(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022127806
(43)【公開日】2022-09-01
(54)【発明の名称】横形製袋充填機
(51)【国際特許分類】
B65B 9/067 20120101AFI20220825BHJP
B65B 31/04 20060101ALI20220825BHJP
【FI】
B65B9/067
B65B31/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021025997
(22)【出願日】2021-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000136387
【氏名又は名称】株式会社フジキカイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀田 倫人
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 一輝
(72)【発明者】
【氏名】青木 康哲
【テーマコード(参考)】
3E050
3E053
【Fターム(参考)】
3E050AA02
3E050AB02
3E050BA04
3E050BA11
3E050CA01
3E050CB01
3E050DB01
3E050DD04
3E050DH10
3E050FA02
3E050FB07
3E050GB05
3E050JA03
3E050JA04
3E053AA06
3E053BA05
3E053BA10
3E053CA01
3E053CB10
3E053FA01
3E053GA08
3E053GA18
3E053JA10
(57)【要約】
【課題】筒状のフィルムをスムーズに送りながら、脱気包装またはガス充填包装できる横形製袋充填機を提供する。
【解決手段】横形製袋充填機は、製袋手段12から横シール手段16の上流側までの区間において、搬送方向に沿うと共に左右に離間して配設されており筒状フィルムF2の下面F4を支持する搬送ベッド21と、両搬送ベッド21の間に配設されると共に、縦シール手段15の上流側から横シール手段16の近傍までに至るように搬送ベッド21に沿って水平に延びて支持され、筒状フィルムF2内の空気を吸引または筒状フィルムF2内にガスを供給する通気パイプ31を備える。通気パイプ31は、上下方向において搬送ベッド21と縦シール手段15との間に位置し、通気パイプ31の上部33が搬送ベッド21の搬送面21aより下方又は同一面に位置付けられ、通気パイプ31の上部33より下部34に向かって幅が狭くなる断面形状を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム供給源から送られる帯状のフィルムを製袋手段によって筒状に成形すると共に、筒状フィルム内に物品を所定間隔で搬送し、かつ前記帯状のフィルムの重合端縁部を縦シール手段で縦シールを施し、前記筒状フィルムの移送方向と交差する方向に沿って横シール手段で横シールを施す横形製袋充填機であって、
前記製袋手段から前記横シール手段の上流側までの区間において、搬送方向に沿うと共に左右に離間して配設されており、前記筒状フィルムの下面を支持する搬送ベッドと、
両前記搬送ベッドの間に配設されると共に、少なくとも前記縦シール手段の上流側から前記横シール手段の近傍までに至るように前記搬送ベッドに沿って水平に延びて支持され、延びた端部に貫通口を有し、前記貫通口を通じて前記筒状フィルム内の空気を吸引または前記筒状のフィルム内にガスを供給する通気パイプと、を備え、
前記通気パイプは、
搬送方向に交差する上下方向において、前記搬送ベッドと前記縦シール手段との間に位置し、前記通気パイプの上部が前記搬送ベッドの搬送面より下方又は同一面に位置付けられ、
前記通気パイプの上部より下部に向かって幅が狭くなる断面形状を有している、横形製袋充填機。
【請求項2】
移送される前記筒状フィルムを吸着する吸着ベルトが前記通気パイプを挟む左右に備えられた、請求項1に記載の横形製袋充填機。
【請求項3】
前記通気パイプは、その上部が円弧状に成形された断面形状を有している、請求項1または請求項2に記載の横形製袋充填機。
【請求項4】
