(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022127866
(43)【公開日】2022-09-01
(54)【発明の名称】メタルジグ
(51)【国際特許分類】
A01K 85/18 20060101AFI20220825BHJP
【FI】
A01K85/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021026086
(22)【出願日】2021-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】598095536
【氏名又は名称】スズキ機工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166132
【弁理士】
【氏名又は名称】木船 英雄
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 豊
【テーマコード(参考)】
2B307
【Fターム(参考)】
2B307BA42
2B307BA46
2B307BA69
2B307BA70
(57)【要約】
【課題】1つで多様な形態に適宜変化させて用いることができる新規なメタルジグの提供。
【解決手段】ラインLが接続されるベース板10の片面あるいは両面に、少なくとも1枚以上の錘板20A、20Bをボルトによって重ね合わせるように着脱自在に備える。このような構成によれば、ベース板10の片面あるいは両面に取り付けられる錘板20A、20Bの数を好みに応じてその場で適宜増減できるため、全体の重さや形状などの形態を多様に変化できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラインが接続されるベース板の片面あるいは両面に、少なくとも1枚以上の錘板をボルトによって重ね合わせるように着脱自在に備えたことを特徴とするメタルジグ。
【請求項2】
請求項1に記載のメタルジグにおいて、
前記ベース板に前記ボルトが螺合するねじ穴が1つ以上形成されていると共に、前記錘板に前記ねじ穴に螺合するボルトが貫通する貫通穴が1つ以上形成されていることを特徴とするメタルジグ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のメタルジグにおいて、
前記ベース板にラインを接続するためのアイと、フックを接続するためのアイを1つ以上備えたことを特徴とするメタルジグ。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載のメタルジグにおいて、
前記錘板にフックを接続するためのアイを1つ以上備えたことを特徴とするメタルジグ。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載のメタルジグにおいて、
前記錘板は、前記ベース板上に取り付けられる第1の錘板と、当該第1の錘板上に取り付けられる第2の錘板と、当該第2の錘板上に取り付けられる第3の錘板とからなることを特徴とするメタルジグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジギングと呼ばれるルアーフィッシングなどで使用する金属製のメタルジグに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ジギングは錘を兼用するメタルジグを海底まで一気に落とし、これをリズミカルに巻き上げて魚を誘って釣り上げるといったオフショアフィッシング(船釣り)のひとつであり、初心者でも大物をヒットできる可能性があることから人気が高いフィッシングである。このジギングに用いるメタルジグは、例えば以下の特許文献1乃至4などに示すように、小魚を模した金属製のルアー本体に2つ以上のアイ(止輪)を備え、その1つにライン(釣糸)を結束すると共に、他のアイにフック(釣針)を備えた構成となっている。
【0003】
そして、このメタルジグの大きさとしては10~15cmを中心に数cmから20cmを超えるものまであり、その重量も150gを中心に数十g~200gを超えるものなどがある。また、その形状も左右対称のものや非対称のものの他に重心の位置が前後に異なるものなど様々な形態のものが用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-197429号公報
【特許文献2】実用新案登録第3160505号公報
【特許文献3】実用新案登録第3229440号公報
