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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022127738
(43)【公開日】2022-09-01
(54)【発明の名称】包装用容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 1/34 20060101AFI20220825BHJP
【FI】
B65D1/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021025891
(22)【出願日】2021-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】390041058
【氏名又は名称】シーピー化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】辻田 康久
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 尚子
(72)【発明者】
【氏名】大石 修嗣
(72)【発明者】
【氏名】片島 真
【テーマコード(参考)】
3E033
【Fターム(参考)】
3E033AA10
3E033BA15
3E033BA16
3E033CA20
3E033DD05
3E033EA09
3E033FA01
3E033GA03
(57)【要約】
【課題】見た目の印象に優れ、消費者の購買意欲を刺激することができる包装用容器を実現する。
【解決手段】包装用容器は、被収容物が載置される載置面を有する容器本体(2)を備える。載置面が、境界線(B)によって第一領域(R1)とそれよりも広い第二領域(R2)に区分けされている。第一領域(R1)に、黒色を基調とする第1の彩色が施され、第二領域(R2)に、有彩色を基調とする第2の彩色が施されている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被収容物が載置される載置面を有する容器本体を備えた包装用容器であって、
前記載置面が所定形状の境界線によって区分けされた第一領域と前記第一領域よりも広い第二領域とを有し、
前記第一領域に黒色を基調とする第1の彩色が施され、
前記第二領域に有彩色を基調とする第2の彩色が施されている包装用容器。
【請求項2】
前記載置面の全体のうち前記第一領域が占める割合が40%以上50%未満である請求項1に記載の包装用容器。
【請求項3】
前記第一領域の表面の光沢度が前記第二領域の表面の光沢度よりも高い請求項1又は2に記載の包装用容器。
【請求項4】
前記容器本体の密度が0.03g/cm以上0.31g/cm以下である請求項1から3のいずれか一項に記載の包装用容器。
【請求項5】
寿司の盛り合わせを収容するための請求項1から4のいずれか一項に記載の包装用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
コンビニエンスストアやスーパーマーケット等の小売店において、例えば弁当や惣菜等の食品が包装用容器に包装されて販売されている。消費者の購買意欲を刺激するためには、被収容物である食品の鮮度や盛り付け等をより良いものとすることが重要であるが、包装用容器の色彩や図柄等を工夫することもまた重要である。
【0003】
包装用容器の色彩を工夫したものの一例が、特開2019-137423号公報(特許文献1)に開示されている。この特許文献1の包装用容器では、底面部と側壁面部とで囲われた収容部の内面が黒色とされ、側壁面部の上端部から外側に延びるフランジ部の上面が白色とされている。収容部の内面を黒色とすることで熟練を要さずに的確に盛り付けを行うことができ、フランジ部の上面を白色とすることで全体としての見た目の印象を明るくすることができる。
【0004】
しかし、フランジ部の上面が白色に着色されているとは言え、収容部の内面の全体が黒色であることで、容器本体全体としては地味な印象となる。このため、消費者の購買意欲を刺激するという点で、改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-137423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
見た目の印象に優れ、消費者の購買意欲を刺激することができる包装用容器の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る包装用容器は、