前記通気パイプは、逆三角状に成形された断面形状を有している、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の横形製袋充填機。
【請求項5】
前記通気パイプは、前記筒状フィルム内の空気を吸引する脱気パイプである、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の横形製袋充填機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、横形製袋充填機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食品の空気中の酸素による好ましくない変化(酸化)を阻止する包装として、袋の空気を脱気する脱気包装、食品の品質等を不活性ガスにより保持するガス充填包装(ガス置換包装)等が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、物品の搬送面上に水平状態に設けられたパイプノズルにより、筒状フィルム内の空気を吸引して脱気した後、エンドシールを施す脱気包装装置が開示されている。この脱気包装装置は、パイプノズルが筒状フィルム内の下方側に位置しており、パイプノズルの上面を物品が筒状フィルムと共に移動する構成となっている。
【0004】
特許文献2には、筒状フィルム内の上方側に設けられたパイプノズルにより、筒状フィルム内にガスを充填した後、エンドシールを施す包装機が開示されている。この包装機は、片持ち支持されたパイプノズルが物品の搬送方向に沿って延びており、パイプノズルの自由端側が磁石によって水平状態に保持される構成となっている。これにより、パイプノズルが自重によって垂れ下がり、物品と接触するのを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7-205929号公報
【特許文献2】特開2018-193124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載の包装装置は、パイプノズルが筒状フィルム内の下方側すなわち搬送面側に設けられており、パイプノズルの上面が搬送面より上方に位置している。そのため、搬送される製品の底面とパイプノズルの上面が接触することにより、製品へのダメージが生じる懸念がある。一方、特許文献2に記載の包装装置は、パイプノズルが筒状フィルムの上方側に位置している。しかしながら、片持ち支持されたパイプノズルを磁石で保持する構成であることから、パイプノズルに係る装置の構成が大掛かりになってしまう。そのため、コンパクトな構成で、フィルム送りの妨げとならないように脱気包装又はガス充填包装を行うことができる包装装置が求められる。
【0007】
本発明は、筒状のフィルムをスムーズに送りながら脱気包装またはガス充填包装できる横形製袋充填機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の横形製袋充填機は次の手段をとる。先ず請求項1に係る発明は、フィルム供給源(10)から送られる帯状のフィルム(F1)を製袋手段(12)によって筒状に成形すると共に、筒状フィルム(F2)内に物品(P)を所定間隔で搬送し、かつ前記帯状のフィルム(F1)の重合端縁部(F3)を縦シール手段(15)で縦シールを施し、前記筒状フィルム(F2)の移送方向と交差する方向に沿って横シール手段(16)で横シールを施す横形製袋充填機であって、前記製袋手段(12)から前記横シール手段(16)の上流側までの区間において、搬送方向に沿うと共に左右に離間して配設されており、前記筒状フィルム(F2)の下面(F4)を支持する搬送ベッド(21)と、両前記搬送ベッド(21)の間に配設されると共に、少なくとも前記縦シール手段(15)の上流側から前記横シール手段(16)の近傍までに至るように前記搬送ベッド(21)に沿って水平に延びて支持され、延びた端部に貫通口(32)を有し、前記貫通口(32)を通じて前記筒状フィルム(F2)内の空気を吸引または前記筒状フィルム(F2)内にガスを供給する通気パイプ(31)とを備え、前記通気パイプ(31)は、搬送方向に交差する上下方向において、前記搬送ベッド(21)と前記縦シール手段(15)との間に位置し、前記通気パイプ(31)の上部(33)が前記搬送ベッド(21)の搬送面(21a)より下方又は同一面に位置付けられ、前記通気パイプ(31)の上部(33)より下部(34)に向かって幅が狭くなる断面形状を有していることを特徴とする。
