(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022127877
(43)【公開日】2022-09-01
(54)【発明の名称】収納システムおよび収納システムの制御方法
(51)【国際特許分類】
E05B 65/02 20060101AFI20220825BHJP
E05B 47/00 20060101ALI20220825BHJP
G07F 17/12 20060101ALI20220825BHJP
【FI】
E05B65/02 B
E05B47/00 U
G07F17/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021026098
(22)【出願日】2021-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】391001457
【氏名又は名称】アイリスオーヤマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】小野 恭裕
【テーマコード(参考)】
3E048
【Fターム(参考)】
3E048CA11
3E048CA17
(57)【要約】 (修正有)
【課題】個々の収納庫に制御部を設けることを必須とすることなく、複数の収納庫の解錠制御を行うことが可能な収納システムおよび収納システムの制御方法を提供すること。
【解決手段】複数の収納庫Bxと、制御部5と、を備える収納システムA1であって、各収納庫Bxは、扉と、電子錠2と、検知部3と、検知部の検知信号を遮断するスイッチ部4と、を有し、制御部5と複数の電子錠2とを個別に接続する複数の第1配線と、制御部5と複数のスイッチ部4とを個別に接続する複数の第2配線と、を備え、制御部5は、複数の第2配線を順次切り替えて検知信号を受信し、収納庫Bxの電子錠2に対して、第1配線を介して解錠信号を送信し、外部から解錠指示信号を受信した場合、収納庫Bxの電子錠2に対して、第1配線を介して解錠信号を送信する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の収納庫と、
制御部と、を備える収納システムであって、
前記各収納庫は、
扉と、
前記扉の施錠および解錠を行う電子錠と、
手動操作による解錠指示を検知する検知部と、
前記検知部の検知信号を遮断するスイッチ部と、を有し、
前記制御部と前記複数の電子錠とを個別に接続する複数の第1配線と、
前記制御部と複数の前記スイッチ部とを個別に接続する複数の第2配線と、を備え、
前記制御部は、
前記複数の第2配線を第1時間間隔で順次切り替えて前記検知信号を受信し、
前記検知信号が出力された前記検知部を有する前記収納庫の前記電子錠に対して、前記第1配線を介して解錠信号を送信し、
外部から解錠指示信号を受信した場合、前記解錠指示信号に含まれるアドレス情報に基づき、当該アドレス情報によって指定された前記収納庫の前記電子錠に対して、前記第1配線を介して前記解錠信号を送信する、収納システム。
【請求項2】
複数の前記第2配線は、複数の第2行配線および複数の第2列配線を含み、
複数の前記第2行配線と複数の前記第2列配線とは、前記複数の収納庫のそれぞれにおいて、前記スイッチ部および前記検知部を介して接続され、
前記制御部は、
複数の前記第2列配線を第2時間間隔で順次切り替え、且つ、
複数の前記第2行配線を前記第1時間間隔で順次切り替えて前記検知信号を受信し、
前記複数の第1配線は、複数の第1行配線および複数の第1列配線を含み、
複数の前記第1行配線と複数の前記第1列配線とは、前記複数の収納庫のそれぞれにおいて、前記電子錠を介して接続され、
前記制御部は、複数の前記第1行配線のおよび複数の前記第1列配線のうち、前記検知信号が出力された前記検知部を有する前記収納庫の前記電子錠に接続されたものを介して、前記解錠信号を送信する、
請求項1に記載の収納システム。
【請求項3】
m本ずつの前記第1行配線および前記第2行配線が接続された行コネクタと、
n本ずつの前記第1列配線および前記第2列配線が接続された列コネクタと、
mXn個の前記収納庫と、からなる収納ユニットが構成されており、
隣り合う前記収納ユニットの前記行コネクタ同士および前記列コネクタ同士がそれぞれ接続されることにより、複数の前記収納ユニットが連結される、
請求項2に記載の収納システム。
(ただし、m,nは、ともに自然数である)
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の収納システムの制御方法であって、
前記制御部が、前記第1時間間隔で受信対象の複数の前記第2配線を順次切り替えて前記検知信号を受信する第1ステップと、
前記制御部が、前記検知信号を受信した場合、前記検知信号が出力された前記検知部を有する前記収納庫の前記電子錠に対して、前記第1配線を介して前記解錠信号を送信し、前記電子錠を解錠する第2ステップと、を備える、収納システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納システムおよび収納システムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の収納庫を備え、これらの収納庫の施錠および解錠を個別に制御する収納システムが用いられている。特許文献1には、従来の収納システムの一例が開示されている。同文献に開示された収納システムでは、電子錠を対象とした解錠方法として、プッシュボタンによる手法とカード認証による手法とを、切替スイッチによって選択することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
同文献の収納システムでは、複数の収納庫の解錠を制御するために、全体の制御を行う制御部に加えて、個々の収納庫に設置された個別の制御部を設ける構成とされている。