被収容物が載置される載置面を有する容器本体を備えた包装用容器であって、
前記載置面が、所定形状の境界線によって区分けされた、第一領域と、前記第一領域よりも広い第二領域と、を有し、
前記第一領域に、黒色を基調とする第1の彩色が施され、
前記第二領域に、有彩色を基調とする第2の彩色が施されている。
【0008】
この構成によれば、第一領域に黒色を基調とする第1の彩色が施されているため、黒色以外の有彩色の被収容物を第一領域に載置することで、黒色を背景として当該被収容物の色彩を引き立てさせて見栄えを良好なものとすることができる。また、第一領域よりも広い第二領域に、有彩色を基調とする第2の彩色が施されているため、容器本体自体の華やかさを向上させることができる。これらの点から、包装用容器の見た目の印象を良好なものとすることができ、その結果、消費者の購買意欲を刺激できる包装用容器を実現することができる。
【0009】
以下、本発明の好適な態様について説明する。但し、以下に記載する好適な態様例によって、本発明の範囲が限定される訳ではない。
【0010】
一態様として、
前記載置面の全体のうち前記第一領域が占める割合が40%以上50%未満であることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、第一領域の広さを第二領域の広さ未満に抑えつつ、一定以上の広さを確保することができる。また、第二領域の広さを第一領域の広さよりも大きくしつつ、大きくなり過ぎないようにすることができる。よって、黒色以外の有彩色の被収容物を第一領域に載置することによる見栄えの向上と、有彩色を基調とする第二領域の存在による容器自体の華やかさの向上とを、バランス良く達成することができる。
【0012】
一態様として、
前記第一領域の表面の光沢度が前記第二領域の表面の光沢度よりも高いことが好ましい。
【0013】
この構成によれば、第一領域の表面と第二領域の表面とで光沢度を異ならせることで、被収容物の見栄えに変化をもたらすことができる。また、その際、色彩が単調となりがちな第一領域の表面の光沢度を相対的に高めることで、容器本体全体としての見栄えをより良好なものとすることができる。よって、消費者の購買意欲をより刺激することができる。
【0014】
一態様として、
前記容器本体の密度が0.03g/cm以上0.31g/cm以下であることが好ましい。
【0015】
密度が0.03g/cm以上0.31g/cm以下の容器本体は、例えば発泡体で構成することによって実現することができる。容器本体を発泡体で構成することで、載置面の表面に微細な凹凸を形成することができ、陶器を想像させるような発色及び質感を再現することができる。その結果、高級感を演出して、容器本体全体としての見栄えをより良好なものとすることができる。
【0016】
一態様として、
寿司の盛り合わせを収容するために用いることが好ましい。
【0017】
一般に、寿司の盛り合わせには、軍艦巻きや巻き寿司等のように周囲が海苔で巻かれているネタと、にぎり寿司やいなり寿司等のように周囲が海苔で巻かれていないネタとが含まれる。そして、周囲が海苔で巻かれているネタは外面に黒色が含まれ、周囲が海苔で巻かれていないネタは外面は黒色以外の色彩となる。このため、周囲が海苔で巻かれていないネタを第一領域に載置し、周囲が海苔で巻かれているネタを第二領域に載置することで、背景色との関係でそれぞれのネタの色彩を良好に引き立てることができる。よって、本発明は、寿司の盛り合わせに代表されるような多品種食材を収容する目的で、好適に用いることができる。
【0018】
本発明のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態の包装用容器の斜視図
図2】包装用容器の正面図
図3】蓋体の平面図
図4】容器本体の平面図
図5】容器本体の平面写真
図6】第1の盛付例の平面写真
図7】第2の盛付例の平面写真
【発明を実施するための形態】
【0020】
包装用容器の実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態では、例えば弁当や寿司、惣菜等の食品(被収容物の一例)を包装するための包装用容器1(食品包装用容器)を例として説明する。この包装用容器1は、合成樹脂シートのシート成形によって形成される。
【0021】