【0009】
この請求項1に係る発明によれば、筒状フィルム(F2)の下面(F4)が製袋手段(12)から横シール手段(16)の上流側までの区間に備えられた搬送ベッド(21)により支持されると共に、物品(P)が左右の搬送ベッド(21)を跨いだ状態で搬送される。また、通気パイプ(31)は、搬送方向と交差する左右方向において両搬送ベッド(21)の間であって、上下方向において搬送ベッド(21)と縦シール手段(15)との間に備えられている。通気パイプ(31)の上部(33)が搬送ベッド(21)の搬送面(21a)より下方又は同一面に位置付けられていることにより、通気パイプ(31)の上部(33)は搬送される物品(P)の底面(P7)より下方に位置し、物品(P)を安定した姿勢で搬送できる。さらに通気パイプ(31)の断面形状が、その上部(33)より下部(34)に向かって幅が狭くなっていることにより、縦シール手段(15)により下方に引っ張られたフィルムが通気パイプ(31)に接触して干渉されるのを抑制できる。したがって、筒状フィルム(F2)をスムーズに送りながら脱気包装またはガス充填包装できる。
【0010】
次に、請求項1に従属する請求項2に係る発明は、移送される前記筒状フィルム(F2)を吸着する吸着ベルト(22)が前記通気パイプ(31)を挟む左右に備えられたことを特徴とする。
【0011】
この請求項2に係る発明によれば、通気パイプ(31)を挟む左右に備えられた吸着ベルト(22)が、移送される筒状フィルム(F2)の下面(F4)を吸着するため、筒状フィルム(F2)内の空気の吸引又はガスの供給によって、フィルムが引っ張られ又は押される等して、筒状フィルム(F2)の位置ずれが生じるのを抑制できる。
【0012】
次に、請求項1又は請求項2に従属する請求項3に係る発明は、前記通気パイプ(40)は、その上部(41)が円弧状に成形された断面形状を有していることを特徴とする。
【0013】
この請求項3に係る発明によれば、通気パイプ(40)の搬送方向からみた断面形状はその上部(41)が円弧状であり、搬送される物品(P)の底面(P7)と円弧状の上部(41)が接触する面を小さくすることができる。よって、物品(P)と通気パイプ(40)の間に生じる摩擦を小さくすることができ、よりスムーズに物品(P)の搬送及び筒状フィルム(F2)の移送を行うことができる。
【0014】
次に、請求項1から請求項3のいずれか一項に従属する請求項4に係る発明は、前記通気パイプ(31)は、逆三角状に成形された断面形状を有していることを特徴とする。
【0015】
この請求項4に係る発明によれば、筒状フィルム(F2)の下面(F4)側が、通気パイプ(31)の逆三角状の断面形状に沿うようにして縦シール手段(15)により下方に引っ張られる。よって、通気パイプ(31)と縦シール手段(15)の間にできる筒状フィルム(F2)の隙間をより小さくできる。これにより、筒状フィルム(F2)と通気パイプ(31)とのひっかかりを抑制し、筒状フィルム(F2)をスムーズに移送できる。
【0016】
次に、請求項1から請求項4のいずれか一項に従属する請求項5に係る発明は、前記通気パイプ(31)は、前記筒状フィルム(F2)内の空気を吸引する脱気パイプであることを特徴とする。
【0017】
この請求項5に係る発明によれば、通気パイプ(31)を通じて脱気包装が施される。なお、断面形状が逆三角状である通気パイプ(31)を脱気パイプとすることにより、通気パイプ(31)と縦シール手段(15)の間にできる筒状フィルム(F2)の隙間が小さくなり、残存する空気の量を抑えることができる。よって、よりタイトな包装を施すことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、筒状のフィルムをスムーズに送りながら脱気包装またはガス充填包装できる横形製袋充填機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施形態に係る横形製袋充填機の概略図である。
