(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022127805
(43)【公開日】2022-09-01
(54)【発明の名称】ロータリーキルン、ロータリーキルンの製造方法、及びロータリーキルンの改修方法
(51)【国際特許分類】
F27B 7/20 20060101AFI20220825BHJP
F27D 1/00 20060101ALI20220825BHJP
C23C 8/12 20060101ALI20220825BHJP
【FI】
F27B7/20
F27D1/00 K
C23C8/12
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021025996
(22)【出願日】2021-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000211123
【氏名又は名称】中外炉工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087572
【弁理士】
【氏名又は名称】松川 克明
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 浩幸
(72)【発明者】
【氏名】曽田 光洋
(72)【発明者】
【氏名】水津 明彦
【テーマコード(参考)】
4K051
4K061
【Fターム(参考)】
4K051AA04
4K051AB03
4K051BD01
4K061AA08
4K061BA02
4K061CA17
4K061HA07
(57)【要約】
【課題】 ロータリーキルンのキルン筒体内で処理材料を加熱処理する際に、キルン筒体の内周面が処理材料との接触によって削れたり、キルン筒体の内周面が腐食して摩耗したりして、処理材料に不純物が混入するのを防止するにあたり、キルン筒体の内周面に強固な酸化アルミ被覆層を簡単に形成できるようにする。
【解決手段】 円筒状のキルン筒体11を用いたロータリーキルン10において、アルミニウム含有材料で構成されたキルン筒体を酸素含有雰囲気中で加熱処理させて、キルン筒体の少なくとも内周面に酸化アルミ被覆層11aを形成するようにした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状のキルン筒体を用いたロータリーキルンにおいて、アルミニウム含有材料で構成されたキルン筒体を酸素含有雰囲気中で加熱処理させて、少なくとも内周面に酸化アルミ被覆層を形成したキルン筒体を用いたことを特徴とするロータリーキルン。
【請求項2】
円筒状のキルン筒体を用いたロータリーキルンの製造方法において、アルミニウム含有材料で構成されたキルン筒体を酸素含有雰囲気中で加熱処理して、少なくともキルン筒体の内周面に酸化アルミ被覆層を形成し、このキルン筒体をロータリーキルンに装着させたことを特徴とするロータリーキルンの製造方法。
【請求項3】
円筒状のキルン筒体を用いたロータリーキルンの製造方法において、アルミニウム含有材料で構成されたキルン筒体をロータリーキルンに装着させた状態で、前記のキルン筒体を酸素含有雰囲気中で加熱処理して、少なくともキルン筒体の内周面に酸化アルミ被覆層を形成したことを特徴とするロータリーキルンの製造方法。
【請求項4】
少なくとも内周面に酸化アルミ被覆層が形成されたキルン筒体を用いたロータリーキルンの改修方法において、使用されたキルン筒体を酸素含有雰囲気中で加熱処理させて、前記のキルン筒体の内周面における酸化アルミ被覆層を再生することを特徴とするロータリーキルンの改修方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円筒状のキルン筒体を用いたロータリーキルン、このようなロータリーキルンの製造方法及びロータリーキルンの改修方法に関するものである。