更部1102は、更新装置2から低減指示を受け付けた場合に、制御信号の通信頻度を低減させる。また、更新装置2から回復指示を受け付けた場合に、制御信号の通信頻度を、低減前の通信頻度に回復させる。
【0028】
(更新装置および室内外機の処理フロー)
図5は、第1の実施形態に係る更新装置および室内外機の処理フローを示す図である。
また、
図6は、第1の実施形態に係る更新装置および室内外機の処理の内容を説明するための図である。
以下、
図5および
図6を参照しながら、更新装置2および室内外機11の処理フローについて詳しく説明する。
【0029】
まず、
図6を参照しながら、
図5の処理フローを実行する前の段階(通常時)において、通常時の集中制御器10および各室内外機11の間でやり取りされる制御信号の通信頻度について、
図6を参照しながら説明する。
図6上側の図は、通常時において、集中制御器10または複数の室内外機11(制御信号送受信部1100)それぞれが、時間t1の間隔で、時分割多重方式により同一の通信回線Lを介して制御信号を送信していることを示している。
図6上側に示すように、通常時においては、集中制御器10および各室内外機11は、時間t1(例えば1秒)の間隔で、定常的に制御信号の送信を行う。
図6下側の図は、制御プログラムの更新時において、集中制御器10または複数の室内外機11(制御信号送受信部1100)それぞれが、時間t2の間隔で、時分割多重方式により同一の通信回線Lを介して制御信号を送信していることを示している。
図6下側に示すように、制御プログラムの更新時においては、集中制御器10および各室内外機11は、時間t1よりも長い時間t2(例えば5秒)の間隔で、定常的に制御信号の送信を行う。
【0030】
ここで、
図5を参照する。
図5に示す処理フローは、更新装置2が、対象とする室内外機11(運転休止中の室内機11c)に対し制御プログラムの更新処理を開始する際に実行される。
【0031】
まず、更新装置2の低減指示部200は、通信回線Lを介して、集中制御器10および全ての室内外機11に向けて低減指示を送信する(ステップS01)。
このとき、集中制御器10および各室内外機11は、低減指示を受信する(ステップS11)。集中制御器10および各室内外機11は、低減指示を受信したことにより、制御信号の通信頻度を低減させる(ステップS12)。これにより、
図6に示すように、室内機11cの制御プログラム更新中においては、通信回線Lを介して行われる制御信号の通信頻度が時間t1から時間t2(t1<t2(例えば5秒))に変更される。すなわち、室内機11cの制御プログラム更新中においては、通信回線Lを介して行われる制御信号の通信頻度が低減される。
【0032】
次に、更新装置2の更新処理部201は、通信回線Lを介して、室内機11cに対するプログラム更新処理を実行する(ステップS02)。これにより、室内機11cの制御プログラムが更新される。
【0033】
室内機11cに対するプログラム更新処理が完了すると、次に、更新装置2の回復指示部202は、通信回線Lを介して、集中制御器10および全ての室内外機11に向けて回復指示を送信する(ステップS03)。
このとき、集中制御器10および各室内外機11は、回復指示を受信する(ステップS13)。集中制御器10および各室内外機11は、回復指示を受信したことにより、制御信号の通信頻度を元の状態(低減する前の状態)に回復させる(ステップS14)。
【0034】
(作用効果)
以上に説明した更新システム9によれば、休止中の1つの室内外機11に対し制御プログラムの更新処理を行う場合、他の運転中の室内外機11および集中制御器10それぞれが行う制御信号のやり取りの通信頻度が低減される。そうすると、
図6に示すように、通信回線Lは、制御信号のやり取りに割り当てられる時間が減少し、その分、制御プログラムの更新処理に必要な通信に割り当てられる時間が増加する。換言すると、通信回線Lにおける制御信号のトラフィックが減少する分、同じ通信回線Lを介して行われる制御プログラムの更新処理にかかる時間を短縮することができる。
他方、制御プログラムの更新処理時において、運転中の室内外機11および集中制御器10の間で制御信号のやり取りを全く行わないようにしてしまうと、当該運転中の室内外機11に対する制御性が損なわれてしまう。しかし、本実施形態によれば、制御信号の通信頻度が低減されるものの、一定の通信頻度で制御信号のやり取りが維持されるので、制御プログラムの更新処理時において、運転中の室内外機11に対する制御性が損なわれることを抑制することができる。
【0035】
以上、第1の実施形態に係る更新システム9によれば、室内外機11の制御プログラムの更新時間を短縮することができる。
【0036】
(変形例)
なお、第1の実施形態に係る更新システム9は、通信回線Lを介してやり取りされる全ての制御信号の通信頻度を低減するものとして説明したが、他の実施形態においてはこの態様に限定されない。
例えば、他の実施形態においては、通信回線Lを介してやり取りされる複数の制御信号のうち特定の制御信号については、制御プログラムの更新処理を行っている間においても通常通りの通信頻度でやり取りするものとしてもよい。