【
図2】縦シール手段、縦シール手段より下流側の搬送ベッド、及び通気パイプの配置を示す概略斜視図である。
【
図3】
図1の横形製袋充填機をIII方向から矢視した概略断面図である。
【
図4】他の実施形態に係る通気パイプの
図3に相当する図である。
【
図5】他の実施形態に係る通気パイプの
図3に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本実施形態に係る横形製袋充填機について、
図1から
図3を用いて説明する。横形製袋充填機は、搬送経路の上流側において筒状に成形されたフィルム内に物品を所定間隔ごとに供給し、その物品と筒状フィルムを搬送すると共に、筒状フィルムに縦シール及び横シールを施し、脱気包装するものである。本実施形態で包装される被収容物としての物品は、例えば製パン等の食品が挙げられる。
【0021】
横形製袋充填機は、
図1,2に示すように、搬送方向上流側から下流側に向かって、供給コンベヤ11と、製袋手段12と、一対の送りローラ13と、一対の余熱シーラ14と、一対の縦シールローラ15(縦シール手段)と、渡りコンベヤ17と、横シール手段16と、排出コンベヤ18と、制御部(不図示)を備える。また、横形製袋充填機は、製袋手段12から横シール手段16の上流側までの区間において筒状フィルムF2の下面F4を支持する搬送ベッド21と、筒状フィルムF2内の空気を吸引する通気パイプ31を備える。
【0022】
製袋手段12は、原反ロール10(フィルム供給源)から送られる帯状フィルムF1(帯状のフィルム)を、その長手方向に交差する左右方向両端縁部を合掌状に重ね合わせて筒状に成形するものである。筒状フィルムF2は、両端縁部が合掌状に重ね合わされた重合端縁部F3を有する。供給コンベヤ11は、製袋手段12によって供給された筒状フィルムF2内に物品Pを所定間隔ごとに供給するコンベヤである。
【0023】
一対の送りローラ13は、筒状フィルムF2の重合端縁部F3を、筒状フィルムF2の移送方向及び物品Pを搬送する方向(以下、搬送方向と称す)に対し左右方向における両側から挟んで、不図示の駆動源から伝達された回転駆動力によって筒状フィルムF2を搬送方向下流側に送り出すローラである。一対の余熱シーラ14は、一対の送りローラ13より搬送方向下流側で筒状フィルムF2の重合端縁部F3に対して左右に離間して配設され、この重合端縁部F3を予め加熱する装置である。
【0024】
一対の縦シールローラ15(縦シール手段)は、余熱シーラ14より下流側に配置され、搬送方向(筒状フィルムF2の移送方向)に沿って重合端縁部F3に縦シールを施すものである。一対の縦シールローラ15は、余熱シーラ14によって加熱された筒状フィルムF2の重合端縁部F3を、駆動源から伝達された駆動力によって回転しながら左右両側から挟持すると共に、加熱、加圧をして溶着するローラである。
【0025】
横シール手段16は、筒状フィルムF2の重合端縁部F3が倒された筒状フィルムF2の中の物品Pの前後位置で筒状フィルムF2を挟み、搬送方向(筒状フィルムF2の移送方向)と交差する方向に沿って横シールを施すものである。なお、本実施形態に係る横形製袋充填機の横シール手段16は、上下のシール体が上下方向と水平方向に同時に移動する楕円運動をしながら筒状フィルムF2に横シール及びカットを施す、いわゆるボックスモーションタイプを採用している。
【0026】
渡りコンベヤ17は、横シール手段16より上流側で筒状フィルムF2及び物品Pを搬送する搬送経路を構成するシャトルコンベヤである。排出コンベヤ18は、横シール手段16より下流側で筒状フィルムF2及び物品Pを搬送する搬送経路を構成するシャトルコンベヤである。渡りコンベヤ17と搬送コンベヤ18は、その対向する端部同士が横シール手段16のシール体の移動・動作に応じて、搬送方向に沿って相互に近接・離間する構成となっている。
【0027】
搬送ベッド21は、
図1,2に示すように、製袋手段12から横シール手段16の上流側までの区間において筒状フィルムF2の下面F4を支持すると共に、筒状フィルムF2を介して筒状フィルムF2内に供給された物品Pを載置して搬送するものである。搬送ベッド21は搬送方向に沿うと共に左右に離間して配設されている。なお、物品Pは左右の搬送ベッド21を跨ぐようにして載置される。また、搬送ベッド21の一方は、縦シールが施され、左右方向の何れかに折り返された重合端縁部F3を逃がすための切欠き21bが、横シール手段16の上流側付近において設けられている。