【特許文献4】特許第4173250号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、船上でジギングを行う際には、その釣り場の水深や潮の流れ、あるいは目的とする魚の種類などに応じて釣り人がその場で最適なメタルジグを選択または適宜交換しながら用いるため、通常数種類のメタルジグを多数持参していることが多い。
【0006】
しかし、このメタルジグは鉛やタングステン、鉄(ステンレススチール)、アルミニウムなどの金属から形成されているため、持参する数が増えるについて重くなるといった不都合がある。また、フックアウトした際に魚と一緒に紛失しやすいため、後から紛失したものと同じものをその都度買い足さなくてはならず、コストが高くなるといった不都合もある。
【0007】
そこで、本発明はこれらの課題を解決するために案出されたものであり、その目的は、1つで多様な形態に適宜変化させて用いることができる新規なメタルジグを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために第1の発明は、ラインが接続されるベース板の片面あるいは両面に、少なくとも1枚以上の錘板をボルトによって重ね合わせるように着脱自在に備えたことを特徴とするメタルジグである。このような構成によれば、ベース板の片面あるいは両面に取り付けられる錘板の数を好みに応じてその場で適宜増減できるため、全体の重さや形状などの形態を多様に変化できる。これによって、複数のメタルジグを持参する必要がなくなり、荷物の軽量化を図れると共に、複数種類のものを多数用意する必要がなくなるため、コストも低く抑えることができる。
【0009】
第2の発明は、第1の発明において、前記ベース板に前記ボルトが螺合するねじ穴が1つ以上形成されていると共に、前記錘板に前記ねじ穴に螺合するボルトが貫通する貫通穴が1つ以上形成されていることを特徴とするメタルジグである。このような構成によれば、ベース板に対して錘板を船上であってもドライバー1本だけで簡単に着脱できる。
【0010】
第3の発明は、第1または第2の発明において、前記ベース板にラインを接続するためのアイと、フックを接続するためのアイを1つ以上備えたことを特徴とするメタルジグである。このような構成によれば、ベース板に直接スプリットリングを介してフックを1つ以上取り付けることができる。
【0011】
第4の発明は、第1乃至第3のいずれかの発明において、前記錘板にフックを接続するためのアイを1つ以上備えたことを特徴とするメタルジグである。このような構成によれば、ベース板の他に、錘板にも直接スプリットリングを介してフックを1つ以上取り付けることが可能となる。
【0012】
第5の発明は、第1乃至第4のいずれかの発明において、前記錘板は、前記ベース板上に取り付けられる第1の錘板と、当該第1の錘板上に取り付けられる第2の錘板と、当該第2の錘板上に取り付けられる第3の錘板とからなることを特徴とするメタルジグである。このような構成によれば、第1の錘板から第3の錘板のうち、いずれかを任意に選択することでベース板の左右の重量バランスや形態、大きさなどをより細かく調整することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のメタルジグは、ベース板の両側にそれぞれ錘板を着脱自在に備えると共に、その錘板を複数の錘板で構成したため、これらの錘板のうち、いずれかを任意に選択することでベース板の左右の重量バランスや形態、大きさなどをより細かく調整することができる。これによって、従来のように複数のメタルジグを持参する必要がなくなり、荷物の軽量化を図れると共に、複数種類のものを多数用意する必要がなくなるため、コストも低く抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係るメタルジグ100の実施の一形態を示す斜視図である。
【
図2】(A)は本発明に係るメタルジグ100の実施の一形態を示す左側面図、(B)は本発明に係るメタルジグ100の実施の一形態を示す右側面図である。
【
図3】本発明に係るメタルジグ100の実施の一形態を示す平面図である。
【
図4】本発明に係るメタルジグ100を左側面から見た分解図である。
【
図5】本発明に係るメタルジグ100を平面から見た分解図である。
【
図7】(A)は本発明に係るメタルジグ100の使用例を示す左側面図、(B)はその平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照しながら説明する。