具体的には、他の実施形態に係る更新システム9は、制御プログラムの更新処理を行っている間、迅速な対処(保護動作)を必要とする不具合を示す異常検知信号については通常通りの通信頻度を維持し、それ以外の制御信号の通信頻度を低減するものとしてもよい。換言すると、他の実施形態に係る通信頻度変更部1102は、更新装置2から低減指示を受け付けた場合であっても、制御信号送受信部1100が送信する制御信号のうち、異常検知信号(異常の有無を示す制御信号)の通信頻度だけは低減させないようにしてもよい。
【0037】
また、第1の実施形態に係る更新装置2は、集中制御器10に対しても低減指示および回復指示を送信するものとして説明したが、他の実施形態においてはこの態様に限定されない。
すなわち、他の実施形態に係る更新装置2は、通信回線Lに接続されている室内外機11に対してのみ低減指示および回復指示を送信する態様であってもよい。
【0038】
上述の実施形態においては、更新装置2および室内外機11の各種処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって上記各種処理が行われる。また、コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。
【0039】
上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。更に、上述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0040】
以上のとおり、本開示に係るいくつかの実施形態を説明したが、これら全ての実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態及びその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0041】
<付記>
各実施形態に記載の更新装置2、室内外機11、更新システム9、更新方法およびプログラムは、例えば以下のように把握される。
【0042】
(1)第1の態様に係る更新装置2は、複数の室内外機11を接続する通信回線Lに接続される装置であって、複数の室内外機11に対し、前記通信回線Lを介して前記複数の室内外機11の間で送受信される制御信号の通信頻度を低減させるための指示を送信する低減指示部200と、対象とする室内外機11に対してプログラムの更新処理を行う更新処理部201と、複数の室内外機11に対し、前記制御信号の通信頻度を回復させるための指示を送信する回復指示部202と、を備える。
【0043】
(2)第2の態様に係る更新装置2は、(1)の更新装置2であって、前記低減指示部200は、更に、前記通信回線Lに接続されている集中制御器10に対し、前記通信頻度を低減させるための指示を送信する。
【0044】
(3)第3の態様に係る更新装置2は、(1)または(2)の更新装置2であって、前記回復指示部202は、更に、前記通信回線Lに接続されている集中制御器10に対し、前記通信頻度を回復させるための指示を送信する。
【0045】
(4)第4の態様に係る室内外機11は、通信回線Lを介して外部の室内外機11または集中制御器10との間で、所定の通信頻度で制御信号の送受信を行う制御信号送受信部1100と、前記通信回線Lを介して、前記制御信号の通信頻度を低減させるための指示を受け付けた場合に前記制御信号の通信頻度を低減させ、かつ、前記通信回線を介して、前記制御信号の通信頻度を回復させるための指示を受け付けた場合に前記制御信号の通信頻度を回復させる通信頻度変更部1102と、を備える。
【0046】
(5)第5の態様に係る室内外機11は、(4)の室内外機11であって、前記通信頻度変更部1102は、前記制御信号の通信頻度を低減させるための指示を受け付けた場合であっても、前記制御信号のうち、異常の有無を示す制御信号である異常検知信号の通信頻度を低減させないようにする。
【0047】
(6)第6の態様に係る更新システム9は、(1)から(3)のいずれか一つの更新装置2と、(4)または(5)の室内外機11と、を備える。
【0048】
(7)第7の態様に係る更新方法は、複数の室内外機11を接続する通信回線Lに接続される更新装置2を用いてプログラムの更新を行う更新方法であって、複数の室内外機11に対し、前記通信回線Lを介して前記複数の室内外機11の間で送受信される制御信号の通信頻度を低減させるための指示を送信するステップと、対象とする室内外機11に対してプログラムの更新処理を行うステップと、複数の室内外機11に対し、前記制御信号の通信頻度を回復させるための指示を送信するステップと、を有する。
【0049】
(8)第8の態様に係るプログラムは、複数の室内外機11を接続する通信回線Lに接続される更新装置2に、複数の室内外機11に対し、前記通信回線Lを介して前記複数の室内外機11の間で送受信される制御信号の通信頻度を低減させるための指示を送信するステップと、対象とする室内外機11に対してプログラムの更新処理を行うステップと、複数の室内外機11に対し、前記制御信号の通信頻度を回復させるための指示を送信するステップと、を実行させる。
【符号の説明】
【0050】
1 空調システム
10 集中制御器
11 室内外機
11a、11b 室外機
11c、11d、11e 室内機
110 CPU
1100 制御信号送受信部
1101 指示受信部
1102 通信頻度変更部
2 更新装置
20 CPU
200 低減指示部
201 更新処理部
202 回復指示部
21 メモリ
22 出力手段
23 入力手段
24 通信インタフェース
25 記録媒体
9 更新システム