図1に示すように、包装用容器1は、例えば食品を収容する浅皿状の器である。包装用容器1は、容器本体2と、その容器本体2に嵌合する蓋体4とを備えている。容器本体2は、熱可塑性樹脂発泡体又は熱可塑性樹脂非発泡体で構成され、蓋体4は、熱可塑性樹脂非発泡体で構成される。
【0022】
図1図2、及び図4に示すように、容器本体2は、底面部21と、本体周壁部22と、本体フランジ部23と、本体スカート部24と、延出縁部25とを有している。
【0023】
底面部21は、容器本体2の底部を形成している。底面部21は、平面視矩形状に形成されている。底面部21の上面は、被収容物が載置される載置面21Aとなっている。載置面21Aには、被収容物を載置する際の位置決めを容易化するためのガイド部21Bが設けられている。本実施形態のガイド部21Bは、長手方向に沿う1本の直線状部分と、それに対して傾斜する方向に沿う複数の直線状部分とを有している。本実施形態では、ガイド部21Bは、浅溝によって構成されている。
【0024】
底面部21の周縁部分には、下方に向かって窪む凹溝部21Cが形成されている。凹溝部21Cは、平面視矩形状の各辺に沿って直線状に形成されている。凹溝部21Cが形成された部分は、外部から見ると、下方に向かって突出している(図2を参照)。この凹溝部21Cに対して相補的な形状の下方突出部により、脚部21Dが構成されている。脚部21Dは、容器本体2を他物(例えば陳列台やテーブル等)に置いた際に、当該他物に接地する部位である。
【0025】
本体周壁部22は、底面部21の周縁から上方に延びている。本体フランジ部23は、本体周壁部22の上端部から外方に延びている。本体スカート部24は、本体フランジ部23の周縁から下方に延びている。延出縁部25は、本体スカート部24の下端部から外方に延びている。
【0026】
容器本体2は、熱可塑性樹脂発泡体及び熱可塑性樹脂非発泡体のいずれで構成することもできるが、熱可塑性樹脂発泡体で構成することが好ましい。容器本体2を熱可塑性樹脂発泡体で構成することで、載置面21Aに微細な凹凸が形成され、樹脂発泡体でありながらまるで陶器であるかのような発色及び質感を再現することができる。よって、高級感を創出することができ、被収容物の見栄えを向上することができる。
【0027】
熱可塑性樹脂発泡体で構成される容器本体2は、熱可塑性樹脂発泡シートの熱成形によって形成することができる。熱可塑性樹脂発泡シートは、熱可塑性樹脂を主体とする熱可塑性樹脂発泡層を備えている。熱可塑性樹脂発泡層を構成する熱可塑性樹脂は、特に限定されない。例えばポリオレフィン(ポリエチレンやポリプロピレン等)、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート等)、及びアクリル樹脂等の一般的な熱可塑性樹脂を適宜使用することができる。これらは、それぞれ、単独重合体、他の単量体との共重合体、他の樹脂との混合物、又はそれらの組み合わせであって良い。
【0028】
また、熱可塑性樹脂発泡シートは、熱可塑性樹脂層の少なくとも一方の面に、熱可塑性樹脂を主体とする熱可塑性樹脂非発泡層を備えていても良い。熱可塑性樹脂非発泡層を構成する熱可塑性樹脂は、特に限定されない。例えばポリオレフィン(ポリエチレンやポリプロピレン等)、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート等)、及びアクリル樹脂等の一般的な熱可塑性樹脂を適宜使用することができる。これらは、それぞれ、単独重合体、他の単量体との共重合体、他の樹脂との混合物、又はそれらの組み合わせであって良い。なお、各層を積層するには、例えば共押出法、押出ラミネート法、及び熱ラミネート法等の各方法を採用することができる。
【0029】
熱可塑性樹脂発泡シートが熱可塑性樹脂非発泡層を備える場合、その厚みは特に限定されないが、10μm以上40μm以下であることが好ましい。熱可塑性樹脂非発泡層の厚みが10μm未満であれば、基材である熱可塑性樹脂発泡層の表面の微細な凹凸が過剰に反映されて発色が不十分となる可能性がある。一方、熱可塑性樹脂非発泡層の厚みが40μm超となると、熱可塑性樹脂発泡層の表面の微細な凹凸が反映されにくく、陶器のような発色及び質感を良好に再現できない可能性がある。熱可塑性樹脂非発泡層の厚みは、例えば15μm以上25μm以下であることがより好ましい。
【0030】