【0005】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、個々の収納庫に制御部を設けることを必須とすることなく、複数の収納庫の解錠制御を行うことが可能な収納システムおよび収納システムの制御方法を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の側面によって提供される収納システムは、複数の収納庫と、制御部と、を備える収納システムであって、前記各収納庫は、扉と、前記扉の施錠および解錠を行う電子錠と、手動操作による解錠指示を検知する検知部と、前記検知部の検知信号を遮断するスイッチ部と、を有し、前記制御部と前記複数の電子錠とを個別に接続する複数の第1配線と、前記制御部と複数の前記スイッチ部とを個別に接続する複数の第2配線と、を備え、前記制御部は、前記複数の第2配線を第1時間間隔で順次切り替えて前記検知信号を受信し、前記検知信号が出力された前記検知部を有する前記収納庫の前記電子錠に対して、前記第1配線を介して解錠信号を送信し、外部から解錠指示信号を受信した場合、前記解錠指示信号に含まれるアドレス情報に基づき、当該アドレス情報によって指定された前記収納庫の前記電子錠に対して、前記第1配線を介して前記解錠信号を送信する。
【0007】
本発明の好ましい実施の形態においては、複数の前記第2配線は、複数の第2行配線および複数の第2列配線を含み、複数の前記第2行配線と複数の前記第2列配線とは、前記複数の収納庫のそれぞれにおいて、前記スイッチ部および前記検知部を介して接続され、前記制御部は、複数の前記第2列配線を第2時間間隔で順次切り替え、且つ、複数の前記第2行配線を前記第1時間間隔で順次切り替えて前記検知信号を受信し、前記複数の第1配線は、複数の第1行配線および複数の第1列配線を含み、複数の前記第1行配線と複数の前記第1列配線とは、前記複数の収納庫のそれぞれにおいて、前記電子錠を介して接続され、前記制御部は、複数の前記第1行配線のおよび複数の前記第1列配線のうち、前記検知信号が出力された前記検知部を有する前記収納庫の前記電子錠に接続されたものを介して、前記解錠信号を送信する。
【0008】
本発明の好ましい実施の形態においては、m本ずつの前記第1行配線および前記第2行配線が接続された行コネクタと、n本ずつの前記第1列配線および前記第2列配線が接続された列コネクタと、mXn個の前記収納庫と、からなる収納ユニットが構成されており、隣り合う前記収納ユニットの前記行コネクタ同士および前記列コネクタ同士がそれぞれ接続されることにより、複数の前記収納ユニットが連結される。(ただし、m,nは、ともに自然数である)
【0009】
本発明の第2の側面によって提供される収納システムの制御方法は、第1の側面によって提供される収納システムの制御方法であって、前記制御部が、前記第1時間間隔で受信対象の複数の前記第2配線を順次切り替えて前記検知信号を受信する第1ステップと、前記制御部が、前記検知信号を受信した場合、前記検知信号が出力された前記検知部を有する前記収納庫の前記電子錠に対して、前記第1配線を介して前記解錠信号を送信し、前記電子錠を解錠する第2ステップと、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、個々の収納庫に制御部を設けることを必須とすることなく、複数の収納庫解錠制御を行うことができる。
【0011】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る収納システムを示すシステム構成図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る収納システムを示す概略斜視図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る収納システムを示す要部斜視図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る収納システムの制御例を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の第1実施形態に係る収納システムの制御例を示すタイミングチャートである。
【
図6】本発明の第1実施形態に係る収納システムの制御例を示すフローチャートである。
【
図7】本発明の第1実施形態に係る収納システムの記憶部に記憶される情報例を示すフローチャートである。
【
図8】本発明の第1実施形態に係る収納システムの第1変形例を示すシステム構成図である。
【
図9】本発明の第1実施形態に係る収納システムの第2変形例を示す概略斜視図である。
【
図10】本発明の第1実施形態に係る収納システムの第3変形例を示すシステム構成図である。
【
図11】本発明の第2実施形態に係る収納システムを示すシステム構成図である。
【
図12】本発明の第2実施形態に係る収納システム制御例を示すタイミングチャートである。
【
図13】本発明の第3実施形態に係る収納システムを示すシステム構成図である。
【
図14】本発明の第3実施形態に係る収納システムの収納ユニットを示すシステム構成図である。
【
図15】本発明の第3実施形態に係る収納システムを示す要部システム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0014】
本開示における「第1」、「第2」、「第3」等の用語は、単に識別のために用いたものであり、それらの対象物に順列を付することを意図していない。
【0015】
<第1実施形態>
図1~
図3は、本発明の第1実施形態に係る収納システムを示している。本実施形態の収納システムA1は、複数の収納庫Bx、制御部5、入力部61、記憶部62、電源部63、複数の第1配線W1および複数の第2配線W2を備えている。
【0016】
図1は、収納システムA1を示すシステム構成図である。
図2は、収納システムA1の全体を示す概略斜視図である。
図3は、収納システムA1の収納庫Bxを示す斜視図である。
【0017】
〔収納庫Bx〕
複数の収納庫Bxは、各々が使用者の所持品等の収納対象を収納するためのものである。複数の収納庫Bxの個数や配置は、何ら限定されない。
図1および
図2に示す例においては、16個の収納庫Bxが、マトリクス状(4行X4列)に配置されている。これらの収納庫Bxには、理解の便宜上、収納庫Bx11,Bx12,Bx13,Bx14,Bx21,Bx22,・・・,Bx44の符号を適宜付して説明する。
図2のかっこ内の数字m,n(m,nは自然数)は、各収納庫Bxに割り当てられたアドレスである。複数の収納庫Bxに共通する説明の場合、単に収納庫Bxと表記する。
【0018】
収納庫Bxは、
図3に示すように、収納部11、扉12、ヒンジ13、係止部14、電子錠2、検知部3およびスイッチ部4を有する。