【0028】
渡りコンベヤ17上における搬送ベッド21の搬送面21aには、
図2,3に示すように、後述する通気パイプ31の貫通口32側先端付近において、移送される筒状フィルムF2を吸着する吸着ベルト22が搬送ベッド21を覆うようにして備えられている。吸着ベルト22は通気パイプ31を挟む左右に配設されている。なお、筒状フィルムF2の重合端縁部F3が折り返される側の吸着ベルト22は、搬送ベッド21の切欠き21bに合わせて幅方向中央より外側にずらした位置に配設されている。すなわち、重合端縁部F3が折り返された位置を回避する構成となっている。物品Pは左右の吸着ベルト22を跨ぐようにして載置される。
【0029】
渡りコンベヤ17と排出コンベヤ18の対向する端部同士が搬送方向に沿って相互に近接・離間するのに伴い、渡りコンベヤ17上における搬送ベッド21と吸着ベルト22は下流側の端部が搬送方向に沿って伸縮する構成となっている。なお、搬送ベッド21の切欠き21bは、通気パイプ31の貫通口32側の先端を超えて下流側に移動することがないように設定されている。すなわち、切欠き21bは、搬送ベッド21と吸着ベルト22が横シール手段16に近づくときに、通気パイプ31の貫通口32よりも上流側に位置するように設けられている。
【0030】
吸着ベルト22の載置面22aには、搬送方向に沿って複数の吸着穴22bが設けられている。吸着穴22bは、吸着ベルト22の幅方向中央より内側(後述する通気パイプ31側)に位置している。これにより、載置面22a上にある物品Pの底面P7の幅が狭い場合であっても、物品Pの底面P7が筒状フィルムF2の下面F4を介して吸着穴22bの上に掛かり、確実に筒状フィルムF2の下面F4を吸着できる。このように吸着穴22bを、物品Pの底面P7の幅方向中央寄りの位置に配設することによって、物品Pの様々な形状に対応できる。
【0031】
通気パイプ31は、真空ポンプなどの気体吸引装置(不図示)に連結され、筒状フィルムF2内の空気を吸引する脱気パイプとして機能する。通気パイプ31は、
図2に示すように、左右方向における両搬送ベッド21の間に配設されており、一対の縦シールローラ15(縦シール手段)の上流側から横シール手段16の近傍までに至るように搬送ベッド21に沿って水平に延びて、通気パイプ31の上流側の端部が片持ち支持されている。具体的には、通気パイプ31は、送りローラ13と余熱シーラ14の間から上方に向けて立ち上がり、横シール手段16の上流側近傍まで至る区間に搬送方向に沿って延在している。また、通気パイプ31の延びた端部すなわち下流側の端部には、貫通口32が設けられており、貫通口32を通じて筒状フィルムF2内の空気が吸引される。
【0032】
通気パイプ31は、
図3に示すように、搬送方向に交差する上下方向において、搬送ベッド21と縦シールローラ15(縦シール手段)との間に位置する。言い換えれば、通気パイプ31は、搬送ベッド21の下方であって、一対の送りローラ13と一対の縦シールローラ15の上方を通るように配設されている。また、通気パイプ31の上部33は、搬送ベッド21の搬送面21aより下方又は同一面の高さに位置付けられ、吸着ベルト22の載置面22aより下方に位置付けられる。なお、通気パイプ31は筒状フィルムF2内において搬送ベッド21に載置された物品Pの底面P7の下方側に位置する。これにより、筒状フィルムF2の下面F4はそれぞれ物品Pの底面P7と搬送ベッド21の搬送面21aの間を介し、両搬送ベッド21の間における隙間を通って通気パイプ31の下方まで延在する。通気パイプ31の下方においては、フィルムFの両端縁部が合掌状に重ね合わされた重合端縁部F3が縦シールローラ15に挟持される。
【0033】