容器本体2は、上述した熱可塑性樹脂発泡シートを用いて、シート成形(熱成形)によって形成することができる。熱成形法としては、例えばプラグ成形法、マッチド・モールド成形法、ストレート成形法、ドレープ成形法、プラグアシスト成形法、プラグアシスト・リバースドロー成形法、エアスリップ成形法、スナップバック成形法、リバースドロー成形法、プラグ・アンド・リッジ成形法、及びリッジ成形法等が例示される。
【0031】
容器本体2の密度は、特に限定されないが、0.03g/cm以上0.31g/cm以下であることが好ましい。容器本体2の密度が0.03g/cm未満であれば、載置面21Aの凹凸が粗くなり、発色が不十分となる可能性がある。一方、容器本体2の密度が0.31g/cm超となると、光沢は増すものの陶器のような発色には不十分となる可能性がある。容器本体2の密度を0.03g/cm以上0.31g/cm以下とすることで、陶器のような発色及び質感を良好に再現することができる。容器本体2の密度は、例えば0.06g/cm以上0.22g/cm以下であることがより好ましい。なお、容器本体2の密度は、底面部21から3cm×3cmの試験片を切り出し、電子比重計(ミラージュ貿易社製、ED-120T)を用いて水中置換法により測定する。
【0032】
蓋体4は、容器本体2に嵌合して、容器本体2の上部開口を覆う。図1図3に示すように、蓋体4は、天面部41と、蓋体周壁部42と、蓋体フランジ部43と、蓋体スカート部44と、内向き突出部45とを有している。
【0033】
天面部41は、蓋体4の天井部を形成している。天面部41は、平面視矩形状に形成されている。蓋体周壁部42は、天面部41の周縁から下方に延びている。本実施形態では、天面部41及び蓋体周壁部42は、いずれも平坦状に形成さており、これらに補強リブ等は設けられていない。蓋体フランジ部43は、蓋体周壁部42の下端部から外方に延びている。蓋体スカート部44は、蓋体フランジ部43の周縁から下方に延びている。この蓋体スカート部44に、内側に向かって突出する内向き突出部45が形成されている。
【0034】
容器本体2と蓋体4とが嵌合したとき、蓋体フランジ部43は本体フランジ部23を上方から覆う。また、蓋体スカート部44は本体スカート部24を外方から覆い、内向き突出部45は容器本体2の延出縁部25に外方から係合する。
【0035】
熱可塑性樹脂非発泡体で構成される蓋体4は、熱可塑性樹脂非発泡シートの熱成形によって形成することができる。熱可塑性樹脂非発泡シートは、熱可塑性樹脂を主体とする熱可塑性樹脂非発泡層を備えている。熱可塑性樹脂非発泡層を構成する熱可塑性樹脂は、特に限定されない。例えばポリオレフィン(ポリエチレンやポリプロピレン等)、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート等)、及びアクリル樹脂等の一般的な熱可塑性樹脂を適宜使用することができる。これらは、それぞれ、単独重合体、他の単量体との共重合体、他の樹脂との混合物、又はそれらの組み合わせであって良い。
【0036】
図5に示すように、本実施形態の包装用容器1において、容器本体2の底面部21の載置面21Aは、第一領域R1及び第二領域R2の2つの領域に区分けされている。第一領域R1と第二領域R2とは、所定形状の境界線Bによって区分けされており、本実施形態では直線状の境界線Bによって区分けされている。このように境界線Bを直線状とすることで、載置面21Aに設けられたガイド部21Bとも協働して、被収容物を載置する際の位置決めを容易化することができる。なお、本実施形態では、境界線Bは長手方向に沿って延びており、第一領域R1と第二領域R2とは縦に(図5において上下に)区分けされている。
【0037】
第一領域R1及び第二領域R2には、互いに異なる彩色が施されている。本実施形態では、第一領域R1に黒色を基調とする第1の彩色(以下、「黒柄」と言う。)が施され、第二領域R2に有彩色を基調とする第2の彩色(以下、「有彩色柄」と言う。)が施されている。これらは、上述した熱可塑性樹脂発泡シートとして印刷層をさらに積層したものを準備し、それをシート成形(熱成形)することによって得ることができる。この場合、熱可塑性樹脂層と印刷層とをまず積層し(熱可塑性樹脂フィルムへ印刷を行い)、それを熱可塑性樹脂発泡シートに熱ラミネートし、最後にそれをシート成形(熱成形)することが好ましい。
【0038】
ここで、「黒色」とは、HSV色空間において、色相(H;Hue)が66°~50°、彩度(S;Saturation)が27%~1%、明度(V;Value)が30%~4%の条件を満たす色を意味する。また、「黒色を基調とする」とは、黒色の単色のみならず、黒以外の色の模様が一部に付された黒色を含む趣旨である。