【0019】
収納部11は、収納対象を収納する部位であり、図示された例においては、正面に開口する直方体の箱状である。扉12は、収納部11の開口を塞ぐものであり、ヒンジ13によって開閉可能に収納部11に取り付けられている。収納部11および扉12の材質は何ら限定されず、たとえば金属や樹脂等が適宜用いられる。係止部14は、扉12に固定されており、扉12を閉状態に施錠するために用いられる。係止部14の具体的構成は何ら限定されず、図示された例においては、扉12の内面から突出した形状であり、先端に棒状部分を有する。
【0020】
電子錠2は、係止部14と係合し扉12を閉状態に維持する施錠状態と、係止部14との係合を解除し扉12が開状態となることを許容する解錠状態とを、電子的に切り替える部品である。電子錠2は、たとえば係止部14の棒状部分と係合する鉤状部分(図示略)が適宜往復動や回転することにより、上述の施錠状態と解錠状態とをとる。本実施形態においては、電子錠2は、収納部11のうち扉12の内面(係止部14)と正対する位置に配置されており、扉12が閉められると扉12によって覆われる。電子錠2の解錠と施錠とは、制御部5からの解錠信号によって制御される。なお、扉12は、電子錠2によって施錠された状態から解錠されると、図示しないバネによる弾性力によって、自動的に開状態となる構造であってもよい。
【0021】
検知部3は、使用者の手動操作による解錠指示を検知するものである。検知部3の具体的構成は何ら限定されず、手動操作による解錠指示を検知可能なものであればよい。このような検知部3としては、たとえばマイクロスイッチ、プッシュボタン等を適宜採用できる。検知部3は、収納部11のうち扉12の内面の上端付近と正対する位置に配置されており、電子錠2と隣り合っている。扉12が閉状態である場合、検知部3は扉12によって隠されており、収納庫Bxの外観には現れない。電子錠2が施錠状態となり扉12が閉状態である場合には、検知部3は、未検知(OFF)の状態である。閉状態の扉12が使用者によってさらに押されると、検知部3がONとなり、検知信号を出力する。このように、本実施形態においては、使用者が閉状態の扉12を押すことが、解錠指示にあたる。
【0022】
スイッチ部4は、検知部3の検知信号を遮断する部品である。
図1に示すように、スイッチ部4は、検知部3に対して電気的に直列に接続されている。スイッチ部4がON(閉状態)の場合、検知部3の検知信号が送信され、スイッチ部4がOFF(開状態)の場合、検知部3の検知信号が遮断される。本実施形態においては、スイッチ部4は、収納部11のうち扉12の内面の上端付近と正対する位置に配置されており、検知部3と隣り合っている。扉12が閉状態である場合、スイッチ部4は扉12によって隠されており、収納庫Bxの外観には現れない。スイッチ部4の具体的構成は何ら限定されず、たとえばスライドスイッチを用いてもよい。あるいは、スイッチ部4として、リレーを有する電気的なスイッチ機構を備えるものを採用してもよい。
【0023】
〔制御部5〕
制御部5は、収納システムA1の制御を行うものである。制御部5の具体的構成は何ら限定されず、図示された例においては、演算処理部51、走査部52および切替部53を有する。制御部5の設置箇所は何ら限定されず、複数の収納庫Bxに隣接して取り付けられていてもよいし、遠隔の所定箇所に設置されていてもよい。
【0024】
演算処理部51は、収納システムA1の制御を行う主要な構成要素であり、たとえば、CPUからなる。また、演算処理部51は、所定のインターフェース(図示略)を含んでいてもよい。
【0025】
走査部52は、演算処理部51からの選択信号により、複数の接続点の導通を所定時間間隔で順次切り替えるものであり、たとえばマルチプレクサ回路からなる。演算処理部51と走査部52とは、たとえば接続点の点数に応じたビット数の選択信号を伝達する信号ラインによって接続されている。本実施形態においては、複数の接続点に接続された後述の複数の第2配線W2(16本の第2配線W211~W244)を順序切り替える機能を果たす。なお、制御部5は、走査部52を有する構成に限定されず、たとえば演算処理部51のインターフェースに複数の第2配線W2を直接接続し、演算処理部51がそれぞれの第2配線W2からの信号を受信する構成であってもよい。
【0026】
切替部53は、演算処理部51からの選択信号により、複数の接続点から選択したものを導通状態とするものである。切替部53の具体的な構成は何ら限定されず、たとえば複数の接続点の点数に応じた複数のスイッチング素子によって構成される。本実施形態においては、複数の接続点に接続された後述の複数の第1配線W1(16本の第1配線W111~W144)のいずれかを選択的に導通状態とする機能を果たす。
【0027】
〔入力部61〕
入力部61は、入力操作に呼応してアドレス情報を含む解錠指示信号を出力するものである。アドレス情報は、解錠すべき収納庫Bxを指定する情報である。入力部61の入力操作は何ら限定されず、非接触式または接触式によるカードおよびタグ等の媒体の読み取りや、指紋および虹彩等の生体認証、暗号等の情報の入力、あるいはスマートフォンによる情報送信であってもよい。入力部61の設置箇所は何ら限定されない。入力部61は、複数の収納庫Bxに隣接して取り付けられていてもよいし、遠隔の所定箇所に設置されていてもよい。
【0028】
〔記憶部62〕
記憶部62は、制御部5による収納システムA1の制御に必要なプログラムやデータを記憶するものである。記憶部62は、メモリやハードディスク等である。記憶部62の設置箇所は何ら限定されず、制御部5とともに複数の収納庫Bxに取り付けられていてもよいし、遠隔の所定箇所に設置されていてもよい。あるいは、外部のサーバに内蔵されていてもよい。
図7は、記憶部62に記憶された識別情報の一例である。図示された例においては、各収納庫Bxのボックス番号(Bxに添えられた数字)に対応して、アドレス情報(m,n)、社員名、社員番号、ID情報1,ID情報2、ID情報3(生体情報)が紐付けられている。なお、識別情報の具体的な内容は、何ら限定されない。
【0029】
〔電源部63〕
電源部63は、収納システムA1の動作に必要な電力を供給するものである。電源部63は、たとえば、商用の交流電力を、電子錠2、検知部3、制御部5、入力部61等の動作に必要な直流電力に適宜変換して各部に供給する。