特に、円筒状のキルン筒体を用いたロータリーキルンにおいて、金属,金属化合物等の各種の処理材料を回転する円筒状のキルン筒体内に供給し、前記のキルン筒体を加熱させて、キルン筒体内に供給された前記の処理材料を、加熱させながら搬送させて処理する場合に、前記のキルン筒体の内周面が処理材料との接触によって削れたり、加熱処理によりキルン筒体の内周面が腐食し、この部分が摩耗したりすることにより粉塵が発生するのを抑制して、処理材料に不純物が混入するのを防止するにあたり、キルン筒体の内周面に強固な酸化アルミ被覆層を簡単に形成できるようにし、またキルン筒体の内周面における酸化アルミ被覆層の再生も簡単に行えるようにした点に特徴を有するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、各種の処理材料を加熱処理するのに、円筒状のキルン筒体を用いたロータリーキルンが利用されており、例えば、特許文献1においては、金属,金属化合物,炭素材料等に樹脂が含有された処理材料を、回転するキルン筒体内において加熱させて、処理材料に含有された樹脂を除去させ、樹脂が除去された金属,金属化合物,炭素材料等の材料を得るようにしたものが示されており、また特許文献2においては、有機性廃棄物からなる処理材料を、回転するキルン筒体内において加熱処理し、炭化物、賦活物、灰化物のいずれかとして取り出すようにしたものが示されている。
【0003】
ここで、前記のようなロータリーキルンにおいて、金属,金属化合物等の処理材料を回転するキルン筒体内において加熱させて処理するようにした場合、前記の処理材料との接触によってキルン筒体の内周面が削れたり、加熱処理によりキルン筒体の内周面が腐食し、この部分が摩耗したりすることにより、キルン筒体内で粉塵が発生して、処理材料に不純物が混入する等の問題があった。
【0004】
このため、従来においては、特許文献3に示すように、キルン筒体に高純度かつ高密度の石英ガラスや酸化アルミなどのセラミックス材料を用いるようにしたものや、特許文献4に示すように、耐熱金属製のキルン筒体の内周面にアルミナ-ジルコニア等のセラミックス粉末を溶射させて、キルン筒体の内周面にセラミックス溶射皮膜を形成するようにしたものが提案されている。
【0005】
しかし、特許文献3に示すように、キルン筒体に高純度かつ高密度の石英ガラスを用いると、キルン筒体自体のコストが非常に高くつくと共に、装置を大型化させることが困難であり、また加熱処理におけるキルン筒体の熱膨張・収縮により割れが生じたりするという問題があった。
【0006】
また、特許文献4に示すように、耐熱金属製のキルン筒体の内周面にアルミナ-ジルコニア等のセラミックス粉末を溶射させてセラミックス溶射皮膜を形成する場合には、セラミックス溶射皮膜を形成する作業が非常に面倒であり、また加熱処理におけるキルン筒体の熱膨張・収縮により、セラミックス溶射皮膜が剥がれたりするという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第6710475号公報
【特許文献2】特許第3962641号公報
【特許文献3】特開平10-148469号公報
【特許文献4】特許第3813413号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、円筒状のキルン筒体を用いたロータリーキルンにおける前記のような問題を解決することを課題とするものである。
【0009】
本発明においては、回転する円筒状のキルン筒体を加熱させて、キルン筒体内に供給された処理材料を加熱させながら搬送させて処理するロータリーキルンにおいて、キルン筒体の内周面に酸化アルミ被覆層を簡単に形成して、キルン筒体の内周面が処理材料との接触によって削れたり、加熱処理によりキルン筒体の内周面が腐食して摩耗したりするのを防止し、キルン筒体内において粉塵が発生するのを抑制して、加熱処理時における処理材料に不純物が混入するのを確実に防止できるようにし、またキルン筒体の内周面における酸化アルミ被覆層の再生も簡単に行えるようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明におけるロータリーキルンにおいては、前記のような課題を解決するため、円筒状のキルン筒体を用いたロータリーキルンにおいて、アルミニウム含有材料で構成されたキルン筒体を酸素含有雰囲気中で加熱処理させて、少なくとも内周面に酸化アルミ被覆層を形成したキルン筒体を用いるようにした。
【0011】
そして、前記のようにアルミニウム含有材料で構成されたキルン筒体を酸素含有雰囲気中で加熱処理すると、キルン筒体の内周面に酸化アルミ被覆層を簡単に形成することができ、このようにキルン筒体の内周面に形成された酸化アルミ被覆層によってキルン筒体の内周面が強固に保護され、処理材料との接触によってキルン筒体の内周面が削れたり、加熱処理によりキルン筒体の内周面が腐食して摩耗したりするのが防止される。