【0039】
なお、第一領域R1に施された黒柄が、黒以外の色の模様を一部含む場合には、黒柄全体に占める黒色部分の占有率は70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。なお、黒色部分の占有率は、シート成形前の熱可塑性樹脂発泡シートにおける、印刷層が積層された熱可塑性樹脂層(印刷された熱可塑性樹脂フィルム)のうち、第一領域R1に対応する部分(黒柄部分)の全体の重量に対する、黒以外の色の模様を除いた分の重量の割合として算出される。
【0040】
第二領域R2に施された有彩色柄は、黒色以外の色を基調とするものであれば特に限定されないが、消費者に対して豪華さや華やかさ、煌びやかさを感じさせる色であることが好ましい。そのような色としては、例えば赤色や金色、銀色等が例示される。これらは、単色であっても良いし、複数の色が混在していても良い。
【0041】
ここで、「赤色」とは、HSV色空間において、色相(H)が100°~94°,5°~0°、彩度(S)が100%~40%、明度(V)が100%~65%の条件を満たす色を意味する。「金色」とは、HSV色空間において、色相(H)が65°~50°、彩度(S)が90%~20%、明度(V)が100%~90%の条件を満たす色を意味する。「銀色」とは、HSV色空間において、色相(H)が98°~0°、彩度(S)が1%~0%、明度(V)が96%~68%の条件を満たす色を意味する。
【0042】
また、第二領域R2の有彩色柄は、各種の模様を含んでいても良い。このような模様としては、例えば市松模様、小桜、菱文、扇文、鱗文、及び麻の葉等の和模様や、例えばストライプ、ギンガムチェック、タータン、ドット、及び迷彩柄等の洋柄が例示される。また、例えば直線、曲線、丸、三角、及び四角等の幾何学模様であっても良い。これらは、単一種であっても良いし、複数種が混在していても良い。複数種が混在する場合、その種別毎に色が異なっていても良い。
【0043】
第一領域R1と第二領域R2とを区分けている直線状の境界線Bは、容器本体2の中心からズレた位置を通っている。これにより、第一領域R1と第二領域R2とは、大きさが互いに異なっている。本実施形態では、第2の彩色(有彩色柄)が施された第二領域R2は、第1の彩色(黒柄)が施された第一領域R1よりも広くなっている。載置面21Aの全体のうち第二領域R2が占める割合は、50%以上60%未満である(第一領域R1が占める割合は40%以上50%未満である)ことが好ましい。
【0044】
第一領域R1の表面の光沢度は、第二領域R2の表面の光沢度と同じであっても良いが、第二領域R2の表面の光沢度よりも高いことが好ましい。第一領域R1の表面の光沢度は、第二領域R2の表面の光沢度に比べて、10%以上高いことがより好ましく、20%以上高いことがさらに好ましい。なお、第一領域R1及び第二領域R2の表面の光沢度は、ハンディ光沢計(堀場製作所製、グロスチェッカIG-320)を用いて、JIS Z 8741に準拠してそれぞれ4点測定し、その平均値を算出する。
【0045】
なお、本実施形態では、第1の彩色(黒柄)や第2の彩色(有彩色柄)は、底面部21の載置面21Aだけでなく、底面部21から連続する本体周壁部22、本体フランジ部23、本体スカート部24、及び延出縁部25の表面にも同様に施されている。
【0046】
蓋体4は、透明に形成されていることが好ましく、無色透明に形成されていることがより好ましい。蓋体4を透明ないし無色透明とすることで、天面部41及び蓋体周壁部42に補強リブ等を設けずに平坦状に形成していることと合わせ、被収容物及び容器本体2に施された図柄の視認性を向上することができる。
【0047】
本実施形態の包装用容器1は、広く食品一般を収容するために用いることができるが、例えば図6及び図7に示すように、寿司の盛り合わせを収容するために用いることが好ましい。
【0048】
図6の例では、巻き寿司といなり寿司の盛り合わせ(助六)を包装用容器1に収容している。巻き寿司は周囲が海苔で巻かれており、外面に黒色が含まれている。いなり寿司は油揚でくるまれており、外面は黄土色を呈している。外面が黄土色のいなり寿司を第一領域R1に載置し、外面に黒色が含まれる巻き寿司を第二領域R2に載置することで、背景色との関係で、巻き寿司及びいなり寿司のそれぞれの色彩を良好に引き立てることができている。また、載置面21Aの第二領域R2及び本体周壁部22等において巻き寿司の周囲から見える有彩色柄により、容器本体2自体の華やかさが向上されている。