【0030】
〔第1配線W1〕
複数の第1配線W1は、制御部5と複数の収納庫Bxの電子錠2とを個別に接続している。本実施形態においては、複数の第1配線W1は、制御部5の切替部53の複数の接続点に個別に接続されている。また、本実施形態においては、複数の第1配線W1の本数は、複数の収納庫Bxの個数に対応している。図中の第1配線W1に添えられた数字は、制御部5に接続される収納庫Bxのボックス番号に対応しており、制御部5と収納庫Bx11の電子錠2とに接続される第1配線W1は、図中において「W111」と記載されており、他の収納庫Bxに接続された第1配線W1も同様である。
【0031】
〔第2配線W2〕
複数の第2配線W2は、制御部5と複数の収納庫Bxのスイッチ部4とを個別に接続している。本実施形態においては、複数の第2配線W2は、制御部5の走査部52の複数の接続点に個別に接続されている。また、本実施形態においては、複数の第2配線W2の本数は、複数の収納庫Bxの個数に対応している。図中の第2配線W2に添えられた数字は、制御部5に接続される収納庫Bxのボックス番号に対応しており、制御部5と収納庫Bx11のスイッチ部4とに接続される第2配線W2は、図中において「W211」と記載されており、他の収納庫Bxに接続された第2配線W2も同様である。
【0032】
次に、収納システムA1の制御について、以下に説明する。
【0033】
図4は、収納システムA1の制御の一例を示すフローチャートであり、
図5は、タイミングチャートである。図示された制御例は、検知部3による手動操作の検知に基づいて、任意の収納庫Bxの解錠を行う制御例である。
【0034】
まず、ステップS1-1において、制御部5が第1時間間隔Ti1で複数の第2配線W2を順次切り替える。これは、本発明の第1ステップに相当する。本実施形態においては、制御部5による複数の第2配線W2の切り替えは、走査部52を構成するマルチプレクサ回路によって実行される。すなわち、演算処理部51から、第1時間間隔Ti1ごとに、第2配線W211,W212,・・・,W244を選択する選択信号が、走査部52に順次送られる。走査部52では、複数の第2配線W211,W212,・・・,W244のうち選択信号で選択された接続点に接続された第2配線W2が順次導通状態となる。
図5の最も上部に記載されたチャートは、導通状態となった第2配線W2が接続された収納庫Bxのボックス番号を示している。このように、本実施形態においては、第1時間間隔Ti1ごとに、複数の収納庫Bxのスイッチ部4が、制御部5と導通した状態となる。
【0035】
次に、ステップS1-2では、ステップS1-1で選択された収納庫Bxのスイッチ部4がON(閉状態)であるかが判断される。本実施形態においては、スイッチ部4として機械的なスライドスイッチが採用されている場合、制御部5(演算処理部51)による特段の判断処理は実行されない。たとえば、スイッチ部4として電子的なリレースイッチが用いられている構成であって、制御部5(演算処理部51)からの制御によってスイッチ部4のオン/オフが切り替えられている場合、制御部5(演算処理部51)による判断処理が実行される。
【0036】
スイッチ部4がオフ(開状態)であると(ステップS1-2:No)、検知部3からの検知信号がスイッチ部4によって遮断された状態であるため、解錠処理は実行されない(ステップS1-6)。一方、スイッチ部4がオン(閉状態)であると(ステップS1-2:Yes)、制御部5(演算処理部51)は、スイッチ部4を介して選択された収納庫Bxの検知部3からの検知信号を受信可能な状態となる。選択された収納庫Bxの検知部3からの検知信号を制御部5(演算処理部51)が受信しない場合(ステップS1-3:No)、解錠処理は実行されない(ステップS1-6)。
【0037】
図5に示す例においては、収納庫Bx13~24,Bx32~Bx44が選択された時間においては、収納庫Bx13~24,Bx32~Bx44のスイッチ部4がオフ(開状態)であるか(ステップS1-2:No)、収納庫Bx13~24,Bx32~Bx44の検知部3がオフであるため(ステップS1-3:No)、解錠処理は実行されない(ステップS1-6)。一方、収納庫Bx31の検知部3は、収納庫Bx13が選択された時間には、オン(閉状態)となっており、その後、収納庫Bx24が選択された時間には、収納庫Bx31の検知部3がオンとなっている。収納庫Bx31の検知部3のオン状態は、収納庫Bx検知部33が選択された時間まで継続している。このため、収納庫Bx31が選択された時間には、収納庫Bx31のスイッチ部4がオン(閉状態)であり(ステップS1-2:Yes)、収納庫Bx31の検知部3から検知信号が出力されている。この検知信号を制御部5(演算処理部51)が第2配線W231を介して受信すると(ステップS1-3:Yes)、制御部5(演算処理部51)は、検知信号が送信された収納庫Bx31の電子錠2に対して、第1配線W1を介して解錠信号を送信する(ステップS1-4)。
【0038】
解錠信号の送信は、具体的には、演算処理部51が、検知信号を受信した収納庫Bxに接続された第1配線W1(図示された例においては、第1配線W131)を導通状態とするように、切替部53に選択信号を送信する。切替部53は、選択された接続点を導通状態とする。図示された例においては、切替部53には、電源部63からの電力線が接続されている。演算処理部51は、切替部53に対して選択信号を送信するとともに、電源部63に対して、電子錠2を解錠するのに必要な電力を、切替部53に出力するように指示信号を送信する。たとえば、ソレノイドを有する電子錠2に供給される電力としては、24V、1.6Aの直流電力が例示される。これにより、電源部63からの電力が切替部53および第1配線W131を介して収納庫Bx31の電子錠2に供給される。この際の、収納庫Bx31の電子錠2への電力供給が、本実施形態における解錠信号の送信にあたる。なお、各収納庫Bx内にて、電子錠2を動作可能とする電力が供給されている場合、制御部5から第1配線W1を介して、電子錠2に解錠状態をとらせることを指示する制御信号を、解錠信号として送信してもよい。
【0039】