また、通気パイプ31の搬送方向からみた断面形状は、その上部33より下部34に向かって幅が狭くなっている。本実施形態においては、逆三角状に成形されている。ここで、筒状フィルムF2の重合端縁部F3は、一対の送りローラ13又は一対の縦シールローラ15に挟持されると、通気パイプ31の下方に向かって引っ張られる。筒状フィルムF2は、通気パイプ31の逆三角状の断面形状に沿って挟持されるため、通気パイプ31に干渉されることなく縦シールが施され、移送される。また、通気パイプ31と縦シールローラ15の間にできる筒状フィルムF2の隙間がより小さくなるため、筒状フィルムF2内に残存する空気の量を抑え、タイトな脱気包装を施すことができる。
【0034】
なお、
図4に示す通気パイプ40のように、その上部41が円弧状に成形された断面形状としても良い。これにより、通気パイプ40の上部41と搬送される物品Pの底面P7とが接触する面を小さくし、物品Pと通気パイプ40の間に生じる摩擦を小さくできる。また、上部41から下部42に向かって先細りの断面形状とすることにより、通気パイプ40と筒状フィルムF2の下面F4との干渉を抑制できる。
【0035】
次に、実施形態に係る横形製袋充填機の作用について説明する。
【0036】
図1を参照として、帯状フィルムF1が筒状に成形され、筒状フィルムF2が搬送ベッド21に沿って送られる。供給コンベヤ11によって搬送された物品Pが所定間隔ごとに筒状フィルムF2内に供給されると共に、筒状フィルムF2を介して左右の搬送ベッド21の搬送面21aを跨ぐように載置される。筒状フィルムF2の下面F4は物品Pの底面P7と搬送ベッド21の搬送面21aとの間を通るように位置している(
図3参照)。
【0037】
物品Pは、左右の搬送ベッド21の間に配設された通気パイプ31の上方を通るように、筒状フィルムF2と共に搬送される。通気パイプ31の上部33は搬送ベッド21の搬送面21aと同一面に位置しており、物品Pの底面P7は安定した姿勢で搬送面21aに載置されている。
【0038】
搬送ベッド21の下方においては、フィルムFの長手方向両端縁部が、一対の送りローラ13により合掌状に重ね合わされた状態で挟持され、搬送方向に移送される。筒状フィルムF2は、逆三角状に成形された通気パイプ31の断面形状に沿って下方に引っ張られる。搬送方向に延在する筒状フィルムF2の重合端縁部F3は余熱シーラ14に加熱され、一対の縦シールローラ15によって加熱、加圧される。このようにして重合端縁部F3に縦シールが施される。
【0039】
搬送ベッド21の下流側において、筒状フィルムF2は、その中の物品Pの前後位置において横シール手段16により挟持されると共に、切断される。これにより、搬送方向と交差する方向に横シールが施され、下流側の包装品が筒状フィルムF2から切り離される。
【0040】
筒状フィルムF2の下流側は横シールが施されたことにより袋状になっている。筒状フィルムF2内の空気は通気パイプ31の貫通口32を通じて吸引され、筒状フィルムF2から排出される。筒状フィルムF2の下面F4は、両搬送ベッド21の間から逆三角状の通気パイプ31に沿って延在しており、通気パイプ31と重合端縁部F3との間に隙間が生じ難くなっている。そのため、残存する空気の量がより少なくなるように脱気される。筒状フィルムF2の下面F4は吸着ベルト22の載置面22aに設けられた吸着穴22bによって吸着されている。これにより、筒状フィルムF2が脱気によって引っ張られても位置ずれすることなく安定して移送される。
【0041】
脱気された状態で排出コンベヤ18に渡った袋状のフィルムFは、物品Pの周りに残存する空気の量が少なく抑えられており、物品Pの上流側において横シールが施され、切断される。これにより、よりタイトな包装品が得られる。
【0042】
上記実施形態に係る横形製袋充填機は、次のような効果がある。
(1)横形製袋充填機は、筒状フィルムF2の下面F4が製袋手段12から横シール手段16の上流側までの区間に備えられた搬送ベッド21により支持されると共に、物品Pが左右の搬送ベッド21を跨いだ状態で搬送される構成となっている。また、通気パイプ31は、搬送方向と交差する左右方向における両搬送ベッド21の間であって、かつ上下方向において搬送ベッド21と縦シールローラ15(縦シール手段)との間に備えられている。通気パイプ31の上部33が搬送ベッド21の搬送面21aより下方又は同一面に位置付けられていることにより、通気パイプ31の上部33は搬送される物品Pの底面P7の下方に位置し、物品Pを安定した姿勢で搬送できる。