【0049】
また、図7の例では、軍艦巻きを含むにぎり寿司の盛り合わせを包装用容器1に収容している。軍艦巻きは周囲が海苔で巻かれており、外面に黒色が含まれている。通常のにぎり寿司はシャリの上に寿司種が載せられており、外面は白色と寿司種に応じた色(例えばマグロであれば淡い赤色、イカであれば白色等)とを含んでいる。外面が各種の色の通常のにぎり寿司を第一領域R1に載置し、外面に黒色が含まれる軍艦巻きを第二領域R2に載置することで、背景色との関係で、通常のにぎり寿司及び軍艦巻きのそれぞれの色彩を良好に引き立てることができている。なお、図7に示す例のように、第二領域R2に、外面に黒色を含まない寿司ネタが一部載置されても特に問題はない。また、載置面21Aの第二領域R2及び本体周壁部22等において寿司ネタの周囲から見える有彩色柄により、容器本体2自体の華やかさが向上されている。
【0050】
このように、本実施形態の包装用容器1によれば、見た目の印象を良好なものとすることができ、その結果、消費者の購買意欲を刺激することができる。
【0051】
〔その他の実施形態〕
(1)上記の実施形態では、第一領域R1と第二領域R2とが直線状の境界線Bによって区分けされている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、第一領域R1と第二領域R2とが例えば折線状又は曲線状等の境界線Bによって区分けされていても良い。
【0052】
(2)上記の実施形態では、第一領域R1と第二領域R2とが長手方向に沿って延びる境界線Bによって縦に区分けされている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、第一領域R1と第二領域R2とが例えば短手方向に沿って延びる境界線Bによって横に区分けされていても良い。或いは、第一領域R1と第二領域R2とが例えば閉曲線からなる境界線Bによって同心状に区分けされていても良い。
【0053】
(3)上記の実施形態では、第一領域R1の表面の光沢度が第二領域R2の表面の光沢度よりも高い構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、第一領域R1の表面の光沢度が第二領域R2の表面の光沢度よりも低くても良い。
【0054】
(4)上記の実施形態では、底面部21のガイド部21Bが浅溝によって構成されている例について説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、ガイド部21Bが例えば上方に突起する小リブや、黒柄及び有彩色柄に重ねて表示された線等によって構成されても良い。
【0055】
(5)上記の実施形態では、容器本体2が熱可塑性樹脂発泡体で構成される例を主に想定して説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、容器本体2を熱可塑性樹脂非発泡体で構成しても良い。
【0056】
(6)上記の実施形態では、容器本体2と蓋体4とからなる包装用容器1を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば容器本体2と蓋体4との間に配置される中皿をさらに備える包装用容器1に、本技術を適用しても良い。
【0057】
(7)容器本体2の平面視形状は、上記の実施形態において具体的に示したものに限定されることなく、適宜変更が可能である。同様に、容器本体2に施された模様も、上記の実施形態において具体的に示したものに限定されることなく、適宜変更が可能である。
【0058】
(8)上記の実施形態では、寿司の盛り合わせを収容するために包装用容器1を用いる例について説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば惣菜や弁当等の他の食品を収容するために包装用容器1を用いても良い。或いは、食品に限らず他の物品を収容するために包装用容器1を用いても良い。
【0059】
(9)上述した各実施形態(上記の実施形態及びその他の実施形態を含む;以下同様)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【符号の説明】
【0060】
1 包装用容器
2 容器本体
21 底面部
21A 載置面
R1 第一領域
R2 第二領域
B 境界線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7