制御部5から解錠信号が送信されると、解錠信号を受信した収納庫Bx31の電子錠2が、解錠状態となる(ステップS1-5)。これにより、電子錠2と係止部14との係合状態が解除される。上述したように、弾性力が付勢される等により、扉12が自動的に開状態をとる構成とされている場合、電子錠2が一旦解錠されると、扉12は、開状態を維持する。この後は使用者が収納庫Bx31の収納部11に所有物等の収納対象を収納したり取り出したりした後に、扉12が適宜閉状態とされる。ステップS1-4,S1-5の処理は、本発明の第2ステップに相当する。
【0040】
以上のステップを収納庫Bx11~Bx44について順次実行することにより、使用者によるスイッチ部4および検知部3に対する操作に基づいて、任意の収納庫Bxの扉12を開くことができる。
【0041】
図6は、収納システムA1の制御の一例を示している。図示された制御例は、入力部61からの入力に基づいて、任意の収納庫Bxの解錠を行う制御例である。
【0042】
まず、制御部5(演算処理部51)が、入力部61からの解錠指示信号を受信したかを判断する(ステップS2-1)。入力部61への入力操作は何ら限定されず、たとえば、非接触式または接触式によるカードおよびタグ等の媒体の読み取りや、指紋および虹彩等の生体認証、暗号等の情報の入力、あるいはスマートフォンによる情報送信であってもよい。入力部61は、入力された情報に基づいた解錠指示信号を制御部5(演算処理部51)に送信し、制御部5(演算処理部51)が解錠指示信号を受信する(ステップS2-1:Yes)。解錠指示信号には、収納庫Bxのボックス番号を特定するためのアドレス情報が含まれている。制御部5(演算処理部51)が解錠指示信号を受信しない場合(ステップS2-1:No)、いずれの収納庫Bxにおいても電子錠2は解錠されない(ステップS2-4)。
【0043】
制御部5(演算処理部51)は、受信した解錠指示信号のアドレス情報によって指定された収納庫Bxの電子錠2に対して、第1配線W1を介して解錠信号を送信する(ステップS2-2)。
図7は、記憶部62に記憶された識別情報の対応データの一例である。本例においては、各ボックス番号に、アドレス情報、社員名、社員番号、ID情報1、ID情報2、ID情報3(生体情報)が紐付けられている。たとえば、非接触式または接触式のカードによって入力部61に入力操作がなされ、解錠指示信号に、社員番号やID情報1,2が含まれていた場合、制御部5(演算処理部51)は、
図7に示す情報テーブルから、対応するアドレス情報を認識する。あるいは、入力部61によって生体認証が行われた場合、入力部61への入力情報を、ID情報3である指紋1や網膜1と照合することにより、対応するボックス番号を特定する。この処理は、解錠指示信号からアドレス情報を抽出する処理に相当する。
【0044】
次いで、演算処理部51は、解錠指示信号に含まれたアドレス情報に対応する収納庫Bxに接続された第1配線W1を導通状態とするように、切替部53に選択信号を送信する。切替部53は、選択された接続点を導通状態とする。上述したように、図示された例においては、切替部53には、電源部63からの電力線が接続されている。演算処理部51は、切替部53に対して選択信号を送信するとともに、電源部63に対して、電子錠2を解錠するのに必要な電力を、切替部53に出力するように指示信号を送信する。これにより、電源部63からの電力が切替部53および第1配線W1を介してアドレス情報に対応する収納庫Bxの電子錠2に供給される。
【0045】
制御部5から解錠信号が送信されると、解錠信号を受信した収納庫Bxの電子錠2が、解錠状態となる(ステップS2-3)。これにより、電子錠2と係止部14との係合状態が解除され扉12が開状態となる。
【0046】
なお、
図6に示す制御は、
図4および
図5に示す制御と並行して実行されてもよいし、それぞれの処理の全体同士、または一部同士を、時間的に直列して実行するシーケンシャル処理として実行してもよい。あるいは、一方の制御を他方の制御に対して優先して実行するように設定し、一方が他方に対して割込制御される構成であってもよい。
【0047】
次に、収納システムA1の作用について説明する。
【0048】
本実施形態によれば、複数の収納庫Bxの検知部3からの検知信号は、複数の第2配線W2を介して、制御部5によって個別に受信可能である。また、検知信号を送信した検知部3を有する収納庫Bxについて、制御部5から複数の第1配線W1を介して解錠信号を送信することにより、当該収納庫Bxの電子錠2を個別に解錠可能である。また、外部からの解錠指示信号を受信した場合にも、制御部5から複数の第1配線W1を介して解錠信号を送信することにより、複数の収納庫Bxの電子錠2を個別に解錠可能である。したがって、個々の収納庫Bxに制御部を設けることを必須とすることなく、複数の収納庫Bxの解錠制御を行うことができる。
【0049】
図8~
図15は、本発明の他の実施形態を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。
【0050】
<第1実施形態 第1変形例>
図8は、収納システムA1の第1変形例を示している。本変形例の収納システムA11は、外部サーバ8をさらに備えている。
【0051】
外部サーバ8は、通信部81および記憶部82を有する。通信部81は、有線または無線の通信によって、制御部5と通信を行うものである。本変形例においては、制御部5が通信部54を有する。通信部81と通信部54との通信手法は何ら限定されず、電線および光ファイバ等を用いた有線通信や、無線LANおよびBluetooth(登録商標)等を用いた無線通信を適宜選択し、さらに組み合わせて採用すればよい。
【0052】
記憶部82は、収納システムA1における記憶部62と同様に、たとえば
図7に示したデータ等を記憶するものである。なお、本変形例においては、外部サーバ8が記憶部82を有するため、記憶部62を備えることは必須ではない。収納システムA11は、記憶部62を備えない構成であってもよいし、記憶部82に加えて記憶部62を冗長的に備える構成であってもよい。
【0053】
収納システムA11においては、たとえば
図6に示した制御例のステップS2-2において、解錠指示信号に含まれるアドレス情報を抽出し対応付ける処理を実行する際に、通信部54によって、外部サーバ8の通信部81と通信し、記憶部82に記憶された情報を受信する。そして、制御部5(演算処理部51)は、上述したアドレス情報に基づく処理を行う。
【0054】