【0012】
ここで、前記のようなロータリーキルンを製造するロータリーキルンの製造方法においては、アルミニウム含有材料で構成されたキルン筒体をロータリーキルンに装着させない状態で別に設置した炉(図示せず)などを用いて、酸素含有雰囲気中で加熱処理して、少なくともキルン筒体の内周面に酸化アルミ被覆層を形成してから、このキルン筒体をロータリーキルンに装着させるようにする他、アルミニウム含有材料で構成されたキルン筒体をロータリーキルンに装着させた状態で、前記のキルン筒体を酸素含有雰囲気中で加熱処理して、少なくともキルン筒体の内周面に酸化アルミ被覆層を形成させるようにする。また、このように形成した酸化アルミ被覆層を強化するため、封孔処理を行ってもよい。
【0013】
また、前記のように少なくとも内周面に酸化アルミ被覆層が形成されたキルン筒体を用いたロータリーキルンの改修方法においては、使用されたキルン筒体を酸素含有雰囲気中で加熱処理させて、前記のキルン筒体の内周面における酸化アルミ被覆層を再生させるようにする。
【発明の効果】
【0014】
本発明においては、回転する円筒状のキルン筒体を加熱させて、キルン筒体内に供給された処理材料を加熱させながら搬送させて処理するロータリーキルンにおいて、前記のようにアルミニウム含有材料で構成されたキルン筒体を酸素含有雰囲気中で加熱処理させるようにしたため、キルン筒体の少なくとも内周面に強固な酸化アルミ被覆層を簡単に形成することができ、このようにキルン筒体の内周面に形成された酸化アルミ被覆層によってキルン筒体の内周面が十分に保護されるようになる。
【0015】
この結果、本発明においては、処理材料を回転する円筒状のキルン筒体内において加熱させながら搬送させて処理する場合に、処理材料との接触によってキルン筒体の内周面が削れたり、また加熱処理によりキルン筒体の内周面が腐食して摩耗したりするのが防止され、キルン筒体内において内周面が削れて粉塵が発生するのが抑制されて、加熱処理時における処理材料に不純物が混入されるのを十分に防止できるようになる。
【0016】
また、本発明のロータリーキルンにおいて、前記のように処理材料を回転する円筒状のキルン筒体内において加熱させながら搬送させて処理する操作を続けた結果、酸化アルミ被覆層が形成されたキルン筒体の内周面に処理材料等の付着物が付着した場合に、前記のようにキルン筒体を酸素含有雰囲気中で加熱処理させて、キルン筒体の内周面に付着した付着物を除去させるようにすると共に、キルン筒体の内周面において付着物の除去に伴って剥がれた酸化アルミ被覆層を再生させるようにすると、ロータリーキルンにより、処理材料を加熱処理する操作が長期にわたって安定して行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態において、アルミニウム含有材料で構成されたキルン筒体をロータリーキルンに装着させた状態で、キルン筒体を酸素含有雰囲気中で加熱処理して、キルン筒体の内周面に酸化アルミ被覆層を形成する状態を示した概略断面説明図である。
【
図2】前記の実施形態において、キルン筒体の内周面に酸化アルミ被覆層を形成された状態を示した部分拡大断面説明図である。
【
図3】前記の実施形態において、内周面に酸化アルミ被覆層が形成されたキルン筒体内に処理材料を供給して、ロータリーキルンにより処理材料を加熱処理する状態を示した概略断面説明図である。
【
図4】前記の実施形態において、酸化アルミ被覆層が形成されたキルン筒体の内周面に付着した付着物を除去させると共に、キルン筒体の内周面における酸化アルミ被覆層を再生させるために、ロータリーキルンに装着されたキルン筒体を酸素含有雰囲気中で加熱処理して、キルン筒体の内周面に酸化アルミ被覆層を再生させる状態を示した概略断面説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態に係るロータリーキルン、ロータリーキルンの製造方法、及びロータリーキルンの改修方法を添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、本発明に係るロータリーキルン、ロータリーキルンの製造方法、及びロータリーキルンの改修方法は、下記の実施形態に示したものに限定されず、発明の要旨を変更しない範囲において、適宜変更して実施できるものである。