(2)通気パイプ31は、その上部33より下部34に向かって幅が狭くなる断面形状を有している。これにより、縦シールローラ15により下方に引っ張られたフィルムFが通気パイプ31に接触して干渉されるのを抑制できる。したがって、筒状フィルムF2をスムーズに送りながら脱気包装できる。
(3)搬送ベッド21の搬送面21aにおいて、吸着ベルト22が通気パイプ31を挟む左右に備えられており、移送される筒状フィルムF2の下面F4を吸着する。これにより、筒状フィルムF2内の空気の吸引によって、フィルムFが引っ張られる等して、筒状フィルムF2の位置ずれが生じるのを抑制できる。
(4)通気パイプ31の上部33は、吸着ベルト22の載置面22aより下方に位置している。これにより、搬送される物品Pの底面P7と通気パイプ31が接触して摩擦が生じるのを抑制できる。
(5)筒状フィルムF2の下面F4側は、通気パイプ31の逆三角状の断面形状に沿うようにして縦シールローラ15により下方に引っ張られる。よって、通気パイプ31と縦シールローラ15の間にできる筒状フィルムF2の隙間をより小さくできる。これにより、筒状フィルムF2と通気パイプ31とのひっかかりを抑制し、筒状フィルムF2をスムーズに移送できる。
(6)断面形状が逆三角状である通気パイプ31を脱気パイプとすることにより、通気パイプ31と縦シールローラ15の間にできる筒状フィルムF2の隙間が小さくなり、残存する空気の量を抑えることができる。よって、よりタイトな包装を施すことができる。
(7)
図4に示す通気パイプ40の搬送方向からみた断面形状は、その上部41が円弧状であり、搬送される物品Pの底面P7と通気パイプ40の上部41が接触する面を小さくすることができる。よって、物品Pと通気パイプ40の間に生じる摩擦を小さくすることができ、よりスムーズに物品Pの搬送及び筒状フィルムF2の移送を行うことができる。
(8)吸着ベルト22の載置面22aに設けられた吸着穴22bは、吸着ベルト22の幅方向中央より内側(通気パイプ31側)に位置している。これにより、載置面22a上にある物品Pの底面P7の幅が狭い場合であっても、物品Pの底面P7が筒状フィルムF2の下面F4を介して吸着穴22bの上に掛かり、確実に筒状フィルムF2の下面F4を吸着できる。よって、物品Pの様々な形状に対応できる。
【0043】
<変更例>
本発明は、上述した実施形態で説明した構成に限定されず、要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。
(1)上記実施形態に係る通気パイプ31を脱気パイプとしたが、通気パイプ31は筒状フィルムF2内にガスを供給するガス充填パイプとしても適用できる。通気パイプ31の貫通口32を通じて筒状フィルムF2内にガスを供給すると、筒状フィルムF2は搬送方向下流側において横シールが施され袋状になっているため、上流側から筒状フィルムF2内の空気が排出される。これにより、筒状フィルムF2内に物品Pの品質保持のためのガスが充填される。なお、上記実施形態と同様に吸着ベルト22を配設することにより、筒状フィルムF2内にガスが供給されて袋が膨らむようにフィルムFが押されても、フィルムFが位置ずれすることなく移送される。
(2)上記実施形態に係る通気パイプ31は、断面形状を逆三角状としたが、これに限らず、上部より下部に向かって幅が狭くなる他の形状としても良い。例えば、
図5に示す通気パイプ50のように、断面形状が逆台形状に成形されても良い。通気パイプの上部は直線状、円弧状等の形状に適宜設定できる。
(3)上記実施形態に係る横形製袋充填機は包装される物品Pを食品としたが、これに限られず、例えば薬品、工業製品等の包装にも適用されるものである。
【符号の説明】
【0044】
F:フィルム F1:帯状フィルム(帯状のフィルム)F2:筒状フィルム
F3:重合端縁部 F4:下面 P:物品 P7:底面
10:原反ロール(フィルム供給源) 11:供給コンベヤ 12:製袋手段
13:送りローラ 14:余熱シーラ 15:縦シールローラ(縦シール手段)
16:横シール手段 17:渡りコンベヤ 18:排出コンベヤ 21:搬送ベッド
21a:搬送面 22:吸着ベルト 31:通気パイプ 32:貫通口 33:上部
34:下部