図1乃至
図4は本発明に係るメタルジグ100の実施の一形態を示したものであり、
図1は正面方向から見た斜視図、
図2(A)はその左側面図、同図(B)はその右側面図、
図3は平面図、
図4は分解図である。図示するようにこのメタルジグ100は、小魚形をしたベース板10の両側にそれぞれ錘板20A、20Bを備えた構造となっている。
【0016】
このベース板10は、たとえば厚さが約2mm前後のステンレス板などから構成されており、たとえば高出力のCO2レーザーカッター(レーザー加工機)のような汎用の工作機械を用いて金属板から任意の小魚形状に抜き打ち加工することで複雑な形状であっても容易に製造することができる。そして、このベース板10の先端(小魚の口に当たる部分)には、第1のアイ(止輪)30が一体的に設けられており、図示しない釣り竿側から延びるライン(釣り糸)Lが結束されるようになっている。
【0017】
また、このベース板10の上下、すなわち背鰭11と腹鰭12に相当する部分の近傍と、尾鰭13に相当する部分には、それぞれ第2乃至第4のアイ(止輪)31、32、33が一体的に設けられており、それぞれにスプリットリングRを介してフック(釣り針)F1、F2、F3が着脱自在に取り付けられるようになっている。なお、このベース板10は、ステンレス板の代わりに鉛やタングステン、アルミニウムなどの他の金属板から構成してもよい。
【0018】
また、
図4に示すようにこのベース板10には、その長手方向に沿って複数(図の例では6つ)のねじ穴40a、40b、40c、40d、40e、40fが穿孔されており、それぞれのねじ穴40a、40b、40c、40d、40e、40fに対して、
図3および
図5に示すようにその両側から左右一対ずつ、合計4本の締結ボルトB1、B2、B3、B4が貫通自在に螺合するようになっている。
【0019】
一方、錘板20Aは、
図2(A)および
図4に示すように小魚形をしたベース板10と略相似形でこれよりもやや小さい第1の錘板21aと、この第1の錘板21aと略相似形でこれよりもやや小さい第2の錘板22aと、この第2の錘板22aと略相似形でこれよりもやや小さい第3の錘板23aといった3つの部材から構成されており、これら3枚の錘板21a、22a、23aがベース板10の左側面に順に積層するようにして取り付けられている。
【0020】
また、他方の錘板20Bも、
図2(B)に示すようにおなじくベース板10に対してやや小さい第1の錘板21bと、この第1の錘板21bよりもやや小さい第2の錘板22bと、この第2の錘板22bよりもやや小さい第3の錘板23bといった3つの部材から構成されており、これら3枚の錘板21b、22b、23bがベース板10の右側面に順に積層するようにして取り付けられている。
【0021】
また、これら6枚の錘板21a、22a、23a、21b、22b、23bには、
図4に示すようにベース板10の6つのねじ穴40a、40b、40c、40d、40e、40fとそれぞれ一致するように6つの貫通穴h1、h2、h3、h4、h5、h6がそれぞれ穿孔されている。そして、これら6つの貫通穴h1、h2、h3、h4、h5、h6のうちの4つに前述した4本の締結ボルトB1、B2、B3、B4のいずれかが貫通することでベース板10の両側にそれぞれ3枚ずつ積層するように取り付けられている。図の例では、各貫通穴h1、h1、h1に締結ボルトB1が、各貫通穴h5、h5、h5に締結ボルトB2が、各貫通穴h2、h2、h2に締結ボルトB3が、各貫通穴h6、h6、h6に締結ボルトB4がそれぞれ貫通するようになっている。
【0022】
これら6枚の錘板21a、22a、23a、21b、22b、23bもそれぞれベース板10と同様に厚さが約2mm前後のステンレス板などから構成されており、例えば高出力のCO2レーザーカッター(レーザー加工機)などを用いることで複雑な形状であっても容易に製造することができる。なお、これらの錘板21a、22a、23a、21b、22b、23bも鉛やタングステン、アルミニウムなどの他の金属板から構成してもよい。また、この錘板20Aを備えたメタルジグ100の大きさとしては特に限定されるものでなく、従来のメタルジグと同じ大きさ、たとえば長さ数cm~十cm、縦1~5cm程度のものが多用される。また、その重さもたとえば数十g~200g近いものが多用される。
【0023】