本変形例によっても、個々の収納庫Bxに制御部を設けることを必須とすることなく、複数の収納庫Bxの解錠制御を行うことができる。また、本変形例から理解されるように、記憶部62および記憶部82のいずれを備えるかは、適宜選択可能であり、何ら限定されない。
【0055】
<第1実施形態 第2変形例>
図9は、収納システムA1の第2変形例を示している。本変形例の収納システムA12は、検知部3が、各収納庫Bxの扉12の外側の面に配置されており、閉状態の収納庫Bxの外観に現れている。検知部3は、たとえば光電式または静電容量式のセンサ、あるいは、プッシュスイッチ等である。
【0056】
収納システムA12においては、
図4に示したステップS1-3において、使用者は、解錠を行う収納庫Bxに設けられた検知部3に接触する等の操作を行うことにより、当該検知部3から検知信号を出力させることができる。
【0057】
本変形例によっても、個々の収納庫Bxに制御部を設けることを必須とすることなく、複数の収納庫Bxの解錠制御を行うことができる。また、検知部3が、収納庫Bxの外観に現れていることにより、収納システムA11を初めて使用する使用者であっても、検知部3を用いて所望の収納庫Bxを開ける操作を、より直感的かつ容易に行うことができる。
【0058】
<第1実施形態 第3変形例>
図10は、収納システムA1の第3変形例を示している。本変形例の収納システムA13は、スイッチ部4の構成が上述した例と異なっている。
【0059】
本変形例のスイッチ部4は、リレーを有する電気的なスイッチ機構であり、リレー制御部41およびリレー部42を有している。リレー制御部41は、制御部5(演算処理部51)からの指示により、リレー部42のスイッチングを制御するものである。リレー制御部41は、たとえばIC等である。リレー部42は、リレー制御部41からの指示信号により、ON(閉状態)およびOFF(閉状態)を切替可能な電子部品である。
【0060】
また、収納システムA13においては、複数の収納庫Bxのスイッチ部4のリレー制御部41は、複数の第3配線W3によって、制御部5(演算処理部51)に接続されている。複数の第3配線W3は、複数の第1配線W1および複数の第2配線W2と同様に、複数の収納庫Bxのボックス番号に対応して、第3配線W311~W344に区別される。
【0061】
本変形例によっても、個々の収納庫Bxに制御部を設けることを必須とすることなく、複数の収納庫Bxの解錠制御を行うことができる。また、収納システムA13においては、複数の収納庫Bxのスイッチ部4は、制御部5からの信号によって遠隔で制御される。このため、複数の収納庫Bxのいずれか所望のもの、あるいは複数の収納庫Bxのすべてを対象として、任意に且つ一括してスイッチ部4の制御を行うことが可能である。これは、複数の収納庫Bxの検知部3による検知を有効とするか無効とするかを、集中制御するのに適している。
【0062】
<第2実施形態>
図11は、本発明の第2実施形態に係る収納システムを示している。本実施形態の収納システムA2は、主に、制御部5と複数の収納庫Bxとを接続する複数の第1配線W1および複数の第2配線W2の構成が、上述した実施形態と異なっている。
【0063】
本実施形態の複数の第2配線W2は、複数の第2行配線WL2と複数の第2列配線WC2とを含んでいる。複数の収納庫Bxは、複数の第2行配線WL2と複数の第2列配線WC2とによって構成されるマトリクスに対応して配置されている。複数の第2行配線WL2と複数の第2列配線WC2とのそれぞれの本数は、何ら限定されず、互いの本数の積が、収納システムA2において制御される複数の収納庫Bxの個数以上となることが好ましい。
図11においては、4本の第2行配線WL2と4本との第2列配線WC2とが、16個の収納庫Bxに接続されている場合を例に説明する。複数の第2行配線WL2を、必要に応じて第2行配線WL21~WL24と各々を区別して説明し、複数の第2列配線WC2を、必要に応じて第2列配線WC21~WC24と各々を区別して説明する。
【0064】
本実施形態においては、制御部5の走査部52が、行走査部52Lおよび列走査部52Cを有する。行走査部52Lおよび列走査部52Cは、各々が、上述の実施形態における走査部52と同様の機能を果たし、たとえばマルチプレクサ回路によってそれぞれが構成されている。行走査部52Lの複数の接続点には、複数の第2行配線WL2が接続されている。列走査部52Cの複数の接続点には、複数の第2列配線WC2が接続されている。
【0065】
複数の第2行配線WL2と複数の第2列配線WC2とは、複数の収納庫Bxのそれぞれにおいて、検知部3およびスイッチ部4を介して接続されている。収納庫Bx11を例に説明すると、収納庫Bx11には、第2行配線WL21と第2列配線WC21とが敷設されている。そして、第2行配線WL21と第2列配線WC21とは、収納庫Bx11の検知部3およびスイッチ部4を介して接続されている。他の収納庫Bxにおいても同様の接続形態となっており、第m行の第2行配線WL2mと、第n列の第2列配線WC2nとは、収納庫Bxmnの検知部3およびスイッチ部4を介して接続されている。
【0066】
また、図示された例においては、複数の第2行配線WL2において、行走査部52Lの複数の接続点と複数の収納庫Bxとの間に、抵抗Rを介してVCC(正電源電圧)ラインが接続されている。行走査部52Lは、複数の接続点のうち任意の接続点を、演算処理部51に導通させる。また、複数の第2列配線WC2において、列走査部52Cの複数の接続点と複数の収納庫Bxとの間に、ダイオードDが電気的に介在している。列走査部52Cは、複数の接続点のうち任意の接続点をグランドラインに導通させる。なお、抵抗Rを介してVCCラインが接続された構成や、ダイオードDが設けられた構成は、収納システムA2における電気回路の一具体例であり、これに限定されるものではない。
【0067】
また、本実施形態においては、制御部5の切替部53が、行切替部53Lおよび列切替部53Cを有する。行切替部53Lおよび列切替部53Cは、各々が、上述の実施形態における切替部53と同様の機能を果たし、たとえば複数の接続点の点数に応じた複数のスイッチング素子によってそれぞれが構成される。行切替部53Lの複数の接続点には、複数の第1行配線WL1が接続されている。列切替部53Cの複数の接続点には、複数の第1列配線WC1が接続されている。
【0068】