【0019】
この実施形態においては、
図1、
図2、
図4等に示すように、ロータリーキルン10に円筒状になったキルン筒体11を装着させ、このキルン筒体11の軸方向片側における材料導入部12に、ホッパー21に収容された処理材料Wをキルン筒体11内に供給する材料供給装置20を設ける一方、前記の材料導入部12と反対側の部分に、キルン筒体11内において加熱処理された処理材料Wを導出させる導出口13aを有する導出部13を設けている。
【0020】
また、この実施形態においては、前記のキルン筒体11の軸方向両側に、キルン筒体11を回転可能に保持する支持ローラー31を設けると共に、キルン筒体11の軸方向片側(図に示す例では前記の導出部13側)にキルン筒体11を回転させる回転装置30を設け、また前記のキルン筒体11の外周側に断熱筒体41を設け、この断熱筒体41とキルン筒体11との間に、キルン筒体11を加熱させる加熱装置40を設けている。
【0021】
また、この実施形態においては、前記の導出部13に、処理用のキャリアガスGcを前記のキルン筒体11内に供給するキャリアガス供給パイプ51と、空気や酸素等の酸素含有ガスGoを前記のキルン筒体11内に供給する酸素含有ガス供給パイプ52とを設け、キャリアガス供給パイプ51に設けたバルブ51aと、酸素含有ガス供給パイプ52に設けたバルブ52aとを開閉させることにより、キルン筒体11内に対するキャリアガスGcと酸素含有ガスGoとの供給・停止を制御する一方、前記の材料導入部12の上部に、キルン筒体11内において処理材料Wを処理した後の排ガスを排出させる排気部53を設けている。なお、前記のキャリアガス供給パイプ51や酸素含有ガス供給パイプ52や排気部53を設ける位置は特に限定されず、図示していないが、例えば、前記のキャリアガス供給パイプ51と酸素含有ガス供給パイプ52とを前記の材料導入部12に設ける一方、前記の排気部53を前記の導出部13の上部に設けるようにすることも可能である。
【0022】
ここで、この実施形態においては、前記のキルン筒体11として、アルミニウム含有材料で構成されたものを用い、このキルン筒体11の内周面に酸化アルミ被覆層11aを形成するにあたっては、
図1に示すように、前記のキルン筒体11をロータリーキルン10に装着させて、前記の回転装置30によってキルン筒体11を回転させると共に、前記の加熱装置40によってキルン筒体11を加熱させる一方、前記の材料供給装置20を停止させて処理材料Wをキルン筒体11内に供給させないようにし、この状態で、前記のキャリアガス供給パイプ51に設けたバルブ51aを閉じて、キルン筒体11内にキャリアガスGcを供給させないようにする一方、前記の酸素含有ガス供給パイプ52に設けたバルブ52aを開けて、酸素含有ガス供給パイプ52から酸素含有ガスGoをキルン筒体11内に供給させるようにする。このようにすると、アルミニウム含有材料で構成されたキルン筒体11の内周面が酸素含有雰囲気中で加熱処理され、
図1及び
図2に示すように、このキルン筒体11の内周面に強固な酸化アルミ被覆層11aが簡単に形成されるようになる。なお、前記のバルブ51a,52aについては、開いた状態を白抜きで、閉じた状態を黒塗りで図示した。
【0023】
また、この実施形態において、前記のように内周面に強固な酸化アルミ被覆層11aが形成されたキルン筒体11が装着されたロータリーキルン10を用いて処理材料Wを加熱処理するにあたっては、
図3に示すように、前記の酸素含有ガス供給パイプ52に設けたバルブ52aを閉じて、キルン筒体11内に酸素含有ガスGoを供給させないようにする一方、前記のキャリアガス供給パイプ51に設けたバルブ51aを開けて、キャリアガス供給パイプ51からキルン筒体11内にキャリアガスGcを供給させるようにする。
【0024】