このような構成をした本発明のメタルジグ100は、従来のメタルジグと同様に適宜フックF1,F2,F3を取り付けてそのままジギング用のメタルジグとして用いることができるが、適宜そのベース板10の両側に設けられた錘板20A、20Bの大きさを変えることでその重さや重量バランスを釣り人の好みに応じて任意に調整することができる。たとえばベース板10の両側に設けられた錘板20A、20Bの一方の重さや形状を変えたい場合には、錘板20Aを構成する3枚の錘板21a、22a、23aのうち、第2の錘板22aと、第3の錘板23aを外して
図7に示すように錘板20Aを第1の錘板21aだけにするといった構成である。
【0024】
このようにすれば、ベース板10の両側の形状や重量バランスが変化するため、たとえばしゃっくり動作した際に、メタルジグ100が本物の小魚のような不規則な動きになるため、魚が食いつきやすくなって釣果が向上することが期待できる。また、全体の重さをバランス良く減らしたい場合(軽量化)には、左右の錘板20A、20Bからそれぞれ第3の錘板23a、23bだけを取り外すだけで簡単に目的を達成できる。しかも、この作業は釣り人自身がドライバーで締結ボルトB1、B2、B3、B4を回して取り外すだけで達成できるため、揺れ動く不安定な船上でも簡単に行うことができる。
【0025】
また、錘板21a、22a、23a、21b、22b、23bの数を増減すると、その板厚も増減するが、締結ボルトB1、B2、B3、B4がねじ穴40a、40b、40c、40d、40e、40fを貫通してその板厚分だけ反対側に出没するため、その数に拘わらず確実に錘板21a、22a、23a、21b、22b、23bを締め付けて固定することができる。
【0026】
このように本発明のメタルジグ100は、ベース板10の両側に錘板20A、20Bを締結ボルトB1、B2、B3、B4によって着脱自在に備えると共に、その錘板20A、20Bを複数の錘板21a、22a、23a、21b、22b、23bで構成したため、これらの錘板21a、22a、23a、21b、22b、23bのうち、いずれかを任意に選択することでベース板10の左右の重量バランスや形態、大きさなどを適宜好みに応じて調整することができる。
【0027】
これによって、従来のように多数のメタルジグを持参する必要がなくなり、荷物の軽量化を図れると共に、複数種類のものを多数用意する必要がなくなるため、コストも低く抑えることができる。たとえば、本実施の形態にかかる構成では、ベース板10の両側にそれぞれ錘板20A、20Bを備えるパターンと、一切備えないパターン(ベース板10のみ)と、いずれか一方の錘板20A、20Bだけを備えるパターンといった4つのパターン(組み合わせ)に加え、その錘板20A、20Bを構成する錘板21a、22a、23a、21b、22b、23bのいずれかを1つまたは2つずつ減ずることで達成される24のパターン(6通り×4)を加えた合計28のパターンをたった1つのメタルジグ100で実現することができる。
【0028】
そして、この組み合わせは錘板21a、22a、23a、21b、22b、23bの数を増やせば増やすほどに指数関数的に増やすことが可能となる。なお、本実施の形態では、錘板20A、20Bをそれぞれ3枚ずつの錘板21a、22a、23a、21b、22b、23bで構成した例で示したが、この数はこれに限定されるものでなく、それ以下またはそれ以上でもよく、また、その形状も円や多角形などの他の形状であったてよい。
【0029】
また、第1のアイ30にラインLを結束し、他のアイ31,32,33にスプリットリングRを介してフックF1、F2、F3を取り付けるような構成となっているが、他の構成、たとえば第2のアイ31にラインLを結束して、その代わりに第1のアイ30にフックF1を取り付けたり、あるいはすべてのフックF1、F2、F3を用いるのではなく、その一部だけを用いるようにしてもよい。また、フックF1、F2、F3はベース板10側だけでなく、錘板20A、20B側にも設けてもよい。さらに本物の小魚のように背鰭11側を黒く、反対に腹鰭12側を銀色に着色したり、あるいは全体を黄色や赤、緑、オレンジのような目立つ色に着色してもよい。また、
図1に示すように小魚の目玉やエラに似せた穴14や切れ込み15などを設けてもよい。
【符号の説明】
【0030】
10…ベース板
20A、20B…錘板
21a、21b…第1の錘板
22a、22b…第2の錘板
23a、23b…第3の錘板
30…第1のアイ
31…第2のアイ
32…第3のアイ
33…第4のアイ
40a、40b、40c、40d、40e、40f…ねじ穴
100…メタルジグ
B1、B2、B3、B4…締結ボルト
F1、F2、F3…フック
L…ライン
R…スプリットリング
h1、h2、h3、h4、h5、h6…貫通穴