複数の第1行配線WL1と複数の第1列配線WC1とは、複数の収納庫Bxのそれぞれにおいて、電子錠2を介して接続されている。収納庫Bx11を例に説明すると、収納庫Bx11には、第1行配線WL11と第1列配線WC11とが敷設されている。そして、第1行配線WL11と第1列配線WC11とは、収納庫Bx11の電子錠2を介して接続されている。他の収納庫Bxにおいても同様の接続形態となっており、第m行の第1行配線WL1mと、第n列の第1列配線WC1nとは、収納庫Bxmnの電子錠2を介して接続されている。
【0069】
また、図示された例においては、行切替部53Lは、複数の接続点のうち任意の接続点をグランドラインに導通させる。また、列切替部53Cは、複数の接続点のうち任意の接続点を、電源部63に導通させる。なお、これらの構成は、収納システムA2における電気回路の一具体例であり、これに限定されるものではない。
【0070】
次に、収納システムA2における制御例について説明する。収納システムA2においても、
図4および
図6を参照して説明した制御例と同様の制御が実行される。ただし、
図4のステップS1-1においては、
図12に示すように、行走査部52Lと列走査部52Cとのそれぞれにおける順次の切り替えが、組み合わせて実行される。
【0071】
図示された例においては、行走査部52Lにおいて、演算処理部51からの選択信号により、第2行配線WL21~WL24が、第1時間間隔Ti1ごとに順次選択される。これに加えて、列走査部52Cにおいて、演算処理部51からの選択信号により、第2列配線WC21~WC24が、第2時間間隔Ti2ごとに順次選択される。本例においては、第2時間間隔Ti2が、第1時間間隔Ti1よりも長く設定されており、第2行配線WL21~WL24が1回ずつ選択される時間(第1時間間隔Ti1の4倍に相当する時間)に設定されている。このため、第2列配線WC21が選択されている間に、第2行配線WL21~WL24が1回ずつ順次選択される。これにより、収納庫Bx11~Bx41が
図12に示された順で順次選択されることとなる。同様に、第2列配線WC22,WC23,WC24がそれぞれ選択されている間に、第2行配線WL21~WL24が1回ずつ順次選択される。これにより、収納庫Bx12~Bx44が
図12に示された順で順次選択されることになる。したがって、4本の第2行配線WL21~WL24と4本の第2列配線WC21~WC24とを順次切り替えることにより、16個の収納庫Bx11~Bx44を第1時間間隔Ti1で順次選択可能となっている。
【0072】
ステップS1-1が上述のように実行されると、ステップS1-2およびステップS1-3が、上述した要領で実行される。そして、ステップS1-4においては、解錠の対象となる収納庫Bxに向けて解錠信号が送信される。
【0073】
収納システムA2においては、収納庫Bxmnに解錠信号を送信する場合、行切替部53Lにおいて第1行配線WL1mに切り替えられ、列切替部53Cにおいて第1列配線WC1nに切り替えられる。これにより、制御部5(演算処理部51)の指示によって電源部63から収納庫Bxmnの電子錠2に電力供給(解錠信号の送信)がなされ、収納庫Bxmnの電子錠2が解錠される。
図12に示す例においては、ステップS1-3において、収納庫Bx13から検知信号を受信している。このため、ステップS1-4では、行切替部53Lにおいて第1行配線WL11に切り替えられ、列切替部53Cにおいて第1列配線WC13に切り替えられる。この結果、電源部63から収納庫Bx13の電子錠2に電力供給(解錠信号の送信)がなされ、電子錠2が解錠される。
【0074】
また、
図6に示すステップS2-2においては、解錠指示信号のアドレス情報によって指定されたアドレス(m,n)に基づいて、ステップS1-4と同様の処理が行われる。すなわち、アドレス(m,n)に対応して、第1行配線WL1mと第1列配線WC1nとに切り替えられ、収納庫Bxmnの電子錠2に電力供給(解錠信号の送信)がなされ、電子錠2が解錠される。
【0075】
本実施形態によっても、個々の収納庫Bxに制御部を設けることを必須とすることなく、複数の収納庫Bxの解錠制御を行うことができる。また、本実施形態によれば、複数の収納庫Bxの個数がmXn個である場合に、複数の第1配線W1として、m本の第1行配線WL1とn本の第1列配線WC1とを用意し、複数の第2配線W2として、m本の第2行配線WL2とn本の第2列配線WC2とを用意すれば、各収納庫Bxの検知信号の受信や電子錠2の解錠処理を個別に実行することができる。したがって、複数の収納庫Bxの個数を増加させる場合に、複数の第1配線W1および複数の第2配線W2の本数の増加を抑制することができる。
【0076】
<第3実施形態>
図13~
図15は、本発明の第3実施形態に係る収納システムを示している。本実施形態の収納システムA3は、複数の収納ユニットUによって構成されている点が、上述した実施形態と異なっている。
【0077】
複数の収納ユニットUの個数は何ら限定されず、
図13に示す例は、6個の収納ユニットU1~U6によって構成されている。各収納ユニットUは、
図14に示すように、複数の収納庫Bxを有する。なお、同図においては、各収納庫Bxの電子錠2、検知部3およびスイッチ部4を省略している。収納ユニットUにおいては、収納システムA2と同様に、mXn個の複数の収納庫Bxに、m本の第1行配線WL1、n本の第1列配線WC1、m本の第2行配線WL2、およびn本の第2列配線WC2がマトリクス状に接続されている。図示された例においては、m=4、n=4に設定されている。m本の第1行配線WL1、n本の第1列配線WC1、m本の第2行配線WL2、およびn本の第2列配線WC2と、複数の収納庫Bxの電子錠2、検知部3およびスイッチ部4との電気的な接続は、上述の収納システムA2と同様である。
【0078】
本実施形態においては、各収納庫Bxが接続部7を有している。
図14および
図15に示すように、接続部7は、第1行配線WL1、第1列配線WC1、第2行配線WL2および第2列配線WC2と収納庫Bxの電子錠2、検知部3およびスイッチ部4とを、接続するための部品である。本例においては、接続部7は、個別基板70,第1コネクタ71および第2コネクタ72を有する。
【0079】