そして、前記の材料供給装置20により、前記のホッパー21に収容された処理材料Wを前記の材料導入部12を通して前記のキルン筒体11内に供給し、前記の加熱装置40によってキルン筒体11を加熱させると共に、前記の回転装置30によりキルン筒体11を回転させて、キルン筒体11内に供給された前記の処理材料Wを、キャリアガスGcが供給されたキルン筒体11内において加熱させながら前記の導出部13に向けて搬送させて加熱処理し、このように加熱処理された処理材料Wを導出部13における導出口13aから導出させるようにしている。一方、前記のようにキルン筒体11内で処理材料Wを加熱処理させた後のキャリアガスGcの排ガスは、前記の材料導入部12の上部に設けた前記の排気部53から排気させるようにしている。なお、キルン筒体11を前記の導出部13に向けてごく僅かに下方に傾斜させていることにより、処理材料Wはキルン筒体11内を導出部13に向けて搬送されるようになる。
【0025】
ここで、前記の材料供給装置20により、ホッパー21に収容された処理材料Wをキルン筒体11内に供給するにあたり、この実施形態においては、ホッパー21に収容された処理材料Wを材料供給管22内に供給し、この材料供給管22内に設けた搬送スクリュウ23aをモーター23により回転させて、材料供給管22内に供給された処理材料Wを、この搬送スクリュウ23aにより搬送させて材料供給管22の先端からキルン筒体11内に供給するようにしている。なお、処理材料Wをキルン筒体11内に供給する方法は、前記の搬送スクリュウ23aを用いた方式に限定されず、振動させて搬送する振動方式などを使用することも可能である。
【0026】
また、この実施形態においては、前記のように材料供給管22内を通して処理材料Wを搬送させてキルン筒体11内に供給するにあたり、前記の処理材料Wが材料供給管22内で加熱されて、材料供給管22内に付着したりするのを防止するため、材料供給管22の外周に断熱材で構成された筒状の断熱部材24を設けると共に、処理材料Wをキルン筒体11内に供給する材料供給管22の先端側の位置に、キルン筒体11内における熱が材料供給管22内に導かれるのを抑制する輻射シールド25を設けている。なお、図示していないが、前記の筒状の断熱部材24の内側に冷却手段を設けることも可能である。
【0027】
ここで、前記のように処理材料Wを回転する円筒状のキルン筒体11内において加熱させながら搬送させて処理するようにした場合、処理材料Wとの接触するキルン筒体11の内周面には強固な酸化アルミ被覆層11aが形成されているため、処理材料Wとの接触によりキルン筒体11の内周面が削れたり、また加熱処理によりキルン筒体11の内周面が腐食して摩耗したりするのが防止されて、キルン筒体11内において粉塵が発生するのが抑制され、加熱処理時における処理材料Wに不純物が混入するのが確実に防止できるようになる。
【0028】
また、前記のようにロータリーキルン10において、処理材料Wを回転する円筒状のキルン筒体11内において加熱させながら搬送させて処理する操作を続けた結果、
図4に示すように、キルン筒体11の内周面に処理材料W等の付着物xが付着した場合には、前記の
図1に示す場合と同様に、前記の材料供給装置20を停止させて処理材料Wをキルン筒体11内に供給させないようにすると共に、前記の酸素含有ガス供給パイプ52に設けたバルブ52aだけを開けて、酸素含有ガス供給パイプ52からキルン筒体11内に酸素含有ガスGoだけを供給させるようにし、この状態で、前記の回転装置30によってキルン筒体11を回転させると共に、前記の加熱装置40によってキルン筒体11を加熱させて、キルン筒体11の内周面に付着した付着物xを加熱除去(バーンアウト)すると共に、このキルン筒体11の内周面において付着物xの除去に伴って剥がれた酸化アルミ被覆層11aを再生させるようにする。
【0029】
このようにすると、キルン筒体11の内周面に付着した付着物xが簡単に除去されて、キルン筒体11の内周面に強固な酸化アルミ被覆層11aが簡単に再生されるようになり、このロータリーキルン10により、処理材料Wを加熱処理する操作が長期にわたって安定して行えるようになる。
【符号の説明】
【0030】
10 :ロータリーキルン
11 :キルン筒体
11a :酸化アルミ被覆層
12 :材料導入部
13 :導出部
13a :導出口
20 :材料供給装置
21 :ホッパー
22 :材料供給管
23 :モーター
23a :搬送スクリュウ
24 :断熱部材
25 :輻射シールド
30 :回転装置
31 :支持ローラー
40 :加熱装置
41 :断熱筒体
51 :キャリアガス供給パイプ
51a :バルブ
52 :酸素含有ガス供給パイプ
53 :排気部
Gc :キャリアガス
Go :酸素含有ガス
W :処理材料
x :付着物