個別基板70は、たとえばガラスエポキシ樹脂からなる基材を有する配線基板である。第1コネクタ71および第2コネクタ72は、個別基板70に搭載されている。第1コネクタ71は、当該収納庫Bxに敷設された第1行配線WL1と第1列配線WC1とに接続されている。そして、第1コネクタ71は、当該収納庫Bxの電子錠2に接続されている。これにより、図示された第1行配線WL1と第1列配線WC1とは、電子錠2を介して接続されている。
【0080】
第2コネクタ72は、当該収納庫Bxに敷設された第2行配線WL2と第2列配線WC2とに接続されている。そして、第2コネクタ72は、当該収納庫Bxの検知部3およびスイッチ部4に接続されている。これにより、図示された第2行配線WL2と第2列配線WC2とは、検知部3およびスイッチ部4を介して接続されている。
【0081】
図14に示すように、収納ユニットUは、行コネクタCL1,CL2と列コネクタCC1,CC2とを有する。行コネクタCL1には、第1行配線WL11~WL14の一端と第2行配線WL21~Wl24の一端とがそれぞれ接続されている。行コネクタCL2には、第1行配線WL11~WL14の他端と第2行配線WL21~Wl24の他端とがそれぞれが接続されている。列コネクタCC1には、第1列配線WC11~WC14の一端と第2行配線WL21~WL24の一端とがそれぞれ接続されている。列コネクタCC2には、第1列配線WC11~WC14の他端と第2列配線WC21~WC24の他端とがそれぞれ接続されている。
【0082】
行コネクタCL1と行コネクタCL2とは、互いに接続可能な構成である。また、列コネクタCC1と列コネクタCC2とは、互いに接続可能な構成である。
図13に示す例においては、隣り合う収納ユニットUの行コネクタCL1と行コネクタCL2とが接続され、列コネクタCC1と列コネクタCC2とが接続されることにより、6つの収納ユニットU1~U6が互いに連結されている。たとえば、収納ユニットU2の行コネクタCL1は、隣り合う収納ユニットU1の行コネクタCL2と接続されており、収納ユニットU2の行コネクタCL2は、隣り合う収納ユニットU3の行コネクタCL1と接続されている。また、収納ユニットU2の列コネクタCC2は、隣り合う収納ユニットU5の列コネクタCC1と接続されている。このような接続形態により、6つの収納ユニットU1~U6は、2行X3列のマトリクス状に連結されている。これは、収納システムA3全体として、96個(16個X6ユニット)の収納庫Bxが、8行X12列のマトリクス状に配置されていることに相当する。そして、複数の収納ユニットU1~U6は、8本ずつの第1行配線WL1および第2行配線WL2と、12本ずつの第1列配線WC1および第2列配線WC2とを有する構成となっている。
【0083】
複数の収納ユニットUと制御部5との具体的な接続形態は、何ら限定されない。接続形態の具体例としては、たとえば、
図11に示した収納システムA2と同様に、複数の第1行配線WL1は、行切替部53Lに接続され、複数の第1列配線WC1は、列切替部53Cに接続され、複数の第2行配線WL2は、行走査部52Lに接続され、複数の第2列配線WC2は、列走査部52Cに接続される構成が挙げられる。
【0084】
また、
図13に示す例においては、制御部5からフラットケーブルFWLと、フラットケーブルFWCとが延びている。フラットケーブルFWLにはコネクタCL0が取り付けられている。コネクタCL0は、収納ユニットU1,U4の行コネクタCL1と接続される。また、フラットケーブルFWCには、コネクタCC0が取り付けられている。コネクタCC0は、収納ユニットU1,U2,U3の列コネクタCC1と接続される。以上の構成により、収納システムA3は、
図11に示す収納システムA2において、8行X12列の96個の収納庫Bxを備える構成と、電気的に等価なシステムとして構成されており、収納システムA2について説明した制御と同様の制御が可能である。なお、複数の収納庫Bxの設定数を増減させる場合、複数の収納ユニットUの個数を適宜増減すればよく、1つの収納庫Bxのみを備える構成であってもよい。
【0085】
本実施形態によっても、個々の収納庫Bxに制御部を設けることを必須とすることなく、複数の収納庫Bxの解錠制御を行うことができる。また、所定数(mXn個)の収納庫Bxを有する収納ユニットUを採用することにより、mXn個の整数倍の個数の収納庫Bxを有する収納システムA3を容易且つ合理的に構成することができる。また、各収納ユニットUが、複数の第1行配線WL1、複数の第1列配線WC1、複数の第2行配線WL2および複数の第2列配線WC2を有する構成であることにより、収納ユニットUの個数が増大する場合に、複数の第1行配線WL1、複数の第1列配線WC1、複数の第2行配線WL2および複数の第2列配線WC2の本数が極端に増加してしまうことを回避可能である。また、行コネクタCL1,CL2および列コネクタCC1,CC2を有する構成は、複数の収納ユニットUを相互に接続するのに好適である。
【0086】
本発明に係る収納システムおよび収納システムの制御方法は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る収納システムおよび収納システムの制御方法の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【符号の説明】
【0087】
A1,A11,A12,A13,A2,A3:収納システム
2 :電子錠
3 :検知部
4 :スイッチ部
5 :制御部
7 :接続部
8 :外部サーバ
11 :収納部
12 :扉
13 :ヒンジ
14 :係止部
33 :収納庫Bx検知部
41 :リレー制御部
42 :リレー部
51 :演算処理部
52 :走査部
52C :列走査部
52L :行走査部
53 :切替部
53C :列切替部
53L :行切替部
54 :通信部
61 :入力部
62 :記憶部
63 :電源部
70 :個別基板
71 :第1コネクタ
72 :第2コネクタ
81 :通信部
82 :記憶部
Bx :収納庫
CC0 :コネクタ
CC1,CC2:列コネクタ
CL0 :コネクタ
CL1,CL2:行コネクタ
D :ダイオード
FWC,FWL:フラットケーブル
R :抵抗
S :ステップ
Ti1 :第1時間間隔
Ti2 :第2時間間隔
U :収納ユニット
W1 :第1配線
W2 :第2配線
W3 :第3配線
WC1 :第1列配線
WC2 :第2列配線
WL1 :第1行配線
WL2 :第2行配線